JP6020754B1 - 磁気記録媒体用ガラス基板、磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体用ガラス基板、磁気記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】急激な温度変化が加えられた場合に割れが生じることを抑制した磁気記録媒体用ガラス基板を提供する。【解決手段】一対の主表面、外周端面及び内周端面を有するドーナツ形状の磁気記録媒体用ガラス基板であって、一対の主表面と垂直でかつ磁気記録媒体用ガラス基板の中心軸を通る断面において、主表面と平行な軸をX軸とし、外周端面の最外周位置のX座標を0、外周端面の最外周位置よりも磁気記録媒体用ガラス基板の中心軸側のX座標を正とした場合に、外周端面のうち、X座標が5μmの点と、X座標が10μmの点とを結んだ直線と、X軸とが形成する角度が81°以上85°以下、X座標が10μmの点と、X座標が20μmの点とを結んだ直線と、X軸とが形成する角度が69°以上83°以下、X座標が20μmの点と、X座標が30μmの点とを結んだ直線と、X軸とが形成する角度が52°以上72°以下、である。【選択図】図2

Description

本発明は、磁気記録媒体用ガラス基板、磁気記録媒体に関する。
磁気記録装置は、磁気記録媒体用基板上に磁性層等を成膜した磁気記録媒体を備えており、該磁性層を用いて情報を記録することができる。
磁気記録装置に用いられる磁気記録媒体用基板としては、従来、アルミニウム合金基板が使用されてきたが、高記録密度化の要求に伴い、アルミニウム合金基板に比べて硬く、平坦性や平滑性に優れるガラス基板が主流となってきている。
そして、近年では年々高まる高記録密度化のニーズに応えるため、エネルギーアシスト磁気記録方式を用いた磁気記録媒体、すなわちエネルギーアシスト磁気記録媒体が検討されている。エネルギーアシスト磁気記録媒体についても、基板として磁気記録媒体用ガラス基板を用い、磁気記録媒体用ガラス基板の主表面上に磁性層等を配置した構成を有することができる。
エネルギーアシスト磁気記録媒体では、磁性層の磁性材料として磁気異方性係数Kuの大きい(以下、「高Ku」とも記載する)規則合金が用いられている。そして、規則化の程度(規則度)を高めて高Kuを実現するため、磁性層の成膜時、成膜前、または成膜後に、磁気記録媒体用ガラス基板を含む基材を600℃〜700℃程度の高温で熱処理を行う場合がある。
磁性層の成膜時、成膜前、または成膜後に高温での熱処理を行うのは、例えばエネルギーアシスト磁気記録媒体の磁性層の磁性材料として好適なFePt系合金等において、アニール温度を高くするほど保磁力を高められるためでもある。
磁気記録媒体用ガラス基板は、通常一対の主表面、外周端面、及び内周端面を有するドーナツ形状を有しており、外周端面は、主表面と略垂直な外周側面部、及び外周側面部と主表面との間に配置された外周面取り部を有している。
磁気記録媒体用ガラス基板の端面形状については、従来から各種検討がなされている。例えば特許文献1には、磁気ディスクのコロージョン対策に有効な磁気記録媒体用ガラス基板が開示されている。
具体的には、基板端面の研削加工工程を含む製造方法によって製造された磁気ディスク用ガラス基板であって、前記ガラス基板の端面は、側壁面と、該ガラス基板の両方の主表面と側壁面との間の2つの面取面とから形成され、2つの面取面のいずれにおいても面内の表面粗さRaのばらつきが±0.01μm以内であり、前記ガラス基板の端面は鏡面であって、表面粗さはRmaxで1μm以下、かつ、Raで0.1μm以下であり、前記ガラス基板の内周及び外周の面取面と側壁面の角度ばらつきが目標の角度に対して0.8度以内であることを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板が開示されている。
特許第5639215号公報
ところで、磁気記録媒体用ガラス基板について、上述のような高温での熱処理時や、熱処理後の冷却時等に、急激な温度変化が加えられた際に、外周端面を起点として割れ等を生じる場合があった。このため、熱処理時に急激な温度変化が加えられた場合でも割れの発生を抑制できる磁気記録媒体用ガラス基板が求められていた。
そこで、本発明の一側面では上記従来技術が有する問題に鑑み、急激な温度変化が加えられた場合に割れが生じることを抑制した磁気記録媒体用ガラス基板を提供することを目的とする。
本発明の一側面では、一対の主表面、外周端面、及び内周端面を有するドーナツ形状の磁気記録媒体用ガラス基板であって、
前記外周端面が外周側面部、及び前記外周側面部と前記主表面との間に配置された外周面取り部を有し、
前記一対の主表面と垂直で、かつ前記磁気記録媒体用ガラス基板の中心軸を通る断面において、
前記主表面と平行な軸をX軸とし、前記外周端面の最外周位置のX座標を0、前記外周端面の最外周位置よりも、前記磁気記録媒体用ガラス基板の中心軸側のX座標を正とした場合に、
前記外周端面のうち、X座標が5μmの点と、X座標が10μmの点とを結んだ直線と、前記X軸とが形成する角度が81°以上85°以下、
前記外周端面のうち、X座標が10μmの点と、X座標が20μmの点とを結んだ直線と、前記X軸とが形成する角度が69°以上83°以下、
前記外周端面のうち、X座標が20μmの点と、X座標が30μmの点とを結んだ直線と、前記X軸とが形成する角度が52°以上72°以下、
前記外周端面のうち、X座標が30μmの点と、X座標が40μmの点とを結んだ直線と、前記X軸とが形成する角度が51°以上68°以下、
である磁気記録媒体用ガラス基板を提供する。


本発明の磁気記録媒体用ガラス基板の一側面によれば、急激な温度変化が加えられた場合に割れが生じることを抑制した磁気記録媒体用ガラス基板を提供することができる。
本発明の実施形態に係る磁気記録媒体用ガラス基板の説明図。 図1の磁気記録媒体用ガラス基板の断面図の一部拡大図。 面取り工程で用いる砥石の説明図。 端面研磨工程で用いる端面研磨装置の構成例の説明図。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
(磁気記録媒体用ガラス基板)
本実施形態の磁気記録媒体用ガラス基板の一構成例について説明を行う。
本実施形態の磁気記録媒体用ガラス基板は、一対の主表面、外周端面、及び内周端面を有するドーナツ形状の磁気記録媒体用ガラス基板であって、外周端面が外周側面部、及び外周側面部と主表面との間に配置された外周面取り部を有することができる。
ここで、一対の主表面と垂直で、かつ磁気記録媒体用ガラス基板の中心軸を通る断面において、主表面と平行な軸をX軸とし、外周端面の最外周位置のX座標を0、外周端面の最外周位置よりも、磁気記録媒体用ガラス基板の中心軸側のX座標を正とする。
この場合に、外周端面のうち、X座標が5μmの点と、X座標が10μmの点とを結んだ直線と、前記X軸とが形成する角度を81°以上85°以下とすることができる。
また、外周端面のうち、X座標が10μmの点と、X座標が20μmの点とを結んだ直線と、前記X軸とが形成する角度が69°以上83°以下とすることができる。
また、外周端面のうち、X座標が20μmの点と、X座標が30μmの点とを結んだ直線と、前記X軸とが形成する角度が52°以上72°以下とすることができる。
まず、図1を用いて本実施形態の磁気記録媒体用ガラス基板(以下、単に「ガラス基板」とも記載する)の構造について説明する。
図1は本実施形態のガラス基板の斜視断面図を模式的に示している。図1はガラス基板10の中心軸Oを通り、主表面121、122と垂直な面における断面を含む斜視断面図となっている。すなわち、図1では本実施形態のガラス基板の半分と、断面図とをあわせて示している。
図1から把握されるように、ガラス基板10は外周が円形であり、中央部には外周と同心円となるように円形の開口部(中央開口部)11が設けられた円板形状、すなわちドーナツ形状を有している。
そして、上下の面が主表面121、122となっている。また、ガラス基板10は外周に位置する外周端面13と、内周に位置する内周端面14と、を有している。
外周端面13、及び内周端面14は主表面121、122側にそれぞれ面取り部を有することができる。すなわち、外周端面13、及び内周端面14は、それぞれ一対の面取り部を有することができる。具体的には外周端面13は外周面取り部131、133を、内周端面14は内周面取り部141、143をそれぞれ有することができる。
また、面取り部間には側面部を形成することができ、外周端面13は外周側面部132を、内周端面14は内周側面部142をそれぞれ有することができる。外周側面部132、及び内周側面部142はそれぞれ主表面121、122と略垂直になるように形成できる。
以上のように、外周端面13は外周側面部132と、外周面取り部131、133とを含み、内周端面14は内周側面部142と、内周面取り部141、143とを含むことができる。
なお、本実施形態のガラス基板10のサイズは特に限定されるものではなく、ガラス基板の仕様にあわせて任意に選択することができる。本実施形態のガラス基板の直径Dは例えば48mm、65mm、または95mm等のガラス基板に要求される仕様に応じたサイズとすることができる。特に、本実施形態のガラス基板の直径は、近年需要が高まっている65mm以上であることが好ましい。
本発明の発明者らは、熱処理等を行う際に急激な温度変化が加えられた場合でも割れが生じることを抑制できるガラス基板について鋭意検討を行った。そして、熱処理等を行う際に急激な温度変化が加えられた際に生じている割れは、主に外周端面の熱膨張、または熱収縮により、外周端面に含まれる微小なクラックを起点として生じていることが分かった。
そこで、本発明の発明者らはさらに検討を行い、外周端面の形状、具体的には主表面と垂直で、かつガラス基板の中心軸を通る断面における外周端面の形状、すなわち外周端面の輪郭形状が所定の形状の場合に割れを抑制できることを見出した。
ここで、図2を用いて本実施形態のガラス基板の外周端面の形状を説明する。図2は、図1において点線で示した領域15を拡大して示した図である。
図2は、図1に示したように、一対の主表面121、122と垂直で、かつガラス基板10の中心軸Oを通る断面における外周端面周辺を拡大して示した図となる。
ここで、図2に示したように、主表面121と平行な軸をX軸とし、外周端面13の最外周位置のX座標を0、外周端面13の最外周位置よりも、磁気記録媒体用ガラス基板の中心軸側のX座標を正とする。
なお、外周端面13は図1を用いて説明したように、外周側面部132と、外周面取り部131、133とを有しており、外周側面部132は一対の主表面121、122と略垂直になっている。このため、外周側面部132が主表面121、122と垂直な直線部分を含む場合には該直線部分を、X座標が0である最外周位置とすることができる。また、外周側面部132が主表面121、122と垂直な直線部分を含まない場合には、主表面121、122と垂直な外周側面部132の接線と、X軸との交点をX座標が0である最外周位置とすることができる。
この場合に、本実施形態のガラス基板10は、外周端面13のうち、X座標Xが5μmの点Pと、X座標X10が10μmの点P10とを結んだ直線と、X軸とが形成する角度θ5−10を81°以上85°以下とすることができる。
なお、図2中においてはX軸と平行で、P10を通る直線Xを示しており、直線Xと、直線P10とが作る角度が上記θ5−10となる。
また、外周端面13のうち、X座標X10が10μmの点P10と、X座標X20が20μmの点P20とを結んだ直線と、X軸とが形成する角度θ10−20を69°以上83°以下とすることができる。なお、図2中においてはX軸と平行で、P20を通る直線Xを示しており、直線Xと、直線P1020とが作る角度が上記θ10−20となる。
また、外周端面13のうち、X座標X20が20μmの点P20と、X座標X30が30μmの点P30とを結んだ直線と、X軸とが形成する角度θ20−30を52°以上72°以下とすることができる。なお、図2中においてはX軸と平行で、P30を通る直線Xを示しており、直線Xと、直線P2030とが作る角度が上記θ20−30となる。
本実施形態のガラス基板は、外周面取り部から外周側面部にかけて上記形状を有することで、外周側面部から外周面取り部に向かって傾斜が徐々に変化する形状となっており、係る形状を有することで、急激な温度変化が加わった際に割れが生じることを抑制できる。
ところで、ガラス基板に磁性層等を成膜するために熱処理を行う場合、ガラス基板を支持部材により支持した状態で、熱処理を行い、工程によっては磁性層等が成膜される。
熱処理工程や、ガラス基板上に磁性層等を成膜する工程を実施している間は、主表面が支持部材で覆われないように、外周端面上の複数箇所にそれぞれ支持部材を押し当て、支持部材でガラス基板を挟み込むことで支持している。この際、支持部材の外周端面と対向する面は通常、外周端面のうち、主に外周側面部に対応した形状を有している。
そして、本実施形態のガラス基板の外周端面は上述のように、外周側面部と、外周面取り部との間で、面の傾きの変化がなだらかな形状を有するため、支持部材と外周端面との接触面積が広くなり、支持部材からガラス基板に加えられる力を分散できる。
このため、本実施形態のガラス基板によれば、支持部材によりガラス基板に力が局所的に加えられることを抑制でき、係る観点からも、急激な温度変化が加えられた場合の割れの発生を抑制することができる。
さらに、上述のように本実施形態のガラス基板によれば、θ5−10、θ10−20が大きいので、ガラス基板と支持部材との接触面積を広くすることができ、ガラス基板に加えられる力を分散できることから、磁性層等を成膜する際に、ガラス基板の外周端面の外周側面部と外周面取り部との間においてチッピング、すなわち欠けが生じることを抑制できる。
一方、θ20−30が大きすぎると、結果として主表面と外周面取り部との間の角度を大きくすることが困難になるため、爪状の搬送ジグや収納カセットとの接触により、主表面と外周面取り部との間に於いてチッピングが発生しやすくなる。それに対し、本実施形態のガラス基板によれば、前記部分のチッピングの発生も抑制することができる。
ちなみに外周側面部と、外周面取り部との間の断面形状を、ある範囲の単一の曲率半径(例えばR=0.6〜0.8mm)にすることで、θ5−10、θ10−20の値を大きく(例えばそれぞれ81°〜85°、69°〜83°)することは可能であるが、一方、θ20−30が大きくなり過ぎ、好適な範囲(例えば52°〜72°)にすることができない。或いは、別の範囲の単一の曲率半径(例えばR=0.15〜0.5mm)にすることで、θ20−30の値を好適な範囲にすることは可能であるが、逆にθ5−10またはθ10−20を充分に大きな範囲にすることができない。
また、磁性層等を成膜する際に、支持部材によりガラス基板を含む基材に対して電圧を印加する場合があるが、従来のガラス基板に磁性層を成膜する際には、支持部材とガラス基板との接触面積が十分ではなく、ガラス基板が安定せずアークが発生する場合があった。アークが発生すると、発塵し、製造した磁気記録媒体の検査において、ミッシングカウントが多くなる場合があった。
これに対して、本実施形態のガラス基板においては、外周端面が既述の構造を有するため、支持部材と外周端面との接触面積が広くなり、ガラス基板を安定して支持できる。このため、アークの発生を抑制し、ひいては発塵を抑制できるため、得られる磁気記録媒体において、ミッシングカウントを抑制することが可能になる。
また、本実施形態のガラス基板は、一対の主表面と垂直で、かつガラス基板の中心軸を通る断面において、主表面121と平行な軸をX軸とし、外周端面13の最外周位置のX座標を0、外周端面13の最外周位置よりも、ガラス基板の中心軸側のX座標を正とした場合に以下の構成を充足することがより好ましい。
外周端面13のうち、X座標Xが5μmの点Pと、X座標X10が10μmの点P10とを結んだ直線と、X軸とが形成する角度θ5−10が81°以上84°以下であることがより好ましい。
また、外周端面13のうち、X座標X10が10μmの点P10と、X座標X20が20μmの点P20とを結んだ直線と、X軸とが形成する角度θ10−20が75°以上82°以下であることがより好ましい。
外周端面13のうち、X座標X20が20μmの点P20と、X座標X30が30μmの点P30とを結んだ直線と、X軸とが形成する角度θ20−30が55°以上72°以下であることがより好ましい。
外周端面13のうち、X座標X30が30μmの点P30と、X座標X40が40μmの点P40とを結んだ直線と、X軸とが形成する角度θ30−40が51°以上68°以下であることがより好ましい。なお、図2中においてはX軸と平行で、P40を通る直線Xを示しており、直線Xと、直線P3040とが作る角度が上記θ30−40となる。
図2では図1に示した外周端面13のうち、外周面取り部131と外周側面部132との周辺を拡大した図を示している。しかし、図1に示したように、本実施形態のガラス基板の外周端面13は、一対の外周面取り部131、133と、外周側面部132とを有している。このため、一方の外周面取り部131と外周側面部132との部分だけではなく、もう一方の外周面取り部133と外周側面部132との部分についてもここまで説明したものと同様の構成を有することができる。
本実施形態のガラス基板についてはガラス材料については特に限定されるものではなく、各種ガラス材料を用いることができる。ただし、ガラス基板に用いるガラス材料についても、急激な温度変化が加えられた場合でも、割れを生じにくいガラス基板を用いることがより好ましい。
このため、本実施形態のガラス基板は、50℃以上350℃以下の温度域における平均熱膨張係数が50×10−7/℃未満であるガラス材料からなることがより好ましい。
これは、50℃以上350℃以下の温度域における平均熱膨張係数が、50×10−7/℃未満の場合、温度変化に伴うガラス基板の膨張、収縮を抑制できるため、急激な温度変化が加えられた場合でも、外周端面の形状と相まって、割れを抑制できるからである。
なお、50℃以上350℃以下の温度域における平均熱膨張係数の下限値は特に限定されるものではなく、本実施形態のガラス基板には、例えば50℃以上350℃以下の温度域における熱膨張係数が0より大きいガラス材料を用いることができる。
本実施形態のガラス基板のガラス材料としては、モル百分率表示で、SiOを62%以上74%以下、Alを7%以上18%以下、Bを2%以上15%以下含有し、MgOを0以上10%以下、CaO、SrOおよびBaOのいずれか1成分以上を合計で1%以上21%以下含有し、MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量合計が8%以上21%以下、上記7成分の含有量合計が95%以上であるものを、好適に用いることができる。
また、本実施形態のガラス基板のガラス材料としては、モル百分率表示でSiOを62%以上74%以下、Alを7%以上18%以下、Bを0以上2%未満、MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量合計が5%以上18%以下、上記7成分の含有量合計が95%以上であるものを好適に用いることができる。
また、本実施形態のガラス基板のガラス材料としては、モル百分率表示で、SiOを60%以上75%以下、Alを7%以上17%以下、Bを0以上2%未満、MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量合計が18%超26%以下、上記7成分の含有量合計が95%以上であるものを好適に用いることができる。
本実施形態のガラス基板は、ここまで説明したように急激な温度変化を加えた場合でも割れが生じることを抑制できる。このため、製造工程で急激な温度変化を加える場合がある、エネルギーアシスト磁気記録媒体用のガラス基板として、特に好適に用いることができる。そして、エネルギーアシスト磁気記録媒体を製造する際には、磁性層に含まれるFePt系等の磁性層合金(磁性材料)の規則化促進のため、磁性層の成膜時等に600℃〜700℃程度の高温で熱処理を行うのが一般的である。
既述のように、特にエネルギーアシスト磁気記録媒体を製造する際に、600℃〜700℃程度の高温で熱処理を行う際に、ガラス基板に急激な温度変化が加わる場合があり、従来のガラス基板においては、割れを生じる場合があった。これに対して、本実施形態のガラス基板によれば、外周端面の形状を所定の形状としているため、急激な温度変化が加えられた場合でも割れが生じることを抑制することができる。
このため、本実施形態のガラス基板は、エネルギーアシスト磁気記録媒体用の磁気記録媒体用ガラス基板として、特に好適に用いることができる。
ただし、本実施形態のガラス基板の用途は、エネルギーアシスト磁気記録媒体用のガラス基板に限定されるものではなく、各種磁気記録媒体用のガラス基板として好適に用いることができる。
次に、ここまで説明した本実施形態の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法(以下、単に「ガラス基板の製造方法」とも記載する)の一構成例について簡単に説明する。
なお、本実施形態のガラス基板の製造方法によれば、既述の磁気記録媒体用ガラス基板を製造することができる。このため、磁気記録媒体用ガラス基板において説明した内容と重複する部分については一部記載を省略する。
本実施形態のガラス基板の製造方法は、例えば以下の工程1〜工程5を含むことができる。
(工程1)ガラス素板から、中央部に円孔を有する円板形状のガラス基板に加工する形状付与工程。
(工程2)ガラス基板の内周と外周の端面部分の面取りを行う面取り工程。
(工程3)ガラス基板の端面(内周端面及び外周端面)を研磨する端面研磨工程。
(工程4)ガラス基板の主表面を研磨する主表面研磨工程。
(工程5)ガラス基板を洗浄して乾燥する洗浄・乾燥工程。
ここで、(工程1)の形状付与工程は、フロート法、フュージョン法、プレス成形法、ダウンドロー法またはリドロー法で成形されたガラス素板を、中央部に円孔を有する円板形状のガラス基板に加工するものである。なお、用いるガラス素板は、アモルファスガラスでもよく、結晶化ガラスでもよく、ガラス基板の表層に強化層を有する強化ガラスでもよい。
(工程2)の面取り工程は、内周端面、及び外周端面の面取りを行うことができる。面取り工程を行うことで、図1を用いて説明したように、内周端面14に内周面取り部141、143を、外周端面13に外周面取り部131、133を形成できる。
なお、既述の外周端面13の形状を有するガラス基板とする場合、外周面取り部131、133を形成する際に、外周側面部132と、外周面取り部131、133との間の角部を半径が0.3mm以上0.4mm以下の円の円弧曲線とすることが好ましい。そして、係る曲線の角部を含む外周端面を後述する端面研磨工程で条件を適切に選択し必要十分な研磨量を研磨し、単一曲率半径の円弧曲線を修正加工することで、既述のガラス基板の外周端面の形状とすることができる。
ガラス基板の外周端面の面取りは、通常、図3(A)に示したように略円柱形状を有し、その周面に複数の溝32が形成された砥石31を用いて行われる。
そして、図3(A)に示したように、溝32内にガラス基板10の外周端部を収容した状態で、ガラス基板10、および砥石31を、ガラス基板10の中心軸O、および砥石31の中心軸33を回転軸として回転することで面取りを行うことができる。
このため、溝32は、形成するガラス基板の外周端面の形状に対応した断面形状を有することとなる。上述のように外周側面部132と、外周面取り部131、133との間の角部を半径が0.3mm以上0.4mm以下の円の円弧曲線とする場合、これに対応した断面形状の溝32とする必要がある。
砥石31の、中心軸33、および溝32を通る面34での、溝32の断面図を図3(B)に示す。上述のように外周側面部132と、外周面取り部131、133との間の角部を所定の半径の円の円弧形状とする場合、溝32は、外周側面部132と、外周面取り部131、133との間の角部を研削する部分35A、35Bについて、対応した曲面形状にすることとなる。
また、溝32は、側壁部角度36A、36Bを、外周面取り部の面取り角度に対応する、角度とすることで、所定の面取り角度の外周面取り部を形成できる。
なお、ここでは外周端面の面取り工程を中心に説明したが、内周端面についても同様に、形成する内周端面の形状に合わせた溝を有する略円柱形状の砥石を用いて面取りを行うことができる。
(工程3)の端面研磨工程は、ガラス基板の端面(側面部と面取り部)を端面研磨することができる。
図4に、端面研磨工程において用いる端面研磨装置の構成例を説明する。
端面研磨工程では、被研磨物であるガラス基板を積層したガラス基板積層体41、42を用意することができる。ガラス基板積層体41、42は、ガラス基板の対向する主表面間にスペーサーを配置し、積層することができる。
なお、図4では2つのガラス基板積層体41、42について、同時に端面研磨を行う例を示したが、係る形態に限定されるものではなく、1つのガラス基板積層体について端面研磨を行ってもよい。また、当然のことながら2つのガラス基板積層体41、42は互いに接触しないように配置されている。
そして、ガラス基板積層体41、42の外周端面に対して円柱形状のブラシ43、44が接触するように配置することができる。この際、ブラシ43、44をガラス基板積層体41、42に対して、十分に押し当てるようにして配置することが好ましい。
なお、ブラシ43、44はそれぞれ、図中の高さ方向A、Bに沿って移動することができ、ガラス基板積層体に含まれるすべてのガラス基板の端面を研磨できる。
ブラシ43、44については特に限定されないが、ブラシ43のブラシ毛の線径と、ブラシ44のブラシ毛の線径とは異なることが好ましい。ブラシ毛の線径が異なるブラシを組み合わせて用いることで、外周面取り部と外周側面部との間の角部を丸めつつ、主表面側の外周面取り部表面を研磨することができるからである。例えばブラシ毛の線径が0.3mmのブラシと、ブラシ毛の線径が0.2mmのブラシとを組み合わせて用いることが好ましい。
ガラス基板積層体41、42、およびブラシ43、44を、ガラス基板積層体41、42と、ブラシ43、44とが接触した状態で、それぞれを図中に示した回転方向C、D、E、Fの方向に回転させることで、ガラス基板積層体41、42中のガラス基板の外周端面を研磨できる。
端面研磨工程においては、ガラス基板の外周端面について、40μm以上、70μm以下の研磨量で研磨することが好ましい。既述の面取り工程で、外周側面部と、外周面取り部との間の角部を、所定の円弧曲線としたガラス基板の外周端面について、ブラシ毛を例えば上述の線径のように組み合わせて用い、上記研磨量を研磨することで、既述のガラス基板の外周端面の形状とすることができる。
(工程4)の主表面研磨工程では、例えば両面研磨装置により、ドーナツ形状を有するガラス基板の主表面に研磨液が供給され、ドーナツ形状を有するガラス基板の上下主表面を同時に研磨できる。主表面研磨工程は、一次ポリッシュ(一次研磨)のみでもよく、一次ポリッシュ及び二次ポリッシュを行うものでもよく、二次ポリッシュの後に三次ポリッシュを行うものでもよい。
なお、(工程4)の主表面研磨工程では、上記主表面の一次研磨等を実施する前に主表面のラップ(例えば遊離砥粒ラップ、固定砥粒ラップ等)が実施されてもよい。この場合、一次ラップのみでもよく、二次ラップ等複数のラップ工程を実施することもできる。
また、各工程間にガラス基板の洗浄(工程間洗浄)やガラス基板表面のエッチング(工程間エッチング)を実施してもよい。ここで、主表面のラップとは、広義の主表面研磨である。
(工程5)の洗浄・乾燥工程は、研磨後のガラス基板を洗浄し、乾燥する工程である。具体的な洗浄方法は特に限定されるものではない。例えば、洗剤を用いたスクラブ洗浄、洗剤溶液に浸漬した状態での超音波洗浄、純水に浸漬した状態での超音波洗浄等により洗浄を行うことができる。また、乾燥方法についても特に限定されるものではなく、例えば、イソプロピルアルコール蒸気にて乾燥することができる。
さらに、上記各工程間にガラス基板の洗浄(工程間洗浄)やガラス基板表面のエッチング(工程間エッチング)を実施してもよい。また、ガラス基板に高い機械的強度が求められる場合、ガラス基板の表層に強化層を形成する強化工程(例えば、化学強化工程)を工程3、4で挙げた研磨工程前、または研磨工程後、あるいは研磨工程間で実施してもよい。
ここまで説明した工程1〜5は記載した順番に行う必要はなく、例えば、形状付与工程の前に主表面研磨工程を行ってもよい。また、各工程は1回ずつに限定されるものではなく、要求されるガラス基板の仕様等に応じて任意の回数実施することができる。例えば、形状付与工程後に主表面研磨工程を行い、その後に面取り工程と端面研磨工程を行った後、再度主表面研磨工程を実施することもできる。
以上に説明した本実施形態の磁気記録媒体用ガラス基板によれば、外周端面の形状を所定の形状としているため、急激な温度変化が加えられた場合に割れが生じることを抑制することができる。
また、本実施形態のガラス基板によれば、ガラス基板の熱処理等を行う際の、ガラス基板と支持部材との接触面積を広くすることができ、ガラス基板に加えられる力を分散できる。
このため、係る観点からもガラス基板に急激な温度変化が加えられた場合に、割れが生じることを抑制できる。
さらに、磁性層等を成膜するため、支持部材でガラス基板を支持している際に、ガラス基板の外周端面においてチッピング、すなわち欠けが生じることを抑制できる。
また、本実施形態のガラス基板においては、外周端面が既述の構造を有するため、支持部材と外周端面との接触面積が広くなり、ガラス基板を安定して支持できる。このため、磁性層等を成膜する際に、支持部材によりガラス基板を含む基材に対して電圧を印加した場合でも、アークの発生を抑制し、発塵を抑制できる。従って、得られる磁気記録媒体において、ミッシングカウントを抑制することが可能なる。
[磁気記録媒体]
次に、本実施形態の磁気記録媒体の一構成例について説明する。
本実施形態の磁気記録媒体は、既述の磁気記録媒体用ガラス基板を含むことができる。
以下に本実施形態の磁気記録媒体の一構成例を説明するが、既述の磁気記録媒体用ガラス基板は、各種記録方式の磁気記録媒体に適用することができるため、本実施形態の磁気記録媒体の構成は特に限定されるものではない。
本実施形態の磁気記録媒体は、既述のガラス基板の主表面の上に、垂直磁化膜となる垂直磁性層等を成膜することにより作製できる。垂直磁性層を形成する磁性材料としては、CoCrPt系合金、FePt系合金等が挙げられる。
本実施形態の磁気記録媒体は、具体的には例えば既述のガラス基板の主表面に、垂直磁性層、保護層、潤滑膜が形成された構成を有することができる。垂直磁性層は垂直磁気記録方式に対応した材料を用いることができる。なお、記録密度を更に向上させたい場合は、エネルギーアシスト磁気記録方式(例えば、熱アシスト磁気記録方式、マイクロ波アシスト磁気記録方式など)が好ましく、この場合には、垂直磁性層にはエネルギーアシスト磁気記録方式に対応した材料を用いることができる。
垂直記録方式の場合には、磁気ヘッドからの記録磁界を環流させる役割を果たす軟磁性材料からなる軟磁性下地層を形成するのが一般的である。軟磁性下地層は、Co、Fe、Ni等を含む軟磁性材料が用いられる。具体的には、FeCo系合金、FeNi系合金、FeAl系合金、FeCr系合金、FeTa系合金、FeMg系合金、FeZr系合金、FeC系合金、FeN系合金、FeSi系合金、FeP系合金、FeNb系合金、FeHf系合金、FeB系合金等が用いられる。
また、ガラス基板の主表面における吸着ガスや吸着水分の影響、あるいはガラス基板に含まれる成分の拡散等による軟磁性下地層の腐食を抑制するために、ガラス基板10と軟磁性下地層との間に、密着層を設けてもよい。密着層を形成する材料としては、Cr、Cr合金、Ti、Ti合金等が挙げられ、厚さ2nm以上40nm以下程度が好ましい。密着層は、例えば、スパッタリングによる成膜により形成することができる。
軟磁性下地層と垂直磁性層との間に、配向制御層を設けることにより、垂直磁性層の結晶粒を微細化し、記録再生特性を向上させることができる。配向制御層は、RuやRu合金、Pt、Au及びAgを含む材料ならびにCoCr系合金、TiまたはTi合金等の材料を用いることができ、膜厚は2nm以上20nm以下程度が好ましい。この配向制御層は、垂直磁性層のエピタキシャル成長を容易にする機能及び軟磁性下地層と垂直磁性層との磁気交換結合を断つ機能を有している。
更に、軟磁性下地層と配向制御層との間に、配向制御層の結晶粒径を制御するためのシード層を設けてもよい。シード層は、例えば、NiW系合金を用いることができる。垂直磁性層は、磁化容易軸がガラス基板における主表面に対して垂直方向に向いている磁性膜であり、Co、Cr、Pt等を含む材料により形成されている。
垂直磁性層は、高い固有媒体ノイズの原因となる粒間交換結合を低減するため、良好に隔離された微粒子構造、即ち、グラニュラ構造とすることが好ましい。具体的には、CoCrPt系合金等に、酸化物(SiO、SiO、Cr、CoO、Ta、TiO等)や、Cr、B、Ta、Zr等を添加することが好ましい。
垂直磁性層は、磁性層と非磁性層とが交互に積層された構造としてもよい。この場合、非磁性層は、例えば、RuまたはRu合金の材料を用い、厚さ0.6nm以上1.2nm以下とすることにより、磁性層をAFC結合(反強磁性交換結合)させることができる。
垂直磁性層の腐食を防ぎ、かつ、磁気ヘッドが媒体に接触した際において、磁気ディスクの表面の損傷を防ぐため、垂直磁性層の上に保護層が形成される。保護層は、C、ZrO、SiO等を含む材料により形成されており、スパッタリング、CVD(chemical vapor deposition)等による成膜により形成することができる。
保護層の表面には、磁気ヘッドと磁気記録媒体との摩擦を低減するため、潤滑膜を配置できる。潤滑膜は、例えば、パーフルオロポリエーテル、フッ素化アルコール、フッ素化カルボン酸などを用いることができる。これら潤滑膜は、ディップ法、スプレー法等により形成することができる。
以上に説明した本実施形態の磁気記録媒体は、既述の磁気記録媒体用ガラス基板を含んでいる。すなわち、急激な温度変化が加えられた場合に割れが生じることを抑制した磁気記録媒体用ガラス基板を含んでいる。このため、磁性層を成膜する際等に、ガラス基板に割れが生じることを抑制し、生産性良く本実施形態の磁気記録媒体を製造することができる。
以下に具体的な実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、以下の実験例における、磁気記録媒体用ガラス基板の評価方法について説明する。
(1)外周端面の形状
以下の各実験例で作製したガラス基板の外周端面の形状について、輪郭形状測定器(東京精密社製 型式:CONTOURECORD 1600DH)により測定を行った。なお、測定の際の触針先端Rは30μm、スキャン速度は0.3mm/secとした。
測定に当たっては、図2を用いて説明したように、一対の主表面と垂直で、かつ前記磁気記録媒体用ガラス基板の中心軸を通る断面において、主表面と平行な軸をX軸とした。そして、各ガラス基板の外周端面の輪郭形状における最外周位置のX座標を0、外周端面の最外周位置よりも、ガラス基板の中心軸側のX座標を正とした。
以下の各実験例において、作製したガラス基板について、図2を用いて説明した以下の各角度を測定、算出した。
外周端面13のうち、X座標Xが5μmの点Pと、X座標X10が10μmの点P10とを結んだ直線と、X軸とが形成する角度θ5−10
外周端面13のうち、X座標X10が10μmの点P10と、X座標X20が20μmの点P20とを結んだ直線と、X軸とが形成する角度θ10−20
外周端面13のうち、X座標X20が20μmの点P20と、X座標X30が30μmの点P30とを結んだ直線と、X軸とが形成する角度θ20−30
外周端面13のうち、X座標X30が30μmの点P30と、X座標X40が40μmの点P40とを結んだ直線と、X軸とが形成する角度θ30−40
(2)急激な温度変化による割れ発生率評価
各実験例で作製したガラス基板に、急激な温度変化を加えた際の割れ発生率について、以下の手順により評価を実施する。
各実験例において作製したガラス基板について、電気炉で230℃まで加熱後、冷却することなく電気炉から取り出す。そして、予め水温が20℃、深さ10mmとなるように水を張った水槽内の水に、ガラス基板をガラス基板の主表面に対し平行の方向に移動させ、すなわち水面とガラス基板の主表面とが垂直になるように保ちながら投入する。
水に投入した際に、ガラス基板に外周部分から5mm以上の長さの割れ、またはクラックが発生した場合に割れが発生したと判定する。
各実験例について、100枚のガラス基板を同様にして試験し、試験に供した100枚のガラス基板中、割れが発生したと判断されたガラス基板の割合、すなわち、外周部分から5mm以上の長さの割れ、またはクラックが発生したガラス基板の割合を割れ発生率とする。
割れ発生率評価試験では、上述のようにガラス基板を、230℃まで加熱後、3秒以内に水温が20℃の水に投入している。このため、ガラス基板にはおよそ70℃/秒の急激な温度変化が加えられていることになる。エネルギーアシスト磁気記録媒体を製造する工程において最も急激な温度変化は、例えばFe−Pt系合金膜の規則化に要する600℃程度の温度から、保護層を成膜するための200℃程度に保持されたCVDチャンバーに移送する際に生じる。ただし、係る温度変化は十数秒から、数十秒程度をかけて行われる。このため、係る温度変化に要する時間を15秒と見積もったとしても温度変化は27℃/秒程度である。
そこで、実際の磁気記録媒体の製造工程において、急激な温度変化を与えた場合に割れが発生することをより確実に抑制するため、ここでは磁気記録媒体を製造する際の温度勾配よりも大きな温度勾配を与えて評価を行っている。
(3)磁性層成膜後の外周チッピング発生率
後述のように、各実験例で作製したガラス基板の主表面上に磁性層等を成膜し、磁気記録媒体の作製を行っている。
そこで、磁性層成膜後のガラス基板の外周端部についてチッピングの発生率の評価を実施している。目視で確認し、チッピングを含むガラス基板についてはチッピングが発生したと判断する。各実験例について、10000枚のガラス基板について試験を行い、該10000枚のガラス基板中、チッピングが発生したガラス基板の割合をチッピング発生率とする。
なお、評価に当たっては、外周面取り部と外周側面部との間、及び主表面と外周面取り部との間に分けて、それぞれ評価を行った。外周面取り部と外周側面部との間におけるチッピングの発生率を表3中では、外周面取り部−外周側面部間と記載している。また、主表面と外周面取り部との間におけるチッピングの発生率を表3中では、主表面−外周面取り部間と記載している。
(4)磁気記録媒体の評価
作製した磁気記録媒体について、ミッシングビットによる磁気ディスク評価を実施している。
ミッシングビットは、線記録密度1600kBPI、トラック密度500kTPI(面記録密度800Gbit/inch)の条件で記録し、再生した際の信号強度を測定して評価する。
再生の際に得られる出力が、合格の閾値(第一の閾値)以下であるものをミッシングビットとし、第一の閾値以下だが修正可能な第二の閾値(第一の閾値の80%)以上のものをコレクダブル・ミッシングビット(Correctable Missing Bit)、修正不可能なもの(第一の閾値の80%未満)をアンコレクタブル・ミッシングビット(Uncorrectable Missing Bit)とする。
そして、各実験例において作製した500枚の磁気記録媒体について測定し、1面当たりの個数として算出する。
磁気ディスクの評価は、このように測定されたコレクダブル・ミッシングビット、アンコレクタブル・ミッシングビットに基づき、それぞれA、B、C、Dのランクで示す。具体的には、表1に示されるように、コレクダブル・ミッシングビットについては0.3以下(個/面)の場合、アンコレクタブル・ミッシングビットについては0.1以下(個/面)の場合、ランクAとする。
また、コレクダブル・ミッシングビットについては0.3より多く0.4以下(個/面)の場合、アンコレクタブル・ミッシングビットについては0.1より多く0.2以下(個/面)の場合、ランクBとする。
また、コレクダブル・ミッシングビットについては0.4より多く0.7以下(個/面)の場合、アンコレクタブル・ミッシングビットについては0.2より多く0.3以下(個/面)の場合、ランクCとする。
また、コレクダブル・ミッシングビットについては0.7(個/面)を超えた場合、アンコレクタブル・ミッシングビットについては0.3(個/面)を超えた場合、ランクDとする。
次に、各実験例における磁気記録媒体用ガラス基板、磁気記録媒体の製造方法について説明する。なお、実験例1〜実験例5が実施例となり、実験例6〜9が比較例となる。
[実験例1]
以下の順に各工程を実施して、磁気記録媒体用ガラス基板、および磁気記録媒体の作製を行う。
(1)磁気記録媒体用ガラス基板
(形状付与工程)
フロート法で成形された、SiOを主成分とする表2に示したガラス組成Aを有するアルミノシリケートガラス素板を用意する。そして、該ガラス素板から、外径65mm、内径20mm、板厚0.8mmの磁気記録媒体用ガラス基板が得られるように、中央部に円孔を有するドーナツ形状を有するガラス基板に加工する。
なお、内径とは、中央開口部の直径を意味する。
(面取り工程)
形状付与工程で得られたガラス基板の内周端面と外周端面とに、それぞれ内周面取り部、及び外周面取り部を形成する。
面取り工程では、内周端面を研削するための内周端面研削用砥石、および外周端面を研削するための外周端面研削用砥石を用いている。内周端面研削用砥石、および外周端面研削用砥石としてはいずれも、図3(A)に示したように略円柱形状を有し、その周面に沿って溝32を有する砥石を用いている。
そして、外周端面研磨用砥石は、図3(B)に示すように、砥石31の、中心軸33、および溝32を通る面34での、溝32の断面形状は、外周側面部132と、外周面取り部131、133との間の角部を研削する部分35A、35Bについて、半径0.40mmの円弧形状としている。すなわちRが0.40mmの曲線としている。なお、表3中では砥石底Rとして示している。また、側壁部角度36A、36Bを43°としている。
内周端面研磨用砥石は、溝32の断面形状が、内周側面部142と、内周面取り部141、143との間の角部を研削する部分35A、35Bについて、半径0.15mmの円弧形状としている。すなわちRが0.15mmの曲線とした。また、側壁部角度36A、36Bを43°としている。
なお、面取り加工は、内周側面部、外周側面部、共に2段階で行い、1段階目の砥石は粒度#325、2段階目の砥石は粒度#800のダイヤモンドの電着砥石をそれぞれ用いている。
(主表面研磨工程:一次ラップ工程)
研磨具として鋳鉄定盤と、アルミナ砥粒を含有する研削液とを用いて、16B型両面研磨装置により、ガラス基板の上下の主表面の研削を行う。1次ラップ工程終了後、ガラス基板を洗浄し、研削液その他の汚れを除去する。
(端面研磨工程:外周端面研磨工程)
外周側面部と外周面取り部とを、研磨ブラシと平均粒子直径(以下、平均粒径と略す)が約1.5μmの酸化セリウム砥粒を含有する研磨剤とを用いて研磨し、外周側面及び外周面取り部の疵を除去し、鏡面となるように外周端面を研磨加工する。
より具体的には、図4に示した端面研磨装置を用いて、外周端面の研磨を行っている。
ガラス基板積層体41、42は、厚さ0.4mmの樹脂製スペーサーを介して、主表面研磨工程(一次ラップ工程)までを終えたガラス基板を100枚積層して形成する。
また、ブラシ43としてはナイロン製の毛径0.3mmのロール状研磨ブラシを、ブラシ44としてはナイロン製の毛径0.2mmのロール状研磨ブラシを用いている。
そして、ガラス基板積層体41、42の外周にブラシ43、44を、各ブラシのブラシ押し込み量が4mmとなるように押し当てて、ガラス基板積層体41、42とブラシ43、44を回転させて外周端面の研磨量が60μmとなるように研磨を行う。
なお、平均粒径は、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。なお、本明細書の他の部分でも、平均粒径は同様の意味を有する。
(端面研磨工程:内周端面研磨工程)
内周端面については、ガラス基板の内周側面部と内周面取り部とを、研磨ブラシと平均粒径約1.5μmの酸化セリウム砥粒を含有する研磨剤とを用いて研磨を行っている。これにより、内周側面及び内周面取り部の疵を除去し、鏡面となるように内周端面を研磨加工している。
外周端面、および内周端面を研磨後はガラス基板を洗浄し、研磨剤その他の汚れを除去する。
(主表面研磨工程:二次ラップ工程)
研磨具として平均粒径4μmのダイヤモンド粒子を含有する固定砥粒工具と、界面活性剤を含有する研削液とを用いて、16B型両面研磨装置によりガラス基板の上下の主表面を研削する。
主表面研磨工程(二次ラップ工程)終了後、ガラス基板を洗浄し、研削液その他の汚れを除去を行う。
(主表面研磨工程:一次ポリッシュ工程)
主表面研磨工程(一次ポリッシュ工程)では、研磨具として、軟質ウレタン製研磨パッド(スウェード系研磨パッド)と、平均粒径が約1.0μmの酸化セリウムを主成分として含有する研削液とを用いて、16B型の両面研磨装置によりガラス基板の上下の主表面をポリッシュする。
メインの研磨加工圧力は12kPa、下定盤回転数は30rpm、上定盤回転数は下定盤と逆方向に10rpm、研磨キャリア公転数10rpm、自転数3rpmで、上下両主平面を板厚方向で合計30μm研磨する。
主表面研磨工程(一次ポリッシュ工程)終了後、ガラス基板を洗浄し、研削液その他の汚れを除去する。
(主表面研磨工程:二次ポリッシュ工程)
主表面研磨工程(二次ポリッシュ工程)では、研磨具として軟質ウレタン製の研磨パッドと、平均粒径が20nmのコロイダルシリカ砥粒を含有する研磨液を用いて、16B型の両面研磨装置によりガラス基板の上下の主表面をポリッシュする。
メインの研磨加工圧力を10kPa、下定盤回転数を10rpm、上定盤回転数を下定盤と逆方向に5rpm、研磨キャリア公転数を4.9rpm、自転数1.7rpmとして上下両主平面を板厚方向で合計1μm研磨する。
主表面研磨工程(二次ポリッシュ工程)終了後、ガラス基板を洗浄し、研削液その他の汚れを除去を行う。
(洗浄・乾燥工程)
主表面研磨工程(二次ポリッシュ工程)を行ったガラス基板は、アルカリ性洗剤によるスクラブ洗浄、アルカリ性洗剤溶液に浸漬した状態での超音波洗浄、純水に浸漬した状態での超音波洗浄、を順次行い(精密洗浄)、次いで、イソプロピルアルコール蒸気にて乾燥を行う。
以上の手順により得られた磁気記録媒体用ガラス基板について、上述の外周端面の形状、急激な温度変化による割れ発生率の評価を実施する。結果を表3に示す。
(2)磁気記録媒体
得られたガラス基板を精密洗浄して表面のパーティクルを除去し、その後インライン型スパッタリング装置により、ガラス基板の主表面上に密着層を、Crをターゲットとして、10nmの膜厚で成膜する。
なお、インライン型スパッタリング装置内では、ガラス基板の外周端面上の複数箇所にそれぞれ支持部材を押し当て、支持部材でガラス基板を挟み込むことで支持している。
密着層の上には、軟磁性下地層を、Co−Fe−Zr−Ta合金をターゲットとして、30nmの膜厚で形成する。
次に、シード層を、NiW合金をターゲットとして、10nmの膜厚で形成する。
シード層の上には、配向制御層を、Ruをターゲットとして、10nmの膜厚で形成する。
配向制御層の上には、垂直磁性層としてCoCrPt−SiOのグラニュラ構造層を10nmの膜厚で形成し、非磁性中間層としてRu膜を0.6nmの膜厚で形成し、更に磁性層としてCoCrPt−SiOのグラニュラ構造層を6nmの膜厚で形成する。
上記の各層が積層されたガラス基板をインライン型スパッタリング装置から移送し、CVD法により保護層としてカーボン膜を3nmの膜厚で形成する。この後、ディップ法により、保護層の上に、パーフルオロポリエーテルの潤滑膜を2nmの膜厚で形成する。
得られた磁気記録媒体について、既述の評価を行う。結果を表3に示す。
[実験例2、実験例3]
(1)磁気記録媒体用ガラス基板
面取り工程において、外周端面研削用砥石の溝の形状が異なる点、及び端面研磨工程の外周端面の研磨量が異なる点以外は、実験例1と同様にしてガラス基板を作製し、評価を行う。
なお、図3(A)、(B)において、外周端面研削用の砥石31の、中心軸33、および溝32を通る面34での、溝32の断面形状は、外周側面部132と、外周面取り部131、133との間の角部を研削する部分35A、35Bについて、半径0.30mmの円弧形状としている。すなわちRが0.30mmの曲線としている。
また、表3に示すように、端面研磨工程の外周端面の研磨量が50μm(実験例2)、または40μm(実験例3)となるように研磨を行う。
評価結果を表2に示す。
(2)磁気記録媒体
各実験例で作製した磁気記録媒体用ガラス基板を用いる点以外は、実験例1と同様にして磁気記録媒体を作製する。
評価結果を表3に示す。
[実験例4、5]
(1)磁気記録媒体用ガラス基板
ガラス素板以外は、実験例2と同様にしてガラス基板を作製し、評価を行う。
なお、実施例4は、フロート法で成形された、SiOを主成分とする表2に示したガラス組成Bを有するアルミノシリケートガラス素板を、また実施例5は同じく表2に示したガラス組成Cを有するアルミノシリケートガラス素板を用いる。
評価結果を表2に示す。
(2)磁気記録媒体
各実験例で作製した磁気記録媒体用ガラス基板を用いる点以外は、実験例1と同様にして磁気記録媒体を作製する。
評価結果を表3に示す。
[実験例6〜9]
(1)磁気記録媒体用ガラス基板
面取り工程において、外周端面研削用砥石の溝の形状が異なる点、及び端面研磨工程の外周端面の研磨量が異なる点以外は、実験例1と同様にしてガラス基板を作製し、評価を行う。
なお、図3(A)、(B)において、外周端面研削用の砥石31の、中心軸33、および溝32を通る面34での、溝32の断面形状は、外周側面部132と、外周面取り部131、133との間の角部を研削する部分35A、35Bについて、半径0.20mm(実験例6)、半径0.15mm(実験例7)、半径0.10mm(実験例8)、および半径0.60mm(実験例9)の円弧形状としている。すなわちRが0.20mm、0.15mm、0.10mm、および0.60mmの曲線としている。
また、表3に示したように、端面研磨工程の外周端面の研磨量が実施例6、7,8,および9ではそれぞれ、20μm、15μm、15μm、および30μmとなるように研磨を行う。具体的には、図4に示した端面研磨装置において、ガラス基板積層体41、42の外周にブラシ43、44を、各ブラシのブラシ押し込み量が実施例6および7では1.5mm、実施例8では2mm、実施例9では3mmとなるように押し当てて、ガラス基板積層体41、42とブラシ43、44を回転させて上記研磨量となるように研磨を行っている。なお、ブラシ43、44としては、実施例6および7では共にナイロン製の毛径0.15mm、実施例8では共にナイロン製の毛径0.2mm、実施例9では共にナイロン製の毛径0.3mmのそれぞれロール状研磨ブラシを用いている。
評価結果を表2に示す。
(2)磁気記録媒体
各実験例で作製した磁気記録媒体用ガラス基板を用いる点以外は、実験例1と同様にして磁気記録媒体を作製する。
評価結果を表3に示す。
Figure 0006020754
Figure 0006020754
Figure 0006020754
表3に示した結果によると、ガラス基板の外周端面の形状について、θ5−10、θ10−20、θ20−30がそれぞれ81°以上85°以下、69°以上83°以下、52°以上72°以下となっている実験例1〜実験例5のガラス基板はいずれも急激な温度変化による割れ発生率が5%以下と低くなっていることを確認できる。
更に、ガラスの平均熱膨張係数が実験例1〜3より小さい実験例4および5は、外周端面形状が実験例2と同様だが、急激な温度変化による割れ発生率が実験例2より低く、0%となっている。
これに対して、外周端面の形状のθ5−10およびθ10−20が、上記範囲を満たさない実験例6〜8については、急激な温度変化による割れ発生率が15%を超え、非常に高くなっていることを確認できる。なお、外周端面形状のθ5−10およびθ10−20が上記範囲を満たしている実験例9では、急激な温度変化による割れ発生率は3%と比較的低い水準をしめす。
以上の結果から、急激な温度変化による割れ発生率にはガラス基板の外周端面の形状が影響しており、所定の形状とすることで、割れ発生率を抑制できることを確認できる。
また、外周端面の形状が上記形状である実験例1〜実験例5のガラス基板については、実験例6〜9のガラス基板と比較して、磁性層成膜後の外周チッピング発生率を低く抑制できることを確認できる。
なお、外周端面形状のθ5−10およびθ10−20が上記形状範囲外である実験例6〜8では外周側面と外周面取り面との間のチッピングの発生率が高く、外周端面形状のθ20−30が上記範囲外である実験例8および9では、主表面と外周面取り面との間のチッピング発生率が高くなっている。
さらには、実験例1〜実験例5のガラス基板については、磁気記録媒体とした際のCorrectable Missing Bit、Uncorrectable Missing Bitのランクについても、実験例6〜8のガラス基板よりも高くなることが確認できる。
10 磁気記録媒体用ガラス基板
121、122 主表面
13 外周端面
131、133 外周面取り部
132 外周側面部
14 内周端面

Claims (8)

  1. 一対の主表面、外周端面、及び内周端面を有するドーナツ形状の磁気記録媒体用ガラス基板であって、
    前記外周端面が外周側面部、及び前記外周側面部と前記主表面との間に配置された外周面取り部を有し、
    前記一対の主表面と垂直で、かつ前記磁気記録媒体用ガラス基板の中心軸を通る断面において、
    前記主表面と平行な軸をX軸とし、前記外周端面の最外周位置のX座標を0、前記外周端面の最外周位置よりも、前記磁気記録媒体用ガラス基板の中心軸側のX座標を正とした場合に、
    前記外周端面のうち、X座標が5μmの点と、X座標が10μmの点とを結んだ直線と、前記X軸とが形成する角度が81°以上85°以下、
    前記外周端面のうち、X座標が10μmの点と、X座標が20μmの点とを結んだ直線と、前記X軸とが形成する角度が69°以上83°以下、
    前記外周端面のうち、X座標が20μmの点と、X座標が30μmの点とを結んだ直線と、前記X軸とが形成する角度が52°以上72°以下、
    前記外周端面のうち、X座標が30μmの点と、X座標が40μmの点とを結んだ直線と、前記X軸とが形成する角度が51°以上68°以下、
    である磁気記録媒体用ガラス基板。
  2. 前記外周端面のうち、X座標が5μmの点と、X座標が10μmの点とを結んだ直線と、前記X軸とが形成する角度が81°以上84°以下、
    前記外周端面のうち、X座標が10μmの点と、X座標が20μmの点とを結んだ直線と、前記X軸とが形成する角度が75°以上82°以下、
    前記外周端面のうち、X座標が20μmの点と、X座標が30μmの点とを結んだ直線と、前記X軸とが形成する角度が55°以上72°以下、
    前記外周端面のうち、X座標が30μmの点と、X座標が40μmの点とを結んだ直線と、前記X軸とが形成する角度が51°以上68°以下、
    である請求項1に記載の磁気記録媒体用ガラス基板。
  3. 50℃以上350℃以下の温度域における平均熱膨張係数が50×10−7/℃未満のガラス材料からなる、請求項1または2記載の磁気記録媒体用ガラス基板。
  4. エネルギーアシスト磁気記録媒体用の磁気記録媒体用ガラス基板である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の磁気記録媒体用ガラス基板。
  5. モル百分率表示で、SiOを62%以上74%以下、Alを7%以上18%以下、Bを2%以上15%以下含有し、MgOを0以上10%以下、CaO、SrOおよびBaOのいずれか1成分以上を合計で1%以上21%以下含有し、MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量合計が8%以上21%以下、上記7成分の含有量合計が95%以上のガラス材料からなる請求項1乃至4の何れか一項に記載の磁気記録媒体用ガラス基板。
  6. モル百分率表示でSiOを62%以上74%以下、Alを7%以上18%以下、Bを0以上2%未満、MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量合計が5%以上18%以下、上記7成分の含有量合計が95%以上のガラス材料からなる請求項1乃至4の何れか一項に記載の磁気記録媒体用ガラス基板。
  7. モル百分率表示で、SiOを60%以上75%以下、Alを7%以上17%以下、Bを0以上2%未満、MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量合計が18%超26%以下、上記7成分の含有量合計が95%以上のガラス材料からなる請求項1乃至4の何れか一項に記載の磁気記録媒体用ガラス基板。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の磁気記録媒体用ガラス基板を含む磁気記録媒体。
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