JP4298634B2 - ひび割れ防止方法およびそのセメント硬化体 - Google Patents
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Description
本発明でいうセメントコンクリ−トとは、セメントペースト、モルタル、及びコンクリートを総称するものであり、セメント硬化体とは、そのセメントコンクリートの硬化体を総称するものである。
なお、本発明における部や%は、特に規定のない限り質量基準で示す。
セメント硬化体のひび割れがなくならないことは、基本的には、セメントの引張強度が圧縮強度の1/10程度と低いことが原因である。
そして、適切な施工や正常な使用材料を使用しても、自己収縮や乾燥収縮によって、ひび割れが生じる場合があった。
そして、膨張材は、その水和反応に7日程度を要し、材齢初期のひび割れを完全に防止できない場合があった。
また、コンクリート表面に散布や塗布し、コンクリート表面を被覆する、エチレン−酢ビ共重合エマルジョンを含有する養生用封緘剤も提案されている(特許文献2参照)。
また、収縮低減剤を使用して、蒸発抑制被覆層を形成する方法では、施工前の材齢初期にひび割れを生じる場合や、材齢初期にはひび割れを生じなくても施工までの時間が長いと硬化コンクリートにひび割れが生じる場合があり、材齢初期に施工を充分にしなければならず、作業工程の増加と材料費用がかかるなどの課題があった。
そして、エチレン−酢ビ共重合エマルジョンをコンクリート表面に散布や塗布し、エマルジョン被覆で被覆する方法では、ひび割れを防ぐことができない場合があった。
乾燥収縮低減剤の基本構造は、ポリオキシアルキレン重合物を有し、末端に低級アルコール、フェノール、及びアミノ結合物を付加したものである。
具体的には、ポリプロピレングリコール、エチレンオキシドメタノール付加物エチレンオキシド・プロピレンオキシドブロック重合物、エチレンオキシド・プロピレンオキシドランダム重合物、グリコールのシクロアルキル基付加物、グリコールの両端にメチル基を付加した付加物、グリコールのフェニル基付加物、グリコールにメチルフェニル基を付加したブロック重合物、グリコールの両端にエチレンオキサイドメタノールを付加した付加物、及びグリコールにジメチルアミンを付加した付加物等が使用可能である。
乾燥収縮低減剤は、定規ずり作業前に原液換算で20〜300g/m2、最終仕上げ作業前に原液換算で5〜100g/m2散布する。
定規ずり作業前の散布量が、原液換算で20g/m2未満ではひび割れ防止効果が得られない場合があり、原液換算で300g/m2を超えると強度低下を生じる場合がある。
また、最終仕上げ作業前の散布量が、原液換算で5g/m2未満では仕上げ作業が困難な場合や、ひび割れ防止効果が得られない場合があり、原液換算で100g/m2を超えると表面に薄皮状のレイタンスを生じる場合がある。
乾燥収縮低減剤の水の希釈倍率は5倍以下である。5倍を超えるとひび割れ防止効果が得られない場合がある。
乾燥収縮低減剤の散布方法は、セメントコンクリート表面に均一に分散する方法であれば特に限定されるものではなく、施工面積により、噴霧器、噴霧機、及びじょうろなどを用いる方法がある。
減水剤としては、AE減水剤、高性能減水剤、及び高性能AE減水剤等が使用可能である。具体的には、AE減水剤としては、リグニンスルホン酸化合物、変性リグニンスルホン酸化合物、ポリオール、及びオキシカルボン酸化合物等が挙げられ、高性能減水剤としては、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物やメラミンスルホン酸のホルマリン縮合物等が挙げられ、高性能AE減水剤としは、ポリスチレンスルホン酸塩系、ヒドロキシポリアクリレート、αβ−不飽和ジカルボン酸とオレフィンの共重合体、ポリエチレングリコールモノアルケニルエーテルとマレイン酸系単量体、メタクリル酸単量体から導かれる共重合体、及びスチレン−アクリル酸エステル−マレイン酸系共重合体等のポリカルボン酸が挙げられ、一部架橋反応で高分子化したものや配向ポリマー、高変性ポリマーを含み、これらのうちの一種又は二種以上の使用が可能である。
減水剤の使用量は、セメント100部に対して、固形分換算で0.01〜4部が好ましく、0.05〜2部がより好ましい。0.01部未満では所定の流動性が得難い場合があり、4部を超えると分離や強度遅延を生じる場合がある。
混合や打設等は、JASS5 「鉄筋コンクリート工事」に規定されることに準拠し、コールドジョイントやジャンカを生じないように、ポンプ圧送の管理や締固めを行い、急速な打ち込み、打ち込み順序が不適切な打ち込みに注意し、硬化前に発生するのプラスチックひび割れを防止する必要がある。
本発明において、セメントコンクリートの表面仕上げ方法として、荒均し作業、定規ずり作業、及び最終仕上げ作業を行う。
荒均し作業とは、例えば、スコップやトンボなどを使用し、大雑把に、打設したセメントコンクリートの表面の凹凸を均すものであり、定規ずり作業とは、コンクリートの高さを決めるものであり、仕上げ精度に影響し、セメントコンクリート面に多少足跡がつくぐらいに固まった頃、例えば、トンボや木ゴテなどを使用して行い、さらに、セメントコンクリートの表面を均すものであり、最終仕上げ作業とは、定規ずり後に、硬化の状態を見ながら行うもので、トロウエルなどの機械コテや、木ゴテ、又は金ゴテなどを用いて所定の寸法精度を得る作業であり、コテむらなどを無くす金ゴテを使用して仕上げ面のむらの補正を行う場合がある。
各作業の平坦さは、部材の位置、形状、寸法、頻度、及び測定方法等により異なるが、例えば、ASTMでFナンバー法として最小値が規定されている、3mの直定規による凹凸の差が、荒均し作業では13mm以下、定規ずり作業では8mm以下、最終仕上げ作業では5mm以下とすることが行われている。
一般階のコンクリート打設は、壁、柱、及び梁等の断面の大きい箇所を床下まで先に打設し、コンクリートの落ち着きを待ってから、床のコンクリート打設が行われている。 そして、打設したコンクリートの硬化前に、該コンクリートの表面を、荒均し作業して、大雑把に凹凸を均し、続いて定規ずり作業を行い、最後に最終仕上げ作業を行う。
本発明では、定規ずり作業前と最終仕上げ作業前に、乾燥収縮低減剤を散布する。
なお、必要に応じ、コンクリートの凝結の程度を見計らいながら、打設したセメントコンクリート表面を、角材等を用いて叩いてタンピングを行い、締め固めを行う。
コンクリ−トのスランプフローは55cm、空気量は3.8%、及び温度は20℃であった。
調製したコンクリートを所定の型枠にいれ、上面から13mm下まで締固め作業し、荒均し作業を行い、次いで、表1に示す量の乾燥収縮低減剤を噴霧器を用い散布して、角材を用い、定規ずり作業を行い、さらに、コンクリートを追加して締固め、表面に表1に示す量の乾燥収縮低減剤を同様に散布して、木ごてや金ごてを用いて最終仕上げ作業を行い、供試体を作成した。
作成した供試体を用いて、圧縮強度と乾燥収縮を測定し、硬化後の表面状態を評価した。結果を表1に併記する。
セメント :普通ポルトランドセメント、市販品
減水剤 :高性能AE減水剤、ポリカルボン酸を主成分とする市販品
細骨材 :砕砂、山砂混合品5mm下、密度2.64g/cm3
粗骨材 :砕石、20mm下、密度2.71g/cm3
乾燥収縮低減剤イ:低分子量エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合物を成分とする市販品
乾燥収縮低減剤ロ:低級アルコールのアルキレン付加物を成分とする市販品
圧縮強度 :JIS R 5201に準じ、15cm×30cmのサミット缶を使用し、表面仕上げを行った後、24時間後脱型し標準養生を行い測定
長さ変化 :JIS A 1129-1 モルタル及びコンクリ−トの長さ変化試験方法、コンパレ−タ法に準じ、ポリエチレンシ−トを用いて、10cm×10cm×40cmの型枠とコンクリートの付着を切った中に、調製したコンクリ−トを入れて、表面仕上げを行った後、基長を測定し、20℃、60%RH、1面乾燥状態で測定
表面状態 :目視で微細なひび割れや表面剥離の有無を観察、微細なひび割れや薄皮がない状態を良好、微細なひび割れがないが薄皮が生じたものを薄皮、微細なひび割れが発生したものを微細とした。
コンクリ−トのスランプフローは60cm、空気量は3.6%、温度は26℃であった。
乾燥収縮低減剤イを5倍に希釈し、定規ずり作業前に原液換算で40g/m2散布し、定規ずりを行い、最終仕上げ作業前に原液換算で20g/m2散布し、最終仕上げ作業を行なった。その後、24時間後のひび割れ観察を行った。
比較のため、乾燥収縮低減剤を用いない場合、乾燥収縮低減剤と、エマルジョン被覆を利用するエマルジョン養生封緘剤の2倍液とを、表面仕上げ終了後に120g/m2塗布した場合も同様に行なった。
乾燥収縮低減剤を用いない比較例は、表面にひび割れ幅0.2mm、合計長さが2mのひび割れが生じ、硬化後に乾燥収縮低減剤を塗布する効果がなくなった。
また、乾燥収縮低減剤とエマルジョン養生剤を使用した比較例は、表面にひび割れ幅0.1mm、合計長さが1mと、ひび割れ幅0.2mm、合計長さが1mのひび割れが生じたが、乾燥収縮低減剤を散布した実施例は、ひび割れの発生はなかった。
エマルジョン養生封緘剤:微粒子タイプのアクリルエマルジョン、市販品
Claims (1)
- セメントコンクリ−トを打設し、荒均し作業、定規ずり作業、及び最終仕上げ作業を行い、打設した硬化前のセメントコンクリートを表面仕上げする際に、定規ずり作業前に、原液換算で20〜300g/m2で水の希釈倍率が5倍以下の乾燥収縮低減剤を散布し、及び、最終仕上げ作業前に、原液換算で5〜100g/m2で水の希釈倍率が5倍以下の乾燥収縮低減剤を散布することを特徴とするセメントコンクリート表面のひび割れ防止方法。
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