JP2017133216A - 無機材料の施工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易かつ早期に施工することを可能とした無機材料の施工方法を提案する。
【解決手段】既存コンクリート部材に繊維補強セメント複合材料を打ち継ぐ無機材料の施工方法であって、既存コンクリート部材の打ち継ぎ面に水を飽和させる飽和工程S2と、繊維補強セメント複合材料に対してスランプフロー試験を行う試験工程S3と、水が飽和された打ち継ぎ面に繊維補強セメント複合材料を打設する打設工程S4とを備えている無機材料の施工方法。
【選択図】図1
【解決手段】既存コンクリート部材に繊維補強セメント複合材料を打ち継ぐ無機材料の施工方法であって、既存コンクリート部材の打ち継ぎ面に水を飽和させる飽和工程S2と、繊維補強セメント複合材料に対してスランプフロー試験を行う試験工程S3と、水が飽和された打ち継ぎ面に繊維補強セメント複合材料を打設する打設工程S4とを備えている無機材料の施工方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、既存のコンクリート部材に打ち継ぐ無機材料の施工方法に関する。
超高強度繊維補強コンクリート(Ultra High Strength Fiber Reinforced Concrete:UFC)は、水結合材比が低く、また、繊維を含んでいるため、一般的に管理が難しい。そのため、超高強度繊維補強コンクリートは、工場生産等によるプレキャスト部材に使用されるのが一般的であった。
一方、超高強度繊維補強コンクリートは、緻密で高い強度を発現することから、部材の小断面化を図ることが可能であるとともに止水性に優れた構造物を構築することができる。そのため、超高強度繊維補強コンクリートを、既設コンクリート構造物の補修工や増設等、現場施工に適用することが検討されている。
なお、コンクリート等のセメント系材料は、既存のコンクリート部材に打ち継ぐと、既存のコンクリート部材の表面から水分が吸収されてしまうことが知られている。超高強度繊維補強コンクリートは、水結合材比が低いため、既存のコンクリート部材側に水分が吸収されると水和反応が不十分となり、必要な強度を発現しないおそれがある。
そのため、特許文献1には、既存のコンクリート部材の表面にエポキシ樹脂系の接着剤を塗布した後、この接着剤の上面に繊維補強セメント複合材料を打設する施工方法が開示されている。この施工方法によれば、既存コンクリート部材と繊維補強セメント複合材料との間に接着材が介設されているため、繊維補強セメント複合材料の水分が既存のコンクリート部材に吸収されることがなく、所望の強度発現を期待することができる。
接着剤をコンクリートの表面に塗布あるいは吹付ける際には、コンクリート表面が乾燥している必要がある。そのため、コンクリート表面が濡れている場合には、コンクリート表面が乾燥するまで作業を停止する必要や、強制的に乾燥させる必要がある。例えば、既設コンクリート構造物の補修工事等、コンクリート部材の一部をウォータージェットによりはつり取った後に補修材を打設する場合には、コンクリート部材の表面が乾燥するまで、接着剤を塗布することができない。また、屋外のコンクリート構造物に対して施工を行う場合には、作業が天候に左右されてしまう。
このように、接着剤を利用した従来の施工方法は、施工期間の短縮化に影響を及ぼすおそれがあった。
一方、バーナー等の加熱手段を利用して、コンクリートの表面の乾燥を促進させる場合は、作業に手間がかかるとともに設備費や人件費に費用がかかる。
一方、バーナー等の加熱手段を利用して、コンクリートの表面の乾燥を促進させる場合は、作業に手間がかかるとともに設備費や人件費に費用がかかる。
このような観点から、本発明は、簡易かつ早期に施工することを可能とした無機材料の施工方法を提案することを課題とする。
前記課題を解決するための本発明は、既存コンクリート部材に繊維補強セメント複合材料を打ち継ぐ無機材料の施工方法であって、前記既存コンクリート部材の打ち継ぎ面に水を飽和させる飽和工程と、水が飽和された前記打ち継ぎ面に繊維補強セメント複合材料を打設する打設工程とを備えていることを特徴としている。
かかる無機材料の施工方法によれば、打ち継ぎ面が水で飽和されているため、繊維補強セメント複合材料が水和反応に資するための水分が既存のコンクリート部材に吸収されることがない。そのため、繊維補強セメント複合材料は、水和反応が促進し、緻密で高強度な硬化体となり、ひいては、劣化因子の遮断性に優れた硬化体となる。また、無機材料の施工方法によれば、打ち継ぎ部の乾燥に要する手間や時間を省略することが可能なため、工期短縮化および費用の低減化を図ることができる。
なお、「繊維補強セメント複合材料」には、例えば、J−THIFCOM(登録商標)、サクセム(登録商標)、ダクタル(登録商標)、スリムクリート(登録商標)等のいわゆる超高強度繊維補強コンクリート(UFC)や高強度繊維補強モルタル等を使用すればよい。
前記飽和工程では前記打ち継ぎ面に水の層を形成し、打ち継ぎ面が確実に飽和された状態にした上で、前記打設工程において前記水の層に前記繊維補強セメント複合材料を流し込んでもよい。このとき、水の層の深さは、2mm以下が望ましく、より望ましくは1mm以上2mm以下の範囲内にすればよい。
既設コンクリート構造物の補修に本発明の無機材料の施工方法を採用する場合には、前記既存コンクリート部材の表面をはつり取って、前記打ち継ぎ面を形成するはつり工程を備えていればよい。
なお、前記無機材料の施工方法は、前記打設工程の前に、水中に設けられたフロー板を利用して、前記繊維補強セメント複合材料に対してスランプフロー試験を行う試験工程を実施することで、繊維補強セメント複合材料の性状を確認した上で施工を行うのが望ましい。
本発明の無機材料の施工方法によれば、簡易かつ早期に既存コンクリート部材に繊維補強セメント複合材料を打ち継ぐことができる。
本発明の実施形態では、既設のコンクリート床版の補修工事において、繊維補強セメント複合材料(無機材料)の硬化体によってコンクリート床版の表面を被覆することで、コンクリート床版への水、空気、塩等の劣化因子の浸透を抑制する場合について説明する。
本実施形態の無機材料の施工方法は、図1に示すように、切削工程S1、飽和工程S2、試験工程S3、打設工程S4および養生工程S5を備えている。
本実施形態の無機材料の施工方法は、図1に示すように、切削工程S1、飽和工程S2、試験工程S3、打設工程S4および養生工程S5を備えている。
ここで、本実施形態で使用する繊維補強セメント複合材料には、少なくとも、セメント、石灰石フィラー、シリカフュームからなる材料に補強用繊維、細骨材、減水剤、収縮低減剤、消泡剤および水を混練して生成された超高強度繊維補強コンクリートを使用するものとする。本実施形態では、このような超強度繊維補強コンクリートとして、J−THIFCOM(登録商標)を使用する。なお、繊維補強セメント複合材料に添加する材料は、前記のものに限定されない。
なお、繊維補強セメント複合材料には、J−THIFCOM(登録商標)の他、サクセム(登録商標)、ダクタル(登録商標)、スリムクリート(登録商標)等のいわゆる超高強度繊維補強コンクリート(UFC)が使用できる。
本実施形態では、既設のコンクリート床版の補修工事に使用する補修材として、超高強度繊維補強コンクリート(UFC)を採用するが、補修材は、床版としての十分な強度を有し、かつ、水や空気等の劣化因子が遮断可能な緻密性を有し、なおかつ、ひび割れ等の破損が生じることがない耐力を有した繊維補強セメント複合材料であれば限定されるものではない。
セメントには、普通ポルトランドセメントを使用する。なお、セメントは、普通ポルトランドセメントに限定されるものではない。例えば、早期の強度発現を求める場合には、早強ポルトランドセメントまたは超早強ポルトランドセメントを使用することができる。本実施形態では、混合体(超高強度繊維補強コンクリート7)1m3当たり350〜450Lの範囲内、好ましくは380〜420Lの範囲内でセメントを添加する。セメントの添加量が、混合体1m3当たり350L未満の場合は、十分な劣化因子の遮断性能を確保できなくなるおそれがある。また、混合体1m3当たり450Lを超えると、流動性を確保できなくなるおそれがある。
石灰石フィラーには、密度が27〜28g/cm3程度で、CaCo3(炭酸カルシュム)成分が95%以上の石灰石粉末を使用する。石灰石フィラーは、混合体1m3当たり100〜200Lの範囲内、好ましくは120〜180Lの範囲内で添加する。石灰石粉末は形状が良好であり、セメントペーストの流動性を改善する効果がある。なお、石灰石フィラーの添加量が、混合体1m3当たり100L未満の場合は、打設時の適度な流動性を確保できないおそれがある。また、石灰石フィラーの添加量が、混合体1m3当たり200Lを超えると、十分な劣化因子の遮断性能を確保できなくなるおそれがある。
シリカフュームには、直径0.1〜0.2μm程度のガラス質シリカ球状の超微粒子粉末を使用する。シリカフュームは、コンクリートの強度と耐久性の向上に寄与し、低水粉体比のコントロールにより、コンクリートの施工(混練時)の改善に有効である。シリカフュームは、混合体1m3当たり50〜100Lの範囲内、好ましくは60〜75Lの範囲内で添加する。シリカフュームの添加量が、混合体1m3当たり50L未満だと、粘性および材料分離抵抗性が低下し、所定の流動性が確保できなくなる。また、シリカフュームの添加量が、混合体1m3当たり100Lを超えると、混合体の化学組成バランスや粒度分布のバランスが崩れ、十分な劣化因子の遮断性能を確保できなくなる恐れがある。
補強用繊維には、直径0.15〜0.3mmで長さが6〜25mmの繊維を用いる。この場合の繊維は、金属製あるいは有機系繊維のいずれか一方、または、これらを組み合わせたものを使用すればよい。有機系繊維としては、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、炭素繊維などがある。
補強用繊維は、混合体の容積率で1〜6%の範囲で加える。補強用繊維の容積率が1%未満だと繊維の補強効果が減少し、十分な劣化因子の遮断性能が得られない恐れがある。また、補強用繊維の容積率が6%より大きいと、コンクリートの流動性が低下する恐れがあるとともに補強用繊維を均等に分散させることができなくなる恐れがある。繊維の単位量はひずみ硬化特性が低下しない範囲で混合体1m3当たり、好ましくは75〜315kg/m3、より好ましくは150〜240kg/m3である。
補強用繊維は、混合体の容積率で1〜6%の範囲で加える。補強用繊維の容積率が1%未満だと繊維の補強効果が減少し、十分な劣化因子の遮断性能が得られない恐れがある。また、補強用繊維の容積率が6%より大きいと、コンクリートの流動性が低下する恐れがあるとともに補強用繊維を均等に分散させることができなくなる恐れがある。繊維の単位量はひずみ硬化特性が低下しない範囲で混合体1m3当たり、好ましくは75〜315kg/m3、より好ましくは150〜240kg/m3である。
細骨材には、粒径0.05〜0.3mmの金属製細骨材(例えば、鉄粉)あるいは珪砂を用いる。なお、補強用繊維と細骨材を組み合わせることで練り混ぜ中の繊維の分散向上とファイバーボールを発生させないためのミキサー内全体の材料に対する比重の安定化に貢献する。細骨材の混入量はひずみ硬化特性が低下しない範囲で混合体1m3当たり、好ましくは75〜315kg/m3、より好ましくは150〜240kg/m3である。珪砂の場合の混入量は混合体1m3当たり、好ましくは25〜110kg/m3、より好ましくは50〜85kg/m3である。
減水剤には、リグニン系、ナフタレンスルホン酸系、メラニン系、ポリカルボン酸系、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤を用いることができる。減水剤の配合量は、モルタルの流動性、分離抵抗性、硬化後の強度および緻密性を考慮して、セメント10重量部に対して、好ましくは0.5〜7.0重量部、より好ましくは1.75〜2.5重量部である。混合体1m3当たりの減水剤の添加量は、好ましくは21〜48kg/m3、より好ましくは25〜40kg/m3である。
収縮低減剤には、化学式R1O(A10)mHで示される化合物を主成分とするものを用いる。化学式中R1は、水素又は炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキル基である。収縮低減剤の添加量は、モルタルの作業性、分離抵抗性、硬化後の強度やクラックの抵抗性を考慮して、セメント100重量部に対して、好ましくは0.5〜3.0重量部、より好ましくは1.1〜2.0重量部である。混合体1m3当たりの収縮剤の添加量は、好ましくは15〜35kg/m3、より好ましくは18〜27kg/m3である。
消包剤には、リン酸エステル系、シリコン系、ポリアルキレングリコール系、ポリオキシアルキレン系等が挙げられる。消包材はセメント100重量部に対して好ましくは0.1〜2.0重量部、より好ましくは0.5〜1.2重量部である。混合体1m3当たりの消包材の添加量は、好ましくは7〜16kg/m3より好ましくは8〜12kg/m3である。
水/結合材比は、モルタルの流動性や分離抵抗性、硬化後の強度や耐久性から15〜25質量%が好ましく、より好ましくは19〜22質量%とする。なお、水/結合材比が15質量%未満だと混練出来ないおそれがある。一方、水/結合材比が25質量%を超えると、十分な劣化因子の遮断性能を確保できないおそれがある。
本実施形態の混合体には、必要に応じて、膨張材・凝結促進剤、凝結遅延剤、増粘剤、合成樹脂粉末、ポリマーエマルジョン、ポリマーディスパージョン等を添加してもよい。
切削工程S1は、図2(a)および(b)に示すように、コンクリート床版(既存コンクリート部材)1の表面を切削する工程である。
コンクリート床版1の表面には、舗装2が敷設されている。なお、本実施形態の舗装2は、表層21と基層22とにより構成されているが、舗装構成はこれに限定されない。
コンクリート床版1の表面には、舗装2が敷設されている。なお、本実施形態の舗装2は、表層21と基層22とにより構成されているが、舗装構成はこれに限定されない。
切削工程では、ウォータージェットによりコンクリート床版1の表面をはつり取ることで、超高強度繊維補強コンクリートの打ち継ぎ面11を露出させる。なお、コンクリート床版1の切削手段はウォータージェットに限定されるものではない。
本実施形態では、路面切削機によって舗装2を切削・撤去してコンクリート床版1の表面を露出させた後、ハツリ機3を利用してコンクリート床版1の表面をはつる。ハツリ機3には、高圧水(ウォータージェット)を噴射するための複数のノズル(図示せず)が下向きに設けられている。また、ハツリ機3は、複数の車輪を備えており、コンクリート床版1上を走行可能に構成されている。
ハツリ機3による切削作業は、ポンプ車31から送水管32を介して圧送された高圧水をノズルからコンクリート床版1に向けて吹付けることにより行う。このとき、ハツリ機3を随時移動させることで、所定の範囲に対して切削を行う。
切削により発生した舗装2またはコンクリート床版1の切削物(ガラ)および排水は吸引除去する。本実施形態では、バキューム車4から延設されたバキューム管41の先端から吸引することでガラおよび排水をバキューム車4のタンクに回収する。
ガラの回収に伴い、必要に応じて切削面(打ち継ぎ面11)の表面を研磨、清掃する。
ガラの回収に伴い、必要に応じて切削面(打ち継ぎ面11)の表面を研磨、清掃する。
飽和工程S2は、図3(a)および(b)に示すように、打ち継ぎ面11に水を飽和させる工程である。
本実施形態では、打ち継ぎ面11の表面に水Wの層を形成することにより打ち継ぎ面11を飽和させる。
本実施形態では、打ち継ぎ面11の表面に水Wの層を形成することにより打ち継ぎ面11を飽和させる。
飽和工程S2では、まず、打ち継ぎ面11の周囲に型枠5を設置する。このとき、型枠5と床版1との当接面には隙間が形成されることがないように間詰処理を行うのが望ましい。なお、型枠5に使用する材料は限定されるものではなく、例えば、木板を使用すればよい。また、型枠5を設置する範囲は限定されるものではなく、適宜設定すればよい。例えば、打設工程において打設される補修材を製造する装置の能力(製造可能な補修材の量)に応じて設定すればよい。さらに、型枠5は必要に応じて設置すればよく、省略してもよい。また、型枠5は、切削工程の前に予め設置しておいてもよい。
次に、型枠5内に水Wを投入する。水Wの量は、コンクリート床版1の表面に深さが2mm以下、好ましくは1mm〜2mmの水Wの層が形成される量とする。なお、型枠5内の水Wには、切削工程S1において噴射された水が含まれていてもよい。また、水Wの層の深さは限定されるものではなく、適宜設定すればよい。
試験工程S3は、図4(a)および(b)に示すように、補修材である超高強度繊維補強コンクリート7の性状の確認することを目的として、スランプフロー試験を行う工程である。なお、試験工程S3を実施するタイミングは飽和工程S2後に限定されるものではなく、例えば、切削工程S1または飽和工程S2と並行して行ってもよいし、切削工程S1または飽和工程S2の前に行ってもよい。
スランプフロー試験は、水中に設けられたフロー板6上で行う。このときの水の深さは限定されるものではないが、本実施形態では2mm程度とする。また、本実施形態では、スランプフロー値が100mm〜350mm(目標スランプフロー値)の範囲内であることを確認する。なお、スランプフロー値が100mm〜350mmから外れる場合には、配合の再調整を行う。ここで、目標スランプフロー値は、超高強度繊維補強コンクリートを打設する構造物の部位等によって、適宜決定する。
超高強度繊維補強コンクリート7は、試験工程S3のタイミングに合わせて製造するのが望ましい。本実施形態では、施工現場の作業ヤード内に設置したミキサーM(図6参照)を利用して超高強度繊維補強コンクリート7を製造する。
ミキサーMの種類は限定されるものではないが、縦軸、横軸回転の機構を持ち、定格200〜400Vで、回転数45〜55ppm/minのものを使用するのが望ましい。本実施形態のミキサーMは、図6に示すように、側壁ブレードB1が1本、床ブレードB2が2本および棒状ブレードB3を4本有している。側壁ブレードB1、床ブレードB2および棒状ブレードB3は、ミキサーMの中心部に設けられた縦軸を中心に回転(公転)する。さらに、4本の棒状ブレードB3は、棒状ブレードB3同士の中心部に設けられた縦軸を中心に回転(自転)する。
超高強度繊維補強コンクリートは、まず、水、減水剤等の液状混和剤および補強用繊維を除いた材料を2分間混練する(空練り)。次に、水および液状混和剤を加えて10分から20分間混練する(本練り)。続いて、補強用繊維を加えて2分間混練して、超高強度繊維補強コンクリートを製造する。なお、超高強度繊維補強コンクリートの製造方法(手順は、これに限定されない。
打設工程S4は、図5(a)〜(c)に示すように、打ち継ぎ面11に超高強度繊維補強コンクリート7を打設する工程である。
超高強度繊維補強コンクリート7は、型枠5内に打設する。本実施形態では、ミキサーによって製造された超高強度繊維補強コンクリート7を、ホィール式トラクターショベル等の建設機械により打設箇所まで搬送した後、型枠5内に流し込む(図5(a)参照)
超高強度繊維補強コンクリート7は、型枠5内に打設する。本実施形態では、ミキサーによって製造された超高強度繊維補強コンクリート7を、ホィール式トラクターショベル等の建設機械により打設箇所まで搬送した後、型枠5内に流し込む(図5(a)参照)
型枠5内に超高強度繊維補強コンクリート7を流し込むと、超高強度繊維補強コンクリート7は分離することなく、型枠5内で流動する。このとき、型枠5内に滞留していた水Wは、超高強度繊維補強コンクリート7によって押しのけられる。そのため、水Wで飽和された打ち継ぎ面11の表面に超高強度繊維補強コンクリート7が当接した状態となる(図5(b)および(c)参照)。超高強度繊維補強コンクリート7は、流動性および自己充填性を有しているため、型枠5内に流し込むことで、型枠5内に均等に敷き均される(図5(c)参照)。
養生工程S5は、コンクリート床版1上に打設された超高強度繊維補強コンクリート7の養生を行う工程である。
超高強度繊維補強コンクリート7の養生はいわゆる普通養生にて行う。なお、養生工程では、天候や外気の気温等に応じてシートを被せる等して、表面の保護を行ってもよい。
超高強度繊維補強コンクリート7の養生はいわゆる普通養生にて行う。なお、養生工程では、天候や外気の気温等に応じてシートを被せる等して、表面の保護を行ってもよい。
本実施形態の無機材料の施工方法によれば、打ち継ぎ面11が水で飽和されているため、超高強度繊維補強コンクリート7の水分がコンクリート床版1に吸収されることがない。そのため、超高強度繊維補強コンクリート7は、水和反応が促進し、透気係数が0.001×10−16cm/sec以下の緻密で高強度な硬化体となる。また、緻密な硬化体が形成されるため、防水材や遮水材等を表面に設置する必要がない。
また、超高強度繊維補強コンクリート7は、補強用繊維の架橋効果によって、ひびわれが防止され、硬化体が高密度かつ高強度になる。そのため、超高強度繊維補強コンクリート7の硬化体は、塩化物イオン浸透深さが、JIS A 1171−2000試験方法で0以下であり、かつ、中性化深さがJIS A 1171−2000試験方法で0以下であり、いわゆる塩害による被害を抑制することができる。
また、はつり工程のウォータージェットによって打ち継ぎ面11が濡れている場合であっても、打ち継ぎ面11の乾燥に要する手間や時間を省略できるため、接着剤を使用する従来の施工方法に比べて工期短縮化および費用の低減化を図ることができる。また、はつり工程から打設工程へ連続して施工することができるため、工期短縮化を図ることができる。
超高強度繊維補強コンクリート7は、水中に設けられたフロー板6を利用して、性状が確認されているため、水Wの層に打設した場合であっても、流動性および充填性を確保し、かつ、必要な強度を発現する。
超高強度繊維補強コンクリート7は、水結合材比が小さい上に、緻密化されているため、水中で分離しない。また、水Wが超高強度繊維補強コンクリート7に吸収されて、水結合材比が大幅に変化することもない。
超高強度繊維補強コンクリート7は、水結合材比が小さい上に、緻密化されているため、水中で分離しない。また、水Wが超高強度繊維補強コンクリート7に吸収されて、水結合材比が大幅に変化することもない。
補修材として、超高強度繊維補強コンクリート7を使用しているため、従来の補修材に比べて、硬化体の強度が高く、薄肉化を図ることができる。そのため、橋梁等の上部工の軽量化が可能となり、ひいては、耐震性の向上を図ることができる。
以上、本発明に係る実施形態について説明した。しかし、本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
前記実施形態では、既設構造物の一部を切削(切削工程)した後、超高強度繊維補強コンクリート7を打ち継ぐ場合について説明したが、切削工程は必要に応じて実施すればよい。すなわち、例えば、前もって打設したコンクリート部材(新設構造物)に打ち継ぐ場合には、接合面に水を飽和させた状態で、新設の繊維補強セメント複合材料を打設してもよい。また、既設コンクリート部材の表面に増厚コンクリートを直接打設する場合にも本発明の無機材料の施工方法を採用してもよい。
補修工として本発明の無機材料の施工方法を採用する場合において、補修の対象となる構造物は床版に限定されるものではない。例えば、図7に示すように、橋脚を補修する場合に、無機材料の施工方法を採用してもよい。なお、橋脚を補修する場合には、橋脚の上面に限定されるものではなく、側面等の補修も可能である。なお、本実施形態の超高強度繊維補強コンクリート7は、試験工程において自己充填性に優れていることが確認されているため、既存コンクリート部材の側面や下面の打設する場合であっても、型枠内に充填することで、接合面に密着させることができる。
前記実施形態では、打ち継ぎ面に水の層を形成する場合について説明したが打ち継ぎ面は水で飽和されていればよく、必ずしも水の層を形成する必要はない。なお、水の層を形成することなく打ち継ぎ面に水で飽和する方法としては、例えば、打ち継ぎ面に対して水を張って(打ち継ぎ面に面して水を滞留させて)、十分に水を浸透させてから(完全飽和状態にしてから)水を除去すればよい。
切削工程において、打ち継ぎ面11を研磨して平坦にすることで、コンクリート床版1と超高強度繊維補強コンクリート7との接着性を高めてもよい。
打設工程では、超高強度繊維補強コンクリート7を水中に打設してから敷均してもよいし、超高強度繊維補強コンクリート7の一部のみが水中で残りが気中に有る状態で敷均してもよい。
打設工程では、超高強度繊維補強コンクリート7を水中に打設してから敷均してもよいし、超高強度繊維補強コンクリート7の一部のみが水中で残りが気中に有る状態で敷均してもよい。
試験工程は、必要に応じて実施すればよい。例えば、性状が確認されている配合の場合には、試験工程を省略してもよい。
また、繊維補強セメント複合材料の性状の確認は、水中におけるスランプフロー試験に限定されるものではない。例えば、気中においてスランプフロー試験を実施してもよい。
また、繊維補強セメント複合材料の性状の確認は、水中におけるスランプフロー試験に限定されるものではない。例えば、気中においてスランプフロー試験を実施してもよい。
本発明の無機材料の施工方法に使用する繊維補強セメント複合材料は、超高強度繊維補強コンクリートに限定されるものではない。例えば、繊維補強セメント複合材料として、繊維補強モルタルを使用してもよい。
また、繊維補強セメント複合材料の配合は、前記実施形態で示した配合に限定されるものではない。
また、繊維補強セメント複合材料の配合は、前記実施形態で示した配合に限定されるものではない。
1 コンクリート床版(既存コンクリート部材)
11 打ち継ぎ面
2 舗装
3 ハツリ機
4 バキューム車
5 型枠
6 フロー板
7 超高強度繊維補強コンクリート(繊維補強セメント複合材料)
11 打ち継ぎ面
2 舗装
3 ハツリ機
4 バキューム車
5 型枠
6 フロー板
7 超高強度繊維補強コンクリート(繊維補強セメント複合材料)
前記課題を解決するための本発明は、既存コンクリート部材に繊維補強セメント複合材料を打ち継ぐ無機材料の施工方法であって、前記既存コンクリート部材の打ち継ぎ面に水を飽和させる飽和工程と、水中に設けられたフロー板を利用して、前記繊維補強セメント複合材料に対してスランプフロー試験を行う試験工程と、水が飽和された前記打ち継ぎ面に繊維補強セメント複合材料を打設する打設工程とを備えている。
Claims (4)
- 既存コンクリート部材に繊維補強セメント複合材料を打ち継ぐ無機材料の施工方法であって、
前記既存コンクリート部材の打ち継ぎ面に水を飽和させる飽和工程と、
水が飽和された前記打ち継ぎ面に繊維補強セメント複合材料を打設する打設工程と、を備えていることを特徴とする、無機材料の施工方法。 - 前記飽和工程において、前記打ち継ぎ面に水の層を形成し、
前記打設工程では、前記水の層に前記繊維補強セメント複合材料を流し込むことを特徴とする、請求項1に記載の無機材料の施工方法。 - 前記既存コンクリート部材の表面を切削して、前記打ち継ぎ面を形成する切削工程を備えていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の無機材料の施工方法。
- 前記打設工程の前に、水中に設けられたフロー板を利用して、前記繊維補強セメント複合材料に対してスランプフロー試験を行う試験工程を備えていることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の無機材料の施工方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016013248A JP5974346B1 (ja) | 2016-01-27 | 2016-01-27 | 無機材料の施工方法 |
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