JP4381739B2 - 処理液吐出装置及びps版用支持体の表面処理設備 - Google Patents

処理液吐出装置及びps版用支持体の表面処理設備 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂材料で形成され、スリット状のノズル開口を備えた2重管構造の処理液吐出装置及びPS版用支持体の表面処理設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
感光材料、写真製版材料、磁気記録材料、記録紙材料、感光性平版印刷版(以下、単にPS版という)などを製造する際には、薄い金属板、紙、フイルム等のウェブ状の被塗布体を長手方向に連続して走行させつつ各種処理を行っている。例えば、PS版の製造ラインでは、PS版の支持体としてアルミ材を帯状薄板にしたアルミウェブが用いられている。このアルミウェブは、ロール状に巻かれたアルミコイルの形態でPS版製造ラインにセットされ、感光層塗布前に、まずエッチング処理装置、電解処理装置などにおいて各種表面処理が施される。これらの各表面処理装置では、搬送中のアルミウェブをエッチング処理液、電解処理液等の各種処理液が貯められた処理槽中に浸漬させて表面処理を施すと共に、この処理槽に定期的に処理液の原液を供給して処理液の濃度が常に一定になるようにしている。
【0003】
PS版の品質を上げるためには、これらの表面処理をアルミウェブの幅方向にわたって均一に行う必要がある。そのため、各表面処理装置では、処理槽内に原液を供給した際に処理槽内の処理液の濃度がアルミウェブの幅方向で変化するのを防ぐため、処理槽に原液を吐出する処理液吐出装置として、アルミウェブの幅方向の長さよりも長いスリット状のノズル開口が形成されたスリット型ノズルを用いるのが通常である(例えば、特許文献1参照)。また、エッチング及び電解処理に用いられる処理液としては、塩酸、硝酸などの金属腐食性の強い処理液が一般に使用されるため、例えば特許文献2に記載されているように、前記スリット型ノズルを合成樹脂材料で形成するのが通常である。さらに、特許文献2では、スリット型ノズルを、前記ノズル開口が形成されたノズル本体と、このノズル本体内に挿入され、ノズル開口と対向する位置に所定の間隔で複数の吐出孔が形成された内管とからなる2重管構造にすることにより、ノズル開口の長手方向にわたって処理液が均一に吐出されるようにしている。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−248977号公報 (第4頁)
【特許文献2】
特開2000−47396号公報 (第5頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、合成樹脂で形成されたスリット型ノズルは、金属製のものと比較して耐腐食性は優れているが、機械的強度では劣っている。そのため、処理液の液圧によりノズル開口が変形し、ノズル開口の長手方向にわたって吐出される処理液の量に不均一さ、つまり、吐出流量むらが生じてしまう。このようなノズル開口の変形を防止する対策として、例えば、ノズル開口の長手方向に沿って所定の間隔で、補強部材を前記ノズル本体及び前記内管を貫通するように取り付ける方法がある。
【0006】
しかしながら、これらの補強部材の一部分が、前記吐出孔から吐出した処理液をノズル開口まで流通させる液流路内に露呈してしまうため、処理液の流れが補強部材の露呈部分により乱される。その結果、液流の乱れに起因する吐出流量むらが発生してしまう。また、特許文献2に記載されているように、各吐出孔とノズル開口とが対向している場合には、液流路の長さが短くなってしまう。そのため、各吐出孔から吐出した処理液が充分に整流されないままノズル開口に達してしまい、その結果、吐出流量むらが発生してしまうので対策が求められていた。
【0007】
本発明は、スリット状のノズル開口の長手方向における吐出流量むらの発生を抑えるようにした処理液吐出装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、スリット状のノズル開口を有するノズル本体と、このノズル本体内に前記ノズル開口の長手方向に略平行に設けられ、処理液が供給される内管と、この内管に設けられ、前記処理液を前記ノズル開口に供給するために前記長手方向に所定間隔で配置される吐出孔とからなる合成樹脂製の処理液吐出装置において、前記吐出孔を前記ノズル開口の反対側に形成するとともに、この吐出孔から吐出した前記処理液をノズル開口に流通させる液流路と、前記ノズル本体及び前記内管を貫通してこれらを固定するように設けられ、ノズル開口の変形を防止する補強部材とを有することを特徴とする。また、前記補強部材は、前記長手方向に所定の間隔で設けられていることが好ましい。
【0009】
また、本発明は、前記補強部材は、前記内管のほぼ中心を通り、互いに隣接する補強部材は交差するように、その取付角度がずらされていることが好ましい。さらに、前記液流路内の前記補強部材の中で、前記ノズル開口に最も近いものの下流側に、前記処理液の流通を規制する堰部材が設けられていることが好ましい。また、前記ノズル本体の両側面に、前記内管内に前記処理液を供給するための供給口が設けられていることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は本発明を実施した電解処理装置の概略図である。電解処理装置10は上述したように、PS版製造ラインの一工程であり、エッチング処理後のアルミウェブ11を塩酸または硝酸などを主体とした電解処理液12に浸漬させ、電解電流を印加することにより、アルミウェブ11の表面に均一に粗面化処理を施す。
【0011】
電解処理装置10には、電解処理液12が貯留されたラジアル型の電解処理槽15と、この電解処理槽15内でアルミウェブ11を支持搬送するラジアルドラムローラ16と、電解処理槽15の上方に設けられ、アルミウェブ11を所定の方向に支持搬送する複数のパスローラ17とが設けられている。これらラジアルドラムローラ16とパスローラ17とによりアルミウェブ11の搬送路が構成されている。なお、電解処理槽15の種類としては、縦型、フラット型、ラジアル型等の各種処理槽があるが、本実施形態ではラジアル型の処理槽を用いて説明する。
【0012】
ラジアルドラムローラ16は、繊維強化プラスチック(FRP)、炭素鋼、ステンレス鋼などのローラに、ゴムやフッ素樹脂、塩化ビニル樹脂などの耐酸性及びアルミウェブ11に対する保護性の強いものをラインニングしたものが用いられ、その回転軸がアルミウェブ11の搬送方向と直交するように電解処理槽15に取り付けられている。このラジアルドラムローラ16は、アルミウェブ11を支持搬送するだけではなく、後述する電極とアルミウェブ11との間隔を所定の距離に維持する。
【0013】
電解処理槽15の内壁面は、ラジアルドラムローラ16を囲むように略円筒状に形成され、この内壁面上には、半円筒状の電極20a,20bがラジアルドラムローラ16を挟むように設けられている。この電極20a,20bは、グラファイトや白金などから形成され、複数の小電極と絶縁体とが交互に配置されている。また、電極20a,20bは、互いに反対の極性の電解電流が印加されるように、交流電源21に接続されている。
【0014】
交流電源21から印加される電解電流は、本実施形態では交流電流を用いるが、交流と直流とを重畳した電流を用いることもできる。この交流電流の波形は、特に限定されず、正弦波電流、矩形波電流、三角波電流等を選択することができる。さらに、この交流電流の周期、DUTY比等を適切な値に設定することによりアルミウェブ11のアノード反応時間(アルミウェブ11が陽極反応する時間)とカソード反応時間(アルミウェブ11が陰極反応する時間)とが制御され、アルミウェブ11の表面に均一に粗面化処理を施すことが可能となる。
【0015】
電解処理槽15のアルミウェブ11の搬送方向上流側には、電解処理槽15から溢れ出た電解処理液12を受けて一時的に貯留する処理液受槽24が設けられている。この処理液受槽24の底面には、貯留した電解処理液12を排出する戻り配管27が接続されている。戻り配管27のもう一方の開口端部は、電解処理槽15の下側に設けられた貯層28に接続されている。処理液受槽24内の電解処理液12は、時間当たり略一定量ずつ戻り配管27を通って貯槽28に流れる。この貯槽28では、図示は省略するが電解処理液12の濃度の測定及び調整が行われる。
【0016】
貯槽28で濃度調整された電解処理液12は、送液配管30を介して再び電解処理槽15に送られる。この送液配管30の一方の開口端部は、貯槽28内に挿入されて電解処理液12の液中で開口し、もう一方の開口端部は、送液配管30を介して送られた電解処理液12を電解処理槽15内に吐出するスリット型ノズル(以下、単にノズルという)32,33の両側面に接続されている。また、送液配管30の配管途中には、貯槽28内の電解処理液12を汲み上げて電解処理槽15に送る送液ポンプ35と、バルブ36と、配管内の電解処理液12の逆流を防止する逆流防止弁37とが設けられている。
【0017】
ノズル32,33は、それぞれ電極20aと電極20bとの間、電極20bの下流側に設けられている。なお、設置するノズルの数は任意でよいが、電解処理液12は電解処理反応により、その濃度が変化してしまう。その結果、ノズルが1個しか設けられていない場合には、ノズル付近の電解処理液12の濃度と、このノズルから離れた箇所の電解処理液12の濃度とに差が生じてしまうおそれがある。そのため、ノズルは2個以上設けることが好ましい。また、このノズルを配置する箇所も特に限定はされず、任意の箇所に設けてよい。
【0018】
次に、図2及び図3を用いてノズル32,33の構造について説明する。図2は、ノズル32を正面から見た断面図であり、図3は、図2に記載されているノズル32のIII −III 線に沿った断面図である。図2及び図3に示すように、ノズル32は2重管構造であり、円筒状の内管40と、この内管40を覆うように形成され、電解処理液12を電解処理槽15に吐出させるスリット状のノズル開口41が設けられたノズル本体42とから構成される。なお、内管40及びノズル本体42の材質としては酸やアルカリなどに対する耐腐食性を有していれば任意のものを用いてよく、例えば、塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの合成樹脂材料が用いられる。
【0019】
ノズル開口41は、アルミウェブ11の幅方向の全域にわたって均一に電解処理液12を吐出できるように、その長手方向の長さがアルミウェブ11の幅方向の長さよりも長く形成されている。また、ノズル本体42の両側面には、送液配管30を介して送液された電解処理液12を内管40内に給液するための給液口43a,43bが形成されている。ノズル本体42の両側面から電解処理液12を給液することにより、ノズル本体42内の液圧が均一化される。
【0020】
内管40の周面には、所定のピッチで内管40の内外を連通する複数の吐出孔45が、ノズル開口41の反対側の位置に形成されている。そのため、内管40とノズル本体42との間には、吐出孔45から吐出した電解処理液12をノズル開口41まで流通させるための液流路46が形成されている。吐出孔45をノズル開口41の略反対側の位置に形成したので、この液流路46の長さを、特許文献2に記載されているような吐出孔がノズル開口と対向する位置に形成されているものより、長くすることができる。その結果、電解処理液12の液流を整流する整流効果を従来のノズルよりも高めることができる。これにより、吐出孔45から吐出した電解処理液12が、ノズル開口41に到達するまでの間に整流され、このノズル開口41の長手方向における吐出量むらが緩和される。
【0021】
ノズル本体42には、送液ポンプ35により内管40内に給液された電解処理液12の液圧によるノズル開口41の変形を防止するために、内管40及びノズル本体42を貫通するように補強部材としての補強ピン48が取り付けられている。この補強ピン48は、例えば、塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの合成樹脂製であり、ノズル開口41の長手方向に沿って所定の間隔で取り付けられている。これらは、超音波溶着などにより、内管40、ノズル本体42に固着される。なお、補強ピン48に代えて、合成樹脂製の補強ボルトを用いてもよい。さらに、これらの補強ピン48は、全て同一の角度で取り付けるのではなく、互いに隣接する補強ピン48の取付角度を交互に変えて略十字(図3参照)に取り付けることが好ましい。これにより、補強ピン48を全て同一角度で取り付けたときよりもノズル本体42の剛性が増し、液圧によるノズル開口41の変形を最小限に抑えることができる。
【0022】
補強ピン48は、内管40及びノズル本体42を貫通するように取り付けられているため、その一部分は液流路46内を横切っている。その結果、この補強ピン48によって、電解処理液12の液流に乱れが生じ、この液流の乱れに起因して吐出流量むらが発生する。従って、補強ピン48によって生じさせられた液流の乱れを緩和するために、液流路46内を横切っている補強ピン48の中で最もノズル開口41に近いものの下流側に、電解処理液12の流通を規制する堰部材50を設ける。なお、本実施形態では、堰部材50は内管40の外周面側に設けられているが、これに限らず、電解処理液12の流通を規制できれば、例えば、ノズル本体42の内面側に設けても良い。また、この堰部材50は、ノズル開口41の長手方向に沿って均一な高さに形成されている。
【0023】
液流路46内の電解処理液12の液流は、補強ピン48によって乱されてしまうが、堰部材50において一時的に貯留されることにより、その乱れは緩和される。その結果、ノズル開口41の長手方向における吐出流量むらの発生が抑えられる。なお、ノズル33もノズル32と同一の構成であり、同一部材には同一名称を用いてその説明を省略する。
【0024】
本実施形態のノズル32,33は、ノズル開口41の変形を防止するために、互いに隣接する補強ピン48の取付角度を変えて略十字(図3参照)に取り付けると共に、整流効果を得るために、吐出孔45をノズル開口41の略反対側に形成して液流路46の長さを長くし、さらに、補強ピン48による液流の乱れを緩和するために、堰部材50を設けている。しかしながら、吐出流量むらの発生をある程度抑えることができればよいという場合には、ノズルの構成を簡略化することができる。この簡略化の例を図4(a),(b)に示す。
【0025】
図4(a)、(b)は、簡略化されたノズル55,56の図2におけるIII −III 線相当の断面図である。なお、ノズル55,56は、ノズル32,33と基本的には同一の構成であり、同一部材には同一名称を用いてその説明を省略する。(a)に示すように、ノズル55は、ノズル32,33と比較すると、補強ピン48が全て同一角度に取り付けられていると共に、堰部材50が設置されていない。また、(b)に示すように、ノズル56は、堰部材50が設置されていないだけで、後はノズル32,33と同じ構成である。詳しくは後述するが、ノズル55,56を用いても、従来のノズルと比較してノズル開口41の長手方向における吐出流量むらの発生を抑えることができる。さらに、ノズル32,33と比較して低コストに製造できるという利点がある。
【0026】
次に、本実施形態の作用について説明する。図1に示すように、送液ポンプ35により、貯槽28から汲み上げられた電解処理液12は、図2及び図3に示すように、送液配管30を介して各ノズル32,33の両側面に形成された給液口43a,43bに給液される。両側面から給液を行うことで、ノズル本体42内の液圧が均一化される。また、ノズル本体42には、その内部を貫通するように所定の間隔で補強ピン48が取付角度をずらして取り付けられているため、液圧によりノズル開口41が変形することはない。
【0027】
給液口43a,43bから内管40内に給液された電解処理液12は、各吐出孔45を通って液流路46に流れ出す。各吐出孔45から流れ出した電解処理液12は、液流路46に沿ってノズル開口41に到達するまでの間に整流されると共に、堰部材50にて一時的に貯留される。これにより、液流路46内を横切っている補強ピン48によって生じさせられた液流の乱れが緩和される。堰部材50にて一時的に貯留された後、電解処理液12は、ノズル開口41からその長手方向にわたって均一に電解処理槽15内に吐出される。その結果、電解処理槽15内の電解処理液12の濃度が、アルミウェブ11の幅方向で均一化される。
【0028】
なお、本実施形態では、PS版製造ラインの電解処理装置10に用いられているノズルついて説明したが、これに限定されるものではなく、アルミウェブ表面に研磨材スラリーを注ぎながら回転ブラシでウェブ表面をブラッシングして砂目立てする回転ブラシ処理装置、アルミウェブ表面をエッチング処理するエッチング処理装置、各種表面処理が施されたアルミウェブに洗浄液を吹き付けて洗浄する洗浄処理装置などに用いられるノズルにも本発明を適用することができる。
【0029】
例えば、図5に示すように、PS版製造ラインの洗浄処理装置59には、洗浄処理槽60内に設けらたパスロール61により支持搬送されているアルミウェブ11の表裏面に対向するように複数個のノズル62が設けられている。そのため、各ノズル62の両側面に、図示しない洗浄液貯槽から各ノズル62に洗浄液を送液する送液配管63を接続し、さらに、各ノズル62を前記ノズル32, 33と同一の構造にすることにより、アルミウェブ11の幅方向にわたって均一に洗浄液を吹き付けることができる。これにより、局所的に洗浄液の吹付け量が少なくなって、アルミウェブ11の表面上に洗浄むらが発生してしまうことを防止できる。
【0030】
本発明は、PS版製造ラインに限定されるものではなく、搬送経路上に、酸性溶液、アルカリ性溶液、水などの各種処理液を吐出するスリット型ノズルを備えた各種処理装置に適用することができる。
【0031】
[実施例]
以下に、本発明の効果を明確にするために、本発明の実施したノズルと、従来のノズルとにおいて、ノズル開口の長手方向における吐出流量むらの発生を比較した。本発明の実施例1として前記ノズル32(図2及び図3参照)を用い、実施例2として前記ノズル55(図4(a)参照)を用い、実施例3として前記ノズル56(図4(b)参照)を用いた。また、比較例として用いた従来のノズルを図6(a)〜(c)に示す。なお、ノズル32,33と同一の部材には同一名称を用いてその説明を省略する。
【0032】
比較例1として図6(a)に示したノズル65を用いた。ノズル65は単管構造であり、補強ピン48が全て同一角度に取り付けられている。なお、給液口はノズル本体66の側面の片側にしか設けられていない。また、比較例2として(b)に示したノズル68を用いた。ノズル68は、前記ノズル65とほほ同一構造であり、異なるものとしてノズル本体66の両側面に給液口43a,43bが設けられている。さらに、比較例3として(c)に示したノズル69を用いた。ノズル69は、前記ノズル68を2重管構造にしたものであり、ノズル本体66内に内管70が設けられている。この内管70には、複数の吐出孔45がノズル開口41とほぼ対向する位置に形成されている。
【0033】
本実施例では、ノズル本体42,46、内管40,70として塩化ビニルを用いた。また、ノズル開口41の長手方向の長さを1700mmとした。また、補強ピン48としては塩化ビニルが用いられ、断面φ20mm、60mmピッチで25本取り付けられた。さらに、処理液としては水が用いられ、その温度は15〜50℃、吐出流量は500〜1500L/min、吐出圧力は0.2〜0.3MPaであった。
【0034】
本実施例では、各ノズルのノズル開口41から吐出される水の量をカップ等を用いて、50mmピッチでその開口の長手方向に沿って測定し、吐出水量のむらを比較した。その比較結果を表1に示す。表1には、実施例1〜3及び比較例1〜3に対応して、給液がノズル本体側面の片側或いは両側から行われるかが書き込まれた「給液」欄、2重管構造であるか否かが書き込まれた「2重管」欄、吐出孔45がノズル開口41と対向しているか、或いは反対側に形成されているかが書き込まれた「吐出孔向き」欄、補強ピン48が同一角度、或いは略十字に取り付けられているかが書き込まれた「補強部材」欄、堰部材50が設けられているか否かが書き込まれた「堰部材」欄、測定された吐出水量のむらをパーセント表示で表したものが書き込まれた「長手方向むら」欄が設けられている。
【0035】
【表1】
Figure 0004381739
【0036】
表1に示すように、互いに隣接する補強ピン48の角度を変えて取り付け、吐出孔45をノズル開口41の略反対側に形成して液流路46の長さを長くし、さらに堰部材50を設けることによって、ノズル開口41から吐出される吐出水量のむらが減少し、実施例1では4%に抑えられた。また、実施例2及び3においてもそれぞれ39%、25%に抑えられているので、使用する工程及び装置にもよるが実用上は差し支えない。
【0037】
【発明の効果】
以上のように、本発明の処理液吐出装置によれば、整流効果を得るために、内管の内外を連通する吐出孔をノズル開口の反対側の位置に形成して液流路の長さを長くし、また、ノズル開口の変形を防止するために、ノズル開口に沿って所定の間隔で、補強部材をノズル本体及び内管を貫通するように取り付けたので、ノズル開口の長手方向における吐出流量むらの発生を抑えることができる。さらに、互いに隣接する補強部材の取付角度を変えると共に、液流路内を横切っている補強ピンの中で最もノズル開口に近いものの下流側に堰部材を設けることにより、その効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の処理液吐出装置を用いたPS版製造ラインの電解処理装置の概略図である。
【図2】同処理液吐出装置を正面から見た断面図である。
【図3】同処理液吐出装置の図2におけるIII −III 線に沿った断面図である。
【図4】同処理液吐出装置を簡略した他の実施例を示し、図2におけるIII −III 線相当の断面図である。
【図5】同処理液吐出装置をPS版製造ラインの洗浄装置に用いた他の実施形態を示した概略図である。
【図6】従来の同処理液吐出装置を示した断面図である。
【符号の説明】
11 アルミウェブ
12 電解処理液
15 電解処理槽
32,33 スリット型ノズル
40 内管
41 ノズル開口
42 ノズル本体
43a,43b 給液口
45 吐出孔
46 液流路
48 補強ピン
50 堰部材

Claims (11)

  1. スリット状のノズル開口を有するノズル本体と、このノズル本体内に前記ノズル開口の長手方向に略平行に設けられ、金属腐食性の高い処理液が供給される内管と、この内管に設けられ、前記処理液を前記ノズル開口に供給するために前記長手方向に所定間隔で配置される複数の吐出孔とからなる合成樹脂製の処理液吐出装置において、
    前記吐出孔を前記ノズル開口の反対側に形成するとともに、前記複数の吐出孔から吐出した前記処理液を合流させ、合流後の前記処理液を整流させながら前記ノズル開口へ流通させる液流路と、
    前記ノズル本体及び前記内管を貫通してこれらを固定するように設けられ、ノズル開口の変形を防止する補強部材とを有し、
    前記ノズル本体は、前記処理液が貯留する処理槽内に固定され、前記処理槽内の前記処理液の濃度が前記ノズル開口の長手方向で略一定となるように、前記処理液中で新たな処理液を前記ノズル開口から吐出し、
    前記液流路は、前記複数の吐出孔から前記ノズル開口まで設けられ、前記複数の吐出孔から前記内管の外壁に沿って伸びるように形成され、
    前記液流路内の前記補強部材の中で、前記ノズル開口に最も近いものの下流側に、前記処理液の流通を規制する堰部材が設けられていることを特徴とする処理液吐出装置。
  2. スリット状のノズル開口を有するノズル本体と、このノズル本体内に前記ノズル開口の長手方向に略平行に設けられ、金属腐食性の高い処理液が供給される内管と、この内管に設けられ、前記処理液を前記ノズル開口に供給するために前記長手方向に所定間隔で配置される複数の吐出孔とからなる合成樹脂製の処理液吐出装置において、
    前記複数の吐出孔から前記内管の外壁に沿って設けられ、前記複数の吐出孔から吐出した前記処理液を合流させて合流後の前記処理液を整流させながら前記ノズル開口へ流通させる液流路と、
    前記ノズル本体及び前記内管を貫通してこれらを固定するように設けられ、ノズル開口の変形を防止する補強部材とを有し、
    前記ノズル本体は、前記処理液が貯留する処理槽内に固定され、前記処理槽内の前記処理液の濃度が前記ノズル開口の長手方向で略一定となるように、前記処理液中で新たな処理液をノズル開口から吐出し、
    前記液流路は前記複数の吐出孔から前記ノズル開口まで設けられ、
    前記液流路内の前記補強部材の中で、前記ノズル開口に最も近いものの下流側に、前記処理液の流通を規制する堰部材が設けられていることを特徴とする処理液吐出装置。
  3. 前記補強部材は、前記長手方向に所定の間隔で設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の処理液吐出装置。
  4. スリット状のノズル開口を有するノズル本体と、このノズル本体内に前記ノズル開口の長手方向に略平行に設けられ、処理液が供給される内管と、この内管に設けられ、前記処理液を前記ノズル開口に供給するために前記長手方向に所定間隔で配置される吐出孔とからなる合成樹脂製の処理液吐出装置において、
    前記吐出孔を前記ノズル開口の反対側に形成するとともに、この吐出孔から吐出した前記処理液をノズル開口に流通させる液流路と、
    前記ノズル本体及び前記内管を貫通してこれらを固定するように設けられ、ノズル開口の変形を防止する補強部材とを有し、
    前記補強部材は、前記長手方向に所定の間隔で設けられていることを特徴とする処理液吐出装置。
  5. 前記補強部材は、前記内管のほぼ中心を通り、互いに隣接する補強部材は交差するように、その取付角度がずらされていることを特徴とする請求項1ないし4記載の処理液吐出装置。
  6. スリット状のノズル開口を有するノズル本体と、このノズル本体内に前記ノズル開口の長手方向に略平行に設けられ、処理液が供給される内管と、この内管に設けられ、前記処理液を前記ノズル開口に供給するために前記長手方向に所定間隔で配置される吐出孔とからなる合成樹脂製の処理液吐出装置において、
    前記吐出孔を前記ノズル開口の反対側に形成するとともに、この吐出孔から吐出した前記処理液をノズル開口に流通させる液流路と、
    前記ノズル本体及び前記内管を貫通してこれらを固定するように設けられ、ノズル開口の変形を防止する補強部材とを有し、
    前記補強部材は、前記内管のほぼ中心を通り、互いに隣接する補強部材は交差するように、その取付角度がずらされていることを特徴とする処理液吐出装置。
  7. 前記液流路内の前記補強部材の中で、前記ノズル開口に最も近いものの下流側に、前記処理液の流通を規制する堰部材が設けられていること特徴とする請求項4または6記載の処理液吐出装置。
  8. スリット状のノズル開口を有するノズル本体と、このノズル本体内に前記ノズル開口の長手方向に略平行に設けられ、処理液が供給される内管と、この内管に設けられ、前記処理液を前記ノズル開口に供給するために前記長手方向に所定間隔で配置される吐出孔とからなる合成樹脂製の処理液吐出装置において、
    前記吐出孔を前記ノズル開口の反対側に形成するとともに、この吐出孔から吐出した前記処理液をノズル開口に流通させる液流路と、
    前記ノズル本体及び前記内管を貫通してこれらを固定するように設けられ、ノズル開口の変形を防止する補強部材とを有し、
    前記液流路内の前記補強部材の中で、前記ノズル開口に最も近いものの下流側に、前記処理液の流通を規制する堰部材が設けられていること特徴とする処理液吐出装置。
  9. 前記ノズル本体の両側面に、前記内管内に前記処理液を供給するための供給口が設けられていることを特徴とする請求項1ないし8記載の処理液吐出装置。
  10. 走行するウェブ支持体と、
    前記処理槽と、
    前記処理槽中の前記処理液へ前記ウェブ支持体を案内し、前記ウェブ支持体の表面及び前記処理液を接触させる案内手段と、
    前記処理槽内にある前記処理液の濃度が前記ウェブ支持体の幅方向で一定となるように、前記新たな処理液を吐出する請求項1ないし記載の処理液吐出装置とを備えることを特徴とするPS版用支持体の表面処理設備。
  11. 前記処理槽内に貯留する電解処理液と接触するように設けられる1対の電極を、前記ウェブ支持体の案内路に沿って並べ、
    前記1対の電極への電圧印加により、前記電解処理液内に案内された前記ウェブ支持体の表面に粗面化処理を施すことを特徴とする請求項10記載のPS版用支持体の表面処理設備。
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