以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る太陽光発電屋根1を示す斜視図である。図1に示すように、太陽光発電屋根1は、建物の屋根面に配置されており、該屋根面の略全面が太陽光パネルと一体となっており、統一感のある高い意匠性が実現されている。また、本実施形態の屋根面は、棟から片側に傾斜する片流れ式になっている。
図2は、上記実施形態に係る太陽光発電屋根1の縦断面図である。図3は、上記実施形態に係る太陽光発電屋根1の隅部の横断面図である。図4は、上記実施形態に係る太陽光発電屋根1の隅部を示す拡大平面図である。
図2に示すように、太陽光発電屋根1は、下地材3と、太陽光パネル架台4と、太陽光パネル5と、を備える。下地材3は、屋根面に配置され、太陽光発電屋根1の土台部分を構成する。下地材3により、太陽光パネル架台4が固定支持され、該太陽光パネル架台4に太陽光パネル5が配置される。
図3に示すように、下地材3は、野地板31と、防水シート32と、鋼板33と、を備える。野地板31は、建物2の屋根の骨組みである垂木30の上に張られて配置される。この野地板31は、太陽光発電屋根1の全面に配置される。野地板31としては、合板等の板材が用いられる。
防水シート32は、上述の野地板31上に配置される。この防水シート32により、太陽光発電屋根1の防水性が高められる。防水シート32としては、板紙にアスファルトを含浸させたアスファルトルーフィング等の防水材料が用いられる。
鋼板33は、上述の防水シート32上に配置される。この鋼板33により、太陽光発電屋根1の防火性、防水性及び強度が高められる。鋼板33としては、従来公知の防火鋼板等が用いられる。
太陽光パネル架台4は、棟から軒に亘って配置される。本実施形態の太陽光パネル架台4は、架台本体40と、化粧材6と、水返し材9と、を備える。
架台本体40は、下地材3上にビス止めされて固定され、太陽光パネル5を固定支持する。架台本体40は、格子状に枠組みされた複数の縦桟41と、複数の横桟42と、を備える。
縦桟41は、屋根面の傾斜方向に延びて、棟から軒先に亘って通しで設けられる。縦桟41は、屋根面の傾斜方向に沿うようにして一定間隔で複数配置されて下地材3にビス止めされる。また、図1に示すように、縦桟41は、後述の隣接する太陽光パネル5の縦辺部の継ぎ目51の直下に配置される。
横桟42は、屋根面の傾斜方向に直交する方向に延びて設けられ、縦桟41上にビス止めされる。横桟42は、後述の隣接する太陽光パネル5の横辺部の横連結部52の直下に配置される。また、横桟42は、隣接する縦桟41同士を橋渡しするように複数設けられる。即ち、横桟42は、両ケラバ側端部間に亘って通しで設けられてはいない。
なお、架台本体40を構成する縦桟41と横桟42は、それぞれ種々の排水構造を備える。
太陽光パネル5は、モジュール部品であり、複数枚が太陽光発電屋根1の屋根面の傾斜方向及び該傾斜方向と直交する方向に並列配置される。
太陽光パネル5は、下地材3から離隔した状態で太陽光パネル架台4(架台本体40)上に固定支持される。太陽光パネル5と下地材3との間には、架台本体40によって通気路7が形成される。
図1に示すように、太陽光パネル5の周縁部のうち、屋根面の傾斜方向に沿う縦辺部は、隣接する太陽光パネル5の縦辺部との間に、縦方向に延びる継ぎ目51を形成する。また、太陽光パネル5の周縁部のうち、屋根面の傾斜方向に直交する方向に沿う横辺部は、上述の架台本体40を構成する横桟42を間に挟んで、隣接する太陽光パネル5の横辺部に連結されることで、横連結部52を形成する。横連結部52は、上述したように、架台本体40を構成する横桟42の直上に配置される。
また、本実施形態の化粧材6は、軒側枠材61と、一対のケラバ側枠材63,63と、棟側枠材62と、を備える。これら軒側枠材61、一対のケラバ側枠材63,63及び棟側枠材62は、架台本体40(太陽光パネル5)の周囲を囲繞する周囲枠を構成する。周囲枠を構成する各部材について説明する。
軒側枠材61は、太陽光発電屋根1の軒先に配置される。軒側枠材61は、太陽光発電屋根1の屋根面の傾斜方向に直交する方向に延びてその軒先を覆うことで、軒先を保護する。これにより、軒先の意匠性が高められている。なお、軒側枠材61の構成については後述する。
また、図2及び図3に示すように、太陽光発電屋根1は、ケラバ側破風板64と、軒側破風板65と、軒樋66と、棟側破風板67と、を備える。なお、図1ではこれらケラバ側破風板64、軒側破風板65及び軒樋66の記載は省略している。
ケラバ側破風板64は、破風下地641を介してケラバ側の端部から垂下して設けられる。軒側破風板65は、破風下地651を介して軒先から垂下して設けられ、棟側破風板67は、破風下地671を介して軒先から垂下して設けられる。軒樋66は、軒側破風板65の外面に取り付けられ、上述の架台本体40の縦桟41等により軒先から排出される雨水を排水する。
次に、ケラバ側枠材63について説明する。図1に示すように、一対のケラバ側枠材63,63は、太陽光発電屋根1のケラバ側の端部に配置される。一対のケラバ側枠材63,63は、太陽光発電屋根1の屋根面の傾斜方向に延びて妻側の端部をそれぞれ覆うことで、妻側の端部を保護する。これにより、妻側の端部の意匠性が高められている。
図3に示すように、一対のケラバ側枠材63,63は、それぞれ第1ケラバ側枠材631と、第2ケラバ側枠材632を有する。
第1ケラバ側枠材631は、ケラバに沿って延設され、第2ケラバ側枠材632にビス止めされる。また、第1ケラバ側枠材631は、断面視で、妻側に向かって延びた後、下方に屈曲して延出する。
第2ケラバ側枠材632は、ケラバに沿って延設され、第1ケラバ側枠材631の下部に配置される。第2ケラバ側枠材632は、上述の架台本体40を構成する縦桟41にビス止めされる。第2ケラバ側枠材632(ケラバ側枠材63)は、太陽光パネル5側の下部に形成され且つ屋根面の端部に配置される縦桟41の少なくとも一部を収容可能な凹部632aを有する。
図4に示すように、太陽光発電屋根1は、ケラバ側枠材63の上面に取り付けられる隙間カバー633を更に有する。隙間カバー633は、ケラバ側枠材63と太陽光パネル5との間に形成される隙間を塞ぐ。
棟化粧材としての棟側枠材62は、太陽光発電屋根1の架台本体40(縦桟41)の棟側の端部を覆うように配置される。棟側枠材62は、太陽光発電屋根1の屋根面の傾斜方向に直交する方向に延びてその棟部を覆うことで、棟部を保護する。これにより、棟部の意匠性が高められている。
次に、棟側枠材62の構成について説明する。図5は、上記実施形態に係る太陽光発電屋根1の棟側枠材62の拡大縦断面図である。図6は、上記実施形態に係る棟カバー623の取付位置の調整機能を説明する図である。
図5に示すように、本実施形態の棟側枠材62は、棟アタッチメント621と、棟カバー取付部622と、棟カバー623と、棟端部カバー70と、を備える。
棟アタッチメント621は、棟に沿って延設され、架台本体40の縦桟41にビス止めされる。棟アタッチメント621は、その上部の棟側にビス固定部621aが形成される。ビス固定部621aは、棟アタッチメント621の軒側の上面に対して凹むように形成されている。
棟カバー取付部622は、棟に沿って延設され、棟アタッチメント621にビス止めされる。本実施形態の棟カバー取付部622は、取付本体部622aと、締結片622bと、取付部側係合部622cと、を備える。
取付本体部622aは、その下部が棟側に近づくに従って屋根面から離れるように傾斜面622dを有し、その断面形状が傾斜方向における軒側の反対側に突出する略三角形状に形成される。
取付本体部622aの傾斜面622dの下部には、傾斜方向における軒側と棟側の二手に分岐する延出部622eが形成される。延出部622eは、軒側に延びた後、上方に屈曲し、溝622fを形成する。この溝622fに溜まった水は縦桟41に流れ込んで軒側に排水される。
締結片622bは、取付本体部622aの軒側の上部から、傾斜方向の軒側に延び出るように形成される。締結片622bの下面がビス固定部621aの上面に対面する状態でビスが締結されることにより、棟アタッチメント621と棟カバー取付部622が接続される。
取付部側係合部622cは、棟カバー取付部622の傾斜方向における棟側の端部に形成される。取付部側係合部622cは、後述の棟カバー側係合部625と傾斜方向で係合する凹状になっている。また、取付部側係合部622cの傾斜方向の軒側には棟に沿って延びる凹部622gが形成される。
棟カバー623は、棟に沿って延設され、棟カバー取付部622を介して架台本体40に固定される。
本実施形態の棟カバー623は、カバー本体部623aと、複数の棟カバー側係合部625a,b,cと、を備える。
カバー本体部623aは、断面視で、棟側に向かって屋根面の傾斜方向に沿って延びた後、下方に傾斜するように形成される。
棟カバー側係合部625a,b,cは、棟カバー取付部622に対する棟カバー623の取付位置を調整するための部材である。棟カバー側係合部625a,b,cは、傾斜方向の棟側から軒側に向かう方向で略等間隔に配置されている。
本実施形態では、棟カバー側係合部625aは、カバー本体部623aの内面における軒側を向く面から傾斜方向に突出するように形成される。図5に示す例では、軒側から最も離れた位置の棟カバー側係合部625aが取付部側係合部622cに係合されている。
また、棟カバー側係合部625b及び棟カバー側係合部625cは、その断面形状が、カバー本体部623aの内面の上側から下側に突出した後、傾斜方向の軒側に屈曲する略L字状に形成されている。
棟カバー側係合部625a,b,cの何れかを棟カバー取付部622の取付部側係合部622cに差し込むことにより、棟カバー623の位置が決まる。
図1に示すように、棟端部カバー70は、棟の妻側の端部にそれぞれ設けられる。図4に示すように、棟端部カバー70は、棟カバー623を覆うように棟カバー623の外形に沿って形成される。棟カバー623にビス止めされる。
ここで、図6を参照して棟カバー623の取付位置の調整機能について説明する。図6では、同じ構造の棟カバー取付部622において、棟カバー623の取付位置が異なる場合を示している。
図6(a)は、棟カバー側係合部625aと取付部側係合部622cが係合している状態を示している。図6(a)に示す取付位置では、横桟42から棟カバー623の端面までの長さL1が他の取付位置よりも相対的に短くなっている。また、棟端部カバー70を締結するビス75の先端部が凹部622gの内側に位置している。
図6(b)は、棟カバー側係合部625bと取付部側係合部622cが係合している状態を示している。図6(b)では、棟カバー側係合部625aに対して軒側に位置する棟カバー側係合部625bに取付部側係合部622cが係合しているため、横桟42から棟カバー623の端面までの長さL2がL1よりも長くなっている。また、棟端部カバー70を締結するビス75の先端部が取付部側係合部622cよりも傾斜方向の棟側に位置している。
図6(c)は、棟カバー側係合部625cと取付部側係合部622cが係合している状態を示している。図6(c)では、複数の棟カバー側係合部625a,b,cのうち、最も軒側に位置する棟カバー側係合部625cに取付部側係合部622cが係合しているため、横桟42から棟カバー623の端面までの長さL3が他の取付位置の長さL2及びL3よりも長くなっている。また、棟端部カバー70を締結するビス75の先端部が取付部側係合部622cよりも傾斜方向の棟側に位置している。
次に、水返し材9について説明する。水返し材9は、排気路8内における片流れ屋根の棟側の端部であって下地材3の上面に立設される。水返し材9は、排気路8を通気路7に連通する通気路側排気路82と、排気口81に連通する排気口側排気路83と、これらを連通する連通路84とに仕切る。即ち、本実施形態では、水返し材9と棟カバー623(棟側枠材62)
本実施形態の水返し材9は、水返し本体部91と、締結孔92と、延出部93と、を備える。
水返し本体部91は、棟に沿って延設され、その断面形状がL字状に形成される。水返し本体部91の底部が下地材3の上面に接した状態となる。
締結孔92は、水返し本体部91の底部に形成される。この締結孔92を通じてビス95によって水返し本体部91が下地材3の上面側に固定される。本実施形態では、ビス95の締結箇所が、水返し本体部91における棟に沿う方向の複数個所に設定されている。
延出部93は、水返し本体部91の上端部から傾斜方向の両側にそれぞれ延出しており、断面形状が略T字状になっている。この延出部93によって排気口81を通じて外部から入った水が水返し本体部91を乗り越えて棟側通気口72側に侵入する事態が防止される。
ここで、太陽光パネル5と下地材3との間の通気路7について説明する。図2に示すように、通気路7は、軒側に開口する軒側通気口71と、棟側に開口する棟側通気口72と、を有する。更に、棟側枠材62(棟カバー623)は、棟側通気口72を介して通気路7に連通するとともに、棟を介して棟側通気口72とは逆側に配置される排気口81を有する排気路8を形成する。排気口81は、棟側の下方に開口する。
例えば、軒側通気口71から通気路7に流入した空気は、棟側通気口72を通過する。通気路7を空気が流通することにより、太陽光パネル5が裏面側から冷却される。そして、棟側通気口72を通過した空気は、排気路8を通過して排気口81から排出される。排気口81から排気路8に流入した空気は、逆方向に流通する。
次に、軒側枠材61の構成について説明する。図7は、上記実施形態に係る太陽光発電屋根1の軒側枠材61を示す拡大縦断面図である。図8は、上記実施形態に係る軒カバー611の取付位置の調整機能を説明する図である。
図7に示すように、本実施形態の軒側枠材61は、軒カバー取付部610と、軒カバー611と、軒端部カバー80と、を備える。
軒カバー取付部610は、軒に沿って延設され、架台本体40の横桟42にビス止めされる。本実施形態の軒カバー取付部610は、その上面に複数の取付部側係合部615a,b,cが形成される。
複数の取付部側係合部615a,b,cは、傾斜方向に並んでいる。本実施形態の取付部側係合部615a,b,cは、棟側に近づくに従って深くなるように傾斜する凹状に形成される。
軒カバー611は、軒先に沿って延設され、軒カバー取付部610を介して架台本体40に取り付けられる。軒カバー611は、断面視で、屋根面の傾斜方向に沿って延びた後、軒先に向かうに従い下方に傾斜して設けられる。
軒カバー611は、取付部側係合部615a,b,cの何れかに係合するカバー側係合部611aを備える。カバー側係合部611aは、軒カバー611の棟側の端部に形成される。カバー側係合部611aは、取付部側係合部615a,b,cの形状に応じて形成されており、棟側に近づくに従って下がるように傾斜している。
取付部側係合部615a,b,cの何れかにカバー側係合部611aを差し込むことにより、軒カバー611の位置が決まる。
図1に示すように、軒端部カバー80は、軒の妻側の端部にそれぞれ設けられる。軒端部カバー80は、軒カバー611を覆うように軒カバー611の外形に沿って形成される。軒カバー611にビス止めされる。
ここで、図8を参照して軒カバー611の取付位置の調整機能について説明する。図8では、同じ構造の軒カバー取付部610において、軒カバー611の取付位置が異なる場合を示している。
図8(a)は、取付部側係合部615aにカバー側係合部611aが係合している状態を示している。図8(a)に示す取付位置では、横桟42から軒カバー611の端部までの長さL4が他の取付位置よりも相対的に短くなっている。
図8(b)取付部側係合部615bにカバー側係合部611aが係合している状態を示している。図8(b)に示す取付位置では、取付部側係合部615aに対して軒側に位置する取付部側係合部615bにカバー側係合部611aが係合しているため、横桟42から軒カバー611の端部までの長さL5がL4よりも長くなっている。
図8(c)は、取付部側係合部615cにカバー側係合部611aが係合している状態を示している。図8(c)に示す取付位置では、複数の取付部側係合部615a,b,cのうち、最も軒側に位置する取付部側係合部615cにカバー側係合部611aが係合しているため、横桟42から軒カバー611の端部までの長さL6が他の取付位置の長さL4及びL5よりも長くなっている。
ところで、太陽光パネル5の大きさは、商品ごとの規格によって特定の大きさに定められており、屋根の大きさも個々の建物によって変わる。従って、太陽光パネル5と周囲枠の間の隙間の距離は適用される太陽光パネルの規格、設置数、レイアウト等や屋根の形状によって一定ではない。
この点、本実施形態によれば、棟カバー623及び軒カバー611のそれぞれの取付位置の調整が可能となっており、太陽光パネル5と周囲枠の間の隙間を現場で調整可能になっており、意匠性や通気路7の通気性を損なうことなく、周囲枠の間の隙間を埋めることができる。例えば、棟側で太陽光パネル5と周囲枠の間に隙間が生じる場合でも、複数の棟カバー側係合部625a,b,cが棟カバー623に形成されていることにより、棟カバー623の取付位置を調整し、隙間を埋めることができる。同様に、軒側で太陽光パネル5と周囲枠の間に隙間が生じる場合でも、複数の取付部側係合部615a,b,cが軒カバー取付部610に形成されていることにより、軒カバー611の取付位置を調整し、隙間を埋めるこいとができる。このように、本実施形態では、軒側及び棟側の両方で傾斜方向の隙間を調整できる。
次に、水返し材9について説明する。水返し材9は、排気路8内における片流れ屋根の棟側の端部であって下地材3の上面に立設される。水返し材9は、排気路8を通気路7に連通する通気路側排気路82と、排気口81に連通する排気口側排気路83と、これらを連通する連通路84とに仕切る。即ち、本実施形態では、水返し材9と棟カバー623(棟側枠材62)
本実施形態の水返し材9は、水返し本体部91と、締結孔92と、延出部93と、を備える。
水返し本体部91は、棟に沿って延設され、その断面形状がL字状に形成される。水返し本体部91の底部が下地材3の上面に接した状態となる。
締結孔92は、水返し本体部91の底部に形成される。この締結孔92を通じてビス95によって水返し本体部91が下地材3の上面側に固定される。本実施形態では、ビス95の締結箇所が、水返し本体部91における棟に沿う方向の複数個所に設定されている。
延出部93は、水返し本体部91の上端部から傾斜方向の両側にそれぞれ延出しており、断面形状が略T字状になっている。この延出部93によって排気口81を通じて外部から入った水が水返し本体部91を乗り越えて棟側通気口72側に侵入する事態が防止される。
ここで、太陽光パネル5と下地材3との間の通気路7について説明する。図2に示すように、通気路7は、軒側に開口する軒側通気口71と、棟側に開口する棟側通気口72と、を有する。更に、棟側枠材62(棟カバー623)は、棟側通気口72を介して通気路7に連通するとともに、棟を介して棟側通気口72とは逆側に配置される排気口81を有する排気路8を形成する。排気口81は、棟側の下方に開口する。
例えば、軒側通気口71から通気路7に流入した空気は、棟側通気口72を通過する。通気路7を空気が流通することにより、太陽光パネル5が裏面側から冷却される。そして、棟側通気口72を通過した空気は、排気路8を通過して排気口81から排出される。排気口81から排気路8に流入した空気は、逆方向に流通する。
排気口側排気路83は、空気の出入口となり、換気性能をより良好なものにする観点から建物の屋根形状に応じて調整することが好ましい。本実施形態では、排気口側排気路83を形成する水返し材9及び棟カバー623の形状を変更するための加工を工場で行ったり、現場で加工したりすることなく、水返し材9の取付位置の調整によって排気口側排気路83の幅を正確に設定できる。また、本実施形態のように棟カバー623の位置を調整できる構成であれば、棟カバー623の位置に応じて水返し材9を調整することもでき、現場の施行状況に応じて柔軟に対応することができる。
以上説明したように、第1実施形態に係る太陽光発電屋根1によれば、以下の効果が奏される。
即ち、第1実施形態の太陽光発電屋根1は、下地材3に配置される太陽光パネル架台4と、太陽光パネル架台4上に固定される太陽光パネル5と、を備える。太陽光パネル架台4は、縦桟41及び横桟42を有する架台本体40と、縦桟41の棟側の上部に設けられ、棟側に延出する棟カバー取付部622と、架台本体40の棟側の端部を覆うとともに、棟カバー取付部622に固定される棟カバー623と、を備え、棟カバー623は、棟カバー取付部622の延出方向で取付位置を調整可能に構成される。
これにより、下地材3の寸法に応じて棟カバー623の取付位置を調整することができる。また、縦桟41の棟側の上部に棟カバー取付部622が設けられるので、縦桟41を棟側まで延出させなくても棟カバー623を棟側の端部で固定できる。これによって、縦桟41よりも棟側に排気路8を形成したり、水返し材9を配置するためのスペースを形成することができ、本実施形態のように、通気性の向上及び水の侵入を防ぐための構造も実現できる。
棟カバー623には、棟カバー取付部622の延出方向に並列配置される複数の棟カバー側係合部625a,b,cが設けられ、棟カバー取付部622には、複数の棟カバー側係合部625a,b,cに係合する取付部側係合部622cが設けられる。これにより、棟カバー623の取付位置を調整する機能をシンプルな構成で実現することができる。
縦桟41の軒側の端部よりも軒側に延出する軒カバー取付部610と、架台本体40の軒側の端部を覆うとともに、軒カバー取付部610に固定される軒カバー611と、を更に備える。軒カバー611は、軒カバー取付部610の延出方向で取付位置を調整可能に構成される。
これにより、傾斜方向の軒側及び棟側の両方で太陽光パネル5と周囲枠の隙間を調整することができ、現場の建物の状況に応じてより一層柔軟に対応することができる。
軒カバー取付部610には、軒カバー取付部610の延出方向に並列配置される複数の取付部側係合部615a,b,cが設けられ、軒カバー611には、複数の取付部側係合部615a,b,cの何れかに係合するカバー側係合部611aが設けられる。これにより、軒カバー611の取付位置を調整する機能についてもシンプルな構成で実現できる。
また、本実施形態における太陽光発電屋根1に用いられる太陽光パネル架台4によれば、太陽光発電屋根1と同様の効果が得られる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
上記第1実施形態においては、棟アタッチメント621に棟カバー623が直接ビス止めされるものとしたが、本発明はこれに限定されない。以下、上記実施形態と異なる構成を備える別実施形態について説明する。
図9は、第2実施形態に係る太陽光発電屋根201の棟側枠材の拡大縦断面図である。例えば、図9に示すように、棟側枠材62が1つ以上の隙間調整材624を更に有するものとして、棟カバー623が隙間調整材624を介して棟アタッチメント621に接続されるようにしてもよい。一般的に、太陽光パネル5の大きさは、商品ごとの規格によって特定の大きさに定められている。一方、屋根の大きさは個々の建物によって変わり、一定ではない。従って、太陽光パネル5と周囲枠の間の隙間の距離は一定ではない。しかし、太陽光パネル5と棟側枠材62との間に隙間調整材624を配置し、更に隙間調整材624の枚数や大きさを調整すれば、意匠性や通気路7の通気性を損なうことなく、隙間調整材624と周囲枠の間の隙間を埋めることができる。
次に、第3実施形態について説明する。図10は、第3実施形態に係る太陽光発電屋根301の棟側枠材の拡大縦断面図である。第3実施形態では、第2実施形態の隙間調整材624とは異なる隙間調整材724を備える。それ以外の構成については同様である。図10に示すように、第3実施形態の隙間調整材724の傾斜方向の長さL7は、棟カバー623の調整可能長さL8よりも小さくなるように設定される。
第3実施形態では、太陽光パネル5と棟カバー取付部622間に配置される隙間調整材724を更に備え、隙間調整材724における棟カバー取付部622の延出方向の幅が、棟カバー623の調整範囲の長さL8以下の長さL7に設定される。これにより、太陽光パネル5と周囲枠の隙間が大きい場合には隙間調整材724の数を増やして隙間を埋めつつ、棟カバー623の取付位置を微調整することで、下地材3の様々な寸法に対応することができる。
次に、第4実施形態について説明する。図11は、第4実施形態に係る太陽光発電屋根401の軒側枠材の拡大縦断面図である。第4実施形態の太陽光発電屋根401は、いわゆる下欠け納まりの屋根であり、傾斜方向の長さがケラバ方向の一側と他側で異なる構成となっている。下欠け納まりでは、軒側における下欠け部分とそうでない部分では傾斜方向の長さが異なるため、隙間が生じる。第4実施形態では、この傾斜方向の長さの違いによって生じる隙間を埋めるための隙間調整材824が軒側に配置されている。
図11に示すように、隙間調整材824は、その軒側の端部が軒アタッチメント823を介して軒側の横桟42に連結される。また、隙間調整材824における軒アタッチメント823に接続される側と反対側の端部は、調整材取付部材825を介して棟側の横桟42に連結される。隙間調整材824によって軒側の太陽光パネル5と周囲枠の間の隙間も埋められる。更に、軒カバー611の取付位置も調整できるので、現場の状況に柔軟に対応することができる。なお、隙間調整材824は、現場の屋根の状況(隙間の大きさ)に応じて複数配置することができる。
以上説明してきた実施形態では、軒カバー611及び棟カバー623のいずれにおいても、その取付位置を調整できる構成であるが、軒カバー611及び棟カバー623の何れかのみを位置調整できる構成としてもよい。
次に、第5実施形態について説明する。図12は、第5実施形態に係る太陽光発電屋根501の軒側枠材の拡大縦断面図である。第5実施形態は、軒カバー911が横桟42に直接的に連結されている。第5実施形態では、隙間調整材824によって軒側の太陽光パネル5と周囲枠の間の隙間を埋めている。以上説明した第5実施形態のように、棟側では棟カバー623及び隙間調整材624で隙間の調整を行って、軒側では隙間調整材824によって隙間を埋める構成とすることもできる。
また、第5実施形態で第4実施形態から軒カバー611の取付位置の調整を行うための構成(軒カバー取付部610)を省略したのとは反対に、棟カバーの位置調整を行うための構成(棟カバー取付部622等)を省略する構成することもできる。
以上説明してきた実施形態では、片流れ式の太陽光発電屋根に本発明を適用する例について説明したが、片流れ式の屋根に限定されず、切妻式の屋根に適用することも可能である。次に、切妻式屋根に本発明を適用した第6実施形態について説明する。
図13は、第6実施形態に係る太陽光発電屋根601の棟包み411の断面図である。図11に示すように、第6施形態では、棟包み本体部412の両側に脚部413が配置され、棟包み本体部412と脚部413が蝶番415により連結されている。
第6実施形態では、太陽光発電屋根601は、その棟側に棟カバー取付部820と、該棟カバー取付部820に取り付けられる棟カバー821と、を備える。棟カバー821には、屋根の傾斜方向に複数の棟カバー側係合部815a,b,c,d,e,fが間隔をあけて形成されている。棟カバー取付部820には、複数の棟カバー側係合部815a,b,c,d,e,fのうちの何れかに係合する取付部側係合部821aが棟側の端部に形成される。このように、第4実施形態においても、複数の棟カバー側係合部815a,b,c,d,e,fのうち、いずれの棟カバー側係合部815に取付部側係合部821aを係合するかによって棟カバー821の取付位置を調整することができる。
また、上記実施形態は、更に以下のように適宜変更することもできる。上記第1実施形態の棟側では、棟カバー623に複数の位置決め部としての棟カバー側係合部625a,b,cが形成される構成であるが、棟カバー取付部側に、複数の位置決め部を形成し、棟カバー側に係合部を形成するように構成することもできる。また、上記実施形態の軒側では、軒カバー取付部610側に複数の取付部側係合部615a,b,cが形成される構成であるが、軒カバー側に位置決め部を形成し、軒カバー取付部側に係合部を形成する構成としてもよい。
また、第4実施形態の隙間調整材824の延出方向の幅を軒カバー611の調整範囲の長さ以下の長さに設定することもできる。即ち、この第4実施形態の変形例では、太陽光パネル5と軒カバー取付部610の間に配置される隙間調整材を更に備え、隙間調整材における棟カバー取付部622の延出方向の幅が、棟カバー623の調整範囲の長さ以下の長さに設定されることになる。ここでいう調整範囲は取付部側係合部615a,b,cによって軒カバー611の取付位置を調整できる範囲のことを意味する。これにより、軒側においても屋根の形状及び下地材の様々な寸法に柔軟に対応することができる。
以上、説明したように本発明の太陽光発電屋根は、種々の形式の屋根に用いることができる。例えば、太陽光パネルと屋根材が張り分けられる形式の太陽光発電屋根においても本発明を適用できる。