JP2017136081A - キメラサイトメガロウイルスプロモーター配列およびエンハンサー配列を含む発現ベクター - Google Patents
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Abstract
【課題】1つには、適切な発現構築物および対応する哺乳動物宿主細胞の提供。
【解決手段】哺乳動物細胞における対象の核酸配列の異種発現のための発現ベクターであって、前記ベクターが、発現させる第1の核酸配列に作動可能に連結された第1のキメラプロモーター調節配列を含み、前記キメラプロモーター調節配列が、マウスサイトメガロウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、およびサルサイトメガロウイルスから少なくとも2つに由来する配列エレメントを含む、発現ベクター。
【選択図】図3
【解決手段】哺乳動物細胞における対象の核酸配列の異種発現のための発現ベクターであって、前記ベクターが、発現させる第1の核酸配列に作動可能に連結された第1のキメラプロモーター調節配列を含み、前記キメラプロモーター調節配列が、マウスサイトメガロウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、およびサルサイトメガロウイルスから少なくとも2つに由来する配列エレメントを含む、発現ベクター。
【選択図】図3
Description
本発明は、哺乳動物発現系に関し、特に、対象の核酸配列を哺乳動物細胞において異種発現させるためのキメラプロモーター調節配列を含む発現構築物に関する。キメラプロモーター調節配列は、配列エレメントが、少なくとも2つの異なるサイトメガロウイルス種に由来するという条件で、マウスまたはヒトサイトメガロウイルスに由来するプロモーター配列、ならびにヒトおよび/またはサルサイトメガロウイルスに由来する上流領域および/またはエンハンサー配列から構成される。
抗体分子、ワクチン、ホルモン、および成長因子など、基礎研究、診断法、および治療における適用のための組換え(ポリ)ペプチドおよびタンパク質は、原核細胞および真核細胞の両方を含む、多種多様な遺伝子操作された生物を使用して作製する。しかし、組換えペプチドまたはタンパク質の大半は、原核宿主細胞を使用する場合、模倣することも再生することもできない翻訳後修飾を含む。この理由で、哺乳動物遺伝子発現系が好ましい選択を表すことが分かっている。
組換えタンパク質の作製には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に基づく哺乳動物発現系が、広く使用されている。リンパ細胞系統を別にすれば、CHO細胞は、簡単で効率的な動物細胞の高密度の懸濁回分培養を可能とする少数の細胞型のうちの1つを表す。さらに、CHO細胞の使用が高い産物収量を結果としてもたらすのに対し、リンパ細胞は、産業スケールで培養するのがより困難である。ポリペプチドおよびタンパク質を組換えにより作製するための多額の費用を視野に入れると、バイオリアクターの稼働1回当たりの組換えタンパク質の収量を最大化することもまた最も重要である。産物収量に対して無視できない影響を及ぼすプロセスパラメータは、とりわけ、細胞の培養条件、発現させる核酸(遺伝子)のコピー数、これらの遺伝子が転写され、対応するmRNAが翻訳される効率、mRNAの安定性などを含む。
したがって、遺伝子発現を制御する調節性遺伝子エレメントの強度または転写活性の改善が、作製される組換えタンパク質の収量を増進するために、特に肝要な因子を構成する。単一細胞のレベルにおける転写活性の小さな増分の増大であってもなお、最終的には、高密度の産業スケールの回分培養における産物収量の無視できない改善へと転換される。
哺乳動物遺伝子発現系の大半は、発現させる異種核酸配列をコードする発現ベクターを、ウイルスに由来するプロモーター調節配列の制御下で採用する。これらの発現カセット内で最もしばしば使用されるウイルス性調節エレメントのうちの2つは、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)即初期遺伝子1および2(IE1およびIE2)の調節エレメントである。しかし、hCMV IE1およびhCMV IE2の調節エレメントの使用と関連する欠点は、それらの顕著な種特異性である。
米国特許第5,866,359号は、弱いプロモーターの制御下で、アデノウイルスEIAタンパク質を共発現させることにより、このようなhCMVプロモーターによる遺伝子発現を、改善しうることについて開示している。EIAとは、細胞周期の調節に対して作用することが可能であり、独立の転写活性化機能ドメインおよび転写抑制機能ドメインの両方を有する、多機能的転写因子である。EIAの発現の微妙な調整は、遺伝子のトランス活性化と、細胞周期の進行に対する任意の負の影響との間の理想的な均衡を達成するのに極めて重要である。しかし、EIAが過剰発現すると、対象の組換えタンパク質を合成する細胞の能力が低減されうる。
米国特許第5,591,639号は、発現させる異種核酸配列の上流(5'側)、エンハンサー、プロモーター、およびイントロンA(すなわち、天然の第1イントロン)を含むヒトサイトメガロウイルス主要即初期遺伝子(hCMV-MIE)の完全な5'側非翻訳領域を含むベクターについて記載している。しかし、この配列(約2100bpの全長)の最初の400bp(5'端)が存在した場合、COS7細胞およびCHO細胞のいずれにおいて観察される遺伝子発現速度も小さかった(Chapman, B.S.ら(1991)、Nucl. Acids Res.、19、3979〜3986)。
マウスサイトメガロウイルス(mCMV)の即初期遺伝子の調節エレメントの転写活性は、hCMVの対応物の転写活性より大きく、ヒト配列について観察される顕著な種優先性を呈示することもない(Addison, C.L.ら(1987)、J. Gen. Virol.、78、1653〜1661)。
しかし、hCMV対応物の場合と同様に、mCMV IEプロモーターの下流(3'側)にマウス主要即初期遺伝子の天然の第1イントロンを挿入することにより、mCMV IEプロモーター調節エレメントの活性を増強しようとする試みは失敗した(とりわけ、欧州特許第1525320B1号を参照されたい)。しかし、mCMV IE1の調節エレメントおよびヒト主要即初期遺伝子の天然の第1イントロンから構成されるキメラカセットを含む発現ベクターを生成したところ、完全ヒト配列の使用と同等な産物収量が結果としてもたらされた(例えば、WO2006/111387A2を参照されたい)。また、mCMV IE2の調節配列を含む発現ベクターについても、同様の遺伝子発現速度が得られた(とりわけ、欧州特許第1601776B1号を参照されたい)。
したがって、作製される組換えポリペプチドまたはタンパク質の高収量を結果としてもたらす、哺乳動物遺伝子発現系の改善が依然として必要とされている。特に、上述の限界を克服する哺乳動物遺伝子発現系、すなわち、mCMVまたはhCMVのプロモーター配列に基づくが、利用可能な系による発現速度より大きな発現速度(および、したがって、産物収量)を達成する発現系が必要とされている。
Chapman, B.S.ら(1991)、Nucl. Acids Res.、19、3979〜3986
Addison, C.L.ら(1987)、J. Gen. Virol.、78、1653〜1661
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Messerle, M.ら(1991)、J. Virol.、65、1638〜1643
Bao, Y.ら(2004)、J. Virol.、78、7291〜7298
You, C.Y.ら(1992)、Intervirology.、34、94〜104
Klucher, K.M.ら(1993)、Mol. Cell. Biol.、13、1238〜1250
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したがって、このような遺伝子発現系、主に、適切な発現構築物および対応する哺乳動物宿主細胞を提供することが本発明の目的である。
一態様では、本発明は、対象の核酸配列を哺乳動物細胞において異種発現させるための発現ベクターであって、発現させる第1の核酸配列に作動可能に連結された第1のキメラプロモーター調節配列を含み、キメラプロモーター調節配列が、
(i)マウスサイトメガロウイルスまたはヒトサイトメガロウイルスに由来し、発現させる核酸配列の転写開始部位に作動可能に連結されたプロモーター配列と、
(ii)ヒトおよび/またはサルサイトメガロウイルスに由来する上流領域および/またはエンハンサー配列であって、マウスまたはヒトプロモーター配列の5'側に配置され、これに作動可能に連結された、上流領域および/またはエンハンサー配列と
を含み、キメラプロモーター調節配列が、マウスサイトメガロウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、およびサルサイトメガロウイルスからなる群のうちの少なくとも2つに由来する配列エレメントを含む、発現ベクターに関する。
(i)マウスサイトメガロウイルスまたはヒトサイトメガロウイルスに由来し、発現させる核酸配列の転写開始部位に作動可能に連結されたプロモーター配列と、
(ii)ヒトおよび/またはサルサイトメガロウイルスに由来する上流領域および/またはエンハンサー配列であって、マウスまたはヒトプロモーター配列の5'側に配置され、これに作動可能に連結された、上流領域および/またはエンハンサー配列と
を含み、キメラプロモーター調節配列が、マウスサイトメガロウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、およびサルサイトメガロウイルスからなる群のうちの少なくとも2つに由来する配列エレメントを含む、発現ベクターに関する。
特定の実施形態では、プロモーター配列は、マウスサイトメガロウイルスIE1プロモーターに由来し、かつ/または上流領域および/もしくはエンハンサー配列は、ヒトおよび/もしくはサルサイトメガロウイルスIE1エンハンサーに由来する。
好ましい実施形態では、マウスサイトメガロウイルスIE1プロモーター配列は、配列番号4のヌクレオチド配列を有する。
他の特定の実施形態では、プロモーター配列は、ヒトサイトメガロウイルスIE1プロモーターに由来し、かつ/または上流領域および/もしくはエンハンサー配列は、ヒトおよび/もしくはサルサイトメガロウイルスIE1エンハンサーに由来する。
好ましい実施形態では、ヒトサイトメガロウイルスIE1プロモーター配列は、配列番号5のヌクレオチド配列を有する。
他の好ましい実施形態では、上流領域および/またはエンハンサー配列は、サルサイトメガロウイルスIE1領域に由来する配列番号6のヌクレオチド配列を含む。
特に好ましい実施形態では、キメラプロモーター調節配列は、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、および配列番号13からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む。
他の特定の実施形態では、発現ベクターは、発現させる第2の核酸配列に作動可能に連結された第2のキメラプロモーター調節配列をさらに含み、第2のキメラプロモーター調節配列は、第1のキメラプロモーター調節配列と同一である。
代替的な特定の実施形態では、発現ベクターは、発現させる第2の核酸配列に作動可能に連結された第2のキメラプロモーター調節配列をさらに含み、第2のキメラプロモーター調節配列は、第1のキメラプロモーター調節配列と異なる。
好ましくは、発現させる第1の核酸配列と、第2の核酸配列とは、異なるポリペプチドをコードする。具体的な実施形態では、異なるポリペプチドは、二量体または多量体タンパク質のサブユニットを表す。特に好ましくは、二量体または多量体タンパク質は、抗体分子である。
別の態様では、本発明は、本明細書の上記で規定した発現ベクターをトランスフェクトした哺乳動物宿主細胞に関する。好ましくは、宿主細胞は、CHO細胞である。
さらに別の態様では、本発明は、対象の核酸配列を哺乳動物宿主細胞において異種発現させるための方法であって、
(i)哺乳動物宿主細胞に、本明細書の上記で規定した発現ベクターをトランスフェクトする工程と、
(ii)トランスフェクトした哺乳動物宿主細胞を、対象の核酸配列の発現を可能とする条件下で培養する工程と
を含む方法に関する。
(i)哺乳動物宿主細胞に、本明細書の上記で規定した発現ベクターをトランスフェクトする工程と、
(ii)トランスフェクトした哺乳動物宿主細胞を、対象の核酸配列の発現を可能とする条件下で培養する工程と
を含む方法に関する。
好ましい実施形態では、トランスフェクションは、安定的トランスフェクションである。
さらなる態様では、本発明は、対象の核酸配列を哺乳動物宿主細胞において異種発現させるための、本明細書の上記で規定した発現ベクターの使用に関する。
本発明の他の実施形態は、本明細書の以下の詳細な記載から明らかとなろう。
本発明は、発現させる核酸配列の転写開始部位に作動可能に連結された、mCMVまたはhCMVのプロモーター配列(特に、mCMV IE1またはhCMV IE1のプロモーター配列)、ならびにmCMVまたはhCMVのプロモーター配列の5'側に配置され、これに作動可能に連結された、hCMVおよび/またはsCMVの上流領域および/またはエンハンサー配列(特に、hCMV IE1および/またはsCMV IE1のエンハンサー配列)から構成されるキメラ(すなわち、ハイブリッド)プロモーター調節配列を含む哺乳動物発現ベクターが、mCMVプロモーター配列だけに基づく既存の発現系と比較して、遺伝子発現速度を著明に改善する結果をもたらし、したがって、また、作製される組換えタンパク質のはるかに大きな収量(最大でほぼ3倍の増大)も結果としてもたらしたことの予測外の知見に基づく。
したがって、本明細書で規定される哺乳動物発現ベクターは、特に、産業スケールで組換えタンパク質を作製するための優れた分子ツールを表す。
以下において例示的に記載される本発明は、本明細書で具体的に開示されない、いかなる1または複数の要素、いかなる1または複数の限定の非存在下においても、適切に実施することができる。
「〜を含む」という用語を、本記載および本特許請求の範囲において使用する場合、それは、他の要素または工程も除外しない。本発明の目的では、「〜からなる」という用語は、「〜を含む」という用語の好ましい具体的形態であると考えられる。本明細書の以下において、群が、少なくとも一定数の具体的形態を含むと定義される場合、これはまた、好ましくはこれらの具体的形態だけからなる群を開示するとも理解される。
単数形の名詞に言及するときに不定冠詞または定冠詞、例えば、「ある(a)」、「ある(an)」、または「その(the)」を使用する場合、別段であることが具体的に言明されない限りにおいて、これはその名詞の複数形を含む。
本発明の文脈で数値を指し示す場合、当業者は、問題の特色の技術的効果が、典型的には、±10%で、好ましくは±5%で与えられる数値の偏差を包含する、ある区間の精度内で確認されることを理解するであろう。
さらに、本記載および本特許請求の範囲における「第1の」、「第2の」、「第3の」、(a)、(b)、(c)などの用語は、類似の要素を識別するために使用するための用語であり、必ずしも、継起的順序または時系列的な順序について記載するための用語ではない。このように使用される用語は、適切な状況下で互換可能であり、本明細書で記載される本発明の実施形態は、本明細書で記載または例示される順序以外の順序で行うことが可能であることを理解されたい。
用語のさらなる定義は、以下で、用語が使用される文脈において示す。以下の用語または定義は、本発明の理解の一助となることだけを目的として提示される。これらの定義は、当業者により理解されるより狭い範囲を有するものとみなされないものとする。
一態様では、本発明は、対象の核酸配列を哺乳動物細胞において異種発現させるための発現ベクターであって、発現させる第1の核酸配列に作動可能に連結された第1のキメラプロモーター調節配列を含み、キメラプロモーター調節配列が、
(i)マウスサイトメガロウイルスまたはヒトサイトメガロウイルスに由来し、発現させる核酸配列の転写開始部位に作動可能に連結されたプロモーター配列と、
(ii)ヒトおよび/またはサルサイトメガロウイルスに由来する上流領域および/またはエンハンサー配列であって、マウスまたはヒトプロモーター配列の5'側に配置され、これに作動可能に連結された、上流領域および/またはエンハンサー配列と
を含み、キメラプロモーター調節配列が、マウスサイトメガロウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、およびサルサイトメガロウイルスからなる群のうちの少なくとも2つに由来する配列エレメントを含む、発現ベクターに関する。
(i)マウスサイトメガロウイルスまたはヒトサイトメガロウイルスに由来し、発現させる核酸配列の転写開始部位に作動可能に連結されたプロモーター配列と、
(ii)ヒトおよび/またはサルサイトメガロウイルスに由来する上流領域および/またはエンハンサー配列であって、マウスまたはヒトプロモーター配列の5'側に配置され、これに作動可能に連結された、上流領域および/またはエンハンサー配列と
を含み、キメラプロモーター調節配列が、マウスサイトメガロウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、およびサルサイトメガロウイルスからなる群のうちの少なくとも2つに由来する配列エレメントを含む、発現ベクターに関する。
言い換えれば、本明細書で規定されるキメラプロモーター調節配列は、マウスサイトメガロウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、およびサルサイトメガロウイルスからなる群のうちの少なくとも2つに由来する配列エレメントを含むという仮定により、特許請求される対象物は、ヒトサイトメガロウイルスだけに由来する、いかなる構築物も含まないことが確認される。
本明細書で使用される「発現ベクター」という用語は、少なくとも1つの「発現カセット」の存在により特徴づけられる核酸ビヒクル(プラスミド)を表す。本明細書で使用される「発現カセット」という用語は、対象の核酸配列(すなわち、「異種」核酸配列)の遺伝子発現を可能としうる遺伝子構築物を指す。これにより、このような発現カセットは、転写調節および/または翻訳調節に関する情報を含有する調節配列エレメントを含み、このような調節配列は、対象の核酸配列に「作動可能に連結されている」ことが要求される。作動可能な連結とは、調節配列エレメントと、発現させる核酸配列とを、遺伝子発現を可能とする様式で接続する連結である。
遺伝子発現を制御および駆動するのに必要な「発現カセット」の調節領域の正確な性質は、種間で変化しうるが、一般に、これらの領域は、プロモーター調節配列[すなわち、対象の核酸配列の5'側(「上流」)に位置する配列領域]および3'側非翻訳調節配列[すなわち、対象の核酸配列の3'側(「下流」)に位置する配列領域]を含む。
本明細書で使用される「プロモーター」という用語(また、「コアプロモーター」とも称する)は、それ自体で転写の開始を方向付ける配列エレメント(例えば、転写因子ならびにDNA依存性RNAポリメラーゼ、TATAボックス、CAAT配列、および5'側キャッピングエレメントに対する結合性部位)を表す。転写の開始を促進するこの機能性が、保持されているかまたは実質的に(例えば、野生型活性、すなわち、全長配列の活性の少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%)保持されている限りにおいて、(自然発生の)野生型プロモーター配列の任意の切断変異体、突然変異体、または他の形で修飾された変異体もまた、上記の定義内にある。本明細書で使用される「コアプロモーター」という用語は、プロモーター活性を保持する最小限の長さの配列を指す。本明細書で使用されるプロモーター配列は、発現させる核酸配列の転写開始部位に作動可能に連結される。
特定の実施形態では、本発明の発現ベクターは、第1の(キメラ)プロモーター調節配列(すなわち、少なくとも1つのこのような配列)を含み(発現カセットの一部として)、これは、マウスサイトメガロウイルス(mCMV)に由来する(コア)プロモーター配列を包含する。このmCMVプロモーター配列は、発現させる第1の核酸配列の転写開始部位に作動可能に連結される。一般に、任意のmCMVプロモーター配列を採用することができる。mCMV IE1およびmCMV IE2(Dorsch-Hasler, K.ら(1985)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA.、82、8325〜8329; Messerle, M.ら(1991)、J. Virol.、65、1638〜1643)など、mCMV即初期(IE)遺伝子のプロモーター配列を採用することが好ましく、mCMV IE1プロモーターが特に好ましい。
当技術分野では、これらのmCMVプロモーターおよびさらなるmCMVプロモーターが周知であり、受託番号U68299.1の下に、NCBI Viral Genomes databaseに寄託されているmCMVゲノム(http://www.ncbi.nlm.nih.qov/qenomes/GenomesHome; Bao, Y.ら(2004)、J. Virol.、78、7291〜7298)から容易に導出することができる。
配列番号3および配列番号4のいずれも、それらのそれぞれの3'端において、転写開始部位を表す、さらなるグアノシン(「G」)ヌクレオチドを含む。
他の特定の実施形態では、本発明の発現ベクターは、第1の(キメラ)プロモーター調節配列(すなわち、少なくとも1つのこのような配列)を含み(発現カセットの一部として)、これは、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)に由来する(コア)プロモーター配列を包含する。このhCMVプロモーター配列は、発現させる第1の核酸配列の転写開始部位に作動可能に連結される。一般に、任意のhCMVプロモーター配列を採用することができる。hCMV IE1およびhCMV IE2(You, C.Y.ら(1992)、Intervirology.、34、94〜104; Klucher, K.M.ら(1993)、Mol. Cell. Biol.、13、1238〜1250)など、hCMV即初期(IE)遺伝子のプロモーター配列を採用することが好ましく、hCMV IE1プロモーターが特に好ましい。
当技術分野では、これらのhCMVプロモーターおよびさらなるhCMVプロモーターが周知であり、受託番号NC_006273の下に、NCBI Viral Genomes databaseに寄託されているhCMVゲノム(http://www.ncbi.nlm.nih.qov/qenomes/GenomesHome;前出)から容易に導出することができる。
配列番号5は、その3'端において、転写開始部位を表す、さらなるグアノシン(「G」)ヌクレオチドを含む。
さらに、発現カセットのプロモーター調節配列は通常、「エンハンサー」配列を含む。本明細書で使用される「エンハンサー」という用語は、発現させる核酸配列に照らしたその位置および配向性に関わらず、核酸配列の転写を増進するか、これを改善するか、またはこれを向上させる配列エレメントを表す。エンハンサーは、単一のプロモーターによる転写を増強する場合もあり、複数のプロモーターによる転写を同時に増強する場合もある。転写を改善するこの機能性が、保持されているかまたは実質的に(例えば、野生型活性、すなわち、全長配列の活性の少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%)保持されている限りにおいて、(自然発生の)野生型エンハンサー配列の任意の切断変異体、突然変異体、または他の形で修飾された変異体もまた、上記の定義内にある。
本発明の発現ベクターは、それらのそれぞれの第1の(キメラ)プロモーター調節配列において、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)および/またはサルサイトメガロウイルス(sCMV)に由来する上流領域(配列)および/またはエンハンサー配列を含む(発現カセットの一部として)。言い換えれば、プロモーター調節配列は、hCMVだけに由来する上流領域および/またはエンハンサー配列を含む場合もあり、sCMVだけに由来する上流領域および/またはエンハンサー配列を含む場合もあり、hCMVおよびsCMVに由来する配列から構成されるキメラ上流領域および/またはエンハンサー配列を含む場合もある。プロモーター調節配列内で、上流領域および/またはエンハンサー配列は、mCMVまたはhCMVの(コア)プロモーター配列の5'側(すなわち、「上流」)に位置し、マウスまたはヒトのプロモーター配列に作動可能に連結されている。典型的に、エンハンサー配列は、プロモーター配列と同じ配向性で配置される。しかし、具体的な実施形態では、上流領域および/またはエンハンサー配列は、プロモーター配列に照らして、逆の配向性で配置される。
一般に、任意のhCMV配列および/またはsCMV配列を、上流領域および/またはエンハンサー配列として採用することができる。hCMV IE1、hCMV IE2、sCMV IE1、およびsCMV IE2(Meier, J.LおよびStinski, M.F. (1996)、Intervirology.、39、331〜342; Kim, G.Y.ら(2011)、Biotechnol. Lett.、33、1319〜1326)など、hCMV即初期(IE)遺伝子および/またはsCMV IE遺伝子の配列を採用することが好ましく、hCMV IE1および/またはsCMV IE1のエンハンサー配列が特に好ましい。
よって、本発明の発現ベクターは、mCMVプロモーター配列またはhCMVプロモーター配列を、hCMVおよび/またはsCMVの上流領域および/またはエンハンサー配列と組み合わせて含むことにおいてキメラである、第1のプロモーター調節配列を含む。特定の実施形態では、プロモーター配列は、mCMV IE1のプロモーターに由来し、かつ/または上流領域および/もしくはエンハンサー配列は、hCMV IE1および/もしくはsCMV IE1のエンハンサーに由来する。他の特定の実施形態では、プロモーター配列は、mCMV IE1のプロモーターに由来し、かつ/または上流領域および/もしくはエンハンサー配列は、hCMV IE2および/もしくはsCMV IE2のエンハンサーに由来する。さらに他の特定の実施形態では、プロモーター配列は、hCMV IE1のプロモーターに由来し、かつ/または上流領域および/もしくはエンハンサー配列は、hCMV IE1および/もしくはsCMV IE1のエンハンサーに由来する。さらに他の特定の実施形態では、プロモーター配列は、hCMV IE2のプロモーターに由来し、かつ/または上流領域および/もしくはエンハンサー配列は、hCMV IE2および/もしくはsCMV IE2のエンハンサーに由来する。
当技術分野では、hCMVおよび/またはsCMVのこれらの配列およびさらなる配列が周知であり、それぞれ、受託番号X17403.1およびU38308.1の下に、NCBI Viral Genomes databaseに寄託されている、hCMVゲノムおよびsCMVゲノムから容易に導出することができる。
これらの好ましい実施形態のうちのいくつかでは、配列番号6の核酸配列は、sCMV IE1領域に由来するより長い配列エレメント(例えば、配列番号11を参照されたい)のうちの不可欠の部分である。これらの好ましい実施形態のうちの他のいくつかでは、sCMV IE1領域に由来する配列エレメントは、hCMV IE1領域に由来するさらなる配列エレメント(例えば、配列番号10を参照されたい)と組み合わされて存在する、配列番号6の配列を有する。
特に好ましい実施形態では、キメラプロモーター調節配列は、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、および配列番号13からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む。
配列番号7によるキメラプロモーター調節配列(本明細書ではまた、「構築物1」とも称する)の全長は、1074bpであり、582bpのhCMV IE1上流配列およびmCMV IE1エンハンサー配列(斜字体で示す)、ならびに492bpのmCMV IE1プロモーター配列(また、配列番号3としても示す)から構成される。
配列番号8によるキメラプロモーター調節配列(本明細書ではまた、「構築物2」とも称する)の全長は、1128bpであり、hCMV IE1上流配列およびhCMV IE1エンハンサー配列(斜字体で示す)を含む1026bpの配列、ならびに102bpのmCMV IE1「コア」プロモーター配列(また、配列番号4としても示す)から構成される。
配列番号9によるキメラプロモーター調節配列(本明細書ではまた、「構築物3」とも称する)の全長は、509bpであり、407bpのhCMV IE1エンハンサー配列(斜字体で示す)および102bpのmCMV IE1「コア」プロモーター配列(また、配列番号4としても示す)から構成される。
配列番号10によるキメラプロモーター調節配列(本明細書ではまた、「構築物4」とも称する)の全長は、961bpであり、452bpのsCMV IE1上流配列(ボールド体で示す;配列番号6)、407bpのhCMV IE1エンハンサー配列(斜字体で示す)、および102bpのmCMV IE1「コア」プロモーター配列(また、配列番号4としても示す)から構成される。
配列番号11によるキメラプロモーター調節配列(本明細書ではまた、「構築物5」とも称する)の全長は、909bpであり、sCMV IE1上流領域およびsCMV IE1エンハンサー配列(ボールド体で示す;配列番号6に下線を付す)、ならびに102bpのmCMV IE1「コア」プロモーター配列(配列番号4として示す)のエレメントを含む807bpの配列から構成される。
配列番号12によるキメラプロモーター調節配列(本明細書ではまた、「構築物6」とも称する)の全長は、976bpであり、452bpのsCMV IE1上流領域(ボールド体で示す)、407bpのhCMV IE1エンハンサー配列(斜字体で示す)、および117bpのhCMV「コア」プロモーター配列(配列番号5として示す)から構成される。
配列番号13によるキメラプロモーター調節配列(本明細書ではまた、「構築物7」とも称する)の全長は、924bpであり、807bpのsCMV IE1上流領域およびsCMV IE1エンハンサー配列(ボールド体で示す;「構築物4」にもまた含まれる部分に下線を付す)、ならびに117bpのhCMV「コア」プロモーター(配列番号5として示す)から構成される。
具体的な実施形態では、キメラプロモーター調節配列は、hCMV IE2および/またはsCMV IE2の上流領域および/またはエンハンサー配列、ならびにmCMV IE2のプロモーター配列から構成される。他の具体的な実施形態では、キメラプロモーター調節配列は、hCMV IE2および/またはsCMV IE2の上流領域および/またはエンハンサー配列、ならびにhCMV IE2のプロモーター配列から構成される。さらに他の具体的な実施形態では、キメラプロモーター調節配列は、hCMV IE1および/またはsCMV IE1の上流領域および/またはエンハンサー配列、ならびにmCMV IE2のプロモーター配列から構成される。さらに他の具体的な実施形態では、キメラプロモーター調節配列は、hCMV IE1および/またはsCMV IE1の上流領域および/またはエンハンサー配列、ならびにhCMV IE2のプロモーター配列から構成される。さらに他の具体的な実施形態では、キメラプロモーター調節配列は、hCMV IE2および/またはsCMV IE2の上流領域および/またはエンハンサー配列、ならびにmCMV IE1のプロモーター配列から構成される。さらに他の具体的な実施形態では、キメラプロモーター調節配列は、hCMV IE2および/またはsCMV IE2の上流領域および/またはエンハンサー配列、ならびにhCMV IE1のプロモーター配列から構成される。
本明細書で規定される「発現カセット」の3'側調節配列は典型的に、転写の終結、ポリアデニル化などに関与する調節エレメントを包含する。しかし、これらの終結配列が、特定の宿主細胞内で十分に機能的でない場合は、その細胞内で機能的なシグナルで置換することができる。
このような「発現カセット」内に含まれるさらなる調節エレメントは、とりわけ、内部リボソーム導入部位(IRES;「ポリシストロン性」の核酸配列の発現を可能とする)のほか、天然のポリペプチドを宿主細胞の特異的な区画へとターゲティングするための、翻訳されたシグナル配列を含む。CHO細胞に適する例示的なシグナル配列は、例えば、WO2008/148519A2において開示されている。当業者はまた、これらの全ての調節エレメント、および特定の細胞環境内で核酸配列を発現させるのに適するこのようなエレメントをいかにして選択するのかについても十分に承知している。
本発明の発現ベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ファージミド、人工染色体、または遺伝子操作において一般に使用される別のビヒクルでありうる。
このような発現ベクターは典型的に、上記で記載した調節配列を包含する1または複数の「発現カセット」のほか、核酸配列の挿入および/または除去を容易とするための、1または複数の多重クローニング部位を含む。多重クローニング部位は、上記で記載した発現カセットの上流および下流に配置することができ、これにより、カセット全体の置きかえが可能となる。多重クローニング部位はまた、このような発現カセット内の、プロモーター調節配列の下流および3'側調節配列の上流に配置することもでき、これにより、発現させる核酸配列の挿入または置きかえが可能となる。安定的トランスフェクション(下記を参照されたい)のために、発現ベクターは、宿主細胞のゲノム内の組換えおよび安定的組込みを容易とするために、部位特異的インテグラーゼまたは部位特異的レコンビナーゼの認識配列をさらに含みうる。
加えて、本明細書で規定される発現ベクターは典型的に、少なくとも1つの複製起点のほか、宿主細胞と適合性の種に由来する制御配列であって、発現ベクターの自己複製/エピソームでの維持を確保するために採用される制御配列(特に、一過性トランスフェクションにおける使用のための;下記を参照されたい)も含む。哺乳動物における例示的な複製起点は、SV40および/またはEBVの複製起点を含む。複数の複製起点を含む、特異的にデザインされた発現ベクター(すなわち、シャトルベクター)は、細菌細胞と動物細胞との間のシャトル移動など、異なる宿主の間のシャトル移動を可能とする。原核細胞に適する複製起点は、例えば、ColE1およびM13の複製起点を含む。
さらに、本明細書で規定される発現ベクターは、トランスフェクトした細胞に、選択可能な表現型を付与する、1または複数の選択マーカーも含みうる。適切な選択マーカーはとりわけ、ハイグロマイシンBホスファターゼ遺伝子、チミジンキナーゼ遺伝子、オルニチンデカルボキシラーゼ遺伝子、ジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子、およびグルタミンシンターゼ遺伝子を含む。グルタミンシンターゼ(GS)遺伝子(Cockett, D.K.ら(1990)、Bio/Technology.、8、662〜667; Bebbington, C.R.ら(1992)、Bio/Technology、10:169〜175)を採用することが好ましい。
当技術分野では、組換え発現ベクターをデザインおよび/または修飾するのに使用されうる多数の方法が十分に確立されている(例えば、Sambrook, J.およびRussel, D.W.(2001)「Molecular cloning: A laboratory manual」、(3版)、Cold Spring Harbor、NY、Cold Spring Harbor Laboratory Press; Ausubel, F.M.ら(2001)、「Current Protocols in Molecular Biology」、Wiley & Sons、Hoboken、NJ、USAを参照されたい)。また、多数の適切な哺乳動物発現ベクターも市販されており、当業者にも周知であり、当業者はまた、所与の環境において、どのベクターが対象の核酸分子を発現させるのに適するのかを決定することもできる。このようなベクターの例は、とりわけ、pcDNA3、pFRT、pTARGET、pSV2-dhfrのほか、本明細書の下記で記載されるベクターpRY42(配列番号1)およびpRY57(配列番号2)の誘導体も含む。
本発明の発現ベクターを採用することにより発現させる核酸配列は、モノシストロン性(すなわち、融合タンパク質を含む単一のポリペプチドまたはタンパク質をコードする)の場合もあり、ポリシストロン性(すなわち、2つ以上の個別のポリペプチドまたはタンパク質をコードする)の場合もある。
特定の実施形態では、発現ベクターは、発現させる(第1の)核酸配列に作動可能に連結された、単一の(すなわち、第1の)キメラプロモーター調節配列を含む。
他の特定の実施形態では、発現ベクターは、発現させる第2の核酸配列に作動可能に連結された第2のキメラプロモーター調節配列をさらに含み、第2のキメラプロモーター調節配列は、第1のキメラプロモーター調節配列と同一である。例えば、第1のキメラプロモーター調節配列および第2のキメラプロモーター調節配列は、mCMV IE1またはhCMV IE1のプロモーター配列と組み合わせた、hCMV IE1/sCMV IE1の上流領域および/またはエンハンサー配列から構成される。
代替的な特定の実施形態では、発現ベクターは、発現させる第2の核酸配列に作動可能に連結された第2のキメラプロモーター調節配列をさらに含み、第2のキメラプロモーター調節配列は、第1のキメラプロモーター調節配列と異なる。例えば、第1のキメラプロモーター調節配列が、hCMV IE2および/またはsCMV IE2の上流領域および/またはエンハンサー配列、ならびにmCMV IE2またはhCMV IE2のプロモーター配列から構成されるのに対して、第2のキメラプロモーター調節配列は、hCMV IE1および/またはsCMV IE1の上流領域および/またはエンハンサー配列、ならびにmCMV IE1またはhCMV IE1のプロモーター配列から構成される。
具体的な実施形態では、発現ベクターは、発現させる第3の核酸配列に作動可能に連結された第3のキメラプロモーター調節配列を含み、第3のキメラプロモーター調節配列は、第1のプロモーター調節配列および/または第2のプロモーター調節配列と同一な場合もあり、第1のキメラプロモーター調節配列および第2のキメラプロモーター調節配列の両方と異なる場合もある。さらなる具体的な実施形態では、発現ベクターは、3つを超えるキメラプロモーター調節配列を含む。
本発明の発現ベクターを採用することにより発現させる核酸配列は、対象の任意のポリペプチドまたはタンパク質、特に、とりわけ、成長因子、サイトカイン(インターフェロン、インターロイキン)、ホルモン、チロシンキナーゼ、受容体(GPCR)、インテグリン、転写因子、血液凝固因子、一本鎖抗体、抗体断片、または抗体様分子(アンチカリン)など、診断的または治療的適用可能性を有するポリペプチドまたはタンパク質をコードしうる。
2つのキメラプロモーター調節配列を含む(発現カセットの一部として)、本明細書で規定される発現ベクターの場合、発現させる第1の核酸配列および第2の核酸配列は、異なるポリペプチド(またはタンパク質)をコードする。具体的な実施形態では、異なるポリペプチドは、とりわけ、ホモマーまたはヘテロマーの受容体分子、ペプチドホルモン、DNA/RNAポリメラーゼ、ヘモグロビン、ワクチンなど、二量体または多量体タンパク質のサブユニットを表す。
特に好ましい実施形態では、二量体または多量体タンパク質は、第1のサブユニットとしての軽鎖および第2のサブユニットとしての重鎖を含む、「古典的」抗体分子である。抗体分子は、全長抗体であれ、その切断変異体(Fab断片、Fab'断片、F(ab')2断片など)であれ、自然発生の場合もあり、遺伝子操作された抗体の場合もある。IgG免疫グロブリン抗体が特に好ましい。具体的な適用に応じて、抗体分子は、キメラ(例えば、マウス/ヒト)抗体分子の場合もあり、ヒト化抗体分子の場合もあり、完全ヒト抗体分子の場合もある。
2つのキメラプロモーター調節配列を含む発現ベクターを採用する他の実施形態では、発現させる第1の核酸配列および第2の核酸配列は、解析される「標的タンパク質」と、例えば、標的タンパク質の細胞内局在化または機能的活性をモニタリングするための、対応するレポータータンパク質(緑色蛍光タンパク質、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、および西洋ワサビペルオキシダーゼなど)とをコードする。
異なる遺伝子発現速度を呈示する2つ(以上)のキメラプロモーター調節配列を使用する場合、一定のモル比の、対応する対象のタンパク質を作製することが可能でありうる。
別の態様では、本発明は、本明細書の上記で規定した発現ベクターをトランスフェクトした哺乳動物宿主細胞に関する。
適切な宿主細胞は、任意の種類の哺乳動物細胞を含み、細胞は、ヒト由来の場合もあり、非ヒト由来の場合もある。非ヒト由来の哺乳動物細胞はとりわけ、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ウマ、またはサルに由来する細胞を含む。
適切な哺乳動物宿主細胞は、ヒトHela細胞、MRC5線維芽細胞、983M黒色腫細胞、HEK293細胞、H9細胞、MCF7細胞、およびJurkat細胞; MDCKイヌ腎臓細胞; Sprague-Dawleyラットから単離されたRF培養ラット肺線維芽細胞;マウスNIH3T3細胞、マウスC127細胞、マウスP815肥満細胞腫細胞、マウスMT1 A2乳腺がん細胞、およびマウスL細胞;サルCOS1細胞およびサルCOS7細胞、ウズラQC1-3細胞;ならびにチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはCHO細胞系統などの不死化細胞系統を含む。
好ましい実施形態では、採用される宿主細胞は、CHO細胞またはCHO細胞系統である。
適切なCHO細胞系統はとりわけ、CHO K1細胞系(Tjio, J.T.およびPuck, T.T. (1958)、J. Exp. Med.、108、945〜955)、CHO pro3、CHO DG44、CHO P12、dhfr陰性DUK-B11 (Urlaub, G.およびChasin L.A. (1980)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA.、77、4216〜4220)を含み、特に、CHOK1 SV (Lonza Ltd.社、Basel、Switzerland)を含む。CHOK1 SVとは、グルタミンシンテターゼ(GS)遺伝子発現系を利用する、懸濁タンパク質非含有適応CHOK1派生物である:陽性のトランスフェクタントは、メチオニンスルホキシミンおよびグルタミン非含有培地による二重選択下で得た。
これらの全ての宿主細胞または細胞系統は、American Type Culture Collection (Manassas、VA、USA)またはDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen (Braunschweig、Germany)などの寄託機関のほか、多様な販売元からも得ることができる。また、初代哺乳動物細胞、すなわち、生物(とりわけ、芽細胞、胚、幼生期、および成体を含む、任意の発生段階における生物)から直接得られる細胞も本発明の範囲内にある。適切な初代細胞の例は、心筋細胞、初代肝細胞、線維芽細胞、神経細胞のほか、幹細胞を含む。また、初代細胞に由来する不死化安定細胞系統も本発明の範囲内にある。
いくつかの実施形態では、本発明の宿主細胞は、多細胞生物の一部を構成する。言い換えれば、本発明はまた、本明細書で規定される少なくとも1つの宿主細胞を含む哺乳動物トランスジェニック生物にも関する。
本発明の範囲内で、導入される発現ベクターは、宿主細胞内で、独立の遺伝子単位として(すなわち、エピソーム内で)増殖させ、維持する(本明細書ではまた、「一過性トランスフェクション」とも称する)こともでき、ベクター断片を、宿主細胞のゲノムへと安定的に組み込む(本明細書ではまた、「安定的トランスフェクション」とも称する)こともできる。このような組換えは、非相同組換えにより、ゲノムのランダムな位置で生じる場合もあり、相同組換えにより、または部位特異的インテグラーゼを介して、ゲノムの特異的な位置で生じる場合もある。ベクター断片(発現させる異種核酸配列を含む)は、宿主細胞のゲノム内に単一のコピーとして組み込むことが好ましい。
本明細書で規定される発現ベクターを哺乳動物宿主細胞へと導入するために、採用される特定の細胞型に適切な任意のトランスフェクション技法を採用することができる。当技術分野では、とりわけ、電気穿孔、リン酸カルシウム共沈殿、化学的トランスフェクション(例えば、シクロデキストリン、DEAE-デキストラン、ポリエチレンイミン)、リポフェクション、マグネトフェクション、および「遺伝子銃」(例えば、Sambrook, J.およびRussel, D.W.(2001)、前出; Ausubel, F.M.ら(2001)、前出を参照されたい)を含む多数のトランスフェクション法が十分に確立されている。
さらに別の態様では、本発明は、対象の核酸配列を哺乳動物宿主細胞において異種発現させるための方法であって、
(i)哺乳動物宿主細胞に、本明細書の上記で規定した発現ベクターをトランスフェクトする工程と、
(ii)トランスフェクトした哺乳動物宿主細胞を、対象の核酸配列の発現を可能とする条件下で培養する工程と
を含む方法に関する。
(i)哺乳動物宿主細胞に、本明細書の上記で規定した発現ベクターをトランスフェクトする工程と、
(ii)トランスフェクトした哺乳動物宿主細胞を、対象の核酸配列の発現を可能とする条件下で培養する工程と
を含む方法に関する。
言い換えれば、本発明はまた、対象のポリペプチドまたはタンパク質をコードする、対応する核酸配列を含む、本明細書で規定される発現ベクターをトランスフェクトした哺乳動物宿主細胞内で、前記ポリペプチドまたはタンパク質を組換え(すなわち、異種)作製するための方法も対象とする。トランスフェクションは、単一の発現ベクターを用いて実施することもでき、または共トランスフェクションとして、2つ以上の異なる発現ベクターを用いて実施することもできる。
上記で既に概括した通り、多数の方法が、哺乳動物宿主細胞の一過性トランスフェクションまたは安定的トランスフェクションのために利用可能である。好ましい実施形態では、トランスフェクションは、対象のポリペプチドまたはタンパク質をコードする異種核酸配列を持続的に発現させる細胞または細胞系統を確立するための安定的トランスフェクションである。
いくつかの実施形態では、方法は、作製される組換えポリペプチドまたはタンパク質を採取する工程(および任意選択で精製する工程)をさらに含む。前記ポリペプチドまたはタンパク質の性質に応じて、それらは、細胞培養物上清へと分泌される場合もあり、宿主細胞の膜内に組み込まれる場合もあり、細胞内区画内に保持される場合もある。
典型的に、多細胞哺乳動物宿主細胞を採用する場合、当業者は、対象の核酸配列の発現を可能とする様々な細胞培養条件に戻ることができる。作製されるポリペプチドまたはタンパク質は、とりわけ、塩または有機溶媒による分画沈殿、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルクロマトグラフィー、サイズ除外クロマトグラフィー、HPLC、アフィニティークロマトグラフィー(例えば、Sambrook, J.およびRussel, D.W.(2001)、前出を参照されたい)などの確立された技法により、培養された細胞の培養培地、溶解物、もしくは抽出物、または単離(生物学的)膜から採取する(および、任意選択で、精製する)と簡便である。宿主細胞が多細胞生物の一部である場合、これらの細胞の画分は、本発明のペプチドを単離するための供給源として用いられうる。
当技術分野では、上記で記載した宿主細胞に適切な培養培地および培養条件が周知である(例えば、Fresney, R.I.(2000)、「Culture of Animal cells. A manual」、(4版)、Wiley-Liss、New Yorkを参照されたい)。採用される宿主細胞の特異的な成長要件に応じて、哺乳動物細胞培養を、例えば、RPMI 1640培地中、ハムF12培地中、またはDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)中で実施することができる。代替的に、OptiMEMなど、血清濃度を低減した成長培地も使用することができる。培地には、任意選択で、10%(v/v)のFCS(ウシ胎仔血清)、多様な成長因子、アミノ酸、抗生剤、および他の添加剤を補充することもできる。CHO細胞に特異的に適応させた細胞の培養培地は、例えば、EP0481791B1およびEP1525320B1において記載されている。トランスフェクトした哺乳動物宿主細胞は、5%のCO2、37℃の水飽和雰囲気中でインキュベートすることができる。それぞれの成長培地、キット、および試薬は、多様な供給元から市販されている。
さらなる態様では、本発明は、対象の核酸配列を哺乳動物宿主細胞において異種発現させるための、本明細書の上記で規定した発現ベクターの使用に関する。好ましくは、対象の核酸配列は、診断的または治療的適用に意図されるポリペプチドまたはタンパク質をコードしうる。
好ましい実施形態では、発現ベクターへと挿入された2つ以上の対象の核酸配列を、個別のキメラプロモーター調節配列の制御下で共時的に発現させるために、発現ベクターを使用する。例えば、対象の遺伝子の細胞ターゲティングおよび/または機能性をモニタリングするためのレポーター遺伝子と共に対象の遺伝子を発現させるために、発現ベクターを使用することができる。
特に好ましくは、発現ベクターを、二量体または多量体タンパク質のサブユニット、例えば、抗体分子の軽鎖および重鎖またはワクチンのサブユニットをコードする2つ以上の対象の核酸配列を共時的に発現させるために使用する。異なる遺伝子発現速度を結果としてもたらす、異なるキメラプロモーター調節配列を採用することにより、2つ以上の対象の核酸配列を、特定の(モル)比で発現させるために、本明細書で規定される発現ベクターを使用することができる。
具体的な実施形態では、本明細書で規定される発現ベクターを、遺伝子治療のための医薬(または医薬もしくはキットオブパーツの一部)として使用する。
本発明の具体的な実施形態を例示するためだけのものであり、いかなる形であれ、本発明の範囲を限定するものとしてはみなされないものとする、図面および以下の実施例により、本発明についてさらに記載する。
根本原理:
本特許請求の範囲で指定される7つの異なるキメラプロモーター調節配列を、マウス、ヒト、およびサルサイトメガロウイルス(mCMV、hCMV、およびsCMV)のゲノムに由来する配列に基づき生成した[Table 1(表1)、図3を参照されたい]。これらの構築物を、モノクローナル抗体の軽鎖および重鎖(LCおよびHC)の、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞内の異種遺伝子発現の制御におけるそれらの有効性について解析した。
本特許請求の範囲で指定される7つの異なるキメラプロモーター調節配列を、マウス、ヒト、およびサルサイトメガロウイルス(mCMV、hCMV、およびsCMV)のゲノムに由来する配列に基づき生成した[Table 1(表1)、図3を参照されたい]。これらの構築物を、モノクローナル抗体の軽鎖および重鎖(LCおよびHC)の、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞内の異種遺伝子発現の制御におけるそれらの有効性について解析した。
(実施例1)
ベクターの構築
遺伝子合成を、本明細書で採用される7つの異なるキメラプロモーター調節構築物(すなわち、構築物「1〜7」)を生成するのに使用した。構築物は、その中に含有される元のマウスサイトメガロウイルス(mCMV)プロモーター(配列番号3)を置きかえるために、「空の」ターゲティングベクターpRY42(図1、配列番号1を参照されたい)へとクローニングする準備ができた状態で用意した。親ベクターpRY42は、各々がプロモーター調節配列(元来はmCMVに由来する)の制御下にある、2つの発現カセットを含む。
ベクターの構築
遺伝子合成を、本明細書で採用される7つの異なるキメラプロモーター調節構築物(すなわち、構築物「1〜7」)を生成するのに使用した。構築物は、その中に含有される元のマウスサイトメガロウイルス(mCMV)プロモーター(配列番号3)を置きかえるために、「空の」ターゲティングベクターpRY42(図1、配列番号1を参照されたい)へとクローニングする準備ができた状態で用意した。親ベクターpRY42は、各々がプロモーター調節配列(元来はmCMVに由来する)の制御下にある、2つの発現カセットを含む。
キメラ構築物[Table 1(表1)、図3、配列番号7〜配列番号13を参照されたい]は、プロモーター調節配列を挟む5'端および3'端において、さらなるDNA配列を含み、これにより、核酸断片の交換を容易とするための、エンドヌクレアーゼ制限部位(すなわち、また、pRY42内にも存在する制限部位)の組込みを可能とするように合成した。
キメラ構築物1〜7を含む新規のベクターの各々は、Table 2(表3)で例示されるスキームによる四元ライゲーション反応により構築した。抗体軽鎖の核酸配列を発現させるためのキメラプロモーター調節配列を、鎖間断片および抗体重鎖の核酸配列を発現させるためのキメラプロモーター調節配列が後続する、pRY42の突然変異FRT(フリッパーゼ認識標的)部位(F5-mFRT)の3'側(すなわち、「下流」)に挿入した。
ライゲーション反応は、製造元の指示書に従い、Rapid DNA Ligation Kit(Roche Diagnostics GmbH社、Mannheim、Germany)を使用して実施した。結果として得られるプラスミドベクターを、DH5a大腸菌(E. coli)コンピテント細胞(Invitrogen/Life Technologies GmbH社; Darmstadt、Germany)へと形質転換した。試料を、50μg/mlのアンピシリンを補充したLuria-Bertani(LB)寒天上に播種し、37℃で一晩にわたりインキュベートした。単一のコロニーを、50μg/mlのアンピシリンを加えた、200mlのLB液体培地を含有する500mlの振とうフラスコを接種するのに使用した。フラスコを、振とうインキュベーター内、37℃、200rpmで一晩にわたりインキュベートした。結果として得られる培養物を、製造元の指示書に従い、Nucleobond Maxi Kit(Macherey-Nagel GmbH社、Duren、Germany)を使用してプラスミドDNAを調製するために使用した。作製されたプラスミドは、診断的制限消化により検証した。
後続の工程では、IgG4モノクローナル抗体cB72.3(Whittle, N.ら(1987)、Protein Eng.、1、499〜505)のLCおよびHCを、キメラ構築物1〜7を含む7つのベクターの各々へとクローニングした。抗体鎖をコードする核酸配列は、ベクターpRY57(図2、配列番号2)から、EcoRI/HindIII(LC)制限断片およびBamHI/NruI(HC)制限断片として導出し、同じ制限エンドヌクレアーゼを使用して、各プロモーター構築物のためのベクターへと逐次的にクローニングした。使用される方法は、上記で記載した通りであった。結果として得られるプラスミドベクターはそれぞれ、プロモーター領域の診断的制限消化およびDNAシークェンシングにより検証した。
(実施例2)
トランスフェクションおよび細胞系統の構築
懸濁適応チャイニーズハムスター卵巣細胞系統であるCHOK1 SV(Lonza Ltd.社、Basel、Switzerland)に由来する細胞系統を、全ての実験に使用した。この細胞系統では、宿主細胞の特異的なゲノム遺伝子座に、部位特異的組込み(SSI)系を介して、規定されたコピー数で、核酸の発現構築物を挿入する。
トランスフェクションおよび細胞系統の構築
懸濁適応チャイニーズハムスター卵巣細胞系統であるCHOK1 SV(Lonza Ltd.社、Basel、Switzerland)に由来する細胞系統を、全ての実験に使用した。この細胞系統では、宿主細胞の特異的なゲノム遺伝子座に、部位特異的組込み(SSI)系を介して、規定されたコピー数で、核酸の発現構築物を挿入する。
組込みについての陽性選択は、SSI部位に存在するハイグロマイシンB耐性カセットの機能的回復により達成する。発現構築物の宿主ゲノムへの組込みはまた、プロドラッグのガンシクロビルを、毒性のリン酸化ヌクレオチド類似体へと転換する、チミジンキナーゼ遺伝子のコピーも除去する。したがって、細胞系統の構築時におけるハイグロマイシンBおよびガンシクロビルの添加は、それぞれ、標的のゲノム遺伝子座における組込みに対する陽性選択圧および陰性選択圧をもたらす。
宿主細胞系統は、極低温保存されたバイアルから蘇生させ、継代培養した。全ての細胞培養は、CD-CHO培地(Invitrogen/Life Technologies GmbH社; Darmstadt、Germany)中で実施した。トランスフェクションの48時間前に、細胞を、1ml当たりの細胞0.3×106個の最終濃度で、30mlのCD-CHO培地中に播種した。
トランスフェクション日において、0.4cmのBio-Rad GenePulser Xcellキュベット(300V/900μFの単一パルス、時定数:12〜16ミリ秒)による電気穿孔を使用して、45μgのpOG44プラスミド(Invitrogen/Life Technologies GmbH社; Darmstadt、Germany)および5μgずつの各ターゲティングベクター(それぞれ、キメラ構築物1〜7を含む)を伴う共トランスフェクションを実施する前に、1.2×107個の細胞を、1mlのCD-CHO中にペレット化および再懸濁させた。pOG44プラスミドは、標的遺伝子座に存在するFRT部位における組換えを容易とするのに要求される酵母FLPレコンビナーゼ(フリッパーゼ)のための発現カセットを包含する。全てのトランスフェクション実験は、少なくとも2連で実施した。
各電気穿孔試料は、T75フラスコ(BD Biosciences社、Heidelberg、Germany)内の20mlのCD-CHO培地へと移し、36.5℃の加湿インキュベーター[空気中5%(v/v)のCO2]内、静止モードでインキュベートした。トランスフェクションの48時間後、200μg/mlのハイグロマイシンBを含有する20mlのCD-CHO培地中で、細胞をペレット化(150×gで5分間)および再懸濁させた(陽性選択)。培養物は、静止モードで維持し、72時間後、200μg/mlのハイグロマイシンBを含有する新鮮なCD-CHOで培地交換した。
その後、72時間ごとに、生細胞濃度を決定し、200μg/mlのハイグロマイシンBおよび3μMのガンシクロビルを含有する20mlの新鮮なCD-CHOで培地交換した(陰性選択)。T75フラスコ内の培養物が、1ml当たりの細胞9×106個の全細胞濃度に到達したら、培養物を、200μg/mlのハイグロマイシンBおよび3μMのガンシクロビルを含有する最終容量30mlのCD-CHOへと調整した。次いで、各希釈培養物を、E125振とうフラスコへと移した。
(実施例3)
「プロモーター構築物1〜5」を使用することにより作製されたモノクローナル抗体の濃度を決定するための流加過成長(FOG)懸濁培養
流加過成長(FOG)振とうフラスコ解析は、国際特許公開WO2008/148519A2において記載されている通りに実施した。所与のトランスフェクトした細胞の懸濁培養についての全てのFOG実験は、少なくとも2連で実施した。
「プロモーター構築物1〜5」を使用することにより作製されたモノクローナル抗体の濃度を決定するための流加過成長(FOG)懸濁培養
流加過成長(FOG)振とうフラスコ解析は、国際特許公開WO2008/148519A2において記載されている通りに実施した。所与のトランスフェクトした細胞の懸濁培養についての全てのFOG実験は、少なくとも2連で実施した。
略述すると、トランスフェクトした細胞を、各々が50mlずつのCM42/SPE成長培地(Lonza Ltd.社、Basel、Switzerland)を含有する250mlの振とうフラスコ内に、1ml当たりの細胞2×105個の濃度で播種し、37℃、加湿回転式振とうインキュベーター[空気中5%(v/v)のCO2]内、140rpmでインキュベートした。細胞には、培養の3日目に始めて、アミノ酸と微量元素との混合物からなる養分を与えた。毎日、Cedex Automated Cell Viability Analyzer(Roche Diagnostics GmbH社、Mannheim、Germany)を使用して、生存率および生細胞濃度を決定した。培地中の抗体濃度は、培養の15日目(「過成長した」培養物の採取時)に、プロテインA-HPLCにより決定した。
(実施例4)
プロテインA-HPLCによる、(「プロモーター構築物1〜5」を使用して)作製されたモノクローナル抗体の濃度の決定
異なるキメラ構築物1〜5の制御下で、LC/HC遺伝子発現カセットを保有するそれぞれの細胞系統により産生され、細胞培養培地へと分泌されるcB72.3 IgG4モノクローナル抗体(mAb)の濃度を、プロテインA-高速液体クロマトグラフィー(HPLC:high performance liquid chromatography)により決定した。細胞非含有上清(0.22μmのフィルターユニットを流過させた)を、POROS Protein A Immunodetection Column(Applied Biosystems Inc.社、Foster City、Ca、USA)へとロードし、Agilent 1200 HPLCへと接続した。カラムを洗浄し、溶媒のpHを低下させることにより、結合したmAbを溶出させた。
プロテインA-HPLCによる、(「プロモーター構築物1〜5」を使用して)作製されたモノクローナル抗体の濃度の決定
異なるキメラ構築物1〜5の制御下で、LC/HC遺伝子発現カセットを保有するそれぞれの細胞系統により産生され、細胞培養培地へと分泌されるcB72.3 IgG4モノクローナル抗体(mAb)の濃度を、プロテインA-高速液体クロマトグラフィー(HPLC:high performance liquid chromatography)により決定した。細胞非含有上清(0.22μmのフィルターユニットを流過させた)を、POROS Protein A Immunodetection Column(Applied Biosystems Inc.社、Foster City、Ca、USA)へとロードし、Agilent 1200 HPLCへと接続した。カラムを洗浄し、溶媒のpHを低下させることにより、結合したmAbを溶出させた。
mAbの濃度は、MabSelect SuRe(GE Healthcare GmbH社、Freiburg、Germany)により精製されたcB72.3 IgG4の系列希釈により作成される検量線(検量線の範囲:1025ng/μl〜200ng/μl)と比較することにより決定した。
上記の実験の結果を、それぞれ、Table 3(表4)および図4にまとめる。本明細書で採用されるキメラ構築物の各々について、n=6(3連のトランスフェクションについての2連のFOG解析)とする構築物4およびn=8とするpRY57(元のmCMV)を例外として、n=4とは、2連のトランスフェクションについての2連のFOG解析を表し、実験1および実験2に由来するデータ点を組み合わせた。細胞培養パラメータの計算は、既に記載されている(Porterら(2010)、Biotechnol. Progr.、26、1446〜1454)通りに実施した。
図4からは、培養物採取の日(すなわち、15日目)において、キメラ構築物2〜5のうちの任意の1つの使用が、元のmCMVプロモーター配列(すなわち、ベクターpRY57)の使用による抗体濃度より大きな抗体濃度の産生を結果としてもたらしたことが明らかである。キメラ構築物1の使用もまた、統計学的有意性には到達しないが、mCMVプロモーターによる抗体濃度より大きな(1.31倍の)抗体濃度を結果としてもたらした。
最良の結果は、mCMVプロモーターと比較した約2.88倍高い遺伝子発現を結果としてもたらすキメラ構築物4で得られ、(降順で)キメラ構築物5(約2.54倍)、キメラ構築物2(約1.80倍)、およびキメラ構築物3(約1.45倍)が後続した。
上記のデータは、sCMVおよび/またはhCMVの上流領域および/またはエンハンサーエレメントを、mCMVプロモーターエレメントと組み合わせて含むキメラプロモーター調節配列の使用が、哺乳動物細胞のための高度に効率的な異種遺伝子発現系を得るための優れた遺伝子ツールを表すことを示す。
(実施例5)
「プロモーター構築物6〜7」を使用することにより作製されたモノクローナル抗体の濃度を決定するための回分過成長(BOG) 懸濁培養
回分培養は、30mLのCD-CHOを懸濁モードで含有する換気型E125フラスコ[Kuhner社製4段型インキュベーター、36.5℃、空気中5%(v/v)のCO2および85%の湿度(v/v)]内で実施した。略述すると、トランスフェクトした細胞を、1ml当たりの細胞2×105個の濃度で播種し、培養中の生細胞濃度をモニタリングした。培地試料は、プロテインA HPLCを使用して培地中のcB72.3の濃度を決定するために、培養の7日目に採取した(高い培養物生存率)。所与のトランスフェクトした細胞の懸濁培養についての全てのBOG実験は、少なくとも2連で実施した。
「プロモーター構築物6〜7」を使用することにより作製されたモノクローナル抗体の濃度を決定するための回分過成長(BOG) 懸濁培養
回分培養は、30mLのCD-CHOを懸濁モードで含有する換気型E125フラスコ[Kuhner社製4段型インキュベーター、36.5℃、空気中5%(v/v)のCO2および85%の湿度(v/v)]内で実施した。略述すると、トランスフェクトした細胞を、1ml当たりの細胞2×105個の濃度で播種し、培養中の生細胞濃度をモニタリングした。培地試料は、プロテインA HPLCを使用して培地中のcB72.3の濃度を決定するために、培養の7日目に採取した(高い培養物生存率)。所与のトランスフェクトした細胞の懸濁培養についての全てのBOG実験は、少なくとも2連で実施した。
(実施例6)
プロテインA-HPLCによる、(「プロモーター構築物6〜7」を使用して)作製されたモノクローナル抗体の濃度の決定
異なるキメラ構築物6〜7の制御下で、LC/HC遺伝子発現カセットを保有するそれぞれの細胞系統により産生され、細胞培養培地へと分泌されるcB72.3 IgG4モノクローナル抗体(mAb)の濃度を、プロテインA-高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により決定した。細胞非含有上清(0.22μmのフィルターユニットを流過させた)を、POROS Protein A Immunodetection Column(Applied Biosystems Inc.社、Foster City、Ca、USA)へとロードし、Agilent 1100 HPLCへと接続した。カラムを洗浄し、溶媒のpHを低下させることにより、結合したmAbを溶出させた。
プロテインA-HPLCによる、(「プロモーター構築物6〜7」を使用して)作製されたモノクローナル抗体の濃度の決定
異なるキメラ構築物6〜7の制御下で、LC/HC遺伝子発現カセットを保有するそれぞれの細胞系統により産生され、細胞培養培地へと分泌されるcB72.3 IgG4モノクローナル抗体(mAb)の濃度を、プロテインA-高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により決定した。細胞非含有上清(0.22μmのフィルターユニットを流過させた)を、POROS Protein A Immunodetection Column(Applied Biosystems Inc.社、Foster City、Ca、USA)へとロードし、Agilent 1100 HPLCへと接続した。カラムを洗浄し、溶媒のpHを低下させることにより、結合したmAbを溶出させた。
mAbの濃度は、MabSelect SuRe(GE Healthcare GmbH社、Freiburg、Germany)により精製されたcB72.3 IgG4の系列希釈により作成される検量線(検量線の範囲:1025ng/μl〜64ng/μl)と比較することにより決定した。
上記の実験の結果を、図5にまとめる。mCMVおよび構築物7については、n=6(3連のトランスフェクションについての2連の回分解析)とし、構築物6については、n=4(2連のトランスフェクションについての2連の回分解析)とする。
図5からは、培養の7日目において、キメラ構築物6および7のうちの任意の1つの使用が、元のmCMVプロモーター配列(すなわち、ベクターpRY57)の使用による抗体濃度より大きな抗体濃度の産生を結果としてもたらしたことが明らかである。
最良の結果は、キメラプロモーター構築物6により得られ、mCMVプロモーターと比較した約2.27倍高いmAb産生度を結果としてもたらした。
上記のデータは、sCMVおよび/またはhCMVの上流領域および/またはエンハンサーエレメントを、hCMVコアプロモーターエレメントと組み合わせて含むキメラプロモーター調節配列の使用が、哺乳動物細胞のための高度に効率的な異種遺伝子発現系を得るための優れた遺伝子ツールを表すことを示す。
本明細書で例示的に記載される本発明は、本明細書で具体的に開示されない、いかなる1または複数の要素、いかなる1または複数の限定の非存在下においても、適切に実施することができる。したがって、例えば、「〜を含む」、「〜を含む」、「〜を含有する」などの用語は、外延的に読まれるものであり、限定を伴わないものとする。加えて、本明細書で採用される用語および表現は、記載のための用語として使用されたものであり、限定のための用語として使用されたものではなく、このような用語および表現の使用には、示され、かつ、記載される特色の任意の同等物またはそれらの一部を除外する意図は存在せず、特許請求される本発明の範囲内では、多様な改変が可能なことが認識される。したがって、本発明を、実施形態および任意選択の特色により具体的に開示してきたが、当業者は、その中で具体化される本発明の改変および変更を施すことができ、このような改変および変更も本発明の範囲内にあると考えるべきことを理解されたい。
本明細書では、本発明について、広範かつ一般的に記載してきた。包括的な開示内に収まる、より狭い種および準包括的な群分けの各々もまた、本発明の部分を形成する。これは、任意の対象物を属から除外する但し書きまたは消極的限定を伴う本発明の包括的な記載を含み、除外される内容が本明細書で具体的に列挙されているのかどうかに関わらない。
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。加えて、本発明の特色または態様をマーカッシュ群との関連で記載する場合、当業者は、本発明が、これによりまた、マーカッシュ群の任意の個別のメンバーまたはメンバーの亜群との関連でも記載されることを認識するであろう。
Claims (13)
- 哺乳動物細胞における対象の核酸配列の異種発現のための発現ベクターであって、前記ベクターが、発現させる第1の核酸配列に作動可能に連結された第1のキメラプロモーター調節配列を含み、
前記キメラプロモーター調節配列が、
(i)配列番号4のヌクレオチド配列からなるマウスサイトメガロウイルスIE1プロモーター、または配列番号5からなるヒトサイトメガロウイルスIE1プロモーターから選択され、発現させる前記核酸配列の転写開始部位に作動可能に連結された、プロモーター配列と、
(ii)ヒトおよび/またはサルサイトメガロウイルスIE1領域由来のエンハンサー配列であって、前記マウスプロモーター配列または前記ヒトプロモーター配列の5'側に配置され、前記マウスプロモーター配列または前記ヒトプロモーター配列に作動可能に連結された、エンハンサー配列と
を含み、
前記キメラプロモーター調節配列が、マウスサイトメガロウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、およびサルサイトメガロウイルスからなる群のうちの少なくとも2つに由来する配列エレメントを含む、発現ベクター。 - エンハンサー配列が、サルサイトメガロウイルスIE1領域由来の配列番号6のヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の発現ベクター。
- キメラプロモーター調節配列が、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、および配列番号13からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項1または2に記載の発現ベクター。
- 発現させる第2の核酸配列に作動可能に連結された第2のキメラプロモーター調節配列をさらに含み、第2のキメラプロモーター調節配列が、第1のキメラプロモーター調節配列と同一である、請求項1から3のいずれか一項に記載の発現ベクター。
- 発現させる第2の核酸配列に作動可能に連結された第2のキメラプロモーター調節配列をさらに含み、第2のキメラプロモーター調節配列が、第1のキメラプロモーター調節配列と異なる、請求項1から4のいずれか一項に記載の発現ベクター。
- 発現させる第1の核酸配列と、第2の核酸配列とが、異なるポリペプチドをコードする、請求項4または5に記載の発現ベクター。
- 異なるポリペプチドが、二量体または多量体タンパク質のサブユニットを表す、請求項6に記載の発現ベクター。
- 二量体または多量体タンパク質が、抗体分子である、請求項7に記載の発現ベクター。
- 請求項1から8のいずれか一項に記載の発現ベクターをトランスフェクトした哺乳動物宿主細胞。
- CHO細胞である、請求項9に記載の哺乳動物宿主細胞。
- 対象の核酸配列を哺乳動物宿主細胞において異種発現させるための方法であって、
(i)哺乳動物宿主細胞に、請求項1から8のいずれか一項に記載の発現ベクターをトランスフェクトする工程と、
(ii)トランスフェクトした哺乳動物宿主細胞を、対象の核酸配列の発現を可能とする条件下で培養する工程と
を含む方法。 - トランスフェクションが、安定的トランスフェクションである、請求項11に記載の方法。
- 対象の核酸配列を哺乳動物宿主細胞において異種発現させるための、請求項1から8のいずれか一項に記載の発現ベクターの使用。
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