JP2017109340A - 積層フィルム、包材及び袋体 - Google Patents

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Abstract

【課題】内容物の揮発性成分が吸着されにくく、接着性に優れ、かつ易カット性も優れた積層フィルム及び包材、並びに袋体を提供することを目的とする。
【解決手段】鎖状オレフィン樹脂を含む第2の層12と、環状オレフィン樹脂を含む第1の層10と、鎖状オレフィン樹脂を含む第3の層14とがこの順に積層され、第2の層12と第3の層14とがそれぞれ、鎖状オレフィン樹脂の含有量が70質量%以上の層であり、特定の吸着試験方法で測定されるサリチル酸メチルの吸着量が15.0μg/cm未満であり、総厚みが100μm以下である、積層フィルム1。また、積層フィルム1を備える包材、及び該包材袋状にされた袋本体を備える袋体。
【選択図】図1

Description

本発明は、積層フィルム、包材及び袋体に関する。
食品、薬品、雑貨等を収容する袋体としては、ポリエチレンやポリプロピレン等の鎖状オレフィン樹脂で形成された包材が袋状にされたものが多く用いられている。しかし、特に医薬品(エタノール含浸綿等)や化粧品(美容パックシート等)等を収容する袋体においては、内容物の揮発性成分が包材に吸着されることで、揮発性成分によって得られる効果が低くなる問題がある。
ところで、医薬品の変質を抑制する包材として、環状オレフィンフィルムを用いた包材が知られている(例えば、特許文献1)。環状オレフィンフィルムは、環状オレフィン樹脂を用いていないフィルムに比べて耐薬品性に優れ、薬品等の内容物の揮発性成分が吸着されにくい性質がある。しかし、環状オレフィンフィルムは、他の素材等との接着性が不足しやすい問題がある。
また、環状オレフィン樹脂と鎖状オレフィン樹脂を混合した混合物により形成した混合樹脂層を備える包材も知られている。該包材でも環状オレフィン樹脂によって耐薬品性が改善される。しかし、特に耐薬品性を重視して環状オレフィン樹脂の割合を多くした場合に、他の素材等との接着性が不足しやすく、またコストも増大する。
混合樹脂層の内側に、ポリプロピレン等の鎖状オレフィンのみで形成された鎖状オレフィン樹脂層を積層した積層フィルムを用いる包材も提案されている(例えば、特許文献2)。該包材では、混合樹脂層の内側に鎖状オレフィン樹脂層が積層されていることで接着性が向上するものの、易カット性が低下する問題がある。
特開平10−264290号公報 特開2011−224921号公報
本発明は、内容物の揮発性成分が吸着されにくく、接着性に優れ、かつ易カット性も優れた積層フィルム及び包材、並びに袋体を提供することを目的とする。
本発明は、以下の構成を有する。
[1]環状オレフィン樹脂を含む第1の層と、前記第1の層における厚み方向の第1の面側に設けられ、鎖状オレフィン樹脂を含む第2の層と、前記第1の層における前記第1の面と反対側の第2の面側に設けられ、鎖状オレフィン樹脂を含む第3の層とを備え、前記第2の層中の前記鎖状オレフィン樹脂の割合が、前記第2の層の総質量に対して70質量%以上であり、前記第3の層中の前記鎖状オレフィン樹脂の割合が、前記第3の層の総質量に対して70質量%以上であり、下記の吸着試験方法で測定されるサリチル酸メチルの吸着量が15.0μg/cm未満であり、総厚みが100μm以下である、積層フィルム。
(吸着試験方法)
吸着試験方法は、以下の工程(a)〜(f)からなる。
(a)積層フィルムの第3の層側にアルミニウム箔を貼り合わせて縦110mm×横110mmの正面視矩形状のラミネート体を形成する。
(b)2枚の前記ラミネート体を第2の層同士が合わさるように重ね、周縁部のうち三辺をシール幅10mmでヒートシールして三方シール袋を得る。
(c)前記三方シール袋内にサリチル酸メチルを5質量%含むエタノール溶液40mLを注入した後、周縁部の残りの一辺をシール幅10mmでヒートシールして密封し、縦90mm×横90mmの収容部に前記エタノール溶液が収容された密封袋を得る。
(d)前記密封袋を温度40℃の環境下で1週間静置する。
(e)静置後の前記密封袋を開封して前記エタノール溶液を排出し、前記収容部から縦80mm×横80mmの試料片を切り出す。
(f)前記試料片をエタノール10mL中に浸漬し、該試料片に吸着されたサリチル酸メチルを抽出し、ガスクロマトグラフィーによりサリチル酸メチルの吸着量(μg/cm)を測定する。
[2]前記[1]に記載の積層フィルムを備える包材。
[3]前記[2]に記載の包材が袋状にされた袋本体を備える袋体。
本発明の積層フィルムは、内容物の揮発性成分が吸着されにくく、接着性に優れ、易カット性にも優れている。
本発明の包材は、内容物の揮発性成分が吸着されにくく、易カット性にも優れている。
本発明の袋体は、内容物の揮発性成分が吸着されにくく、易カット性にも優れている。
本発明の積層フィルムの一例を示した断面図である。 本発明の包材の一例を示した断面図である。 本発明の袋体の一例を示した正面図である。 図3の袋体のA−A断面図である。
[積層フィルム]
本発明の積層フィルムは、第1の層と、前記第1の層における厚み方向の第1の面側に設けられた第2の層と、前記第1の層における第1の面と反対側の第2の面側に設けられた第3の層と、を備える。第1の層は、環状オレフィン樹脂を含む層である。第2の層及び第2の層は、鎖状オレフィン樹脂を含む層である。本発明の積層フィルムは、医薬品(エタノール含浸綿等)や化粧品(美容パックシート等)等を収容する袋体を形成する包材に好適に利用することができる。
以下、本発明の積層フィルムの一例を示して説明する。本実施形態の積層フィルム1は、図1に示すように、環状オレフィン樹脂を含む第1の層10と、鎖状オレフィン樹脂を含む第2の層12と、鎖状オレフィン樹脂を含む第3の層14とを備えている。第2の層12は、第1の層10における厚み方向の第1の面10aに設けられている。第3の層14は、第1の層10における第1の面10aと反対側の第2の面10bに設けられている。すなわち、積層フィルム1は、鎖状オレフィン樹脂を含む第2の層12と、環状オレフィン樹脂を含む第1の層10と、鎖状オレフィン樹脂を含む第3の層14とがこの順に積層された積層体である。
(第1の層)
第1の層は、第2の層と第3の層の間に配置される層であり、環状オレフィン樹脂を含む。第1の層には、環状オレフィンに加えて、鎖状オレフィン樹脂が含まれていてもよい。なお、鎖状オレフィン樹脂とは、環状構造を有しない鎖状のオレフィン樹脂を意味する。環状オレフィン樹脂とは、環状構造を有するオレフィン樹脂を意味する。
鎖状オレフィン樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体(エチレン−プロピレン共重合体等)等が挙げられる。
第1の層に含まれる鎖状オレフィン樹脂は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
環状オレフィン樹脂としては、例えば、ノルボルネン系モノマー単位を有する重合体が挙げられる。環状オレフィン樹脂は、ノルボルネン系モノマー単位に加えて、エチレンモノマー単位を有する共重合体であってもよい。ノルボルネン系モノマーとは、分子骨格中にノルボルネン骨格を有するものであり、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、テトラシクロドデセン等が挙げられる。環状オレフィン樹脂が有するノルボルネン系モノマー単位は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
環状オレフィン樹脂の市販品としては、日本ゼオン(株)製の「ゼオノア(登録商標)」、ポリプラスチックス(株)製の「TOPAS(登録商標)」、三井化学(株)製の「アペル(登録商標)」等が挙げられる。
第1の層に含有される環状オレフィン樹脂は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
第1の層中の環状オレフィン樹脂の割合は、第1の層の総質量(100質量%)に対して、50〜100質量%が好ましく、60〜80質量%がより好ましい。第1の層中の環状オレフィン樹脂の割合が下限値以上であれば、内容物の揮発性成分がより吸着されにくくなる。第1の層中の環状オレフィン樹脂の割合が低いほど、優れた接着性が得られやすくなる。
第1の層中の鎖状オレフィン樹脂の割合は、第1の層の総質量(100質量%)に対して、0〜50質量%が好ましく、20〜40質量%がより好ましい。第1の層中の鎖状オレフィン樹脂の割合が多いほど、優れた接着性が得られやすくなる。第1の層中の鎖状オレフィン樹脂の割合が上限値以下であれば、内容物の揮発性成分がより吸着されにくくなり、また優れた易カット性が確保されやすい。
第1の層の厚みは、10〜50μmが好ましく、10〜20μmがより好ましい。第1の層の厚みが下限値以上であれば、内容物の揮発性成分がより吸着されにくくなる。第1の層の厚みが上限値以下であれば、優れた易カット性が確保されやすい。
(第2の層)
第2の層は、積層フィルムにおける厚み方向の一方の側の最外層である。第2の層は、積層フィルムが袋状にされる際に第1の層よりも袋の内面側に配置される。第2の層は、鎖状オレフィン樹脂を必須成分として含む。第2の層には、鎖状オレフィンに加えて、環状オレフィン樹脂が含まれていてもよい。
第2の層に含まれる環状オレフィン樹脂及び鎖状オレフィン樹脂としては、特に限定されず、第1の層において挙げた環状オレフィン樹脂及び鎖状オレフィン樹脂と同じものが挙げられる。第2の層に含有される環状オレフィン樹脂は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。また、第2の層に含有される鎖状オレフィン樹脂は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
第2の層中の鎖状オレフィン樹脂の割合は、第2の層の総質量(100質量%)に対して、70〜100質量%であり、70〜90質量%が好ましい。第2の層中の鎖状オレフィン樹脂の割合が下限値以上であれば、優れた接着性が得られる。第2の層中の鎖状オレフィン樹脂の割合が低いほど、内容物の揮発性成分が吸着されにくくなり、また優れた易カット性が確保されやすい。
第2の層中の環状オレフィン樹脂の割合は、第2の層の総質量(100質量%)に対して、0〜30質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。第2の層中の環状オレフィン樹脂の割合が多いほど、内容物の揮発性成分が吸着されにくくなる。第2の層中の環状オレフィン樹脂の割合が上限値以下であれば、優れた接着性が得られやすく、またコスト面でも有利である。
第2の層の厚みは、5〜25μmが好ましく、5〜15μmがより好ましい。第2の層の厚みが下限値以上であれば、優れた接着性が得られやすい。第2の層の厚みが上限値以下であれば、優れた易カット性が確保されやすい。
(第3の層)
第3の層は、積層フィルムにおける厚み方向の他方の側の最外層である。第3の層は、積層フィルムが袋状にされる際に第1の層よりも袋の外面側に配置される。第3の層は、鎖状オレフィン樹脂を必須成分として含む。第3の層には、鎖状オレフィンに加えて、環状オレフィン樹脂が含まれていてもよい。
第3の層に含まれる環状オレフィン樹脂及び鎖状オレフィン樹脂としては、特に限定されず、第1の層において挙げた環状オレフィン樹脂及び鎖状オレフィン樹脂と同じものが挙げられる。第3の層に含有される鎖状オレフィン樹脂は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。また、第3の層に含有される環状オレフィン樹脂は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
第3の層中の鎖状オレフィン樹脂の割合は、第3の層の総質量(100質量%)に対して、70〜100質量%であり、70〜90質量%が好ましい。第3の層中の鎖状オレフィン樹脂の割合が下限値以上であれば、優れた接着性が得られる。第3の層中の鎖状オレフィン樹脂の割合が低いほど、内容物の揮発性成分が吸着されにくくなり、また優れた易カット性が確保されやすい。
第3の層中の環状オレフィン樹脂の割合は、第3の層の総質量(100質量%)に対して、0〜30質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。第3の層中の環状オレフィン樹脂の割合が多いほど、内容物の揮発性成分が吸着されにくくなる。第3の層中の環状オレフィン樹脂の割合が上限値以下であれば、優れた接着性が得られやすく、またコスト面でも有利である。
第3の層の厚みは、5〜25μmが好ましく、5〜15μmがより好ましい。第3の層の厚みが下限値以上であれば、優れた接着性が得られやすい。第3の層の厚みが上限値以下であれば、優れた易カット性が確保されやすい。
本発明の積層フィルムの総厚みは、100μm以下であり、20〜100μmが好ましく、20〜50μmがより好ましい。積層フィルムの総厚みが上限値以下であれば、優れた易カット性が得られる。積層フィルムの総厚みが下限値以上であれば、内容物の揮発性成分がより吸着されにくくなる。
第2の層と第3の層においては、鎖状オレフィン樹脂の割合、環状オレフィン樹脂の割合、層の厚み等がそれぞれ同じになっていることが好ましい。また、第2の層と第3の層においては、鎖状オレフィン樹脂や、必要に応じて含まれる環状オレフィン樹脂の種類が同じであることが好ましい。これにより、接着性及び易カット性がさらに優れた積層フィルムとなる。本発明においては、第2の層と第3の層とが同じであることが特に好ましい。
なお、第2の層と第3の層においては、鎖状オレフィン樹脂や、必要に応じて含まれる環状オレフィン樹脂の種類や割合、層の厚みが異なっていてもよい。
(サリチル酸メチルの吸着量)
本発明の積層フィルムは、後述の吸着試験方法で測定されるサリチル酸メチルの吸着量が15.0μg/cm未満である。これにより、本発明の積層フィルムを用いて袋体を形成した場合に、該袋体内の内容物の揮発性成分が積層フィルムに吸着されて該揮発性成分による効果が低くなることが抑制される。
本発明の積層フィルムの前記吸着量は、15μg/cm未満が好ましく、10μg/cm未満がより好ましく、5μg/cm未満がより一層好ましい。
吸着試験方法は、以下の工程(a)〜(f)からなる。
(a)積層フィルムの第3の層側にアルミニウム箔を貼り合わせて縦110mm×横110mmの正面視矩形状のラミネート体を形成する。
(b)2枚の前記ラミネート体を第2の層同士が合わさるように重ね、周縁部のうち三辺をシール幅10mmでヒートシールして三方シール袋を得る。
(c)前記三方シール袋内にサリチル酸メチルを5質量%含むエタノール溶液40mLを注入した後、周縁部の残りの一辺をシール幅10mmでヒートシールして密封し、縦90mm×横90mmの収容部に前記エタノール溶液が収容された密封袋を得る。
(d)前記密封袋を温度40℃の環境下で1週間静置する。
(e)静置後の前記密封袋を開封して前記エタノール溶液を排出し、前記収容部から縦80mm×横80mmの試料片を切り出す。
(f)前記試料片をエタノール10mL中に浸漬し、該試料片に吸着されたサリチル酸メチルを抽出し、ガスクロマトグラフィーによりサリチル酸メチルの吸着量(μg/cm)を測定する。
<工程(a)>
積層フィルムの第3の層側にアルミニウム箔を重ねて熱ラミネートすることによりラミネート体を得ることができる。縦110mm×横110mmの正面視矩形状のラミネート体を形成する方法は、特に限定されず、帯状の積層フィルムとアルミニウム箔とをロール間で連続的に熱ラミネートした後に矩形状のラミネート体を切り出してもよく、矩形状の積層フィルムとアルミニウム箔とを熱プレスして矩形状のラミネート体を形成してもよい。
積層フィルムに貼り合わせるアルミニウム箔の厚みは、7〜15μmとする。
<工程(b)>
工程(a)で得たラミネート体2枚を、積層フィルムの第2の層同士が合わさるように重ね、ヒートシーラーによって周縁部の四方のうちの三辺をシール幅10mmでヒートシールして三方シール袋を得る。
<工程(c)>
サリチル酸メチルを5質量%含むエタノール溶液を調製し、該エタノール溶液を三方シール袋内に注入する。次いで、ヒートシーラーによって三方シール袋における周縁部の残りの一辺をシール幅10mmでヒートシールして密封する。このとき、収容部内にできるだけ空気が残らないようにする。これにより、縦90mm×横90mmの収容部を備え、該収容部内にエタノール溶液が収容された密封袋が得られる。
<工程(d)、(e)>
前記エタノール溶液を収容した密封袋を、恒温槽等により温度40℃の環境下で1週間静置する。静置後、密封袋を開封してエタノール溶液を排出し、袋内面に残ったエタノール溶液を拭き取る。次いで、密封袋における収容部から、縦80mm×横80mmの試料片を切り出す。
<工程(f)>
試料片をエタノール10mL中に浸漬し、該試料片に吸着されたサリチル酸メチルを抽出する。次いで、抽出液をガスクロマトグラフィーにより分析し、サリチル酸メチルの吸着量(μg/cm)を測定する。
(製造方法)
本発明の積層フィルムの製造方法は、特に限定されず、例えば、インフレーション法やキャスト法による共押出積層法、押出ラミネーション法、サンドラミネーション法、ドライラミネーション法等が挙げられる。
以上説明したように、本発明の積層フィルムにおいては、環状オレフィン樹脂を含む第1の層と、鎖状オレフィン樹脂を含む第2の層及び第3の層とを備え、サリチル酸メチルの吸着量が15.0μg/cm未満であるため、内容物の揮発性成分が吸着されにくい。また、第2の層及び第3の層は鎖状オレフィン樹脂の含有量が70質量%以上であるため、他の部材との接着性にも優れている。さらに、本発明の積層フィルムは総厚みが100μm以下であるため、易カット性にも優れている。
なお、本発明の積層フィルムは、前記した積層フィルム1には限定されない。例えば、本発明の積層フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲であれば、第1の層と第2の層の間、又は第1の層と第3の層の間に別の層を備えていてもよい。ただし、本発明の積層フィルムは、第2の層、第1の層及び第3の層がこの順に積層された3層構成であることが好ましい。
[包材]
本発明の包材は、本発明の積層フィルムを備えるものである。本発明の包材は、本発明の積層フィルムを備える以外は、公知の態様を採用できる。以下、本発明の包材の一例を示して説明する。
本実施形態の包材2は、図2に示すように、積層フィルム1と、積層フィルム1における第3の層14側に設けられたアルミニウム箔層16と、アルミニウム箔層16の第3の層14と反対側に設けられた印刷層18と、印刷層18のアルミニウム箔層16と反対側に設けられた基材層20と、を備えている。すなわち、包材2においては、第2の層12、第1の層10、第3の層14、アルミニウム箔層16、印刷層18及び基材層20がこの順に積層されている。
印刷層18は、特に限定されず、包材において形成される公知の印刷層を採用できる。
基材層20を形成する材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド樹脂(ナイロン等)、オレフィン樹脂(ポリプロピレン等)等が挙げられる。
包材2の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を利用することができる。例えば、積層フィルムにおける第3の層の表面に蒸着や熱ラミネート等によりアルミニウム箔層を形成したものと、基材層の一方の面に印刷を施すなどして印刷層を形成したものとを、ドライラミネーション法、サンドラミネーション法等により積層する方法等が挙げられる。
以上説明した本発明の包材は、本発明の積層フィルムを備えているため、積層フィルムとアルミニウム箔層とが充分な強度で接着されており、内容物の揮発性成分が吸着されにくく、易カット性にも優れている。
なお、本発明の包材は、本発明の積層フィルムを備えるものであれば、前記した包材2には限定されない。例えば、本発明の包材は、印刷層を備えていなくてもよい。また、本発明の包材は、積層フィルムの第2の層側に別の層が積層されたものであってもよい。
[袋体]
本発明の袋体は、本発明の包材が袋状にされた袋本体を備えるものである。本発明の袋体は、本発明の包材が袋状にされた袋本体を備える以外は、公知の態様を採用できる。本発明の袋体は、袋本体に形成される開口部の近傍の内面に嵌合具が取り付けられた嵌合具付き袋体であってもよい。
以下、本発明の袋体の一例を示して説明する。本実施形態の袋体3は、図3及び図4に示すように、内容物を収容する密封された状態の袋本体30と、袋本体30の上部の内面に、横方向に沿って取り付けられた嵌合具40とを具備している。
この例の袋本体30は、第2の層12が向かい合うように2枚の包材2が重ね合わされ、それらの周縁部2aが全てヒートシールされることで形成され、密封された状態になっている。袋本体30における嵌合具40よりも上部側には、横方向に沿って切断補助線32が設けられており、その端部にノッチ34が形成されている。
袋本体30の形状は、本実施形態では矩形である。なお、袋本体30の形状は矩形には限定されない。また、袋本体30の大きさも特に限定されず、袋本体30に収容する内容物によって適宜選定すればよい。
切断補助線32は、袋本体30を切断して開封することを補助する線である。切断補助線32としては、特に限定されず、例えば、包材2における切断補助線32の部分をそれ以外の部分に比べて薄肉化した弱化線、ミシン目からなる弱化線、列状に形成された細孔からなる弱化線、印刷等で形成した線等が挙げられる。ノッチ34の形状は、この例では三角形状であるが、特に限定されず、半円形状、直線状等であってもよい。
嵌合具40は、帯状の第1基材44の長手方向に凸条の雄側嵌合部46が設けられた第1嵌合部材42と、帯状の第2基材50の長手方向に雄側嵌合部46と着脱自在に嵌合する雌側嵌合部52が設けられた第2嵌合部材48と、を備えている。雄側嵌合部46は、第1基材44の対向面から立ち上がる幹部46aと、幹部46aの先端側に設けられ、幹部46aよりも大きい頭部46bとを備えている。雌側嵌合部52は、第2基材50における対向面から断面円弧状に立ち上がる一対の第1アーム部52aと第2アーム部52bとを備え、それら第1アーム部52aと第2アーム部52bによって凹部52cが形成されている。雄側嵌合部46と雌側嵌合部52とは、雄側嵌合部46の頭部46bが雌側嵌合部52の凹部52c内に嵌まり込むことで、着脱自在に嵌合するようになっている。
袋体3では、嵌合具40の第1基材44と第2基材50が、袋本体30において対向する2枚の包材2のそれぞれに溶着されている。
嵌合具40を形成する材料は、公知の材料を使用できる。本発明の袋体が嵌合具を備える場合、嵌合具には環状オレフィン樹脂が含有されていることが好ましい。これにより、内容物の揮発性成分が嵌合具に吸着することも抑制されるため、開封後に内容物を使用する際に、内容物の揮発性成分による効果をより安定して得ることができる。嵌合具に用いる環状オレフィン樹脂としては、特に限定されず、例えば、積層フィルムの説明において挙げたものと同じものが挙げられる。
嵌合具40には、環状オレフィン樹脂以外の他の樹脂が含有されていてもよい。他の樹脂としては、特に限定されず、例えば、ナイロン、直鎖状低密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、ポリビニルアルコール等が挙げられる。他の樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
袋体3においては、ノッチ34から切断補助線32に沿って袋本体30の上部を切断して除去することで、袋本体30の上部に開口部を形成して開封することができる。袋体3に形成した開口部は、嵌合具40の雄側嵌合部46と雌側嵌合部52を着脱することで繰り返し開閉できる。
本発明の袋体に収容する内容物としては、特に限定されず、例えば、医薬品(エタノール含浸綿、消毒液、滅菌パッド等)、医療用品(湿布薬、鎮痛消炎テープ、ハップ剤、熱冷ましシート等)、化粧品(美容パックシート・マスク、詰替え用化粧水・乳液等)、農薬、肥料、食品関連等が挙げられる。本発明は、医薬品や化粧品を収容する際に特に有用である。
本発明の袋体は、本発明の積層フィルムを備える包材を用いた袋本体を備えているため、内容物の揮発性成分が吸着されにくく、易カット性も優れている。なお、本発明の袋体は、前記した袋体3には限定されない。例えば、本発明の袋体は、嵌合具40以外の公知の態様の嵌合具を備える袋体であってもよく、嵌合具を備えない袋体であってもよい。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[原料]
本実施例で使用した原料を以下に示す。
(環状オレフィン樹脂)
A−1:製品名「7010F−600」(ポリプラスチックス社製、ガラス転移温度:110℃)。
(鎖状オレフィン樹脂)
LLDPE:製品名「ダウレックス2047G」(直鎖状低密度ポリエチレン、ダウケミカル社製)。
[実施例1]
環状オレフィン樹脂A−1(80質量部)とLLDPE(20質量部)とをタンブラーミキサーを用いて混合し、第1の層を形成するための材料(i)を得た。また、第2の層及び第3の層を形成するためのLLDPE(100質量部)からなる材料(ii)を用意した。次いで、キャスト法により、材料(i)で形成された第1の層と、該第1の層の厚み方向の両面側にそれぞれ材料(ii)で形成された第2の層及び第3の層とを備える2種3層構成の積層フィルムを得た。各層の厚みは、第1の層を20μm、第2の層及び第3の層を10μmとした。
[実施例2〜4]
第1の層を形成する材料(i)、並びに第2の層及び第3の層を形成する材料(ii)の組成と、第2の層、第1の層及び第3の層の厚みを表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
[比較例1〜3]
第1の層を形成する材料(i)、並びに第2の層及び第3の層を形成する材料(ii)の組成と、第2の層、第1の層及び第3の層の厚みを表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
[吸着試験方法]
各例の積層フィルムの第3の層側にアルミニウム箔を貼り合わせて熱ラミネートし、縦110mm×横110mmの正面視矩形状のラミネート体を形成した。該ラミネート体2枚を、積層フィルムの第2の層同士が合わさるように重ね、周縁部のうち三辺をシール幅10mmでヒートシールして三方シール袋を得た。該三方シール袋内に、サリチル酸メチルを5質量%含むエタノール溶液40mLを注入した後、周縁部の残りの一辺をシール幅10mmでヒートシールして密封し、縦90mm×横90mmの収容部に前記エタノール溶液が収容された密封袋を得た。次いで、該密封袋を温度40℃の環境下で1週間静置した後、密封袋を開封してエタノール溶液を排出し、袋内面に残ったエタノール溶液を拭き取った。次いで、密封袋における収容部から、縦80mm×横80mmの試料片を切り出した。該試料片をエタノール10mL中に浸漬し、該試料片に吸着されたサリチル酸メチルを抽出した後、抽出液をガスクロマトグラフィー(検出器:FID検出器)により分析して、試料片の単位面積当たりのサリチル酸メチルの吸着量(μg/cm)を測定した。
[評価方法]
各実施例及び比較例で得た積層フィルムについて、易カット性及び接着性をそれぞれ評価した。評価方法を以下に示す。
(易カット性)
ノッチに沿って手切りを行い、以下の評価基準に従って易カット性を評価した。
<評価基準>
○:抵抗なく直線状に切れる。
△:やや抵抗あるが直線状に切れる。
×:切口が湾曲する。
[接着性]
2枚の積層フィルムにおける第2の層となる側に、それぞれヒートシーラーを用いてポリエチレン(PE)製ジッパーテープを150℃で接着し、ジッパーを開閉させた時の状態を観察した。
<評価基準>
○:ジッパーが開閉できる。
×:ジッパーと積層フィルムが界面剥離する。
各実施例及び比較例における各層を形成する材料の組成、層の厚み、サリチル酸メチルの吸着量及び評価結果を表1に示す。
Figure 2017109340
表1に示すように、本発明の積層フィルムである実施例1〜4では、易カット性及び接着性に優れていた。また、実施例1〜4の積層フィルムは、サリチル酸メチルの吸着量が少なく、耐薬品性にも優れる。
一方、比較例1の積層フィルムは、サリチル酸メチルの吸着量が15.0μg/cm以上であり、実施例1〜4の積層フィルムに比べて耐薬品性に劣っている。第2の層中の鎖状オレフィン樹脂の割合が70質量%未満である比較例2の積層フィルムは、第2の層の接着性が劣っていた。総厚みが100μm超である比較例3の積層フィルムは、易カット性が劣っていた。
1 積層フィルム
2 包材
3 袋体
10 第1の層
12 第2の層
14 第3の層
16 アルミニウム箔層
18 印刷層
20 基材層
30 袋本体
40 嵌合具

Claims (3)

  1. 環状オレフィン樹脂を含む第1の層と、前記第1の層における厚み方向の第1の面側に設けられ、鎖状オレフィン樹脂を含む第2の層と、前記第1の層における前記第1の面と反対側の第2の面側に設けられ、鎖状オレフィン樹脂を含む第3の層とを備え、
    前記第2の層中の前記鎖状オレフィン樹脂の割合が、前記第2の層の総質量に対して70質量%以上であり、
    前記第3の層中の前記鎖状オレフィン樹脂の割合が、前記第3の層の総質量に対して70質量%以上であり、
    下記の吸着試験方法で測定されるサリチル酸メチルの吸着量が15.0μg/cm未満であり、
    総厚みが100μm以下である、積層フィルム。
    (吸着試験方法)
    吸着試験方法は、以下の工程(a)〜(f)からなる。
    (a)積層フィルムの第3の層側にアルミニウム箔を貼り合わせて縦110mm×横110mmの正面視矩形状のラミネート体を形成する。
    (b)2枚の前記ラミネート体を第2の層同士が合わさるように重ね、周縁部のうち三辺をシール幅10mmでヒートシールして三方シール袋を得る。
    (c)前記三方シール袋内にサリチル酸メチルを5質量%含むエタノール溶液40mLを注入した後、周縁部の残りの一辺をシール幅10mmでヒートシールして密封し、縦90mm×横90mmの収容部に前記エタノール溶液が収容された密封袋を得る。
    (d)前記密封袋を温度40℃の環境下で1週間静置する。
    (e)静置後の前記密封袋を開封して前記エタノール溶液を排出し、前記収容部から縦80mm×横80mmの試料片を切り出す。
    (f)前記試料片をエタノール10mL中に浸漬し、該試料片に吸着されたサリチル酸メチルを抽出し、ガスクロマトグラフィーによりサリチル酸メチルの吸着量(μg/cm)を測定する。
  2. 請求項1に記載の積層フィルムを備える包材。
  3. 請求項2に記載の包材が袋状にされた袋本体を備える袋体。
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