JP2019150422A - ファスニングテープおよびこれを用いた吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】ファスニングテープの機械的な物性の異方性を抑える。【解決手段】ファスニングテープ5には、第一の繊維配向をなす第一層51と、第一の繊維配向と交差する第二の繊維配向をなす第二層52とが設けられる。【選択図】図2

Description

本発明は、テープ型おむつに用いて好適のファスニングテープに関する。
テープ型おむつは、後身頃のファスニングテープが前身頃のパッチに止め着けられることで、前身頃と後身頃とが着用者の腰部や腹部まわりで連結される。
このようにして止め着けられるファスニングテープの強度向上を図るため、複数の層を積み重ねることが知られている。たとえば、帯状の不織布を延在方向に沿う折線で二つ折りにして、二枚の不織布が重ね合わせられたファスニングテープを製造することが提案されている(特許文献1参照)。
特開2013-255848号公報
しかしながら、上述したように二つ折りされた不織布では、重ね合わせられた各層の繊維配向によって、機械的な物性に大きな異方性を招くおそれがある。
たとえば、所定方向の繊維配向をもつ不織布が所定方向に沿う折線で折り畳まれた場合には、不織布をなす層のそれぞれで繊維配向が同方向を向き、繊維配向に沿う方向とこれに交差する方向とで引張強度が大きく相違してしまう。
本件は、上記のような課題に鑑みて創案されたものであり、ファスニングテープの機械的な物性の異方性を抑えることを目的の一つとする。
(1)ここで開示するファスニングテープには、第一の繊維配向をなす第一層と、前記第一の繊維配向と交差する第二の繊維配向をなす第二層とが設けられている。
(2)ここで開示する吸収性物品には、上記したファスニングテープが前身頃または後身頃で幅方向の外側に延出するように取り付けられている。
本件によれば、ファスニングテープの機械的な物性の異方性を抑えることができる。
テープ型おむつ(吸収性物品)の分解斜視図である。 ファスニングテープの分解斜視図である。 ファスニングテープの製造装置を示す模式図である。 ファスニングテープが製造される様子を示す平面図である。 ファスニングテープの製造手順を説明するフローチャートである。
本件を実施するための形態を述べる。この実施形態はあくまでも例示に過ぎず、下記の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせることもできる。
実施形態で述べるファスニングテープは、さまざまな吸収性物品に設けられうる。以下の実施形態では、ファスニングテープの設けられる吸収性物品として、テープ型の紙おむつを例示する。
本実施形態では、紙おむつについて、着用者の腹部に対向して配置される前身頃と背部に対向して配置される後身頃とを結ぶ方向を長手方向(第二方向)とする。これらの前身頃と後身頃との間(長手方向の中央)には、着用者の股下に配置(股間に対向して配置)される股下部が位置する。また、紙おむつが着用者に装着された状態(以下「装着状態」と略称する)において、着用者の肌に向かう側(内側)を肌面側とし、肌面側の反対側(外側)を非肌面側とする。さらに、肌面側と非肌面側とを結ぶ方向を厚み方向とし、長手方向と厚み方向の何れにも直交する方向を幅方向(第一方向)とする。そのほか、厚み方向から視ることを平面視とする。
また、ファスニングテープに製造される帯状の連続体(半製品)について、長手方向をMD方向(第二方向)とし、連続体の延在面において長手方向に直交する帯幅方向をCD方向(第一方向)とする。連続体はMD方向に搬送され、この搬送方向とMD方向とが一致する。
[I.一実施形態]
[1.構成]
以下、ファスニングテープに関する構成を述べる。
[1−1.基本構成]
まず、図1を参照して、ファスニングテープ(以下「テープ」と略称する)5の設けられた紙おむつ1の基本構成を説明する。ここでは、幅方向の中心線(一点鎖線で示す)を基準として対称に形成された紙おむつ1が形成されている。
〈吸収体〉
紙おむつ1には、前身頃1A、股下部1Bおよび後身頃1Cに亘って長手方向に延びる吸収体10が内蔵されている。この吸収体10は、股下部1Bにおいて長手方向全域に配置され、前身頃1Aおよび後身頃1Cにおいて長手方向端部を除く大部分に配置される。
吸収体10は、水分を吸収して保持するマット状の部材である。この吸収体10では、粉砕あるいは解繊されたパルプ(いわゆる「フラッフパルプ」)に高吸水性樹脂(「SAP〈Super Absorbent Polymer〉」とも称される)の混合したマットが親水性の不織布やティシュなどのコアラップシートで被包(ラップ)されている。
〈シート〉
上記した吸収体10に対して肌面側および非肌面側には、以下に述べる種々のシート11,12,13,14が設けられている。
吸収体10に対して、肌面側にはセンターシート11が積層され、非肌面側にはバックシート12が積層される。また、センターシート11の側方(幅方向外側)には、サイドシート13が配置される。
センターシート11は、水分を透過させて吸収体10に吸収させるため、透水性をもつ。また、センターシート11は、紙おむつ1において最も肌面側に配置される(このことから「トップシート」とも称される)。このセンターシート11は、吸収体10よりも幅方向寸法が大きく、肌面側から吸収体10を被覆する。
バックシート12は、吸収体10からの液漏れを防ぐため、非透水性をもつ。
また、サイドシート13は、幅方向側方への液漏れを防ぐため、非透水性をもつ。このサイドシート13は、紙おむつ1において最も肌面側に配置される(このことからセンターシート11と同様に「トップシート」とも称される)。
カバーシート14は、上記した吸収体10およびシート11,12,13を非肌面側から被覆する。このカバーシート14は、バックシート12を補強するとともに触感(たとえば手触り)を向上させるために設けられ、バックシート12を非肌面側から被覆する。
なお、カバーシート14は、単層構造に限らず、インナカバーシートおよびアウターカバーシートを有する多層構造であってもよい。
上記したカバーシート14のうち前身頃1Aの非肌面側には、詳細を後述するテープ5の止め着けられるパッチシート4(パッチ)が貼着されている。パッチシート4にテープ5が止め着けられることで、前身頃1Aと後身頃1Cとが連結され、紙おむつ1が着用者に装着される。
〈ギャザー〉
そのほか、紙おむつ1には、装着状態における着用者への追従性を高めるため、立体ギャザー21,レッグギャザー22,ウエストギャザー23といった種々のギャザーが設けられている。
立体ギャザー21は、幅方向外側への排泄物の漏出を防ぐため、サイドシート13の幅方向内側に配備される。
レッグギャザー22は、着用者の脚部に対する紙おむつ1の隙間を抑えるため、装着状態において着用者の脚部周縁となる箇所に設けられる。
ウエストギャザー23(「タミーギャザー」とも称される)は、着用者の腰回りに対する紙おむつ1の装着性を高めるため、装着状態において着用者の臀部上方となる箇所に設けられる。このウエストギャザー23は、紙おむつ1の後身頃1Cにおいて幅方向中央で幅方向に沿って設けられる。なお、ウエストギャザー23は、前身頃1Aの幅方向中央にも設けられていてもよい。
これらのギャザー21,22,23では、糸ゴム、天然ゴムあるいは伸縮フィルムといった弾性部材31,32,33によってサイドシート13やカバーシート14などが皺寄せられる。
[1−2.詳細構成]
つぎに、テープ5に関する構成を詳細に説明する。
なお、図1では、後身頃1Cの幅方向両側に二つずつ設けられたテープ5を例示する。ただし、幅方向両側に少なくとも一つずつのテープ5が設けられていればよい。
以下、テープ5の構成を詳述し、その後にテープ5の製造に関する構成も述べる。
〈ファスニングテープ〉
テープ5は、後身頃1Cにおいて幅方向外側に延出するように取り付けられている。具体的に言えば、テープ5のうち幅方向内側の根元部5A(一箇所のみ符号を付す)は、サイドシート13とカバーシート14との間に挟装される。テープ5のうち挟装された根元部5Aを除く延出部5B(一箇所のみ符号を付す)は、シート13,14よりも幅方向外側に延在する状態に設けられる。
――積層構造――
このテープ5は、図2に示すように、複数のシート材が層状に設けられた積層構造をなす。
この積層構造は、主な平面構造を担うベースシート50(ベース層)と、上述したパッチシート4への止着を担う機能シート55(機能層)とに大別される。すなわち、平面状の土台をなすベースシート50に対して肌面側(図2では上方)に機能シート55が重ね合わせられている。
機能シート55が上述したパッチシート4に止め着けられることから、機能シート55およびパッチシート4によってファスニング機構が構成される。
このファスニング機構としては、フック材(雄部材)とループ材(雌部材)とによって機械的に結合する面状ファスナーが用いられる。面状ファスナーは、表面に多数の突起(たとえば鉤状やきのこ状など)が形成されたフック材と、表面にループ状の繊維が配置されたループ材との組み合わせにより構成される。すなわち、機能シート55およびパッチシート4のうちの何れか一方にフック材が設けられ、他方にループ材が設けられる。面状ファスナーを用いることで、フック材およびループ材を剥離可能な状態としつつ強固に結合させることができ、繰り返しの使用も可能となる。
ただし、粘着剤や粘着テープなどをファスニング機構に用いてもよい。
このようにファスニング機構の一部をなす機能シート55は、平面視でテープ5における延出部5Bの一部に配置される。一方、ベースシート50は、平面視でテープ5の全域に設けられる。
このベースシート50は、基材をなす第一層51(第二の不織布,基材シート)と、この第一層51に積層される第二層52(第一の不織布)とに細別される。第二層52は、第一層51に対して非肌面側(機能シート55とは反対側,図2では下方)に重ね合わせられる。
第一層51と機能シート55とは、これらの間に介在する第一貼合部61によって貼り合わせられる。同様に、第一層51と第二層52とはこれらの間の第二貼合部62(貼合部)によって貼り合わせられる。
貼合部61,62には、公知の接着剤からなる層が形成される。たとえば、機能シート55や層51,52に塗布されたホットメルト接着剤によって貼合部61,62が構成される。
なお、第一層51および第二層52のそれぞれは、単層に限らず、複数層から構成されてもよい。たとえば、第一層および第二層のそれぞれが二層構造の場合には、厚み方向に沿って、第一層の一方,第二層の一方,第一層の他方,第二層の他方の順に積層された構造であってもよいし、第一層の一方,第一層の他方,第二層の一方,第二層の他方の順に積層された構造であってもよい。この場合には、層51,52を構成する各層どうしが貼合部で貼り付けられてもよい。
ここでは、平面視において、テープ5の全域に第一層51が設けられ、テープ5における延出部5Bのうち幅方向外側の一領域に第二層52が設けられている。ただし、第二層52は、平面視において機能シート55を包含する領域に延在する。
第一層51の輪郭形状は、幅方向外側を上にして書かれた凸字状(幅方向内側を上にして書かれたT字状)をなす。ここでは、幅方向外側に膨出する波形の輪郭形状を第一層51がなしている。
第二層52の輪郭形状は、第一層51と同様に凸字状をなすものの、幅方向内側のコの字に対応する箇所の幅方向寸法が短い点で第一層51の輪郭形状と異なる。
第二層52は、幅方向内側で長手方向に沿う輪郭を除いた他の輪郭が第一層51の輪郭に平面視で一致した状態に積層される。平たく言えば、第二層52は、第一層51の幅方向外側でぴったりと重ね合わせられる。二つの層51,52が重合する領域の幅方向中央には、上記した機能シート55が積層される。
――ベースシートの詳細――
つづいて、ベースシート50の層51,52をなす不織布を詳述する。
ここでは、層51,52をなす不織布を構成する繊維が、方向性をもって配向されている。このように配向性をもつ不織布は、ランダムに構成繊維が配向された不織布よりも、繊維配向の方向あるいはこれに直交する方向の機械的な物性が設計しやすいため、本実施形態の層51,52に用いられている。
しかし、単に配向性の不織布を用いただけでは、繊維配向の方向やこの直交方向に機械的な物性は設計しやすいものの、これらの方向とは異なる他の方向の機械的な物性が設計値から大きく外れるおそれがある。
そこで、第一層51と第二層52とは、繊維配向が互いに交差して設けられている。言い換えれば、第一層51をなす構成繊維の配向(以下「第一の繊維配向」と呼ぶ)と第二層52をなす構成繊維の配向(以下「第二の繊維配向」と呼ぶ)とが交差するように設けられている。
第一の繊維配向と第二の繊維配向とのなす角度(以下「配向交差角度」と呼ぶ)は、ベースシート50の物性の異方性を抑える観点から、大きいほど好ましい。詳細に言えば、配向交差角度は、45°以上であることが好ましく、60°以上であることが更に好ましい。ただし、配向交差角度は、少なくとも0°よりも大きければベースシート50の異方性が抑えられ、ベースシート50の強度や伸縮性を向上させる観点からは、0°よりも大きく45°未満であればよい。
なお、配向交差角度は、第一の繊維配向が沿う方向と第二の繊維配向が沿う方向とが
平面視で交差する角度である。
さらに、配向交差角度は、第一の繊維配向および第二の繊維配向のそれぞれが直線状に延びる(正負をもつものではない)ことから、鋭角および90°(直角)の範囲で規定されるものとする。たとえば、90°以下の配向交差角度「θX」は、幾何学的には「180°−θX」と表すことができるものの、本実施形態の配向交差角度では「θX」と一意に規定される。このことから、配向交差角度の上限は90°である。
配向交差角度が90°をなす場合の具体例を挙げれば、第一の繊維配向および第二の繊維配向のうち、何れか一方が長手方向に沿って設定されるとともに、何れか他方が幅方向に沿って設定される。この相対配向によれば、層51,52のうち長手方向に沿う繊維配向をもつ一方の機械物性を長手方向に反映させやすく、幅方向に沿う繊維配向をもつ他方の機械物性を幅方向に反映させやすい。
そのほか、第一の繊維配向および第二の繊維配向は、長手方向および幅方向の双方に対して、平面視で互いに反対向きに45°傾斜した方向に沿って設定されてもよい。この相対配向によれば、層51,52のそれぞれがもつ機械物性を長手方向および幅方向の双方に反映させやすい。
ただし、第一の繊維配向は、任意の方向に沿って設定することができる。また、第二の繊維配向は、任意の方向(一方向)に沿って設定可能な第一の繊維配向に対して少なくとも平行でない任意(他方向)に沿って設定可能である。
上記した層51,52の繊維配向について、配向交差角度のほかに、層51,52を構成する分子の配向の度合い(以下「分子配向度」)を示すMOR(Molecular Orientation Ratio)値からも具体的な構成が特定されることが好ましい。
ここでは、各層51,52の分子配向度のMOR(Molecular Orientation Ratio)値が1.05以上であることが好ましく、1.15以上であることが更に好ましく、2.00以下であることが好ましい。
つぎに、層51,52の物性を述べる。
本発明者は、ベースシート50の第二層52に所定の物性をもつ不織布を用いることで、テープ5の製造時における切断性を確保することができることを見出した。
この第二層52には、所定の破断伸度以下の不織布が用いられる。
「破断伸度」とは、不織布の伸びにくさを表すパラメータである。この「破断伸度」は、不織布に引張荷重が印加されていないときの寸法を「L1」とし、不織布に引張荷重が印加されて破断したときの寸法を「L2」としたときに、式1「L2−L1/L1」で表される。
さらに、ここでいう「破断伸度」は、引張荷重の印加方向が幅方向(繊維配向に直交する方向)であることを条件とする。言い換えれば、幅方向の破断伸度が上述した所定値以下の不織布が第二層52に用いられている。これは、パッチシート4への止め着け時に幅方向への引張荷重がテープ5に印加されることから、紙おむつ1の装着時に伸びにくいテープ5が採用されたものと言える。
詳細に言えば、第二層52の破断伸度は、切断性を確保する観点から、60[%]以下であり、より好ましくは50[%]以下であり、更に好ましくは40[%]以下であり、より一層好ましくは30[%]以下である。
一方、第二層52の破断伸度は、柔軟性やフィット性を確保する観点から、5[%]以上であることが好ましく、10[%]以上であることがより好ましく、20[%]以上であることが更に好ましい。
同様に、第一層51の破断伸度は、60[%]以下であり、より好ましくは50[%]以下であり、更に好ましくは40[%]以下であり、より一層好ましくは30[%]以下であるのに対し、柔軟性やフィット性を確保する観点から、5[%]以上であることが好ましく、10[%]以上であることがより好ましく、20[%]以上であることが更に好ましい。
なお、「破断伸度」の設定される領域は、紙おむつ1の長手方向(後述する第二連続体52′の長手方向およびMD方向に対応)における端部に限定されていてもよい。
また、第二層52には、所定の引張強度未満の不織布が用いられることが好ましい。
「引張強度」とは、不織布の破れにくさを表すパラメータである。この「引張強度」は、不織布が引っ張られたときに耐えることのできる最大の荷重で表される。
さらに、ここでいう「引張強度」は、引張荷重の印加方向が長手方向(繊維配向に沿う方向)であることを条件とする。言い換えれば、長手方向の引張強度が所定値未満の不織布が第二層52に用いられている。このように、パッチシート4への止め着け時にテープ5の引っ張られる方向に対して直交する方向の引張強度が所定値未満であることから、強度が要求される方向ではない他の方向の引張強度が抑えられたテープ5が採用されたものと言える。
詳細に言えば、第二層52の引張強度は、40[N]よりも小さいことが好ましく、35[N]よりも小さいことが更に好ましい。一方、第二層52の引張強度は、破損を防ぐ観点から、1[N]以上であることが好ましく、3[N]以上であることが更に好ましいい。同様に、第一層51の引張強度は、40[N]よりも小さいことが好ましく、35[N]よりも小さいことが更に好ましいのに対し、破損を防ぐ観点から、1[N]以上であることが好ましく、3[N]以上であることが更に好ましい。
上記した幅方向の破断伸度や長手方向の引張強度は、第二層52の構成繊維、すなわち、第二の繊維配向が幅方向に沿って配向されることによって抑えられる。
そのほか、第二層52は、PET(PolyEthylene Terephthalate)繊維やPP(PolyPropylene)繊維といった公知の繊維材料から形成することができる。なかでも、硬度をもたせやすいことから、PET繊維を含有する第二層52を用いることが好ましい。
なお、第一層51は、第二層52と同様に公知の繊維材料から形成することができる。
[1−3.テープの製造]
さらに、上述したテープ5の製造について述べる。
〈テープ製造装置〉
まず、図3を参照して、テープ5を製造する装置を概説する。
テープ5の製造装置には、上述した機能シート55および二つの層51,52のそれぞれに対応する帯状の連続体55′,51′,52′が巻き回された巻回ロールR1,R2,R3が設けられている。
機能シート55に対応するテープ連続体55′は、第一巻回ロールR1から繰り出される。また、第一層51に対応する第一連続体51′(基材をなす連続体)は第二巻回ロールR2から繰り出され、第二層52に対応する第二連続体52′は第三巻回ロールR3から繰り出される。
また、繰り出された連続体55′,51′,52′が積層されたときに対向する面のうち少なくとも一方に接着剤を塗布する塗布部70が設けられている。
ここでは、テープ連続体55′の下面(一方の面)にホットメルト接着剤を塗布する第一塗布部71が設けられ、第一連続体51′の下面(一方の面)にホットメルト接着剤を塗布する第二塗布部72が設けられる。塗布部70には、図3の第一塗布部71に例示するロールコート方式や、第二塗布部72に例示する噴霧方式といった公知の塗布方式を採用することができる。
塗布部70の下流には、連続体55′,51′,52′を積層して貼合させるピンチロール73が設けられている。このピンチロール73では、第一ピンチロール74と第二ピンチロール75とで挟まれた連続体55′,51′,52′が積層されつつ貼合される。このようにして、連続体55′,51′,52′が積層された構造をもつ連続体5′(多重連続体)が製造される。
ピンチロール73の下流には、連続体5′をCD方向に二分割する切断装置80(切断部)が設けられている。
この切断装置80は、図4に示すように、連続体5′のCD方向中央においてMD方向に沿って連続的に延びる中央切断線CCを形成する。この中央切断線CCの形状は、テープ5における幅方向外側の輪郭形状に対応する。ここでは、角の丸められた矩形波状の中央切断線CCを例示する。ただし、正弦波状や三角波状あるいはMD方向に延びる直線状といった種々の形状をなす中央切断線を採用してもよい。
図3には、切断装置80としては、連続体5′を挟み込みつつ摩擦熱を利用して溶断する超音波振動装置81およびカッターロール82(切断刃)を例示する。ただし、ダイカッターやスリッタといった公知の切断装置を用いてもよい。
ここでの中央切断線CCは、連続体5′の厚み方向において、第二連続体52′側から切断される。すなわち、連続体5′のCD方向への切断時には、はじめに第二連続体52′へ刃が入り、つづいて第一連続体51′へ刃が入り、最後にテープ連続体55′へ刃が入る。このことから、上述したテープ5には、最初に刃が入る部材に、所定の物性をもつ不織布からなる第二層52(所定の物性をもつ不織布)が用いられたものと言える。
切断装置80の下流には、連続体5′をMD方向に切り離す裁断装置90(切離部)が設けられている。
この裁断装置90は、図4に示すように、連続体5′の中央切断線CCに繋がるようにCD方向に延びる切離線CWを形成する。この切離線CWは、MD方向に沿って断続的に形成され、さらに、CD方向の一方と他方とで千鳥状に形成される。このように逐次形成された切離線CWで連続体5′が切り離されることで、個別のテープ5が次々に得られる。
図3には、裁断装置90として、連続体5′あるいはテープ5を搬送するコンベア91と出没駆動されるカッター92とを例示する。切断装置80でCD方向に分割された連続体5′がコンベア91上に搬送されると、この連続体5′に対してカッター92がコンベア91に当接するように進退する。そして、連続体5′が切離線CWで切り離されて、個別のテープ5が切り出される。
このような配向でテープ5が製造されることから、MD方向には上述した紙おむつ1の長手方向が対応し、CD方向には紙おむつ1の幅方向は対応する。そのため、紙おむつ1の幅方向に沿ってCD方向が配されたテープ5が用いられる。言い換えれば、紙おむつ1の長手方向に沿ってMD方向が配されたテープ5が用いられる。
〈テープ製造方法〉
上述したテープ製造装置では、図5に示す手順でテープ5が製造される。
まず、接合工程(ステップA1)において、繰り出された連続体51′,52′,55′に接着剤が塗布された後に積層される。
このように接合された連続体5′は、分割工程(ステップA2)において、中央切断線CCでCD方向に二分割される。
分割された連続体5′は、切離工程(ステップA3)において、切離線CWでMD方向に切り離される。そして、個別のテープ5が得られる。
[2.作用および効果]
本実施形態は、上述したように構成されるため、以下のような作用および効果を得ることができる。
[2−1.テープの繊維配向]
まず、テープ5の繊維配向に関する作用および効果を述べる。
(1)たとえば分子配向度のMOR値が1.05以上であって2.00以下の層51,52を用いて、層51,52の繊維配向が互いに交差するように設けられることで、テープ5の強度をはじめとした伸張度合いや耐久性といった物性の異方性を抑えることができる。このように層51,52の繊維配向を互いに相異させて種々の機械物性の異方性を抑制することにより、テープ5の破損を抑えることができ、耐久性を向上させることができる。
なかでも、層51,52どうしの配向交差角度が45°以上であれば、機械物性の異方性を確実に抑えることができる。さらに、配向交差角度が60°以上であれば、機械物性の等方性をもたせることもできる。一方、層51,52どうしの配向交差角度が0°よりも45°未満の場合には、ベースシート50の強度や伸縮性が向上し、紙おむつ1が着用者に装着されたときのフィット性(追従性)を高めることに寄与する。
(2)層51,52は、紙おむつ1に一般的に用いられる不織布で構成されることから、汎用材によって、上述したように機械物性の異方性を抑えることができる。
(3)層51,52が第二貼合部62で貼り合わせられて一体化されるため、層51,52の何れか一方の機械物性が作用することを抑えられる。この点からも、テープ5における機械物性の異方性を抑えることができる。
(4)層51,52の設けられたテープ5を紙おむつ1に用いることで、装着作業時や装着状態においてテープ5にさまざまな方向から印加されうる引張荷重に対して強度や耐久性を確保することができる。よって、紙おむつ1の装着作業性を向上させることに寄与し、装着状態における紙おむつ1の適正な姿勢を保持することに寄与する。
(5)さらに、テープ5の幅方向内側にはウエストギャザー23が設けられることから、テープ5に印加された引張荷重はウエストギャザー23の伸張によって吸収される。そのため、テープ5に対する過度な引張荷重の印加が抑えられる。この点からも、テープ5の耐久性を高めることができる。
[2−2.テープの物性]
つぎに、テープ5の物性に関する作用および効果を述べる。
(1)紙おむつ1に幅方向の破断伸度が60[%]未満の第二層52を有するテープ5を用いることで、テープ製造時における切断性を確保することができる。この破断伸度が30[%]未満の更に伸びにくいテープ5を用いた場合には、テープ製造時の切断性を高めることができる。
このように幅方向の破断伸度が抑えられた第二層52によって、第二層52に対応する第二連続体52′を層状に含む連続体5′に対してカッターロール82が進入したときに、連続体5′のヨレや皺を抑えることができる。そのため、切断箇所でのほつれを抑えることができ、切断すべき箇所で正確に断ち切ることができる。
特に、第二層52において幅方向の破断伸度が抑えられることから、幅方向に対応するCD方向と直交する方向、すなわち、MD方向に沿って連続体5′を良好に切断することができる。
上記したように切断性が確保されることで、歩留まりの悪化を抑えることができ、製造コストを低減させることもできる。
そのほか、第二層52に不織布を用いることで、第二層にフィルムを用いたテープと比較して、風合いや触感を高めることができる。
(2)さらに、テープ5のベースシート50には、第二層52が第一層51に積層されているため、これらの層51,52に対応する連続体51′,52′が協働して伸びを更に抑え、切断性を確保することができる。
(3)第一層51と第二層52とを貼り合わせる第二貼合部62がテープ5に設けられることから、層51,52を一体化して硬さや張りを高めることができる。あるいは、第二貼合部62によって層51,52が互いに裏打ちされることにより、ベースシート50の硬さや張りを高めることもできる。このようにしてテープ5に伸びにくさだけでなく硬さや張りが付加されることで、テープ製造時における切断性を向上させることができる。
(4)引張強度が40[N]よりも小さい第二層52をテープ5に用いることで、第二層52に対応する第二連続体52′の積層された連続体5′の引張強度が抑えられることから、連続体5′の切断に要する荷重を抑えることができる。この点からも、テープ製造時の切断性を高めることができる。
そのほか、上記したように引張強度の抑えられた第二層52を用いることで、過度な強度のシート材を用いることがなく、材料コストを低減させることができる。このように強度の抑えられた第二層52に製造される第二連続体52′として、坪量あるいは目付量,厚みなどが抑えられたシート材を用いることができ、紙おむつ1の軽量化やフィット性の向上に寄与しうる。
(5)さらに、第二層52に設定される引張強度の方向が長手方向であることから、長手方向に対応するMD方向に沿って連続体5′を良好に切断することができる。このようにテープ製造時におけるMD方向の切断性を高めることができ、長手方向に直交するCD方向の切断性を高めることもできる。
そのほか、第二層52に設定される引張強度の方向が長手方向であることから、要求される強度の小さい方向の引張強度を適切に抑えることができる。逆に言えば、要求される引張強度の大きい幅方向に第二層52の引張強度を確保することもできる。
(6)PET繊維を含有する第二層52をテープ5に用いることで、第二層52の硬度を繊維構成から担保することができる。たとえば、PP繊維よりもPET繊維を含有するテープ5のほうが硬度を高めやすく、これによってテープ製造時の切断性向上に寄与する。
(7)なお、連続体5′の中央切断線CCでの切断時に最初に刃が入る第二連続体52′に対応する第二層52として、上述した所定の物性をもつ不織布を用いることによっても、テープ製造時における切断性向上に寄与する。
(8)上述した第二層52の不織布をテープ5や紙おむつ1に用いることで、上述した作用および効果を得ることができる。第二層52の長手方向端部に上記した破断伸度をもたせた不織布は、特に分割開始時の切断性を高めることができる。これにより、分割工程全体の切断性を確保することができる。
(9)そのほか、分割工程でCD方向に二分割された連続体5′を切離工程でMD方向に切り離すことにより、上述した作用および効果を得ることのできるテープ5を製造することができる。
[II.実施例]
以下、本件の実施例を述べる。
なお、下記の実施例に示す材料,使用量,割合,処理内容,処理手順などは、本件の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本件の範囲は、以下に示す具体例によって限定的に解釈されるべきものではない。
[1.第一実施例]
まず、テープの繊維配向に関する実施例を述べる。
本実施例では、下記の表1に示すテープ用の不織布を評価した。ここでは、不織布の機械的な物性として破断性を評価し、この不織布をテープに用いた紙おむつの装着性も評価した。
Figure 2019150422
〈不織布〉
不織布は、実施例1〜13および比較例1の不織布は、第一層および第二層の二層が重ね合わせられており、含有繊維,貼合部の有無,配向交差角度,MOR値を除いて同様に構成されている。なお、実施例1〜13および比較例1の不織布は、第一層および第二層のそれぞれが同じMOR値をもつ。
配向交差角度については、実施例1〜7の不織布では45°以上であって90°以下でり、実施例8〜13の不織布では0°よりも大きく45°未満であり、比較例1の不織布では0°である。
分子配向度を示すMOR値については、実施例1〜3,6〜8,10〜13および比較例1の不織布が1.188(1.15以上)であり、実施例4,9の不織布が1.120(1.05よりも大きく1.15よりも小さい)であり、実施例5の不織布が2.200(2.00よりも大きい)である。
含有繊維については、実施例1,3〜9,11〜13および比較例1の不織布はPET繊維を含有し、実施例2,10の不織布はPP繊維を含有する。
貼合部については、実施例1,2,4〜10,12,13および比較例1の不織布には設けられており、実施例3,11の不織布には設けられていない。
〈配向交差角度〉
この配向交差角度は、下記の手順で測定した。
手順1:テープにおいて二層以上が重ね合わせられている箇所で1cm四方の試験片
を切り出す
手順2:試験片をコールドスプレーなどで冷却して各層に分離する
手順3:手順2で分離された試験片において、幅方向に対する繊維の延在方向をSE
M(Scanning Electron Microscope)で測定する
なお、手順3では、測定する繊維の本数が100〜130本程度であり、これらの平均値を用いた。
〈MOR値(分子配向度)〉
MOR(分子配向度)値は、以下に記すようにして求められる。
分子配向計〈王子計測機器(株)製〉MOA−6004を用いて、層51,52に対応する試料に偏波したマイクロ波をあて、繊維の分子の双極子との相互作用により、その分子の主軸の配向を検知し、試料を回転することで異方性(配向性)が求められ、TDとMD方向の透過マイクロ波の強度を得て、透過マイクロ波強度のMax/Min値=MOR値が求められる。この「MOR値」は、試料中の繊維の配列比に関連する値であり、値が1の場合は等方性を示し、1以上であれば特定方向に繊維が配列されていることを示し、値が大きい程その配列の程度が強いことを示す。ただし、透過強度による測定のため配向の絶対値を示すものではない。
〈破断性〉
破断性は、不織布の延在平面において上下左右(四方)に引っ張り、ねじりを加え、損傷度合いを五段階で評価した。具体的には、評価の数値が大きくなるほど、損傷度合いが小さくなる評価体系とした。たとえば、損傷度合いが最も小さい(破断性が最も高い)ものが「5」と評価され、損傷度合いが最も大きい(破断性が最も低い)ものが「1」と評価される。
〈装着性〉
装着性は、実施例1〜13および比較例1の不織布をテープに用いた紙おむつを着用者(被験者)に装着させ、装着された紙おむつの締め付け具合を着用者によって五段階で評価した。具体的には、評価の数値が大きくなるほど、装着性が良好になる評価体系とした。たとえば、過度に締め付けることなく適度な締め付けが得られたものが「5」と評価される。
[評価結果]
〈破断性〉
――配向交差角度――
配向交差角度が0°よりも大きい実施例1〜13の不織布は、配向交差角度が0°である比較例1の不織布よりも破断性の評価が高い。このことから、繊維配向が交差する二つの層をもつ不織布は、繊維配向が交差しない二つの層をもつ不織布よりも破断しにくいことがわかる。
さらに、配向交差角度が45°以上である実施例1〜7の不織布は、配向交差角度が45°未満である実施例8〜13の不織布よりも破断性の評価が高い。このことから、45°以上の配向交差角度をもつ不織布は、特に高い破断性を得られることがわかる。
――MOR値――
MOR値を除く他のパラメータが共通の実施例4〜6に関し、1.05以上であって2.00以下のMOR値である実施例4,6の不織布は、MOR値が2.2(2.00よりも大きい)である実施例5の不織布よりも破断性の評価が高い。さらに、MOR値が1.15以上である実施例6の不織布は、MOR値が1.15よりも小さい実施例4の不織布よりも破断性の評価が高い。このことから、不織布を構成する各層のなすMOR値は、1.05以上であって2.00以下の場合に破断性を確保することができ、1.15以上であって2.00以下の場合に破断性を高めることができることがわかる。
――含有繊維――
含有繊維を除く他のパラメータが共通の実施例2,6に関し、PET繊維を含有する実施例6の不織布は、PP繊維を含有する実施例2の不織布よりも破断性の評価が高い。このことから、PP繊維よりもPET繊維を含有した不織布のほうが高い破断性を得られることがわかる。
――貼合部――
貼合部の有無を除く他のパラメータが共通の実施例3,6に関し、貼合部の設けられた実施例6の不織布は、貼合部の設けられていない実施例3の不織布よりも破断性の評価が高い。このことから、不織布に貼合部を設けることで破断性を高められることがわかる。
なお、実施例11,12は、貼合部の有無を除いて他のパラメータが共通であるものの、破断性が同等に評価されている。これらの実施例11,12は配向交差角度が45°未満であるのに対し、実施例3,6は配向交差角度が45°以上である。そのため、貼合部の有無が破断性の向上に寄与するのは、配向交差角度が45°よりも大きい場合と推察することができる。
〈装着性〉
――配向交差角度――
配向交差角度が45°未満である実施例8〜13の不織布は、配向交差角度が45°以上である実施例1〜7の不織布よりも装着性の評価が高い。このことから、45°未満の配向交差角度をもつ不織布は、特に高い装着性を得られることがわかる。
――MOR値――
MOR値を除く他のパラメータが共通の実施例9,10に関し、1.15以上であって2.00以下のMOR値である実施例10の不織布は、MOR値が1.15よりも小さいである実施例5の不織布よりも装着性の評価が高い。このことから、1.15以上であって2.00以下のMOR値の不織布は、高い装着性を得られることがわかる。
――含有繊維――
含有繊維を除く他のパラメータが共通の実施例10,12に関し、PET繊維を含有する実施例12の不織布は、PP繊維を含有する実施例10の不織布よりも装着性の評価が高い。このことから、PP繊維よりもPET繊維を含有した不織布のほうが高い装着性を得られることがわかる。
なお、実施例2,6は、含有繊維を除いて他のパラメータが共通であるものの、装着性が同等に評価されている。これらの実施例2,6は配向交差角度が45°以上であるのに対し、実施例10,12は配向交差角度が45°未満である。そのため、含有繊維が装着性の向上に寄与するのは、配向交差角度が45°未満の場合と推察することができる。
――貼合部――
なお、貼合部の有無を除く他のパラメータが共通の実施例3,6は、装着性が同等に評価されている。また、実施例11,12も、貼合部の有無を除いて他のパラメータが共通であるものの、装着性が同等に評価されている。これらより、貼合部の有無は、装着性の向上に影響が少ないものと推察することができる。
〈破断性および装着性の両立〉
配向交差角度を除く他のパラメータが共通の実施例12,13および比較例1に関し、配向交差角度が20°である実施例12,13の不織布は、配向交差角度が0°である比較例1の不織布よりも、破断性および装着性の双方が高く評価されている。
これは、紙おむつの装着状態において、配向交差角度が0°の方向(すなわち「幅方向」)に対してやや傾斜した角度でテープをなす不織布が引っ張られたり止め着けられたりする場合があり、このような場合の装着性が高く評価されたものと推察される。敷衍して言えば、実際に紙おむつが着用者に装着された状態でテープが止め着けられうる姿勢に応じた配向交差角度をもつ不織布は、装着性を高めることができる。
[2.第二実施例]
つぎに、テープの切断性に関する実施例を述べる。
本実施例では、下記の表2に示す不織布の切断性を評価した。
Figure 2019150422
〈不織布〉
第二実施例の実施例1〜3および比較例1〜3の不織布は、何れもスパンボンド法によって製造されたものであり、ほぼ同じ目付量であり、具体的には目付量が18〜20[gsm]である。
上記した目付量の測定方法は、下記の通りである。
また、実施例1〜3の不織布は破断伸度が5[%]以上であって60[%]以下である。これに対し、比較例1の不織布は破断伸度が60[%]よりも大きく、比較例2,3の不織布は破断伸度が5[%]よりも小さい。
さらに、実施例1〜3の不織布は引張強度が1[N]以上であって40[N]未満である。これに対し、比較例1,2の不織布は引張強度が3[N]よりも小さく、特に、
比較例2の不織布は引張強度が1[N]よりも小さい。また、比較例3の不織布は引張強度が40[N]以上である。
そのほか、実施例1,2および比較例2,3の不織布は、PET繊維を含有する。一方、実施例3および比較例1の不織布は、PP繊維を含有する。
〈破断伸度〉
この破断伸度は、JIS L 1096に準じて測定した。具体的な破断伸度の測定方法は、下記の通りである。
幅30mm、長さ50mmの試験片を5つ採取し、把握間隔20mm、引張速度3
00mm/minで、破断伸度を測定し、その平均値を求める。
〈引張強度〉
この引張強度は、破断伸度と同様に、JIS L 1096に準じて測定した。具体的な破断伸度の測定方法は、下記の通りである。
幅30mm、長さ50mmの試験片を5つ採取し、把握間隔20mm、引張速度3
00mm/minで、引張強度を測定し、その平均値を求める。
なお、破断伸度や引張強度の測定対象となる試験片については、テープを分解することで採取してもよい。この場合には、テープをコールドスプレーなどで冷却して各層に分解して得られる不織布を試験片に用いる。
〈切断性〉
切断性は、下記に示す三段階の基準で評価した。
◎:カット面(切断箇所)から繊維が出ていない
○:切断されているもののカット面(切断箇所)から繊維が出ている
×:切断されていない箇所がある
[評価結果]
上記の表2に示すように、破断伸度が60[%]未満であって引張強度が40[N]未満の実施例1〜3については、良好な切断性が評価された。なかでも、PET繊維を含有する実施例1,2については、特に良好な破断性が評価された。これらより、破断伸度が60[%]未満の不織布を有するテープは、引張強度が40[N]未満であっても、切断性が確保されることがわかる。
一方、破断伸度が60[%]以上の比較例1については、良好な切断性は評価されなかった。破断伸度が5[%]未満の比較例2,3についても、良好な切断性は評価されなかった。
さらに、引張強度に関して比較すれば、引張強度が1[N]以上であって40[N]未満の実施例1〜3については、良好な切断性が評価された。一方、引張強度が1[N]未満の比較例1や40[N]以上の比較例3については、良好な切断性は評価されなかった。なお、引張強度が1[N]以上ではあるものの3[N]未満であって、上記の破断伸度が60[%]の以上の比較例1についても、良好な切断性は評価されなかった。
これらより、破断伸度が5[%]以上であって60[%]以下という物性を持ち合わせた不織布は、引張強度が1[N]以上であって40[N]未満の場合に良好な切断性が得られることがわかる。一方、破断伸度が60[%]よりも大きい不織布は、引張強度が1[N]以上であって3[N]未満の場合に、良好な切断性が得られないことがわかる。
[III.その他]
最後に、本実施形態のその他の変形例について述べる。
たとえば、テープの繊維配向に関する変形例として、第一層および第二層には、不織布のほか、紙やフェルトといった繊維配向を有する他の材料を用いてもよい。
また、テープの切断性に関する変形例として、第二層に設定される引張強度の方向は、長手方向に限らず、任意の方向であってもよい。この場合には、任意の方向の引張強度が抑えられた第二層がテープに用いられることにより、連続体においても任意の方向に沿う切断性を高めることができる。
また、テープにおいて第一層よりも小さい第二層が重ね合わせられたテープに限らず、平面視形状が互いに同一の第一層および第二層を用いてもよい。この場合には、テープの強度が高まり、破損を確実に抑えることができる。
一方、テープのベースシートは、単層構造であってもよい。単層構造のベースシートは、一層の不織布(第一の不織布)から構成される。この不織布の物性に上述した第二層と同様の破断伸度や引張強度をもたせることによっても、テープ製造時における切断性を確保することができる。この場合には、テープの製法から接合工程が省略される。
なお、紙おむつにおけるテープの配置箇所は、後身頃に限定されず、前身頃であってもよい。この場合には、上述した一実施形態の「前身頃」を「後身頃」と読み替えるとともに「後身頃」を「前身頃」と読み替えればよい。
1 紙おむつ(テープ型おむつ,吸収性物品)
1A 前身頃
1B 股下部
1C 後身頃
4 パッチシート
5 テープ(ファスニングテープ)
5A 根元部
5B 延出部
5′ 連続体(多重連続体)
10 吸収体
50 ベースシート
51 第一層(第二の不織布)
52 第二層(第一の不織布)
55 機能シート
51′ 第一連続体(基材をなす連続体)
52′ 第二連続体
55′ テープ連続体
61 第一貼合部
62 第二貼合部(貼合部)
70 塗布部
73 ピンチロール
80 切断装置(切断部)
90 裁断装置(切離部)
C 中央切断線
W 切離線

Claims (11)

  1. 第一の繊維配向をなす第一層と、
    前記第一の繊維配向と交差する第二の繊維配向をなす第二層と
    を有することを特徴とするファスニングテープ。
  2. 前記第一の繊維配向と前記第二の繊維配向とのなす角度が45°以上であって90°以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載されたファスニングテープ。
  3. 前記第一の繊維配向と前記第二の繊維配向とのなす角度が0°よりも大きく45°よりも小さい
    ことを特徴とする請求項1に記載されたファスニングテープ。
  4. 前記第一層および前記第二層の各分子配向度のMOR値が1.05以上であって2.00以下である
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載されたファスニングテープ。
  5. 前記第一層および前記第二層の少なくとも一方はPET繊維を含有する
    ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載されたファスニングテープ。
  6. 前記第一層の前記第一の繊維配向に沿う引張強度と前記第二層の第二の繊維配向に沿う引張強度との少なくとも一方は、1.0[N]以上であって40.0[N]未満である
    ことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載されたファスニングテープ。
  7. 前記第一層の前記第一の繊維方向に直交する方向の破断伸度と前記第二層の前記第二の繊維方向に直交する方向の破断伸度との少なくとも一方は5[%]以上であって60[%]以下である
    ことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載されたファスニングテープ。
  8. 前記第一層および前記第二層は、それぞれが不織布で構成された
    ことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載されたファスニングテープ。
  9. 前記第一層と前記第二層とを貼り合わせる貼合部を備えた
    ことを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載されたファスニングテープ。
  10. 請求項1〜9の何れか1項に記載されたファスニングテープが、前身頃または後身頃で幅方向の外側に延出するように取り付けられた
    ことを特徴とする吸収性物品。
  11. 少なくとも前記前身頃または前記後身頃において前記幅方向の中央で伸縮するウエストギャザーを備えた
    ことを特徴とする請求項10に記載された吸収性物品。
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