JP2017118076A - 太陽電池モジュール用の封止材シート及びそれを用いた太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コア層11は、密度0.910g/cm3以上0.930g/cm3以下のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし、弾性率低下用添加物を2質量%以上50質量%以下の範囲で含有し、85℃における貯蔵弾性率(E‘)が1.0×106Pa以上2.0×107Pa以下であって、スキン層12は、いずれも、密度0.890g/cm3以上0.910g/cm3以下のポリエチレン系樹脂をベース樹脂としスキン層12の総厚さが、封止材シートの総厚さの1/20以上1/3以下である太陽電池モジュール用の封止材シート1である。
【選択図】図1
Description
前記コア層は、密度0.910g/cm3以上0.930g/cm3以下のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし、前記ベース樹脂よりも分子量の小さい弾性率低下用添加物を2質量%以上50質量%以下の範囲で含有し、85℃における貯蔵弾性率(E‘)が1.0×106Pa以上2.0×107Pa以下であって、
前記スキン層は、いずれも、密度0.890g/cm3以上0.910g/cm3以下のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし該スキン層の総厚さが、前記封止材の総厚さの1/20以上1/3以下である太陽電池モジュール用の封止材シート。
前記封止材シートの同一面に、前記ガラス基板及び前記太陽電池素子が密着している構成を含んでなる太陽電池モジュール。
前記リード線の厚さが、前記太陽電池素子の表面上における封止材シートの厚さの50%以上90%以下となっている、(5)に記載の太陽電池モジュール。
本発明の封止材シートは、以下に詳細を説明する封止材組成物を溶融成形することによって製造することができる。封止材組成物は、コア層用の封止材組成物とスキン層用の封止材組成物とを、それぞれ各層の形成に使い分ける。そして、これらコア層用、スキン層用の各封止材組成物により、所定の層厚さ及び厚さ比で、両最表面にスキン層が配置されている3層構造の多層シートを成形することにより、例えば図1に示す封止材シート1に代表される本発明の封止材シートを製造することができる。尚、本明細書において、スキン層とは、多層の封止材シートの両最表面側に配置される層のことを言い、コア層とは多層の封止材シートにおける上記スキン層以外の内層のことを言う。コア層自体が更に多層の内部構造を有するものであってもよいが、単層構造のコア層の両面にスキン層が積層されている3層構造の封止材シート1が本発明の代表的な実施形態であり、以下、この封止材シート1を中心に本発明の説明を行う。
コア層用の封止材組成物は、本発明の封止材シートのコア層を成形するために用いる樹脂組成物である。コア層用の封止材組成物としては、0.910g/cm3以上0.930g/cm3以下のポリエチレン系樹脂をベース樹脂として用いる。更に弾性率低下用添加物を封止材組成物全量中2質量%以上50質量%以下の範囲で含有する。尚、本明細書中、ベース樹脂とは、封止材組成物中の全樹脂成分の50質量%以上100質量%以下含有される樹脂をいう。
本実施形態に関するコア層用の封止材組成物に用いられるベース樹脂は、0.910g/cm3以上0.930g/cm3以下のポリエチレン系樹脂である。コア層用の封止材組成物に含まれるコア層用のベース樹脂であるポリエチレン系樹脂の含有量は、コア層用の封止材組成物中の全樹脂成分に対して、好ましくは60質量%以上99質量%以下、より好ましくは65質量%以上99質量%以下であり、更に好ましくは70質量%以上99質量%以下である。これらは、例えば添加用樹脂として用いてもよく、その他の添加成分をマスターバッチ化するための他の樹脂として使用してもよい。尚、本明細書において全樹脂成分という場合は、上記の他の樹脂を含む。尚、このコア層用の封止材組成物は、架橋剤を含有せず、封止材シートの成形時に架橋工程を必要としない熱可塑系の封止材組成物である。
MFR(g/10min):JIS K7210に準拠して測定。具体的には、ヒーターで加熱された円筒容器内で合成樹脂を、190℃で加熱・加圧し、容器底部に設けられた開口部(ノズル)から10分間あたりに押出された樹脂量を測定した。試験機械は押出し形プラストメータを用い、押出し荷重については2.16kgとした。尚、多層の封止材シートのMFRは、全ての層が一体積層された多層状態のまま、上記処理による測定を行い、得た測定値を当該多層の封止材シートのMFR値とした。
弾性率低下用添加物とは、封止材組成物に含有されることによって、その封止材組成物によって形成されたコア層の85℃における貯蔵弾性率を低下することのできる機能を有する添加物をいう。弾性率低下用添加物は、形成される封止材シートのコア層の85℃における貯蔵弾性率(E‘)が1.0×106Pa以上2.0×107Pa以下となるような添加物であれば特に制限はされない。例えば、ベース樹脂として用いられるポリエチレン系樹脂よりも融点又は分子量の低いポリエチレン系樹脂や、ベース樹脂として用いられるポリエチレン系樹脂よりも85℃における貯蔵弾性率(E‘)の低いエラストマーや、ベース樹脂として用いられるポリエチレン系樹脂の貯蔵弾性率(E‘)そのものを低下することのできる鉱物油などを例示することができる。
スキン層用の封止材組成物は、本発明の封止材シートのスキン層を成形するために用いる樹脂組成物である。スキン層用の封止材組成物としては、従来太陽電池モジュール用の封止材組成物としては、通常、架橋処理等によって耐熱性を向上させる処理を行うことによって用いられていた密度0.890g/cm3以上0.910g/cm3以下のポリエチレン系樹脂をベース樹脂として用いる。
コア層用の封止材組成物及びスキン層用の封止材組成物(以下、併せて「封止材組成物」とも言う)ともに、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなるシラン共重合体(以下、「シラン変性ポリエチレン系樹脂」とも言う)を、必要に応じて、各封止材組成物に一定量含有させることがより好ましい。シラン変性ポリエチレン系樹脂は、主鎖となる直鎖低密度ポリエチレン系樹脂(LLDPE)等に、エチレン性不飽和シラン化合物を側鎖としてグラフト重合してなるものである。このようなグラフト共重合体は、接着力に寄与するシラノール基の自由度が高くなるため、太陽電池モジュールにおける他の部材への封止材シート1の接着性を向上することができる。このシラン変性ポリエチレン系樹脂の封止材組成物中の含有量は、コア層用の封止材組成物においては、コア層用の封止材組成物中の全樹脂成分に対して2質量%以上20質量%以下、スキン層用の封止材組成物においては、スキン層用の封止材組成物中の全樹脂成分に対して5質量%以上40質量%以下であることが好ましい。特にスキン層用の封止材組成物には、10質量%以上のシラン変性ポリエチレン系樹脂が含有されていることがより好ましい。尚、上記のシラン変性ポリエチレン系樹脂におけるシラン変性量は、1.0質量%以上3.0質量%以下程度であることが好ましい。上記の封止材組成物中における好ましいシラン変性ポリエチレン系樹脂の含有量範囲は、上記シラン変性量がこの範囲内であることを前提としており、この変性量の変動に応じて適宜微調整することが望ましい。
封止材シート1は、コア層11を有し、コア層11の両面にスキン層12が配置されている。但し、コア層が多層構造を有し当該コア層内にその他の機能層が配置されている封止材シートであっても、本発明の構成要件を備えるコア層とスキン層を備え、且つ、本発明のその他の構成要件を備える封止材シートである限り本発明の範囲内である。
封止材シート1を用いた太陽電池モジュール10の基本構成について、図2を参照しながら説明する。太陽電池モジュール10は、入射光の受光面側から、透明前面基板2、透明前面基板2の表面上に配置された薄膜系の太陽電池素子3、封止材シート1、及び裏面保護カバー4が順に積層された構成である。封止材シート1は、太陽電池素子3の非受光面側に積層されている。
以下において説明する封止材組成物原料を下記表1の割合(質量部)で混合し、それぞれ実施例、比較例の封止材シートのコア層用の封止材組成物及びスキン層用の封止材組成物とした。それぞれの封止材組成物をφ30mm押出し機、200mm幅のTダイを有するフィルム成形機を用いて、押出し温度210℃、引き取り速度1.1m/minでコア層用及びスキン層用とするための各樹脂シートを作製し、これらの各樹脂シートを積層して、コア層と両最表面に配置されるスキン層とを備える実施例及び比較例の3層構造の封止材シートを製造した。実施例及び比較例の各封止材シートの厚さは、いずれも、総厚さ450μmとした。実施例及び比較例の3層構造の封止材シートの各層の厚さの比については、いずれの封止材シートについてもスキン層:コア層:スキン層の厚さ比が、1:8:1(スキン層(2層の合計)の総厚さが、封止材シートの総厚さの1/4)となるようにした。
ベース樹脂1(表中にて「1」」と表記):密度0.919g/cm3、融点105℃、190℃でのMFRが3.5g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(M−LLDPE)。
弾性率低下用添加物2:密度0.898g/cm3、融点90℃、190℃でのMFRが3.5g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(M−LLDPE)。
弾性率低下用添加物3:エチレン・プロピレン・ENB(ENB比5%)(三井化学株式会社製 X3012)85℃における貯蔵弾性率(E‘)8.00×105Pa
弾性率低下用添加物4:エチレン・プロピレン・ENB(ENB比5% 油展EPT)(三井化学株式会社製 3072EPM)85℃における貯蔵弾性率(E‘)3.50×105Pa
弾性率低下用添加物5:鉱物油(出光興産社製ダイアナプロセスオイルPW380)
ベース樹脂2(表中にて「2」と表記):スキン層用の封止材組成物のベース樹脂としては、上記の弾性率低下用添加物2を用いた。
耐候剤マスターバッチ:ベース樹脂(密度0.919g/cm3、融点105℃、190℃でのMFRが3.5g/10分の低密度ポリエチレン系樹脂)100質量部に対して、KEMISTAB62(HALS):0.6質量部。KEMISORB12(UV吸収剤):3.5質量部。KEMISORB79(UV吸収剤):0.6質量部。耐候剤マスターバッジは、全ての実施例、比較例のコア層用及びスキン層用の組成物に10質量部ずつ添加した。
実施例、比較例の各層の貯蔵弾性率(E‘)をそれぞれ単膜にて以下の測定方法により、DMA測定し、85℃時点での貯蔵弾性率(E‘)を各試料ごとに比較した。
(測定方法) 実施例、比較例の封止材シートを5mm×20mmに切り出したものを試料とし、UBM社製レオゲル・E−4000で測定を実施。引っ張りモードにて下記条件のもと測定した。
初期荷重100g、連続加振モード、波形:正弦波、周波数10hz、昇温速度3℃/min
結果を表1に示す。
表面がフラットな白板強化ガラスの面上に、リード線(250μm径)を配置し、更に当該リード線を覆って、150mm×150mmにカットした実施例、比較例の各封止材シートを積層したものを設定温度165℃、真空引き3分、大気圧加圧7分で真空加熱ラミネータ処理を行い、それぞれの実施例、比較例について太陽電池モジュール評価用サンプルを得た。この加熱処理中におけるラミネート中の封止材シートの樹脂温度(到達温度)は162℃であった。これらの太陽電池モジュール評価用サンプルについて、下記ダンプヒート(D.H.)試験後の状態を目視観察し、下記の評価基準により、モールディング耐久性を評価した。D.H.試験は、JIS C8917に準拠し、試験槽内温度85℃、湿度85%の条件下で評価用サンプルモジュールの耐久性試験を500時間行った。
(評価基準) A:封止材シートが対面する基材面の凹凸に完全に追従。空隙の形成は観察されなかった。
B:2mm2以内の気泡が5個以内観察された。
C:封止材シートの一部が対面する基材面の凹凸に完全に追従せず、リード線の近辺に一部ラミネート不良部分(空隙)が形成された。
評価結果を「モールディング耐久性」として表1に記す。
耐熱性試験として耐熱クリープ試験を行った。評価例1と同じガラス板に5cm×7.5cmに切り出した実施例、比較例の封止材シートを1枚重ね置き、その上から5cm×7.5cmの評価例1と同じガラス板を重ね置き、上記評価例1と同条件で真空加熱ラミネータ処理を行い評価用試料を作成した。この後、大判ガラスを垂直に置き、105℃で12時間放置し、放置後の5cm×7.5cmのガラス板の移動距離(mm)を測定し、評価した。評価は以下の基準で行った。
(評価基準) A:0.00mm
B:0.00mm超え1.0mm未満
C:1.0mm以上
評価結果を「耐熱性」として表1に記す。
11 コア層
12 スキン層
2 透明前面基板
3 太陽電池素子
31 金属電極
32 リード線
4 裏面保護カバー
10 太陽電池モジュール
Claims (6)
- コア層と、封止材シートの両最外層に配置されるスキン層と、を含む複数の層によって構成される多層の封止材シートであって、
前記コア層は、密度0.910g/cm3以上0.930g/cm3以下のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし、弾性率低下用添加物を2質量%以上50質量%以下の範囲で含有し、85℃における貯蔵弾性率(E‘)が1.0×106Pa以上2.0×107Pa以下であって、
前記スキン層は、いずれも、密度0.890g/cm3以上0.910g/cm3以下のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし該スキン層の総厚さが、前記封止材の総厚さの1/20以上1/3以下である太陽電池モジュール用の封止材シート。 - 前記弾性率低下用添加物が、エラストマー及び/又は鉱物油である請求項1に記載の封止材シート。
- 前記弾性率低下用添加物が、エラストマーであって、前記コア層における該エラストマーの含有量が、15質量%以上45質量%以下である請求項1又は2に記載の封止材シート。
- 前記コア層の85℃における貯蔵弾性率が5.0×106Pa以下である請求項1から3のいずれかに記載の封止材シート。
- 請求項1から4のいずれかに記載の封止材シートと、ガラス基板上に積層配置されている薄膜系の太陽電池素子と、を備える薄膜系の太陽電池モジュールであって、
前記封止材シートの同一面に、前記ガラス基板及び前記太陽電池素子が密着している構成を含んでなる太陽電池モジュール。 - 前記太陽電池素子の表面には集電用のリード線が形成されていて、該リード線が前記封止材シートの内部に埋まり込んでいて、
前記リード線の厚さが、前記太陽電池素子の表面上における封止材シートの厚さの50%以上90%以下となっている、請求項5に記載の太陽電池モジュール。
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