JP2017135137A - 絶縁高熱伝導性シート、およびその製法、および積層体 - Google Patents

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明紀 恵島
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吉拡 鶴野
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Abstract

【課題】均一性に優れ、かつ熱伝導性、電気絶縁性および接着性に優れた熱伝導性シート及びその製造方法を提供する。
【解決手段】厚さ方向に貫通配向した高熱伝導性繊維およびバインダ樹脂を含有してなる高熱伝導性シートの両面側に、熱硬化性樹脂に熱伝導性フィラーを含有した樹脂層が配置された熱伝導性シートであって、電気絶縁性を確保しつつ、接着性を有し、半導体やLED等の発熱体から冷却材や筐体へ迅速に熱を逃がすことが可能になる、構造面および物性面においても均一なシートである。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱伝導性、電気絶縁性を有する絶縁高熱伝導性シート、およびその製法、さらには、それを用いた積層体に関する。さらに詳しくは、絶縁信頼性を確保しつつ、接着性を有し、さらに電子基板や半導体チップ、電力制御用半導体チップ、光源などの発熱体から効率的に熱を拡散し得る絶縁高熱伝導シートに関する。
近年、電子機器の薄短小化、高出力化に伴う発熱密度の増加により、放熱対策の重要性が高まっている。電子機器の熱トラブルを軽減するためには、周辺部材に悪影響を及ぼさないよう機器内で発生した熱をすみやかに冷却材や筐体等へ逃がすことが重要であり、特定方向への熱伝導が可能な部材が求められる。また、冷却材や筐体への漏電による不具合を防ぐ為、多くの場合において熱伝導部材には電気絶縁性も求められる。
熱伝導シートの場合、熱源と冷却材の間に挟んで使用するため、主にシートの厚さ方向に高い熱伝導性が要求される。異方熱伝導性を発現するためには熱伝導フィラーの熱伝導方向を厚さ方向に配向させる必要がある。
一方で、熱伝導フィラーを分散させることで、熱伝導性が向上する替わりに、電気絶縁性が低下してしまい、両者はトレードオフの関係となるためにそのバランスが重要となる。また前記記載の熱伝導シートは発熱元や冷却材との界面の密着性が重要となり、界面の密着性の低下は熱伝導性や電気絶縁性に大きく寄与するため、より密着できる材料の開発が求められる。
このような熱伝導シートとしては、例えば、特許文献1には、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂と相溶性でありかつ重量平均分子量が2万以上の高分子量樹脂、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下である高分子量樹脂および無機フィラーを含有し、樹脂100体積部に対して無機フィラーが30〜130体積部である熱伝導性接着剤組成物からなる熱伝導性接着フィルムが開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示の熱伝導性接着フィルムは、樹脂中に熱伝導性の無機フィラーが高充填されることで高い熱伝導性を有するものであるものの、表面接着性が不十分になるという問題があった。
一方、特許文献2では、高分子ポリマーと熱伝導性フィラーとを含有する絶縁性熱伝導シートであり、ガラス転移温度が50℃以下かつ、重量平均分子量が1万〜500万であり、フィラーの含有量が30〜90体積%であり、接着性に優れた絶縁性熱伝導シートが開示されており、使用した高分子ポリマーの組成を改良することで、接着性を付与させている。
また、特許文献3では、シート状黒鉛層の片面または両面に、ポリビニルアルコール層を介してシリコーンエラストマー層を設けてなる熱伝導性シートが開示されており、表面に配置したシリコーンエラストマー層が接着性を発揮している。
一般に熱伝導性のフィラーを分散させた場合、フィラー配合量が多いと、電気絶縁性が低下することが経験的に知られている。特許文献2および特許文献3では、接着性については説明されているが電気絶縁性については記載されていない。
また、熱伝導率を上げようとしてフィラー配合量を増やした場合、得られたシートが硬く脆くなるため、使用時において十分な耐久性が得られない恐れがある。
特許文献4では、強磁場を用いて、ポリマーマトリクス中に非球状の熱伝導性フィラーを配向させる方法と、熱伝導性フィラーのシートの厚さ方向への配向度が最も大きい部分を配向中心とし、当該配向中心を通りシート面に垂直な軸を配向中心軸とした際に、当該配向中心軸上の1点に向かって熱伝導性フィラーが配向している熱伝導性シートが開示されている。
本技術では、熱伝導性フィラーが厚さ方向に配向しているものの、熱伝導性評価における面内のばらつきが大きく、また配向が一点に集中するため、膜の機械的な特性においても、ばらつきが生じ、シート内の位置により機械的特性が異なるムラが生じるという問題があった。
特開平10−237410号公報 特開2008−277768号公報 特開2004−243650号公報 特許5788760号
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の目的は、均一性に優れ、かつ熱伝導性、電気絶縁性および接着性に優れた熱伝導性シート及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
[1]厚さ方向に貫通配向した絶縁性の高熱伝導性繊維およびバインダ樹脂を含有してなる高熱伝導性シートであって、高熱伝導シートを任意の位置にて面方向に対して垂直に切断した断面において、シート面に対する高熱伝導性繊維の傾きの平均値が80°以上100°以下であり、かつシート面に対して傾き60°から傾き120°の範囲の高熱伝導性繊維の本数が50%以上であり、傾き80°から傾き100°の範囲の高熱伝導繊維の本数が20%以下であることを特徴とする、絶縁高熱伝導シート。
[2]前記、シート面に対して60°から120°の範囲の傾きの高熱伝導性繊維の本数が75%以上であることを特徴とする[1]記載の絶縁高熱伝導シート。
[3]前記高熱伝導性繊維の貫通密度が50%を越える事を特徴とする[1]または[2]に記載の絶縁高熱伝導シート。
[4]少なくとも、接着剤を塗布した基材に静電植毛により高熱伝導性短繊維を直立させる工程と、該直立した高熱伝導性短繊維を加熱により接着固定する工程と、該基材に直立固定された高熱伝導性短繊維にバインダ樹脂を含浸させ該バインダ樹脂を固化させる工程を含み、さらにバインダ樹脂を固化させる工程中に厚さ方向に圧力を加える操作を行うことを特徴とする絶縁高熱伝導性シートの製造方法。
[5]前記基材より剥離した後に、両表面を研磨する工程を含む[4]記載の絶縁高熱伝導性シートの製造方法。
[6]前記[1]から[3]のいずれかに記載の絶縁高熱伝導シートの少なくとも片面に、未硬化の熱硬化性樹脂に熱伝導性フィラーを含有した樹脂層が配置された、接着性を有する絶縁高熱伝導シート。
[7]前記[6]に記載の、接着性を有する絶縁高熱伝導性シートの少なくとも樹脂層が形成された面に金属層を配置した積層体。
本発明は、電気絶縁性を確保しつつ半導体やLED等の発熱体から冷却材や筐体へ迅速に熱を逃がすための高熱伝導シートで有り、アスペクト比の高い繊維状の熱伝導フィラーが厚さ方向に配向し、なおかつ配向方向が局所的に集中する事無く、均等にバラツキを有する事により放熱の偏りや、一部に集中する事が無くスムースな放熱を実現すると共に、放熱の集中による接合部の部分的な損傷などが抑えられた信頼性の高い放熱機構を実現できる。
また、本発明の高熱伝導シートの製造においては、配向を一度厚さ方向に揃えた後に、配向にランダムさを与える目的でバインダ樹脂の硬化中に加圧を行うが、かかる加圧操作はフィラーの貫通密度を上げる効果を有しており、結果として厚さ方向の配向を乱しながらも熱伝導性能が向上するという驚くべき効果を導いている。
本発明の絶縁高熱伝導シートの構成を示す概略模式図である。
本発明は、厚さ方向に貫通配向した絶縁性の高熱伝導性繊維およびバインダ樹脂を含有してなる絶縁高熱伝導性シートである。
本発明では、高熱伝導シートを任意の位置にて面方向に対して垂直に切断した断面において、シート面に対する高熱伝導性繊維の傾きの平均値が80°以上100°以下であり、かつシート面に対して60°から120°の範囲の傾きの高熱伝導性繊維の本数が50%以上であり、傾き80°から傾き100°の範囲の高熱伝導繊維の本数が20%以下であることが必須である。
シート面に対する高熱伝導性繊維の傾きの平均値が80°以上100°の範囲から逸れた場合、高熱伝導性繊維の全体的な配向方向が傾いており、巨視的に見て熱伝導が一様でなくなる恐れがある。シート面に対する高熱伝導性繊維の傾きの平均値は好ましくは84°以上96°以下である。
シート面に対して60°から120°の範囲の傾きの高熱伝導性繊維の本数は50%以上であり、好ましくは60%以上、さらに好ましくは75%以上、なおさらに好ましくは85%以上である。シート面に対して60°から120°の範囲の傾きの高熱伝導性繊維の本数が所定の範囲に満たないと高熱伝導性繊維の厚さ方向への配向度が低く、厚さ方向の熱伝導性が低下する。
傾き80°から傾き100°の範囲の高熱伝導繊維の本数は20%以下であり、好ましくは25%以下、さらに好ましくは30%以下である。この範囲の高熱伝導性繊維の本数が所定の範囲を超えると、高熱伝導性繊維の配向方向が垂直に向きすぎ、ランダムさが低下し、結果として絶縁高熱伝導性シートの機械的強度が低下する。
本発明における高熱伝導性繊維の配向角およびその割合は後述の実施例の方法により評価することができる。
本発明の高熱伝導繊維は、電気絶縁性と高い熱伝導性を有する繊維であれば特に限定するものではなく、例えば、窒化ホウ素繊維、高強度ポリエチレン繊維、ポリベンザゾール繊維、芳香族ポリアミド繊維、などが挙げられるが、特に耐熱性を兼ね備え、入手が容易であるポリベンザゾール繊維が好ましい。ポリベンザゾール繊維としてはポリベンゾオキサゾール繊維、ポリベンゾチアゾール繊維、ポリベンゾイミダゾール繊維を用いる事が出来る。これら内、ポリベンザゾール繊維は市販品(東洋紡株式会社製 Zylon)を購入することが可能である。また別途絶縁手段を組み合わせる事でカーボン繊維を用いる事も可能である。
本発明の高熱伝導繊維の熱伝導性は20W/mK以上であることが好ましく、より好ましくは30W/mK以上である。熱伝導性が20W/mK以上であれば、シートへ成形した際に高い熱伝導性が得られる。
本発明の高熱伝導繊維はどの様な断面形状をとってもかまわないが貫通密度を上げることが容易である為、円形が好ましい。直径は特に限定しないが放熱対象の均一性の面から1mm以下が好ましい。繊維の長さは高熱伝導性シート(a)の厚さに応じて調節し、高熱伝導性シート(a)の厚さ方向に貫通していることが必須である。
バインダ樹脂は耐熱性や熱安定性に優れることが好ましく、バインダ樹脂を適切に選択することで、これらの物性を所望の範囲に調整することが可能である。また、発熱体との密着性を考慮して、柔軟性に優れる樹脂もしくは接着性を有する樹脂を選定することが好ましい。たとえば、柔軟性に優れる材質としては、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、EPDM、ポリカーボネート系樹脂が挙げられ、接着性を有する材質としては、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂の半硬化状態のものが挙げられる。柔軟性に優れる材質としては、特にヒートサイクルによる物性変化が少なく劣化しにくいシリコーン系樹脂が好ましい。接着性を有する材質としては、発熱体との接着界面での耐熱衝撃性の観点から衝撃吸収性の良いウレタン系樹脂が好ましい。また難燃性の材質を選択することで高熱伝導シート(a)に難燃性を付与することも可能である。
本発明の高熱伝導性シートは少なくとも以下の(3)〜(6)の工程を含む方法により製造可能であり、さらに(2)の工程を含むことが好ましく、(1)の工程を含むことがより好ましい。
(1) 前記高熱伝導繊維をバインダ樹脂とは異なる樹脂で被覆する、または電子線照射する工程、
(2)高熱伝導繊維を任意の長さに切断する工程、
(3)接着剤を塗布した基材に静電植毛により絶縁高熱伝導繊維を直立させる工程、
(4)直立した絶縁高熱伝導繊維を加熱により接着固定する、好ましくは接着固定しながらまたは接着固定した後に基材を収縮させる工程、
(5)基材に直立固定された絶縁高熱伝導繊維にバインダ樹脂を含浸させバインダ樹脂を硬化させる工程、
(6)基材より剥離またはそのままで両表面を研磨する工程。
静電植毛とは2つの電極の片方に基材、もう片方に短繊維を配置し、高電圧を印加することで短繊維を帯電させ基材側に投錨、接着剤により固定化するものである。
本発明における静電植毛は高い植毛密度を得られる静電植毛方法で行うことが好ましく、アップ法が好ましい。ダウン法は、静電引力により電気力線に沿って対抗電極へ引き付けられる短繊維に加え、重力により自然落下する短繊維も植毛されるため繊維の直立性に乏しくなる。その結果、傾斜して植毛された繊維により別の繊維の侵入が妨げられるため、高密度に植毛することが困難である。一方、アップ法は静電引力で引き付けられる短繊維のみが植毛されるため直立性が良好であり、高密度に植毛が可能である。
本発明の高熱伝導シートの厚さ方向および面方向の熱伝導率の比における平均値は1以上であることが好ましく、より好ましくは2以上であることが好ましい。前述の角度にコントロールすることで上記の熱伝導率の比を確保できる。バインダ樹脂の柔軟性や軽量性を損なうことなく高熱伝導性を実現するためには、熱異方性が高い、すなわち高熱伝導繊維の厚さ方向配向性が高く、比較的少量の高熱伝導繊維でも厚さ方向に高い熱伝導性を発現できることが好ましい。また熱伝導繊維の量を減らすことでバインダ樹脂と繊維の界面が少なくなり、その結果使用時に熱応力や外部衝撃が加わった際、これらの界面での剥離が起こり難くなり、長期耐久性に優れるシートとすることができる。熱伝導の比は高い程良いが本発明の手法においては実質上限が75程度となる。
本発明における静電植毛の電極間距離r(cm)と印加電圧V(kV)の積である電界強さEは式1の範囲内であることが好ましく、かつ、高熱伝導繊維の繊維長(mm)と繊度(D)の商aは式2の範囲内であることが好ましい。Eが式1の範囲以下では電界の強さが不十分であり高密度に植毛が行えない。Eが8以上では絶縁破壊が発生し静電植毛が正常に行えない。aが1.5以下では繊維のアスペクト比が大きくなり自重により直立性を維持することが困難になる。aが10.2以上ではアスペクト比が小さくなり繊維内での繊維軸方向の分極率が小さくなるため、高密度に植毛が行えない。
0.25a+3.37≦E≦8・・・式1
(r:電極間距離(cm)、V:印加電圧(kV)、E=V/r)
2≦a≦10・・・式2
(a:繊度(D)/繊維長(mm))
上述の範囲内において静電植毛を行うことで、高熱伝導繊維の最終的な貫通密度は30%を達成することが可能である。
植毛密度すなわち繊維の貫通密度は、印加電圧および電極間距離によってEを調整することにより制御可能である。あらかじめEと繊維の貫通密度の検量線を作成して、所望の貫通密度に適したEにて静電植毛することで調整できる。
上記工程上の接着剤の材質は後の研磨工程で除去可能であるため特に限定されるものではないが、より絶縁抵抗が低い方が静電植毛を高密度に行える点で好ましい。たとえば、アクリル樹脂水分散液が好適に用いられる。またはバインダ樹脂をそのまま用いてもかまわない。また、静電植毛において高い植毛密度を得るためには、静電引力を高める為に接着剤の塗工厚さは小さい方が好ましいが、投錨した繊維を固定可能な程度に大きい必要があるため、好ましくは10μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上30μm以下であることが好ましい。
本発明の基材は、静電植毛において高い植毛密度を得るためには、静電引力を高める為に絶縁抵抗が小さい材質が好ましい。またコスト低減のためにはバインダを固化したのちにシートを剥離可能な材質を選択することが好ましく、例えば金属箔、導電剤をコーティングしたポリエチレンテレフタレートフィルム、黒鉛シートを用いることができる。また、後の工程で基材を収縮させる場合は収縮可能なフィルムを用いる必要があり、例えば導電剤をコーティングした収縮性のポリスチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどを用いることが可能である。
本発明の製造工程において基材に直立固定された高熱伝導繊維にバインダ樹脂を含浸させバインダ樹脂を硬化させる工程は以下に示すいずれの方法でも可能である。(i)バインダ樹脂を何らかの溶媒に溶解、またはエマルジョンの状態で含浸し、加熱により溶媒を揮発させ固化させる方法、(ii)加熱により溶融した状態で含浸し、冷却により硬化させる方法、(iii)モノマーの状態で含浸し、加熱、もしくは紫外線、赤外線、電子線などのエネルギー線で硬化させる方法。
本発明ではかかるバインダ樹脂を固化させる工程中に厚さ方向に圧力を加える操作を行う。かかる加圧操作は、場合によっては材料の自重と大気圧による圧力でも良い場合がある。が、外圧を加えた方が工業的には好ましい。要するに樹脂硬化と同時に加圧プレスなりロールプレスを行う事が好ましい。ロールプレスは方向性が出やすいため採用には注意と詳細な条件出しが必要である。本発明では平板プレスを用いる事が好ましい。また樹脂の固化手段は平板プレスとの組み合わせが容易な固化手段が好ましい。
本発明におけるプレスとしては、上面から加圧するものであれば、いずれのものでも良く、かける荷重としては、0.5MPa以上8.0MPa以下であることが好ましい。さら1.0MPa以上7.0MPa以下であることがさらに好ましい。1.5MPa以上6.0MPa以下であることがより好ましい。0.5MPa以下であると、プレスの効果がみられず、結果として、配向角度に必要なばらつきが得られない。また8.0MPa以上になると、配向していた繊維を倒してしまい、配向角度が低くなり、熱伝導率が低下し好ましくない。
本発明では絶縁高熱伝導シートの片面ないし両面に研磨を行う事ができる。
本発明における研磨は、研削盤や研磨機、ラップ盤、ポリッシングマシーン、ホーニングマシン、バフ研磨機、CMP装置などが使用できる。基材より剥離して研磨しても、またはそのまま基材を含めて研磨しても製造可能である。
平滑面の表面粗度は研磨砥石または研磨紙の粒度により制御できる。使用するバインダ樹脂および高熱伝導繊維に材質により適切な粒度は異なるが、粒度を下げれば平滑性が向上する。
本発明における繊維の貫通密度は25%以上が好ましく、35%以上がなお好ましく、さらに繊維の貫通密度が50%を越える事が好ましい。25%以下であると、シート厚さ方向の熱伝導率が低下する。また、上限としては、80%である。円形断面の繊維を用いて貫通密度を70%以上にするためには直径の異なる熱伝導繊維を組み合わせて使用する必要があり、静電配向工程や樹脂含浸工程に時間を要するようになるため、貫通密度をさらに高くすることは難しい。
本発明における繊維の貫通密度は後述の実施例の方法により評価することができる。
引張破断強度比が0.8未満または1.2より大きい場合、膜面内の構造的な異方性があるため、どちらかに偏った構造であると考えられる。そのため、主要な物性値も異方性が現れ、均一な構造体とはいえない。
本発明における絶縁高熱伝導シートの引張破断強度は後述の実施例の方法により評価することができる。
本発明の高熱伝導性シートの厚さは10μm以上300μm以下が好ましく、より好ましくは50μm以上150μm以下である。10μmより薄くなるとシートの強度が低下し、ハンドリング性が悪くなる為好ましくない。また300μmを超えると熱抵抗が大きくなる為好ましくない。
本発明の絶縁高熱伝導シートは、前記高熱伝導シートの少なくとも片面の表層に、好ましくは両面に、熱硬化性樹脂に熱伝導性フィラーを含有した樹脂層を積層することができる。本樹脂層は絶縁高熱伝導シートに接着性を付与する。
該樹脂層は、の厚さは好ましくは50μm以下であり、40μmであることがより好ましく、30μm以下であるとさらに好ましい。厚さが薄くなるほど、熱伝導率は向上するため、薄い方が好ましいが、用いる熱伝導フィラーの粒径よりも薄くなると、電気絶縁性が低下する場合がある。
前記熱硬化性樹脂としては、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、及びポリエステル系樹脂から選択される一種、または複数の樹脂の配合物を好ましく用いることができる。
本発明の樹脂層に用いる樹脂のガラス転移温度は、−10℃以上60℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が−10℃未満であると、高温での接着性が不十分になる傾向がある。ガラス転移温度が60℃を超えると、基材との貼り合せが不十分になり、また常温での弾性率が高くなり、常温での接着性が不十分になる傾向がある。好ましくはガラス転移温度の下限は−5℃、より好ましくはガラス転移温度の下限は0℃、さらに好ましくは、ガラス転移温度の下限は5℃である。好ましい上限は55℃、より好ましい上限は50℃、さらに好ましい上限は45℃である。
本発明の樹脂層に用いる熱伝導性フィラーは、平均粒子径が10μm未満であり、熱伝導性が20W/mK以上であるものであれば特に制限はない。このような熱伝導性フィラーとしては、粉末状の黒鉛、炭化ケイ素、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、六方晶窒化ホウ素、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、チタン酸バリウム、等が挙げられる少なくとも一種が好ましい。中でも、セラミック系である窒化アルミニウムや窒化ホウ素などは、絶縁性という観点から、好ましく採用される。絶縁性が低い粒子であれば、分散量により電気絶縁性が劣る可能性もある。また、窒化アルミニウムやアルミナ、酸化亜鉛などは、粒子形状が球状であるため、分散性に優れ、高充填しやすくなるため、好ましく採用される。分散性が低い場合には、凝集して空気層が形成されることにより、得られるシートの電気絶縁性が劣る可能性がある。
樹脂層における上記熱伝導性フィラーの含有割合の下限は1質量%、上限は80質量%である。1質量%未満であると、本発明のシートに充分な熱伝導性が得られなくなり、80質量%を超えると、充分な電気絶縁性や接着性が得られなくなる。好ましい下限は30質量%、好ましい上限は70質量%である。
前記熱伝導性フィラーの平均粒子径については、10μm未満であることが好ましく、5μm以下であることがさらに好ましい。これは、平均粒子径が小さいほど、生成する凝集粒子が比較的小さいものとなり、凝集粒子を基点とする電気絶縁性の低下や、可とう性低下を抑制することができる。しかしながら、100nm未満の粒子サイズになると、得られたサンプル加工時に発生する粉塵による健康への影響が懸念される。
前記熱伝導性フィラーの熱伝導率は、20W/mK以上であることが好ましく、40W/mK以上であることがさらに好ましい。熱伝導性フィラーの熱伝導率が20W/mK未満である場合は、本発明の絶縁高熱伝導性シートに充分な熱伝導性が得られなくなるおそれがある。
本発明の樹脂層は、好ましくは上述したポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ樹脂から得られる一種ないし複数樹脂の混合物に、熱伝導性フィラー、および必要に応じて溶剤を、ニーダー、加圧ニーダー、混練ロール、バンバリーミキサー、二軸押し出し機などの一般的な混合手段を用いて混合することにより樹脂層用組成物を得て、その後に絶縁高熱伝導シートの所定の面に塗布、印刷するか、あるいは別途工程においてシート所に加工した後に、絶縁高熱伝導シート貼り合わせるなどの方法で形成することができる。
本発明の絶縁高熱伝導シートは、熱伝導率の下限が5W/mKである。5W/mK未満であると、本発明の絶縁高熱伝導シートを電力用半導体の放熱部材等に用いた場合に、その十分な放熱特性が得られない場合がある。熱伝導率の好ましい下限は、6W/mKである。熱伝導率は、高ければ高いほど好ましいため、上限は特にない。
なお、本発明の絶縁高熱伝導シート及び熱硬化性樹脂に熱伝導性フィラーを含有した樹脂層は、熱硬化樹脂を未反応状態で含有し、加熱などの反応促進する手段により被着体と接着することが可能となることが好ましい。
また、本発明の熱硬化性樹脂に熱伝導性フィラーを含有した樹脂層は、未硬化・硬化後のいずれかの状態において、好ましくはいずれの状態においても、熱伝導率の下限が1.5W/mKであることが好ましく、より好ましい下限は2W/mKである。
電気絶縁性は、絶縁破壊電圧で評価することができる。本発明の絶縁高熱伝導シートにおいて、絶縁破壊電圧の好ましい下限は3kVであり、より好ましい下限は3.5kVである。3kV未満であると、絶縁性が不十分となり、想定する半導体材料に用いることができない。絶縁破壊電圧は、高ければ高いほど好ましいため、上限は限定されない。
本発明の絶縁高熱伝導シートは、アルミニウムに対する接着力の下限が10MPaである。10MPa未満であると、被着体の熱膨張に追従できず、接着力が不足し、剥がれてしまう。好ましい下限値は15MPaである。接着力は、高ければ高いほど好ましいため、上限は限定されないが、あまりにも高くなり過ぎるとリペアの際に薄型チップや基板に貼り付けた際に、それらを破損することなくリペアすることが不可能となったりするので注意が必要となる。
なお、本発明の本発明の熱硬化性樹脂に熱伝導性フィラーを含有した樹脂層も上記と同様に、アルミニウムに対する接着力の下限が好ましくは10MPaであり、より好ましくは15MPaである。
本発明の絶縁高熱伝導シートは、その少なくとも片面に金属層が積層されてなる積層体とすることができる。積層させる金属層については、特に限定されない。金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。また、単金属であっても合金であってもよく、合金としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケルクロム合金、銅ニッケル合金及び銅チタン合金)などが挙げられる。中でも、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケルクロム合金、銅ニッケル合金、銅チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケルクロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は以下の通りである。
1.シートの厚さ
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1254D)を用いて測定した。
2.シートの熱伝導率
シート厚さ方向またはシート面方向の熱伝導率はそれぞれ、シート厚さ方向またはシート面方向の熱拡散率、シートの比熱、シートの密度を用いて以下の計算式により求めた。熱拡散率はベテル社製 熱物性測定装置サーモウェーブアナライザTA3を使用して測定した。
λ=α×Cp×ρ
(λ:熱伝導率(W/mK)、α:熱拡散率(m2/s)、Cp:比熱(J/gK)、ρ:密度(g/m3))
3.シートの熱伝導率比
シートの面方向に対する厚さ方向の熱伝導率は、任意の位置5点におけるシート厚さ方向および面方向の熱伝導率の各平均値を用いて以下の式により算出した。
シート面方向に対する厚さ方向の熱伝導率の比 =
(厚さ方向熱伝導率平均値)/(面方向熱伝導率平均値)
4.シートの電気絶縁性評価
多摩電測製、TW−516Lを用いて膜の電気絶縁性を評価した。
25℃、50%RH環境下にて48時間以上調湿したサンプルを準備し、25℃、50%RH環境下で、直径8mmの平板電極と直径25mmの平板電極との間に挟み、大気中にて交流電圧を印加し、シートが破壊するまで昇圧した。破壊した地点の電圧値を読み取った。
5.シートの接着力評価
接着力は、引張せん断強度(JISK6850)により評価した。
この評価法は、接着面に対して平行な引っ張りせん断荷重をかけその接着力を測定するものである。
作製した熱伝導シートを10mm×25mmの大きさに切り出し、アルミニウム製の試験片(25mm×100mm)に挟み、熱プレス法により試験片を作成した。
プレス条件については、180℃×1.0MPaの条件にて行った。
作製した試験片を、引張試験機(島津製作所製オートグラフ 機種名AG−Xplus)を用い、引張速度1mm/分、チャック間距離110mmで測定し、引張せん断強度を求めた。
6.熱伝導フィラーのサイズ評価
用いた粒子の粒径は、入手した先のカタログ値であるが、出来上がった樹脂シート中の粒子の粒径は、光学顕微鏡により表面および断面の観察を行い、含まれている粒子のサイズを計測した。
7.熱伝導性短繊維の貫通密度
シートにおける高熱伝導短繊維の貫通密度は、以下の方法により評価した。
(1)シート両表面の同じ座標位置を視野の中心とし、落射型光学顕微鏡の倍率20レンズで両表面を撮影する。
(2)各表面における撮影像中の繊維断面の個数を計測する。
(3)各表面における繊維の体積含有率を以下の計算式により算出する。

各表面における繊維の体積含有率 =
[(撮影像中の繊維断面の個数)×(繊維径から算出した繊維断面積)]
/(観察視野の面積)
(4)各表面における繊維の体積含有率のうち、より小さい値を貫通している繊維の体積含有率、すなわち貫通密度とした。
また、植毛密度は、植毛シートをエポキシ樹脂で包埋し、面方向研磨断面を顕微鏡観察して、上述と同様の計測方法により算出した。
8.高熱伝導性繊維の傾きおよびその割合
高熱伝導性繊維の傾きおよびその割合については、以下の方法により評価した。
(1)植毛シートをエポキシ樹脂で包埋し、研磨してシートの厚さ方向断面を出す。
(2)シートの厚さ方向断面を落射型光学顕微鏡の倍率20レンズで撮影する。
(3)繊維100本を無作為に選び平滑面に対する繊維長方向の角度を計測する。
(4)得られた角度データより、角度の平均値、60°以上120℃以下の配向角を有する繊維の本数、80°以上100°以下の繊維の本数を計数し、母数100本に対する%を求めた。
9.シートの引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度
測定対象の絶縁高熱伝導シートを、流れ方向(MD方向またはX方向)および幅方向(TD方向またはY方向)にそれぞれ50mm×10mmの短冊状に切り出したものを試験片とした。引張試験機(島津製作所製、オートグラフ(登録商標)、機種名AG−5000A)を用い、引張速度20mm/分、チャック間距離30mmの条件で、MD方向、TD方向それぞれについて、引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度を測定した。MD方向にて得られた引張破断強度をSxとし、TD方向にて得られた引張破断強度をSyとしたとき、Sx/Syで定義される引張破断強度比を算出し、膜面の構造異方性を評価した。
以下に具体的な実施例を述べる。
(実施例1)
<絶縁高熱伝導シートの製造例>
高熱伝導繊維として、ZylonHM(東洋紡製;繊維軸方向の熱伝導率は、60W/mK)を用い、長さ400μmに切断したものを調製した。バインダ樹脂溶液として、東洋紡製 飽和共重合ポリエステルウレタン溶液 UR3600/80.9重量部、東洋紡製飽和共重合ポリエステルウレタン溶液BX−10SS/12.0重量部、東洋紡製 エポキシ樹脂 AH−120/7.1重量部、メチルエチルケトン100重量部を混合した溶液を使用した。接着剤として、ポリビニルアルコールAH−26(日本合成化学社製)の10wt%水溶液を使用した。基材として、厚さ11μmのアルミニウム箔を使用した。正電極板上に基材を設置し、接着剤を厚さ25μmに塗工した。ここへ電極間距離3cm、電圧18kVで5分間静電植毛し、Zylon植毛シートを作成した。得られた植毛シートを80℃、1時間加熱し、接着剤を硬化させた。得られた植毛シートを井本製作所製プレス機にて挟みこみ、5.0MPaの圧力をかけてプレスした。
プレス後の植毛シートにバインダ樹脂溶液を含浸させ、真空脱泡したのち、140℃、24時間加熱固化させた。得られたシート両面を#2000の研摩紙で研磨し、厚さ100μmの絶縁高熱伝導性シートAを得た。得られた絶縁高熱伝導性シートの特性を表1.に示す。
(実施例2)
実施例1で示した絶縁高熱伝導シートを製造する際、植毛シートを作製後、バインダ樹脂を含浸し、真空脱泡したのち、プレス機にて挟み込んだこと以外は、実施例1と同様に作製し、絶縁高熱伝導シートBを得た。得られた絶縁高熱伝導性シートの特性を表1.に示す。
(実施例3)
実施例1で示した絶縁高熱伝導性シートを製造する際、用いた高熱伝導繊維をケブラー(東レデュポン製、アラミド繊維、繊維軸方向の熱伝導率は、60W/mK)を用いたこと以外は、実施例1と同様に作製し、絶縁高熱伝導シートCを得た。得られた絶縁高熱伝導性シートの特性を表1.に示す。
(実施例4)
実施例1で示した絶縁高熱伝導性シートを製造する際、プレス荷重を2.5MPaにしたこと以外は、実施例1と同様に作製し、絶縁高熱伝導シートDを得た。得られた絶縁高熱伝導性シートの特性を表1.に示す。
(比較例1)
実施例1で示した絶縁高熱伝導シートを製造する際、プレス工程を入れずに作製したこと以外は、実施例1と同様に作製し、絶縁高熱伝導シートEを作製した。得られた絶縁高熱伝導性シートの特性を表1.に示す。
(比較例2)
実施例1で示した絶縁高熱伝導性シートを製造する際、プレス荷重を8.5MPaにしたこと以外は、実施例1と同様に作製し、絶縁高熱伝導シートFを得た。絶縁得られた高熱伝導性シートの特性を表1.に示す。
(実施例5)
熱硬化性樹脂溶液として、東洋紡製 飽和共重合ポリエステル溶液 MT5140/100重量部、東洋紡製 エポキシ樹脂 SY−13/5.14重量部を混合した。この溶液に、熱伝導フィラーとして、平均粒径が0.5μmのアルミナを溶液質量%で70質量%となるように分散させた。用いたアルミナの熱伝導率は、40W/mKであった。作製した分散溶液を、ポリエチレン製シート上にアプリケーターを用いて塗布し、80℃で1時間乾燥させて、樹脂層Xを得た。樹脂層Xの厚さは、15μmであり、熱伝導率が2.3W/mK、銅に対する接着力が引張せん断強度で16MPaであった。
次いで、実施例1にて得られた前記高熱伝導シートAの両側に、前記樹脂層Xを配置し、ロールラミネーターを用いて、温度:140℃、圧力:0.35MPa、搬送速度:50cm/minで貼り合せた。貼りあわせた後、最外層のポリエチレン製のシートを剥がし、接着性を有する絶縁高熱伝導シートGを得た。得られたシートの評価結果を表1に示す。
(実施例6)
熱硬化性樹脂溶液として、東洋紡製 飽和共重合ポリエステル溶液 MT5140/100重量部、東洋紡製 エポキシ樹脂 SY−13/5.14重量部を混合した。この溶液に、熱伝導フィラーとして、平均粒径が0.7μmの窒化ホウ素粒子を溶液質量%で70質量%となるように分散させた。用いたアルミナの熱伝導率は、60W/mKであった。作製した分散溶液を、実施例2で得られた高熱伝導シートBの両側に、アプリケーターで乾燥膜厚が30μmとなるように塗布乾燥し、接着性を有する絶縁高熱伝導シートHを得た。得られたシートの評価結果を表1に示す。
本発明により、電子基盤や半導体チップ、光源などの発熱体から冷却材や筐体等へ迅速かつ異方的に熱伝導が可能となり、電子機器内への熱の充満が軽減される結果、電子機器や光源などの劣化を軽減して寿命を伸ばすことができ、産業界に大きく寄与することが期待される。

Claims (7)

  1. 厚さ方向に貫通配向した絶縁性の高熱伝導性繊維およびバインダ樹脂を含有してなる高熱伝導性シートであって、高熱伝導シートを任意の位置にて面方向に対して垂直に切断した断面において、シート面に対する高熱伝導性繊維の傾きの平均値が80°以上100°以下であり、かつシート面に対して傾き60°から傾き120°の範囲の高熱伝導性繊維の本数が50%以上であり、傾き80°から傾き100°の範囲の高熱伝導繊維の本数が20%以下であることを特徴とする、絶縁高熱伝導シート。
  2. 前記、シート面に対して60°から120°の範囲の傾きの高熱伝導性繊維の本数が75%以上であることを特徴とする請求項1記載の絶縁高熱伝導シート。
  3. 前記高熱伝導性繊維の貫通密度が50%を越える事を特徴とする請求項1または2に記載の絶縁高熱伝導シート。
  4. 少なくとも、接着剤を塗布した基材に静電植毛により高熱伝導性短繊維を直立させる工程と、該直立した高熱伝導性短繊維を加熱により接着固定する工程と、該基材Aに直立固定された高熱伝導性短繊維にバインダ樹脂を含浸させ該バインダ樹脂を固化させる工程を含み、さらにバインダ樹脂を固化させる工程中に厚さ方向に圧力を加える操作を行うことを特徴とする絶縁高熱伝導性シートの製造方法。
  5. 前記基材より剥離した後に、両表面を研磨する工程を含む請求項4記載の絶縁高熱伝導性シートの製造方法。
  6. 請求項1から3のいずれかに記載の絶縁高熱伝導シートの少なくとも片面に、未硬化の熱硬化性樹脂に熱伝導性フィラーを含有した樹脂層が配置された、接着性を有する絶縁高熱伝導シート。
  7. 請求項6に記載の、接着性を有する絶縁高熱伝導性シートの少なくとも樹脂層が形成された面に金属層を配置した積層体。
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