JP2017118961A - 吸収性物品 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1には、液保持性の吸収層および液不透過性の防漏層を備え、防漏部が長手方向に沿って配されている吸収性物品が開示されている。防漏部は、長手方向または幅方向の断面形状が波形に成された立体シートを、吸収性物品の長手方向に沿って配設したものである(引用文献1の請求項6等参照。)。
おむつの着用者が排便後(肛門付近で臀部とおむつとの間に便がある状態)から、座圧力などがかかる状態になると、便は四方に広がる。特に軟便は広がりやすい。そのため、便が広がる領域に近い足回りの開口部では、立体ギャザーを越えて漏れが生じることもあり、改善の余地があった。
特許文献1に記載された吸収性物品では、立体シートからなる防漏部は、幅方向の断面形状が波形に形成されている。すなわち、防漏部の高さ方向の全体に長手方向に延びる畝状の凸部を有する波形が配されている。しかし、防漏部の幅方向先端側に弾性体が配されていないため、ギャザーが生じにくく、防漏部が起立しにくくなっていた。そのため、排泄された軟便に座圧がかかると、凸部間の溝を防漏部の高さ方向に移動して漏れ出る可能性があり、改善の余地があった。
また特許文献2に記載された吸収性物品では、側方カフスの幅方向の先端側の両面に長手方向に延びる襞が配されている。この襞によってカフス長手方向弾性体の収縮が抑制されるため、側方カフスが立ち上がりにくくなって、立体ギャザーを越えて軟便が漏れる可能性があり、改善の余地があった。
さらに特許文献3に記載された吸収性物品では、サイド防漏部の長手方向に糸状ないし帯状の弾性体が配されていない。そのため、サイド防漏部にギャザーが生じない。仮に、サイド防漏部の幅方向先端に弾性体を長手方向に配した場合には、サイド防漏部の長手方向に隣接する凸部同士の間隔が無いため、サイド防漏部にギャザーを作りにくい。このため、サイド防漏部をおむつに適用した場合には、サイド防漏部を立ち上がらせにくいため、サイド防漏部を越えて軟便が漏れ出る可能性があり、改善の余地があった。
前記一対の立体ギャザーは、起立端部側に立体ギャザー弾性体を有する弾性部と、前記弾性部以外の起立部とを有し、
前記起立部の少なくとも前記起立端部側に、凹部と凸部とが前記立体ギャザーの幅方向に繰り返し配された凹凸領域を有し、
前記凹凸領域は、前記吸収性物品の着用時に着用者の股下部が位置する前記吸収性物品の長手方向中間部に位置する前記立体ギャザーに少なくとも配されていて、
前記立体ギャザーの前記凹凸領域を配した領域でかつ前記長手方向に易収縮部が規則的に複数配され、前記易収縮部間の非易収縮部が前記易収縮部の前記長手方向の長さよりも長い吸収性物品を提供するものである。
テープ型おむつ10は、装着時において装着者の腹部領域に当接する前方部F、装着者の股下部領域に位置する中間部C、装着者の臀部に当接する後方部Rに区分される。テープ型おむつ10の形状から明確に各部位が区分できないときは、テープ型おむつ10を長手方向(Y方向)に3等分する。そして装着者の腹側寄りに配される領域から順に、前方部F、中間部C、後方部Rと区分する。以下、テープ型おむつ10は単におむつ10ともいう。
また立体ギャザー41において、立体ギャザー弾性体71を有する部分を弾性部42といい、弾性部42以外の部分を起立部43という。
なお、立体ギャザー41は、図1(a)では倒伏されている状態を示し、図1(b)では起立した状態を示した。また、図1(a)では立体ギャザー弾性体71の図示は省略した。
凹凸領域44は、吸収性物品のおむつ10を着用したときに着用者の股下部が位置する中間部Cに少なくとも配されている。または着用者の臀部側が位置する吸収性物品10の後方部Rから中間部Cまで配されていても好ましい。さらには後方部Rから中間部Cを経て着用者の腹側が位置する吸収性物品10の前方部Fまで配されていても好ましい。凹凸領域44の配置については後に詳細を説明する。
また立体ギャザー41には、収縮しやすい領域である易収縮部51が、長手方向に間隔を置いて、立体ギャザー41の幅方向に複数配されている。易収縮部51間は、例えば接着剤が配された収縮しにくい非易収縮部52となっていて、非易収縮部52の長手方向の長さは易収縮部51の長手方向の長さよりも長く配されている。
以下、立体ギャザー41の長手方向(YG方向)は吸収性物品の長手方向(Y方向)と同様の方向である。また、立体ギャザー41の幅方向(XG方向)は、立体ギャザー41が倒伏した状態で吸収性物品の幅方向(X方向)と同様の方向である。
また図3(a)、(b)に示すように、凹凸領域44は、起立部43の起立端部41e側で、起立部43の幅方向1/2の領域にのみ配されていることが好ましい。
このように、凹凸領域44を起立部43の起立端部41e側に配したことで、便や尿の漏れ防止機能の低下を抑制して、凹凸領域44の部材を減らすことができる。このため、立体ギャザー41のコストダウンが図れる。
図3および図4(a)に示した凸部46は、起立基部41b側から幅方向(X方向)に連続して波状の凹凸をなしていて、長手方向(Y方向)に畝状に延びていることが好ましい。すなわち、凹凸領域44は幅方向に波形断面を有する波板状にされている。
さらに図4(b)に示すように、凹凸領域44の凸部46が、起立部43の幅方向および長手方向に、千鳥配置にしてもよい。そのずらし量は凸部46の長手方向ピッチが1ピッチ未満であり、例えば1/2ピッチずつずらすことが好ましい。また図示はしないが、凸部46のピッチを立体ギャザー41の幅方向にずらして配した千鳥配置であってもよい。そのずらし量は凸部46の幅方向ピッチが1ピッチ未満であり、例えば1/2ピッチずつずらすことが好ましい。この場合も図3に示したのと同様に、易収縮部51と非易収縮部52が配されている。このように、凹凸領域44を起立部43全体に配されると、幅方向の凹凸領域44が増え、軟便の移動を抑制する防漏璧が多くなることで、より効果的に立体ギャザー41の幅方向への便の漏れを防止することができる。
非易収縮部52が起立部幅方向に連続配置された場合、軟便などの流路が直線的になるため漏れやすくなる。そのため、凸部46を1/2ピッチずらすことで、防漏壁が交互にずれて形成されるため漏れ難くなる。
例えば、上記2枚重ねの一方のSMS不織布61の表面61Sfがフラット面になっていることが好ましく、その裏面61Sbがエンボス面になっていることが好ましい。一方のSMS不織布61の表面61Sfに他方のSMS不織布62がその裏面62Sbを重ねて配されている。SMS不織布61、62同士が接合しやすいように、他方のSMS不織布62の裏面62Sbはフラット面であることが好ましい。また、他方のSMS不織布62の表面62Sfはエンボス面になっていることが好ましい。
上記フラット面とは、エンボス面に比べエンボス部の凹凸が小さい状態の不織布の面をいう。
エンボス面とは、エンボス加工によるエンボス部63、64を有する面をいう。ここで言うエンボス部63、64とは、SMS不織布に配された、その周囲よりも厚みが薄く高密度化され、繊維同士が融着している部分であり、当該部分は下層まで及んでいないものである。したがって、エンボス部63、64は言い換えれば、SMS不織布に配され、反対側の面にまで及ばない高密度化融着部である。
SMS不織布61、62はフラット面同士が対向するように2枚重ねにして配されていて、接合されている。この接合には、熱融着またはホットメルト接着剤等の接着剤が用いられることが好ましい。また、接合は、立体ギャザー41の風合いを保つため、線状の接合または点状の接合が好ましく、点状の接合がより好ましい。また、比較的平滑なフラット面同士を接合するので、接触面積が大きくより確実に接合させることができるため、接合強度が得られやすく、点接合であっても十分な接合強度が得られる。また凹凸領域44が2枚重ねになっているので、凹凸領域44の形状がくずれにくく形状安定性に優れる。
さらにエンボス面が吸収性本体4側の起立部43の起立端部41e(図1〜3等参照)側に配されることで、便が自由端41fを乗り越えて漏れ出ることが防止する一助となる。
例えば、図6に示すように、凹凸領域44(図3(b)参照)が配される全域に、接着剤53が立体ギャザー41の幅方向および長手方向に、千鳥配置にされていることが好ましい。その際、接着剤53は幅方向において凸部46間(図3(b)参照)に配される。接着剤53の1行ごとのずらし量は接着剤53の長手方向ピッチが1ピッチ未満であり、例えば1/2ピッチずつずらすことが好ましい。
この場合、接着剤53が配された領域が非易収縮部52となり、接着剤53が配されていない領域が易収縮部51となる。このため、接着剤53が配されていない易収縮部51は非易収縮部52より柔らかい。これによって、立体ギャザー41の柔らかさが維持される。また接着剤53は幅方向において凸部46間に配されることにより、形成された凸形状が潰れにくくなることによって、より効果的に便漏れを防止する。
上記のように接着剤53が配されることから、接着剤53が配されていない易収縮部51は非易収縮部52より柔らかい。これによって、立体ギャザー41の柔らかさが維持される。また立体ギャザー弾性体71の収縮により立体ギャザー41にギャザーが生じやすくなって起立しやすくなり、より効果的に便漏れを防止する。
立体ギャザーの形状に成形した第1層の不織布に例えばスチールマッチエンボス加工によって凹凸領域を形成する。立体ギャザーの形状に成形した第2層の不織布に立体ギャザー弾性体を配する。そして立体ギャザー弾性体を伸長した状態で、第2層の不織布に第1層の不織布を例えばホットメルト接着剤で貼り合わせる。
スチールマッチエンボス加工では、上下ギアの噛み合わせ部にシートを通過させて凹凸を形成する。ギア形状や上下ギアのクリアランス変更により、凹凸形状や高さ、凹凸の配置(連続配置または千鳥配置)を自由に設定できる。
このようにホットメルト接着剤による立体エンド固定部を起点に、接着部31の上下(幅方向)に凸部が効果的に生じやすくなる。すなわち、長手方向に凸部46が生じやすくなる。
上記ファスニングテープ19およびテープ貼付部20によっておむつ10を着用者に装着固定する。このとき、おむつ10の長手方向中央を緩やかに内側に折り曲げて、吸収体3が装着者の臀部から下腹部にわたって沿うように装着する。これにより排泄物が的確に吸収体3に吸収保持される。本実施形態のおむつ10においては、さらに機能的な構造部材やシート部材等を設けてもよい。
また上記吸収体ギャザー弾性体73によって吸収体3の側部が伸縮するため脚周り、特に大腿部付け根周りのフィット性が向上し、その部分の漏れを防止することができる。
実施例1のおむつ10として、図1に示すものを作製した。
試験用のおむつ10を次の方法により作製した。
おむつ10には、花王株式会社製のメリーズ(登録商標)2015年製を用いた。そのおむつ10の立体ギャザーを加熱ないし冷却することでホットメルトの接着機能を低減させて取り外し、ホットメルト部を再加熱して下記の実施例1から5の立体ギャザーを取り付けた。
実施例1の立体ギャザーは、以下のようにして作製した。
実施例1は、図3の(a)に示した立体ギャザーを作製した。
まず、凹凸形状を賦形した不織布シートを、立体ギャザー起立部内側にホットメルトで固定した。実施例1は、起立部43の起立端部41e側の1/2の領域に、中間部から後方部に配した。
(実施例2)
実施例2は、実施例1において、図3の(b)に示したように、起立部43の起立端部41e側の1/2の領域に、後方部Rから中間部Cを経て前方部Fまで配した凹凸領域44を作製した以外、実施例1と同様の方法で立体ギャザーを作製し、おむつに配した。
(実施例3)
実施例3は、実施例1において、図4の(a)に示したように、起立部43の全域に、後方部Rから中間部Cを経て前方部Fまで配して凹凸領域44を作製した以外、実施例1と同様の方法で立体ギャザーを作製し、おむつに配した。
(実施例4)
実施例4は、実施例1において、図4の(b)に示したように、起立部43の全域に、後方部Rから中間部Cを経て前方部Fまで、凸部を千鳥配置させて凹凸領域44を作製した以外、実施例1と同様の方法で立体ギャザーを作製し、おむつに配した。
(比較例1)
比較例1は、図示はしていないが、実施例1において、以下の凹凸立体を作製した。この凹凸領域は、起立部43の起立端部41e側の1/2の領域に、後方部Rから中間部Cを経て前方部Fまで、幅方向に連続してなる凹部と凸部と同等のものが長手方向に繰り返し配されたものである。このような凹凸領域を作製した以外、実施例1と同様の方法で立体ギャザーを作製し、おむつに配した。
(比較例2)
比較例1は、図示はしていないが、実施例1において、特許文献1の図7(b)の構成の立体ギャザーを作製した以外、実施例1と同様の方法で立体ギャザーをおむつに配した。
おむつを透明モデルに装着し、股下部をテープで圧迫固定する。その後、疑似軟便をポンプで30g×3回注入し、漏れ状態を目視観察する。
疑似軟便:ベントナイト/グリセリン/エマルゲン130K/イオン交換水 粘度:40mPa・s
・評価基準
漏れ A 漏れない。
B 漏れないが、疑似便が起立端部まで来ている。
C 起立端部からやや漏れている。
D 漏れる。
<伸縮性評価法>
おむつを動的モデルに装着し、両足を前後に動かした(最大90°)時の股下開口部分に隙間が生じるか、目視で観察した。
・評価基準
A 隙間がない
B 隙間が生じる
2 裏面シート
3 吸収体
4 吸収性本体
5 被覆シート
7 サイドシート
8 外装シート
10 テープ型おむつ、おむつ
17 背側フラップ部
18 腹側フラップ部
19 ファスニングテープ
20 テープ貼付部
31 接着部
41 立体ギャザー
41b 起立基部
41e 起立端部
41f 自由端
42 弾性部
43 起立部
43e 上端部
44 凹凸領域
45 凹部
46 凸部
46K 内部空間
51 易収縮部
52 非易収縮部
61,62 SMS不織布
61Sf,62Sf 表面
61Sb,62Sb 裏面
63,64 エンボス部
71 立体ギャザー弾性体
73 吸収体ギャザー弾性体
75 レッグギャザー弾性体
F 前方部
C 中間部
R 後方部
Claims (8)
- 液透過性の表面シートと、裏面シートと、両シート間に挟まれた吸収体とを有する吸収性本体と、前記吸収性本体の幅方向の両側で長手方向に配された起立可能な一対の立体ギャザーとを備えた吸収性物品であって、
前記一対の立体ギャザーは、起立端部側に立体ギャザー弾性体を有する弾性部と、前記弾性部以外の起立部とを有し、
前記起立部の少なくとも前記起立端部側に、凹部と凸部とが前記立体ギャザーの幅方向に繰り返し配された凹凸領域を有し、
前記凹凸領域は、前記吸収性物品の着用時に着用者の股下部が位置する前記吸収性物品の長手方向中間部に位置する前記立体ギャザーに少なくとも配されていて、
前記立体ギャザーの前記凹凸領域を配した領域でかつ前記長手方向に易収縮部が規則的に複数配され、前記易収縮部間の非易収縮部が前記易収縮部の前記長手方向の長さよりも長い吸収性物品。 - 前記凹凸領域が、前記着用者の臀部側が位置する前記吸収性物品の後方部から前記中間部まで、または前記後方部から前記中間部を経て前記着用者の腹側が位置する前記吸収性物品の前方部まで、配されている請求項1に記載の吸収性物品。
- 前記凹凸領域が、前記立体ギャザーの幅方向における前記起立部の前記起立端部側のみに配されている請求項1または2に記載の吸収性物品。
- 前記非易収縮部のみに接着剤が配されている請求項1から3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
- 前記易収縮部は前記幅方向および前記長手方向に間隔をおいて連続的に配置されている請求項1から4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
- 前記立体ギャザーの長手方向端部を固定している立体エンド固定部が前記凹凸領域に(まで)線状に配されている請求項1から5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
- 前記凹凸領域が、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンボンド不織布を順に積層した3層構造のSMS不織布が2枚重ねられてなる請求項1から6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
- 前記2枚重ねのSMS不織布のそれぞれは、第1面側にエンボス面を有し、前記第1面とは反対面の第2面側にフラット面を有し、前記2枚重なったSMS不織布の対向する面が前記フラット面同士である請求項7に記載の吸収性物品。
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