JP2017114790A - ソフトカプセル用フィルム形成組成物 - Google Patents

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【課題】 本発明の目的は、ゼラチン以外の成分を主成分とし、ゼラチンを使用して製造したソフトカプセルと同等の強度及び弾性を備えたソフトカプセル用のフィルム形成組成物を提供することである。【解決手段】 ソフトカプセル用フィルム形成組成物として、(A)酸分解された塊根又は塊茎のワキシー澱粉、(B)ゲル化剤、(C)可塑剤を配合するもの。【選択図】なし

Description

本発明は、ソフトカプセルを形成するのに好適なソフトカプセル用フィルム形成組成物に関するものである。
一般に、医薬品、食品などの分野では、油状、粉状、顆粒状の各種物質を封入するなどの目的で、カプセルがよく用いられている。カプセルには、ハードカプセル(硬カプセル)とソフトカプセル(軟カプセル)があり、カプセルに充填・被包する内容物やカプセルの用途などによって、適宜、使い分けられている。ソフトカプセルは、健康食品などで広く使用され、粉末素材の他、ビタミンEなどの油液、水分を多く含んだエキスなどを内包させることができる。
ソフトカプセルのシェルを構成する主成分としてゼラチンが広く使用されている。しかし、ゼラチンは動物由来のタンパク質であり、牛、豚などの動物の骨・皮などから製造されるため、狂牛病などの病原物質の混入の危険性や、動物由来のタンパク質を体内に摂取することによるアレルギーの可能性を排除できないという問題があった。また、宗教上の理由や特有の臭い(獣臭)などにより、非動物性原料のものが望まれる場合もあった。そこで、ゼラチンを用いないソフトカプセルが種々検討されている。
例えば、特許文献1には、イオタカラギーナンと改質澱粉との混合物と、水と可塑剤と、緩衝剤とを含有する軟質カプセルに適する乾燥フィルム組成物が提案されている。特許文献2には、カッパカラギーナンとイオタカラギーナンとを1:0.5〜1:10の重量比で配合され、且つデキストリン100重量部に対してカラギーナン類が1〜50重量部配合されている牛由来ゼラチンフリーのカプセル剤皮組成物が提案されている。特許文献3には、加工澱粉とゲル化カラギーナンを含むシェルと、少なくとも一つの担体中に溶解または分解された少なくとも一つの有効成分を含むフィルを含み、前記フィルが7.5より高いpHを有する軟質化カプセルシステムが提案されている。しかしながら、上記ソフトカプセルは、いずれもゼラチンを利用したソフトカプセルに比べてカプセルのシェル強度が弱く、カプセル製造時の作業性が悪いという問題があった。
そこで、特許文献4には、酸分解ワキシーコーンスターチ、ゲル化剤及び可塑剤を含有するソフトカプセル用フィルム形成組成物が提案され、該組成物を用いて製造したフィルムは、特許文献1〜3で提案されているフィルムに比べ、強度、崩壊性、臭気、味、色及びブロッキング性に優れている旨が記載されている。しかし、ゼラチンを使用して製造されたソフトカプセルと比較すると、特許文献4で提案されているソフトカプセルは、弾性に劣り、服用時や喫食時に固く感じられて不快感を覚え、場合によっては嚥下しにくくなる問題がある。上記のようにゼラチンを使用しないソフトカプセル用のフィルムの開発は未だ十分ではない。
特表2003−504326号公報 特開2005−176744号公報 特表2008−519075号公報 特開2010−180159号公報
本発明は、ゼラチン以外の成分を主成分とし、ゼラチンを使用して製造したソフトカプセルと同等の強度及び弾性を備えたソフトカプセル用のフィルム形成組成物を提供することを目的とする。
本発明は、種々の澱粉のなかでも酸分解された塊根又は塊茎のワキシー澱粉が、ゼラチンの代替材料として好適であり、これをゲル化剤及び可塑剤と組み合わせて得られる組成物により、ソフトカプセル用の優れた特性を有するフィルムを形成することができるとの知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
(1).(A)酸分解された塊根又は塊茎のワキシー澱粉、(B)ゲル化剤及び(C)可塑剤を含有することを特徴とするソフトカプセル用フィルム形成組成物。
(2).(A)酸分解された塊根又は塊茎のワキシー澱粉が、固形分20%濃度の水溶液に調製したときの80℃における粘度が3〜100mPa・sである(1)に記載のソフトカプセル用フィルム形成組成物。
(3).(A)酸分解された塊根又は塊茎のワキシー澱粉が、酸分解ワキシーポテト澱粉である(1)又は(2)に記載のソフトカプセル用フィルム形成組成物。
(4).(B)ゲル化剤が、カラギーナン、寒天、アラビアガム、ジェランガム、ネイティブジェランガム、プルラン、ペクチン、及びグルコマンナンから選ばれる1種又は2種以上である(1)〜(3)のいずれかに記載のソフトカプセル用フィルム形成組成物。
(5).(B)ゲル化剤が、カラギーナンである(1)〜(4)のいずれかに記載のソフトカプセル用フィルム形成組成物。
(6).(C)可塑剤が、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコールから選ばれる1種又は2種以上である(1)〜(5)のいずれかに記載のソフトカプセル用フィルム形成組成物。
(7).(D)緩衝剤をさらに含有する(1)〜(6)のいずれかに記載のソフトカプセル用フィルム形成組成物。
(8).(D)緩衝剤が、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩から選ばれる1種又は2種以上である(7)に記載のソフトカプセル用フィルム形成組成物。
(9).(1)〜(8)のいずれかに記載のソフトカプセル用フィルム形成組成物で形成されてなるシェル。
(10).(9)に記載のシェル内にカプセル内容物を含んでなるソフトカプセル。
本発明によれば、ゼラチンなど動物由来の原料を使用しないソフトカプセル用フィルムを提供することができる。本発明のソフトカプセル用フィルム形成組成物を用いて製造されたソフトカプセルは、物理的強度及び弾性について、ゼラチンを使用して製造されたソフトカプセルと同程度の特性を有し、ゼラチンを使用しないソフトカプセルの用途を拡げることができる。
本発明で用いる成分(A)の原料である、塊根又は塊茎のワキシー澱粉とは、ワキシー種の塊根又は塊茎、例えば、ワキシー種の馬鈴薯やワキシー種のキャッサバから得られるワキシーポテト澱粉やワキシータピオカ澱粉などを指し、実質的にアミロースを含まず、アミロペクチンからなる澱粉を指称する。ワキシーポテト澱粉はアベベ. ビー. エイ.(オランダ国)から入手でき、ワキシータピオカ澱粉はSQS社(タイ国)より入手できる。本発明で使用する(A)酸分解された塊根又は塊茎のワキシー澱粉とは、上記塊根又は塊茎のワキシー澱粉を酸で分解したものである。例えば、澱粉に無機酸や有機酸を添加し、10℃〜160℃の温度で澱粉構造の一部を分解することができる。酸分解ワキシーポテト澱粉としては、例えば、商品名ELIANGEL100(アベベ. ビー. エイ.)を挙げることができる。澱粉を分解する前又は後に、澱粉を常法によりエーテル化、エステル化、酸化等の加工処理をしてもよい。澱粉構造の分解の程度は、BM型粘度計を用いて粘度を測定することで評価できる。本発明で使用する(A)酸分解された塊根又は塊茎のワキシー澱粉としては、固形分20%濃度の水溶液に調製したときの80℃における粘度が、BM型粘度計(ローターNo.1)で3〜100mPa・sであるのが好ましく、3〜20mPa・sであるのがより好ましい。ここで、成分(A)としては、酸分解された塊根又は塊茎のワキシー澱粉だけでなく、酵素分解された塊根又は塊茎のワキシー澱粉を使用することもできるが、得られるソフトカプセル用フィルムはべたつきやすく、酸分解された塊根又は塊茎のワキシー澱粉のほうが好ましい。酸分解された塊根又は塊茎のワキシー澱粉としては、得られるソフトカプセルの物理的強度及び弾性に優れるという観点から、酸分解ワキシーポテト澱粉が好ましい。
本発明のソフトカプセル用フィルム形成組成物中(乾燥重量又は水を除いた成分中)の(A)酸分解された塊根又は塊茎のワキシー澱粉の量は、10〜60質量%であるのが好ましく、25〜60質量%であるのがより好ましい。
本発明で用いる成分(B)のゲル化剤としては、カラギーナン(イオタ‐カラギーナン、カッパ‐カラギーナン、ラムダ‐カラギーナン)、寒天、アラビアガム、ジェランガム、ネイティブジェランガム、プルラン、ペクチン、グルコマンナン、ローカストビーンガム、グアーガム、セルロース、コンニャクガム、ファーセレラン、タラガム、アルギン酸及びタマリンドガムから選ばれる1種又は2種以上の混合物が好ましい。これらのうち、カラギーナン(イオタ‐カラギーナン、カッパ‐カラギーナン、ラムダ‐カラギーナン)、寒天、アラビアガム、ジェランガム、ネイティブジェランガム、プルラン、ペクチン、及びグルコマンナンから選ばれる1種又は2種以上の混合物が好ましい。なかでも、カラギーナン、特にイオタ‐カラギーナン及び/又はカッパ‐カラギーナンがより好ましい。
本発明のソフトカプセル用フィルム形成組成物中(乾燥重量又は、水を除いた成分中)の成分(B)のゲル化剤の量は、8〜30質量%であるのが好ましく、10〜24質量%であるのがより好ましい。
本発明で用いる成分(C)の可塑剤としては、グリセリン、ソルビトール、マルチトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、糖アルコール、ラクチトール、ポリアルキレングリコール、単糖類、二糖類、オリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ジエチレングリコール、一酢酸グリセロール、二酢酸グリセロール、三酢酸グリセロール、転化糖、コーンシロップ及び1,2‐プロピレングリコールから選ばれる1種又は2種以上の混合物があげられる。これらのうちグリセリン、ソルビトール、マルチトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、糖アルコール、ラクチトール、ポリアルキレングリコール、単糖類、二糖類、オリゴ糖、イソマルトオリゴ糖から選ばれる1種又は2種以上の混合物が好ましい。なかでも、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール又はこれらの混合物がより好ましい。
本発明のソフトカプセル用フィルム形成組成物には、さらに(D)緩衝剤を含有させることができる。緩衝剤としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩などをあげることができ、リン酸ナトリウムであるのが好ましい。
緩衝剤を含有させる場合には、ソフトカプセル用フィルム形成組成物中(乾燥重量又は、水を除いた成分中)の成分(D)緩衝剤の量は、0.2〜5質量%であるのが好ましく、1〜4質量%であるのがより好ましい。
一般的に多糖類を用いたソフトカプセル用フィルム形成組成物にはスラリーの安定のために緩衝剤が必要であるが、本発明では、(D)緩衝剤を備えずとも、成分(A)酸分解された塊根又は塊茎のワキシー澱粉、(B)ゲル化剤及び(C)可塑剤を備えることでソフトカプセル用フィルムとして十分な強度及び弾性を得ることができる。特に、成分(B)のゲル化剤としてカラギーナンを用いる場合、(D)緩衝剤を使用しなくてもソフトカプセル用フィルムとして十分な強度及び弾性を得ることができる。この場合、(A)酸分解された塊根又は塊茎のワキシー澱粉/(B)ゲル化剤を1/1〜4/1(質量比)の割合で用いるのが好ましい。
本発明のソフトカプセル用フィルム形成組成物には、上記示した成分(A)酸分解された塊根又は塊茎のワキシー澱粉、(B)ゲル化剤及び(C)可塑剤、必要に応じて(D)緩衝剤以外に、色素や顔料などの着色剤、香味剤、防腐剤、崩壊剤などを含有させることができる。
本発明において、ソフトカプセル用フィルム形成組成物とは、上記の通りフィルム形成に必要な成分に水などの溶媒を加えたものを指す。ソフトカプセル用フィルムを形成する場合には、本発明のソフトカプセル用フィルム形成組成物を用いて常法により、乾燥後の皮膜の厚みが0.05〜1.0mmとなるようにシート状に成形すればよい。本発明においてシェルとは中空状の構造体であり、内容物を含む前のソフトカプセルを指し、常法によりソフトカプセル用フィルムから製造できる。また、本発明のソフトカプセル用フィルム形成組成物を用いて、シームレスカプセルを成形することもできる。シームレスカプセルとは、例えば2重のノズルから、外側のノズルにソフトカプセル用フィルム形成組成物を、内側のノズルにカプセル内容物を流し出して落下させ、界面張力で外側のソフトカプセル用フィルム形成組成物がカプセル内容物を包み込み、球形状になったカプセルを指す。
本発明においてカプセル内容物とは、一般的にソフトカプセルに収容されるものであれば特に限定しない。例えば、粉末素材、油液、油脂、液状薬物、液状食品組成物などを指す。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
1.澱粉処理物の種類の影響
(ソフトカプセル用フィルムの製造に使用する澱粉処理物)
実施例1及び比較例1〜3において使用した澱粉処理物を表1に示す。使用した澱粉処理物は、原料澱粉を常法により酸分解又は酵素処理分解したもので、分解の程度は粘度値で特定できる。ここで、表1に記載の粘度値は、各澱粉処理物の固形分20質量%水溶液を80℃に保ち、BM型粘度計(ローターNo.1)を用いて測定した粘度値である。なお比較のため、ソフトカプセル用フィルム素材として一般的に使用されているゼラチン(GBL200、新田ゼラチン(株))も準備した。
Figure 2017114790
(澱粉処理物を用いたソフトカプセル用フィルムの製造)
表1に示す各種澱粉処理物を用いて、表2の組成でソフトカプセル用フィルムを製造した。具体的には、表2記載のソフトカプセル用フィルム形成組成物に蒸留水を加え、塗工可能となるようにスラリーを加熱・調製した。該スラリーをアプリケーターに投入し、合成樹脂フィルム上に膜厚が100μm程度(後述の乾燥後の膜厚)になるように塗工してシートを作製した。該シートを80〜110℃程度の熱風で乾燥し、各ソフトカプセル用フィルム形成組成物を得た。
Figure 2017114790
(ゼラチンを用いたソフトカプセル用フィルムの製造)
表2のフィルム形成組成物を表3に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にソフトカプセル用フィルムを製造した(比較例4)。
Figure 2017114790
上記各フィルム形成組成物を用いて製造した各ソフトカプセル用フィルムの強度、弾性、透明性及び耐水性を以下の方法により評価した。
(強度及び弾性特性の評価方法)
ソフトカプセル用フィルムの強度及び弾性特性を、レオメータ(CR−200D、(株)サン科学)を用いて測定した。ソフトカプセル用フィルム(43mm×27mm形状)を中央に穴が開いたサンプル保持治具で挟み込んでレオメータにセットし、直径5mmの球状感圧軸及び圧縮力50mm/分でそのフィルムを破断したときの荷重をフィルムの強度値とした。破断したときの荷重(強度値)が大きいほど、フィルムの強度特性は優れている。またフィルムが破断する直前のソフトカプセル用フィルムの湾曲程度(感圧軸がフィルムに触れてからフィルムが破断するまでの感圧軸の移動距離)を測定し、弾性特性の指標とした。感圧軸の移動距離が大きいほど、弾性特性が優れている。
(透明性の評価方法)
ソフトカプセル用フィルムの透過率を、分光光度計(U−2900、(株)日立ハイテクノロジーズ)を用いて測定した。分光光度計にフィルム(43mm×11mm形状)をセットし、400nm〜800nmの波長域で透過率を計測した。
(耐水性の評価方法)
ソフトカプセル用フィルムを、中央に穴が開いたサンプル保持治具で挟み込み、該治具を糸で吊るしたものを、マグネティックスターラー(KNS−01、アズワン(株))上で円柱状回転子(45mm×直径8mm)により100rpmで常時撹拌された状態の精製水500ml(30℃、500ml容トールビーカー)中に投入した。ソフトカプセル用フィルムを水中に投入してからフィルムに破断が生じるまでの時間を計測し、耐水性の指標とした。破断するまでの時間が長いほど、耐水性が高いと評価した。
(結果)
表4に、ソフトカプセル用フィルムの強度、弾性、透明性及び耐水性の評価結果を示す。比較例1のワキシーコーンの酸処理澱粉(WS−10、松谷化学(株))を用いたソフトカプセル用フィルムは、デキストリンを用いた比較例2及び3のソフトカプセル用フィルムに比べて破断強度がわずかに優れていたが、ゼラチンを使用した比較例4のソフトカプセル用フィルムに比べると破断強度は23%程度であった。一方、本発明の酸分解ワキシーポテト澱粉を使用したソフトカプセル用フィルムは、破断強度がゼラチンを使用したソフトカプセル用フィルムに比べて87%程度とゼラチンを使用したソフトカプセル用フィルムと同程度であった。すなわち酸分解されたワキシー澱粉の中でも、酸分解ワキシーポテト澱粉を使用することでフィルムの強度は飛躍的に増大した。弾性特性についても、ワキシーコーンの酸処理澱粉を用いたソフトカプセル用フィルムに比べ、酸分解ワキシーポテト澱粉を用いたソフトカプセル用フィルムは1.5倍向上していた。また、本発明のソフトカプセル用フィルムは、透明性の点でもゼラチンを使用したソフトカプセル用フィルムと同程度であり、耐水性についてもソフトカプセル用フィルムとして問題く、十分であった。これらの結果から、ゼラチンを使用しなくても本発明のソフトカプセル用フィルム形成組成物を用いれば、ゼラチンと同等のシェル及びソフトカプセルが得られることがわかった。
Figure 2017114790
2.緩衝剤の有無による影響
実施例1のソフトカプセル用フィルム形成組成物から緩衝剤であるリン酸ナトリウムを除いた、表5に記載の組成物を用いて、実施例1と同様にソフトカプセル用フィルム(実施例2)を製造した。
Figure 2017114790
上記実施例2のソフトカプセル用フィルムを、上記と同様の方法で評価した。結果は、比較のため、先の実施例1及び比較例1の結果と合わせて表6に示す。
Figure 2017114790
表6の結果から、緩衝剤であるリン酸ナトリウムを使用しなくても、耐水性を保ちつつ高い強度と弾性を有したソフトカプセル用フィルムが得られることがわかった。一般的に、ゲル化剤を用いたソフトカプセル用フィルム形成用組成物の調製には緩衝剤が必要であり、緩衝剤を添加しないと、スラリーが固まりやすいためソフトカプセル用フィルムが上手く形成できず、得られたソフトカプセル用フィルムの特性が悪くなるという問題が生じることがある。しかし、本発明のソフトカプセル用フィルム形成組成物では、実施例2のように緩衝剤を使用しない場合でも、ゲル化剤(カラギーナン)、酸処理ワキシーコーン澱粉と緩衝剤(リン酸ナトリウム)を使用したソフトカプセル用フィルム(比較例1)に比べて強度及び弾性特性が優れ、ゼラチンを使用したソフトカプセル用フィルムに近い特性を示した。
本発明は、ソフトカプセルを形成するのに好適なソフトカプセル用フィルム形成組成物を提供する。

Claims (10)

  1. (A)酸分解された塊根又は塊茎のワキシー澱粉、(B)ゲル化剤及び(C)可塑剤を含有することを特徴とするソフトカプセル用フィルム形成組成物。
  2. (A)酸分解された塊根又は塊茎のワキシー澱粉が、固形分20%濃度の水溶液に調製したときの80℃における粘度が3〜100mPa・sである請求項1に記載のソフトカプセル用フィルム形成組成物。
  3. (A)酸分解された塊根又は塊茎のワキシー澱粉が、酸分解ワキシーポテト澱粉である請求項1又は2に記載のソフトカプセル用フィルム形成組成物。
  4. (B)ゲル化剤が、カラギーナン、寒天、アラビアガム、ジェランガム、ネイティブジェランガム、プルラン、ペクチン、及びグルコマンナンから選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載のソフトカプセル用フィルム形成組成物。
  5. (B)ゲル化剤が、カラギーナンである請求項1〜4のいずれか1項に記載のソフトカプセル用フィルム形成組成物。
  6. (C)可塑剤が、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコールから選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載のソフトカプセル用フィルム形成組成物。
  7. (D)緩衝剤をさらに含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載のソフトカプセル用フィルム形成組成物。
  8. (D)緩衝剤が、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩から選ばれる1種又は2種以上である請求項7に記載のソフトカプセル用フィルム形成組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のソフトカプセル用フィルム形成組成物で形成されてなるシェル。
  10. 請求項9に記載のシェル内にカプセル内容物を含んでなるソフトカプセル。
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