JP2020196806A - 膜形成用樹脂組成物、樹脂膜および樹脂膜を備える物品 - Google Patents

膜形成用樹脂組成物、樹脂膜および樹脂膜を備える物品 Download PDF

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Abstract

【課題】塗装作業性が良好で、かつ、溶剤または外力などの外部刺激に対して強い硬化膜を形成可能な膜形成用樹脂組成物を提供すること。【解決手段】分岐ポリマーを含む膜形成用樹脂組成物。この分岐ポリマーは、(i)加水分解性のケイ素含有基を実質的に有さず、(ii)3官能以上のチオール化合物の−SH基の水素原子を除いた構造を有し、かつ、(iii)硫黄原子含有量は0.35mmol/g以上のものである。この分岐ポリマーは、好ましくは星形ポリマーである。【選択図】図1

Description

本発明は、膜形成用樹脂組成物、樹脂膜および樹脂膜を備える物品に関する。より具体的には、膜形成用樹脂組成物、その膜形成用樹脂組成物により形成された樹脂膜およびその樹脂膜を備える物品に関する。
塗料やコーティング剤などの膜形成用樹脂組成物については、これまで様々な検討が行われてきている。
一例として、特許文献1には、3〜8本のアームが分出しているハブ部分を有する共重合体(ハブ部分は3〜8官能チオールの残基)であって、アームは、加水分解基担持シリコン原子を含有する官能単位などを含む共重合体が記載されている。また、特許文献1の実施例には、このような共重合体を用いてクリアコート組成物を調製したこと等が記載されている。
別の例として、特許文献2には、溶媒、アルキド樹脂およびビニルスターポリマーからなるコーティング組成物が記載されている。ここでのビニルスターポリマーは、少なくとも3つのチオール基を有する多官能チオール化合物の残基と、それぞれが少なくとも1つの単官能ビニル性不飽和モノマーの残基を有する少なくとも3つのビニル鎖とを備えている。
特開平5−17536号公報 特表2003−504424号公報
膜形成用樹脂組成物においては、塗装作業性が良好であることが求められる場合がある。具体的には、膜形成用樹脂組成物の流動性が良好であり、塗装時に塗装ムラが生じにくいことが求められる場合がある。
また一方で、膜形成用樹脂組成物を用いて硬化膜を形成する場合には、形成される硬化膜が、有機溶剤または外力などの外部刺激に対して強いこと(外部刺激によって損じられにくいこと)が求められる場合がある。
しかし、塗装作業性と、形成される硬化膜の外部刺激に対する強さは、両立しづらい場合がある。
外部刺激に対して強い硬化膜を形成するには、硬化膜中にある程度大きな分子量のポリマーが存在することが必要と考えられる。そのためには、硬化「前」の段階で、ポリマーがある程度大きな分子量を有することが好ましい。しかし、比較的大きな分子量を有するポリマーは、膜形成用樹脂組成物の粘度を大きくしてしまい、流動性や塗装ムラの点では好ましくない。
逆に、比較的小さな分子量を有するポリマーを用いると、塗装作業性は良好とすることができるが、最終的な硬化膜の「強さ」の点では好ましくない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものである。本発明は、塗装作業性が良好で、かつ、溶剤または外力などの外部刺激に対して強い硬化膜を形成可能な膜形成用樹脂組成物を提供すること目的とする。
本発明者は、鋭意検討の結果、以下に提供される発明を完成させ、上記課題を解決した。
本発明によれば、
分岐ポリマーを含む膜形成用樹脂組成物であって、
前記分岐ポリマーは加水分解性のケイ素含有基を実質的に有さず、
前記分岐ポリマーは、3官能以上のチオール化合物の−SH基の水素原子を除いた構造を有し、
前記分岐ポリマーの硫黄原子含有量は0.35mmol/g以上である膜形成用樹脂組成物
が提供される。
また、本発明によれば、
上記の膜形成用樹脂組成物により形成された樹脂膜
が提供される。
また、本発明によれば、
上記の樹脂膜を備える物品
が提供される。
本発明によれば、塗装作業性が良好で、かつ、溶剤または外力などの外部刺激に対して強い硬化膜を形成可能な膜形成用樹脂組成物が提供される。
合成したポリマーのK/Mwと[S]の関係をプロットしたグラフである。K、Mwおよび[S]の定義については本明細書中で説明する。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
本明細書中、数値範囲の説明における「a〜b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。例えば、「1〜5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」を意味する。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。
本明細書における「有機基」の語は、特に断りが無い限り、有機化合物から1つ以上の水素原子を除いた原子団のことを意味する。例えば、「1価の有機基」とは、任意の有機化合物から1つの水素原子を除いた原子団のことを表す。
<膜形成用樹脂組成物>
本実施形態の膜形成用樹脂組成物は、分岐ポリマーを含む。
この分岐ポリマーは、加水分解性のケイ素含有基を実質的に有しない。
この分岐ポリマーは、3官能以上のチオール化合物の−SH基の水素原子を除いた構造を有する。
この分岐ポリマーの硫黄原子含有量は、0.35mmol/g以上である。
以下、本明細書では、上記特徴を備える分岐ポリマーを「特定分岐ポリマー」とも表記する。
特定分岐ポリマーは、通常、3官能以上のチオール化合物の−SH基の水素原子を除いた構造を中心部(コア)として、その中心部から3本以上のポリマー鎖が放射状に分岐したポリマーである。
特定分岐ポリマーは、直鎖状のポリマーに比べて、多くの「末端」を有する。その「末端」は、比較的自由に分子運動することができる。このため、特定分岐ポリマーを用いることで、膜形成用樹脂組成物を低粘度化しやすく、塗装作業性が良好となると考えられる。
また、特定分岐ポリマーを用いることで組成物を低粘度化しやすいということは、粘度上昇を抑えたまま、ポリマーの分子量を大きくしやすいということを意味する。このため、形成される硬化膜が、有機溶剤または外力などの外部刺激に対して強くなる。
特に、本実施形態において、特定分岐ポリマー中の硫黄原子含有量は0.35mmol/g以上である(以後、この量を[S]とも表記する)。[S]は、おおよそ、特定分岐ポリマー全体における、3官能以上のチオール化合物の−SH基の水素原子を除いた構造(すなわち、分岐ポリマーの中心部(コア))の比率に対応する。すなわち、本実施形態では、特定分岐ポリマーの[S]が0.35mmol/g以上であることで、ポリマーが十分に多くの分岐構造および末端を有することを担保している。[S]が0.35mmol/gよりも小さいと、ポリマー中に十分な分岐構造および末端が存在しないこととなり、塗装作業性と硬化膜の強さを両立させづらい。
また、特定分岐ポリマーが「分岐であり」、かつ、[S]が0.35mmol/g以上であることにより、硬化の際、直鎖ポリマーを用いた場合とは異なる架橋ネットワーク構造が形成されると考えられる。このことにより、硬化膜の強さがより高まると考えられる。
さらに、特定分岐ポリマーが「分岐であり」、かつ、[S]が0.35mmol/g以上であることは、「硬化のしやすさ」にも繋がっているとも推定される。特定分岐ポリマーがある程度の分岐構造を含むということは、「硬化前」の膜形成用樹脂組成物に、ある程度の架橋点が予め導入されているものと捉えることができるためである。
加えて、特定分岐ポリマーの中心部(コア)の、−SH基の水素原子を除いた構造(典型的にはスルフィド結合などを含む)は、炭素−炭素結合に比べて適度にフレキシブルと考えられる。このことは、硬化膜の機械的特性の向上や、硬化時の収縮抑制などに関係していると推測される。
別観点として、特定分岐ポリマーが加水分解性のケイ素含有基を実質的に有しないことで、本実施形態の膜形成用樹脂組成物を、様々な膜形成方法/用途に汎用的に適用することができる。
「加水分解性のケイ素含有基を実質的に有しない」とは、特定分岐ポリマーの全構造単位(全てのモノマー由来の構造)中の、加水分解性のケイ素含有基を有する構造単位の比率が、例えば3mol%以下、好ましくは1mol%以下、より好ましくは0であることを意味する。
特定分岐ポリマーは、例えば、3官能以上のチオール化合物を連鎖移動剤として用いたラジカル重合反応により得ることができる。詳細は後述する。
以下、本実施形態の膜形成用樹脂組成物についてより具体的に説明する。
(特定分岐ポリマー)
前述のように、特定分岐ポリマーは、加水分解性のケイ素含有基を実質的に有さず、3官能以上のチオール化合物の−SH基の水素原子を除いた構造を有する。
特定分岐ポリマーは、星形ポリマーであることができる。
特定分岐ポリマーの硫黄原子含有量[S]は、0.35mmol/g以上、好ましくは0.35〜2.0mmol/g、より好ましくは0.4〜1.5mmol/g、さらに好ましくは0.5〜1.3mmol/gである。[S]が大きすぎないことで、塗装作業性と、外部刺激に対する硬化膜の強さをより高いレベルで両立させることができる。
「3官能以上のチオール化合物」は、1分子中に3以上の−SH基を有するものである限り、特に限定されない。3官能以上のチオール化合物は、好ましくは3〜8官能のチオール化合物を含み、より好ましくは3〜6官能のチオール化合物を含む。
別観点として、3官能以上のチオール化合物の分子量は、好ましくは1000以下、より好ましくは100〜1000、さらに好ましくは150〜800である。この分子量が1000以下であることで、特定分岐ポリマーの中心部(コア)が十分にコンパクトになると考えられる。その結果、特定分岐ポリマーの分子運動性がより高まり、一層の低粘度化の効果が得られると考えられる(つまり、塗装作業性を一層向上可能と考えられる)。
3官能以上のチオール化合物の構造は、例えば、以下一般式(SH)で表されるものである。
Figure 2020196806
一般式(SH)中、
Rは、水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基であり、
Xは、−CO−または−CH−であり、
Lは、n価の連結基であり、
nは3以上の整数、好ましくは3〜8、より好ましくは3〜6である。
複数存在するRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。また、複数存在するXは、互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、合成容易性などの観点からは、複数存在するRは互いに同一であることが好ましく、複数存在するXは互いに同一であることが好ましい。
Rのアルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよい。アルキル基の炭素数は、1〜16が好ましく、1〜10がより好ましい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、2−エチルへキシル基等が挙げられる。なかでも、メチル基、エチル基、プロピル基またはイソプロピル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
n価の連結基であるLとしては、例えばトリメチロールプロパン残基、−(CH−(pは2〜6)を3個有するイソシアヌル環などの3価の連結基、ペンタエリスリトール残基などの4価の連結基または5価の連結基、ジペンタエリスリトール残基などの6価の連結基が挙げられる。
3官能以上のチオール化合物の具体例を以下に示す。もちろん、3官能以上のチオール化合物はこれらのみに限定されない。
Figure 2020196806
Figure 2020196806
Figure 2020196806
3官能以上のチオール化合物としては市販品を挙げることもできる。
例えば、昭和電工株式会社製の「カレンズ」シリーズを挙げることができる。このシリーズのチオールは2級チオールである。また、SC有機化学株式会社の品番「PEMP」「TMMP」「DPMP」「TEMPIC」なども挙げることができる。これらチオールは1級チオールである。
2級チオールのほうが、アクリレートモノマーとのマイケル付加反応が起きにくいという利点がある。つまり、後述する重合反応の際に、副反応が抑えられるという利点がある。(メタ)アクリレートモノマーを用いる場合には、1級チオールを用いても特段の問題は無い。
特定分岐ポリマーは、例えば、3官能以上のチオール化合物の存在下で、ラジカル重合性のモノマーをラジカル重合することで製造することができる。ラジカル重合性のモノマーとしては、例えば後述する(メタ)アクリル系モノマーなどを挙げることができる。
一般に、チオール化合物は、ラジカル重合の連鎖移動剤として知られている。ラジカルの生長末端が3官能以上のチオール化合物と反応するメカニズムにより、特定分岐ポリマーが得られると考えられる。
ラジカル重合の際の、3官能以上のチオール化合物の量(濃度)を適切に調整することで、[S]を0.35mmol/g以上とすることができる。
本発明者の知見および技術常識として、チオール化合物の反応性は良好である。つまり、一般的な条件のラジカル重合においては、反応系中に仕込んだチオール化合物中の硫黄原子の量と、特定分岐ポリマー中に導入される硫黄原子の量は、実質的に等しいと考えて差し支えない。
特定分岐ポリマーの製造の際、3官能以上のチオール化合物を2種以上用いてもよい。ただし、重合反応の均一性、特定分岐ポリマー均質性などの観点から、3官能以上のチオール化合物の使用は1種のみであることが好ましい。
また、特定分岐ポリマーの製造の際、3官能以上のチオール化合物と、1〜2官能のチオール化合物とを併用してもよい。ただし、重合反応の均一性や、特定分岐ポリマーの分子量を十分に大きくするなどの観点から、1〜2官能のチオール化合物を用いないことが好ましい。
ラジカル重合においては、3官能以上のチオール化合物を用いること以外は、公知技術を適宜適用すればよい。
ラジカル重合の具体的方法としては、(i)モノマー、開始剤および3官能以上のチオール化合物を溶剤に溶解させて溶液とし、この溶液を加熱することにより重合を行う一括重合法、(ii)加熱された溶剤に対し、モノマー種、開始剤および3官能以上のチオール化合物の溶液を1〜10時間かけて滴下する滴下重合法などが挙げられる。分子量の制御のやりやすさなどの点で滴下重合法が好ましい。
ラジカル重合の開始剤としては、公知の化合物を適宜用いることができる。例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(メチルイソブチレ−ト)、2,2'−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1'−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)等のアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等の過酸化物系重合開始剤、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩等が挙げられる。開始剤は1種または2種以上を併用して用いることができる。
一態様として、特定分岐ポリマーは、(メタ)アクリル系モノマーに由来する構造単位を1種又は2種以上有する。
(メタ)アクリル系モノマーは、例えば、一般式CH=CR−COO−R'で表すことができる。この一般式において、Rは水素原子またはメチル基、R'は1価の有機基である。1価の有機基としては、アルキル基、単環または多環のシクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などが挙げられる。
一般式CH=CR−COO−R'で表されるモノマーの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
特定分岐ポリマーの全構造単位中、一般式CH=CR−COO−R'で表される(メタ)アクリル系モノマーに由来する構造単位の比率は、好ましくは1〜90質量%、より好ましくは10〜85質量%、さらに好ましくは20〜80質量%である。
また、(メタ)アクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸を挙げることができる。
特定分岐ポリマーの全構造単位中、(メタ)アクリル酸に由来する構造単位の比率は、好ましくは0.1〜30質量%、より好ましくは0.2〜20質量%、さらに好ましくは0.5〜10質量%である。
一態様として、特定分岐ポリマーは、熱により硬化剤と反応可能な官能基を有する。別の言い方として、特定分岐ポリマーは、熱により硬化剤と反応可能な官能基を有する構造単位を含むことができる。
硬化剤と反応可能な官能基としては、エポキシ基、アミノ基、カルボニル基、イソシアネート基などを挙げることができる。
硬化剤と反応可能な官能基は、好ましくはヒドロキシ基である。つまり、特定分岐ポリマーは、好ましくは、ヒドロキシ基を有する構造単位を含む。
例えば、原料モノマーの少なくとも一部として、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマーを用いることで、特定分岐ポリマー中にヒドロキシ基を導入することができる。
ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマーとして具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
特定分岐ポリマーの全構造単位中、ヒドロキシ基を有する構造単位の比率は、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは2〜40質量%、さらに好ましくは3〜30質量%である。
特定分岐ポリマーがヒドロキシ基を有する場合、特定分岐ポリマーの水酸基価は、好ましくは10〜200mgKOH/g、より好ましくは30〜150mgKOH/g、さらに好ましくは40〜120mgKOH/gである。
特に、本実施形態の膜形成用樹脂組成物がイソシアネート化合物(詳細は後述)を含む場合には、水酸基価を適切な値に設計することで、塗装作業性と、外部刺激に対する硬化膜の強さとを一層高度に両立させうる。
また、水酸基価の値が適切であることにより、硬化膜中の架橋密度などが最適化され、例えば硬化膜の機械物性が一層良好となったり、硬化による意図せぬ収縮が一層抑えられたりすると考えられる。
水酸基価は、例えば、特定分岐ポリマー中のヒドロキシ基を有する構造単位の量を変えることで調整することができる。
特定分岐ポリマーは、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクタム、ポリカーボネート、ポリエステルおよびポリエーテルからなる群より選択される少なくともいずれかの部分構造を側鎖に有する(メタ)アクリレート構造単位を1種または2種以上含んでもよい。特定分岐ポリマーがこの構造単位を含むことで、硬化膜に対して自己修復能を付与することができる。
この構造単位としては、一般式CH=CR−COO−R''で表されるモノマー(Rは水素原子またはメチル基、R''はポリカプロラクトン、ポリカプロラクタム、ポリカーボネート、ポリエステルおよびポリエーテルからなる群より選択される少なくともいずれかの部分構造を含む基)に由来する構造単位を好ましく挙げることができる。
この構造単位に対応するモノマーの具体例としては、株式会社ダイセルの商品名「プラクセルF」シリーズや、エチレンオキシド付加モル数3〜20のメトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、等を挙げることができる。
この構造単位は、ヒドロキシ基を有する構造単位でもありうる。
特定分岐ポリマーがこの構造単位を含む場合、その量は、特定分岐ポリマー全体に対して、好ましくは0〜70質量%、より好ましくは0〜65質量%、さらに好ましくは0〜60質量%である。
特定分岐ポリマーは、ポリシロキサン部分構造を有する構造単位を含んでもよい。特定分岐ポリマー中にこの構造単位を導入することで、硬化膜に対する汚れ付着の抑制、汚れのしみこみの抑制など、耐汚染性を高めることができると考えられる。
特定分岐ポリマー中にポリシロキサン部分構造を有する構造単位を導入するためのモノマーとしては、例えば、JNC株式会社の「サイラプレーン」シリーズ、より具体的には、サイラプレーンFM−0721(片末端メタクリレート変性ポリジメチルシロキサン)などを挙げることができる。
特定分岐ポリマーがポリシロキサン部分構造を有する構造単位を含む場合、その量は、特定分岐ポリマー全体に対して、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは2〜25質量%、さらに好ましくは3〜20質量%である。
特定分岐ポリマーは、もちろん、(メタ)アクリル系モノマーではないモノマーに由来する構造単位を含んでもよい。(メタ)アクリル系モノマーではないモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル系モノマー、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸モノマーなどを挙げることができる。
また、特定分岐ポリマーは、(メタ)アクリル系モノマーに由来する構造単位と、(メタ)アクリル系モノマーではないモノマーに由来する構造単位との両方を含んでもよい。
ただし、柔軟性、他成分との相溶性、溶剤溶解性などの観点から、特定分岐ポリマー中の全構造単位における(メタ)アクリル系モノマーではないモノマーに由来する構造単位の比率は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、特に好ましくは0である。
一態様として、特定分岐ポリマーは、重合性基を有する。重合性基は、特定分岐ポリマーの側鎖に存在してもよいし、末端に存在してもよいし、それら両方であってもよい。
重合性基としては、エチレン性炭素−炭素二重結合を含む基、エポキシ基、オキセタニル基などを挙げることができる。これらの中でも、エチレン性炭素−炭素二重結合を含む基が好ましい。エチレン性炭素−炭素二重結合を含む基としては、ビニル基、(メタ)アクリロイル基などを挙げることができる。これらの中でも、反応性の高さ(つまり、硬化しやすさ)の点から、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
特定分岐ポリマーが重合性基を有する場合、例えば後述の光重合開始剤を用いることで、膜形成用樹脂組成物を光硬化型とすることができる。
特定分岐ポリマーが重合性基を有する場合、特定分岐ポリマー中の重合性基を有する構造単位の量は、特定分岐ポリマーの全構造単位中、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは20〜70質量%である。
特定分岐ポリマー中に重合性基を導入する方法は特に限定されない。例えば、以下(i)および(ii)の順により、特定分岐ポリマー中にエチレン性炭素−炭素二重結合を含む基を導入することができる。
(i)まず、側鎖にエポキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマーを原料モノマーとして特定分岐ポリマーを合成する。
(ii)その後、特定分岐ポリマー側鎖のエポキシ基に、エポキシ基と反応する官能基およびエチレン性炭素−炭素二重結合を含む基を有する化合物を付加させる。
(i)における、側鎖にエポキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
(ii)におけるエポキシ基と反応する官能基は、特に限定されない。例えばカルボキシ基であることができる。(ii)で用いられる化合物としては、例えば(メタ)アクリル酸やカルボキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(ii)においては、付加反応を促進させるために適当な触媒などを用いてもよい。
また、上記とは別の二重結合導入法としては、
・イソシアネート基を有するモノマーを重合しておいて、ヒドロキシ基および炭素−炭素二重結合を有するモノマーを付加する方法、
・ヒドロキシ基を有するモノマーを重合しておいて、イソシアネート基および炭素−炭素二重結合を有するモノマーを付加する方法、
・カルボニル基を有するモノマーを重合しておいて、エポキシ基および炭素−炭素二重結合を有するモノマーを付加する方法、
なども挙げられる。
特定分岐ポリマーが重合性基を有する場合、その量(1gの特定分岐ポリマーに含まれる重合性基のモル数)は、好ましくは0.5〜10mmol/gである。特に、硬化膜の柔軟性を重視する場合は0.5〜3mmol/gが好ましく、硬化膜の硬度を重視する場合には2〜6mmol/gが好ましい。
特定分岐ポリマーの絶対数平均分子量は、好ましくは1000〜20000、より好ましくは1500〜15000、さらに好ましくは2000〜10000である。
特定分岐ポリマーの絶対重量平均分子量は、好ましくは1500〜20000、より好ましくは1500〜15000、さらに好ましくは2000〜12000である。
特定分岐ポリマーの絶対数平均分子量および/または絶対重量平均分子量が上記数値範囲内であることにより、塗装作業性と、外部刺激に対する硬化膜の強さとを、より高いレベルで両立させることができる。
特定分岐ポリマーの絶対数平均分子量および絶対重量平均分子量は、通常、多角度光散乱検出器を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC−MALS)により求めることができる。使用可能な測定装置や測定条件については後掲の実施例を参照されたい。
一般に、分岐ポリマーは、その分岐構造のため、通常のGPC測定法(例えばポリスチレンを標準物質としたGPC測定)では、真の分子量に十分近い値を求められない場合がある。よって、特定分岐ポリマーの分子量は、絶対数平均分子量および/または絶対重量平均分子量により評価されることが好ましい。
また、GPC−MALSにより求められる特定分岐ポリマーの固有粘度は、好ましくは3〜8mL/g、より好ましくは4〜7mL/gである。特定分岐ポリマーの固有粘度が適切であることで、塗装作業性と硬化性とを一層高度に両立させうる。
GPC−MALSのデータを解析して絶対数平均分子量、絶対重量平均分子量、固有粘度などを求めるには、ソフトウェアを活用することが好ましい。ソフトウェアとしては例えばWyatt社製の解析ソフトウェア「ASTRA6」を挙げることができる。
参考までに、ポリスチレンを標準物質としたGPC測定において、特定分岐ポリマーの数平均分子量は通常1000〜20000、好ましくは1500〜10000、重量平均分子量は通常1000〜20000、好ましくは2000〜15000程度である。
特定分岐ポリマーのガラス転移温度は特に限定されない。ただし、ガラス転移温度を調整することで、例えば硬化膜の機械物性の調整などが可能である。特定分岐ポリマーのガラス転移温度は、好ましくは−20〜100℃、より好ましくは−5〜80℃である。
特定分岐ポリマーのガラス転移温度は、種々の方法で求めることが可能である。例えば、Foxの式として知られている以下式に基づいて求めることができる。
1/Tg=(W/Tg)+(W/Tg)+(W/Tg)+・・・+(W/Tg
式中、Tgは、ポリマーのガラス転移温度(K)、W、W、W・・・Wは、それぞれのモノマーの質量分率、Tg、Tg、Tg・・・Tgは、それぞれ各モノマーの質量分率に対応するモノマーからなる単独重合体のガラス転移温度(K)を示す。
特殊モノマー、多官能モノマーなどのようにガラス転移温度が不明のモノマーについては、ガラス転移温度が判明しているモノマーのみを用いてガラス転移温度が求められる。
特定分岐ポリマーが「分岐ポリマー」であることについて補足しておく。
あるポリマーが直鎖状ポリマーであるか分岐ポリマーであるかは、例えば、ポリマーの原料や合成方法から知ることができる。例えば、ラジカル重合法によりポリマーを合成するにあたり、前述の多官能チオールを適切に用いれば、得られたポリマーは分岐を有すると言える。
また、学術的に、あるポリマーが直鎖状ポリマーであるか分岐ポリマーであるかは、縦軸にポリマーの極限粘度の対数を、横軸にポリマーの分子量の対数をプロットし、そのプロットから得られる直線の傾きから知ることができると言われている。具体的には以下のとおりである。
Mark−Houwink−Sakuradaの式として知られている[η]=K・M([η]はポリマーの固有粘度、Mはポリマーの絶対分子量、Kは適当な係数)において、直鎖ポリマーではaが0.5〜1.0程度であり、分岐ポリマーではaはそれより小さくなると言われている。この式の両辺の対数を取ると、log[η]=logK+a・logMとなる。よって、縦軸にlog[η]を、横軸にlogMをプロットし(すなわち、[η]とMを両対数プロットし)、そのプロットから得られる直線の傾きからaを求めれば、あるポリマーが直鎖か分岐かを知ることができる。ちなみに、log[η]とlogMのプロットに必要な情報は、多角度光散乱検出器を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC−MALS)を通じて得ることができる。
一方、本発明者の知見として、上記のようにプロットを行ったとき、log[η]とlogMは必ずしも直線関係にならず、よってaを一意に決めることは難しい場合がある。具体的には、Mが比較的小さい(10未満)領域ではaが比較的大きいが、Mが比較的大きい(10以上)領域ではaが比較的小さく、大域的にはlog[η]とlogMのプロットが直線とならない場合がある。特に、Mが比較的小さい領域では、局所的に、分岐ポリマーのaが直鎖ポリマーのaよりも大きくなる場合がある。
log[η]とlogMが必ずしも直線関係にならない場合がある理由は、Mが比較的小さい領域では、ポリマーの鎖同士の相互作用の影響が無視できなくなるためと推測される(特に、膜形成用にポリマー中に官能基を導入した場合、ポリマーの鎖同士の相互作用は大きくなりがちである)。
そこで、本発明者は、ポリマーの鎖同士の相互作用の影響が無いまたは小さく、かつ、ポリマーが直鎖であるか分岐であるかに関係すると思われる以下(1)〜(3)のパラメータの関係に基づき、あるポリマーが直鎖であるか分岐であるかを知ることができないかと考えた。
(1)Mark−Houwink−Sakuradaの式における「K」、具体的には、縦軸にlog[η]を、横軸にlogMをプロットしたときの直線部分(通常、Mが比較的大きい部分に相当)を、logM→0(M→1)に外挿したときの値(直線部分の外挿に用いるソフトウェアについては後述する)
(2)ポリマーの絶対重量平均分子量Mw(GPC−MALSにより求められる)
(3)ポリマー中の硫黄原子含有量[S](ポリマー合成時の多官能チオールの使用量、および/または、ポリマーの蛍光X線分析により求められる)
検討の結果、連鎖移動剤として単官能チオールを用いた直鎖ポリマーにおいては、ほぼ、(K/Mw)/[S]=4.5×10−4の関係があることがわかった(Kの単位はmL/g、[S]の単位はmmol/g)。別の言い方として、連鎖移動剤として単官能チオールを用いた直鎖ポリマーについて、縦軸にK/Mw、横軸に[S]をプロットしたとき、K/Mw=4.5×10−4[S]の近似曲線(2次関数)を引くことができることがわかった。
一方、連鎖移動剤として3官能以上のチオールを用いて得た分岐ポリマーにおいては、(K/Mw)/[S]の値は、4.5×10−4よりも小さくなる(具体的には、4.0×10−4以下となる)ことが分かった。
以上、(K/Mw)/[S]の値からも、ポリマーの直鎖/分岐を知ることができる。
参考のため、後掲の実施例において、K/Mwと[S]の関係を示す。
上記(1)で、「K」を求める際のプロットや、そのプロットの直線部分をlogM→0(M→1)に外挿するためには、ソフトウェアを活用することが好ましい。具体的には、Wyatt社製の解析ソフトウェア「ASTRA6」によってMark−Houwink−Sakuradaプロット上に自動的に引かれる直線を、logM→0(M→1)に外挿したときの値を、「K」の値として採用することができる。
また、上記(3)において、ポリマー中の硫黄原子含有量[S]を蛍光X線分析により求める場合には、まず、硫黄原子含有量が既知である標準サンプルについて硫黄原子の蛍光X線ピーク強度を測定し、検量線を作成する。その後、硫黄原子含有量が未知のサンプルについて硫黄の蛍光X線ピーク強度を測定する。そして、予め作成しておいた検量線を利用して、硫黄原子の含有量を求めることができる。
蛍光X線分析の装置としては、株式会社島津製作所製のエネルギー分散型蛍光X線分析装置EDX−8100などを用いることができる。
ちなみに、特定分岐ポリマーを合成する際の原料モノマーや多官能チオールの使用量が分かっている場合には、その情報からも[S]を求めることができる。
付言するに、「K」の値は、好ましくは0.01〜1mL/g、より好ましくは0.03〜0.7mL/gである。上記のように、Kの値は、ポリマーの分岐構造に関係する値である。Kがこの範囲にあることで、塗装作業性と硬化性が一層高度に両立されると考えらえる。
(他のポリマー:特定分岐ポリマーに該当しないポリマー)
本実施形態の膜形成用樹脂組成物は、特定分岐ポリマーに該当しないポリマー(以下「他のポリマー」とも記載)を含んでもよい。
他のポリマーとしては、例えば、アルキド樹脂、フェノール樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ニトロセルロース樹脂、ロジン変性樹脂、マレイン酸樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体などを挙げることができる。
ただし、塗装作業性と硬化性の高度な両立の観点からは、本実施形態の膜形成用樹脂組成物は、アルキド樹脂のような他のポリマーを含まないか、含むとしても少量であることが好ましい。この観点からは、特定分岐ポリマー100質量部に対する他のポリマーの量は、具体的には10質量部以下、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下である。本実施形態の膜形成用樹脂組成物は他のポリマーを含まなくてもよい。
(硬化剤(イソシアネート化合物など))
本実施形態の膜形成用樹脂組成物は、硬化剤を含んでもよい。
硬化剤としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、その他、塗料や硬化性樹脂組成物の分野で公知のものを用いることができる。
硬化剤は、好ましくはイソシアネート化合物を含む。特に、特定分岐ポリマーがヒドロキシ基を有する場合、そのヒドロキシ基がイソシアネート化合物と反応して、硬化膜を得ることができる。
イソシアネート化合物は、好ましくは多官能イソシアネート化合物を含む。多官能イソシアネートは、好ましくは2〜6官能(つまり、1分子あたり2〜6個の反応性イソシアネート基を有する)、より好ましくは2〜4官能である。
イソシアネート化合物としては、リジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びトリメチルヘキサンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,4−(または2,6)−ジイソシアネート、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)および1,3−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の環状脂肪族ジイソシアネート、並びに、リジントリイソシアネート等の3官能以上のイソシアネートを挙げることができる。イソシアネート化合物の多量体であるイソシアヌレート及びビウレット型付加物、イソシアネート化合物を多価アルコールまたは低分子量ポリエステル樹脂に付加したものなどもイソシアネート化合物として挙げることができる。
イソシアネート化合物としては、ビウレット型、イソシアヌレート型、アダクト型、アロファネート型などが知られている。本実施形態においては、いずれも用いることができる。中でも、イソシアヌレート型のイソシアネート化合物、すなわち、イソシアヌル酸の環状骨格を有する多官能イソシアネートを用いることが好ましい。
イソシアネート化合物は、いわゆるブロックイソシアネートであってもよい。換言すると、イソシアネート化合物のイソシアネート基の一部又は全部は、保護基によりブロックされた、ブロックイソシアネート基の形態であってもよい。例えば、アルコール系、フェノール系、ラクタム系、オキシム系、及び活性メチレン系などの活性水素化合物によってイソシアネート基がブロックされてブロックイソシアネート基が形成される。
イソシアネート化合物の有するイソシアネート基の量は、イソシアネート化合物全体に対するイソシアネート基(−NCO)の質量の割合で表現することができる。イソシアネート化合物全体に対するイソシアネート基の質量の割合(NCO%)は、好ましくは5〜50%、より好ましくは5〜30%、さらに好ましくは10〜25%である。
イソシアネート化合物の市販品としては、例えば、旭化成株式会社製のデュラネート(商品名)シリーズ、三井化学株式会社製のタケネート(商品名)シリーズ、住化バイエルウレタン株式会社製のデスモジュール(商品名)シリーズ等を用いることができる。
イソシアネート化合物が用いられる場合、1種のみが用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
イソシアネート化合物が用いられる場合、その量は、組成物の不揮発成分全体に対して、好ましくは5〜55質量%であり、より好ましくは10〜50質量%であり、さらに好ましくは15〜45質量%である。
別観点として、特定分岐ポリマーがヒドロキシ基を有する場合、特定分岐ポリマーが有するヒドロキシ基と、イソシアネート化合物が有するイソシアネート基(ブロックイソシアネート基を含む)とのモル比を適切な値とすることが好ましい。このモル比のことは、しばしば「当量比」とも呼ばれる。これにより、硬化膜の機械物性等をより良好とすることができる。
具体的には、特定分岐ポリマーが有するヒドロキシ基のモル数に対する、イソシアネート化合物が有するイソシアネート基のモル比(NCO/OH)は、0.5〜1.5であることが好ましく、0.8〜1.2であることが好ましい。
(重合開始剤)
本実施形態の膜形成用樹脂組成物は、重合開始剤を含んでもよい。
特に、特定分岐ポリマーが重合性基を有する場合、重合開始剤から発生する活性化学種によりその重合性基を重合させて、硬化膜を得ることができる。
また、重合開始剤が光重合開始剤を含むことで、本実施形態の膜形成用樹脂組成物を光硬化型の組成物とすることができる。
特定分岐ポリマーが有する重合性基の種類などにもよるが、重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤または光カチオン重合開始剤であることが好ましい。特に、特定分岐ポリマーが有する重合性基がエチレン性炭素−炭素二重結合を有する基である場合、光ラジカル重合開始剤が好ましい。
光ラジカル重合開始剤の具体例としては、α−ヒドロキシケトン系光重合開始剤、α−アミノケトン系光重合開始剤、ビスアシルホスフィン系光重合開始剤、モノアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤、ビスアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤、モノ−およびビス−アシルホスフィン系光重合開始剤、ベンジルジメチル−ケタール系光重合開始剤等が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤の市販品としては、IGM Resins B.V.社にて販売されているOmniradシリーズ等を挙げることができる。もちろん、これ以外の光ラジカル重合開始剤も使用可能である。
本実施形態の膜形成用樹脂組成物が重合開始剤を含む場合、膜形成用樹脂組成物は重合開始剤を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
本実施形態の膜形成用樹脂組成物が重合開始剤を含む場合、その量は、特定分岐ポリマー100質量部に対して、通常0.5〜15質量部、好ましくは1.0〜10質量部である。
(溶剤)
本実施形態の膜形成用樹脂組成物は、さらに溶剤を含むことができる。特に、本実施形態の膜形成用樹脂組成物が熱硬化型である場合、溶剤を含むことが好ましい。また、本実施形態の膜形成用樹脂組成物は、例えば特定分岐ポリマーの合成時に用いた溶剤に由来する溶剤を含んでもよい。
溶剤は、一態様として有機溶剤である。有機溶剤の例としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール(2−メチル−2−プロパノール)、tert−アミルアルコール、ダイアセトンアルコール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶剤等を挙げることができる。
本実施形態の膜形成用樹脂組成物が溶剤を含む場合、溶剤を1種のみ含んでもよいし、2種以上の溶剤を含んでもよい。
本実施形態の膜形成用樹脂組成物が溶剤を含む場合、その量は特に限定されない。例えば、組成物の固形分(不揮発成分)濃度が、5〜99質量%、好ましくは10〜70質量%となるような量で用いることが好ましい。
溶剤は、膜形成用樹脂組成物を使用する際に、膜形成用樹脂組成物に加えられてもよい。すなわち、膜形成用樹脂組成物を対象物に塗装する直前に、希釈やその他の目的のために溶剤を用いてもよい。
一方、本実施形態の膜形成用樹脂組成物は、溶剤を含まなくてもよい。特に、本実施形態の膜形成用樹脂組成物が光硬化型である場合には、溶剤を用いないことにより、光照射のみにより硬化膜を得ることができるため、好ましい。本実施形態の膜形成用樹脂組成物は、特定分岐ポリマーに起因して比較的低粘度であるため、意図的に溶剤を添加せずとも(溶剤として、特定分岐ポリマーの重合溶剤に起因する溶剤のみを含む程度であっても)塗装作業性を良好とすることができる。
(その他成分)
本実施形態の膜形成用樹脂組成物は、上記以外にも種々の任意成分を含んでもよい。例えば、硬化促進剤(硬化触媒等)、架橋剤、重合性多官能モノマー、界面活性剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防錆顔料、意匠性を高めるための成分(色素、着色顔料、光輝顔料、艶消し剤)などを含んでもよい。
もちろん、本実施形態の膜形成用樹脂組成物は、これらの任意成分を含まなくてもよい。
(補足)
本実施形態の膜形成用樹脂組成物は、いわゆる1液型であっても2液型であってもよい。例えば、本実施形態の膜形成用樹脂組成物が硬化剤(イソシアネート化合物等)を含む場合、本実施形態の膜形成用樹脂組成物は、硬化剤以外の成分を含む第1液と、硬化剤を含む第2液との2液型であってもよい。
<塗装方法、樹脂膜、物品>
本実施形態の膜形成用樹脂組成物を用いて樹脂膜を形成することができる。また、樹脂膜を備える物品を製造することができる。
樹脂膜を形成する方法は特に限定されない。エアスプレー、非エアスプレー、静電気スプレー、ペイントブラシ、カーテンフローコーティング、ローラーブラシコーティング、バーコーティング、キスロール、メタリングバー、グラビアロール、リバースロール、ディップコート、ダイコート等の任意の方法または装置により、任意の物品(被塗物)に対して樹脂膜を設けることができる。
特に、本実施形態の膜形成用樹脂組成物は、スプレー塗装により樹脂膜を形成することが好ましい。換言すると、本実施形態の膜形成用樹脂組成物は、好ましくはスプレー塗装用の膜形成用樹脂組成物である。特に、小さいスプレー穴からの噴霧が必要なスプレー塗装において、本実施形態の膜形成用樹脂組成物の「塗装作業性の良さ」は好ましい特徴の1つである。
本実施形態の膜形成用樹脂組成物が熱硬化型である場合には、樹脂膜の形成後、加熱して樹脂膜を硬化させることが好ましい。この際、膜形成用樹脂組成物が溶剤を含む場合には、通常、溶剤は揮発する。
加熱条件は、樹脂膜の厚みや被塗物の耐熱性などにより適宜調整すればよい。加熱条件は、一例として20〜160℃で1〜120分間、好ましくは60〜120℃で3〜90分間である。
本実施形態の膜形成用樹脂組成物が光硬化型である場合には、樹脂膜の形成後、光照射を行って樹脂膜を硬化させることが好ましい。
光の照射量は、樹脂膜の厚みや光重合開始剤の使用量などにより適宜調整すればよい。光の照射量は、好ましくは50〜10000mJ/cm、より好ましくは100〜8000mJ/cm、さらに好ましくは300〜5000mJ/cmである。
光の波長や光源等は、膜形成用樹脂組成物が感光して硬化する限り特に限定されない。典型的には、紫外線ランプを用いることができる。
物品(被塗物)は、特に限定されない。例えば、以下を挙げることができる。
・携帯電話、スマートフォン、パソコン、パソコン周辺機器(キーボード、プリンタ、外付けディスク等)、腕時計、オーディオ機器、各種OA機器等の電気・電子機器。
・冷蔵庫、掃除機、電子レンジ、テレビ、録画機器等の家電製品。
・階段、床、机、椅子、タンス、その他の家具、木工製品。
・各種建材、フローリング、建物の内壁・外壁等。
・自動車やオートバイ等の車両またはその部品:より具体的には、車両のボディ、内装品(メーターパネル、ダッシュボード、ハンドル等)、バンパー、スポイラー、ドアノブ、ヘッドライト、テールライト、アルミホイール、オートバイのガソリンタンク等。
・光学用途、例えばディスプレー用コーティング剤。
・眼鏡、ゴーグル、これらに類する製品。
・布製品、合成革等の内装材。
・壁紙。
また、まず易剥離性フィルム上に本実施形態の膜形成用樹脂組成物で樹脂膜を形成し、その後その樹脂膜を易剥離性フィルムから剥がして任意の物品に貼り付けてもよい。
さらには、任意の基材フィルム上に本実施形態の膜形成用樹脂組成物で樹脂膜を形成し、基材フィルムごと任意の物品に貼り付けることで、物品の表面に本実施形態の膜形成用樹脂組成物の樹脂膜を設けてもよい。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。本発明は実施例に限定されるものではない。
以下において、指数表記を記号「E」で示す場合がある。例えば、1.13E−06とは、1.13×10−6を意味する。
I.熱硬化型の膜形成用樹脂組成物の製造、評価
<ポリマーの製造(合成)>
(合成例1(比較用))
攪拌機、温度計、コンデンサーおよび窒素ガス導入管を備えたフラスコに、酢酸イソブチル(IBU)を100質量部仕込み、窒素雰囲気下で117℃まで加熱した。
また、IBUとは別に、表1に示されるように、以下の原料物質の混合物を調製した。
・メタクリル酸メチル(MMA) 10質量部
・メタクリル酸−n−ブチル(BMA) 70質量部
・2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA) 20質量部
・1,1'−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル(和光純薬工業株式会社製、V−40) 1質量部
・トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)(TMMP) 1質量部
窒素雰囲気下、上記フラスコ中のIBUを撹拌しながら、上記混合物を2時間かけてフラスコ内に滴下した。そして、滴下終了後そのまま3時間加熱と攪拌を継続した。これにより、固形分53質量%の分岐ポリマー((メタ)アクリル系ポリマー)含有液を得た。
(合成例2〜7)
原料物質の種類および比率を表1に示されるように変更した以外は、合成例1と同様にして、分岐ポリマー((メタ)アクリル系ポリマー)含有液を得た。
(参考合成例1〜7)
参考のため、分岐ではなく直鎖状のポリマーも合成した。具体的には、原料物質の種類および比率を表1に示されるように変更した以外は、合成例1と同様にして、直鎖状ポリマー((メタ)アクリル系ポリマー)含有液を得た。
<ポリマーの各種特性の計算/測定>
・硫黄原子含有量[S]
株式会社島津製作所製のエネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX−8100)を用いて求めた。具体的な手順は以下のとおりである。
(1)まず、富士フイルム和光純薬社の1.0mol/L硫酸(容量分析用)を適宜希釈して何種類かの標準液を調製した。調製した標準液を用いて、検量線(S原子の量と、S原子由来のピークの面積との関係)を作成した。
(2)次に、測定対象の分岐ポリマーの含有液を十分に乾燥させ、乾燥した分岐ポリマー1gを測りとった。これを、体積が10mL(サンプルの濃度が0.1g/mL)となるように、テトラヒドロフランに溶解させて測定用サンプルとした。
(3)(2)の測定用サンプルを上記分析装置にセットし、得られたEDXスペクトル中のS原子由来のピークの面積を求めた。この面積と、(1)で作成した検量線とに基づき、[S]を求めた。
・水酸基価
JIS K 0070「化学製品の酸価,けん化価,エステル価,よう素価,水酸基価及び不けん化物の試験方法」の、「7.1 中和滴定法」に規定された方法に準じて求めた。
水酸基価の算出に際しては、酸価の値も必要であるが、酸価の値についても、同JIS規格の「3.1 中和滴定法」に規定された方法に準じて求められる。
・ガラス転移温度Tg
前述のFoxの式に基づき、計算により求めた。
・ポリマー1gあたりの二重結合量
ポリマー合成時の原料の使用量に基づき、計算により求めた。
<GPC測定>
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、各ポリマーの数平均分子量と重量平均分子量を測定した。用いた装置、条件等は以下の通りである。
・使用機器:HLC8220GPC(株式会社東ソー製)
・使用カラム:TSKgel SuperHZM−M、TSKgel GMHXL−H、TSKgel G2500HXL、TSKgel G5000HXL(株式会社東ソー製)
・カラム温度:40℃
・標準物質:TSKgel 標準ポリスチレンA1000、A2500、A5000、F1、F2、F4、F10(株式会社東ソー製)
・検出器:RI(示差屈折)検出器
・溶離液:テトラヒドロフラン
・流速:1ml/min
<GPC−MALS法によるポリマーの測定>
以下の機器・条件で、合成されたポリマーの絶対数平均分子量、絶対重量平均分子量などを求めた。特に、Wyatt社製の解析ソフトウェア「ASTRA6」を用い、測定データに基づきMark−Houwink−Sakuradaプロットを行い、[η]=K・Mの式(両辺logを取るとlog[η]=logK+alogM)におけるKやaの値を求めた(プロットの詳細は前述のとおりである)。
・使用機器:島津製作所株式会社製 Prominenceシリーズ
・使用カラム:昭和電工株式会社製 ShodexLF−804
・カラム温度:40℃
・検出器:RI 昭和電工株式会社製 Shodex RI−501
粘度測定 WYATT ViscoStar III
MALS miniDAWN TREOS II
・溶離液:テトラヒドロフラン
・試料濃度:0.5質量%
・流速:1.0mL/min
・標準ポリスチレン:A1000、A2500、A5000、F1、F2、F4、F10(株式会社東ソー製)
ポリマーに関する各種情報をまとめて表1に示す。
Figure 2020196806
表1中の略号は以下を表す。
・モノマー
MMA:メタクリル酸メチル
BMA:メタクリル酸−n−ブチル
HEMA:メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル
・チオール化合物
TMMP:トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)
PEMP:ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)
DPMP:ジペンタエリスリトール ヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)
EHMP:2−エチルヘキシル−3−メルカプトプロピオネート
・重合開始剤
V−40:1,1'−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル
<熱硬化型の膜形成用樹脂組成物の製造>
(例1(比較))
以下を均一に混合して、分岐(メタ)アクリルポリマーを含む、熱硬化型膜形成用樹脂組成物を調製した。
・合成例1(比較用)で得られた分岐ポリマー含有液 ポリマー固形分として100質量部
・デュラネート TKA−100(旭化成株式会社製、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートタイプ(イソシアネート基含有率22質量%、固形分100質量%)) 15質量部
(イソシアネート基のモル数/分岐ポリマーのヒドロキシ基のモル数=1.0となるよう添加)
・IBU 55質量部
(例2〜8、参考例1〜7)
合成例1(比較用)で得られた分岐ポリマー含有液の代わりに、合成例2〜8で得られた分岐ポリマー含有液または参考合成例1〜7で得られた直鎖状ポリマー含有液を用いた以外は、実施例1と同様にイソシアネート基当量/ポリマーの水酸基当量=1.0となるように熱硬化型塗料組成物を調製した。
<熱硬化型の膜形成用樹脂組成物の評価>
(塗装作業性)
アネスト岩田株式会社製の重力式スプレーガン・W−100(ノズル口径:2.0mm)を用い、各膜形成用樹脂組成物を、市販のポリカーボネート板(TP技研株式会社製、JIS K 6835に準拠した幅60mm×長さ100mm×厚み1mmのポリカーボネート板)に塗装した。
このときの、ガンノズルからの塗料の噴出状態と塗装の均一性とを観察し、塗装作業性を評価した。評価は、以下の基準に従って行った。評価が3以上ならば使用可能なレベルである。
5:塗料の流動性は良好で、ガンノズルから塗料が均一に噴射する。塗装ムラは見られない。
4:塗料の流動性は良好であるが、まれに噴出ムラを生じ、若干の塗装ムラが生じる。
3:塗料の流動性は良好であるが、時折噴出ムラが観察され、明らかに塗装ムラが生じる。
2:ガンノズルから塗料が噴出し難く、噴出が途切れる場合がある。
1:ガンノズルから塗料が噴出せず、塗装できない。
(耐溶剤性(有機溶剤に対する硬化膜の強さ))
各膜形成用樹脂組成物を、6milのアプリケーターを用いて、易接着処理PETフィルム(東洋紡株式会社製コスモシャインA4300(200mm×200mm×膜厚100μm))に塗布した。その後、80℃の乾燥器で10分乾燥した。以上により、硬化塗膜を有する試験板を作成した。
この試験板の硬化膜上に、イソプロパノールが十分に浸み込んだ脱脂綿を置いた。そして、その脱脂綿の上から1Nの力を掛けた(力の掛かっている面積は1cm四方)。その後、力が掛かった状態の脱脂綿を、20往復ラビングした(ラビング距離は5cm)。
ラビング後の硬化膜の状態を目視で確認し、以下の評価基準で評価した。評価が3以上ならば使用可能なレベルである。
5:まったく跡が見られない。
4:試験直後は僅かに跡があるが、1時間後には試験の跡が目立たなくなる。
3:試験直後は目立つ跡があるが、1時間後には試験の跡が目立たなくなる。
2:ラビングした部分の50%未満の面積の硬化塗膜が剥離して、基材が見える。
1:ラビングした部分の50%以上の面積の硬化塗膜が剥離して、基材が見える。
(硬化性:表面タック性)
上記「耐溶剤性」の評価で作製した試験板(ラビングしていないもの)の、硬化塗膜の表面タック性について、以下の評価基準に従って評価した。評価が3以上ならば使用可能なレベルである。
5:十分に硬化しており、指で触れたときのタック感(べたつき)もない。
4:タック感はあるが、指で触れても指紋は残らない。
3:タック感があり、指で触れると指紋が残る。
2:増粘(硬化)はしているものの、指で膜に触れると塗料成分が指に付着する。
1:全く硬化していない
評価結果をまとめて表2に示す。
Figure 2020196806
表2に示されるとおり、合成例2〜7のポリマーを含む膜形成用樹脂組成物の評価においては、塗装作業性は良好であり、かつ、外部刺激(溶剤)への耐性も良好であった。つまり、特定分岐ポリマーを含む膜形成用樹脂組成物の塗装作業性は良好であること、また、特定分岐ポリマーを含む膜形成用樹脂組成物により形成された樹脂膜(硬化膜)は、外部刺激(溶剤)に対して強いこと、が示された。
また、合成例2〜7のポリマーを含む膜形成用樹脂組成物の評価においては、硬化性(表面タック性)も良好であった。
一方、合成例1(比較)のポリマーを含む膜形成用樹脂組成物の評価においては、塗装作業性が悪かった。この結果は、[S]の値が小さく、ポリマー中に十分な分岐構造および/または末端が存在しなかったためと推定される。
また、参考合成例1〜5および7のポリマーを含む膜形成用樹脂組成物の評価においては、耐溶剤性が悪く、参考合成例6のポリマーを含む膜形成用樹脂組成物の評価においては、塗装作業性が悪かった。3官能以上のチオール化合物を用いずに合成された直鎖型のポリマーを用いた場合、これら2つの性能を両立させることは難しいことが読み取れる。
II.紫外線硬化型の膜形成用樹脂組成物の製造、評価
<ポリマーの製造(合成)>
(合成例8(比較用))
攪拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、メチルイソブチルケトン(MIBK)を100質量部仕込み、窒素雰囲気下で117℃まで加熱した。
また、MIBKとは別に、表3の「1st STEP」に示されるように、以下の原料物質の混合物を調製した。
・メタクリル酸メチル(MMA) 50質量部
・グリシジルメタクリレート(GMA) 50質量部
・トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)(TMMP) 1質量部
・1,1'−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル(和光純薬工業株式会社製、V−40) 1質量部
窒素雰囲気下、上記フラスコ中のMIBKを撹拌しながら、上記混合物を2時間かけてフラスコ内に滴下した。そして、滴下終了後そのまま3時間加熱と攪拌を継続した。
次に、窒素の供給を止め、フラスコ中の液の温度を100℃に保持し、アクリル酸(AA)24質量部(表3の「2nd STEP」に示す)、酸エポキシ反応触媒としてトリフェニルホスフィン(TPP)1.2質量部、重合禁止剤としてヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.2質量部を加え、5時間反応させた。これにより、ポリマー鎖のGMA由来構造部分に重合性基(アクリロイル基)を導入した。
以上により、固形分55質量%の分岐ポリマー((メタ)アクリル系ポリマー)含有液を得た。
(合成例9および10)
原料物質の種類および比率を表3に示されるように変更した以外は、合成例8と同様にして、分岐ポリマー((メタ)アクリル系)含有液を得た。
(参考合成例8および9)
参考のため、分岐ではなく直鎖状のポリマーも合成した。具体的には、原料物質の種類および比率を表3に示されるように変更した以外は、合成例8と同様にして、直鎖状ポリマー((メタ)アクリル系)含有液を得た。
得られたポリマーについて、各種物性の計算/測定、GPC測定、GPC−MALS法による測定を行った。具体的な方法は前述の合成例1〜7および参考合成例1〜7のポリマーと同様である。
ポリマーに関する各種情報をまとめて表3に示す。
Figure 2020196806
表3中の略号は以下を表す。
MMA:メタクリル酸メチル
GMA:メタクリル酸グリシジル
TMMP:トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)
V−40:1,1'−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル
AA:アクリル酸
<紫外線硬化型の膜形成用樹脂組成物の製造>
得られたポリマー100質量部(固形分)に対して、ラジカル発生型の光重合開始剤Omnirad184(IGM Resins B.V.社製)を3質量部添加し、均一に混合して、紫外線硬化型の膜形成用樹脂組成物を得た。
<紫外線硬化型の膜形成用樹脂組成物の評価>
(塗装作業性)
熱硬化型の膜形成用樹脂組成物と同様にして、塗装作業性を5段階で評価した。
(紫外線硬化性:表面タック性)
膜形成用樹脂組成物を、6milのアプリケーターを用いてガラス基材上に塗布し、80℃の乾燥器で10分乾燥させた。これによりガラス基材上に未硬化膜を形成した。
高圧水銀ランプ(アイグラフィック株式会社製)を使用して、未硬化膜に、積算光量500mJ/cmの条件で紫外線照射を行った。これにより未硬化膜を硬化させた。
紫外線照射後、膜の硬化状態を以下の評価基準に従って評価した。評価が3以上ならば使用可能なレベルである。
5:十分に硬化しており、指で触れたときのタック感(べたつき)もない。
4:タック感はあるが、指で触れても指紋は残らない。
3:タック感があり、指で触れると指紋が残る。
2:増粘(硬化)はしているものの、指で膜に触れると塗料成分が指に付着する。
1:全く硬化していない。
(耐屈曲性(外力に対する硬化膜の強さ))
まず、6milのアプリケーターを用いて、膜形成用樹脂組成物を易接着処理PETフィルム(東洋紡株式会社製コスモシャインA4300(200mm×200mm×膜厚100μm))に塗布し、80℃の乾燥器で10分乾燥させた。これによりPETフィルム上に未硬化膜を形成した。
高圧水銀ランプ(アイグラフィック株式会社製)を使用して、未硬化膜に、積算光量500mJ/cmの条件で紫外線照射を行った。これにより未硬化膜を硬化膜とした。
以上により得られた、PETフィルム−硬化膜の積層体を試験板とした。
上記試験板を用い、JIS K5600−5−1(1999)「塗膜の機械的性質−耐屈曲性(円筒形マンドレル法)」に準拠した屈曲試験を行って試験板を変形させた。試験後の塗膜状態について目視観察を行い、以下の基準で評価した。なお、試験はタイプ1の試験装置で、直径4mmの円筒形マンドレルを使用した。
○(良好):試験板の硬化膜部分に割れは発生せず。
×(不良):試験板の硬化膜部分に割れが発生した。
(硬化収縮性)
上記「耐屈曲性」で作製したのと同じ試験板を100mm×100mmの正方形状に切り出し、平面上に静置した。そして、4隅のソリの大きさをmm単位で測定した。得られた4つの値のうち、最大値と最小値とを除く値の平均値を硬化収縮値[mm]とした。
硬化収縮値が小さいほど、平滑で、ヒビ等の発生が抑えられた硬化膜を形成可能であることを意味する。
評価結果をまとめて表4に示す。
Figure 2020196806
表4に示されるとおり、合成例9〜10のポリマーを含む膜形成用樹脂組成物の評価においては、塗装作業性は良好であり、かつ、耐屈曲性も良好であった。つまり、特定分岐ポリマーを含む膜形成用樹脂組成物の塗装作業性は良好であること、また、特定分岐ポリマーを含む膜形成用樹脂組成物により形成された樹脂膜(硬化膜)は、外力に対して強いこと、が示された。
また、合成例9〜10のポリマーを含む膜形成用樹脂組成物の評価においては、紫外線硬化性(表面タック性)も良好であり、さらに、硬化収縮値も比較的小さかった。
加えて、表2に示された結果とあわせ、熱硬化型や光硬化型など、硬化メカニズムが異なる様々な膜形成用樹脂組成物において、特定分岐ポリマーを用いることの有用性が示された。
一方、合成例8(比較)のポリマーを含む膜形成用樹脂組成物の評価においては、耐屈曲性が悪かった。この結果は、[S]の値が小さく、ポリマー中に十分な分岐構造および/または末端が存在しなかったためと推定される。
また、参考合成例8のポリマーを含む膜形成用樹脂組成物の評価においては、塗装作業性と耐屈曲性の両性能が悪く、参考合成例9のポリマーを含む膜形成用樹脂組成物の評価においては、耐屈曲性が悪かった。3官能以上のチオール化合物を用いずに合成された直鎖型のポリマーを用いた場合、これら2つの性能を両立させることは難しいことが読み取れる。
<参考:K/Mwと[S]の関係>
原料の一部としてチオール化合物を用いたポリマーについて、GPC−MALSにより得られたK(単位:mL/g)および絶対重量平均分子量Mw、ならびに、[S](単位:mmol/g)の値に基づき、縦軸にK/Mwを、横軸に[S]をプロットして、傾向を見た。このプロットを図1に示す。
図1において、×印でプロットされた参考合成例のポリマー(直鎖)のK/Mwと[S]の関係は、(K/Mw)=4.5×10−4×[S]の式でフィッティングすることができた。このときの相関係数Rの2乗は0.99超であった。
一方、合成例のポリマー(分岐)においては、(K/Mw)<4.5×10−4×[S]であった。
以上から、K/Mwと[S]の関係より、ある硫黄原子含有ポリマーが、直鎖であるか分岐であるかを評価可能と言える。

Claims (14)

  1. 分岐ポリマーを含む膜形成用樹脂組成物であって、
    前記分岐ポリマーは加水分解性のケイ素含有基を実質的に有さず、
    前記分岐ポリマーは、3官能以上のチオール化合物の−SH基の水素原子を除いた構造を有し、
    前記分岐ポリマーの硫黄原子含有量は0.35mmol/g以上である膜形成用樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の膜形成用樹脂組成物であって、
    多角度光散乱検出器を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求められる前記分岐ポリマーの固有粘度は3〜8mL/gである膜形成用樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の膜形成用樹脂組成物であって、
    前記分岐ポリマーは、星形ポリマーを含む膜形成用樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の膜形成用樹脂組成物であって、
    前記チオール化合物は、3〜8官能のチオール化合物である膜形成用樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の膜形成用樹脂組成物であって
    前記チオール化合物の分子量は1000以下である膜形成用樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の膜形成用樹脂組成物であって、
    前記分岐ポリマーの絶対数平均分子量は1000〜20000である膜形成用樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6いずれか1項に記載の膜形成用樹脂組成物であって、
    前記分岐ポリマーは、(メタ)アクリル系モノマーに由来する構造単位を有する膜形成用樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の膜形成用樹脂組成物であって、
    前記分岐ポリマーは、ヒドロキシ基を有する膜形成用樹脂組成物。
  9. 請求項8に記載の膜形成用樹脂組成物であって、
    さらにイソシアネート化合物を含む膜形成用樹脂組成物。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の膜形成用樹脂組成物であって、
    前記分岐ポリマーは、重合性基を有する膜形成用樹脂組成物。
  11. 請求項10に記載の膜形成用樹脂組成物であって、
    さらに重合開始剤を含む膜形成用樹脂組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載された膜形成用樹脂組成物であって、
    スプレー塗装用である膜形成用樹脂組成物。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載された膜形成用樹脂組成物により形成された樹脂膜。
  14. 請求項13の樹脂膜を備える物品。
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