この発明は、上記問題点に鑑み、医療用施術具が滅菌処理済か滅菌未処理かを判定して、滅菌未処理の前記医療用施術具の使用を防止できる医療用診療装置および医療用施術具を提供することを目的とする。
この発明は、加熱処理による滅菌処理が行われる医療用施術具と、該医療用施術具を着脱自在に接続する医療用機器本体とで構成される医療用診療装置であって、前記医療用施術具に、個別の識別情報を記憶する識別情報記憶部と、少なくとも前記加熱処理の処理温度を測定する温度測定部とが備えられ、前記医療用機器本体に、前記識別情報を読み込んで前記医療用施術具を識別する識別部が備えられ、前記医療用機器本体または前記医療用施術具の少なくとも一方に、前記医療用施術具の使用を検知する使用検知部と、前記温度測定部で測定した前記処理温度に関する処理温度情報に基づく滅菌処理情報および、前記使用検知部の検知結果に基づく使用検知情報に基づいて、前記医療用施術具の使用の可否を判定する使用判定部と、該使用判定部の判定結果に基づいて所定の動作を行う所定動作部とが備えられたことを特徴とする。
またこの発明は、医療用機器本体と接続して使用する医療用施術具であって、少なくとも加熱処理による滅菌処理の処理温度を測定する温度測定部と、施術への使用を検知する使用検知部と、前記温度測定部で測定した前記処理温度に関する処理温度情報に基づく滅菌処理情報と、前記使用検知部で検知した検知結果に基づく使用検知情報とに基づいて、前記医療用施術具の使用の可否を判定する使用判定部と、該使用判定部の判定結果に基づいて所定の動作を行う所定動作部とが備えられたことを特徴とする。
前記医療用施術具は、前記医療用機器本体から取り外して滅菌処理が可能な医療用施術具を指し、例えば、歯科用エアータービンハンドピースや、マイクロモータハンドピース、エアーモーターハンドピース、スケーラーハンドピース、レーザ治療用ハンドピース、根管治療用ハンドピース、口腔外科手術用ハンドピースなどを含む。
前記医療用機器本体は、前記医療用施術具に空気や水などの媒体を供給するチューブと連結した歯科用チェアーユニットや、前記歯科用チューブの先端に前記医療用施術具と接続が可能なモータを備えた歯科用チェアーユニット、前記歯科用チェアーユニットとは別体のアシスタント用のインスツルメント、持ち運び可能な往診用診療装置、レーザ治療装置などを含む。
上述の加熱処理による滅菌処理とは、いわゆるオートクレーブを用いた滅菌処理をさす。
上述の処理温度を測定するとは、常に温度を測定する場合や、所定の時間間隔で温度を測定する場合、前記処理温度が所定の温度を超えた時にその温度を経時的または断続的に測定する場合や、例えばサーモスタットのように所定の温度を超えたことを判別することで温度を測定する場合などを含む。
前記処理温度情報は、前記温度測定部の測定結果に基づく前記滅菌処理の処理温度に関する情報であり、例えば、前記温度測定部で前記処理温度を測定した測定日や、前記処理温度の値、前記処理温度の温度変化、前記処理温度が所定の温度を超えた時刻、サーモスタットのように所定の温度を超えた場合に回路を切り替えた回数や時間などの履歴情報などを含む。
上述の前記医療用施術具の使用を検知するとは、例えば、前記医療用施術具を保持する保持部からの取上げ又は引き出しした場合に前記保持部に備えた検知部で検知することや、前記医療用施術具を操作するフートコントローラ等の操作信号を検知すること、前記医療用施術具に係る負荷値を検知することなどを含む。
前記使用検知情報は、前記医療用施術具の使用に関する情報であり、例えば、前記医療用施術具を使用した日にちや時刻、使用回数、使用し続けた時間、使用した患者情報などの履歴を含む。
前記滅菌処理情報は、前記処理温度情報や、前記処理温度情報に基づいて前記医療用施術具の滅菌処理済または滅菌未処理を判定された情報を前記処理温度情報に加えた情報とを含む。
なお、前記使用検知情報は前記滅菌処理情報とは個別独立した情報である必要はなく、例えば、前記使用検知情報と前記滅菌処理情報とを時系列に沿って記録した履歴情報のように、前記使用検知情報と前記滅菌処理情報とを一連の情報とする場合であってもよい。
前記識別部は、非接触で通信が可能なRFID(radio frequency identifier)や、前記医療用施術具に予め備えた特定の値の抵抗やコンデンサ、コイルなど用いて識別する識別部などを含む。なお、抵抗やコンデンサ、コイルである場合には、前記医療用施術具と前記医療用機器本体とを接続する前記チューブの接続部との間で接合や解離することにより検出する構成などである。
上述の所定の動作とは、ブザーやメロディなどの音を用いて報知することや、単数または複数個のLEDランプなどの光源を点灯や点滅、消灯させるなどの光を用いて報知すること、前記医療用機器本体または医療用施術具に設けた表示部に使用の可否などを表示すること、音声で知らせること、前記医療用施術具を振動させること、前記医療用機器本体から前記医療用施術具への駆動信号の伝達の遮断や続行、エアーや電気などの作用媒体の供給の制御などの他、前記医療用機器本体に備えた前記制御部により前記医療用施術具であるハンドピースなどの駆動を制御することや、洗浄水の供給などの副次的な媒体の供給の停止なども含む。なお、これらの動作を単一に行う場合や、複数の動作を並行してもしくは別々に行う場合を含む。
これらの発明により、医療用施術具が滅菌処理済か滅菌未処理かを判定して、滅菌未処理の前記医療用施術具の使用を防止できる。
詳述すると、前記使用検知部を備えていることにより、例えば前記医療用施術具が使用されたことを把握できる。そのうえで、前記処理温度情報に基づく前記滅菌処理情報と前記使用検知情報とに基づいて前記医療用施術具の使用の可否を判定するとともに、判定結果に基づいて例えば音を発することや表示を行うなどの報知や前記医療用施術具の駆動の停止などの所定動作が行われるため、施術者が滅菌未処理の医療用施術具を誤って次の患者に再使用することを防止できる。
また、例えば、前記医療用施術具に前記温度測定部を備えられていることにより、前記医療用施術具は滅菌処理の処理温度を測定して、その測定結果に基づいて前記医療用施術具の滅菌処理が行われたか否かを判定することができる。すなわち、前記医療用施術具を前記医療用機器本体から取り外し、加熱処理による前記滅菌処理を行った場合でも、前記処理温度情報を読み込むことで、前記医療用施術具が滅菌処理されたか否かを判定できる。
これにより、例えば前記医療用施術具が滅菌処理済である旨の情報を手入力することなく、前記医療用施術具が滅菌処理されたか否かを判定することができる。
この発明の態様として、時間を測定する計時部から時間の読取制御を行う時間読取制御部が備えられ、前記使用検知情報は、前記医療用施術具の使用を検知した検知結果情報と、少なくとも前記時間読取制御部で読み込まれた前記医療用施術具の使用を終了した終了時間情報とが含まれ、前記滅菌処理情報は、前記時間読取制御部で読み込まれた前記処理温度に対応する滅菌処理時間が含まれたことを特徴とすることができる。
前記時間は、日にちおよび時分を含めた時刻や、所定の時間間隔を含む。
上述の前記処理温度に対応する滅菌処理時間とは、例えば、前記温度測定部で測定した前記処理温度に対する時刻や、前記処理温度が所定の温度以上に変化した時刻、前記処理温度が前記所定の温度以下に変化した時刻、前記処理温度が所定の温度以上である間の時間、これらの組み合わせなどを含む。
この発明により、前記医療用施術具の使用時期と滅菌処理の時期とに基づいて、前記医療用施術具の使用の可否を判定することができる。
詳述すると、前記計時部および前記時間読取制御部を備えることにより、前記滅菌処理時間に基づく前記滅菌処理時間情報と前記処理温度情報から前記医療用施術具が滅菌処理済か滅菌未処理かを判定できる。また、前記終了時間情報を含む前記使用検知情報と前記滅菌処理時間に基づく前記滅菌処理情報とを比較判定することにより、前記医療用施術具の使用時期と滅菌時期との先後を正確に判定できる。
つまり、使用後に滅菌処理がされていない前記医療用施術具が前記医療用機器本体に接続されることで前記所定動作部が所定動作を行う場合の他、前記医療用施術具が滅菌処理済であっても、その後の使用により滅菌未処理となることで前記所定動作部が所定動作を行う場合でも、前記医療用施術具の使用の可否をより確実に判定することができる。したがって、施術者が滅菌未処理の医療用施術具を使用することをより確実に防止できる。
また、例えば、前記計時部および前記時間読取制御部、使用判定部を備えることにより、前記医療用施術具と前記医療用機器本体とが接続または離脱した時間を検出することができる。これにより、前記医療用施術具の使用後に前記滅菌処理を行っている、つまり、滅菌処理済とであるため使用可能と判定されているが、前記滅菌処理した時から時間が経過し過ぎているため再度滅菌処理が必要である場合などを判定し、前記医療用施術具の再使用を防止することができる。
またこの発明の態様として、前記滅菌処理時間は、前記時間読取制御部で読み込んだ前記滅菌処理の開始時間と、前記滅菌処理の終了時間との間隔であることを特徴とすることができる。
この発明により、前記滅菌処理の開始時間と、前記滅菌処理の終了時間に基づいて、前記滅菌処理が確実にされているか否かを判定することができる。すなわち、滅菌処理が所望の処理温度で必要な時間かけて行われたかを判定できるため、前記滅菌処理が十分に行われたか否かをより正確に判定できる。したがって、施術者は確実に滅菌処理が行われた前記医療用施術具を用いることができ、滅菌未処理の医療用施術具が使用されることを予防でき、安全に施術できる。
またこの発明の態様として、少なくとも前記処理温度または前記滅菌処理時間に基づいて前記滅菌処理を行った滅菌処理回数を算出する滅菌処理回数処理部と、前記滅菌処理回数に基づいて前記医療用施術具の交換の要否を判定する交換判定部とが備えられ、前記所定動作部は、前記交換判定部の判定結果に基づいて所定の動作を行う構成としたことを特徴とすることができる。
前記滅菌処理回数は、諸条件で滅菌処理が行われた前記医療用施術具の滅菌処理の回数を、所定の条件で前記滅菌処理を行った場合を基準として算出した滅菌処理回数をさし、例えば、基準となる滅菌条件に対する滅菌処理温度や滅菌処理時間の違いに基づいて負荷係数を設けて算出された滅菌処理回数や、所定の滅菌処理条件に対して予め決定された回数を加算した滅菌処理回数、前記滅菌処理回数の積算値(以下、積算滅菌処理回数とする)に基づいて前記医療用施術具の劣化を考慮して算出された滅菌処理回数などを含む。
上述の前記医療用施術具の交換とは、前記医療用施術具本体の交換や、例えば内部に備えたモータやOリングなど前記医療用施術具を構成する消耗部品の交換なども含む。
上述の交換の要否を判定するとは、例えば、前記識別部に予め記憶してある積算滅菌処理回数の限界値と前記積算滅菌処理回数とを比較して判定する場合や、積算滅菌処理回数の限界値に所望の係数を乗算した値と前記積算滅菌処理回数とを比較して判定する場合、積算滅菌処理回数の限界値の範囲内で施術者が決定した積算処理回数と比較して判定する場合、積算処理回数が所定の値を超えたことを判定する場合などを含む。
上述の前記交換判定部の判定結果に基づいて所定の動作を行うとは、前記医療用施術具を交換する必要がある場合に、ブザーやメロディなどの音や光の点滅や点灯、表示部への表示などにより報知することの他、例えば、交換を要するまでの処理の許容回数を文字として表示部に表示して報知すること、前記医療用施術具を振動させること、前記医療用機器本体から前記医療用施術具への駆動信号の伝達の遮断や続行、エアーや電気などの作用媒体の供給を制御することなどを含む。特に前記医療用施術具が滅菌未処理であると判定された場合と異なる所定動作を行う構成とすることで交換の要否を認識できる。
この発明により、前記医療用施術具が滅菌処理済であっても、施術者は施術前に前記医療用施術具が交換すべきであることを認識でき、使用できる医療用施術具に交換することができる。これにより、施術中に前記医療用施術具の交換をすることなくスムーズに施術を行うことができるとともに、患者が不安感を抱くことを防止できる。
また、オートクレーブの処理温度や時間を前記医療用施術具に応じて最適な処理温度や時間に設定できる場合には、処理条件に応じて前記医療用施術具の耐久性の判断基準が変わることとなるが、前記滅菌処理回数処理部を備えることにより、滅菌処理の条件に応じて、前記基準滅菌処理回数を基準とした前記滅菌処理回数に換算できるため、滅菌条件が異なっている場合であっても、前記医療用施術具が滅菌処理された回数を算出することができる。これにより、例えば、前記識別情報に予め保存した前記医療用施術具の滅菌処理の限度回数と前記積算滅菌処理回数とを比較判定して、前記医療用施術具の交換の要否を報知でき、施術者は前記医療用施術具の交換を把握することができる。
このように、様々な滅菌処理の条件で滅菌処理しても所定の規格に基づいて前記医療用施術具の交換時期を判定することができるため、例えば、前記医療用施術具を、業者が推奨する滅菌処理条件よりも長い時間かけて滅菌処理した場合などであっても、施術者は正確に前記医療用施術具の交換時期を把握することができ、施術者は安全に施術を行える医療用施術具を選択することができる。
またこの発明の態様として、前記医療用施術具は、前記情報記憶部を備えた識別体が設けられ、前記医療機器本体は、前記医療用施術具の接近により、非接触で前記識別情報を前記識別体から読取る読取部が設けられたことを特徴とすることができる。
前記識別体は、前記読取部との間で通信機能を有する識別体であり、前記通信機能には、例えば、RFIDなどのように電波を利用した通信機能や、赤外線を利用した通信機能、磁力を利用した通信機能、バーコードやQRコード(登録商標)のように光を利用した通信機能、画像認識を利用した通信機能などを含む。
この発明により、前記医療用施術具と前記医療用機器本体と接触させることなく識別情報を読み取ることができるため、非接触で前記医療用施術具が滅菌処理済かを判定できる。したがって、前記医療用施術具を前記医療用機器本体に接続させる必要が無いため、接続しようとする前記医療用施術具が滅菌処理を万一行っていない場合であっても、滅菌処理済でない前記医療用施術具を前記医療用機器本体に接続することで前記医療用機器本体が汚染されることを防ぐことが出来る。
またこの発明の態様として、前記識別体は、耐熱性の電池が内蔵されているRFIDで構成されたことを特徴とすることができる。
前記RFIDは、アクティブ型やセミアクティブ型のRFIDをさす。
この発明により、前記医療用施術具と前記医療用機器本体とを接続することなく非接触で前記医療用施術具が滅菌処理済かを判定できるとともに、繰り返し前記加熱処理による滅菌処理を行っても、確実に処理温度を測定できる。
またこの発明の態様として、前記医療用施術具は、前記医療用機器本体に設けられた本体側接続部と接続する施術具側接続部が備えられ、前記医療用機器本体または前記医療用施術具の少なくとも一方には、前記所定動作部として機能し、前記本体側接続部と前記施術具側接続部との接続を防止する接続防止形状を形成する接続障害部が備えられたことを特徴とすることができる。
上述の接続防止形状を形成するとは、前記医療用機器本体と前記医療用施術具との接続に対して物理的な障害となる接続防止形状を形成する場合や、前記医療用機器本体と前記医療用施術具とが接続されていても、接続状態を保持できないような形状を形成する場合、前記本体側接続部および前記施術具側接続部の形状を変形させる場合を含む。
具体的には、前記本体側接続部または前記施術具側接続部の少なくとも一方に接続を妨げる突出片を突出させることや、前記本体側接続部または前記施術具側接続部の少なくとも一方の接続部位を陥没させること、前記本体側接続部または前記施術具側接続部にそれぞれ備えた凹部と凸部とが嵌合することにより接続する場合に、前記凸部を前記凹部に挿入することを防止するように前記凹部の窪み方向に向けて突出片を突出させること、前記本体側接続部および前記施術具側接続部以外の位置に設けた接続障害部を、所定の位置を中心として枢動することで前記接続障害部が接続を防止する位置に配置されることなどを含む。すなわち、前記本体側接続部または前記施術具側接続部との接続を防止できる形状であればどのような形状であっても良い。
なお、前記突出片が接続を防止する位置に突出する場合においては、前記突出片の突出方向は前記医療用施術具の長手軸方向であっても良いし、径方向や斜め方向であっても良い。
この発明により、滅菌未処理の前記医療用施術具と前記医療用機器本体とを接続しようとした場合に、前記滅菌処理情報に基づいて前記接続障害部が前記接続防止形状を形成できる。これにより、前記施術具側接続部と前記本体側接続部との物理的な接続を確実に防止することができるため、施術者は滅菌処理を行っていない前記医療用施術具を物理的に前記医療用機器本体に接続することができない。
したがって、滅菌処理を行っていない前記医療用施術具を他の患者に用いることを確実に防止することができ、汚染の問題が生じないようにできる。
またこの発明の態様として、前記所定動作部は、前記使用判定部で前記医療用施術具の使用が不可であるとの判定に基づき前記医療用施術具の使用を規制することができる。
上述の使用を規制するとは、前記医療用機器本体から前記医療用施術具への駆動信号の伝達の遮断や、エアーや電気などの作用媒体の供給の停止などの他、前記医療用機器本体に備えた前記制御部による前記医療用施術具の駆動規制、操作スイッチの物理的または電気的な無効化、前記医療用施術具への駆動力の伝達を規制する場合なども含む。
この発明により、滅菌未処理と判定された前記医療用施術具を施術に使用することを防止できるため、施術者は誤って滅菌未処理の医療用施術具が施術に使用されることを規制できる。
またこの発明の態様として、前記所定動作部として機能し、前記医療用機器本体部から前記医療用施術具に送られる操作信号により前記医療用施術具の作動を禁止する駆動制御部が備えられたことを特徴とすることができる。
上述の作動を禁止するとは、前記医療用施術具を作動させる入力信号を物理的に遮断する構成や、前記医療用施術具の機構に電気信号が送受信されることを防止する構成などを含む。
この発明により、例えば、前記医療用施術具が滅菌未処理であると判定した場合に、前記医療用機器本体から前記医療用施術具への操作信号が伝達されず前記医療用施術具の駆動が規制される。したがって、施術者が誤って他の患者に前記医療用施術具を用いて施術することを確実に防止できる。
またこの発明の態様として、前記本体側接続部または前記施術具側接続部の少なくとも一方には、前記本体側接続部と前記施術具側接続部との接近を検出する接近検出部と、該接近検出部での検出結果に基づいて、前記本体側接続部と前記施術具側接続部との接近に関して報知する接近報知部とが備えられたことを特徴とすることができる。
上述の報知するとは、ブザーやメロディなどの音を発することや、表示部に文字や画像による警告情報を表示すること、単数または複数個のLEDランプなどの光源を点灯または点滅させるなどの発光すること、点灯あるいは点滅している光を消灯すること、前記医療用機器に表示部を設けて判定結果を前記表示部に表示すること、前記医療用施術具を振動させることなどを含む。また、これらの複数の動作を組み合わせて報知してもよい。
この発明により、前記本体側接続部と前記施術具側接続部とが接近したことを検出して報知することができるため、例えば前記医療用施術具の滅菌処理を行ったか否かに関わらず、前記本体側接続部と前記施術具側接続部とを接続する前に前記医療用施術具の滅菌処理を行っているかを確認する機会を得ることができる。これにより、施術者は接続が完了する前に前記医療用施術具が滅菌処理を施しているかをより確実に確認でき、滅菌未処理の前記医療用施術具の使用を確実に予防できる。
したがって、前記施術者は前記医療用施術具の状態を確認したうえで前記医療用機器本体に前記医療用施術具を接続することができるため、滅菌処理をしていない前記医療用施術具の接続を予防することができる。
またこの発明の態様として、前記使用検知部の検知結果に基づいて、少なくとも使用された前記医療用施術具の使用を前記医療用施術具毎に報知する使用報知部が備えられたことを特徴とすることができる。
前記使用報知部は、各医療用施術具を使用したことが医療用施術具毎に報知できるように備えられていればどのような場所に備えられていてもよく、例えば、前記医療用機器本体に設けられた前記医療用施術具を保持するホルダに備えた場合や、前記医療用施術具に備えた場合、前記医療用機器本体に備えた表示部である場合などを含む。
前記報知は、使用済みの前記医療用施術具に対応する前記使用報知部を常に報知する場合や、使用命令の受け付けにより受信する電気信号を検出して報知する場合などを含み、その報知方法は、例えば光によって報知する場合や、表示部に使用済みの前記医療用施術具を表示する場合、音により報知する場合などを含む。
この発明により、実際に施術に使用された前記医療用施術具のみが報知されるので、報知された前記医療用施術具のみを滅菌処理すれば良いので滅菌処理すべき対象が一目瞭然となる。
また、医療用施術具毎に使用を報知することができるため、別の患者の施術を行う場合に交換すべき前記医療用施術具を容易に判断できる。したがって、施術者は交換すべき前記医療用施術具を明確かつ容易に判断することができ、円滑な施術を行うことができる。
また、前記使用報知部は、前記医療用施術具のホルダ部に設けている場合には、交換すべき前記医療用施術具毎にランプ等を点灯させる構成にすれば、施術者は次の患者に対する施術を行うにあたり、必ず点灯したランプが視野に入るので一旦使用された前記医療用施術具のみを滅菌処理すれば良いことに気付き、更に滅菌未処理の前記医療用施術具の再使用を控えることが出来る。
またこの発明の態様として、前記医療用施術具の取替を検出する取替検出部と、前記滅菌処理情報に基づいて前記報知部による前記医療用施術具の使用報知を解除する報知解除部とが備えられたことを特徴とすることができる。
上述の前記医療用施術具の交換とは、前記医療用施術具が前記医療用機器本体から取り外されたことや、前記医療用機器本体に接続されていた前記医療用施術具を別の医療用施術具に取り替えることを含む。
この発明により、滅菌処理済の医療用施術具と取り替えることで使用報知が解除されるため、施術者が施術に使用できる、すなわち滅菌処理済である前記医療用施術具が備えられていることを認識できる。したがって、施術者は医療用施術具が交換されたか否かを気にすることなく施術に集中することができる。
またこの発明の態様として、前記所定動作部として機能し、所定の報知動作を行う報知部が備えられたことを特徴とすることができる。
この発明により、ブザーやメロディなどの音の出力や光の点滅や点灯、または前記に医療用施術具の振動などの方法で、前記医療用施術具を滅菌処理したか否かを報知することができる。すなわち、施術者は視覚や聴覚や触覚のいずれか一つ以上により、滅菌処理を行った前記医療用施術具かを認識することができる。したがって、施術者は滅菌処理を行っていない医療用施術具を確実に前記医療用機器本体に接続することを予防できる。
またこの発明の態様として、前記報知部が、発光が可能な光出力部で構成することができる。
前記光出力部は、LED光源やハロゲン電球などの、光を発することができる光源を含み、また前記光出力部は単一の光源や複数の光源を含む。
また、前記光出力部は、前記光出力部が取付けられている位置を施術者が点灯時に目視で認識できれば、どのような位置に設けられていても良く、例えば前記医療用機器本体と前記医療用施術具との接続部位近辺に設けてある場合や、施術患部を照射する患部照明用光源であってもよい。
前記発光とは、単一または複数の光源が点灯または点滅することや、常時点灯する光に対して消灯することにより放置することなどを含む。なお、複数の光源が点灯または点滅する場合には、その光源の一部が点灯または点滅することを含む。
この発明により、施術者は、前記医療用機器本体に対して相対的に接近している前記医療用施術具が滅菌処理を行っているか否かを視覚で容易に認識でき、施術者は滅菌処理を行っていない医療用施術具を前記医療用機器本体に接続することを確実に予防できる。
またこの発明の態様として、前記所定動作部として機能し、警告表示を表示する警告表示部が備えられたことを特徴とすることができる。
前記警告表示部は、前記医療用機器本体に備わっている表示部や、前記医療用施術具に備わっている表示部、歯科診療装置の表示用モニタなどを含む。
上述の警告表示を表示するとは、画像や文字、文章などによる前記警告表示を前記表示部に表示する場合のみならず、前記警告表示に加えて前記医療用施術具の前記識別情報を表示部に表示する場合や、例えば滅菌処理の指示などの対処方法を表示部に表示する場合などを含む。
この発明により、前記警告表示が前記警告表示部に表示されるため、施術者は視覚にて警告内容を明確に認識することができる。また、前記警告表示部に文章として表示することが可能であるため、施術者は音や光での報知と比べて、より詳細な警告理由を具体的に知ることができる。
本発明により、医療用施術具が滅菌処理済か滅菌未処理かを確実に判定できるとともに、滅菌未処理の前記医療用施術具の使用を防止できる医療用診療装置および医療用施術具を提供することができる。
図1は、医療用診療装置1の概略斜視図を示し、図2は、ハンドピース30と接続ユニット40との接続を解除した状態の歯科診療用インスツルメント20の概略説明図を示し、詳しくは、図2(a)は歯科診療用インスツルメント20との接続を解除したハンドピース30と接続ユニット40との側面図を示し、図2(b)はハンドピース30の後端面を表した背面図を示し、図2(c)は接続ユニット40の先端面を表した正面図を示している。なお、図2(a)では、ハンドピース30の後端部分であるハンドピース側接続部34および接続ユニット40の先端部分であるユニット側接続部43については部分断面を示している。
また、歯科診療用インスツルメント20の長手方向に沿ってハンドピース30がある方向(図2中左側)を先方とし、接続ユニット40がある方向(図2中右側)を後方とする。
図3は医療用診療装置1のブロック図を示し、図4は、歯科診療用インスツルメント20の説明図を示す。詳しくは、図4は、歯科診療用インスツルメント20を構成するハンドピース30に備えられたRFIDタグ50と、接続ユニット40に備えられたRFIDリーダライタ60のブロック図を示す。
図5は、使用検知情報Uおよび処理温度情報Hの説明図を示し、詳しくは、図5(a)は使用検知情報Uの内容を示し、図5(b)は処理温度情報Hの内容を示す。
図6乃至図11は医療用診療装置1を用いた患者の施術のフローチャートを示す。図6は、施術の全体のフローチャートを示し、図7および図8は施術工程のフローチャートを示し、図9および図10は接続判定工程のフローチャートを示し、図11は、滅菌処理工程のフローチャートを示す。図12は、処理温度情報についての説明図を示し、詳述すると図12(a)は処理温度情報Hの内容を示し、図12(b)は縦軸を温度、横軸を時間として処理温度情報Hを表示したグラフを示す。
図13は、滅菌処理回数情報Cの説明図を示し、図13(a)は滅菌処理回数情報Cの内容を示し、図13(b)は横軸を時間、縦軸を滅菌処理回数とした滅菌処理回数情報Cのグラフを示す。
医療用診療装置1は、図1に示すように、医療用機器本体10と歯科診療用インスツルメント20とを備えたチェアーユニット70で構成している。
歯科診療用インスツルメント20は、図2に示すように、先端側に配置されるハンドピース30と、ハンドピース30と医療用機器本体10と接続した接続ユニット40とが着脱自在に連結できる構成である。
医療用機器本体10は、図1および図3に示すように、歯科診療用インスツルメント20などの動作設定や報知動作設定などの操作を行う操作パネル13と、操作パネル13の正面下方に位置する歯科診療用インスツルメント20を保持するホルダ14と、操作パネル13の背面側に備えたモニタ15と、操作パネル13の側部に備えたトレーテーブル16と、所定の動作に基づいて報知する本体側報知装置17とを備え、また操作パネル13の内部には、CPUとROMで構成した処理装置制御部11と、処理装置制御部11と接続された本体側記憶装置12とを有している。
処理装置制御部11は、図3に示すように、ハンドピース識別判定部11aと、本体側通信制御部11bと、情報読込制御部11cと、滅菌処理判定部11dと、使用判定部11eと、駆動制御部11fと、本体側報知動作処理部11gと、滅菌処理回数算出部11hと、接続判定部11iと、接続報知動作制御部11jと、交換判定部11kとを備える。
ハンドピース識別判定部11aは、ハンドピース30を識別する識別情報Lと、後述するハンドピース情報記憶部12aに記憶するハンドピース情報Iとを照合し、接続ユニット40と接続するハンドピース30が医療用機器本体10で駆動可能かを判定処理する判定部である。
本体側通信制御部11bは、ハンドピース30と接続ユニット40との通信を制御する制御部である。具体的には、ハンドピース30から送信された識別情報Lや、ハンドピース30の使用に関する情報である使用検知情報Uなどの情報の受信を制御し、また、ハンドピース30に対してハンドピース識別判定部11aで判定した判定結果などの送信を制御する。
情報読込制御部11cは、後述する駆動制御情報記憶部12bからハンドピース30の駆動制御に関するパラメータなどの駆動条件の読み込むことを制御する。なお、駆動条件には各ハンドピース30に対応したトルクの回転限度数などの駆動条件が記録されている。
滅菌処理判定部11dは、後述する計時部55で測定した温度を記録した処理温度情報Hに基づいてハンドピース30の滅菌処理が行われているか否かの判定処理を行う判定部である。なお、滅菌処理判定部11dはハンドピース30に設けてあっても良い。
使用判定部11eは、ハンドピース30から受信した処理温度情報Hと使用検知情報Uに基づいてハンドピース30を施術に使用できるか否かの判定処理を行う判定部である。
駆動制御部11fは、情報読込制御部11cで読み込んだ駆動条件並びに、滅菌処理判定部11d、使用判定部11e、および交換判定部11kの判定結果に従って、ハンドピース30の動作を制御する制御部である。具体的には、チェアーユニット70が施術者の足によって操作されることによりハンドピース30に伝達される入力信号を、駆動制御条件に従って制御する。
なお、駆動制御部11fのうち、ハンドピース30の駆動規制制御に関しては、医療機器本体から送信された駆動信号を遮断するなどの構成としてハンドピース30に設けてあっても良い。
本体側報知動作処理部11gは、報知動作プログラムを読み込んで本体側報知装置16の報知動作を制御する制御部である。
滅菌処理回数算出部11hは、処理温度情報Hに記憶された温度情報と時間情報とに基づいてハンドピース30が行った滅菌処理の回数を算出する処理部である。具体的には、ハンドピース30を滅菌処理温度121℃、滅菌処理時間20分で滅菌処理した場合の滅菌処理回数を1回とし、滅菌処理温度を121℃、滅菌処理時間30分とした場合には、基準となる滅菌処理回数に例えば1.4倍乗算して滅菌処理回数を算出する。
接続判定部11iは、ハンドピース30のハンドピース側接続部34と接続ユニット40の先端に形成されるユニット側接続部43とが所定の距離まで接近したことや、ハンドピース30と接続ユニット40とが接続したこと、ハンドピース30と接続ユニット40との接続が解除されたことを判定処理する判定部である。具体的には、医療用機器本体10を起動することで、後述する接近検知センサー435から得られる情報を解析してハンドピース30と接続ユニット40との接近および接続・解除を判定処理する。
接続報知動作制御部11jは、接続判定部11iの判定結果を受けて、その判定結果に応じた所定の報知動作を制御する。
交換判定部11kは、滅菌処理回数算出部11hで算出された滅菌処理回数と、後述する交換基準情報記憶部12cに記憶する滅菌処理限度回数とを比較してハンドピース30を交換すべきか否かを判定処理する。
本体側記憶装置12は、HDDやSSDなどで構成されており、ハンドピース30の情報であるハンドピース情報Iを記憶するハンドピース情報記憶部12aと、ハンドピース30の駆動条件を記憶する駆動制御情報記憶部12bと、医療用機器本体10と接続可能なハンドピース30の滅菌処理できる限度回数である滅菌処理限度回数を記憶する交換基準情報記憶部12cと、各動作に基づき行われる報知動作の動作プログラムを記憶する報知設定記憶部12dと、ハンドピース30と接続ユニット40との接近などに基づいて行われる報知動作の動作プログラムを記憶する接近報知動作記憶部12eとを備えている。
操作パネル13は、図1に示すように、トレーテーブル16の正面側に設置された所定の操作入力を行う入力部であり、タッチスクリーンやポインティングスティック、あるいはスイッチ等で構成している。なお、マウスなどの適宜の入力デバイスを備えてもよい。
操作パネル13の正面側に設けられたホルダ14は、図1に示すように、歯科診療用インスツルメント20を配置するハンドピースホルダーである。
モニタ15は、図1に示すように、操作パネル13の背面側に備えた表示部であり、例えば、患者の性別や年齢、前回の治療日などのカルテ情報や、図示しないX線撮影装置により撮像し生成した施術の対象となる歯牙に関するX線画像、X線画像と口腔内カメラ(図示省略)で撮影した歯牙画像などを表示する。
トレーテーブル16は、外枠に比べて少し窪んだ平らな平面16aを上面内側に有するトレーテーブルであり、平面16aに接続ユニット40に接続する前のハンドピース30や切削回転工具5などの施術具、操作パネル13の構成として機能するマウスなどを置くことができる。
報知部および接近報知部に対応する本体側報知装置17は、本体側報知動作処理部11gや接続報知動作制御部11jの制御処理により、報知設定記憶部12dに記憶する報知プログラムに基づく所定の報知動作を行う報知装置である。
具体的には、LEDランプを点灯または点滅させることにより視覚的に報知するホルダ光出力部17aが各種のハンドピース毎にホルダ14の適所にそれぞれ設けられ、またブザーや音声などの音を出力する出力部である本体側音声出力部17bおよび判定結果を表示する本体側報知モニタ17cが、モニタ15を正面からみて操作パネル13の左側に設置されている。
また、歯科診療用インスツルメント20は、図2(a)に示すように、チェアーユニット70と接続チューブ42を介して接続されている接続ユニット40と、医療用施術具に対応するハンドピース30とを着脱自在に連結して構成している。なお、接続ユニット40と接続するハンドピース30の接続部分であるハンドピース側接続部34にはRFIDタグ50が、ハンドピース30と接続する接続ユニット40の接続部分であるユニット側接続部43には、RFIDリーダライタ60がそれぞれ設けられている。
なお、RFIDリーダライタ60は、接続ユニット40の接続部分であるユニット側接続部43に設けずに、医療機器本体10の操作パネル13やホルダ14等の医療機器本体10の適所に設けても良い。
なお、本実施例は、マイクロモータハンドピースの例であるので、ハンドピース30をモータユニットに接続しているが、エアータービンハンドピースや他のハンドピースでは、他の接続用接手が使用されることは言うまでも無い。モータユニットや他の接続用接手を総称して接続ユニット40という。また本実施例では、マイクロモータハンドピースを基にして説明するが、ハンドピース30は各種ある。さらにまた、各種のハンドピース30を接続ユニット40に接続したものを総称してインスツルメントと表現する。
医療用施術具に対応するハンドピース30は、図2(a)に示すように、先端に向けて細径となる把持部31と、把持部31の先端に位置する切削工具5を把持するヘッド部32とで構成されており、手指によって把持される把持部31の後端側周面にはハンドピース側報知部33が設けられている。
報知部および接近報知部に対応するハンドピース側報知部33は、所定の動作に基づいて実行される報知動作により報知する報知部であり、光出力部に対応するLEDランプを点灯や点滅することにより報知する構成である。
なお、本実施例において、ハンドピース側報知部33を点灯させることにより報知する構成としているが、必ずしもこの構成に限るものではなく、例えば音や振動により報知する構成でもよく、またこれらの組み合わせであってもよい。
ハンドピース30の後端部分には、図2(a)に示すように、接続ユニット40との接続状態において、接続ユニット40の先端部分と接続するハンドピース側接続部34が備えられるとともに、後述するユニット側挿入部432の挿入が可能な円柱状の空間を形成する凹部34aが内部に形成されている。
凹部34aの中心部分にはハンドピース30と接続ユニット40とを接続した接続状態において接続ユニット40と連結する出力軸41と接続する第一駆動伝達軸311が設けられている。
第一駆動伝達軸311は、接続ユニット40の内部に設けられたマイクロモータ(図示省略)の回転に伴って回転する出力軸41と接続することにより軸回転可能に構成されており、第一駆動伝達軸311は複数のギア(図示省略)を介してマイクロモータの回転をヘッド部32に伝達することができる。これにより、ヘッド部32の先端に把持された切削工具5を回転させることができる。
施術具側接続部に対応するハンドピース側接続部34は、図2(a)に示すように、ハンドピース30の後端側に形成されるハンドピース接続面341と、凹部34aの内周面を形成するハンドピース内壁342と、ハンドピース30の外周面を形成するハンドピース外壁343と、ハンドピース接続面341から後方に突出する位置決め凸部344とで構成する。
ハンドピース内壁342は、図2(b)に示すように、把持部31の内部に円柱状の空間を形成する凹部34aの内周面を構成し、所定の径を有する断面円形である。
ハンドピース外壁343は、ハンドピース内壁342の内径よりも大きな径を形成し、ハンドピース30の後端部分に形成する円筒形の外周面である。
位置決め凸部344は、第一駆動伝達軸311から長手方向後方に突出した略直方体形状に形成された突出部である。
また、ハンドピース30には、接続ユニット40のユニット側挿入部432が挿入される中心側のハンドピース内壁342と、ハンドピース内壁342を囲む円筒形のハンドピース外壁343の間であって、ハンドピース30における凸部344の近傍部分には、非接触で情報の通信が可能なアクティブ型のRFIDタグ50が設けられている。なお、ハンドピース内壁342とハンドピース外壁343の間にハンドピース30の長手方向に沿って前後に円柱状体が移動する突出機構35を設けることもできる。
接続障害部に対応する突出機構35は、報知動作部として機能する突出機構であり、ハンドピース30が滅菌処理された状態において、ハンドピース側接続部34の内部に収納されている。また、滅菌処理判定部11dおよび使用判定部11eによる判定処理の結果、ハンドピース30が滅菌未処理と判定された場合に、後述する突出部制御部51hの制御により後方に突出する円柱状の棒状体である。
識別体に対応するRFIDタグ50は、図4に示すように、所定のプログラムを読み込みハンドピース30の動作を制御するRFID制御部51と、所定の情報を記憶するRFID記憶部52と、接続ユニット40との通信を担う通信アンテナ53と、耐熱性の充電型電池である電池54と、日にちおよび時刻をカウントする時計である計時部55と、ハンドピース30の外側の温度を測定する温度計測部56とで構成する。
RFID制御部51は、CPUとROMとRAMで構成されており、温度読取部51aと、時間読取部51bと、読込制御部51cと、通信制御部51dと、情報更新制御部51eと、HP報知動作制御部51fと、施術検知部51gとで構成する。なお、突出機構35を設けている場合には、突出部制御部51hをRFID制御部51の構成として含む。
温度読取部51aは、温度計測部56で計測するハンドピース30の外側の温度の読み取り制御を行う制御部である。
時間読取部51bは、所定の状況となった場合に、計時部55で計測する時刻(日にちおよび時刻)の読み取り制御を行う制御部である。詳述すると、時間読取部51bは、ハンドピース30の駆動開始および駆動終了を検知した場合、ハンドピース30と接続ユニット40との接続および接続解除された場合、あるいは温度読取部51aで計測する温度が所定の温度(40℃、105℃、121℃、130℃)となった場合などに時刻の読取制御を行う。
読込制御部51cは、所定の読込命令に基づいてRFID記憶部52に記憶する情報を読み込むとともに、読み込んだ情報を医療用機器本体10に送信する送信信号を通信制御部51dに送ることを制御する。
通信制御部51dは、本体側通信制御部11bと同様に、ハンドピース30と接続ユニット40との通信を制御する制御部である。具体的には、接続ユニット40から送信された読み込み命令などを受信するとともに、識別情報Lや使用検知情報Uなどを接続ユニット40に送信する送信処理を制御する。
情報更新制御部51eは、温度読取部51aで読み込まれた温度情報や時間読取部51bにより読み込まれた時間情報を処理温度情報Hや使用検知情報Uへ書き込み、情報の更新処理を制御する制御部である。
HP側報知動作制御部51fは、使用判定部11eの判定結果を受信することにより、その受信結果に基づいて所定の報知動作の制御を行う。
施術検知部51gは、チェアーユニット70の操作に基づいてハンドピース30が使用されていることを検知するとともに、ハンドピース30の使用時間の読取命令を通信制御部51dに送信する制御を行う制御部である。
突出部制御部51hは、RFID制御部51を構成する制御部であり、滅菌処理判定部11dおよび使用判定部11eの判定結果を受信することにより、突出機構35を接続ユニット40側に突出させる突出動作もしくは突出した突出機構35の収納動作を制御する制御部である。
なお、この突出機構については、本出願人の出願にかかる特願2015-155925に詳細を記載するので省略する。
情報記憶部に対応するRFID記憶部52は、図6に示すように、RFIDタグ50を備えるハンドピース30に関する情報を記憶する記憶部であり、ハンドピース30を特定する識別情報Lを記憶する識別情報記憶部52aと、温度読取部51aで読み込んだ温度情報と温度情報に対応する時間情報とを含む処理温度情報Hを記憶する処理温度情報記憶部52bと、ハンドピース30の使用を検知した使用に関する情報とこの情報に対応する時間情報とを含む使用検知情報Uを記憶する使用検知情報記憶部52cと、滅菌処理回数算出部11hで算出した滅菌処理回数を記憶する滅菌処理回数記憶部52dとで構成されている。
ここで、図5に基づいて、使用検知情報Uと処理温度情報Hとについて簡単に説明する。
使用検知情報Uは、ハンドピース30の使用の開始および使用の終了に対して、その日時を記録した情報であり、図5(a)に示すように、時間項目と動作項目とが対応して並んでいる。詳述すると、時間項目は、年月日の欄と時刻の欄とで構成されており、時系列に沿って縦に羅列されている。時間項目の横にはそれぞれの時間に対応する動作の内容が記載されており、その内容としては「駆動開始」および「駆動終了」、「接続」、「接続解除」のいずれかが記載されている。
処理温度情報Hは、所定の温度となった場合の時間とその温度を羅列した情報であり、図5(b)に示すように、時間項目と温度項目とが対応して並んでいる。時間項目は年月日の欄と時刻の欄から構成され、時系列に沿って縦に羅列されており、その横には時間に対する温度が記載されている。
詳述すると、処理温度情報Hは、所定の温度(40℃、105℃、121℃、130℃)となった時刻が時間項目として縦方向に配列されており、その横には対応した温度が羅列されている。
なお、本実施例において、時間読取部51bは所定の温度となった場合に時間の読取制御を行う構成であるが、常に時間の読取を行う構成とすることで、時間と温度を常にもしくは定期的に読み取って羅列する構成としてもよい。
通信アンテナ53は、通信制御部53bの通信処理に基づいてRFIDリーダライタ60との間で相対的近接度が数メートルから数センチメートルの範囲で送受信する通信部である。
電池54は、RFIDタグ50およびハンドピース30に設けたハンドピース側報知部33に電力を供給する充電型電池であり、ハンドピース30をオートクレーブにかけた場合であっても、電力を供給可能な耐熱性を有する。なお、電池54は、ハンドピース30と接続ユニット40とを接続することにより、充電可能な構成である。
接続ユニット40は、図2に示すように、ハンドピース30の後端と接続することで一体として歯科診療用インスツルメント20を形成する接続体であり、その内部には、ハンドピース30の先端部分に着脱自在に装着される切削回転工具5を回転駆動させるためのマイクロモータ(図示省略)と、マイクロモータの先端側に連結して先端に回転を伝達する出力軸41とを内蔵している。また、ハンドピース30との接続状態において出力軸41が第一駆動伝達軸311と接続してマイクロモータの回転駆動力を第一駆動伝達軸311に伝えることができる構成となっている。
また、接続ユニット40の後端には、接続ユニット40に内蔵されるマイクロモータへの駆動電源供給用リード線やハンドピース30の先端に備えた患部照射用光源の導光路と連接する照射電力供給用リード線などを内装する接続チューブ42が連結されている。なお、接続チューブ42の後端は医療用機器本体10と接続しており、接続ユニット40の駆動は駆動電源供給用リード線を介して駆動制御部11fで制御されている。
接続ユニット40の先端部分には、図3に示すように、ハンドピース30との接続状態において、ハンドピース側接続部34と接続するユニット側接続部43を備える。
本体側接続部に対応するユニット側接続部43は、ハンドピース30との接続面であるユニット接続面431と、ユニット接続端面431の中心部分から先端方向に向かって突出する筒状のユニット側挿入部432と、接続ユニット40の外周面を形成するユニット外壁433と、接続状態において位置決め凸部344と対向する位置に配置する位置決め凹部434と、ハンドピース30の接近を検知するために用いる接近検知センサー435とで構成する。
ユニット側挿入部432は、図2(a)に示すように、把持部31に設けられた凹部34aの深さと同じ長さ先端方向に突出する円筒状の筒状体であり、断面視で内径が第一駆動伝達軸311よりも一回り以上大きな円形を形成するとともに、外径がハンドピース内壁342よりも一回り小さな円形を形成している。また、ユニット側挿入部432に形成された内部空間中心部分には、ハンドピース30との接続状態において第一駆動伝達軸311と接続する出力軸41が配置されている。
ユニット外壁433は、接続ユニット40の先端側に形成される外周面であり、その径はハンドピース外壁343と略同径である。すなわち、ハンドピース30と接続ユニット40との接続状態において、ハンドピース30の後端表面と接続ユニット40の先端表面とが面一に形成される。
位置決め凹部434は、図2(c)に示すように、ユニット接続端面431の上方に形成された位置決め凸部344と嵌合可能な嵌合穴である。
接近検知センサー435は、ユニット接続端面431を正面視した場合において(図2(c)参照)、ユニット接続端面431であって位置決め凹部434と対向する位置に設けられた接近検知センサーであり、発光素子から赤外線を照射しその反射光を受光素子で受けることにより、ハンドピース30の接続面であるハンドピース接続面341の接近や接続、接続の解除を検知することができる。
なお、上記接近検知センサー435の代わりに上記RFIDタグ50とRFIDリーダライタ60との間の通信信号の強弱を利用してハンドピース30の接近を検出しても良い。
上述のユニット接続端面431は、位置決め凸部344と対向する位置に配置して、ハンドピース側接続部34とユニット側接続部43とを接続するように移動させることにより、位置決め凸部344を嵌合する。これにより、ハンドピース30と接続ユニット40との径方向の位置決めをすることができる。
また、ユニット側挿入部432とユニット外壁433との間であって、接続状態においてRFIDタグ50と対向する位置にRFIDリーダライタ60を設けている。
読取部に対応するRFIDリーダライタ60は、図4に示すように、RFIDタグ50との間で情報の送受信を行うRW通信アンテナ61を備えている。
RW通信アンテナ61は、RFIDタグ50を構成する通信アンテナ53との間で送受信可能な通信用アンテナである。
なお、本実施例において、RW通信アンテナ61と通信アンテナ53との通信形態は、両アンテナ間を電波で通信する電波方式とする。この場合に、必要に応じて変調器、複調器を介しても良い。
また、RW通信アンテナ61と通信アンテナ53との通信形態はこの形態に限るものではなく、例えば、両アンテナ間にコイルを設けて両コイル間に高周波を印加させることで、相互誘導で通信する電磁結合方式や電磁誘導方式としてもよい。
チェアーユニット70は、図1に示すように、背面シートの傾動や座面の昇降が可能な診療椅子71と、唾液や冷却水等の吸引装置やうがいを行うための装置が装備されているベースンユニット72と、口腔内の唾液などのバキームシリンジ等を配置するアシスタントホルダ73と、診療椅子71に接続されたフートコントローラ74で構成されている。フートコントローラ74は、施術者の足によって操作され、踏み込みおよび踏み込み量を検出できるペダル74aを備えている。
次に、図6乃至図11に示すフローチャートに基づいて、このような構成を有する医療用診療装置1を用いて施術者が患者の施術を行う場合の医療用診療装置1の動作について説明する。
初めに、図6に基づいて、医療用診療装置1を用いた施術の全体工程について説明する。
医療用診療装置1を用いた施術は、図6に示すように、歯科診療用インスツルメント20を用いて施術する施術工程(ステップs1)と、オートクレーブを用いたハンドピース30の滅菌処理を行う滅菌処理工程(ステップs2)と、滅菌処理されたハンドピース30を用いて他の患者を施術するかを判断する工程(ステップs3)とからなる。施術後に他の患者を施術する場合には(ステップs3:Yes)、施術工程(ステップs1)と滅菌処理工程(ステップs2)とを繰り返し行う。一方で、他の患者を施術しない場合には(ステップs3:No)、施術を終了する。
患者を施術する施術工程(ステップs1)は、接続チューブ42を介して医療用機器本体10と接続された接続ユニット40とハンドピース30とを接続する接続判定工程(ステップs1A)と、接続ユニット40とハンドピース30とを接続した歯科診療用インスツルメント20を用いて患者の施術を行う施術工程(ステップs1B)からなる。
この接続判定工程(ステップs1A)と施術工程(ステップs1B)での医療用診療装置1の動作について以下、図7乃至図10に基づいて説明する。
接続判定工程(ステップs1A)において、施術者はハンドピース30と接続ユニット40とを接続するために、ユニット側接続部43に向けてハンドピース側接続部34を接近させる。これによりハンドピース30の識別情報L、使用検知情報U、および処理温度情報Hが接続ユニット40に受信される(ステップt1)。
詳述すると、ハンドピース30に設けられたRFIDタグ50からの信号を接続ユニット40に設けたRFIDリーダライタ60が受信することにより、RFIDリーダライタ60からRFIDタグ50に向けて識別信号などの送信命令が発せられる。この送信命令を受けて、読込制御部51cが識別情報記憶部52aに記憶する識別情報Lと処理温度情報記憶部52bに記憶する処理温度情報Hと使用検知情報記憶部52cに記憶する使用検知情報Uとの読込制御を行う(ステップt1)。そして、通信制御部51dの制御により通信アンテナ53からRW通信アンテナ61に向けて識別情報L、処理温度情報H、および使用検知情報Uが送信される(ステップt2A)。
RW通信アンテナ61によって受信された識別情報L、処理温度情報H、および使用検知情報Uは(ステップt2B)、接続チューブ42に内装する情報伝送線を介して医療用機器本体10に送信される。この識別情報Lの受信を受けて、ハンドピース30が医療用機器本体10で駆動可能かを判定処理される(ステップt3)。
ここで、ハンドピース30が医療用機器本体10で駆動可能かを判定処理される工程(ステップt3)について、図9および図10に基づいて、簡単に説明する。
ハンドピース30から送信された識別情報Lを接続ユニット40が受信することで(ステップt2)、ハンドピース情報記憶部12aに記憶するハンドピース情報Iを情報読込制御部11cの制御により読み込む。そして、ハンドピース識別判定部11aにより識別情報Lとハンドピース情報Iとを比較し、ハンドピース30が医療用機器本体10で駆動可能かを判定処理される(ステップu1)。
ハンドピース識別判定部11aの判定の結果、ハンドピース30を医療用機器本体10で駆動可能と判定された場合には(ステップu1:Yes)、情報読込制御部11cの制御により駆動制御情報記憶部12bに記憶する駆動情報が読みこまれるとともに(ステップu2)、本体側通信制御部11bの制御によりハンドピース識別判定部11aで判定処理された判定結果がハンドピース30に送信される(ステップu3A)。
ハンドピース識別判定部11aで判定処理された判定結果を受信することにより(ステップu3B)、HP報知動作制御部51fが判定結果に基づいてハンドピース側報知部33を青色に点灯させて(ステップu4)接続判定工程を終了する。これにより、ハンドピース30と接続ユニット40とを接続することなく、施術者はハンドピース30が医療用機器本体10と接続して駆動制御できることを知ることができる。
一方で、ハンドピース識別判定部11aの判定処理により、ハンドピース30を医療用機器本体10で駆動不可能と判定された場合には(ステップu1:No)、RW通信アンテナ61を介してハンドピース識別判定部11aの判定結果が通信アンテナ53に送信される(ステップu5A)。そして、通信アンテナ53による判定結果の受信されたことに基づいて(ステップu5B)、HP報知動作制御部51fの制御により、ハンドピース側報知部33がオレンジ色に点灯する(ステップu6)。
これにより施術者は、ハンドピース30と接続ユニット40とを接続することなく、ハンドピース30を医療用機器本体10で駆動制御できないことが分かる。したがって、ハンドピース30と接続ユニット40との接続動作を止めることができ、もしくは、施術者はハンドピース30の駆動条件を例えばネットワーク上から呼び出すことにより、ハンドピース30を医療用機器本体10と接続させて駆動制御できる。
次に、施術工程(ステップs1B)における医療用診療装置1の動作について、図7乃至図8に基づいて説明する。
上述のように、RW通信アンテナ61で受信した処理温度情報Hおよび使用検知情報Uは(ステップt2B)、接続チューブ42に内装する情報伝送線を介して処理装置制御部11に送信され、滅菌処理判定部11dの制御による滅菌処理済か滅菌未処理かの判定処理と使用判定部11eに制御によるハンドピース30の使用可否の判定処理とにより、ハンドピース30の使用の可否の判定処理が行われる(ステップt4)。
詳述すると、ハンドピース30の使用可否の判定は、使用判定部11eの制御により、使用検知情報Uに記憶する直前の使用の終了時間(もしくは接続解除した時間)と処理温度情報Hに記憶する滅菌処理を完了した時間とを比較判定して、ハンドピース30の使用後に滅菌処理が行われたかを判定する工程と、滅菌処理判定部11dの制御により、処理温度情報Hに記憶する処理温度情報と滅菌処理時間情報からハンドピース30の滅菌処理が確実に行われたかの判定する工程からなる。
具体的には、図4に示すように、使用検知情報Uに記憶された使用終了時刻(2015年1月10日14時52分)が処理温度情報Hに記憶された滅菌終了時間(2015年1月10日16時52分)よりも早いため、使用判定部11eの制御によりハンドピース30は使用後に滅菌処理を行ったと判定される。
次に、滅菌処理判定部11dの制御により、最後に行った滅菌処理の開始時間および滅菌処理の終了時間並びに滅菌処理温度を読取ることで、オートクレーブによる滅菌処理が所定の温度および時間で行われているかを判定する。
本実施例の場合、所定の滅菌処理条件である滅菌処理温度121℃、20分(図4参照)で滅菌処理をしているため、確実に滅菌処理がされたものと判定される。この判定結果に伴って、本体側報知動作処理部11gの制御により報知設定記憶部12dに記憶する報知プログラムを読み込み、本体側報知モニタ17cおよびモニタ15に『ハンドピースの使用可』と表示される。また、ハンドピース30に送信された判定結果に基づくHP報知動作制御部51fの制御により、ハンドピース側報知部33が緑色に点灯する。これにより、ハンドピース30が滅菌処理済であることを施術者は認識できる。したがって、施術者はハンドピース30を施術に使用できる。
なお、本実施例において、ハンドピース30の使用の判定にあたり、使用後のハンドピース30に滅菌処理が行われたか否かの判定と、滅菌処理の判定とをこの順で行ったが、必ずしもこの順番である必要はなく、滅菌処理の判定から先に行ってもよい。
また、滅菌処理の判定により滅菌未処理と判定した場合は、滅菌処理の判定のみを行う。
滅菌処理判定部11dおよび使用判定部11eの判定処理の結果、ハンドピース30が滅菌済みであり使用できると判定された場合(ステップt4:Yes)、施術者はハンドピース30と接続ユニット40とを接続できる。
施術者がハンドピース30と接続ユニット40とを接続させることにより、接続ユニット40に備えた接近検知センサー435から得られる情報を基に接続判定部11iとハンドピース識別判定部11aの制御によりハンドピース30と接続ユニット40との接続を検出する(ステップt5)。
ハンドピース30と接続ユニット40とが接続された状態で、施術者がチェアーユニット70のペダル74aを踏み込むことで、駆動制御部11fの制御により情報読込制御部11cで読み込んだ駆動条件に従ってハンドピース30の先端に取り付けた切削工具5が回転するため、施術者は患者に対して所望の施術を行うことができる(ステップt6)。
そして、この使用を検知してハンドピース30に記憶された使用検知情報Uの情報を更新する(ステップt7)。
詳述すると、施術検知部51gの制御により、ペダル74aの踏み込み動作よる駆動制御部11fの制御信号を受け取って、ハンドピース30の駆動を検知する。この駆動の検知に伴って、時間読取部51bおよび情報更新制御部51eの制御によりその駆動時間を計時部55から読み取り、使用検知情報Uを逐次更新する。なお、この使用検知情報Uへの記録は施術中更新される(ステップt8:No)。
施術者がフートコントローラ70を用いた操作を終了して患者の施術を終了することにより(ステップt8:Yes)ハンドピース30の駆動が停止され使用検知情報Uに施術の終了時刻が記録されることとなる。
一方で、使用後にハンドピース30の滅菌処理がされていない又は滅菌処理後に使用されたなどにより、ハンドピース30は施術に使用できないと判定された場合、もしくは滅菌処理が十分になされていないと判定された場合(ステップt4:No)、駆動制御部11fの制御により、ハンドピース30の駆動信号が電気的に遮断される(ステップt9)。
また、本体側報知動作処理部11gの制御により、ホルダ光出力部17aが赤色に点灯されるとともに、本体側音声出力部17bからブザーを発する。さらには、本体側報知モニタ17cまたはモニタ15にハンドピース30が使用できない旨の情報が表示される。
さらに、RW通信アンテナ61を介して滅菌処理判定部11dおよび使用判定部11eの判定結果が通信アンテナ53に送信される(ステップt10A)。この判定結果を受信したHP報知動作制御部51fの制御により、ハンドピース側報知部33が赤色に点灯する(ステップt11)。これにより、施術者はハンドピース30が前回の使用後に滅菌処理がされていないことを把握することができ、患者に滅菌未処理のハンドピース30の使用を確実に予防することができる。
なお、接続判定部11iの制御によるハンドピース30と接続ユニット40との接続解除の検出により、駆動制御部11fの制御によるハンドピース30の駆動信号の遮断を解除することができる。
このように、RFIDタグ50とRFIDリーダライタ60とを用いることにより、非接触でハンドピース30が医療用機器本体10に駆動可能かを検知することができるとともに、非接触でハンドピース30の使用の可否を判定することができるため、施術者は滅菌未処理であるハンドピース30の使用を予防できる。
また例えば、ハンドピース側接続部34に、滅菌未処理と判定された場合においてハンドピース30の長手方向に沿って前後に円柱状体が移動する突出機構35を設けた構成である場合(図2参照)には、ハンドピース30と接続ユニット40との接続を確実に防止することができる。
詳述すると、滅菌処理判定部11dおよび使用判定部11eの判定処理により、ハンドピース30を施術に使用できない旨の判定がされた場合(ステップt3:No)、通信アンテナ53による当該判定結果の受信に基づいて、突出部制御部51hが、突出機構35を後方側に突出させる制御を行う(ステップt12)。これにより、ハンドピース側接続部34とユニット側接続部43とを接続させようとした場合に、突出機構35により接続を妨害することができ、ハンドピース30と接続ユニット40との接続を規制できる。
この駆動制御部11fによる駆動制御や突出機構35の突出によるハンドピース30の使用規制は、ハンドピース30をオートクレーブで滅菌処理することにより解除することができる。以下、図11および図12に基づいて、ハンドピース30のオートクレーブによる滅菌処理について説明する。
ハンドピース30は接続ユニット40から取り外し可能な構成であるとともに、ハンドピース30に備えたRFIDタグ50は耐熱性の電池を備えていることから、ハンドピース30を単独でオートクレーブにかけることができる。
なお、本実施例において、ハンドピース30が滅菌処理されたと判断できる滅菌処理条件を「処理温度121℃、処理時間20分」とする。
以下、ハンドピース30をオートクレーブにかけた場合におけるハンドピース30の動作について、図12のフローチャートに基づいて説明する。
ハンドピース30は、温度読取部51aの制御により温度計測部56で測定するハンドピース30の外側の温度の読み取りを行っている(ステップr0)。このハンドピース30をオートクレーブにかけ、外側の温度が40℃となったときに(ステップr1:Yes)、時間読取部51bの制御によりその時間T1を読取り(ステップr2)、情報更新制御部51eの制御により処理温度情報Hに記録する(ステップr3)。
なお、外側の温度が40度未満である場合には(ステップr1:No)、温度読取部51aの制御による温度の測定を繰り返す。
同様に、温度読取部51aの制御により温度計測部56で測定するハンドピース30の外側の温度の読み取りを行い121℃となったときに(ステップr4:Yes)、時間読取部51bの制御によりその時間T2を読取り(ステップr5)、情報更新制御部51eの制御により処理温度情報Hに記録する(ステップr6)。
そしてさらに外側の温度が121℃から下がったときを読取るとともに(ステップr7:Yes)その時間T3を読取り(ステップr8)記録する(ステップr9)。
最後に、温度計測部56による温度が40℃を切ったときに(ステップr10:Yes)、その時間T4を時間読取部51bの制御により読取り(ステップr11)処理温度情報Hに記録して(ステップr12)終了する。
このように処理温度情報Hに記録された温度および時間は、図12に示すようなグラフを描くことができる。すなわち時間T1から時間T2まで温度が上昇し、また時間T2から時間T3までの温度が一定となり、時間T3から時間T4の間で温度が下がることとなる。このとき時間T2と時間T3との間が20分となる。
逆にいうと、計時部55と温度計測部56とをRFIDタグ50(もしくはハンドピース30)に備えることにより、ハンドピース30の滅菌処理時間および温度を測定することができるため、例えば、処理温度に対する処理時間が足りない場合を把握することができる。したがって、本実施例において、滅菌処理判定部11dの制御により判定したように、処理温度情報Hに基づいてハンドピース30が滅菌処理されたかを確実に判定することができる。
さらに、処理装置制御部11に接続判定部11iを備えることにより、処理温度情報Hに基づいて接続されたハンドピース30の滅菌処理回数を算出することができる。
詳述すると、ハンドピース30は精密機械であるため、所定の条件のオートクレーブに耐久できる回数が限られている。
なお、本実施例において、ハンドピース30のオートクレーブにかけることができる滅菌処理限度回数が、交換基準情報記憶部12cに記憶されている。
上述のように、ハンドピース30と接続ユニット40とを接続する際に、読込制御部51cの制御により読み込まれた処理温度情報Hと使用検知情報Uとが、通信制御部51dの制御により接続ユニット40に備えたRW通信アンテナ61を介して通信アンテナ53に受信される(ステップt2)。このとき、接続判定部11iの制御により、処理温度情報Hに記録されている最高温度で処理時間である滅菌処理時間(T2とT3との時間間隔)および最高温度が読み込まれ、滅菌処理時間および最高温度に基づいて滅菌処理回数とその積算値を算出し、滅菌処理回数情報Cとして滅菌処理回数記憶部に記憶する(図13(a)参照)。
ここで、本実施例においては、図13に示すように、滅菌処理温度120℃、滅菌処理時間20分の場合の滅菌回数を1回とし、これに対応して、滅菌処理温度130℃、滅菌処理時間30分のときの滅菌回数は例えば1.4回と、滅菌処理温度130℃、滅菌処理時間20分のときの滅菌回数は例えば1.7回と設定している。
次に、交換判定部11kの制御により、交換基準情報記憶部12cに記憶する滅菌処理限度回数と滅菌処理積算回数とを比較判定して、ハンドピース30を交換すべきか否かの判定処理を行う。その結果、ハンドピース30を交換する必要があると判定された場合には、駆動制御部11fの制御により、ハンドピース30の駆動信号が電気的に遮断するとともに、本体側報知動作処理部11gの制御により、ホルダ光出力部17aが黄色に点滅されるとともに、本体側音声出力部17bから警告音を発する。さらには、本体側報知モニタ17cまたはモニタ15にハンドピース30を交換するべき旨の情報が表示される。
これにより、施術者はハンドピース30の滅菌処理回数が滅菌処理限度回数を超えたことを認識することができる。また、ハンドピース30の使用後に滅菌処理されていない場合と異なる警告とすることにより、つまりホルダ光出力部17aの点灯パターンおよび本体側音声出力部17bから警告音パターンを変更することにより、ハンドピース30が滅菌未処理でなくハンドピース30を交換する必要があることを認識することができる。
さらに、例えば、滅菌処理回数を図13(b)に示すようなグラフとしてモニタ15に表示することにより、ハンドピース30の交換時期を事前に把握することができるため、安全を見越して事前に交換することや、ハンドピース30のストックを予め補充することなどができる。これにより、施術者の好みに合わせた安全な施術を行うことができ、またハンドピース30の購入時期なども管理できるため経営面でも施術者の助けとなる。
さらには、操作パネル13の操作により、施術者がハンドピース30の滅菌処理限度回数を変更できる構成とすることや、複数段階で警告するように設定できる構成とすることで、より施術者の好みを反映した医療用診療装置1とすることができ、施術者にとって快適な施術環境を提供することができる。
このような構成を有する医療用診療装置1は、加熱処理による滅菌処理が行われるハンドピース30と、ハンドピース30を着脱自在に接続する医療用機器本体10とで構成され、ハンドピース30に、個別の識別情報Lを記憶する識別情報記憶部52aと、少なくとも加熱処理の処理温度を測定する温度計測部56とが備えられ、医療用機器本体10に、識別情報を読み込んでハンドピース30を識別するハンドピース識別判定部11aが備えられ、医療用機器本体10に、ハンドピース30の使用を検知する施術検知部51gと、温度計測部56で測定した処理温度に関する処理温度情報Hに基づく滅菌処理情報および、施術検知部51gの検知結果に基づく使用検知情報Uに基づいて、ハンドピース30の使用の可否を判定する使用判定部11eと、使用判定部11eの判定結果に基づいて所定の動作を行う本体側報知装置17およびハンドピース側報知部33とが備えられたことを特徴とすることにより、ハンドピース30が滅菌処理済か滅菌未処理かを確実に判定できるとともに、滅菌未処理のハンドピース30の使用を防止できる。
詳述すると、施術検知部51gを備えていることにより、ハンドピース30が使用されたことを把握できるうえに、処理温度情報Hと使用検知情報Uとに基づいて次の患者に対してハンドピース30の使用の可否を判定するとともに、判定結果に基づいてホルダ光出力部17aによる光の点灯や、本体側音声出力部17bによる音を発すること、モニタ15または本体側報知モニタ17cに判定結果を表示するなどの報知、ハンドピース30の駆動に係る電気信号を遮断するなどといった所定動作を行うことができる。このような所定動作により、施術者が滅菌未処理のハンドピース30を誤って次の患者に再使用することを予防できる。
また、ハンドピース30に温度計測部56が備えられていることにより、ハンドピース30は滅菌処理の処理温度を測定して、その測定結果に基づいてハンドピース30の滅菌処理が行われたか否かを判定することができる。すなわち、ハンドピース30を医療用機器本体10から取り外してオートクレーブによる高温処理の滅菌処理を行った場合でも、処理温度情報Hに温度情報などを記録できるため、処理温度情報Hを読み込むことでハンドピース30が滅菌処理されたか否かを判定することができる。
これにより、ハンドピース30が滅菌処理済である旨の情報を手入力などすることなく、ハンドピース30が滅菌処理されたか否かを判定することができる。
また、時間を測定する計時部55から時間の読取制御を行う時間読取部51bが備えられ、使用検知情報Uに、ハンドピース30の使用を検知した情報と、少なくとも時間読取部51bで読み込まれたハンドピース30の使用を終了した終了時間情報とが含まれており、処理温度情報Hに基づく滅菌処理情報には、時間読取部51bで読み込まれた処理温度に対応する滅菌処理時間が含まれたことにより、ハンドピース30を使用した時期と滅菌処理を行った時期の前後関係に基づいて、ハンドピース30の使用の可否を判定することができる。
詳述すると、計時部55および時間読取部51bを備えることにより、滅菌処理時間に基づく滅菌処理時間情報を含む処理温度情報Hからハンドピース30が滅菌処理済か滅菌未処理かを判定できるとともに、終了時間情報を含む使用検知情報Uと滅菌処理時間を含む滅菌処理情報とを比較判定することができ、ハンドピース30の使用時期と滅菌時期との先後を正確に判定できる。
つまり、使用後に滅菌処理がされていないハンドピース30が医療用機器本体10に接続されるか、接続されようとしていることにより本体側報知装置17やハンドピース側報知部33による報知が行われる場合の他、ハンドピース30が滅菌処理済であっても、その後の使用により滅菌未処理となることを本体側報知装置17およびハンドピース側報知部33による報知動作でより確実に判定することができる。したがって、施術者が滅菌未処理のハンドピース30を使用することをより確実に予防できる。
また、時間読取部51bおよび計時部55、使用判定部11e、接続判定部11iを備えることにより、ハンドピース30と医療用機器本体10とが接続または離脱した時間を検出することができる。これにより、ハンドピース30の使用後に滅菌処理を行っているが、つまり、滅菌処理済と判定され使用可能と判定されているが、滅菌処理した時から時間が経過し過ぎているので再度滅菌処理が必要である場合なども判定してハンドピース30の再使用を防止することができる。
また、滅菌処理時間は、時間読取部51bで読み込んだ最高温度における滅菌処理の開始時間と、滅菌処理の終了時間との間隔とすることにより、滅菌処理の開始時間と、滅菌処理の終了時間に基づいて、滅菌処理が確実にされているか否かを滅菌処理判定部11dの制御により判定することができる。すなわち、滅菌処理が所望の処理温度で必要な時間かけて行われたかを判定できるため、滅菌処理が十分に行われたか否かをより正確に判定できる。したがって、施術者は確実に滅菌処理が行われたハンドピース30を用いて、安全に施術をすることができる。
また、少なくとも処理温度または滅菌処理時間に基づいて滅菌処理を行った滅菌処理回数を算出する滅菌処理回数算出部11hと、滅菌処理回数に基づいてハンドピース30の交換の要否を判定する交換判定部11kとが備えられ、本体側報知装置17およびハンドピース側報知部33は、交換判定部11kの判定結果に基づいて所定の動作を行う構成としたことにより、ハンドピース30が滅菌処理済であっても、施術者は施術前にハンドピース30が交換すべきであることを認識でき、使用可能なハンドピース30に交換することができる。これにより、施術中にハンドピース30の交換をすることなくスムーズに施術を行うことができるとともに、患者に余計なプレッシャーを与えることを防止できる。
また、オートクレーブの処理温度や時間をハンドピース30に応じて最適に設定できる場合には、処理条件に応じて耐久性の判断基準が変わることとなるが、滅菌処理回数算出部11hを備えることにより、各滅菌処理の条件に応じて、基準滅菌処理回数を基準とした滅菌処理回数に換算できるため、滅菌条件が異なっている場合であっても、ハンドピース30が滅菌処理された回数を算出することができる。これにより、例えば、交換基準情報記憶部12cに予め保存したハンドピース30の滅菌処理の限度回数と積算滅菌処理回数とを比較判定して、ハンドピース30の交換の要否を報知でき、施術者はハンドピース30の交換の要否を把握することができる。
このように、様々な滅菌処理回数の条件で滅菌処理しても所定の規格にも基づいてハンドピース30の交換時期を判定することができるため、例えば、ハンドピース30を、業者が推奨する滅菌処理条件よりも長い時間かけて滅菌処理した場合などであっても、施術者はハンドピース30の交換時期を把握することができ、施術者は安全に施術を行えるハンドピース30を選択することができる。
なお本実施例では、諸条件で行われたハンドピース30の滅菌処理を、所定の条件で滅菌処理を行った場合を基準とした滅菌処理回数として算出している。具体的には、基準となる滅菌条件に対する滅菌処理温度や滅菌処理時間の違いに対して負荷係数を設けて滅菌処理回数を算出しているが、この方法以外の算出方法であっても良い。例えば、所定の滅菌処理条件に対して予め決定された回数を滅菌処理回数としたり、滅菌処理回数の積算値(以下、積算滅菌処理回数とする)に基づいてハンドピース30の劣化を考慮して滅菌処理回数を算出しても良い。
また、滅菌処理回数算出部11hによる判定結果に基づく報知は、ハンドピース30の内部に備えたモータやOリングなどハンドピース30を構成する消耗部品の交換などを報知することもできる。
また、ハンドピース30は、RFID記憶部52を備えたRFIDタグ50が設けられ、医療用機器本体10は、ハンドピース30の接近により、非接触で識別情報をRFIDタグ50から読取るRFIDリーダライタ60が設けられたことを特徴とすることにより、ハンドピース30を医療用機器本体10と接触させることなく識別情報Lを読み取ることができるため、ハンドピース30と医療用機器本体10とを接続することなくハンドピース30が滅菌処理済かを判定できる。
したがって、ハンドピース30を医療用機器本体10に接続させる必要が無いため、接続しようとするハンドピース30が滅菌処理を万一行っていない場合であっても医療用機器本体10が汚染されることを防ぐことが出来る。
また、RFIDタグ50は、耐熱性の電池が内蔵されているRFIDで構成されたことを特徴とすることにより、ハンドピース30と医療用機器本体10とを接続することなく非接触でハンドピース30が滅菌処理済かを判定できるとともに、繰り返し加熱処理による滅菌処理を行っても、確実に処理温度を測定できる。
なお、RFIDタグ50は、アクティブ型の他、セミアクティブ型のRFIDタグ50とすることができる。
また、ハンドピース30には、医療用機器本体10に設けられたユニット側接続部43と接続するハンドピース側接続部34が備えられ、医療用機器本体10またはハンドピース30の少なくとも一方に、ユニット側接続部43とハンドピース側接続部34との接続を防止する接続防止形状を形成する突出機構35が備えられたことにより、滅菌処理を行っていないハンドピース30と医療用機器本体10とを接続しようとした場合に、滅菌処理情報に基づいて突出機構35が接続防止形状を形成することができる。これにより、ハンドピース側接続部34とユニット側接続部43との物理的な接続を確実に防止することができるため、施術者は滅菌処理を行っていないハンドピース30を物理的に医療用機器本体10に接続することができない。
したがって、滅菌処理を行っていないハンドピース30を他の患者に用いることを確実に規制することができ、汚染の問題が生じないようにできる。
なお、接続防止形状は、本実施例に示すように医療用機器本体10とハンドピース30との接続に対して物理的な障害となる接続防止形状である突出機構35を形成する。なお、突出機構35は、ユニット側接続部43またはハンドピース側接続部34の少なくとも一方の形状を変形させる構成であっても良い。
具体的には、ユニット側接続部43またはハンドピース側接続部34の少なくとも一方の接続部位を陥没させること、ユニット側接続部43またはハンドピース側接続部34にそれぞれ備えた凹部と凸部とが嵌合することにより接続する場合に、凸部を凹部に挿入することを防止するように凹部の窪み方向に向けて突出片を突出させること、ユニット側接続部43およびハンドピース側接続部34以外の位置に設けた突出機構35を所定の位置を中心として枢動することで突出機構35が接続を防止する位置に配置される構成などであっても良い。すなわち、ユニット側接続部43またはハンドピース側接続部34との接続を防止できる形状であればどのような形状であっても良い。
なお、突出片が接続を防止する位置に突出する場合においては、突出片の突出方向はハンドピース30の長手軸方向であっても良いし、径方向や斜め方向であっても良い。
また、使用判定部11eの制御によるハンドピース30の使用が不可であるとの判定結果に基づき、ハンドピース30の使用を駆動制御部11fの制御により規制、すなわちハンドピース30の操作を行う操作信号を受けても動作しないようにすることで、施術者は滅菌未処理と判定されたハンドピース30を施術に使用することができず、誤って滅菌未処理のハンドピース30が施術に使用されることを規制できる。
また、医療用機器本体10からハンドピース30に送られる操作信号によりハンドピース30の作動を禁止する駆動制御部11fが備えられたことを特徴とすることにより、ハンドピース30が滅菌未処理と判定した場合に、駆動制御部11fの制御により医療用機器本体10からハンドピース30への操作信号が遮断され、ハンドピース30の駆動が規制される。したがって、施術者が誤って他の患者にハンドピース30を用いて施術することを防止できる。
また、ユニット側接続部43またはハンドピース側接続部34の少なくとも一方には、ユニット側接続部43とハンドピース側接続部34との接近を検出する接続判定部11iと、接続判定部11iでの検出結果に基づいて、ユニット側接続部43とハンドピース側接続部34との接近に関して報知する本体側報知装置17およびハンドピース側報知部33とが備えられたことにより、ユニット側接続部43とハンドピース側接続部34とが接近したことを検出して報知することができる。このため、例えばハンドピース30が滅菌処理を行ったか否かにかかわらず、ユニット側接続部43とハンドピース側接続部34とを接続する前にハンドピース30の滅菌処理を行っているかを確認する機会を得ることができる。これにより、施術者は接続が完了する前にハンドピース30が滅菌処理を施しているかをより確実に確認でき、滅菌未処理のハンドピース30の使用を予防できる。
したがって、施術者はハンドピース30の状態を確認したうえで医療用機器本体10にハンドピース30を接続することができるため、滅菌処理をしていないハンドピース30の接続を予防することができる。
また、施術検知部51gの検知結果に基づいて、少なくとも使用されたハンドピース30の使用をハンドピース30毎に報知するホルダ光出力部17aがホルダ14に備えられたことにより、ホルダ光出力部17aの点灯によりハンドピース30の使用を明確に判別できるとともに、各ハンドピース30に対してそれぞれ使用を報知することができるため、次の患者の施術を行う場合に交換すべきハンドピース30を容易に判断できる。したがって、施術者は交換すべきハンドピース30を明確かつ容易に判断することができ、使用されたハンドピース30に対して滅菌処理を行うことにより衛生的な施術を行うことができる。
また、ホルダ光出力部17aを、ハンドピース30を配置するホルダ14に設けることにより、交換すべきハンドピース30毎にランプ等を点灯させることができる。これにより、施術者が次の患者に対して施術を行うに当り、点灯したランプが必ず視野に入るため、一旦使用されたハンドピース30のみを滅菌処理すれば良いことに気付き、更に滅菌未処理のハンドピース30の再使用を控えることが出来る。
また、ハンドピース30の取替を検出する接続判定部11iとハンドピース識別判定部11aと、滅菌処理情報に基づいて報知部によるハンドピース30の使用報知を解除する駆動制御部11fおよび本体側報知動作処理部11gとが備えられたことにより、滅菌処理済のハンドピース30と取り替えることで本体側報知装置17などでの使用報知が解除される。このため、施術者が滅菌処理済み、すなわち施術に使用できるハンドピース30が備えられていることを認識でき、施術者はハンドピース30が取替られたか否かを気にすることなく施術に集中することができる。
また、所定の報知動作を行う本体側報知装置17およびハンドピース側報知部33などが備えられたことにより、ブザーやメロディなどの音の出力や光の点滅や点灯、またはハンドピース30の振動などの方法で、ハンドピース30を滅菌処理したか否かを報知することができる。すなわち、施術者は視覚や聴覚、又は触覚のいずれか一つ以上により、滅菌処理を行ったハンドピース30かを認識することができる。したがって、施術者は滅菌処理を行っていないハンドピース30を確実に医療用機器本体10に接続することを予防できる。
また、報知部が、発光が可能な光出力部で構成することにより、施術者は、医療用機器本体10に対して相対的に接近しているハンドピース30が滅菌処理を行っているか否かを視覚で容易に認識でき、施術者は滅菌処理を行っていないハンドピース30を確実に医療用機器本体10に接続することを予防できる。
なお、ホルダ光出力部17aおよびハンドピース側報知部33は、LED光源を用いているが、例えばハロゲン電球などの、光を発することができる光源、また光出力部は単一の光源や複数の光源であっても良い。
また、19aおよびハンドピース側報知部33は、例えば医療用機器本体10とハンドピース30との接続部位近辺に設けてある場合や、施術患部を照射する患部照明用光源であってもよい。
また、本体側報知装置17およびハンドピース側報知部33として機能し、警告表示を表示するモニタ15および本体側報知モニタ17cが備えられたことにより、警告表示がモニタ15および本体側報知モニタ17cに表示されるため、施術者は視覚にて警告内容を明確に認識することができる。また、モニタ15および本体側報知モニタ17cに文章として表示することが可能であるため、施術者は音や光での報知と比べて、より詳細な警告理由を具体的に知ることができる。
なお、警告表示をモニタ15などに表示することは、画像や文字、文章などによる警告表示を表示部に表示するや、警告表示に加えてハンドピース30の識別情報Lを表示部に表示する場合や、滅菌処理の指示などの対処方法をモニタ15に表示するなどでもよい。
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
医療用施術具は、ハンドピース30に対応し、
温度測定部は、温度計測部56に対応し、
識別部は、ハンドピース識別判定部11aに対応し、
所定動作部は、本体側報知装置17およびハンドピース側報知部33
時間読取制御部は、時間読取部51bに対応し、
滅菌処理回数処理部は、滅菌処理回数算出部11hに対応し、
識別体は、RFIDタグ50に対応し、
読取部は、RFIDリーダライタ60に対応し、
本体側接続部は、ユニット側接続部43に対応し、
施術具側接続部は、ハンドピース側接続部34に対応し、
接続障害部は、突出機構35に対応し、
接近検出部は、接続判定部11iに対応し、
接近報知部は、本体側報知装置17およびハンドピース側報知部33に対応し、
使用報知部および報知部は、ホルダ光出力部17aに対応し、
取替検出部は、接続判定部11iとハンドピース識別判定部11aに対応し、
報知解除部は、駆動制御部11fおよび本体側報知動作処理部11gに対応し、
警告表示部は、本体側報知モニタ17cおよびモニタ15に対応するが、この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば、本実施例において、計時部55はハンドピース30に設けられているが、必ずしもハンドピース30に設ける必要はなく、医療用機器本体10に設けても良く、また両方に設けた構成であっても良い。
なお、医療用機器本体10とハンドピース30の両方に計時部55を設けた場合には、両方の時間を合わせることにより正確な時間の対比を行えるようにできる。
また、例えば、温度読取部51aや時間読取部51bなどをハンドピース30に設けているが、医療用機器本体10に設けても良い。
また、滅菌処理回数算出部11hを、ハンドピース30に設ける構成としても良い。この構成により、オートクレーブによる滅菌処理を行いながら、滅菌処理回数を算出することができるため、オートクレーブが完了した段階で部品などの交換が必要か否かを判定することができる。
また、この発明の態様として、患者の交代を検出するための交代検出部を設けても良い。交代を検出するとは、例えば次の患者のカルテが新たに読み込まれた場合や、チェアーユニット70にチェアーに座った患者の体重を計測する計測装置を設けた場合、画像判定システムを設けて患者の交代を検出するなど、多種多様な方法が考えられる。
また、本実施例において、光学的な接近検知センサー435を用いて接続を検知しているが、例えば、ハンドピース30には識別可能なそれぞれ異なる特定の値の抵抗、コイル、コンデンサ等が備えられ、それを医療用機器本体側で識別し接続を判定する構成としても良い。この場合には、接続されてから接続を判定する構成であるので接続されたハンドピース30が滅菌処理されていない場合には、使用を妨げる構成となる。
また、本実施例において、識別体としてRFIDタグ50を使用しているが、識別情報Lを通信できる構成であればどのような構成であっても良く、接続により識別情報L通信する例として、医療用施術具毎に予め備えたそれぞれ異なる特定の値の抵抗、コイル、コンデンサ等を用いても良い。これらの識別体を使用する場合は、接続チューブ42内に配置される電線等を介して医療用機器本体10に識別信号が伝送される。また、読取部としては、上記医療用機器本体10に備えられているハンドピース識別判定部11aでハンドピース30の識別を行うことができる。
また、本実施例において、識別情報Lと使用検知情報Uと処理温度情報Hとを別々の情報としてRFID記憶部52に記憶させているが、識別情報L以外は医療用施術具10に記憶させて、識別情報Lに基づいて読み出される構成であっても良い。
さらに、識別情報Lは、使用検知情報Uと処理温度情報Hを含んだ情報としても良い。このように識別情報Lに使用検知情報Uと処理温度情報Hを含ませることにより、ハンドピース30に情報を集約することができる。これにより、例えば複数台の医療用機器本体10にハンドピース30を接続する場合に、ハンドピース30に記憶する情報のみに基づいて、ハンドピース30が使用できるか否かを判定できる。
滅菌処理回数算出部11hは、処理温度情報Hに記憶された温度情報と時間情報とに基づいてハンドピース30が行った滅菌処理の回数を算出する処理部である。具体的には、ハンドピース30を滅菌処理温度121℃、滅菌処理時間20分で滅菌処理した場合の滅菌処理回数を1回とし、滅菌処理温度を121℃、滅菌処理時間30分とした場合には、基準となる滅菌処理回数に例えば1.4倍乗算して滅菌処理回数を算出する。