JP3855336B2 - 連続電解エッチング装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、連続電解エッチング装置に関し、特には、電気絶縁性インクで表面にエッチングマスクが選択的に形成された方向性けい素鋼帯の連続電解エッチング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、方向性電磁鋼板など鋼板に電気絶縁性インクでエッチングレジストを印刷した後、電解エッチングにより、鋼板表面にエッチングパターンを形成することにより、鋼板の特性を改善する技術が開示されている(特公平8−6140号公報)。
【0003】
しかし、上記した電解エッチングを連続電解エッチング法で行う場合、▲1▼エッチングで形成される溝の断面形状が、鋼板の板幅方向において不均一になる、▲2▼電解液中での副反応に伴う金属析出やスラッジ発生の問題があり、得られる製品の品質が十分とは言えなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術の問題点を解決し、エッチングで形成される溝の断面形状が鋼板の板幅方向において均一で、しかも、電解液中での副反応に伴う金属析出やスラッジ発生の問題を解決した、製品品質に優れた方向性けい素鋼板の製造が可能な連続電解エッチング装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、最終板厚まで冷間圧延され表面にエッチングマスクが選択的に形成された方向性けい素鋼帯に直接通電し線状溝を形成する連続電解エッチング装置であって、電解エッチング槽3と、該電解エッチング槽3内の電解液中で前記鋼帯の片面側と相対向して配設された陰極4と、電解液中で前記鋼帯の他の片面側を覆うシール部材20a と、当該シール部材20a と陰極4間の鋼帯板幅方向両側部を覆うシール部材20b,20c と、電解液中に配設され陰極4の鋼帯長手方向端部から電解液を供給する電解液給液装置5とを有し、前記陰極4と前記鋼帯の片面側との距離が5〜40mmであることを特徴とする連続電解エッチング装置である。
【0006】
第2の発明は、前記第1の発明において、前記鋼帯と当接した陽極であるコンダクタロール8が電解エッチング槽3の電解液中に浸漬されない構成とした連続電解エッチング装置である。
第3の発明は、前記第1の発明または第2の発明において、前記陰極4の材質として鉄または鉄合金を用いた連続電解エッチング装置である。
【0007】
第4の発明は、前記第1の発明または第2の発明において、前記陰極4の材質としてステンレス鋼を用いた連続電解エッチング装置である。
前記した、第1の発明〜第4の発明においては、前記連続電解エッチング装置が、電解液循環装置6を有し、当該電解液循環装置6により、鋼帯長手方向において前記電解液給液装置5と相対向する陰極4端部から排出される電解液を前記電解液給液装置5に循環するように構成されていることが好ましい。
【0008】
また、前記した、第1の発明〜第4の発明においては、前記連続電解エッチング装置が、電解液循環装置6を有し、当該電解液循環装置6により、電解エッチング槽3から排出される電解液を前記電解液給液装置5に循環するように構成されていることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、第1の発明〜第4の発明の順に、さらに詳細に説明する。
〔第1の発明:〕
本発明者らは、エッチングで形成される溝の断面形状の鋼板板幅方向における不均一性の問題を解決するため鋭意検討した結果、下記知見を得、本発明に至った。
【0010】
図3に、電解エッチング装置の側面図(a) およびC-C 断面図(b) を示す。
図3において、1は方向性けい素鋼帯、2は方向性けい素鋼帯1の表面に選択的に形成されたエッチングマスク、3は電解エッチング槽(電解エッチングセル)、4は陰極、5は電解液給液装置、6は電解液循環装置、7は電解液、8は陽極であるコンダクタロール、9はシンクロール、10はバックアップロール、fl は電解液の流れ方向、fs は鋼帯の通板方向を示す。
【0011】
また、電解液給液装置5は電解液の給液ヘッダ5aおよびノズル5bから構成され、電解液循環装置6は電解液循環ポンプ6aおよび配管6bから構成される。
連続的に電解エッチングを行う場合、図3に示されるように、電解エッチング槽3内の電解液7中を方向性けい素鋼帯(以下、鋼帯とも記す)1の板面を陰極4と相対向して通板する方法を用いる。
【0012】
図3の方法においては、鋼帯1〜陰極4間に電解液給液装置5を配設し、電解液をノズル5bより吹き出すことで、鋼帯1と電解液7間に相対速度を持たせていた。
この場合、ノズル5bから吹き出した電解液7が鋼帯板幅方向に拡散し、図4に示すような鋼帯板幅方向における電解液の流速分布fldが形成され、鋼帯板幅方向端部での流速が遅くなる。
【0013】
本発明者らは、エッチングで形成される溝の断面形状の鋼帯板幅方向における不均一性が上記した電解液の流速分布に起因することに着目し、エッチング時の鋼帯と電解液の相対速度を鋼帯板幅方向で均一にする方法を検討した。
電解液と鋼帯との相対速度を鋼帯板幅方向で均一にする方法として、先ず、鋼帯板幅方向にノズルを複数個配置し電解液の吹出し流速を幅方向で調整する方法を採用したが、このような方法を用いても、同一断面内で鋼帯板幅方向の流速分布が発生することは防止できず、鋼帯板幅方向で均一なエッチング品質を得ることは困難であった。
【0014】
さらに検討を重ねた結果、電解液中の鋼帯および該鋼帯の下面に相対向して配設した陰極の周囲を囲繞し、断面が筒状の密閉型管状流路を電解液中に形成することにより、エッチングで形成される溝の断面形状が鋼帯板幅方向において均一な方向性けい素鋼帯を製造することが可能であることを見出した。
すなわち、第1の発明は、最終板厚まで冷間圧延され表面にエッチングマスクが選択的に形成された方向性けい素鋼帯に直接通電し線状溝を形成する連続電解エッチング装置であって、電解エッチング槽と、該電解エッチング槽内の電解液中で前記鋼帯の片面側と相対向して配設された陰極と、電解液中で前記鋼帯の他の片面側を覆うシール部材と、当該シール部材と陰極間の鋼帯板幅方向両側部を覆うシール部材と、電解液中に配設され陰極の鋼帯長手方向端部から電解液を供給する電解液給液装置とを有し、前記陰極と前記鋼帯の片面側との距離が5〜40mmであることを特徴とする連続電解エッチング装置である。
【0015】
なお、本発明においては、前記鋼帯の片面側を覆うシール部材と前記鋼帯板幅方向両側部を覆うシール部材は、それらが一体となった部材でもよく、それらの具体的構成は制限されるものではない。
図1に、本発明に係わる水平セル式の連続電解エッチング装置の一例を側面図(a) およびA-A 断面図(b) で示す。
【0016】
図1(a) 、(b) において、20a は電解液7中で鋼帯1の片面側(上面側)を覆うシール部材、20b 、20c はシール部材20a と陰極4間の鋼帯板幅方向両側部を覆うシール部材を示し、その他の符号は図3、図4と同様の内容を示す。
方向性けい素鋼帯1は、電解エッチング槽3において、シンクロール9により電解液7中に浸漬され、通板される。
【0017】
また、電解エッチング装置には、鋼帯1〜陰極4間の電解液7に流れを発生させ、鋼帯1と電解液7の相対速度を大とするため、鋼帯1〜陰極4間に電解液を供給する電解液給液装置5および電解液循環装置6が付設されている。
方向性けい素鋼帯1は、予め、最終板厚まで冷間圧延される。
冷間圧延された上記鋼帯1は、例えばエポキシ系樹脂またはアルキド系樹脂を主成分とする電気絶縁性インクにより、鋼帯1の下面に、非印刷部領域が残存するようにエッチングマスク2が選択的に形成(印刷)されている。
【0018】
電解エッチング槽3内にはエッチングマスク2の形成面に相対向して陰極4が浸漬されており、また、鋼帯1の非印刷面側にコンダクタロール8が押圧されており、コンダクターロール8→鋼帯1→電解液7→陰極4の経路で電流が流れエッチングが行われる。
図1の電解エッチング装置においては、電解液給液装置5から供給された電解液7が鋼帯1の板幅方向に拡散し、鋼帯板幅方向に電解液の流速分布が発生することを防止するために、電解液中で鋼帯1の片面側(上面側)を覆うシール部材20a と、当該シール部材20a と陰極4間の鋼帯板幅方向両側部を覆うシール部材20b 、20c と陰極4とで、断面が筒状の密閉型管状流路を電解液中に形成する。
【0019】
この結果、本シール機構の効果により、陰極4と対向した区間での鋼帯1と電解液7との相対速度を鋼帯板幅方向でほぼ均一にすることが可能となり、エッチングで形成される溝の断面形状が鋼板板幅方向において均一な方向性けい素鋼板を製造することが可能となった。
また、本発明によれば、陰極4を、該陰極4とこれと相対向する鋼帯1の片面側との距離が5〜40mmとなるように配設することにより、電解エッチングにおける電力原単位の大幅な低下および鋼帯1と陰極4の接触による鋼帯表面のスパーク疵の発生の防止の両立が可能となった。
【0020】
なお、本発明における前記した陰極と鋼帯の片面側との距離とは、当該鋼帯の片面側にエッチングマスクが形成されている場合は、陰極と鋼帯の片面側のエッチングマスク形成面との距離を示す。
以上、前記した図1においては、電解エッチング槽3として水平セルを示したが、本発明においては、電解エッチング槽3としてラジアルセルを用いてもよい。
【0021】
図2に、本発明に係わるラジアルセル式の連続電解エッチング装置の一例を側面図(a) およびB-B 断面図(b) で示す。
図2(a) 、(b) において、30はメインロール(巻き付けロール)、31は排液ヘッダ、32a は前段シールロール、32b は後段シールロールを示し、その他の符号は図1、図3および図4と同様の内容を示す。
【0022】
ラジアルセル式の連続電解エッチング装置においては、鋼帯1をメインロール30に巻き付け、鋼帯1と相対向して配設された陰極4と鋼帯1との間に電解液を供給し、鋼帯1への直接通電により鋼帯1のエッチングを行う。
図2に示すラジアルセル式の連続電解エッチング装置においては、メインロール30が、本発明における電解液中で鋼帯の他の片面側を覆うシール部材20a の機能をも兼ね備える。
【0023】
図2に示す電解エッチング装置においては、メインロール30と陰極4間の鋼帯板幅方向両側部を覆うシール部材20b 、20c に、メインロール30と摺動する摺動シール部材40a 、40b がメインロール30の円周方向に円弧状に取り付けられている。
なお、摺動シール部材40a 、40b はシール部材20b 、20c に取り付けてもよい。
【0024】
また、鋼帯1の通板方向fs における陰極4の両端部に、前段シールロール32a 、後段シールロール32b 、電解液給液装置5、排液ヘッダ31が設置されている。
この結果、メインロール30、鋼帯板幅方向両側部を覆うシール部材20b 、20c 、摺動シール部材40a 、40b および陰極4の4者で、断面が筒状の密閉型曲管状流路が電解液中に形成され、当該流路中を電解液が流れる。
【0025】
これにより、電解液給液装置5から供給された電解液7が、鋼帯1の板幅方向に渡り均一な流速で鋼帯1の表面を流れ、エッチングで形成される溝の断面形状が鋼板板幅方向において均一な方向性けい素鋼帯を製造することが可能となった。
〔第2の発明:〕
第2の発明は、前記第1の発明において、鋼帯と当接した陽極であるコンダクタロールが電解エッチング槽の電解液中に浸漬されない構成とした連続電解エッチング装置である。
【0026】
図5に、鋼帯のメッキを行う水平セル式のメッキセルを電解エッチングに適用した場合の連続電解エッチング装置を側面図により示す。
図5において、32はシールロールを示し、その他の符号は図1〜図4と同様の内容を示す。
電流は、コンダクタロール8から鋼帯1に流れ、エッチングマスクが形成された鋼帯1の非印刷面より電解液7を通って陰極4へ流れる。
【0027】
この時、非印刷面→印刷面のレジスト非印刷部→電解液7→陰極4を電流が流れる際の電気化学的反応により、鋼帯1がエッチングされるため、当該経路を流れる電流を制御することが、エッチング強度を制御することになる。
すなわち、製品品質の安定のためには、上記経路を流れる電流を正しくコントロールすることが重要である。
【0028】
しかし、図5に示した電解セルの場合、コンダクタロール8が電解液7に直接浸漬される構成となっている。
このため、図6に示すように、正規の電流の通電経路fe 、すなわちコンダクタロール8→鋼帯の非印刷面→鋼帯の印刷面のレジスト非印刷部→電解液7→陰極4の通電と同時に、コンダクタロール8の鋼帯1との非接触部(接液部)→電解液7→陰極4の経路で短絡電流AS が発生する。
【0029】
一方、一般的に鋼帯表面の電流を直接測定することは困難であり、エッチングにおける電解量は電源装置の通電電流で制御する。
その際に、このような短絡電流が流れると、短絡電流は、エッチング強度すなわち電解量の正確な管理および制御の大きな外乱要因となるため、短絡電流を極力防止することが工業的に安定した電解エッチングを行うために重要な要件となる。
【0030】
さらに、短絡電流が発生した場合、本来鋼帯表面で生じるべき電気化学的反応が、コンダクタロール8の表面で発生し、コンダクタロール8の表面を損傷する問題が生じる。
本第2の発明は、上記した問題点を解決するために、コンダクタロール8を電解エッチング槽3の電解液7中に浸漬させないことで短絡電流AS の発生を防止したものである。
〔第3の発明および第4の発明:〕
次に、本発明の連続電解エッチング装置における陰極について述べる。
【0031】
すなわち、第3の発明は、前記第1の発明または第2の発明において、前記陰極の材質として、鉄または鉄合金を用いる連続電解エッチング装置である。
また、第4の発明は、前記第1の発明または第2の発明において、前記陰極の材質として、ステンレス鋼を用いる連続電解エッチング装置である。
直接通電式電解エッチングにおいては、通常、電解液として食塩水(NaCl水溶液)が用いられる。
【0032】
この場合の鋼帯−陰極間の主要な電気化学反応を図7に模式図により示す。
陰極4における反応(C) としては、電子受容反応により、(1) 水素発生、(2)Fe 析出、(3)Na 析出の3反応が考えられる。
また、原子のイオン化列により、陰極4における反応(C) においては、(1) →(3) の順で優先的に反応が生じると考えられ、陰極の材質は、電気伝導性と耐腐食性のみ考慮して選択すれば良いと考えられていた。
【0033】
しかし、陰極における水素発生反応においては、陰極の材質によって水素過電圧と呼ばれる差電圧が発生し、この水素過電圧が大きいと水素発生が困難となり、その代わりに金属析出などの副反応が生じる。
一方、鋼帯を陰極とする電気メッキにおいて陽極として用いられる鉛は、耐食性、安定性に優れるが、直接通電式電解エッチングにおいて陰極として用いる場合は、水素過電圧が大きく、Na析出反応を誘発し、析出したNaと鉛が反応して電解液中に鉛コロイドが発生し、電解液中に含鉛スラッジが発生するという問題が生じる。
【0034】
また、電気分解で多用される白金(Pt)は、水素過電圧は小さく、耐食性、安定性にも優れるが、工業的に用いるには非常に高価であり設備費用など経済性に問題があった。
本第3の発明においては、上記した問題点を解決するために、陰極の材質として、鉄または鉄合金を用いることにより、水素過電圧による副反応に伴う上記した弊害の防止と耐食性、安定性および設備費用の低減化を達成した。
【0035】
すなわち、陰極の材質を鉄または鉄合金としたことにより、鉛電極を用いた場合に比べはるかに水素過電圧が小さくなった。
この結果、主反応である図7の(C)(1)の反応〔:H+ +e- →H2 ↑〕が優先的に進行し、副反応である図7の(C)(2)、(3) の反応〔Fe2++2e- →Fe、Na+ +e- →Na〕の影響を殆ど受けることがなく、前記した鉛コロイドが発生するという問題がない。
【0036】
また、副反応であるが次優先反応である(C)(2)の反応〔Fe2++2e- →Fe〕に対しては、陰極の材質を鉄または鉄合金とすることにより、Feの析出は陰極の電気伝導度に殆ど影響を与えず、その結果通電量の経時的変化が殆ど生ぜず、安定した制御が達成可能となった。
また、耐食性の問題に関しては、電解エッチングにおける陰極反応が元来還元析出反応であり、操業中であれば問題が生じることはない。
【0037】
一方、設備の休止に伴う電解停止時の陰極表面の残液による腐食の問題が発生する。
これに対して、第4の発明によれば、鉄合金の中でも特に耐食性の高いステンレス鋼を陰極の材質として用いることにより、腐食発生およびそれに伴う設備の休止後の再稼働時のエッチング電圧増大などのトラブルの防止が可能となった。
【0038】
以上、本発明について述べたが、本発明によれば、エッチングマスクが選択的に形成された方向性けい素鋼帯の電解エッチングにおいて、エッチングで形成される溝の断面形状が鋼帯板幅方向において均一な方向性けい素鋼帯を製造することが可能で、さらには、副反応に伴う金属析出やスラッジ発生の問題のない、制御の容易な電解エッチング装置を提供することが可能となった。
【0039】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
(実施例1〜実施例6)
前記した図1または図2に示す水平セル式またはラジアルセル式の電解エッチング装置を用いて、下記条件下で、最終板厚まで冷間圧延され、鋼帯の下面である片面にエッチングマスクが選択的に形成された方向性けい素鋼帯の直接通電による連続電解エッチングを行った。
【0040】
〔方向性けい素鋼帯:〕
方向性けい素鋼帯板厚;0.22mm、板幅;1000mm
エッチングマスクの厚み;1μm
エッチングマスクの印刷に使用したインク;エポキシ系樹脂を主成分とするインク
エッチングマスクの形成状況;圧延方向の間隔:3mmで、圧延方向と直角な方向に幅:0.2mmの連続した直線状の非印刷領域が残存するように形成。
【0041】
〔電解エッチングの条件:〕
(電解液:)
組成;300g-NaCl/l 、液温;50℃
(通電方式:)
電気量300C/dm2の電解電流一定とした直接通電方式
(エッチングマスク形成面と陰極間の距離d:)
d=10〜40mm
(陰極材質:)
鉄またはステンレス鋼
電解エッチング後、鋼帯板幅方向におけるエッチングで形成された溝の断面形状、鋼帯表面性状および電解液の観察を行った。
【0042】
なお、溝の断面形状としては、鋼帯板幅方向10箇所における溝幅、溝深さを測定し、各々のバラツキ(標準偏差:σ)で評価した。
表1に水平セル式の電解エッチング装置における試験結果(実施例1〜実施例3)を、表2にラジアルセル式の電解エッチング装置における試験結果(実施例4〜実施例6)を、試験条件、電解エッチングの電力原単位と併せて示す。
【0043】
(比較例1〜比較例6)
エッチングマスク形成面と陰極間の距離d、陰極の材質を変えた以外は実施例1〜6と同様にして方向性けい素鋼帯の直接通電による連続電解エッチングを行い、得られた鋼帯の評価を行った。
表1に水平セル式の電解エッチング装置における試験結果(比較例1〜比較例3)を、表2にラジアルセル式の電解エッチング装置における試験結果(比較例4〜6)を試験条件と併せて示す。
【0044】
(比較例7、比較例8)
電解エッチング装置として、図3に示す水平セル式の電解エッチング装置または図2において摺動シール部材40a 、40b が付属したシール部材20b 、20c を有しないラジアルセル式の電解エッチング装置を用いた以外は実施例1〜6と同様にして方向性けい素鋼帯の直接通電による連続電解エッチングを行い、得られた鋼帯の評価を行った。
【0045】
表1に水平セル式の電解エッチング装置における試験結果(比較例7)を、表2にラジアルセル式の電解エッチング装置における試験結果(比較例8)を試験条件と併せて示す。
表1および表2に示されるように、本発明によれば、エッチングマスクが選択的に形成された方向性けい素鋼帯の電解エッチングにおいて、エッチングで形成される溝の断面形状が鋼帯板幅方向において均一な方向性けい素鋼帯を製造することが可能となり、さらには、副反応による問題も生ぜず、低電力原単位で電解エッチングが可能となった。
【0046】
さらには、本発明によれば、陰極の材質として鉄またはステンレス鋼などの鉄合金を用いることにより、通電量に経時的変化が殆ど生ぜず安定した制御が可能となった。
【0047】
【表1】
Figure 0003855336
【0048】
【表2】
Figure 0003855336
【0049】
【発明の効果】
本発明により、エッチングマスクが選択的に形成された方向性けい素鋼帯の電解エッチングにおいて、エッチングで形成される溝の断面形状が鋼帯板幅方向において均一な方向性けい素鋼帯を製造することが可能となり、さらには、副反応による問題も生ぜず、低電力原単位で電解エッチングが可能となった。
【0050】
さらには、本発明によれば、陰極の材質として鉄またはステンレス鋼などの鉄合金を用いることにより、通電量に経時的変化が殆ど生ぜず安定した制御が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる水平セル式の連続電解エッチング装置の一例を示す側面図(a) およびA-A 断面図(b) である。
【図2】本発明に係わるラジアルセル式の連続電解エッチング装置の一例を示す側面図(a) およびB-B 断面図(b) である。
【図3】電解エッチング装置の側面図(a) およびC-C 断面図(b) である。
【図4】電解エッチング槽の鋼帯板幅方向における電解液の流速分布を模式的に示す平面図である。
【図5】メッキセルを電解エッチングに適用した場合の連続電解エッチング装置を示す側面図である。
【図6】短絡電流の発生状況を示す連続電解エッチング装置の側面図である。
【図7】直接通電式連続電解エッチング法における鋼帯−陰極間の主要電気化学反応を模式的に示す電解エッチング槽の側面図である。
【符号の説明】
1 方向性けい素鋼帯
2 エッチングマスク
3 電解エッチング槽(電解エッチングセル)
4 陰極
5 電解液給液装置
5a 給液ヘッダ
5b ノズル
6 電解液循環装置
6a 電解液循環ポンプ
7 電解液
8 コンダクタロール(陽極)
9 シンクロール
10 バックアップロール
20a 電解液中で鋼帯の片面側(上面側)を覆うシール部材
20b 、20c 鋼帯板幅方向両側部を覆うシール部材
30 メインロール(巻き付けロール)
31 排液ヘッダ
32 シールロール
32a 前段シールロール
32b 後段シールロール
40a 、40b 摺動シール部材
l 電解液の流れ方向
ld 電解液の流速分布
s 鋼帯の通板方向

Claims (4)

  1. 最終板厚まで冷間圧延され表面にエッチングマスクが選択的に形成された方向性けい素鋼帯に直接通電し線状溝を形成する連続電解エッチング装置であって、電解エッチング槽(3) と、該電解エッチング槽(3) 内の電解液中で前記鋼帯の片面側と相対向して配設された陰極(4) と、電解液中で前記鋼帯の他の片面側を覆うシール部材(20a) と、当該シール部材(20a) と陰極(4) 間の鋼帯板幅方向両側部を覆うシール部材(20b,20c) と、電解液中に配設され陰極(4) の鋼帯長手方向端部から電解液を供給する電解液給液装置(5) とを有し、前記陰極(4) と前記鋼帯の片面側との距離が5〜40mmであることを特徴とする連続電解エッチング装置。
  2. 前記鋼帯と当接した陽極であるコンダクタロール(8) が電解エッチング槽(3) の電解液中に浸漬されない構成とした請求項1記載の連続電解エッチング装置。
  3. 前記陰極(4) の材質として鉄または鉄合金を用いた請求項1または2記載の連続電解エッチング装置。
  4. 前記陰極(4) の材質としてステンレス鋼を用いた請求項1または2記載の連続電解エッチング装置。
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