JP6191936B1 - コンクリート施工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】手作業で均す場合と比べて、短時間で一度に均す範囲を広くするとともに、十分な強度でコンクリートの表面をきれいに仕上げるコンクリート施工法を提供する。【解決手段】コンクリート施工法は、2本のレール上において回転駆動式チューブローラ10をレール20に沿って移動させて2本のレール間の硬化前のコンクリートUCを均す第1均し工程と、第1均し工程で均した硬化前のコンクリートの表面を振動式タンピング機を用いてタンピングする第1タンピング工程とを具備する。【選択図】図1

Description

本発明は、平面(床面)および法面(傾斜面)の両方において、硬化前のコンクリートを流し込んで均してから硬化させるコンクリート施工法に関する。
従来、硬化前のコンクリートの表面と接触する均し板と、均し板に搭載された振動発生手段と、均し板に取り付けられた操作ハンドルとを備えた均し装置を用いてコンクリートの表面を平準化する均し工程と、プロペラ状の動力式回転鏝を有する平面均し機と、平板状の仕上げ鏝と、仕上げ鏝をコンクリートの表面へ押圧する重錘とを備えた仕上げ装置を用いてコンクリートの表面を仕上げる仕上げ工程とを備えた床面施工法が知られている(例えば、特許文献1)。
特許3913263号公報
しかしながら、上述した従来の床面施工法の均し装置を用いた均し工程は、コンクリートの強度を上げるために均し装置を振動させながらコンクリートを叩きながら均す所謂、タンピング工程であり、硬化前のコンクリートがある程度均されてからでなければ、均し装置を使用できない。
そのため、生コンクリートを流し込む工程である所謂、生コンクリート打設工程の後、作業者がかき板やコンクリートを均す荒均し工程、および作業者が木製の直線定規をコンクリートに当ててきれいに均す定規擦り工程をする必要があり、その後に上述した均し装置を用いてコンクリートの表面を平準化する均し工程を行っていた。
均し装置を用いた均し工程よりも前工程では、広い範囲を施工する場合、多数の作業者が荒均し工程や定規擦り工程をする必要があり、少ない人数では短時間で広い範囲の生コンクリートをきれいに均すことが困難であるという問題があった。
そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、手作業で均す場合と比べて、短時間で一度に均す範囲を広くするコンクリート施工法を提供することである。
本請求項1に係る発明は、硬化前のコンクリートを流し込んで均してから硬化させるコンクリート施工法において、2本のレール上において回転駆動式チューブローラをレールに沿って移動させて2本のレール間の硬化前のコンクリートを均す第1均し工程と、前記第1均し工程で均した硬化前のコンクリートの表面を振動式タンピング機を用いてタンピングする第1タンピング工程とを具備することにより、前述した課題を解決するものである。
本請求項2に係る発明は、請求項1に記載されたコンクリート施工法の構成に加えて、前記第1均し工程の回転駆動式チューブローラの移動方向に対する回転方向が、移動方向に転がるときの回転方向と逆方向であり、前記回転駆動式チューブローラが、駆動手段によって逆方向に回転しながらレール上をスライド移動することにより、前述した課題をさらに解決するものである。
本請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載されたコンクリート施工法の構成に加えて、前記第1均し工程において、前記2本のレールが水平方向に対して傾いて設置され、前記回転駆動式チューブローラの移動方向が、斜面下方から斜面上方へ向かう方向であることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
本請求項4に係る発明は、請求項3に記載されたコンクリート施工法の構成に加えて、前記第1タンピング工程において、前記振動式タンピング機の移動方向が、前記斜面上方から斜面下方へ向かう方向であることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
本請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載されたコンクリート施工法の構成に加えて、前記2本のレールの内側には、レール延設方向に沿って弾性体が設けられていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
本請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載されたコンクリート施工法の構成に加えて、前記第1均し工程を2本のレールの外側で間隔を空けて複数箇所で行い、前記2本のレール間のコンクリートを硬化させるとともにレールを除去するレール除去工程と、前記レール除去工程の後に2ヶ所の硬化コンクリート間にコンクリートを流し込んで回転駆動式チューブローラを2ヶ所の硬化コンクリートに沿って移動させて2ヶ所の硬化コンクリート間の硬化前のコンクリートを均す第2均し工程とをさらに具備することにより、前述した課題をさらに解決するものである。
本請求項7に係る発明は、請求項6に記載されたコンクリート施工法の構成に加えて、前記第2均し工程で均した硬化前のコンクリートの表面を振動式タンピング機を用いてタンピングする第2タンピング工程をさらに具備することにより、前述した課題をさらに解決するものである。
本請求項8に係る発明は、硬化前のコンクリートを流し込んで均してから硬化させるコンクリート施工法において、施工面である平面に設置された2本のレール上において回転駆動式チューブローラをレールに沿って移動させて2本のレール間の硬化前のコンクリートを均す第1均し工程を具備することにより、前述した課題を解決するものである。
本請求項9に係る発明は、硬化前のコンクリートを流し込んで均してから硬化させるコンクリート施工法において、施工面である傾斜面の傾斜方向に沿って設置された2本のレール上において回転駆動式チューブローラをレールに沿って移動させて2本のレール間の硬化前のコンクリートを均す第1均し工程を具備することにより、前述した課題を解決するものである。
本発明のコンクリート施工法は、硬化前のコンクリートを流し込んで均してから硬化させることができるばかりでなく、以下のような特有の効果を奏することができる。
本請求項1に係る発明のコンクリート施工法によれば、2本のレールである所謂、アングル間の硬化前のコンクリートに対して回転駆動式チューブローラの平滑さおよび自重が作用して、手作業で均す場合と比べて、一度に均す範囲が広くなるとともに短時間で均されるため、コンクリートの表面をきれいに仕上げることができる。
つまり、従来の手作業による荒均し工程および定規擦り工程が不要になるため、作業者の人数を少なくするとともに短時間で広い範囲のコンクリートをきれいに均すことができる。
さらに、硬化前のコンクリートの内部に振動が加わって内部のエアーが表面に移動して表面から逃げてコンクリートの密度が高くなるため、コンクリートの強度を上げることができる。
また、硬化前のコンクリートの内部に振動が加わって内部の比重の大きい骨材が下方へ移動(沈降)するとともに比重の小さい余剰水が表面に移動して表面に浮いて、コンクリートの密度が高くなるため、コンクリートの強度を上げることができる。
つまり、タンピングにより、コンクリート内の良質なセメントペースト層をコンクリート表層に成形することができる。
さらに、第1均し工程および第1タンピング工程の両工程に機械が用いられて第1均し工程で均されたコンクリートの表面が硬化前に第1タンピング工程で素早く広範囲にタンピングされて、確実にコンクリートの内部のエアーおよび余剰水が逃げるため、短時間で広範囲にわたって施工した場合であっても、コンクリートの内部の細かい水の通り道やエアーだまりを無くしてクラックを発生しにくくすることができる。
本請求項2に係る発明のコンクリート施工法によれば、請求項1に係る発明が奏する効果に加えて、回転駆動式チューブローラの回転運動によって移動方向上流側から下流側へ余分な硬化前のコンクリートがかき出されるため、凹凸が少ないコンクリートの表面を容易に作成することができる。
本請求項3に係る発明のコンクリート施工法によれば、請求項1または請求項2に係る発明が奏する効果に加えて、2本のレール間の硬化前のコンクリートの余分な部分が斜面下方から上方へかき出されながら2本のレール間の硬化前のコンクリートの表面が均されるため、硬化前のコンクリートの表面が斜面下方へ流れてしまうことを回避できる。
本請求項4に係る発明のコンクリート施工法によれば、請求項3に係る発明が奏する効果に加えて、硬化前のコンクリートの水分は斜面上方から下方へ向かって流れて、斜面下方と比べて斜面上方の方が早く乾く傾向があり、早く乾く側から先にタンピングが行われるため、コンクリートの硬化前にエアーおよび余剰水を確実に逃がしてコンクリートのクラック発生を回避できる。
本請求項5に係る発明のコンクリート施工法によれば、請求項1乃至請求項4のいずれか1つに係る発明が奏する効果に加えて、第1均し工程のときは弾性体が硬化前のコンクリートから力を受けてレール幅方向に圧縮変形するが、2本のレールの内側のコンクリートが硬化してレール幅方向に収縮すると弾性体が元の形状に戻ろうとして、コンクリートの幅方向両端で2本のレールの外側に引っ張られる力が弾性体で緩和されるため、2本のレールを設置したことで発生する外側に引っ張られる力に起因するクラック発生を回避できる。
本請求項6に係る発明のコンクリート施工法によれば、請求項1乃至請求項5のいずれか1つに係る発明が奏する効果に加えて、第1均し工程で均した複数のコンクリートの幅方向端部が第2均し工程で2本のレールの役割を果たして、第1均し工程と同様に、手作業で均す場合と比べて、一度に均す範囲が広くなるとともに短時間で均されるため、コンクリートの表面をきれいに仕上げることができる。
本請求項7に係る発明のコンクリート施工法によれば、請求項6に係る発明が奏する効果に加えて、第1タンピング工程と同様に、硬化前のコンクリートの内部に振動が加わって内部のエアーが表面に移動して表面から逃げてコンクリートの密度が高くなるため、コンクリートの強度を上げることができる。
また、硬化前のコンクリートの内部に振動が加わって内部の比重の大きい骨材が下方へ移動するとともに比重の小さい余剰水が表面に移動して表面に浮いて、コンクリートの密度が高くなるため、コンクリートの強度を上げることができる。
本請求項8に係る発明のコンクリート施工法によれば、施工面である平面において、2本のレールである所謂、アングル間の硬化前のコンクリートに対して回転駆動式チューブローラの平滑さおよび自重が作用して、手作業で均す場合と比べて、一度に均す範囲が広くなるとともに短時間で均されるため、コンクリートの表面をきれいに仕上げることができる。
つまり、従来の手作業による荒均し工程および定規擦り工程が不要になるため、作業者の人数を少なくするとともに短時間で広い範囲のコンクリートをきれいに均すことができる。
本請求項9に係る発明のコンクリート施工法によれば、施工面である傾斜面において、2本のレールである所謂、アングル間の硬化前のコンクリートに対して回転駆動式チューブローラの平滑さおよび自重が作用して、手作業で均す場合と比べて、一度に均す範囲が広くなるとともに短時間で均されるため、コンクリートの表面をきれいに仕上げることができる。
つまり、従来の手作業による荒均し工程および定規擦り工程が不要になるため、作業者の人数を少なくするとともに短時間で広い範囲のコンクリートをきれいに均すことができる。
本発明の第1実施例のコンクリート施工法の第1均し工程の様子を示す斜視図。 (A)(B)は図1の符号2A、符号2Bから視た図。 本発明のコンクリート施工法のフローを示す図。 本発明の第1実施例の第1タンピング工程の様子を示す斜視図。 (A)(B)はタンピング前後のコンクリートの内部を示す概念図。 本発明の第1実施例の第1均し工程および第2均し工程の場所の関係を示す図。 本発明の第1実施例の第2均し工程の様子を示す斜視図。 本発明の第2実施例のレールを示す斜視図。 (A)(B)は図8の符号9−9で視たコンクリート硬化前および硬化後の断面図。
本発明のコンクリート施工法は、施工面である平面に沿って、または、傾斜面の傾斜方向に沿って設置された2本のレール上において回転駆動式チューブローラをレールに沿って移動させて2本のレール間の硬化前のコンクリートを均す第1均し工程を具備することにより、コンクリートの表面をきれいに仕上げるものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
例えば、レール(アングル)は、金属製パイプ、木製角材、コンクリート面の一部など、少なくとも一部が回転駆動式チューブローラと接触して回転駆動式チューブローラを移動方向へ案内するものであれば如何なるものであっても構わない。
また、振動式タンピング機は、少なくとも一部が振動することによって硬化前のコンクリートを叩く構成であればよく、コンクリートの表面を接触する箇所は、板状部の平面でもよいし、ローラ部の曲面でもよい。
以下に、本発明の第1実施例であるコンクリート施工法について、図1乃至図7に基づいて説明する。
ここで、図1は、本発明の第1実施例のコンクリート施工法の第1均し工程の様子を示す斜視図であり、図2(A)は、図1の符号2Aから視た平面図であり、図2(B)は、符号2Bから視た側面図であり、図3は、本発明のコンクリート施工法の概略のフローを示す図であり、図4は、本発明の第1実施例の第1タンピング工程の様子を示す斜視図であり、図5(A)は、タンピング前のコンクリートの内部を示す概念図であり、図5(B)は、タンピング後のコンクリートの内部を示す概念図であり、図6は、本発明の第1実施例の第1均し工程および第2均し工程の場所の関係を示す図であり、図7は、本発明の第1実施例の第2均し工程の様子を示す斜視図である。
本発明の第1実施例であるコンクリート施工法は、図1乃至図3に示すように、硬化前のコンクリートUCを流し込むコンクリート流し込み工程の後、均し工程を有している。
均し工程である第1均し工程は、図1乃至図2(B)に示すように、2本のレールである所謂、アングル上において回転駆動式チューブローラ10をレール20に沿って移動させて2本のレール間の硬化前のコンクリートUCを均す。
一例として、回転駆動式チューブローラ10は、回転軸部11と、駆動手段12と、回転チューブローラ部13と、ハンドル部14と、2本の牽引ロープ15、16とを備えている。
このうち、回転軸部11は、長尺に設けられ、回転チューブローラ部13の内部に挿通されている。
駆動手段12は、回転軸部11の一端側に設けられ、例えば、油圧によって回転チューブローラ部13が回転軸部11に対して回転するように両者間に力を加えるように構成されている。
回転チューブローラ部13は、駆動手段12から力を受けて回転し、本実施例では、回転駆動式チューブローラ10の移動方向に対してレール上を転がる回転方向と逆方向に回転する。
回転チューブローラ部13の幅は、1m〜30m程であり、直径は、10cm〜50cm程である。
ハンドル部14は、回転軸部11における駆動手段12が設けられている側に回転軸部11と一体に設けられている。
2本の牽引ロープ15、16のうち、1本の牽引ロープ15の一端側は、ハンドル部14と連結され、他端側は、作業者や牽引機によって引っ張られる。
もう1本の牽引ロープ16の一端側は、回転軸部11の他端と連結され、他端側は、作業者や牽引機によって引っ張られる。
本実施例では、土手斜面にコンクリート施工する場合について説明する。
図1に示すように、土手斜面において、斜面下方BLから斜面上方UPへ向かって2本のレール20が間隔を空けて互いに略平行に設置される。
そして、水平方向に対して傾いて設置された2本のレール20の間にコンクリートが流し込まれる。
作業者は、かき板やレーキなどで、施工面に対して大きな偏りが無いよう大まかに生コンクリートを敷き均す。
そして、レベル棒を用いてコンクリート施工のレベルを決め、2本のレール20をそのレベルに合わせる。
第1均し工程として、回転駆動式チューブローラ10を、2本のレール20における斜面下方側のレール上に置き、回転チューブローラ部13の両端近傍を、2本のレール20と接触させる。
そして、回転駆動式チューブローラ10を駆動させながら、2本の牽引ロープ15、16を引っ張って、回転駆動式チューブローラ10をレール20に沿って斜面下方BLから斜面上方UPへ向かってゆっくり移動させる。
これにより、2本のレール間の硬化前のコンクリートUCに対して回転駆動式チューブローラ10の平滑さおよび自重が作用して、手作業で均す場合と比べて、一度に均す範囲が広くなるとともに短時間で均される。
つまり、従来の手作業による荒均し工程および定規擦り工程が不要になる。
さらに、回転駆動式チューブローラ10の移動方向に対する回転チューブローラ部13の回転方向が、移動方向に転がるときの回転方向と逆方向であり、回転チューブローラ部13が、駆動手段12によって逆方向に回転しながらレール上をスライド移動する。
これにより、余分な硬化前のコンクリートUCは、回転チューブローラ部13の回転運動によって回転駆動式チューブローラ10の移動方向上流側から下流側(前方)へかき出される。
その結果、凹凸が少ない硬化前のコンクリートUCの表面を容易に作成することができる。
なお、斜面下方BLからコンクリートが均されていくので、斜面下方BLから斜面上方UPへ向かって均していく際、均されたコンクリートが斜面下方BLへ崩れてしまう虞がない。
つまり、斜面上方UPから斜面下方BLへ向かって均していくと、コンクリートが自重によって斜面上方UPから斜面下方BLへ向かって移動しようとするため、均されたコンクリートが崩れてしまう虞が生じるが、斜面下方BLから斜面上方UPへ向かって均していくことで、斜面下方BLのコンクリートが斜面上方UPのコンクリートを支えるため、均されたコンクリートが斜面下方BLへ崩れることを回避できる。
次に、硬化前のコンクリートUCの表面を叩いてコンクリートに振動を加えるタンピング工程を行う。
タンピング工程である第1タンピング工程では、振動式タンピング機30を用いる。
振動式タンピング機30は、一例として、タンピング板部31と、振動手段32と、ハンドルバー33とを備えている。
タンピング板部31は、横方向に長尺に設けられている。
タンピング板部31の横幅は、100cm〜300cm程であり、前後方向の長さは、15cm〜50cm程である。
振動手段32は、タンピング板部31の上に設けられ、タンピング板部31と一体にタンピング板部31の面に対して垂直方向に振動するように構成されている。
振動手段32は、エンジンによる構成でもよいし、充電式バッテリーを電源とした電動モータによる構成でもよい。
ハンドルバー33は、タンピング板部31と接続されている。
振動式タンピング機30が駆動しているとき、タンピング板部31は、振動によってコンクリート面から浮いた状態となるため、作業者は、1人でも容易に振動式タンピング機30を操作して移動させることができる。
タンピング前では、図5(A)に示すように、硬化前のコンクリートUCの中のセメントC1の内部に細かなエアーARや余剰水WTがある。また、硬化前のコンクリートUCの中の骨材C2の下方に余剰水WTが溜まりやすい。さらに、比重の違いによってセメントC1や骨材C2より比重の小さい水が上方へ移動しようとして、細かい水の通り道WPが形成されている。
振動式タンピング機30によって硬化前のコンクリートUCをタンピングすることにより、図5(B)に示すように、硬化前のコンクリートUCの内部に振動が加わって内部のエアーARが表面に移動して表面から逃げてコンクリートの密度が高くなる。
さらに、硬化前のコンクリートUCの内部に振動が加わって内部の比重の大きい骨材C2が下方へ移動(沈降)するとともに比重の小さい余剰水WTが表面に移動して表面に浮いて、コンクリートの密度が高くなる。
つまり、余剰水WTが表面に移動して表面に浮き、充分な締固め仕上げにより、余剰水を取り除き、レイタンス等コンクリート表層の脆弱部を除去し、良質なセメントペースト層をコンクリート表層に形成することにより、コンクリートの密度が高くなる。
その結果、硬化後のコンクリートCCの強度を上げることができる。
また、第1均し工程および第1タンピング工程の両工程に機械が用いられて第1均し工程で均されたコンクリートの表面が硬化前に第1タンピング工程で素早く広範囲にタンピングされて、確実にコンクリートの内部のエアーARおよび余剰水WTが逃げる。
その結果、短時間で広範囲にわたって施工した場合であっても、コンクリートの内部の細かい水の通り道WPやエアーARのたまりを無くしてクラックを発生しにくくすることができる。
本実施例では、コンクリート施工面が傾斜している。
第1タンピング工程において、振動式タンピング機30の移動方向が、斜面上方UPから斜面下方BLへ向かう方向である。
これにより、硬化前のコンクリートUCの水分は斜面上方UPから下方へ向かって流れて、斜面下方BLと比べて斜面上方UPの方が早く乾く傾向があり、早く乾く側から先にタンピングが行われる。
その結果、コンクリートの硬化前にエアーARおよび余剰水WTを確実に逃がして硬化後のコンクリートCCのクラック発生を回避できる。
施工位置基準において、タンピング工程の次に、硬化待ち工程、ノロ出し工程、フレスノや刷毛引きによる最終仕上げ工程、養生工程の順で行う。
硬化待ち工程の後、レール20を除去するレール除去工程を行う。
続いて、第1均し工程および第1タンピング工程を、位置をずらして行う。
具体的には、図6に示すように、回転駆動式チューブローラ10の幅を考慮して、2本のレール20の外側で所定間隔を空けた領域A1、領域A2、領域A3において、第1均し工程および第1タンピング工程を順に行う。
なお、領域A1、領域A2、領域A3の順で第1均し工程を行ってから第1タンピング工程を行う場合、領域A1における傾斜上下方向の上端から中央までタンピングし、次に、領域A2における傾斜上下方向の上端から中央までタンピングし、続いて、領域A3における傾斜上下方向の上端から中央までタンピングし、その後、領域A1における傾斜上下方向の中央から下端までタンピングし、次に、領域A2における傾斜上下方向の中央から下端までタンピングし、続いて、領域A3における傾斜上下方向の中央から下端までタンピングするとよい。
その後、領域A1、領域A2、領域A3において、コンクリートが硬化したら、領域B1、領域B2、領域B3において、第2均し工程を行い、その後、第1タンピング工程と同様に第2タンピング工程を行う。
図7に示すように、第2均し工程では、第1均し工程の2本のレール20を必要とせず、2本のレール20に代えて領域A1、領域A2、領域A3の硬化後のコンクリートCCの表面の一部を用いる。
本実施例では、第1均し工程を2本のレール20の外側で間隔を空けて複数箇所で行い、2本のレール間のコンクリートを硬化させるとともにレール20を除去するレール除去工程と、レール除去工程の後に2ヶ所の硬化コンクリート間にコンクリートを流し込んで回転駆動式チューブローラ10を2ヶ所の硬化コンクリート(CC)に沿って移動させて2ヶ所の硬化コンクリート間の硬化前のコンクリートUCを均す第2均し工程とをさらに具備する。
これにより、第1均し工程で均した複数のコンクリートが硬化し、これらの硬化後のコンクリートCCの幅方向端部が第2均し工程で2本のレール20の役割を果たして、第1均し工程と同様に、手作業で均す場合と比べて、一度に均す範囲が広くなるとともに短時間で均される。
その結果、硬化前のコンクリートUCの表面をきれいに仕上げることができる。
なお、第1均し工程と同様、回転駆動式チューブローラ10を斜面下方BLから斜面上方UPへ向かって移動させながら、回転チューブローラ部13を逆回転させるとよい。
さらに、本実施例では、第2均し工程で均した硬化前のコンクリートUCの表面を振動式タンピング機30を用いてタンピングする第2タンピング工程をさらに具備する。
これにより、第1タンピング工程と同様に、領域B1、領域B2、領域B3においても、硬化前のコンクリートUCの内部に振動が加わって内部のエアーARが表面に移動して表面から逃げてコンクリートの密度が高くなる。
さらに、硬化前のコンクリートUCの内部に振動が加わって内部の比重の大きい骨材C2が下方へ移動するとともに比重の小さい余剰水WTが表面に移動して表面に浮いて、コンクリートの密度が高くなる。
その結果、領域B1、領域B2、領域B3においても、硬化後のコンクリートCCの強度を上げることができる。
なお、第1タンピング工程と同様、斜面上方UPから斜面下方BLに向かって振動式タンピング機30を移動させるとよい。
以上のように、土手斜面にコンクリート施工する場合について説明したが、水平面にコンクリート施工してもよい。
また、コンクリート施工する場所は、屋外、屋内のいずれでもよい。
さらに、回転チューブローラ部13の回転方向は、回転駆動式チューブローラ10の移動方向に対してレール上を転がる回転方向と逆方向としたが、転がる回転方向と同じでもよい。
回転駆動式チューブローラ10の自重によって硬化前のコンクリートUCを均すことができるからである。
<参考事項>
カラクリート(登録商標)やフェロコン(登録商標)、ベスコン(登録商標)カラー、カラーハード(登録商標)EM等のセメント系仕上げ材の表面にクラックが発生する場合がある。
このクラックは、大別すると次の2つに分類される。
1.下地の影響ではなく、カラクリート(登録商標)やフェロコン(登録商標)等セメント系仕上げ材の表層に発生するクラック。
2.コンクリートやモルタル等、カラクリート(登録商標)等を施工する下地に入ったクラックが仕上げ材表面に表れたクラック。
この2種類のクラックの入る原因について解説し、防止または減少方法を説明する。
1.「カラクリート(登録商標)、フェロコン(登録商標)の材料のみに入るクラック」の発生原
(1)クラックの入り方は次に「(A)、(B)の2種」が挙げられる
(A)亀甲状のヘアークラックが無数に入る。
大きさはおおよそ一片2〜5cm程度、幅は微細で表層0.1mm程度に表れ内部には進行しない。
殆ど入っている事がわからない程度のクラック幅であるが、逆光による反射や水洗いしたときの水のしみ込み(光線と水の浸潤状態)で認められる非常に細微なクラック
(B)長さ5〜10cm、幅0.5〜1mm程度で比較的直線状に入る。
柱周りなどで床の動きを拘束される部分ではなく、何でもない平面に突然入る
(2)クラックの発生原因についての考
(A)亀甲状のヘアークラックの原因
ポルトランドセメントが完全に水和反応をするために必要な最低水分量は、使用ポルトランドセメント量の25%と言われている。
25%以上の水分は、全てセメントの反応には寄与しない余剰の水分になる。
このことを前提として、次に(a)、(b)が成り立つ
(a)セメントの水和反応による収縮(化学的収縮)
ポルトランドセメントに水を加えると水和反応を起こし硬化する。このときの水和反応は、収縮硬化である。すなわち、セメントと水との反応によって出来た生成物の容積は、反応しない前のセメントと水の合計容積よりも減少する。
このときの容積減少量は、化学的結合に要する水量(理論水量)の約25%に相当すると言われている。
セメントが硬化するための理論水量は、セメント量の約25%であることから、100gのセメントが、完全に水和するためには役25g(25cc)の水を必要とする。
この水量の25%、すなわち25×25%=6.25ccが、この反応プロセスによる容積減少となる。
混練直後は「セメント+水=125」であったが、反応後は「セメント+水=118.75」になった。
これは、水和反応により「水6.25」が使用され、減少していることを表している
(b)セメントの乾燥収縮(物理的収縮)
コンクリートやモルタルを作るときにはセメントの他に砂や砂利、砕砂や砕石などの骨材を混入する。
骨材の表面が水で濡れるために、骨材表面に吸着される水量は、配合にも左右されるが、おおよそセメント重量の約15%になると言われている。
反応には寄与せず、ただ骨材の表面を濡らすだけの自由水(ルーズな水という)として持っている。この自由水は、乾燥した空気中で全て蒸発する。
蒸発した水の容積分だけ容積減少となる。
この水の蒸発後の空隙を埋めようとする力が収縮力となる(物理的収縮)。
すなわち、理論水量(25%)+骨材表面吸着水(15%)=約40% がコンクリートを練るための最低のW/C(水セメント比)であるが、その内の15%は蒸発してしまう水である。
前記(a)化学的収縮(6.25%)と(b)物理的収縮(15%)の2つの収縮が合算され、セメントにはクラックが入る。収縮量は合計量、すなわちセメントの21.25%となる。
以上がカラクリート(登録商標)やフェロコン(登録商標)の表面に入る亀甲状のヘアークラックの発生メカニズムとなる。
この現象は、カラクリート(登録商標)やフェロコン(登録商標)のみに発生する現象のように考えられることがあるが、これはポルトランドセメントを使用している材料全て、例えば、普段のコンクリートやモルタル、成型品の舗道用コンクリート平板などにも当てはまる現象である。
コンクリートやモルタルに発生が見えないのは、表面が粗面なため目立ちにくくなっているだけである。特に、手で押さえるコンクリート面では、発生は殆ど見えない。
防止方法
上記の21.25%の収縮は理論水量に近いため防ぐことができないが、打設直後からの保水養生を丁寧に行いセメントの水和反応が十分に行える環境を整えれば、収縮した分をセメントの反応時に生成する反応性生物(エトリンガイトなど)が埋めるため、殆ど目立たなくなる。
この微細クラックが原因となり、下地コンクリートに影響を与えることはない
(B)長さ5〜10cm、幅0.5〜1mm程度で比較的直線状に入るクラックの原因
風や日差しなどの影響で仕上げ材表面の水が急激に蒸発した場合に発生するクラックである。プラスチックひび割れと称する。
まだ十分に固くなっていない施工直後〜硬化途上の材料中の水が主に風や太陽の日差しの影響で急激に蒸発した場合、表面にクラックとして入る。
材料の硬化収縮が大きいから入る、無収縮材だから入りにくいということではなく、材料の物性が出る前に入ってしまうクラックである。
この現象は、無収縮材料やコンクリートやモルタルでも急激に混練水が蒸発すれば起こる。
防止方法
「風や日差し防止対策が必要である」
初期に急激に水が蒸発させないこと、乾燥させないために風や日差しを防ぐことが大切である。
屋内では開口部を塞ぎ、ドア等からの風を目張りなどで防ぐなどの対策が重要である。
冬場は、ジェットヒーターなどの温風で入る場合がある。
ジェットヒーターの風で床が乾燥しないよう、噴き出しの風が床に当たらないように架台の上に置いたり、口を上に向け空間を暖める工夫が必要である。
屋外では積極的な風や日差し対策が取れないため、屋根壁をつけてからの打設をお勧めする。
上記(A)、(B)の2種が下地コンクリートやモルタルに影響ではなく仕上げ材のみに入るクラックである。
2.「コンクリートやモルタル等、下地のクラックが仕上げ材表面に表れたクラック」の発生原因
コンクリート等に入るクラックは配合(セメント量や水量、S/A)や配筋、建築物の構造、沈下、剥離など様々な要因の複合により発生するので一概に原因を特定することができない。
代表的な事柄を抽出して原因の考察と対策を列記する
(C)コンクリートの配合に起因するクラック
前述した(A)のようにコンクリートを混練するための水量は、理論水量25%と骨材吸着水量15%合わせて40%が最低水量となる(水セメント比 W/C)。
コンクリートは現場作業のポンプ圧送のしやすさや配り易さ等の施工性の目的からさらに水を追加して流動性を改良した後に打設している(水セメント比 65%が最大値)。
施工性改良のために入れた分を含めた数値と最低水量40%との差が余剰の水量になる。
例えばセメント量 300kg/立方メートルの場合
避けられない理論水量25%と骨材吸着水量15%、合わせて40%を基本と考えると
最低水量は(25+15=40%) 300×0.40=120kg
最大の水セメント比を考えると 300×0.65=195kg
すなわち、195−120=75kg が余剰水量である硬化に伴って蒸発する。
蒸発して出来た水の抜けた隙間を埋めようとする力が収縮力であり、クラックの一番の原因になる。
理論水量で考えるとさらに余剰水は多くなり
理論水量は(25%) 300×0.25=75kg
最大の水セメント比を考えると 300×0.65=195kg
すなわち、195−75=120kg が余剰水量となる。
吸着水の45kg+施工性のための余剰水の(0〜75kg)の合計水量=45〜120kgが蒸発・収縮しクラックの原因となる。
この数値を小さくした分だけ収縮も小さくなり、クラックが入りにくくなる。
防止方
(i)水セメント比(理論水量25%+吸着水15%)40%を超えた分の水量が余剰水になり、収縮の原因になるので施工に差し障りのない範囲で固練りコンクリート打設とする。
65%より60%、50%と水セメント比が少なくなれば、コンクリートの流動性が悪くなり施工性が落ちるが、収縮は小さくなりクラックの減少につながる
(ii)目地を設ける(土間コンクリートの場合)
「コンクリートは必ず収縮する」との考え方から、その収縮を自由に出させるのではなく定められた場所に誘導する目的で目地を設ける。
誘発目地(カッター目地)
水が蒸発することで起こる収縮クラックは防げないので、コンクリート打設の当日、または翌日にコンクリート表面にダイヤモンドカッターなどで深さ20〜25mm程度の切れ込みを入れ、断面欠損を作りクラックをこの切れ込みに集中させるような手法を取る。
この切れ込みが誘発目地(カッター目地)となる。
誘発目地の作成場所
柱芯、柱間の見栄えのよい箇所でおおよそ5m間隔でカッター切断し誘発目地を作成する。
誘発目地の作成は打設の当日〜翌日が適当であり、何日も経過した後ではすでにコンクリートの硬化に伴う収縮とひび割れが始まっているため誘発効果が少なくなる。
伸縮目地(エキスパンションジョイント)
大きな面積では誘発目地2〜4本に1箇所の割合で伸縮目地(エキスパンションジョイント)を設ける。これによりコンクリート版の伸縮を受け止める。
スラブコンクリート
スラブコンクリートは土間コンクリートと異なり、設計上定められたコンクリート厚を連続で確保しなくてはならないので、上記に挙げたような切れ込みを入れて断面欠損させることはできない。
柱や梁などの構造上で荷重などが許せれば、カッターで切断する厚み分をコンクリート打設時に厚く打ち(「ふかす」と表現する)その厚い分を切断するのであれば断面欠損作成も可能である
(iii)鉄筋量を増やす
無筋コンクリートは有筋コンクリートに、シングル筋やダブル筋にするなどの方策が有効である。
ただし、鉄筋を入れる目的はクラック防止ではなく、コンクリートの収縮を拘束することが目的である。入ったクラックを分散させ大きく口を開けることを防ぐ目的である。
固練りコンクリートや誘発目地の設置などとの組み合わせが必要である
(iv)真空コンクリート工法を採用
大気圧により余剰水を抜く真空コンクリート工法もひび割れ防止には有効である。
施工性確保のために理論水量(W/C 40%)より多く水を入れることは仕方がないが、打設直後にこの余剰水を抜いてしまう真空コンクリート工法を採用すれば固練りコンクリート打設と同じ効果が求められるので効果的である。
注意事項として、コンクリート表面を網下駄やスポンジスリッパで歩ける程度に締まらせてから、この工法を行っても十分な脱水は出来ず、また内部までの効果的な脱水は望めないので効果が少ない。この工法を効果的に行うのであれば打設直後の流動性のある、柔らかいコンクリートに行うことが必要である。
また、抜いた余剰水はセメントの影響で強アルカリ性(PH13程度)であるため、そのまま下水には流せない。中和した後に流すことが必要になる
(D)コンクリートの配合を変更してクラック要因を減らす
普通コンクリートの打設ではなく以下の方法もひび割れ防止には有効である
(i)ファイバーコンクリートの打設
コンクリート混練用ファイバー(繊維)の種類は「スチール繊維」、「ビニロン繊維」、「ナイロン繊維」、「ガラス繊維」等があるが、現場で使用されるのは分散能力の関係からスチール繊維が多い。
スチールファイバーは鉄筋量に比べ表面積が大きく、またコンクリートに混ぜ込んだ場合には三次元ランダムにファイバーが分散しているので、鉄筋よりさらに収縮の拘束力が強いとされているのでひび割れが入りにくくなる。
ただし、スラブコンクリートは、コストがかかる、空気量が増える、流動性が低下する、などの欠点もあるので使用には注意が必要である。
注意事項として、「エントラップエアー(混練時に巻き込んだ空気)」が増加するので、仕上げ材表面に空気ふくれが出る可能性が高くなる。ベースコンクリートの空気量をできる限り少なくして、打ち込み時にはタッピングを念入りに行う必要がある。
また、「流動性が3〜4cm低下」するため、軟らかなベースコンクリートにファイバーを添加する傾向にある。軟らかなコンクリートでは、ブリージングが増加するため、ファイバーを沈めるためのタッピング作業などで表面にレイタンスなどの脆弱層が厚くできる。仕上げ材の剥離につながる危険性があるので、配合上のベースコンクリートは基本の15cm程度を確保する必要がある(ファイバー混入後のコンクリートの、筒先スランプではない)。
ファイバー混入後の筒先のスランプを15〜18cmとすると、ベースコンクリートのスランプは20cm近くか、それ以上になる可能性が高いので、そのようなコンクリートは不可である
(ii)流動化コンクリートの打設
ひび割れ防止には、水セメント比を押さえた固練りコンクリートが有効である。
固練りコンクリートは、打設時の施工性が悪いので敬遠される傾向にある。流動化コンクリートは薬品により、一定時間流動性を確保したコンクリートである。
たとえば、 元のスランプ 8cm→ 流動化後のスランプ18cm
元のスランプ12cm→ 流動化後のスランプ18cm
等、ポンプ圧送に差し障りない軟らかなコンクリートになるが、30〜60分後には元のスランプに戻るコンクリートである。
たとえば、「元のスランプ8cm→ 流動化後のスランプ18cm」であれば、コンクリート混練時の水量はスランプ8cmの水量と同じなので固練りコンクリートとなりひび割れの少ないコンクリートが打設できる。
カラクリート(登録商標)などの散布型仕上げ材を施工する際の注意事項として、流動性を保っているのは打設前後の30〜60分の短時間である。その時間を過ぎると元のスランプの固いコンクリートに戻るので、作業者は「固練りコンクリートを打設している」との意識を持って作業者の手配や作業段取りを組まないと施工タイミングを逸してしまう危険性がある
(iii)膨張コンクリートの打設
膨張材を混入したコンクリートを打設する。
実際は「0を無収縮と考えた場合」、プラス(+)側に膨張させるのではなくコンクリートの収縮する分を見越して「限りなく0に近くなるように膨張材を添加し補償すること」を目的とする収縮補償コンクリートである。
水セメント比(理論水量25%+吸着水15%)40%を超えた分の水量が余剰水になり、収縮の原因になるが、その収縮する分を膨張材混入により補償する。
カラクリート(登録商標)などの散布型仕上げ材を施工する際の注意事項として、打設後の早期の水養生、保水養生が必要である。膨張過程では水分を必要とするので、仕上げ材を施工し表面に傷が付かなくなったら速やかに保水養生を行う。
「セメントにはなぜ骨材を入れるのか?」について
セメントを水のみで練ったものを「セメントペースト」という。
セメントペーストだけでもかなりの高強度が出る。
セメントペーストは、乾燥による収縮が極めて大きいので、ペーストだけで構造物を作ると
→乾燥収縮に伴うひび割れが発生
→硬化途中で発生する反応熱により、ひび割れが発生
→そのため、水がしみ込みやすくなり、鉄筋があれば錆びる
などの不具合がでる。
骨材を入れることによって全体の収縮量を小さくし、ひび割れ発生を抑制することができる
(A1)セメントペーストに砂を入れてモルタルとして使用
(A2)セメントペーストに砂と砂利を入れてコンクリートとして使用。
砂や砂利を入れると骨材分だけセメントペーストが少なくなる。また砂利の場合には骨材同士がぶつかるので収縮が抑制されるなどの利点がある。
セメントペーストよりモルタル、モルタルよりコンクリートの収縮が小さい。
「モルタルやコンクリートの概念」について
コンクリートやモルタルを混練すると
(B1)セメントが反応するために必要な水
(B2)骨材を濡らすための水(骨材周りに吸着される水)
(B3)作業性に適した流動性を得るために入れる水
の3種類が必要な水になるが、その内の(B2)と(B3)が余剰な水であり、クラックの原因にもなる。
混練直後では、セメントは骨材と密に接している。
そして、混練水(B2)および(B3)が蒸発し空隙が多くなる。
その後、水が蒸発した空隙に骨材やセメントが移動して埋める。これが収縮であり、クラックの原因である。固練りすると混練水が少ない分収縮も小さい。
均一に収縮すれば体積減少ですむが、様々な原因で拘束される部分ができて実際には均一ではないため、拘束部分と自由収縮部分の歪みがクラックの原因になる。
このようにして得られた本発明の第1実施例であるコンクリート施工法は、2本のレール上において回転駆動式チューブローラ10をレール20に沿って移動させて2本のレール間の硬化前のコンクリートUCを均す第1均し工程と、第1均し工程で均した硬化前のコンクリートUCの表面を振動式タンピング機30を用いてタンピングする第1タンピング工程とを具備することにより、硬化前のコンクリートUCおよび硬化後のコンクリートCCの表面をきれいに仕上げるとともに硬化後のコンクリートCCの強度を上げることができ、短時間で広範囲にわたって施工した場合であっても、コンクリートの内部の細かい水の通り道WPやエアーARのたまりを無くしてクラックを発生しにくくすることができる。
さらに、第1均し工程の回転駆動式チューブローラ10の移動方向に対する回転方向が、移動方向に転がるときの回転方向と逆方向であり、回転駆動式チューブローラ10が、駆動手段12によって逆方向に回転しながらレール上をスライド移動することにより、凹凸が少ない硬化前のコンクリートUCの表面を容易に作成することができる。
また、第1均し工程において、2本のレール20が水平方向に対して傾いて設置され、回転駆動式チューブローラ10の移動方向が、斜面下方BLから斜面上方UPへ向かう方向であることにより、硬化前のコンクリートUCの表面が斜面下方BLへ流れてしまうことを回避できる。
さらに、第1タンピング工程において、振動式タンピング機30の移動方向が、斜面上方UPから斜面下方BLへ向かう方向であることにより、コンクリートの硬化前にエアーARおよび余剰水WTを確実に逃がして硬化後のコンクリートCCのクラック発生を回避できる。
また、第1均し工程を2本のレール20の外側で間隔を空けて複数箇所で行い、2本のレール間のコンクリートを硬化させるとともにレール20を除去するレール除去工程と、レール除去工程の後に2ヶ所の硬化コンクリート間にコンクリートを流し込んで回転駆動式チューブローラ10を2ヶ所の硬化コンクリートに沿って移動させて2ヶ所の硬化コンクリート間の硬化前のコンクリートUCを均す第2均し工程とをさらに具備することにより、第1均し工程と同様に、硬化前のコンクリートUCの表面をキレイに仕上げることができる。
さらに、第2均し工程で均した硬化前のコンクリートUCの表面を振動式タンピング機30を用いてタンピングする第2タンピング工程をさらに具備することにより、第1タンピング工程と同様に、硬化後のコンクリートCCの強度を上げることができるなど、その効果は甚大である。
続いて、本発明の第2実施例であるコンクリート施工法について、図8乃至図9(B)に基づいて説明する。
ここで、図8は、本発明の第2実施例のレール20を示す斜視図であり、図9(A)は、図8の符号9−9で視たコンクリート硬化前の断面図であり、図9(B)は、図8の符号9−9で視たコンクリート硬化後の断面図である。
第2実施例のコンクリート施工法は、第1実施例のコンクリート施工法の2本のレール20の内側に弾性体を設けたものであり、多くの要素について第1実施例のコンクリート施工法と共通するので、共通する事項については詳しい説明を省略する。
図8に示すように、2本のレール20の内側には、レール延設方向に沿って弾性体の一例としてゴム部21が設けられている。
図9(A)に示すように、2本のレール20の間に生コンクリートを流し込み、第1均し工程で均したとき、ゴム部21は、硬化前のコンクリートUCから力を受け、押しつぶされるようにレール幅方向に僅かに圧縮変形する。
そして、図9(B)に示すように、2本のレール20の内側のコンクリートが硬化する際、コンクリートの内部の水分が抜けてコンクリートがレール幅方向に僅かに収縮する。
この際、ゴム部21は元の形状に戻ろうとして、コンクリートの幅方向両端で2本のレール20の外側に引っ張られる力が弾性体で緩和される。
その結果、2本のレール20を設置したことで発生する外側に引っ張られる力に起因するクラック発生を回避できる。
なお、本実施例のレール20は、断面四角形のパイプであるが、前述した実施例と同じ断面円形のパイプでもよい。
このようにして得られた本発明の第2実施例であるコンクリート施工法は、2本のレール20の内側には、レール延設方向に沿って弾性体としてのゴム部21が設けられていることにより、2本のレール20を設置したことでコンクリートが硬化する際の水和反応および余剰水の除去乾燥などによって収縮するときに発生する外側に引っ張られる力に起因するクラック発生を回避できるなど、その効果は甚大である。
10 ・・・ 回転駆動式チューブローラ
11 ・・・ 回転軸部
12 ・・・ 駆動手段
13 ・・・ 回転チューブローラ部
14 ・・・ ハンドル部
15 ・・・ 牽引ロープ
16 ・・・ 牽引ロープ
20 ・・・ レール
21 ・・・ ゴム部(弾性体)
30 ・・・ 振動式タンピング機
31 ・・・ タンピング板部
32 ・・・ 振動手段
33 ・・・ ハンドルバー
UC ・・・ (硬化前の)コンクリート
CC ・・・ (硬化後の)コンクリート
BL ・・・ 斜面下方
UP ・・・ 斜面上方
C1 ・・・ セメント
C2 ・・・ 骨材
WT ・・・ 余剰水
WP ・・・ 細かい水の通り道
AR ・・・ エアー

Claims (6)

  1. 硬化前のコンクリートを流し込んで均してから硬化させるコンクリート施工法において、
    2本のレール上において回転駆動式チューブローラをレールに沿って移動させて2本のレール間の硬化前のコンクリートを均す第1均し工程と、
    前記第1均し工程で均した硬化前のコンクリートの表面を振動式タンピング機を用いてタンピングする第1タンピング工程とを具備し、
    前記第1均し工程を2本のレールの外側で間隔を空けて複数箇所で行い、前記2本のレール間のコンクリートを硬化させるとともにレールを除去するレール除去工程と、
    前記レール除去工程の後に2ヶ所の硬化コンクリート間にコンクリートを流し込んで回転駆動式チューブローラを2ヶ所の硬化コンクリートに沿って移動させて2ヶ所の硬化コンクリート間の硬化前のコンクリートを均す第2均し工程とをさらに具備することを特徴とするコンクリート施工法。
  2. 前記第1均し工程の回転駆動式チューブローラの移動方向に対する回転方向が、移動方向に転がるときの回転方向と逆方向であり、
    前記回転駆動式チューブローラが、駆動手段によって逆方向に回転しながらレール上をスライド移動することを特徴とする請求項1に記載のコンクリート施工法。
  3. 前記第1均し工程において、前記2本のレールが水平方向に対して傾いて設置され、
    前記回転駆動式チューブローラの移動方向が、斜面下方から斜面上方へ向かう方向であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンクリート施工法。
  4. 前記第1タンピング工程において、前記振動式タンピング機の移動方向が、前記斜面上方から斜面下方へ向かう方向であることを特徴とする請求項3に記載のコンクリート施工法。
  5. 前記2本のレールの内側には、レール延設方向に沿って弾性体が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載のコンクリート施工法。
  6. 前記第2均し工程で均した硬化前のコンクリートの表面を振動式タンピング機を用いてタンピングする第2タンピング工程をさらに具備することを特徴とする請求項に記載のコンクリート施工法。
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