最初に、磁気ディスク用ガラス基板の内周端面及び外周端面について説明する。磁気ディスクは、磁気ディスク用ガラス基板の主表面に下地層、垂直磁性層等の磁性層、保護層等を成膜することにより作製される。
このように作製された磁気ディスクは、磁性層を成膜する際の温度上昇、温度降下の際に、磁気ディスク用ガラス基板の端面にクラックが発生したり、割れが発生したりする場合がある。また、磁性層の成膜の際には、磁気ディスク用ガラス基板の内周端面及び外周端面にも、磁性粒子が回り込み磁性層が成膜されるが、このように成膜された磁性層は、ガラスと磁性層との熱膨張率差等に起因して剥がれる場合がある。
ところで、発明者達は、このような磁気ディスクを製造する際に生じる磁気ディスク用ガラス基板の端面におけるクラックの発生や、割れ、成膜された磁性層の膜剥がれは、磁気ディスク用ガラス基板の端面表面の状態に大きく依存することを見出した。具体的には、高輝度下において目視により、研磨痕が見えない状態の基板であっても、AFM(Atomic Force Microscope:原子間力顕微鏡)等の高解像度の表面測定においては、ある方向に方向性を有する筋状パターンが存在している。このような方向性を有する筋状パターンが、磁気ディスク用ガラス基板の端面におけるクラックの発生や、割れ、成膜された磁性層の膜剥がれに大きく影響を与えることを見出した。
本発明は、上記の見出された知見に基づくものであり、基板の端面において、AFMによって観測されるレベルの筋状パターンの状態を規定することにより、端面におけるクラックや割れ、磁性層の剥がれの少ない磁気ディスク用ガラス基板を提供するものである。また、洗浄を容易にし付着パーティクルの少ない磁気ディスク用ガラス基板を提供するものである。即ち、筋状パターンが顕著だと、付着パーティクルが増えるため、これを防いだ磁気ディスク用ガラス基板を提供するものである。更には、HDD用のスピンドルに挿入しやすい磁気ディスク用ガラス基板を提供するものである。
内周端面20は、内周側面部21と内周面取り部22とを有しており、内周面取り部22は、内周側面部21と主表面12との間において、面取り加工をすることにより形成される。外周端面30は、外周側面部31と外周面取り部32とを有しており、外周面取り部32は、外周側面部31と主表面12との間において、面取り加工をすることにより形成される。
素板加工工程は、ガラス素板を加工することにより、中心部に円形状の孔を有する円盤形状のガラス基板を得る。ガラス素板は、例えばフロート法、フュージョン法、プレス成形法、ダウンドロー法、リドロー法などで成形される。
面取部加工工程は、面取砥石でガラス基板の端面(内周端面および外周端面)を研削することにより、ガラス基板の外周端面に外周側面部及び外周面取り部を形成し、ガラス基板の内周端面に内周側面部及び内周面取り部を形成する。外周面取り部及び内周面取り部は、ガラス基板の主表面に対して斜めに形成されており、外周側面部及び内周側面部は、ガラス基板の主表面に対して略垂直に形成されている。尚、外周面取り部及び内周面取り部は平面でなくてもよく、丸みを帯びた曲面でもよい。
端面研磨工程は、研磨液を供給しながら回転ブラシで、ガラス基板の内周端面における内周側面部及び内周面取り部、外周端面における外周側面部及び外周面取り部を研磨することにより、加工変質層を除去する。回転ブラシによる研磨部位には研磨液が供給される。
図2及び図3は、磁気ディスク用ガラス基板10の内周端面20及び外周端面30における端面研磨工程の一例として、ブラシ研磨の様子を示すものである。図2に示されるように、複数のブラシ毛121が植毛されている回転ブラシ120を、積層した磁気ディスク用ガラス基板10の円形状の孔11内に挿入し、回転ブラシ120を回転させて、回転ブラシ120のブラシ毛121の先端を磁気ディスク用ガラス基板10の内周端面20における内周側面部21及び内周面取り部22に接触させることにより、内周端面20の端面研磨が行われる。また、図3に示されるように、複数のブラシ毛131が植毛されている回転ブラシ130を、積層した磁気ディスク用ガラス基板10の外側より近づけて、回転ブラシ130を回転させて、回転ブラシ130のブラシ毛131の先端を磁気ディスク用ガラス基板10の外周端面30における外周側面部31及び外周面取り部32に接触させることにより、外周端面30の端面研磨が行われる。
尚、複数の端面研磨工程が順次行われてもよく、回転ブラシだけで加工変質層を除去しなくてもよい。回転ブラシによるブラシ研磨の他に、パッド研磨、テープ研磨、スポンジ研磨、粘性流体研磨、磁性流体研磨などが行われてもよい。複数の端面研磨工程の間には、洗浄工程や乾燥工程が行われてよい。
そして、端面研磨工程で用いる研磨液に好適に添加することができる分散剤としては、ポリアクリル酸ナトリウムや、ポリスルフォン酸塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、クエン酸塩または2リン酸塩が挙げられる。
例えば研磨液に含まれる酸化セリウムを主成分とする粒子や、酸化セリウムを主成分とする粒子以外の酸化物粒子等の研磨砥粒の種類により、適宜好ましい種類の分散剤を研磨液に添加することができる。研磨液に酸化セリウムが含まれる場合の分散剤としては、ポリアクリル酸塩、ポリスルフォン酸塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、クエン酸塩、または2リン酸塩が好ましい。
なお、界面活性作用のある分散剤は、研磨レートが低下する点、泡が発生する点で好ましくない。分散剤として界面活性剤を用いた場合、研磨レートが低下し、研磨時間が延びるため、研磨筋が増える。研磨時間を短縮しようとした場合、研磨圧を上げる必要があり、その結果研磨筋が増える傾向となる。また、界面活性剤を使用すると研磨液が泡立つ問題もある。
これらを解消するため、一般的に界面活性剤に分類されないポリアクリル酸塩などのカルボシキル基を多く有する添加剤を添加することで研磨砥粒を分散させ、研磨レートの低下をなくすことが好ましい。また、研磨液の泡立ちも問題とならないレベルとすることができる。
主表面研磨工程は、ガラス基板の主表面(表側主表面および裏側主表面)を研磨する。主表面研磨工程では、ガラス基板の表側主表面および裏側主表面を同時に研磨する両面研磨機が用いられてよい。両面研磨機は、複数のガラス基板を同時に研磨してよい。
なお、主表面研磨工程は、複数回実施することもでき、この場合、複数回の主表面研磨工程を順次実施できる。複数回行われる主表面研磨工程では、研磨パッドの種類や研磨液に含まれる砥粒の粒度を変えて行われる。また、各回行われる主表面研磨工程の間には、洗浄工程や乾燥工程が挿入されてもよい。
また、各工程の順序は、特に限定されない。例えば、主表面研磨工程の後に、端面研磨工程が行われてもよい。また、上述の各工程以外の工程が行われてもよい。例えば、主表面研磨工程の前に、ガラス基板の主表面のラップ(例えば遊離砥粒ラップ、固定砥粒ラップなど)が行われてよい。また、端面研磨工程や主表面研磨工程の後、または主表面研磨工程の間に、化学強化が行われてもよい。化学強化は、ガラス基板の表面に含まれる小さなイオン半径のイオン(例えばLiイオンやNaイオン)を大きなイオン半径のイオン(例えばKイオン)に置換し、表面から所定の深さの強化層を形成する。強化層には圧縮応力が残留するため、傷が付きにくい。
また、磁気ディスク用ガラス基板は、洗剤等を用いたスクラブ洗浄、および洗剤、純水等に浸漬した状態で超音波を印加した精密洗浄等が行われ、イソプロピルアルコール等を用いた乾燥工程を経て、磁気ディスク製造工程に供される。
最初に、AFMを用いて磁気ディスク用ガラス基板端面の測定を行う。AFM装置においては、機構的には磁気ディスク用ガラス基板の傾斜を完全には解消することができないため、AFMにより得られた測定結果に基づき、算術的に傾斜補正を行う。このように傾斜補正が行われたものに、ハイパスフィルタ(ローカットフィルタ)、例えば、カットオフ波長が50nmのハイパスフィルタをかける。この後、係る所定の処理を行った後のAFMで測定した値を用いて、図4に示されるように、所定の角度方向における角度方向算術平均粗さRa_degを各々の角度θにおける角度方向ごとに算出できる。尚、図4(a)は、磁気ディスク用ガラス基板の側面図であり、図4(b)は、図4(a)における一点鎖線4Aで囲まれた領域の拡大図である。
具体的には、図4は、磁気ディスク用ガラス基板の端面の側面部を見たもので、図上左右方向が磁気ディスク用ガラス基板平行方向(端面の円周方向)、上下方向が磁気ディスク用ガラス基板の板厚さ方向である。長手方向の長さL、短手方向の長さL/19の領域における角度方向算術平均粗さRa_degを算出する。本実施の形態においては、例えば、長手方向の長さLは8μmとする。この長手方向、短手方向を有する長方形の領域を、この領域の対角線の交点を回転の中心として、主表面に平行な方向から時計回りに角度を変化させるときに基準から変化させる角度θを角度方向とし、磁気ディスク用ガラス基板の主表面に平行な方向を角度方向が0°の基準とし、これより時計方向に角度方向を1°ごとに変化させ、角度を増加させて角度方向算術平均粗さRa_degを算出している。0°の基準から、磁気ディスク用ガラス基板の板厚方向まで角度を増加すると角度方向θが90°となる。なお、内周側面部、及び外周側面部における上記長方形の領域の位置はAFMの測定領域内であればよく、特に限定されないが、例えば長方形の領域の対角線の交点が、内周側面部、外周側面部の板厚方向の中央部に位置することが好ましい。
このようにして得られた角度方向の角度θと角度方向算術平均粗さRa_degとの関係を図5に示す。図5に示される角度方向算術平均粗さRa_degのうち、最大の値を角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとし、最小の値を角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minとする。
図5のグラフを算出するに当たっては、AFM装置において測定の際、所定の測定領域は10μm□とし、サンプリング点は256点×256点で、磁気ディスク用ガラス基板の内周端面における内周側面部の板厚方向の中央部分及び外周端面における外周側面部の板厚方向の中央部分において測定を実施した。なお、図5では外周側面部についてのAFMの測定結果から算出したRa_degの結果のみを示している。
尚、本実施の形態においては、まず、AFMにより得られた磁気ディスク用ガラス基板の端面のデータにおいて、短手方向と長手方向による長方形の領域のデータを抽出し、各短手方向のデータについて高さの平均値(短手方向の平均高さ)を求める。次に、短手方向の平均高さにより形成される長手方向の曲線をその角度方向における断面曲線(その角度における長手方向の断面曲線)とする。そして、長手方向の断面曲線の算術平均粗さを算出し、これを角度方向算術平均粗さRa_degとしている。
このようにして得られた角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_max及び角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minに基づき、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)の値を算出する。
本実施の形態における磁気ディスク用ガラス基板は、磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部21において、AFMにより得られた算術平均粗さRaが0.7nm以下であって、AFMにより得られた結果より所定の領域において角度方向を0°から180°まで1°ごとに変化させながら各々の角度方向における角度方向算術平均粗さRa_degを算出し、算出された角度方向算術平均粗さRa_degのうち、最も大きい値を角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとし、最も小さい値を角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minとした場合に、(Ra_deg_max)と(Ra_deg_min)との差ΔRa、即ち、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)が、0.15nm以上、1.0nm以下となるものであり、より好ましくは0.15nm以上、0.60nm以下となるものであり、更に好ましくは0.15nm以上、0.50nm以下となるものであり、更に好ましくは0.15nm以上、0.40nm以下となるものであり、より一層好ましくは0.15nm以上、0.32nm以下となるものである。
また、磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部21において、AFMにより得られた結果より所定の領域において角度方向を0°から180°まで1°ごとに変化させながら各々の角度方向における角度方向算術平均粗さRa_degを算出し、算出された角度方向算術平均粗さRa_degのうち、最も大きい値となる角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxの値が、0.30nm以上、1.4nm以下となるものであり、より好ましくは0.30nm以上、0.90nm以下となるものであり、更に好ましくは0.30nm以上、0.86nm以下となるものである。
また、磁気ディスク用ガラス基板の外周側面部31において、AFMにより得られた算術平均粗さRaが0.6nm以下であって、AFMにより得られた結果より所定の領域において角度方向を0°から180°まで1°ごとに変化させながら各々の角度方向における角度方向算術平均粗さRa_degを算出し、算出された角度方向算術平均粗さRa_degのうち、最も大きい値を角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとし、最も小さい値を角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minとした場合に、(Ra_deg_max)と(Ra_deg_min)との差ΔRa、即ち、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)が、0.15nm以上、0.70nm以下となるものであり、より好ましくは0.15nm以上、0.40nm以下となるものであり、更に好ましくは0.15nm以上、0.35nm以下となるものであり、より一層好ましくは0.15nm以上、0.30nm以下となるものである。
また、磁気ディスク用ガラス基板の外周側面部31において、AFMにより得られた結果より所定の領域において角度方向を0°から180°まで1°ごとに変化させながら各々の角度方向における角度方向算術平均粗さRa_degを算出し、算出された角度方向算術平均粗さRa_degのうち、最も大きい値となる角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxの値が、0.20nm以上、1.0nm以下となるものであり、より好ましくは0.20nm以上、0.65nm以下となるものであり、更に好ましくは0.20nm以上、0.60nm以下となるものである。
磁気ディスク用ガラス基板においては、内周側面部21及び外周側面部31における(Ra_deg_max)と(Ra_deg_min)との差ΔRaが、大きすぎると、凹凸が特定の方向に沿って形成されるため、磁気ディスク用ガラス基板の製造工程中、或いは磁気ディスク製造工程中に、ジグ等との接触によりチッピングやクラックが生じやすく、磁気ディスク製造工程において磁気ディスク用ガラス基板に急激な温度変化が生じた際に、クラックが伸展し割れが生じやすくなる。また、研磨において用いられる研磨剤が筋状パターンに入り込み、後の洗浄槽における洗浄の際に、筋状パターンに入り込んでいた研磨剤が、洗浄槽に漂い、悪影響を及ぼす。一方、差が小さすぎると、磁性層の剥がれ等が生じやすくなる。また、特に外周端面に於いては、磁気ディスク製造工程における急激な温度変化の際に、外周端面と接触する金属製のジグからの伝熱が、ΔRaの比較的大きい場合に比べ、速すぎるために、磁気ディスク用ガラス基板内の局部的な温度分布による応力が大きくなり、割れが生じやすくなる。従って、クラックや割れが生じにくく、磁性層の剥がれを生じにくくするためには、内周側面部21及び外周側面部31の少なくとも一方についてΔRaは、上記範囲であることが好ましい。
また、磁気ディスク用ガラス基板においては、内周側面部21及び外周側面部31における角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxが、大きすぎると、凹凸が大きいため、磁気ディスク用ガラス基板の製造工程中、或いは磁気ディスク製造工程中に、ジグ等との接触によりチッピングやクラックが生じやすく、磁気ディスク製造工程において磁気ディスク用ガラス基板に急激な温度変化が生じた際に、クラックが伸展し割れが生じやすくなる。また、研磨において用いられる研磨剤が筋状パターンに入り込み、後の洗浄槽における洗浄の際に、筋状パターンに入り込んでいた研磨剤が、洗浄槽に漂い、悪影響を及ぼす。一方、Ra_deg_maxが小さすぎると、表面が平坦すぎるため磁性膜の付着力が低下し、磁性層の剥がれが生じやすくなる。従って、クラックや割れが生じにくく、磁性層の剥がれを生じにくくするためには、内周側面部21及び外周側面部31の少なくとも一方について角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxは、上記範囲であることが好ましい。
また、磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部21において、AFMにより得られた結果より所定の領域において角度方向を0°から180°まで1°ごとに変化させながら各々の角度方向における角度方向算術平均粗さRa_degを算出し、算出された角度方向算術平均粗さRa_degのうち、最も大きい値となる角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとなる角度方向が、好ましくは磁気ディスク用ガラス基板の主表面に垂直方向に対し、−10°以上、+10°以下の範囲となるように形成されている。より好ましくは、−5°以上、+5°以下の範囲となるように形成されている。なお、この角度方向は、磁気ディスク用ガラス基板の主表面に対して垂直方向を基準に算出しており、図5とは角度の位相がずれており、基準を替えて表現している。これにより、磁性膜の成膜のなされた磁気ディスクをスピンドルに挿入する際、挿入しやすくなり、作業時間や作業工程が簡略化され、低コスト化することができる。
なお、磁気ディスク用ガラス基板の外周側面部についても、同様に、算出された角度方向算術平均粗さRa_degのうち、最も大きい値となる角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとなる角度方向が、好ましくは磁気ディスク用ガラス基板の主表面に垂直方向に対し、−10°以上、+10°以下の範囲となるように形成されている。より好ましくは、−5°以上、+5°以下の範囲となるように形成されている。
尚、角度方向算術平均粗さRa_degは、測定の際のノイズや磁気ディスク用ガラス基板自体のうねり等に阻害されずに、筋状パターンの状態を正確に把握するために、筋状パターンの周期の2倍程度の波長のハイパスフィルタを使用するのが好ましい。
具体的には、本実施の形態における磁気ディスク用ガラス基板10に、以下の方法にて垂直磁性層等を成膜することにより、磁気ディスクが作製される。作製される磁気ディスクは、磁気ディスク用ガラス基板の主表面において、少なくとも垂直磁性層、保護層、潤滑膜が形成されている。垂直磁性層は垂直磁気記録方式に対応した材料が用いられる。尚、記録密度を更に向上させたい場合は、エネルギーアシスト磁気記録方式(例えば、熱アシスト磁気記録方式、マイクロ波アシスト磁気記録方式など)が好ましく、この場合には、垂直磁性層にはエネルギーアシスト磁気記録方式に対応した材料が用いられる。
垂直記録方式の場合には、磁気ヘッドからの記録磁界を環流させる役割を果たす軟磁性材料からなる軟磁性下地層を形成するのが一般的である。軟磁性下地層は、Co、Fe、Ni等を含む軟磁性材料が用いられる。具体的には、FeCo系合金、FeNi系合金、FeAl系合金、FeCr系合金、FeTa系合金、FeMg系合金、FeZr系合金、FeC系合金、FeN系合金、FeSi系合金、FeP系合金、FeNb系合金、FeHf系合金、FeB系合金等が用いられる。
また、磁気ディスク用ガラス基板10の主表面12における吸着ガスや吸着水分の影響、或いは磁気ディスク用ガラス基板10に含まれる成分の拡散等による軟磁性下地層の腐食を抑制するために、磁気ディスク用ガラス基板10と軟磁性下地層との間に、密着層を設けてもよい。密着層を形成する材料としては、Cr、Cr合金、Ti、Ti合金等が挙げられ、厚さ2nm〜40nm程度が好ましい。密着層は、例えば、スパッタリングによる成膜により形成することができる。
軟磁性下地層と垂直磁性層との間に、配向制御層を設けることにより、垂直磁性層の結晶粒を微細化し、記録再生特性を向上させることができる。配向制御層は、RuやRu合金、Pt、Au及びAgを含む材料ならびにCoCr系合金、TiまたはTi合金等の材料を用いることができ、膜厚は約2〜20nmが好ましい。この配向制御層は、垂直磁性層のエピタキシャル成長を容易にする機能及び軟磁性下地層と垂直磁性層との磁気交換結合を断つ機能を有している。更に、軟磁性下地層と配向制御層との間に、配向制御層の結晶粒径を制御するためのシード層を設けてもよい。シード層は、例えば、NiW系合金を用いることができる。垂直磁性層は、磁化容易軸が磁気ディスク用ガラス基板における主表面に対して垂直方向に向いている磁性膜であり、Co、Cr、Pt等を含む材料により形成されている。
垂直磁性層は、高い固有媒体ノイズの原因となる粒間交換結合を低減するため、良好に隔離された微粒子構造、即ち、グラニュラ構造とすることが好ましい。具体的には、CoCrPt系合金等に、酸化物(SiO2、SiO、Cr2O3、CoO、Ta2O5、TiO2等)や、Cr、B、Ta、Zr等を添加することが好ましい。
垂直磁性層は、磁性層と非磁性層とが交互に積層された構造としてもよい。この場合、非磁性層は、例えば、RuまたはRu合金の材料を用い、厚さ0.6〜1.2nmとすることにより、磁性層をAFC結合(反強磁性交換結合)させることができる。
垂直磁性層の腐食を防ぎ、かつ、磁気ヘッドが媒体に接触した際において、磁気ディスクの表面の損傷を防ぐため、垂直磁性層の上に保護層が形成される。保護層は、C、ZrO2、SiO2等を含む材料により形成されており、スパッタリング、CVD(chemical vapor deposition)等による成膜により形成することができる。
保護層の表面には、磁気ヘッドと記録媒体との摩擦を低減するため、潤滑膜が形成されている。潤滑膜は、例えば、パーフルオロポリエーテル、フッ素化アルコール、フッ素化カルボン酸などを用いることができる。これら潤滑膜は、ディップ法、スプレー法等により形成することができる。
(磁気ディスク用ガラス基板の製造方法)
本実施の形態における例1〜例15における磁気ディスク用ガラス基板として、外径が65mm、内径が20mm、板厚が0.64mmの磁気ディスク用ガラス基板の製造方法について説明する。本願においては、例1〜例10は実施例であり、例11〜例15は比較例である。
フロート法で成形されたSiO2を主成分とするガラス素板をドーナツ状円形ガラス基板(中心部に円形状の孔を有する円盤形状ガラス基板、以下、単にガラス基板と記載する場合がある)に加工する、円形(ドーナツ形状)加工を行った。尚、ガラス基板を形成しているガラスの熱膨張係数は、70×10−7/℃である。
次に、このガラス基板の内周端面と外周端面を、面取り幅0.15mm、面取り角度45°の磁気ディスク用ガラス基板が得られるように面取り加工した。
次に、アルミナ砥粒を用いて、ガラス基板の上下における主表面をラッピングし、砥粒を洗浄除去した。研磨具として鋳鉄定盤と、アルミナ砥粒を含有する研削液を用いて、16B型両面研磨装置により、ガラス基板の上下における主表面を1次研削した。
次に、ガラス基板の外周端面となる外周側面部と外周面取り部を研磨し、外周側面部と外周面取り部のキズを除去し、外周端面を研磨加工した。この後、外周端面研磨後のガラス基板を洗浄した。
次に、ガラス基板の内周端面となる内周側面部と内周面取り部を研磨し、内周側面部と内周面取り部のキズを除去し、内周端面を研磨加工した。この後、内周端面研磨後のガラス基板を洗浄した。
なお、各実験例において、後述する研磨加工条件により外周端面、及び内周端面の研磨を実施している。
次に、研磨具として固定砥粒工具(平均粒径4μmのダイヤモンド粒子を含有)と界面活性剤を含有する研削液を用いて、16B型両面研磨装置により上下の主表面を2次研削(固定砥粒による研削)し、2次研削後のガラス基板を洗浄し、研削液その他の汚れを除去した。
この後、このガラス基板の主表面を研磨することにより、外径が65mm、内径が20mm、板厚が0.64mmの実施例及び比較例となる磁気ディスク用ガラス基板を作製した。
主表面研磨工程では、最初に1次研磨を行った。具体的には、研磨具として軟質ウレタン製の研磨パッド(スエード系研磨パッド)と酸化セリウム砥粒を含有する研磨液(平均粒子直径(以下、平均粒子径と略す)約1.0μmの酸化セリウムを主成分した研磨液組成物)を用いて、16B型両面研磨装置により、ガラス基板の上下の主表面を1次研磨した。1次研磨は、メインの研磨加工圧力は120g/cm2、下定盤回転数は30rpm、上定盤回転数は下定盤と逆方向に10rpm、研磨キャリア公転数10rpm、自転数3rpmで、上下両主表面を板厚方向で合計30μm研磨し、研磨後のガラス基板において、酸化セリウムを洗浄除去した。
次に、2次研磨(仕上研磨)を行った。具体的には、研磨具として軟質ウレタン製の研磨パッドと、平均粒子径が20nmのコロイダルシリカ砥粒を含有する研磨液を用いて、16B型両面研磨装置により、1次研磨後のガラス基板の上下の主表面を2次研磨した。2次研磨は、メインの研磨加工圧力は10kpa、下定盤回転数は10rpm、上定盤回転数は下定盤と逆方向に5rpm、研磨キャリア公転数は4.9rpm、自転数は1.7rpmで、上下両主表面を板厚方向で合計1μm研磨した。
次に、研磨後洗浄を行った。具体的には、研磨後のガラス基板において、研磨液を洗浄除去した。
次に、最終洗浄を行った。具体的には、2次研磨及び研磨後洗浄を行ったガラス基板を、アルカリ性洗剤によるスクラブ洗浄、アルカリ性洗剤溶液に浸漬した状態での超音波洗浄、純水に浸漬した状態での超音波洗浄、を順次行い、イソプロピルアルコール蒸気により乾燥させた。
(磁気ディスク用ガラス基板の算術平均粗さRaに基づく評価方法)
磁気ディスク用ガラス基板の評価として、AFMを用いて磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部及び外周側面部における算術平均粗さRaを測定した。また、前述の角度方向算術平均粗さRa_degの算出方法に基づき、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_max、角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minを得て、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)の値を算出した。
AFM装置は、PARK Systems社製、XE−HDMを使用した。所定の測定領域は10μm□とし、サンプリング点は256点×256点である。AFMの測定は、磁気ディスク用ガラス基板の内周端面における内周側面部の板厚方向の中央部分及び外周端面における外周側面部の板厚方向の中央部分において実施した。
尚、前述したように、測定データについては傾斜補正を行っており、傾斜補正のなされた測定データにカットオフが50nmのハイパスフィルタをかけた後、角度方向算術平均粗さRa_degを算出した。
(磁気ディスクの製造方法)
例1〜例15における磁気ディスク用ガラス基板を用いて磁気ディスクを製造する製造方法について説明する。
具体的には、磁気ディスク用ガラス基板を精密洗浄して表面のパーティクルを除去した後、インライン型スパッタリング装置により、密着層を、Crターゲットとして、10nmの膜厚で成膜した。密着層の上には、軟磁性下地層を、Co−Fe−Zr−Ta合金をターゲットとして、30nmの膜厚で形成した。次に、シード層を、NiW合金をターゲットとして、10nmの膜厚で形成した。シード層の上には、配向制御層を、Ruをターゲットとして、10nmの膜厚で形成した。配向制御層の上には、垂直磁性層としてCoCrPt−SiO2のグラニュラ構造層を10nmの膜厚で形成し、非磁性中間層としてRu膜を0.6nmの膜厚で形成し、更に磁性層としてCoCrPt−SiO2のグラニュラ構造層を6nmの膜厚で形成した。上記の各層が積層された磁気ディスク用ガラス基板をインライン型スパッタリング装置から取り出し、CVD法により保護層としてカーボン膜を3nmの膜厚で形成した。この後、ディップ法により、保護層の上に、パーフルオロポリエーテルの潤滑膜を2nmの膜厚で形成した。
(磁気ディスク用ガラス基板の評価)
作製した磁気ディスク用ガラス基板において、側面部パーティクル数、チッピング数、スピンドルへの挿入容易性、端面割れ発生率に関する評価を行った。側面部パーティクル数、チッピング数については、磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部及び外周側面部について行った。スピンドルへの挿入容易性については、磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部について行った。端面割れ発生率については、磁気ディスク用ガラス基板の外周側面部について行った。
側面部パーティクル数については、磁気ディスク用ガラス基板において、内周側面部及び外周側面部をSEM(Scanning Electron Microscope)観察により、大きさが5μm以上のパーティクルの数を数え、1mm2あたり面積におけるパーティクルの個数を算出した。
なお、内周側面部、または外周側面部について、例えば1mm2当りにおけるパーティクルの個数が10個/mm2以下であれば、該側面部を含む端面について研磨剤等の付着を十分に抑制し、例えば洗浄槽に供した際に主表面に研磨砥粒等が再付着することを十分に抑制できているといえる。
チッピング数については、磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部及び外周側面部を200倍の光学顕微鏡により観察し、0.05mm以上のチッピングの数を数え、100mmあたりの長さにおけるチッピング数を算出した。尚、チッピング数には、割れも含まれている。
チッピング数については、例えば内周側面部、または外周側面部について、例えば0.12個/100mm以下の場合、チッピングや割れの発生を十分に抑制できているといえる。
スピンドルへの挿入容易性は、HDD用のスピンドルを想定した標準径のシャフトに、標準内径±1μmの磁気ディスク用ガラス基板を挿入し、挿入しやすさの評価を行った。評価では、ディスク基板の開口部をスピンドルに挿入した際、スムースに挿入されるを◎とし、やや引っ掛かるものの概ねスムースに挿入されるを○とし、挿入の際引っ掛かりやすく挿入しにくいを△とした。
スピンドルの挿入容易性は、その評価が◎または〇の場合、スピンドルに磁気ディスクを装着する際に、スムースに挿入することができ、内周端面に成膜された磁性膜が剥がれることを十分に抑制できるが、△の場合、磁性膜の少なくとも一部が剥がれる可能性が高い。このため、◎または〇の場合に合格とすることができる。
端面割れ発生率は、磁気ディスク用ガラス基板の外周を3点で支持するスパッタ用アルミニウム製ジグにディスクを搭載し、真空中、ランプヒーターで、600℃の温度まで加熱した後、室温、常圧室に移動させジグを30秒間で100℃の温度まで急冷する。この後、ジグと接触している磁気ディスク用ガラス基板の端面を50倍の光学顕微鏡で観察し、クラックの発生している磁気ディスク用ガラス基板の数を数えた結果である。評価においては、各々の例ごとに200枚の磁気ディスク用ガラス基板を用い、(クラックの発生している磁気ディスク用ガラス基板の数)/200により得られた値をクラックの発生率とした。評価では、クラックの発生率が0%のものをAランクとし、0%を超えるが1%以下のものをBランクとし、1%を超えるが2%以下のものをCランクとし、2%を超えるものをDランクとした。
端面割れ発生率は、磁性膜を成膜する際の磁気ディスク用ガラス基板にクラックや割れが発生する確率を示しており、AランクまたはBランクの場合に、磁性膜の成膜時のクラックや割れの発生を抑制できているといえ、合格とすることができる。一方、CランクまたはDランクの場合は、磁性膜を成膜する際に磁気ディスク用ガラス基板にクラックや割れを発生する可能性が高く、不合格となる。
上記において用いたSEMは、S−3400((株)日立ハイテクノロジーズ製)であり、また、光学顕微鏡は、VHX2000((株)キーエンス製)である。尚、膜はがれは、各実施例の磁気ディスク用ガラス基板を磁気ディスク製造工程にて下地層、磁性膜、保護層、潤滑膜を形成して磁気ディスクとしとものを、各実施例200枚を目視検査し、膜はがれが0枚を○、1〜2枚を△、3枚以上を×として評価した。
膜はがれについての評価は、上述のように磁性層を成膜した際の、膜はがれの発生の程度を示しており、〇の場合に合格と評価することができる。
尚、表1は内周端面、表2は外周端面における条件、結果及び評価を示す。
以下、例1〜例15の相違点となる内周端面及び外周端面の研磨加工条件と、評価結果について説明する。
尚、一部の実験例においては、研磨をする際の研磨液(研磨用スラリー)に分散剤を用いている。具体的には、例1〜例10では分散剤Aとして、高分子タイプであるポリアクリル酸ナトリウムを添加した。また、例14では分散剤Bとしてステアリン酸ナトリウムを添加した。なお、ステアリン酸ナトリウムは界面活性作用を有する。
なお、既述のように界面活性作用のある分散剤は、研磨レートが低下する点、泡が発生する点で好ましくない。分散剤として界面活性剤を用いた場合、研磨レートが低下し、研磨時間が延びるため研磨筋が増える。研磨時間を短縮しようとした場合、研磨圧を上げる必要があり、その結果研磨筋が増える傾向となる。また、界面活性剤を使用すると研磨液が泡立つ問題もある。
これに対して、例1〜例10では、分散剤Aを用いることで、研磨砥粒を分散させ、研磨レートの低下をなくすことができた。また、研磨液の泡立ちも問題とならないレベルとすることができた。
また、表1、表2に示したように、一部の実験例ではブラシ研磨に加えてパッド研磨を実施している。パッド研磨を行う場合には、図7に示されるように、内周端面を研磨するパッド220と外周端面を研磨するパッド230を用いて研磨を行った。研磨部材となるパッド220、230は、表1、表2に示すように、発泡ポリウレタン、スウェード等により形成されているものを用い、研磨砥粒としては、平均粒子径1μmの酸化セリウムを用いた。内周端面を研磨するパッド220は、回転速度20m/min、押しつけ圧力12kPaの条件で研磨を行い、外周パッド面を研磨するパッド230は、回転速度20m/min、押しつけ圧力12kPaの条件で研磨を行った。
なお、パッド220、230のA硬度が30以下の場合、パッドが軟質であることからパッド表面の発泡の不均一性を分散させることができ、研磨筋を低減させる点で好ましい。その一方、パッド220、230のA硬度が65より大きい場合、パッドのツルーイングを正確に行うことによりパッドの形状を作り込むことができ、端部の形状を維持する加工が可能となる。また、パッド表面のトリートメントを行うことにより研磨筋を低減させることが可能となった。
また、テープ研磨を行う場合には、図8に示されるように、内周端面を研磨するテープ320と外周端面を研磨するテープ330を用いて研磨を行った。内周端面を研磨するテープ320は、不織布により形成されており、2つのローラ321、322に巻かれている。内周端面を研磨する際には、ローラ321、322が回転することにより、テープ320が動き研磨が行われる。外周端面を研磨するテープ330は、不織布により形成されており、2つのローラ331、332に巻かれている。外周端面を研磨する際には、ローラ331、332が回転することにより、テープ330が動き研磨が行われる。スラリーには平均粒子径1μmの酸化セリウムを用いた。内周端面を研磨するテープ320は、移動速度8m/min、押しつけ圧力10kPaの条件で研磨を行い、外周端面を研磨するテープ330は、移動速度8m/min、押しつけ圧力10kPaの条件で研磨を行った。また、各例で角度方向は磁気ディスク用ガラス基板の主表面に対して平行方向を基準に算出している。
(例1)
例1における磁気ディスク用ガラス基板は、内周端面における内周側面部と内周面取り部は、最初に、研磨ブラシと平均粒子直径(以下、平均粒子径と略す)約1.5μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いて研磨した。この研磨における条件は、研磨ブラシの回転数は1200rpmであり、研磨ブラシの押込み量は1.0mmであり、研磨液に分散剤Aを濃度が1.0wt%となるように添加した。この後、研磨部材としてA硬度18のポリウレタンパッドと平均粒子径1.0μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いてパッド研磨を行った。
また、外周端面における外周側面部と外周面取り部は、最初に、研磨ブラシと平均粒子径1.5μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いて研磨した。この研磨における条件は、研磨ブラシの回転数は200rpmであり、研磨ブラシの押込み量は6.0mmであり、研磨液に分散剤Aを濃度が1.0wt%となるように添加した。この後、研磨部材としてA硬度18のポリウレタンパッドと平均粒子径1.0μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いてパッド研磨を行った。
この条件で作製された例1における磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部では、AFMにより得られた算術平均粗さRaは0.23nmであり、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxは0.34nmであり、角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minは0.19nmであり、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)の値は0.15nmであった。また、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとなる角度方向は、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に平行な方向に対する角度としては93°、即ち、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に垂直方向に対する角度は+3°であった。この磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部における側面部パーティクル数は0.8個/mm2であり、チッピング数は0.02個/100mmであり、スピンドルへの挿入容易性は○であった。
また、外周側面部では、AFMにより得られた算術平均粗さRaは0.18nmであり、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxは0.32nmであり、角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minは0.17nmであり、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)の値は0.15nmであった。また、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとなる角度方向は、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に平行な方向に対する角度としては93°、即ち、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に垂直方向に対する角度は+3°であった。この磁気ディスク用ガラス基板の外周側面部における側面部パーティクル数は0.6個/mm2であり、チッピング数は0.02個/100mmであり、割れ発生率はAランクであった。
さらに、上記条件で作製した磁気ディスク用ガラス基板を用いて作製した磁気ディスクについて、既述の方法で膜はがれの評価を行ったところ、〇であった。
(例2)
例2における磁気ディスク用ガラス基板は、内周端面における内周側面部と内周面取り部は、最初に、研磨ブラシと平均粒子径約1.5μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いて研磨した。この研磨における条件は、研磨ブラシの回転数は1200rpmであり、研磨ブラシの押込み量は1.0mmであり、研磨液に分散剤Aを濃度が1.0wt%となるように添加した。この後、研磨部材としてA硬度29のスウェードパッドと平均粒子径1.0μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いてパッド研磨を行った。
また、外周端面における外周側面部と外周面取り部は、最初に、研磨ブラシと平均粒子径1.5μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いて研磨した。この研磨における条件は、研磨ブラシの回転数は200rpmであり、研磨ブラシの押込み量は6.0mmであり、研磨液に分散剤Aを濃度が1.0wt%となるように添加した。この後、研磨部材としてA硬度29のスウェードパッドと平均粒子径1.0μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いてパッド研磨を行った。
この条件で作製された例2における磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部では、AFMにより得られた算術平均粗さRaは0.29nmであり、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxは0.38nmであり、角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minは0.20nmであり、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)の値は0.18nmであった。また、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとなる角度方向は、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に平行な方向に対する角度としては92°、即ち、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に垂直方向に対する角度は+2°であった。この磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部における側面部パーティクル数は0.8個/mm2であり、チッピング数は0.02個/100mmであり、スピンドルへの挿入容易性は○であった。
また、外周側面部では、AFMにより得られた算術平均粗さRaは0.21nmであり、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxは0.37nmであり、角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minは0.18nmであり、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)の値は0.19nmであった。また、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとなる角度方向は、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に平行な方向に対する角度としては93°、即ち、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に垂直方向に対する角度は+3°であった。この磁気ディスク用ガラス基板の外周側面部における側面部パーティクル数は0.8個/mm2であり、チッピング数は0.02個/100mmであり、割れ発生率はAランクであった。
さらに、上記条件で作製した磁気ディスク用ガラス基板を用いて作製した磁気ディスクについて、既述の方法で膜はがれの評価を行ったところ、〇であった。
(例3)
例3における磁気ディスク用ガラス基板は、内周端面における内周側面部と内周面取り部は、最初に、研磨ブラシと平均粒子径1.5μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いて研磨した。この研磨における条件は、研磨ブラシの回転数は1200rpmであり、研磨ブラシの押込み量は1.0mmであり、研磨液に分散剤Aを濃度が1.0wt%となるように添加した。この後、研磨部材としてA硬度66のスウェードパッドと平均粒子径1.0μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いてパッド研磨を行った。
また、外周端面における外周側面部と外周面取り部は、最初に、研磨ブラシと平均粒子径1.5μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いて研磨した。この研磨における条件は、研磨ブラシの回転数は200rpmであり、研磨ブラシの押込み量は6.0mmであり、研磨液に分散剤Aを濃度が1.0wt%となるように添加した。この後、研磨部材としてA硬度66のスウェードパッドと平均粒子径1.0μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いてパッド研磨を行った。
この条件で作製された例3における磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部では、AFMにより得られた算術平均粗さRaは0.33nmであり、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxは0.40nmであり、角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minは0.20nmであり、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)の値は0.20nmであった。また、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとなる角度方向は、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に平行な方向に対する角度としては88°、即ち、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に垂直方向に対する角度は−2°であった。この磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部における側面部パーティクル数は0.8個/mm2であり、チッピング数は0.04個/100mmであり、スピンドルへの挿入容易性は○であった。
また、外周側面部では、AFMにより得られた算術平均粗さRaは0.27nmであり、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxは0.42nmであり、角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minは0.22nmであり、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)の値は0.20nmであった。また、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとなる角度方向は、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に平行な方向に対する角度としては94°、即ち、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に垂直方向に対する角度は+4°であった。この磁気ディスク用ガラス基板の外周側面部における側面部パーティクル数は0.7個/mm2であり、チッピング数は0.04個/100mmであり、割れ発生率はAランクであった。
さらに、上記条件で作製した磁気ディスク用ガラス基板を用いて作製した磁気ディスクについて、既述の方法で膜はがれの評価を行ったところ、〇であった。
(例4)
例4における磁気ディスク用ガラス基板は、内周端面における内周側面部と内周面取り部は、最初に、研磨ブラシと平均粒子径1.5μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いて研磨した。この研磨における条件は、研磨ブラシの回転数は1200rpmであり、研磨ブラシの押込み量は1.0mmであり、研磨液に分散剤Aを濃度が1.0wt%となるように添加した。この後、研磨部材としてA硬度83の発泡ポリウレタンパッドと平均粒子径1.0μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いてパッド研磨を行った。
また、外周端面における外周側面部と外周面取り部は、最初に、研磨ブラシと平均粒子径1.5μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いて研磨した。この研磨における条件は、研磨ブラシの回転数は200rpmであり、研磨ブラシの押込み量は6.0mmであり、研磨液に分散剤Aを濃度が1.0wt%となるように添加した。この後、研磨部材としてA硬度83の発泡ポリウレタンパッドと平均粒子径1.0μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いてパッド研磨を行った。
この条件で作製された例4における磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部では、AFMにより得られた算術平均粗さRaは0.33nmであり、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxは0.44nmであり、角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minは0.22nmであり、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)の値は0.22nmであった。また、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとなる角度方向は、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に平行な方向に対する角度としては93°、即ち、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に垂直方向に対する角度は+3°であった。この磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部における側面部パーティクル数は0.8個/mm2であり、チッピング数は0.04個/100mmであり、スピンドルへの挿入容易性は○であった。
また、外周側面部では、AFMにより得られた算術平均粗さRaは0.28nmであり、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxは0.47nmであり、角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minは0.24nmであり、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)の値は0.23nmであった。また、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとなる角度方向は、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に平行な方向に対する角度としては92°、即ち、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に垂直方向に対する角度は+2°であった。この磁気ディスク用ガラス基板の外周側面部における側面部パーティクル数は0.7個/mm2であり、チッピング数は0.03個/100mmであり、割れ発生率はAランクであった。
さらに、上記条件で作製した磁気ディスク用ガラス基板を用いて作製した磁気ディスクについて、既述の方法で膜はがれの評価を行ったところ、〇であった。
(例5)
例5における磁気ディスク用ガラス基板は、内周端面における内周側面部と内周面取り部は、研磨ブラシと平均粒子径1.5μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いて研磨した。この研磨における条件は、研磨ブラシの回転数は2400rpmであり、研磨ブラシの押込み量は0.3mmであり、研磨液に分散剤Aを濃度が1.0wt%となるように添加した。
また、外周端面における外周側面部と外周面取り部は、研磨ブラシと平均粒子径1.5μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いて研磨した。この研磨における条件は、研磨ブラシの回転数は300rpmであり、研磨ブラシの押込み量は2.0mmであり、研磨液に分散剤Aを濃度が1.0wt%となるように添加した。
この条件で作製された例5における磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部では、AFMにより得られた算術平均粗さRaは0.38nmであり、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxは0.55nmであり、角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minは0.25nmであり、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)の値は0.30nmであった。また、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとなる角度方向は、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に平行な方向に対する角度としては94°、即ち、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に垂直方向に対する角度は+4°であった。この磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部における側面部パーティクル数は1.4個/mm2であり、チッピング数は0.02個/100mmであり、スピンドルへの挿入容易性は○であった。
また、外周側面部では、AFMにより得られた算術平均粗さRaは0.32nmであり、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxは0.51nmであり、角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minは0.22nmであり、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)の値は0.29nmであった。また、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとなる角度方向は、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に平行な方向に対する角度としては86°、即ち、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に垂直方向に対する角度は−4°であった。この磁気ディスク用ガラス基板の外周側面部における側面部パーティクル数は1.0個/mm2であり、チッピング数は0.02個/100mmであり、割れ発生率はAランクであった。
さらに、上記条件で作製した磁気ディスク用ガラス基板を用いて作製した磁気ディスクについて、既述の方法で膜はがれの評価を行ったところ、〇であった。
(例6)
例6における磁気ディスク用ガラス基板は、内周端面における内周側面部と内周面取り部は、研磨ブラシと平均粒子径1.5μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いて研磨した。この研磨における条件は、研磨ブラシの回転数は2400rpmであり、研磨ブラシの押込み量は0.4mmであり、研磨液に分散剤Aを濃度が1.0wt%となるように添加した。また、外周端面における外周側面部と外周面取り部は、研磨ブラシと平均粒子径1.5μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いて研磨した。この研磨における条件は、研磨ブラシの回転数は300rpmであり、研磨ブラシの押込み量は3.0mmであり、研磨液に分散剤Aを濃度が1.0wt%となるように添加した。
この条件で作製された例6における磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部では、AFMにより得られた算術平均粗さRaは0.39nmであり、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxは0.61nmであり、角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minは0.27nmであり、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)の値は0.34nmであった。また、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとなる角度方向は、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に平行な方向に対する角度としては97°、即ち、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に垂直方向に対する角度は+7°であった。この磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部おける側面部パーティクル数は1.6個/mm2であり、チッピング数は0.04個/100mmであり、スピンドルへの挿入容易性は○であった。
また、外周側面部では、AFMにより得られた算術平均粗さRaは0.38nmであり、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxは0.55nmであり、角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minは0.24nmであり、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)の値は0.31nmであった。また、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとなる角度方向は、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に平行な方向に対する角度としては93°、即ち、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に垂直方向に対する角度は+3°であった。この磁気ディスク用ガラス基板の外周側面部における側面部パーティクル数は1.0個/mm2であり、チッピング数は0.03個/100mmであり、割れ発生率はAランクであった。
さらに、上記条件で作製した磁気ディスク用ガラス基板を用いて作製した磁気ディスクについて、既述の方法で膜はがれの評価を行ったところ、〇であった。
(例7)
例7における磁気ディスク用ガラス基板は、内周端面における内周側面部と内周面取り部は、研磨ブラシと平均粒子径1.5μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いて研磨した。この研磨における条件は、研磨ブラシの回転数は2400rpmであり、研磨ブラシの押込み量は0.5mmであり、研磨液に分散剤Aを濃度が0.7wt%となるように添加した。また、外周端面における外周側面部と外周面取り部は、研磨ブラシと平均粒子径1.5μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いて研磨した。この研磨における条件は、研磨ブラシの回転数は300rpmであり、研磨ブラシの押込み量は4.0mmであり、研磨液に分散剤Aを濃度が0.7wt%となるように添加した。
この条件で作製された例7における磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部では、AFMにより得られた算術平均粗さRaは0.45nmであり、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxは0.80nmであり、角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minは0.32nmであり、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)の値は0.48nmであった。また、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとなる角度方向は、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に平行な方向に対する角度としては96°、即ち、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に垂直方向に対する角度は+6°であった。この磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部における側面部パーティクル数は2.2個/mm2であり、チッピング数は0.05個/100mmであり、スピンドルへの挿入容易性は○であった。
また、外周側面部は、AFMにより得られた算術平均粗さRaは0.45nmであり、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxは0.63nmであり、角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minは0.25nmであり、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)の値は0.38nmであった。また、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとなる角度方向は、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に平行な方向に対する角度としては94°、即ち、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に垂直方向に対する角度は+4°であった。この磁気ディスク用ガラス基板の外周側面部における側面部パーティクル数は1.9個/mm2であり、チッピング数は0.04個/100mmであり、割れ発生率はAランクであった。
さらに、上記条件で作製した磁気ディスク用ガラス基板を用いて作製した磁気ディスクについて、既述の方法で膜はがれの評価を行ったところ、〇であった。
(例8)
例8における磁気ディスク用ガラス基板は、内周端面における内周側面部と内周面取り部は、研磨ブラシと平均粒子径1.5μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いて研磨した。この研磨における条件は、研磨ブラシの回転数は2000rpmであり、研磨ブラシの押込み量は0.5mmであり、研磨液に分散剤Aを濃度が0.5wt%となるように添加した。また、外周端面における外周側面部と外周面取り部は、研磨ブラシと平均粒子径1.5μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いて研磨した。この研磨における条件は、研磨ブラシの回転数は250rpmであり、研磨ブラシの押込み量は5.0mmであり、研磨液に分散剤Aを濃度が0.5wt%となるように添加した。
この条件で作製された例8における磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部では、AFMにより得られた算術平均粗さRaは0.58nmであり、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxは0.98nmであり、角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minは0.32nmであり、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)の値は0.67nmであった。また、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとなる角度方向は、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に平行な方向に対する角度としては82°、即ち、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に垂直方向に対する角度は−8°であった。この磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部における側面部パーティクル数は4.8個/mm2であり、チッピング数は0.08個/100mmであり、スピンドルへの挿入容易性は○であった。
また、外周側面部では、AFMにより得られた算術平均粗さRaは0.43nmであり、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxは0.72nmであり、角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minは0.27nmであり、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)の値は0.46nmであった。また、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとなる角度方向は、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に平行な方向に対する角度としては82°、即ち、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に垂直方向に対する角度は−8°であった。この磁気ディスク用ガラス基板の外周側面部における側面部パーティクル数は4.3個/mm2であり、チッピング数は0.05個/100mmであり、割れ発生率はBランクであった。
さらに、上記条件で作製した磁気ディスク用ガラス基板を用いて作製した磁気ディスクについて、既述の方法で膜はがれの評価を行ったところ、〇であった。
(例9)
例9における磁気ディスク用ガラス基板は、内周端面における内周側面部と内周面取り部は、研磨ブラシと平均粒子径1.5μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いて研磨した。この研磨における条件は、研磨ブラシの回転数は2000rpmであり、研磨ブラシの押込み量は1.0mmであり、研磨液に分散剤Aを濃度が0.5wt%となるように添加した。また、外周端面における外周側面部と外周面取り部は、研磨ブラシと平均粒子径1.5μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いて研磨した。この研磨における条件は、研磨ブラシの回転数は250rpmであり、研磨ブラシの押込み量は5.0mmであり、研磨液に分散剤Aを濃度が0.5wt%となるように添加した。
この条件で作製された例9における磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部では、AFMにより得られた算術平均粗さRaは0.60nmであり、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxは1.34nmであり、角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minは0.37nmであり、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)の値は0.97nmであった。また、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとなる角度方向は、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に平行な方向に対する角度としては95°、即ち、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に垂直方向に対する角度は+5°であった。この磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部における側面部パーティクル数は5.8個/mm2であり、チッピング数は0.08個/100mmであり、スピンドルへの挿入容易性は○であった。
また、外周側面部では、AFMにより得られた算術平均粗さRaは0.43nmであり、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxは0.92nmであり、角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minは0.27nmであり、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)の値は0.65nmであった。また、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとなる角度方向は、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に平行な方向に対する角度としては98°、即ち、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に垂直方向に対する角度は+8°であった。この磁気ディスク用ガラス基板の外周側面部における側面部パーティクル数は5.5個/mm2であり、チッピング数は0.05個/100mmであり、割れ発生率はBランクであった。
さらに、上記条件で作製した磁気ディスク用ガラス基板を用いて作製した磁気ディスクについて、既述の方法で膜はがれの評価を行ったところ、〇であった。
(例10)
例10における磁気ディスク用ガラス基板は、内周端面における内周側面部と内周面取り部は、研磨ブラシと平均粒子径1.5μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いて研磨した。この研磨における条件は、研磨ブラシの回転数は2000rpmであり、研磨ブラシの押込み量は0.7mmであり、研磨液に分散剤Aを濃度が0.5wt%となるように添加した。また、外周端面における外周側面部と外周面取り部は、研磨ブラシと平均粒子径1.5μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いて研磨した。この研磨における条件は、研磨ブラシの回転数は250rpmであり、研磨ブラシの押込み量は5.0mmであり、研磨液に分散剤Aを濃度が0.5wt%となるように添加した。
この条件で作製された例10における磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部では、AFMにより得られた算術平均粗さRaは0.65nmであり、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxは1.05nmであり、角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minは0.42nmであり、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)の値は0.63nmであった。また、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとなる角度方向は、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に平行な方向に対する角度としては87°、即ち、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に垂直方向に対する角度は−3°であった。この磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部における側面部パーティクル数は5.2個/mm2であり、チッピング数は0.11個/100mmであり、スピンドルへの挿入容易性は○であった。
また、外周側面部では、AFMにより得られた算術平均粗さRaは0.42nmであり、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxは0.69nmであり、角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minは0.24nmであり、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)の値は0.44nmであった。また、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとなる角度方向は、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に平行な方向に対する角度としては90°、即ち、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に垂直方向に対する角度は0°であった。この磁気ディスク用ガラス基板の外周側面部における側面部パーティクル数は6.3個/mm2であり、チッピング数は0.08個/100mmであり、割れ発生率はBランクであった。
さらに、上記条件で作製した磁気ディスク用ガラス基板を用いて作製した磁気ディスクについて、既述の方法で膜はがれの評価を行ったところ、〇であった。
(例11)
例11における磁気ディスク用ガラス基板は、内周端面における内周側面部と内周面取り部は、テープと平均粒子径1.0μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いて研磨した。また、外周端面における外周側面部と外周面取り部は、テープと平均粒子径1.0μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いて研磨した。
この条件で作製された例11における磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部では、AFMにより得られた算術平均粗さRaは0.19nmであり、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxは0.23nmであり、角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minは0.13nmであり、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)の値は0.10nmであった。また、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとなる角度方向は、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に平行な方向に対する角度としては6°、即ち、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に垂直方向に対する角度は−84°であった。この磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部における側面部パーティクル数は0.9個/mm2であり、チッピング数は0.02個/100mmであり、スピンドルへの挿入容易性は△であった。スピンドルへの挿入が△(挿入の際引っ掛かりやすく挿入しにくい)であった原因は、挿入の際にやや斜めになった時、内径がスムースすぎて接触面が大きく、摩擦力が大きく働いたためと考えられる。
また、外周側面部では、AFMにより得られた算術平均粗さRaは0.15nmであり、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxは0.19nmであり、角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minは0.10nmであり、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)の値は0.09nmであった。また、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとなる角度方向は、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に平行な方向に対する角度としては91°、即ち、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に垂直方向に対する角度は+1°であった。この磁気ディスク用ガラス基板の外周側面部における側面部パーティクル数は0.9個/mm2であり、チッピング数は0.02個/100mmであり、割れ発生率はCランクであった。割れ発生率が比較的悪かった原因は、加熱後急冷時に金属製ジグがガラス基板より早く冷却されるが、ジグと接触するガラス基板の端面が非常に平滑で接触面積が広く、熱の伝導がなされ易いため、ガラス基板内で端面のジグ接触部とその他の部分との温度差が顕著となり、熱収縮による応力が集中し易くなったためと考えられる。
さらに、上記条件で作製した磁気ディスク用ガラス基板を用いて作製した磁気ディスクについて、既述の方法で膜はがれの評価を行ったところ、△であった。
(例12)
例12における磁気ディスク用ガラス基板は、内周端面における内周側面部と内周面取り部は、研磨ブラシと平均粒子径1.5μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いて研磨した。この研磨における条件は、研磨ブラシの回転数は2000rpmであり、研磨ブラシの押込み量は1.0mmであり、分散剤は添加してはいない。また、外周端面における外周側面部と外周面取り部は、研磨ブラシと平均粒子径1.5μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いて研磨した。この研磨における条件は、研磨ブラシの回転数は200rpmであり、研磨ブラシの押込み量は6.0mmであり、分散剤は添加してはいない。
この条件で作製された例12における磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部では、AFMにより得られた算術平均粗さRaは1.31nmであり、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxは2.15nmであり、角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minは0.75nmであり、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)の値は1.40nmであった。また、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとなる角度方向は、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に平行な方向に対する角度としては96°、即ち、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に垂直方向に対する角度は+6°であった。この磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部における側面部パーティクル数は15.2個/mm2であり、チッピング数は0.26個/100mmであり、スピンドルへの挿入容易性は◎であった。
また、外周側面部では、AFMにより得られた算術平均粗さRaは0.89nmであり、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxは1.31nmであり、角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minは0.55nmであり、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)の値は0.76nmであった。また、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとなる角度方向は、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に平行な方向に対する角度としては96°、即ち、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に垂直方向に対する角度は+6°であった。この磁気ディスク用ガラス基板の外周側面部における側面部パーティクル数は13.4個/mm2であり、チッピング数は0.15個/100mmであり、割れ発生率はCランクであった。割れ発生率が比較的悪かった原因は、割れの起点となる微細なクラックが比較的多かったためと考えられる。
さらに、上記条件で作製した磁気ディスク用ガラス基板を用いて作製した磁気ディスクについて、既述の方法で膜はがれの評価を行ったところ、〇であった。
(例13)
例13における磁気ディスク用ガラス基板は、内周端面における内周側面部と内周面取り部は、研磨ブラシと平均粒子径1.5μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いて研磨した。この研磨における条件は、研磨ブラシの回転数は1200rpmであり、研磨ブラシの押込み量は1.0mmであり、分散剤は添加してはいない。また、外周端面における外周側面部と外周面取り部は、研磨ブラシと平均粒子径1.5μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いて研磨した。この研磨における条件は、研磨ブラシの回転数は200rpmであり、研磨ブラシの押込み量は6.0mmであり、分散剤は添加してはいない。
この条件で作製された例13における磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部では、AFMにより得られた算術平均粗さRaは2.07nmであり、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxは2.84nmであり、角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minは1.47nmであり、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)の値は1.37nmであった。また、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとなる角度方向は、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に平行な方向に対する角度としては95°、即ち、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に垂直方向に対する角度は+5°であった。この磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部における側面部パーティクル数は30.3個/mm2であり、チッピング数は0.33個/100mmであり、スピンドルへの挿入容易性は◎であった。
また、外周側面部では、AFMにより得られた算術平均粗さRaは1.87nmであり、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxは2.97nmであり、角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minは0.89nmであり、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)の値は2.08nmであった。また、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとなる角度方向は、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に平行な方向に対する角度としては98°、即ち、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に垂直方向に対する角度は+8°であった。この磁気ディスク用ガラス基板の外周側面部における側面部パーティクル数は26.2個/mm2であり、チッピング数は0.22個/100mmであり、割れ発生率はDランクであった。割れ発生率が悪かった原因は、例12と同様に割れの起点となる微細なクラックが多かったためと考えられる。
さらに、上記条件で作製した磁気ディスク用ガラス基板を用いて作製した磁気ディスクについて、既述の方法で膜はがれの評価を行ったところ、〇であった。
(例14)
例14における磁気ディスク用ガラス基板は、内周端面における内周側面部と内周面取り部は、研磨ブラシと平均粒子径1.5μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いて研磨した。この研磨における条件は、研磨ブラシの回転数は2000rpmであり、研磨ブラシの押込み量は1.0mmであり、研磨液に分散剤Bを濃度が1.0wt%となるように添加した。
また、外周端面における外周側面部と外周面取り部は、研磨ブラシと平均粒子径1.5μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いて研磨した。この研磨における条件は、研磨ブラシの回転数は250rpmであり、研磨ブラシの押込み量は5.0mmであり、研磨液に分散剤Bを濃度が1.0wt%となるように添加した。
この条件で作製された例14における磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部では、AFMにより得られた算術平均粗さRaは0.59nmであり、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxは1.50nmであり、角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minは0.35nmであり、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)の値は1.15nmであった。また、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとなる角度方向は、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に平行な方向に対する角度としては95°、即ち、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に垂直方向に対する角度は+5°であった。この磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部における側面部パーティクル数は10.5個/mm2であり、チッピング数は0.17個/100mmであり、スピンドルへの挿入容易性は◎であった。
また、外周側面部では、AFMにより得られた算術平均粗さRaは0.39nmであり、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxは1.09nmであり、角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minは0.23nmであり、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)の値は0.86nmであった。また、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとなる角度方向は、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に平行な方向に対する角度としては87°、即ち、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に垂直方向に対する角度は−3°であった。この磁気ディスク用ガラス基板の外周側面部における側面部パーティクル数は10.1個/mm2であり、チッピング数は0.11個/100mmであり、割れ発生率はCランクであった。
さらに、上記条件で作製した磁気ディスク用ガラス基板を用いて作製した磁気ディスクについて、既述の方法で膜はがれの評価を行ったところ、〇であった。
(例15)
例15における磁気ディスク用ガラス基板は、内周端面における内周側面部と内周面取り部は、研磨ブラシと平均粒子径1.5μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いて研磨した。この研磨における条件は、研磨ブラシの回転数は2000rpmであり、研磨ブラシの押込み量は1.0mmであり、分散剤は添加してはいない。また、外周端面における外周側面部と外周面取り部は、研磨ブラシと平均粒子径1.5μmの酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いて研磨した。この研磨における条件は、研磨ブラシの回転数は250rpmであり、研磨ブラシの押込み量は5.0mmであり、分散剤は添加してはいない。
この条件で作製された例15における磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部では、AFMにより得られた算術平均粗さRaは0.63nmであり、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxは1.62nmであり、角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minは0.42nmであり、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)の値は1.20nmであった。また、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとなる角度方向は、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に平行な方向に対する角度としては87°、即ち、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に垂直方向に対する角度は−3°であった。この磁気ディスク用ガラス基板の内周側面部における側面部パーティクル数は12.1個/mm2であり、チッピング数は0.21個/100mmであり、スピンドルへの挿入容易性は◎であった。
また、外周側面部では、AFMにより得られた算術平均粗さRaは0.44nmであり、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxは1.06nmであり、角度方向算術平均粗さ最小値Ra_deg_minは0.25nmであり、(Ra_deg_max)−(Ra_deg_min)の値は0.81nmであった。また、角度方向算術平均粗さ最大値Ra_deg_maxとなる角度方向は、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に平行な方向に対する角度としては93°、即ち、磁気ディスク用ガラス基板における主表面に垂直方向に対する角度は+3°であった。この磁気ディスク用ガラス基板の外周側面部における側面部パーティクル数は11.5個/mm2であり、チッピング数は0.11個/100mmであり、割れ発生率はDランクであった。
さらに、上記条件で作製した磁気ディスク用ガラス基板を用いて作製した磁気ディスクについて、既述の方法で膜はがれの評価を行ったところ、〇であった。
以上、実施の形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
本実施の形態においては、領域の対角線の交点を回転の中心としたが、これはなにも対角線の交点に限らず、領域内の特定の一点を基準として角度方向を求めてもよいし、基準を主表面に平行な方向であっても垂直方向であってもよい。