JP2017124587A - 積層体、電子デバイス、及びフレキシブル電子デバイスの製造方法 - Google Patents

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【課題】本発明は、高分子フィルムの表面活性化処理時や高分子フィルムとガラス板の加熱加圧時に真空装置を用いる必要がなく、高分子フィルムとガラス板の積層体が安定して貼り合わされると共に、電子デバイス実装後にガラス板から高分子フィルムを容易に剥離可能な方法を提供する。【解決手段】縮合系高分子フィルムとガラス板からなる積層体において、前記ガラス板と貼り合わせる前記縮合系高分子フィルムの接着面に、カルボキシル基が1.0×103〜1.0×108当量/cm2存在することを特徴とする積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、フレキシブルな高分子フィルムとガラス板を仮固定し積層体として、次いで高分子フィルム上に各種電子デバイスを形成した後に、高分子フィルムを電子デバイス部ごと剥離して、フレキシブル電子デバイスを得る製造技術に関する。また本発明はフレキシブルな高分子フィルムとガラス板を固定し積層体として、ガラス板面側に電子デバイスを製造する技術にも関係する。
情報通信機器(放送機器、移動体無線、携帯通信機器等)、レーダー、高速情報処理装置等における電子部品として、半導体素子、MEMS素子、ディスプレイ素子などの機能素子(デバイス)が用いられるが、これらは従来、ガラス、シリコンウエハ、セラミック基材等の無機基板上にて形成ないし搭載されるのが一般的であった。しかし、近年、電子部品の軽量化、小型・薄型化、フレキシビリティ化が求められるなか、高分子フィルム上に各種機能素子を形成する試みがなされている。
各種機能素子を高分子フィルム表面に形成するにあたっては、高分子フィルムの特性であるフレキシビリティを利用した、いわゆるロール・トゥ・ロールプロセスにて加工することが理想とされる。しかしながら、半導体産業、MEMS産業、ディスプレイ産業等の業界においては、これまでウエハベースまたはガラス板ベース等のリジッドな平面基板を対象としたプロセス技術が主流であった。そこで、既存インフラを利用して各種機能素子を高分子フィルム表面に形成するために、無機物(ガラス板、セラミック板、シリコンウエハ、金属板など)からなるリジッドな支持体に、高分子の溶液ないし前駆体溶液を塗布乾燥してフィルム化し、その上に、所望の素子を形成した後に支持体から剥離するというプロセスや、無機物からなる支持体にフィルムを仮固定し、フィルム状に所望の素子を形成した後に支持体から剥離するというプロセスが開発されている(特許文献1〜3)。
一般に機能素子を形成する工程においては、比較的高温が用いられることが多い。例えば、ポリシリコンや酸化物半導体などの機能素子の形成においては120〜500℃程度の温度域が用いられる。低温ポリシリコン薄膜トランジスタの作製においては脱水素化のために450℃程度の加熱が必要になる場合がある。水素化アモルファスシリコン薄膜の作製においても150〜250℃程度の温度域が必要になる。ここに例示した温度域は、無機材料にとってはさほど高い温度ではないが、高分子フィルムや、一般に高分子フィルムの貼り合わせに利用される接着剤にとっては、相当に高い温度であると云わざるを得ない。先に述べた高分子フィルムを無機基板に貼り合わせ、機能素子形成後に剥離するという手法に於いて、用いられる高分子フィルムや貼り合わせに用いられる接着剤、粘着剤にも十分な耐熱性が求められる所以であるが、現実問題としてかかる高温域にて実用に耐える高分子フィルムは限られている。また、従来の貼り合わせ用接着剤、粘着剤に至っては十分な耐熱性を有したものは、きわめて少ないのが現状であった。
先に例示した、無機物からなる支持体に、高分子の溶液ないし前駆体溶液を塗布乾燥してフィルム化し、その上に、所望の素子を形成した後に支持体から剥離するプロセスは、高分子フィルムを無機基板に仮貼り付けする耐熱接着手段が得られないために考案された技術である。しかしながら、かかる手段により得られる高分子膜は、無機基板に密接に接着されていることから、無機基板から剥離しようとしても、脆く裂けやすいため、無機基板から剥離する際に機能素子を破壊してしまう場合が多い。特に大面積のデバイスを剥離することは極めて難度が高く、生産性は十分ではない。
本発明者らは、このような事情に鑑み、機能素子を形成するための高分子フィルムと支持体との積層体として、耐熱性に優れ強靭で薄膜化が可能なポリイミドフィルムを、カップリング剤を介して無機物からなる支持体(無機層)に貼り合わせてなる積層体を提案した(特許文献4〜6)。
高分子フィルムは元来、柔軟な素材であり、多少の伸縮や曲げ伸ばしに支障はない。一方で高分子フィルム上に形成された電子デバイスは、多くの場合、無機物からなる導電体、半導体を所定のパターンにて組み合わせた微細な構造を有しており、微小な伸縮や曲げ伸ばしといったストレスによって、その構造は破壊され、デバイスとしての特性は損なわれてしまう。この様なストレスは、電子デバイスを高分子フィルムごと、無機基板から剥離するときに生じやすい。
そこで本発明者らは、さらに改良を重ね、カップリング剤処理を行った無機基板に、部分的に不活性化処理を行い、カップリング剤の活性度の高い部分と低い部分を形成し、高分子フィルムを貼り合わせた際に、比較的剥離しにくい良接着部と、比較的剥離しやすい易剥離部とを作り、易剥離部に電子デバイスを形成し、高分子フィルムの易剥離部/良接着部との境目に切り込みを入れて、易剥離部のみを剥離することにより、電子デバイスに与えるストレスを減じた状態にて剥離可能とする技術を提案している(特許文献7)。
一方で、近年、100μm未満の厚さを持つガラス板が開発され、透明性、耐熱性を有し、かつフレキシブルな新規な基板として注目を集めている。かかる極薄いガラス板はフレキシブルではあるが、限界曲げ半径以下に変形させた場合には割れ、ガラス破片が飛散する等の危険性がある。飛散防止フィルムなどを貼り合わせることは、ガラス板の厚さにかかわらず危険を低減させるために有効な手法ではあるが、一般的な飛散防止用フィルムは接着剤、粘着剤などを用いてガラス板とフィルムを接着するため、飛散防止フィルムを貼り合わせた状態で高温工程を伴う加工プロセスに適合せず、また製品の用途においても使用温度範囲が限られてしまう等の欠点がある。
特開昭58−91446号公報 特開平10−125930号公報 特開2000−243943号公報 特開2010−283262号公報 特開2011−11455号公報 特開2011−245675号公報 特開2013−010342号公報
上述した特許文献4〜7に記載の積層体によれば、所謂接着剤、粘着剤を用いることなく、高分子フィルムと無機基板との貼り合わせが可能となり、さらにその積層体は薄膜デバイスを製作するに必要な高温に暴露されても、高分子フィルムの剥離は生じない。従って当該積層体を、従来のガラス板やシリコンウエハなどの無機物の基板上に直接電子デバイスを形成するプロセスに供することが可能となる。しかし、かかる技術においてはフィルムの活性化処理に真空プラズマ処理を用いることが多いため生産性と加工コストに課題があった。また湿式処理はコスト的には有利であるが、一部の高分子フィルムにおいては湿式処理で用いられるアルカリ成分によりフィルムそのものが劣化して機械的強度が低下することや、支持体との接着強度が不安定と成りプロセス中にフィルムが脱落するなどの不具合が生じることがあった。
この様に、高分子フィルムを無機物からなる支持基板(以下無機基板と称する)に仮固定してデバイス加工を行い、無機基板から高分子フィルムを剥離することによりフレキシブル電子デバイスを製造する方法は、高分子フィルムの表面活性化処理時や高分子フィルムと無機基板(例えばガラス板)の加熱加圧時に真空装置を用いる為、生産性や加工コストが十分でなく、真空装置を用いない表面活性化処理や加熱加圧手法の確立が望まれていた。
そこで、本発明は、高分子フィルム(縮合系高分子フィルムともいう)の表面活性化処理時や高分子フィルムとガラス板の加熱加圧時に真空装置を用いる必要がなく、高分子フィルムとガラス板の積層体が安定して貼り合わされると共に、電子デバイス実装後にガラス板から高分子フィルムを容易に剥離可能な方法を提供することを課題として掲げた。
本発明者らはかかる課題を解決するために、特に湿式処理について鋭意検討した結果、極めて安定して貼り合わせ(仮支持)が可能となる処理液を積層体に用いる事を見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は以下の構成からなる。
[1] 縮合系高分子フィルムとガラス板からなる積層体において、前記ガラス板と貼り合わせる前記縮合系高分子フィルムの接着面に、カルボキシル基が1.0×103〜1.0×108当量/cm2存在することを特徴とする積層体。
[2] 前記カルボキシル基が、少なくとも(a)オキシアルキルアミン化合物、並びに(b)アンモニア及び一般式(1)で示される水酸化アンモニウム化合物から選択される化合物を含むアルカリ性溶液を用いて生成されてなる[1]に記載の積層体。
一般式(1) {(R13−N+−R2}・OH-
[式中、R1はH、又はC1〜8のアルキル基を示す。
2はH、C1〜8のアルキル基、又はC1〜8のヒドロキシアルキル基を示す。
1は、同一でもあってもよいし、異なっていてもよい。]
[3] 前記縮合系高分子フィルムが、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリベンゾオキサゾールフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム又は液晶ポリマーフィルムである[1]又は[2]に記載の積層体。
[4] 前記縮合系高分子フィルムがポリイミドフィルムである[1]〜[3]のいずれかに記載の積層体。
[5] 前記縮合系高分子フィルムと貼り合わせる前記ガラス板の面が、シランカップリング剤で表面活性化処理されている[1]〜[4]のいずれかに記載の積層体。
[6] 前記ガラス板と貼り合わせる前記縮合系高分子フィルムの面が、シランカップリング剤で表面活性化処理されている[1]〜[5]のいずれかに記載の積層体。
[7] 前記ガラス板をシランカップリング剤で処理した場合の前記ガラス板と前記縮合系高分子フィルムの熱処理後の90度剥離における接着強度が、1.0N/cm以上10N/cm以下である[1]〜[6]のいずれかに記載の積層体。
[8] 前記ガラス板をシランカップリング剤で処理しない場合の前記ガラス板と前記縮合系高分子フィルムの熱処理後の90度剥離における接着強度が、0.03N/cm以上1.0N/cm未満である[1]〜[4]及び[6]のいずれかに記載の積層体。
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載された積層体のガラス板表面に印刷ないし薄膜を用いて形成された電子デバイス。
[10] [1]〜[8]のいずれかに記載された積層体の縮合系高分子フィルム表面に電子デバイスを形成した後に縮合系高分子フィルムとガラス板とを分離することを特徴とするフレキシブル電子デバイスの製造方法。
本発明によれば、高分子フィルムの表面活性化処理時や高分子フィルムとガラス板の加熱加圧時に真空装置を用いる必要がなく、高分子フィルムとガラス板の積層体が安定して貼り合わされると共に、電子デバイス実装後にガラス板から高分子フィルムを容易に剥離することができる。
本発明の積層体は、高分子フィルムの、少なくともガラス板との接着に用いる面に表面処理によりカルボキシル基を生成し、カルボキシル基とガラス板表面の官能基との物理結合ないし化学結合により両者を接着することにより得られる。カルボキシル基は高分子化合物の酸化、ないし加水分解反応により生成することが比較的容易である。特にポリイミド、ポリアミド、ポリエステルなどに代表される縮合系の高分子においては、アルカリを含む湿式処理にて比較的容易に高分子フィルム表面にカルボキシル基が生成するため、本発明を効果的に適用することができる。
本発明は好ましくは、水酸化アンモニウム化合物を含む薬液や、オキシアルキルアミンを含む薬液による常圧での湿式処理を用いることができるため、比較的安価な装置を用いることができる。
また、本発明ではカルボキシル基の生成量により積層体の高分子フィルムとガラス板との間の接着力を制御することが可能である。接着力を弱く制御した場合には、積層体のガラス板から電子デバイス形成後の高分子フィルムを剥離する際の高分子フィルムへの応力を小さく留めることができるため、電子デバイスの歩留まりと信頼性が向上する。一方で接着力を強く制御した場合、たとえばガラス板側にデバイスを形成し、反対面の高分子フィルムをガラス板の補強や飛散防止フィルムとして使う場合に好ましい。
アンモニア及び/又は一般式(1)で示される水酸化アンモニウム化合物を含むアルカリ性溶液を用いた表面処理にて生成したカルボキシル基はガラス板表面に存在する極性成分ないし水酸基などの官能基と水素結合によって接着し、さらに加熱等の後処理によりエステル結合、アミド結合、イミド結合などの共有結合を伴う化学的結合に変性することもできる。
このような効果によりガラス板に張り合わされた高分子フィルムは、デバイス形成の際の加熱、減圧、アルカリ処理、酸処理、有機溶剤による洗浄などの条件に暴露されても剥離せずにデバイス形成が可能であるため、フィルム面側、ガラス板面側のいずれにもデバイス形成が可能である。
デバイス形成後に高分子フィルムの剥離が必要な場合には、ガラス板裏面からのレーザー照射、フラッシュランプ照射等を伴う手段にて剥離可能である。また、フィルム貼りつけ面の周囲の部分を強く接着させ、フィルム中央寄りのデバイス形成エリアの接着力を弱く保つことにより、デバイス形成後に強接着部分と弱接着部分との境目をカットして、デバイス形成領域のみを剥離させることも出来る。接着力の強弱は、フィルムの接着面へのパターン化処理あるいはガラス板側へのパターン化処理にて実現可能である。
本発明の積層体は、縮合系高分子フィルムとガラス板からなる積層体において、前記ガラス板と貼り合わせる前記縮合系高分子フィルムの接着面に、カルボキシル基が1cm2当たり所定量存在することを特徴とする。
<ガラス板>
本発明においては高分子フィルムの接着相手としてガラス板を用いる。ガラスとしては、石英ガラス、高ケイ酸ガラス(96%シリカ)、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス(パイレックス(登録商標))、ホウケイ酸ガラス(無アルカリ)、ホウケイ酸ガラス(マイクロシート)、アルミノケイ酸塩ガラス等が含まれる。これらの中でも、線膨張係数が5ppm/℃以下のものが望ましく、市販品であれば、液晶用ガラスであるコーニング社製の「コーニング(登録商標)7059」や「コーニング(登録商標)1737」、「EAGLE」、旭硝子社製の「AN100」、日本電気硝子社製の「OA10」、SCHOTT社製の「AF32」などが望ましい。
前記ガラス板の平面部分は、充分に平坦である事が望ましい。具体的には、表面粗さRaが例えば10nm以下、好ましくは3nm以下、より好ましくは0.9nm以下である。また、表面粗さのP−V値が例えば50nm以下、好ましくは20nm以下、より好ましくは5nm以下である。これより粗いと、高分子フィルムとガラス板との接着強度が不充分となる場合がある。
前記ガラス板の厚さは特に制限されないが、取り扱い性の観点より10mm以下の厚さが好ましく、3mm以下がより好ましく、1.3mm以下がさらに好ましい。厚さの下限については特に制限されないが、例えば0.07mm以上、好ましくは0.15mm以上、より好ましくは0.3mm以上が用いられる。
本発明におけるガラス板としては、望ましくは、少なくとも面積が4900cm2以上のサイズを対象とする。本発明のガラス板は、少なくとも短辺側が700mm以上の実質的に長方形であることが好ましい。本発明においてガラス板の面積は好ましくは5000cm2以上であり、より好ましくは10000cm2以上、さらに好ましくは18000cm2以上である。また本発明におけるガラス板の長方形の短辺側長さは、好ましくは730mm以上であり、より好ましくは840mm以上であり、さらに好ましくは1000mm以上である。
なお、ここで「実質的に長方形」とは長方形の角のR、切り欠き、ノッチ、オリフラなどが許容されることを意味する。本発明ではフラットパネルディスプレイ業界に於いて、第4世代と呼ばれる680×880mmないし730×920mmのガラス板、第5世代と呼ばれる1000×1200mmないし1100×1250mmないし1300×1500mmのガラス板、第6世代と呼ばれる1370×1670mmないし1500×1800mmのガラス板、第7世代と呼ばれる1870×2200mmのガラス板、第8世代と呼ばれる2160×2460mmないし2200×2500mmのガラス板、第9世代と呼ばれる2400×2800mmのガラス板、第10世代と呼ばれる2880×3130mmのガラス板、第11世代と呼ばれる3320×3000mmのガラス板、ないしはそれ以上のサイズを有するガラス板がこの「実質的に長方形」に該当する。ただし本発明は、ここに例示した面積、サイズ、長方形の短辺長さより小さいサイズのガラス板への適用を制限されるものではない。
本発明ではガラス板の厚さが例えば200μm以下、好ましくは110μm以下、より好ましくは55μm以下、さらに好ましくは33μm以下の極薄ガラスのシートないしロールをガラス板として用いる事ができる。
<高分子フィルム>
本発明における高分子フィルムは、エステル結合、アミド結合、イミド結合、ベンザゾール結合、エーテル結合など、縮重合反応を伴って形成される高分子からなるフィルムである。本発明で好ましく用いられる高分子は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、全芳香族ポリエステル、その他の共重合ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、芳香族ポリイミド、脂環族ポリイミド、フッ素化ポリイミド、酢酸セルロース、硝酸セルロース、芳香族ポリアミド、ポリフェノール、ポリアリレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリカーボネート樹脂、液晶ポリマー等のフィルムを用いることが出来る。本発明ではこれら縮重合反応により得られる高分子フィルムの中で、特に効果が顕著・有用であるものは耐熱性が100℃以上の高分子、所謂エンジニアリングプラスチックのフィルムである。ここに耐熱性とはガラス転移温度ないしは熱変形温度を云う。本発明で好ましく用いられる縮合系高分子フィルムはポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンザゾール、ポリイミドベンザゾール、ポリエチレンナフタレートフィルム、液晶ポリマーフィルムであり、より好ましくはポリイミドフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム又は液晶ポリマーフィルムである。
本発明の高分子フィルムのヤング率(引張弾性率)は2GPa以上であることが好ましく、より好ましくは3.5GPa以上、さらに好ましくは6GPa以上、さらにより好ましくは7.4GPa以上、特に好ましくは8.2GPa以上、最も好ましくは9.1GPa以上である。ヤング率は引っ張りで求めるヤング率である。ヤング率がこの範囲に満たない場合、ガラス板から高分子フィルムを剥離する際に、高分子フィルムの伸びが大となり、電子デバイスが破壊される可能性が高くなる。
本発明において、ヤング率の上限は特に限定されないが、現実的には15GPa程度である。ヤング率が高すぎる素材は、フィルムが脆く、割れやすくなることが多いため、フレキシブル電子デバイス用の基材としては適切でない。
本発明の高分子フィルムの厚さの下限は特に限定されないが、電子デバイスの基材としての最低限の機械的強度を維持するために、4.5μm以上が好ましい。本発明で高分子フィルムの厚さは12μm以上がより好ましく、さらに好ましくは24μm以上、さらにより好ましくは45μm以上である。高分子フィルムの厚さの上限は特に制限されないが、フレキシブル電子デバイスとして、250μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましく、90μm以下であることがさらに好ましい。
本発明で特に好ましく用いられる高分子フィルムはポリイミドフィルムであり、芳香族ポリイミド、脂環族ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなどを用いることが出来る。本発明を特にフレキシブルディスプレイ素子製造に用いる場合には、無色透明性を有するポリイミド系樹脂フィルムを用いることが好ましいが、反射型、ないし自発光型のディスプレイの背面素子を形成する場合においては、特にこの限りではない。
一般にポリイミドフィルムは、溶媒中でジアミン類とテトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリアミド酸(ポリイミド前駆体)溶液を、ポリイミドフィルム作製用支持体に塗布、乾燥してグリーンフィルム(「前駆体フィルム」または「ポリアミド酸フィルム」ともいう)となし、さらにポリイミドフィルム作製用支持体上で、あるいは該支持体から剥がした状態でグリーンフィルムを高温熱処理して脱水閉環反応を行わせることによって得られる。
ポリアミド酸を構成するジアミン類としては、特に制限はなく、ポリイミド合成に通常用いられる芳香族ジアミン類、脂肪族ジアミン類、脂環式ジアミン類等を用いることができる。耐熱性の観点からは、芳香族ジアミン類が好ましく、芳香族ジアミン類の中では、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類がより好ましい。ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類を用いると、高い耐熱性とともに、高弾性率、低熱収縮性、低線膨張係数を発現させることが可能になる。ジアミン類は、単独で用いてもよいし二種以上を併用してもよい。
ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類としては、特に限定はなく、例えば、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、6−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、5−アミノ−2−(m−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、6−アミノ−2−(m−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2,2'−p−フェニレンビス(5−アミノベンゾオキサゾール)、2,2'−p−フェニレンビス(6−アミノベンゾオキサゾール)、1−(5−アミノベンゾオキサゾロ)−4−(6−アミノベンゾオキサゾロ)ベンゼン、2,6−(4,4'−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:5,4−d']ビスオキサゾール、2,6−(4,4'−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:4,5−d']ビスオキサゾール、2,6−(3,4'−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:5,4−d']ビスオキサゾール、2,6−(3,4'−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:4,5−d']ビスオキサゾール、2,6−(3,3'−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:5,4−d']ビスオキサゾール、2,6−(3,3'−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:4,5−d']ビスオキサゾール等が挙げられる。
上述したベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類以外の芳香族ジアミン類としては、例えば、2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、1,4−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン(ビスアニリン)、1,4−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン、2,2'−ジトリフルオロメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,3'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4'−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4'−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、3,4'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、3,4'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、3,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4'−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4'−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4'−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4'−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4'−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノ−5,5'−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−4,5'−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−5'−フェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノ−5,5'−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−4,5'−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−5'−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリル、および上記芳香族ジアミンの芳香環上の水素原子の一部もしくは全てが、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基またはアルコキシル基、シアノ基、またはアルキル基またはアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基またはアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
前記脂肪族ジアミン類としては、例えば、1,2−ジアミノエタン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,8−ジアミノオクタン等が挙げられる。
前記脂環式ジアミン類としては、例えば、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4'−メチレンビス(2,6−ジメチルシクロヘキシルアミン)等が挙げられる。
芳香族ジアミン類以外のジアミン(脂肪族ジアミン類および脂環式ジアミン類)の合計量は、全ジアミン類の20質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。換言すれば、芳香族ジアミン類は全ジアミン類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
ポリアミド酸を構成するテトラカルボン酸類としては、ポリイミド合成に通常用いられる芳香族テトラカルボン酸類(その酸無水物を含む)、脂肪族テトラカルボン酸類(その酸無水物を含む)、脂環族テトラカルボン酸類(その酸無水物を含む)を用いることができる。中でも、芳香族テトラカルボン酸無水物類、脂環族テトラカルボン酸無水物類が好ましく、耐熱性の観点からは芳香族テトラカルボン酸無水物類がより好ましく、光透過性の観点からは脂環族テトラカルボン酸類がより好ましい。これらが酸無水物である場合、分子内に無水物構造は1個であってもよいし2個であってもよいが、好ましくは2個の無水物構造を有するもの(二無水物)がよい。テトラカルボン酸類は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
脂環族テトラカルボン酸類としては、例えば、シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、3,3',4,4'−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸等の脂環族テトラカルボン酸、およびこれらの酸無水物が挙げられる。これらの中でも、2個の無水物構造を有する二無水物(例えば、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物等)が好適である。なお、脂環族テトラカルボン酸類は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
脂環式テトラカルボン酸類は、透明性を重視する場合には、例えば、全テトラカルボン酸類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
芳香族テトラカルボン酸類としては、特に限定されないが、ピロメリット酸残基(すなわちピロメリット酸由来の構造を有するもの)であることが好ましく、その酸無水物であることがより好ましい。このような芳香族テトラカルボン酸類としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4'−オキシジフタル酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン酸無水物等が挙げられる。
芳香族テトラカルボン酸類は、耐熱性を重視する場合には、例えば、全テトラカルボン酸類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
本発明のポリイミドフィルムは、ガラス転移温度が例えば250℃以上、好ましくは300℃以上、より好ましくは350℃以上であり、あるいは500℃以下の領域においてガラス転移温度が観測されないことが好ましい。ガラス転移温度は、示差熱分析(DSC)により求めるものである。
本発明の高分子フィルムの線膨張係数(CTE)は、好ましくは−5ppm/℃〜+45ppm/℃であり、より好ましくは−5ppm/℃〜+40ppm/℃であり、さらに好ましくは+1ppm/℃〜+35ppm/℃、さらにより好ましくは+1ppm/℃〜+10ppm/℃である。CTEが前記範囲であると、一般的な支持体との線膨張係数の差を小さく保つことができ、熱を加えるプロセスに供してもポリイミドフィルムと無機物からなる支持体とが剥がれることを回避できる。
本発明における高分子フィルムの引張破断強度は、例えば60MPa以上、好ましくは120MPa以上、より好ましくは240MPa以上である。引張破断強度の上限に制限は無いが、事実上1000MPa程度未満である。なお、ここで前記高分子フィルムの引張破断強度とは、高分子フィルムのMD方向とTD方向の平均値をさす。
本発明における高分子フィルムの引張破断伸度は、例えば10%〜200%、好ましくは20%〜160%、より好ましくは40%〜150%である。なお、ここで前記高分子フィルムの引張破断伸度とは、高分子フィルムのMD方向とTD方向の平均値をさす。
本発明の高分子フィルムの熱収縮率は、400℃1時間加熱時において0.5%以下であることが好ましい。かかる特性は、ポリイミドフィルムの原料の内、テトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸を50モル%以上用い、同時にパラフェニレンジアミンないしベンゾオキサゾール構造を有するジアミンを50モル%以上用いるか、あるいは、芳香環を1ないし2有するテトラカルボン酸無水物と、ジアミン成分としてパラフェニレンジアミンを85モル%以上使用することにより得ることができる。
本発明における高分子フィルムの厚さ斑は、0.1%以上20%以下であることが好ましく、より好ましくは12%以下、さらに好ましくは7%以下、特に好ましくは4%以下である。厚さ斑が20%を超えると、狭小部へ適用し難くなる傾向がある。なお、フィルムの厚さ斑は、例えば接触式の膜厚計にて被測定フィルムから無作為に10点程度の位置を抽出してフィルム厚を測定し、下記式に基づき求めることができる。
フィルムの厚さ斑(%)=100×(最大フィルム厚−最小フィルム厚)÷平均フィルム厚
高分子フィルムにおいては、ハンドリング性および生産性を確保する為、フィルム中に滑材(粒子)を添加・含有させて、高分子フィルム表面に微細な凹凸を付与して滑り性を確保することが好ましい。前記滑材(粒子)とは、好ましくは無機物からなる微粒子であり、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属炭素化物、金属酸塩、リン酸塩、炭酸塩、タルク、マイカ、クレイ、その他粘土鉱物等からなる粒子を用いることができる。好ましくは、酸化珪素、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、ピロリン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、ガラスフィラーなどの金属酸化物、リン酸塩、炭酸塩を用いることができる。滑材は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記滑材(粒子)の体積平均粒子径は、通常0.001〜10μmであり、好ましくは0.03〜2.5μm、より好ましくは0.05〜0.7μm、さらに好ましくは0.05〜0.3μmである。かかる体積平均粒子径は光散乱法で得られる測定値を基準とする。粒子径が下限より小さいと高分子フィルムの工業的生産が困難となり、また上限を超えると表面の凹凸が大きくなりすぎて貼り付け強度が弱くなり、実用上の支障が出る虞がある。
前記滑材の添加量は、高分子フィルム中の高分子成分に対して、例えば0.02〜5質量%であり、好ましくは0.04〜1質量%、より好ましくは0.08〜0.4質量%である。滑材の添加量が少なすぎると滑材添加の効果が期待し難く、滑り性の確保がそれほどなく高分子フィルム製造に支障をきたす場合があり、多すぎると、フィルムの表面凹凸が大きくなり過ぎて、滑り性の確保が見られても平滑性の低下を招いたり、高分子フィルムの破断強度や破断伸度の低下を招いたり、CTEの上昇を招くなどの問題を招く場合がある。
高分子フィルムに滑材(粒子)を添加・含有させる場合、滑材が均一に分散した単層の高分子フィルムとしてもよいが、例えば、一方の面が滑材を含有させた高分子フィルムで構成され、他方の面が滑材を含有しないか、含有していても滑材含有量が少量である高分子フィルムで構成された多層の高分子フィルムとしてもよい。このような多層高分子のフィルムにおいては、一方の層(フィルム)表面に微細な凹凸が付与されて該層(フィルム)で滑り性を確保することができ、良好なハンドリング性や生産性を確保できる。
多層高分子フィルムは、溶融延伸製膜法に製造されるフィルムの場合、例えばまず、滑剤を含有しない高分子フィルム原料を用いてフィルム化を行い、その工程途上において少なくともフィルムの片面に、滑剤を含有する樹脂を塗布することにより得ることが出来る。もちろん、この逆で、滑剤を含有する高分子フィルム原料を用いてフィルム化を行い、その工程途上、ないし、フィルム化が完了した後に、滑剤を含有しない高分子フィルム原料を塗布してフィルムを得ることも出来る。
ポリイミドフィルムのような溶液製膜法を用いて得られる高分子フィルムの場合にも同様で、例えば、ポリアミド酸溶液(ポリイミドの前駆体溶液)として、滑材(好ましくは平均粒子径0.05〜2.5μm程度)をポリアミド酸溶液中のポリマー固形分に対して0.02質量%〜50質量%(好ましくは0.04〜3質量%、より好ましくは0.08〜1.2質量%)含有したポリアミド酸溶液と、滑材を含有しないか又はその含有量が少量(好ましくはポリアミド酸溶液中のポリマー固形分に対して0.02質量%未満、より好ましくは0.01質量%未満)である2種のポリアミド酸溶液を用いて製造することができる。
多層高分子フィルムの多層化(積層)方法は、両層の密着に問題が生じなければ、特に限定されるものではなく、かつ接着剤層などを介することなく密着するものであればよい。
ポリイミドフィルムの場合、例えば、i)一方のポリイミドフィルムを作製後、このポリイミドフィルム上に他方のポリアミド酸溶液を連続的に塗布してイミド化する方法、ii)一方のポリアミド酸溶液を流延しポリアミド酸フィルムを作製後このポリアミド酸フィルム上に他方のポリアミド酸溶液を連続的に塗布した後、イミド化する方法、iii)共押し出しによる方法、iv)滑材を含有しないか又はその含有量が少量であるポリアミド酸溶液で形成したフィルムの上に、滑材を多く含有するポリアミド酸溶液をスプレーコート、Tダイ塗工などで塗布してイミド化する方法などを例示できる。本発明では、上記i)ないし上記ii)の方法を用いることが好ましい。
多層の高分子フィルムにおける各層の厚さの比率は、特に限定されないが、滑材を多く含有する高分子層を(a)層、滑材を含有しないか又はその含有量が少量である高分子層を(b)層とすると、(a)層/(b)層の厚さ比率は0.05〜0.95が好ましい。(a)層/(b)層の厚さ比率が0.95を超えると(b)層の平滑性が失われがちとなり、一方0.05未満の場合、表面特性の改良効果が不足し易滑性が失われることがある。
本発明における高分子フィルムは、その製造時において幅が300mm以上、長さが10m以上の長尺フィルムとして巻き取られた形態で得られるものが好ましく、巻取りコアに巻き取られたロール状ポリイミドフィルムの形態のものがより好ましい。
本発明に於ける前記ガラス板と貼り合わせる前記縮合系高分子フィルムの接着面において、カルボキシル基が1.0×103〜1.0×108当量/cm2存在することが必須である。当該カルボキシル基は、3.0×103〜1.0×107当量/cm2存在することが好ましく、1.0×104〜3.0×106当量/cm2存在することがより好ましく、3.0×104〜1.0×106当量/cm2存在することがさらに好ましい。
カルボキシル基の量はIR分析ないし化学修飾法により定量することが出来る。IR分析はカルボキシル基の量が比較的多い場合に有効である。カルボキシル基の量が比較的少ない場合においては化学修飾法が有効である。化学修飾法としては湿式、乾式のいずれの方法でも良い。
分析手法としては、一例として、トリフルオロエタノール(TFE:CF3CH2OH)、ジ−t−ブチルカルボジイミド(Di−t−BuC:(CH33C=NC=NC(CH33)、ピリジン(C65N)を用い、ピリジンを触媒としてカルボキシル基にトリフルオロエタノールの−CH2CF3を付加させ、付加されたフッ素元素量をXPS、ESCA等で定量する方法を例示できる。
<高分子フィルムの表面活性化処理>
高分子フィルム表面にカルボキシル基を生成せしめる表面処理としては、少なくとも(a)オキシアルキルアミン化合物、並びに(b)アンモニア及び一般式(1)で示される水酸化アンモニウム化合物から選択される化合物を含むアルカリ性溶液を用いた表面処理を例示できる。
一般式(1) {(R13−N+−R2}・OH-
[式中、R1はH、又はC1〜8のアルキル基である。
2はH、C1〜8のアルキル基、又はC1〜8のヒドロキシアルキル基である。
1は同一でもあってもよいし、異なっていてもよい。]
1及びR2のアルキル基の炭素数は、1〜8であり、好ましくは1〜6であり、より好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜2である。
2のヒドロキシアルキル基の炭素数は、アルキル基の炭素数と同様であってもよい。
本発明で好ましく用いられる水酸化アンモニウム化合物としては、水酸化アンモニウム、水酸化モノメチルアンモニウム、水酸化ジメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化トリオクチルメチルアンモニウム、水酸化トリエチルメチルアンモニウム、水酸化トリメチルエチルアンモニウム等の水酸化アルキルアンモニウム化合物、水酸化N−(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム等の水酸化(ヒドロキシアルキル)アルキルアンモニウム化合物である。
本発明で特に好ましく用いられる水酸化アンモニウム化合物はアンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化N−(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムである。同様に、アンモニアも本発明で特に好ましく用いられる。
本発明におけるアンモニア及び/又は水酸化アンモニウム化合物を含むアルカリ性溶液としては水溶液、アルコール溶液、溶剤溶液が好ましく用いられ、アルコール溶液としてはメタノール溶液、エタノール溶液、イソプロパノール溶液、ノルマルプロパノール溶液、ブタノール溶液である。溶剤溶液としては、Nメチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド等を用いる事ができる。
中でも、前記アルカリ性溶液は、作業性の点で水溶液であることが好ましい。
本発明のアルカリ性溶液に於けるアンモニア及び/又は水酸化アンモニウム化合物の含有量は特に制限されず、アンモニア及び/又は水酸化アンモニウム化合物の原液を用いても良い。しかしながら作業性の観点より、アンモニア及び/又は水酸化アンモニウム化合物の含有量は、前記アルカリ性溶液100質量%中、1〜45質量%の溶液として使用することが好ましく、2〜25質量%がより好ましく、2〜15質量%がさらに好ましく、2〜10質量%がさらにより好ましい。
本発明ではアルカリ性溶液にアンモニア及び水酸化アンモニウム化合物からなる群より選択される化合物に加え、オキシアルキルアミン化合物を加えることができる。オキシアルキルアミンは、モノオキシモノアミン、及びモノアミノ多価アルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
オキシアルキルアミンとしては、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン、N,N−ジエチルプロパノールアミン、N,N−ジプロピルプロパノールアミン等のモノオキシモノアミン;ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン等のモノアミノ多価アルコール等を例示できる、本発明で特に好ましく用いられるオキシアルキルアミンはエタノールアミン、プロパノールアミンである。
本発明におけるオキシアルキルアミン化合物の含有量は、前記アルカリ性溶液100質量%中、例えば3〜40質量%、好ましくは5〜25質量%、より好ましくは7〜18質量%である。
オキシアルキルアミン化合物を適量加えることにより、加水分解によって生成した余分な膨潤層の除去効果が促進され、良好な接着力、接着力の耐久性を得ることができる。
なお、これらの成分の他に、高分子フィルムに対するアルカリ性溶液の濡れ性調整などの目的により公知の界面活性剤等を添加する事ができる。
<保護フィルム>
本発明では必要に応じて保護フィルムを用いる事が出来る。保護フィルムは、文字通り、主体となる被保護物を、汚染やキズから保護する役割を担う物であるが、本発明に於いては、さらに、分割された高分子フィルムをまとめ、ガラス板と貼り合わせる工程を省力化する働きを担う。
本発明の保護フィルムは、基材フィルムと粘着剤からなってもよい。基材フィルムとしては一般的なPETフィルム、PENフィルム、ポリプロピレンフィルム、ナイロンフィルム等の他、PPSフィルム、PEEKフィルム、芳香族ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリイミドベンザソールフィルム等の耐熱性スーパーエンジニアリングプラスチックフィルムを用いることができる。
本発明で好ましく用いられる保護フィルムの基材は、寸法安定性改善のためのアニール処理を行ったPETフィルム、同じくアニール処理を行ったPENフィルム、ポリイミドフィルムである。
本発明の保護フィルムに用いられる粘着剤としては、シリコーン系、アクリル系、ポリウレタン系等の公知の粘着剤を用いることが出来る。本発明の保護フィルムは、フレキシブル電子デバイスの基材となる高分子フィルムのデバイス形成面を保護する。したがって、粘着剤成分の転写が極少になるように、あるいは転写成分がドライ、ないしはウエット洗浄にて簡単に除去できるタイプの粘着剤を使用することが好ましい。本発明では、たとえば、冷却することによって粘着力が減じる性質を有する側鎖結晶性高分子を用いた粘着剤を用いることができる。
<ガラス板と高分子フィルムの接着手段>
本発明においてガラス板と高分子フィルムとの接着手段は、(1)ガラス板と貼り合わせる高分子フィルムの面を前記アルカリ性溶液により表面活性化処理して高分子フィルムとガラス板を接着させる手段、(2)高分子フィルムと貼り合わせるガラス板の面をシランカップリング剤で処理し高分子フィルムとガラス板を接着させる手段、(3)粘着剤又は接着剤により高分子フィルムとガラス板を接着させる手段であってもよく、これらを併用してもよい。
本発明においてガラス板と高分子フィルムの接着手段は、前記(1)を必須手段とし、前記(1)と前記(2)、前記(1)と前記(3)、又は前記(1)と前記(2)と前記(3)の組み合わせであってもよく、前記(1)の後に、前記(2)及び/又は(3)を行えばよい。
アルカリ性溶液によるガラス板と高分子フィルムの接着
ガラス板と貼り合わせる高分子フィルムの面が、前記アルカリ性溶液で塗布されることが好ましく、高分子フィルムをアルカリ性溶液に浸漬することが好ましい。
塗布方法としては、スピンコート法、カーテンコート法、ディップコート法、スリットダイコート法、グラビアコート法、バーコート法、コンマコート法、アプリケーター法、スクリーン印刷法、スプレーコート法等の一般的な液体塗布方法を例示することが出来る。液相での塗布方法を用いた場合、塗布後に速やかに乾燥し、さらに90±30℃程度で数十秒〜10分程度の熱処理(乾燥処理)を行うことが好ましい。
浸漬方法としては、所定容器に前記アルカリ性溶液を充填し、前記アルカリ性溶液を撹拌しながら、所定温度、所定時間の条件で、高分子フィルムを浸漬する方法が挙げられる。当該温度は、例えば0〜80℃であり、好ましくは10〜60℃、より好ましくは15〜38℃、さらにより好ましくは15〜30℃である。温度がこの範囲を超えると、高分子フィルムが溶解してしまう場合が生じる。一方で温度が所定範囲に満たないと処理が不十分に成り、接着強度の斑が発生しやすくなる。
当該時間は、例えば1秒〜30分、好ましくは5秒〜10分、より好ましくは10秒〜5分である。処理時間が所定の時間を超えると、フィルムが溶解して強度が落ちる等の問題が生じる場合がある。また処理時間が所定の範囲に満たないと、処理が不均一になり、斑が出やすくなる。浸漬方法を用いた場合、浸漬後、複数回水洗し、90±30℃程度で数十秒〜10分程度の熱処理(乾燥処理)を行うことが好ましい。
本発明に於ける水酸化アンモニウム化合物としては、無水メタノール中で塩化アンモニウム化合物と水酸化カリウムを混合する苛性アルカリ分解法による水酸化アンモニウム化合物を用いる事が出来る。さらに本発明では、陽イオン交換膜を使用した塩化アンモニウム化合物の電気分解法、さらには電気透析法などにより純度を高めた水酸化アンモニウム化合物を用いる事が出来る。後者の製法によれば、アルカリ金属などの無機不純物が少なく、半導体素子を含むデバイス製法に適用する際に好ましく用いる事ができる。
本発明においては、アルカリ性溶液による表面活性化処理を行った後、余分な溶液を洗浄除去し、乾燥することが好ましい。これらの点から、アルカリ性溶液には、水、ないし低沸点の溶剤を用いる事が出来る。乾燥は、エアナイフなどによる風乾でも良いが、加熱乾燥を用いることが好ましい。乾燥温度は50℃以上が好ましく、より好ましくは75℃以上、さらに好ましくは80℃以上、105℃以上、140℃以上、又は175℃以上である。乾燥時間に関しては、例えば1分以上、3〜45分程度行えば十分である。本発明に於けるアルカリ性溶液に含まれるアンモニア、水酸化アンモニウム化合物、オキシアルキルアミンは乾燥により除去することができるため、後工程にて不具合を生じることなくデバイス形成に適用可能である。
シランカップリング剤によるガラス板と高分子フィルムの接着
本発明におけるシランカップリング剤は、仮支持体と高分子フィルムとの間に物理的ないし化学的に介在し、両者間の接着力を高める作用を有する化合物を云う。
シランカップリング剤の好ましい具体例としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリス−(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、クロロメチルフェネチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェネチルトリメトキシシラン、アミノフェニルアミノメチルフェネチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンなどが挙げられる。
この他、n−プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、ジアセトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ドデシルトリクロロシラン、ドデシルトリメトキシラン、エチルトリクロロシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリクロロシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、トリエトキシエチルシラン、トリエトキシメチルシラン、トリメトキシメチルシラン、トリメトキシフェニルシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ペンチルトリクロロシラン、トリアセトキシメチルシラン、トリクロロヘキシルシラン、トリクロロメチルシラン、トリクロロオクタデシルシラン、トリクロロプロピルシラン、トリクロロテトラデシルシラン、トリメトキシプロピルシラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、トリクロロ−2−シアノエチルシラン、ジエトキシ(3−グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、3−グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、などを使用することもできる。
かかるシランカップリング剤の中で、本発明にて好ましく用いられるシランカップリング剤はカップリング剤の一分子あたりに一個の珪素原子を有する化学構造のシランカップリング剤が好ましい。
特に好ましいシランカップリング剤としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェネチルトリメトキシシラン、アミノフェニルアミノメチルフェネチルトリメトキシシランなどが挙げられる。プロセスで特に高い耐熱性が要求される場合、Siとアミノ基の間を芳香族基でつないだものが望ましい。
なお本発明では必要に応じて、リン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等を併用しても良い。
<シランカップリング剤の塗布方法>
本発明におけるシランカップリング剤の塗布方法としては、液相での塗布方法、気相での塗布方法を用いることが出来る。
液相での塗布方法としては、シランカップリング剤をアルコールなどの溶媒で希釈した溶液を用いて、スピンコート法、カーテンコート法、ディップコート法、スリットダイコート法、グラビアコート法、バーコート法、コンマコート法、アプリケーター法、スクリーン印刷法、スプレーコート法等の一般的な液体塗布方法を例示することが出来る。液相での塗布方法を用いた場合、塗布後に速やかに乾燥し、さらに100±30℃程度で数十秒〜10分程度の熱処理を行うことが好ましい。熱処理により、シランカップリング剤と被塗布面の表面とが化学反応により結合される。
気相での塗布方法としては、基板をシランカップリング剤の蒸気、すなわち実質的に気体状態のシランカップリング剤に暴露する方法が挙げられる。シランカップリング剤の蒸気は、液体状態のシランカップリング剤を40℃〜シランカップリング剤の沸点程度までの温度に加温することによって得ることが出来る。シランカップリング剤の沸点は、化学構造によって異なるが、概ね100〜250℃の範囲である。ただし200℃以上の加熱は、シランカップリング剤の有機基側の副反応を招く恐れがあるため好ましくない。
シランカップリング剤を加温する環境は、加圧下、略常圧下、減圧下のいずれでも構わないが、シランカップリング剤の気化を促進する場合には略常圧下ないし減圧下が好ましい。多くのシランカップリング剤は可燃性液体であるため、密閉容器内にて、容器内を不活性ガスで置換した後に気化作業を行うことが好ましい。
ガラス板をシランカップリング剤に暴露する時間は特に制限されないが、例えば20時間以内、好ましくは60分以内、より好ましくは15分以内、さらに好ましくは1分以内である。
ガラス板をシランカップリング剤に暴露する間のガラス板温度は、シランカップリング剤の種類と、求めるシランカップリング剤層の厚さにより−50℃から200℃の間の適正な温度に制御することが好ましい。
シランカップリング剤に暴露されたガラス板は、好ましくは、暴露後に、70℃〜200℃、より好ましくは75℃〜150℃に加熱される。かかる加熱によって、ガラス板表面の水酸基などと、シランカップリング剤のアルコキシ基やシラザン基が反応し、シランカップリング剤処理が完了する。加熱に要する時間は10秒以上10分程度以内である。温度が高すぎたり、時間が長すぎる場合にはカップリング剤の劣化が生じる場合がある。また短すぎると処理効果が得られない。なお、シランカップリング剤に暴露中の基板温度が既に80℃以上である場合には、事後の加熱を省略することも出来る。
ガラス板のシランカップリング剤塗布面を下向きに保持してシランカップリング剤蒸気に暴露することが好ましい。液相の塗布方法では、必然的に塗布中および塗布前後にガラス板の塗布面が上を向くため、作業環境下の浮遊異物などがガラス板表面に沈着する可能性がある。しかしながら気相による塗布方法ではガラス板を下向きに保持することが出来るため、環境中の異物付着を大幅に減ずることが可能となる。
なおシランカップリング剤処理前のガラス板表面を短波長UV/オゾン照射などの手段により清浄化すること、ないしは液体洗浄剤で清浄化すること等は、好ましい。
シランカップリング剤の塗布量(厚さ)は、理論上1分子層あれば事足り、機械設計的には無視できるレベルの厚さで十分である。一般的にはシランカップリング剤層の厚さは400nm未満(0.4μm未満)であり、200nm以下(0.2μm以下)が好ましく、実用上は100nm以下(0.1μm以下)がより好ましく、さらに好ましくは50nm以下、さらにより好ましくは10nm以下である。ただし計算上5nm以下の領域になるとシランカップリング剤が均一な塗膜としてではなく、クラスター状に存在するケースが想定され、余り好ましくはない。シランカップリング剤層の膜厚は、エリプソメトリー法または塗布時のシランカップリング剤溶液の濃度と塗布量から計算して求めることができる。
シランカップリング剤処理を行ったガラス板、ないしは未処理のガラス板、さらには、超純水などによる洗浄処理が行われたガラス板に、UVオゾン処理を行うことにより活性化したガラス板を用いることができる。本発明におけるUVオゾン処理とは、酸素存在下において、波長が例えば270nm以下、好ましくは210nm以下、より好ましくは180nm以下の波長の紫外線を比較的近距離で照射する処理を意味する。短波長の紫外線は、雰囲気中の酸素をオゾン化し、紫外線自身は減衰するため、光源と被処理物との距離を離すと効果が得られない。本発明では光源と被処理物との間隔は例えば30mm以下、好ましくは16mm以下、より好ましくは8mm以下である。
本発明では、シランカップリング剤処理のみでは、ガラス板と高分子フィルムの接着力が強くなり過ぎ、剥離に支障をきたす場合がある。シランカップリング剤の塗布量を減じることにより調整は可能であるが、処理斑が出やすいため、本発明ではシランカップリング剤処理の後に、UVオゾン処理などを行い、シランカップリング剤により導入される官能基の減活性化を行う手法が推奨される。
本発明では、アルカリ性溶液により表面活性化処理された高分子フィルムの処理面にシランカップリング剤処理を行ってもよい。高分子フィルムへのシランカップリング剤処理については、ガラス板へのシランカップリング剤処理と同様に行うことができる。
粘着剤又は接着剤によるガラス板と高分子フィルムの接着
粘着剤又は接着剤として、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などの公知の接着剤、粘着剤を用いることができる。本発明では、たとえば、冷却することによって粘着力が減じる性質を有する側鎖結晶性高分子を用いた粘着剤を用いることができる。
本発明で好ましい接着手段は、厚さが5μm以下の接着剤・粘着剤による接着手段であってもよく、接着剤・粘着剤を用いない接着手段であってもよい。
本発明では、ガラス板側に、シランカップリング剤処理、UVオゾン処理などの有機化処理、活性化処理を行い、同様に高分子フィルム側にも真空プラズマ処理、大気圧プラズマ処理、コロナ処理、火炎処理、イトロ処理、UVオゾン処理、活性ガスへの暴露処理などの活性化処理を行い、両処理面を密着させて加圧、加熱処理を行う接合方法を用いることができる。
<フィルムラミネート方法>
本発明では、少なくともガラス板表面と、活性化された高分子フィルム表面を重ね合わせ、加熱・加圧することにより接着を行うことができる。
前記ガラス板と前記高分子フィルムとの貼り合わせは、表面活性化処理したガラス板と、表面活性化処理した高分子フィルムとを加熱・加圧することによって行われることが好ましい。この場合、高分子フィルムに貼り合わせる前記ガラス板の面は、シランカップリング剤で処理されることが好ましい。他方、厚さが5μm以下の粘着剤層乃至接着剤層を介して、表面活性化処理したガラス板又は表面活性化処理していないガラス板と表面活性化処理した高分子フィルムとを貼り合わせてもよい。
加圧・加熱処理は、例えば、大気圧雰囲気下あるいは真空中で、プレス、ラミネート、ロールラミネート等を、加熱しながら行えばよい。またフレキシブルなバッグに入れた状態で加圧加熱する方法も応用できる。生産性の向上や、高い生産性によりもたらされる低加工コスト化の観点からは、大気雰囲気下でのプレスまたはロールラミネートが好ましく、特にロールを用いて行う方法(ロールラミネート等)が好ましい。
加圧加熱処理の際の圧力としては、0.1MPa〜10MPaが好ましく、より好ましくは0.3MPa〜5MPaである。圧力が高すぎると、支持体を破損するおそれがあり、圧力が低すぎると、密着しない部分が生じ、接着が不充分になる場合がある。
加圧加熱処理の際の温度としては、用いる高分子フィルムの耐熱温度を超えない範囲にて行う。非熱可塑性のポリイミドフィルムの場合には好ましくは80℃〜400℃、より好ましくは90℃〜350℃で処理される。
前記加圧加熱処理は加圧プロセスと加熱プロセスとに分離して行うことが可能である。この場合、まず、比較的低温(例えば120℃未満、好ましくは95℃以下の温度)で高分子フィルムとガラス板とを加圧(好ましくは0.2〜50MPa程度)して両者の密着確保し、その後、低圧(好ましくは0.2MPa未満、より好ましくは0.1MPa以下)もしくは常圧にて比較的高温(例えば120℃以上、好ましくは120〜250℃、より好ましくは150〜230℃)で加熱することにより、密着界面の化学反応が促進されて高分子フィルムと仮支持用ガラス板とを積層できる。
なお、本発明において高分子フィルムとガラス板とを貼り合わせる際の高分子フィルムの吸湿率を1.8%以下に制御することが好ましい。かかる高分子フィルムの吸湿率は、高分子フィルムとガラス板を圧着する直前状態での吸湿率を意味する。高分子フィルムの吸湿率は、高分子フィルムが放置された室内の気温と湿度に依存する。また吸湿・放湿には時間を要するため、当該測定は、一定条件下に十分に長い時間、少なくとも24時間程度以上放置された後に評価することが肝要である。
かかる吸湿された水分は、その量が多すぎると、後工程で熱が加わった際に、ブリスターの原因となる。一方で量が少なすぎると、ガラス板との接着性が安定になる場合がある。すなわち、高分子フィルムとガラス板との各々の表面における化学的反応は、高分子フィルムに内包された水分によって影響される。高分子フィルムの吸湿率は例えば1.5%以下、好ましく1.2%以下が好ましい。また高分子フィルムの吸湿率の下限は例えば0.1%、好ましくは0.2%、より好ましくは0.4%である。
<フレキシブル電子デバイスの製造手段>
本発明の積層体を用いると、既存の電子デバイス製造用の設備、プロセスを用いて積層体の高分子フィルム上に電子デバイスを形成し、積層体から高分子フィルムごと剥離することで、フレキシブルな電子デバイスを作製することができる。
他方、本発明の積層体のガラス板表面に印刷ないし薄膜を用いて形成された電子デバイスも本発明に包含される。
本発明における電子デバイスとは、電気配線を担う配線基板、トランジスタ、ダイオードなどの能動素子や、抵抗、キャパシタ、インダクタなどの受動デバイスを含む電子回路の他、圧力、温度、光、湿度などをセンシングするセンサー素子、発光素子、液晶表示、電気泳動表示、自発光表示などの画像表示素子、無線、有線による通信素子、演算素子、記憶素子、MEMS素子、太陽電池、薄膜トランジスタなどを云う。
<ガラス板からの高分子フィルムの剥離手段>
高分子フィルムを支持体から剥離する手段については特に限定されず、公知の方法を用いればよい。積層体から高分子フィルムを剥離する方法としては、ガラス板側から強い光を照射し、ガラス板と高分子フィルム間の接着部位を熱分解、ないし光分解させて剥離する方法、あらかじめ接着強度を弱めておき、高分子フィルムの弾性強度限界値未満の力で高分子フィルムを引きはがす方法、加熱水、加熱蒸気などに晒し、ガラス板と高分子フィルム界面の結合強度を弱めて剥離させる方法などを例示することが出来る。
他の剥離方法としては、ピンセットなどで端から捲る方法、デバイス付きの高分子フィルムの切り込み部分の1辺に粘着テープを貼着させた後にそのテープ部分から捲る方法、デバイス付きの高分子フィルムの切り込み部分の1辺を真空吸着した後にその部分から捲る方法、あるいは予め高分子フィルムの一部を無機板に接着しない、ないし高分子フィルムの一部をガラス板からはみ出させることにより掴みシロを得る方法等を採用できる。
本発明では、ガラス板と高分子フィルムの90度剥離における接着強度が所定の範囲であることが好ましい。高分子フィルムとして熱可塑性のフィルム、たとえばPETフィルムなどを用いる場合には、半導体としてアモルファスシリコンないしは有機半導体を用いることが想定される点で、140℃30分間の熱処理後の90度剥離における接着強度として評価されてもよい。
他方、高分子フィルムとしてポリイミドフィルムを用いる場合には、アモルファスシリコンの脱水素工程と多結晶化工程が想定される点で、420℃30分間の熱処理後の90度剥離における接着強度として評価されてもよい。高分子フィルムとしてポリエチレンナフタレートフィルムを用いる場合には、250℃30分間の熱処理後の90度剥離における接着強度として評価されてもよい。高分子フィルムとしてLCPフィルムを用いる場合には、300℃30分間の熱処理後の90度剥離における接着強度として評価されてもよい。
ガラス板と高分子フィルムの90度剥離における接着強度は、例えば0.03N/cm以上10N/cm未満、好ましくは0.1N/cm以上9N/cm以下、より好ましくは0.3N/cm以上8N/cm以下、さらに好ましくは0.35N/cm以上7N/cm以下である。
ガラス板をシランカップリング剤で処理した場合のガラス板と高分子フィルムの熱処理(例えばポリエチレンテレフタレートフィルムの場合140℃30分、ポリイミドフィルムの場合420℃30分、ポリエチレンナフタレートの場合250℃30分、液晶ポリマーの場合300℃30分)後の90度剥離における接着強度は、例えば1.0N/cm以上10N/cm以下、好ましくは1.5N/cm以上、より好ましくは2.0N/cm以上、さらに好ましくは2.5N/cm以上である。
ガラス板をシランカップリング剤で処理した場合のガラス板と高分子フィルムの熱処理後の90度剥離における接着強度は、熱処理前の接着強度(初期接着強度)に比べて低いことが好ましい。
ガラス板をシランカップリング剤で処理しない場合のガラス板と高分子フィルムの熱処理後の90度剥離における接着強度は、例えば0.03N/cm以上1.0N/cm未満、好ましくは0.1N/cm以上、より好ましくは0.2N/cm以上、さらに好ましくは0.3N/cm以上である。
ガラス板をシランカップリング剤で処理しない場合のガラス板と高分子フィルムの熱処理後の90度剥離における接着強度は、熱処理前の接着強度(初期接着強度)に比べて高いことが好ましい。
また、本発明では剥離の際の剥離角がπ/6ラジアン(30度)以下とすることが推奨され、π/12ラジアン(15度)以下とすることがより好ましく、さらにπ/24ラジアン(7.5度)以下とすることがなおさらに好ましい。剥離角度の下限が0の場合は自然剥離に相当し、この場合には電子デバイス加工工程中でブリスター発生やフィルムの剥離などのトラブルが出やすくなる。本発明の剥離角度の下限は1.0度、更に好ましくは2度程度である。
本発明では、剥離する部分に予め別の補強基材を貼りつけて、補強基材ごと剥離する方法も有用である。剥離するフレキシブル電子デバイスが、表示デバイスのバックプレーンである場合、あらかじめ表示デバイスのフロントプレーンを貼りつけて、ガラス板上で一体化した後に両者を同時に剥がし、フレキシブルな表示デバイスを得ることも可能である。
本発明において、ガラス板側、ないし、高分子フィルム側、さらには両方にパターン化処理を行うことが出来る。本発明に於けるパターン化とは、高分子フィルム、あるいはガラス板、あるいは双方の表面処理(例えばアルカリ性溶液による表面活性化処理、シランカップリング剤による表面活性化処理)の程度を制御して、接着力が比較的強い部分と弱い部分とを作り出すことを意味する。本発明ではパターン化処理により高分子フィルムとガラス板との接着力が低くなる領域(易剥離部と呼ぶ)に電子デバイスを形成し、次いで、その領域の外周部に切り込みを入れ、高分子フィルムの電子デバイスが形成されたエリアをガラス板から剥離する事によりフレキシブル電子デバイスを得ることが出来る。該方法により、高分子フィルムとガラス板の剥離がより容易になる。
積層体の易剥離部の外周に沿って高分子フィルムに切り込みを入れる方法としては、刃物などの切削具によって高分子フィルムを切断する方法や、レーザーと積層体を相対的にスキャンさせることにより高分子フィルムを切断する方法、ウォータージェットと積層体を相対的にスキャンさせることにより高分子フィルムを切断する方法、半導体チップのダイシング装置により若干ガラス層まで切り込みつつ高分子フィルムを切断する方法などを用いることができる。また、これらの方法の組み合わせや、切削具に超音波を重畳させたり、往復動作や上下動作などを付け加えて切削性能を向上させる等の手法を適宜採用することもできる。
積層体の易剥離部外周の高分子フィルムに切り込みを入れるにあたり、切り込みを入れる位置は、少なくとも易剥離部の一部を含んでいればよく、基本的には所定のパターンに従って切断すれば良いが、誤差の吸収、生産性の観点などより、適宜選択すればよい。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は下記の通りである。
<ポリアミド酸溶液の還元粘度>
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN,N−ジメチルアセトアミドに溶解した溶液についてウベローデ型の粘度管を用いて30℃で測定した。
<高分子フィルムの厚さ>
高分子フィルムの厚さは、マイクロメーター(ファインリューフ社製「ミリトロン1245D」)を用いて測定した。
<高分子フィルムの引張弾性率、引張強度および引張破断伸度>
測定対象とする高分子フィルムから、流れ方向(MD方向)及び幅方向(TD方向)がそれぞれ100mm×10mmである短冊状の試験片を切り出し、引張試験機(島津製作所社製「オートグラフ(登録商標);機種名AG−5000A」)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、MD方向、TD方向それぞれについて、引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度を測定した。
<高分子フィルムの線膨張係数(CTE)>
測定対象とする高分子フィルムの流れ方向(MD方向)および幅方向(TD方向)について、下記条件にて伸縮率を測定し、15℃の間隔(30℃〜45℃、45℃〜60℃、…)での伸縮率/温度を測定し、この測定を300℃まで行って、MD方向およびTD方向で測定した全測定値の平均値を線膨張係数(CTE)として算出した。
機器名 ; MACサイエンス社製「TMA4000S」
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/分
雰囲気 ; アルゴン
初荷重 ; 34.5g/mm2
<高分子フィルムの熱収縮率>
IEC 61189−2,Test 2X02 に規定される方法で、加熱条件を400℃1時間として、測定した。
<高分子フィルムの吸湿率>
JIS K7251に規定されるA法にて測定した。
<接着強度 90度剥離法>
積層板から、測定に供する部分を100mm四方程度に切り取り、ガラス板と高分子フィルムとの接着強度を、JIS C6481に記載の90度剥離法に従い、下記条件で測定した。
装置名 : 島津製作所社製「オートグラフ(登録商標)AG−IS」
測定温度 : 室温
剥離速度 : 50mm/分
雰囲気 : 大気
測定サンプル幅 : 10mm
<表面活性化処理後の高分子フィルム面のカルボキシル基量の測定>
表面活性化処理後のフィルム30mm×30mmを試料とした。内容積250mlのガラス製サンプル瓶に、トリフルオロエタノール(TFE:CF3CH2OH) 3.0ml、ジ−t−ブチルカルボジイミド(Di−t−BuC:(CH33C=NC=NC(CH33) 1.0ml、ピリジン(C65N) 1.2mlを入れ、試料を試薬液体に直接触れないようにサンプル瓶中に保持し、密閉して50℃の恒温槽内に24時間置き、試料表面のカルボキシル基にトリフルオロエタノールを付加反応させる表面修飾を行った。
次いで、表面修飾フィルムの表面のフッ素量をESCA分析により定量し、カルボキシル基量を求めた。
<ポリイミドフィルムの製造>
〔製造例1〕
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)398質量部と、パラフェニレンジアミン(PDA)147質量部とを、4600質量部のN、N−ジメチルアセトアミドに溶解させて加え、滑材としてコロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなる分散体(日産化学工業製「スノーテックス(登録商標)DMAC−ST30」)をシリカ(滑材)がポリアミド酸溶液中のポリマー固形分総量に対して0.08質量%になるように加え、25℃の反応温度で24時間攪拌して、表1に示す還元粘度を有する褐色で粘調なポリアミド酸溶液V1を得た。
(ポリイミドフィルムの作製)
上記で得られたポリアミド酸溶液V1を、スリットダイを用いて幅1500mmの長尺ポリエステルフィルム(東洋紡株式会社製「A−4100」)の平滑面(無滑材面)上に、最終膜厚(イミド化後の膜厚)が25μmとなるように塗布し、105℃にて20分間乾燥した後、ポリエステルフィルムから剥離して、幅1420mmの自己支持性のポリアミド酸フィルムを得た。
次いで得られた自己支持性ポリアミド酸フィルムを、搬送ロールの速度差により、長さ方向に1.1倍に引き延ばし、次いで、ピンテンターによって幅方向に1.05倍引き延ばし、150℃〜420℃の温度領域で段階的に昇温させて(1段目180℃×5分、2段目270℃×10分、3段目420℃×5分)熱処理を施してイミド化させ、両端のピン把持部分をスリットにて落とし、幅1290mmの長尺ポリイミドフィルムF1(1000m巻き)を得た。得られたフィルムF1の特性を表2に示す。
〔製造例2〕
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(DAMBO)223質量部と、N,N−ジメチルアセトアミド4416質量部とを加えて完全に溶解させ、次いで、ピロメリット酸二無水物(PMDA)217質量部とともに、滑材としてコロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなる分散体(日産化学工業製「スノーテックス(登録商標)DMAC−ST30」)とをシリカ(滑材)がポリアミド酸溶液中のポリマー固形分総量にて0.09質量%になるように加え、25℃の反応温度で36時間攪拌して、表1に示す還元粘度を有する褐色で粘調なポリアミド酸溶液V2を得た。
<ポリイミドフィルムの作製>
ポリアミド酸溶液V1に代えて、上記で得られたポリアミド酸溶液V2を用い、スリットダイを用いて幅800mmの長尺ポリエステルフィルム(東洋紡株式会社製「A−4100」)の平滑面(無滑材面)上に、最終膜厚(イミド化後の膜厚)が38μmとなるように塗布し、105℃にて25分間乾燥した後、ポリエステルフィルムから剥離して、ピンテンターによって、1段目150℃×5分、2段目220℃×5分、3段目495℃×10分、熱処理を施してイミド化させ、両端のピン把持部分をスリットにて落とし、幅645mmの長尺ポリイミドフィルムF2(1000m巻き)を得た。得られたフィルムF2の特性を表2に示す。
<他の高分子フィルム>
他の高分子フィルムとして、以下のものを用いた。カプトンHは東レデュポン社製の市販品であり、PENフィルムは帝人デュポン社製、LCPフィルムはクラレ社製の市販品であった。
<表面活性化処理用アルカリ性溶液の調製>
水酸化テトラメチルアンモニウム 7質量部、脱イオン水 93質量部を混合攪拌し、アルカリ性溶液A1とした。水酸化テトラメチルアンモニウム 5質量部、エタノールアミン 15質量部、脱イオン水 80質量部を混合し、アルカリ性溶液A2とした。水酸化テトラブチルアンモニウム 5質量部、脱イオン水95質量部を混合攪拌し、アルカリ性溶液A3とした。アンモニア 5質量部、エタノールアミン 20質量部、脱イオン水75質量部を混合攪拌し、アルカリ性溶液A4とした。水酸化N−(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム 5質量部、脱イオン水 95質量部を混合攪拌し、アルカリ性溶液A5とした。水酸化ナトリウム 5質量部を脱イオン水 95質量部に溶解し、アルカリ性溶液A6とした。なお、アルカリ性溶液に使用した化合物は、原則として試薬一級を用いた。
<表面活性化処理高分子フィルムの製造>
フィルムF1を300mm×420mmにカットし、ステンレス鋼性の金枠に固定し、表3に示す所定温度に温度調整されたアルカリ性溶液(処理薬液)を満たし、緩やかに攪拌した水槽に、所定の時間浸し、引き上げたのち直ちに、脱イオン水を満たした水槽に10秒間浸し、十分に水切りした後、別の脱イオン水槽に10秒間浸し、十分に水切りした後、流水洗浄し、145℃の温風乾燥機にて3分間乾燥し、表面活性化処理を行った(実施例1)。以下、高分子フィルム、アルカリ性溶液(処理薬液)、処理温度、処理時間を表3に示す内容に変えた以外は同様に操作した(実施例2〜25、比較例1〜5)。
<ガラス板>
370×470mm、厚さ0.7mmのコーニング社製LotusGlassにランテクニカルサービス株式会社製のUV/O3洗浄改質装置を用い、大気雰囲気内にて、該UVランプから20mm程度離れた距離からUV照射を5分間行った。本ガラス板を未処理基板とした。なお、UVランプは185nm(不活性化処理を促進するオゾンを発生させうる短波長)と254nmの波長の輝線を出しており、このとき照度は、照度計「ORC社製UV−M03AUV(254nmの波長で測定)」にて20mW/cm2であった。
前記未処理基板に、気相塗布によるシランカップリング剤処理(SC剤処理)を行った。シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM−903」:3−アミノプロピルトリメトキシシラン)100質量部をチャンバー内の蒸発バットに仕込み、大気圧にて酸素濃度が0.1%以下となるまで窒素ガスを導入し、シランカップリング剤を仕込んだバットを80℃に昇温した。次いでシランカップリング剤の液面から垂直方向に100mm離れた箇所に未処理基板を水平に保持し、7mm/秒の速度で静かに搬送してシランカップリング剤蒸気への暴露を行い、その後、遠赤外線加熱によりガラス板温度を95℃〜105℃の間に制御して約3分間熱処理を行いった。本基板をSC剤塗布無機基板とした。
<表面活性化処理高分子フィルムへのシランカップリング剤塗布>
アルカリ性溶液を用い表面活性化処理を行い、乾燥したフィルムF1を、表面処理に用いたステンレス鋼性の金枠に固定したまま、ガラス板と同様に気相塗布法によるシランカップリング剤処理を行った。
実施例1
表面活性化処理高分子フィルムとSC剤塗布無機基板(SC剤塗布ガラス板)の処理面を合わせるように重ね、MCK社製ロールラミネータを用いて、ガラス板側温度100℃、ロール圧力5kgf/cm2、ロール速度5mm/秒にて仮ラミネートした。仮ラミネート後の高分子フィルムはフィルムの自重では剥がれないが、フィルム端部を引っ掻くと簡単に剥がれる程度の接着性であった。その後、得られた仮ラミネート基板をクリーンオーブンに入れ、120℃にて30分間加熱した後、室温まで放冷して、積層体L1を得た。
得られた積層体の、フィルムと基板との90度剥離接着強度、さらにオーブンで加熱処理の外観品位と90度剥離接着強度について評価した。結果を表3に示す。なお、加熱処理は420℃30分とした。
なお、積層体の製作は、温度25℃±2℃、湿度55%±3%に保たれている実験室で行い、表面活性化処理高分子フィルムは当実験室に24時間以上放置した後に積層を行った。
実施例2〜25
表面活性化処理高分子フィルム、アルカリ性溶液(処理薬液)、シランカップリング剤塗布、ガラス板を替え、実施例1と同様に操作を行い、積層体を得た。得られた積層体を実施例1と同様に評価した。結果を表3に示す。なお、PENフィルムを使った場合には加熱処理の条件を250℃30分、LCPフィルムを使った場合には加熱処理の条件を300℃30分とした。
比較例1〜5
表面活性化処理高分子フィルム、アルカリ性溶液(処理薬液)、ガラス板を替え、実施例1と同様に操作を行い、積層体を得た。得られた積層体を実施例1と同様に評価した。結果を表3に示す。なお、PENフィルムを使った場合には加熱処理の条件を250℃30分、LCPフィルムを使った場合には加熱処理の条件を300℃30分とした。
応用例1〜25
実施例1〜25で得られた各積層体を、開口部を有するステンレス製の枠を被せてスパッタリング装置内の基板ホルダーに固定した。基板ホルダーと、支持体面は密着するように固定する。このため、基板ホルダー内に冷媒を流すことによってフィルムの温度を設定できる。基板温度を2℃に設定した。次いでフィルム表面のプラズマ処理を行った。プラズマ処理条件はアルゴンガス中で、周波数13.56MHz、出力200W、ガス圧1×10-3Torrの条件であり、処理時の温度は2℃、処理時間は2分間であった。次いで、周波数13.56MHz、出力450W、ガス圧3×10-3Torrの条件、ニッケル−クロム(クロム10質量%)合金のターゲットを用い、アルゴン雰囲気下にてDCマグネトロンスパッタリング法により、1nm/秒のレートで厚さ11nmのニッケル−クロム合金被膜(下地層)を形成し、次いで、基板の温度を2℃に設定するよう、基板のスパッタ面の裏面を3℃に温度コントロールした冷媒を中に流した、基板ホルダーのSUSプレートと接する状態でスパッタリングを行った。10nm/秒のレートで銅を蒸着し、厚さ0.22μmの銅薄膜を形成させた。各フィルムからの下地金属薄膜形成フィルムを得た。銅およびNiCr層の厚さは蛍光X線法によって確認した。
その後、各フィルムからの下地金属薄膜形成フィルム付きの積層板をCu製の枠に固定し、硫酸銅めっき浴を用いて、厚付銅層を形成した。電解めっき条件は電解めっき液(硫酸銅80g/l、硫酸210g/l、HCl、光沢剤少量)に浸漬、電流を1.5A/dm2流した。これにより厚さ4μmの厚付け銅メッキ層(厚付け層)を形成し引き続き120℃で10分間熱処理乾燥し、金属化高分子フィルム・ガラス積層体を得た。
得られた各金属化高分子フィルム・ガラス積層体を使用し、フォトレジスト:FR−200、シプレー社製を塗布・乾燥後にガラスフォトマスクで密着露光し、さらに1.2質量%KOH水溶液にて現像した。次に、HClと過酸化水素を含む塩化第二銅のエッチングラインで、40℃、2kgf/cm2のスプレー圧でエッチングし、ライン/スペース=20μm/20μmのライン列をテストパターンとして形成後、0.5μm厚に無電解スズメッキを行った。その後、125℃、1時間のアニール処理を行った。光学顕微鏡で、テストパターンのだれ、パターン残り、パターン剥がれなどを観察した。
実施例1〜25の高分子フィルム/ガラス積層体はだれ、パターン残り、パターン剥がれの無い良好なテストパターンが得られた。
また、実施例1〜3、実施例6〜8、実施例11〜13、実施例16〜18、実施例21〜25にて得られた高分子フィルム/ガラス積層体を窒素置換したマッフル炉内で昇温速度10℃/minで400℃に昇温後に400℃で1時間保持しその後自然降温させても、膨れ、剥がれなど発生することは無かった。
一方、比較例1〜5の高分子フィルム/ガラス積層体はいずれも、フィルム剥がれがおきて、いずれも良好なテストパターンが得られなかった。
応用例26
ガラス板として、日本電気硝子製の極薄ガラス(100mm×100mm、厚さ50μm)を用いた以外は、実施例22と同様の組み合わせにて積層体を得た。得られた積層体のガラス板面に、応用例1〜25のフィルム面への処理と同様のプロセスにて加工を行い、同様にパターン形成を行った。
加工中にフィルムとガラス板が剥離する事はなく、また得られたパターンも、だれ、パターン残り、パターン剥がれの無い良好なテストパターンであった。さらに同様に窒素置換したマッフル炉内で昇温速度10℃/minで400℃に昇温後に400℃で1時間保持しその後自然降温させても、膨れ、剥がれなど発生することは無く、極薄いガラス板であるにもかかわらず取扱中に破損する事無く作業を行う事ができた。
本発明のフレキシブル電子デバイスの製造方法によれば、真空装置を用いる事無く表面活性化処理を行った高分子フィルムを貼合用(仮支持用)のガラス板に仮固定することが可能であり、特にフレキシブルな電子デバイスを製造する際の仮固定技術として産業界への寄与は極めて大である。

Claims (10)

  1. 縮合系高分子フィルムとガラス板からなる積層体において、前記ガラス板と貼り合わせる前記縮合系高分子フィルムの接着面に、カルボキシル基が1.0×103〜1.0×108当量/cm2存在することを特徴とする積層体。
  2. 前記カルボキシル基が、少なくとも(a)オキシアルキルアミン化合物、並びに(b)アンモニア及び一般式(1)で示される水酸化アンモニウム化合物から選択される化合物を含むアルカリ性溶液を用いて生成されてなる請求項1に記載の積層体。
    一般式(1) {(R13−N+−R2}・OH-
    [式中、R1はH、又はC1〜8のアルキル基を示す。
    2はH、C1〜8のアルキル基、又はC1〜8のヒドロキシアルキル基を示す。
    1は、同一でもあってもよいし、異なっていてもよい。]
  3. 前記縮合系高分子フィルムが、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリベンゾオキサゾールフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム又は液晶ポリマーフィルムである請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記縮合系高分子フィルムがポリイミドフィルムである請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
  5. 前記縮合系高分子フィルムと貼り合わせる前記ガラス板の面が、シランカップリング剤で表面活性化処理されている請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
  6. 前記ガラス板と貼り合わせる前記縮合系高分子フィルムの面が、シランカップリング剤で表面活性化処理されている請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
  7. 前記ガラス板をシランカップリング剤で処理した場合の前記ガラス板と前記縮合系高分子フィルムの熱処理後の90度剥離における接着強度が、1.0N/cm以上10N/cm以下である請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
  8. 前記ガラス板をシランカップリング剤で処理しない場合の前記ガラス板と前記縮合系高分子フィルムの熱処理後の90度剥離における接着強度が、0.03N/cm以上1.0N/cm未満である請求項1〜4及び6のいずれかに記載の積層体。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載された積層体のガラス板表面に印刷ないし薄膜を用いて形成された電子デバイス。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載された積層体の縮合系高分子フィルム表面に電子デバイスを形成した後に縮合系高分子フィルムとガラス板とを分離することを特徴とするフレキシブル電子デバイスの製造方法。
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