JP2011204496A - フラットケーブル被覆材、及びフラットケーブル - Google Patents

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Abstract

【課題】 初期粘着力で導線を保持した後に、加熱し熱硬化させることで、貼合せと接着の工程を製造効率をよくでき、低コストであるフラットケーブル被覆材、及びそれを用いたフラットケーブルを提供する。
【解決手段】 基材11の一方の面に少なくとも粘接着層13を積層したフラットケーブル被覆材10において、粘接着層13を構成する粘接着剤15がアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、及び硬化剤を含むことを特徴とし、またアクリル系樹脂とエポキシ系樹脂とが海島構造であり、さらに、上記アクリル系樹脂がEA−BA−ANをもつモノマーをラジカル重合してなるアクリル酸エステル共重合体で、上記エポキシ系樹脂がNBR(ニトリルブタジエンゴム)変性エポキシ樹脂と、bis−A型エポキシ樹脂からなり、上記硬化剤がジシアンジアミド系の化合物であることも特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、フラットケーブル被覆材に関し、さらに詳しくは、接着層が初期粘着性を有するためにフラットケーブルを製造する作製工程の作業効率がよく、しかも、できあがったフラットケーブルは導体との密着性に優れ、かつ、十分な柔軟性と耐熱性をあわせもつ電気機器、電子機器、その他等に使用されるフラットケーブルのフラットケーブル被覆材、及びそれを用いたフラットケーブルに関するものである。
本明細書において、配合を示す「比」、「部」、「%」などは特に断わらない限り質量基準であり、「/」印は一体的に積層されていることを示す。また、「PET」は「ポリエチレンテレフタレート」、「FFC」は「フレキシブルフラットケーブル」の略語、機能的表現、通称、又は業界用語である。
(背景技術)従来、OA機器やゲーム機などの電子機器では、コンピューターと電子部品などの電気的な接続や種々の配線のためのフラットケーブルが使用されている。フラットケーブルは、該電子機器の狭い筐体内を引き回され、電子部品の移動に伴って摺動されたり、かつ、電子部品の発熱に伴う高温の環境下で使用される。このために、フラットケーブルを被覆しているフラットケーブル被覆材は、摺動に対する柔軟性、高温に対する耐熱性、および難燃性が要求される。さらに、使用後の廃棄処理において、環境破壊の元凶にもなり兼ねない。近年、自動車や生活家電などは軽量化、薄型化が進み、回路基盤同士の配線などにはフレキシブルフラットケーブル(以下、FFCと呼称する)が広く使われ、FFCの使われ方も多様化している。例えば、自動車エンジン周りや、コピー機等の排熱部分、加熱炉などの耐熱性や、高温化での屈曲性などが必要とされる分野が増えてきている。しかしながら、これまでのFFCでは、導線を埋め込む接着剤にはポリエステル系の樹脂などが一般的に使用されており、耐熱性に難があり、高温環境での接着力が不足するという欠点があった。また、部品の移動に伴う摺動環境下でも、導体との密着性に優れ、かつ、十分な柔軟性と耐熱性をあわせもつことが必要である。また、導線を配置しフラットケーブル被覆材と接着させる製造工程においては、フラットケーブル被覆材に初期粘着力がなく導線が剥離するので、貼合せと接着の工程を同時にせねばならず、製造速度が著しく遅く高コストとなる問題点もあった。
フラットケーブル被覆材は、高温や摺動の厳しい環境下でも、導体との密着性に優れ、かつ、十分な柔軟性と耐熱性をあわせもち、かつ、フラットケーブルの製造にあたっては、初期粘着力で導線を保持した後に、加熱し熱硬化させることで、貼合せと接着の工程を同時に製造速度を速く、又はバッチ式でも大量に一括で加熱処理できるので、結果的に低コストであることが求められている。
特開平8−60108号公報 特開平9−221642号公報 特開2001−89736号公報 実開平3−26008号公報 特開2006−40817号公報
(従来技術)従来、ポリイミドフィルムとリン変性飽和ポリエステル共重合体からなる接着層によるノンハロゲンの難燃性フラットケーブルがが知られている(例えば、特許文献1参照。)。熱可塑性ポリエステル樹脂とリン系難燃剤を含有する粘着層によるノンハロゲンの難燃性フラットケーブルがが知られている(例えば、特許文献2参照。)。ポリエステル系樹脂とポリ燐酸系難燃剤と非ポリ燐酸系窒素含有有機難燃剤からなるノンハロゲン系の難燃性難燃性接着剤が知られている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、特許文献1〜3のいずれも、フラットケーブルの基材フィルムは、ポリエステル系フィルムまたはポリイミド系フィルムを用いており、ポリエステル系フィルムは単独では難燃性が不足し、ポリイミド系フィルムでは価格が高価であるという問題がある。また、接着層(粘着層と表現している公報もある)にハロゲン系の難燃剤を用いてるフラットケーブル被覆材では、該フラットケーブル被覆材を用いたフラットケーブルが電子機器とともに使用後廃棄された後に、何らかの要因で難燃剤が環境に漏洩したり、人体に取り込まれて健康を害する恐れがあるという欠点がある。さらに、非ハロゲン系の難燃剤としてリン系、ポリ燐酸系、非ポリ燐酸系窒素含有有機物質などを用いた難燃剤では、十分な難燃性を得るには多量に含有させねばならず、多量に含有させると導体との接着力が低下するという欠点がある。
また、本出願人も、電気絶縁性支持材と、熱架橋性樹脂層と、難燃性熱可塑性接着剤層とが順に積層されてたフラツトケーブル被覆材を開示している(例えば、特許文献4参照。)。導体との接着性、被覆材同志の自己接着性などの接着性と難燃性とを両立させるフラットケーブル被覆材も開示している(例えば、特許文献5参照。)。しかしながら、特許文献4〜5のいずれも、難燃性熱可塑性接着剤層により導線を保持固定するので、製造速度は著しく遅く、高コストであるという欠点がある。
そこで、本発明は上記のような問題点を解消するために、本発明者らは鋭意研究を進め、本発明の完成に至ったものである。その目的は、高温や摺動の厳しい環境下でも、導体との密着性に優れ、かつ、十分な柔軟性と耐熱性をあわせもち、かつ、フラットケーブルの製造にあたっては、初期粘着力で導線を保持した後に、加熱し熱硬化させることで、貼合せと接着の工程を同時に製造効率をよくでき、低コストであるフラットケーブル被覆材、及びそれを用いたフラットケーブルを提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1の発明に係わるフラットケーブル被覆材は、基材と、該基材の一方の面に少なくとも粘接着層を積層したフラットケーブル被覆材において、前記粘接着層を構成する粘接着剤がアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、及び硬化剤を含むように、したものである。
請求項2の発明に係わるフラットケーブル被覆材は、上記粘接着層が、アクリル系樹脂とエポキシ系樹脂とが海島構造であるように、したものである。
請求項3の発明に係わるフラットケーブル被覆材は、上記アクリル系樹脂がEA−BA−ANをもつモノマーをラジカル重合してなるアクリル酸エステル共重合体で、上記エポキシ系樹脂がNBR(ニトリルブタジエンゴム)変性エポキシ樹脂と、bis−A型エポキシ樹脂からなり、上記硬化剤がジシアンジアミド系の化合物であるように、したものである。
請求項4の発明に係わるフラットケーブルは、複数の導体を同一平面内で配列した導体列を、フラットケーブル被覆材にて両面より被覆してなるフラットケーブルにおいて、少なくとも片面の前記フラットケーブル被覆材が、基材と、該基材の一方の面に少なくとも粘接着層を積層したフラットケーブル被覆材からなり、前記粘接着層を構成する粘接着剤がアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、及び硬化剤を含み、かつ、前記粘接着層が熱硬化されてなるように、したものである。
請求項1の本発明によれば、高温や摺動の厳しい環境下でも、導体との密着性に優れ、かつ、十分な柔軟性と耐熱性をあわせもち、かつ、フラットケーブルの製造にあたっては、初期粘着力で導線を保持した後に、加熱し熱硬化させることで、貼合せと接着の工程を同時に製造速度を速くでき、低コストである効果を奏する。
請求項2の本発明によれば、請求項1の効果に加えて、より製造効率をよくでき、低コストである効果を奏する。
請求項3の本発明によれば、請求項1〜2の効果に加えて、より高温や摺動の厳しい環境下でも、導体との密着性に優れ、かつ、十分な柔軟性と耐熱性をあわせもつ効果を奏する。
請求項4の本発明によれば、製造にあたっては、初期粘着力で導線を保持した後に、加熱し熱硬化させることで、貼合せと接着の工程を同時に製造効率をよくでき、低コストであり、しかも高温や摺動の厳しい環境下でも、導体との密着性に優れ、かつ、十分な柔軟性と耐熱性をあわせもつ効果を奏する。
本願発明の1実施例を示すフラットケーブル被覆材の断面図である。 本願発明の1実施例を示すフラットケーブル模式的平面図である。 図2のAA断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
(フラットケーブル被覆材)本願発明のフラットケーブル被覆材10は、図1に示すように、基材11と、該基材11の一方の面に少なくとも粘接着層13を積層してなり、粘接着層13を構成する粘接着剤15がアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、及び硬化剤を含ませる。なお、基材11と粘接着層13との間に、接着力を向上させるために、必要に応じてプライマー層12を設けてもよい。また、好ましくは、粘接着層13がアクリル系樹脂とエポキシ系樹脂とが海島構造とする。さらに好ましくは、上記アクリル系樹脂がEA−BA−ANをもつモノマーをラジカル重合してなるアクリル酸エステル共重合体で、上記エポキシ系樹脂がNBR(ニトリルブタジエンゴム)変性エポキシ樹脂と、bis−A型エポキシ樹脂からなり、上記硬化剤がジシアンジアミド系の化合物とする。なお、フラットケーブル被覆材10は、使用時までの保存や、使用時の取り扱い性の点から、粘接着層13面へ剥離紙を積層しておいてもよく、基材11/粘接着層13/剥離紙の構成としてもよい。
(効果)上記の構成とすることで、初期粘着をもった熱硬化型のフラットケーブル被覆材10とすることができる。即ち、フラットケーブル被覆材10の粘接着層13は、初期粘着性を有しているので、フラットケーブルの製造にあたっては、初期粘着力で導線を保持した後に、加熱し熱硬化させることで、貼合せと接着の工程は別の工程となるが、貼合せ工程の製造速度を速くでき、かつ、接着の工程も製造速度を速く、又はバッチ式でも大量に一括で加熱処理できるので、結果的に低コストとすることができる。また、粘接着層13と導線は熱硬化反応で接着させることで、導線との接着力も強力であり、その接着強度は温度変化で劣化しない効果があり、高温や摺動の厳しい環境下でも、導体との密着性に優れ、かつ、十分な柔軟性と耐熱性をあわせ持たせることができる。
(基材)基材11としては、機械的強度に優れ、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、屈曲性、絶縁性等に富む、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド系フィルム、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のポリイミド系フィルム、フッ素系フィルム、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルサルファイド、ポリアリレート、ポリエステルエーテル、全芳香族ポリアミド、ポリアラミド、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルムなどが適用できる。通常はポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリアルキレンテレフタレートが好適に使用される。
基材11は、未延伸フィルム、または延伸フィルムが適用でき、強度を向上させる目的で延伸フィルムが好ましく、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムが、特に二軸延伸フィルムが好適である。また、基材フィルムの表面は、必要に応じて、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、その他の前処理を施しても良い。該基材フィルムの厚さは、通常は5μm〜200μmが適用でき、10μm〜100μmが好適である。厚さが5μm未満であると機械的強度が不足し、またプライマー層12、粘接着層13など形成する適性が減ずる。厚さが200μm以上では可撓性が不足し摺動性が悪化するので、このような厚さにすることにより、フラットケーブル被覆材10に必要とされる強度を付与することができるとともに、フラットケーブル被覆材10に良好な可撓性を付与することができる。
(プライマ層)次いで、基材11へ、必要に応じてプライマー層12を塗布する。該プライマー層12は、基材11へ粘接着層13を強固に接着させて、電子機器への使用時の摺動に耐えて、層間の剥離などを抑制して、絶縁性、耐久性を向上するためのものである。プライマー層12の材料としては、例えば、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、および/またはカルボジイミド基を有する多官能化合物と、ガラス転移点が20℃〜120℃、好ましくは30℃〜100℃のポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂とを含むプライマー剤が適用できる。また、プライマー剤としては、ポリエチレンイミン系化合物、有機チタン系化合物、イソシアネート系化合物、ウレタン系化合物、ポリブタジエン系化合物などを主成分とする所謂アンカーコート剤も適用することができる。
該プライマー剤12の希釈液をロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、リバースグラビアコート、バーコート、ロッドコ−ト、キスコート、ナイフコート、ダイコート、コンマコート、フローコート、スプレーコートなどの方法で塗布し乾燥して、溶剤を除去してプライマー層12を形成させる。要すれば、温度30℃〜70℃でエージングする。プライマー層12の厚さは、通常は0.05μm〜10μm程度、好ましくは0.1μm〜5μm程度である。
(剥離紙)離型紙は離型フィルム、セパレート紙、セパレートフィルム、セパ紙、剥離フィルム、剥離紙とも呼ばれる。離型紙は、上質紙、コート紙、含浸紙、プラスチックフィルムなどの離型紙用基材の片面又は両面に離型層を有している。
(離型層)該離型層としては、離型性を有する材料であれば、特に限定されないが、例えば、シリコーン樹脂、有機樹脂変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アミノアルキド樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂などがある。これらの樹脂は、エマルジョン型、溶剤型又は無溶剤型のいずれもが使用できる。
(離型層の形成)離形層は、離形層成分を分散および/または溶解した塗液を、離型紙用基材フィルムの片面に塗布し、加熱乾燥および/または硬化させて形成する。該塗液の塗布方法としては、公知で任意の塗布法が適用でき、例えば、ロールコート、グラビアコート、スプレーコートなどである。また、離形層は、必要に応じて、基材フィルムの少なくとも片面の、全面または一部に形成してもよい。
(剥離力)離形層の剥離力は、粘着剤テープに対し、1〜2000mN/cm程度、さらに100〜1000mN/cmであることが好ましい。離形層の剥離力が1mN/cm未満の場合は、粘着シートや被粘着材との剥離力が弱く、剥がれたり部分的に浮いたりする。また、2000mN/cmより大きい場合は、離形層の剥離力が強く、剥離しにくい。安定した離形性や加工性の点で、ポリジメチルシロキサンを主成分とする付加及び/又は重縮合型の剥離紙用硬化型シリコーン樹脂が好ましい。
(粘接着層)粘接着層13は、粘着性を有するアクリル系樹脂、主に被着体との接着性を有するエポキシ系樹脂、これらの樹脂と反応する硬化剤を含ませることで、粘着性と接着性を併せ持つフラットケーブル被覆材10とすることができる。
(エポキシ)上記エポキシ系樹脂としては、例えば、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂等が挙げられ、またフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、レゾールフェノール樹脂等のフェノール樹脂、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂等のトリアジン環を有する樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、シアネートエステル樹脂などが例示できる。
これらの樹脂から、少なくとも、比較的柔らかいエポキシ系樹脂と、硬いエポキシ系樹脂とを含ませるのが好ましい。ここで、柔らかい、硬いとは、相対比較であり、硬さに差のある柔らかいもの、硬いものを用いればよい。
(硬いエポキシ)硬いエポキシ系樹脂としては、結晶性エポキシ樹脂が好ましく、ビフェニル骨格、ビスフェノール骨格、スチルベン骨格などの剛直構造を主鎖にもち、比較的低分子量のものがよい。好ましくは、例えば、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂で、特にビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。主鎖が1〜3のビスフェノールA型エポキシ樹脂は常温で液体、主鎖が2〜10のビスフェノールA型エポキシ樹脂は常温で固体である。結晶性エポキシ樹脂のうち、常温で結晶化して固体のものも、融点以上の温度になると、急速に融解して低粘度の液状に変化することで、粘接着層13の接着剤部分に被着体の裏面とを接合工程で、初期に密着し、更に接着して、接着強度を高めることができる。硬いエポキシ系樹脂は架橋密度が高くなるため、機械的強度が高く、耐薬品性がよく、硬化性が高く、吸湿性(自由体積が小さくなるため)が小さくなる特徴もある。
硬いエポキシ系樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましいが、さらに、硬さの異なる複数を用いるのが更に好ましい。複数とは、剛直な構造であるビスフェノール骨格の主鎖の数の異なるものが例示でき、例えば、主鎖が1〜3のビスフェノールA型エポキシ樹脂と、主鎖が2〜10のビスフェノールA型エポキシ樹脂とを併用すればよい。併用することで、機械的強度を保ちつつ、若干の柔軟性を得ることが出来るため、密着性に優れる。固体のエポキシを混合することで、製膜性も向上させることができる。ここで、硬さ異なるとは相対比較であり、硬さに差があればよく、硬いもの、更に硬いものを用いればよい。具体的には、主鎖が1〜3のビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン社製、JER828が、主鎖が2〜10のビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン社製、JER1001などが例示できる。
(柔いエポキシ)柔かいエポキシ樹脂としては、ゴム成分を含むように変性したエポキシ系樹脂が好ましい。特に、NBR(ニトリルブタジエンゴム)変性エポキシ系樹脂が、加熱による変色も少なく、硬いエポキシ樹脂である結晶性エポキシ樹脂と混ざり易さから好ましい。具体的には、ADEKA社製、EPR4030などが例示できる。被着体の熱膨張による寸法変化などに追従するため、耐熱性向上、耐衝撃性、柔軟性の点で優れる。
(アクリル)アクリル系樹脂としては、粘着性があれば特に限定されるものではなく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらのエステルモノマーを重合させたポリマーのほか、前記モノマーと共重合可能な不飽和単量体(例えば、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリルなど)とを共重合させたコポリマーが使用できる。アクリル系樹脂としては、アクリル酸エステル共重合体が好ましく、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルおよびアクリルニトリルのうち少なくとも1つをモノマー成分とした共重合体が挙げられる。この中でも、官能基としてエポキシ基、水酸基、カルボキシル基、二トリル基等を持つ化合物を有するアクリル酸エステル共重合体が好ましい。これにより、被着体への接着性がより向上する。具体的には、ナガセケムテックス社製、SG−P3などが例示できる。
特に好ましくは、アクリル系樹脂として、EA−BA−AN(エチルアクリレート−ブチルアクリレート−アクリルニトリルをもつモノマーをラジカル重合してなるアクリル酸エステル共重合体であって、エポキシ系樹脂との分散性や、粘接着層11を形成する際の塗布性成膜性を向上させることができる。しかも、粘接着層11の初期粘着性を確保できる。
アクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量は、特に限定されないが、10万以上が好ましく、15万〜100万が特に好ましく、重量平均分子量がこの範囲内であると、粘接着層11の塗布性が向上する。また、凝集力を高めるために、ロジン樹脂、テルペン樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族系や芳香族系石油樹脂等の粘着付与剤等を添加してもよい。
(硬化剤)前記硬化剤としては、例えばジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、メタキシレリレンジアミン(MXDA)などの脂肪族ポリアミン、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、m−フェニレンジアミン(MPDA)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)などの芳香族ポリアミンのほか、ジシアンジアミド(DICY)、有機酸ジヒドララジドなどを含むポリアミン化合物等のアミン系硬化剤、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)などの脂環族酸無水物(液状酸無水物)、無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)等の芳香族酸無水物等の酸無水物系硬化剤、フェノール樹脂等のフェノール系硬化剤が例示できる。特に、ジシアンジアミド(DICY)は潜在性の硬化剤のため、保存安定性に優れ、室温保存でもポットライフが数週間もあるので好ましい。また、硬化促進剤としてイミダゾール類を含ませてもよい。
(添加剤)さらに、粘接着剤13には、必要に応じて、例えば、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、例えば、滑剤、可塑剤、充填剤、フィラー、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、染料、顔料等の着色剤、その他等を添加してもよい。また、必要に応じて、さらにシラン系、チタン系、アルミニウム系などのカップリング剤を含むことができる。
(海島)粘接着剤13は、アクリル系樹脂とエポキシ系樹脂を主成分としているが、海島構造が好ましい。アクリル系樹脂を海状態とし、この海にエポキシ系樹脂が島状態をなしていることが好ましい。エポキシ系樹脂は複数種からなるが相溶状態であると推測される。この好ましい構造によって、アクリル系樹脂の海状態が初期粘着性を発現し、島状態のポキシ系樹脂が加圧加熱によって、被着体と接触し、接着すると推測される。さらに分散状態は、海と島どうしが接触しないある程度の距離(数μm)を保つことで、界面破壊を避けることが出来、接着強度も高く維持できるので好ましい。
(配合比)粘接着剤13は、アクリル系樹脂、硬いエポキシ系樹脂、柔かいエポキシ系樹脂とからなり、その配合比は、アクリル系樹脂:硬いエポキシ系樹脂:柔かいエポキシ系樹脂:硬化剤=100:75〜175:10〜100:2〜20程度、好ましくは、アクリル系樹脂:硬いエポキシ系樹脂:柔かいエポキシ系樹脂=100:100〜150:25〜75:5〜10である。なお、硬いエポキシ系樹脂を複数用いる場合にはその合計とする。アクリル酸エステル共重合体に対して、硬いエポキシ樹脂及び柔かいエポキシ系樹脂がこの範囲未満であると、粘着力が強すぎて、貼り替えが必要な場合に不良が起こったり、作業性の低下したりし、被着体との接着力が低下する。この範囲以上では、被着体との接着力は向上するが、粘着力が低く、仮固定を要して作業性が低下する。また、硬化剤の配合比がこの範囲未満であると、接合後の耐熱性が低く、また接着強度が温度変化で劣化しやすい。この範囲以上では、フラットケーブル被覆材10を被着体と接合するまで保管するが、その期間の保存性が低下し、また、未反応の硬化剤が残留することで、接着力が低下する問題点もある。
(難燃性)粘接着層13は、エポキシ系樹脂を主体とするために、難燃性が備わっているが、さらに、向上させるために、難燃剤成分を加えてもよい。難燃剤成分をとしては、硫酸アミノトリアジン化合物、水和金属化合物及び/又は酸化金属化合物などのノンハロゲン系難燃剤の1又は複数を用いることが好ましい。硫酸アミノトリアジン化合物としては、ノンハロゲン系難燃剤であり、硫酸メラミン・硫酸アセトグアナミン・硫酸グアニルメラミン・硫酸メレム・硫酸メラムなどが適用できる。水和金属化合物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、水酸化カルシウム、水酸化チタン、水酸化亜鉛などが適用できるが、難燃性に優れ、コストの点でも有利な水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好適である。該水和金属化合物は、単独でも、複数種を組み合わせも使用することもできる。酸化金属化合物としては、例えば、酸化アンチモン系化合物、スズ酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、酸化スズ、酸化モリブデン酸、酸化モリブデン、酸化ホウ素、二酸化珪素などが適用できる。
粘接着層13には、本発明の効果に影響のない範囲で、さらに種々の添加剤、例えば、酸化防止剤、金属腐食防止剤、着色剤(顔料、染料)、ブロッキング防止剤、樹脂と難燃剤との間の凝集力を上昇させる各種カップリング剤、架橋剤、架橋助剤、充填剤、帯電防止剤、難燃触媒を適宜添加してもよい。上記の無機系難燃剤の粒子の大きさとしては、一次粒子として、約0.01μないし15μ位である。難燃性の性能からは、難燃剤成分が多いほど良いが、難燃剤が多いと合成樹脂成分が少なくなって、難燃性接着層を形成加工する際に成膜することができず、また、必要な接着性能が得られない。難燃性があり、加工性の良い組成としては、合成樹脂成分が20〜99質量%と難燃剤成分が1〜80質量%が好適である。
(製造方法)まず、粘接着層13を形成するための粘接着剤15組成物を作製し、この粘接着剤15組成物を基材11へ塗布すればよい。塗布後の粘接着層13面の保護に剥離紙を密着させるのが好ましい。撹拌機を用いて、硬いエポキシ系樹脂として複数種を用いる場合は先に混合撹拌し、次に硬化剤を混合撹拌し、溶媒で希釈した後に、柔かいエポキシ系樹脂を混合撹拌し、次いで、アクリル系樹脂を混合撹拌して、粘接着剤15組成物を得た。
(組成物)粘接着剤15組成物を作製する撹拌機は、所望の材料を混合し、必要に応じて混練、分散して調製すればよく、特に限定されるものではない。通常の混練分散機、例えば、二本ロールミル、三本ロールミル、ペブルミル、トロンミル、ツェグバリ(Szegvari)アトライター、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、デスパー、高速ミキサー、リボンブレンダー、コニーダー、インテンシブミキサー、タンブラー、ブレンダー、デスパーザー、ホモジナイザー、および超音波分散機などが適用できる。
(コーティング法)コーティング法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ロールコート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、コンマコート、ロッドコ−ト、ブレードコート、バーコート、ワイヤーバーコート、ダイコート、リップコート、ディップコートなどが適用できる。
この組成物を、基材11面へ、上記のコーティング法で塗布して、乾燥した後に、必要に応じて離型紙を貼り合わせれば、フラットケーブル被覆材10が得られる。組成物(塗布液)の粘度は、1〜20000センチストークス(25℃)程度、好ましくは1〜200センチストークスに調整する。15へ含浸塗布する場合には、粘度が低い方が好ましく、1〜100センチストークスである。
(フラットケーブル)フラットケーブル1は、図2に示すように、複数の導体21を同一平面内で配列した導体列を、フラットケーブル被覆材10にて両面より被覆する。図3は図2のAA断面図であり、導体21列は両面より被覆してなるフラットケーブル被覆材10の粘接着層13によって、埋め込まれるような状態で熱硬化されており、導体21列は強固に接着されている。
(導線との接着方法)従来の導線との接着方法は、2枚のフラットケーブル用被覆材の接着層の面を対向させて重ね合わせ、その層間に、複数の金属等の導体21を同一平面内で配列した導体列を介在させた状態で、フラットケーブル用被覆材及び導体21を加熱加圧してヒートシールすることにより、ヒートシール性の接着層と導体21とを密接着させ、更に、対向した接着層自身も相互に接着させる製造方法で行う。このようにして、2枚の対向したフラットケ−ブル被覆材と導体21とが密接着して、導体21が接着層へ埋め込まれて一体化したフラットケーブルを製造される。
(従来の製造方法)上記の従来の製造方法では、導線21を埋め込む接着層の接着剤にはポリエステル系の樹脂などが一般的に使用されており、導線を配置する際にはフラットケーブル被覆材と貼りあわせる工程において、従来の接着層の接着剤には初期の粘着力がないため、導線が剥離し易く、同一走行中の工程内で、フラットケーブル用被覆材及び導体21を加熱加圧してヒートシールせねばならない。このヒートシール工程はフラットケーブル用被覆材及び導体21を加熱加圧して、これらの材料の温度上昇エネルギー、接着層の溶融エネルギーと多大の熱エネルギーを必要として、ヒートシール工程は著しく遅い速度が余儀なくされている。このために、フラットケーブルの製造工程での作業効率性が低下する。また、耐熱性に難があり、高温での接着力不足という課題も付きまとってきていた。
(本願発明の製造方法)これに対して、本願発明では初期粘着性をもつ熱硬化型の粘接着層13を持ったフラットケーブル被覆材10を用いて、従来は同一工程であった貼合せと接着の工程は別の工程とする。まず、(1)本願発明の2枚のフラットケーブル被覆材10を用いて、それぞれの粘接着層13の面を対向させて重ね合わせ、更に、その層間に、複数の金属等の導体21を同一平面内で配列した導体列を介在させて重ねて、それぞれの粘接着層13の粘着力で、導体21を保持した状態で、貼合せて貼合せ工程を行う。
なお、粘接着層13面へ剥離紙を積層した基材11/粘接着層13/剥離紙の構成とした場合には、予め、又は工程の最初の段階で剥離紙を剥離し除去すればよい。次に、(2)フラットケ−ブル用被覆材10/導体21列/フラットケ−ブル用被覆材10を加熱して、粘接着層13を熱硬化させることで、2枚の対向したフラットケ−ブル用被覆材10の粘接着層13と導体21列、及び粘接着層13同士も相互に接着して、導体21が粘接着層13へ埋め込まれて一体化したフラットケ−ブル1となる。
粘接着層11を硬化させる接着工程は、加熱、又は加圧加熱させることで行い、加熱温度は、100〜300℃程度、好ましくは150〜250℃である。加熱時間は1〜240分間、好ましくは10〜60分間である。接着工程は巻取状でも、切断して枚葉状で行ってもよい。
従来は、接着層の接着剤には初期の粘着力がないため、一旦貼り合わせのもを行うことができず、同一走行中の工程内で、著しく遅い速度のヒートシール工程に合わせた速度でしか、貼合わせ工程も行うので、作業効率性が著しく低下していた。しかしながら、本願発明のフラットケーブル被覆材10の粘接着層13は、初期粘着性を有しているので、フラットケーブルの製造にあたっては、初期粘着力で導線を保持した後に、加熱し熱硬化させることできる。貼合せと接着の工程は別の工程となるが、(1)貼合せ工程では貼り合わせのみであるから製造速度を著しく速くでき、かつ、(2)接着の工程もバッチ式でも大量に一括で加熱処理できるので、結果的に低コストとすることができる。また、粘接着層13と導線は熱硬化反応で接着させることで、エポキシ系樹脂に起因する強固な接着強度が得られ、導線との接着力も強力であり、その接着強度は温度変化でも劣化しにくく、また、アクリル系樹脂に起因するために脆質性が低く、優れた剪断強度と高い耐衝撃性、耐熱性を有するので、高温や摺動の厳しい環境下でも、導体との密着性に優れ、かつ、十分な柔軟性と耐熱性をあわせ持たせることができる。
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。なお、溶媒を除き、各層の各組成物は固形分換算の質量部である。
また、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(主鎖1〜3)をEPX−1、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(主鎖2〜10)をEPX−2、NBR変性エポキシ樹脂をEPX−3と呼称する。
(実施例1)下記原料を攪拌機により混合し、粘接着剤15組成物を作製した。
・アクリル酸エステル共重合体 100部
・EPX−1 50部
・EPX−2 100部
・EPX−3 50部
・ジシアンジアミド 7部
次に、基材11として厚さ23μmのポリエチレンテレフタレート(東洋紡績社製、E−5107)を用いて、蒸気の粘接着剤15組成物を、乾燥後の重量が50g/m2になるように、コンマコーターにて、塗布し乾燥して粘接着層13を形成した後に、該粘接着層13面へ軽剥離のセパフィルム(SPーPET 01BU 東セロ製)を貼り合わせて実施例1のフラットケーブル被覆材10とした。
次いで、幅25mmにスリットした2枚の実施例1のフラットケーブル被覆材10を用いて、それぞれの剥離紙を剥離し除去した後の、粘接着層13の層間にスズメッキ軟銅導体(厚さ50μm、幅0.8mm)を17本平行に並べ、2枚のフラットケーブル被覆材10の粘接着層13が向かい合うようにして、金属ロールとゴムロールとの間を30m/minのスピードで通過させて加圧して粘着力のみで導線を保持させて、長さ250mm毎に切断して、硬化前のフラットケーブルを得た。
この硬化前のフラットケーブルを6400枚まとめて、熱オーブンにて、180℃1時間、加熱硬化させて、フラットケーブル1を得た。
従来の製造速度は、150℃に加熱した金属ロールとゴムロールとの間を3m/minのスピードで通過させて加熱加圧するので、毎時640枚程度であるが、本願発明によれば、10倍の効率である。貼り合わせ工程を別工程で行ったとしても、十分に良好な効率であった。
(比較例1)粘接着剤15組成物として、ガラス転移点−30℃のポリエステル樹脂:ガラス転移点5℃のポリエステル樹脂:ガラス転移点80℃のポリエステル樹脂=24:5:1(質量比)の混合ポリエステル樹脂を、トルエンとメチルエチルケトンの1対1の混合溶剤で希釈し、難燃剤として硫酸メラム:酸化スズ:び水酸化アルミニウム=1:10:20を混合し、固形分50質量%の組成物を用いる以外は実施例1にして、比較例1のフラットケーブル被覆材10とした。
次いで、その層間にスズメッキ軟銅導体(厚さ50μm、幅0.8mm)を17本平行に並べ、2枚のフラットケーブル被覆材10の熱接着層が向かい合うようにして、150℃に加熱した金属ロールとゴムロールとの間を3m/minのスピードで通過させて加熱加圧して、フラットケーブル1を製造した。
比較例1のフラットケーブル被覆材10はエポキシ樹脂の変わりに、従来品のポリエステル系接着剤を使用しているので、この接着剤はホットメルトタイプのため、熱硬化は行わなかった。
(比較例2)粘接着剤15組成物として、アクリル酸エステル共重合体を用いない以外は実施例1にして、比較例2のフラットケーブル被覆材10とした。
(比較例3)粘接着剤15組成物として、EPX−3を用いない以外は実施例1にして、比較例3のフラットケーブル被覆材10とした。
(比較例4)粘接着剤15組成物として、EPX−1を用いない以外は実施例1にして、比較例4のフラットケーブル被覆材10とした。
(評価方法)初期粘接着力、作業性、耐熱性、屈曲性で行った。結果を表1に示す。
(測定方法)
<初期粘着力の測定方法>23℃、50%RH雰囲気下に24時間静置したフラットケーブル被覆材10を、幅25mm、長さ250mmに裁断し、試験サンプルとした。その後、サンプルの剥離紙をはがし、粘接着層が接触するように、洗浄した硝子板の上に置く。その上から、手動式圧着装置(JIS0237)にて、圧着速さ約5mm/sec、1往復させ、貼り付けた。貼り付けた試験片の片方を、テンシロン(オリエンテック製RTC1310A)にて、300mm/minの速さで引き剥がし、そのときの応力を粘着力とした。
<作業性>初期粘着力があり、かつ、製造の走行速度が従来製造方法の2倍以上の場合を、合格とし「○印」で示し、何れかが達しない場合を不合格とし「×印」で示す。
<耐熱性>150℃で24h静置後の剥離強度が10N/10mm幅以上の場合を、合格とし「○印」で示し、これ以下の場合を不合格とし「×印」で示す。
<屈曲性>U字摺動屈曲試験:JIS−C5016に準拠して、温度23℃で、曲げ半径R=8mmで、屈曲速度1500回/分の条件で行い、
モニタ用の導体通電電流が10-6秒以上停止もしくは導体抵抗が初期から10%アップした段階を屈曲寿命として、1000万回以上を合格とし「○印」で示し、これ以下の場合を不合格とし「×印」で示す。結果を表1に示す。
Figure 2011204496
(評価結果)初期粘接着力、作業性、耐熱性、屈曲性のすべてがよいのは、実施例1のフラットケーブル被覆材10であった。
(産業上の利用可能性)本発明は、導体との密着性に優れ、かつ、十分な柔軟性と耐熱性をあわせもつ電気機器、電子機器、その他等に使用されるフラットケーブルに利用することができる。
1:フラットケーブル
10:フラットケーブル被覆材
11:基材
13:粘接着層
15:粘接着剤
21:導線

Claims (4)

  1. 基材と、該基材の一方の面に少なくとも粘接着層を積層したフラットケーブル被覆材において、前記粘接着層を構成する粘接着剤がアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、及び硬化剤を含むことを特徴とするフラットケーブル被覆材。
  2. 上記粘接着層が、アクリル系樹脂とエポキシ系樹脂とが海島構造であることを特徴とする請求項1に記載のフラットケーブル被覆材。
  3. 上記アクリル系樹脂がEA−BA−ANをもつモノマーをラジカル重合してなるアクリル酸エステル共重合体で、上記エポキシ系樹脂がNBR(ニトリルブタジエンゴム)変性エポキシ樹脂と、bis−A型エポキシ樹脂からなり、上記硬化剤がジシアンジアミド系の化合物であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のフラットケーブル被覆材。
  4. 複数の導体を同一平面内で配列した導体列を、フラットケーブル被覆材にて両面より被覆してなるフラットケーブルにおいて、少なくとも片面の前記フラットケーブル被覆材が、基材と、該基材の一方の面に少なくとも粘接着層を積層したフラットケーブル被覆材からなり、前記粘接着層を構成する粘接着剤がアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、及び硬化剤を含み、かつ、前記粘接着層が熱硬化されてなることを特徴とするフラットケーブル。
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