JP2017135993A - 油脂組成物、かけ油、並びにそれを用いた食品、及び食品の製造方法 - Google Patents

油脂組成物、かけ油、並びにそれを用いた食品、及び食品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】食品用の油脂組成物、特に米菓やスナック菓子等への噴霧、どぶづけ、かけ用途に使用される油脂組成物(かけ油)であって、高い酸化安定性を有し、且つ匂い、色、清澄度に優れた油脂組成物、並びにそれを用いた食品、及び食品の製造方法の提供。【解決手段】食用油脂、レシチン、及びカテキンを含む油脂組成物であって、前記レシチンが、大豆レシチンを含み、前記食用油脂100質量部に対して、前記レシチンの含有量が、0.5〜1.5質量部であり、前記カテキンの含有量が、0.005〜0.015質量部であり、色相(Y+10R)が、65以下である油脂組成物、前記油脂組成物からなるかけ油、前記かけ油の塗布層を有する食品、及び前記かけ油を食品材料の表面に塗布する工程を含む食品の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、食品用の油脂組成物に関し、特に、米菓やスナック菓子等の食品への噴霧、どぶづけ、かけ用途に使用される、酸化安定性に優れた油脂組成物、及びそれを用いた食品に関する。
油脂組成物の酸化安定性は、それを用いる食品の賞味期限の設定に影響する重要な特性である。食品に使用される油脂組成物としては、生食用途、揚げ物用途の油脂組成物の他に、サラダかけせんべい等の米菓やコーン系スナック類、小麦粉系スナック類等のスナック菓子等の食品への噴霧、どぶづけ、かけ用途に使用される油脂組成物(本明細書において、「かけ油」とも称する)がある。かけ油は、上記米菓やスナック菓子等の食品の風味付けや艶出しのために使用されるため、油脂組成物自体に強い着色、濁り、及び臭いがあると食品の製品価値を損なう場合がある。また、かけ油は、食品の表面に薄膜として存在し、陳列棚等で蛍光灯等の光が照射される状況に長時間晒される場合がある。このような条件下では、油脂の酸化により、異味、異臭や変色が生じ易くなるため、かけ油に用いられる油脂組成物には極めて高い酸化安定性が求められている。
従来から、油脂の酸化安定性を向上するため、種々の抗酸化物質の添加が行なわれている。一般に、油脂への添加が容易な親油性の抗酸化物質が用いられる。例えば、特許文献1においては、菜種油を含む食用油の酸化安定性の向上のためにレシチンを悪影響なく用いることを目的として、菜種油およびレシチンを含む食用油であって、前記菜種油が、キャノーラ(Canola)種に属する菜種種子から得られた菜種油であって、該菜種油の全脂肪酸組成が、70重量%〜85重量%のオレイン酸および0.5重量%〜5重量%のリノレン酸を含む、ことを特徴とする菜種油およびレシチンを含む食用油が開発されている。また、より高い抗酸化能を有する水溶性の抗酸化物質を油脂へ分散させて、酸化安定性を向上させた油脂組成物の開発も進められている。例えば、特許文献2においては、従来技術では、水溶性抗酸化物質を油脂に可溶化するために多量の乳化剤の添加が必要であり、風味の劣化が生じること、乳化剤を用いない技術では、煩雑な操作や特殊な装置等が必要であることから、平易な方法で水溶性の抗酸化物質を分散させて、優れた酸化安定性を有し、かつ風味良好な食用油脂を提供することを目的として、油脂全量に水溶性抗酸化物質、好ましくは茶ポリフェノールを5重量ppm〜1000重量ppm含有し、かつ該油脂中の乳化剤含有量が水溶性抗酸化物質含有量の2倍以下である食用油脂が開発されている。
特開2000−279092号公報 国際公開2013/172348号
しかしながら、レシチンを含有する油脂組成物においては、油脂組成物に特有の臭いや着色、保存時の澱が生じる場合があるため、レシチンの添加量に制限がある。また、水溶性抗酸化物質は、油脂に溶解せず、油脂中に分散状態で存在するため、添加量が多いと濁りが生じる場合がある。また、水溶性抗酸化物質を油脂中へ分散し易くするために乳化剤を併用すると、風味が損なわれる場合がある。したがって、特許文献1及び2のような技術を用いても、高い酸化安定性が要求される食品用の油脂組成物、特に、上述のような「かけ油」として使用される油脂組成物を、匂い、色、及び清澄度を損なわずに得ることは困難であった。
したがって、本発明の目的は、食品用の油脂組成物、特に米菓やスナック菓子等への噴霧、どぶづけ、かけ用途に使用される油脂組成物であって、高い酸化安定性、特に光が照射される状況において高い酸化安定性を有し、且つ匂い、色、清澄度に優れた油脂組成物、並びにそれを用いた食品、及び食品の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、食用油脂の酸化安定性を向上することができる素材を種々検討した結果、所定の2種の抗酸化物質を、適切な含有量で含む油脂組成物とすることで、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、上記目的は、食用油脂(本発明において「ベース油」ともいう)、レシチン、及びカテキンを含む油脂組成物であって、前記レシチンが、大豆レシチンを含み、前記食用油脂100質量部に対して、前記レシチンの含有量が、0.5〜1.5質量部であり、前記カテキンの含有量が、0.005〜0.015質量部であり、色相(Y+10R)が65以下であることを特徴とする油脂組成物によって達成できる。抗酸化物質として、レシチン、及びカテキンを併用することで、それぞれを単独で用いる場合と比較して、高い酸化安定性、特に、光が照射される状況における高い酸化安定性を有する。本発明においては、油脂組成物に含まれるレシチンがカテキンに起因する油脂組成物の濁りを抑制するので、特に有利である。さらに、上記レシチンが大豆レシチンを含むことで、高い抗酸化効果が得られる。レシチンが含まれると、独特の臭いや着色、保存時の澱が生じる場合があるが、上記含有量であれば、良好な匂い、及び清澄度を有し、上記色相であれば、十分に良好な色を有する油脂組成物とすることができる。
本発明の油脂組成物は、濁度(波長660nm、光路長50mmの前記油脂組成物の吸光度(Ac)と、前記食用油脂の吸光度(Ao)の差(Ac−Ao))が、0.27以下であることが好ましい。この濁度であれば、より良好な清澄度を有する油脂組成物であるといえる。また、本発明の油脂組成物は、乳化剤を含むことが好ましい。これにより、カテキンが十分に分散された油脂組成物とすることができる。前記乳化剤の含有量は、前記カテキンの含有量の3〜10倍であることが好ましい。
また、上記目的は本発明の油脂組成物からなるかけ油によって達成される。本発明の油脂組成物は、特に光が照射される状況における酸化安定性に優れ、且つ良好な匂い、色、及び清澄度を有しているので、食品の表面に薄膜として存在し、陳列棚等で蛍光灯等の光が照射される状況に長時間晒される場合がある「かけ油」として特に有効である。
さらに、上記目的は本発明のかけ油の塗布層を有する食品によって達成される。本発明のかけ油は、上述の通り、光が照射される状況における酸化安定性に優れ、且つ良好な匂い、色、及び清澄度を有しているので、本発明の食品は、陳列棚等で蛍光灯等の光が照射される状況に長時間晒される場合があっても、良好な風味、色艶を維持し、油脂の酸化による異味、異臭や変色が生じ難い食品である。
また、上記目的は本発明のかけ油を食品材料の表面に塗布する工程を含む食品の製造方法によって達成される。本発明のかけ油は、上述の通り、光が照射される状況における酸化安定性に優れ、且つ良好な匂い、色、及び清澄度を有しているので、本発明の食品の製造方法によって、陳列棚等で蛍光灯等の光が照射される状況に長時間晒される場合があっても、良好な風味、色艶を維持し、油脂の酸化による異味、異臭や変色が生じ難い食品を製造することができる。
本発明の油脂組成物は、高い酸化安定性、特に、光が照射される状況における高い酸化安定性を有し、且つ良好な匂い、色、及び清澄度を有する油脂組成物である。したがって、本発明の油脂組成物からなるかけ油を用いることで、陳列棚等で蛍光灯等の光が照射される状況に長時間晒される場合があっても、良好な風味、色艶を維持し、油脂の酸化による異味、異臭や変色が生じ難い食品を提供することができる。
[油脂組成物]
本発明の油脂組成物は、食用油脂、レシチン、及びカテキンを含む油脂組成物であって、前記レシチンが、大豆レシチンを含み、前記食用油脂100質量部に対して、前記レシチンの含有量が、0.5〜1.5質量部であり、前記カテキンの含有量が、0.005〜0.015質量部であり、色相(Y+10R)が65以下であることを特徴とする。レシチン、及びカテキンは、いずれも抗酸化物質として公知であるが、上述のように、それぞれ問題点があった。本発明においては、レシチン、及びカテキンを適切な範囲で併用することで、それぞれを単独で用いる場合と比較して、高い酸化安定性、特に光が照射される状況における高い酸化安定性を有し、且つ良好な匂い、色、及び清澄度を有する油脂組成物が得られることを見出している。本発明の油脂組成物においては、上記レシチンが、カテキンに起因する油脂組成物の濁りを抑制することができるので、特に有利である。さらに、上記レシチンが大豆レシチンを含むことにより、高い抗酸化効果が得られる。レシチンが含まれると、独特の臭いや着色、保存時の澱が生じる場合があるが、上記含有量であれば、良好な匂い、及び清澄度を有し、上記色相であれば、十分に良好な色を有する油脂組成物とすることができる。なお、油脂組成物の色相(Y+10R)は、基準油脂分析試験法2.2.1.1ロビボンド法に従い、Y値及びR値を測定し、Y値+R値×10を算出したものである。
本発明において、レシチンの含有量は、前記食用油脂100質量部に対して、0.5〜1.0質量部が好ましく、0.6〜0.9質量部がさらに好ましい。また、カテキンの含有量は、前記食用油脂100質量部に対して、0.005〜0.012質量部が好ましく、0.005〜0.010質量部がさらに好ましい。また、色相(Y+10R)は、61以下が好ましく、55以下がさらに好ましく、50以下が特に好ましい。
本発明の油脂組成物は、より良好な清澄度とするために、濁度が、0.27以下であることが好ましい。本発明において、油脂組成物の濁度は、波長660nm、光路長50mmの前記油脂組成物の吸光度(Ac)、及び前記食用油脂の吸光度(Ao)を測定し、両者の差(Ac−Ao)を算出することで求めることができる。本発明においては、後述する実施例で示す通り、レシチンを含むことにより、カテキンに起因する油脂組成物の濁りを抑制することができるので、容易に上記濁度を達成することができる。本発明の油脂組成物の濁度は、0.265以下が好ましい。
本発明における食用油脂(ベース油)は、食用であれば特に制限はない。例えば、菜種油、ハイオレイック菜種油、大豆油、コーン油、米油、ヒマワリ油、ハイオレイックヒマワリ油、サフラワー油、ハイオレイックサフラワー油、綿実油、ゴマ油、落下生油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、カカオ脂等の植物油脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油等の動物油脂、及びこれらに分別、水素添加、エステル交換等の加工処理を行った加工油脂、並びにこれらの油脂の2種以上を組み合わせた混合油脂を用いることができる。
本発明において、用語「レシチン」は、食品添加物公定書に記載されているレシチンを意味する。すなわち、油糧種子、又は動物原料から得られたもので、その主成分はリン脂質であると定義されるものである。レシチンにおけるリン脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、リゾホスファチジルコリン等である。本発明においてレシチンの原料は、大豆、菜種等の油糧種子原料、卵黄等の動物原料のいずれでもよく、粗製レシチン、精製レシチン、分別レシチン、酵素処理レシチン等のいずれでもよい。植物油精製時に生じる油滓から得られる粗製レシチンが、コスト面で優れる点で好ましい。本発明において、レシチンは、大豆由来の大豆レシチンを含む。大豆レシチンは、高い抗酸化効果を有する点で好ましい。本発明において、大豆レシチンは、粗製レシチン、精製レシチン、分別レシチン、酵素処理レシチン等のいずれでもよい。費用対効果を考慮すると、大豆粗製レシチンが好ましい。本発明において、レシチンは、上記の大豆以外の原料由来のレシチンを含んでいてもよい。
本発明において、用語「カテキン」は、フラボノイドの一種であり、3位に水酸基を持つ3−ヒドロキシフラバン(3-hydroxyflavan)の誘導体とこれらの酸化、重合物を意味する。本発明においては、食品に使用できるものであれば特に制限はない。本発明においてカテキンは、緑茶に含まれる茶カテキンが好ましく、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレートの計8種類が知られている。本発明においては、これらのカテキンを含む茶抽出物、その精製物を用いてもよく、さらに乳化剤等その他の材料を混合した製剤を用いてもよい。
また、本発明の油脂組成物は、乳化剤を含むことが好ましい。カテキンは水溶性なので、乳化剤によりカテキンが十分に分散された油脂組成物とすることができる。本発明の油脂組成物において、乳化剤の含有量は、特に制限はないが、カテキンが十分に分散された油脂組成物とし、且つ乳化剤による油脂組成物の風味の低下を抑えるため、カテキンの含有量の3〜10倍が好ましく、4〜9倍がさらに好ましく、特に5〜7倍が好ましい。乳化剤は、上述のカテキンとともに製剤化され、油脂組成物に、カテキンとともに混合されることが好ましい。乳化剤としては、W/O型乳化作用を有する乳化剤であれば、特に制限はない。例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
本発明の油脂組成物は、必要に応じて天然香料、合成香料、色素、呈味剤、トコフェロール、アスコルビン酸脂肪酸エステル、シリコーン等の食用油脂に使用できる食品添加物等を含んでいてもよい。本発明の油脂組成物は、上述の材料を、所定の配合で、常法により混合することで製造することができる。本発明の油脂組成物の用途は、特に制限はなく、上述のかけ油の他、加熱調理用油、生食用油等に使用することができる。後述するように、かけ油として用いることが好ましい。
[かけ油]
本発明のかけ油は、本発明の油脂組成物からなるかけ油である。本発明において、用語「かけ油」は、上述の通り、サラダかけせんべい等の米菓やコーン系スナック類、小麦粉系スナック類等のスナック菓子等の食品への噴霧、どぶづけ、かけ用途に使用される油脂組成物を意味する。かけ油の使用方法としては、回転する釜に、食品材料を入れ、これに油を少しずつふりかける方法、スプレー(噴霧)法、ディッピング(どぶづけ)法、滴下法、カーテンコーティング法等の種々の塗布方法が挙げられる。かけ油は、食品の表面に薄膜として存在し、陳列棚等で蛍光灯等の光が照射される状況に長時間晒される場合がある。本発明の油脂組成物からなるかけ油は、特に光が照射される状況における酸化安定性に優れ、且つ良好な匂い、色、及び清澄度を有しているので、光が照射される状況に長時間晒される場合があっても、食品の良好な風味、色艶を維持し、油脂の酸化による異味、異臭や変色が生じ難い。
[食品]
本発明の食品は、本発明のかけ油の塗布層を有する食品である。例えば、サラダかけせんべい等の米菓やコーン系スナック類、小麦粉系スナック類等のスナック菓子等が挙げられる。上述の通り、本発明のかけ油は、特に光が照射される状況における酸化安定性に優れ、且つ良好な匂い、色、及び清澄度を有している。したがって、本発明の食品は、本発明のかけ油の塗布層により、陳列棚等で蛍光灯等の光が照射される状況に長時間晒される場合があっても、良好な風味、色艶を維持し、油脂の酸化による異味、異臭や変色が生じ難い食品である。
[食品の製造方法]
本発明の食品の製造方法は、本発明のかけ油を食品材料の表面に塗布する工程を含む製造方法である。かけ油を食品材料の表面に塗布する工程は、例えば、回転する釜に、食品素材を入れ、これにかけ油を少しずつふりかける方法によって塗布する工程、スプレー法、ディッピング法、滴下法、カーテンコーティング法等の種々の方法によって塗布する工程が挙げられる。本発明のかけ油は、特に光が照射される状況における酸化安定性に優れ、且つ良好な匂い、色、及び清澄度を有しているので、本発明の食品の製造方法により製造された食品は、本発明のかけ油が塗布されていることにより、陳列棚等で蛍光灯等の光が照射される状況に長時間晒される場合があっても、良好な風味、色艶を維持し、油脂の酸化による異味、異臭や変色が生じ難い食品である。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
1.油脂組成物(かけ油)の調製
(1)実施例1〜13、及び比較例1〜12
ベース油としてキャノーラ油(昭和産業株式会社製)100質量部に対して、カテキン、及び大豆レシチン(昭和産業株式会社製)を表1に記載の量で配合し、ミキサーで混合した。なお、カテキンは、表1の配合量となるように、カテキン製剤(カテキン10質量%含有)を用いて配合した。
(2)実施例14〜16、及び比較例13
ベース油としてパームオレイン(IV60)(昭和産業株式会社製)100質量部に対して、カテキン、及び大豆レシチン(昭和産業株式会社製)を表2に記載の量で配合し、ミキサーで混合した。なお、カテキンは、表2の配合量となるように、カテキン製剤(カテキン10質量%含有)を用いて配合した。
2.評価方法
(1)油脂組成物(かけ油)の外観
各油脂組成物を、100mlのガラス瓶に入れ、下記の評価基準で外観を評価した。
◎:濁りや強い着色が無く、非常に良好である。
○:濁りや強い着色がほとんど無く、良好である。
△:わずかな濁りや、やや強い着色が有るが、許容できる範囲である。
×:濁りや強い着色が有り、外観が悪い。
(2)油脂組成物(かけ油)の匂い
各油脂組成物の臭いを、下記の評価基準で評価した。
○:油脂として好ましくない臭いが無く、良好な匂いである。
×:油脂として好ましくない臭いが有り、匂いが損なわれている。
(3)油脂組成物(かけ油)のCDM試験
メトローム社製酸化安定性試験装置ランシマットを使用して、基準油脂分析試験法2.5.1.2に従い、各油脂組成物の酸化安定性を評価した。酸化安定性は、測定温度120℃、空気吹き込み量20L/h、油脂組成物試験量3gの条件で、CDM安定性時間を測定した。CDM安定性時間が、10時間以上であれば、良好な酸化安定性であると評価した。
(4)油脂組成物(かけ油)の色相
各油脂組成物の色相(Y+10R)は、基準油脂分析試験法2.2.1.1ロビボンド法に従い、ロビボンド比色計(TINTOMETER社製、5 1/4インチセル)を用い、Y値及びR値を測定し、Y値+R値×10を算出した。
(5)米菓の評価
素焼き米菓(約9cm径)の表面に、各油脂組成物をかけ油として塗布し(ディッピング法)、パーコート袋に入れ、25℃で、照度2000Luxの蛍光灯照射下で、15日間保存した。保存後の米菓について、以下の評価基準で、外観及び酸敗臭を評価した。
(i)外観
○:着色が無く、米菓として良好である。
×:着色が強く、米菓として悪い。
(ii)酸敗臭
◎:酸敗臭が無く、非常に良好である。
○:酸敗臭がほとんど無く、良好である。
×:酸敗臭が強く、悪い。
3.油脂組成物(かけ油)及びかけ油を塗布した米菓の評価結果
表1及び表2に評価結果を示す。
Figure 2017135993
Figure 2017135993
表1及び表2に示した通り、ベース油100質量部に対して、大豆レシチンを0.5〜1.5質量部、カテキン(乳化剤を含む製剤として配合)を0.005〜0.015質量部含み、色相(Y+10R)が65以下である実施例1〜16の油脂組成物は、良好な外観(色、清澄度)、及び匂いを有し、CDM安定性時間が10時間以上の酸化安定性が高い油脂組成物であった。さらに、米菓にかけ油として用いた場合、光が照射される状況下において、高い酸化安定性が認められた。一方、レシチンを含まないか、その含有量が、少ない比較例1〜3の油脂組成物、並びにカテキンを含まないか、その含有量が少ない比較例1、4、6、8、及び10の油脂組成物は、外観は良好であったが、CDM酸化安定性時間が9時間以下で、十分な酸化安定性が得られず、米菓にかけ油として用いた場合も、酸敗臭を生じた。また、レシチンの含有量が多い比較例12の油脂組成物は、十分な酸化安定性を有していたが、色相(Y+10R)が70であるため外観が悪く、レシチン臭が強いため匂いも悪く、米菓にかけ油として用いた場合の外観も悪かった。さらに、カテキンの含有量が多い、比較例5、7、9、及び11の油脂組成物は、十分な酸化安定性を有していたが、濁りが有り外観が悪かった。また、ベース油としてパームオレインを使用し、大豆レシチンを1.5質量部、カテキンを0.01質量部含む比較例13は、CDM酸化安定性時間が18.4時間と酸化安定性が高く、良好であったが、色相(Y+10R)が68であるため外観が悪く、米菓にかけ油として用いた場合の外観も悪かった。したがって、レシチン、及びカテキンの含有量が、上記範囲であっても、ベース油等の影響により色相(Y+10R)が65を超える油脂組成物は、かけ油として好ましくないことが示唆された。以上により、本発明の油脂組成物が、高い酸化安定性、特に、光が照射される状況における高い酸化安定性を有し、且つ良好な匂い、色、及び清澄度を有し、特にかけ油として有用であることが示された。なお、表1の実施例1〜13、及び表2の実施例14〜16では、各ベース油の特性から色相、CDM安定性時間に違いはあるものの、各評価において同様な傾向が認められたことから、本発明の効果は種々のベース油で発揮されることが示唆された。
4.レシチンによるカテキンに起因する濁りの抑制
本発明において、レシチンを含むことで、カテキンに起因する油脂組成物の濁りを抑制することができることを確認した。まず、ベース油としてキャノーラ油(昭和産業株式会社製)100質量部に対して、カテキン、及び大豆レシチン(昭和産業株式会社製)を表3及び表4に記載の量で配合し、ミキサーで混合した。なお、カテキンは、表3及び表4の配合量となるように、カテキン製剤(カテキン10質量%含有)を用いて配合した。得られた油脂組成物について、紫外可視分光光度計「V−560」(日本分光株式会社製)で、波長660nm、光路長50mmの吸光度(Ac)、及びベース油のみの吸光度(Ao)を測定し、両者の差(Ac−Ao)を算出し、濁度を求めた。結果を表3に示す。
Figure 2017135993
Figure 2017135993
表3及び表4に示した通り、油脂組成物が、カテキン及び乳化剤を含む場合、濁度が上昇するが、大豆レシチンを含むことで、濁度の上昇が抑制される。このような作用は本発明において、初めて認められた作用である。このような作用があることにより、本発明の油脂組成物は、高い酸化安定性とともに、良好な匂い、色、及び清澄度を有することができるものと示唆された。なお、表4において、濁度が0.2729の油脂組成物については、澱のような濁りが目視にて観察され、外観が悪かった。したがって、油脂組成物の濁度は0.27以下であることが好ましいことが示唆された。
表1〜4の結果から、良好な外観(色、清澄度)、及び匂いを有するとともに、酸化安定性が高く、特に米菓にかけ油として用いた場合、光が照射される状況下において、高い酸化安定性が得られる油脂組成物とするためには、ベース油100質量部に対して、レシチン(好ましくは大豆レシチン)を0.5〜1.5質量部、カテキンを0.005〜0.015質量部含み、色相(Y+10R)が65以下であることが必要であることが示された。
なお、本発明は上記の実施の形態の構成及び実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。
本発明により、高い酸化安定性、特に、光が照射される状況における高い酸化安定性を有し、且つ良好な匂い、色、及び清澄度を有する油脂組成物を提供することができる。したがって、本発明の油脂組成物からなるかけ油を用いることにより、陳列棚等で蛍光灯等の光が照射される状況に長時間晒される場合があっても、良好な風味、色艶を維持し、油脂の酸化による異味、異臭や変色が生じ難い食品を提供することができる。

Claims (6)

  1. 食用油脂、レシチン、及びカテキンを含む油脂組成物であって、
    前記レシチンが、大豆レシチンを含み、
    前記食用油脂100質量部に対して、前記レシチンの含有量が、0.5〜1.5質量部であり、前記カテキンの含有量が、0.005〜0.015質量部であり、
    色相(Y+10R)が65以下であることを特徴とする油脂組成物。
  2. 濁度(波長660nm、光路長50mmの前記油脂組成物の吸光度(Ac)と、前記食用油脂の吸光度(Ao)の差(Ac−Ao))が、0.27以下である請求項1に記載の油脂組成物。
  3. 乳化剤を含む請求項1又は2に記載の油脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の油脂組成物からなるかけ油。
  5. 請求項4に記載のかけ油の塗布層を有する食品。
  6. 請求項4に記載のかけ油を食品材料の表面に塗布する工程を含む食品の製造方法。
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