JP2017132902A - プライマー塗料組成物および塗膜形成方法 - Google Patents

プライマー塗料組成物および塗膜形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鋼板及び樹脂部材のいずれにも優れた密着性を有し、更に優れた耐湿性を有するプライマー塗膜を形成できるプライマー塗料組成物の提供。更に、このような特性を有するプライマー塗料組成物を用いた塗膜形成方法の提供。【解決手段】重量平均分子量が50000〜200000である水性ポリオレフィン系樹脂(A)と、水性エポキシ樹脂(B)と、ガラス転移点(Tg)が−50℃以下、硬化膜の破断伸度が−20℃において400%以上である水性ポリウレタン樹脂(D)とを含むプライマー塗料組成物。プライマー塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対して、水性ポリオレフィン樹脂(A)を15〜60質量部と、水性エポキシ樹脂を20〜50質量部と、水性ポリウレタン樹脂(D)を15質量部以上とを含むプライマー塗料組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、プライマー塗料組成物およびそれを用いた塗膜形成方法に関する
自動車車体などの被塗物の表面には、種々の役割を持つ複数の塗膜を順次形成して、被塗物を保護すると同時に美しい外観および優れた意匠を付与している。このような複数の塗膜の形成方法としては、例えば鋼板に対しては、導電性に優れた被塗物上に電着塗膜などの下塗り塗膜を形成し、その上に、プライマー塗膜、中塗り塗膜、ベース塗膜およびクリヤー塗膜を順次形成する方法が取られている。
ところで、近年における、省エネルギー化およびCO排出量削減といった環境負荷低減に対するさらなる要請により、塗膜の形成における加熱温度を低くすることが求められている。また、自動車製造分野においては、電気自動車の開発に従い、自動車車体のさらなる軽量化が求められている。自動車車体を軽量化することは、燃費向上をもたらし、省エネルギー化およびCO排出量削減の面でも効果がある。自動車車体の軽量化手段の1つとして、鋼板部を樹脂部に置き換える手法が挙げられる。
鋼板および樹脂部材に対する従来の塗装においては、各部材の特性および軟化温度を考慮して、別々の塗料組成物が用いられることが一般的であった。一方で、自動車車体の塗装においては、塗装工程および塗装管理の簡易化および塗装物における色相一致性向上などを目的として、種々の構成部品の塗装に用いられる塗料組成物を共通化することに対する要望がある。
例えば、自動車バンパーやモール等に用いられる樹脂部材は、一般に塗料の濡れ性が悪く、密着性等に劣る。特に、樹脂部材がポリプロピレン樹脂等である場合には、これらの樹脂が化学的に不活性であるために、上塗り塗料と素材の密着性が悪い。このため、上塗り塗料の塗装前に樹脂部材用のプライマー塗料組成物を塗装することが従来から一般的になされている(特許文献1参照)。
しかしながら、樹脂部材に用いるプライマー塗料組成物を、鋼板に対して用いると、プライマー塗膜と鋼板または電着塗膜との密着性が著しく低いので、種々の構成部品の塗装に用いられる塗料組成物を共通化することはできなかった。
更に、鋼板および樹脂部材に用いる塗料組成物、例えば、プライマー塗料組成物を共通化する場合は、樹脂部材の耐熱性を考慮して、上記塗料組成物の塗膜形成温度を、従来の塗膜形成温度より低い温度に設計する必要がある。さらに、鋼板部および樹脂部の両方を有する被塗物に塗膜を形成する場合においては、塗膜形成時の加熱において、各部材の熱膨張係数の違いによって、変形が生じるおそれがある。そのため、塗料組成物、例えば、プライマー塗料組成物の共通化において、塗膜形成温度をより低くし、各部材に対する熱履歴の影響を最小化することは極めて重要である。
また、プライマー塗膜などの塗膜には、耐湿性も必要とされている。
特開2007−2117号公報
しかしながら、依然として、鋼板および樹脂部材のいずれに対しても良好な密着性を示し、良好な耐水性を示す塗膜を形成できる、塗料組成物は提供されていない。
本発明は、上記現状に鑑み、鋼板および樹脂部材のいずれに対しても優れた密着性を有し、更に、優れた耐湿性を有するプライマー塗膜を形成できる、プライマー塗料組成物を提供することを目的とする。更に、本発明は、このような特性を有するプライマー塗料組成物を用いた塗膜形成方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は下記態様を提供する。
[1]水性ポリオレフィン系樹脂(A)と、水性エポキシ樹脂(B)と、水性ポリウレタン樹脂(D)とを含むプライマー塗料組成物であって、
前記水性ポリオレフィン系樹脂(A)は、重量平均分子量が50000〜200000である水性ポリプロピレン系樹脂であり、
前記水性ポリウレタン樹脂(D)は、ガラス転移点(Tg)が−50℃以下であり、
前記水性ポリウレタン樹脂(D)の硬化膜の破断伸度が−20℃において400%以上である、プライマー塗料組成物。
[2]上記水性ポリオレフィン系樹脂(A)の含有量は、プライマー塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対して、15〜60質量部である、[1]に記載のプライマー塗料組成物。
[3]上記水性ポリウレタン樹脂(D)の含有量は、プライマー塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対して15質量部以上である、[1]または[2]に記載のプライマー塗料組成物。
[4]上記水性ポリウレタン樹脂(D)の含有量は、プライマー塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対して、25質量部以上45質量部以下である、[1]〜[3]のいずれか1に記載のプライマー塗料組成物。
[5]上記水性エポキシ樹脂(B)の含有量は、プライマー塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対して、20質量部以上50質量部以下である、[1]〜[4]のいずれか1に記載のプライマー塗料組成物。
[6]
被塗物に、[1]〜[5]のいずれか1に記載のプライマー塗料組成物を塗布し、70〜120℃に加熱し、プライマー塗膜を形成する工程を含む、塗膜形成方法。
[7]上記プライマー塗膜の上に、更に中塗り塗膜、ベース塗膜およびクリヤー塗膜から選択される少なくとも1つの塗膜を形成する工程を含む、[6]に記載の塗膜形成方法。
[8]上記被塗物は、鋼板部および樹脂部を含む、[6]または[7]に記載の塗膜形成方法。
本発明のプライマー塗料組成物は、鋼板および樹脂部材のいずれに対しても良好な密着性を示し、良好な耐水性を示す塗膜を形成できる。
本発明のプライマー塗料組成物は、所定の水性ポリオレフィン系樹脂(A)と、水性エポキシ樹脂(B)と、水性ポリウレタン樹脂(D)を含むプライマー塗料組成物であり、上記水性ポリオレフィン系樹脂(A)は、重量平均分子量が50000〜200000である水性ポリプロピレン系樹脂であり、
前記水性ポリウレタン樹脂(D)は、ガラス転移点(Tg)が−50℃以下であり、
前記水性ポリウレタン樹脂(D)の硬化膜の破断伸度が−20℃において400%以上である、プライマー塗料組成物に関する。
特に、水性ポリウレタン樹脂(D)は、ガラス転移点(Tg)が−50℃以下であり、
前記水性ポリウレタン樹脂(D)の硬化膜の破断伸度が−20℃において400%以上である本発明のプライマー塗料組成物を用いることによって、良好な耐水密着性、良好な耐湿性などの物性を有する複層塗膜を提供できる。
さらに、本発明のプライマー塗料組成物は、得られたプライマー塗膜の疎水性を向上でき、鋼板および樹脂部材のいずれに対しても更に良好な密着性を示す。ここで、本発明において、複層塗膜とは、本発明のプライマー塗料組成物から形成されたプライマー層に加えて、中塗り塗膜、ベース塗膜およびクリヤー塗膜から選択される少なくとも1層の塗膜を有する塗膜を意味する。
また、水性ポリウレタン樹脂(D)は、ガラス転移点(Tg)が−50℃以下であり、破断伸度が−20℃において400%以上である水性ポリウレタン樹脂(D)を用いることにより、本発明のプライマー塗料組成物は、複層塗膜形成において120℃を超える熱履歴を受けることがない場合であっても、層間密着性および耐水性に優れたプライマー塗膜を提供できるので、塗膜の形成における加熱温度を低くでき、省エネルギー化およびCO排出量削減といった環境負荷低減を満たし得る。
加えて、上述のように、鋼板および樹脂部材のいずれに対しても更に良好な密着性を示すので、自動車車体における鋼板部を樹脂部に置き換えることを促進できる。
さらに、本発明のプライマー塗料組成物は、上述のように、複層塗膜形成において120℃を超える熱履歴を受けることがない場合であっても、層間密着性および耐水性に優れたプライマー塗膜を提供できるので、塗膜形成時の加熱において、各部材の熱膨張係数の違いによって、変形が生じることを抑制でき、各部材に対する熱履歴の影響を最小化できる。
ここで、従来用いられてきた水性ポリウレタン樹脂は、ウレタン結合はお互いに水素結合で結びつき、高い凝集力を有してしまうため、他の塗料構成樹脂成分や電着層との間で融着せず塗膜の均質性を損なう問題を有し、同時に塗膜が受ける衝撃を緩和できない問題を有していた。また、融着が進まず均一性を失った塗膜は、水が浸入しやすくなり耐水性が低下し、衝撃を緩和できない塗膜は耐チッピング性を損なうという問題を有していた。
一方、本発明に係る水性ポリウレタン樹脂(D)は、結合エネルギーが高いウレタン結合をもつため、エステル結合やエーテル結合と比較して破断されにくい構造をもち、その上、本発明に係る水性ポリウレタン樹脂(D)は、柔らかくかつ伸びやすい。このため、これを塗膜構成成分として使うことで、破断されにくい特徴を維持しつつ、他の成分とも融着することで均一性の高い、さらに塗膜が受ける衝撃を緩和できる塗膜を提供することができる。
本発明のプライマー塗料組成物は、水性ポリウレタン樹脂(D)のガラス転移点(Tg)が−50℃以下であり、前記水性ポリウレタン樹脂(D)の硬化膜の破断伸度が−20℃において400%以上である、水性ポリウレタン樹脂(D)を含む。
本発明のプライマー塗料組成物は、水性ポリウレタン樹脂(D)のガラス転移点(Tg)が−50℃以下であり、上記水性ポリウレタン樹脂(D)の硬化膜の破断伸度が−20℃において400%以上である。好ましくは、水性ポリウレタン樹脂(D)のガラス転移点(Tg)は−55℃以下であり、より好ましくは、−58℃以下である。
また、水性ポリウレタン樹脂(D)の硬化膜の破断伸度は、好ましくは、−20℃において400%以上であり、より好ましくは、−20℃において500%以上である。)
水性ポリウレタン樹脂(D)がこのような特性を有することにより、破断されにくい特徴を維持しつつ、他の成分とも融着することで均一性の高い、さらに塗膜が受ける衝撃を緩和できる塗膜を提供できる。
また、このような組合せを有する、本発明のプライマー塗料組成物から形成された塗膜は、疎水性がさらに向上するので、鋼板および樹脂部材のいずれに対してもさらに良好な密着性を示す。このため、プライマー塗料組成物は、鋼板および樹脂部材のいずれに対して塗布した場合であっても、より良好な耐水性、耐湿性を示す塗膜を形成できる。
このような組合せを有する本発明のプライマー塗料組成物は、複層塗膜形成において120℃を超える熱履歴を受けることがない場合であっても、層間密着性および耐水性に優れたプライマー塗膜を提供できるので、塗膜の形成における加熱温度を低くでき、省エネルギー化およびCO排出量削減といった環境負荷低減を満たし得る。
また、上述のように、鋼板および樹脂部材のいずれに対しても更に良好な密着性を示すので、自動車車体における鋼板部を樹脂部に置き換えることを促進できる。
加えて、本発明のプライマー塗料組成物は、上述のように、複層塗膜形成において120℃を超える熱履歴を受けることがない場合であっても、層間密着性および耐水性に優れたプライマー塗膜を提供できるので、塗膜形成時の加熱において、各部材の熱膨張係数の違いによって、変形が生じることを抑制でき、各部材に対する熱履歴の影響を最小化できる。
また、上記特定の水性ポリウレタン樹脂(D)を含む本発明のプライマー塗料組成物から形成したプライマー塗膜は、さらに良好なチッピング性を示し得る。
以下、本発明に含まれる各組成について説明する。
<水性ポリオレフィン系樹脂(A)>
本発明のプライマー塗料組成物は、水性ポリオレフィン系樹脂(A)を含む。上記水性ポリオレフィン系樹脂(A)は、ポリオレフィン系樹脂、水性塩素化ポリオレフィン系樹脂、水性非塩素化ポリオレフィン系樹脂およびこれらの組合せから選択される少なくとも1種を含む。
<ポリオレフィン系樹脂、水性塩素化ポリオレフィン系樹脂>
本発明塗料組成物は特に、自動車用塗料として好適に用いられ、プラスチック素材用塗料として特に有用であり、この場合、プラスチック素材との付着性付与のために、ポリオレフィン及び/又は塩素化ポリオレフィン樹脂を含有させて使用してもよい。
上記ポリオレフィン及び塩素化ポリオレフィン樹脂は、ポリオレフィン類(これらを(無水)不飽和カルボン酸等で変性してなる変性体も含む)又は該ポリオレフィン類を塩素化してなるものである。
該ポリオレフィン類としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ヘプテン等から選ばれたオレフィン類の単独重合体又は共重合体及び該オレフィン類と酢酸ビニル、ブタジエン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等との共重合体等があげられる。
これらポリオレフィン類の変性体としては、上記ポリオレフィン類に(無水)不飽和カルボン酸を付加させてなる変性体などが好適に使用できる。該(無水)不飽和カルボン酸としては、例えば(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イタコン酸、(メタ)アクリル酸などが挙げられる。該変性体は、通常、ポリオレフィン類と(無水)不飽和カルボン酸とを有機過酸化物等の存在下で反応させることによって得られる。
上記ポリオレフィン又はその変性体の塩素化は、通常、塩素化率が50%以下、好ましくは10〜45%、さらに好ましくは20〜40%となるように、例えば四塩化炭素などの塩素系溶剤にポリオレフィン又はその変性体を加熱溶解し、50〜120℃の温度で塩素ガスを吹き込み反応させるなどして得ることができる。
上記ポリオレフィンもしくはその変性体又はそれらの塩素化物の重量平均分子量は、通常、2,000〜300,000程度、特に5,000〜100,000程度であることが好ましい。
塩素化ポリオレフィン樹脂としては、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩素化エチレン−プロピレン共重合体、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体等が好適である。
また、塩素化ポリオレフィンに重合性モノマーをグラフト重合させたものも前記塩素化ポリオレフィン樹脂に含まれる。これらの重合性モノマーとして、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、(メタ)アクリル酸のアルコキシアルキル、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートとモノカルボン酸との付加物、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸及びフマル酸などが挙げられる。
これらの重合性モノマーの使用量は、重合性モノマーと塩素化ポリオレフィンとの合計量に基づいて90〜10重量%、特に80〜30重量%が好ましい。また、塩素化ポリオレフィンには、その分子中に水酸基やカルボキシル基などの官能基を有してもさしつかえない。
ポリオレフィン及び/又は塩素化ポリオレフィンを添加する場合、その添加量は(A)成分と(B)成分の固形分合計100重量部に対し、10〜200重量部、好ましくは20〜100重量部の範囲内であるのがプラスチック素材との付着性や塗料安定性の面から適している。
ここで例えば、無水マレイン酸を塩素化ポリオレフィンに導入することで、マレイン化塩素化ポリオレフィンを合成し、プラスチック素材との付着性を向上させることもできる。
上記ポリオレフィン及び/又は塩素化ポリオレフィンの含有量は、プライマー塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対して、15〜60質量部であり、好ましくは20〜40質量部である。15質量部未満であると、付着点の不足による基材との密着不良が生じるおそれがある。60質量部を超えると、極性差による上塗り(ベース塗膜)との密着不良が生じるおそれがある。なお、後述の水性非塩素化ポリオレフィン系樹脂と組み合わせる場合、各ポリオレフィン系樹脂の合計量が、上記範囲となることが好ましい。
また、例えば、以下に示すような水性塩素化ポリオレフィン系樹脂を使用してもよい。
(酸変性塩素化ポリオレフィン)
酸変性塩素化ポリオレフィンは、例えば、塩素化ポリオレフィン部分と、この塩素化ポリオレフィン部分に結合した酸無水物部分とを含むポリオレフィン誘導体である。
塩素化ポリオレフィン部分は、塩素原子が置換したポリオレフィンからなる部分である。また、酸無水物部分は、例えば、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸などの酸無水物に由来する基を含有し、グラフトして得られる変性された部分である。酸無水物部分は、1種または2種以上の酸無水物に由来する基からなる部分であってもよい。酸変性塩素化ポリオレフィンは、ポリオレフィンを酸無水物および塩素と反応させて内部変性したものであり、例えば、ポリオレフィンに対して塩素および酸無水物を反応させて製造される。ここで、塩素および酸無水物はどちらを先に反応させてもよい。塩素との反応は、例えば、ポリオレフィンを含む溶液に塩素ガスを導入することによって行われる。また、酸無水物との反応は、例えば、過酸化物の存在下、ポリオレフィン(または塩素化ポリオレフィン)に酸無水物を反応させることによって行われる。
酸変性塩素化ポリオレフィンに用い得るポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンや、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−イソプレン共重合体などの共重合体や、エチレン、プロピレンおよび炭素数8以下のアルケンから選ばれた少なくとも1種の単量体を重合して得られる重合体などを挙げることができ、1種のみ、または、2種以上を併用してもよい。中でも、ポリプロピレンを用いることが、入手のし易さ、密着性が高くなる点で好ましい。また、上記変性に用いられる酸無水物としては、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸などが挙げられる。
酸変性塩素化ポリオレフィンの塩素含有率は、好ましくは10〜30重量%、さらに好ましくは18〜22重量%である。塩素含有率が10重量%未満であると、溶剤溶解性が低下し、その乳化が困難になる傾向がある。他方、塩素含有率が30重量%超であると、ポリプロピレンなどのプラスチック素材に対する密着性が低下し、不十分となるおそれがある。
酸変性塩素化ポリオレフィンの酸無水物含有率は、1〜10重量%の範囲にあることが好ましく、1.2〜5重量%の範囲にあることがさらに好ましい。酸無水物含有率が1重量%未満であると、乳化しにくくなるとともにプライマー塗料組成物の安定性が悪くなるおそれがある。他方、酸無水物含有率が、10重量%を超えると、酸無水物基が多くなりすぎ、耐水性が低下する傾向がある。
酸変性塩素化ポリオレフィンは、その重量平均分子量が20000〜200000の範囲にあることが好ましく、30000〜120000の範囲にあることがより好ましい。重量平均分子量が20000未満であると、本発明のプライマー塗料組成物から得られるプライマー塗膜の強度が低下し、密着性も低くなる傾向がある。他方、重量平均分子量が200000を超えると、粘度が高くなり、乳化しにくい傾向がある。
前記酸変性塩素化ポリオレフィンは、疎水性が高く、水に安定的に分散させることが困難である場合が多いので、通常、乳化剤や中和剤を使用してエマルション化させ、エマルション樹脂として用いることが好ましい。
乳化剤の配合割合は、酸変性塩素化ポリオレフィン、中和剤や水の配合割合によって適宜設定されるが、例えば、酸変性塩素化ポリオレフィン100重量%に対して2〜50重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましい。乳化剤が2重量%未満であると、エマルションの貯蔵安定性が低下するとともに、後述のエマルションの製造工程において、重合途中に凝集や沈降がおこり易くなる傾向がある。他方、50重量%を超えると、乳化剤が塗膜中に多量に残り、塗膜の耐水性や耐候性が低下する傾向がある。
乳化剤としては、特に限定はないが、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテルや、ポリオキシエチレンステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪族エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレンポリオール、アルキロールアミドなどのノニオン型乳化剤;アルキル硫酸エステル塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンステアリルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩などのアニオン型乳化剤;ステアリルベタインやラウリルベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性乳化剤;ポリオキシエチレン基含有ウレタン樹脂、カルボン酸塩基含有ウレタン樹脂などの樹脂型乳化剤、イミダゾリンラウレート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルベタイン、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライドなどのカチオン型乳化剤などを挙げることができ、これらは1種または2種以上を使用することができる。これらの中でも、ノニオン型乳化剤は、親水性の高いイオン性極性基を有しないため塗膜の耐水性を良好とさせ、好ましい。
中和剤の配合割合も、酸変性塩素化ポリオレフィン、乳化剤や水の配合割合によって設定され、特に、酸変性塩素化ポリオレフィンや乳化剤などに含まれる酸性官能基(例えば、酸無水物基やカルボキシル基)を十分に中和することを考慮して配合されるが、例えば、酸変性塩素化ポリオレフィンに含まれる酸性官能基1当量に対し、好ましくは0.2〜10当量、より好ましくは0.5〜4当量である。0.2当量未満では乳化が不十分となり、10当量を超えると残存した中和剤などが耐水性を低下させたり、脱塩素化を促進する傾向がある。
中和剤の配合によって定まるエマルションのpHは、好ましくは7〜11、さらに好ましくは7.5〜10.5、最も好ましくは8〜10である。エマルションのpHが7未満であると、中和が十分ではなく、エマルションの貯蔵安定性が低下する傾向がある。他方、エマルションのpHが11を超えると、遊離の中和剤がエマルション中に過剰に存在することとなり、中和剤臭が強くなり、使用しにくくなる傾向がある。
中和剤は、塩素化ポリオレフィン樹脂が有する酸無水物基および/またはカルボキシル基に付加するか、および/または、これらの基を中和して、変性塩素化ポリオレフィンの親水性を高め、エマルションの貯蔵安定性を向上させる働きをする。
中和剤としては、後述の有機系強塩基が必須であり、必要に応じて通常の有機系アミンやアンモニアを併用しても良い。
通常の有機系アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、N−メチルモルホリンなどのモノアミン類;エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、イソホロンジアミン、トリエチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどのポリアミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノールなどのアルカノールアミン類などを挙げることができる。
水の配合割合は、エマルション全体の50〜95重量%が好ましく、60〜85重量%がより好ましく、65〜80重量%が最も好ましい。水の配合割合が50重量%未満であると、エマルション中の不揮発分が多くなりすぎ、凝集などが生じ易く、エマルションの貯蔵安定性が低下する傾向がある。他方、水の配合割合が95重量%を超えると、後述のエマルションの製造工程において、生産効率が悪くなるほか、エマルションをプライマー塗料組成物に用いた場合に、その不揮発分が低くなり、塗布作業性が低下する傾向がある。エマルション中の酸変性塩素化ポリオレフィンを主成分とするポリマー粒子の平均粒径については、特に限定はないが、0.01〜1μmが好ましく、0.05〜0.5μmがより好ましく、0.1〜0.5μmが最も好ましい。ポリマー粒子の平均粒径が0.01μm未満であると、乳化剤が多量に必要となり、塗膜の耐水性や耐候性が低下する傾向がある。他方、ポリマー粒子の平均粒径が1μmを超えると、エマルションの貯蔵安定性が低下するとともに、ポリマー粒子の体積が大きすぎて、塗膜化するための溶融熱量や時間を多く必要となる。さらに、得られる塗膜の外観や耐水性、耐溶剤性などが低下する傾向がある。
酸変性塩素化ポリオレフィンの乳化方法は、公知の方法でよく、例えば、酸変性塩素化ポリオレフィンと、乳化剤、中和剤、必要により溶剤を用いて加熱またはそのまま溶解し、市販の乳化機にて水中に乳化させたり、あるいは、酸変性塩素化ポリオレフィンと、乳化剤、必要により溶剤を用いて加熱またはそのまま溶解し、市販の乳化機にて中和剤を添加した水中に乳化させたりする。また、逆に、酸変性塩素化ポリオレフィンと、乳化剤、中和剤、必要により溶剤を用いて加熱またはそのまま溶解した有機相に、水を攪拌下ゆっくりと添加して転相乳化させたり、あるいは、酸変性塩素化ポリオレフィンと、乳化剤、必要により溶剤を用いて加熱またはそのまま溶解した有機相に、中和剤を添加した水を攪拌下ゆっくりと添加して転相乳化させたりしてもよい。
上述の乳化方法に用いられる溶剤としては、例えば、キシレンおよびトルエン、ソルベッソ−100(エクソン社製)などの芳香族系溶剤や、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルおよびプロピレングリコール−n−プロピルエーテルなどのエチレングリコール系またはプロピレングリコール系溶剤などが挙げられる。
<水性非塩素化ポリオレフィン系樹脂>
本発明のプライマー塗料組成物は、水性非塩素化ポリオレフィン系樹脂を含む。上記水性非塩素化ポリオレフィン系樹脂の骨格は結晶部分と非晶部分が適度に存在しているため、結晶部位を残したまま融点の制御を可能とし、素材への密着性と耐ガソホール性を高い次元で両立させることができる。上記水性非塩素化ポリオレフィン系樹脂は、塗膜のマトリックスを形成する成分であり、熱によって溶融させることができる。
上記水性非塩素化ポリオレフィン系樹脂の含有量は、プライマー塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対して、15〜60質量部であり、好ましくは20〜40質量部である。15質量部未満であると、付着点の不足による基材との密着不良が生じるおそれがある。60質量部を超えると、極性差による上塗り(ベース塗膜)との密着不良が生じるおそれがある。
上記水性非塩素化ポリオレフィン系樹脂は、例えば、結晶化度が35〜55%である。上記結晶化度が35%未満であると、耐ガソホール性、耐水性に劣り、密着性も不充分となるおそれがある。55%を超えると、溶融性が低下し、素材との密着性が劣るおそれがある。本明細書において、上記結晶化度の測定方法は、以下のとおりである。
(結晶化度)
ポリプロピレンの立体規則性[mmmm]は、NMR装置(日本電子(株)製、400MHz)にて13C−NMRスペクトル測定法により測定した。試料350〜500mgを、10mmΦのNMR用サンプル管中で、約2.2mlのオルトジクロロベンゼンを用いて完全に溶解させた。次いで、ロック溶媒として約0.2mlの重水素化ベンゼンを加え、均一化させた後、130℃でプロトン完全デカップリング法により測定を行った。測定条件は、フリップアングル90°、パルス間隔5T1以上(T1は、メチル基のスピン格子緩和時間のうち最長の値)とした。プロピレン系重合体において、メチレン基及びメチン基のスピン格子緩和時間はメチル基のそれよりも短いので、この測定条件では、すべての炭素の磁化の回復は99%以上である。20時間以上の積算を行い測定した。
ケミカルシフトは、頭−尾(head to tail)結合からなるプロピレン単位連鎖部の10種類のペンタッド(mmmm,mmmr,rmmr,mmrr,mmrm,rmrr,rmrm,rrrr,rrrm,mrrm)のうち、メチル分岐の絶対配置がすべて同一である、すなわち、mmmmで表されるプロピレン単位5連鎖の第3単位目のメチル基にもとづくピークのケミカルシフトを21.8ppmとして設定し、これを基準として他の炭素ピークのケミカルシフトを決定する。この基準では、例えば、その他のプロピレン単位5連鎖の場合、第3単位目のメチル基にもとづくピークのケミカルシフトはおおむね次のようになる。すなわち、mmmr:21.5〜21.7ppm、rmmr:21.3〜21.5ppm、mmrr:21.0〜21.1ppm、mmrm及びrmrr:20.8〜21.0ppm、rmrm:20.6〜20.8ppm、rrrr:20.3〜20.5ppm、rrrm:20.1〜20.3ppm、mrrm:19.9〜20.1ppmである。
このポリプロピレン主鎖は、上記mmmmで表されるペンタッドに帰属されるピークのピークトップのケミカルシフトを21.8ppmとした際に、19.8ppmから22.2ppmの範囲に現れる上記のペンタッド、すなわち、mmmm,mmmr,rmmr,mmrr,mmrm,rmrr,rmrm,rrrr,rrrm,mrrmのすべてのペンタッドに属するピークの総面積Sに対する、21.8ppmをピークトップとするピークの面積S1の比率(S1/S)を結晶化度と定義した。
なお、本願明細書では上記で述べた方法で結晶化度を測定するため、プロピレンと他のモノマーとの共重合体の結晶化度は、樹脂中のポリプロピレン部分の結晶化度を意味する。
上記水性非塩素化ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量は50000〜200000である。重量平均分子量が50000未満であると、塗膜の凝集力低下により密着性が低下し、耐ガソホール性、耐湿性、耐水性が低下するおそれがある。重量平均分子量が200000を超えると、樹脂の水性化が困難となり、水性樹脂製造に支障をきたすこととなる。
本明細書において、上記重量平均分子量の測定方法は、以下のとおりである。
(重量平均分子量)
はじめに試料20mgを30mlのバイアル瓶に採取し、安定剤としてBHTを0.04質量%含有するオルトジクロロベンゼン20gを添加した。135℃に加熱したオイルバスを用いて試料を溶解させた後、孔径3μmのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)フィルターにて熱濾過を行い、ポリマー濃度0.1質量%の試料溶液を調製した。次に、カラムとしてTSKgel GM H−HT(30cm×4本)及びRI検出器を装着したウォーターズ(Waters)社製GPC150CVを使用し、GPC測定を行った。測定条件としては、試料溶液のインジェクション量:500μl、カラム温度:135℃、溶媒:オルトジクロロベンゼン、流量:1.0ml/minを採用した。
分子量の算出に際しては、標準試料として市販の単分散のポリスチレンを使用し、該ポリスチレン標準試料に換算した分子量とした。
上記水性非塩素化ポリオレフィン系樹脂は、例えば、水性非塩素化ポリプロピレン系樹脂である。上記水性非塩素化ポリプロピレン系樹脂とは、塩素化されていない水性ポリプロピレン系樹脂である。本発明は水性非塩素化ポリプロピレン系樹脂を使用してもよい。水性非塩素化ポリプロピレン系樹脂は、低温焼付け乾燥での塗膜形成であっても、基材と優れた密着性を示し得る。上記水性非塩素化ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレンとプロピレンと共重合可能な塩素不含の単量体(エチレン等)との共重合体が挙げられる。
上記水性非塩素化ポリオレフィン系樹脂は、構成モノマーの90質量%以上がプロピレンであるポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。上記ポリプロピレン系樹脂において、プロピレンが90質量%未満であると、樹脂の結晶化度部分が少なくなり、耐ガソホール性、高圧洗車性が劣るおそれがある。
上記ポリプロピレン系樹脂において、プロピレン以外の構成モノマーとしては、例えば、炭素原子数2又は4〜20のモノ又はジオレフィン類、例えば、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン、デセン、ブタジエン、ヘキサジエン、オクタジエン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、スチレン及びこれらの誘導体が挙げられる。本明細書において、樹脂を構成するモノマー含有量は、樹脂の製造に用いる各モノマー量により求めることができる。
水性非塩素化ポリオレフィン系樹脂は、メタロセン触媒を用いて得られるものであることが好ましい。これは一般にメタロセン触媒が、リガンドのデサインによりミクロタクティシティーを制御できること、すなわち得られたポリプロピレン主鎖が、アタクチックポリプロピレンとは異なり、結晶化可能な連鎖長のアイソタクチックブロックを含有することを意味し、アイソタクチックブロックが存在するということは、言い換えれば、立体特異性(stereospecificity)が乱れたシークエンスからなるブロックも同時に主鎖に存在することを意味する。即ち、メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレン主鎖中には、結晶性を有するブロックと非晶性のブロックとが共存し、かつ結晶性を有するブロックが、比較的長い平均連鎖長を有するアイソタクチックブロックから形成され、アイソタクチック性に富む構造になっているという特異な構造となったものである。このような特長から、メタロセン触媒を用いて重合されたポリオレフィンを用いた塗料組成物は、120℃以下の温度で乾燥して得られる塗膜であっても、本発明の効果を良好にもたらし得る。上記メタロセン触媒としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、特開2004−115712号公報([0021]〜[0052])記載のもの等が挙げられる。
水性非塩素化ポリオレフィン系樹脂は、不飽和有機酸又はその酸無水物によって変性されたもの(以下、変性ポリプロピレン系樹脂ということがある。)であることが好ましい。上記不飽和有機酸又はその酸無水物によって変性されたものとしては、例えば、上記ポリプロピレン系樹脂の主鎖に、炭素原子数3〜25の不飽和カルボン酸又はその酸無水物をグラフト反応させて変性したものを挙げることができる。このグラフト反応は常法によりラジカル発生剤を用いて行うことができる。
グラフトさせる不飽和カルボン酸又はその酸無水物としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、シトラコン酸、クロトン酸、アリルコハク酸、メサコン酸、アコニット酸、及びこれらの無水物等が挙げられ、なかでも、マレイン酸及びこの無水物等が好ましい。
本発明に用いることができる変性ポリプロピレン系樹脂の不飽和カルボン酸又はその酸無水物の付加率(変性ポリプロピレン系樹脂中の不飽和カルボン酸又はその酸無水物の含有割合)は、水性非塩素化ポリオレフィン系樹脂の全量に対して、1〜10質量%、好ましくは1.5〜5質量%である。付加率が1質量%未満であると、得られるプライマー塗料組成物の分散粒子の粒子径が大きく分散安定性が不良となりやすく、10質量%を超えると、塗膜の耐水性が悪化する傾向となる。この付加率は、赤外分光スペクトル分析法により、カルボニル基の吸収強度を、付加率(含有量)既知のサンプルに基づいて作成した検量線と対比することにより測定できる。
不飽和カルボン酸又はその酸無水物を付加する方法としては、ラジカル発生剤の存在下で、ラジカル発生剤の分解条件に付すことによりグラフト反応させる方法が一般的であり、例えば、ポリプロピレン主鎖を有機溶媒に溶解し、不飽和カルボン酸又はその酸無水物とラジカル発生剤を添加し、撹拌下で加熱することにより付加を行う方法、各成分を押出機に供給して加熱混練しながら付加を行う方法等が挙げられる。
使用されるラジカル発生剤と不飽和カルボン酸又はその酸無水物とのモル比(ラジカル発生剤と不飽和カルボン酸又はその酸無水物との比率)は、通常1/100〜3/5、好ましくは1/20〜1/2であり、反応温度は、特に制限はないが、通常50℃以上、好ましくは80〜200℃である。反応時間は、通常2〜10時間である。
グラフト反応に用いられるラジカル発生剤としては、通常のラジカル発生剤から適宜選択して使用することができ、例えば有機過酸化物等が挙げられる。有機過酸化物としては、ジイソプロピルパーオキシド、ジ(t−ブチル)パーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、クミルヒドロパーオキシド、ジラウロイルパーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシカルボナート、ジシクロヘキシルパーオキシカルボナート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボナート等が挙げられる。これらの中でも、ジ(t−ブチル)パーオキシド、ジクミルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボナートが好ましい。
グラフト反応を溶解又は含浸状態で行う場合に用いられる有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族系炭化水素、トリクロロエチレン、パークロルエチレン、クロルベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられ、これらの中でも芳香族系炭化水素及びハロゲン化炭化水素が好ましく、特にトルエン、キシレン、クロルベンゼンが好ましい。
また、不飽和ジカルボン酸モノエステルを変性成分として有する変性ポリプロピレン系樹脂を製造する場合は、不飽和ジカルボン酸モノエステルをポリプロピレン主鎖に上記のようにグラフト反応させる方法の他、不飽和ジカルボン酸又はその無水物を、ポリプロピレン主鎖にグラフト反応させた後、脂肪族アルコールを用いてカルボキシル基の1つをエステル化したり、酸無水物基をモノエステル化したりする方法によって製造することもできる。
水性非塩素化ポリオレフィン系樹脂は、融点が50〜100℃であることが好ましい。上記融点が50℃未満であると、非晶成分が多くなり、耐ガソホール性、耐湿性、高圧洗車性等が低下するおそれがある。100℃を超えると、溶融性が低下し、素材との密着性が劣るおそれがある。本明細書において、樹脂(A)の融点(℃)の測定方法は、以下のとおりである。
(融点測定方法)
示差走査熱量計(DSC)(熱分析装置SSC5200(セイコー電子製)にて以下の工程により測定した値を用いた。すなわち、昇温速度10℃/minにて20℃から150℃に昇温する工程(工程1)、降温速度10℃/minにて150℃から−50℃に降温する工程(工程2)、昇温速度10℃/minにて−50℃から150℃に昇温する工程(工程3)において、工程3の昇温時の図1のチャートの矢印で示される温度を融点とした。
水性非塩素化ポリオレフィン系樹脂の水性化方法としては、特に限定されず、従来公知の方法で製造することができる。例えば、上記で製造された酸無水物変性ポリプロピレンにトルエンを加えて100℃くらいで溶かした樹脂溶液とし、その後界面活性剤を加えて、50〜60℃くらいの状態で強制撹拌しながら、50℃くらいのイオン交換水を滴下して転相乳化し、トルエンについては、その後減圧除去する方法が挙げられる。また、テトラヒドロフラン等の溶剤を用いて、約60℃の温度にて、上記酸無水物変性ポリプロピレン樹脂を加熱して溶解し、上記樹脂のカルボキシル基を過剰のアミンで中和した後、約60℃のイオン交換水を、強制撹拌しながらこの樹脂溶液に滴下し、相転移して乳化し、その後、減圧にて溶剤を除去する方法が挙げられる。更に、上記溶解溶液に乳化剤及びアミンを併用して混合し、約60℃のイオン交換水を強制撹拌しながら滴下して乳化し、その後溶媒を減圧除去する方法もある。上記手順とは逆に、アミン等の中和剤及び/又は界面活性剤等が溶解した温水中に上記加熱溶媒で溶かした酸無水物変性ポリオレフィン溶液を水中で強制撹拌しながら滴下し乳化後、溶媒を減圧除去する方法等も挙げられる。
水性非塩素化ポリオレフィン系樹脂は、乳化剤を使用することなく水性化させた水性ポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。乳化剤を使用しないことにより、得られる複層塗膜の耐湿性をより向上させることができる。
<水性エポキシ樹脂(B)>
本発明のプライマー塗料組成物は、水性エポキシ樹脂(B)を含む。水性エポキシ樹脂(B)を使用することにより、塗膜の耐水性、耐湿性を向上できる。水性エポキシ樹脂(B)の含有量は、プライマー塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対して、固形分換算で、20〜50質量部である。20質量部未満であると、ゲル分率低下による耐水、耐湿性不良が生じるおそれがある。50質量部を超えると、造膜不良による耐水、耐湿性不良が生じるおそれがある。
水性エポキシ樹脂(B)は、エポキシ基を分子中に1個以上有する水性樹脂であり、当該技術分野で公知のものを使用できる。例えば、フェノールノボラック樹脂にエピクロヒドリンを付加して得られるノボラック型エポキシ樹脂を乳化剤で強制的にエマルション化した、長瀬ケムテック株式会社製デナコールEM150やジャパンエポキシレジン株式会社製エピレッツ6006W70や5003W55や東都化成株式会社のWEX−5100等を挙げることができる。また、ビスフェノールに同様にエピクロヒドリンを付加して得られるビスフェノール型エポキシ樹脂を乳化剤で強制乳化した長瀬ケムテック株式会社製デナコールEM101、EM103やジャパンエポキシレジン株式会社製エピレッツ3510W60、3515W6、3522W60、3540WY55等が挙げられる。更に、ソルビトールやペンタエリスリトールやグリセリン等のポリオールにエピクロヒドリンを付加したアルキルタイプのエポキシ樹脂として長瀬ケムテック株式会社製デナコールEX−611、EX−614、EX−411、EX−313等が挙げられる。
<親水化変性カルボジイミド化合物(C)>
本発明のプライマー塗料組成物は、必要に応じて、上記親水化変性カルボジイミド化合物(C)を含み得る。上記親水化変性カルボジイミド化合物(C)の含有量は、プライマー塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対して、3〜10質量であるのが好ましく、3〜9質量部であるのがさらに好ましく、3〜7質量部であるのがよりに好ましい。
親水化変性カルボジイミド化合物(C)の含有量を3質量部〜10質量部とすることにより、複層塗膜の耐水性、耐湿チヂミ性をさらに向上できる。
例えば、プライマー塗料組成物における、親水化変性カルボジイミド化合物(C)と、水性ポリウレタン樹脂(D)の含有量の質量比は、(C):(D)=0.06:1〜0.45:1であるのが好ましく、0.06:1〜0.30:1であるのがさらに好ましい。
このような範囲に、質量比を有することにより、複層塗膜の耐水性、耐湿チヂミ性をさらに向上できる。
本発明のプライマー塗料組成物に含まれ得る親水化変性カルボジイミド化合物(C)は、分子内に、
−OCONH−X−NHCOOY
[Xは少なくとも1個のカルボジイミド基を含有する2官能性有機基であり、Yはポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルから水酸基を除いた構造である。]
で表される構造単位を1個または複数個有している。上記構造単位を有することで、優れた水分散性および優れた硬化性の両方の性能が得られると考えられる。
上記親水化変性カルボジイミド化合物(C)として、上記構造単位を1個有するもの、2個有するもの、そして3個有するもの、の3種がある。
上記構造単位を2個有するものとしては、下記一般式(I)で表されるものがある。
Figure 2017132902
上記一般式(I)において、Xは少なくとも1個のカルボジイミド基を含有する2官能性有機基であり、Yは同一または異種のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルから水酸基を除いた構造であり、Zは数平均分子量200〜5000の2官能ポリオールから水酸基を除いた構造である。
さらにここで、上記Xは、下記一般式(a)で表すことができる。
Figure 2017132902
上記一般式(a)において、Rは、炭素数6〜15の炭化水素基であることが好ましい。具体的なものとして、フェニレン基、ジフェニレンメチル基、ジフェニレン(ジメチル)メチル基、メチルフェニレン基、ジメチルフェニレン基、テトラメチルキシリレン基、ヘキシレン基、シクロヘキシレン基、ジシクロヘキシレンメチル基などを挙げることができる。好ましいものは、ジシクロヘキシレンメチル基である。また、上記pは、1〜10である。pは上記構造単位に存在するカルボジイミド基の個数であり、硬化性の観点から2以上であることが好ましく、その上限値は8以下であることがさらに好ましい。
なお、本明細書において、上記pに限らず、繰り返し数は平均値として表されるものである。
上記Yは、下記一般式(b)または(c)で表すことができる。
Figure 2017132902
上記一般式(b)および(c)において、Rは、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましい。具体的なものとして、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ステアリル基などを挙げることができる。また、Rは水素原子またはメチル基であり、水素原子であることが好ましい。qは4〜40である。なお上記一般式(b)および(c)において、Rが水素である場合は、上記一般式(b)および(C)は同じ構造を示すこととなる。
なお、上記Zは、エーテル結合、エステル結合、またはカーボネート結合によって構成されている重合体構造であり、一般式化することは困難である。これについては、後述する数平均分子量200〜5,000の2官能ポリオールについての説明を参照されたい。
上記構造単位を2個有する親水化変性カルボジイミド化合物(C)は、1分子中にイソシアネート基を少なくとも2個含有する原料カルボジイミド化合物と、分子末端に水酸基を有し、数平均分子量200〜5,000である2官能ポリオールとを、上記原料カルボジイミド化合物のイソシアネート基のモル量が上記ポリオールの水酸基のモル量を上回る比率で反応させて得られた反応生成物に、さらにポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルを反応させて得ることができる。
上記分子中にイソシアネート基を少なくとも2個含有する原料カルボジイミド化合物は、反応性の観点から、両末端にイソシアネート基を有していることが好ましい。上記両末端にイソシアネート基を有する原料カルボジイミド化合物の製造方法は、当業者によってよく知られており、例えば、有機ジイソシアネートの脱二酸化炭素を伴う縮合反応を利用することができる。
上記有機ジイソシアネートとしては、具体的には、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、およびこれらの混合物を用いることができ、具体的には1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどを挙げることができる。反応性の観点から、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネートが好ましい。
上記縮合反応には、通常、カルボジイミド化触媒が用いられる。上記カルボジイミド化触媒としては、具体的には、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシドや、これらの3−ホスホレン異性体などのホスホレンオキシドなどを挙げることができる。反応性の観点から、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシドが好ましい。
次に、分子末端に水酸基を有する2官能ポリオールは、特に限定されないが、反応効率の観点から、数平均分子量が200〜5,000であることが好ましい。上記分子末端に水酸基を有する2官能ポリオールとして、具体的には、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオールを挙げることができ、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール、ポリオクタメチレンエーテルグリコールなどのポリアルキレングリコール、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリ−3−メチルペンチルアジペート、ポリエチレン/ブチレンアジペート、ポリネオペンチル/ヘキシルアジペートなどのポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリ−3−メチルバレロラクトンジオールなどのポリラクトンジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオールなどのポリカーボネートジオールおよびこれらの混合物などを例示することができる。
上記1分子中にイソシアネート基を少なくとも2個含有する原料カルボジイミド化合物と、上記分子末端に水酸基を有し、数平均分子量200〜5,000である2官能ポリオールとの反応は、上記原料カルボジイミド化合物のイソシアネート基のモル量が上記ポリオールの水酸基のモル量を上回る比率で反応させて行われる。上記イソシアネート基のモル量が上記水酸基のモル量を下回るかまたは同量である場合は、後述のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルの反応を十分に行うことができない。
上記原料カルボジイミド化合物のイソシアネート基のモル量と上記分子末端に水酸基を有するポリオールの水酸基のモル量との比率は、反応効率および経済性の観点から、1.0:1.1〜1.0:2.0であることが好ましい。なお、この工程によって得られる反応生成物における原料カルボジイミド化合物と分子末端に水酸基を有する2官能ポリオールとの重合度は、反応効率の観点から、1〜10が好ましい。
このようにして得られた反応生成物に、さらにポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルを反応させることにより、上記構造単位を2個有する親水化変性カルボジイミド化合物(C)を得ることができる。ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、下記一般式(b’)または(c’)で表されるものが用いられる。
Figure 2017132902
上記一般式(b’)および(c’)において、R、R、およびqは、先の一般式(b)および(C)のところで説明した内容がそのまま適用される。上記ユニットにおけるRの種類およびqは、貯蔵安定性、水分散性および水が揮発した後の反応性を考慮して、それぞれ上記範囲内において適宜設定される。水分散性の観点から、上記モノアルコキシポリアルキレングリコールにおけるRはメチル基であり、Rは水素原子であることが好ましい。さらに、上記qは、水分散性および水が揮発した後の反応性の観点から、4〜20が好ましく、6〜12がさらに好ましい。
上記ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、数平均分子量が200〜5,000である、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好ましく用いられる。このポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルのアルキル基は、炭素数1〜20のアルキル基であるのが好ましい。ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルの具体例として、例えば、炭素数1〜20のアルキル基で片末端が封鎖された、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはそれらの混合物からなるものなどが挙げられる。このようなポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルのより詳細な具体例として、例えば、数平均分子量200〜5,000である、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ポリプロピレングリコールモノラウリルエーテルなどを挙げることができる。
上記反応生成物と上記ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとは、上記反応生成物のイソシアネート基のモル量が上記ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルの水酸基のモル量と同量または上回る比率で反応を行う。上記イソシアネート基のモル量が上記水酸基のモル量を下回る場合は、上記反応生成物に対する上記ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルの反応を充分に行うことができない。なお、上記反応生成物のイソシアネート基のモル量は直接測定により求められる他、仕込み配合から計算される値を採用しても構わない。
上記原料カルボジイミド化合物と上記分子末端に水酸基を有する2官能ポリオールとの反応、および上記反応生成物とポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとの反応においては、触媒を使用することができる。上記反応時の温度は、特に限定されないが、反応系の制御や、反応効率の観点から、60〜120℃が好ましい。また、上記反応においては活性水素を含有しない有機溶媒を用いることが好ましい。
このような2段階の反応を経ることによって、上記構造単位を2個有する親水化変性カルボジイミド化合物(C)を得ることができる。このようにして製造された親水化変性カルボジイミド化合物(C)は、先に示した一般式(I)のみの構造を有するわけではなく、用いた原料に由来する、種々のその他の反応生成物を含む混合物である。しかし、一般的には、上記一般式(I)の構造を有していると見なして差し支えない。
また、上記親水化変性カルボジイミド化合物(C)として、上記構造単位を3個有するものとしては、下記一般式(II)で表されるものがある。
Figure 2017132902
上記一般式(II)において、XおよびYは、先の上記構造単位を2個有するものについてのXおよびYの説明をそのまま適用することができる。また、Rは水素、メチル基、またはエチル基である。Rは炭素数4以下のアルキレン基であり、同一であっても異なっていてもよい。具体的なアルキレン基として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などが挙げられる。nは0または1、mは0〜60である。
、R、nおよびmは、親水化変性カルボジイミド化合物(C)を製造する際に用いる3官能ポリオールによって決定される。
mが11以上である場合、疎水部に対する親水部の割合が2.0〜6.3であることが好ましい。上記疎水部に対する親水部の割合は、カルボジイミド化合物中に存在するオキシメチレン基またはオキシエチレン基の部分の分子量を、カルボジイミド化合物の分子量で除して求めることができる。
上記構造単位を3個有する親水化変性カルボジイミド化合物(C)は、1分子中にイソシアネート基を少なくとも2個含有する原料カルボジイミド化合物と、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとを、上記原料カルボジイミド化合物のイソシアネート基の当量が上記ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルの水酸基の当量を上回る比率で得られた反応生成物に、さらに3官能ポリオールを反応させて得ることができる。
上記1分子中にイソシアネート基を少なくとも2個含有する原料カルボジイミド化合物は、先の上記構造単位を2個有する親水化変性カルボジイミド化合物(C)の原料カルボジイミド化合物についての説明がそのまま適用される。
上記原料カルボジイミド化合物と、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとの反応は、反応後に3官能ポリオールとさらに反応させるため、イソシアネート基が残存している必要がある。このため、上記反応においては、イソシアネート基の当量が水酸基の当量を上回っている必要があり、好ましくは、イソシアネート基と水酸基との当量比が2/1になる量であることが好ましい。反応は通常、当業者によく知られた条件で行うことができ、必要に応じてスズ系の触媒を使用することができる。
上記ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、先の上記構造単位を2個有する親水化変性カルボジイミド化合物(C)のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルについての説明がそのまま適用される。
次に、このようにして得られた反応生成物に、3官能ポリオールを反応させる。反応に用いられる上記3官能ポリオールの量は、反応物のイソシアネート当量以上の水酸基当量になる量であることが好ましく、上記イソシアネート当量と水酸基当量とが等しいことがさらに好ましい。なお、上記反応生成物のイソシアネート当量は、直接測定する以外に、先の工程におけるジイソシアネート化合物とポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとの配合比から計算によって求めることも可能である。反応は先の原料カルボジイミド化合物とポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとの反応と同様に行うことができる。
上記3官能ポリオールは、トリメチロールプロパン、グリセリン、またはそれらのアルキレンオキサイド付加物であることが、入手が容易な点から好ましい。上記アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどが挙げられる。グリセリンのアルキレンオキサイド付加物は三洋化成社からGPシリーズとして市販されている。得られる3鎖型親水性カルボジイミド化合物の硬化反応性を考慮すると、1つの水酸基に対してアルキレンオキサイドがそれぞれ付加した構造を持つものが特に好ましい。先のGPシリーズの中で、このような構造を持つものはGP−250、GP−3000などが挙げられる。
このような2段階の反応を経ることによって、上記構造単位を3個有する親水化変性カルボジイミド化合物(C)を得ることができる。このようにして製造された親水化変性カルボジイミド化合物(C)は、先に述べたように、一般式(II)のみの構造を有するわけではないが、上記一般式(II)の構造を有していると見なして差し支えない。
上記親水化変性カルボジイミド化合物(C)として、上記構造単位を1個有するものとしては、下記一般式(III)で表されるものがある。
Figure 2017132902
[Xは、少なくとも1個のカルボジイミド基を含有する2官能性有機基であり、Yは、同一または異種のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルから水酸基を除いた構造である。]
一般式(III)におけるXは、上記の一般式(I)における式(a)で表すことができる基である。
一般式(III)におけるYは、同一または異種のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルから水酸基を除いた構造である。このYは、上述の一般式(I)におけるYと同様のものを示すことができる。一般式(III)で示される親水化変性カルボジイミド化合物(C)を用いることによって、架橋がより高いレベルで保持されるという利点がある。考えられる理由としては、カルボジイミドのユニットが複数ある一般式(I)(II)では水性樹脂の酸価が低い中で、酸との反応効率が低いこと、また、一般式(III)は一般式(I)(II)のようにかさ高い構造を有していないため、水性樹脂の水酸基とイソシアネートの架橋を阻害することがないことより、一般式(III)で示される親水化変性カルボジイミド化合物(C)の架橋が高くなったと考えている。
一般式(III)におけるYは、好ましくは、下記(i)または(ii):
(i)繰り返し数6〜20のポリエチレンオキサイドユニットの末端に、炭素数1〜3のアルキル基がエーテル結合した、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルから、水酸基を除いた構造
(ii)繰り返し数4〜60のポリプロピレンオキサイドユニットの末端に、炭素数1〜8のアルキル基がエーテル結合した、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルから、水酸基を除いた構造:
から選択される、同一または異種の構造であるのがより好ましい。
さらに好ましくは、前記(ii)のポリプロピレンオキサイドユニットの繰り返し数が15〜60である。
上記(i)および(ii)を有する、一般式(III)で示される親水化変性カルボジイミド化合物(C)を用いることによって、水分散性に優れ、安定性が向上し、さらに架橋がより高いレベルで保持されるという利点がある。
一般式(III)で示される親水化変性カルボジイミド化合物(C)は、上述した有機ジイソシアネートの脱二酸化炭素を伴う縮合反応によって得られた、原料カルボジイミド化合物に、同一または異種のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルを反応させることによって調製することができる。
上記ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルは、
・繰り返し数6〜20のポリエチレンオキサイドユニットの末端に、炭素数1〜3のアルキル基がエーテル結合した、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、または、
・繰り返し数4〜60のポリプロピレンオキサイドユニットの末端に、炭素数1〜8のアルキル基がエーテル結合した、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、
であるのがより好ましい。一般式(III)で示される親水化変性カルボジイミド化合物(C)の調製において、これらのポリエチレングリコールモノアルキルエーテルおよびポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルは、単独で用いてもよく、併用してもよい。
上記ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルとしては、具体的にはポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノプロピルエーテルが挙げることができ、特にポリエチレングリコールモノメチルエーテルが好適である。
上記ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルとしては、具体的にはポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノエチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノブチルエーテル、ポリプロピレングリコール2−エチルヘキシルエーテル等を挙げることができ、特にポリプロピレングリコールモノブチルエーテルが好適である。
上記一般式(III)で示される親水化変性カルボジイミド化合物(C)において、何れか一方のYが(i)であって他方のYが(ii)であり、そして、上記(i)繰り返し数6〜20のポリエチレンオキサイドユニットの末端に、炭素数1〜3のアルキル基がエーテル結合した、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルから、水酸基を除いた構造、および(ii)繰り返し数4〜60のポリプロピレンオキサイドユニットの末端に、炭素数1〜8のアルキル基がエーテル結合した、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルから、水酸基を除いた構造の比率が、(i):(ii)=1:0.7〜1:8の範囲内であるのがより好ましい。
一般式(III)で示される親水化変性カルボジイミド化合物(C)において、塗膜が形成したときに耐水性を向上させるため、カルボジイミド基の周辺がある程度疎水性となっていることが好ましい。また、水によるカルボジイミドの失活を抑止し、安定性を保持するため、カルボジイミド基の周辺がある程度疎水性となっており、水分子との接触が低い状態に保たれているのが好ましい。その一方で、一般式(III)で示されるカルボジイミド化合物において、親水性を維持するためには、ポリエチレングリコール構造を一定量有することが必要となる。ここで、上記(i)および(ii)の構造が、(i):(ii)=1:0.7〜1:8の範囲内で存在する場合において、カルボジイミド化合物の親水性を確保しつつ、一方でカルボジイミド基の周辺においてある程度疎水性を保つことができる。これにより、低温硬化性により優れ、かつ、塗料安定性にもより優れたプライマー塗料組成物が得られるという利点がある。なお、上記比率(i):(ii)は、(i):(ii)=1:0.7〜1:1.5の範囲内であるのがさらに好ましい。
<水性ポリウレタン樹脂(D)>
本発明のプライマー塗料組成物は、水性ポリウレタン樹脂(D)を含むものである。上記水性ポリウレタン樹脂(D)を使用することにより、得られる塗膜は、優れた耐溶剤性、耐ガソホール性、および優れた融着性を得ることができる。
前記水性ポリウレタン樹脂(D)の含有量は、プライマー塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対して25質量部以上であり、このましくは25質量部以上60質量部以下であり、より好ましくは、30質量部以上、50質量部以下である。
水性ポリウレタン樹脂(D)の含有量が25質量部以上であることにより、優れた耐水密着性、耐水ブリスタ性、および耐チッピング性を備えた塗膜が得られる。一方、60質量部を超える場合は、その添加量に見合った効果が得られず、経済的でない。
本発明における水性ポリウレタン樹脂(D)は、ガラス転移点(Tg)が−50℃以下であり、前記水性ポリウレタン樹脂(D)の硬化膜の破断伸度が−20℃において400%以上である。
水性ポリウレタン樹脂(D)のガラス転移点(Tg)が−50℃を超える場合は、得られる塗膜の耐水性が劣ることとなる。上記ガラス転移点(Tg)は、−55℃以下であるのがより好ましく、−58℃以下であるのがさらに好ましい。水性ポリウレタン樹脂(D)のガラス転移点(Tg)は、示差走査熱量計によって測定することができる。
上記水性ポリウレタン樹脂(D)の硬化膜の破断伸度が、−20℃において400%未満である場合は、得られる塗膜の耐水性が劣ることとなる。上記破断伸度は、500%以上であるのがより好ましい。
水性ポリウレタン樹脂(D)の硬化膜の破断伸度は、JIS K7127に従って求めることができる。具体的には、水性ポリウレタン樹脂(D)100質量部(樹脂固形分量)を、乾燥膜厚が20μmとなるようにドクターブレードで均一に塗装する。20℃で10分間静置した後、80℃で3分間プレヒートを行い、水分を揮発させた後に、120℃で30分間焼き付けて、硬化膜を調製する。得られた硬化膜を、JIS K7127に従い、試験時温度−20℃の条件下で引張性能試験を行い、破断時の伸び率を測定し、得られた伸び率を破断伸度とする。
水性ポリウレタン樹脂(D)は、ポリオール化合物(D−1)と、分子内に活性水素基と親水基を有する化合物(D−2)と、有機ポリイソシアネート(D−3)と、必要により鎖伸長剤及び重合停止剤を用いて得られるポリマーであって、得られたポリマーを水中に溶解または分散することによって、調製できる。
ポリオール化合物(D−1)としては、水酸基を2つ以上有するポリオール化合物であれば特に限定されない。ポリオール化合物(D−1)が、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の多価アルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、等のポリエーテルポリオール;アジピン酸、セバシン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、フタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸とエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコールから得られるポリエステルポリオール類;ポリカプロラクトンポリオール;ポリブタジエンポリオール;ポリカーボネートポリオール;ポリチオエーテルポリオール;等が挙げられる。上記ポリオール化合物(D−1)は単独で用いてもよく、または2種類以上併用してもよい。ポリオール化合物(D−1)は、数平均分子量500〜5000であるのが好ましい。
分子内に活性水素基と親水基を有する化合物(D−2)としては、活性水素とアニオン基{アニオン基またはアニオン形成性基(塩基と反応してアニオン基を形成するものであり、この場合にはウレタン化反応前、途中または後に塩基で中和することによってアニオン基に変える)}を含有する化合物として公知のもの(例えば、特公昭42−24192号公報明細書および特公昭55−41607号公報明細書に記載のもの、具体例としてはα,α−ジメチロールプロピオン酸、α,α−ジメチロール酪酸、ジメチロール酢酸などのジメチロールアルカン酸)、分子内に活性水素とカチオン基を有する化合物として公知のもの(たとえば特公昭43−9076号公報明細書に記載のもの)および分子内に活性水素とノニオン性の親水基を有する化合物として公知のもの(例えば、特公昭48−41718号公報に記載のもの、具体的には、ポリエチレングリコール、アルキルアルコールアルキレンオキシド付加物など)が挙げられる。分子内に活性水素基と親水基を有する化合物(D−2)として、ジメチロールアルカン酸を用いるのが好ましい。
有機ポリイソシアネート(D−3)としては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有するものであれば特に限定されない。有機ポリイソシアネート(D−3)の具体例として、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、リジンジイソシアネ−トなどの、炭素数2〜12の脂肪族ジイソシアネート;
1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソプロピリデンシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネートなどの、炭素数4〜18の脂環族ジイソシアネート;
2,4−トルイレンジイソシアネート、2,6−トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,5’−ナフテンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ジフェニルメチルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;
リジンエステルトリイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4,4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等のトリイソシアネート類;
などが挙げられる。
また、これらのポリイソシアネート化合物の、ダイマー、トリマー(イソシアヌレート結合)で用いられてもよく、また、アミンと反応させてビウレットとして用いてもよい。更に、これらのポリイソシアネート化合物と、ポリオールを反応させたウレタン結合を有するポリイソシアネートも用いることができる。
有機ポリイソシアネート(D−3)として、脂肪族ジイソシアネートを用いるのがより好ましい。脂肪族ジイソシアネートを用いて水性ポリウレタン樹脂(D)を調製することによって、得られる塗膜の透水性を適切な範囲に調節することができ、また良好な低温初期耐水性を得ることができるという利点がある。
水性ポリウレタン樹脂(D)の調製時において必要により用いることができる鎖伸長剤としては、活性水素基を2つ以上含有していれば特に限定されないが、例えば、低分子(数平均分子量500未満)ポリオール、ポリアミンなどがあげられる。上記低分子ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、3−メチルペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールおよびトリメチロールプロパンなどが挙げられる。上記ポリアミンとしては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヒドラジン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミンなどが挙げられる。
また、重合停止剤としては、分子内に活性水素を1個有する化合物、またはモノイソシアネート化合物が挙げられる。
上記分子内に活性水素を1個有する化合物としては、例えば、モノアルコール(例えば、メタノール、ブタノール、オクタノールなどのアルキルアルコール、アルキルアルコールアルキレンオキサイド付加物など)または、モノアミン(例えば、ブチルアミン、ジブチルアミンなどのアルキルアミンなど)が挙げられる。
上記モノイソシアネート化合物としては、例えば、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、プロピルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ラウリルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、トリレンイソシアネートなどが挙げられる。
水性ポリウレタン樹脂(D)を製造するにあたっての反応方法は、各成分を一度に反応させるワンショット法または段階的に反応させる多段法{活性水素含有化合物の一部(例えば、高分子ポリオール)とポリイソシアネートを反応させてNCO末端プレポリマーを形成したのち活性水素含有化合物の残部を反応させて製造する方法}のいずれの方法でもよい。水性ポリウレタン樹脂(D)の合成反応は通常40〜140℃、好ましくは60〜120℃で行われる。反応を促進させるため通常のウレタン化反応に用いられるジブチルスズラウレ−ト、オクチル酸スズ等のスズ系あるいはトリエチレンジアミン等アミン系の触媒を使用してもよい。また上記反応は、イソシアネートに不活性な有機溶剤(例えば、アセトン、トルエン、ジメチルホルムアミドなど)の中で行ってもよく、反応の途中または反応後に溶剤を加えてもよい。
本発明における水性ポリウレタン樹脂(D)は、公知の方法(アニオン形成性基の場合は塩基で中和してアニオン基を形成する方法、カチオン形成性基の場合は4級化剤でカチオン基を形成する方法、または、酸で中和してカチオン基を形成する方法)で処理した後、水中に分散させることにより、調製することができる。
上記の水中に溶解する工程は特に限定されず、上記反応後でも多段法の途中の段階でも良い。例えば、NCO末端プレポリマーの段階で水中に溶解するときは水および/またはポリアミンで鎖伸長しながら水中に溶解することにより水性ポリウレタン樹脂(D)が得られる。
また、イソシアネートに不活性な有機溶剤を使用した場合、水中に溶解した後に脱溶剤を行ってもよい。
水性ポリウレタン樹脂(D)として、市販品を用いてもよい。市販品として、例えば、楠本化成社から販売される水性ポリウレタン樹脂であるNeoRezシリーズ、アデカ社から販売される水性ポリウレタン樹脂であるHUXシリーズ、三洋化成社から販売される水性ポリウレタン樹脂である、ユーコートシリーズ、パーマリンシリーズ、ユープレンシリーズなどが挙げられる。
本発明のプライマー塗料組成物は、上記各成分(A)、(B)、(C)、(D)に加え、必要に応じ、他の水性樹脂を適宜配合することもできる。他の水性樹脂としては水性アクリル系樹脂、アクリル系エマルション、アミノ樹脂エマルション等が挙げられる。なお、これらの水性樹脂は、後述の顔料分散剤として用いられることがある。
このようなその他の樹脂は、本発明のプライマー塗料組成物の機能(耐水性、耐チッピング性など)を損なうことがないことを条件として、任意の量で用いることができる。
本発明のプライマー塗料組成物は、塗料として通常添加される他の配合物、例えば、顔料、界面活性剤、中和剤、安定剤、増粘剤、消泡剤、表面調整剤、レベリング剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、シリカ等の無機充填剤、導電性カーボン、導電性フィラー、金属粉等の導電性充填剤、有機改質剤、可塑剤等を必要に応じて配合することができる。
上記増粘剤としては、例えば、会合型ノニオン系ウレタン増粘剤やアルカリ膨潤型増粘剤や無機系の層間化合物であるベントナイト等が挙げられる。上記顔料としては、酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄、酸化クロム、紺青等の無機顔料やアゾ系顔料、アントラセン系顔料、ペリレン系顔料、キナクリドン系顔料、インジゴ系顔料、フタロシアニン系顔料等の有機顔料等の着色顔料;タルク、沈降性硫酸バリウム等の体質顔料;導電性カーボン、アンチモンドープの酸化スズをコートしたウイスカー等の導電顔料;アルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル、スズ、酸化アルミニウム等の金属又は合金等の無着色あるいは着色された金属製光輝材等を挙げることができる。
上記顔料分散剤としては、水性アクリル系樹脂;ビックケミー社製のBYK−190等の酸性ブロック共重合体;スチレン−マレイン酸共重合体;エアプロダクツ社製のサーフィノールGA、サーフィノールT324等のアセチレンジオール誘導体;イーストマンカミカル社製のCMCAB−641−0.5等の水溶性カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート等を挙げることができる。これらの顔料分散剤を用いることで、安定な顔料ペーストを調製することができる。上記消泡剤としては、例えば、エアープロダクト社製のサーフィノール104PA及びサーフィノール440等が挙げられる。
本発明のプライマー塗料組成物においては、塗料組成物中に含まれる樹脂固形分に対する導電性ブラックの質量割合(PWC)が1〜5%であるのが好ましい。導電性ブラックの質量割合が上記範囲であることによって、塗膜は良好な導電性を示し得る。ここで「樹脂固形分」とは、プライマー塗料組成物中に含まれる、塗膜形成樹脂の総量を意味する。導電性ブラックの含有量(PWC)が1%未満である場合は、得られる塗膜の隠ぺい性が低下するおそれがある。また導電性ブラックの含有量(PWC)が30%を超える場合は、含有量の増加に伴う効果が見られず、コストが高くなりすぎるおそれがある。
本発明のプライマー塗料組成物は、塗料組成物を構成する各成分を、通常用いられる手段によって混合することによって、調製できる。本発明のプライマー塗料組成物は、上記で説明した、少なくとも成分(A)、(B)および(D)と、必要に応じて用いられる他の成分を混合して製造される。特に、顔料を含むプライマー塗料組成物を製造する場合、顔料及び顔料分散剤を含む顔料分散ペーストを予め調製しておいてプライマー塗料組成物を製造する方法は、製造効率が高い。
<塗膜形成方法>
さらに、本発明は、被塗物に、上記プライマー塗料組成物を塗布し、70〜120℃に加熱し、プライマー塗膜を形成する工程を含む、塗膜形成方法を提供する。
一方で、本発明のプライマー塗料組成物においては、120℃以上の温度でプライマー塗膜を形成する態様を排除するものではない。例えば、被塗物の種類および形状などに応じて、120〜130℃でプライマー塗膜を形成してもよい。
本発明のプライマー塗料組成物は、従来のプライマー塗料組成物と比べて、より低温で塗膜を形成でき、その上、塗膜物性に優れた塗膜を得ることができる。上記塗膜形成は、自然乾燥及び強制乾燥のいずれで行ってもよいが、塗装効率の面からは強制乾燥を行うことが好ましい。強制乾燥としては、例えば、温風乾燥、近赤外線乾燥、電磁波乾燥等のいずれで行ってもよい。乾燥温度は、基材の熱変形が起こらない温度範囲で選択され、120℃以下であることが好ましい。なお、乾燥時間は、通常、乾燥温度及び乾燥炉内の風速に依存し、エネルギー効率を考慮して適宜設定される。上記塗膜形成工程における加熱条件は、好ましくは70〜120℃、さらに好ましくは70〜80℃といった塗膜形成温度であってよい。
<被塗物>
上記方法における被塗物として、鉄、鋼、ステンレス、アルミニウム、銅、亜鉛、スズなどの金属およびこれらの合金などの鋼板;ポリエチレン樹脂、EVA樹脂、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂など)、塩化ビニル樹脂、スチロール樹脂、ポリエステル樹脂(PET樹脂、PBT樹脂などを含む)、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリルスチレン(AS)樹脂、ポリアミド樹脂、アセタール樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンオキサイド(PPO)などの樹脂;および、有機−無機ハイブリッド材などが挙げられる。これらは成形された状態であってもよい。
上記鋼板は、必要に応じて、化成処理が施された後に電着塗膜が形成された状態であってもよい。化成処理として、例えば、リン酸亜鉛化成処理、ジルコニウム化成処理、クロム酸化成処理などが挙げられる。また電着塗膜として、カチオン電着塗料組成物またはアニオン電着塗料組成物を用いた電着塗装によって得られる電着塗膜が挙げられる。
上記樹脂は、必要に応じて、有機溶媒を用いた蒸気洗浄が行われていてもよく、または中性洗剤を用いた洗浄が行われていてもよい。
本発明のプライマー塗料組成物は、上記温度範囲でプライマー塗膜を形成でき、その上、鋼板部および樹脂部のいずれに対しても優れた密着性を示す。そのため、本発明のプライマー塗料組成物を好適に塗布できる被塗物として、例えば、鋼板部および樹脂部を含む被塗物が挙げられる。このような被塗物に対して、本発明のプライマー塗料組成物を塗装して塗膜を形成することによって、樹脂部に対して熱変形が生じるような加熱を加えることなく、樹脂部および鋼板部の両方に対して良好な物性を有する塗膜を形成することが可能となる。すなわち、本発明のプライマー塗料組成物を用いることによって、樹脂および鋼板といった異なる素材に対しても、共通した塗料組成物を用いて塗装することができる。これにより、得られる塗膜の色相をより高度なレベルで一致させることができる利点がある。
本発明のプライマー塗料組成物を塗装する被塗物として好適である他の被塗物として、例えば、産業機械および建設機械などが挙げられる。産業機械および建設機械などは、一般に大型であり、そして強い荷重に耐えうるため、自動車車体などと比較して構成基材(鋼板)の厚みがあるという特徴がある。そのため、このような産業機械、建設機械が被塗物である場合は、被塗物の熱容量が大きく、加熱炉中において被塗物に熱が十分に伝達しないという問題がある。本発明のプライマー塗料組成物は、低温で硬化可能であること、そして低温で硬化させた場合であっても高い密着性を有する塗膜が得られることを、特徴の1つとする。そのため、本発明のプライマー塗料組成物は、このように被塗物の熱容量が大きく、塗装後の高温加熱硬化処理が困難である、産業機械・建設機械を被塗物とする塗装においても、好適に用いることができる。これらを被塗物とした塗装においては、本発明のプライマー塗料組成物を、被塗物の形状に応じた、当業者において通常用いられる塗装方法によって塗装した後、例えば70〜120℃で10分〜2時間加熱することによって、プライマー塗膜を形成する態様が挙げられる。
プライマー塗料組成物を被塗物に塗装する方法は、特に限定されず、エアスプレーやエアレススプレー等のスプレー塗装、ベル塗装、ディスク塗装、カーテンコート、シャワーコート、刷毛塗り等で塗布し、その後、得られたプライマー塗膜の乾燥を行う方法等を挙げることができる。
プライマー塗料組成物の乾燥膜厚は、好ましくは5〜30μmである。乾燥膜厚が5μm未満であると、薄すぎて連続な均一膜を得られない傾向がある。30μmを超えると、耐水性等が低下する傾向がある。
<塗膜形成方法>
更に、本発明は、本発明に係るプライマー塗膜組成物から形成されたプライマー塗膜の上に、更に中塗り塗膜、ベース塗膜およびクリヤー塗膜から選択される少なくとも1つの塗膜を形成する工程を含む、塗膜形成方法を提供する。
別の態様において、本発明の塗膜形成方法は、プライマー塗料組成物の塗装および乾燥により得られたプライマー塗膜上に、中塗り塗料組成物を塗装して第1塗膜を形成する、第1塗装工程、および
上記第1塗膜上に、水性ベース塗料組成物を塗装して第2塗膜を形成する、第2塗装工程、を含み得る。
上記中塗り塗料組成物および水性ベース塗料組成物の塗装は、通常用いられる塗装方法によって塗装できる。例えば、上記中塗り塗料組成物および水性ベース塗料組成物を自動車車体に塗装する場合は、得られる塗膜の外観を高めるために、エアー静電スプレー塗装による多ステージ塗装、好ましくは2ステージで塗装するか、または、エアー静電スプレー塗装と、通称「μμ(マイクロマイクロ)ベル」、「μ(マイクロ)ベル」あるいは「メタベル」等と言われる回転霧化式の静電塗装機とを組み合わせた塗装方法などを用いることができる。
水性中塗り塗料組成物の塗膜の膜厚は、所望の用途などに応じて適宜選択することができる。膜厚は、例えば15〜35μmであるのが好ましく、15〜30μmであるのがさらに好ましい。
水性ベース塗料組成物の塗膜の膜厚は、所望の用途などに応じて適宜選択することができる。膜厚は、例えば10〜30μmであるのが好ましい。
本発明の塗膜形成方法は、上記第2塗膜が未硬化の状態において、さらにクリヤー塗料組成物を塗装して、クリヤー塗膜を形成し、その後に未硬化の複層塗膜を硬化させる態様も含む。この方法は、焼き付け乾燥炉を省略することができ、経済性および環境保護の面からも好ましい。
中塗り塗料組成物および水性ベース塗料組成物は特に限定されず、当該技術分野において公知のものを使用できる。
中塗り塗料組成物の好ましい例として、水酸基およびカルボキシル基を有する水性樹脂、ポリイソシアネート化合物、および親水化変性カルボジイミド化合物、を含む水性中塗り塗料組成物が挙げられる。
また、水性ベース塗料組成物の好ましい例として、水酸基およびカルボキシル基を有する水性樹脂、親水化変性カルボジイミド化合物、水分散性ブロックポリイソシアネート化合物、および水性ポリウレタン樹脂、を含む水性ベース塗料組成物が挙げられる。
上記水性中塗り塗料組成物および水性ベース塗料組成物中に含まれる、水酸基およびカルボキシル基を有する水性樹脂として、樹脂固形分換算で、80〜200mgKOH/gの水酸基価、および、10〜40mgKOH/gの酸価を有するアクリル樹脂、および/または、樹脂固形分換算で、80〜200mgKOH/gの水酸基価、および、10〜40mgKOH/gの酸価を有するポリエステル樹脂を用いることができる。
上記水性中塗り塗料組成物および水性ベース塗料組成物中に含まれる親水化変性カルボジイミド化合物として、上記プライマー塗料組成物の調製に用いられる親水化変性カルボジイミドを用いることができ、前記親水化変性カルボジイミド化合物(C)の含有量は、水性塗料組成物の樹脂固形分に対して1〜9質量%とすることができる
上記中塗り塗料組成物に含まれるポリイソシアネート化合物として、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、メタキシリレンジイソシアネート(MXDI)などの芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などの脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添MDIなどの脂環式ジイソシアネート;これらのジイソシアネート化合物を不揮発性化し、毒性を低くした形態の化合物;これらのジイソシアネート化合物のビューレット体、ウレトジオン体、イソシアヌレート体またはアロハネート体などのアダクト体;比較的低分子のウレタンプレポリマー;などのポリイソシアネート化合物、およびこれらのポリイソシアネート化合物の水分散体(親水性基を導入したもの、または、界面活性剤を混合乳化させて、いわゆる自己乳化させたもの)などが挙げられる。
上記水性ベース塗料組成物に含まれる水分散性ブロックポリイソシアネート化合物として、上記ポリイソシアネートに、マロン酸ジエステルを反応させ、次いで得られた反応物と有機アミン化合物とを反応させることによって調製された、水分散性ブロックポリイソシアネート化合物を用いることができる。前記水性ベース塗料組成物中に含まれる水分散性ブロックポリイソシアネート化合物の含有量は、水性ベース塗料組成物の樹脂固形分に対して10〜25質量%であることが好ましい。
上記水性ベース塗料組成物に含まれる水性ポリウレタン樹脂として、上記プライマー塗料組成物の調製に用いられる水性ポリウレタン樹脂を用いることができる。前記水性ポリウレタン樹脂(D)の含有量は、前記水性ベース塗料組成物の樹脂固形分に対して10質量%以上50質量%以下であることが好ましい。
水性ベース塗料組成物のもう一つの好ましい例として、水酸基およびカルボキシル基を有する水性樹脂、メラミン樹脂、弱酸触媒、および水性ポリウレタン樹脂、を含む水性ベース塗料組成物も挙げられる。
当該水性ベース塗料組成物中に含まれる、水酸基を有する水性樹脂として、樹脂固形分換算で、80〜200mgKOH/gの水酸基価を有するアクリル樹脂、および/または、樹脂固形分換算で、80〜200mgKOH/gの水酸基価を有するポリエステル樹脂を用いることができ、当該アクリル樹脂、および/または、当該ポリエステル樹脂は、10〜40mgKOH/gの酸価を有するものであってもよい。
前記メラミン樹脂は、メラミン核1個当たりの平均イミノ基量が1.0個以上であり、かつ、平均メチロール基が0.5個以上であり、
前記水性ベース塗料組成物中に含まれる水性樹脂およびメラミン樹脂の質量比が、固形分換算で、水性樹脂/メラミン樹脂=0.7〜3であり、弱酸触媒の含有量が、前記水性ベース塗料組成物中に含まれる水性樹脂およびメラミン樹脂の固形分質量(水性樹脂+メラミン樹脂100質量部に対して、0.1〜10.0質量部であることが好ましい。り、 前記水性ポリウレタン樹脂は、ガラス転移点(Tg)が−50℃以下であり、前記水性ポリウレタン樹脂として、上記プライマー塗料組成物の調製に用いられる水性ポリウレタン樹脂を用いることができる。
上記水性中塗り塗料組成物および水性ベース塗料組成物は、当業者において通常用いられる方法によって調整することができる。
これらの水性中塗り塗料組成物および水性ベース塗料組成物を用いて複層塗膜を形成する場合は、低温条件下での加熱条件(例えば120℃以下の加熱条件)であっても硬化反応が良好に進行し、優れた塗膜物性を有する硬化塗膜が得られるなどの利点がある。
一方で、本発明のプライマー塗料組成物を用いる場合、120℃以上の温度で複層塗膜を形成する態様を排除するものではない。例えば、被塗物の種類および形状などに応じて、120〜130℃で複層塗膜を形成してもよい。
上記塗装工程において好適に用いることができるクリヤー塗料組成物の例として、ウレタンクリヤー塗料組成物が挙げられる。ウレタンクリヤー塗料組成物としては、水酸基含有樹脂とイソシアネート化合物硬化剤とを含むクリヤー塗料組成物を挙げることができる。上記硬化剤としてのイソシアネート化合物としては特に限定されず、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネートなどの脂肪族環式イソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6−トリレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルナンジイソシアネートメチルなどの脂環族イソシアネート、これらのビュレット体、ヌレート体などの多量体および混合物などを挙げることができる。
上記水酸基含有樹脂の水酸基価としては、20〜200mgKOH/gの範囲内であることが好ましい。上限を超えると塗膜の耐水性が低下し、下限を下回ると塗膜の硬化性が低下する。上記下限は、30mgKOH/gがより好ましく、上記上限は、180mgKOH/gがより好ましい。
更に、上記水酸基含有樹脂の数平均分子量は、1000〜20000の範囲内であることが好ましい。上記数平均分子量が1000より小さいと作業性および硬化性が十分でなくなるおそれがある。また、20000を超えると、塗装時の不揮発分が低くなり、作業性が悪くなるおそれがある。上記下限は、2000がより好ましく、上記上限は、15000がより好ましい。
上記水酸基含有樹脂は、更に、2〜30mgKOH/gの範囲内の酸価を有することが好ましい。上記上限を超えると塗膜の耐水性が低下し、下限を下回ると塗膜の硬化性が低下する。上記下限は、3mgKOH/gがより好ましく、上記上限は、25mgKOH/gがより好ましい。
水酸基含有樹脂に対するイソシアネート化合物の含有量は、当業者において通常用いられる範囲で適宜選択することができる。例えば、イソシアネート基(NCO)と水酸基(OH)との当量比(NCO/OH)が、0.5〜1.7の範囲内となる量で用いるのが好ましい。上記下限は、0.7がより好ましく、上記上限は、1.5がより好ましい。
例えば、以下のような態様を有する水性塗料組成物を中塗り塗料組成物として使用できる。
(i)水酸基およびカルボキシル基を有する水性樹脂、
(ii)水分散性ブロックポリイソシアネート化合物、
(iii)親水化変性カルボジイミド化合物、および
(iv)水性ポリウレタン樹脂、
を含む水性塗料組成物。
一態様において、上記水性塗料組成物は、水性ポリウレタン樹脂の含有量は、水性塗料組成物の樹脂固形分に対して15質量%以上である。
一態様において、水性ポリウレタン樹脂の含有量は、水性塗料組成物の樹脂固形分に対して30質量%以上40質量%以下である。
一態様において、水性ポリウレタン樹脂の含有量は、水性塗料組成物の樹脂固形分に対して15質量%以上30質量%未満である。
一態様において、水分散性ブロックポリイソシアネート化合物の含有量は、水性塗料組成物の樹脂固形分に対して10〜25質量%であり、親水化変性カルボジイミド化合物の含有量は、水性塗料組成物の樹脂固形分に対して1.5〜7質量%である。
一態様において、水性塗料組成物の樹脂固形分に対する、前記水分散性ブロックポリイソシアネート化合物および親水化変性カルボジイミド化合物の含有量の質量比は、水分散性ブロックポリイソシアネート化合物:親水化変性カルボジイミド化合物=25:1〜1.25:1である。
なお、親水化変性カルボジイミド化合物および水性ポリウレタン樹脂をはじめとする各成分は、本明細書に記載のものを使用できる。
クリヤー塗料組成物の製造方法は、特に限定されず、当業者の周知の任意の方法を用いることができる。また、クリヤー塗料組成物として、市販品を用いることもできる。市販品として、例えば、ポリウレエクセルO−1100クリヤー、O−1200クリヤー(日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社製、イソシアネート硬化型クリヤー塗料組成物)などが挙げられる。
上記クリヤー塗料組成物を用いる場合は、本発明のプライマー塗料組成物を塗装して、未硬化の塗膜(単独の塗膜を形成する態様、および、上記第1塗膜および第2塗膜を形成する態様の両方を含む)を形成した後に、クリヤー塗料組成物をウェットオンウェットで塗装し、次いで70〜120℃、より好ましくは70〜90℃で、10〜30分間焼き付け硬化を行うことによって、複層塗膜を形成することができる。
一方で、本発明のプライマー塗料組成物を用いる場合、120℃以上の温度で複層塗膜を形成する態様を排除するものではない。例えば、被塗物の種類および形状などに応じて、120〜130℃で複層塗膜を形成してもよい。
本発明においては、被塗物の材質に応じて、上記ウレタンクリヤー塗料組成物以外のクリヤー塗料組成物を用いることもできる。例えば、酸エポキシ硬化系クリヤー塗料組成物、アクリルメラミン硬化系クリヤー塗料組成物なども用いることができる。これらクリヤー塗料組成物の例として、例えば、ポリエポキシドとポリ酸とを含有するクリヤー塗料組成物である、日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社から発売されている「マックフロー O−570クリヤー」あるいは「マックフロー O−1820クリヤー」など、および、アクリル樹脂とメラミン硬化剤とを含むクリヤー塗料組成物である、日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社から発売されている「スーパーラック O−100クリヤー」(商品名)などが挙げられる。これらのクリヤー塗料組成物を用いる場合の加熱硬化条件は、各クリヤー塗料組成物の組成に応じた条件を適宜選択することができる。
クリヤー塗料組成物の塗装方法として、上述の公知の塗装方法を用いることができ、例えばエアスプレー、静電塗装などにより塗装することができる。クリヤー塗料組成物は、乾燥膜厚として一般に10〜80μm、好ましくは20〜50μmとなるように塗装するのが好ましい。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中、「部」および「%」は、ことわりのない限り、質量基準による。
<使用材料>
製造例(A)−1 水性非塩素化ポリオレフィン系樹脂(A−1)の製造
(ポリプロピレンAP−1の調製)
1000ml丸底フラスコに、脱塩水110ml、硫酸マグネシウム・7水和物22.2g及び硫酸18.2gを採取し、撹拌下に溶解させた。この溶液に、市販の造粒モンモリロナイト16.7gを分散させ、100℃まで昇温し、2時間撹拌を行った。その後、室温まで冷却し、得られたスラリーを濾過してウェットケーキを回収した。回収したケーキを1000ml丸底フラスコにて、脱塩水500mlにて再度スラリー化し、濾過を行った。この操作を2回繰り返した。最終的に得られたケーキを、窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥し、化学処理モンモリロナイト13.3gを得た。
得られた化学処理モンモリロナイト4.4gに、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(0.4mmol/ml)20mlを加え、室温で1時間撹拌した。この懸濁液にトルエン80mlを加え、撹拌後、上澄みを除いた。この操作を2回繰り返した後、トルエンを加えて、粘土スラリー(スラリー濃度=99mg粘土/ml)を得た。
別のフラスコに、トリイソブチルアルミニウム0.2mmolを採取し、ここで得られた粘土スラリー19ml及びジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−5,6,7,8−テトラヒドロ−1−アズレニル)ハフニウム131mg(57μmol)のトルエン希釈液を加え、室温で10分間撹拌し、触媒スラリーを得た。
次いで、内容積24リッターの誘導撹拌式オートクレーブ内に、トルエン11L、トリイソブチルアルミニウム3.5mmol及び液体プロピレン2.64Lを導入した。室温で、上記触媒スラリーを全量導入し、67℃まで昇温し重合時の全圧を0.65MPa、水素濃度を400ppmで一定に保持しながら、同温度で2時間撹拌を継続した。撹拌終了後、未反応プロピレンをパージして重合を停止した。オートクレーブを開放してポリマーのトルエン溶液を全量回収し、溶媒並びに粘土残渣を除去したところ10.9質量%のポリプロピレントルエン溶液を11kg(1.20kgポリプロピレン)得た。得られたポリプロピレンAP−1の重量平均分子量Mwは300000(Pst換算値)、PP部の結晶化度は45%であった。
(無水マレイン酸変性ポリプロピレンAPM−1の製造)
還流冷却管、温度計、撹拌機の付いたガラスフラスコ中に、得られたポリプロピレンAP−1を400gとトルエン600gとを入れ、容器内を窒素ガスで置換し、110℃に昇温した。昇温後無水マレイン酸100gを加え、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボナート(日本油脂社製、パーブチルI(PBI))30gを加え、7時間同温度で撹拌を続けて反応を行った。反応終了後、系を室温付近まで冷却し、アセトンを加えて、沈殿したポリマーを濾別した。更に、アセトンで沈殿・濾別を繰り返し、最終的に得られたポリマーをアセトンで洗浄した。洗浄後に得られたポリマーを減圧乾燥することにより、白色粉末状の無水マレイン酸変性ポリマーAPM−1が得られた。この変性ポリマーの赤外線吸収スペクトル測定を行った結果、無水マレイン酸基の含量(グラフト率)は、3.7質量%(0.37mmol/g)であった。また重量平均分子量は140000であった。
(水性無水マレイン酸変性ポリプロピレンAPMW−1の製造)
還流冷却管、温度計、撹拌機の付いたガラスフラスコ中に、得られた無水マレイン酸変性ポリプロピレンAPM−1(重量平均分子量140000、無水マレイン酸グラフト率3.7%)100g及びテトラヒドロフラン150gとを入れ、65℃に加熱して溶解させた。次いでジメチルエタノールアミン5.8g(2化学当量)加え、温度を65℃に保ちながら、60℃のイオン交換水400gを滴下し、転相させた後、酸化防止剤としてハイドロキノン0.1gを加え、ゆっくり温度を上げてテトラヒドロフランを留去し、乳白色の分散体を得た。この分散体の固形分を、イオン交換水を加えて20質量%に調整した。この水分散体の粒径は0.1μm以下であった。
製造例(A)−2 酸無水物変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A−2)の製造
撹拌羽根、温度計、滴下装置、温度制御装置、窒素ガス導入管および冷却管を備えた反応容器に、無水マレイン酸変性ポリオレフィン「スーパークロン892LS」(日本製紙社製、塩素含有率22%、重量平均分子量7万〜8万)288部、界面活性剤「エマルゲン920」(花王社製)62部、芳香族炭化水素溶剤「ソルベッソ100」(エクソン社製)74部、酢酸カービトール32部を仕込み、110℃まで昇温し、この温度で1時間加熱して樹脂などを溶解させたのち、100℃以下に冷却した。次いで、ジメチルエタノールアミン6部を溶解させたイオン交換水710部を撹拌しながら1時間かけて滴下し、転相乳化した。その後、室温(25℃)まで冷却し、400メッシュの金網でろ過して、無水マレイン酸変性塩素化ポリオレフィンエマルションを得た。このエマルションの不揮発分は30重量%であった。
水性エポキシ樹脂(B)
水性エポキシ樹脂(B)として、エピレッツ6006W(ジャパンエポキシレジン社製、水性エポキシ樹脂)を使用した。
水性ポリウレタン樹脂(D)
以下に記載した水性ポリウレタン樹脂(D)を用いた
種類A:N9603(楠本化成社製)、固形分濃度:34%、Tg:−10℃、破断伸度:12%
種類B:HUX−232(ADEKA社製)、固形分濃度:30%、Tg:−18℃、破断伸度:130%
種類C:N800(三洋化成社製)、固形分濃度:38%、Tg:−60℃、破断伸度:312%
種類D:パーマリンU150(三洋化成社製)、固形分濃度:30%、Tg:−60℃、破断伸度:610%
導電ブラックとして(ライオン社製、品番:ケッチェンブラックEC600JD)を使用した。
(顔料ペーストの製造)
市販の分散剤「Disperbyk 190」(ビックケミー社製)14.1部、サーフィノールT324(エアプロダクツ社製)2.4部、サーフィノール440(エアプロダクツ社製)1.9部、イオン交換水28.9部、ケッチェンブラックEC600JD(ライオン社製)2.3部、タイピュア―R960(デュポン社製)43.5部、ニプシール50B(二ホンシリカ製)6.8部を予備混合した後、ペイントコンディショナー中でビーズ媒体を加え、室温で粒度5μm以下となるまで混合分散し、ビーズ媒体を濾過にて取り除いて着色顔料ペーストを得た。
<プライマー塗料組成物の調製>
実施例1
撹拌機を有する容器に、製造例(A)−1で調製した水性非塩素化ポリオレフィン系樹脂(A−1) 150部(樹脂固形分20%)、水性エポキシ樹脂(B)としてエピレッツ6006Wを60部(樹脂固形分50%)、水性ポリウレタン樹脂(D)としてポリウレタン種D 133.3部(樹脂固形分30%)、および製造した顔料ペースト 98.5部(固形分71.1%)、ならびに消泡剤としてダイノール604(エアプロダクツ社製)4.7部(固形分100%)、増粘剤のビスカレックスHV-30(BASF社製)6.7部(固形分30%)、ジメチルエタノールアミン(キシダ化学社製、(中和剤))0.5部(固形分100%)を順に滴下し、1時間撹拌後、プライマー塗料組成物を得た。配合量および各成分に関する物性の詳細を表1に記載する。なお、表中に含まれる各成分の使用量は、固形分量で示している。
実施例2〜3、比較例1〜5
表1に記載した配合で、実施例2〜3、比較例1〜5に係るプライマー塗料組成物を調製した。
製造例(In)−1 水酸基およびカルボキシル基を有するアクリルエマルション(AcEm−1)の製造
撹拌機、窒素導入管、温度制御装置、コンデンサー、滴下ロートを備えた反応容器に、脱イオン水2000部を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら80℃に昇温した。
スチレン103部、メタクリル酸n−ブチル290部、アクリル酸n−ブチル280部、アクリル酸ヒドロキシエチル302部、アクリル酸26部、ドデシルメルカプタン3部および乳化剤としてのラテムルPD−104(花王社製、20%水溶液)100部を脱イオン水1,000部に加えて乳化したプレエマルションを、過硫酸アンモニウム3部を脱イオン水300部に溶解した開始剤水溶液とともに2時間かけて滴下した。
滴下終了後、さらに80℃ で1時間反応を継続した後冷却し、N、N−ジメチルアミノエタール8.2部を加え、樹脂固形分30質量%のアクリルエマルションを得た。モノマー組成から計算される、このアクリルエマルションの樹脂固形分換算での水酸基価は130mgKOH/g、酸価は20mgKOH/gであった。また、得られたアクリルエマルションにおけるアクリル樹脂の、水分除去後のGPC測定による数平均分子量は、45,000であった。
製造例(In)−2 水酸基およびカルボキシル基を有するポリエステル水分散体(PE−DP)の製造
撹拌機、窒素導入管、温度制御装置、コンデンサー、デカンターを備えた反応容器に、トリメチロールプロパン250部、アジピン酸824部、シクロヘキサンジカルボン酸635部を加え、180℃に昇温して、水が留出しなくなるまで縮合反応を行った。60℃まで冷却した後、無水フタル酸120部を加え、140℃まで昇温して、これを60分間保ち、GPC測定による数平均分子量2,000のポリエステル樹脂を得た。ジメチルアミノエタノール59部(樹脂が有する酸価の80%相当(中和率80%))を80℃で加え、さらに脱イオン水1920部を投入、攪拌することによって、樹脂固形分45質量%のポリエステル水分散体を得た。このポリエステル水分散体の樹脂固形分換算での水酸基価は90mgKOH/g、酸価は35mgKOH/gであった。
製造例(In)−3 親水化変性カルボジイミド化合物(1)の製造
4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート700部および3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド7部を170℃で7時間反応させ、上記一般式(a)で表される構造の、1分子にカルボジイミド基を3個有し、両末端にイソシアネート基を有するカルボジイミド化合物を得た。
次に、製造したイソシアネート末端を有する4,4−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド180部に、PTMG−1000(三菱化学社製の数平均分子量1,000のポリテトラメチレングリコール、数平均分子量から計算されるテトラメチレンオキサイドの繰り返し単位13.6)95部およびジブチル錫ジラウレート0.2部を加えて、85℃に加熱し、これを2時間保った。
次いで、メチルポリグリコール130(日本乳化剤社製のポリエチレングリコールモノメチルエーテル、水酸基価130mgKOH/gから計算されるエチレンオキサイドの繰り返し数9)86.4部を加え、85℃で3時間保った。IR測定によりNCOのピークが消失していることを確認して反応を終了し、60℃に冷却した後、脱イオン水を加えて、樹脂固形分40質量%の親水化変性カルボジイミド化合物(1)の水分散体を得た。得られた親水化変性カルボジイミド化合物は、上記一般式(I)で表される化合物であった。
製造例(In)−4 親水化変性カルボジイミド化合物(2)の製造
製造例(In)−3において製造したイソシアネート末端を有する4,4−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド90部に、繰り返し数が平均19のポリプロピレングリコールモノブチルエーテル120部、メチルポリグリコール130 43.2部およびジブチル錫ジラウレート0.07部を加え、IRでNCOの吸収がなくなるまで80℃で保った。60℃に冷却した後、脱イオン水を加えて樹脂固形分25%の親水化変性カルボジイミド化合物(2)の水分散体を得た。得られた親水化変性カルボジイミド化合物は、上記一般式(III)で表される化合物であった。
また、得られた親水化変性カルボジイミド化合物における、(i)ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルから水酸基を除いた構造、および(ii)ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルから水酸基を除いた構造の比率は、(i):(ii)=1.0:1.0であった。
製造例(In)−5 親水化変性カルボジイミド化合物(3)の製造
4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート393部および3−メチル−1―フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド8部を180℃で16時間反応させ、下記式で表される構造の、1分子にカルボジイミド基を4個有し、両末端にイソシアネート基を有するカルボジイミド化合物を得た。ここに、オキシエチレン基の繰り返し数が9であるポリエチレングリコールモノメチルエーテル130部およびジブチル錫ジラウレート0.2部を加え、90℃で2時間加熱して、下記式で表される構造の、末端がイソシアネート基および親水性基であるカルボジイミド化合物を得た。さらに、GP−3000(三洋化成工業社製のグリセリンの3つの水酸基に、プロピレンオキサイドを平均で17モルずつ付加した構造を有する3価のポリオール)300部を加え、90℃で6時間反応させた。IR測定によりNCOのピークが消失していることを確認して反応を終了し、親水化変性カルボジイミド化合物(3)を得た。ここに脱イオン水を加えて撹拌し、樹脂固形分30質量%の親水化変性カルボジイミド化合物(3)の水分散体を得た。得られた親水化変性カルボジイミド化合物は、上記一般式(II)で表される化合物であった。
製造例(In)−6 着色顔料ペーストの製造
市販の分散剤「Disperbyk 190」(ビックケミー社製)9.2部、イオン交換水17.8部、ルチル型二酸化チタン73.0部を予備混合した後、ペイントコンディショナー中でビーズ媒体を加え、室温で粒度5μm以下となるまで混合分散し、ビーズ媒体を濾過にて取り除いて着色顔料ペーストを得た。
製造例(In)−7 水酸基価80mgKOH/g未満であるエマルション樹脂の製造
イオン交換水194.1部を仕込んだ反応容器に、アデカリアソープNE−20(旭電化社製α−[1−[(アリルオキシ)メチル]−2−(ノニルフェノキシ)エチル]−ω−ヒドロキシオキシエチレン、固形分80質量%水溶液)0.2部と、アクアロンHS−10(第一工業製薬社製ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル硫酸エステル)0.2部とを加え、窒素気流中で混合攪拌しながら80℃に昇温した。次いで、第1段目のα,β−エチレン性不飽和モノマー混合物として、アクリル酸メチル18.5部、アクリル酸エチル31.7部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル5.8部、スチレン10.0部、アクリルアミド4.0部、アデカリアソープNE−20を0.3部、アクアロンHS−10を0.2部、およびイオン交換水70部からなるモノマー混合物と、過硫酸アンモニウム0.2部、およびイオン交換水7部からなる開始剤溶液とを2時間にわたり並行して反応容器に滴下した。滴下終了後、1時間同温度で熟成を行った。
さらに、80℃で第2段目のα,β−エチレン性不飽和モノマー混合物として、アクリル酸エチル24.5部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル2.5部、メタクリル酸3.1部、アクアロンHS−10を0.3部、およびイオン交換水30部からなるモノマー混合物と、過硫酸アンモニウム0.1部、およびイオン交換水3部からなる開始剤溶液とを0.5時間にわたり並行して反応容器に滴下した。滴下終了後、2時間同温度で熟成を行った。
次いで、40℃まで冷却し、400メッシュフィルターで濾過した。さらに10質量%ジメチルアミノエタノール水溶液を加えpH7に調整し、平均粒子径110nm、樹脂固形分24質量%、固形分酸価20、水酸基価40のエマルション樹脂を得た。全モノマー組成に基づきガラス転移点を算出したところ、0℃であった。
(水性中塗り塗料組成物−1の製造)
製造例(In)−1で得られたアクリルエマルション(AcEm−1)158部(樹脂固形分30%)および製造例(In)−2で得られたポリエステル水分散体(PE−DP)18.7部(樹脂固形分45%)を撹拌した。これに製造例(In)−6の着色顔料ペーストを137.7部配合し、ジメチルエタノールアミン(キシダ化学社製)0.01部でpHを8.0に調整し、アデカノールUH−814N(ウレタン会合型粘性剤、有効成分30%、旭電化工業社製、商品名)1.0部を混合攪拌し、均一になるまで攪拌した。これに、バイヒジュール305(住化バイエルウレタン社製のエチレンオキサイド基を有するポリイソシアネート化合物、エチレンオキサイド含有量:20質量%、イソシアネート基含有量:16質量%)40.9部配合および製造例(In)−3の親水化変性カルボジイミド化合物(1)8.3部(樹脂固形分40質量%)を攪拌しながら加えて撹拌することにより、水性中塗り塗料組成物−1を得た。
(水性中塗り塗料組成物−2の製造)
撹拌機を有する容器に、製造例(In)−1で調製した水酸基含有アクリル樹脂エマルション(AcEm−1) 119.67部(樹脂固形分30%)を配合し、製造例(In)−2で調製したポリエステル水分散体(PE−DP)を25.78部(樹脂固形分45%)、水性ポリウレタン樹脂(種類D)100部(樹脂固形分30%)、水分散性ブロックポリイソシアネートとしてWM44−L70G(旭化成ケミカル製 固形分濃度 70.7%)を 24.19部、製造例5で調整した親水化変性カルボジイミド化合物を 13.5部(樹脂固形分40%)、製造例6で調製した顔料分散ペースト部 122.11部、イオン交換水を68部、ジメチルエタノールアミン(キシダ化学社製)0.01部でpHを8.0に調整し、アデカノールUH−814N(ウレタン会合型粘性剤、有効成分30%、旭電化工業社製、商品名)1.0部を混合攪拌し、水性中塗り塗料組成物−2を得た。
(水性ベース塗料組成物−1の製造)
撹拌機を有する容器に、製造例(In)−1で得られた水酸基含有アクリル樹脂エマルション(AcEm−1)を100部(樹脂固形分30%)および製造例(In)−1で得られたアクリルエマルション樹脂を125部(樹脂固形分24%)撹拌混合し、水分散性ブロックポリイソシアネートとしてWM44−L70G(旭化成ケミカル製 固形分濃度 70.7%)を 21.2部、製造例(C)−3で調製した親水化変性カルボジイミド化合物(1)を 12.5部(樹脂固形分40%)、光輝性顔料としてアルペーストMH8801(旭化成社製アルミニウム顔料)21部(固形分65%)、リン酸基含有アクリル樹脂5部、ラウリルアシッドフォスフェート0.3部を添加し、さらに、2−エチルヘキサノール30部、アデカノールUH−814N3.3部(ADEKA社製増粘剤、固形分30%)、ジメチルエタノールアミン(キシダ化学社製)0.01部、そしてイオン交換水 150部を均一分散することにより水性ベース塗料組成物を得た。得られた塗料組成物のPWCは12.0%であった。
(水性ベース塗料組成物−2の製造)
製造例1で得られた、水性樹脂(A)であるアクリルエマルション 116.7部(樹脂固形分25%)および製造例(In)−7で得た水酸基価80mgKOH/g未満であるエマルション樹脂 104.2部(樹脂固形分24%)を混合した。得られた混合物に対して、水性ポリウレタン樹脂(種類D:パーマリンU150(三洋化成社製)、固形分濃度:30%、Tg:−60℃、破断伸度:610%) 66.7部(樹脂固形分30%)、および、光輝性顔料としてアルペーストMH8801(旭化成社製アルミニウム顔料)21部(固形分65%、PWC12%)、リン酸基含有アクリル樹脂5部、ラウリルアシッドフォスフェート0.3部を添加し、さらに、2−エチルヘキサノール30部、アデカノールUH−814N3.3部(ADEKA社製増粘剤、固形分30%)、ジメチルエタノールアミン(キシダ化学社製)0.01部、そしてイオン交換水 150部、更にメラミン樹脂としてのオルネクスジャパン社製の「サイメル701」を20部(樹脂固形分量)加え、弱酸触媒としてのオルネクスジャパン社製の「サイキャット(登録商標)296−9」(弱酸性リン酸エステル、pKa(H2O)1.8以上)を、水性樹脂(A)であるアクリルエマルションおよびメラミン樹脂の固形分合計量に対して0.5%(固形分=触媒有効量のみ)を撹拌しながら加えた後、更に、N、N−ジメチルアミノエタール(中和剤)0.5部を加えて攪拌することにより、水性ベース塗料組成物を得た。得られた塗料組成物のPWCは12.0%であった。
本実施例で使用した「サイメル701」は、イミノ−メチロール型メラミン樹脂であり、メラミン核1個当たりの平均イミノ基量が1.0個以上1.5個未満、かつ平均メチロール基量が0.5個以上1.0個未満であった。
<複層塗膜の形成>
鋼板上への複層塗膜の形成
リン酸亜鉛処理したダル鋼板に、パワーニクス150(商品名、日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社製カチオン電着塗料)を、乾燥塗膜が20μmとなるように電着塗装し、160℃で30分間の加熱硬化後冷却して、鋼板基板を準備した。
得られた基板に、表1に示す実施例1〜7および比較例1〜3のプライマー塗料組成物を、乾燥膜厚が10μmとなるように塗装し、各実施例および比較例について、それぞれ70℃×30分、75℃×30分、および80℃×30分の条件で乾燥させ、上記基板上に、各種プライマー塗膜を形成した。
次いで、各乾燥条件に従いプライマー塗膜上に、上記水性中塗り塗料組成物を回転霧化式静電塗装装置にて乾燥膜厚が25μmとなるように塗装し、次いで上記水性ベース塗料を回転霧化式静電塗装装置にて乾燥膜厚が15μmとなるように塗装し、80℃で3分間プレヒートを行った。なお、水性中塗り塗料組成物と水性ベース塗料組成物との塗装の間に6分間のインターバルを置いた。さらに、その塗板にクリヤー塗料として、ポリウレエクセル O−1200 (商品名、日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社製、ポリイソシアネート化合物含有2液アクリルウレタン系有機溶剤型クリヤー塗料)を回転霧化式静電塗装装置にて乾燥膜厚が35μmとなるように塗装した後、80℃で20分間の加熱硬化を行い、複層塗膜の形成された試験片を得た。
ポリプロピレン板上への複層塗膜の形成
市販のポリプロピレン素材(70mm×150mm×3mm)に、表1に示す実施例1〜7および比較例1〜3のプライマー塗料組成物を、乾燥膜厚が10μmとなるように塗装し、各実施例および比較例について、それぞれ70℃×30分、75℃×30分、および80℃×30分の条件で乾燥させ、上記基板上に、各種プライマー塗膜を形成した。
次いで、各乾燥条件に従いプライマー塗膜上に、上記水性中塗り塗料組成物を回転霧化式静電塗装装置にて乾燥膜厚が25μmとなるように塗装し、次いで上記水性ベース塗料を回転霧化式静電塗装装置にて乾燥膜厚が15μmとなるように塗装し、80℃で3分間プレヒートを行った。なお、水性中塗り塗料組成物と水性ベース塗料組成物との塗装の間に6分間のインターバルを置いた。さらに、その塗板にクリヤー塗料として、ポリウレエクセル O−1200 (商品名、日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社製、ポリイソシアネート化合物含有2液アクリルウレタン系有機溶剤型クリヤー塗料)を回転霧化式静電塗装装置にて乾燥膜厚が35μmとなるように塗装した後、80℃で20分間の加熱硬化を行い、複層塗膜の形成された試験片を得た。
実施例における数平均分子量の測定は、以下のGPCシステム測定条件で測定した値である。
装置:東ソー社製HLC−8220 GPC
カラム:Shodex KF−606M、KF−603
流速:0.6ml/min
検出器:RI、UV254nm
移動層:テトラヒドロフラン
標準サンプル:TSK STANDARD POLYSTYRENE(東ソー社製)、A−500、A−2500、F−1、F−4、F−20、F−80、F−700、1−フェニルヘキサン(アルドリッチ社製)
各実施例および比較例で用いた水性ポリウレタン樹脂の破断伸度の測定は、以下の手順で行った。
(水性ポリウレタン樹脂の破断伸度の測定)
水性ポリウレタン樹脂95質量部(樹脂固形分量)および製造例(C)−1に記載の親水化変性カルボジイミド化合物(C) 5質量部(樹脂固形分量)を、2つの樹脂固形分が合計で100質量部となるように混合した。埃、ダストなどがかからないような清浄な環境において、出来上がった混合液を、平坦なポリプロピレン板の上に、乾燥膜厚が20μmとなるように、ドクターブレードで均一に塗装した。20℃で10分間静置した後、80℃で3分間プレヒートを行い、水分を揮発させた後に、120℃で30分間焼き付けて、硬化膜を調製した。得られた硬化膜を、JIS K7127に従い、試験時温度−20℃の条件下で引張性能試験を行い、破断時の伸び率(破断伸度)を測定した。測定は20回行い、最大値と最低値を除いた18回の平均値をそのサンプルの破断伸度とした。
鋼板およびポリプロピレン板を基材とする各試験片について、以下の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(耐水密着性評価)
得られた試験板を、40℃の温水に240時間浸漬し、引き上げ、20℃で24時間乾燥した後、試験板の複層塗膜を素地に達するようにカッターで格子状に切り込み、大きさ2mm×2mmのゴバン目を100個作成した。続いて、その表面に粘着セロハンテープ(商標)を貼着し、20℃においてそのテープを急激に剥離した後のゴバン目塗膜の残存枚数を計測した。
碁盤目の剥がれ枚数で塗膜の優劣を判定することができる。碁盤目の剥がれが一枚でも生じた場合は、実用上の使用は困難と判断する。評価結果として、碁盤目のハガレ枚数を記載した。
(耐水ブリスタ試験)
得られた試験板を、40℃の温水に240時間浸漬し、引き上げ、20℃で24時間乾燥した後、試験板の塗膜状態を目視で視認し、試験前後での外観の変化を観察した。下記基準において、○および○△評価の場合は、実用性があると判断する。

○:膨れがほとんどない。
○△:0.01mm以下の小さい膨れがあるが、さら20℃で24時間乾燥するとほとんどなくなる。
△:0.01mm以下の小さい膨れがあり、さらに20℃で24時間乾燥しても膨れがなくならない。
△×:0.01mm以上0.05mm以下の膨れがあり、さらに20℃で24時間乾燥しても膨れがなくならない。
×:0.05mm以上の膨れがあり、さらに20℃で24時間乾燥しても膨れがなくならない。
Figure 2017132902
(耐チッピング性評価)
表1に記載した条件で調製した各実施例および比較例のプライマー塗料組成物から形成した塗膜を含む積層塗膜を有する試験板と、各比較例で得られた積層塗膜を有する試験板を、グラロベ試験機KSS−1(スガ試験機社製)を用い、以下の条件下で飛石試験を行った。
<試験条件>
石の大きさ:6〜8mm
石の量:0.7〜0.8g/個
距離:35cm
ショット圧:1.0kg/cm
ショット角度:90°
試験温度:−20℃

飛石試験後の試験板を、下記基準により目視評価した。下記基準において、4点以上を、実用上の使用が可能であり合格と判断する。
5:剥離がほとんど見られない。
4:剥離面積は小さいが、電着塗膜と中塗り塗膜との界面での剥離は殆ど見られない。
3:剥離面積がやや大きく、電着塗膜と中塗り塗膜との界面で剥離が見られる。
2:剥離面積が大きく、電着塗膜と中塗り塗膜との界面で剥離が見られる。
1:剥離面積が大きく、電着塗膜が破壊している。
表1の評価結果から明らかなように、ガラス転移点(Tg)が−50℃以下であり、前記水性ポリウレタン樹脂(D)の硬化膜の破断伸度が−20℃において400%以上である水性ポリウレタン樹脂(D)を含むことにより、良好な耐水密着性、耐水ブリスタ性、および耐チッピング性を示す塗膜が得られた。
一方、本発明に係る特定の水性ポリウレタン樹脂(D)を有さない、プライマー組成物を用いると、耐水密着性、耐水ブリスタ性、および耐チッピング性のいずれにおいても、本発明のプライマー塗料組成物より形成された塗膜の値よりも劣ることが明らかである。
本発明のプライマー塗料組成物は、低温条件下での加熱条件(例えば120℃以下の加熱条件)であっても良好に塗膜形成され、優れた塗膜物性を有する硬化塗膜が得られるなどの利点がある。本発明のプライマー塗料組成物を用いることによって、より穏やかな加熱条件により、優れた塗膜物性(耐水性、鋼板および樹脂部材のいずれに対しても良好な密着性を示すことなど)を有する塗膜を形成できる。本発明のプライマー塗料組成物を用いて塗装することによって、省エネルギー化およびCO排出量削減といった環境負荷を低減できる。

Claims (8)

  1. 水性ポリオレフィン系樹脂(A)と、水性エポキシ樹脂(B)と、水性ポリウレタン樹脂(D)とを含むプライマー塗料組成物であって、
    前記水性ポリオレフィン系樹脂(A)は、重量平均分子量が50000〜200000である水性ポリプロピレン系樹脂であり、
    前記水性ポリウレタン樹脂(D)は、ガラス転移点(Tg)が−50℃以下であり、
    前記水性ポリウレタン樹脂(D)の硬化膜の破断伸度が−20℃において400%以上である、プライマー塗料組成物。
  2. 前記水性ポリオレフィン系樹脂(A)の含有量は、プライマー塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対して、15〜60質量部である、請求項1に記載のプライマー塗料組成物。
  3. 前記水性ポリウレタン樹脂(D)の含有量は、プライマー塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対して15質量部以上である、請求項1または2に記載のプライマー塗料組成物。
  4. 前記水性ポリウレタン樹脂(D)の含有量は、プライマー塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対して25質量部以上45質量部以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプライマー塗料組成物。
  5. 前記水性エポキシ樹脂(B)の含有量は、プライマー塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対して20質量部以上50質量部以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプライマー塗料組成物。
  6. 被塗物に、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプライマー塗料組成物を塗布し、70〜120℃に加熱し、プライマー塗膜を形成する工程を含む、塗膜形成方法。
  7. 前記プライマー塗膜の上に、更に中塗り塗膜、ベース塗膜およびクリヤー塗膜から選択される少なくとも1つの塗膜を形成する工程を含む、請求項6に記載の塗膜形成方法。
  8. 上記被塗物は、鋼板部および樹脂部を含む、請求項6または7に記載の塗膜形成方法。
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