JP2017133056A - 電着塗装装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型の自動車部品に電着塗装を施す場合でも、塗装速度を高めつつ平滑性のある塗膜を形成することのできる電着塗装装置を提供する。
【解決手段】電着塗装装置Xは、長尺状の被塗装物41の全域を浸す電着塗装液2が収容され、被塗装物41の長手方向を上下方向として配置した電着槽1と、被塗装物41に接続された第1電極部4と、電着槽1の内部に配置され、第1電極部4とは対極となる第2電極部5と、被塗装物41の側方から被塗装物41に向かって電着塗装液2を噴出させる第1噴出部12と、電着槽1の下方から被塗装物41に向かって電着塗装液2を噴出させる第2噴出部13と、を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、電着塗装液を電着槽に流通させながら被塗装物を電着塗装する電着塗装装置に関する。
従来、自動車ボディなどの防錆性を確保するために、複雑な形状を有する部品でも均一な塗膜を形成することが可能なカチオン電着塗装装置が知られている(例えば、特許文献1〜2参照)。この電着塗装装置は、自動車ボディ(被塗装物)で構成される陰極と、電着槽内に配置される陽極とに電圧を印加することで、陰極で電気分解された水の陰イオンとカチオン電着塗装液とを反応させて、被塗装物に塗膜を析出させるものである。
特許文献1の電着塗装装置は、自動車ボディの内部にプロペラ攪拌機を配置し、当該内部にある電着塗装液を直接撹拌することで、ボディ内面付近の流速を高めながら、袋状部分は塗膜析出量が極大値付近となる流速に制御するものである。これによって、ボディ内面の膜厚を減少させて袋状部分の膜厚を増加させることができると記載されている。
特許文献2の電着塗装装置は、電着槽の液面直下と側壁とに複数の噴射ノズルなどを設置し、自動車ボディ表面の電着塗装液の流速を高め、膜厚を増加させるものである。また、特許文献2には、流速が変曲点以上になると、陰極で発生する水素ガスのガス抜け作用が促進され、ボディ表面の電気抵抗値が低下して膜厚が増加すると記載されている。
特開平10−237695号公報 特開2000−119897号公報
しかしながら、特許文献1の電着塗装装置は、電着塗装液の流速を高めるためにプロペラ攪拌機を設置する必要があり、装置が大型化してしまう。また、プロペラ攪拌機を被塗装物の内部に設置する技術では、小型の自動車部品に電着塗装を施す場合に設置スペースを確保できない。
一方、特許文献2のように電着槽の液面直下と側壁とに複数の噴射ノズルを設ける技術では、被塗装物の内部の流速を高めることが難しく、陰極で発生した水素ガスが塗膜に滞留してガスピンホールを招いてしまうおそれがある。特に、塗装速度を高めるために印加電圧を大きくした場合、水素ガスが大量に発生して塗膜破壊が発生し易い。その結果、被塗装物に対して所望の防錆性能を発揮することができない。
そこで、小型の自動車部品に電着塗装を施す場合でも、塗装速度を高めつつ平滑性のある塗膜を形成することのできる電着塗装装置が望まれている。
電着塗装装置の特徴構成は、長尺状の被塗装物の全域を浸す電着塗装液が収容され、前記被塗装物の長手方向を上下方向として配置した電着槽と、前記被塗装物に接続された第1電極部と、前記電着槽の内部に配置され、前記第1電極部とは対極となる第2電極部と、前記被塗装物の側方から前記被塗装物に向かって前記電着塗装液を噴出させる第1噴出部と、前記電着槽の下方から前記被塗装物に向かって前記電着塗装液を噴出させる第2噴出部と、を備えている点にある。
第1電極部では、電着塗装液が水の電気分解で発生するイオン(アニオン電着塗装では陽イオン、カチオン電着塗装では陰イオン)と反応して被塗装物に塗膜が析出される。その際、第1電極部では、気泡(アニオン電着塗装では酸素ガス、カチオン電着塗装では水素ガス)が発生する。この気泡が塗膜に滞留すると、塗膜抵抗が低下して放電することで塗膜が硬化し、焼付後にガスピンホールが形成されてしまう。特に、印加電圧が大きい場合は、塗膜抵抗が低下した部位で水の電気分解が促進されて気泡が大量に発生し、焼付後に被塗装物の表面にクレータ状の部位が形成される(塗膜破壊)。その結果、平滑性のある塗膜が形成されず、所望の防錆性能を発揮することができない。
しかしながら、本構成における第2噴出部は、電着槽の下方から被塗装物に向かって電着塗装液を噴出させる。このため、被塗装物の塗膜に存在する気泡は、電着塗装液によって上方へ離脱し、塗膜の外部に連れ出される。その結果、塗膜に気泡が滞留することがなく、塗膜破壊の発生を防止することができる。また、第1噴出部によって、被塗装物の側方からも電着塗装液を噴出させるので、被被塗装物の塗膜に存在する気泡の離脱を促進させる。
一方、被塗装物から連れ出された気泡が、被塗装物の塗膜に再付着するおそれがある。しかしながら、本構成では、被塗装物の長手方向を上下方向に配置し、第2噴出部が下方から上方に電着塗装液を流動させるので、気泡が被塗装物に干渉されることなく円滑に上昇する。その結果、塗膜に気泡が再付着する不都合が解消され、平滑性のある塗膜を確実に形成することができる。
このように、被塗装物の塗膜から速やかに気泡を除去することができるので、大きな電圧を印加しても気泡が滞留して塗膜を破壊させることがない。つまり、通常、印加電圧が大きいほど早く塗膜が形成される性質上、本構成では、従来に比べて印加電圧を大きくして塗装速度を高めることが可能となる。よって、本構成を採用することで、塗装速度を高めつつ平滑性のある塗膜を形成することができる電着塗装装置を提供できた。
他の特徴構成は、前記電着槽に隣接して設けられ、溢れた前記電着塗装液を収容する溜め部と、前記第1噴出部の上部に設けられ、前記電着塗装液を前記溜め部に向かって噴出させる第3噴出部と、を備えている点にある。
被塗装物の塗膜から連れ出された気泡は上昇して、電着槽の液面から緩やかに排出される。このとき、気泡が大量に発生した場合、排出効率が低下して被塗装物の周辺に気泡が逆流するおそれがある。本構成のように、溜め部に向かって電着塗装液を噴出させる第3噴出部を設ければ、電着槽の液面に滞留した気泡は溜め部の方に移動する。その結果、被塗装物の塗膜から除去された気泡を、被塗装物の周囲に逆流させることなく円滑に外部に排出することが可能となる。よって、塗膜に気泡が再付着することを防止して、平滑性のある塗膜をより確実に形成することができる。しかも、第1噴出部の上部に第3噴出部を設ければ、個別に第3噴出部を設ける必要がなく効率的である。
他の特徴構成は、前記第1噴出部は、前記電着槽の周方向に沿って複数設けられ、前記電着槽の下方から前記電着塗装液を噴出させて、夫々の前記第1噴出部の前記周方向に沿った間に上方流を発生させる第4噴出部を備えている点にある。
本構成のように、第2噴出部に加えて、下方から上方に電着塗装液を流動させる第4噴出部を設けることで、気泡の上昇速度を高めて塗膜に気泡が再付着することを確実に防止することができる。しかも、この第4噴出部によって電着塗装液が流動する方向は、第1噴出部の噴出領域に干渉しない領域である第1噴出部の周方向に沿った間に設定しているので、電着塗装液の流動方向が下から上へと一定化され、気泡を液面へと円滑に導くことができる。
他の特徴構成は、前記第1電極部および前記第2電極部に印加する電圧に応じて、前記第1噴出部および第2噴出部における前記電着塗装液の噴出速度を設定する制御部を備えている点にある。
被塗装物に形成する膜厚の目標値に応じて、印加電圧は設定される。電着塗装液の噴出速度を高めれば、塗膜に発生する気泡は確実に除去されるが、印加電圧が小さい場合は噴出速度を小さく設定しても塗膜破壊を防止することができる。そこで、本構成のように、印加電圧に応じて電着塗装液の噴出速度を設定すれば、消費電力を節約することができる。
他の特徴構成は、前記第1噴出部は、前記電着槽の側壁と前記被塗装物との中間よりも前記被塗装物の側に配置されている点にある。
本構成のように、第1噴出部を被塗装物の側に接近させることで、噴出された電着塗装液を被塗装物の側面に衝突させることが可能となる。その結果、被塗装物の塗膜に発生した気泡を強制的に除去することができる。
本実施形態に係る電着塗装装置の全体図である。 本実施形態に係る噴出部を示す斜視図である。 図1のIII−III矢視図である。 噴流速度と塗膜破壊が発生する電圧との関係図である。 噴流速度を変化させた場合における印加電圧と塗装速度との関係図である。 本実施例に係る被塗装物の外観写真である。 比較例に係る被塗装物の外観写真である。 別実施形態1に係る噴出部を示す斜視図である。 別実施形態2に係る噴出部を示す斜視図である。 別実施形態3に係る電着塗装装置を上方から見た図である。
以下に、本発明に係る電着塗装装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。本実施形態における電着塗装装置Xとして、ワーク41(被塗装物の一例)を陰極部4(第1電極部の一例)としてカチオン電着塗装液2(電着塗装液の一例)を電着塗装する一例を説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
図1〜図3には、電着塗装装置Xが示される。また、図4および図5には、電着塗装装置Xでカチオン電着塗装を実施した場合の、噴出速度指数−塗膜破壊の関係、印加電圧−塗装速度指数の関係をプロットした図が示される。なお、以下の実施形態で詳述する数値は一例であり、限定されるものではない。
[基本構成]
図1に示すように、電着塗装装置Xは、長尺状のワーク41の長手方向を上下方向として配置され、カチオン電着塗装液2が収容された電着槽1と、ワーク41に接続された陰極部4と、電着槽1の内部に配置され、陰極部4とは対極となる陽極部5(第2電極部の一例)とを備えている。また、溢れたカチオン電着塗装液2を収容する溜め部11が、電着槽1に隣接して設けられている。なお、本実施形態で電着塗装するワーク41としては、例えば座席のガイドレール、パイプ、ディビジョンバー(窓の仕切り部材)などの、防錆性や美観が要求される小型の自動車部品を想定している。つまり、ワーク41は、長尺状に形成され、長手方向に沿う貫通空間41aが中央に形成されている。
本実施形態における電着槽1の中央には、貫通空間41a(長手方向)が上下方向に沿うようにワーク41が固定されている。また、電着槽1には、カチオン電着塗装液2を導入する導入部3が底部中央付近に形成されている。この導入部3には、溜め部11のカチオン電着塗装液2をポンプPで循環させている。なお、導入部3や導入部3とは異なる箇所に、ワーク41の塗装が進みにつれて電着槽1から持ち出される塗料成分を補給するための補給部(不図示)を設けても良い。また、溜め部11のカチオン電着塗装液2を濾過して、導入部3に循環させても良い。
カチオン電着塗装液2は、アクリル樹脂、エポキシ系樹脂やエポキシ−ポリアミド系樹脂などに添加物、溶剤を含む陽イオン電解性樹脂を展色材(ビヒクル)とし、この陽イオン電解性樹脂に顔料を加えたものを水性媒体中に分散させて構成される。
陰極部4は、導電性のある係止部材42によってワーク41が係止された状態で、直流電源7と接続されている。図1に示すように、ワーク41は、電着槽1に収容されたカチオン電着塗装液2に、すべての領域が浸された状態となっている。
陽極部5は、ステンレスや炭素板などで構成され、図3に示すように、陰極部4の周方向に沿って等間隔に四つ配置されている。また、陰極部4と陽極部5とは、電極どうしの間隔L1を所定の距離(例えば5cm)に保って配置されている。
ところで、一般的な電着塗装工程において、カチオン電着塗装を施す前に、脱脂してリン酸塩系の表面処理を行う。次いで、カチオン電着塗装工程でワーク41に塗膜を形成した後、水洗工程を経て焼付工程を実施し、ワーク41の電着塗装が完了する。このカチオン電着塗装は、ワーク41に塗膜が順次形成される性質を有するので、所謂つきまわり性が高く、均一な膜厚を形成して所望の防錆性能を発揮することのできる優れた塗装方法である。
カチオン電着塗装工程において、水性溶媒中の水が電気分解して発生する水酸化物イオンと、陽イオン電解性樹脂中のアミノ基とが反応して、陰極部4のワーク41に水不溶性の塗膜が形成される。図5に示すように、陰極部4および陽極部5への印加電圧を上げれば、上記反応が促進して塗装速度が高まり、より増膜することが知られている。一方、陰極部4では、水素イオンが電荷を受け取り、水素ガスが発生する。このとき、電極部4,5への印加電圧を上げれば、ワーク41の塗膜内に多くの水素ガスが滞留し、塗膜の成長を阻害し易い。このため、塗膜抵抗が低下して放電することで塗膜が硬化し、焼付後にガスピンホールが形成されてしまう。
特に、電極部4,5への印加電圧を高めすぎた場合、水素ガスが大量に発生するので、焼付工程でワーク41の塗膜内に滞留している水素ガスが塗膜を破壊して、ワーク41の表面にクレータ状の部位が形成される。その結果、外観不良となって所望の防錆性能を発揮することができない。
この外観不良は、カチオン電着塗装液2の浴抵抗や電解度、陽極部5の形状や配置、ワーク41の材質や形状などの諸条件で異なるが、塗膜破壊は概ね230V以上から発生しやすくなる傾向がある。
そこで、本実施形態における電着塗装装置Xでは、ワーク41の側方からワーク41に向かってカチオン電着塗装液2を噴出させる第1噴出部12と、電着槽1の下方からワーク41の貫通空間41a(ワーク41の長手方向)に向かってカチオン電着塗装液2を噴出させる第2噴出部13とを設けている。また、これら噴出部12,13にカチオン電着塗装液2を分配する分配ボックス31が、導入部3に接続されている。この分配ボックス31がカチオン電着塗装液2を貯留するバッファ機能を有するので、噴出部12,13の噴出圧を適正なものに設定できる。
また、電着塗装装置Xは、ポンプPの吐出圧を制御して、分配ボックス31を介して噴出部12,13から排出されるカチオン電着塗装液2の噴出速度を制御する制御部8を備えている。
図2および図3に示すように、分配ボックス31の二つの側面には、夫々の第1噴出部12がL字管状に延出している。つまり、第1噴出部12は、電着槽1の周方向に沿って等間隔に複数(本実施形態では、二箇所)設けられ、互いに対向する第1噴出部12どうしの間隔L2は、所定の距離(例えば20cm)で設定されている。また、第1噴出部12は、ワーク41の側面に噴出孔部12aを所定のピッチ(例えば9cmピッチ)で形成している。なお、第1噴出部12は、一箇所又は三箇所以上でも良く、また不等間隔に設けても良い。
このように、第1噴出部12によって、ワーク41の側面にカチオン電着塗装液2を噴出させるので、ワーク41の側面の塗膜に存在する気泡が、カチオン電着塗装液2によって塗膜の外部に連れ出される。また、第1噴出部12は、電着槽1の側壁とワーク41との中間よりワーク41の側に配置されているのが好ましい。つまり、図1に示すように、第1噴出部12の内側とワーク41の外表面との間隔L3は、電着槽1の側壁の内面とワーク41の外表面との間隔L4の半分より小さく設定されているのが好ましい。その他に、第1噴出部12の内側とワーク41の外表面との間隔は、陰極部4の内面とワーク41の外表面との間隔より小さく設定されていても良い。このように、第1噴出部12をワーク41の側に接近させることで、噴出されたカチオン電着塗装液2をワーク41の側面に衝突させることが可能となる。その結果、ワーク41の塗膜に発生した気泡を強制的に除去することができる。
また、図2および図3に示すように、分配ボックス31は、中央上面に孔状の第2噴出部13を有している。この第2噴出部13は、一箇所であっても良いし、複数箇所設けても良い。つまり、ワーク41の貫通空間41aを上下方向に配置した状態で、第2噴出部13からカチオン電着塗装液2を貫通空間41aの内部に噴出させるものである。その結果、ワーク41の内部の塗膜に存在する気泡は、カチオン電着塗装液2によって塗膜の外部に連れ出される。その結果、塗膜に気泡が滞留することがなく、塗膜破壊の発生を防止することができる。
一方、ワーク41から連れ出された気泡が、ワーク41の塗膜に再付着するおそれがある。しかしながら、第2噴出部13によって被塗装物の下方から上方にカチオン電着塗装液2を流動させることで、気泡の上昇速度を高めて塗膜に気泡が再付着することを防止する。その結果、平滑性のある塗膜を確実に形成することができる。
また、電着塗装装置Xに噴出部12,13を設けることによって、図4に示すように、塗膜破壊が発生しない印加電圧を高めることができる。特に、本実施形態では、破壊電圧(限界電圧)と噴出速度指数との関係を規定している。噴出部12,13からのカチオン電着塗装液2の噴出速度をA(L/分)からB(L/分)まで約4倍に高めれば、塗膜破壊が発生しない印加電圧を約1.3倍(以下、「最大電圧」と言う。)まで高めることができる。一方、噴出速度をB(L/分)としても塗膜破壊電圧は上昇しないので、上述した電着塗装装置Xの設定条件下において、噴出速度は概ねB(L/分)が好ましい。
しかも、図5に示すように、同じ電圧を印加した場合、噴出部12,13からのカチオン電着塗装液2の噴出速度は、塗装速度に影響を与えない。つまり、印加電圧を大きくできる噴出速度としても、カチオン電着塗装液2のつきまわり性が低下しない。このように、本実施形態における電着塗装装置Xは、従来に比べて印加電圧を大きくして塗装速度を高めながらも、平滑性のある塗膜を確実に形成することができる。
ワーク41に形成する膜厚に応じて、印加電圧は設定される。カチオン電着塗装液2の噴出速度を高めれば、塗膜に発生する気泡は確実に除去されるが、印加電圧が小さい場合は噴出速度を小さく設定しても塗膜破壊を防止することができる。そこで、本実施形態における制御部8は、陰極部4および陽極部5に印加する電圧に応じて、噴出部12,13におけるカチオン電着塗装液2の噴出速度を設定することとしている。これによって、ワーク41の表面に所望の膜厚を有する塗装を形成することができる。
以下、本実施形態における実施例および比較例を説明する。本実施例,比較例の前提条件として、ワーク41に奥行き約3cm、幅約5cm、長さ約38cmの断面U字状の冷延鋼板(ガイドレール)、陽極部5に円柱状のステンレス材を用い、陰極部4をワーク41の周囲に四箇所配置し、陰極部4と陽極部5との電極どうしの間隔L1を約5cmに設定した。このワーク41の穴を係止部材42の係止爪に引っ掛けた状態で、カチオン電着塗装液2が満たされた電着槽1にワーク41の全領域を浸漬した。
[本実施例]
本実施例では、互いに対向する第1噴出部12どうしの間隔L2を約20cmに設定すると共に、第1噴出部12の噴出孔部12aを約9cmピッチで形成した。また、噴出部12,13からB(L/分)でカチオン電着塗装液2を噴出すると共に、最初の10秒間は徐々に印加電圧を上昇させながら、残り約55秒間に亘って最大電圧を印加した。
本実施例で電着塗装して焼付けた後のワーク41は、図6に示すように外観は平滑性を有し、良好な状態であった。よって、通常はガスピンホールや塗膜破壊が発生する高電圧領域でも、良好な電着塗装を施すことができることが確認された。
[比較例]
本比較例では、噴出部12,13を設けずに、最初の10秒間は徐々に印加電圧を上昇させながら、残り約55秒間に亘って本実施例と同じ最大電圧を印加した。
本比較例で電着塗装して焼付けた後のワーク41は、図7に示すように外観にはクレータ状の窪みが発生し、特にワーク41のエッジ部分近傍にこの窪みが多く散在していた。これは、塗膜内に水素ガスが大量に滞留して局所的に電流が集中し、塗膜を硬化させる放電現象が発生したことが推測される。このように、噴出部12,13を設けずに大きな電圧を印加すると、塗装速度が高まらず、塗膜破壊が発生してしまうことが確認された。
以下、別実施形態について、図面の理解を容易にするため、上述した実施形態と同じ部材名称及び符号を用いて説明する。
[別実施形態1]
図8に示すように、本実施形態では、上述した実施形態と異なる点として、ワーク41の側方からカチオン電着塗装液2を噴出させて、カチオン電着塗装液2を溜め部11に向かって流動させる第3噴出部14を備えたことにある。この第3噴出部14は、第2噴出部13と同じ管部材を用いて、夫々の第2噴出部13の上部に溜め部11に向く噴出孔部14aを設けて形成されている。なお、第3噴出部14を、複数の第2噴出部13の全長に亘って溜め部11に向く噴出孔部14aを複数設けても良いし、第2噴出部13とは別の管部材を分配ボックス31に接続しても良く、特に限定されない。また、第3噴出部14は一箇所でも良いし、二箇所以上の任意の数であっても良い。
ワーク41の塗膜から連れ出された気泡は上昇して、電着槽1の液面から緩やかに排出される。このとき、気泡が大量に発生した場合、排出効率が低下してワーク41の周辺に気泡が逆流するおそれがある。本実施形態のように、溜め部11に向かってカチオン電着塗装液2を流動させる第3噴出部14を設ければ、電着槽1の液面に滞留した気泡は溜め部11の方に移動する。その結果、ワーク41の塗膜から除去された気泡を、ワーク41の周囲に逆流させることなく円滑に外部に排出することが可能となる。よって、塗膜に気泡が再付着することを防止して、平滑性のある塗膜をより確実に形成することができる。
[別実施形態2]
図9に示すように、本実施形態では、上述した実施形態と異なる点として、電着槽1の下方からカチオン電着塗装液2を噴出させて、夫々の第1噴出部12の周方向に沿った間に上方流を発生させる第4噴出部15を複数(本実施形態では、四箇所)備えたことにある。これら第4噴出部15は、分配ボックス31の上面において、第2噴出部13の周囲に等間隔に設け、孔状に形成されている。なお、第4噴出部15は、一箇所でも良いし、二箇所以上で不等間隔に設けても良い。
本実施形態は、第2噴出部13に加えて、ワーク41の下方から上方にカチオン電着塗装液2を流動させる第4噴出部15を設けることで、気泡の上昇速度を高めて塗膜に気泡が再付着することを確実に防止することができる。しかも、この第4噴出部15の噴出方向は、第1噴出部12の噴出領域に干渉しない領域に設定しているので、カチオン電着塗装液2の流動方向が下から上へと一定化され、気泡を液面へと円滑に導くことができる。
[別実施形態3]
図10に示すように、ワーク41、電極部4,5、噴出部12、13を有する装置群を、単一の電着槽1の内部に並列に複数設けても良い。これによって、一度に電着塗装できるワーク41の数が増え、製造効率が向上する。
[その他の実施形態]
(1)上述した実施形態における第1噴出部12の噴出孔部12a、第2噴出部13、第3噴出部14の噴出孔部14aおよび第4噴出部15は、孔状に形成されるものに限定されず、ノズルなどで構成されていても良い。また、分配ボックス31を省略しても良い。
(2)上述した実施形態では、陽極部5を、ワーク41の側方に周方向に沿って等間隔に四つ備えたが、特に限定されず、陽極部5は一つ以上あれば良く、どのような配置であっても良い。また、陽極部5の形状も円柱状や板状など、どのような形態であっても良いし、陽極部5や第1噴出部12の管部材を保持する保持部材を、電着槽1に設けても良い。
(3)上述した実施形態におけるワーク41を陰極部4に係合固定する形態は、例えば挟持部材でワーク41を保持するなどどのような形態であっても良い。
(4)上述した実施形態における制御部8は、電着槽1に収容されたカチオン電着塗装液2の温度や濃度を一定に制御する温度制御部や濃度制御部を備えても良い。この場合、カチオン電着塗装液2の固化を防止する効果や、膜厚の安定化が期待できる。
(5)上述した実施形態では、カチオン電着塗装を一例として挙げたが、電着塗装装置Xをアニオン電着塗装に使用しても良い。この場合、第1電極部が陽極部、第2電極部が陰極部で構成され、陽極部でアニオン電着塗装が施されると共に酸素ガスが発生する。このアニオン電着塗装においても、噴出部12,13によってワーク41の塗膜内に滞留する酸素ガスが効果的に連れ出されるので、塗膜破壊の発生を防止することができる。
本発明は、車両部品などを電着塗装する電着塗装装置に利用可能である。
1 電着槽
11 溜め部
12 第1噴出部
13 第2噴出部
14 第3噴出部
15 第4噴出部
2 カチオン電着塗装液(電着塗装液)
4 陰極部(第1電極部)
41 ワーク(被塗装物)
5 陽極部(第2電極部)
8 制御部
X 電着塗装装置

Claims (5)

  1. 長尺状の被塗装物の全域を浸す電着塗装液が収容され、前記被塗装物の長手方向を上下方向として配置した電着槽と、
    前記被塗装物に接続された第1電極部と、
    前記電着槽の内部に配置され、前記第1電極部とは対極となる第2電極部と、
    前記被塗装物の側方から前記被塗装物に向かって前記電着塗装液を噴出させる第1噴出部と、
    前記電着槽の下方から前記被塗装物に向かって前記電着塗装液を噴出させる第2噴出部と、を備えている電着塗装装置。
  2. 前記電着槽に隣接して設けられ、溢れた前記電着塗装液を収容する溜め部と、
    前記第1噴出部の上部に設けられ、前記電着塗装液を前記溜め部に向かって噴出させる第3噴出部と、を備えている請求項1に記載の電着塗装装置。
  3. 前記第1噴出部は、前記電着槽の周方向に沿って複数設けられ、
    前記電着槽の下方から前記電着塗装液を噴出させて、夫々の前記第1噴出部の前記周方向に沿った間に上方流を発生させる第4噴出部を備えている請求項1又は2に記載の電着塗装装置。
  4. 前記第1電極部および前記第2電極部に印加する電圧に応じて、前記第1噴出部および第2噴出部における前記電着塗装液の噴出速度を設定する制御部を備えている請求項1から3のいずれか一項に記載の電着塗装装置。
  5. 前記第1噴出部は、前記電着槽の側壁と前記被塗装物との中間よりも前記被塗装物の側に配置されている請求項1から4のいずれか一項に記載の電着塗装装置。
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