JP2017125187A - 樹脂組成物およびそれからなる成形体 - Google Patents

樹脂組成物およびそれからなる成形体 Download PDF

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夕哉 正鋳
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昌志 藤田
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隆俊 村上
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彰太 野口
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Abstract

【課題】耐湿熱性に十分に優れたポリアリレート樹脂組成物を提供すること。【解決手段】ポリエステル樹脂(A);ポリカーボネート樹脂(B);およびケイ酸塩化合物(c1)および金属酸化物(c2)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(C)を含有し、前記ポリエステル樹脂(A)と前記ポリカーボネート樹脂(B)の質量比(A/B)が80/20〜10/90であり、前記化合物(C)が前記ポリエステル樹脂(A)と前記ポリカーボネート樹脂(B)との合計量100質量部に対して0.1〜1質量部で含有される樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、少なくともポリエステル樹脂(例えば、ポリアリレート樹脂および/またはポリエチレンテレフタレート樹脂等)を含む樹脂組成物およびそれからなる成形体に関するものである。
従来より、光学レンズ、OA部品等の電子部品、シート、自動車部品、建設資材等の用途では、耐熱性、成形流動性、透明性に優れることを生かして、ポリエステル樹脂(例えば、ポリアリレート樹脂およびポリエチレンテレフタレート樹脂等)およびポリカーボネート樹脂が用いられている。
例えば、ポリアリレート樹脂はポリカーボネート樹脂に比べ耐熱性に優れるため、自動車用途の内外装部品等に広く使用されている。このような用途では耐熱性が望まれているだけでなく、高温高湿環境下で加水分解され難い特性に関する耐湿熱性も望まれている。耐湿熱性が低いと、このような樹脂を高温高湿環境に曝される部材に使用した場合、当該樹脂が加水分解されて部材の強度が低下するという問題が懸念される。
また例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂はポリカーボネート樹脂に比べ成形性に優れるため、各種部品等に広く使用されている。浴室部材等の建設資材用途ではある程度の耐熱性が望まれているだけでなく、耐湿熱性もやはり望まれている。耐湿熱性が低いと、このような樹脂を浴室部材に使用した場合、当該樹脂が加水分解されて部材の強度が低下するという問題が懸念される。
そこで、近年では、樹脂の耐湿熱性を向上させる種々の試みがなされている。
例えば、特許文献1、2では、芳香族ポリカーボネート樹脂に対してカルボジイミド化合物を添加して、耐湿熱性を向上させる技術が開示されている。
また例えば特許文献3には、カルボジイミド化合物ならびに酸化アルミニウムおよびアルミニウムオキシ水酸化物から選択される補助安定剤を含有する混合物により、耐湿熱性をポリマーに付与する技術が開示されている。
また例えば特許文献4には、芳香族ポリカーボネート樹脂にタルクを添加して耐湿熱性を向上させる技術が開示されている。
特許文献5には、ポリカーボネート樹脂に対して、ホスファイト化合物およびホスホナイト化合物から選択される少なくとも1種のリン化合物、ならびに炭酸金属塩、硫酸金属塩、クロム酸金属塩、チタン酸金属塩、酸化珪素、珪酸塩化合物、および水性溶液または懸濁液におけるpH値が6〜8.5である金属酸化物から選択される少なくとも1種の化合物を添加することで耐湿熱性を向上させる技術が開示されている。
特開2009−108149号公報 特開2010−106171号公報 特表2009−540050号公報 特表2001−19756号公報 特表2002−60614号公報
しかしながら、上記の技術をポリアリレート樹脂またはポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂に適用しても、耐湿熱性を十分に向上させることはできなかった。
詳しくは、特許文献1、2の技術をポリアリレート樹脂またはポリエチレンテレフタレート樹脂に適用した場合、カルボジイミド化合物によりポリアリレート樹脂またはポリエチレンテレフタレート樹脂の耐湿熱性を僅かに向上させることはできたが、その耐湿熱性向上の効果は、ポリカーボネート樹脂に適用した場合に比べ、低く、不十分であった。特に、ポリアリレート樹脂は、ポリカーボネート樹脂に比べ耐熱性が高い反面、溶融混練および成形加工における樹脂溶融温度が高く、添加したカルボジイミド化合物が熱分解し、樹脂組成物が着色して黄変してしまうという問題があった。
特許文献3の技術において、カルボジイミド化合物および補助安定剤を含有する混合物はカルボジイミド化合物の耐久性を高め、ポリカーボネート樹脂に対しては耐湿熱性の向上効果は得られたが、ポリアリレート樹脂またはポリエチレンテレフタレート樹脂に対しては、その効果は不十分であった。
特許文献4、5の技術における耐湿熱性の向上効果は低く不十分であり、また、ポリアリレート樹脂またはポリエチレンテレフタレート樹脂に対しては、その効果は得られなかった。
本発明は、耐湿熱性に十分に優れたポリエステル樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
<1> ポリエステル樹脂(A);
ポリカーボネート樹脂(B);および
ケイ酸塩化合物(c1)および金属酸化物(c2)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(C)を含有し、
前記ポリエステル樹脂(A)と前記ポリカーボネート樹脂(B)の質量比(A/B)が80/20〜10/90であり、
前記化合物(C)が前記ポリエステル樹脂(A)と前記ポリカーボネート樹脂(B)との合計量100質量部に対して0.1〜1質量部で含有される樹脂組成物。
<2> 前記ポリエステル樹脂(A)がポリアリレート樹脂(a1)および/またはポリエチレンテレフタレート樹脂(a2)である、<1>に記載の樹脂組成物。
<3> 前記ポリエステル樹脂(A)がポリアリレート樹脂(a1)を含み、
該ポリアリレート樹脂(a1)と前記ポリカーボネート樹脂(B)の質量比(a1/B)が75/25〜20/80である、<1>に記載の樹脂組成物。
<4> 前記ポリエステル樹脂(A)がポリエチレンテレフタレート樹脂(a2)を含み、
前記樹脂組成物が相溶化剤(D)をさらに含有する、<1>に記載の樹脂組成物。
<5> 前記相溶化剤(D)が前記ポリエステル樹脂(A)と前記ポリカーボネート樹脂(B)との合計量100質量部に対して1〜20質量部で含有される、<4>に記載の樹脂組成物。
<6> 前記ポリエチレンテレフタレート樹脂(a2)と前記ポリカーボネート樹脂(B)の質量比(a2/B)が80/20〜60/40である、<4>または<5>に記載の樹脂組成物。
<7> 前記化合物(C)が、カオリン、タルク、クレー、パイロフィライト、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、ワラストナイト、セピオライト、ゾノトライト、ゼオライト、ケイソウ土、およびハロイサイトからなる群から選択される1種以上のケイ酸塩化合物(c1)である、<1>〜<6>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<8> 前記化合物(C)が、酸化チタン、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化鉛、酸化クロム、酸化コバルト、酸化タングステン、および酸化銅からなる群から選択される1種以上の金属酸化物(c2)である、<1>〜<7>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<9> <1>〜<8>のいずれかに記載の樹脂組成物からなる成形体。
本発明によれば、耐湿熱性に十分に優れたポリエステル樹脂組成物(例えば、ポリアリレート樹脂組成物およびポリエチレンテレフタレート樹脂組成物等)を提供することができる。
[ポリエステル樹脂組成物]
本発明のポリエステル樹脂組成物は、ポリエステル樹脂(A);ポリカーボネート樹脂(B);および特定の化合物(C)からなる。
ポリエステル樹脂(A)はジカルボン酸残基単位とジオール残基単位とからなるポリエステルである。ポリエステル樹脂(A)は、耐湿熱性のさらなる向上の観点から、芳香族ポリエステルであることが好ましい。芳香族ポリエステルは、全酸成分の残基単位に対する芳香族ジカルボン酸残基単位の割合が50モル%以上であるポリエステルであり、耐湿熱性のさらなる向上の観点から、当該割合は70モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、95モル%以上であることがさらに好ましい。
芳香族ジカルボン酸残基は、ベンゼン環および/またはナフタレン環等の芳香族環をポリエステル樹脂(A)の主鎖に組み込み得るジカルボン酸モノマー残基のことである。芳香族環をポリエステル樹脂(A)の主鎖に組み込み得るジカルボン酸モノマー残基とは、当該ジカルボン酸モノマーが有する芳香族環が、重合により、ポリエステル樹脂(A)の主鎖を構成するようになるジカルボン酸モノマーの残基を意味するものであり、芳香族環をポリエステル樹脂(A)のペンダントまたはその一部として組み込むモノマーの残基は除外される。
ジオール残基単位は特に限定されず、芳香族であっても、脂肪族であっても、または脂環族であってもよい。耐湿熱性のさらなる向上の観点から、好ましいジオール残基単位は芳香族ジオール残基単位である。全アルコール成分の残基単位に対する芳香族ジオール残基単位の割合は、耐湿熱性のさらなる向上の観点から、50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、90モル%以上であることがさらに好ましく、95モル%以上であることが最も好ましい。
芳香族ジオール残基は、ベンゼン環および/またはナフタレン環等の芳香族環をポリエステル樹脂(A)の主鎖に組み込み得るジオールモノマー残基のことである。芳香族環をポリエステル樹脂(A)の主鎖に組み込み得るジオールモノマー残基とは、当該ジオールモノマーが有する芳香族環が、重合により、ポリエステル樹脂(A)の主鎖を構成するようになるジオールモノマーの残基を意味するものであり、芳香族環をポリエステル樹脂(A)のペンダントまたはその一部として組み込むモノマーの残基は除外される。
ポリエステル樹脂(A)は、耐湿熱性のさらなる向上の観点から、ポリアリレート樹脂(a1)および/またはポリエチレンテレフタレート樹脂(a2)であることが好ましく、特にポリアリレート樹脂(a1)であることがより好ましい。ポリエステル樹脂(A)は通常、ポリエステル樹脂(A)としてポリアリレート樹脂(a1)またはポリエチレンテレフタレート樹脂(a2)の一方を含有するが、本発明はポリエステル樹脂組成物がこれらの両方を含有することを妨げるものではない。
(ポリアリレート樹脂(a1))
ポリアリレート樹脂(a1)は、芳香族ジカルボン酸残基単位とビスフェノール類残基単位とからなる芳香族ポリエステルである。本発明においてポリアリレート樹脂には、いわゆる、メソゲン基を有する液晶性高分子は含まれない。
芳香族ジカルボン酸残基単位を導入するためのポリアリレート原料としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸が挙げられる。本発明においては両者を混合して用いて得られるポリアリレート樹脂が組成物の溶融加工性および機械的特性の面で特に好ましい。その混合比率(テレフタル酸/イソフタル酸)は、モル比で90/10〜10/90の範囲であることが好ましく、より好ましくは70/30〜30/70、さらに好ましくは60/40〜40/60、最適には50/50である。テレフタル酸の混合モル分率が10モル%未満であっても90モル%を超えても、界面重合法で重合する場合には十分な重合度に達しない場合がある。
ポリアリレート樹脂(a1)における芳香族ジカルボン酸残基単位の割合は通常、全酸成分の残基単位に対して、50モル%以上であり、耐湿熱性のさらなる向上の観点から、70モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、95モル%以上であることがさらに好ましく、100モル%であることが最も好ましい。
ビスフェノール類残基単位を導入するためのポリアリレート原料としては、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等が挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよいし、あるいは、2種類以上混合して使用してもよい。経済的な理由から、これらの化合物の中でも2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを使用することが好ましく、最適には当該化合物を単独で使用する。
ポリアリレート樹脂(a1)におけるビスフェノール類残基単位の割合は通常、全アルコール成分の残基単位に対して、50モル%以上であり、耐湿熱性のさらなる向上の観点から、70モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、95モル%以上であることがさらに好ましく、100モル%であることが最も好ましい。
ポリアリレート樹脂(a1)のインヘレント粘度は、機械的特性と流動性の観点から、0.4〜0.8であることが好ましく、0.4〜0.7であることがより好ましい。
本明細書中、インヘレント粘度は1,1,2,2―テトラクロロエタンを溶媒として、温度25℃で測定された溶液粘度から求めることができる。
ポリアリレート樹脂の製造方法は、特に限定はされず、公知の方法により得られたポリアリレート樹脂を使用することができる。界面重合法、溶融重合法で得られたポリアリレート樹脂は好適に用いることができる。
そのようなポリアリレート樹脂として、例えば、市販のユニチカ社製U−100およびUパウダーを好ましく使用することができる。
(ポリエチレンテレフタレート樹脂(a2))
ポリエチレンテレフタレート樹脂(a2)は、テレフタル酸残基単位とエチレングリコール残基単位とからなる芳香族ポリエステルである。
ポリエチレンテレフタレート樹脂(a2)はテレフタル酸残基単位以外の単位を導入するための酸成分をモノマー成分として含有してもよい。このような酸成分として、例えば、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族多価カルボン酸及びその酸無水物;シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。これらの酸成分はポリエチレンテレフタレートの特性を損なわない範囲で用いることが好ましく、樹脂組成物の耐湿熱性のさらなる向上および機械的特性および流動性の向上の観点から、ポリエチレンテレフタレートを構成する酸成分100モル%に対して、5モル%以下、特に5モル%未満とすることが好ましい。テレフタル酸残基単位の割合は、耐湿熱性のさらなる向上の観点から、全酸成分の残基単位に対して、90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上(特に95モル%超)であることがより好ましく、100モル%であることが最も好ましい。
ポリエチレンテレフタレート樹脂(a2)はエチレングリコール残基単位以外の単位を導入するためのアルコール成分をモノマー成分として含有してもよい。このようなアルコール成分として、例えば、プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチグリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等の脂肪族ジオール;トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の脂肪族多価アルコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノール等の脂環族ジオール;ビフェノールAやビスフェノールSのエチレンオキシド付加体等の芳香族ジオール;4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。これらのアルコール成分はポリエチレンテレフタレートの特性を損なわない範囲で用いることが好ましく、樹脂組成物の耐湿熱性のさらなる向上および機械的特性および流動性の向上の観点から、ポリエチレンテレフタレートを構成するアルコール成分100モル%に対して、5モル%以下、特に5モル%未満とすることが好ましい。エチレングリコール残基単位の割合は、耐湿熱性のさらなる向上の観点から、全アルコール成分の残基単位に対して、90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上(特に95モル%超)であることがより好ましく、100モル%であることが最も好ましい。
ポリエチレンテレフタレート樹脂(a2)のインヘレント粘度は、機械的特性と流動性の観点から、0.5 0〜1.50であることが好ましく、0.60〜1.20であることがより好ましい。
ポリエチレンテレフタレート樹脂(a2)のインヘレント粘度は、ポリアリレート樹脂(a1)のインヘレント粘度と同様の方法により、求めることができる。
ポリエチレンテレフタレート樹脂の製造方法は、特に限定はされず、公知の方法により得られたポリエチレンテレフタレート樹脂を使用することができる。また、ポリエチレンテレフタレートは、合成したものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
そのようなポリエチレンテレフタレート樹脂として、例えば、市販のユニチカ社製SA−1206を好ましく使用することができる。
(ポリカーボネート樹脂(B))
ポリカーボネート樹脂(B)は、ビスフェノール類残基単位とカーボネート残基単位とからなるポリ炭酸エステルである。ポリカーボネート樹脂(B)を配合しない場合には、耐湿熱性が十分に得られない。ポリカーボネート樹脂(B)は前記ポリアリレート樹脂(a1)と同様にビスフェノール類残基単位を有するため、ポリアリレート樹脂(a1)に対して良好な相溶性を示す。
ビスフェノール類残基単位を導入するためのポリカーボネート原料としては、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,3−または1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジチオジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−2,5−ジヒドロキシジフェニルエーテル等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、あるいは2種類以上混合して使用してもよい。これらの化合物の中でも少なくとも2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを使用することが好ましく、経済的な理由で、最適には、当該化合物を単独で使用する。
カーボネート残基単位を導入するための前駆物質としては、ホスゲンなどのカルボニルハライド、ジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルが使用できる。
ポリカーボネート樹脂(B)のインヘレント粘度は、機械的特性と流動性の観点から、0.4〜0.8であることが好ましく、0.4〜0.6であることがより好ましい。
ポリカーボネート(B)のインヘレント粘度は、ポリアリレート樹脂(a1)のインヘレント粘度と同様の方法により、求めることができる。
ポリカーボネート樹脂(B)の製造方法は、特に限定はされず、公知の方法により得られたポリカーボネート樹脂を使用することができる。界面重合法、溶融重合法で得られたポリカーボネート樹脂は好適に用いることができる。
そのようなポリカーボネート樹脂として、例えば、市販の住友ダウ社製カリバー200−30、200−13および200−3、三菱エンジアリングプラスチック社製ユーピロンH3000、S−3000およびS−1000、ならびに出光興産社製タフロンA2500、A1900およびA1700を好ましく使用することができる。
本発明におけるポリエステル樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)の配合比(A/B)は、80/20〜10/90(質量比)である必要があり、耐湿熱性のさらなる向上の観点からは、80/20〜20/80であることが好ましい。ポリエステル樹脂(A)が10質量%未満では、後述の化合物(C)を配合したときの耐湿熱性向上の効果が十分に得られない。ポリカーボネート樹脂(B)が20質量%未満では、後述の化合物(C)を配合したときの耐湿熱性向上の効果が十分に得られない。本明細書中、耐湿熱性とは、ポリマー樹脂が有する特性であって、高温高湿環境に曝されても、当該樹脂が加水分解され難い特性のことである。ポリエステル樹脂(A)がポリアリレート樹脂(a1)およびポリエチレンテレフタレート樹脂(a2)を含む場合、上記したA/Bの配合比は、ポリアリレート樹脂(a1)およびポリエチレンテレフタレート樹脂(a2)の合計量とポリカーボネート樹脂(B)との配合比のことである。
例えば、ポリエステル樹脂(A)がポリアリレート樹脂(a1)を含む場合、ポリアリレート樹脂(a1)とポリカーボネート樹脂(B)の配合比(a1/B)は、耐湿熱性のさらなる向上の観点から、75/25〜20/80であることがより好ましく、70/30〜30/70であることがさらに好ましく、70/30〜40/60であることが最も好ましい。ポリエステル樹脂(A)がポリアリレート樹脂(a1)のみを含む場合、上記の場合と同様の範囲内であることが好ましい。
また例えば、ポリエステル樹脂(A)がポリエチレンテレフタレート樹脂(a2)を含む場合、ポリエチレンテレフタレート樹脂(a2)とポリカーボネート樹脂(B)の配合比(a2/B)は、耐湿熱性のさらなる向上の観点から、80/20〜50/50であることがより好ましく、80/20〜60/40であることがさらに好ましく、75/25〜65/35であることが最も好ましい。ポリエステル樹脂(A)がポリエチレンテレフタレート樹脂(a2)のみを含む場合、上記の場合と同様の範囲内であることが好ましい。
また例えば、ポリエステル樹脂(A)がポリアリレート樹脂(a1)およびポリエチレンテレフタレート樹脂(a2)を含む場合、上記したa1/Bの配合比とa2/Bの配合比がそれぞれ上記範囲内であることが好ましい。
(化合物(C))
化合物(C)はケイ酸塩化合物(c1)および金属酸化物(c2)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である。化合物(C)を配合しない場合には、耐湿熱性が十分に得られない。耐湿熱性のさらなる向上の観点から好ましい化合物(C)はケイ酸塩化合物(c1)である。
ケイ酸塩化合物(c1)とは、その化学組成上SiO成分を35重量%以上含有する無機充填剤、好ましくは40重量%以上含有する無機充填剤をいう。かかるケイ酸塩化合物(c1)としては、カオリン、タルク、クレー、パイロフィライト、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、ワラストナイト、セピオライト、ゾノトライト、ゼオライト、ケイソウ土、ハロイサイト等を挙げることができる。これらは1種類を単独で使用してもよいし、複数種を併用しても良い。中でも、配合した場合の耐湿熱性向上効果が大きい点でタルク、マイカが好ましい。
タルクは特に限定されるものではなく、タルクの形態としては板状、鱗状、鱗片状、薄片状等が挙げられる。中でも、鱗片状タルク、薄片状タルクは、強度確保の面、および配合した際により高分散させることが可能であり耐湿熱性向上効果がより大きい面より、好ましい。タルクの平均粒子径は、耐湿熱性のさらなる向上、樹脂中での分散性の向上の観点から、好ましくは0.01μm〜50μm、より好ましくは0.05μm〜25μm、さらに好ましくは1μm〜5μmである。
マイカは特に限定されるものではなく、白雲母、金雲母、黒雲母等の天然雲母であってもよいし、または当該天然雲母のOH基がF原子に置換された人造雲母であってもよい。耐湿熱性のさらなる向上の観点から好ましいマイカとして、白雲母、金雲母、黒雲母等の天然雲母、金雲母のOH基がF原子に置換された人造雲母等が挙げられ、より好ましいマイカは人造雲母である。マイカの平均粒子径は、耐湿熱性のさらなる向上、樹脂中での分散性の向上の観点から、好ましくは0.05μm〜80μm、より好ましくは0.1μm〜40μm、さらに好ましくは1μm〜5μmである。
金属酸化物(c2)は、樹脂の充填材の分野で公知のあらゆる金属酸化物が使用される。金属酸化物(c2)は特にケイ素酸化物以外の金属酸化物から選択される。このような金属酸化物(c2)の具体例としては、特に限定されないが、酸化チタン(チタンブラック、チタンイエローなどを含む)、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化鉛、酸化クロム、酸化コバルト、酸化タングステン、および酸化銅などが挙げられる。これらの金属酸化物(c2)は1種類を単独で使用してもよいし、複数種を併用しても良い。中でも、配合した際の耐湿熱性改善効果が大きい点で酸化マグネシウムおよび/または酸化アルミニウムが好ましい。
酸化マグネシウムの形態としては、例えば、球状、繊維状、紡錘状、棒状、針状、筒状、柱状が挙げられる。酸化マグネシウムの平均粒子径は、配合した場合に耐湿熱性改善効果が効率よく発現するため0.1〜80μmであることが好ましく、0.5〜40μmであることがより好ましい。
化合物(C)の含有量は、ポリエステル樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)との合計量100質量部に対して0.1〜1質量部であり、耐湿熱性のさらなる向上の観点からは、0.1〜0.8質量部であることが好ましく、0.4〜0.8質量部であることがより好ましい。化合物(C)が少なすぎると、耐湿熱性向上の効果が十分に得られない。化合物(C)が多すぎると、耐湿熱性向上の効果が十分に得られない。2種類以上の化合物(C)を使用する場合、それらの合計含有量が上記範囲内であればよい。本明細書中、ポリエステル樹脂(A)がポリアリレート樹脂(a1)およびポリエチレンテレフタレート樹脂(a2)を含む場合、ポリエステル樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)との合計量100質量部は、特記しない限り、ポリアリレート樹脂(a1)とポリエチレンテレフタレート樹脂(a2)とポリカーボネート樹脂(B)との合計量100質量部のことである。
(相溶化剤(D))
本発明の樹脂組成物は相溶化剤(D)をさらに含んでもよい。特にポリエステル樹脂(A)がポリエチレンテレフタレート樹脂(a2)を含む場合、耐湿熱性のさらなる向上の観点から、本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は相溶化剤(D)をさらに含むことが好ましい。ポリエステル樹脂(A)がポリアリレート樹脂(a1)のみである場合、本発明はポリアリレート樹脂組成物が相溶化剤(D)を含むことを妨げるものではないが、耐湿熱性のさらなる向上の観点から、ポリアリレート樹脂組成物は相溶化剤(D)を含まないことが好ましい。
相溶化剤(D)は、成形加工工程で加熱によりポリエステル樹脂(A)またはポリカーボネート樹脂(B)の一方または両方と反応し、当該相溶化剤が有する構造に基づく界面活性剤的な働きをして、これらの樹脂の相溶化機能を果たすものである。相溶化剤(D)は、二重結合基、カルボキシル基、酸無水物基およびエポキシ基などからなる群から選択される1種以上の基を有する化合物である。耐湿熱性のさらなる向上の観点から好ましい相溶化剤(D)は、カルボキシル基、酸無水物基およびエポキシ基からなる群から選択される1種以上の基を有する化合物である。二重結合基とは炭素間二重結合のことである。酸無水物基とは2つのカルボキシル基の脱水縮合により得られる基のことである。相溶化剤(D)の分子量は、当該相溶化剤(D)がポリエステル樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)との相溶化機能を果たすことができる限り、特に限定されず、例えば相溶化剤(D)はいわゆる低分子化合物であってもよいし、またはいわゆる高分子化合物であってもよい。相溶化剤(D)は、耐湿熱性のさらなる向上の観点から、高分子化合物であることが好ましい。耐湿熱性のさらなる向上の観点から好ましい相溶化剤(D)の分子量は、当該相溶化剤が後述のような融点を有するような分子量である。相溶化剤(D)が高分子化合物である場合、当該相溶化剤(D)の構造は、相溶化剤(D)がポリエステル樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)との相溶化機能を果たすことができる限り、特に限定されず、例えばランダム構造、グラフト構造またはブロック構造を有していてもよい。耐湿熱性のさらなる向上の観点から好ましい相溶化剤(D)はグラフト構造を有する。相溶化剤(D)における上記の基の数は、当該相溶化剤(D)がポリエステル樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)との相溶化機能を果たすことができる限り、特に限定されず、例えば一分子あたり1以上、好ましくは2以上であってもよい。
相溶化剤(D)として、例えば、エポキシ基含有ポリマー、酸無水物基含有ポリマー、カルボキシル基含有ポリマーが挙げられる。耐湿熱性のさらなる向上の観点から好ましい相溶化剤(D)は、エポキシ基含有モノマー、特に後述の分枝鎖状エポキシ基含有ポリマーである。
エポキシ基含有ポリマーは直鎖状であってもよいし、または分枝鎖状であってもよい。耐湿熱性のさらなる向上の観点から好ましいエポキシ基含有ポリマーは分枝鎖状である。
直鎖状エポキシ基含有ポリマーはエポキシ基を含有するランダムコポリマーまたはブロックコポリマーである。直鎖状エポキシ基含有ポリマーは通常、エポキシ基含有モノマーとエポキシ基フリーモノマーとのコポリマーである。
エポキシ基含有モノマーは一分子中、1つ以上のエポキシ基と1つ以上の重合性二重結合を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メタクリル酸エポキシシクロヘキシルメチルが挙げられる。本明細書中、(メタ)アクリレートはアクリレートおよびメタクリレートを包含するものであり、例えばグリシジル(メタ)アクリレートはグリシジルアクリレートおよびグリシジルメタクリレートを包含する。
エポキシ基フリーモノマーは一分子中、エポキシ基を有さず、かつ1つ以上の重合性二重結合を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、オレフィン系モノマー、(メタ)アクリレート系モノマー、ビニル系モノマーが挙げられる。
オレフィン系モノマーとして、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等が挙げられる。
(メタ)アクリレート系モノマーはアルキル(メタ)アクリレート(アルキル基は1〜5、特に1〜3の炭素原子を含有する基である)、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(アルキレン基は1〜5、特に1〜3の炭素原子を含有する基である)およびポリオールトリ(メタ)アクリレート(ポリオールは3〜8、特に4〜6の炭素原子を含有する)のことであり、好ましくはアルキル(メタ)アクリレートである。(メタ)アクリレート系モノマーの具体例として、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等が挙げられる。
ビニル系モノマーとして、例えば、ビニルアルコール、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン、m−エチルスチレン、o−エチルスチレン、アクリルアミド、N,N−メチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルナフタレン、1,2−ビス(ビニルフェニル)エタン、トリビニルベンゼン、酢酸ビニル等が挙げられる。
直鎖状エポキシ基含有ポリマーにおけるエポキシ基含有モノマーの共重合重量比は通常、当該ポリマーを構成する全モノマー100重量部に対して1〜40重量部であり、耐湿熱性のさらなる向上の観点からは1〜20重量部が好ましく、1〜15重量部がより好ましい。
直鎖状エポキシ基含有ポリマーは、耐湿熱性のさらなる向上の観点から、モノマー成分として少なくとも1種以上のエポキシ基含有モノマーおよび少なくとも1種以上のオレフィン系モノマーを含有することが好ましく、少なくとも1種以上の(メタ)アクリレート系モノマーおよび/または少なくとも1種以上のビニル系モノマーをさらに含有してもよい。
直鎖状エポキシ基含有ポリマーにおけるオレフィン系モノマーの共重合重量比は通常、当該ポリマーを構成する全モノマー100重量部に対して50〜99重量部であり、耐湿熱性のさらなる向上の観点からは60〜98重量部が好ましく、65〜95重量部がより好ましい。
直鎖状エポキシ基含有ポリマーにおける(メタ)アクリレート系モノマーおよびビニル系モノマーの合計の共重合重量比は通常、当該ポリマーを構成する全モノマー100重量部に対して0〜50重量部であり、耐湿熱性のさらなる向上の観点からは0〜40重量部が好ましく、0〜30重量部がより好ましい。
直鎖状エポキシ基含有ポリマーの具体例として、例えば、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(E−GMA;共重合重量組成、例えばE/GMA=90/10)、エチレン−グリシジルメタクリレート−ビニルアルコール共重合体(E−GMA−VA;共重合重量組成、例えばE/GMA/VA=90/5/5)、エチレン−グリシジルメタクリレート−メタクリレート共重合体(E−GMA−MA;共重合重量組成、例えばE/GMA/MA=70/10/20)などが挙げられる。上記表記において、Eはエチレン、GMAはグリシジルメタクリレート、VAはビニルアルコール、MAはメタクリレートのことである。メタクリレートとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル等が挙げられる。
直鎖状エポキシ基含有ポリマーは所定のモノマーを用いて公知の方法による重合により得ることができるし、または市販品として入手することもできる。
直鎖状エポキシ基含有ポリマーの市販品として、例えば、アルケマ社製「Lotader AX8900」(エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体)等が挙げられる。
分枝鎖状エポキシ基含有ポリマーはエポキシ基を含有するグラフトコポリマーである。分枝鎖状エポキシ基含有ポリマーはエポキシ基を主鎖に有していてもよいし、側鎖(グラフト鎖)に有していてもよし、または主鎖と側鎖の両方に有していてもよい。分枝鎖状エポキシ基含有ポリマーは、耐湿熱性のさらなる向上の観点から、エポキシ基を主鎖に有していることが好ましい。分枝鎖状エポキシ基含有ポリマーがエポキシ基を主鎖に有するとは、主鎖を構成するモノマーがエポキシ基を有しているということである。分枝鎖状エポキシ基含有ポリマーがエポキシ基を側鎖に有するとは、側鎖を構成するモノマーがエポキシ基を有しているということである。
分枝鎖状エポキシ基含有ポリマーはエポキシ基含有モノマーとエポキシ基フリーモノマーとのコポリマーである。分枝鎖状エポキシ基含有ポリマーを構成するエポキシ基含有モノマーおよびエポキシ基フリーモノマーはそれぞれ、直鎖状エポキシ基含有ポリマーを構成するエポキシ基含有モノマーおよびエポキシ基フリーモノマーと同様である。
分枝鎖状エポキシ基含有ポリマーにおけるエポキシ基含有モノマーの共重合重量比は通常、当該ポリマーを構成する全モノマー100重量部に対して1〜40重量部であり、耐湿熱性のさらなる向上の観点からは10〜40重量部が好ましい。
分枝鎖状エポキシ基含有ポリマーは、耐湿熱性のさらなる向上の観点から、モノマー成分として少なくとも1種以上のエポキシ基含有モノマーおよび少なくとも1種以上のオレフィン系モノマーを含有する共重合体に、少なくとも1種以上の(メタ)アクリレート系モノマーおよび/または少なくとも1種以上のビニル系モノマーを含有する共重合体がグラフト重合してなる共重合体であることが好ましい。グラフト重合の具体的な手法として、例えば、側鎖ポリマーの主鎖ポリマーへの連鎖移動反応を利用する方法、電子線等の電離放射線照射により主鎖ポリマーにラジカルを発生させて重合開始点として利用する方法、主鎖ポリマーを酸化することによって導入したペルオキシ基等を重合開始点として利用する方法、主鎖ポリマーの水酸基、アミノ基等とエポキシ、ラクタム、極性ビニルモノマー等の重合開始反応を利用する方法、主鎖ポリマーの水酸基やチオール基とセリウム(IV)塩等の金属イオンとのレドックス機構による重合開始反応を利用する方法等が挙げられる。その中で、特に電子線等の電離放射線照射により主鎖ポリマーにラジカルを発生させて重合開始点として利用する方法が好適である。主鎖ポリマーは、ポリアミドのような縮合系重合体、ウレタンのような重付加系重合体であってもよいが、化学安定性の高さから特にポリオレフィンが好適である。側鎖ポリマーは特に制限を受けず、例えば、上記したエポキシ基フリーモノマーからなる群から選択される1種以上のモノマーを重合成分として含むポリマーであってよく、好ましくはビニル系モノマーの少なくとも1種を重合成分として含むポリマーが好適である。
分枝鎖状エポキシ基含有ポリマーはまた、耐湿熱性のさらなる向上の観点から、モノマー成分として少なくとも1種以上のビニル系モノマーを含有する重合体に、少なくとも1種以上のエポキシ基含有モノマーがグラフト重合してなる共重合体であってもよい。グラフト重合は、上記と同様の方法により達成することができ、例えば、電子線等の電離放射線照射により主鎖ポリマーにラジカルを発生させて重合開始点として利用する方法により達成することができる。
分枝鎖状エポキシ基含有ポリマーにおけるオレフィン系モノマーの共重合重量比は通常、当該ポリマーを構成する全モノマー100重量部に対して0〜99重量部であり、耐湿熱性のさらなる向上の観点からは0〜80重量部が好ましく、30〜70重量部がより好ましい。
分枝鎖状エポキシ基含有ポリマーにおける(メタ)アクリレート系モノマーおよびビニル系モノマーの合計の共重合重量比は通常、当該ポリマーを構成する全モノマー100重量部に対して0〜50重量部であり、耐湿熱性のさらなる向上の観点からは0〜40重量部が好ましく、0〜30重量部がより好ましい。
分枝鎖状エポキシ基含有ポリマーの具体例として、例えば、エチレン−グリシジルメタクリレート≡アクリロニトリル−スチレン(E−GMA≡AN−S;共重合重量組成、例えばE/GMA/AN−S=60/10/30)、エチレン−グリシジルメタクリレート≡ポリスチレン(E−GMA≡PS;共重合重量組成、例えばE/GMA/PS=60/10/30)、エチレン−グリシジルメタクリレート≡ポリメチルメタクリレート(E−GMA≡PMMA、例えばE/GMA/PMMA=60/10/30)、スチレン−アクリロニトリル≡グリシジルメタクリレート(S−AN≡GMA、例えば、S/AN/GMA=70/20/10)などが挙げられる。上記表記において、Eはエチレン、GMAはグリシジルメタクリレート、VAはビニルアルコール、ANはアクリロニトリル、Sはスチレン、PSはポリスチレン、PMMAはポリメチルメタクリレートのことである。「≡」の印は、当該印の後に記載のモノマーまたはポリマーがグラフト鎖を構成することを意味する。
分枝鎖状エポキシ基含有ポリマーは所定のモノマーを用いて公知の方法による重合により得ることができるし、または市販品として入手することもできる。
分枝鎖状エポキシ基含有ポリマーの市販品として、例えば、日本油脂株式会社製「モディパーA4400」(エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体に、アクリロニトリル−スチレン共重合体がグラフト重合してなる共重合体)等が挙げられる。
酸無水物基含有ポリマーは、酸無水物基を含有するポリマーであり、通常は酸無水物基含有モノマーと酸無水物基フリーモノマーとのコポリマーである。酸無水物基含有ポリマーはランダム構造、ブロック構造またはグラフト構造を有していてもよく、通常はランダム構造を有する。
酸無水物基含有モノマーは一分子中、1つ以上の酸無水物基と1つ以上の重合性二重結合を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3−ビニルフタル酸無水物、4−ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物等が挙げられる。
酸無水物基フリーモノマーは一分子中、酸無水物基を有さず、かつ1つ以上の重合性二重結合を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、エポキシ基フリーモノマーとして説明した同様のオレフィン系モノマー、(メタ)アクリレート系モノマー、およびビニル系モノマーが挙げられる。
酸無水物基含有ポリマーにおける酸無水物基含有モノマーの共重合重量比は通常、当該ポリマーを構成する全モノマー100重量部に対して1〜40重量部であり、耐湿熱性のさらなる向上の観点からは1〜20重量部が好ましく、1〜15重量部がより好ましい。
酸無水物基含有ポリマーは、耐湿熱性のさらなる向上の観点から、モノマー成分として少なくとも1種以上の酸無水物基含有モノマーおよび少なくとも1種以上のオレフィン系モノマーを含有することが好ましく、少なくとも1種以上の(メタ)アクリレート系モノマーおよび/または少なくとも1種以上のビニル系モノマーをさらに含有してもよい。
酸無水物基含有ポリマーにおけるオレフィン系モノマーの共重合重量比は通常、当該ポリマーを構成する全モノマー100重量部に対して50〜99重量部であり、耐湿熱性のさらなる向上の観点からは60〜98重量部が好ましく、65〜95重量部がより好ましい。
酸無水物基含有ポリマーにおける(メタ)アクリレート系モノマーおよびビニル系モノマーの合計の共重合重量比は通常、当該ポリマーを構成する全モノマー100重量部に対して0〜30重量部であり、耐湿熱性のさらなる向上の観点からは0〜25重量部が好ましく、0〜10重量部がより好ましい。
酸無水物基含有ポリマーの具体例として、例えば、エチレン−無水マレイン酸−エチルアクリレート共重合体(E−MAH−EA)等が挙げられる。MAHは無水マレイン酸を示し、EAはエチルアクリレートを示す。
酸無水物基含有ポリマーは所定のモノマーを用いて公知の方法による重合により得ることができるし、または市販品として入手することもできる。
酸無水物基含有ポリマーの市販品として、例えば、日本油脂株式会社製「モディパーA8400」(エチレン−無水マレイン酸−エチルアクリレート共重合体に、アクリロニトリル−スチレン共重合体がグラフト重合してなる共重合体)等が挙げられる。
カルボキシル基含有ポリマーは、カルボキシル基を含有するポリマーであり、通常はカルボキシル基含有モノマーとカルボキシル基フリーモノマーとのコポリマーである。カルボキシル基含有ポリマーはランダム構造、ブロック構造またはグラフト構造を有していてもよく、通常はランダム構造またはグラフト構造を有する。
カルボキシル基含有モノマーは一分子中、1つ以上のカルボキシル基と1つ以上の重合性二重結合を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、トランス−2−ブテン酸、シス−2−ブテン酸、ビニル酢酸、1−シクロペンテンカルボン酸、2−シクロペンテン−1−カルボン酸メチル、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、等が挙げられる。
カルボキシル基フリーモノマーは一分子中、カルボキシル基を有さず、かつ1つ以上の重合性二重結合を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、エポキシ基フリーモノマーとして説明した同様のオレフィン系モノマー、(メタ)アクリレート系モノマー、およびビニル系モノマーが挙げられる。
カルボキシル基含有ポリマーにおけるカルボキシル基含有モノマーの共重合重量比は通常、当該ポリマーを構成する全モノマー100重量部に対して1〜40重量部であり、耐湿熱性のさらなる向上の観点からは1〜20重量部が好ましく、1〜15重量部がより好ましい。
カルボキシル基含有ポリマーは、耐湿熱性のさらなる向上の観点から、モノマー成分として少なくとも1種以上のカルボキシル基含有モノマーおよび少なくとも1種以上のオレフィン系モノマーを含有することが好ましく、少なくとも1種以上の(メタ)アクリレート系モノマーおよび/または少なくとも1種以上のビニル系モノマーをさらに含有してもよい。
カルボキシル基含有ポリマーにおけるオレフィン系モノマーの共重合重量比は通常、当該ポリマーを構成する全モノマー100重量部に対して50〜99重量部であり、耐湿熱性のさらなる向上の観点からは60〜98重量部が好ましく、65〜95重量部がより好ましい。
カルボキシル基含有ポリマーにおける(メタ)アクリレート系モノマーおよびビニル系モノマーの合計の共重合重量比は通常、当該ポリマーを構成する全モノマー100重量部に対して0〜30重量部であり、耐湿熱性のさらなる向上の観点からは0〜25重量部が好ましく、0〜10重量部がより好ましい。
カルボキシル基含有ポリマーの具体例として、例えば、酸変性型ポリエチレンワックス、COOH化ポリエチレングラフトポリマー、COOH化ポリプロピレングラフトポリマー等が挙げられる。
カルボキシル基含有ポリマーは所定のモノマーを用いて公知の方法による重合により得ることができるし、または市販品として入手することもできる。
カルボキシル基含有ポリマーの市販品として、例えば、三井化学社製「ハイワックス405MP」(酸価:60mKOHg/g、分子量:4,000)等が挙げられる。
相溶化剤の融点は通常、50〜200℃であり、好ましくは60〜150℃であり、より好ましくは70〜130℃である。融点は、JIS K7121に準じて示差走査熱量計を用いて測定された値を用いている。
本発明の樹脂組成物が相溶化剤(D)を含む場合、相溶化剤(D)の含有量は、ポリエステル樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)との合計量100質量部に対して1〜20質量部であり、耐湿熱性のさらなる向上の観点からは、5〜15質量部であることが好ましく、8〜12質量部であることがより好ましい。相溶化剤(D)は1種単独で用いてもよいし、または2種以上を併用してもよい。相溶化剤(D)を2種以上で用いる場合、それらの合計含有量が上記範囲内であればよい。
(他の成分)
本発明の樹脂組成物には、特性を損なわない範囲であれば、顔料;染料;耐候剤;熱安定剤;難燃剤;離型剤;帯電防止剤;耐衝撃改良剤;超高分子量ポリエチレン、フッ素樹脂等の摺動剤等を添加することができる。
[ポリエステル樹脂組成物の製造方法]
本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものでなく、ポリエステル樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)とからなるマトリックス樹脂中に、各成分(例えば化合物(C))が均一に分散されている状態になればよい。相溶化剤(D)が含まれる場合、当該相溶化剤(D)はポリエステル樹脂(A)およびポリカーボネート樹脂(B)とともにマトリックス樹脂を構成する。具体的にはポリエステル樹脂(A)、ポリカーボネート樹脂(B)、および化合物(C)ならびにその他添加剤をタンブラーあるいはヘンシェルミキサーを用いて均一にブレンドした後に溶融混練してペレット化する方法が挙げられる。相溶化剤(D)を用いる場合、当該相溶化剤(D)はポリエステル樹脂(A)、ポリカーボネート樹脂(B)および化合物(C)ならびにその他添加剤等とともに使用されて均一にブレンドされればよい。本明細書中、ポリエステル樹脂組成物は、ポリエステル樹脂(A)がポリアリレート樹脂(a1)を含む場合に「ポリアリレート樹脂組成物」と称するものとし、ポリエステル樹脂(A)がポリエチレンテレフタレート樹脂(a2)のみである場合に「ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物」と称するものとする。例えば、ポリエステル樹脂(A)がポリアリレート樹脂(a1)およびポリエチレンテレフタレート樹脂(a2)を含む場合、当該ポリエステル樹脂組成物は「ポリアリレート樹脂組成物」に包含される。ポリエステル樹脂組成物は、耐湿熱性のさらなる向上の観点から、ポリアリレート樹脂組成物であることが好ましい。
[用途]
本発明のポリエステル樹脂組成物は耐湿熱性に優れるため、ディスプレイおよび照明等の関連部品、自動車等の屋外で用いる部品に好適に用いることができる。そのような用途の具体例としては、薄型テレビ、パソコン、携帯電話、モバイル機器等のディスプレイ用樹脂部品、筐体等の電化製品用樹脂部品、ヘッドライト、ランプのリフレクター等の自動車用外装樹脂部品、インストルメントパネル周りの各種照明、表示灯、警告灯のほか、天井、足周り、ドアサイドの室内灯等の自動車用内装樹脂部品が挙げられる。また、高温、高湿下での滅菌処理が必要な医療製品などにも好適に用いることができる。
本発明のポリアリレート樹脂組成物は、特に自動車用途の内外装部品に好適に用いることができる。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、特に浴室部材等の建設資材用途に好適に用いることができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物(ポリアリレート樹脂組成物またはポリエチレンテレフタレート樹脂組成物)を用いて各種部品/製品を製造するに際しては、所望の形状に成形可能な公知のあらゆる成形方法を採用することができる。そのような成形方法として、例えば、射出成形方法、押し出し成形方法、圧縮成形方法、溶液キャスティング法等が好ましく用いられる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
実施例および比較例の樹脂組成物の評価に用いた測定法は次のとおりである。
(1)引張強度(湿熱処理前)
充分に乾燥した樹脂組成物を、射出成形機(日精樹脂工業社製:NEX110−12E)を用いて射出成形し、ISO規格3167に記載の多目的試験片A型を作製した。作製した試験片をISO527規格に準拠して、引張速度5mm/分で測定した。
(2)耐湿熱性(引張強度(湿熱処理後))
上記記載の多目的試験片A型に対して、オートクレーブを用いて以下の条件下で75時間湿熱処理を実施し、上記記載の方法で引張強度を測定した。湿熱処理とは、詳しくは、オートクレーブ中、以下の条件で試験片を保持する処理である。
湿熱処理前後での保持率で耐湿熱性を評価した。湿熱処理後の引張強度の保持率を算出し、以下の基準に従ってランク付けした。ポリアリレート樹脂組成物とポリエチレンテレフタレート樹脂組成物とでは求められる耐湿熱性の程度が異なるため、ポリアリレート樹脂組成物とポリエチレンテレフタレート樹脂組成物とでは、互いに異なる湿熱処理条件およびランク基準で評価を行った。
・ポリアリレート樹脂組成物;オートクレーブ条件121℃×100%RH
◎:100%以上;
○:90%以上100%未満;
△:80%以上90%未満(実用上問題なし);
×:80%未満。
・ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物;オートクレーブ条件105℃×100%RH
◎:80%以上;
○:70%以上80%未満;
△:60%以上70%未満(実用上問題なし);
×:60%未満。
本発明の実施例と比較例で用いた原料を以下に示す。
(1)ポリエステル樹脂(A)
(1−1)ポリアリレート樹脂(a1)
・PAR:ユニチカ社製U−パウダー:インヘレント粘度0.55:テレフタル酸/イソフタル酸の混合比率はモル比で約50/50である。
(1−2)ポリエチレンテレフタレート樹脂(a2)
・PET:ユニチカ社製SA−1206:インヘレント粘度1.0。
(2)ポリカーボネート樹脂(B)
・PC1:住友ダウ社製カリバー200−13:インヘレント粘度0.4。
・PC2:三菱エンジニアリングプラスチック社製ユーピロンS−3000、インヘレント粘度0.4。
・PC3:出光興産社製タフロンA2500、インヘレント粘度0.45。
(3)ケイ酸塩化合物(c1)
・Tc:日本タルク社製鱗片状タルク P−8、平均粒子径3.3μm。
・ME:片倉コープアグリ社製合成フッ素雲母 ソマシフME−100、平均粒子径3.0μm。
(4)金属酸化物(c2)
・MgO:宇部マテリアルズ社製球状酸化マグネシウム UC95M、平均粒子径3.0μm。
・Al:昭和電工社製板状酸化アルミニウム A−420、平均粒子径4μm。
(5)相溶化剤
・MD−A:日油製モディパーA4400、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体に、アクリロニトリル−スチレン共重合体がグラフト重合してなる共重合体:E/GMA/AN−S=60/10/30、融点100℃。
(6)その他添加剤
・Gr:日本黒鉛社製鱗片状グラファイト J−CPB、平均粒子径5.0μm。
・STABAXOL P:ラインケミー社製ポリカルボジイミド化合物 スタバックゾールP(数平均分子量約700)。
実施例A1
二軸押出機(東芝機械社製TEM26SS、スクリュ径26mm)の主ホッパーに、ポリアリレート樹脂(PAR)70質量部、ポリカーボネート(PC)30質量部、およびタルク(Tc)0.7質量部を供給し、300℃で溶融混練を行った。溶融物を二軸押出機からストランド状に押出して冷却固化した後、ペレット状に切断し樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
実施例A2〜A11、比較例A1〜A9、実施例B1〜B10および比較例B1〜B7
樹脂組成物の組成を表1〜表4のように変更する以外は、実施例A1と同様にして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の評価結果を表1〜表4に示す。
表1〜表2に示すように、実施例A1〜A3は比較例A1〜A3に対して、ケイ酸塩化合物(c1)であるタルクの配合量が適正な範囲であるため、湿熱処理後の引張強度維持率が高く、耐湿熱性に優れるものであった。
また、実施例A7〜A9はそれぞれタルクの代わりにケイ酸塩化合物(c1)である合成フッ素雲母および金属酸化物(c2)である酸化マグネシウムまたは酸化アルミニウムを用いたが、配合量が適正な範囲であるため、湿熱処理後の引張強度維持率が高く、耐湿熱性に優れるものであった。
実施例A4〜A6は比較例A4〜A7に対してポリアリレート樹脂(a1)とポリカーボネート樹脂(B)との質量比が適正な範囲であるため、湿熱処理後の引張強度維持率が高く、耐湿熱性に優れるものであった。
実施例A10〜A11はポリカーボネート樹脂(B)を変更したが適正な組成であったため、湿熱処理後の引張強度維持率が高く、耐湿熱性に優れるものであった。
表3〜表4に示すように、実施例B1〜B3は比較例B1〜B3に対して、ケイ酸塩化合物(c1)であるタルクの配合量が適正な範囲であるため、湿熱処理後の引張強度維持率が高く、耐湿熱性に優れるものであった。
また、実施例B6〜B8はそれぞれタルクの代わりにケイ酸塩化合物(c1)である合成フッ素雲母および金属酸化物(c2)である酸化マグネシウムまたは酸化アルミニウムを用いたが、配合量が適正な範囲であるため、湿熱処理後の引張強度維持率が高く、耐湿熱性に優れるものであった。
実施例B4〜B5は比較例B4〜B5に対してポリエチレンテレフタレート樹脂(a2)とポリカーボネート樹脂(B)との質量比が適正な範囲であるため、湿熱処理後の引張強度維持率が高く、耐湿熱性に優れるものであった。
実施例B9〜B10はポリカーボネート樹脂(B)を変更したが適正な組成であったため、湿熱処理後の引張強度維持率が高く、耐湿熱性に優れるものであった。
比較例A1はケイ酸塩化合物(c1)も金属酸化物(c2)も配合しなかったため、湿熱処理後の引張強度維持率は小さく、十分な耐湿熱性は得られなかった。
比較例A2〜A7は、ポリアリレート樹脂(a1)、ポリカーボネート樹脂(B)または化合物(C)の各成分の配合比が適正な範囲でないため、湿熱処理後の引張強度維持率は小さく、十分な耐湿熱性は得られなかった。
比較例A8はタルクの代わりにグラファイトを配合したが、グラファイトがケイ酸塩化合物(c1)でも金属酸化物(c2)でもないため、湿熱処理後の引張強度維持率は小さく、十分な耐湿熱性は得られなかった。
比較例A9は化合物(C)の代わりにポリカルボジイミド化合物を配合したが、ケイ酸塩化合物(c1)でも金属酸化物(c2)でもないため、湿熱処理後の引張強度維持率がやや小さく、十分な耐湿熱性は得られなかった。
比較例B1はケイ酸塩化合物(c1)も金属酸化物(c2)も配合しなかったため、湿熱処理後の引張強度維持率は小さく、十分な耐湿熱性は得られなかった。
比較例B2〜B5は、ポリエチレンテレフタレート樹脂(a2)、ポリカーボネート樹脂(B)または化合物(C)の各成分の配合比が適正な範囲でないため、湿熱処理後の引張強度維持率は小さく、十分な耐湿熱性は得られなかった。
比較例B6はタルクの代わりにグラファイトを配合したが、グラファイトがケイ酸塩化合物(c1)でも金属酸化物(c2)でもないため、湿熱処理後の引張強度維持率は小さく、十分な耐湿熱性は得られなかった。
比較例B7は化合物(C)の代わりにポリカルボジイミド化合物を配合したが、ケイ酸塩化合物(c1)でも金属酸化物(c2)でもないため、湿熱処理後の引張強度維持率がやや小さく、十分な耐湿熱性は得られなかった。
本発明の樹脂組成物は、光学レンズ、OA部品等の電子部品、シート、自動車部品、建設資材等の用途において、特に、高温高湿環境に曝される部材の材料として有用である。

Claims (9)

  1. ポリエステル樹脂(A);
    ポリカーボネート樹脂(B);および
    ケイ酸塩化合物(c1)および金属酸化物(c2)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(C)を含有し、
    前記ポリエステル樹脂(A)と前記ポリカーボネート樹脂(B)の質量比(A/B)が80/20〜10/90であり、
    前記化合物(C)が前記ポリエステル樹脂(A)と前記ポリカーボネート樹脂(B)との合計量100質量部に対して0.1〜1質量部で含有される樹脂組成物。
  2. 前記ポリエステル樹脂(A)がポリアリレート樹脂(a1)および/またはポリエチレンテレフタレート樹脂(a2)である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記ポリエステル樹脂(A)がポリアリレート樹脂(a1)を含み、
    該ポリアリレート樹脂(a1)と前記ポリカーボネート樹脂(B)の質量比(a1/B)が75/25〜20/80である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  4. 前記ポリエステル樹脂(A)がポリエチレンテレフタレート樹脂(a2)を含み、
    前記樹脂組成物が相溶化剤(D)をさらに含有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
  5. 前記相溶化剤(D)が前記ポリエステル樹脂(A)と前記ポリカーボネート樹脂(B)との合計量100質量部に対して1〜20質量部で含有される、請求項4に記載の樹脂組成物。
  6. 前記ポリエチレンテレフタレート樹脂(a2)と前記ポリカーボネート樹脂(B)の質量比(a2/B)が80/20〜60/40である、請求項4または5に記載の樹脂組成物。
  7. 前記化合物(C)が、カオリン、タルク、クレー、パイロフィライト、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、ワラストナイト、セピオライト、ゾノトライト、ゼオライト、ケイソウ土、およびハロイサイトからなる群から選択される1種以上のケイ酸塩化合物(c1)である、請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物。
  8. 前記化合物(C)が、酸化チタン、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化鉛、酸化クロム、酸化コバルト、酸化タングステン、および酸化銅からなる群から選択される1種以上の金属酸化物(c2)である、請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物からなる成形体。
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