JPH10204698A - 連続電解エッチング装置 - Google Patents

連続電解エッチング装置

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JPH10204698A
JPH10204698A JP961397A JP961397A JPH10204698A JP H10204698 A JPH10204698 A JP H10204698A JP 961397 A JP961397 A JP 961397A JP 961397 A JP961397 A JP 961397A JP H10204698 A JPH10204698 A JP H10204698A
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豊 成瀬
Natsuki Namura
夏樹 名村
Takeshi Tofuji
剛 東藤
Eiji Hina
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 形成される溝の断面形状が鋼板の板幅方向に
おいて均一で、しかも、電解液中での副反応に伴う金属
析出やスラッジ発生の問題を解決した、製品品質に優れ
た方向性けい素鋼板の製造が可能な連続電解エッチング
装置の提供。 【解決手段】 最終板厚まで冷間圧延され表面にエッチ
ングマスクが選択的に形成された方向性けい素鋼帯に直
接通電し線状溝を形成する連続電解エッチング装置であ
って、電解エッチング槽3と、電解エッチング槽3内の
電解液中で鋼帯の片面側と相対向して配設された陰極4
と、電解液中で鋼帯の他の片面側を覆うシール部材20a
と、シール部材20a と陰極4間の鋼帯板幅方向両側部を
覆うシール部材20b,20c と、電解液中に配設され陰極4
の鋼帯長手方向端部から電解液を供給する電解液給液装
置5とを有し、陰極4と鋼帯の片面側との距離が5〜40
mmである連続電解エッチング装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続電解エッチン
グ装置に関し、特には、電気絶縁性インクで表面にエッ
チングマスクが選択的に形成された方向性けい素鋼帯の
連続電解エッチング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、方向性電磁鋼板など鋼板に電気絶
縁性インクでエッチングレジストを印刷した後、電解エ
ッチングにより、鋼板表面にエッチングパターンを形成
することにより、鋼板の特性を改善する技術が開示され
ている(特公平8−6140号公報)。
【0003】しかし、上記した電解エッチングを連続電
解エッチング法で行う場合、エッチングで形成される
溝の断面形状が、鋼板の板幅方向において不均一にな
る、電解液中での副反応に伴う金属析出やスラッジ発
生の問題があり、得られる製品の品質が十分とは言えな
かった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の問題点を解決し、エッチングで形成される溝の断面
形状が鋼板の板幅方向において均一で、しかも、電解液
中での副反応に伴う金属析出やスラッジ発生の問題を解
決した、製品品質に優れた方向性けい素鋼板の製造が可
能な連続電解エッチング装置を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、最終板厚
まで冷間圧延され表面にエッチングマスクが選択的に形
成された方向性けい素鋼帯に直接通電し線状溝を形成す
る連続電解エッチング装置であって、電解エッチング槽
3と、該電解エッチング槽3内の電解液中で前記鋼帯の
片面側と相対向して配設された陰極4と、電解液中で前
記鋼帯の他の片面側を覆うシール部材20a と、当該シー
ル部材20a と陰極4間の鋼帯板幅方向両側部を覆うシー
ル部材20b,20c と、電解液中に配設され陰極4の鋼帯長
手方向端部から電解液を供給する電解液給液装置5とを
有し、前記陰極4と前記鋼帯の片面側との距離が5〜40
mmであることを特徴とする連続電解エッチング装置であ
る。
【0006】第2の発明は、前記第1の発明において、
前記鋼帯と当接した陽極であるコンダクタロール8が電
解エッチング槽3の電解液中に浸漬されない構成とした
連続電解エッチング装置である。第3の発明は、前記第
1の発明または第2の発明において、前記陰極4の材質
として鉄または鉄合金を用いた連続電解エッチング装置
である。
【0007】第4の発明は、前記第1の発明または第2
の発明において、前記陰極4の材質としてステンレス鋼
を用いた連続電解エッチング装置である。前記した、第
1の発明〜第4の発明においては、前記連続電解エッチ
ング装置が、電解液循環装置6を有し、当該電解液循環
装置6により、鋼帯長手方向において前記電解液給液装
置5と相対向する陰極4端部から排出される電解液を前
記電解液給液装置5に循環するように構成されているこ
とが好ましい。
【0008】また、前記した、第1の発明〜第4の発明
においては、前記連続電解エッチング装置が、電解液循
環装置6を有し、当該電解液循環装置6により、電解エ
ッチング槽3から排出される電解液を前記電解液給液装
置5に循環するように構成されていることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、第1の発明〜第
4の発明の順に、さらに詳細に説明する。 〔第1の発明:〕本発明者らは、エッチングで形成され
る溝の断面形状の鋼板板幅方向における不均一性の問題
を解決するため鋭意検討した結果、下記知見を得、本発
明に至った。
【0010】図3に、電解エッチング装置の側面図(a)
およびC-C 断面図(b) を示す。図3において、1は方向
性けい素鋼帯、2は方向性けい素鋼帯1の表面に選択的
に形成されたエッチングマスク、3は電解エッチング槽
(電解エッチングセル)、4は陰極、5は電解液給液装
置、6は電解液循環装置、7は電解液、8は陽極である
コンダクタロール、9はシンクロール、10はバックアッ
プロール、flは電解液の流れ方向、fs は鋼帯の通板
方向を示す。
【0011】また、電解液給液装置5は電解液の給液ヘ
ッダ5aおよびノズル5bから構成され、電解液循環装置6
は電解液循環ポンプ6aおよび配管6bから構成される。連
続的に電解エッチングを行う場合、図3に示されるよう
に、電解エッチング槽3内の電解液7中を方向性けい素
鋼帯(以下、鋼帯とも記す)1の板面を陰極4と相対向
して通板する方法を用いる。
【0012】図3の方法においては、鋼帯1〜陰極4間
に電解液給液装置5を配設し、電解液をノズル5bより吹
き出すことで、鋼帯1と電解液7間に相対速度を持たせ
ていた。この場合、ノズル5bから吹き出した電解液7が
鋼帯板幅方向に拡散し、図4に示すような鋼帯板幅方向
における電解液の流速分布fldが形成され、鋼帯板幅方
向端部での流速が遅くなる。
【0013】本発明者らは、エッチングで形成される溝
の断面形状の鋼帯板幅方向における不均一性が上記した
電解液の流速分布に起因することに着目し、エッチング
時の鋼帯と電解液の相対速度を鋼帯板幅方向で均一にす
る方法を検討した。電解液と鋼帯との相対速度を鋼帯板
幅方向で均一にする方法として、先ず、鋼帯板幅方向に
ノズルを複数個配置し電解液の吹出し流速を幅方向で調
整する方法を採用したが、このような方法を用いても、
同一断面内で鋼帯板幅方向の流速分布が発生することは
防止できず、鋼帯板幅方向で均一なエッチング品質を得
ることは困難であった。
【0014】さらに検討を重ねた結果、電解液中の鋼帯
および該鋼帯の下面に相対向して配設した陰極の周囲を
囲繞し、断面が筒状の密閉型管状流路を電解液中に形成
することにより、エッチングで形成される溝の断面形状
が鋼帯板幅方向において均一な方向性けい素鋼帯を製造
することが可能であることを見出した。すなわち、第1
の発明は、最終板厚まで冷間圧延され表面にエッチング
マスクが選択的に形成された方向性けい素鋼帯に直接通
電し線状溝を形成する連続電解エッチング装置であっ
て、電解エッチング槽と、該電解エッチング槽内の電解
液中で前記鋼帯の片面側と相対向して配設された陰極
と、電解液中で前記鋼帯の他の片面側を覆うシール部材
と、当該シール部材と陰極間の鋼帯板幅方向両側部を覆
うシール部材と、電解液中に配設され陰極の鋼帯長手方
向端部から電解液を供給する電解液給液装置とを有し、
前記陰極と前記鋼帯の片面側との距離が5〜40mmである
ことを特徴とする連続電解エッチング装置である。
【0015】なお、本発明においては、前記鋼帯の片面
側を覆うシール部材と前記鋼帯板幅方向両側部を覆うシ
ール部材は、それらが一体となった部材でもよく、それ
らの具体的構成は制限されるものではない。図1に、本
発明に係わる水平セル式の連続電解エッチング装置の一
例を側面図(a) およびA-A 断面図(b) で示す。
【0016】図1(a) 、(b) において、20a は電解液7
中で鋼帯1の片面側(上面側)を覆うシール部材、20b
、20c はシール部材20a と陰極4間の鋼帯板幅方向両
側部を覆うシール部材を示し、その他の符号は図3、図
4と同様の内容を示す。方向性けい素鋼帯1は、電解エ
ッチング槽3において、シンクロール9により電解液7
中に浸漬され、通板される。
【0017】また、電解エッチング装置には、鋼帯1〜
陰極4間の電解液7に流れを発生させ、鋼帯1と電解液
7の相対速度を大とするため、鋼帯1〜陰極4間に電解
液を供給する電解液給液装置5および電解液循環装置6
が付設されている。方向性けい素鋼帯1は、予め、最終
板厚まで冷間圧延される。冷間圧延された上記鋼帯1
は、例えばエポキシ系樹脂またはアルキド系樹脂を主成
分とする電気絶縁性インクにより、鋼帯1の下面に、非
印刷部領域が残存するようにエッチングマスク2が選択
的に形成(印刷)されている。
【0018】電解エッチング槽3内にはエッチングマス
ク2の形成面に相対向して陰極4が浸漬されており、ま
た、鋼帯1の非印刷面側にコンダクタロール8が押圧さ
れており、コンダクターロール8→鋼帯1→電解液7→
陰極4の経路で電流が流れエッチングが行われる。図1
の電解エッチング装置においては、電解液給液装置5か
ら供給された電解液7が鋼帯1の板幅方向に拡散し、鋼
帯板幅方向に電解液の流速分布が発生することを防止す
るために、電解液中で鋼帯1の片面側(上面側)を覆う
シール部材20a と、当該シール部材20a と陰極4間の鋼
帯板幅方向両側部を覆うシール部材20b 、20c と陰極4
とで、断面が筒状の密閉型管状流路を電解液中に形成す
る。
【0019】この結果、本シール機構の効果により、陰
極4と対向した区間での鋼帯1と電解液7との相対速度
を鋼帯板幅方向でほぼ均一にすることが可能となり、エ
ッチングで形成される溝の断面形状が鋼板板幅方向にお
いて均一な方向性けい素鋼板を製造することが可能とな
った。また、本発明によれば、陰極4を、該陰極4とこ
れと相対向する鋼帯1の片面側との距離が5〜40mmとな
るように配設することにより、電解エッチングにおける
電力原単位の大幅な低下および鋼帯1と陰極4の接触に
よる鋼帯表面のスパーク疵の発生の防止の両立が可能と
なった。
【0020】なお、本発明における前記した陰極と鋼帯
の片面側との距離とは、当該鋼帯の片面側にエッチング
マスクが形成されている場合は、陰極と鋼帯の片面側の
エッチングマスク形成面との距離を示す。以上、前記し
た図1においては、電解エッチング槽3として水平セル
を示したが、本発明においては、電解エッチング槽3と
してラジアルセルを用いてもよい。
【0021】図2に、本発明に係わるラジアルセル式の
連続電解エッチング装置の一例を側面図(a) およびB-B
断面図(b) で示す。図2(a) 、(b) において、30はメイ
ンロール(巻き付けロール)、31は排液ヘッダ、32a は
前段シールロール、32b は後段シールロールを示し、そ
の他の符号は図1、図3および図4と同様の内容を示
す。
【0022】ラジアルセル式の連続電解エッチング装置
においては、鋼帯1をメインロール30に巻き付け、鋼帯
1と相対向して配設された陰極4と鋼帯1との間に電解
液を供給し、鋼帯1への直接通電により鋼帯1のエッチ
ングを行う。図2に示すラジアルセル式の連続電解エッ
チング装置においては、メインロール30が、本発明にお
ける電解液中で鋼帯の他の片面側を覆うシール部材20a
の機能をも兼ね備える。
【0023】図2に示す電解エッチング装置において
は、メインロール30と陰極4間の鋼帯板幅方向両側部を
覆うシール部材20b 、20c に、メインロール30と摺動す
る摺動シール部材40a 、40b がメインロール30の円周方
向に円弧状に取り付けられている。なお、摺動シール部
材40a 、40b はシール部材20b 、20c に取り付けてもよ
い。
【0024】また、鋼帯1の通板方向fs における陰極
4の両端部に、前段シールロール32a 、後段シールロー
ル32b 、電解液給液装置5、排液ヘッダ31が設置されて
いる。この結果、メインロール30、鋼帯板幅方向両側部
を覆うシール部材20b 、20c、摺動シール部材40a 、40b
および陰極4の4者で、断面が筒状の密閉型曲管状流
路が電解液中に形成され、当該流路中を電解液が流れ
る。
【0025】これにより、電解液給液装置5から供給さ
れた電解液7が、鋼帯1の板幅方向に渡り均一な流速で
鋼帯1の表面を流れ、エッチングで形成される溝の断面
形状が鋼板板幅方向において均一な方向性けい素鋼帯を
製造することが可能となった。 〔第2の発明:〕第2の発明は、前記第1の発明におい
て、鋼帯と当接した陽極であるコンダクタロールが電解
エッチング槽の電解液中に浸漬されない構成とした連続
電解エッチング装置である。
【0026】図5に、鋼帯のメッキを行う水平セル式の
メッキセルを電解エッチングに適用した場合の連続電解
エッチング装置を側面図により示す。図5において、32
はシールロールを示し、その他の符号は図1〜図4と同
様の内容を示す。電流は、コンダクタロール8から鋼帯
1に流れ、エッチングマスクが形成された鋼帯1の非印
刷面より電解液7を通って陰極4へ流れる。
【0027】この時、非印刷面→印刷面のレジスト非印
刷部→電解液7→陰極4を電流が流れる際の電気化学的
反応により、鋼帯1がエッチングされるため、当該経路
を流れる電流を制御することが、エッチング強度を制御
することになる。すなわち、製品品質の安定のために
は、上記経路を流れる電流を正しくコントロールするこ
とが重要である。
【0028】しかし、図5に示した電解セルの場合、コ
ンダクタロール8が電解液7に直接浸漬される構成とな
っている。このため、図6に示すように、正規の電流の
通電経路fe 、すなわちコンダクタロール8→鋼帯の非
印刷面→鋼帯の印刷面のレジスト非印刷部→電解液7→
陰極4の通電と同時に、コンダクタロール8の鋼帯1と
の非接触部(接液部)→電解液7→陰極4の経路で短絡
電流AS が発生する。
【0029】一方、一般的に鋼帯表面の電流を直接測定
することは困難であり、エッチングにおける電解量は電
源装置の通電電流で制御する。その際に、このような短
絡電流が流れると、短絡電流は、エッチング強度すなわ
ち電解量の正確な管理および制御の大きな外乱要因とな
るため、短絡電流を極力防止することが工業的に安定し
た電解エッチングを行うために重要な要件となる。
【0030】さらに、短絡電流が発生した場合、本来鋼
帯表面で生じるべき電気化学的反応が、コンダクタロー
ル8の表面で発生し、コンダクタロール8の表面を損傷
する問題が生じる。本第2の発明は、上記した問題点を
解決するために、コンダクタロール8を電解エッチング
槽3の電解液7中に浸漬させないことで短絡電流AS
発生を防止したものである。 〔第3の発明および第4の発明:〕次に、本発明の連続
電解エッチング装置における陰極について述べる。
【0031】すなわち、第3の発明は、前記第1の発明
または第2の発明において、前記陰極の材質として、鉄
または鉄合金を用いる連続電解エッチング装置である。
また、第4の発明は、前記第1の発明または第2の発明
において、前記陰極の材質として、ステンレス鋼を用い
る連続電解エッチング装置である。直接通電式電解エッ
チングにおいては、通常、電解液として食塩水(NaCl水
溶液)が用いられる。
【0032】この場合の鋼帯−陰極間の主要な電気化学
反応を図7に模式図により示す。陰極4における反応
(C) としては、電子受容反応により、(1) 水素発生、
(2)Fe 析出、(3)Na 析出の3反応が考えられる。また、
原子のイオン化列により、陰極4における反応(C) にお
いては、(1) →(3) の順で優先的に反応が生じると考え
られ、陰極の材質は、電気伝導性と耐腐食性のみ考慮し
て選択すれば良いと考えられていた。
【0033】しかし、陰極における水素発生反応におい
ては、陰極の材質によって水素過電圧と呼ばれる差電圧
が発生し、この水素過電圧が大きいと水素発生が困難と
なり、その代わりに金属析出などの副反応が生じる。一
方、鋼帯を陰極とする電気メッキにおいて陽極として用
いられる鉛は、耐食性、安定性に優れるが、直接通電式
電解エッチングにおいて陰極として用いる場合は、水素
過電圧が大きく、Na析出反応を誘発し、析出したNaと鉛
が反応して電解液中に鉛コロイドが発生し、電解液中に
含鉛スラッジが発生するという問題が生じる。
【0034】また、電気分解で多用される白金(Pt)は、
水素過電圧は小さく、耐食性、安定性にも優れるが、工
業的に用いるには非常に高価であり設備費用など経済性
に問題があった。本第3の発明においては、上記した問
題点を解決するために、陰極の材質として、鉄または鉄
合金を用いることにより、水素過電圧による副反応に伴
う上記した弊害の防止と耐食性、安定性および設備費用
の低減化を達成した。
【0035】すなわち、陰極の材質を鉄または鉄合金と
したことにより、鉛電極を用いた場合に比べはるかに水
素過電圧が小さくなった。この結果、主反応である図7
の(C)(1)の反応〔:H+ +e- →H2 ↑〕が優先的に進
行し、副反応である図7の(C)(2)、(3) の反応〔Fe2+
2e- →Fe、Na+ +e- →Na〕の影響を殆ど受けることが
なく、前記した鉛コロイドが発生するという問題がな
い。
【0036】また、副反応であるが次優先反応である
(C)(2)の反応〔Fe2++2e- →Fe〕に対しては、陰極の材
質を鉄または鉄合金とすることにより、Feの析出は陰極
の電気伝導度に殆ど影響を与えず、その結果通電量の経
時的変化が殆ど生ぜず、安定した制御が達成可能となっ
た。また、耐食性の問題に関しては、電解エッチングに
おける陰極反応が元来還元析出反応であり、操業中であ
れば問題が生じることはない。
【0037】一方、設備の休止に伴う電解停止時の陰極
表面の残液による腐食の問題が発生する。これに対し
て、第4の発明によれば、鉄合金の中でも特に耐食性の
高いステンレス鋼を陰極の材質として用いることによ
り、腐食発生およびそれに伴う設備の休止後の再稼働時
のエッチング電圧増大などのトラブルの防止が可能とな
った。
【0038】以上、本発明について述べたが、本発明に
よれば、エッチングマスクが選択的に形成された方向性
けい素鋼帯の電解エッチングにおいて、エッチングで形
成される溝の断面形状が鋼帯板幅方向において均一な方
向性けい素鋼帯を製造することが可能で、さらには、副
反応に伴う金属析出やスラッジ発生の問題のない、制御
の容易な電解エッチング装置を提供することが可能とな
った。
【0039】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。 (実施例1〜実施例6)前記した図1または図2に示す
水平セル式またはラジアルセル式の電解エッチング装置
を用いて、下記条件下で、最終板厚まで冷間圧延され、
鋼帯の下面である片面にエッチングマスクが選択的に形
成された方向性けい素鋼帯の直接通電による連続電解エ
ッチングを行った。
【0040】〔方向性けい素鋼帯:〕 方向性けい素鋼帯板厚;0.22mm、板幅;1000mm エッチングマスクの厚み;1μm エッチングマスクの印刷に使用したインク;エポキシ系
樹脂を主成分とするインク エッチングマスクの形成状況;圧延方向の間隔:3mmで、
圧延方向と直角な方向に幅:0.2mmの連続した直線状の非
印刷領域が残存するように形成。
【0041】〔電解エッチングの条件:〕 (電解液:) 組成;300g-NaCl/l 、液温;50℃ (通電方式:)電気量300C/dm2の電解電流一定とした直
接通電方式 (エッチングマスク形成面と陰極間の距離d:) d=10〜40mm (陰極材質:)鉄またはステンレス鋼 電解エッチング後、鋼帯板幅方向におけるエッチングで
形成された溝の断面形状、鋼帯表面性状および電解液の
観察を行った。
【0042】なお、溝の断面形状としては、鋼帯板幅方
向10箇所における溝幅、溝深さを測定し、各々のバラツ
キ(標準偏差:σ)で評価した。表1に水平セル式の電
解エッチング装置における試験結果(実施例1〜実施例
3)を、表2にラジアルセル式の電解エッチング装置に
おける試験結果(実施例4〜実施例6)を、試験条件、
電解エッチングの電力原単位と併せて示す。
【0043】(比較例1〜比較例6)エッチングマスク
形成面と陰極間の距離d、陰極の材質を変えた以外は実
施例1〜6と同様にして方向性けい素鋼帯の直接通電に
よる連続電解エッチングを行い、得られた鋼帯の評価を
行った。表1に水平セル式の電解エッチング装置におけ
る試験結果(比較例1〜比較例3)を、表2にラジアル
セル式の電解エッチング装置における試験結果(比較例
4〜6)を試験条件と併せて示す。
【0044】(比較例7、比較例8)電解エッチング装
置として、図3に示す水平セル式の電解エッチング装置
または図2において摺動シール部材40a 、40b が付属し
たシール部材20b 、20c を有しないラジアルセル式の電
解エッチング装置を用いた以外は実施例1〜6と同様に
して方向性けい素鋼帯の直接通電による連続電解エッチ
ングを行い、得られた鋼帯の評価を行った。
【0045】表1に水平セル式の電解エッチング装置に
おける試験結果(比較例7)を、表2にラジアルセル式
の電解エッチング装置における試験結果(比較例8)を
試験条件と併せて示す。表1および表2に示されるよう
に、本発明によれば、エッチングマスクが選択的に形成
された方向性けい素鋼帯の電解エッチングにおいて、エ
ッチングで形成される溝の断面形状が鋼帯板幅方向にお
いて均一な方向性けい素鋼帯を製造することが可能とな
り、さらには、副反応による問題も生ぜず、低電力原単
位で電解エッチングが可能となった。
【0046】さらには、本発明によれば、陰極の材質と
して鉄またはステンレス鋼などの鉄合金を用いることに
より、通電量に経時的変化が殆ど生ぜず安定した制御が
可能となった。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【発明の効果】本発明により、エッチングマスクが選択
的に形成された方向性けい素鋼帯の電解エッチングにお
いて、エッチングで形成される溝の断面形状が鋼帯板幅
方向において均一な方向性けい素鋼帯を製造することが
可能となり、さらには、副反応による問題も生ぜず、低
電力原単位で電解エッチングが可能となった。
【0050】さらには、本発明によれば、陰極の材質と
して鉄またはステンレス鋼などの鉄合金を用いることに
より、通電量に経時的変化が殆ど生ぜず安定した制御が
可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる水平セル式の連続電解エッチン
グ装置の一例を示す側面図(a)およびA-A 断面図(b) で
ある。
【図2】本発明に係わるラジアルセル式の連続電解エッ
チング装置の一例を示す側面図(a) およびB-B 断面図
(b) である。
【図3】電解エッチング装置の側面図(a) およびC-C 断
面図(b) である。
【図4】電解エッチング槽の鋼帯板幅方向における電解
液の流速分布を模式的に示す平面図である。
【図5】メッキセルを電解エッチングに適用した場合の
連続電解エッチング装置を示す側面図である。
【図6】短絡電流の発生状況を示す連続電解エッチング
装置の側面図である。
【図7】直接通電式連続電解エッチング法における鋼帯
−陰極間の主要電気化学反応を模式的に示す電解エッチ
ング槽の側面図である。
【符号の説明】
1 方向性けい素鋼帯 2 エッチングマスク 3 電解エッチング槽(電解エッチングセル) 4 陰極 5 電解液給液装置 5a 給液ヘッダ 5b ノズル 6 電解液循環装置 6a 電解液循環ポンプ 7 電解液 8 コンダクタロール(陽極) 9 シンクロール 10 バックアップロール 20a 電解液中で鋼帯の片面側(上面側)を覆うシール
部材 20b 、20c 鋼帯板幅方向両側部を覆うシール部材 30 メインロール(巻き付けロール) 31 排液ヘッダ 32 シールロール 32a 前段シールロール 32b 後段シールロール 40a 、40b 摺動シール部材 fl 電解液の流れ方向 fld 電解液の流速分布 fs 鋼帯の通板方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 東藤 剛 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 日名 英司 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 最終板厚まで冷間圧延され表面にエッチ
    ングマスクが選択的に形成された方向性けい素鋼帯に直
    接通電し線状溝を形成する連続電解エッチング装置であ
    って、電解エッチング槽(3) と、該電解エッチング槽
    (3) 内の電解液中で前記鋼帯の片面側と相対向して配設
    された陰極(4) と、電解液中で前記鋼帯の他の片面側を
    覆うシール部材(20a) と、当該シール部材(20a) と陰極
    (4) 間の鋼帯板幅方向両側部を覆うシール部材(20b,20
    c) と、電解液中に配設され陰極(4) の鋼帯長手方向端
    部から電解液を供給する電解液給液装置(5) とを有し、
    前記陰極(4) と前記鋼帯の片面側との距離が5〜40mmで
    あることを特徴とする連続電解エッチング装置。
  2. 【請求項2】 前記鋼帯と当接した陽極であるコンダク
    タロール(8) が電解エッチング槽(3) の電解液中に浸漬
    されない構成とした請求項1記載の連続電解エッチング
    装置。
  3. 【請求項3】 前記陰極(4) の材質として鉄または鉄合
    金を用いた請求項1または2記載の連続電解エッチング
    装置。
  4. 【請求項4】 前記陰極(4) の材質としてステンレス鋼
    を用いた請求項1または2記載の連続電解エッチング装
    置。
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