JP2012005478A - ペットフード - Google Patents

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Abstract

【課題】不飽和脂肪酸含有油脂を含有し、高い保存安定性と嗜好性を具備するペットフードを提供する。
【解決手段】次の成分(A)〜(D)を含有するペットフード。
(A)二重結合を2つ以上有する不飽和脂肪酸を構成脂肪酸として含む油脂、
(B)鉄、鉄化合物、銅及び銅化合物から選ばれるミネラル成分、
(C)クエン酸及び/又はその塩 合計量がモル比で成分(B)の10倍以上、
(D)レシチン
【選択図】なし

Description

本発明は、不飽和脂肪酸含有油脂を含むペットフードに関する。
ペットブームによりペット飼育数は増大しており、それに伴いペットの高齢化、運動不足、栄養過多等によりペットの肥満、糖尿病、肝臓疾患等のヒトの成人病と同様の疾病が増大している。また、避妊手術後のホルモンバランスの狂いによって肥満する犬や猫が多くなっている。このような肥満や体重増加を防止するためのペットフードが数多く開発されている。例えば、不飽和脂肪酸含有量を高くした油脂を配合したペットフードが提案されている。
このようなペットフードは、不飽和脂肪酸を多く含むため、保存環境によっては酸化され易く、臭い、嗜好性などに影響を与えることがある。そこで本出願人は高ミネラル含有のペットフードにおいて、ビタミンC誘導体を配合する技術(特許文献1)や、天然由来の抗酸化剤を含有させると共にペットフード中の鉄イオン及び銅イオンの含有量をコントロールする技術(特許文献2)により、長期保存安定性を改善することを提案してきた。
また、食品用途での抗酸化システムとして、中鎖脂肪酸を構成脂肪酸とするグリセライドと酸化防止剤を組み合わせたもの(特許文献3)、ヤマモモ抽出物と水溶性酸化防止剤及び親油性酸化防止剤を組み合わせたもの(特許文献4)、マッシュルーム菌糸体培養濾液等と抗酸化剤とを組合せたもの(特許文献5)などが提案されている。
特開2005−204659号公報 特開2007−110916号公報 特開2004−115758号公報 特開2007−185138号公報 特開平7−59548号公報
近年における、ペットの健康志向の高まりの中では、種々の生理的効果を有することが期待されているω3脂肪酸やω6脂肪酸といった、分子内に不飽和結合を多く持つ脂肪酸を構成脂肪酸とする油脂を多く配合するペットフードが求められている。しかしながら、これら脂肪酸は非常に酸化しやすく、長期に亘って生理的効果を発現させることが困難である。したがって、このような高度不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とする油脂を含有するペットフードにおいて、長期の保存安定性を達成することが求められている。
そこで本発明者らは、二重結合を2つ以上有する不飽和脂肪酸を構成脂肪酸として含有する油脂を含むペットフードの長期保存安定性について検討してきたところ、不飽和脂肪酸含有油脂にペットフードに必要な金属塩、特に銅や鉄を配合すると当該油脂の酸化は促進されてしまい、両者を含有する酸化に対して安定なペットフードは得られないことが判明してきた。そこで、その酸化安定性を改善すべく種々検討したところ、抗酸化作用を有するとされているカテキン、ビタミンE、レシチン、ビタミンC類、カロチンなどの単独での配合では、不飽和脂肪酸含有油脂と金属塩含有ペットフードの酸化は十分に防止できなかったのに対し、クエン酸又はその塩を所定量以上配合することにより顕著に酸化が防止できることを見出した。
本発明者は、当該クエン酸又はその塩配合によるペットフードの酸化に対する安定化作用をさらに向上させるべく検討した結果、全く意外にも、単独の添加ではほとんど酸化防止作用を有さないレシチンを、一定量以上のクエン酸又はその塩とともに配合すれば、不飽和脂肪酸含有油脂と金属塩を含有するペットフードの安定性を顕著に改善できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次の成分(A)〜(D)を含有するペットフードを提供するものである。
(A)二重結合を2つ以上有する不飽和脂肪酸を構成脂肪酸として含む油脂、
(B)鉄、鉄化合物、銅及び銅化合物から選ばれるミネラル成分、
(C)クエン酸及び/又はその塩 合計量が成分(B)に対してモル比で10倍以上、(D)レシチン
また、本発明は、(A)二重結合を2つ以上有する不飽和脂肪酸を構成脂肪酸として含む油脂と、(B)鉄、鉄化合物、銅及び銅化合物から選ばれるミネラル成分とを含有する組成物に、(C)クエン酸及び/又はその塩及び(D)レシチンを配合することを特徴とする該組成物の酸化防止方法を提供するものである。
本発明のペットフードは長期保存安定性に著しく優れている。したがって、ω3、ω6等の高度不飽和脂肪酸を構成脂肪酸として多量に含む油脂を配合した場合などにおいては、その期待される生理的機能を長期に亘って発現することが可能となる。また、脂肪酸の酸化に伴う臭いの変化、嗜好性の低下等が効果的に抑制可能である。
油脂とミネラル成分を含む組成物に対する種々の抗酸化剤の抗酸化力をランシマット試験法で評価した結果を示す図である。 試料の電気伝導率の経過変化を示す図である。 レシチンの量と種類のランシマット立ち上がり時間に及ぼす影響を示す図である。
本発明のペットフードは、(A)二重結合を2つ以上有する不飽和脂肪酸(以下、単に高度不飽和脂肪酸ともいう)を構成脂肪酸として含む油脂を含有する。当該油脂の構成脂肪酸中の高度不飽和脂肪酸の含量は、ペットの皮膚及び被毛の健康の点から、20〜90質量%(以下、単に%で示す)、さらに23〜80%、さらに25〜70%であることが好ましい。また、構成脂肪酸として高度不飽和脂肪酸を含む油脂のペットフード中の含量は、1〜45%が好ましく、さらに2〜45%が好ましく、さらに2.5〜40%がより好ましく、3〜35%がさらに好ましい。ここで、高度不飽和脂肪酸としては、炭素数18〜24の高度不飽和脂肪酸が好適なものとして挙げられる。二重結合を2つ有する不飽和脂肪酸としてはリノール酸が挙げられる。また、二重結合を3つ以上有する不飽和脂肪酸を多く含むことが種々の生理的効果を期待できる観点から好ましい。当該不飽和脂肪酸としては、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA),ドコサヘキサエン酸(DHA)が好ましく、成分(A)の油脂の構成脂肪酸中の当該脂肪酸の含量として3.0%以上が好ましく、3.5%以上がより好ましく、4.0%以上がさらに好ましい。
なお、成分(A)の油脂を構成する脂肪酸としては、高度不飽和脂肪酸以外に、二重結合を1つ有する不飽和脂肪酸及び飽和脂肪酸を含んでいても良い。ここで、二重結合を1つ有する不飽和脂肪酸としては炭素数16〜24の不飽和脂肪酸が挙げられ、オレイン酸、パルミトオレイン酸等が好ましい。また、飽和脂肪酸としては炭素数12〜18の飽和脂肪酸が挙げられ、パルミチン酸、ステアリン酸等が好適である。
本発明においては、成分(A)以外の油脂、すなわち高度不飽和脂肪酸を構成脂肪酸として含まない油脂を含有していても良い。本発明のペットフード中の全油脂の含有量は、嗜好性とペットフードの不快臭除去の点から6〜50%が好ましく、6〜45%がより好ましく、6〜40%がさらに好ましく、8〜35%が特に好ましい。またペットフードに含まれる全油脂の構成脂肪酸中に二重結合を2つ以上有する不飽和脂肪酸の含量は5%〜80%が好ましく、さらに10〜75%がより好ましく、さらに15〜70%が好ましく、さらに20〜65%が好ましい。
本発明のペットフードに用いられる上記の油脂としては、前記高度不飽和脂肪酸を構成脂肪酸として含むサフラワー油、オリーブ油、綿実油、コーン油、ナタネ油、大豆油、パーム油、ひまわり油、アマニ油、ごま油、ラード、牛脂、魚油、乳脂、ココナツ油、ヤシ油、米ぬか油、紫蘇油、エゴマ油、月見草油、ヘンプシード油等が挙げられる。これらの中でも、二重結合を3つ以上有する不飽和脂肪酸を構成脂肪酸として多く含むアマニ油、魚油、紫蘇油、エゴマ油、月見草油、ヘンプシード油が好ましい。しかし、油脂として配合したものに限られず、他の植物原料、又は動物原料中に油脂が含有されている場合にはこれも含む。また、油脂中には、ジグリセリドが含まれていてもよい。
本発明のペットフードはまた、成分(B)として鉄、鉄化合物、銅及び銅化合物から選ばれるミネラル成分を含有する。鉄化合物としては、硫酸鉄、塩化第二鉄、フマル酸第一鉄、炭酸第一鉄、酸化鉄等が挙げられる。該鉄化合物のペットフード中の含有量は、ペットフードの配合において許容できる範囲、鉄換算で0.00001〜1%、さらに0.00005〜0.3%、さらに0.0001〜0.1%が好ましい。
銅化合物としては、硫酸銅、塩化銅、酸化銅、炭酸銅、硫化銅、銅クロロフィル等が挙げられる。該銅化合物のペットフード中の含有量は、ペットフードの配合において許容できる範囲、銅換算で0.00001〜0.1%、さらに0.00005〜0.03%、さらに0.0001〜0.01%が好ましい。
これらのミネラル成分のうち、鉄又は鉄化合物と銅又は銅化合物とは併用するのが好ましい。本発明では、これらのミネラル成分の合計の含有量は、ミネラル換算(鉄換算及び銅換算)で0.0005〜1%が好ましく、0.0005〜0.5%がより好ましく、0.001〜0.1%がさらに好ましい。
本発明のペットフードには、ミネラル成分として鉄、銅以外に、マンガン、コバルト、カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム等を含有してもよい。これらミネラル成分は、例えば、酸化マンガン、炭酸コバルト、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等として配合される。
本発明のペットフードは、さらに成分(C)として、クエン酸及び/又はその塩を含み、その合計量が成分(B)に対してモル比で10倍以上である。ここでクエン酸塩としてはアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩が挙げられ、特にアルカリ金属塩が好ましい。アルカリ金属塩としては、クエン酸の正塩(三アルカリ金属塩)、一水素二アルカリ金属塩及び二水素アルカリ金属塩を意味する。クエン酸のアルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩が挙げられ、特にナトリウム塩であることが好ましい。なお、本明細書において、特に断らない限りは、クエン酸ナトリウムという場合にはクエン酸三ナトリウム塩(二水和塩)を表わす。
クエン酸及びその塩の合計量が成分(B)の金属に対してモル比で10倍以上であると、クエン酸及び/又はその塩とレシチンとの併用による前記酸化防止効果が相乗的に向上する。当該成分(C)の合計量は、成分(B)に対してモル比で11倍以上、さらに12倍以上、さらに15倍以上、さらに18倍以上が好ましい。また、クエン酸又はその塩の合計量は、嗜好性の点から、成分(B)に対してモル比で60倍以下が好ましい。
また、成分(C)はペットフード中にクエン酸換算で0.5%以上含まれていることが好ましい。ここで「クエン酸換算で」とは、成分(C)としてクエン酸及びクエン酸のアルカリ金属塩(以下、クエン酸類とも言う)が含まれている場合、又は成分(C)がクエン酸のアルカリ金属塩のみである場合、アルカリ金属分を水素に置き換えてクエン酸分子量とみなして質量を換算することを意味する。
本発明のペットフードは、保存安定性及び嗜好性の点から、クエン酸類をクエン酸換算で0.7%以上、さらに0.75%以上、さらに0.9%以上、さらに1.0%以上含有していることが好ましい。クエン酸類含有量の上限値としては、嗜好性、保存時の臭いを考慮して5.0%、さらに4.0%が好ましい。
本発明のペットフードでは、成分(C)とともに、成分(D)としてレシチンを含有する。レシチンは狭義にはホスファチジルコリンを意味するが、広義にはグリセロリン脂質を意味する。本発明で好適に用いられるホスファチジルエタノールアミンはグリセロリン脂質の一種であり、広義のレシチンに含まれる。レシチンが商業用又は工業用に用いられるときは広義のグリセロリン脂質を意味し、グリセロリン脂質を主成分とした混合物であることが多い。レシチンは本発明のように高度不飽和脂肪酸を構成脂肪酸として含む油脂とミネラル成分との配合系においては、単独で使用した場合には効果が低く、ミネラル成分を含まない系の抗酸化力にまで及ばない(図1参照)。一方、クエン酸を単独で1.0%以上配合した系においては、抗酸化力がミネラル成分を含まない系のレベルまで回復する。本発明においては、クエン酸とレシチンを共存させることによって、各々単独での効果からは想像できないレベルにまで抗酸化力が向上することを見出したものである。実際、他の一般的に知られている抗酸化剤であるミックストコフェロールや、効果が非常に高いといわれているδ−トコフェロールをクエン酸と共存させた場合には、クエン酸単独よりも抗酸化力が低下する現象が観測された(図1)。つまり、この抗酸化力の向上はクエン酸とレシチンを組み合わせたことによる特有の現象と言える。
本発明に用いられる(D)レシチンとしては、大豆レシチン、粉末大豆レシチン、卵黄レシチン、水素添加大豆レシチン、水素添加卵黄レシチン、菜種レシチン、コーンレシチン、牛脳レシチン、牛肝臓レシチン等が挙げられる。また、食品や飼料に一般的に用いられる大豆レシチンの成分として、含有量の多い順にホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジン酸(PA)が存在するが、これら単独でも本発明ではレシチンとして扱われる。また、PCの構成脂肪酸としてDHAが結合したPC−DHAなどもレシチンとして挙げられる。これらのうちPEは抗酸化活性が高いことが分かった。したがって、混合物としてはPE含有量が高いものが望ましく、また、高度不飽和脂肪酸を多く含んでいるものが望ましい。大豆レシチン、粉末大豆レシチン、水素添加大豆レシチン、卵黄レシチンが風味、臭い、コストの観点からより好ましい。中でも大豆レシチンが効果の発現、コストの観点から好ましい。
成分(D)は抗酸化効果の点から、成分(A)の油脂に対して0.1%以上、さらに0.3%以上、さらに0.5以上含有されることが望ましい。より高い抗酸化効果と風味の観点から、0.6%以上20.0%以下、さらに1.0%以上15.0%以下であることが好ましい。
なお、本発明において前記レシチン(D)の量はアセトン不溶分であるリン脂質換算の量を指し、該リン脂質換算量は日本油脂科学会編「基準油脂分析試験法 5.3.3.1−86 リン脂質リン組成」に記載の方法により測定することができる。例えば、食品などで一般的に使用される大豆レシチンにはトリグリセライドなどのアセトン可溶分も含まれるので、このような成分を除く趣旨である。アセトン不溶分であるレシチン量としては、レシチン源(例えば、大豆レシチンとして市販される剤)中に60%程度であることが多い。また、ペットフード中のリン脂質の含有量は、好ましくは、フードからクロロホルム/メタノールの溶剤で油脂を抽出した後に、油脂中のリン含量を定量することができる。当該油脂中のリン含量の定量は、基準油脂分析試験法(日本油化学協会、2.4.11−1996)の比色法を用いて行う(リン量からの換算係数25.4)。この定量法によるリン脂質含有量の値は、アセトン不溶分であるリン脂質換算の量とよく一致する。また、成分(D)は、抗酸化効果と風味の観点から本発明のペットフード全量中に0.06〜6.0%、さらに0.1〜3%、さらに0.2〜2.0%含有するのが好ましい。また、ペットフード中には、成分(D)としてPE含量が0.03%以上、さらに0.04%以上であることが、高い抗酸化効果の観点から好ましい。さらに、成分(D)の含有量は、成分(A)の油脂の構成成分である高度不飽和脂肪酸に対して0.5%以上75%以下、さらに0.5%以上50%以下であることが高い抗酸化効果の観点から好ましい。
本発明のペットフードには、さらに成分(E)カテキン、クルクミン、クエルセチン及びミリシトリンから選ばれる少なくとも1種のポリフェノールを含有することによって、前記の抗酸化力がさらに高まる。図1に示すように、クエン酸1%+レシチン0.6%に対して、カテキンを0.3%加えた場合(図中▲)は抗酸化力を示すランシマットの立ち上がり時間が約3倍にまで上昇する。興味深いことには、クエン酸1%にカテキンを0.3%加えたもの(◆)はクエン酸単独と同等かそれ以下の抗酸化力となる。つまり、成分(A)及び(B)を含むペットフードにおいて、カテキンによる抗酸化力の向上は、クエン酸及びレシチンの共存系で特有の現象であり、各抗酸化剤単独での効果からは想像もできないものである。
本発明に用いられるポリフェノールとして、カテキン類が抗酸化効果を劇的に高めることが可能であるので好ましい。カテキン類としては、3,3’,4’,5,7−フラバンペントール骨格を有するものであればよく、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレートが含まれる。これらのカテキンは、茶抽出物を用いてもよい。
クルクミン源としてはウコン抽出物、ショウガ抽出物等を用いてもよい。クエルセチン源としてはタマネギ外皮抽出物、リンゴ外皮抽出物等を用いてもよい。ミリシトリン源としてはヤマモモ抽出物を用いてもよい。
(E)のポリフェノールは、抗酸化効果及び風味の観点から、本発明のペットフード中に0.01〜35%、さらに0.02〜5.0%、さらに0.03〜2.0%含有するのが好ましい。また、より高い抗酸化効果を得る点から、成分(D)と成分(E)の質量比(D/E)は、1/1〜100/1が好ましく、さらに2/1〜80/1が好ましい。本発明においてポリフェノールの量は、有効であると思われるポリフェノールの量をいう。カテキンとして茶抽出物を用いる場合は当該抽出物の上記カテキン類7種類の総含有量を指す。
本発明のペットフードはそのpHが3.5〜7.0であることが好ましい。当該範囲であると、上記成分(B)による上記成分(A)の酸化がより効果的に抑制され、嗜好性も良好となる。当該pHが4.0〜7.0、さらに好ましくは4.5〜6.8であると、酸化抑制効果が一層高まるとともに、保存時の臭いが良好になるので好ましい。クエン酸類を含み、かつpHがこのような範囲とするには、クエン酸のほかにpH調整剤を加える方法がある。そのような方法の中でも、クエン酸とクエン酸塩を併用する方法がpH調整がし易いとともに、嗜好性も良好で、風味も統一感があるので好ましい。特に、クエン酸塩として上述のクエン酸アルカリ金属塩を用いることが好ましい。
なお、「ペットフードのpH」とは、ペットフードを以下の方法によって測定したときのpHのことを意味する。
<ペットフードのpH測定方法>
ペットフード10gを45℃のイオン交換水(好ましくは25℃における電気伝導度が0.01mS/m以下のイオン交換水)60mL中に加えて十分に攪拌し、1時間静置した後に定性ろ紙(No.1,Advantec製)を用いてろ過し、濾液を25℃においてpH測定した。
なお、ペットフードの性状が固形の場合には、乳鉢等を使用して細かく磨り潰した後に上記攪拌操作を行うことが好ましい。
本発明のペットフードには、さらに炭水化物を含むことが好ましい。炭水化物源としては、単糖類、オリゴ糖、多糖類、食物繊維、デンプン類等が含まれる。デンプン類としては、ワキシーコーンデンプン、コーンデンプン、小麦デンプン、米デンプン、糯米デンプン、馬鈴薯デンプン、甘露デンプン、タピオカデンプン、サゴデンプン、又はこれらに化学的処理を施したものや化学修飾した加工デンプン等が挙げられる。また、炭水化物は、穀物類として含有させてもよく、穀物類としては、とうもろこし、大麦、小麦、ライ麦、ソルガム、米、ひえ、あわ、アマラサンサス、キヌア等が挙げられる。炭水化物は、ペットフード中に10〜70%、さらに20〜60%、さらに30〜50%含有するのが、経済的、肥満防止効果、摂取性、便の状態、及び外観を健康的に美しくする点から好ましい。
本発明のペットフードにおいては、さらに動物性又は植物性のタンパク質を含むことが、肥満防止効果、摂取性、栄養バランス、及び外観を健康的に美しくする点から好ましいが、摂取性の点から動物性タンパク質がさらに好ましい。動物性タンパク質としては、カゼイン等の乳タンパク質も挙げられるが、肥満防止効果及び摂取性の点から、動物性肉類タンパク質が好ましい。このような動物性肉類タンパク質としては、牛、豚、羊、うさぎ、カンガルー等の畜肉及び獣肉、並びにその副生成物及び加工品;鶏、七面鳥、うずら等の鳥肉並びにその副生成物及び家屋品;魚、白身魚等の魚肉並びにその副生成物及び加工品;ミートミール、ミートボーン、チキンミール、ポータリーミール、フィッシュミール等の上記原料のレタリング等が挙げられる。このうち、肥満防止効果の点で、鶏肉、魚肉が特に好ましい。複数の肉類タンパク質を混合して用いる場合には、鶏肉及び/又は魚肉を肉類中の30〜100%、さらに50〜100%含有させるのが好ましい。
植物性タンパク質としては、大豆タンパク質、小麦タンパク質、小麦グルテン、コーングルテン等が好ましい。
本発明のペットフード中に動物性又は植物性タンパク質は、乾燥減量で5〜70%、さらに10〜60%、さらに15〜40%含有するのが好ましい。
本発明のペットフードには、さらに植物ステロールを含有してもよい。植物ステロールは、ペットフード中に、コレステロール低下効果の点で、0.1%以上、さらに0.5%以上含有するのが好ましい。また植物ステロール含有量の上限は、0.1〜30%の範囲であればよい。ここで植物ステロールとしては、例えばα−シトステロール、β−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、α−シトスタノール、β−シトスタノール、スチグマスタノール、カンペスタノール、シクロアルテノール等のフリー体、及びこれらの脂肪酸エステル、フェルラ酸エステル、桂皮酸エステル等のエステル体が挙げられる。
本発明のペットフードには、さらに、ぬか類、粕類、野菜、ビタミン類等を配合することができる。ぬか類としては、米ぬか、ふすま等が、粕類としては、大豆粕等が挙げられる。野菜類としては野菜エキス等が挙げられる。ビタミン類としては、A、B1、B2、D、E、ナイアシン、パントテン酸、カロチン等が挙げられ、0.05〜10%含有するのが好ましい。この他、一般的にペットフードに使用されるゲル化剤、保型剤、pH調整剤、調味料、防腐剤、栄養補強剤等も含有することができる。さらに、BHA、BHT、エトキシキン、TBHQ、プロピルガレートなどの合成の抗酸化剤を併用することも可能である。その場合であっても、本発明の技術によって合成の抗酸化剤を従来よりも減らすことが可能となる。なお、これら合成の抗酸化剤は本発明のペットフードに含まれないことが好ましい。
本発明のペットフードは、前記成分を混合し、所望の形態にすることにより製造できるが、成分(A)の油脂成分は最後に添加するのが好ましい。例えば、穀物、肉ミール並びに鉄及び銅等のミネラル成分とともに、クエン酸及びクエン酸塩を混合し、十分混合したあとに、水や水蒸気で加水しながらエクストルーダーによって押出成型をする。その後に、好ましくは水分を10%以下になるまで熱風乾燥させる。二重結合が二つ以上の脂肪酸を多く含む油脂は、熱風乾燥させたあとに、コーティングするのが望ましい。また、レシチン及びカテキンは、クエン酸等とともに添加してもよいし、油脂とともに添加してもよい。
また、本発明のペットフードとしては、ドライタイプ、ウェットタイプ、セミモイストタイプ、ジャーキータイプ、ビスケットタイプ、ガムタイプ、粒状、粉状、スープ状等いずれの形態であってもよいが、ドライタイプであることが保存の簡便性から好ましい。通常、ドライタイプの場合には、複数回食餌量のペットフードがラミネート製のパッケージ内に収容されているが、開封後には空気と触れ易い環境となるために酸化が進行し易い。したがって、本発明のペットフードはドライタイプにおいてより効果を発揮し易いといえる。
ドライタイプのペットフードとしては、キブル形状、平板形状、骨形状などが挙げられる。ペットの噛み易さや扱いやすい形状を得るなどの観点からは、嵩密度が100〜900kg/m3、特に300〜700kg/m3であることが好ましい。しかしながら、このような嵩密度であると、表面積が高くなるとともに表面に多数の空隙が存在しやすくなるので、ペットフード中の油脂の酸化が進みやすいと言える。しかし、このような場合であっても、本願発明のペットフードは高い抗酸化力を有しているので、上述した長所を活かすことが可能である。このためにペットの嗜好性に優れ、長期に亘って風味等が劣化せず、しかも高度不飽和脂肪酸に起因する所望の生理的効果の恩恵を受けることができる。
<試料の調製>
表1に示す(A)油脂、(B)ミネラル成分、(C)クエン酸+クエン酸ナトリウム(質量比1:2;以下、クエン酸混合物という)、(D)レシチン、(E)ポリフェノール、(X)その他の抗酸化剤について、種々の組み合わせの試験を行った。試験は(A)油脂3g、又はこれに(D)レシチン、(X)その他の抗酸化剤を配合し、(B)ミネラル成分、(C)クエン酸混合物、(E)ポリフェノールを少量の水に溶解したものを添加して行った。なお、表1中の%で表される数値は、油脂に対する質量%である。
Figure 2012005478
試験に用いた材料の詳細は以下の通りである。
(A)油脂: 脂肪酸組成は表2に示した通り。
(B)ミネラル成分
塩化第二鉄 :試薬、和光純薬製
塩化第二銅 :試薬、和光純薬製
(C)クエン酸混合物
クエン酸ナトリウム(二水和物):試薬、和光純薬製
クエン酸(無水) :試薬、和光純薬製
(D)レシチン
レシチン(大豆由来): YELKIN TS(製品名、AGM社製、リン脂質換算量(有効分)63.3%)
大豆由来PE: ホスファチジルエタノールアミン(製品名)
大豆由来PC: L-α-ホスファチジルコリン(製品名、大豆由来;シグマアルドリッチジャパン社製)
水添大豆レシチン: L-α-ホスファチジルコリン(製品名、和光純薬社製)
DPPC: L-α-ホスファチジルコリン・ジパルミトイル(製品名、和光純薬社製)
(E)ポリフェノール
カテキン製剤: ポリフェノン(製品名、三井農林株式会社製、茶抽出物。カテキン含有量30%、カテキン類の組成は表3の通り)
クルクミン: ウコン根茎抽出物(製品名、横浜油脂工業株式会社製、含有量15%以上)
クエルセチン: タマネギ外皮・薄皮抽出物(製品名、横浜油脂工業株式会社 含有量5.0%以上)
ミリシトリン: サンメリンYO−1844(製品名、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)
(X)その他の抗酸化剤
δ−トコフェロール: タマ生化学株式会社製
Mix−トコフェロール: Archer Daniels Midland Company製
Figure 2012005478
Figure 2012005478
<抗酸化剤の評価方法>
調製した試料を、自動油脂安定性試験装置(「ランシマット743」、メトローム社製)に取り付け、20mL/minの条件で空気をバブリングしながら120℃に保ち、電気伝導率を測定する。経時時間に対する電気伝導率をプロットし、図1のようにして立ち上がりの時間(単位:時間)を求め、安定性の評価とする。これは、酸化により電気伝導率が増加するという原理に基づく評価であり、立ち上がり時間が長いことは酸化に対する耐性が高いことを意味する。
試験例
抗酸化剤として(C)クエン酸混合物、(D)レシチン及び(X)他の酸化剤を用いた場合の試験結果を表4に、さらに(E)ポリフェノールを加えた場合の試験結果を表5に示す。
Figure 2012005478
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<ランシマット立ち上がり時間の見方>
抗酸化剤の効果は、それを添加する前の組成に比べて、立ち上がり時間が延びているかどうかを判断基準とした。また、これまでの経験から、ペットフードに用いる油脂はランシマットの立ち上がり時間(以下立ち上がり時間とする)が3時間以上であることが好ましいと考えられるので、これを好ましい組成と評価した。
<油脂の脂肪酸組成の違いによる比較>
試験番号1−32及び37−40では、油脂a1(二重結合を3つ以上有する不飽和脂肪酸を13.0%含有)を用いているが、脂肪酸組成による抗酸化効果評価の比較のためa2(同不飽和脂肪酸を2.8%含有)を用いた試験を試験番号33−36で行った。油脂単独の立ち上がり時間ではa1が2.2時間、a2が11.9時間と大きな違いを生じているが、ミネラルが入ることでa1が0.5時間、a2が0.7時間とほぼ同じ抗酸化力まで大幅に減少する。これにクエン酸混合物を添加することによりa2では6.7時間と十分なレベルまで回復するが、a1では油脂単独時のレベルである2.2時間までしか回復しない。つまり、高度不飽和脂肪酸含有量が高い油脂の場合には、より高い抗酸化力を得るために、より技術的な工夫が必要であると考えられる。
<クエン酸+クエン酸塩の効果をさらに高める素材>
試験番号10−12及び16で検討を行った。油脂、ミネラル、クエン酸の系で各抗酸化剤を、表4に示す有効分換算量(有姿で1.0%)で添加した結果を示す。レシチン(大豆由来)のみにクエン酸混合物の効果をさらに高める効果が認められた。
<クエン酸混合物の量について>
試験番号13−18及び29−32において、クエン酸混合物の量をミネラルの量に対して変えることによって抗酸化力の変化を確認した。ミネラルに対するクエン酸混合物のモル比(後者/前者)が6.7倍では、レシチン無添加と比較して抗酸化力向上効果が見られず、むしろ低下する傾向にあった。同モル比10倍ではレシチンの添加効果が見られ、対油脂3.0%ではランシマット時間が3時間を超え十分な安定性となった。モル比が20倍のときにレシチンの添加量が対油脂0.6%で十分な効果が得られた。ミネラル含有量を3倍に高めた場合(試験番号29−32)においてもモル比が6.7倍ではレシチンの添加効果が見られず、モル比が20倍のときにレシチンの添加効果が見られ、レシチン対油0.6%で十分な結果となった。
<レシチンの種類と量に関して>
商業的あるいは工業的にペットフードに使用可能なレシチンとして、大豆レシチンのアセトン不溶分を基準として量の規定を行った。また、大豆レシチンのグリセロリン脂質の大豆PC及び大豆PE各単独成分を用いた実験も行った(試験番号15−25)。その結果、成分として一番多いPCよりもPEに強い活性が認められた。また、試験番号19−23の結果からはPEの含有量に抗酸化効果が依存していることがわかった(図3)。
<ポリフェノールの評価について>
試験番号37−40では、上記クエン酸混合物及びレシチンに加え、各種ポリフェノールを添加した場合の抗酸化力評価を行った。カテキン類は立ち上がり時間が長くなり、抗酸化力が劇的に上がることが示された。クルクミン、クエルセチン、ミリシトリンを加えた場合にも抗酸化力の向上が見られた。カテキン類を代表として調べると(試験番号7及び10)、単独で添加した場合及びクエン酸混合物共存状態(レシチンなし)においても抗酸化力が向上していないことから、抗酸化力を向上させる効果はクエン酸、レシチン、カテキン類すべて共存する系において初めて発現される効果である。
<ペットフードにおける抗酸化力の評価>
実施例1〜2、参考例及び比較例1〜2
表6に示す組成の原料を用い、エクストルーダーで混合押出成型をすることにより、直径10mm、長さ約10mmの円柱状のペットフード(キブル)を製造した。嵩密度は472kg/m3であった。
実施例1のペットフードから抽出した油脂のグリセリド又は脂肪酸組成、二重結合を2つ、及び3つ以上有する不飽和脂肪酸含有量を表7〜9に示す。
ペットフードに含まれる全油脂は15%、ペットフード中の二重結合を2つ以上有する不飽和脂肪酸の含有量は27.2%、また3つ以上有する不飽和脂肪酸の含有量は6.7%であった。
Figure 2012005478
Figure 2012005478
Figure 2012005478
Figure 2012005478
<油脂の臭いの評価方法>
室温(約20℃)で16週間保存し、油脂の臭いの変化を5名のヒトによる官能で評価した。気にならない範囲の順から、「変性臭がほとんど感じない」と答えた人数が「4名以上」を○、「2〜3名」を△、「1名以下」を×と表わした。
<安定性試験方法>
室温(約20℃)で保存を行い、16週目に、含有する油脂のPOV(過酸化物価)の測定及び評価を以下の手順で行った。
<POV(過酸化物価)の測定方法>
過酸化物価(POV)については、日本油脂化学会制定の「規準油脂分析試験法」の2.4.12.2−94「過酸化物価」に従って分析した。
(1)ペットフードからの油脂の抽出
50gのキブルを粉砕し、1mm目開きのふるいに通し、そのサンプルを円筒ろ紙に充填し、コック付きのオープンカラムにセットした。コックを閉じたまま、上方から滴下ロートで150mLのジエチルエーテルを滴下し、滴下終了後カラムのコックを開けてジエチルエーテルを回収した。次に、50mLジエチルエーテルにて同様の操作を行った。回収したジエチルエーテルをエバポレーターにより除去し、ペットフードからの抽出油脂を得た。
(2)油脂のPOV測定
ペットフードから抽出した油脂0.5gを250mLのトールビーカーに量り取り、酢酸/イソオクタン=3/2(容積比)の溶液20mL溶かした。0.1mLの飽和ヨウ化カリウム溶液をそのトールビーカーに加え、1分間よく振とうした。その後、30mLの蒸留水を加え滴定サンプルとした。この滴定サンプルを0.01Nチオ硫酸ナトリウムで滴定した。このとき、メトロームシバタ(株)のPOV自動滴定装置、DMPティトリーノ785型を使用した。
(3)抗酸化効果の評価
油脂のPOVの上昇値(16週間)が5以下の場合を◎、5を超え7の場合を○、7を超え9の場合を△、9を超える場合を×として、表6に示した。なお、無添加及びカテキン単独配合の場合のPOVの上昇値は13程度であった。
<酸素消費量の測定>
ペットフードの酸化反応の指標として、本試験では酸素消費量を測定した。
<クエン酸換算値の測定方法>
ミキサーで砕いたキブル(3.0g)に5%過塩素酸5mLを加え、10分間震とうする。震とう後、50mLのメスフラスコで定容する。10分間超音波処理を行い、ろ過した溶液を用い高速液体クロマトグラフ(HPLC)法で測定する。なお、HPLC測定条件は以下の通りである。
カラム:Shodex Rspak KC-811 2本、直径8mm×長さ300mm(昭和電工株式会社製)
カラム温度:40℃
移動相:3mmol/L過塩素酸水溶液
反応液:0.2mmol/Lブロムチモールブルー含有15mmol/Lリン酸水素二ナトリウム水溶液
流量:移動相1.0mL/分、反応液1.4mL/分
測定波長:445nm
<PE量(リン脂質換算値)の測定方法>
ペットフードから油脂をクロロホルム:メタノール=2:1の溶剤で抽出した。抽出した油脂中のリン含量を定量した。油脂中のリン含量の定量は、基準油脂分析試験法(日本油化学協会)の2.4.11−1996リン脂質比色法を用いて行った(リン量からの換算係数25.4)ペットフード中の含有量としては油脂中の含有量にペットフード中の油脂含有量を乗じて求めた。
リン脂質組成(薄層クロマトグラフ法)基準油脂分析試験法 4.3.3.1−1996法に従ってPEのリン脂質中の百分率を求め、上記リン脂質換算値を乗じPEの濃度とした。
表6の結果から、クエン酸とレシチンの2成分系及びそれにカテキンを添加した3成分では、安定性が著しく向上した。なお、実施例1及び2のペットフード中PE含量は0.04%であった。
<ペットフードにおける抗酸化力の評価その2>
実施例3、4及び比較例3
表10に示す組成の原料を用い、エクストルーダーで混合押出成型をすることにより、直径8.5mm、長さ約5.5mmの円柱状のペットフード(キブル)を製造した。嵩密度は428kg/m3であった。
実施例3のペットフードから抽出した油脂のグリセリド又は脂肪酸組成、二重結合を2つ、及び3つ以上有する不飽和脂肪酸含有量を表11〜12に示す。
ペットフードに含まれる全油脂は15%、ペットフード中の二重結合を2つ以上有する不飽和脂肪酸の含有量は27.2%、また3つ以上有する不飽和脂肪酸の含有量は6.7%であった。
Figure 2012005478
Figure 2012005478
Figure 2012005478
<油脂の臭いの評価方法>
40℃で8週間保存し、油脂の臭いの変化を5名のヒトによる官能で評価した。気にならない範囲の順から、「変性臭がほとんど感じない」と答えた人数が「4名以上」を○、「2〜3名」を△、「1名以下」を×と表わした。
(3)抗酸化効果の評価
油脂のPOVの上昇値(40℃8週間)が 5以下の場合を◎、5を超え7未満を○7を超え10未満の場合を△、10を超える場合を×として、表10に示した。
<酸化安定性の定量法>
ペットフードの酸化安定性の指標として保存後のPOVの値を用いてきた。これは油脂の二重結合部に酸素が反応し過酸化物が精製しそれを定量するものである。油脂の劣化を計るにはとても良い指標であり最も一般的な方法である。しかしながら、POVの上昇を測定するためには、加速試験である40℃保存で少なくとも2ヶ月、常温においては4ヶ月もの時間が必要であり時間がかかることが問題点として指摘されてきている。また、この過酸化物は酸化の最終生成物ではなく、反応性にとみ、次いでカルボニル基さらにはカルボキシル基に自動酸化によって変化していくものである。特に高温においては明らかに酸化反応が進んでいるにも関わらずPOVが変化しないあるいは減少するといった現象が起こるという問題点も見出されている。したがって、本発明では酸化反応の指標として減少する酸素の量を測定することによりトータルの酸化反応を評価することを試みた。
<酸素消費量の測定方法>
ペットフードを50gはかりとりアルミニウムで積層された包材で密封し40℃の恒温槽に保存し中の空気の酸素濃度Xt(%)を1週間毎に測定し酸素の減少速度を計算した。最初に包材中に存在する空気の容量V(mL)を測定し、ペットフードグラムあたりの酸素の消費量を下記計算で求めた。
酸素消費量(mL)=V・(20.8−Xt)/100
保存期間と酸素消費量の関係を測定したが、とても良い直線関係にあることがわかり、直線の傾きをペットフードの安定性の指標とした。
多価不飽和脂肪酸含有量が高いペットフードにおいてもクエン酸及びレシチンを配合することで安定性が著しく向上した。またこの試験でレシチンだけを配合してクエン酸を配合しない場合は安定性が十分でないこともわかった。
安定性の指標として酸素消費量が有効である。POV及び官能評価の結果から酸素消費量の評価として1.2未満が◎ 1.2以上1.6未満が○ 1.6以上2.0未満が△ 2.0以上が×とした。

Claims (11)

  1. 次の成分(A)〜(D)を含有するペットフード。
    (A)二重結合を2つ以上有する不飽和脂肪酸を構成脂肪酸として含む油脂、
    (B)鉄、鉄化合物、銅及び銅化合物から選ばれるミネラル成分、
    (C)クエン酸及び/又はその塩 合計量がモル比で成分(B)の10倍以上、
    (D)レシチン
  2. さらに(E)カテキン類、クルクミン、クエルセチン及びミリシトリンから選ばれる少なくとも1種のポリフェノールを含有する、請求項1記載のペットフード。
  3. 前記(D)レシチン含有量がペットフード中に0.06〜6.0質量%である、請求項1又は2記載のペットフード。
  4. 前記クエン酸の塩がクエン酸アルカリ金属塩である請求項1〜3のいずれか記載のペットフード。
  5. 前記成分(C)が、クエン酸とクエン酸の塩を共に含むものである請求項1〜4のいずれか記載のペットフード。
  6. 前記成分(A)が、構成脂肪酸として二重結合を3つ以上有する不飽和脂肪酸を3質量%以上含む油脂である請求項1〜5のいずれか記載のペットフード。
  7. pHが3.5〜7.0である請求項1〜6のいずれか記載のペットフード。
  8. 前記成分(D)がホスファチジルエタノールアミンを含み、その含有量がペットフード中に0.03質量%以上である請求項1〜7のいずれか記載のペットフード。
  9. ドライタイプである請求項1〜8のいずれか記載のペットフード。
  10. (A)二重結合を2つ以上有する不飽和脂肪酸を構成脂肪酸として含む油脂と、(B)鉄、鉄化合物、銅及び銅化合物から選ばれるミネラル成分とを含有する組成物に、(C)クエン酸及び/又はその塩、及び(D)レシチンを配合することを特徴とする該組成物の酸化防止方法。
  11. さらに(E)カテキン類、クルクミン、クエルセチン及びミリシトリンから選ばれる少なくとも1種のポリフェノールを含有する植物性抽出物を配合する請求項10記載の酸化防止方法。
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