JP2017133006A - ウレタン硬化性塗料及びその利用 - Google Patents

ウレタン硬化性塗料及びその利用 Download PDF

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Hiromune Fujii
啓統 藤井
智 中泉
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智 中泉
酒井 豊
Yutaka Sakai
豊 酒井
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Abstract

【課題】生産性に優れるウレタン硬化性塗料を提供する。【解決手段】ポリオールと、ポリイソシアネートと、刺激応答によってウレタン硬化促進能を発現する刺激応答性化合物と、を含有する、塗料とする。刺激応答性化合物によれば、ウレタン硬化挙動を容易に制御でき、ウレタン硬化塗膜の生産性を向上させることができる。【選択図】なし

Description

本明細書は、ウレタン硬化性塗料及びその利用に関する。
ウレタン硬化性塗料は、例えば、耐擦傷性等に優れる塗料やコーティング剤として提供されている(特許文献1、2)。ウレタン硬化性塗料は、1液型と2液型とがある。汎用される2液型のウレタン硬化性塗料は、主剤であるポリオールと、硬化剤であるポリイソシアネートと、を、塗装時に混合して塗料として用いる。被塗装物に塗料を供給し溶剤が留去すると、ポリオールとポリイソシアネートとの間で徐々にウレタン硬化反応が進行し、硬化塗膜が形成される。
耐擦傷性に優れるウレタン硬化性塗料は、他の硬化性塗料に比較して硬化速度が遅い傾向がある。十分な塗膜機能を発揮させるためには、硬化時間を十分に確保して、塗装物表面のタック感(粘着感)を解消して、塗装品が相互に粘着しないようにする必要がある。
特開平11-228905号公報 国際公開第2005/054386号
硬化の遅延は、塗装物品の生産性に影響を及ぼすこともあるため、硬化時間の短縮化が望まれる。硬化時間の短縮には、ウレタン硬化反応を促進するウレタン硬化触媒を添加し、あるいはその量を増量することが有効である。しかしながら、ウレタン硬化触媒の含有量の増加は、主剤と硬化剤とを混合した後の使用可能時間であるポットライフの短縮化を引き起こす場合がある。ポットライフの短縮もまた、生産性の低下につながる。また、硬化時間の短縮を図るような樹脂構成の設計も可能ではあるが、塗料が本来意図する機能が損なわれる場合もある。
そこで、本明細書は、ポットライフの短縮を回避又は抑制しつつ硬化速度を速める等、生産性に優れるウレタン硬化性塗料及びその利用を提供する。
本発明者らは、ウレタン硬化挙動について種々検討したところ、ポリオール及びポリイソシアネートに対して、ある種の刺激応答性化合物を用い、外部刺激によってウレタン硬化を促進できるという知見を得た。また、こうしたウレタン硬化反応の促進により、良好なポットライフを維持しつつウレタン硬化速度を向上させうるという知見を得た。本明細書は、こうした、新たなウレタン硬化システムについての知見に基づき、以下の手段を提供する。
(1)ウレタン硬化性塗料であって、
ポリオールと、
ポリイソシアネートと、
刺激応答によってウレタン硬化促進能を発現する刺激応答性化合物と、
を含有する、塗料。
(2)前記刺激応答性化合物は、刺激応答によってウレタン硬化促進剤を生成する化合物である、(1)に記載の塗料。
(3)前記刺激応答性化合物は、光刺激応答によって酸を生成する化合物である、(2)に記載の塗料。
(4)前記刺激応答性化合物は、光刺激応答によって塩基を生成する化合物である、(2)に記載の塗料。
(5)前記刺激応答性化合物は、熱刺激応答によって塩基を生成する化合物である、(2)に記載の塗料。
(6)前記ポリオールは、アクリル系ポリオールを含む、(1)〜(5)のいずれかに記載の塗料。
(7)前記ポリオールは、カプロラクトン変性アクリル系ポリオールを含む、(1)〜(6)のいずれかに記載の塗料。
(8)ウレタン硬化塗膜を有する塗装物であって、
前記ウレタン硬化塗膜は、ポリオールがポリイソシアネートによって架橋されてなる重合体と、刺激応答によってウレタン硬化促進能を発現する刺激応答性化合物から生成したウレタン硬化促進剤と、を含む塗膜である、塗装物。
(9)ウレタン硬化性塗膜の塗膜形成方法であって、
ポリオールと、ポリイソシアネートと、刺激応答によってウレタン硬化促進能を発現する刺激応答性化合物と、を含有するウレタン硬化性塗料を調製する工程と、
被塗装物上に供給されたウレタン硬化性塗料に対して前記刺激応答のための刺激を付与して前記硬化促進能を発現させる工程と、
を備え、前記ウレタン硬化性塗料を硬化させる、塗膜形成方法。
(10)前記硬化促進能を発現させる工程前に、さらに、前記ウレタン硬化性塗料を乾燥する工程を備える、(9)に記載の塗膜形成方法。
(11)前記刺激応答性化合物は、熱刺激応答によってウレタン硬化促進能を発現する化合物であり、前記硬化促進能を発現させる工程は、前記ウレタン硬化性塗料に対して、近赤外領域の波長を主成分としない気体発光光源又は固体発光光源を備える光照射手段によって光刺激を付与して前記ウレタン硬化性塗料を加熱する工程を含む、(9)又は(10)に記載の塗膜形成方法。
(12)ウレタン塗膜を有する被塗装物の生産方法であって、
ポリオールと、ポリイソシアネートと、刺激応答によってウレタン硬化促進能を発現する刺激応答性化合物と、を含有するウレタン硬化性塗料を調製する工程と、
被塗装物上に供給されたウレタン硬化性塗料に対して前記刺激応答のための刺激を付与して前記硬化促進能を発現させる工程と、
を備え、前記ウレタン硬化性塗料を硬化させる、生産方法。
本明細書の開示は、ウレタン硬化性塗料及びその利用に関する。本明細書に開示されるウレタン硬化性塗料(以下、単に本塗料ともいう。)は、ポリオールとポリイソシアネートとに加えて、刺激応答によってウレタン硬化促進能を発現する刺激応答性化合物を含有している。本塗料によれば、外部から付与する刺激によってウレタン硬化反応を制御又は促進できるという新たなウレタン硬化システムを提供することができる。
本塗料によれば、刺激応答性化合物を含有することにより、所定の外部刺激が付与されない限りは、当該刺激応答性化合物による硬化促進は発現されないが、一旦、外部から所定の刺激が付与されると硬化促進剤が生成されるなどして、ポリオールとポリイソシアネートとの間のウレタン硬化が促進される。
すなわち、本塗料では、外部刺激をトリガーとして硬化促進剤を生成させるため、ウレタン硬化促進を開始するタイミングを制御することができる。この結果、外部刺激が付与されない間は硬化促進が抑制又は回避されるため、ポットライフの短縮が抑制又は回避される。一方、被塗装物に本塗料を塗布後等において、所定の刺激が付与されると、硬化促進能が発現されウレタン硬化が促進されてウレタン硬化速度が向上される。この結果、ポットライフの維持と硬化速度の向上との相反する硬化を同時に実現することができる。
さらに、刺激応答性化合物によれば、その含有量や付与する刺激の強度によって、ウレタン硬化促進能の程度(硬化速度や硬化程度)を制御することができる。このため、生産工程や塗膜特性の要請に容易に対応することができる。
従来、ウレタンアクリレートなどの重合性オリゴマーを構成成分とする活性エネルギー線硬化性のウレタン系塗料では紫外線照射によって迅速な硬化が可能であった。しかしながら、活性エネルギー線硬化性と所望の塗膜機能とを兼ね備える樹脂設計することは必ずしも容易ではなかった。これに対して、本塗料によれば、樹脂構成成分に活性エネルギー線硬化性を付与しなくても、汎用的な熱硬化型のウレタン硬化性塗料に生産性に優れるポットライフ特性と硬化特性等とを付与することができる。
本塗料は、加熱又は常温で硬化する熱硬化性ウレタン硬化性塗料であることが好ましい。また、本塗料は、硬化速度の遅延を回避又は抑制できるという観点から、耐擦傷性に優れるウレタン硬化性塗料であることが好ましい。なお、本塗料は、活性エネルギー線硬化性成分を含むなど、活性エネルギー線硬化性を併せ備えていてもよい。
また、本塗料が熱刺激応答によってウレタン硬化促進能を発現する化合物を刺激応答性化合物として含有するとき、赤外線領域の波長を含む電磁波を照射することによっても、ウレタン硬化促進能の発現のための熱刺激を十分に付与してウレタン硬化塗膜を形成することができる。さらに、かかる電磁波を照射することで、ウレタン樹脂の熱硬化のための熱も付与することもできる。このように、熱刺激応答性の化合物を用いることで、熱風炉や電気炉などの従来の加熱手段の使用を回避又は抑制して、電磁波照射によってウレタン硬化性塗料を加熱することで、効率的にウレタン硬化塗膜を得ることができる。
以下、本明細書の開示について実施形態について詳細に説明する。
(ウレタン硬化性塗料)
本塗料は、ポリオールと、ポリイソシアネートと、所定の刺激応答性化合物とを含有している。この塗料は、通常、主剤としてのポリオールと、硬化剤としてのポリイソシアネートとの2液型として使用されるほか、ポリイソシアネートとしてブロックポリイソシアネートを用いる場合には1液型として使用される。
(ポリオール)
本塗料におけるポリオールは、特に限定しないで、分子内に2個以上の水酸基を有する化合物を適宜用いることができる。こうしたポリオールとしては、各種のポリオールを用いることができる。
ポリオールとしては、例えば、2価アルコール類から8価アルコール類が挙げられる。 2価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール、2−エチル−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2、2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。3価アルコール類としては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。4価アルコール類としては、例えば、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、D−トレイトールなどが挙げられる。5価アルコール類としては、例えば、L−アラビニトール、リビトール、キシリトール、L−ラムニトールなどが挙げられる。6価アルコール類としては、D−グルシトール、D−マンニトール、ガラクチトールなどが挙げられる。7価アルコールとしては、トレハロールなどが挙げられる。8価アルコールとしては、例えばスクロース、マルトース、ゲンチオビオース、ラクトース、メリビオースなどが挙げられる。更に、これらポリオールにε−カプロラクトンなどを付加することもできる。
また、ポリオールとしては、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール、エポキシポリオール、フッ素ポリオールが挙げられる。
アクリルポリオールとしては、例えば、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−2−ヒドロキシブチル等の活性水素を持つアクリル酸エステル、またはグリセリンのアクリル酸モノエステルあるいはメタクリル酸モノエステル、トリメチロールプロパンのアクリル酸モノエステルあるいはメタクリル酸モノエステルの群から選ばれた単独または混合物と;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−4−ヒドロキシブチル等の活性水素を持つメタクリル酸エステル、またはメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステルの群から選ばれた単独または混合物を用い;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の不飽和アミド、及びメタクリル酸グリシジル、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、フマル酸ジブチル等のその他の重合性モノマーの群から選ばれた単独または混合物の存在下、あるいは非存在下において;重合させて得られるアクリルポリオールが挙げられる。
アクリルポリオールとしては、また、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートをカプロラクトンで変性したユニットを備えるポリカプロラクトン変性アクリル系ポリオールが挙げられる。かかるポリオールは、耐擦傷性の観点から好ましく用いることができる。ポリカプロラクトンアクリル系ポリオールは、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと、それ以外の水酸基含有(メタ)アクリレートとを、含むモノマー混合物を、上記その他の重合性モノマーの単独又は混合物の存在下又は非存在下で共重合させることによって得られるアクリル系ポリオールである。カプロラクトンは、ε−カプロラクトン、トリメチルカプロラクトン又はこれらの混合物をいう。
ポリカプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。このポリカプロラクトン変性アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。アルキレン基の炭素数nは、1〜4が好ましく、2がより好ましい。
Figure 2017133006
但し、Rは水素又はメチル基であり、アルキレン基(メチレン基)の炭素数nは1〜10の整数であり、及びカプロラクトンの繰り返し単位数mは1〜25の整数である。
前記ポリカプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、カプロラクトンの繰り返し単位数mの平均値が好ましくは1〜10、さらに好ましくは2〜6である。前記ポリカプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、好適にはポリカプロラクトン変性ヒドロキシアルキルアクリレートが使用される。
水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基は1級水酸基であることが好ましい。1級水酸基を含有する(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、モノマー混合物には、このほか、環状骨格を有する単量体などのその他の単量体が含まれていてもよい。例えば、具体的にはシクロヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン等が用いられる。さらに、その他の単量体は重合反応性を調整し、目的とする塗膜の物性を向上させるために配合され、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、マレイン酸等が使用される。
かかるポリカプロラクトンアクリル系ポリオールの水酸基価は125〜145であることが好ましく、より好ましくは130〜145である。また、ポリカプロラクトンアクリル系ポリオールの酸価は10mgKOH/g以下であることが好ましい。より好ましくは、8mgKOH/g以下であり、さらに好ましくは7mgKOH/g以下である。
さらに、アクリルポリオールとしては、ポリジメチルシロキサン部分を備えるブロックコポリマーやグラフトコポリマーであるアクリルポリオールが挙げられる。さらに、ポリジメチルシロキサン部分に加えて、ポリカプロラクトン部分及び/又はポリシロキサン部分を備えるブロックコポリオールやグラフトコポリマーであるアクリルポリオールも挙げられる。これらのポリオールは、耐擦傷性のほか、耐チッピング性、耐クラック性、耐候性、耐汚染性及び密着性の観点から好ましい。こうした各種のアクリルポリオールとしては、特開平11-228905号公報等にそのポリマー構成及び製造方法が記載されており、当業者であればこれらを参照して係るアクリルポリオールを取得することができる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のカルボン酸の群から選ばれた二塩基酸の単独または混合物と;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリンなどの群から選ばれた多価アルコールの単独または混合物;との縮合反応によって得られるポリエステルポリオール等が挙げられる。これらのポリエステルポリオールは芳香族ジイソシアネート、脂肪族、脂環族ジイソシアネート及びこれらから得られるポリイソシアネートで変性することができる。この場合、特に脂肪族、脂環族ジイソシアネート及びこれらから得られるポリイソシアネートで変性されたポリエステルポリオールが耐候性、耐黄変性などから好ましい。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、分子量500以下のポリオールの単独または混合物に、例えばリチウム、ナトリウム、カリウムなどの水酸化物、アルコラート、アルキルアミンなどの強塩基性触媒、金属ポルフィリン、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛錯体などの複合金属シアン化合物錯体などを使用して、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドの単独または混合物を前記ポリオールにランダムあるいはブロック付加して得られるポリエーテルポリオール、更にエチレンジアミン類等のポリアミン化合物にアルキレンオキサイドを反応させて得られるポリエーテルポリオール及び、これらポリエーテルを媒体としてアクリルアミド等を重合して得られる、いわゆるポリマーポリオール等が含まれる。
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、水酸基を2個以上有するポリブタジエン、水素添加ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリイソプレンなどが挙げられる。エポキシポリオールとしては、例えば、ノボラック型、β−メチルエピクロ型、環状オキシラン型、グリシジルエーテル型、グリコールエーテル型、脂肪族不飽和化合物のエポキシ型、エポキシ化脂肪酸エステル型、多価カルボン酸エステル型、アミノグリシジル型、ハロゲン化型、レゾルシン型など及び、これらをアミノ化合物、ポリアミド化合物などで変性した化合物が挙げられる。フッ素ポリオールは分子内にフッ素を含むポリオールであり、フルオロオレフィン、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、モノカルボン酸ビニルエステルなどの共重合体などがある。
本塗料の構成成分として使用されるポリオールの水酸基価は30〜200mgKOH/g、酸価0〜30mgKOH/gの中から選択されることが好ましい。これらのポリオールは2種以上を併用しても良い。好ましいポリオールはアクリルポリオール、ポリエステルポリオールであり、より好ましくはアクリルポリオールである。例えば、アクリルポリオールとしては、例えば、ポリカプロラクトン変性アクリル系ポリオールが挙げられる。
(ポリイソシアネート)
ポリイソシアネートは、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する有機化合物であり、ポリイソシアネート化合物1分子中に含まれるイソシアネート基の数は3個以上であることが好ましい。
1分子中にイソシアネート基を2個有するポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、ノルボルナンジイソシアネート等のジイソシアネートモノマーが挙げられる。1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物としては、ジイソシアネートモノマーをイソシアヌレート変性させたイソシアネート、ジイソシアネートモノマーをアダクト変性させたイソシアネート、ジイソシアネートモノマーをビウレット変性させたイソシアネート、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネートカプロエート、トリアミノノナントリイソシアネート等のイソシアネートプレポリマーが挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、イソシアネート基をブロック化剤でブロック(封鎖)したブロックポリイソシアネートを使用することにより、塗料組成物を1液型として使用することができる。ブロックポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートタイプのブロックイソシアネート等が挙げられる。ブロック化剤としては、フェノール系、オキシム系、アルコール系等の化合物が挙げられる。ブロックポリイソシアネートにおけるポリオールとしては、既に説明したポリオールのうち、2価アルコールから8価アルコールなどの多価アルコールを用いることができる。
(刺激応答性化合物)
刺激応答性化合物は、刺激応答によってウレタン硬化促進能を発現する化合物である。本開示の刺激応答性化合物は、そのままではウレタン硬化促進能を発現しないという点で、従来のウレタン硬化触媒とは相違しており、かかるウレタン硬化触媒を包含しないものである。
ここで、ウレタン硬化促進能とは、ポリオールとポリイソシアネートとがウレタン結合を介して重合する反応を促進する能力ということができる。ウレタン硬化促進能は、また、好ましくは加熱又は常温下でのポリオールとポリイソシアネートとによる硬化を促進する能力ということができる。
刺激応答性化合物は、例えば、刺激によって刺激応答性化合物の少なくとも一部が反応し又は分解して、結果としてウレタン硬化促進剤を生成することができる。したがって、本塗料における刺激応答性化合物の含有量が付与する刺激の強度(量)によって、本塗料に対する硬化促進の程度(硬化速度及び/又は硬化の程度)を調節することができる。
刺激応答性化合物は、刺激応答によってウレタン硬化促進能を発現するものであればよく、刺激の種類も特に限定されない、刺激としては、例えば、紫外線などの光、例えば、50℃以上、好ましくは60℃以上、あるいは70℃以上又は80℃以上であって例えば、150℃以下程度の熱が挙げられる。こうした刺激の種類、強度、付与時間は、刺激応答性化合物の種類、被塗装物の耐熱性のほか、本塗料の構成成分や用途に応じて適宜設定されうる。
刺激応答性化合物は、例えば、刺激応答によって、ウレタン硬化促進剤を生成するものであってもよい。ここでウレタン硬化促進剤としては、酸、塩基、金属錯体など金属含有化合物など、概して、ウレタン硬化触媒機能を有するとされている物質が挙げられる。
刺激応答によってウレタン硬化促進剤を生成する刺激応答性化合物としては、例えば、光酸発生剤、光塩基発生剤、熱酸発生剤、熱塩基発生剤等が挙げられる。
光酸発生剤としては、公知の光酸発生剤の1又は2以上を適宜選択して用いることができる。光酸発生剤は、特に限定するものではないが、例えば、トルエンスルホン酸などの強酸または四フッ化ホウ素などの強酸、スルホニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩またはセレニウム塩などのオニウム塩類;鉄−アレン錯体類;シラノール−金属キレート錯体類;ジスルホン類、ジスルホニルジアゾメタン類、ジスルホニルメタン類、スルホニルベンゾイルメタン類、イミドスルホネート類、ベンゾインスルホネート類などのスルホン酸誘導体;有機ハロゲン化合物類などの光照射により酸を発生する化合物があげられる。好ましくは、スルホニウム塩系及びヨードニウム塩系の光酸発生剤である。
光酸発生剤として、商業的に入手可能なものとしては、例えば、CPI−100P(4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムのヘキサフルオロホスファート)、CPI−101A(同スルホニウムのヘキサフルオロアンチモネート)、(同スルホニウムのリン系アニオン塩)、CPI−210S、CPI−200K(同スルホニウムの特殊リン系アニオン塩)(CPIは登録商標である。以上、サンアプロ株式会社)、EEPAGシリーズ(登録商標、アイバイツ株式会社)、TASシリーズ(以上、住友精化株式会社)、SIN−TZ01、SIN−01、SIN−02、SIN−11(以上、株式会社三宝化学研究所)、WPI−113(ビス[4−n−アルキル(C10〜13)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート)、同116(前記ヨードニウムのヘキサフルオロアンチモン酸塩)、同124(前記ヨードニウムのテトラキスペンタフルオロフェニルボレート)、同169(ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムビス(パーフルオロブタンスルホニル)イミド)、同170(ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート)、WPAG−145(ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン)、同149(2−メチル−2−[(4−メチルフェニル)スルホニル] −1−[(4−メチルチオ)フェニル]−1−プロパン)、同170(ビス(t−ブチルスルホニル)ジアゾメタン)、同199(ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン)、同336(ジフェニル−4−メチルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート))、同367(ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート)、同370(4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート)、同469(4-メチルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート)、同638(トリス(4-メチルフェニル)スルホニウム ノナフルオロブタンスルホネート)、同699(シクロヘキサノール、5−メチル−2−(1−メチルエチル)−,4−メチルベンゼンスルホネート)(以上、和光純薬工業株式会社)、B2380(ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート)、B2381(ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート)、C1390(シクロプロピルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート)、D2238(ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート)、D2248(ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロオルセネート)、D2253(ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート)、同2963(2−(3,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアゾン)、F0362(2−[2−(フラン−2−イル)ビニル]―4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアゾン)、I0591(4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)、M1209(2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)ビニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアゾン)、M1245(2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアゾン)、M2140(2−(4−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアゾン)、N0137(4−ニトロベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボレート)、T1608(トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート)、T1609(トリフェニルスルホニウムブロマイド)、T2041(トリ−p−トリルスルホニウム)ヘキサフルオロホスファート)、T2042(トリ−p−トリルスルホニウム)トリフルオロメタンスルホネート)(以上、東京化成株式会社)、へレウス株式会社のHP(http://www.heraeus.co.jp/ja/products/tfd_daychem/photoresist.aspx)に酸発生剤として掲載される各種光酸発生剤(PAG)、東洋合成工業株式会社のHP(http://www.toyogosei.co.jp/product/detail_pro/)に光酸発生剤として掲載されるTPS−TF、DTBPI−PFBS、TPS−CS、TPS−PFBSなどの各種PAG等が挙げられる。
また、光塩基発生剤としては、公知の光塩基発生剤の1又は2以上を適宜選択して用いることができる。光塩基発生剤は、特に限定されるものではないが、例えば、特に限定されないが、例えばコバルトアミン錯体、O−アシルオキシム、カルバミン酸誘導体、ホルムアミド誘導体、第4級アンモニウム塩、トシルアミン、カルバメート、アミンイミド化合物などを挙げることができる。具体的には、2−ニトロベンジルカルバメート、2,5−ジニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、N−シクロヘキシル−4−メチルフェニルスルホンアミド、1,1−ジメチル−2−フェニルエチル−N−イソプロピルカルバメート等が挙げられる。また、商業的に入手可能なものとしては、WPBG−015(9−アントリルメチル ピペラジン−1−カルボキシレート)、同018(9−アントリルメチル N,N−ジエチルカルバメート)、同041(9−アントリルメチル N−シクロヘキシルカルバメート)、同172(9−アントリルメチル N,N−ジシクロヘキシルカルバメート)、同174(1−(アントラキノン−2−イル)エチルN−シクロヘキシルカルバメート)、同166(1−(アントラキノン−2−イル)エチルN,N−ジシクロヘキシルカルバメート)、同140(1−(アントラキノン−2−イル)エチルイミダゾール−1−カルボキシレート)、同158((2−ニトロフェニル)メチル4−ヒドロキシピペラジン−1−カルボキシレート)、同165((2−ニトロフェニル)メチル4−(メタクリロイルオキシ)ピペラジン−1−カルボキシレート)、同025((E)−N−シクロヘキシル−3−(2−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド)、同027((E)−1−ピペラジノ−3−(2−ヒドロキシフェニル)2−プロペン−1−オン)、同168(シクロヘキシルアンモニウム2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオネート)、同167(ジシクロヘキシルアンモニウム2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオネート)、同082(グアニジニウム2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオネート)、同266(1,2−ジイソプロピル−3−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]グアニジウム2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオネート)、同300(1,2−ジシクロヘキシル−4,4,5,5−テトラメチルビグアニジウムn−ブチルトリフェニルボレート)、同345((Z)−{[ビス(ジメチルアミノ)メチリデン]アミノ}−N−シクロヘキシル(シクロヘキシルアミノ)メタンイミニウムテトラキス(3−フルオロフェニル)ボレート)(以上、和光純薬工業株式会社)等が挙げられる。このほか、特開2014-237598号公報、特開2014-237597号公報、特開2014-162778号公報、特開2014-134570号公報、特開2014-94794号公報、特開2013-121996号公報、特開2012-162639号公報等に開示される光塩基発生剤が挙げられる。例えば、1,2−ジシクロヘキシル−4,4,5,5−テトラメチルビグアニジウムn−ブチルトリフェニルボレートを好ましく用いることができる。
熱酸発生剤としては、例えば、公知の潜在性熱触媒等と称される化合物等を用いることができる。熱酸発生剤としては、特に限定するものではないが、商業的に入手可能ものとしては、例えば、サンエイド SI−45L、サンエイド SI−60L、サンエイド SI−80L、サンエイド SI−100L、サンエイド SI−110L、サンエイド SI−150L(サンエイドは登録商標である。以上、三新化学工業株式会社)、K−PURE TAG、同CXC(K−PUREは登録商標である。以上、楠本化成株式会社)等が挙げられる。また、例えば、特開2015-129938号公報、特開2014-141455号公報、特開2014-098897号公報、特開2012-128436号公報、特開2010-113209号公報、特開2007-008919号公報、特開2007-304490号公報、再表2006-132089号公報等に開示される熱酸発生剤が挙げられる。
また、熱塩基発生剤としては、公知の熱塩基発生剤を適宜選択して用いることができる。特に限定するものではないが、2−(4−ビフェニル)−2−プロピル カルバメート、及び1、1−ジメチル−2−シアノエチル カルバメート等のカルバメート誘導体、尿素やN,N,N′−トリメチル尿素等の尿素誘導体、1,4−ジヒドロニコチンアミド等のジヒドロピリジン誘導体、ジシアンジアミド、有機塩や無機塩等の酸と塩基からなる塩などが知られている。
上記の熱塩基発生剤のなかでも、特に酸と塩基からなる塩は、組成物の安定性、接着剤中の保存安定性、コストに優れることから、好ましい。またその中でも、光硬化性成分との相溶性の観点から、酸とアミン化合物の塩であることが好ましく、さらに有機酸とアミン化合物の有機塩であることが好ましい。
熱塩基発生剤における酸には、有機酸及び無機酸が含まれる。有機酸の例として、カルボン酸、メチル炭酸及びエチル炭酸等のモノアルキル炭酸;フェノール、クレゾール、カテコール及びナフトール等の芳香族ヒロドキシ化合物;並びに、オクチルベンゼンスルホン酸、ブチルベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸及びメタンスルホン酸等のスルホン酸などが挙げられる。
また、上記のカルボン酸の例として、ギ酸、酢酸、2−エチルヘキサン酸及びイ吉草酸等の飽和脂肪酸;アクリル酸、クロトン酸、メタクリル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、バクセン酸、エレステアリン酸、アラキドン酸、ケイ皮酸、ナフトエ酸、安息香酸及びトルイル酸等の不飽和カルボン酸;クロロ酢酸、シアノ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリメチル酢酸、フルオロ酢酸、ブロモ酢酸、メトキシ酢酸、メルカプト酢酸、ヨード酢酸、ビニル酢酸、オキサロ酢酸、フェニル酢酸及びフェノキシ酢酸等のβ置換酢酸;蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アラゼイン酸、スベリン酸及びセバシン酸等のジカルボン酸;グリコール酸、乳酸、クエン酸、d−酒石酸、メソ酒石酸、アスコルビン酸及びマンデル酸等のヒドロキシカルボン酸;ピルビン酸及びレブリン酸等のケトカルボン酸;並びに、2−クロロプロピオン酸及び3−クロロプロピオン酸等のハロカルボン酸が挙げられる。
無機酸としては、塩酸、フッ化水素酸及び臭素酸のようなハロゲン酸、炭酸塩又は炭酸水素塩を形成するような炭酸、過塩素酸及び過臭素酸のような過ハロゲン酸、硫酸、リン酸などが挙げられる。
以上のなかでも有機酸が好ましく、カルボン酸、芳香族ヒドロキシ化合物、及びスルホン酸がより好ましく、飽和脂肪酸及び芳香族ヒドロキシ化合物がさらに好ましく、ギ酸、酢酸、2−エチルヘキサン酸、及びフェノールが特に好ましい。
熱塩基発生剤を構成するアミン化合物としては、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、脂肪族不飽和アミン及び芳香族アミンを挙げることができる。なお、熱塩基発生剤中のアミン化合物は、酸との塩を形成するため、第四級アンモニウム塩となることはない。
上記の第一級アミンは、脂環式アミンを含む脂肪族アミン、芳香族アミン及びその他の反応性官能基を有するアミンであることができる。これらは、1分子内にアミノ基に由来する窒素原子を一つ有するモノアミンであってもよいし、ジアミンやトリアミンなどのように窒素原子を二つ以上有するものであってもよい。
脂肪族アミンとしては、例えば、モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノプロピルアミン、モノイソプロピルアミン、モノブチルアミン、モノtert−ブチルアミン、モノペンチルアミン、モノヘキシルアミン及びモノヘプチルアミンのような飽和脂肪族アミン;ビニルアミン、アリルアミン、ブテニルアミン、ペンテニルアミン、ヘキセニルアミン、ペンタジエニルアミン及びヘキサジエニルアミンのような不飽和脂肪族アミン;並びにシクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロオクチルアミン、メンチルアミン、シクロペンテニルアミン、シクロヘキセニルアミン及びシクロヘキサジエニルアミンのような脂環式アミンが挙げられる。
芳香族第一級アミンとしては、例えば、アニリン、ベンジルアミン、ナフチルアミン、ナフチルメチルアミン、トルイジン、トリレンジアミンなどが挙げられる。
また、その他の反応性官能基を有する第一級アミンとしては、例えば、エチレンジアミン、エチレントリアミン、モノエタノールアミン、アミノチオフェン、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、アミノアセトンなどが挙げられる。
第二級アミンは、脂環式アミンを含む脂肪族アミン、芳香族アミン及びその他の反応性官能基を有するアミンであることができる。これらは、1分子内にアミノ基又はイミノ基に由来する窒素原子を一つ有するモノアミンであってもよいし、ジアミンやトリアミンなどのように窒素原子を二つ以上有するであってもよい。また、アミノ基又はイミノ基に由来する窒素原子が脂環式環や芳香環の構成員である複素環式化合物であってもよい。
上記の脂肪族アミンは、飽和脂肪族アミン、不飽和脂肪族アミン及び脂環式アミンなどであることができる。飽和脂肪族アミンの具体例として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、メチルペンチルアミン、メチルヘキシルアミン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、エチルペンチルアミン、プロピルブチルアミン、プロピルペンチルアミン、プロピルヘキシルアミン、ブチルペンチルアミン、ペンチルヘキシルアミン、N−メチルエチレンジアミン、N,N′−ジメチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N,N′−ジエチルエチレンジアミンなどが挙げられる。
不飽和脂肪族アミンの具体例としては、メチルビニルアミン、メチルアリルアミン、メチルブテニルアミン、メチルペンテニルアミン、メチルヘキセニルアミン、エチルビニルアミン、エチルアリルアミン、エチルブテニルアミン、エチルペンテニルアミン、エチルヘキセニルアミン、プロピルビニルアミン、プロピルアリルアミン、プロピルブテニルアミン、プロピルペンテニルアミン、プロピルヘキセニルアミン、ブチルビニルアミン、ブチルアリルアミン、ブチルブテニルアミン、ブチルペンテニルアミン、ブチルヘキセニルアミン、ジビニルアミン、ジアリルアミン、ジブテニルアミン、ジペンテニルアミン、ジヘキセニルアミン、ビニルアリルアミン、ビニルブテニルアミン、ビニルペンテニルアミン、ビニルヘキセニルアミン、アリルブテニルアミン、アリルペンテニルアミン、アリルヘキセニルアミン、ブテニルペンテニルアミン、ブテニルヘキセニルアミンなどが挙げられる。
脂環式アミンの具体例として、ジシクロペンチルアミン、ジシクロヘキシル、メチルシクロペンチルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、メチルシクロオクチルアミン、エチルシクロペンチルアミン、エチルシクロヘキシルアミン、エチルシクロオクチルアミン、プロピルシクロペンチルアミン、プロピルシクロヘキシルアミン、ブチルシクロペンチルアミン、ブチルシクロヘキシルアミン、ヘキシルシクロペンチルアミン、ヘキシルシクロヘキシルアミン、ヘキシルシクロオクチルアミン、ビニルシクロペンチルアミン、ビニルシクロヘキシルアミン、ビニルシクロオクチルアミン、アリルシクロペンチルアミン、アリルシクロヘキシルアミン、アリルシクロオクチルアミン、ブテニルシクロペンチルアミン、ブテニルシクロヘキシルアミン及びブテニルシクロオクチルアミンのような飽和脂環式アミン;並びに、メチルシクロペンテニルアミン、メチルシクロヘキセニルアミン、メチルシクロオクテニルアミン、エチルシクロペンテニルアミン、エチルシクロヘキセニルアミン、エチルシクロオクテニルアミン、プロピルシクロペンテニルアミン、プロピルシクロヘキセニルアミン、ブチルシクロペンテニルアミン、ブチルシクロヘキセニルアミン、ビニルシクロペンテニルアミン、ビニルシクロヘキセニルアミン、ビニルシクロオクテニルアミン、アリルシクロペンテニルアミン、アリルシクロヘキセニルアミン、ブテニルシクロペンテニルアミン、ブテニルシクロヘキセニルアミン、ジシクロペンテニルアミン、ジシクロヘキセニルアミン、ジシクロオクテニルアミン、メチルシクロペンタジエニルアミン、エチルシクロペンタジエニルアミン、プロピルシクロペンタジエニルアミン、メチルシクロヘキサジエニルアミン、エチルシクロヘキサジエニルアミン、プロピルシクロヘキサジエニルアミン、ビニルシクロペンタジエニルアミン、ビニルシクロヘキサジエニルアミン、アリルシクロペンタジエニルアミン、アリルシクロヘキサジエニルアミン、ジシクロペンタジエニルアミン、ジシクロヘキサジエニルアミン、ジシクロオクタジエニルアミン、ジシクロオクタトリエニルアミン、メチルシクロオクタトリエニルアミン及びエチルシクロオクタトリエニルアミンのような不飽和脂環式アミンを挙げることができる。
芳香族第二級アミンとしては、例えば、ジフェニルアミン、ジトリルアミン、ジベンジルアミン、ジナフチルアミン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N−ブチルアニリン、N−メチルトルイジン、N−エチルトルイジン、N−プロピルトルイジン、N−ブチルトルイジン、N−メチルベンジルアミン、N−エチルベンジルアミン、N−プロピルベンジルアミン、N−ブチルベンジルアミン、N−メチルナフチルアミン、N−エチルナフチルアミン、N−プロピルナフチルアミン、N,N′−ジメチルトリレンジアミン類、N,N′−ジエチルトリレンジアミン類、N−ビニルアニリン、N−アリルアニリン、N−ビニルベンジルアミン、N−アリルベンジルアミン、N−ビニルトルイジン、N−アリルトルイジン、N−シクロペンチルアニリン、N−シクロヘキシルアニリン、N−シクロオクチルアニリン、N−シクロペンテニルアニリン、N−シクロヘキセニルアニリン、N−シクロペンタジエニルアニリンなどが挙げられる。
なお、第二級アミンは、上記のとおりアミノ基の窒素原子が脂環式環や芳香環の構成員である複素環式化合物(環状アミンと言うこともある)であってもよい。その具体例として、ピロール、ピロリジン、イミダゾール、ピペリジン、ピペラジン、メチルピロール、メチルピロリジン、メチルイミダゾール、メチルピペリジン、メチルピペラジン、エチルピロール、エチルピロリジン、エチルイミダゾール、エチルピペリジン、エチルピペラジン、フタルイミド、マレインイミド、カプロラクタム、ピロリドン、モルホリンなどを挙げることができる。
その他の反応性官能基を有する第二級アミンとしては、N−メチルグリシン、N−エチルグリシン、N−メチルアラニン、N−エチルアラニン、N−メチル−アミノチオフェン、N−エチルアミノチオフェン、2,5−ピペラジンジオン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミンなどが挙げられる。
第三級アミンは、第二級アミンと同様に、脂環式アミンを含む脂肪族アミン、芳香族アミン、その他の反応性官能基を有するアミンであることができ、1分子内にアミノ基などに由来する窒素原子を一つ有するモノアミンであってもよいし、ジアミンやトリアミンなどのように窒素原子を二つ以上有するであってもよい。また、第二級アミンと同様に、アミノ基などに由来する窒素原子が脂環式環や芳香環の構成員である複素環式化合物であることもできる。
脂肪族第三級アミンとしては、飽和脂肪族アミン、不飽和脂肪族アミン及び脂環式アミンなどを挙げることができる。飽和脂肪族アミンの具体例として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、ジメチルブチルアミン、ジメチルペンチルアミン、ジメチルヘキシルアミン、ジエチルプロピルアミン、ジエチルブチルアミン、ジエチルペンチルアミン、ジエチルヘキシルアミン、ジプロピルブチルアミン、ジプロピルペンチルアミン、ジプロピルヘキシルアミン、ジブチルペンチルアミン、ジブチルヘキシルアミン、ジペンチルヘキシルアミン、メチルジエチルアミン、メチルジプロピルアミン、メチルジブチルアミン、メチルジペンチルアミン、メチルジヘキシルアミン、エチルジプロピルアミン、エチルジブチルアミン、エチルジペンチルアミン、エチルジヘキシルアミン、プロピルジブチルアミン、プロピルジペンチルアミン、プロピルジヘキシルアミン、ブチルジペンチルアミン、ブチルジヘキシルアミン、ペンチルジヘキシルアミン、メチルエチルプロピルアミン、メチルエチルブチルアミン、メチルエチルヘキシルアミン、メチルプロピルブチルアミン、メチルプロピルヘキシルアミン、エチルプロピルブチルアミン、エチルブチルペンチルアミン、エチルブチルヘキシルアミン、プロピルブチルペンチルアミン、プロピルブチルヘキシルアミン、ブチルペンチルヘキシルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラエチルエチレンジアミンなどが挙げられる。
不飽和脂肪族アミンの具体例として、トリビニルアミン、トリアリルアミン、トリブテニルアミン、トリペンテニルアミン、トリヘキセニルアミン、ジメチルビニルアミン、ジメチルアリルアミン、ジメチルブテニルアミン、ジメチルペンテニルアミン、ジエチルビニルアミン、ジエチルアリルアミン、ジエチルブテニルアミン、ジエチルペンテニルアミン、ジエチルヘキセニルアミン、ジプロピルビニルアミン、ジプロピルアリルアミン、ジプロピルブテニルアミン、メチルジビニルアミン、メチルジアリルアミン、メチルジブテニルアミン、エチルジビニルアミン、エチルジアリルアミンなどが挙げられる。
脂環式アミンの具体例として、トリシクロペンチルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリシクロオクチルアミン、ジメチルシクロペンチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジエチルシクロペンチルアミン、ジエチルシクロヘキシルアミン、ジプロピルシクロペンチルアミン、ジプロピルシクロヘキシルアミン、ジブチルシクロペンチルアミン、メチルジシクロペンチルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、エチルジシクロペンチルアミン、エチルジシクロヘキシルアミン、プロピルジシクロペンチルアミン及びプロピルジシクロヘキシルアミンのような飽和脂環式アミン;並びに、トリシクロペンテニルアミン、トリシクロヘキセニルアミン、トリシクロペンタジエニルアミン、トリシクロヘキサジエニルアミン、ジメチルシクロペンテニルアミン、ジメチルシクロヘキセニルアミン、ジエチルシクロペンテニルアミン、ジエチルシクロヘキセニルアミン、ジプロピルシクロペンテニルアミン、ジプロピルシクロヘキセニルアミン、メチルジシクロペンテニルアミン、エチルジシクロペンテニルアミン及びプロピルジシクロペンテニルアミンのような不飽和脂環式アミンが挙げられる。
芳香族第三級アミンとしては、例えば、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルトルイジン、N,N−ジメチルナフチルアミン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジエチルベンジルアミン、N,N−ジエチルトルイジン、N,N−ジエチルナフチルアミン、N,N−ジプロピルアニリン、N,N−ジプロピルベンジルアミン、N,N−ジプロピルトルイジン、N,N−ジプロピルナフチルアミン、N,N−ジビニルアニリン、N,N−ジビニルトルイジン、N,N−ジアリルアニリン、N,N−ジアリルアニリン、N−メチルジフェニルアミン、N−エチルジフェニルアミン、N−プロピルジフェニルアミン、ジベンジルメチルアミン、ジベンジルエチルアミン、ジベンジルシクロヘキシルアミン、ジベンジルビニルアミン、ジベンジルアリルアミン、ジトリルメチルアミン、ジトリルエチルアミン、ジトリルシクロヘキシルアミン、ジトリルビニルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、トリ(トリル)アミン、トリナフチルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルトリレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラエチルトリレンジアミンなどが挙げられる。
第三級アミンもまた、第二級アミンと同様にアミノ基の窒素原子が脂環式環や芳香環の構成員である複素環式化合物(環状アミンと言うこともある)であってもよい。その具体例として、N−メチルピロール、N−メチルピロリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルイミダゾール、N−メチルピペリジン、N−エチルピロール、N−エチルイミダゾール、N−エチルピペリジン、N,N′−ジメチルピペラジン、N,N′−ジエチルピペラジン、ヘキサメチレンテトラミン、シクロアミジン化合物、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、キノリン、キナゾリン、キヌクリジン、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリンなどが挙げられる。
その他の反応性官能基を有する第三級アミンとしては、N,N−ジメチルグリシン、N,N−ジエチルグリシン、N,N−ジメチルアラニン、N,N−ジエチルアラニン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノチオフェン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジンなどが挙げられる。
上記した熱塩基発生剤を構成しうるアミン化合物の中でも、加熱時に発生する塩基の塩基性の強さ、組成物の安定性、入手容易性の観点などから、シクロアミジン化合物が好ましい。本発明におけるシクロアミジン化合物は、下記式(I)で表すことができる。
Figure 2017133006
前記式(I)において、mは2〜6の整数であり、好ましくは3〜5の整数である。また、式(I)において脂環式環を形成する(CH2)m中の1個又は複数個の水素原子は、置換されていてもよく、好ましい置換基の例として、アルコキシ基で置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜12のジアルキルアミノ基などが挙げられる。炭素数1〜6のアルキル基の例として、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基などが挙げられ、アルコキシ基で置換された炭素数1〜6のアルキル基(ヒドロキシアルキル基)の例として、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシイソプロピル基、3−ヒドロキシ−tert−ブチル基、6−ヒドロキシヘキシル基などが挙げられる。また、炭素数2〜12のジアルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、tert−ブチルメチルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基などが挙げられる。
前記式(I)で表される化合物のなかでも、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン〔前記式(I)において、m=3の化合物、DBNと呼ばれることもある〕、1,5−ジアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン〔前記式(I)において、m=4の化合物〕、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン〔前記式(I)において、m=5の化合物、DBUと呼ばれることもある〕、5−ヒドロキシプロピル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン〔前記式(I)において、m=5、(CH2)m中の1個の水素原子がヒドロキシプロピル基で置換された化合物〕、及び5−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン〔前記式(I)において、m=5、(CH2)m中の1個の水素原子がジブチルアミノ基で置換された化合物〕等が挙げられる。
熱塩基発生剤として、商業的に入手可能なものとしては、例えば、U−CAT SA1(1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7(以下、DBUという。)のフェノール塩)、同102(DBUのオクチル酸塩)、同102−50(DBUのオクチル酸塩の50%ジエチレングリコール液)、同106(DBUのオレイン酸塩配合物)、同112(DBUのオレイン酸塩の67%ジエチレングリコール液)、同506(DBUのp−トルエンスルホン酸塩)、同603(DBUのギ酸塩)、U−CAT 1102(1,5‐ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン‐5のオクチル酸塩)(U−CATは登録商標である。以上、サンアプロ株式会社)等が挙げられる。また、例えば、特開2011-084562号公報、特開2013-139566号公報、特開2014-097930号公報等に開示される熱塩基発生剤が挙げられる。
本塗料において、ポリオールとポリイソシアネートとは、ポリオールの水酸基とポリイソシアネートのイソシアネート基の当量比は、1/2から2/1の範囲から適宜選択されることが好ましい。
本塗料の主剤は、ポリオールであるが、これらの主剤とともに、特開平11-228905号公報等に開示されるポリカプロラクトン成分及び/又はポリシロキサン成分を主剤の一部として含めることもできる。さらに、本塗料は、耐擦傷性、耐チッピング性及び耐衝撃性を高め、塗膜外観を向上させる等のためにラクトンポリオールを主剤の一部として含むことができる。ラクトンポリオールとしては、4個の水酸基を有するラクトンテトラオールが好ましい。ラクトンポリオールの数平均分子量は350〜1500であることが好ましい。
本塗料において、刺激応答性化合物は、例えば、主剤100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。この範囲であると、良好なポットライフを維持できるとともに刺激付与後の硬化速度を効果的に向上させることができる。より好ましくは0.5質量部以上5質量部以下である。
本塗料は、上記した成分ほか、通常、ウレタン硬化性塗料に含まれる得る各種の添加剤を適宜含むことができる。例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、表面調製剤、消泡剤、溶剤等が配合される。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系の化合物が用いられる。光安定剤としては、ピペリジン系、ヒンダードアミン系の化合物が用いられる。溶剤としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、芳香族類等の化合物が用いられる。
本塗料は、被塗装物に供給されるのにあたっては、ポリオールとポリイソシアネートと刺激応答性化合物とを含有するものとして準備されるが、塗装に先立つ段階では、これらの各成分は、全てを含む混合物として準備されていなくてもよい。すなわち、これらの各成分は、別々にあるいは適宜組み合わされて準備される。なお、本塗料を得るのにあたり、各成分は、特に限定されないで、一般的な方法により、任意の順序で混合される。
例えば、本塗料が2液型ウレタン硬化性塗料であるとき、これらの各成分は、それぞれ別個に準備されていてもよい。また、ポリオールと刺激応答性化合物とを予め混合物として準備され、この混合物とは独立してポリイソシアネートを準備されてもよい。また、ポリイソシアネートと刺激応答性化合物とを予め混合物として準備され、独立してポリオールを準備されてもよい。
また、例えば、ポリイソシアネートとしてブロックポリイソシアネートを含有する1液型ウレタン硬化性塗料であるとき、ポリオールとポリイソシアネートと刺激応答性化合物とが混合されて準備されていてもよい。
また、刺激応答性化合物は、例えば、本塗料に用いる各種添加剤又は溶剤に溶解させて準備されてもよい。なお、刺激応答性化合物として熱塩基発生剤を用いる場合、その種類によっては、本硬化性塗料を得るために、適宜酢酸などの有機酸でポットライフをコントロールしたり適切な溶剤を用いることができる。
以上説明した本塗料(コーティング剤)の用途としては、塗膜外観をはじめとする塗料性能を要求される分野で好適に使用することができる。具体的には、携帯電話、腕時計、コンパクトディスク、光ディスク、オーディオ機器、OA機器等の電気電子機器;タッチパネル、ブラウン管の反射防止板等の電子材料部品;冷蔵庫、掃除機、電子レンジ等の家電製品;メーターパネル、ダッシュボード等の自動車の内装;プレコートメタル鋼板;自動車のボディ、バンパー、スポイラー、ドアノブ、ハンドル、ヘッドランプ、オートバイのガソリンタンク、メッキ・蒸着又はスパッタリングが施されたアルミホイールやドアミラー等の自動車部品;カーポートの屋根、採光屋根;ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ABS樹脂等のプラスチック成形品;階段、床、机、椅子、タンス、その他の家具等の木工製品;布、紙、サングラス、矯正用メガネレンズ等に塗工して使用される。
本塗料は、ウレタン硬化挙動を制御できる新たなウレタン硬化システムを備えている。このウレタン硬化システムによれば、ウレタン硬化性組成物としての樹脂組成に関わらず硬化挙動を制御することも可能である。したがって、本塗料は、種々の用途について好適な特性を有する塗膜を優れた生産性で提供できるものとなっている。特に、耐擦傷性に優れて硬化時間が遅延する傾向のあるウレタン硬化性塗料を適用可能な種々の用途に好適である。
本塗料は、例えば、刺激応答性化合物を含んでいない以外は同様の対照ウレタン硬化性塗料と同等かあるいはそれより長いポットライフを有することができる。より具体的には、本塗料は、主剤と刺激応答性化合物とを混合した本塗料の調製直後から3時間経過後の粘度の増加率(増粘率)は、40%以下であることができ、好ましくは30%以下、より好ましくは25%以下である。また、同5時間経過後の増粘率は、50%以下であることができ、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは25%以下である。さらに、同6時間経過後の増粘率は、70%以下であることができ、好ましくは60%以下である。なお、本塗料の粘度は、実施例にも示すように、B型粘度計を使用して行うことができる。
本塗料は、また、例えば、刺激応答性化合物を含んでいない以外は同様の対照ウレタン硬化性塗料と、同一条件で熱硬化(例えば、80℃で1時間)させたとき、前記対照ウレタン硬化性塗料と同等かあるいはよりも優れた(速やかな)硬化性を有することができる。より具体的には、例えば、80℃で1時間という熱硬化条件を用いたとき、本塗料が9分後には良好に硬化し、15分後には、一層良好にほぼ完全に硬化することができる。なお、硬化性の評価は、実施例に開示した方法を適用することができる。
(ウレタン硬化性塗膜の塗膜形成方法)
本開示のウレタン硬化性塗膜の塗膜形成方法は、ポリオールと、ポリイソシアネートと、刺激応答性化合物と、を含有する本塗料を被塗装物上に供給する工程と、前記被塗装物上に供給された本塗料に対して前記刺激応答のための刺激を付与して前記ウレタン硬化促進能を発現させる工程と、を備える塗膜形成方法が提供される。
本塗膜形成方法によれば、刺激応答性化合物に刺激を付与することでウレタン硬化促進能を発現させて本塗料を任意のタイミングで硬化促進させることができる。一方、刺激を付与するまでは、ウレタン硬化が抑制されて十分なポットライフを確保することができる。さらに、本塗膜形成方法によれば、刺激強度によって、ウレタン硬化促進能の程度も調節できるため、塗料の樹脂設計の改変を抑制又は回避して、生産工程に要請に併せた硬化制御が可能となっている。
被塗装物は、特に限定するものではないが、本塗料の用途に応じて適宜選択される。また、本塗料を被塗装物に供給する工程は、塗料一般に適用される、例えば、エアスプレー法、エアレススプレー法、静電塗装法、ロールコーター法、フローコーター法、スピンコート法、ディッピング法等の方法を適宜選択して用いることができる。また、被塗装物への本塗料の供給量は、得られる塗膜の厚さは1〜100μm程度となる量が好ましい。
本塗膜形成方法は、上記工程のほか、本塗料の乾燥工程及び硬化工程を備えることができる。本塗料の乾燥工程は、本塗料を被塗装物に供給後であって、本塗料の硬化工程に先立って実施することができる。本塗料の硬化工程は、一般に、乾燥工程後に、実施する。なお、乾燥工程と硬化工程とは、一続きの乾燥硬化工程として実施することもできる。乾燥工程及び硬化工程の詳細については後段で説明する。
(ウレタン硬化促進能発現工程)
ウレタン硬化促進能の発現工程は、本塗料を被塗装物に供給後であれば、いつ実施してもよい。すなわち、ウレタン硬化促進能発現工程は、本塗料の乾燥工程及び硬化工程とは別個に独立して実施してもよいし、乾燥工程及び/又は硬化工程の少なくとも一部として実施してもよい。また、ウレタン硬化促進能の発現工程は、一回のみならず2回以上に分割して実施してもよい。
例えば、ウレタン硬化促進能の発現工程は、被塗装物上にウレタン硬化性塗料を供給直後、刺激応答性化合物に付与する光の強さなどのウレタン刺激強度に応じて任意の時間にわたり実施すればよい。すなわち、刺激強度を大きくして工程時間は短くすることもできるし、刺激強度を小さくして工程時間を長くすることができる。
ウレタン硬化促進能の発現工程は、刺激応答性化合物の種類や量に応じた刺激を本塗料に付与すればよい。例えば、光刺激に応答する刺激応答性化合物を用いる場合、光を照射する波長としては、一般に、200〜450nmの紫外領域の範囲の波長が好適であるが、刺激応答性化合物の種類等に応じて感度の高い波長を有する光照射手段(照射源)を適宜選択して使用することができる。紫外線などの光照射手段としては、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、カーボンアーク、メタルハライドランプ、太陽光などが挙げられる。ウレタン硬化性塗料への紫外線照射条件は、通常、線量(積算)が100〜2,000mJ/cm2、好ましくは500〜1,500mJ/cm2となる範囲が好ましい。
例えば、光刺激応答性化合物を用いる場合、光の照射強度にもよるが、典型的には、照射時間は、例えば、1分以内、好ましくは30秒以内、より好ましくは10秒以内程度実施することができる。また、例えば、2分以内、好ましくは1分30秒以内、より好ましくは1分以内程度実施することができる。
熱刺激に応答する刺激応答性化合物を用いる場合には、用いる刺激応答性化合物に応じた温度を付与する。こうした刺激応答性化合物の場合には、熱刺激のための温度によっては、乾燥工程や硬化工程と独立してあるいは同時に行うことが好ましい場合がある。
また、熱刺激に応答する刺激応答性化合物を用いる場合、例えば、所定の温度に制御可能な加熱手段(ヒーター)、具体的には電気炉、赤外線加熱炉、熱風炉などの加熱設備を用いて本塗料に熱刺激を付与(本塗料を加熱)することができる。また、こうした一般的な熱源を用いて本塗料を加熱するほか、既述の紫外線照射源などを含む光照射手段によって光刺激を付与して本塗料を加熱することができる。すなわち、いわゆる塗装工程において一般的に用いられる活性エネルギー線照射のための光照射手段(照射源)は十分な加熱手段として機能させることができる。
かかる光照射手段としては、例えば、電気エネルギーで気体の原子又は分子を励起して励起状態からより低いエネルギー状態に戻るときに発する光を利用する気体発光光源、固体の原子、分子又は電子を、電気的な方法で励起して励起状態からよりエネルギーが低い状態に戻るときに発する光を利用する固体発光光源等による照射手段が挙げられる。かかる光源は、一般的に加熱光源として用いる中赤外領域(2〜4μm)及び当該領域より長波長側の遠赤外(4μm〜1mm)の波長をほとんど含んでいないか又は主成分としないことが好適である。
このような発光光源としては、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ等を用いることができる。かかる発光光源は、概して紫外領域の光を含み、多くの場合、さらに、可視光領域、さらにまた近赤外領域(波長780〜2000μm)に至る波長を、例えば、主成分として含んでいる。また、固体光源は、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ、ガス又は固体レーザ、有機EL等が挙げられる。固体光源の波長は固体の選択や励起エネルギー量等によって、遠赤外領域の波長をほとんど含んでいないか又は主成分でないように構成することができる。
こうした光源による光の照射は、熱エネルギーとなる遠赤外線領域の波長を含んでいなくても、本硬化塗料中の熱刺激応答性化合物のための熱刺激を十分に付与することができる。例えば、本硬化塗料の塗膜の厚みや光源のスペクトル特性等にもよるが、一般的な水銀ランプ(ランプ電圧160W/CM2)の場合、線量(積算)が、例えば、600〜3,000mJ/cm2、また例えば800〜2,500mJ/cm2、また例えば800〜2,000mJ/cm2の範囲であれば、一般的に用いられる加熱手段を用いることなく、硬化促進が可能である。一般的な加熱手段を用いることなく、こうした光照射手段を用いることで、簡易にかつ効率的に熱刺激によって本ウレタン硬化塗料の硬化を促進することができる。なお、光照査時間は、例えば2分以内、好ましくは1分30秒以内、より好ましくは1分以内程度などとすることができ、短時間で硬化を促進できる。
また、例えば、ウレタン硬化促進能発現工程は、乾燥工程の少なくとも一部として本塗料を乾燥しつつ実施してもよい。こうすることで、比較的早期にウレタン硬化促進能を発現させて硬化を促進することができる。また、ウレタン硬化促進能発現工程は、乾燥工程後であって硬化工程前に実施することもできる。乾燥工程を行った後にウレタン硬化促進能発現工程を実施することで、刺激付与後に速やかにウレタン硬化促進能を発現させることができる。
また、例えば、ウレタン硬化促進能発現工程は、本塗料の硬化工程の一部において実施してもよいし、本塗料の硬化工程のほぼ全体にわたって実施してもよい。好ましくは、ウレタン硬化促進能発現工程は、本塗料の硬化工程の少なくとも前半のいずれかの時点で所定時間実施することが好ましい。実質的なウレタン硬化性塗料の硬化反応に先立ってウレタン硬化促進剤を発現させることでウレタン硬化速度の向上により寄与することができる。
(乾燥工程)
本塗料の乾燥工程は、被塗装物上に供給した本塗料から溶剤等を留去させる工程である。乾燥によって、ポリオールとポリイソシアネートとの硬化反応は進行しやすくなる。乾燥工程は、常温ないし又は50℃〜90℃程度で1分以上10分以下程度、より好ましくは1分以上8分以下、さらに好ましくは1分以上5分以下加熱して溶媒を蒸発させる工程である。乾燥工程では、必要に応じて、送風などを行うことができる。乾燥工程を実施する手段は特に限定するものではなく、ウレタン硬化性塗料に一般的に用いられる手段を用いればよい。
(硬化工程)
本塗料の硬化工程は、ポリオールとポリイソシアネートとの間でウレタン硬化反応を進行させて所定の塗膜特性が得られるよう硬化する工程である。硬化工程は、上記塗膜特性が得られれば、特にその条件を限定するものではない。したがって、常温で行ってもよいし、加熱してもよい。生産性を考慮すると、加熱することが好ましい。加熱温度は、特に限定するものではないが、被塗装物の耐熱性等を考慮すると、好ましくは、常温以上100℃以下程度、より好ましくは、50℃以上90℃以下、60℃以上80℃以下である。また、硬化時間も特に限定するものではないが、数十分から10時間程度であり、より好ましくは30分以上5時間以下であり、より好ましくは3時間以下であり、さらに好ましくは1時間以下である。
なお、本塗料の硬化工程における加熱手段は特に限定するものではないが、通常、熱風炉、電気炉、赤外線加熱炉等が挙げられる。
本塗料を被塗装物に供給し、ウレタン硬化促進能発現工程及び硬化工程を少なくとも実施することで、被塗装物上に本塗料がウレタン硬化した塗膜を得ることができる。すなわち、本明細書の開示によれば、本塗料がウレタン硬化された塗膜を備える被塗装物を得ることができる。すなわち、ポリオールがポリイソシアネートによって架橋されてなる重合体と、刺激応答によってウレタン硬化促進能を発現する刺激応答性化合物から生成したウレタン硬化促進剤と、を含むウレタン硬化塗膜を備える、被塗装物が提供される。なお、この被塗装物におけるポリオール、ポリイソシアネート、刺激応答性化合物及びウレタン硬化剤については、既に説明した各種の実施態様が適用される。
本塗膜の形成方法によれば、本塗料をウレタン硬化させるのにあたり、刺激応答性化合物によって硬化タイミングを決定し、しかも、硬化促進の程度や速度を刺激応答性化合物の含有量や刺激の強度等で制御することができる。種々の用途に応じた優れた特性の塗膜を高い生産性で提供することができる。
なお、本塗膜の形成方法は、本塗料を用いた塗装方法、本塗料による硬化塗膜を備える被塗装物の生産方法としても実施できる。
以下、本明細書の開示を実施例を挙げて具体的に説明する。なお、本明細書の開示は、以下の実施例によって限定されるものではない。以下の実施例において、部及び%は、特に明示しない限り、いずれも質量基準である。
(実施例1)
(1)主剤の作製
国際公開第2005/054386号記載の合成例1を参考にウレタン硬化性塗料のポリオールとして、(メタ)アクリル樹脂を合成した。さらに、同国際公開公報記載の実施例1を参考に主剤を調製した。
(1−1)(メタ)アクリル樹脂の合成
攪拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた500ml容のフラスコにメチルイソブチルケトン100部を仕込み、110℃まで昇温した。これとは別に、メタクリル酸メチル(MMA)26部、メタクリル酸ブチル(BMA)18部、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(株式会社ダイセル製、プラクセルFA2D)35部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)20部、メタクリル酸(MAA)1部、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル(大塚化学株式会社製、ACHN)2部を混合した。この混合モノマーを2時間かけて滴下し、3時間反応させた。
その後、メチルイソブチルケトン(MIBK)5部、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部、アゾビス−2−メチルブチロニトリル(株式会社日本ファインケム製、ABN−E)0.1部を滴下し、1時間反応させた。さらにメチルイソブチルケトン5部、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部、アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下し、2時間反応させて、(メタ)アクリル樹脂を得た。(メタ)アクリル樹脂は、固形分47.6%、水酸基価68(固形分換算143)、酸価((メタ)アクリル樹脂の固形分当たりの酸価)6.5mgKOH/gであった。
(1―2)主剤の調製
得られた(メタ)アクリル樹脂を77部、ポリカプロラクトンテトラオール(株式会社ダイセル製、プラクセル410D、水酸基価224)10部を混合し、主剤とした。
(2)ウレタン硬化性塗料の調製
主剤100部に対し、架橋剤としてポリイソシアネート化合物(BASF製,Basonat(登録商標) HI100)を27部、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート50%プロピレンカーボネート溶液(サンアプロ製CPI−101A)を5部添加した。さらに、シクロヘキサノンを加え、粘度が100mPa・s程度になるように希釈して、ウレタン硬化性塗料とした。
(実施例2)
CPI−101Aを、[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロホスファート50%プロピレンカーボネート溶液(サンアプロ製CPI−100P)に変更したこと以外は実施例1と同様の方法でウレタン硬化性塗料を調製した。
(実施例3)
CPI−101A 5部を、(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウム−ヘキサフルオロホスファート75%プロピレンカーボネート溶液(BASF製IRGACURE250、IRGACUREは登録商標である。)3.3部に変更したこと以外は実施例1と同様の方法でウレタン硬化性塗料を調製した。
(実施例4)
CPI−101A 5部を、(ビス[4−n−アルキル(C10〜13)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート)(和光純薬株式会社製WPI−113)5部に変更したこと以外は実施例1と同様の方法でウレタン硬化性塗料を調製した。
(実施例5)
CPI−101A 5部を、(ビス[4−n−アルキル(C10〜13)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート(和光純薬株式会社製WPI−116)5部に変更したこと以外は実施例1と同様の方法でウレタン硬化性塗料を調製した。
(実施例6)
CPI−101A 5部を、(ビス[4−n−アルキル(C10〜13)フェニル]ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(和光純薬株式会社製WPI−124)5部に変更したこと以外は実施例1と同様の方法でウレタン硬化性塗料を調製した。
(実施例7)
CPI−101A 5部を、1,2−ジシクロヘキシル−4,4,5,5−テトラメチルビグアニジウムn−ブチルトリフェニルボレート(和光純薬株式会社製WPBG−300)2.5部に変更したこと以外は実施例1と同様の方法でウレタン硬化性塗料を調製した。
(実施例8)
CPI−101A 5部を、熱塩基発生剤としてのDBUのオクチル酸塩(サンアプロ株式会社製U−CAT SA102)1.4部、酢酸1.4部及びダイアセトンアルコール5.6部の混合物に変更したこと以外は実施例1と同様の方法でウレタン硬化性塗料を調製した。なお、ダイアセトンアルコールは、熱塩基発生剤の溶解のために添加した。
(比較例1)
CPI−101Aを使用しなかったこと以外は実施例1と同様の方法でウレタン硬化性塗料を調製した。
(比較例2)
CPI−101A 5部を、ジブチル錫ラウレート(堺化学工業製TN−12)0.01部に変更したこと以外は実施例1と同様の方法でウレタン硬化性塗料を調製した。
(比較例3)
CPI−101A 5部を、ジブチル錫ラウレート(堺化学工業製TN−12)0.015部に変更したこと以外は実施例1と同様の方法でウレタン硬化性塗料を調製した。
Figure 2017133006
実施例1〜8及び比較例1〜3で調製したウレタン硬化性塗料を用いて塗膜を形成し、硬化速度、ポットライフ及び自己修復性(塗膜特性)について以下の方法で評価した。これらの結果を、併せて表3に示す。
<塗膜の形成>
ウレタン硬化性塗料をPETフィルム(東洋紡株式会社製商品名「コスモシャインA4300」)にフィルムアプリケーター(株式会社中央精密器機製)を使用して各ウレタン硬化性塗料を20μm程度の厚みになるように塗布した。塗布後80℃で5分間加熱し溶剤を留去させた。その後、以下の2種類の方法により、硬化性の評価を行った。
<硬化性の評価I>
溶剤留去後の塗板について、UVコンベア装置(アイグラフィックス社製 ECS-4011GX、岩崎電気製高圧水銀ランプEYE UV LAMP H04-L41)にて紫外線を照射(積算光量800mJ/cm2)し、その後、80℃にて1時間加熱硬化して塗膜を形成した。加熱の際、加熱を始めてから3分おきに塗膜にマスキングテープ(ニチバン株式会社製)を貼り付けた。1時間の加熱硬化終了後、貼り付けたマスキングテープをはがし、そのマスキングテープを貼り付けた塗膜部分を目視で観察した。評価基準は以下の通りとした。評価は、硬化が不十分な状態でテープを貼り付けた箇所は、テープによって塗料が剥がされるため、塗膜側にテープの痕跡が残ることに基づいている。
Figure 2017133006
<硬化性の評価II>
溶剤留去後の塗板について、UVコンベア装置(アイグラフィックス社製 ECS-4011GX、岩崎電気製高圧水銀ランプEYE UV LAMP H04-L41)を使用し、積算光量400mJ/cm(ランプ電圧160 W/cm, コンベアスピード1.8m/min)の条件で、1回〜4回UV紫外線を照射した(積算光量400、800、1200及び1600mJ/cm)。UV照射1回おきに塗膜にマスキングテープ(ニチバン株式会社製)を貼り付け、合計4回分のマスキングテープを貼り付けた。その後、25℃で24時間静置した後、貼り付けた各マスキングテープをはがし、そのマスキングテープを貼り付けた塗膜部分を目視で観察した。評価基準は、前記の硬化性の評価Iと同様である。
<ポットライフの評価>
主剤、硬化剤及び添加剤を混合して調製した直後の各ウレタン硬化性塗料の粘度と、常温(25℃)で1〜6時間放置した後の粘度測定を行った。粘度の測定はB型粘度計(東機産業株式会社製TVB-10M)を使用して行った。また、塗料調製直後からの粘度増加率を増粘率で評価した。
増粘率(%)=((放置後の粘度−塗料調製直後の粘度)/塗料調製直後の粘度)×100
<自己修復性の評価>
得られた塗膜を80℃で1時間硬化させた後の塗膜表面を、真鍮ブラシを使ってこすり、塗料組成物の表面の傷が消失するかどうかを確認した。評価基準は以下の通りとした。
○:傷が消失する
×:傷が消失しない
Figure 2017133006
(硬化性の評価Iについて)
表3に示すように、刺激応答性のウレタン硬化促進剤として光酸発生剤を用いた実施例の実施例1〜6のウレタン硬化性塗料の塗膜の形成において、9分後には良好な硬化性を示し、さらに15分後には一層良好な硬化性を示しており、従来のウレタン硬化触媒であって優れた触媒であるジブチル錫ラウレートを含む比較例2のウレタン硬化性塗料と同等の硬化速度を有していることがわかった。
また、ウレタン硬化促進剤として光塩基発生剤を用いた実施例7及び熱塩基発生剤を用いた実施例8も実施例1〜6と同様の良好な硬化性を示した。
(硬化性の評価IIについて)
また、光酸発生剤及び光塩基発生剤を用いた実施例1〜7は、UV照射のみで良好な硬化性を示し、熱塩基発生剤を用いた実施例8も、UV照射のみによって副生する熱によって良好な硬化性を示した。
(ポットライフ評価について)
また、ポットライフについては、実施例1〜8は、いずれも生産性を十分に確保できるポットライフを確保しており、硬化触媒を全く含んでない比較例の比較例1と同等かそれ以上のポットライフを備えていることがわかった。すなわち、塗料の調製直後から3時間経過しても増粘率は30%以下、より詳細には25%以下であり、5時間経過しても50%以下、より詳細には、45%以下又は40%以下であり、6時間経過しても70%以下、より詳細には60%以下であった。また、スルホニウム塩系の光酸発生剤であってもヨードニウム系の光酸発生剤のほか、光塩基発生剤及び熱塩基発生剤でも同様に機能することもわかった。さらに、ウレタン硬化促進能を発現する刺激応答性化合物を含んだ実施例のウレタン硬化性塗料(実施例1〜8)であっても、硬化触媒を含んでない又は含んでいる比較例のウレタン硬化性塗料(比較例1〜3)と同様に、優れた自己修復性を備える塗膜を形成できることもわかった。
以上のことから、刺激応答によりウレタン硬化剤を生成する光酸発生剤を用いるウレタン硬化性塗料は、良好なポットライフと速やかな硬化とを同時に実現するとともに、塗膜の良好な特性も維持できることがわかった。また、熱塩基発生剤などの熱刺激応答性化合物を用いた場合であっても、一般的な加熱手段でなくても、水銀ランプなどのUV源を備える光照射手段によっても十分な熱刺激によって熱刺激応答性化合物に基づき硬化促進能を発現させうることがわかった。

Claims (12)

  1. ウレタン硬化性塗料であって、
    ポリオールと、
    ポリイソシアネートと、
    刺激応答によってウレタン硬化促進能を発現する刺激応答性化合物と、
    を含有する、塗料。
  2. 前記刺激応答性化合物は、刺激応答によってウレタン硬化促進剤を生成する化合物である、請求項1に記載の塗料。
  3. 前記刺激応答性化合物は、光刺激応答によって酸を生成する化合物である、請求項2に記載の塗料。
  4. 前記刺激応答性化合物は、光刺激応答によって塩基を生成する化合物である、請求項2に記載の塗料。
  5. 前記刺激応答性化合物は、熱刺激応答によって塩基を生成する化合物である、請求項2に記載の塗料。
  6. 前記ポリオールは、アクリル系ポリオールを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の塗料。
  7. 前記ポリオールは、カプロラクトン変性アクリル系ポリオールを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の塗料。
  8. ウレタン硬化塗膜を有する塗装物であって、
    前記ウレタン硬化塗膜は、ポリオールがポリイソシアネートによって架橋されてなる重合体と、刺激応答によってウレタン硬化促進能を発現する刺激応答性化合物から生成したウレタン硬化促進剤と、を含む塗膜である、塗装物。
  9. ウレタン硬化性塗膜の塗膜形成方法であって、
    ポリオールと、ポリイソシアネートと、刺激応答によってウレタン硬化促進能を発現する刺激応答性化合物と、を含有するウレタン硬化性塗料を調製する工程と、
    被塗装物上に供給されたウレタン硬化性塗料に対して前記刺激応答のための刺激を付与して前記硬化促進能を発現させる工程と、
    を備え、前記ウレタン硬化性塗料を硬化させる、塗膜形成方法。
  10. 前記硬化促進能を発現させる工程前に、さらに、前記ウレタン硬化性塗料を乾燥する工程を備える、請求項9に記載の塗膜形成方法。
  11. 前記刺激応答性化合物は、熱刺激応答によってウレタン硬化促進能を発現する化合物であり、前記硬化促進能を発現させる工程は、前記ウレタン硬化性塗料に対して、近赤外領域の波長を主成分としない気体発光光源又は固体発光光源を備える光照射手段によって光刺激を付与して前記ウレタン硬化性塗料を加熱する工程を含む、請求項9又は10に記載の塗膜形成方法。
  12. ウレタン塗膜を有する被塗装物の生産方法であって、
    ポリオールと、ポリイソシアネートと、刺激応答によってウレタン硬化促進能を発現する刺激応答性化合物と、を含有するウレタン硬化性塗料を調製する工程と、
    被塗装物上に供給されたウレタン硬化性塗料に対して前記刺激応答のための刺激を付与して前記硬化促進能を発現させる工程と、
    を備え、前記ウレタン硬化性塗料を硬化させる、生産方法。
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