JP2017133135A - 消臭抗菌板紙、及び紙容器 - Google Patents
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Abstract
Description
又、抄紙工程で板紙中に消臭成分を配合する場合には、抄紙条件によっては消臭成分のパルプ繊維への歩留まりが低くなり、消臭効果が低下する場合がある。更に、食品容器用板紙においては、外観が白色である(色味がついていない)ことが好まれる場合があるが、板紙(表層)中に消臭成分を配合(内添)すると、紙の外観に色味が付くおそれがある。
しかしながら、消臭成分を含む液を板紙に塗布する場合、板紙の中心の層まで抗菌成分が到達せず、十分な抗菌性を得られないおそれがある。又、抄紙工程で板紙中に抗菌成分を配合する場合、抗菌成分のパルプ繊維への歩留まりが低下し、抗菌効果が低下する場合がある。
このように、従来の板紙では十分な消臭機能と抗菌機能を共に付与することが困難である。
前記金属イオンを0.4mg/g以上含むことが好ましい。
前記酸化セルロース繊維に対する前記金属イオンの含有量が10〜60mg/gであることが好ましい。
前記消臭抗菌板紙が2層以上の層を積層してなり、いずれの2つの隣接する層においても、少なくとも一方の層が前記金属イオン含有セルロース繊維を含むことが好ましい。
前記消臭抗菌板紙が内層、及び該内層の外側に積層されて表裏を形成する最外層を有し、前記最外層が前記金属イオン含有セルロース繊維を含まないことが好ましい。
消臭抗菌板紙は、上記金属イオン含有セルロース繊維と、他の繊維(パルプ繊維等)とを含む抄紙原料を抄紙してなる抄紙体であり、「抄紙体」であるとは、顕微鏡により繊維が絡み合った状態であることをいう。
そして、公知の抄紙法により消臭抗菌板紙を製造することができる。
又、消臭抗菌板紙が多層である場合、各層中の金属イオン含有セルロース繊維の含有量を、各層の厚みで加重平均した値を金属イオン含有セルロース繊維の含有量とする。
消臭抗菌板紙中の金属イオン含有セルロース繊維の割合が1質量%未満であると、消臭機能が低下し、金属イオン含有セルロース繊維の割合が多すぎるとコストアップとなる場合がある。消臭抗菌板紙中の金属イオン含有セルロース繊維の含有割合の上限は、例えば20質量%である。
金属イオンの含有量の上限は、例えば4.0mg/gである。
ここで、消臭性は、板紙が多層であっても、単純に板紙全体の金属イオンの量によって影響される。これは、臭い成分はガスであるので繊維構造体の各層を通り抜け、この際に金属イオンと接触すると、化学反応によって別の物質となって消臭されるためである。
一方、板紙が多層の場合、金属イオンの含有量が少なくて(又は金属イオンを含有せずに)抗菌性が低い層があるとその層で菌が増殖し、板紙全体の抗菌性が低下する。但し、自身の抗菌性が低くとも、隣接する層が抗菌性を有している場合は、隣接層から抗菌成分が浸透するので板紙全体の抗菌性を維持することができる。
このため、板紙の全層に金属イオン含有セルロース繊維(金属イオン)を含有させることが望ましい。
この場合、金属イオン含有セルロース繊維を含む層は、金属イオン含有セルロース繊維を1質量%以上含むことが好ましく、金属イオンを0.4mg/g以上含むことが好ましい。
従って、要求される抗菌性能、着色の抑制の必要性等に応じて各層のいずれに金属イオン含有セルロース繊維を含ませるかを決定すればよい。
リンググラッシュ値は板紙の横方向の圧縮強さであり、JIS P8126に従って測定する。
反応温度は4〜40℃が好ましく、室温がより好ましい。反応系のpHは8〜11が好ましい。酸化の度合いは、反応時間、N−オキシル化合物の量等により適宜調整できる。
このようにして得た酸化セルロース繊維は、表面に酸基が存在し、内部にはほとんど酸基は存在しない。これはセルロース繊維が結晶性であるため、酸化剤が繊維の内部にまで拡散しにくいためと考えられる。
酸基の含有量は、特開2008−001728号公報の段落0021に開示されている方法によって測定できる。すなわち、精秤した乾燥セルロース試料を用いて0.5〜1質量%のスラリー60mLを調製し、0.1mol/Lの塩酸水溶液によってpHを約2.5とする。その後、0.05mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して電気伝導度測定を行う。測定はpHが約11になるまで続ける。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階を示すまでに消費された水酸化ナトリウム量(V)から、下式を用いて酸基量X1を求める。
X1(mmol/g)=V(mL)×0.05/セルロースの質量(g)
金属化合物水溶液とは、金属塩の水溶液である。金属塩の例には、錯体(錯イオン)、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、および酢酸塩が含まれる。金属塩は水溶性であることが好ましい。
金属化合物の接触方法に関しては、予め調製したセルロース繊維の分散液と金属化合物水溶液を混合してもよく、セルロース繊維を含む分散液を基材の上に塗布して膜とし、当該膜に金属化合物水溶液を添加して含浸させてもよい。このとき、膜は基板上に固定されたままであってもよいし、基板から剥離された状態であってもよい。
金属化合物水溶液の濃度は特に限定されないが、セルロース繊維100質量部に対して10〜80質量部が好ましく、30〜60質量部がより好ましい。
金属化合物を接触させる時間は適宜調整してよい。接触させる際の温度は特に限定されないが20〜40℃が好ましい。また、接触させる際の液のpHは特に限定されないが、pHが低いと、カルボキシル基に金属イオンが結合しにくくなるため、7〜13が好ましく、pH8〜12が特に好ましい。
金属イオンとして、上記金属元素のイオンを用いることにより、抗菌機能が付与される。一方、セルロース繊維の酸基のすべてに金属粒子が結合しなくても良く、残存した酸基も臭い成分であるアンモニア等を中和することができ、消臭機能が発揮される。
金属イオンの含有量が10mg/g未満であると、金属イオン含有セルロース繊維による抗菌/消臭性能が低下することがある。
金属イオンの含有量が60mg/gを超えるものを製造することは、金属イオン含有セルロース繊維の収率の低下につながり、コストアップとなることがある。
乾燥重量で5.00gの未乾燥の針葉樹漂白クラフトパルプ、39mgの2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)及び514mgの臭化ナトリウムを水500mlに分散させた後、15質量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、1gのパルプ(絶乾)に対して次亜塩素酸ナトリウムの量が5.5mmolとなるように加えて反応を開始した。反応中は3MのNaOH水溶液を滴下してpHを10.0に保った。pHに変化が見られなくなった時点で反応終了と見なし、反応物をガラスフィルターにてろ過した後、十分な量の水による水洗、ろ過を2回繰り返し、固形分量15質量%の水を含浸させたTEMPO酸化セルロース繊維を得た。
このTEMPO酸化セルロース繊維はその表面にカルボキシル基またはカルボキシレート基を有する。金属イオンを含有する前のTEMPO酸化セルロース繊維の酸基量(酸化セルロース繊維1g当たり)を表1に示す。
なお、図2に、実施例に用いた金属イオン含有セルロース繊維の透過型電子顕微鏡像を示す。
次に、金属イオン(Cuイオン)の含有率が40mg/gである、金属イオン含有セルロース繊維と、パルプ(NBKP及びLBKP)とを、表2に示す配合比で配合したパルプスラリーを各紙層(表層、第2〜第4層)、裏層)別に調製し、多層抄きして各実施例、比較例の消臭抗菌板紙を製造した。消臭抗菌板紙の坪量を350g/m2とした。
<消臭性>
ガスバッグに10cm×10cmの消臭抗菌板紙サンプルを設置し、5ppmの硫化水素ガスを0.5L 注入後の消臭能力を官能評価した。比較として、ガスバッグに消臭抗菌板紙サンプルを設置しないブランク試験を行った。評価が◎、○であれば、実用上問題はない。
◎:まったく臭わない
△:臭気は低下しているが残臭がある
○:ほとんど臭気が気にならない
×:ブランクと同等の臭気が残る
<抗菌性>
JIS-L1902:2008に規定する「繊維製品の抗菌性試験方法及び抗菌効果 定量試験(菌液吸収法)」に従って評価した。数値(静菌活性値)が2.0以上であれば問題ない。
○:静菌活性値が2.0以上である。
×:静菌活性値が2.0未満である。
<外観>
板紙表面の金属イオンに由来する着色の有無を、表層(金属イオン含有セルロース繊維を含まない)の原料配合から得た手抄きシートと比べて目視観察し、この手抄きシートよりも着色しているものを着色「有」とした。
一方、金属イオン含有セルロース繊維の含有量が1質量%未満で、金属イオン(Cuイオン)の含有量が0.4mg/g未満である比較例3、4の場合、消臭機能が各実施例よりも大幅に劣った。
又、内層である第2〜第4層の隣接して連続する3層に金属イオン含有セルロース繊維を含有させなかった比較例1、2、4の場合、抗菌性が大幅に劣った。
10 衛生紙ロール(紙容器)
10x シート(衛生紙シート)
Claims (7)
- 表面にカルボキシル基又はカルボキシレート基を有する酸化セルロース繊維に対し、Ag、Au、Pt、Pd、Ni、Mn、Fe、Ti、Al、Zn及びCuの群から選ばれる1種以上の金属元素のイオンを含有してなる金属イオン含有セルロース繊維を含むことを特徴とする消臭抗菌板紙。
- 前記金属イオン含有セルロース繊維を1質量%以上含む請求項1記載の消臭抗菌板紙。
- 前記金属イオンを0.4mg/g以上含む請求項1又は2記載の消臭抗菌板紙。
- 前記酸化セルロース繊維に対する前記金属イオンの含有量が10〜60mg/gである請求項1〜3のいずれか一項に記載の消臭抗菌板紙。
- 前記消臭抗菌板紙が2層以上の層を積層してなり、いずれの2つの隣接する層においても、少なくとも一方の層が前記金属イオン含有セルロース繊維を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の消臭抗菌板紙。
- 前記消臭抗菌板紙が内層、及び該内層の外側に積層されて表裏を形成する最外層を有し、前記最外層が前記金属イオン含有セルロース繊維を含まない請求項1〜5のいずれか一項に記載の消臭抗菌板紙。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の消臭抗菌板紙から形成されてなる紙容器。
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