JP2017132036A - 支持体およびその製造方法ならびにガラス積層体 - Google Patents

支持体およびその製造方法ならびにガラス積層体 Download PDF

Info

Publication number
JP2017132036A
JP2017132036A JP2014111578A JP2014111578A JP2017132036A JP 2017132036 A JP2017132036 A JP 2017132036A JP 2014111578 A JP2014111578 A JP 2014111578A JP 2014111578 A JP2014111578 A JP 2014111578A JP 2017132036 A JP2017132036 A JP 2017132036A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
organopolysiloxane
silicone resin
support
resin layer
glass substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014111578A
Other languages
English (en)
Inventor
隆俊 八百板
Takatoshi Yaoita
隆俊 八百板
大輔 内田
Daisuke Uchida
大輔 内田
庚薫 閔
Koukun Bin
庚薫 閔
祥孝 松山
Yoshitaka Matsuyama
祥孝 松山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to JP2014111578A priority Critical patent/JP2017132036A/ja
Priority to PCT/JP2015/065644 priority patent/WO2015182766A1/ja
Priority to TW104117571A priority patent/TW201546224A/zh
Publication of JP2017132036A publication Critical patent/JP2017132036A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B17/00Layered products essentially comprising sheet glass, or glass, slag, or like fibres
    • B32B17/06Layered products essentially comprising sheet glass, or glass, slag, or like fibres comprising glass as the main or only constituent of a layer, next to another layer of a specific material
    • B32B17/10Layered products essentially comprising sheet glass, or glass, slag, or like fibres comprising glass as the main or only constituent of a layer, next to another layer of a specific material of synthetic resin
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B27/00Layered products comprising a layer of synthetic resin
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C27/00Joining pieces of glass to pieces of other inorganic material; Joining glass to glass other than by fusing
    • C03C27/06Joining glass to glass by processes other than fusing
    • C03C27/10Joining glass to glass by processes other than fusing with the aid of adhesive specially adapted for that purpose
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/582Recycling of unreacted starting or intermediate materials

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Geochemistry & Mineralogy (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Joining Of Glass To Other Materials (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】高温加熱処理後でも硬化シリコーン樹脂層の分解が抑制された支持体を提供する。【解決手段】支持基材と、上記支持基材の片面に設けられた剥離性表面を有する硬化シリコーン樹脂層とを有する、上記硬化シリコーン樹脂層の上記剥離性表面にガラス基板を積層するための支持体であって、上記硬化シリコーン樹脂層が、特定の線状オルガノポリシロキサン(a)と特定の線状オルガノポリシロキサン(b)と特定の環状オルガノポリシロキサン(c)とを含む硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化物である、支持体。【選択図】図1

Description

本発明は、支持体およびその製造方法ならびにガラス積層体に関する。
近年、太陽電池(PV)、液晶パネル(LCD)、有機ELパネル(OLED)などのデバイス(電子機器)の薄型化、軽量化が進行しており、これらのデバイスに用いるガラス基板の薄板化が進行している。薄板化によりガラス基板の強度が不足すると、デバイスの製造工程において、ガラス基板のハンドリング性が低下する。
最近では、上記の課題に対応するため、薄板ガラス基板と補強板とを積層したガラス積層体を用意し、ガラス積層体の薄板ガラス基板上に表示装置などの電子デバイス用部材を形成した後、薄板ガラス基板から支持板を分離する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。補強板は、支持板と、該支持板上に固定された硬化シリコーン樹脂層とを有し、硬化シリコーン樹脂層と薄板ガラス基板とが剥離可能に密着される。ガラス積層体の硬化シリコーン樹脂層と薄板ガラス基板の界面が剥離され、薄板ガラス基板から分離された補強板は、新たな薄板ガラス基板と積層され、ガラス積層体として再利用することが可能である。
国際公開第2007/018028号
特許文献1に記載のガラス積層体に関して、近年さらに高い耐熱性が要求されるようになってきた。ガラス積層体のガラス基板上に形成される電子デバイス用部材の高機能化や複雑化に伴い、電子デバイス用部材を形成する際の温度がさらに高温になると共に、その高温に曝される時間も長時間を要する場合が少なくない。
特許文献1に記載のガラス積層体は大気中300℃、1時間の処理に耐えうる。しかし、本発明者らの検討によれば、特許文献1に記載のガラス積層体中の硬化シリコーン樹脂層は、450℃においては短時間のうちに分解が起こり、多量のアウトガスが発生する。このようなアウトガスの発生は、ガラス基板上に形成される電子デバイス用部材を汚染し、結果として電子デバイスの生産性を低下させる原因となる。
本発明は、以上の点を鑑みてなされたものであり、支持基材の片面に設けられた硬化シリコーン樹脂層の剥離性表面にガラス基板を積層するための支持体であって、高温加熱処理後でも硬化シリコーン樹脂層の分解が抑制された支持体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の硬化シリコーン樹脂層を採用することで高温加熱処理後でも分解が抑制されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[14]を提供する。
[1]支持基材と、上記支持基材の片面に設けられた剥離性表面を有する硬化シリコーン樹脂層とを有する、上記硬化シリコーン樹脂層の上記剥離性表面にガラス基板を積層するための支持体であって、上記硬化シリコーン樹脂層が、下記線状オルガノポリシロキサン(a)と下記線状オルガノポリシロキサン(b)と下記環状オルガノポリシロキサン(c)とを含む硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化物である、支持体。
線状オルガノポリシロキサン(a):アルケニル基を1分子あたり少なくとも2個有する線状オルガノポリシロキサン
線状オルガノポリシロキサン(b):ケイ素原子に結合した水素原子を1分子あたり少なくとも3個有する線状オルガノポリシロキサン
環状オルガノポリシロキサン(c):ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子あたり少なくとも2個有する環状オルガノポリシロキサン(c1)およびケイ素原子に結合した水素原子を1分子あたり少なくとも3個有する環状オルガノポリシロキサン(c2)、から選択される少なくとも1種の環状オルガノポリシロキサン
[2]上記硬化性シリコーン樹脂組成物における、上記線状オルガノポリシロキサン(a)中のアルケニル基のモル数(A)、上記線状オルガノポリシロキサン(b)中のケイ素原子に結合した水素原子のモル数(B)、上記環状オルガノポリシロキサン(c1)中のアルケニル基のモル数(C1)および上記環状オルガノポリシロキサン(c2)中のケイ素原子に結合した水素原子のモル数(C2)が、下記式を満たす、上記[1]に記載の支持体。
C1×100/(A+C1)+C2×100/(B+C2)≧20
[3]上記[C1×100/(A+C1)+C2×100/(B+C2)]の値が24〜95である、上記[2]に記載の支持体。
[4]上記環状オルガノポリシロキサン(c)が、上記環状オルガノポリシロキサン(c1)である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の支持体。
[5]上記硬化性シリコーン樹脂組成物における上記環状オルガノポリシロキサン(c)の含有量が、上記線状オルガノポリシロキサン(a)と上記線状オルガノポリシロキサン(b)と上記環状オルガノポリシロキサン(c)との合計100質量%に対して、0.1〜60質量%である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の支持体。
[6]上記硬化性シリコーン樹脂組成物における上記環状オルガノポリシロキサン(c)の含有量が、上記線状オルガノポリシロキサン(a)と上記線状オルガノポリシロキサン(b)と上記環状オルガノポリシロキサン(c)との合計100質量%に対して、30質量%未満である、上記[5]に記載の支持体。
[7]上記環状オルガノポリシロキサン(c)の、環を構成するケイ素原子の個数が3〜10個である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の支持体。
[8]上記環状オルガノポリシロキサン(c)におけるアルケニル基の濃度またはケイ素原子に結合した水素原子の濃度が、0.5〜44mmol/gである、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の支持体。
[9]上記硬化性シリコーン樹脂組成物における全アルケニル基に対する全ケイ素原子に結合した水素原子のモル比(水素原子/アルケニル基)が、0.7〜1.05である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の支持体。
[10]上記硬化性シリコーン樹脂組成物が、白金族金属系触媒を含む、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の支持体。
[11]上記硬化性シリコーン樹脂組成物が、さらに活性抑制剤を含む、上記[10]に記載の支持体。
[12]上記支持基材が、ガラス板、シリコンウエハ、合成樹脂板または金属板である、上記[1]〜[11]のいずれかに記載の支持体。
[13]上記[1]〜[12]のいずれかに記載の支持体を製造する方法であって、上記支持基材の片面に上記硬化性シリコーン樹脂組成物の層を形成し、次いで上記硬化性シリコーン樹脂組成物を硬化させて上記硬化シリコーン樹脂層を形成する、支持体の製造方法。
[14]上記[1]〜[12]のいずれか1項に記載の支持体と、上記支持体が有する上記硬化シリコーン樹脂層の上記剥離性表面側に接したガラス基板とを有するガラス積層体。
本発明によれば、高温加熱処理後でも硬化シリコーン樹脂層の分解が抑制された支持体を提供できる。
本発明における支持体付き表示装置用パネルの一実施形態の模式的断面図である。
以下に、本発明の支持体、ならびに、本発明の支持体を含むガラス積層体、支持体付き表示装置用パネル、および、表示装置用パネルについて、図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明における支持体付き表示装置用パネルの一実施形態の模式的断面図である。図1に示す支持体付き表示装置用パネル10は、本発明の支持体20を備えているもので、支持基材12、樹脂層14、ガラス基板16、および、表示装置用パネルの構成部材18をこの順で積層した積層構造を有する。なお、各層の厚さは、図1によって限定されない。
なお、支持基材12と樹脂層14とは本発明の支持体20を構成し、支持体20とガラス基板16とはガラス積層体30を構成し、ガラス基板16と表示装置用パネルの構成部材18とは表示装置用パネル40(支持体20がないもの)を構成する。
まず、本発明の支持体20、ガラス積層体30、表示装置用パネル40、支持体付き表示装置用パネル10を構成する各層について説明する。
<支持基材>
本発明で使用される支持基材12は、後述する樹脂層14を介してガラス基板16を支持し、ガラス基板16の強度を補強するためのものであれば、特に限定されない。
支持基材12の材質としては特に制限されないが、工業的な入手の容易性の観点より、ガラス、シリコン、合成樹脂、金属等が好適な例として例示される。なかでも、支持基材12としては、ガラス板、シリコンウエハ、合成樹脂板または金属板であることが好ましい。
支持基材12の材質としてガラスを採用する場合、その組成は、例えばアルカリ金属酸化物を含有するケイ酸塩系ガラス(ソーダライムガラスなど)、無アルカリのケイ酸塩系ガラス(アルカリ金属酸化物を含有しないホウケイ酸ガラスなど)等の種々の組成のガラスを使用できる。中でも、熱収縮率が小さいことから無アルカリのケイ酸塩系ガラスが好ましい。
ガラス基板16と支持基材12に用いるガラスとの線膨張係数の差は、150×10−7/℃以下が好ましく、100×10−7/℃以下がより好ましく、50×10−7/℃以下がさらに好ましい。ガラス基板16のガラスと支持基材12のガラスとは同一材質のガラスであってもよい。この場合は、両ガラスの線膨張係数の差は0である。
支持基材12の材質としてプラスチック(合成樹脂)を採用する場合、その種類は特に制限されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアラミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリアクリル樹脂、各種液晶ポリマー樹脂、シリコーン樹脂などが例示される。
支持基材12の材質として金属を採用する場合、その種類は特に制限されず、例えば、ステンレス鋼、銅などが例示される。
支持基材12の耐熱性は特に制限されないが、支持基材12上にガラス基板16を積層した上で、表示装置用部材のTFTアレイなどを形成する場合は耐熱性が高いことが好ましい。具体的にはその材料サンプルを空気雰囲気下、10℃毎分のスピードで加熱して行った場合の重量減少がサンプル重量の5%を超えるときの温度を、5%加熱重量減温度と定義し、温度が300℃以上であることが好ましい。更に350℃以上であることがより好ましい。
この場合、耐熱性の点では上述したガラスはどれも当てはまる。
耐熱性の観点より好ましいプラスチック材料としては、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアラミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、各種液晶ポリマー樹脂等が例示される。
支持基材12の厚さは特に限定されないが、本発明におけるガラス積層体を現行の表示装置用パネルの製造ラインで処理できる厚さであることが好ましい。
例えば、現在液晶表示装置に使用されているガラス基板の厚さは主に0.5〜1.2mmの範囲にあり、特に0.7mmが多い。本発明では主にこれよりも薄いガラス基板を使用することを想定している。
この際、ガラス積層体の厚さが現行のガラス基板と同程度の厚さであれば、現行の製造ラインに容易に適合できる。
例えば、現行の製造ラインが厚さ0.5mmの基板を処理するように設計されたものであって、ガラス基板の厚さが0.1mmである場合、支持基材の厚さと樹脂層の厚さとの和を0.4mmとする。
また、現行の製造ラインは厚さが0.7mmのガラス基板を処理するように設計されているものが最も一般的であるが、例えば、ガラス基板の厚さが0.4mmならば、支持基材の厚さと樹脂層の厚さとの和を0.3mmとする。
本発明におけるガラス基板は液晶表示装置に限られるものではなく、また本発明は、ガラス積層体を現行の表示装置用パネルの製造ラインに適合させることのみを目的とするものではない。
したがって、支持基材12の厚さは限定されるものではないが、0.1〜1.1mmの厚さであることが好ましい。さらに、支持基材12の厚さは、ガラス基板16よりも厚いことが好ましい。また、支持基材12がガラス板である場合は、特に0.3mm以上であることが好ましい。支持基材12がガラス板である場合、その厚さは0.3〜0.8mmがより好ましく、0.4〜0.7mmがさらに好ましい。
上述した各種材料で構成される支持基材12の表面は、支持基材としてガラス基板を採用する場合は、研磨処理された研磨面でもよく、または研磨処理されていない非エッチング面(生地面)であってもよい。生産性およびコストの点からは、非エッチング面(生地面)が好ましい。
支持基材12は第1主面および第2主面を有しており、その形状は限定されないが、矩形が好ましい。ここで、矩形とは、実質的に略矩形であり、周辺部の角を切り落とした(コーナーカットした)形状をも含む。
支持基材12の大きさは限定されないが、例えば矩形の場合は100〜2000mm×100〜2000mmであってよく、500〜1000mm×500〜1000mmが好ましい。
<樹脂層(硬化シリコーン樹脂層)>
本発明における樹脂層14は、上述した支持基材12の第1主面上に固定され、ガラス基板16が積層されたガラス積層体30においては、第1主面および第2主面を有するガラス基板16の第1主面に密着している。
ガラス基板16の第1主面と樹脂層14との間の剥離強度は、支持基材12の第1主面と樹脂層14との間の剥離強度よりも低いことが必要である。すなわち、ガラス基板16と支持基材12とを分離する際には、ガラス基板16の第1主面と樹脂層14との界面で剥離し、支持基材12の第1主面と樹脂層14との界面では剥離しにくいことが必要である。このため、樹脂層14はガラス基板16の第1主面と密着するが、ガラス基板16を容易に剥離することができる表面特性を有する。すなわち、樹脂層14は、ガラス基板16の第1主面に対してある程度の結合力で結合してガラス基板16の位置ずれなどを防止していると同時に、ガラス基板16を剥離する際には、ガラス基板16を破壊することなく、容易に剥離できる程度の結合力で結合している。本発明では、この樹脂層14表面の容易に剥離できる性質を剥離性という。一方、支持基材12の第1主面と樹脂層14とは相対的に剥離しにくい結合力で結合している。
ガラス積層体30において、樹脂層14とガラス基板16とは粘着剤が有するような粘着力によっては付いておらず、固体分子間におけるファンデルワールス力に起因する力、すなわち、密着力によって付いていることが好ましい。
一方、樹脂層14の、支持基材12の第1主面に対する結合力は、ガラス基板16の第1主面に対する結合力よりも相対的に高い。本発明では、ガラス基板16の第1主面に対する結合を密着といい、支持基材12の第1主面に対する結合を固定という。
また、樹脂層14の柔軟性が高いので、ガラス基板16と樹脂層14との間に気泡や塵介等の異物が混入しても、ガラス基板16のゆがみ欠陥の発生を抑制できる。
樹脂層14のガラス基板16の第1主面に対する剥離強度を相対的に低くし、樹脂層14の支持基材12の第1主面に対する剥離強度を相対的に高くするために、硬化性シリコーン樹脂組成物を支持基材12の第1主面上で硬化させて硬化シリコーン樹脂からなる樹脂層14を形成し、その後に硬化シリコーン樹脂からなる樹脂層14にガラス基板16を積層して密着させることが好ましい。
本発明における硬化シリコーン樹脂は、ガラス基板16と密着させても剥離強度は低い。
しかし、硬化シリコーン樹脂となる硬化性シリコーン樹脂組成物を支持基材12表面で硬化させると、硬化反応時の支持基材表面との相互作用により接着し、硬化後の硬化シリコーン樹脂と支持基材表面との剥離強度は高くなると考えられる。
したがって、ガラス基板16と支持基材12とが同じ材質からなるものであっても、樹脂層と両者間の剥離強度に差を設けることができる。
ガラス基板16の第1主面に対する剥離強度と支持基材12の第1主面に対する剥離強度とに差を設けた樹脂層14の形成は、上記方法に限られるものではない。
例えば、硬化シリコーン樹脂表面に対する密着性がガラス基板16よりも高い材質の支持基材12を用いる場合には、硬化シリコーン樹脂フィルムを介在させてガラス基板16と支持基材12とを同時に積層することができる。
また、硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化による接着性がガラス基板16に対して充分低くかつその接着性が支持基材12に対して充分高い場合は、ガラス基板16と支持基材12との間で硬化性シリコーン樹脂組成物を硬化させて樹脂層14を形成することができる。
支持基材12がガラス基板16と同様のガラス材料からなる場合であっても、支持基材12表面の接着性を高める処理を施して樹脂層14に対する剥離強度を高めることもできる。例えば、ガラス材料からなる支持基材12表面にシラノール基の濃度を高める処理を施して樹脂層14との結合力を高めることができる。
付加反応型の硬化性シリコーン樹脂組成物は、線状のオルガノアルケニルポリシロキサンと、線状のオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、触媒等の添加剤とを含む硬化性の組成物であり、加熱により硬化して硬化シリコーン樹脂となる。
本発明における樹脂層14は、概略的には、線状のオルガノアルケニルポリシロキサンである線状オルガノポリシロキサン(a)と、線状のオルガノハイドロジェンポリシロキサンである線状オルガノポリシロキサン(b)と、環状のオルガノアルケニルポリシロキサンまたはオルガノハイドロジェンポリシロキサンである環状オルガノポリシロキサン(c)とを含有する付加反応型の硬化性シリコーン樹脂組成物を硬化せしめてなる、硬化シリコーン樹脂の層である。
一般に、他の硬化性シリコーン樹脂に比較して、付加反応型の硬化性シリコーン樹脂は硬化反応がしやすく、硬化収縮も低く、硬化物の剥離性の程度が良好である。
本発明における付加反応型の硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化物は、そのうちでも特に剥離強度の経時的変化が少なく、耐熱性が優れている。
以下に樹脂層14の形成に使用される硬化性シリコーン樹脂組成物について詳述する。
<線状オルガノポリシロキサン(a)>
本発明における硬化性シリコーン樹脂組成物が含む線状オルガノポリシロキサン(a)は、アルケニル基を1分子あたり少なくとも2個有する線状オルガノポリシロキサンである。なお、アルケニル基を有する線状オルガノポリシロキサンを、以下オルガノアルケニルポリシロキサンともいう。
アルケニル基としては特に限定されないが、例えば、ビニル基(エテニル基)、アリル基(2−プロペニル基)、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキシニル基、などが挙げられ、中でも耐熱性に優れる点から、ビニル基が好ましい。
鎖状オルガノポリシロキサン(a)において、アルケニル基の濃度は、0.1〜20.4mmol/gが好ましく、0.5〜11.6mmol/gがより好ましい。
一般に、線状のオルガノポリシロキサンの両末端の1官能性単位はM単位と呼ばれ、両末端以外の2官能性の単位はD単位と呼ばれ、n個のD単位を有する線状のオルガノポリシロキサンの構造は、M(D)Mで表される。また、各単位の平均組成を表す場合、M(D)で表されることもある。
線状オルガノポリシロキサン(a)において、アルケニル基はM単位またはD単位に存在し、M単位とD単位の両方に存在していてもよい。硬化速度の点から、少なくともM単位に存在していることが好ましく、2個のM単位の両方に存在していることが好ましい。
また、M単位のみにアルケニル基を有するオルガノアルケニルポリシロキサンは、それが高分子量になるほど1分子あたりのアルケニル基濃度が低くなり硬化シリコーン樹脂の架橋密度が低下するため、耐熱性の低下をもたらすおそれがあることより、M単位とともにD単位の一部にもアルケニル基を有していることが好ましい。
線状オルガノポリシロキサン(a)の1分子あたりのアルケニル基の数は、硬化物の耐熱性の点で、2〜120個が好ましく、2〜100個がより好ましい。
線状オルガノポリシロキサン(a)としては、下記式(1)で表される平均組成の線状オルガノポリシロキサンが好ましい。
(M(M(D(D ・・・(1)
ただし、Mはアルケニル基とケイ素原子に結合した水素原子のいずれも有しないM単位、Mはケイ素原子に結合したアルケニル基を有するM単位、Dはアルケニル基とケイ素原子に結合した水素原子のいずれも有しないD単位、およびDはケイ素原子に結合したアルケニル基を有するD単位を表し、aは0〜2の数、bは0〜2の数でa+b=2、cは0以上の数、dは0以上の数でc+d=nである(ただし、b+dは2以上)。より好ましい式(1)で表されるオルガノアルケニルポリシロキサンは、aが0以上1未満の数、bは1以上2以下の数、cは1以上の数、dは1以上の数である。
単位はケイ素原子に結合したアルケニル基を2個または3個有してもよいが、好ましくは1個有する。
単位はケイ素原子に結合したアルケニル基を2個有してもよいが、好ましくは1個有する。
アルケニル基としてはビニル基が好ましい。
単位、D単位、好ましいM単位、好ましいD単位は下記式で表されるものであることが好ましい。
〜Rは、それぞれ独立に、上記と同様に炭素数4以下のアルキル基もしくはフルオロアルキル基またはフェニル基を表す。R〜Rは好ましくはすべてメチル基である。
上記式(1)はオルガノアルケニルポリシロキサンにおけるオルガノシロキサン単位の平均の組成を示すものである。
線状オルガノポリシロキサン(a)の個々の分子は、好ましくは、aは0または1である整数、bは1または2である整数でa+b=2、cは1以上の整数、dは0以上の整数である。
線状オルガノポリシロキサン(a)は1分子あたりアルケニル基を2個以上有することより、b+dが2以上であることが好ましい。
オルガノポリシロキサン(a)は他のオルガノアルケニルポリシロキサンとの混合物であってもよいが、通常オルガノポリシロキサン(a)のみが使用される。ただし、オルガノポリシロキサン(a)は2種以上のオルガノアルケニルポリシロキサン(a)混合物であってもよい。
また、上記式(1)のオルガノアルケニルポリシロキサンにおいて、DとDとがいずれも多数存在する場合、DとDとの配列はランダム共重合鎖構造であってもブロック共重合鎖構造であってもよい。
なお、オルガノポリシロキサン(a)としては国際公開第2007/018028号に記載の式(3)や同式(4)で表されるオルガノアルケニルポリシロキサンを使用できる。
鎖状オルガノポリシロキサン(a)の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜5,000,000が好ましく、2,000〜3,000,000がより好ましく、3,000〜1,000,000がさらに好ましい。Mwをこの範囲とすることにより、加熱硬化時の揮散が抑制され、また、高粘度となりすぎず作業性が良好となる。
なお、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法(GPC)による標準ポリスチレン換算値で示される(以下、同様)。
鎖状オルガノポリシロキサン(a)の25℃における粘度は、100〜1000mPasが好ましく、300〜700mPasが好ましい。
<線状オルガノポリシロキサン(b)>
本発明における硬化性シリコーン樹脂組成物が含む線状オルガノポリシロキサン(b)は、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの1種である。
線状オルガノポリシロキサン(b)は、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子あたり少なくとも3個有する線状オルガノポリシロキサンである。
線状オルガノポリシロキサン(b)において、ケイ素原子に結合した水素原子(Si−H基)の濃度は、0.90〜43.5mmol/gが好ましく、3.0〜16.7mmol/gがより好ましい。
本発明における線状オルガノポリシロキサン(b)は、2個のM単位の少なくとも一方にケイ素原子に結合した水素原子が存在していることが好ましい。より好ましい線状オルガノポリシロキサン(b)は、2個のM単位のそれぞれにケイ素原子に結合した水素原子が存在し、かつn個存在するD単位の一部のD単位にもケイ素原子に結合した水素原子が存在する、線状オルガノポリシロキサンである。
なお、線状オルガノポリシロキサン(b)は、他の線状オルガノハイドロジェンポリシロキサンと併用することもできる。他の線状オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば、M単位にケイ素原子に結合した水素原子が存在せず、D単位の一部のみにケイ素原子に結合した水素原子が存在する線状オルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。
線状オルガノポリシロキサン(b)、または、線状オルガノポリシロキサン(b)と他の線状オルガノハイドロジェンポリシロキサンとの混合物としては、例えば、下記式(2)で表される平均組成の線状オルガノポリシロキサンが好適に挙げられる。
(Mα(Mβ(Dγ(Dδ ・・・(2)
ただし、Mはケイ素原子に結合した水素原子とアルケニル基のいずれも存在しないM単位(上記式(1)におけるM単位と同じ)、Mはケイ素原子に結合した水素原子が存在するM単位、Dはケイ素原子に結合した水素原子とアルケニル基のいずれも存在しないD単位(上記式(1)におけるD単位と同じ)、およびDはケイ素原子に結合した水素原子が存在するD単位を表し、αは0以上2未満の数、βは0でない2以下の数でα+β=2、γは0を超える数、δは0以上の数でγ+δ=nである。
より好ましいオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、αは0以上1未満の数、βは1以上2以下の数、γは1以上の数、δは1以上の数である。
なお、国際公開第2007/018028号に記載の式(5)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、β=0の化合物である。
単位はケイ素原子に結合した水素原子を2個または3個有してもよいが、好ましくは1個有する。
単位はケイ素原子に結合した水素原子を2個有してもよいが、好ましくは1個有する。
単位、D単位、好ましいM単位、好ましいD単位は下記式で表されるものであることが好ましい。
〜Rは、それぞれ独立に、炭素数4以下のアルキル基もしくはフルオロアルキル基またはフェニル基を表す。R〜Rは好ましくはすべてメチル基である。
単位が存在する場合(δが0でない場合)、DとDとの存在比であるγ/δは、分子中のケイ素原子に結合した水素原子の密度を表す指標である。この存在比(γ/δ)は、0.2〜30が好ましく、特に0.5〜20が好ましい。
この存在比が小さすぎると、硬化シリコーン樹脂中に、未反応の水素原子(ケイ素原子に結合した水素原子)の残存量が多くなることより、硬化シリコーン樹脂のガラス基板に対する剥離強度の経時的変化が大きくなり、また耐熱性の低下をもたらすおそれがある。
また、存在比が大きすぎると、硬化シリコーン樹脂の架橋密度が低下するため、耐熱性の低下をもたらすおそれがある。
単位とD単位との存在比を表すβ/δは、15≦(β/δ)×1000≦1500が好ましい。より好ましくは15≦(β/δ)×1000≦1000であり、特に15≦(β/δ)×1000≦500が好ましい。
(β/δ)×1000が15よりも小さいと分子量が大きくなり、あるいは官能基の立体障害が大きくなり、反応性が低下することより、硬化シリコーン樹脂のガラス基板に対する剥離強度の経時的変化が大きくなるおそれがある。
一方、(β/δ)×1000が1500よりも大きいと、架橋密度が小さくなるため、強度等の物性が充分な硬化シリコーン樹脂が得られないおそれが生じる。
上記式(2)は、オルガノハイドロジェンポリシロキサンにおけるオルガノシロキサン単位の平均の組成を示すものである。
線状オルガノポリシロキサン(b)の個々の分子は、好ましくは、αは0または1である整数、βは1または2である整数でα+β=2、γは1以上の整数、δは0以上の整数である。
より好ましい線状オルガノポリシロキサン(b)は、αが0以上1未満の数、βが1以上2以下の数、γが1以上の数、δが1以上の数である化合物である。
また、線状オルガノポリシロキサン(b)は、1分子あたり、ケイ素原子に結合した水素原子を3個以上有することより、β+εが3以上であることが好ましい。
線状オルガノポリシロキサン(b)の1分子あたりのケイ素原子に結合した水素原子の数は、硬化物の耐熱性の点で、3個〜120個が好ましく、3個〜100個がより好ましい。
線状オルガノポリシロキサン(b)以外のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの個々の分子は、例えば、αが2、βが0、γは0以上の整数、δが1以上の整数であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。
なお、これら分子においてDとDとがいずれも多数存在する場合、DとDとの配列はランダム共重合鎖構造であってもブロック共重合鎖構造であってもよい。通常は環状シロキサンの開環重合で共重合鎖が形成されることより、開環した環状シロキサンのブロックがランダムに共重合した構造を有すると考えられる。
上述したように、線状オルガノポリシロキサン(b)としては個々の分子が線状オルガノポリシロキサン(b)であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンばかりでなく、線状オルガノポリシロキサン(b)と他のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの混合物(その平均組成が前記式(2)で表されるもの)であってもよい。
その場合、使用されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの全モル数のうち、線状オルガノポリシロキサン(b)は20モル%以上含まれることが好ましい。20モル%未満であると、ケイ素原子に結合した水素原子が残存し易くなり、経時的に樹脂層14とガラス基板16との界面の剥離強度が上昇しやすく好ましくない。硬化シリコーン樹脂の耐熱性および樹脂層14とガラス基板との剥離強度の経時安定性の観点から、線状オルガノポリシロキサン(b)の含有量は、50モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましい。
鎖状オルガノポリシロキサン(b)の重量平均分子量(Mw)は、300〜5,000,000が好ましく、400〜1,000,000がより好ましく、500〜500,000がさらに好ましい。
鎖状オルガノポリシロキサン(b)の25℃における粘度は、10〜100mPasが好ましく、20〜50mPasがより好ましい。
<環状オルガノポリシロキサン(c)>
本発明における硬化性シリコーン樹脂組成物が含む環状オルガノポリシロキサン(c)は、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子あたり少なくとも2個有する環状オルガノポリシロキサン(c1)およびケイ素原子に結合した水素原子を1分子あたり少なくとも3個有する環状オルガノポリシロキサン(c2)から選択される少なくとも1種の環状オルガノポリシロキサンである。
本発明においては、硬化シリコーン樹脂層となる硬化性シリコーン樹脂組成物に、上述した線状オルガノポリシロキサン(a)および線状オルガノポリシロキサン(b)のほか、さらに、環状オルガノポリシロキサン(c)を含ませることで、高温加熱処理後でも硬化シリコーン樹脂層の分解を抑制することができる。
この理由は明らかではないが、以下のように推測される。すなわち、硬化性シリコーン樹脂組成物が、単に、線状オルガノポリシロキサン(a)および線状オルガノポリシロキサン(b)のみを含有する場合と比べて、さらに環状オルガノポリシロキサン(c)を含有することで、硬化物の架橋密度が高くなるためと考えられる。
また、線状オルガノポリシロキサン(a)および線状オルガノポリシロキサン(b)は、線状であるため、高温加熱処理が施されると、それぞれ折れ曲がった状態で、Si−O結合が切れて、このSi原子が同じ1分子内の他のOと新たなSi−O結合を形成し(以下、これを「Si−O結合の入れ替え」と呼ぶ)、その結果、環状の低分子ポリシロキサンが生成し、揮発することが考えられる。しかし、本発明においては、さらに、環状オルガノポリシロキサン(c)を含有することで、線状オルガノポリシロキサン(a)および線状オルガノポリシロキサン(b)は、1分子内でのSi−O結合の入れ替えが生じにくくなったり、また、Si−O結合の入れ替えが生じても、他の分子との入れ替えとなるため低分子ポリシロキサンが生成しにくくなったりして、揮発成分の発生が抑制され、その結果、硬化シリコーン樹脂層の分解が抑制されると考えられる。
環状オルガノポリシロキサン(c)は、複数個のD単位が環状に結合したオルガノポリシロキサンであり、このD単位に、ケイ素原子に結合したアルケニル基またはケイ素原子に結合した水素原子が存在する。
アルケニル基としては特に限定されないが、例えば、ビニル基(エテニル基)、アリル基(2−プロペニル基)、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキシニル基、などが挙げられ、中でも耐熱性に優れる点から、ビニル基が好ましい。
環状オルガノポリシロキサン(c)の、環を構成するケイ素原子の個数は、合成の容易性および硬化物の耐熱性の観点から、3〜10個が好ましく、3〜8個がより好ましく、3〜6個が特に好ましい。
また、環状オルガノポリシロキサン(c)におけるアルケニル基の濃度またはケイ素原子に結合した水素原子の濃度は、合成の容易性という理由から、0.5〜44mmol/gが好ましく、1.0〜17mol/gがより好ましい。
次に、環状オルガノポリシロキサン(c)である、環状オルガノポリシロキサン(c1)および環状オルガノポリシロキサン(c2)について、より詳細に説明する。
なお、環状オルガノポリシロキサン(c1)の1分子あたりのアルケニル基の数は、硬化物の耐熱性の点で、2〜20個が好ましく、3〜20個がより好ましい。
また、環状オルガノポリシロキサン(c2)の1分子あたりのケイ素基に結合した水素原子の数は、硬化物の耐熱性の点で、2〜20個が好ましく、3〜20個がより好ましい。
《環状オルガノポリシロキサン(c1)》
環状オルガノポリシロキサン(c1)の好適態様としては、例えば、下記式(c1−1)で表される環状オルガノアルケニルポリシロキサンが挙げられる。
式(c1−1)中、Viはビニル基を表し、R11〜R13は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を表し、hは2〜6の整数を表し、iは0〜4の整数を表し、h+iは3〜10の整数を表す。
式(c1−1)中のR11〜R13が表す炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、2級ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。
式(c1−1)中のR11〜R13が表す炭素数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基、エチルフェニル基、トリル基、クメニル基、キシリル基、プソイドクメニル基、メシチル基、t−ブチルフェニル基、ベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。
式(c1−1)中のR11〜R13が表す基としては、耐熱性、工業的な入手の容易さ等の観点から、メチル基、エチル基、フェニル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
式(c1−1)中のhは、硬化物の硬度の観点から、3〜6の整数が好ましく、3または4がより好ましい。
式(c1−1)中のiは、合成の容易性の観点から、0または1が好ましく、0がより好ましい。
式(c1−1)で表わされる環状オルガノポリシロキサン(c1)の具体例としては、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリビニルシクロトリシロキサン、2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン、2,4,6,8−テトラエチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン、2,4,6,8−テトラフェニル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン、2,4,6−トリメチル−8−フェニル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン、2,4−ジメチル−6,8−ジフェニル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン、2,4,6,8−テトラメチル−2−フェニル−4,6,8−トリビニルシクロテトラシロキサン、2,4,6,8,10−ペンタメチル−2,4,6,8,10−ペンタビニルシクロペンタシロキサン、2,4,6,8−テトラメチル−10−フェニル−2,4,6,8,10−ペンタビニルシクロペンタシロキサン、2,4,6,8−テトラメチル−10−フェニル−2,4,6,8,10−ペンタビニルシクロペンタシロキサン、2,4,6−トリメチル−8,10−ジフェニル−2,4,6,8,10−ペンタビニルシクロペンタシロキサン、2,4−ジメチル−6,8,10−トリフェニル−2,4,6,8,10−ペンタビニルシクロペンタシロキサン、2,4,6,8,10−ペンタメチル−2−フェニル−4,6,8,10−テトラビニルシクロペンタシロキサン、2,4,6,8,10−ペンタメチル−2,4−ジフェニル−6,8,10−トリビニルシクロペンタシロキサン、2,4,6,8,10,12−ヘキサメチル−2,4,6,8,10,12−ヘキサビニルシクロヘキサシロキサン等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリビニルシクロトリシロキサン、2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン、2,4,6−トリメチル−8−フェニル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン、2,4−ジメチル−6,8−ジフェニル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン、2,4,6,8−テトラメチル−2−フェニル−4,6,8−トリビニルシクロテトラシロキサン、2,4,6,8,10−ペンタメチル−2,4,6,8,10−ペンタビニルシクロペンタシロキサン、2,4,6,8,10−ペンタメチル−2−フェニル−4,6,8,10−テトラビニルシクロペンタシロキサンが好ましく、2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン、2,4,6,8−テトラメチル−2−フェニル−4,6,8−トリビニルシクロテトラシロキサン、2,4,6−トリメチル−8−フェニル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサンがより好ましい。
《環状オルガノポリシロキサン(c2)》
環状オルガノポリシロキサン(c2)の好適態様としては、例えば、下記式(c2−1)で表される環状オルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。
式(c2−1)中、R11〜R13は各々独立して炭素数1〜4のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を表し、jは3〜6の整数を表し、kは0〜4の整数を表し、j+kは3〜10の整数を表す。
式(c2−1)中のR11〜R13は、式(c1−1)中のR11〜R13と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(c2−1)中のjは、硬化物の硬度の観点から、4または5が好ましく、4がより好ましい。
式(c2−1)中のkは、合成の容易性の観点から、0または1が好ましく、0がより好ましい。
式(c2−1)で表される環状オルガノポリシロキサン(c2)の具体例としては、2,4,6−トリメチルシクロトリシロキサン、2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン、2,4,6,8−テトラエチルシクロテトラシロキサン、2,4,6,8−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、2,4,6−トリメチル−8−フェニルシクロテトラシロキサン等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<各成分の含有量>
硬化性シリコーン樹脂組成物において、線状オルガノポリシロキサン(a)と、線状オルガノポリシロキサン(b)と、環状オルガノポリシロキサン(c)との含有比率は特に限定されない。
450℃における耐熱性の観点からは、硬化性シリコーン樹脂組成物における下記式(3)で表される環状オルガノポリシロキサン(c1)中のアルケニル基のモル数(C1)と環状オルガノポリシロキサン(c2)中のアルケニル基のモル数(C2)との割合(モル%)は20以上であることが好ましい。
C1×100/(A+C1)+C2×100/(B+C2) ・・・(3)
ただし、Aは線状オルガノポリシロキサン(a)中のアルケニル基のモル数、Bは線状オルガノポリシロキサン(b)中のケイ素原子に結合した水素原子のモル数、C1は環状オルガノポリシロキサン(c1)中のアルケニル基のモル数およびC2は環状オルガノポリシロキサン(c2)中のケイ素原子に結合した水素原子のモル数を表す。
例えば、環状オルガノポリシロキサン(c)が環状オルガノポリシロキサン(c1)のみからなる場合(すなわち、C2=0の場合)、線状オルガノポリシロキサン(a)中のアルケニル基と環状オルガノポリシロキサン(c1)中のアルケニル基との合計に対する環状オルガノポリシロキサン(c1)中のアルケニル基の割合は20モル%以上であることが好ましい。
上記式(3)で表される割合(モル%)の値は、20〜100であることが好ましく、24〜95であることがより好ましく、耐クラック性の観点から24〜93であることがさらに好ましい。
さらに、同様に、耐クラック性の観点からは、線状オルガノポリシロキサン(a)と線状オルガノポリシロキサン(b)と環状オルガノポリシロキサン(c)との合計100質量%に対して、環状オルガノポリシロキサン(c)の含有量は、0.1〜60質量%が好ましく、0.5〜38質量%がより好ましく、30質量%未満が特に好ましい。
すなわち、環状オルガノポリシロキサン(c)の含有量が多すぎると、硬化シリコーン樹脂層が硬くなりすぎてしまい、薄い膜厚であってもクラックが生じる可能性が高くなるおそれがあるが、環状オルガノポリシロキサン(c)の含有量が上記範囲内であれば、硬化シリコーン樹脂層が硬くなりすぎず、クラックを生じさせることなく形成できる最大膜厚を厚くすることができる、すなわち、耐クラック性を良好にできる。
また、より耐クラック性を良好にする点で、環状オルガノポリシロキサン(c)におけるアルケニル基の濃度またはケイ素原子に結合した水素原子の濃度が0.5〜44mmol/gである環状オルガノポリシロキサン(c)の含有量が、線状オルガノポリシロキサン(a)と線状オルガノポリシロキサン(b)と環状オルガノポリシロキサン(c)との合計100質量%に対して、0.1〜60質量%であることが好ましい。
さらに、環状オルガノポリシロキサン(c)は環状オルガノポリシロキサン(c1)のみからなることがより好ましい。
なお、線状オルガノポリシロキサン(a)の含有量は、線状オルガノポリシロキサン(a)と線状オルガノポリシロキサン(b)と環状オルガノポリシロキサン(c)との合計100質量%に対して、5〜95質量%が好ましく、10〜90質量がより好ましい。
また、線状オルガノポリシロキサン(b)の含有量は、線状オルガノポリシロキサン(a)と線状オルガノポリシロキサン(b)と環状オルガノポリシロキサン(c)との合計100質量%に対して、3〜75質量%が好ましく、8〜65質量%がより好ましい。
また、硬化性シリコーン樹脂組成物においては、線状オルガノポリシロキサン(a)と、線状オルガノポリシロキサン(b)と、環状オルガノポリシロキサン(c)との量を、全アルケニル基に対する全ケイ素原子に結合した水素原子のモル比(水素原子/アルケニル基)が0.7〜1.05となるように調整するのが好ましく、0.8〜1.0となるように調整するのがより好ましい。
上記モル比が1.05を超える場合には、硬化シリコーン樹脂の長期間放置後の剥離力が上昇しやすく、剥離性が十分でない可能性がある。一方、上記モル比が0.7未満である場合には、硬化シリコーン樹脂の架橋密度が低下するため、耐薬品性等に問題が生じる可能性がある。
なお、ケイ素原子に結合した水素原子とアルケニル基のモル比が1.05を超える場合に長期間放置後の剥離力が上昇する原因は明らかではないが、長期間放置により、空気中の水分徐々に浸入し、硬化シリコーン樹脂中の未反応のヒドロシリル基(Si−H基)が加水分解され、ガラス基板表面のシラノール基との間でなんらかの反応が関与しているものと考えられる。従って、樹脂層14中には、実質的に未反応のケイ素原子に結合した水素原子が残存していないことが好ましい。
<その他構成成分>
本発明における硬化性シリコーン樹脂組成物には、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、各種添加剤が含有されていてもよい。
添加剤として、通常、ケイ素原子に結合した水素原子とアルケニル基の反応を促進する触媒(付加反応用触媒)を使用することが好ましい。この触媒としては白金族金属系触媒を用いることが好ましい。
白金族金属系触媒としては、白金系、パラジウム系、ロジウム系などの触媒が挙げられ、特に白金系触媒として用いることが経済性、反応性の点から好ましい。
白金系触媒としては、公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、白金微粉末;白金黒;塩化第一白金酸、塩化第二白金酸などの塩化白金酸;四塩化白金;塩化白金酸のアルコール化合物、アルデヒド化合物;白金のオレフィン錯体、アルケニルシロキサン錯体、カルボニル錯体;等が挙げられる。
触媒は、線状オルガノポリシロキサン(a)と線状オルガノポリシロキサン(b)と環状オルガノポリシロキサン(c)との合計質量に対する質量比で、2〜400ppmが好ましく、5〜300ppmがより好ましく、8〜200ppmがさらに好ましい。
本発明における硬化性シリコーン樹脂組成物には、さらに、触媒とともに、触媒活性を調整する目的で、触媒活性を抑制する作用のある活性抑制剤(反応抑制剤、遅延剤等とも呼ばれる化合物)を併用することが好ましい。
活性抑制剤として、より具体的には、例えば、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、2−メチル−3−ブチン−2−オール、2−フェニル−3−ブチン−2−オール、2−エチニルイソプロパノール、2−エチニルブタン−2−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレン系アルコール類;トリメチル(3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オキシ)シラン、メチルビニルビス(3−メチル−1−ブチン−3−オキシ)シラン、((1,1−ジメチル−2−プロピニル)オキシ)トリメチルシラン等のシリル化アセチレン系アルコール類;ジアリルマレート、ジメチルマレート、ジエチルフマレート、ジアリルフマレート、ビス(メトキシイソプロピル)マレート等の不飽和カルボン酸エステル類;2−イソブチル−1−ブテン−3−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン、3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3−メチル−3−ヘキセン−1−イン、1−エチニルシクロヘキセン、3−エチル−3−ブテン−1−イン、3−フェニル−3−ブテン−1−イン等の共役ene−yne類;1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン等のビニルシクロテトラシロキサン類;などが例示される。特に、アセチレン系化合物(例えば、アセチレンアルコール類およびアセチレンアルコールのシリル化物)が好適である。組成物中における反応抑制剤の含有量は特に制限されないが、上記線状オルガノポリシロキサン(a)と、線状オルガノポリシロキサン(b)と、環状オルガノポリシロキサン(c)との合計100質量部に対して0.00001〜5質量部の範囲内であることが好ましい。
さらに必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、各種シリカ、炭酸カルシウム、酸化鉄などの無機フィラー等を含有していてもよい。
また、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレンなどの有機溶媒や水などの分散媒は、硬化シリコーン樹脂を構成しない成分であるが、硬化性シリコーン樹脂組成物の塗布のための作業性向上などの目的で本発明における硬化性シリコーン樹脂組成物に配合して使用できる。
<樹脂層の形成>
上述したように、硬化性シリコーン樹脂組成物を支持基材12の第1主面上で硬化させて硬化シリコーン樹脂からなる樹脂層14を形成することが好ましい。
そのために、硬化性シリコーン樹脂組成物を支持基材の片面に塗布して硬化性シリコーン樹脂組成物の層を形成し、次いで硬化性シリコーン樹脂組成物を硬化させて硬化シリコーン樹脂層を形成する。
硬化性シリコーン樹脂組成物の層の形成は、硬化性シリコーン樹脂組成物が流動性の組成物の場合はそのまま塗布し、硬化性シリコーン樹脂組成物が流動性の低い組成物や流動性のない組成物の場合は、有機溶剤を配合して塗布する。また、硬化性シリコーン樹脂組成物の乳化液や分散液なども使用できる。有機溶剤などの揮発性成分を含む塗膜は、次いでその揮発性成分を蒸発除去して硬化性シリコーン樹脂組成物の層とする。硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化は、揮発性成分の蒸発除去と連続して行うことができる。
硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化は上記方法に限られるものではない。例えば、硬化性シリコーン樹脂組成物を何らかの剥離性表面上で硬化して硬化シリコーン樹脂のフィルムを製造し、このフィルムを支持基材に積層して支持体を製造することができる。
また、硬化性シリコーン樹脂組成物が揮発性成分を含まない場合、上記のように、ガラス基板16と支持基材12との間に挟持して硬化させることができる。
硬化性シリコーン樹脂組成物を支持基材の片面に塗布して硬化性シリコーン樹脂組成物の層を形成する場合、塗布方法は特に限定されず、従来公知の方法が挙げられる。
公知の方法としては、例えば、スプレーコート法、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、スクリーン印刷法、グラビアコート法が挙げられる。
このような方法の中から、組成物の種類に応じて適宜選択できる。例えば、硬化性シリコーン樹脂組成物に揮発性成分を配合していない場合、ダイコート法、スピンコート法またはスクリーン印刷法が好ましい。
溶剤などの揮発性成分を配合した組成物の場合、硬化前に加熱等で揮発性成分を除去してから硬化させる。
硬化性シリコーン樹脂組成物を硬化させる条件としては、使用されるオルガノポリシロキサンなどの種類によって異なり、適宜最適な条件が選択される。通常、加熱温度としては50〜300℃が好ましく、処理時間としては5〜300分が好ましい。
樹脂層が低シリコーン移行性を有していれば、ガラス基板を剥離した際に、樹脂層中の成分がガラス基板に移行しにくい。低シリコーン移行性を有する樹脂層とするためには、樹脂層中に未反応のシリコーン成分が残らないように硬化反応をできるだけ進行させることが好ましい。
上述した反応温度および反応時間であると、樹脂層中に未反応のオルガノシリコーン成分が実質的に残らないようにすることができるので好ましい。上記した反応時間よりも長すぎたり、反応温度が高すぎたりする場合には、オルガノシリコーン成分や硬化シリコーン樹脂の酸化分解が同時に起こり低分子量のオルガノシリコーン成分が生成して、シリコーン移行性が高くなる可能性がある。樹脂層中に未反応のオルガノシリコーン成分が残らないように硬化反応をできるだけ進行させることは、加熱処理後の剥離性を良好にするためにも好ましい。
なお、樹脂層と支持基材との高い固定力(高い剥離強度)を付与するために、支持基材表面に表面改質処理(プライミング処理)を行ってもよい。例えば、シランカップリング剤のような化学的に固定力を向上させる化学的方法(プライマー処理);フレーム(火炎)処理のように表面活性基を増加させる物理的方法;サンドブラスト処理のように表面の粗度を増加させることにより引っかかりを増加させる機械的処理方法;等が例示される。
上記硬化シリコーン樹脂からなる樹脂層14の厚さは特に限定されず、ガラス基板16の種類などにより適宜最適な厚さが選択されるが、0.1〜100μmが好ましく、0.5〜50μmがより好ましく、1.0〜20μmがさらに好ましい。
なお、樹脂層14は2層以上からなっていてもよい。この場合「樹脂層の厚さ」は全ての層の合計の厚さを意味するものとする。
また、樹脂層14が2層以上からなる場合は、各々の層を形成する樹脂の種類が異なってもよい。
樹脂層14の剥離性表面の表面張力は、30mN/m以下が好ましく、25mN/m以下がより好ましく、22mN/m以下がさらに好ましい。下限については特に限定はないが、15mN/m以上が好ましい。
このような表面張力であると、より容易にガラス基板16表面と剥離することができ、同時にガラス基板16表面との密着も十分になる。
樹脂層14はガラス転移点が室温(25℃程度)よりも低い、またはガラス転移点を有しない材料からなることが好ましい。このようなガラス転移点であれば、非粘着性を維持しながら適度な弾力性も併せ持つことができ、より容易にガラス基板16表面と剥離することができ、同時にガラス基板16表面との密着も十分になるからである。
硬化シリコーン樹脂からなる樹脂層14の熱分解開始温度は、ガラス基板積層状態で400℃以上が好ましく、420℃以上がより好ましく、430℃〜450℃が特に好ましい。上記範囲内であれば、TFTアレイの製造プロセスなど高温条件(約400℃以上)下においても樹脂層の分解が抑制され、ガラス積層体中の発泡の発生などがより抑制される。
なお、熱分解開始温度は、次の測定方法で表される。
50mm角の支持基材(厚さ=約0.4〜0.6mm)上に樹脂層(厚さ=約15〜20μm)を形成し、同じく50mm角のガラス基板(厚さ=約0.1〜0.4mm)をさらに積層した物を評価サンプルとする。そして、このサンプルを300℃に加熱したホットプレートに載置し、10℃毎分の昇温スピードで加熱し、サンプル内に発泡現象が確認された温度を熱分解開始温度と定義する。
また、樹脂層14の弾性率が高すぎるとガラス基板16表面との密着性が低くなる傾向にある。一方、弾性率が低すぎると剥離性が低くなることがある。本発明における硬化シリコーン樹脂はこの要求性能を満たす弾性率を有する。
<支持体>
本発明の支持体20は、図示例においては、上述した支持基材12と樹脂層14とから構成される。樹脂層14表面は良好な剥離性能を示すため、その上の積層されたガラス基板を破壊することなく剥離できる。そのため、ガラス基板を支持するための支持体として好適に使用できる。また、他の用途としては、有機EL照明用ガラス基板の支持体などが挙げられる。
<ガラス基板>
ガラス基板16は、その上に後述する表示装置用パネルの構成部材18を形成して、表示装置用パネルを製造するためのガラス基板である。
本発明で使用されるガラス基板16の製造方法は特に限定されず、従来公知の方法で製造できる。例えば、従来公知のガラス原料を溶解し溶融ガラスとした後、フロート法、フュージョン法、スロットダウンドロー法、リドロー法、引き上げ法等によって板状に成形して得ることができる。また、市販品を用いることもできる。
ガラス基板16の厚さ、形状、大きさ、物性(熱収縮率、表面形状、耐薬品性等)、組成等は特に限定されず、例えば、従来のLCD、OLED等の表示装置用のガラス基板と同様であってよい。
ガラス基板16の厚さは特に限定されないが、0.7mm未満が好ましく、0.5mm以下がより好ましく、0.4mm以下がさらに好ましい。また、0.05mm以上が好ましく、0.07mm以上がより好ましく、0.1mm以上がさらに好ましい。
ガラス基板16は第1主面および第2主面を有しており、その形状は限定されないが、矩形が好ましい。ここで、矩形とは、実質的に略矩形であり、周辺部の角を切り落とした(コーナーカットした)形状をも含む。
ガラス基板16の大きさは限定されないが、例えば、矩形の場合は100〜2000mm×100〜2000mmであってよく、500〜1000mm×500〜1000mmであることが好ましい。
このような好ましい厚さおよび好ましい大きさであれば、ガラス積層体30は、ガラス基板16と支持体20とを容易に剥離できる。
ガラス基板16の熱収縮率、表面形状、耐薬品性等の特性も特に限定されず、製造する表示装置用パネルの種類により異なる。
ただし、ガラス基板16の熱収縮率は小さいことが好ましい。具体的には熱収縮率の指標である線膨張係数は、150×10−7/℃以下が好ましく、100×10−7/℃以下がより好ましく、45×10−7/℃以下がさらに好ましい。その理由としては、熱収縮率が大きいと高精細な表示装置を作りにくくなるからである。
なお、本発明において線膨張係数は、JIS R3102(1995年)に規定のものを意味する。
ガラス基板16は、例えば、アルカリ金属酸化物含有ケイ酸塩系ガラスや無アルカリのケイ酸塩系ガラスなどからなる。なかでも、熱収縮率が小さいことからアルカリ金属酸化物を含まないホウケイ酸ガラスなどの無アルカリのケイ酸塩系ガラスが好ましい。
上述したガラス基板16の表面は、研磨処理された研磨面でもよく、または研磨処理されていない非エッチング面(生地面)であってもよい。すなわち、作製する表示パネルの要求精度に応じて平坦性を満たす物を適宜選択すればよい。
<ガラス積層体>
本発明におけるガラス積層体30は、図示例においては、上記した支持基材12、樹脂層14、ガラス基板16から構成される。
上述したように、樹脂層14は剥離性表面を有し、ガラス基板16や表示装置用パネル40(表示装置用パネルの構成部材18が形成されたガラス基板16)を容易に剥離できる。
なお、樹脂層14表面とガラス基板16表面との間の剥離強度は、8.5N/25mm以下が好ましく、7.8N/25mm以下がより好ましく、4.5N/25mm以下がさらに好ましい。上記強度内であれば、剥離時の樹脂層の破壊や、ガラス基板等の破壊などが起こりにくく、好ましい。下限については、ガラス基板が樹脂層上で位置ずれを起こさない程度の密着力を有していればよく、通常は1.0N/25mm以上が好ましい。
樹脂層表面とガラス基板表面との間の剥離強度は、次の測定方法により表される。
25×50mm角の支持基材(厚さ=約0.4〜0.6mm)上の全面に樹脂層(厚さ=約15〜20μm)を形成し、25×75mm角のガラス基板(厚さ=約0.1〜0.4mm)を積層した物を評価サンプルとする。そして、このサンプルの支持基材の非吸着面を両面テープで台の端に固定したうえで、はみ出しているガラス基板(25×25mm)の中央部を、デジタルフォースゲージを用いて垂直に突き上げ、剥離強度を測定する。
一方、樹脂層14表面と支持基材12表面との間の剥離強度は、9.8N/25mm以上が好ましく、14.7N/25mm以上がより好ましく、19.6N/25mm以上がさらに好ましい。上記剥離強度を有する場合、ガラス基板等を樹脂層から剥離するときに支持基材と樹脂層との剥離が起こりにくく、ガラス積層体からガラス基板等と支持体(支持基材と樹脂層の積層体)とに容易に分離できる。
上述したように、支持基材上で硬化性シリコーン樹脂組成物を硬化させることで、この剥離強度を容易に達成できる。
また、樹脂層14表面と支持基材12表面との間の剥離強度があまりに高すぎると、支持基材の再利用等のために支持基材と樹脂層の剥離が必要となった際に、その剥離が困難になるおそれがある。したがって、樹脂層14表面と支持基材12表面との間の剥離強度は29.4N/25mm以下が好ましい。
また、樹脂層14表面と支持基材12表面との間の剥離強度は、樹脂層14表面とガラス基板16表面との間の剥離強度よりも、10N/25mm以上高いことが好ましく、15N/25mm以上高いことがより好ましい。
<ガラス積層体の製造方法>
ガラス積層体30の製造方法は、支持体20の樹脂層14の表面にガラス基板16を積層する方法(積層方法)が好ましい。しかし、ガラス積層体30の製造方法は、この積層方法に限られるものではないことは、前述の通りである。
積層方法では、ガラス基板の第1主面と樹脂層の剥離性表面とは、非常に近接した、相対する固体分子間におけるファンデルワールス力に起因する力、すなわち、密着力によって結合させることができると考えられる。したがって、この場合、支持基材とガラス基板とを樹脂層を介して積層させた状態に保持することができる。
このような積層方法により、支持体20と、樹脂層14の剥離性表面側に接したガラス基板16とを有するガラス積層体が得られる。
以下、支持体の樹脂層の表面にガラス基板を積層する方法によるガラス積層体の製造方法を説明する。
支持基材に固定された樹脂層の表面にガラス基板を積層させる方法は特に限定されず、公知の方法を用いて実施することができる。例えば、常圧環境下で樹脂層の表面にガラス基板を重ねた後、加圧チャンバーを用いて樹脂層とガラス基板とを圧着させる非接触圧着方法;ロールやプレスを用いて樹脂層とガラス基板とを圧着させる方法;等が挙げられる。加圧チャンバー、ロール、プレスなどで圧着することにより、樹脂層とガラス基板とがより密着するので好ましい。また、気体による加圧、およびロールまたはプレスによる圧着により、樹脂層とガラス基板との間に混入している気泡が比較的容易に除去されるので好ましい。真空ラミネート法や真空プレス法により圧着すると、気泡の混入の抑制や良好な密着の確保がより良好に行われるのでより好ましい。真空下で圧着することにより、微少な気泡が残存した場合でも加熱により気泡が成長することがなく、ガラス基板のゆがみ欠陥につながりにくいという利点もある。
支持体とガラス基板とを積層させる際には、ガラス基板の表面を十分に洗浄し、クリーン度の高い環境で積層することが好ましい。樹脂層とガラス基板との間に異物が混入しても、樹脂層が変形するのでガラス基板の表面の平坦性に影響を与えることはないが、クリーン度が高いほどその平坦性は良好となるので好ましい。
<表示装置用パネルの構成部材>
本発明において、表示装置用パネルの構成部材18とは、ガラス基板16を使用したLCD、OLED等の表示装置において、ガラス基板16上に形成された部材やその一部をいう。
例えば、LCD、OLED等の表示装置においては、ガラス基板16の表面にTFTアレイ(以下、単に「アレイ」という。)、保護層、カラーフィルタ、液晶、ITOからなる透明電極等、各種回路パターン等の部材、またはこれらを組み合わせたものが形成される。
また、例えば、OLEDからなる表示装置においては、ガラス基板16上に形成された透明電極、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層等が挙げられる。
ガラス基板16と構成部材18からなる表示装置用パネル40は、上記部材の少なくとも一部が形成されたガラス基板である。したがって、例えば、アレイが形成されたガラス基板16や透明電極が形成されたガラス基板16が表示装置用パネル40である。
<支持体付き表示装置用パネル>
支持体付き表示装置用パネル10は、図示例においては、支持基材12、樹脂層14、ガラス基板16、および、表示装置用パネルの構成部材18から構成される。
なお、支持体付き表示装置用パネル10には、例えば、アレイがガラス基板の第2主面に形成された支持体付き表示装置用パネルのアレイ形成面と、カラーフィルタがガラス基板の第2主面に形成された他の支持体付き表示装置用パネルのカラーフィルタ形成面とを、シール材等を介して貼り合わされた形態も含まれる。
また、このような支持体付き表示装置用パネル10から、表示装置用パネル40を得ることができる。つまり、支持体付き表示装置用パネル10から、ガラス基板16と支持基材12に固定されている樹脂層14とを剥離して、表示装置用パネルの構成部材18およびガラス基板16を有する表示装置用パネル40を得ることができる。
また、このような表示装置用パネルから表示装置を得ることができる。表示装置としては、例えば、LCD、OLED等が挙げられる。LCDとしては、例えば、TN型、STN型、FE型、TFT型、MIM型などが挙げられる。
<支持体付き表示装置用パネルの製造方法>
上述した支持体付き表示装置用パネル10の製造方法は特に限定されないが、上記したガラス積層体30のガラス基板16表面上に、表示装置用パネルの構成部材18の少なくとも一部を形成することが好ましい。
ガラス積層体のガラス基板表面上に、表示装置用パネルの構成部材の少なくとも一部を形成する方法は特に限定されず、表示装置用パネルの構成部材の種類に応じて従来公知の方法が実施される。
例えば、OLEDを製造する場合を例にとると、ガラス積層体のガラス基板の第2主面上に有機EL構造体を形成するために、ガラス基板の第2主面上に透明電極を形成する、さらに透明電極を形成した面上にホール注入層・ホール輸送層・発光層・電子輸送層等を蒸着する、裏面電極を形成する、封止板を用いて封止する、等の各種の層形成や処理が行われる。これらの層形成や処理として、具体的には、例えば、成膜処理、蒸着処理、封止板の接着処理などが挙げられる。これら構成部材の形成は、表示装置用パネルに必要な全構成部材の形成の一部であってもよい。その場合、その一部の構成部材を形成したガラス基板を樹脂層から剥離した後、残りの構成部材をガラス基板上に形成して表示装置用パネルを製造する。
<表示装置用パネルの製造方法>
上述した支持体付き表示装置用パネルを得た後、さらに、支持体付き表示装置用パネル10におけるガラス基板16の第1主面と樹脂層14の剥離性表面とを剥離して、表示装置用パネル40を得ることができる。
上述したように、剥離時のガラス基板上の構成部材が表示装置用パネルに必要な全構成部材の形成の一部である場合には、その後残りの構成部材をガラス基板上に形成して表示装置用パネルを製造する。
ガラス基板の第1主面と樹脂層の剥離性表面とを剥離する方法は、特に限定されない。
具体的には、例えば、ガラス基板と樹脂層との界面に鋭利な刃物状のものを差し込み、剥離のきっかけを与えた上で、水と圧縮空気との混合流体を吹き付けたりして剥離することができる。
好ましくは、支持体付き表示装置用パネルの支持基材が上側、パネル側が下側となるように定盤上に設置し、パネル側基板を定盤上に真空吸着し(両面に支持基材が積層されている場合は順次行う)、この状態でまず刃物をガラス基板−樹脂層界面に刃物を侵入させる。そして、その後に支持基材側を複数の真空吸着パッドで吸着し、刃物を差し込んだ箇所付近から順に真空吸着パッドを上昇させる。そうすると樹脂層とパネル側ガラス基板との界面へ空気層が形成され、その空気層が界面の全面に広がり、支持基材を容易に剥離できる(支持体付き表示装置用パネルの両面に支持基材が積層されている場合は、上記剥離工程を片面ずつ繰り返す)。
また、上述した表示装置用パネルを得た後、さらに、得られた表示装置用パネルを用いて表示装置を製造できる。ここで表示装置を得る操作は特に限定されず、例えば、従来公知の方法で表示装置を製造できる。
例えば、表示装置としてTFT−LCDを製造する場合、従来公知のガラス基板上にアレイを形成する工程、カラーフィルタを形成する工程、アレイが形成されたガラス基板とカラーフィルタが形成されたガラス基板とをシール材等を介して貼り合わせる工程(アレイ・カラーフィルタ貼り合わせ工程)等の各種工程と同様であってよい。
より具体的には、これらの工程で実施される処理として、例えば、純水洗浄、乾燥、成膜、レジスト液塗布、露光、現像、エッチングおよびレジスト除去が挙げられる。
さらに、アレイ・カラーフィルタ貼り合わせ工程を実施した後に行われる工程として、液晶注入工程および上記処理の実施後に行われる注入口の封止工程があり、これらの工程で実施される処理が挙げられる。
以下に示す実施例において作製されるガラス積層体に関して、次に示す項目の評価を行った。
<実施例1>
縦350mm、横300mm、板厚0.5mmのガラス基板(「AN100」、線膨張係数38×10-7/℃の、アルカリ金属酸化物を含有しないホウケイ酸ガラスからなるガラス板:旭硝子社製)を支持基材として用意し、純水洗浄、UV洗浄して表面を浄化して、表面を清浄化した支持基材を得た。
次に、線状オルガノポリシロキサン(a)(以下、「成分(a)」ともいう)としてビニル基含有メチルポリシロキサン(ビニル基濃度:0.904mmol/g、25℃における粘度:560mPas、数平均分子量(Mn):10,100、1分子あたり平均のビニル基数:9、ビニル基以外のケイ素原子に結合した有機基は全てメチル基:荒川化学社製)と、線状オルガノポリシロキサン(b)(以下、「成分(b)」ともいう)としてSi−H基含有メチルポリシロキサン(Si−H基濃度:6.85mmol/g、25℃における粘度:20mPas、数平均分子量(Mn):1,000、1分子あたり平均のSi−H基数:7、ケイ素原子に結合した有機基は全てメチル基:荒川化学社製)と、環状オルガノポリシロキサン(c)(以下、「成分(c)」ともいう)として2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン(「D4Vi」、アルケニル基濃度:11.6mmol/g、25℃における粘度2〜3mPas、東京化成工業社製)とを、Si−H基とビニル基とのモル比(水素原子/ビニル基)が0.94となるように、成分(a):成分(b):成分(c)=84:14:2の質量比で混合した。
このオルガノポリシロキサン混合物100質量部に対して、成分(d)として下記式(d−1)で示されるアセチレン系不飽和基を有するケイ素化合物(沸点:120℃)1質量部を混合した。
HC≡C−C(CH3)2−O−Si(CH3)3 式(d−1)
次いで、成分(a)と成分(b)と成分(c)と成分(d)との合計量に対して、白金換算で白金金属濃度が100ppmとなるように白金系触媒(信越シリコーン社製、CAT−PL−56)を加え、オルガノポリシロキサン組成物の混合液を得た。
次に、得られた混合液を、支持基材の第1主面上に縦200mm、横200mmの大きさで、スピンコーターにて塗工した(塗工量15g/m2)。さらに、210℃にて30分間大気中で加熱硬化して、硬化シリコーン樹脂層を形成し、支持体を得た。
このとき、スピンコーターの回転数と塗工量とを調節することにより、硬化シリコーン樹脂層の膜厚を1〜12μmの間で異ならせた複数個の支持体を得た。
なお、本例においては、加熱硬化処理工程において、反応抑制剤である式(d−1)で示されるアセチレン系不飽和基を有するケイ素化合物(沸点:120℃)が除去された。
一方、縦200mm、横200mm、板厚0.2mmのガラス基板(「AN100」、線膨張係数38×10-7/℃の上記ガラスと同じガラスからなるガラス板:旭硝子社製)を純水洗浄、UV洗浄し、ガラス基板の表面を清浄化した。
その後、支持体とガラス基板とを位置合わせしたうえで、真空プレス装置を用いて、室温下で、ガラス基板の第1主面と支持体の硬化シリコーン樹脂層の剥離性表面とを密着させ、ガラス積層体を得た。
<実施例2>
成分(a)、成分(b)および成分(c)の質量比を、成分(a):成分(b):成分(c)=77:18:5とした以外は、実施例1と同様の手順に従って、ガラス積層体を製造した。
<実施例3>
成分(a)、成分(b)および成分(c)の質量比を、成分(a):成分(b):成分(c)=61:27:12とした以外は、実施例1と同様の手順に従って、ガラス積層体を製造した。
<実施例4>
成分(a)、成分(b)および成分(c)の質量比を、成分(a):成分(b):成分(c)=23:48:29とした以外は、実施例1と同様の手順に従って、ガラス積層体を製造した。
<実施例5>
成分(a)、成分(b)および成分(c)の質量比を、成分(a):成分(b):成分(c)=19:51:30とした以外は、実施例1と同様の手順に従って、ガラス積層体を製造した。
<比較例1>
成分(a)、成分(b)および成分(c)の質量比を、成分(a):成分(b):成分(c)=89:11:0とした(つまり、成分(c)を用いなかった)以外は、実施例1と同様の手順に従って、ガラス積層体を製造した。
なお、比較例1は、特許文献1に記載の態様に相当する。
<比較例2>
成分(a)、成分(b)および成分(c)の質量比を、成分(a):成分(b):成分(c)=0:61:39とした(つまり、成分(a)を用いなかった)以外は、実施例1と同様の手順に従って、ガラス積層体を製造した。
<比較例3>
成分(c)としてジビニルベンゼン(「DVB」、アルケニル基濃度:15.4mmol/g、25℃における粘度:0.7〜1.3mPas:東京化成工業社製)を用い、成分(a)、成分(b)および成分(c)の質量比を、成分(a):成分(b):成分(c)=64:27:9とした以外は、実施例1と同様の手順に従って、ガラス積層体を製造した。
<評価>
上記実施例および比較例で得られた、ガラス基板を積層する前の支持体、および、ガラス基板を積層した後の支持体(つまり、ガラス積層体)について、以下に示す評価を行なった。結果を下記第1表に示す。
《評価1》
まず、ガラス基板を積層する前の支持体について、硬化シリコーン樹脂層に生じたクラックを目視にて確認した。
次に、クラックが確認されなかった硬化シリコーン樹脂層の厚さを、サーフコム(東京精密社製、1400D−12)を用いて測定した。この厚さのうち最も厚い膜厚を、クラックを生じさせずに樹脂層を形成できる「最大膜厚」とした。得られた「最大膜厚」の値から、硬化シリコーン樹脂層の耐クラック性を、以下の基準に従って評価した。実用上、「×」でないことが望ましい。
「○」:「最大膜厚」が8μm以上12μm以下。
「△」:「最大膜厚」が4μm以上8μm未満。
「×」:「最大膜厚」が1μm以上4μm未満。
《評価2》
評価1において「最大膜厚」と判断された支持体を用いたガラス積層体の界面(硬化シリコーン樹脂層とガラス基板との間)に生じた気泡を目視にて確認し、以下の基準に従って積層性を評価した。「×」であると加熱したときに気泡が拡大する可能性があり実用上問題があることから、「×」でないことが望ましい。
「○」:目視では気泡が観察されなかった。
「△」:極微小の気泡(直径2mm以下の気泡)が少量見られた。
「×」:気泡(直径2mm超の気泡)が確認された。
《評価3−1》
評価2において目視では気泡が観察されなかったガラス積層体を、窒素雰囲気下にて450℃で60分間加熱処理を行い、室温まで冷却し、硬化シリコーン樹脂層の発泡や白化などの外観上の変化を目視にて確認し、以下の基準に従って評価した。「×」であると実用上問題があることから、「×」でないことが望ましい。なお、評価を行なわなかった場合には下記第1表には「−」を記載した。
「○」:目視では発泡や白化が観察されず、気泡の拡大(直径2mm超の気泡)も確認されなかった。
「×」:目視で発泡または白化が観察された、または、気泡の拡大(直径2mm超の気泡)が確認された。
《評価3−2》
評価3−1において加熱処理を行なった後のガラス積層体に対して、剥離試験を行なった。具体的には、幅25mmおよび長さ70mmのガラス積層体を用意し、オートグラフAG−20/50kNXDplus(島津製作所社製)を用いて、ガラス基板の剥離を行なった(剥離速度:30mm/min)。この際、ガラス基板と硬化シリコーン樹脂層との界面に厚さ0.1mmのステンレス製刃物を挿入して剥離の切欠部を形成した後、ガラス基板を完全に固定し、支持基材を引き上げて、剥離の状態を以下の基準に従って評価した。なお、評価を行なわなかった場合には下記第1表には「−」を記載した。
「○」:ガラス基板と硬化シリコーン樹脂層とが界面剥離した。
「×」:ガラス基板に硬化シリコーン樹脂層の一部が付着していた。
実施例1〜5および比較例1〜3においては、いずれも、Si−H基とビニル基とのモル比(水素原子/ビニル基)が0.94となるように調製した。したがって、上記第1表に示す「仕込みSi−H基濃度」が多いほど架橋が多いことを示す。
また、上記第1表中に示す「モル比(C1×100/(A+C1))」は、成分(a)のアルケニル基と成分(c)のアルケニル基との合計量に対する成分(c)のアルケニル基の割合(モル比)の百分率に相当する。
上記第1表に示すように、成分(c)としてD4Viを用いた実施例1〜5では、硬化シリコーン樹脂層とガラス基板との間の気泡の発生が抑制されたガラス積層体を得ることができ(評価2)、得られたガラス積層体は、窒素雰囲気下にて450℃で60分間加熱処理しても硬化シリコーン樹脂層の外観上の変化もないことが確認された(評価3−1)。さらに、その後の剥離作業においてもガラス基板と硬化シリコーン樹脂層との界面で界面剥離していることが確認された(評価3−2)。
なお、実施例1〜5のうち、成分(c)の配合量が実施例5よりも少ない実施例1〜4は、クラックを生じさせることなく樹脂層を形成できる「最大膜厚」が実施例5よりも厚く、耐クラック性がより優れていた。これは、実施例5では成分(c)の量がやや多すぎたため樹脂層がやや硬くなったが、実施例1〜4では成分(c)が適量で樹脂層が硬くなりすぎなかったためと考えられる。
これに対して、成分(c)としてD4Viを用いなかった比較例1は、加熱処理後に外観の変化が確認されたうえ(評価3−1)、界面剥離できずガラス基板に樹脂層の一部が付着していた(評価3−2)。
また、成分(a)を用いなかった比較例2は、耐クラック性に劣っていた(評価1)。これは、硬化シリコーン樹脂層が硬くなりすぎたためと考えられる。
また、成分(c)としてDVBを使用した比較例3は、ガラス基板を積層した後に気泡(直径2mm超の気泡)が確認され、積層後の外観評価が劣っていた(評価2)。これは、硬化シリコーン樹脂層の平坦性が良好でなかったためと考えられる。
10 支持体付き表示装置用パネル
12 支持基材
14 硬化シリコーン樹脂層(樹脂層)
16 ガラス基板
18 表示装置用パネルの構成部材
20 支持体
30 ガラス積層体
40 表示装置用パネル

Claims (14)

  1. 支持基材と、前記支持基材の片面に設けられた剥離性表面を有する硬化シリコーン樹脂層とを有する、前記硬化シリコーン樹脂層の前記剥離性表面にガラス基板を積層するための支持体であって、
    前記硬化シリコーン樹脂層が、下記線状オルガノポリシロキサン(a)と下記線状オルガノポリシロキサン(b)と下記環状オルガノポリシロキサン(c)とを含む硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化物である、支持体。
    線状オルガノポリシロキサン(a):アルケニル基を1分子あたり少なくとも2個有する線状オルガノポリシロキサン
    線状オルガノポリシロキサン(b):ケイ素原子に結合した水素原子を1分子あたり少なくとも3個有する線状オルガノポリシロキサン
    環状オルガノポリシロキサン(c):ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子あたり少なくとも2個有する環状オルガノポリシロキサン(c1)およびケイ素原子に結合した水素原子を1分子あたり少なくとも3個有する環状オルガノポリシロキサン(c2)、から選択される少なくとも1種の環状オルガノポリシロキサン
  2. 前記硬化性シリコーン樹脂組成物における、前記線状オルガノポリシロキサン(a)中のアルケニル基のモル数(A)、前記線状オルガノポリシロキサン(b)中のケイ素原子に結合した水素原子のモル数(B)、前記環状オルガノポリシロキサン(c1)中のアルケニル基のモル数(C1)および前記環状オルガノポリシロキサン(c2)中のケイ素原子に結合した水素原子のモル数(C2)が、下記式を満たす、請求項1に記載の支持体。
    C1×100/(A+C1)+C2×100/(B+C2)≧20
  3. 前記[C1×100/(A+C1)+C2×100/(B+C2)]の値が24〜95である、請求項2に記載の支持体。
  4. 前記環状オルガノポリシロキサン(c)が、前記環状オルガノポリシロキサン(c1)である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の支持体。
  5. 前記硬化性シリコーン樹脂組成物における前記環状オルガノポリシロキサン(c)の含有量が、前記線状オルガノポリシロキサン(a)と前記線状オルガノポリシロキサン(b)と前記環状オルガノポリシロキサン(c)との合計100質量%に対して、0.1〜60質量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の支持体。
  6. 前記硬化性シリコーン樹脂組成物における前記環状オルガノポリシロキサン(c)の含有量が、前記線状オルガノポリシロキサン(a)と前記線状オルガノポリシロキサン(b)と前記環状オルガノポリシロキサン(c)との合計100質量%に対して、30質量%未満である、請求項5に記載の支持体。
  7. 前記環状オルガノポリシロキサン(c)の、環を構成するケイ素原子の個数が3〜10個である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の支持体。
  8. 前記環状オルガノポリシロキサン(c)におけるアルケニル基の濃度またはケイ素原子に結合した水素原子の濃度が、0.5〜44mmol/gである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の支持体。
  9. 前記硬化性シリコーン樹脂組成物における全アルケニル基に対する全ケイ素原子に結合した水素原子のモル比(水素原子/アルケニル基)が、0.7〜1.05である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の支持体。
  10. 前記硬化性シリコーン樹脂組成物が、白金族金属系触媒を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の支持体。
  11. 前記硬化性シリコーン樹脂組成物が、さらに活性抑制剤を含む、請求項10に記載の支持体。
  12. 前記支持基材が、ガラス板、シリコンウエハ、合成樹脂板または金属板である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の支持体。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の支持体を製造する方法であって、
    前記支持基材の片面に前記硬化性シリコーン樹脂組成物の層を形成し、次いで前記硬化性シリコーン樹脂組成物を硬化させて前記硬化シリコーン樹脂層を形成する、支持体の製造方法。
  14. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の支持体と、前記支持体が有する前記硬化シリコーン樹脂層の前記剥離性表面側に接したガラス基板とを有するガラス積層体。
JP2014111578A 2014-05-29 2014-05-29 支持体およびその製造方法ならびにガラス積層体 Pending JP2017132036A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014111578A JP2017132036A (ja) 2014-05-29 2014-05-29 支持体およびその製造方法ならびにガラス積層体
PCT/JP2015/065644 WO2015182766A1 (ja) 2014-05-29 2015-05-29 粘着剤組成物、支持体およびその製造方法ならびにガラス積層体
TW104117571A TW201546224A (zh) 2014-05-29 2015-05-29 黏著劑組合物、支持體及其製造方法與玻璃積層體

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014111578A JP2017132036A (ja) 2014-05-29 2014-05-29 支持体およびその製造方法ならびにガラス積層体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017132036A true JP2017132036A (ja) 2017-08-03

Family

ID=54699084

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014111578A Pending JP2017132036A (ja) 2014-05-29 2014-05-29 支持体およびその製造方法ならびにガラス積層体

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP2017132036A (ja)
TW (1) TW201546224A (ja)
WO (1) WO2015182766A1 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019188677A (ja) * 2018-04-24 2019-10-31 Agc株式会社 積層体および電子デバイスの製造方法
WO2020111069A1 (ja) * 2018-11-28 2020-06-04 日産化学株式会社 接着剤組成物、積層体及び積層体の製造方法並びに半導体形成基板を薄化する方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU618818B2 (en) * 1988-08-04 1992-01-09 Minnesota Mining And Manufacturing Company Silicone-based pressure-sensitive adhesives having high solids content
CA2014996A1 (en) * 1989-05-19 1990-11-19 Joel D. Oxman Radiation activated hydrosilation reaction
JP5801028B2 (ja) * 2009-10-21 2015-10-28 株式会社Adeka ケイ素含有硬化性組成物及びその硬化物
JP5234064B2 (ja) * 2010-08-23 2013-07-10 信越化学工業株式会社 無溶剤型付加型シリコーン粘着剤組成物及び粘着性物品

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019188677A (ja) * 2018-04-24 2019-10-31 Agc株式会社 積層体および電子デバイスの製造方法
JP7102899B2 (ja) 2018-04-24 2022-07-20 Agc株式会社 積層体および電子デバイスの製造方法
WO2020111069A1 (ja) * 2018-11-28 2020-06-04 日産化学株式会社 接着剤組成物、積層体及び積層体の製造方法並びに半導体形成基板を薄化する方法
JPWO2020111069A1 (ja) * 2018-11-28 2021-10-14 日産化学株式会社 接着剤組成物、積層体及び積層体の製造方法並びに半導体形成基板を薄化する方法
US11776837B2 (en) 2018-11-28 2023-10-03 Nissan Chemical Corporation Adhesive agent composition, layered product and production method for layered product, and method for reducing thickness of semiconductor forming substrate
JP7460963B2 (ja) 2018-11-28 2024-04-03 日産化学株式会社 接着剤組成物、積層体及び積層体の製造方法並びに半導体形成基板を薄化する方法

Also Published As

Publication number Publication date
TW201546224A (zh) 2015-12-16
WO2015182766A1 (ja) 2015-12-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5562597B2 (ja) 支持体、ガラス基板積層体、支持体付き表示装置用パネル、および表示装置用パネルの製造方法
JP6555254B2 (ja) ガラス積層体およびその製造方法、電子デバイスの製造方法
WO2011024690A1 (ja) フレキシブル基材-支持体の積層構造体、支持体付き電子デバイス用パネル、および電子デバイス用パネルの製造方法
JP6443350B2 (ja) ガラス積層体
JP5760376B2 (ja) 支持体、ガラス基板積層体、支持体付き表示装置用パネル、オルガノポリシロキサン組成物、および表示装置用パネルの製造方法
JP6252490B2 (ja) ガラス積層体およびその製造方法、並びに、シリコーン樹脂層付き支持基材
JP2013149713A (ja) 電子デバイスの製造方法、およびガラス積層体の製造方法
JP6610560B2 (ja) ガラス積層体およびその製造方法、電子デバイスの製造方法
KR102629661B1 (ko) 적층체, 실리콘 수지층이 부착된 지지 기재, 실리콘 수지층이 부착된 수지 기판, 및 전자 디바이스의 제조 방법
JP6194893B2 (ja) ガラス積層体およびその製造方法、並びに、シリコーン樹脂層付き支持基材
KR20170102239A (ko) 유리 적층체, 전자 디바이스의 제조 방법, 유리 적층체의 제조 방법, 유리판 곤포체
JPWO2018092688A1 (ja) 積層基板および電子デバイスの製造方法
JP6471643B2 (ja) ガラス積層体およびその製造方法
WO2015182766A1 (ja) 粘着剤組成物、支持体およびその製造方法ならびにガラス積層体
JP2015231668A (ja) ガラス積層体およびその製造方法、並びに、シリコーン樹脂層付き支持基材およびその製造方法
JP5770890B2 (ja) 支持体、ガラス基板積層体、支持体付き表示装置用パネル、および表示装置用パネルの製造方法
JP2014080348A (ja) ガラス積層体の製造方法、電子デバイスの製造方法
JP6063522B2 (ja) 支持体、ガラス基板積層体、支持体付き表示装置用パネル、および表示装置用パネルの製造方法
JP7102899B2 (ja) 積層体および電子デバイスの製造方法
JP2014079730A (ja) ガラス積層体の製造方法、電子デバイスの製造方法
JP2015182450A (ja) ガラス積層体