JP2017118960A - 吸収性物品 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1には、吸収層と防漏部とを備えた吸収性本体の両側部に、一対のサイド防漏部を有する吸収性物品が開示されている。一対のサイド防漏部のそれぞれは、少なくとも一部が不織布からなる第1層と、シート状物からなる第2層とが部分的に接合されて多数の接合部を有する立体シートからなる。立体シートは第1層が接合部以外の部分において第1層側に突出して多数の凸部を成している。凸部及び接合部は、交互にかつ一方向に列をなして配置され、さらにその列が多列に配置されている。一対のサイド防漏部のそれぞれは、吸収層に向けられる面および折り返している外側の面が立体シートの第1層側の面からなっている(引用文献1の請求項1、図2等参照。)。
また立体ギャザーは腿内側との間の摩擦が大きく、歩行動作や立ち座りなどで複雑に動く足に対して、足との摩擦力により立体ギャザーが引っ張られてしまう。そのため、足回りと立体ギャザーとの間に隙間が生じる可能性があり、改善の余地があった。
特許文献1に記載された吸収性物品では、最も隣接する凸部間にほとんど隙間がなく、シート全体のおよそ半分が凸部で占められている。このため、凸部と肌との接触面積が大きくなり過ぎ、歩行動作や立ち座りなどで複雑に動く足に対して大きな摩擦抵抗が生じ、足の動きに立体ギャザーが引っ張られてしまうことがあった。そのため、足回りと立体ギャザーとの間に隙間ができるため、漏れの原因になり、改善の余地があった。
また特許文献2および3に記載された吸収性物品では、凸部が長手方向に延びていて、また、襞が長手方向に延びていて、肌との接触による摩擦抵抗が大きくなっていた。そのため、上記同様に、足の動きによって立体ギャザーが引っ張られるため、足回りと立体ギャザーとの間に隙間ができて液漏れの原因になり、改善の余地があった。
前記一対の立体ギャザーは、それぞれの外側に、凹部と凸部とが前記長手方向および前記立体ギャザーの幅方向に交互に繰り返し配された凹凸領域を有し、
前記凸部を構成する不織布の繊維が前記長手方向に配向していて、
前記凹凸領域は、前記吸収性物品の着用時に着用者の股下部が位置する前記吸収性物品の中間部に少なくとも配されている吸収性物品を提供するものである。
テープ型おむつ10は、装着時において装着者の腹部領域に当接する前方部F、装着者の股下部領域に位置する中間部C、装着者の臀部に当接する後方部Rに区分される。テープ型おむつ10の形状から明確に各部位が区分できないときは、テープ型おむつ10を長手方向(Y方向)に3等分する。そして装着者の腹側寄りに配される領域から順に、前方部F、中間部C、後方部Rと区分する。以下、テープ型おむつ10は単におむつ10ともいう。
また図2に示すように、立体ギャザー41において、立体ギャザー弾性体71を有する部分を弾性部42といい、弾性部42以外の部分を起立部43という。
なお、立体ギャザー41は、図1(a)では倒伏されている状態を示し、図1(b)では起立した状態を示した。また、図1(a)では立体ギャザー弾性体71の図示は省略した。
凹凸領域44は、吸収性物品のおむつ10を着用したときに着用者の股下部が位置する中間部Cに少なくとも配されている。または着用者の臀部側が位置する吸収性物品10の後方部Rから中間部Cを経て着用者の腹側が位置する吸収性物品10の前方部Fまで配されていても好ましい。凹凸領域44の配置については後に詳細を説明する。
繊維の配向角は、色々な方向性を有する複数の繊維が全体としてどの方向に配向しているかを示す概念で、繊維の集合体の形状を数値化している。繊維の配向強度は、配向角を示す繊維の量を示す概念であり、MOR値で示される。MOR値は、1.05未満では、ほとんど配向しておらず、1.05以上で配向を有しているといえる。
MOR値について本実施形態において一例を示すと、凸部46のMOR値は、1.05以上が好ましく、1.1以上がより好ましく、1.2以上がさらに好ましい。そして、2.0以下が好ましく、1.8以下がより好ましく、1.5以下がさらに好ましい。より具体的には、1.05以上2.0以下が好ましく、1.1以上1.8以下がより好ましく、1.2以上1.5以下がさらに好ましい。
上記のような配向強度、配向角に設定することで、厚み方向の荷重をしっかりと受け止め、高荷重下であっても、凸部46が潰され難くなる。これによって肌面との接触面積を低減でき、着用者の足の滑らかな動きが実現できる。
これによって、肌に立体ギャザー41の跡がつきにくくなる。
足と立体ギャザー41との擦れは、実際には立体ギャザー41の起立端部41e側の1/2の領域に生じる。このため、立体ギャザー41の起立端部41e側の1/2の領域に凹凸領域44を配することで、着用者の足の動きが滑らかになるという効果が得られる。
凹凸領域44は、凹部45と、凸部46とが長手方向(YG方向)および幅方向(XG方向)に交互に繰り返し配されたものである。上記の凸部46の配置は千鳥配置である。また、凸部46間が凹部45となる。なお、図面では、凸部46の平面視した外形を正方形で示したが、その平面視した外形は、円形、長円形、楕円形、長方形等の正方形以外の形状であってもよい。また、凸部46には、内部空間46K(前記図2参照)を有していてもよい。
図3(a)に示した立体ギャザー41の凹凸領域44は、後方部Rから中間部Cを経て前方部Fに達するように、かつ立体ギャザー41の幅方向における起立端部41e側の1/2の領域に配されている。
図3(b)に示した立体ギャザー41の凹凸領域44は、中間部Cを中心に後方部Rおよび前方部Fのそれぞれの一部に達するように、かつ立体ギャザー41の幅方向における起立端部41e側の1/2の領域の半分に配されている。
図3(c)に示した立体ギャザー41の凹凸領域44は、後方部Rから中間部Cを経て前方部Fに達するように、かつ立体ギャザー41の幅方向の全域に配されている。
例えば、図4(a)に示すように、それぞれの凸部46が正六角形の中心と各頂点に位置するように配されている。言い換えれば正三角形の頂点に位置するように配されている。このような配置が最も好ましい。
また、図4(b)に示すように、それぞれの凸部46が正方格子を45度回転させた格子点に位置するように配されている。
なお、図4(c)に示すように、直交格子(正方格子)の交点のそれぞれの凸部46が位置するように配されていても可能である。すなわち、直交配置である。
以下の説明においては、立体ギャザー41の長手方向(YG方向)は吸収性物品の長手方向(Y方向)と同様の方向である。また、立体ギャザー41の幅方向(XG方向)は、立体ギャザー41が倒伏した状態で吸収性物品の幅方向(X方向)と同様の方向である。
単位面積当たりの凸部46の個数が多すぎると、肌との摩擦が高くなり、凹凸領域44を配した効果が低くなる。また単位面積当たりの凸部46の個数が少なすぎると、凸部46間の凹部45が肌と接触するようになり、肌との摩擦が高くなり、凹凸領域44を配した効果が得られない。
おむつ10は立体ギャザー41が鼠蹊部(図示せず)に当たるように装着される。そのため、自由端41f側の凸部46fの高さが起立基部41b側の凸部46bよりも低いと、鼠蹊部において常に凸部46を潰すような力がかかる。しかし、肌面に対する凹凸領域44の摩擦が小さくなるので、立体ギャザー41が引っ張られることがなくなるので、足回りとの間に隙間を生じにくくなる。それとともに、立体ギャザー41によって動きを阻害するような抵抗を受けることなくなるので、着用者の足の動きは滑らかになる。逆に、自由端41f側の凸部46fの高さが起立基部41b側の凸部46bよりも高いと、鼠蹊部において常に凸部46を潰すような力がかかりやすくなる。このため、立体ギャザー41と足回りとの間に隙間が生じやすくなる。また着用者の足の動きが立体ギャザー41に引っかかるようになる。
このように、立体ギャザー41が倒伏した状態では、立体固定領域33、34に凹凸領域44があると、不必要に肌との間に隙間を生じることになる。そのため、立体固定領域33、34間に凹凸領域44を配することで、上記隙間が生じないようになる。
例えば、上記2枚重ねの一方のSMS不織布61の表面61Sfがフラット面になっていることが好ましく、その裏面61Sbがエンボス面になっていることが好ましい。一方のSMS不織布61の表面61Sfに他方のSMS不織布62がその裏面62Sbを重ねて配されている。SMS不織布61、62同士が接合しやすいように、他方のSMS不織布62の裏面62Sbはフラット面であることが好ましい。また、他方のSMS不織布62の表面62Sfはエンボス面になっていることが好ましい。
上記フラット面とは、エンボス面に比べてエンボス部の凹凸が小さい状態の不織布の面をいう。
エンボス面とは、エンボス加工によるエンボス部63、64を有する面をいう。ここで言うエンボス部63、64とは、SMS不織布に配された、その周囲よりも厚みが薄く高密度化され、繊維同士が融着している部分であり、当該部分は下層まで及んでいないものである。したがって、エンボス部63、64は言い換えれば、SMS不織布に配され、反対側の面にまで及ばない高密度化融着部である。
SMS不織布61、62はフラット面同士が対向するように2枚重ねにして配されていて、接合されている。この接合には、熱融着またはホットメルト接着剤等の接着剤が用いられることが好ましい。また、接合は、立体ギャザー41の風合いを保つため、線状の接合または点状の接合が好ましく、点状の接合がより好ましい。また、比較的平滑なフラット面同士を接合するので、接触面積が大きくより確実に接合させることができるため、接合強度が得られやすく、点接合であっても十分な接合強度が得られる。また凹凸領域44が2枚重ねになっているので、凹凸領域44の形状がくずれにくく形状安定性に優れる。しかも、立体ギャザーが硬くならず、柔らかい状態を維持することができる。
立体ギャザーの形状に成形した第1層の不織布に例えばスチールマッチエンボス加工によって凹凸領域を形成する。立体ギャザーの形状に成形した第2層の不織布に立体ギャザー弾性体を配する。そして立体ギャザー弾性体を伸長した状態で、第2層の不織布に第1層の不織布を例えばホットメルト接着剤で貼り合わせる。
スチールマッチエンボス加工では、上下ギアの噛み合わせ部にシートを通過させて凹凸を形成する。ギア形状や上下ギアのクリアランス変更により、凹凸形状や高さ、凹凸の配置(連続配置または千鳥配置)を自由に設定できる。
上記ファスニングテープ19およびテープ貼付部20によっておむつ10を着用者に装着固定する。このとき、おむつ10の長手方向中央を緩やかに内側に折り曲げて、吸収体3が装着者の臀部から下腹部にわたって沿うように装着する。これにより排泄物が的確に吸収体3に吸収保持される。本実施形態のおむつ10においては、さらに機能的な構造部材やシート部材等を設けてもよい。
また上記吸収体ギャザー弾性体73によって吸収体3の側部が伸縮するため脚周り、特に大腿部付け根周りのフィット性が向上し、その部分の漏れを防止することができる。
実施例1のおむつ10として、図1に示すものを作製した。
試験用のおむつ10を次の方法により作製した。
おむつ10には、花王株式会社製のメリーズ(登録商標)2015年製を用いた。そのおむつ10の立体ギャザーを加熱ないし冷却することでホットメルトの接着機能を低減させてして取り外し、ホットメルト部を再加熱して下記の実施例1から5の立体ギャザーを取り付けた。
実施例1の立体ギャザーは、以下のようにして作製した。
実施例1は、図3の(a)に示した立体ギャザーを作製した。
まず、ポリプロピレンのSMS不織布を、120℃に加熱された互いの凸部が噛み合った2本のロール間を通し、凹凸形状を部分的に付与した。凹凸の大きさ(高さ)については、2本のロールの噛み合わせ部のクリアランスを変更することで適宜調整した。このように得られた凹凸シートを適所に貼り合せて作製した立体ギャザーをおむつに配した。
(実施例2)
実施例2は、実施例1において、図3の(b)に示したように、立体ギャザー41の起立端部41e側の1/2の領域に、中間部Cを中心に後方部Rおよび前方部Fのそれぞれの一部に達するように配した凹凸領域44を作製した以外、実施例1と同様の方法で立体ギャザーを作製し、おむつに配した。
(実施例3)
実施例3は、実施例1において、図3の(c)に示したように、立体ギャザー41の全域に、後方部Rから中間部Cを経て前方部Fまで配して凹凸領域44を作製した以外、実施例1と同様の方法で立体ギャザーを作製し、おむつに配した。
(実施例4)
実施例4は、実施例2において、凸部を直交配置させた以外、実施例2と同様の方法で立体ギャザーを作製し、おむつに配した。
(比較例1)
比較例1は、図示はしていないが、実施例1において、以下の凹凸領域を作製した。この凹凸領域は、立体ギャザー41の起立端部41e側の1/2の領域に、中間部Cを中心に後方部Rおよび前方部Fのそれぞれの一部に達するように、長手方向に連続してなる溝状の凹部と畝状の凸部とが幅方向に繰り返し配したものである。このような凹凸領域を作製した以外、実施例1と同様の方法で立体ギャザーを作製し、おむつに配した。
(比較例2)
比較例2は、図示はしていないが、実施例1において、以下の凹凸領域を作製した。この凹凸領域は、立体ギャザー41の起立端部41e側の1/2の領域に、中間部Cを中心に後方部Rおよび前方部Fのそれぞれの一部に達するように、幅方向に連続してなる溝状の凹部と畝状の凸部とが長手方向に繰り返し配したものである。このような凹凸領域を作製した以外、実施例1と同様の方法で立体ギャザーを作製し、おむつに配した。
フィット性の評価は以下のようにして行った。評価を行いやすくするため、各実施例/比較例のサンプルからレッグギャザーを切り取ったものを評価サンプルとした。股関節が可動式のベビーモデルに各評価サンプルを装着し、モデルの足を前後に動かしたり、開脚・閉脚を繰り返したりした際の立体ギャザー41とモデルの足の隙間の発生などのフィット性を目視で確認した。
A:立体ギャザーの変形が少なく、隙間の発生が無い。
B:立体ギャザーの変形が僅かに見られ、やや隙間が発生している。
C:立体ギャザーの変形が見られ、隙間が発生している。
D:立体ギャザーに大きな変形が見られ、大きな隙間が発生している。
2 裏面シート
3 吸収体
4 吸収性本体
5 被覆シート
7 サイドシート
8 外装シート
10 テープ型おむつ、おむつ
17 背側フラップ部
18 腹側フラップ部
19 ファスニングテープ
20 テープ貼付部
31 接着部
41 立体ギャザー
41b 起立基部
41e 起立端端
41f 自由端
42 弾性部
43 起立部
44 凹凸領域
45 凹部
46 凸部
46K 内部空間
61,62 SMS不織布
61Sf,62Sf 表面
61Sb,62Sb 裏面
63,64 エンボス部
71 立体ギャザー弾性体
73 吸収体ギャザー弾性体
75 レッグギャザー弾性体
F 前方部
C 中間部
R 後方部
Claims (7)
- 液透過性の表面シートと、裏面シートと、両シート間に挟まれた吸収体とを有する吸収性本体と、前記吸収性本体の幅方向の両側で長手方向に配された起立可能な一対の立体ギャザーとを備えた吸収性物品であって、
前記一対の立体ギャザーは、それぞれの外側に、凹部と凸部とが前記長手方向および前記立体ギャザーの幅方向に交互に繰り返し配された凹凸領域を有し、
前記凸部を構成する不織布の繊維が前記長手方向に配向していて、
前記凹凸領域は、前記吸収性物品の着用時に着用者の股下部が位置する前記吸収性物品の長手方向中間部に少なくとも配されている吸収性物品。 - 前記凸部が千鳥配置に配されている請求項1に記載の吸収性物品。
- 前記立体ギャザーの両端部よりさらに前記長手方向のそれぞれの領域と前記表面シートとが固定されている立体固定領域の前記長手方向の間に、前記凹凸領域が配されている請求項1または2に記載の吸収性物品。
- 前記立体ギャザーが伸ばされた状態で、前記凸部の高さは、前記立体ギャザーの幅方向における起立端部側から起立基部側向かって順次高くなっている請求項1から3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
- 前記凹凸領域は、前記立体ギャザーの起立端部側の1/2の領域に配されている請求項1から4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
- 前記凹凸領域の前記凸部は、単位面積あたりの個数が4個/cm2以上、20個/cm2以下である請求項1から5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
- 前記凹凸領域が、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンボンド不織布を順に積層した3層構造のSMS不織布が2枚重ねられてなり、
前記2枚重ねのSMS不織布のそれぞれは、第1面側にエンボス面を有し、前記第1面とは反対面の第2面側にフラット面を有し、前記2枚重なったSMS不織布の対向する面が前記フラット面同士である請求項1から6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019150422A (ja) * | 2018-03-06 | 2019-09-12 | 王子ホールディングス株式会社 | ファスニングテープおよびこれを用いた吸収性物品 |
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2015
- 2015-12-28 JP JP2015256772A patent/JP2017118960A/ja active Pending
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