以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、電子写真方式の画像形成装置において、感光体上の静電潜像を現像する現像器と、粉体であるトナーとキャリアとの混合剤からなる現像剤の供給元である容器との間で、現像剤を保持するサブホッパーでの現像剤残量検知を例として説明する。なお、本実施形態においては、現像剤として、トナーとキャリアとの混合剤を用いているが、キャリアを含まずトナーのみからなる現像剤でもよく、その他の画像形成に用いることが可能な紛体でもかまわない。また、本発明は画像形成装置以外にも適用可能であって、粉体としては、現像剤に限らず、小麦粉、金属粉、樹脂粒でも適用可能である。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置100の概略構成図である。図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置100は、中間転写ベルト105に沿って各色の画像形成部106Y,106M,106C,106K(以降、総じて画像形成部106とする)が並べられた、所謂タンデムタイプである。また、給紙トレイ101から給紙ローラ102により給紙された用紙104は、レジストローラ103によって一度止められ、画像形成部106における画像形成のタイミングに応じて中間転写ベルト105からの画像の転写位置に送り出される。複数の画像形成部106Y,106M,106C,106Kは、形成するトナー画像の色が異なるだけで内部構成は共通である。画像形成部106Kはブラックの画像を、画像形成部106Mはマゼンタの画像を、画像形成部106Cはシアンの画像を、画像形成部106Yはイエローの画像をそれぞれ形成する。
なお、以下の説明においては、画像形成部106Yについて具体的に説明するが、他の画像形成部106M,106C,106Kは画像形成部106Yと同様であるので、その説明を省略する。中間転写ベルト105は、回転駆動される駆動ローラ107と従動ローラ108とに架け渡されたエンドレスのベルト、すなわち無端状ベルトである。この駆動ローラ107は、駆動モータにより回転駆動させられ、この駆動モータと、駆動ローラ107と、従動ローラ108とが、無端状移動手段である中間転写ベルト105を移動させる駆動手段として機能する。
画像形成に際しては、回転駆動される中間転写ベルト105に対して、最初の画像形成部106Yが、ブラックのトナー画像を転写する。画像形成部106Yは、感光体としての感光体ドラム109Y、この感光体ドラム109Yの周囲に配置された帯電器110Y、光書き込み装置111、現像器112Y、感光体クリーナ113Y、除電器等から構成されている。光書き込み装置111は、それぞれの感光体ドラム109Y,109M,109C、109K(以降、総じて「感光体ドラム109」という)に対して光を照射するように構成されている。
画像形成に際し、感光体ドラム109Yの外周面は、暗中にて帯電器110Yにより一様に帯電された後、光書き込み装置111からのイエロー画像に対応した光源からの光により書き込みが行われ、静電潜像が形成される。現像器112Yは、この静電潜像をイエロートナーにより可視像化し、このことにより感光体ドラム109Y上にイエローのトナー画像が形成される。このトナー画像は、感光体ドラム109Yと中間転写ベルト105とが当接若しくは最も接近する位置(転写位置)で、転写器115Yの働きにより中間転写ベルト105上に転写される。この転写により、中間転写ベルト105上にイエローのトナーによる画像が形成される。トナー画像の転写が終了した感光体ドラム109Yは、外周面に残留した不要なトナーを感光体クリーナ113Yにより払拭された後、除電器により除電され、次の画像形成のために待機する。
以上のようにして、画像形成部106Yにより中間転写ベルト105上に転写されたイエローのトナー画像は、中間転写ベルト105のローラ駆動により次の画像形成部106Mに搬送される。画像形成部106Mでは、画像形成部106Yでの画像形成プロセスと同様のプロセスにより感光体ドラム109M上にマゼンタのトナー画像が形成され、そのトナー画像が既に形成されたイエローの画像に重畳されて転写される。中間転写ベルト105上に転写されたイエローとマゼンタのトナー画像は、さらに次の画像形成部106C、106Kに搬送される。そして、同様の動作により、感光体ドラム109C上に形成されたシアンのトナー画像と、感光体ドラム109K上に形成されたブラックのトナー画像とが、既に転写されている画像上に重畳されて転写される。こうして、中間転写ベルト105上にフルカラーの中間転写画像が形成される。
給紙トレイ101に収納された用紙104は最も上のものから順に送り出され、その搬送経路が中間転写ベルト105と接触する位置若しくは最も接近する位置において、中間転写ベルト105上に形成された中間転写画像がその紙面上に転写される。これにより、用紙104の紙面上に画像が形成される。紙面上に画像が形成された用紙104は更に搬送され、定着器116にて画像を定着された後、画像形成装置の外部に排紙される。また、中間転写ベルト105に対してベルトクリーナ118が設けられている。ベルトクリーナ118は、中間転写ベルト105から用紙104への画像の転写位置の下流側であって、感光体ドラム109よりも上流側において中間転写ベルト105に押し当てられたクリーニングブレードであり、搬送ベルト表面に付着したトナーを掻きとる。
次に、現像器112に対して現像剤を供給するための構成について図3を参照して説明する。CMYK各色において現像剤の供給構成は概ね共通しており、図3においては1つの現像器112に対する供給構成を示す。現像剤は現像剤収容容器である現像剤ボトル117に収容されており、図3に示すように、現像剤ボトル117から現像剤ボトル供給路120を介してサブホッパー90に現像剤が供給される。サブホッパー90は、現像剤ボトル117から供給される現像剤を一時的に保持し、現像器112内部の現像剤残量に応じて現像器112に現像剤を供給する。サブホッパー90からサブホッパー供給路119を介して現像器112に現像剤が供給される。
図4は、サブホッパー90の上部を開放させた内部構造を示す斜視図である。図4に示すように、サブホッパー90は、第一攪拌搬送部材96、第二攪拌搬送部材97、第一搬送部材98、第二搬送部材99を収納している。サブホッパー90は、現像剤ボトル117から供給された現像剤を一時貯留する現像剤貯留部90aと、現像剤貯留部90aに貯留された現像剤を現像器112へ搬送する搬送部90bとを有している。現像剤貯留部90aと、搬送部90bとは、仕切り壁92でケース内部を仕切ることで形成されている。仕切り壁92の現像剤供給駆動部側である後側と、それと反対側の前側には、それぞれ第一開口92aと第二開口92bが形成されている。
現像剤貯留部90aには、第一攪拌搬送部材96と、第二攪拌搬送部材97とが、並べて配置されている。また、ケース93bの図中右側の側壁には、磁束センサ204が設けられている。ケース93bの図中右側の側壁内側、ケース93bを介して磁束センサ204に対向する位置に振動板201が配置される。現像剤貯留部90aの図中右側に配置された第一攪拌搬送部材96は、回転軸96cとピッチの大きな螺旋状のスクリュ96bとを有している。また第一攪拌搬送部材96には、振動板を弾くためのトーションスプリング203が設けられている。また、現像剤貯留部90aの仕切り壁92側に配置された第二攪拌搬送部材97は、回転軸97cに大きなピッチの螺旋状のスクリュ97bと、パドル97aとが設けられている。回転軸97cの第一開口92aと対向する部分、第二開口92bと対向する部分にパドル96aが設けられている。
搬送部90bは、搬送仕切り壁901により、第一搬送路902Aと、第二搬送路902Bとに仕切られている。搬送仕切り壁901の前側には、搬送用開口901aが形成されており、第一搬送路902Aと第二搬送路902Bとを連通している。第一搬送路902Aに、第一搬送部材98が配設されており、第二搬送路902Bに第二搬送部材99が配設されている。各搬送部材98,99は、回転軸98b,99bと、螺旋状のスクリュ98a,99aとで構成されている。第一搬送部材98のスクリュ98aは、搬送用開口901aと対向する箇所のピッチが他の箇所よりも狭くなっている。
第二搬送部材99のスクリュ99aは、回転軸方向で一定のピッチとなっている。第一搬送部材98は、第一搬送路902A内の現像剤を搬送用開口901aへ向けて(後側から前側へ)搬送し、第二搬送部材99は、第二搬送路902B内の現像剤を、前側から後側へ搬送する。ケース93bの底面における第二搬送路902Bの現像剤搬送下流端に位置する箇所には、現像器112の補給口と連通する現像剤補給出口が設けられている。第二搬送部材99により第二搬送路902Bを搬送されてきた現像剤は、現像剤補給出口から現像器112に補給される。
また、サブホッパー90には、現像器112に現像剤を補給するときに用いる現像剤補給駆動部130を備えている。現像剤補給駆動部130は、サブホッパー90の前側に設けられており、補給用駆動モータ131と、複数のギヤからなるギヤ列とを備えている。補給用駆動モータ131の駆動力は、第一攪拌搬送部材96の回転軸96cの他端(図中下端)に設けられた補給側ワンウェイクラッチ132を介して、第一攪拌搬送部材96に伝達され、第一攪拌搬送部材96が回転駆動する。また、第一攪拌搬送部材96から複数のギヤを介して、第二攪拌搬送部材97に補給用駆動モータ131の駆動力が伝達され、第二攪拌搬送部材97が回転駆動する。また、補給用駆動モータ131から複数のギヤを介して、第一搬送部材98及び第二搬送部材99に駆動力が伝達され、第一搬送部材98及び第二搬送部材99が回転駆動する。
本実施形態においては、現像剤貯留部90aを設け、この現像剤貯留部90aで現像剤を貯留する。これにより、現像剤ボトル117が空となっても、この現像剤貯留部90aに貯留した現像剤により、しばらくは現像器112に現像剤を補給することができる。これにより、ユーザーが、新たな現像剤ボトル117を準備する間も、良好な画像を形成することができる。
次に、本実施形態に係る磁束センサ204の内部構成について図5を参照して説明する。磁束センサ204は、コルピッツ型のLC発振回路を基本とする発振回路であり、平面パターンコイル11、パターン抵抗12、第一コンデンサ13、第二コンデンサ14、フィードバック抵抗15、アンバッファIC16,17及び出力端子18を含む。
平面パターンコイル11は、磁束センサ204を構成する基板上に平面状にパターニングされた信号線によって構成される平面状のコイルである。図5に示すように、平面パターンコイル11は、コイルによって得られるインダクタンスLを有する。平面パターンコイル11は、コイルが形成された平面に対向する空間を通る磁束によってインダクタンスLの値が変化する。その結果、本実施形態に係る磁束センサ204は、平面パターンコイル11のコイル面が対向する空間を通る磁束に応じた周波数の信号を発振する発振部として用いられる。
パターン抵抗12は、平面パターンコイル11と同様に基板上に平面状にパターニングされた信号線によって構成される抵抗である。本実施形態に係るパターン抵抗12は、つづら折り状に形成されたパターンであり、これによって直線状のパターンよりも電流の流れにくい状態を作り出している。このパターン抵抗12を設けることが本実施形態に係る要旨の1つである。尚、つづら折り状とは、換言すると、所定の方向に対して複数回往復させるように折り曲げた形状である。図5に示すように、パターン抵抗12は、抵抗値RPを有する。図5に示すように、平面パターンコイル11とパターン抵抗12とは直列に接続されている。
第一コンデンサ13及び第二コンデンサ14は、平面パターンコイル11と共にコルピッツ型LC発振回路を構成する容量である。したがって、第一コンデンサ13及び第二コンデンサ14は、平面パターンコイル11及びパターン抵抗12と直列に接続されている。平面パターンコイル11、パターン抵抗12、第一コンデンサ13及び第二コンデンサ14によって構成されるループによって共振電流ループが構成される。
フィードバック抵抗15は、バイアス電圧を安定化させるために挿入される。アンバッファIC16及びアンバッファIC17の機能により、共振電流ループの一部の電位の変動が、共振周波数に応じた矩形波として出力端子18から出力される。
このような構成により、本実施形態に係る磁束センサ204は、インダクタンスL、抵抗値RP、第一コンデンサ13及び第二コンデンサ14の静電容量Cに応じた周波数fで発振する。周波数fは、下記数1で示す式によって表すことが出来る。
インダクタンスLは、平面パターンコイル11の近傍における磁性体の存在やその濃度によっても変化する。したがって、磁束センサ204の発振周波数により、平面パターンコイル11近傍の空間における透磁率を判断することが可能となる。また、上述したように、本実施形態に係るサブホッパー90における磁束センサ204は、筐体を介して振動板201と対向して配置されている。したがって、平面パターンコイル11によって発生する磁束は振動板201を通ることとなる。すなわち、振動板201が平面パターンコイル11によって生成される磁束に影響し、インダクタンスLに影響を与える。結果的に、振動板201の存在が磁束センサ204の発振信号の周波数に影響することとなる。
図6は、本実施形態に係る磁束センサ204の出力信号のカウント値の態様を示す図である。磁束センサ204に含まれる平面パターンコイル11によって発生する磁束に変化がなければ、原則として磁束センサ204は同一の周波数で発振を続ける。その結果、図6に示すように、時間経過に応じてカウンタのカウント値は一様に増加する。そして、図6に示すように、t1、t2、t3、t4、t5それぞれのタイミングにおいて、aaaah、bbbbh、cccch、ddddh、AAAAhといったカウント値が取得される。
それぞれのタイミングにおけるカウント値を、図6に示すT1、T2、T3、T4それぞれの期間に基づいて計算することにより、それぞれの期間における周波数が算出される。例えば、2[msec]に相当する基準クロックをカウントすると割込み信号を出力して周波数を計算する場合、それぞれの期間におけるカウント値を2[msec]で割る。このことにより、図6に示すT1、T2、T3、T4それぞれの期間における磁束センサ204の発振周波数f[Hz]を算出する。また、図6に示すように、カウンタのカウント値の上限がFFFFhである場合、期間T4における周波数の算出に際して、FFFFhからddddhを引いた値と、AAAAhとの値の合計値を2[msec]で割ることで発振周波数f[Hz]を算出できる。
このように、本実施形態に係る画像形成装置100においては、磁束センサ204が発振する信号の周波数を取得し、その取得結果に基づいて磁束センサ204の発振周波数に対応する事象を判断することができる。そして、本実施形態に係る磁束センサ204においては、平面パターンコイル11に対向して配置されている振動板201の状態に応じてインダクタンスLが変化し、結果として出力端子18から出力される信号の周波数が変化する。 その結果、信号を取得するコントローラにおいては、平面パターンコイル11に対向して配置された振動板201の状態を確認することが可能となる。このようにして確認された振動板201の状態に基づいてサブホッパー90内部の現像剤の状態を判断する。なお、上述したように、発振信号のカウント値を期間で割ることにより周波数が求められるが、カウント値を取得する期間が固定であれば、周波数を示すためのパラメータとして、取得されたカウント値をそのまま用いることも可能である。
図7は、本実施形態に係る磁束センサ204の概観を示す斜視図である。図7においては、図5において説明した平面パターンコイル11及びパターン抵抗12が形成されている面、すなわち、透磁率を検知するべき空間に対向させる検知面が上面に向けられている。 図7に示すように、平面パターンコイル11が形成された検知面においては、平面パターンコイル11と直列に接続されるパターン抵抗12がパターニングされている。図5において説明したように、平面パターンコイル11は平面上に螺旋状に形成された信号線のパターンである。また、パターン抵抗12は、平面上につづら折状に形成された信号のパターンであり、これらのパターンによって上述したような磁束センサ204の機能が実現される。この平面パターンコイル11及びパターン抵抗12によって形成される部分が、本実施形態に係る磁束センサ204における透磁率の検知部である。磁束センサ204をサブホッパー90に取り付ける際には、この検知部が振動板201に対向するように取り付けられる。
次に、本実施形態に係る画像形成装置100において磁束センサ204の出力値を取得する構成について図8を参照して説明する。図8は、磁束センサ204の出力値を取得するコントローラ20及び磁束センサ204の構成を示す図である。コントローラ20は、CPU(Central Processing Unit)21、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)22、タイマー23、水晶発振回路24、入出力制御ASIC30を含む。
CPU21は演算手段であり、ROM(Read Only Memory)等の記憶媒体に記憶されたプログラムにしたがって演算を行うことにより、コントローラ20全体の動作を制御する。ASIC22は、CPU21やRAM(Random Access Memory)等が接続されたシステムバスと他の機器との接続インタフェースとして機能する。タイマー23は、水晶発振回路24から入力される基準クロックのカウント値が所定の値になる度に割込み信号を生成してCPU21に対して出力する。CPU21は、タイマー23から入力される割込み信号に応じて、磁束センサ204の出力値を取得するためのリード信号を出力する。水晶発振回路24は、コントローラ20内部の各デバイスを動作させるための基準クロックを発振する。入出力制御ASIC30は、磁束センサ204が出力する検知信号を取得して、コントローラ20内部において処理可能な情報に変換する。図8に示すように入出力制御ASIC30は、透磁率カウンタ31、リード信号取得部32及びカウント値出力部33を含む。上述したように、本実施形態に係る磁束センサ204は、検知対象の空間における透磁率に応じた周波数の矩形波を出力する発振回路である。
透磁率カウンタ31は、そのような磁束センサ204が出力する矩形波に応じて値をインクリメントするカウンタである。すなわち、透磁率カウンタ31が、周波数を算出する対象の信号の信号数をカウントする対象信号カウンタとして機能する。なお、本実施形態に係る磁束センサ204はCMYK各色の現像器112に接続されるそれぞれのサブホッパー90毎に設けられており、それに伴って透磁率カウンタ31も複数設けられている。リード信号取得部32は、CPU21からの透磁率カウンタ31のカウント値の取得命令であるリード信号を、ASIC22を介して取得する。リード信号取得部32は、CPU21からのリード信号を取得すると、カウント値出力部33にカウント値を出力させるための信号を入力する。カウント値出力部33は、リード信号取得部32からの信号に応じて、透磁率カウンタ31のカウント値を出力する。
なお、入出力制御ASIC30へのCPU21からのアクセスは、例えばレジスタを介して行われる。そのため、上述したリード信号は、入出力制御ASIC30に含まれる所定のレジスタにCPU21によって値が書き込まれることによって行われる。また、カウント値出力部33によるカウント値の出力は、入出力制御ASIC30に含まれる所定のレジスタにカウント値が格納され、その値をCPU21が取得することによって行われる。図8に示すコントローラ20は、磁束センサ204とは別個に設けられても良いし、CPU21を含む回路として磁束センサ204の基板上に実装されても良い。
このような構成において、CPU21がカウント値出力部33から取得したカウント値に基づいて振動板201の振動状態を検知し、その検知結果に基づいてサブホッパー内部の現像剤残量を検知する。すなわち、所定のプログラムにしたがってCPU21が演算を行うことにより、検知処理部が構成される。また、カウント値出力部33から取得されるカウント値が、振動板201の振動に応じて変化する磁束センサ204の周波数を示す周波数関連情報として用いられる。
次に、本実施形態に係る磁束センサ204の発振周波数に対する振動板201による影響について説明する。図9に示すように、磁束センサ204において平面パターンコイル11が形成されている面と振動板201とは、サブホッパー90の筐体を介して対向して配置されている。そして、図9に示すように、平面パターンコイル11の中央を中心とした磁束が発生し、その磁束が振動板201を貫くこととなる。
振動板201は、例えばステンレス鋼板によって構成されており、図10に示すように磁束G1が振動板201を貫くことによって振動板201内に渦電流が発生する。この渦電流が磁束G2を発生させ、平面パターンコイル11による磁束G1を打ち消すように作用する。このように磁束G1が打ち消されることにより、磁束センサ204におけるインダクタンスLが減少する。上記数1において示すように、インダクタンスLが減少すると発振周波数fは増大する。
平面パターンコイル11による磁束を受けて振動板201内部において発生する渦電流の強さは、磁束の強さの他、平面パターンコイル11と振動板201との間隔によっても変化する。図11は、平面パターンコイル11と振動板201との間隔に応じた磁束センサ204の発振周波数を示す図である。振動板201内部に発生する渦電流の強さは、平面パターンコイル11と振動板201との間隔に反比例する。したがって、図11に示すように、平面パターンコイル11と振動板201との間隔が狭くなるほど、磁束センサ204の発振周波数は高くなり、所定の間隔よりも狭くなると、インダクタンスLが低くなり過ぎて発振しなくなる。
本実施形態に係るサブホッパー90においては、図11に示すような特性を利用することにより、磁束センサ204の発振周波数に基づいて振動板201の振動を検知する。そのようにして検知した振動板201の振動に基づいてサブホッパー90内部の現像剤残量を検知する。すなわち、図9に示す振動板201及び磁束センサ204、並びに磁束センサ204の出力信号を処理する構成が、本実施形態に係る粉体量検知装置である現像剤残量検知装置として用いられる。なお、磁束センサ204が振動検知手段として機能する。
トーションスプリング203によって弾かれた振動板201の振動は、振動板201の剛性や重り202の重量によって定まる固有振動数と、その振動エネルギーを吸収する外的な要因によって定まる減衰率によって表される。振動エネルギーを吸収する外的な要因としては、振動板201を片持ち状態で固定する固定部の固定強度、空気抵抗等の固定要因に加えて、サブホッパー90内部において振動板201に接触する現像剤の存在がある。サブホッパー90内部において振動板201に接触する現像剤は、サブホッパー90内部の現像剤残量によって変動する。したがって、振動板201の振動を検知することにより、サブホッパー90内部の現像剤残量を検知することが可能となる。そのため、本実施形態に係るサブホッパー90内部においては、内部の現像剤を撹拌するためのトーションスプリング203が振動板201を弾き、回転に応じて定期的に振動板201を振動させる。
次に、サブホッパー90内部における振動板201周辺の部品の配置や、トーションスプリング203が振動板201を弾くための構成について説明する。図12は、振動板201の周辺の配置関係を示す斜視図である。図12に示すように、振動板201は固定部201aを介してサブホッパー90の筐体に固定されている。図13は、回転軸96cの回転状態として、トーションスプリング203の接触部203aが、振動板201に取り付けられた重り202に接触する前の状態を示す側面図である。図13において、回転軸96cは、トーションスプリング203が図中時計回り方向に回転するように回転する。また、トーションスプリング203は、回転軸96cにホルダー205(図22参照)を介して設けられた弾性部材であって、回転軸96cの回転方向一方側である図中時計回り方向に接触部203aが常に付勢された状態となっている。
図13に示すように、重り202は、振動板201の板面から突出した突出部であると共に、側面から見た状態において振動板201の板面に対して傾斜を有する形状となっている。この傾斜は、トーションスプリング203の回転方向に沿って斜面が回転軸96cに近づくように構成されている。この重り202の傾斜面は、トーションスプリング203が振動板201を弾いて振動させる際にトーションスプリング203の接触部203aによって押される部分である。
図14は、図13に示す状態からトーションスプリング203が更に回転した状態を示す側面図である。トーションスプリング203の接触部203aが重り202に接触した状態で更に回転することにより、重り202に設けられた傾斜に伴って振動板201が押し込まれて弾性変形することとなる。図14においては、外力が加わっていない状態(以降、「定常状態」とする)の振動板201及び重り202の位置を破線で示している。図14に示すように、振動板201及び重り202がトーションスプリング203の接触部203aによって押し込まれる。
振動板201は固定部201aを介してサブホッパー90の筐体内壁に固定されているため、固定部201a側の位置は変化しない。これに対して、重り202が設けられて自由端となっている反対側の端部は、トーションスプリング203の接触部203aによって押し込まれることにより回転軸96cが設けられた側とは反対側に移動する。結果的に、振動板201は固定部201aを基点として撓む。このように撓んだ状態において、振動板201を振動させるためのエネルギーが蓄えられる。
図15は、図14に示す状態から更にトーションスプリング203が回転した状態を示す側面図である。図15においては、定常状態における振動板201の位置を破線で、図14に示す振動板201の位置を一転鎖線で示している。そして、トーションスプリング203の接触部203aによって押し込まれて蓄えられた振動エネルギーが解放されることにより反対側に撓んだ振動板201の位置を実線で示している。図16は、振動板201の状態を示す上面図である。図15に示すように、トーションスプリング203による重り202の押圧が解除されると、振動板201に蓄えられた撓みのエネルギーにより、自由端である重り202が設けられた側の端部が反対側に撓むように移動する。図15及び図16に示す状態において、振動板201は、サブホッパー90の筐体を介して対向している磁束センサ204から遠ざかった状態となる。以降、振動板201は振動することにより、磁束センサ204に対して定常状態よりも近づいた状態と、定常状態よりも遠ざかった状態とを繰り返しながら、振動の減衰によって定常状態に戻ることとなる。
図17は、サブホッパー90内部に保持されている現像剤の状態を模式的にドットで示した図である。図17に示すようにサブホッパー90内部に現像剤が存在すると、振動板201や重り202が振動しながら現像剤に接触する。そのため、サブホッパー90内部に現像剤が存在しない場合に比べて早く振動板201の振動が減衰する。この振動の減衰の変化に基づいてサブホッパー90内部の現像剤残量を検知することが出来る。
図18は、トーションスプリング203によって重り202が弾かれた後、振動板201の振動が減衰して振動が止まるまでの、所定期間毎の磁束センサ204の発振信号のカウント値の変化を示す図である。磁束センサ204の発振信号のカウント値は、発振周波数が高い程多くなる。したがって、図18の縦軸は、カウント値ではなく発振周波数に置き換えることもできる。図18に示すように、タイミングt1においてトーションスプリング203の接触部203aが重り202に接触して重り202を押し込むことにより、振動板201が磁束センサ204に近づいていく。これにより、磁束センサ204の発振周波数が上昇して所定期間毎のカウント値が上昇する。そして、タイミングt2においてトーションスプリング203による重り202の押圧が解除され、以降、振動板201は蓄えられた振動エネルギーによって振動する。振動板201が振動することにより、振動板201と磁束センサ204との間隔が定常状態を中心として、それよりも広い状態と狭い状態とが繰り返される。その結果、磁束センサ204の発振信号の周波数が振動板201の振動に伴って振動することとなり、所定期間毎のカウント値も同様に振動する。
振動板201の振動の振幅は、振動エネルギーの消費に伴って狭くなっていく。すなわち、振動板201の振動は時間と共に減衰する。そのため、振動板201と磁束センサ204との間隔の変化も時間経過と共に小さくなっていき、図18に示すように、カウント値の時間変化も同様に変化する。ここで、上述したように、振動板201の振動は、サブホッパー90内部の現像剤残量が多い程早く減衰する。したがって、図18に示すような磁束センサ204の発振信号の振動の減衰の態様を解析することにより振動板201の振動がどのように減衰したかを認識し、それによってサブホッパー90内部の現像剤残量を知ることができる。そのため、図18に示すように、カウント値の振動のピークをそれぞれP1、P2、P3、P4、・・・とすると、例えば、下記数2により、振動板201の振動の減衰率ζを求めることができる。
上記数2に示すように、タイミングの異なるピーク値の割合を参照することにより、環境変動による誤差をキャンセルして正確な減衰率を求めることができる。換言すると、本実施形態に係るCPU21は、異なるタイミングにおいて取得されたカウント値の比率に基づいて減衰率ζを求める。
なお、上記数2においては、図18に示すピークのうちP1、P2及びP5、P6を用いたが、これは一例であり、他のピークを用いても良い。ただし、振動板201がトーションスプリング203によって押し込まれて磁束センサ204に最も近づいた状態であるタイミングt2におけるピーク値は、トーションスプリング203と重り202との摩擦による摺動ノイズが重畳した誤差等を含む。そのため、計算対象とはしないことが好ましい。仮に、図17に示すようにサブホッパー90内部の現像剤の存在によって振動の減衰が早められる場合であっても、振動板201の振動数は大きくは変わらない。そのため、上記数2に示すように特定のピークの振幅の割合を計算することにより、所定期間における振幅の減衰を計算することができる。
次に、本実施形態に係るサブホッパー90における現像剤残量検知の動作について図19のフローチャートを参照して説明する。図19に示すフローチャートの動作は、図8に示すCPU21の動作である。図19に示すように、CPU21は、まずトーションスプリング203によって図14に示すように重り202が押し込まれ、振動が発生することを検知する(S1)。上述したように、CPU21は所定期間毎にカウント値出力部33から磁束センサ204の出力信号のカウント値を取得している。このカウント値は、定常状態であれば図18に示すようにC0である。これに対して、図14に示すように重り202が押し込まれると、振動板201が磁束センサ204に近づくにつれてカウント値は上昇することとなる。したがって、CPU21は、カウント値出力部33から取得したカウント値が所定の閾値を上回った場合に、S1において振動が発生したことを検知する。
S1の前後に関わらず、CPU21は通常の処理として所定期間毎のカウント値の取得処理は継続して行う。そして、S1の後、CPU21は、図18に示すような振動板201の振動に応じたカウント値の振動のピーク値を取得する(S2)。S2においてCPU21は、継続して所定期間毎に取得されるカウント値を解析することにより、ピーク値を特定する。
図20は、カウント値の解析態様を示す図であり、所定期間毎に取得されるカウント値について、それぞれのカウント値の“番号n”、“カウント値Sn”に加えて、直前のカウント値との差分の符号“Sn−1−Sn”が、取得順に示されている。図20に示すような結果において、“Sn−1−Sn”の符号が反転した1つ前の値がピーク値である。図20の場合、5番及び10番がピーク値として採用される。すなわち、CPU21は、S1以降、順番に取得されたカウント値について、図20に示す“Sn−1−Sn”を計算する。そして、計算結果として得られる符号が反転したタイミングにおける“カウント値Sn”を、図18に示すP1、P2、P3・・・といったピーク値として採用する。
なお、上述したように、タイミングt2における値は避けることが好ましい。タイミングt2の値は、S2201の後の最初のピークである。そのため、CPU21は、図20に示すような解析を行って抽出したピーク値のうち、最初の値は破棄する。また、実際に得られるカウント値は、高周波成分のノイズを含んでいる可能性があり、振動板201の振動によるピークではない位置において“Sn−1−Sn”の符号が反転するタイミングが生じる場合がある。そのような場合の誤検知を回避するため、CPU21は、カウント値出力部33から取得した値を平滑化処理した上で図20に示す解析を行うことが好ましい。平滑化処理においては移動平均法などの一般的な処理を採用することができる。
このようにしてピーク値を取得すると、CPU21は上記数2の計算により減衰率ζを計算する(S3)。このため、S2においては、減衰率の計算に用いるピーク値が得られるまで、図20に示す態様によりカウント値の解析を行う。上記数2を用いる場合、CPU21は、P6に相当するピーク値が得られるまでカウント値の解析を行う。
このようにして減衰率ζを算出すると、CPU21は、算出した減衰率ζが所定の閾値以下であるか否かを判断する(S4)。すなわち、CPU21は、異なるタイミングにおいて取得されたカウント値の比率と所定の閾値との大小関係に基づいて、サブホッパー90内部の現像剤が所定の量を下回ったことを判断する。図17において説明したように、サブホッパー90内部に十分な現像剤が残っている場合、振動板201の振動は早く減衰する。したがって、減衰率ζは小さくなる。
他方、サブホッパー90内部の現像剤が減少すると、それに応じて振動板201の振動の減衰が遅くなり、減衰率ζは大きくなる。したがって、検知するべき現像剤残量に応じた減衰率ζSを閾値とすることにより、算出された減衰率ζに基づいて、サブホッパー90内部の現像剤残量が検知するべき残量(以降、「規定量」とする)にまで減少したことを判断することが可能である。
なお、サブホッパー90内部の現像剤残量が、振動板201の振動の減衰態様に直接影響するのではなく、現像剤残量に応じて振動板201に対する現像剤の接触状態が変化し、それによって振動板201の振動の減衰態様が定まる。したがって、サブホッパー90内部の現像剤残量が同量であっても、振動板201に対する現像剤の接触態様が異なれば、振動板201の減衰態様は異なってしまう。これに対して、本実施形態に係るサブホッパー90内部の現像剤残量の検知に際しては、常にトーションスプリング203によってサブホッパー90内部の現像剤は撹拌されている。したがって、振動板201に対する現像剤の接触状態を、ある程度は現像剤残量に応じて定まるようにすることができる。これにより、現像剤残量が同量であっても振動板201に対する現像剤の接触態様が異なることにより、検知結果が異なってしまうという弊害を回避することができる。
S4の判断の結果、算出した減衰率ζが閾値未満であれば(S4でNO)、CPU21は、サブホッパー90内部には十分な量の現像剤が保持されていると判断し、そのまま処理を終了する。他方、算出した減衰率ζが閾値以上であれば(S4でYES)、CPU21は、サブホッパー90内部の現像剤量が規定量を下回っていると判断し、現像剤切れ検知を行って処理を終了する(S5)。S2205の処理により現像剤切れ検知を行ったCPU21は、画像形成装置100を制御するより上位のコントローラに対して、現像剤残量が規定量を下回ったことを示す信号を出力する。これにより、画像形成装置100のコントローラは、特定の色についての現像剤切れを認識し、現像剤ボトル117から現像剤の供給を行うことが可能となる。
次に、本実施形態に係る磁束センサ204の発振信号の周波数、CPU21によるカウント値の取得周期(以降、「サンプリング周期」とする)、振動板201の固有振動数の関係について説明する。図21は、振動板201の1周期分における振動について、サンプリングされたカウント値を示す図である。図21において、振動板201の振動の周期はTplateであり、サンプリング周期はTsampleである。
図18〜図20において説明した態様により振動板201の減衰率ζを高精度に算出すためには、振動板201の振動のピーク値を高精度に取得する必要がある。そのためには、Tplateに対して十分なカウント値のサンプル数が必要であり、そのためにTsampleはTplateに対して十分小さい必要がある。
図21の例においては、Tplateの1周期に対してカウント値のサンプル数は10個である。すなわち、TsampleはTplateの1/10である。図21の態様によれば、図中のTpeakの期間内に必ずサンプリングを行うこととなり、ピーク値を高精度に取得することが可能である。
したがって、仮にCPU21のサンプリング周期Tsampleを1[ms]とすると、振動板201の振動周期Tplateは10[ms]以上とすることが好ましい。換言すると、CPU21のサンプリング周波数1000[Hz]に対して、振動板201の固有振動数は100[Hz]程度であることが好ましく、より好適にはそれ以下であることが好ましい。このような振動板201の固有振動数は、振動板201の材質、振動板201の厚みをはじめとした寸法及び重り202の重量を調整することによって実現される。
他方、サンプリング周期毎にサンプリングされるカウント値の値が小さすぎると、振動板201の振動に応じたサンプルごとのカウント値の変化が小さくなり、減衰率ζを精度よく算出することができなくなる。ここで、サンプリングされるカウント値の値は磁束センサ204の発振周波数に準じた値となる。一般的に磁束センサ204の発振周波数は数[MHz]のオーダーであり、1000[Hz]のサンプリング周波数でサンプリングを行う場合、サンプリングタイミング毎に1000以上のカウント値を得ることができる。したがって、上述したようなTplate、Tsampleのオーダーにより、減衰率ζを高精度に算出することが可能である。
ただし、振動板201の振動による磁束センサ204と振動板201との間隔の変化に対して、磁束センサ204の発振周波数の変化量が十分になければ、図18に示すような時間に対するカウント値の振動の振幅が小さくなってしまう。その結果、減衰率ζの変化も小さくなってしまい、振動板201の振動による現像剤残量検知の精度も低下してしまう。磁束センサ204と振動板201との間隔の変化に対する磁束センサ204の発振周波数の変化量を大きくするためには、図11に示すような特性に基づいて、磁束センサ204と振動板201との配置間隔を決定する必要がある。例えば、図中の矢印の区間に示すように、磁束センサ204と振動板201との間隔の変化に対する発振周波数の変化が急峻な範囲に含まれる間隔を、磁束センサ204と振動板201との配置間隔として決定することが好ましい。
図22(a)は、振動板201を振動させる構成を示す斜視図である。図22(b)は、トーションスプリング203の斜視図である。本実施形態においては、振動板201を振動させる振動付与手段である振動板弾き部材に、接触部203aに対して片側のみにねじりコイルばねを用いたシングルトーションスプリングであるトーションスプリング203を用いている。振動板201は、第一攪拌搬送部材96の回転軸96cの軸方向と平行な方向の一端側に設けられた固定部201aを介して、サブホッパー90のケース93bに固定されている(図4参照)。また、振動板201の他端側には、断面三角形状の突出部である重り202が取り付けられている。重り202は、振動板201の回転軸96cと対向する板面から突出しており、図中における回転軸96cの回転方向で、第一斜面部202aと頂点202bと第二斜面部202cとが順に形成されている。第一斜面部202aは、図中回転軸回転方向に沿って斜面が回転軸96cに近づくように形成されており、第二斜面部202cは、図中回転軸回転方向に沿って斜面が回転軸96cから遠ざかるように形成され、両斜面部が頂点202bで繋がっている。
トーションスプリング203は、ホルダー205を介して第一攪拌搬送部材96の回転軸96cに固定されており、回転軸96cが回転することでトーションスプリング203も回転軸96cと共に回転する。そして、トーションスプリング203が回転することで接触部203aが重り202と接触し、重り202がトーションスプリング203によりケース93b側に押し込まれることで、振動板201が撓むように弾性変形する。また、トーションスプリング203が、重り202を押し込む位置からさらに回転し、トーションスプリング203の接触部203aと重り202とが離れることで振動板201が弾かれ、振動板201は元の位置に戻る力で振動する。
トーションスプリング203の材料としては、硬鋼線(SW−C)、ピアノ線(SWP−A,SWP−B)、ばね用ステンレス鋼線(SUS304−WPB)などの線状部材であって、弾性ワイヤが好適であるが、適宜変更可能である。また、トーションスプリング203が振動板201を押し込む力は、トーションスプリング203の材質やねじりコイル部の巻き数などを変えることで変更可能である。そのため、トナーのみからなる現像剤を使用したり、この現像剤よりも単位体積あたりの重量が大きい前記混合剤からなる現像剤を使用したりする際など、必要に応じて振動板201をトーションスプリング203が押し込む力を変更できる。
図23は、第一攪拌搬送部材96の回転軸96cと、ホルダー205によって回転軸96cに取り付けられたトーションスプリング203の接触部203aとが、振動板201に取り付けられた重り202に接触する前の状態を示した模式図である。図23において、第一攪拌搬送部材96の回転軸96cと共にトーションスプリング203は、図中時計回り方向に回転する。振動板201には、トーションスプリング203の回転方向上流側から下流側に向けて、第一斜面部(上流側傾斜面)202a、頂点(頂部)202b、第二傾斜部(下流側傾斜面)202cの順に配置された突出部である重り202が設けられている。第一斜面部(上流側傾斜面)202aは、前記回転方向上流側から下流側に向けて高くなってゆく、振動板201の回転軸96c側の面に対して傾斜した形状である。第二傾斜部(下流側傾斜面)202cは、前記回転方向上流側から下流側に向けて低くなってゆく、振動板201の回転軸96c側の面に対して傾斜した形状である。頂点(頂部)202bは、第一斜面部(上流側傾斜面)202aと第二傾斜部(下流側傾斜面)202cとを繋ぐ、重り202において振動板201の回転軸96c側の面からの高さが最も高い部分である。なお、頂点(頂部)202bの形状としては、尖っていても、丸みを帯びていても、平らでも良い。
図24は、図23に示す状態から回転軸96cと共にトーションスプリング203が更に図中時計回り方向に回転した状態を示した模式図である。図24に示すように、トーションスプリング203が回転することで、接触部203aが重り202の第一斜面部(上流側傾斜面)202aと接触し、第一斜面部202a上を頂点(頂部)202bに向かって移動する。これにより、トーションスプリング203によって振動板201が、ケース93bに向かって押し込まれる。回転軸96cの回転によって重り202を押し込むトーションスプリング203は、ねじりコイルばねがねじれ、更に回転軸96cが回転すると、重り202の頂点202bを抜けて重り202から接触部203aが離間する。そして、ねじりコイルばねの力によって、接触部203aが重り202の第二斜面部(下流側傾斜面)202cを抜けて、図中破線で示す元の形にトーションスプリング203が復元する。そして、トーションスプリング203によって押し込まれた振動板201は、トーションスプリング203の接触部203aが重り202の頂点202bを抜けることで弾かれた後、図中破線で示す元の位置に戻ろうとすることで振動する。そして、このようにして生じた振動板201の振動から磁束センサ204を用いて現像剤量検知を行う。
ここで、振動板201を弾いて振動させる振動付与手段として、マイラー等の板状弾性部材を用いる場合、シート状のもので耐久性が弱いが、振動付与手段としてトーションスプリング203を用いることで強度を持たせることができ耐久性に優れる。また、振動付与手段としてマイラー等の板状弾性部材を用いた場合、振動板201を押し込む力がトーションスプリング203を用いた場合よりも弱い。そのため、トナーとキャリアとの混合剤からなる現像剤のように、トナーのみの現像剤よりも単位体積あたりの重量が大きいと、振動板201を十分に押し込んで振動させることができないおそれがある。これに対し、振動付与手段としてトーションスプリング203を用いることで、前述したような現像剤の単位体積あたりの重量が大きい場合であっても、振動板201を十分に押し込むことができる。そのため、磁束センサ204を用いた現像剤量検知に必要な振動を振動板201にさせることができ、精度良く現像剤量検知を行うことができる。
さらに、振動付与手段にマイラー等の板状弾性部材を用いた場合、板状弾性部材が取り付けられた回転軸の回転数が低く回転が遅いと次のような問題が生じ得る。すなわち、板状弾性部材が振動板201の重り202から離間した後に、振動板201の振動域(振動板201との対向領域)からすばやく抜けることができず、振動板201の振動を板状弾性部材が邪魔してしまう。そのため、磁束センサ204によって振動板201の振動を精度良く検知ができなくなり、現像剤量の検知精度が低下するおそれがある。
これに対して、トーションスプリング203は、回転軸96cの回転数が低く回転が遅い場合でも、接触部203aが重り202から離間した後、ねじりコイルばねの力によって元の力がかかっていない状態にすばやく復元する。そのため、トーションスプリング203の接触部203aは、振動板201の振動域(振動板201との対向領域)からすばやく抜けることができる。これにより、トーションスプリング203が振動板201の振動を邪魔することなく、磁束センサ204による振動板201の振動を精度良く検知することができ、現像剤量の検知精度が低下するのを抑制することができる。なお、図24などに示すように、重り202のうち、トーションスプリング203の回転方向下流側に頂点202bを設けるのが望ましい。これにより、トーションスプリング203の接触部203aが重り202を弾いた後、比較的早く重り202の領域から接触部203aが逃げることができる。
また、重り202に第二斜面部202cを設けることで、回転軸96cが逆回転(図24中反時計回り)したときに、回転軸96cと共に逆回転するトーションスプリング203が第二斜面部202c上を移動する。これにより、トーションスプリング203の接触部203aが重り202に引っ掛ることなくスムーズに逆回転するため、トーションスプリング203や回転軸96cなどに過剰な負荷がかかって損傷してしまうのを抑制することができる。
[参考構成例]
図25(a)は、参考構成例において、トーションスプリング203が振動板201に取り付けられた重り202に接触する前の状態を示している。図25(b)は、参考構成例において、トーションスプリング203が重り202と接触し、振動板201を壁面93cに向かって押し込んだ状態(壁面93cに振動板201を押し付けた状態)を示している。
上述したように振動板201は、第一攪拌搬送部材96の回転軸96cの軸方向と平行な方向の一端側に設けられた固定部201aを介して、サブホッパー90のケース93bに固定されて片持ちで保持されている。よって、図25(b)に示すように、トーションスプリング203が重り202と接触し、振動板201を壁面93cに向かって押し込んだ状態では、振動板201は固定部201aを起点にして撓むような弾性変形をする。このような弾性変形により、振動板201の長手方向で固定部201aとは反対側の自由端側ほどトーションスプリング203から遠ざかるように傾斜する。そのため、トーションスプリング203により振動板201が壁面98cに接触するような最も押し込まれた状態時には、トーションスプリング203の接触部203aと、振動板201の自由端側に設けられた重り202とは点接触に近い状態となる。また、前記最も押し込まれた状態時には、振動板201の弾性力により、壁面93cに向かって振動板201を押し込んだ状態で、重り202から接触部203aへの負荷が最大となる。その結果、重り202と点接触に近い状態で接しているトーションスプリング203の接触部203aには、最大負荷が同一箇所に集中し加わるため、経時で繰り返し負荷により破損するおそれがある。
[構成例1]
図1(a)は、構成例1において、トーションスプリング203が振動板201に取り付けられた重り202に接触する前の状態を示している。図1(b)は、構成例1において、トーションスプリング203が重り202と接触し、振動板201を壁面93cに向かって押し込んだ状態(壁面93cに振動板201を押し付けた状態)を示している。
本構成例においては、トーションスプリング203に押圧され振動板201の撓みが大きくなるにしたがって、接触部203aと重り202との接触面積が大きくなるように、トーションスプリング軸線方向に対して接触部203aを傾斜させて構成している。すなわち、図1(a)に示すように、接触部203aが重り202に接触する前の状態では、トーションスプリング203の接触部203aが振動板201の重り202に対して、振動板長手方向で自由端側ほど重り202に近づくように傾斜している。そして、図1(b)に示すように、トーションスプリング203が重り202と接触し、振動板201を壁面93cに向かって押し込んだ状態では、トーションスプリング203の接触部203aと振動板201の重り202とが平行になる。このように、本構成例では、トーションスプリング203により振動板201が壁面98cに接触するような最も押し込まれた状態時に、接触部203aと重り202とが平行になるように接触部203aを予め傾斜させている。これにより、トーションスプリング203に最大負荷が加わる押し込み状態において、トーションスプリング203と重り202との接触面積を、図25(b)よりも増やすことができる。そのため、重り202からトーションスプリング203に加わる負荷を分散させることができ、経時で繰り返し負荷によりトーションスプリング203が破損するのを抑えられ、トーションスプリング203の耐久性を改善することができる。
[構成例2]
図26(a)は、構成例2において、トーションスプリング203が振動板201に取り付けられた重り202に接触する前の状態を示している。図26(b)は、構成例2において、トーションスプリング203が重り202と接触し、振動板201を押し込んだ状態(ケース93bの壁面93cに振動板201を押し付けた状態)を示している。
本構成例においては、トーションスプリング203に押圧され振動板201の撓みが大きくなるにしたがって、接触部203aと重り202との接触面積が大きくなるように、振動板長手方向に対して重り202を傾斜させて構成している。すなわち、図26(a)に示すように、接触部203aが重り202に接触する前の状態では、振動板201の重り202がトーションスプリング203の接触部203aに対して、振動板長手方向で自由端側ほど接触部203aに近づくように傾斜している。そして、図26(b)に示すように、接触部203aが重り202と接触し、振動板201を壁面93cに向かって押し込んだ状態では、トーションスプリング203の接触部203aと振動板201の重り202とが平行になる。このように、本構成例では、トーションスプリング203により振動板201が壁面98cに接触するような最も押し込まれた状態時に、接触部203aと重り202とが平行になるように、重り202を予め傾斜させている。これにより、トーションスプリング203に最大負荷が加わる押し込み状態において、トーションスプリング203と重り202との接触面積を、図25(b)よりも増やすことができる。そのため、重り202からトーションスプリング203に加わる負荷を分散させることができ、経時で繰り返し負荷によりトーションスプリング203が破損するのを抑えられ、トーションスプリング203の耐久性を改善することができる。
なお、本実施形態においては、振動付与部材として弾性体であるトーションスプリング203を使用している。磁束センサ204により振動板201の振動を検知するため、精度よく検知するためには、振動板201が磁束センサ204に近づくのが望ましい。つまり、振動板201は壁面93cと接触するのが良い。振動板201と壁面93cとを確実に接触させるためには、振動付与部材の軸方向から磁束センサ204へ突出する部分の長さを長くしておけばよい。振動付与部材が剛体の場合、振動板201が壁面93cに接触した状態になると、重り202との接触状態を通過できずに回転軸96cの回転が停止する、もしくは過負荷により振動付与部材などの破損の不具合が発生する。振動付与部材が弾性体であれば、振動板201が壁面93cに接触した状態になっても、弾性変形することで、重り202との接触状態を通過することができるため、上記不具合を解消でき、確実に振動板201と壁面93cを接触状態にすることが可能になる。その結果、良好な検知精度を持った粉体量検知装置を実現できる。
また、図27や図28に示すように、トーションスプリング203として、接触部203aに対して両側にねじりコイルばねを適用したダブルトーションスプリングを用いるなど、トーションスプリング203の形状は適宜変更可能である。また、本実施形態においては、振動付与部材として用いる弾性体としてトーションスプリングを使用しているが、PETシートなどの薄いシート状材質のものを用いてもよい。
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
粉体を収容する現像剤貯留部90aなどの粉体収容部と、前記粉体収納部に設けられた可撓性を有する振動板201などの可撓性部材と、前記可撓性部材を押圧して可撓性部材を撓ますトーションスプリング203などの押圧部材と、前記押圧部材により前記可撓性部材を撓ませる動作を行うことで得られる所定の情報に基づいて、前記粉体収容部に収容された粉体の量を検知するコントローラ20などの粉体量検知手段とを備えた粉体量検知装置において、前記押圧部材が前記可撓性部材を押圧し該可撓性部材の撓みが大きくなるにしたがって、前記押圧部材に設けられた形成された接触部203aなどの接触部と、該接触部と接触する前記可撓性部材に設けられた形成された重り202などの被接触部との接触面積が大きくなるように構成した。
(態様A)において、前記押圧部材が前記可撓性部材を押圧し該可撓性部材の撓みが大きくなるにしたがって、前記接触部と前記被接触部との接触面積を大きくすることができる。これにより、押圧部材が可撓性部材を押圧したときに、前記接触部と前記被接触部との接触面積を大きくして負荷を分散させることができ、負荷が局所的に集中してかかる場合よりも、押圧部材や可撓性部材が損傷するのを抑制することができる。
(態様B)
(態様A)において、前記押圧部材が前記可撓性部材を押圧していない状態で、前記接触部に対し前記被接触部を傾斜させて構成した。これによれば、上記実施形態について説明したように、前記押圧部材が前記可撓性部材を押圧した状態で、前記接触部と前記被接触部とを面接触させることができる。
(態様C)
(態様A)において、前記押圧部材が前記可撓性部材を押圧していない状態で、前記被接触部に対し前記接触部を傾斜させて構成した。これによれば、上記実施形態について説明したように、前記押圧部材が前記可撓性部材を押圧した状態で、前記接触部と前記被接触部とを面接触させることができる。
(態様D)
(態様A)乃至(態様C)のいずれかにおいて、前記押圧部材が前記可撓性部材を押圧した状態で、前記接触部と前記被接触部とが平行となるように構成した。これによれば、上記実施形態について説明したように、前記接触部と前記被接触部とを面接触させることができる。
(態様E)
(態様A)乃至(態様D)のいずれかにおいて、前記可撓性部材は、前記粉体収容部に振動可能に設けられており、前記押圧部材は、回転軸を中心に回転可能に設けられ、前記可撓性部材を弾くことで該可撓性部材に弾性変形と復元とを繰り返させて該可撓性部材を振動させるものであり、前記可撓性部材の振動状態を検知する振動検知手段を有しており、前記粉体量検知手段は、前記所定の情報として前記振動検知手段が検知した前記可撓性部材の振動状態に基づいて、前記粉体収容部に収容された粉体の量を検知する。これによれば、上記実施形態について説明したように、精度良く粉体量を検知することができる。
(態様F)
(態様E)において、前記押圧部材は、前記回転軸の回転方向一方側に常に付勢された状態で設けられ弾性部材である。これによれば、上記実施形態について説明したように、回転軸の回転が停止したり、過負荷により振動付与部材などが破損したりするのを抑制することができる。
(態様G)
(態様E)または(態様F)において、前記押圧部材として、トーションスプリングを用いた。これによれば、上記実施形態について説明したように、トーションスプリングはねじりコイルばねの復元力で可撓性部材の振動域から速く抜けることができるため、可撓性部材の振動を邪魔するのを抑制できる。また、押圧部材の耐久性を高めることができる。
(態様H)
(態様E)乃至(態様G)のいずれかにおいて、前記振動検知手段は、対向する空間を通る磁束の状態に応じた周波数の信号を出力する発振部を有しており、前記可撓性部材は、前記粉体収容部を構成する筐体を介して前記発振部と対向すると共に、前記発振部と対向する方向に振動し、磁束に影響する素材によって形成されており、前記粉体量検知手段は、前記発振部の発振信号の周波数に関する周波数関連情報を所定の周期で取得し、前記可撓性部材の振動に応じて変化する前記周波数関連情報の変化に基づいて検知された前記可撓性部材の振動状態の検知結果に基づいて、前記粉体収容部内の粉体量を検知する。これによれば、上記実施形態について説明したように、圧力センサなどにより粉体量の検知を行う場合よりも、検知精度を向上させることができる。
(態様I)
粉体収容容器から供給された粉体を一時的に貯留し、該一時的に貯留した粉体を補給対象に向けて排出する粉体貯留容器と、前記粉体貯留容器内の粉体量を検知する粉体量検知手段とを備えた粉体補給装置において、前記粉体量検知手段として、(態様A)乃至(態様H)のいずれか一記載の粉体量検知装置を用いた。これによれば、上記実施形態について説明したように、押圧部材や可撓性部材の耐久性を改善し経時にわたって粉体量の検知を良好に行うことができる。
(態様J)
像担持体と、現像剤を用いて像担持体上の潜像を現像する現像手段と、前記現像手段で使用される現像剤を収容する現像剤収容容器と、前記現像剤収容容器内の現像剤を前記現像手段に補給する現像剤補給手段とを備えた画像形成装置において、前記現像剤補給手段として、(態様I)に記載の粉体補給装置を用いた。これによれば、上記実施形態について説明したように、押圧部材や可撓性部材の耐久性を改善し経時にわたって粉体量の検知を良好に行い、現像手段への安定した現像剤補給を行って画像濃度低下を抑制し、良好な画像形成を行うことができる。