JP2017107743A - 二次電池用酸化物系負極活物資及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高性能なリチウムイオン二次電池又はナトリウムイオン二次電池を得るべく、水分の吸着を効果的に抑制することのできる二次電池用酸化物系負極活物質及びその製造方法を提供する。
【解決手段】負極活物質用酸化物に、セルロースナノファイバー由来の炭素と、水溶性炭素材料由来の炭素とが担持してなる二次電池用酸化物系負極活物質。
【選択図】なし

Description

本発明は、負極活物質用酸化物に、セルロースナノファイバー由来の炭素と、水溶性炭素材料由来の炭素とが、ともに担持されてなる二次電池用酸化物系負極活物質及びその製造方法に関する。
携帯電子機器、ハイブリッド自動車、電気自動車等に用いられる二次電池の開発が行われており、リチウムイオン二次電池やナトリウムイオン二次電池等の二次電池が広く知られている。こうした二次電池では、電池の充放電に伴うガスの生成により、電池内部で劣化反応が引き起こされるおそれもあるなか、水が介在すると、そのおそれが一層高まることも知られている。
このような劣化反応が生じるのを回避する上で、例えば、特許文献1にも示されるように、二次電池の正極材料として用いる正極活物質の水分含有量を低減することが有効である。また同様に、負極材料についても、その水分含有量を低減することが有効であり、例えば炭素系負極材料について、特許文献2には、炭素材料を特定の加熱処理に付して吸着した水分を除去した後、これを直接帯状の集電体に塗布する製造方法が開示されており、さらに、特許文献3には、示差熱分析において特定の物性を示す、閉孔の多いハードカーボン(難黒鉛化性炭素)により、負極材料における水分吸着量を低減する方法が開示されている。
一方、酸化物系負極材料について、特許文献4には、スピネル構造のリチウムチタン複合酸化物を含む負極において、含まれる水分量は負極活物質の質量当たり0.05質量%以下が好ましい旨記載されてはいるものの、かかる水分量を低減する方法については、何ら具体的な検討はなされていない。
特開2013−152911号公報 特開2002−190299号公報 国際公開第2007/040007号 国際公開第2013/137272号
こうしたことから、負極材料として活用し得る酸化物を用いた二次電池用負極活物質の吸着水分量を低減する技術が強く望まれている。
したがって、本発明の課題は、高性能なリチウムイオン二次電池又はナトリウムイオン二次電池を得るべく、水分の吸着を効果的に抑制することのできる二次電池用酸化物系負極活物質及びその製造方法を提供することにある。
そこで本発明者らが鋭意検討したところ、負極材料として活用し得る酸化物、いわゆる負極活物質用酸化物の表面は、水との親和性が高いため、炭素系負極材料に比較して乾燥処理のみでは十分に水分を除去しにくいことが判明した。さらに、こうした負極活物質用酸化物は、電子伝導性を向上させるために表面を炭素で被覆する場合が多いものの、正極材料等でよく行われているグルコースなどの水溶性炭素材料に由来する炭化物による表面被覆のみでは、材料表面を完全に被覆することが容易でないことも判明した。このような知見を元に、さらに本発明者らが種々検討したところ、負極活物質用酸化物に、セルロースナノファイバー由来の炭素と、水溶性炭素材料由来の炭素との複数の炭素源由来の炭素が担持されてなる二次電池用酸化物系負極活物質であれば、これらの炭素が負極活物質用酸化物の表面を効率的に被覆して水分の吸着を有効に抑制できるため、リチウムイオン又はナトリウムイオンが有効に電気伝導を担うことのできる二次電池の負極活物質として、極めて有用であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、負極活物質用酸化物に、セルロースナノファイバー由来の炭素と、水溶性炭素材料由来の炭素とが担持してなる二次電池用酸化物系負極活物質を提供するものである。
また、本発明は、負極活物質用酸化物Xにセルロースナノファイバー、水溶性炭素材料及び水を添加して懸濁液Xを得る工程(I)並びに
得られた懸濁液Xを噴霧乾燥して造粒体Yを得た後、焼成する工程(II)を備える、二次電池用酸化物系負極活物質の製造方法を提供するものである。
本発明の二次電池用酸化物系負極活物質によれば、負極活物質特有の酸化物に、セルロースナノファイバー由来の炭素と水溶性炭素材料由来の炭素とが、ともに炭素源として補い合いながら有効に担持されてなることにより、負極活物質用酸化物の表面の一部において、炭素が存在することなく酸化物が露出してしまうのを有効に抑制するので、かかる酸化物表面における露出部が効果的に低減された二次電池の負極活物質を得ることができる。そのため、かかる負極活物質は水分の吸着を効果的に抑制できるため、これを用いたリチウムイオン二次電池又はナトリウムイオン二次電池において、リチウムイオン又はナトリウムイオンが有効に電気伝導を担いつつ、様々な使用環境下でもサイクル特性等の優れた電池特性を安定して発現することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の二次電池用酸化物系負極活物質は、負極活物質用酸化物に、セルロースナノファイバー由来の炭素と、水溶性炭素材料由来の炭素とが担持してなるものである。すなわち、炭素源としてセルロースナノファイバー由来の炭素と水溶性炭素材料由来の炭素が共存してなり、負極活物質用酸化物の表面を一方の炭素源由来の炭素が被覆しつつも、かかる炭素が存在することなく負極活物質用酸化物の表面が露出した部位に、他方の炭素源由来の炭素が有効に担持してなる。したがって、これらセルロースナノファイバー由来の炭素と、水溶性炭素材料由来の炭素とが相まって負極活物質用酸化物の表面の露出を効果的に抑制しながら、かかる負極活物質用酸化物の全表面にわたり堅固に担持されてなるため、本発明の二次電池用酸化物系負極活物質における水分吸着を有効に防止することができる。
本発明で用いる負極活物質用酸化物とは、一般に二次電池の負極活物質として用いられる酸化物であれば、特に制限されないが、具体的には例えば、Li4Ti512、Ti2Nb1029、TiNb27、ブルッカイト型TiO2、及びSiOから選ばれる酸化物が挙げられる。
Li4Ti512は、チタン化合物及びリチウム化合物を焼成することにより得ることができる。用い得るチタン化合物としては、酸化チタン、オルトチタン酸やメタチタン酸等の含水酸化チタンが挙げられ、これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、電池物性を高める観点から、アナターゼ型TiO2が好ましい。用い得るリチウム化合物としては、リチウム酸化物又はリチウム水酸化物が挙げられ、具体的には、炭酸リチウム、水酸化リチウム、硝酸リチウム等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、電池物性を高める観点から、炭酸リチウムが好ましい。
これらチタン化合物及びリチウム化合物の所定量を混合・粉砕した後、温度700〜900℃で8〜24時間焼成し、次いで得られた焼成物を粉砕することにより、Li4Ti512を得ることができる。
Ti2Nb1029は、例えばニオブ化合物及びチタン化合物等の所定の材料を用いて懸濁液を調製し、水熱反応により結晶を得た後、熱処理することによって結晶度の高いものを得ることができ、また所定の材料をボールミル等により混合・粉砕して固体を得た後、焼成することによっても得ることができる。ニオブ化合物としては、水酸化ニオブ等を用いることができ、チタン化合物としては、硫酸チタニルや硫酸チタン等の硫酸塩、硝酸塩、塩化物、又は有機酸等を用いることができる。かかるチタン化合物には、不可避的に混入する場合も含め、その一部にチタン及びニオブ以外の異種金属M(MはSn、Zr、Fe、Bi、Cr、Mo、Na、Mg、Al及びSiからなる群より選ばれる少なくとも一種を示す。)を含んでいてもよく、異種金属(M)の含有量は、より良好な電池物性を確保する観点から、チタン化合物中に、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下である。
より具体的な製造方法としては、ニオブ化合物として水酸化ニオブ、チタン源としてアナターゼ型TiO2を用い、過酸化水素及び水とともに懸濁液を調製し、水熱反応を介して得られた固形分を固液分離し、焼成する製造方法が好ましい。なお、上記懸濁液中におけるニオブとチタンのモル比(Nb/Ti)は、好ましくは4.0〜6.0であり、より好ましくは4.5〜5.5である。
TiNb27は、チタン化合物及びニオブ化合物を焼成することにより得ることができる。用い得るチタン化合物としては、酸化チタン、オルトチタン酸やメタチタン酸等の含水酸化チタンが挙げられ、これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、電池物性を高める観点から、アナターゼ型TiO2が好ましい。かかるチタン化合物には、不可避的に混入する場合も含め、その一部にチタン及びニオブ以外の異種金属M(MはSn、Zr、Fe、Bi、Cr、Mo、Na、Mg、Al及びSiからなる群より選ばれる少なくとも一種を示す。)を含んでいてもよく、異種金属(M)の含有量は、より良好な電池物性を確保する観点から、チタン化合物中に、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下である。用い得るニオブ化合物としては、ニオブ酸化物又はニオブ水酸化物が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、電池物性を高める観点から、五酸化ニオブ(Nb)が好ましい。
これらチタン化合物及びニオブ化合物の所定量を混合・粉砕した後、温度1200〜1400℃で4〜24時間焼成し、次いで得られた焼成物を粉砕することにより、TiNb27を得ることができる。
ブルッカイト型TiO2は、ヒドロキシカルボン酸チタン錯体を含有する水溶液を、pHを8〜13に維持しながら100℃〜300℃の温度範囲で水熱処理する方法や、硫酸チタニル等のチタン化合物をシュウ酸や過酸化水素等を用いてペルオキソ化した後、得られた沈殿物を550〜820℃の温度で焼成する方法により得ることができる。また、市販品を好適に用いることもできる。
SiOは、SiOとSiとを所定のモル比で混合後に非酸化性雰囲気中または真空中で1250〜1350℃に加熱して、気化したSiOを析出させる方法、SiOを水素等の還元性ガス中で加熱して所定量還元する方法、SiOを所定量の炭素Cや金属等と混合後に加熱して所定量還元する方法、Siを酸素ガスまたは酸化物と加熱して所定量酸化する方法、及びSiH等のケイ素化合物ガスと酸素の混合ガスを加熱反応またはプラズマ分解反応させる方法等により得ることができる。また、市販品を好適に用いることもできる。
本発明の二次電池用酸化物系負極活物質は、上記負極活物質用酸化物に、セルロースナノファイバー由来の炭素と水溶性炭素材料由来の炭素が担持してなる。すなわち、炭素源としてセルロースナノファイバー及び水溶性炭素材料を用いることにより得られるものであって、セルロースナノファイバーが炭化された炭素と、水溶性炭素材料が炭化された炭素とが共に、上記酸化物に堅固に担持してなる。セルロースナノファイバーとは、全ての植物細胞壁の約5割を占める骨格成分であって、かかる細胞壁を構成する植物繊維をナノサイズまで解繊等することにより得ることができる軽量高強度繊維であり、水への良好な分散性も有している。また、セルロースナノファイバーを構成するセルロース分子鎖では、炭素による周期的構造が形成されていることから、これが炭化されて上記酸化物に堅固に担持されることにより、水溶性炭素材料とも相まって、得られる二次電池における放電特性を有効に高めることができる有用な負極活物質を得ることができる。
用い得るセルロースナノファイバーとしては、植物細胞壁を構成する植物繊維をナノサイズまで解繊等することにより得られたものであれば、特に制限されず、例えば、セリッシュKY−100S(ダイセルファインケム製)等の市販品を用いることができる。セルロースナノファイバーの繊維径は、上記酸化物に堅固に担持させる観点から、好ましくは4〜500nmであり、より好ましくは5〜400nmであり、さらに好ましくは10〜300nmである。
セルロースナノファイバーは、その後炭化されて、上記負極活物質用酸化物にセルロースナノファイバー由来の担持された炭素として、本発明の二次電池用酸化物系負極活物質中に存在することとなる。かかるセルロースナノファイバー由来の炭素の原子換算量は、本発明の二次電池用酸化物系負極活物質中に、好ましくは0.10〜9質量%であり、より好ましくは0.15〜8質量%であり、さらに好ましくは0.15〜6質量%である。
なお、二次電池用酸化物系負極活物質中に存在するセルロースナノファイバー由来の炭素の原子換算量は、炭素・硫黄分析装置を用いて測定した炭素量から、水溶性炭素材料の添加量から求まる水溶性炭素材料由来の炭素の原子換算量を差し引くことにより、確認することができる。
上記負極活物質用酸化物に炭化された炭素として担持される水溶性炭素材料とは、25℃の水100gに、水溶性炭素材料の炭素原子換算量で0.4g以上、好ましくは1.0g以上溶解する炭素材料を意味し、上記負極活物質用酸化物に担持される炭素源として機能する。かかる水溶性炭素材料としては、例えば、糖類、ポリオール、ポリエーテル、及び有機酸から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。より具体的には、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース等の単糖類;マルトース、スクロース、セロビオース等の二糖類;デンプン、デキストリン等の多糖類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ブタンジオール、プロパンジオール、ポリビニルアルコール、グリセリン等のポリオールやポリエーテル;クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸等の有機酸が挙げられる。なかでも、溶媒への溶解性及び分散性を高めて炭素材料として効果的に機能させる観点から、グルコース、フルクトース、スクロース、デキストリンが好ましく、グルコースがより好ましい。
かかる水溶性炭素材料由来の炭素の担持量は、セルロースナノファイバー由来の炭素が存在することなく負極活物質用酸化物表面が露出した部位に、水溶性炭素材料由来の炭素を有効に担持させる観点から、本発明の二次電池用正極活物質中に、好ましくは0.10〜9質量%であり、より好ましくは0.15〜7質量%であり、さらに好ましくは0.15〜6質量%である。
セルロースナノファイバー及び水溶性炭素材料の炭素原子換算分は、炭化されたセルロースナノファイバー及び炭化された水溶性炭素材料が負極活物質用酸化物に担持された炭素として本発明の二次電池用酸化物系負極活物質中に共存することとなる。かかるセルロースナノファイバー及び水溶性炭素材料の炭素原子換算量は、これらセルロースナノファイバー由来の炭素及び水溶性炭素材料由来の炭素の合計担持量に相当し、本発明の二次電池用酸化物系負極活物質中に、合計で、好ましくは0.2〜18質量%であり、より好ましくは0.3〜15質量%であり、さらに好ましくは0.3〜12質量%である。
本発明の二次電池用酸化物系負極活物質は、セルロースナノファイバー及び水溶性炭素材料が炭化されてなる炭素として互いに補い合いながら、効率的に負極活物質用酸化物に担持されてなるものであり、最終的に焼成することによって、これらセルロースナノファイバー及び水溶性炭素材料由来の炭素を負極活物質用酸化物に堅固に担持させることができ、炭素が存在することなく負極活物質用酸化物の表面が露出してしまうことを有効に回避することが可能となる。
本発明の二次電池用酸化物系負極活物質は、具体的には、負極活物質用酸化物Xにセルロースナノファイバー、水溶性炭素材料及び水を添加して懸濁液Xを得る工程(I)並びに
得られた懸濁液Xを噴霧乾燥して造粒体Yを得た後、焼成する工程(II)を備える、二次電池用酸化物系負極活物質の製造方法により得ることができる。
工程(I)は、負極活物質用酸化物Xにセルロースナノファイバー、水溶性炭素材料及び水を添加して懸濁液Xを得る工程である。かかる工程(I)におけるセルロースナノファイバーの添加量は、上記のとおり、セルロースナノファイバー由来の炭素として、セルロースナノファイバーの炭素原子換算量が上記範囲内になるような量であればよく、例えば、負極活物質用酸化物Xの表面にセルロースナノファイバー由来の炭素を有効に担持させ、且つ、充分な充放電容量を保持する観点から、負極活物質用酸化物X100質量部に対し、好ましくは0.2〜36質量部であり、より好ましくは0.3〜32質量部であり、さらに好ましくは0.4〜24質量部である。
また、水溶性炭素材料の添加量は、上記のとおり、水溶性炭素材料由来の炭素として、水溶性炭素材料の炭素原子換算量が上記範囲内になるような量であればよく、例えば、負極活物質用酸化物Xの表面に水溶性炭素材料由来の炭素を有効に担持させ、且つ、充分な充放電容量を保持する観点から、負極活物質用酸化物X100質量部に対し、好ましくは0.2〜36質量部であり、より好ましくは0.3〜28質量部であり、さらに好ましくは0.4〜24質量部である。
さらに水の添加量は、懸濁液X中においてセルロースナノファイバー及び水溶性炭素材料を良好に分散させ、これらを炭化されてなる炭素として効率的に負極活物質用酸化物Xの表面に担持させる観点から、負極活物質用酸化物X100質量部に対し、好ましくは30〜300質量部であり、より好ましくは50〜250質量部であり、さらに好ましくは75〜200質量部である。
工程(II)は、工程(I)で得られた懸濁液Xを噴霧乾燥して造粒体Yを得た後、焼成する工程である。工程(II)における噴霧乾燥としては、スプレードライ法による噴霧乾燥が好適であり、かかる装置として、例えば、4流体ノズルを備えたマイクロミストドライヤー(藤崎電気(株)製 MDL−050M)を用いることができる。噴霧乾燥に用いる装置の処理条件としては、エアー圧が0.3〜0.8MPaであるのが好ましく、0.5〜0.7MPaであるのがより好ましく、エアー流量が20〜60NL/minであるのが好ましく、50〜60NL/minであるのがより好ましい。また、熱風量は0.6〜1.2m3/minであるのが好ましく、0.8〜1.1m3/minであるのがより好ましく、入口温度は、100〜250℃であるのが好ましく、150〜200℃であるのがより好ましい。さらに、排気温度は70〜150℃であるのが好ましく、80〜120℃であるのがより好ましく、懸濁液(スラリー)流量は、所望の平均粒径を有する造粒体Yを得る点から、20〜70g/minであるのが好ましく、50〜70g/minであるのがより好ましい。
なお、工程(II)において得られる造粒体Yの平均粒径は、セルロースナノファイバー及び水溶性炭素材料をともに炭素として効率的に担持させる観点から、好ましくは50〜2000nmであり、より好ましくは50〜1000nmである。
工程(II)では、次いで得られた造粒体Yを焼成する。焼成は、還元雰囲気又は不活性雰囲気中で行うのが好ましい。かかる焼成により、上記セルロースナノファイバー由来の炭素が上記負極活物質用酸化物の表面に堅固に担持されるとともに、水溶性炭素材料由来の炭素も、かかる酸化物の表面を被覆する炭素として存在することとなり、得られる酸化物系負極活物質における導電性を有効に高めることができる。
焼成温度は、セルロースナノファイバー及び水溶性炭素材料をより有効に炭化させる観点から、好ましくは500〜1000℃であり、より好ましくは600〜850℃であり、さらに好ましくは650〜750℃である。また、焼成時間は、好ましくは10分〜24時間、より好ましくは30分〜12時間とするのがよい。
本発明の二次電池用酸化物系負極活物質は、上記セルロースナノファイバー由来の炭素と、水溶性炭素材料由来の炭素とが、共に負極活物質用酸化物に担持されて相乗的に作用し、二次電池用酸化物系負極活物質における吸着水分量を有効に低減することができる。具体的には、本発明の二次電池用酸化物系負極活物質の吸着水分量は、負極活物質用酸化物がLi4Ti512である二次電池用酸化物系負極活物質では、好ましくは500ppm以下であり、より好ましくは450ppm以下である。また、負極活物質用酸化物がTi2Nb1029である二次電池用酸化物系負極活物質では、二次電池用酸化物系負極活物質中に、好ましくは89ppm以下であり、より好ましくは85ppm以下であり、負極活物質用酸化物がTiNb27である二次電池用酸化物系負極活物質では、二次電池用酸化物系負極活物質中に、好ましくは80ppm以下であり、より好ましくは75ppm以下であり、負極活物質用酸化物がブルッカイト型TiO2である二次電池用酸化物系負極活物質では、好ましくは520ppm以下であり、より好ましくは510ppm以下である。さらに、負極活物質用酸化物がSiOである二次電池用酸化物系負極活物質では、二次電池用酸化物系負極活物質中に、好ましくは128ppm以下であり、より好ましくは125ppm以下である。
なお、かかる吸着水分量は、温度20℃及び相対湿度50%にて平衡に達するまで水分を吸着させ、温度150℃まで昇温して20分間保持した後、さらに温度250℃まで昇温して20分間保持したときの、150℃から昇温を再開するときを始点、及び250℃での恒温状態を終えたときを終点とする、始点から終点までの間に揮発した水分量として測定される値であって、二次電池用酸化物系負極活物質の吸着水分量と、上記始点から終点までの間に揮発した水分量とが、同量であるとみなし、かかる揮発する水分量の測定値を二次電池用酸化物系負極活物質の吸着水分量とするものである。
このように、本発明の二次電池用酸化物系負極活物質は、水分を吸着しにくいため、製造環境として強い乾燥条件を必要とすることなく吸着水分量を有効に低減することができ、得られるリチウムイオン二次電池及びナトリウムイオン二次電池の双方において、様々な使用環境下でも優れた電池特性を安定して発現することが可能となる。
なお、温度20℃及び相対湿度50%にて平衡に達するまで水分を吸着させ、温度150℃まで昇温して20分間保持した後、さらに温度250℃まで昇温して20分間保持したときの、150℃から昇温を再開するときを始点、及び250℃での恒温状態を終えたときを終点とする、始点から終点までの間に揮発した水分量は、例えばカールフィッシャー水分計を用いて測定することができる。
また、本発明の二次電池用酸化物系負極活物質のタップ密度は、優れた電池特性を安定して発現する観点から、負極活物質用酸化物がLi4Ti512である二次電池用酸化物系負極活物質では、好ましくは0.8〜2.5g/cm3であり、より好ましくは1.2〜2.5g/cm3である。また、負極活物質用酸化物がTi2Nb1029である二次電池用酸化物系負極活物質では、好ましくは0.9〜2.7g/cm3であり、より好ましくは1.3〜2.6g/cm3であり、負極活物質用酸化物がTiNb27である二次電池用酸化物系負極活物質では、好ましくは0.9〜2.7g/cm3であり、より好ましくは1.3〜2.6g/cm3であり、負極活物質用酸化物がブルッカイト型TiO2である二次電池用酸化物系負極活物質では、好ましくは0.9〜3.0g/cm3であり、より好ましくは1.1〜2.8g/cm3である。さらに、負極活物質用酸化物がSiOである二次電池用酸化物系負極活物質では、好ましくは0.6〜2.5g/cm3であり、より好ましくは0.8〜2.5g/cm3である。
得られた二次電池用酸化物系負極活物質を用いて二次電池を製造する方法は特に限定されず、公知の方法をいずれも使用できる。例えば、かかる負極活物質を結着剤や溶剤等の添加剤とともに混合して塗工液を得る。この際、必要に応じて、さらに導電助剤を添加して混合してもよい。かかる結着剤としては、特に限定されず、公知の剤をいずれも使用できる。具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルクロライド、エチレンプロピレンジエンポリマー等が挙げられる。また、かかる導電助剤としては、特に限定されず、黒鉛以外の公知の剤をいずれも使用できる。具体的には、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、繊維状炭素等が挙げられる。次いで、かかる塗工液を銅箔等の集電体上に塗布し、乾燥させて負極とする。
本発明の二次電池用酸化物系負極活物質を含む二次電池用負極を適用できる二次電池としては、正極と負極と電解液とセパレータを必須構成とするものであれば特に限定されない。
ここで、正極については、リチウムイオン又はナトリウムイオン等、所定の金属イオンを充電時には放出し、かつ放電時には吸蔵することができれば、その材料構成で特に限定されるものではなく、公知の材料構成のものを用いることができる。例えば、原料を水熱反応させることにより得られる各種オリビン型化合物を好適に用いることが好ましい。
電解液は、有機溶媒に支持塩を溶解させたものである。有機溶媒は、通常リチウムイオン電池やナトリウムイオン電池等の二次電池の電解液に用いられる有機溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば、カーボネート類、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、ラクトン類、オキソラン化合物等を用いることができる。
支持塩は、その種類が特に限定されるものではないが、例えばリチウムイオン二次電池の場合、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsFから選ばれる無機塩、該無機塩の誘導体、LiSOCF、LiC(SOCF、LiN(SOCF、LiN(SO及びLiN(SOCF)(SO)から選ばれる有機塩、並びに該有機塩の誘導体の少なくとも1種であることが好ましい。また、例えばナトリウムイオン二次電池の場合、NaPF、NaBF、NaClO及びNaAsFから選ばれる無機塩、該無機塩の誘導体、NaSOCF、NaC(SOCF及びNaN(SOCF、NaN(SO及びNaN(SOCF)(SO)から選ばれる有機塩、並びに該有機塩の誘導体の少なくとも1種であることが好ましい。
セパレータは、正極及び負極を電気的に絶縁し、電解液を保持する役割を果たすものである。たとえば、多孔性合成樹脂膜、特にポリオレフィン系高分子(ポリエチレン、ポリプロピレン)の多孔膜を用いればよい。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
《製造例1:負極活物資用酸化物=Li4Ti512
[実施例1]
アナターゼ型TiO2(関東化学(株)製) 1.768kg、Li2CO3(関東化学(株)製) 0.654kg、及びエタノール(関東化学(株)製、粉砕助剤) 6gを混合し、ボールミルで4時間粉砕した後、大気雰囲気下、800℃で10時間焼成してLi4Ti512(平均粒子径100nm)を得た。
得られたLi4Ti512を1000g分取し、これに水 2000g、グルコース(日本食品化工製無水結晶ぶどう糖) 3.75g(負極活物質中における炭素原子換算量で0.15質量%に相当)、及びセルロースナノファイバー (ダイセルファインケム製セリッシュFD−200L、平均繊維径10〜100nm)16.79g(負極活物質中における炭素原子換算量で0.15質量%に相当)を添加して、懸濁液Aを得た。
次いで、懸濁液Aを噴霧乾燥(スプレードライヤー;MDL−050M、藤崎電機(株)製)して造粒体A1を得た後、これをアルゴン水素雰囲気下(水素濃度3%)、750℃で1時間焼成して、グルコース由来の炭素とセルロースナノファイバー由来の炭素が担持された二次電池用負極活物質(Li4Ti512/(CNF+C)、炭素量0.3質量%)を得た。
[実施例2]
グルコースを62.56g(負極活物質中における炭素原子換算量で2.5質量%に相当)、及びセルロースナノファイバーを279.9g(負極活物質中における炭素原子換算量で2.5質量%に相当)として得た懸濁液B1を懸濁液A1の代わりに用いた以外、実施例1と同様にして、グルコース由来の炭素とセルロースナノファイバー由来の炭素が担持された二次電池用負極活物質(Li4Ti512/(CNF+C)、炭素量5.0質量%)を得た。
[実施例3]
グルコースを157.3g(負極活物質中における炭素原子換算量で6.0質量%に相当)、及びセルロースナノファイバーを671.6g(負極活物質中における炭素原子換算量で6.0質量%に相当)として得た懸濁液C1を懸濁液A1の代わりに用いた以外、実施例1と同様にして、グルコース由来の炭素とセルロースナノファイバー由来の炭素が担持された二次電池用負極活物質(Li4Ti512/(CNF+C)、炭素量12.0質量%)を得た。
[比較例1]
実施例1において焼成により得られたLi4Ti512を1000g分取し、これに水 2000g、グルコース 125.1g(負極活物質中における炭素原子換算量で5.0質量%に相当)を添加して得た懸濁液D1を懸濁液A1の代わりに用いた以外、実施例1と同様にして、グルコースが炭化されてなる炭素が担持された二次電池用負極活物質(Li4Ti512/C、炭素量5.0質量%)を得た。
[比較例2]
グルコースを262.2g(負極活物質中における炭素原子換算量で10.0質量%に相当)、及びセルロースナノファイバーを1119.3g(負極活物質中における炭素原子換算量で10.0質量%に相当)として得た懸濁液E1を懸濁液A1の代わりに用いた以外、実施例1と同様にして、グルコース由来の炭素とセルロースナノファイバー由来の炭素が担持された二次電池用負極活物質(Li4Ti512/(CNF+C)、炭素量20.0質量%)を得た。
《製造例2:負極活物資用酸化物=Ti2Nb1029
[実施例4]
500mLポリ容器に、アナターゼ型TiO2(関東化学(株)製) 12.16g、Nb(OH)5(H.C.Starck製) 144.4g、及び水100gとともにφ3mmのジルコニアボール 1300gを入れ、混合・粉砕処理を24時間行った。その後、湿式ふるいでジルコニアボールを洗浄、及び除去した後、フィルタープレスで固液分離した。得られたケーキは、−50℃で12時間凍結乾燥した。得られた固体を大気雰囲気下、1100℃で12時間焼成し、Ti2Nb1029を得た。
得られたTi2Nb1029を1000g分取し、これに水 2000g、グルコース 3.75g(負極活物質中における炭素原子換算量で0.15質量%に相当)、及びセルロースナノファイバー 16.79g(負極活物質中における炭素原子換算量で0.15質量%に相当)を添加して、懸濁液Fを得た。
次いで、懸濁液Fを噴霧乾燥して造粒体F1を得た後、これをアルゴン水素雰囲気下(水素濃度3%)、750℃で1時間焼成して、グルコース由来の炭素とセルロースナノファイバー由来の炭素が担持された二次電池用負極活物質(Ti2Nb1029/(CNF+C)、炭素量0.3質量%)を得た。
[実施例5]
グルコースを62.56g(負極活物質中における炭素原子換算量で2.5質量%に相当)、及びセルロースナノファイバーを279.9g(負極活物質中における炭素原子換算量で2.5質量%に相当)として得た懸濁液G1を懸濁液F1の代わりに用いた以外、実施例4と同様にして、グルコース由来の炭素とセルロースナノファイバー由来の炭素が担持された二次電池用負極活物質(Ti2Nb1029/(CNF+C)、炭素量5.0質量%)を得た。
[実施例6]
グルコースを157.3g(負極活物質中における炭素原子換算量で6.0質量%に相当)、及びセルロースナノファイバーを671.6g(負極活物質中における炭素原子換算量で6.0質量%に相当)として得た懸濁液H1を懸濁液F1の代わりに用いた以外、実施例4と同様にして、グルコース由来の炭素とセルロースナノファイバー由来の炭素が担持された二次電池用負極活物質(Ti2Nb1029/(CNF+C)、炭素量12.0質量%)を得た。
[比較例3]
実施例4において焼成により得られたTi2Nb1029を1000g分取し、これに水 2000g、グルコース 125.1g(負極活物質中における炭素原子換算量で5.0質量%に相当)を添加して得た懸濁液I1を懸濁液F1の代わりに用いた以外、実施例4と同様にして、グルコース由来の炭素が担持された二次電池用負極活物質(Ti2Nb1029/C、炭素量5.0質量%)を得た。
[比較例4]
グルコースを262.2g(負極活物質中における炭素原子換算量で10.0質量%に相当)、及びセルロースナノファイバーを1119.3g(負極活物質中における炭素原子換算量で10.0質量%に相当)として得た懸濁液J1を懸濁液F1の代わりに用いた以外、実施例4と同様にして、グルコース由来の炭素とセルロースナノファイバー由来の炭素が担持された二次電池用負極活物質(Ti2Nb1029/(CNF+C)、炭素量20.0質量%)を得た。
《製造例3:負極活物資用酸化物=TiNb27
[実施例7]
5Lポリ容器に、アナターゼ型TiO2(関東化学(株)製) 243.2g、Nb2O5(関東化学(株)製)797.4g、及び水1000gと共に、φ1mmのジルコニアボール13kgを入れ、混合・粉砕処理を24時間行った。その後、湿式ふるいでジルコニアボールを洗浄、及び除去した後、フィルタープレスで固液分離した。
得られたケーキ1質量部に対して1質量部の水を添加してスラリーとした後、実施例1と同様にしてMDL−050Mを用いて噴霧乾燥し、得られた造粒体を大気雰囲気下、1300℃で12時間焼成し、TiNb27を得た。
得られたTiNb27を1000g分取し、これに水 2000g、グルコース 3.75g(負極活物質中における炭素原子換算量で0.15質量%に相当)、及びセルロースナノファイバー 16.79g(負極活物質中における炭素原子換算量で0.15質量%に相当)を添加して、懸濁液Kを得た。
次いで、懸濁液Kを噴霧乾燥して造粒体K1を得た後、これをアルゴン水素雰囲気下(水素濃度3%)、750℃で1時間焼成して、グルコース由来の炭素とセルロースナノファイバー由来の炭素が担持された二次電池用負極活物質(TiNb27/(CNF+C)、炭素量0.3質量%)を得た。
[実施例8]
グルコースを62.56g(負極活物質中における炭素原子換算量で2.5質量%に相当)、及びセルロースナノファイバーを279.9g(負極活物質中における炭素原子換算量で2.5質量%に相当)として得た懸濁液L1を懸濁液K1の代わりに用いた以外、実施例7と同様にして、グルコース由来の炭素とセルロースナノファイバー由来の炭素が担持された二次電池用負極活物質(TiNb27/(CNF+C)、炭素量5.0質量%)を得た。
[実施例9]
グルコースを157.3g(負極活物質中における炭素原子換算量で6.0質量%に相当)、及びセルロースナノファイバーを671.6g(負極活物質中における炭素原子換算量で6.0質量%に相当)として得た懸濁液M1を懸濁液K1の代わりに用いた以外、実施例7と同様にして、グルコース由来の炭素とセルロースナノファイバー由来の炭素が担持された二次電池用負極活物質(TiNb27/(CNF+C)、炭素量12.0質量%)を得た。
[比較例5]
実施例7において焼成により得られたTiNb27を1000g分取し、これに水 2000g、グルコース 125.1g(負極活物質中における炭素原子換算量で5.0質量%に相当)を添加して得た懸濁液N1を懸濁液K1の代わりに用いた以外、実施例7と同様にして、グルコース由来の炭素が担持された二次電池用負極活物質(TiNb27/C、炭素量5.0質量%)を得た。
[比較例6]
グルコースを262.2g(負極活物質中における炭素原子換算量で10.0質量%に相当)、及びセルロースナノファイバーを1119.3g(負極活物質中における炭素原子換算量で10.0質量%に相当)として得た懸濁液O1を懸濁液K1の代わりに用いた以外、実施例7と同様にして、グルコース由来の炭素とセルロースナノファイバー由来の炭素が担持された二次電池用負極活物質(TiNb27/(CNF+C)、炭素量20.0質量%)を得た。
《製造例4:負極活物資用酸化物=ブルッカイト型TiO2
[実施例10]
水 4000gに、硫酸チタニル(キシダ化学(株)製) 2656gを添加した後、50℃に加温しながら、24時間攪拌して溶液P1を得た。また、水4000gに、シュウ酸二水和物(関東化学(株)製) 633gを添加し、50℃に加温しながら溶解して溶液Pを得た。次に、溶液P1に、溶液Pを10分間かけて滴下した後、90℃に加温しながら12時間攪拌した。得られた沈殿物をフィルタープレスで分離した後、80℃で24時間乾燥してオキシシュウ酸チタンを得た。得られたオキシシュウ酸チタンを、600℃で2時間焼成して、ブルッカイト型TiO2を得た。
得られたブルッカイト型TiO2を1000g分取し、これに水 2000g、グルコース 3.75g(負極活物質中における炭素原子換算量で0.15質量%に相当)、及びセルロースナノファイバー 16.79g(負極活物質中における炭素原子換算量で0.15質量%に相当)を添加して、懸濁液Pを得た。
次いで、懸濁液Pを噴霧乾燥して造粒体P1を得た後、これをアルゴン水素雰囲気下(水素濃度3%)、750℃で1時間焼成して、グルコース由来の炭素とセルロースナノファイバー由来の炭素が担持された二次電池用負極活物質(ブルッカイト型TiO2/(CNF+C)、炭素量0.3質量%)を得た。
[実施例11]
グルコースを62.56g(負極活物質中における炭素原子換算量で2.5質量%に相当)、及びセルロースナノファイバーを279.9g(負極活物質中における炭素原子換算量で2.5質量%に相当)として得た懸濁液Q1を懸濁液P1の代わりに用いた以外、実施例10と同様にして、グルコース由来の炭素とセルロースナノファイバー由来の炭素が担持された二次電池用負極活物質(ブルッカイト型TiO2/(CNF+C)、炭素量5.0質量%)を得た。
[実施例12]
グルコースを157.3g(負極活物質中における炭素原子換算量で6.0質量%に相当)、及びセルロースナノファイバーを671.6g(負極活物質中における炭素原子換算量で6.0質量%に相当)として得た懸濁液R1を懸濁液P1の代わりに用いた以外、実施例10と同様にして、グルコース由来の炭素とセルロースナノファイバー由来の炭素が担持された二次電池用負極活物質(ブルッカイト型TiO2/(CNF+C)、炭素量12.0質量%)を得た。
[比較例7]
実施例10において焼成により得られたブルッカイト型TiO2を1000g分取し、これに水 2000g、グルコース 125.1g(負極活物質中における炭素原子換算量で5.0質量%に相当)を添加して得た懸濁液S1を懸濁液P1の代わりに用いた以外、実施例10と同様にして、グルコース由来の炭素が担持された二次電池用負極活物質(ブルッカイト型TiO2/C、炭素量5.0質量%)を得た。
[比較例8]
グルコースを262.2g(負極活物質中における炭素原子換算量で10.0質量%に相当)、及びセルロースナノファイバーを1119.3g(負極活物質中における炭素原子換算量で10.0質量%に相当)として得た懸濁液T1を懸濁液P1の代わりに用いた以外、実施例10と同様にして、グルコース由来の炭素とセルロースナノファイバー由来の炭素が担持された二次電池用負極活物質(ブルッカイト型TiO2/(CNF+C)、炭素量20.0質量%)を得た。
《製造例5:負極活物資用酸化物=SiO》
[実施例13]
市販のSiO粉末((株)大阪チタニウムテクノロジーズ製) 100gをボールミルで24時間粉砕し、平均粒径200nmのSiO粉末を得た。
得られたSiOを1000g分取し、これに水 2000g、グルコース 3.75g(負極活物質中における炭素原子換算量で0.15質量%に相当)、及びセルロースナノファイバー 16.79g(負極活物質中における炭素原子換算量で0.15質量%に相当)を添加して、懸濁液Uを得た。
次いで、懸濁液Uを噴霧乾燥して造粒体U1を得た後、これをアルゴン水素雰囲気下(水素濃度3%)、750℃で1時間焼成して、グルコース由来の炭素とセルロースナノファイバー由来の炭素が担持された二次電池用負極活物質(SiO/(CNF+C)、炭素量0.3質量%)を得た。
[実施例14]
グルコースを62.56g(負極活物質中における炭素原子換算量で2.5質量%に相当)、及びセルロースナノファイバーを279.9g(負極活物質中における炭素原子換算量で2.5質量%に相当)として得た懸濁液V1を懸濁液U1の代わりに用いた以外、実施例13と同様にして、グルコース由来の炭素とセルロースナノファイバー由来の炭素が担持された二次電池用負極活物質(SiO/(CNF+C)、炭素量5.0質量%)を得た。
[実施例15]
グルコースを157.3g(負極活物質中における炭素原子換算量で6.0質量%に相当)、及びセルロースナノファイバーを671.6g(負極活物質中における炭素原子換算量で6.0質量%に相当)として得た懸濁液W1を懸濁液U1の代わりに用いた以外、実施例10と同様にして、グルコース由来の炭素とセルロースナノファイバー由来の炭素が担持された二次電池用負極活物質(SiO/(CNF+C)、炭素量12.0質量%)を得た。
[比較例9]
実施例13において粉砕により得られたSiOを1000g分取し、これに水 2000g、グルコース 125.11g(負極活物質中における炭素原子換算量で5.0質量%に相当)を添加して得た懸濁液X1を懸濁液U1の代わりに用いた以外、実施例13と同様にして、グルコース由来の炭素が担持された二次電池用負極活物質(SiO/C、炭素量5.0質量%)を得た。
[比較例10]
グルコースを262.2g(負極活物質中における炭素原子換算量で10.0質量%に相当)、及びセルロースナノファイバーを1119.3g(負極活物質中における炭素原子換算量で10.0質量%に相当)として得た懸濁液Y1を懸濁液U1の代わりに用いた以外、実施例13と同様にして、グルコース由来の炭素とセルロースナノファイバー由来の炭素が担持された二次電池用負極活物質(SiO/(CNF+C)、炭素量20.0質量%)を得た。
《吸着水分量の測定》
得られた各負極活物質を温度20℃、相対湿度50%の環境に1日間静置して平衡に達するまで水分を吸着させ、温度150℃まで昇温して20分間保持した後、さらに温度250℃まで昇温して20分間保持したときの、150℃から昇温を再開するときを始点とし、及び250℃での恒温状態を終えたときを終点とし、始点から終点までの間に揮発した水分量を、カールフィッシャー水分計(京都電子工業(株)製MKC−610)を用いて測定し、負極活物質における吸着水分量として求めた。
結果を表1に示す。
《二次電池を用いた充放電特性の評価》
得られた各負極活物質、アセチレンブラック(導電剤)、ポリフッ化ビニリデン(粘結剤)を質量比85:10:5の配合割合で混合し、これにN−メチル−2−ピロリドンを加えて充分混練し、負極スラリーを調製した。
得られた負極スラリーを厚さ10μmの銅箔からなる集電体に塗工機を用いて塗布し、80℃で12時間の真空乾燥を行った。その後、φ14mmの円盤状に打ち抜いてハンドプレスを用いて16MPaで2分間プレスし、負極とした。
次いで、φ15mmに打ち抜いたLi箔を対極とし、電解液としてエチレンカーボネート及びエチルメチルカーボネートを体積比3:7の割合で混合した混合溶媒にLiPF6を1mol/Lの濃度で溶解したものを用い、セパレータに高分子多孔フィルム(ポリプロピレン製)を用いて、露点が−50℃以下の雰囲気で常法により組み込み収容し、コイン型リチウム二次電池(CR−2032)を製造した。
作成した各リチウム二次電池について、気温30℃環境下、充放電試験における上限電圧、下限電圧、及び2通りの充放電レート(レートA及びレートB)を各々表1に示す値に設定し、各レートで50サイクルの繰返し充放電試験を行い、初回放電容量(mAh/g)と50サイクル後の放電容量(mAh/g)を測定し、下記式(2)により容量保持率(%)を求めた。
容量保持率(%)=(50サイクル後の放電容量)/(1サイクル後の放電容量) ×100 ・・・(2)
結果を表1に示す。
なお、これらの値は、数値が大きいほど好ましく、また電池特性への吸着水分量による影響は、より速い充放電レートにおける容量保持率に現れやすい。
Figure 2017107743
上記結果より、実施例の負極活物質は、比較例の負極活物質に比して、確実に吸着水分量を低減することができるとともに、得られる電池においても優れた性能を発揮できることがわかる。

Claims (10)

  1. 負極活物質用酸化物に、セルロースナノファイバー由来の炭素と、水溶性炭素材料由来の炭素とが担持してなる二次電池用酸化物系負極活物質。
  2. 水溶性炭素材料由来の炭素の原子換算量が、0.10〜9質量%である請求項1に記載の二次電池用酸化物系負極活物質。
  3. セルロースナノファイバー由来の炭素の原子換算量が、0.10〜9質量%である請求項1又は2に記載の二次電池用正極活物質。
  4. 負極活物質用酸化物が、Li4Ti512、Ti2Nb1029、TiNb27、ブルッカイト型TiO2、及びSiOから選ばれる酸化物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の二次電池用酸化物系負極活物質。
  5. 水溶性炭素材料が、糖類、ポリオール、ポリエーテル、及び有機酸から選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の二次電池用正極活物質。
  6. 負極活物質用酸化物Xにセルロースナノファイバー、水溶性炭素材料及び水を添加して懸濁液Xを得る工程(I)並びに
    得られた懸濁液Xを噴霧乾燥して造粒体Yを得た後、焼成する工程(II)を備える、二次電池用酸化物系負極活物質の製造方法。
  7. 工程(I)におけるセルロースナノファイバーの添加量が、負極活物質用酸化物X100質量部に対して0.2〜36質量部である請求項6に記載の二次電池用酸化物系負極活物質の製造方法。
  8. 工程(I)における水溶性炭素材料の添加量が、負極活物質用酸化物X100質量部に対して0.2〜36質量部である請求項6又は7に記載の二次電池用酸化物系負極活物質の製造方法。
  9. 負極活物質用酸化物が、Li4Ti512、Ti2Nb1029、TiNb27、ブルッカイト型TiO2、及びSiOから選ばれる酸化物である請求項6〜8のいずれか1項に記載の二次電池用酸化物系負極活物質の製造方法。
  10. 水溶性炭素材料が、糖類、ポリオール、ポリエーテル、及び有機酸から選ばれる1種又は2種以上である請求項6〜8のいずれか1項に記載の二次電池用酸化物系負極活物質の製造方法。
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