以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を詳細に説明する。まず、ここでは図示せぬ容器の口部に取り付けられる本実施形態に係るPPキャップについて詳細に説明する。図1は本実施形態に係るPPキャップ1の一例が示された正面図であり、図2は図1のPPキャップ1の平面図であり、図3は図1のPPキャップ1のIII方向矢視図であり、図4は図1のPPキャップ1の底面図である。図5は図3のV−V線断面図であり、図6は図1のVI−VI線断面図である。なお、以下では、説明の便宜上、図1における後述する有頂円筒状のキャップ本体10側を上とし、後述する円筒状のリング部20側を下とする。また、図3におけるV−V線は、有頂円筒状のキャップ本体10の軸上を通り、鉛直方向に延びる直線であり、図5はPPキャップ1の鉛直断面図である。また、図1におけるVI−VI線は、後述する連結つなぎ部30を水平に横切る直線であり、図6はPPキャップ1の水平断面図である。また、図1〜図4、図6には、PPキャップ1の閉栓方向d1及び開封方向d2が矢印で示されている。
図1〜図5に示されるように、本実施形態に係るPPキャップ1は、有頂円筒状のキャップ本体10と、キャップ本体10の下方に所定の間隔を有して位置するリング部20と、キャップ本体10とリング部20とを連結する複数の連結つなぎ部30とを備える。PPキャップ1は、リング部20が初期開封の際に変形し、このリング部20の変形によって初期開封が行われたことを明示するように構成されている。
キャップ本体10は、上下方向に延びた円筒状の筒部11と、筒部11の上端を閉塞する円板状の天面部12とを有し、有頂円筒状に形成される。筒部11の内周面には、ねじ13が形成されている。ねじ13は、後述する容器の口部に形成されているねじとかみ合うものであり、PPキャップ1は、このねじのかみ合いによって、容器の口部に緩みなく取り付けられる。ねじ13は、右ねじであり、平面視において時計回りの回転方向がPPキャップ1の閉栓方向d1であり、反時計回りの方向が開封方向d2である。なお、ねじ13は、PPキャップ1が容器の口部に緩みなく取り付けられる形状であれば良い。
より具体的には、容器の口部のねじの寸法に合わせて、ねじ13の谷径(筒部11の内周面の外径に相当)や、山径、ピッチ(上下方向において隣り合うねじ13、13のそれぞれのねじ山(ねじ谷)間の距離)等が形成されている。ねじ13は、容器の口部のねじに対応したものであれば良く、その形状は、一条ねじであっても良く、二条ねじや三条ねじ等の多条ねじであっても良い。また、平面視において、ねじ13の一端から他方の端までの間を周回する角度である巻き角度についても、容器の口部とキャップ本体10とが緩みなく確実に取り付けられる角度であれば良い。
筒部11の外周面には、上下方向に延びる複数のリブからなるローレット14が形成されている。キャップ本体10がローレット14を備えることにより、PPキャップ1を容器の口部に着脱する際に指が滑りにくくなり、着脱動作が容易となる。ローレット14は、PPキャップ1を容器の口部に着脱する際の滑り止めとして機能する形状であれば良い。なお、滑り止めの構成としては、ローレット14に替わって、筒部11の外周面の表面粗さを粗くして形成されるシボを設ける構成であっても良い。
天面部12は、内側面から下方へ延びる環状のインナーリング15と、インナーリング15と筒部11との間の内側面から下方へ突出する環状のコンタクトリング16とを有する。天面部12のインナーリング15の内方側は、キャップ本体10の内方(図5では下方)に向かって凸状に湾曲している。天面部12の外側面の突状に湾曲した中央上部には、PPキャップ1が射出形成によって作製される際の溶融樹脂の流入口(ゲート)において付随的に形成された固化した部分が付着する。なお、図1〜図6は、その部分が切り取られた後の形態が示されている。
PPキャップ1は、容器の口部に取り付けられた際に、天面部12とインナーリング15とコンタクトリング16とによって、口部の注出口としての開口部を密閉するように構成されている。インナーリング15は、外径が口部の内径より大であるとともに、先端部の外周面が下方に向かって内方へ傾斜した先細りに形成されている。インナーリング15は、PPキャップ1が容器の口部に取り付けられた際に、口部の内部に挿入されて口部と嵌合する。この時、インナーリング15は、内方へ撓んだ状態となり、外周面が口部の内周面と密着して口部を密閉する。一方、コンタクトリング16は、PPキャップ1が容器の口部に取り付けられた際に、容器の口部の開口側の端部と密着して口部を密閉する。
なお、インナーリング15やコンタクトリング16は、容器の口部を密閉可能な形状であれば良く、口部の形状に応じて適宜設計できる。また、PPキャップ1の容器の口部を密閉する構成は、インナーリング15とコンタクトリング16による構成に限定されるものではない。例えば、コンタクトリング16と筒部11の間の天面部12の内側面から下方に突出する環状の突起を更に設け、PPキャップ1が容器の口部に取り付けられた際に、この環状の突起の内周面が口部の外周面に密着するように構成しても良い。
リング部20は、キャップ本体10の下方に所定の間隔を有して位置し、キャップ本体10の筒部11と同軸の円筒状に形成される。リング部20の外径は、筒部11の下端部の外周面の外径と略同一であり、内径は筒部11の下端部の内周面の外径より大である。つまり、リング部20は、径方向の厚さが筒部11の下端部よりも薄く形成されている。
リング部20は、弧状に湾曲した板状の複数の弧状部21が、肉厚が薄く形成された薄肉つなぎ部22を介して円筒状に連結されて構成される。ここでは、リング部20は、2つの略半円弧状に湾曲した板状の弧状部21,21が連結される構成であるが、リング部20を構成する弧状部21の数は限定されるものではなく、弧状に湾曲した3つの弧状部や4つの弧状部が筒状に連結される構成であっても良い。
隣接する2つの弧状部21,21の周方向の端の間には、薄肉つなぎ部22が形成されている。詳細には、一方の弧状部21の周方向における閉栓方向の側の端は、薄肉つなぎ部22を介して他方の弧状部21の周方向における開封方向の側の端と連結している。また、一方の弧状部21の周方向における開封方向の側の端は、薄肉つなぎ部22を介して他方の弧状部21の周方向における閉栓方向の側の端と連結している。
薄肉つなぎ部22は、弧状部21の筒部11の側とは反対側である下端部に位置し、薄肉つなぎ部22の下端は、弧状部21の下端と面一に形成されている。薄肉つなぎ部22の内方側の面は、弧状部21の内周面と面一に形成されている。薄肉つなぎ部22は、図7に示すように、底面視において、外周側が略V字状に切り欠かれて、径方向におけるその肉厚が薄くなり、周方向におけるその幅が狭くなるように形成されている。また、薄肉つなぎ部22は、図8に示すように、正面視において、筒部11の側である上方側が略V字状に切り欠かれて、上下方向及び周方向におけるその幅が狭くなるように形成されている。ここで、図7は、図4のVII部分の拡大図であって、薄肉つなぎ部22周辺の拡大図であり、図8は、図1のVIII部分の拡大図であって、薄肉つなぎ部22周辺の拡大図である。そして、この肉厚が薄く形成された薄肉つなぎ部22は、開封時に破断可能に構成されている。なお、薄肉つなぎ部22は、弧状部21を連結するとともに、開封時には破断可能な構成であれば良く、薄肉つなぎ部22が形成される位置は限定されるものではない。しかしながら、PPキャップ1の搬送適性等の観点から、薄肉つなぎ部22の下端は、弧状部21の下端と面一に形成されることが好ましく、隣接する弧状部21の隙間に、他のPPキャップ1が絡みつくこと等が防止される。また、リング部20は、隣接する弧状部21を複数の薄肉つなぎ部22によって筒状に連結される構成であっても良い。
弧状部21は、内周面から内方へ向けて突出するラチェット爪23をそれぞれ有している。ラチェット爪23は、容器の口部に形成されている後述するラチェット突起に対応して形成されている。ラチェット爪23は、弧状部21の周方向の中央を基準として、開封方向の側に形成されている。ラチェット爪23の開封方向の側の端面と弧状部21の内周面(ラチェット爪23の開封方向の側の端面と弧状部21の内周面との接合部を通り、弧状部21の内周面に接する面)とのなす角は鋭角である。一方、ラチェット爪23の閉栓方向の側の端面と弧状部21の内周面(ラチェット爪23の閉栓方向の側の端面と弧状部21の内周面との接合部を通り、弧状部21の内周面に接する面)とのなす角は鈍角である。なお、ラチェット爪23は、容器の口部を閉栓する際には口部のラチェット突起と嵌合することがなく、口部を開封する際には口部のラチェット突起と嵌合して弧状部21の開封方向への回転が規制される形状であれば良く、その形状や構成は特に限定されるものではない。
ここで、リング部20は、筒部11の側とは反対側である下端から筒部11の側である上方へ向かって拡径するテーパ部24を有する。つまり、リング部20を構成する2つの弧状部21,21には、下端から上方へ向かって拡径するテーパ部24が形成されている。テーパ部24の上端は、薄肉つなぎ部22の上端より上方に位置しているものの、テーパ部24の範囲は限定されるものではない。しかしながら、金型からの離型性の観点から、テーパ部24の上端は、薄肉つなぎ部22の上端より上方に位置し、正面視において薄肉つなぎ部22がテーパ部24の領域内に含まる構成が好ましい。
連結つなぎ部30は、リング部20の各弧状部21に対応してそれぞれ形成されている。ここでは、2つの弧状部21,21のそれぞれに対応する連結つなぎ部30,30が形成されている。図7〜図9に示すように、連結つなぎ部30は、弧状部21の閉栓方向の側の端から内方へ延びる第1のつなぎ部31と、第1のつなぎ部31の内方の側の端から周方向かつ閉栓方向へ延びる第2のつなぎ部32と、第2のつなぎ部の閉栓方向の側の端から筒部11まで延びる第3のつなぎ部33とから構成されている。ここで、図9は、図6のIX部分の拡大図であって、連結つなぎ部30周辺の拡大図である。
より詳細には、第1のつなぎ部31は、弧状部21の閉栓方向の側の端であって、キャップ本体10側である上端から、内方へ水平に延びる。第1のつなぎ部31は、底面視において筒部11の下端部の内周面と一致する位置まで延びる。第2のつなぎ部32は、第1のつなぎ部31の内方の側の端から、底面視において筒部11の下端部の内周面に沿うように閉栓方向へ水平に延びる。そして、第1のつなぎ部31と第2のつなぎ部32は、底面視において略L字状に連結している。第2のつなぎ部32は、周方向かつ閉栓方向へ、薄肉つなぎ部22を超えて、隣接する弧状部21の開封方向の側の端部に対応する位置まで延びる。第3のつなぎ部33は、第2のつなぎ部の閉栓方向の側の端から鉛直に延び、筒部11の開放側の端である下端に連結する。そして、第2のつなぎ部32と第3のつなぎ部33は、正面視において略L字状に連結している。つまり、連結つなぎ部30は、キャップ本体10の側からリング部20の側に向かって、開封方向と径方向の外方とに2度直角に曲げられたクランク状に形成されている。そして、連結つなぎ部30は、上述の薄肉つなぎ部22とは異なり、開封時に変形されかつ、破断されないように構成されている。
なお、連結つなぎ部30は、上述の構成に限定されるものではなく、開封時に、破断はされず、筒部11と連結する端とリング部20(弧状部21)と連結する端とが、周方向及び径方向にずれの生じている構成であれば良く、第1のつなぎ部31と第2のつなぎ部32と第3のつなぎ部33とがそれぞれ曲線状に形成された構成であっても良い。しかしながら、初期開封の明示性の観点から、連結つなぎ部30は、第1のつなぎ部31と第2のつなぎ部32が平面視において略L字状に連結し、第2のつなぎ部32と第3のつなぎ部33が正面視において略L字状に連結し、キャップ本体10の側からリング部20の側に向かって、開封方向と径方向の外方とに2度直角に曲げられたクランク状に形成される構成が好ましい。
ここで、弧状部21は、周方向において、連結つなぎ部30が連結される連結部である第1のつなぎ部31とラチェット爪23との間に、その肉厚が薄く形成された薄肉部25を有する。薄肉部25は、底面視において、弧状部21の外周側が略台形状に切り欠かれて、径方向における肉厚が薄くなるように形成されている。薄肉部25は、第1のつなぎ部31の近傍に位置し、筒部11の側である上端から筒部11の側とは反対側である下端まで鉛直に延びている。そして、薄肉部25は、連結つなぎ部30と同様に、開封時に変形されかつ、破断されないように構成されている。なお、薄肉部25は、第1のつなぎ部31とラチェット爪23との間に、弧状部21の上端から下端まで延びて形成されていれば良い。しかしながら、初期開封の明示性の観点から、薄肉部25は、第1のつなぎ部31の近傍に形成される構成が好ましい。また、薄肉部25は、初期開封の明示性の観点から弧状部21の外周側が切り欠かれて形成されることが好ましいが、内周側が切り欠かれて形成されても良く、上端から下端に向けて周方向に傾斜して形成されても構わない。
また、PPキャップ1は、弧状部21のラチェット爪23と筒部11の開放側の端である下端との間に補強つなぎ部26を有する。補強つなぎ部26は、ラチェット爪23の内方側の端であって、筒部11の側である上端から鉛直に延び、筒部11の開放側の端である下端に連結する。そして、補強つなぎ部26は、上述の薄肉つなぎ部22と同様に、開封時に破断可能に構成されている。なお、PPキャップ1は、補強つなぎ部26を備えない構成であっても良いものの、射出成形性や初期開封前における薄肉つなぎ部22の破断防止等の観点から、上述のような補強つなぎ部26を備える構成が好ましい。
また、PPキャップ1は、弧状部21の筒部11の側である上端から筒部11の側である上方へ突出する弧状部側台座27と、筒部11の開放側の端である下端から弧状部21の側である下方へ突出する筒部側台座28とを備える。弧状部側台座27は、弧状部21の開封方向の側の端部の近傍に形成されている。筒部側台座28は、弧状部21の閉栓方向の側の端部に対応する位置に形成されている。弧状部側台座27と筒部側台座28は、周方向において、連結つなぎ部30を挟むように配置されている。また、筒部側台座28は、更に、弧状部21の周方向の略中央に対応する位置にも形成されている。
そして、キャップ本体10とリング部20との間隔が、弧状部側台座27または筒部側台座28が形成された場所で狭められている。なお、弧状部側台座27や筒部側台座28は、キャップ本体10とリング部20との間隔が部分的に狭められるような構成であれば良く、その構成は特に限定されるものではなく、例えば、弧状部側台座27または筒部側台座28のいずれか一方のみを備える構成であっても良い。また、PPキャップ1は、弧状部側台座27や筒部側台座28を備えない構成であっても良いものの、射出成形性、初期開封前における薄肉つなぎ部22や補強つなぎ部26の破断防止等の観点から、上述のような弧状部側台座27や筒部側台座28を備える構成が好ましい。
そして、上述のような構成の本実施形態に係るPPキャップ1は、ねじ13のかみ合いによって容器の口部に取り付けられるとともに、初期開封時であってキャップ本体10を開封方向へ回転させた際に、容器の口部に形成されているラチェット突起にラチェット爪23が嵌合して弧状部21の開封方向への回転が規制され、更にキャップ本体10を開封方向へ回転さることで、薄肉つなぎ部22が破断されて初期開封が行われたことを明示することができるように構成されている。
PPキャップ1は、熱可塑性樹脂からなり、射出成形等によって形成される。PPキャップ1の原料としての熱可塑性樹脂は、成形性に優れ、柔軟性を有し、中身に接触しても衛生的に支障のないものであれば良く、特に限定されない。例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン等を用いることができ、更に、これらの熱可塑性樹脂が混合されたものであっても良い。また、PPキャップ1の寸法は限定されるものではなく、取り付けられる容器の口部の大きさに応じて適宜設計できる。
次に、本実施形態に係るPPキャップ1の製造方法の一例を詳細に説明する。PPキャップ1は、上述したように、キャップ本体10とリング部20とが連結つなぎ部30を介して連結された状態で一体に形成される。PPキャップ1は、生産性の観点から射出成形機で製造される。図10は、PPキャップ1を製造するための射出成形装置70の一例が示された概略図である。なお、図10において、射出成形装置70の金型74は模式的な断面によって示されている。射出成形装置70は、ホッパドライヤ71と、ホッパ72と、加熱シリンダ73と、金型74とを備える。
ホッパドライヤ71は、キャップ1の主原料となる例えばペレット形状の成形材料の投入口である。ホッパドライヤ71は、成形材料を乾燥した後にホッパ72に送り出すように構成される。ホッパドライヤ71は投入された成形材料を予め定められた水分率まで乾燥することができれば良く、例えば、熱風乾燥型や、除湿熱風乾燥型、減圧伝熱乾燥型であっても良い。
射出成形装置70は、ホッパ72に投入された成形材料が、加熱シリンダ73で溶融可塑化され、金型74に送り出されるように構成される。筒状の加熱シリンダ73は、外周に図示せぬヒータを備えるとともに、内部には、金型74への射出用の図示せぬスクリュを備える。加熱シリンダ73は、ヒータからの伝熱によって成形材料を例えば180℃〜300℃に加熱させるように構成される。
金型74には、成形品としてのPPキャップ1の形状に該当する空間部分であるキャビティ75が形成される。キャビティ75は、本実施形態に係るPPキャップ1の特徴を有する形状に対応するように形成される。金型74は、複数に分割されて構成されており、例えば、キャップ本体10の外側の形状に対応する外金型74aと、PPキャップ1の内部の形状に対応する内金型74bと、キャップ本体10の下端からリング部20のテーパ部24の上端までの外側の形状に対応する中間金型74cと、リング部20のテーパ部24の上端からリング部20の下端までの外側の形状に対応する底金型74dとから構成される。中間金型74cは、図10において、紙面に対して手前側と奥側とに半割りされて構成される。加熱シリンダ73から射出された成形材料はキャビティ75に注入されるように構成される。金型74には、金型74を加熱する図示せぬヒータと、金型74を冷却する図示せぬ冷却機とが設けられる。金型74は、ヒータによって加熱されたキャビティ75に溶融した成形材料が注入、及び加圧された後に冷却機によって冷却され、キャップ1が成形されるように構成される。
このような射出成形装置70が用いられてPPキャップ1が製造される。まず、射出成形装置70のホッパドライヤ71で乾燥された上でホッパ72に投入された熱可塑性樹脂が加熱シリンダ73で溶融可塑化されて、金型74に射出される。熱可塑性樹脂が、加熱シリンダ73から金型74のキャビティ75に射出、及び加圧された後に冷却機によって冷却され、金型74から離型さることによってPPキャップ1が成形される。
PPキャップ1の金型74からの離型は、図10の状態において、まずキャビティ75に対して外金型74aが上方へ移動し、キャップ本体10の外側が開放(型開き)される。次に、キャビティ75に対して中間金型74cが、紙面に対して手前側と奥側へそれぞれ移動し、キャップ本体10の下端からリング部20のテーパ部24の上端までの外側が開放(型開き)される。次に、キャビティ75に対して内金型74bが下方へ移動し、PPキャップ1の内部が開放(型開き)される。なお、この際、筒部11の内部にはねじ13が形成されており、キャップ本体10は内金型74bに食いつくようになるため、PPキャップ1、特に、薄肉つなぎ部22、連結つなぎ部30、及び補強つなぎ部26等に大きな力が作用する。
ここで、キャップ本体10とリング部20との間隔が、弧状部側台座27または筒部側台座28が形成された場所で狭められている。したがって、内金型74bの型開きの際に、キャップ本体10はリング部20の側に引っ張られるものの、その移動距離が少なく、連結つなぎ部30や補強つなぎ部26へ作用する力を低減させることができる。そして、内金型74bの型開き時における連結つなぎ部30や補強つなぎ部26の破断や変形、傷つき等の成形不良が防止される。また、底金型74dによって薄肉つなぎ部22を含むリング部20が保持された状態で内金型74bが型開きされるので、薄肉つなぎ部22の破断や変形、傷つき等の成形不良が防止される。
次に、リング部20が保持されている底金型74dからPPキャップ1を取り外すことで、PPキャップ1が成形される。ここで、リング部20は、テーパ部24を有するため、PPキャップ1を底金型74dから容易に取り外すことができ、PPキャップ1は金型74からの離型性が良く、量産性に優れる。
なお、金型74は上述の構成に限定されるものではない。また、金型を構成する材料は、PPキャップ1の原料や生産量等に応じて適宜選択される。例えば、一般構造用鋼、機械構造用炭素鋼、炭素工具鋼、合金工具鋼、高速度工具鋼、これらの鋼に焼き入れ焼き戻しを施した高硬度鋼やプリハードン鋼、非鉄金属のアルミニウム合金や銅合金等を用いることができる。また、金型74のキャビティ表面(金型表面)には、表面処理を施しても良い。表面処理としては、例えば、硬質クロム等のメッキ処理、窒化処理、硼化処理、化学的蒸着や物理的蒸着等によるセラミックコーティング等の非金属被膜処理等が挙げられる。このような表面処理を施すことによって金型74の耐久性が向上される。
キャビティ75には、PPキャップ1の天面部12の中央に対応する部位から溶融した熱可塑性樹脂が射出され、筒部11、連結つなぎ部30に対応する部位を介してリング部20に対応する部位まで流入する。ここで、PPキャップ1は、弧状部21のラチェット爪23と筒部11の下端との間に補強つなぎ部26を有するので、溶融した熱可塑性樹脂は、連結つなぎ部30と補強つなぎ部26に対応した部位を介してリング部20に対応する部位まで流入する。したがって、リング部20に対応する部位への溶融した熱可塑性樹脂の流れが良好となり、射出成形性が良好となり、PPキャップ1は量産性に優れる。
本実施形態に係るPPキャップ付容器は、容器の口部に上述したPPキャップ1が取り付けられる。図11は、本実施形態に係るPPキャップ1が取り付けられる容器60の一例が示された要部拡大正面図であり、図12は、図11の容器60の要部拡大平面図である。図11及び図12には、口部40がパウチ55に取り付けられた容器60が例示されており、パウチ55は二点鎖線で示されている。また、図11、図12には、PPキャップ1の閉栓方向d1及び開封方向d2が矢印で示されている。
口部40は、中身の充填口、及び注出口、あるいは飲み口であって、上端に円形の開口部42を有するとともに、外周面にPPキャップ1のねじ13とかみ合うねじ43が形成された円筒状のノズル部41を有する。
ノズル部41は、ねじ43の下方に、外周面から外方へ突出する2つのラチェット突起44,44を有する。ラチェット突起44,44は、上述したPPキャップ1のラチェット爪23,23にそれぞれ対応して形成されている。平面視において、ラチェット突起44の開封方向の側の端面とノズル部41の外周面(ラチェット突起44の開封方向の側の端面とノズル部41の外周面との接合部を通り、ノズル部41の外周面に接する面)とのなす角は鈍角であり、ラチェット突起44の閉栓方向の側の端面とノズル部41の外周面(ラチェット突起44の閉栓方向の側の端面とノズル部41の外周面との接合部を通り、ノズル部41の外周面に接する面)とのなす角は鋭角である。2つのラチェット突起44,44は、PPキャップ1が口部40に取り付けられた際に、ラチェット爪23,23が、周方向において、この2つのラチェット突起44,44の間に位置するように形成されている。
ノズル部41は、外周面から外方へ突出する、平面視の外形が略円形状である板状の補強フランジ45を有する。補強フランジ45の上面には、ラチェット突起44の下部が連結されており、ラチェット突起44の強度が向上されている。補強フランジ45の外周縁は、PPキャップ1のリング部20の内周面、つまり弧状部21の内周面に対応している。そして、PPキャップ1が口部40に取り付けられた際に、補強フランジ45の外周縁は、弧状部21の内周面に沿うように形成されている。ノズル部41は、補強フランジ45の下方に、複数のフランジ46,47,48を更に有する。
ノズル部41の下端部には、外周面から径方向に対称に延伸するとともに、端部に向けて厚さが薄く形成された板状の接着部49,49が形成さている。接着部49の上端は、最も下方に位置するフランジ48の下面に連結されている。接着部49,49は、平面視で略舟形であり、口部40のパウチ55への取り付けに用いられる。
口部40は、ノズル部41の下端から下方に向かって脚状に延びる連結部50を有する。連結部50は、パウチ55の内部に位置する。連結部50には、ノズル部41の内部と連通する容器側開口部51が形成される。そして、ノズル部41の開口部42と連結部50の容器側開口部51はノズル部41の内部を介して連通されており、このノズル部41の内部が容器60の中身の流路となる。また、口部40は、連結部50の下端から下方に向かって延びる閉塞防止部材52を有する。閉塞防止部材52は、水平断面の形状が略十字形状であり、パウチ55の内部に位置する。閉塞防止部材52は、パウチ55を構成する重ね合わされたフィルムの内面同士が密着することを防止し、パウチ55の注出性を良好にするものである。
上述のような構成の口部40は、PPキャップ1と同様に、熱可塑性樹脂からなり、射出成形等によって形成される。口部40の原料としての熱可塑性樹脂は、成形性に優れ、中身に接触しても衛生的に支障のないものであれば良く、PPキャップ1と同様のものを用いることができ、特に限定されない。
パウチ55は、可撓性を有するフィルムが重ね合わされた上でその周縁部が接着されて袋状に形成されたものである。そして、接着部49の正面側の側面49fが、パウチ55の一側の内面に接着され、図示せぬ接着部49の背面側の側面がパウチ55の他側の内面に接着されている。接着部49(正面側の側面49f)と、パウチ55(内面)との接着は、熱融着であることが好ましいものの、接着剤等によって貼り付けても良い。
パウチ55を構成するフィルムは、中身の性質や、包装材料としてのフィルムに要求される機能に応じて適宜選択される。フィルムは、単層であっても多層であっても良い。多層フィルムの場合には内側から例えば、ヒートシール層、及び基材層が積層された2層構造とすることができる。口部40の接着部49と接するパウチ55の内側がヒートシール層とされることで、パウチ55のヒートシール層と口部40の接着部49とを容易に熱融着させることができる。
ヒートシール層には、ヒートシール性に優れた例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、環状ポリオレフィンといったポリオレフィンを原料としたフィルムが用いられれば良い。ヒートシール層の厚さは、10μm以上であることが好ましく、40μm以上であることがより好ましく、80μm〜200μmであることが特に好ましい。基材層には、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミドを原料に製造され、二軸延伸されたフィルムが用いられれば良い。基材層の厚さは、10μm〜50μであることが好ましく、12μm〜25μmであることがより好ましい。更に、ヒートシール層は基材層に対して2倍〜20倍の厚さであることが好ましく、4倍〜10倍の厚さであることがより好ましい。
多層フィルムには必要に応じて、酸素や水蒸気等の透過性を阻止するガスバリア性や、可視光や紫外線等の透過を阻止する遮光性等を付加するためのバリア層が更に設けられても良い。バリア層には例えば、酸化アルミニウムや酸化ケイ素等の蒸着膜や、アルミニウム箔が用いられれば良い。バリア層は複数の層であっても構わない。更に、基材層の表面や、裏面には印刷層が設けられていても良い。各層の積層方法には限定はなく、例えばポリウレタン系接着によるドライラミネーションによって積層することができる。更に基材層の表面には外層が設けられても良い。
更に、本実施形態に係るPPキャップ付容器の製造工程は、パウチ55に図示せぬ中身が充填されてから、PPキャップ1が取り付けられて開口部42が閉塞された口部40が取り付けられても良く、先に、PPキャップ1が取り付けられて開口部42が閉塞された口部40が取り付けられたパウチ55に中身が充填されても良く、口部40をパウチ55に取り付けた後にPPキャップ1を口部40に取り付けても良く、状況に応じて適宜選択される。先に、PPキャップ1が取り付けられて開口部42が閉塞された口部40が取り付けられたパウチ55に中身を充填する場合には、中身の充填用に、未接着の周縁部を残しておき、中身の充填後に接着が行われるようにすれば良い。
更に、容器60の包装形態についても特に限定はなく、例示されたパウチ55以外にも、スタンディングパウチ、二方シール袋、三方シール袋、四方シール袋、ガゼット袋、ピロー包装袋、角底袋、その他等の各種の包装形態から選択して用いることができる。
更に、容器60は、PPキャップ1のねじ13とかみ合ってPPキャップ1を取り付けるねじと、PPキャップ1のラチェット爪23と嵌合して弧状部21の開封方向への回転が規制されるラチェット突起とを有する口部を備える容器であれば良く、上述された包装容器に限らず紙容器やボトル等であっても良い。
次に、本実施形態に係るPPキャップ1の容器60の初期開封の明示機能について説明する。図13は、容器60の口部40にPPキャップ1が取り付けられた本実施形態に係るPPキャップ付容器65が示された正面図であり、図14は、図13のPPキャップ付容器65の平面図であり、図15は、図14のXV−XV線断面図であり、図16は、図13のXVI−XVI線断面図であり、図17は、ラチェット突起44にラチェット爪23が嵌合した状態が示された断面図である。なお、図14におけるXV−XV線は、キャップ本体10の中心を通り、口部40の接着部49が延伸する方向へ延びる直線であり、図15はPPキャップ1と口部40の鉛直断面図であり、上述の図5と同様の断面図である。また、図13におけるXVI−XVI線は、ラチェット爪23を水平方向に横切る直線であり、図16はPPキャップ1のリング部20と口部40のノズル部41の水平断面図である。また、図17は、図16と同じ位置での断面が示された水平断面図である。
また、図15〜図17においては、パウチ55の記載を省略し、図13、図14、図16、図17には、PPキャップ1の閉栓方向d1及び開封方向d2が矢印で示されている。
PPキャップ1は、キャップ本体10の内周面に形成されたねじ13と口部40のノズル部41の外周面に形成されたねじ43とのかみ合いによって容器60の口部40に取り付けられ、口部40の開口部42を密閉する。詳細には、ノズル部41の開口部42側の端部がPPキャップ1のリング部20の側から内部に挿入されるように、PPキャップ1を口部40に覆い被せる。次に、口部40に対してキャップ本体10を閉栓方向に回転させると、ノズル部41のねじ43とキャップ本体10のねじ13とがかみ合い、キャップ本体10がノズル部41にねじ込まれていく。ここで、PPキャップ1のリング部20は、連結つなぎ部30と補強つなぎ部26によってキャップ本体10に連結されているので、キャップ本体10とリング部20は一体的に回転する。
更に、口部40に対してキャップ本体10を閉栓方向に回転させると、天面部12に形成されたコンタクトリング16がノズル部41の開口部42側の端面42aと密着し、口部40に対するキャップ本体10の回転が完了する。この時、天面部12に形成されたインナーリング15は、ノズル部41の開口部42から内部に挿入されてノズル部41と嵌合する。そして、ノズル部41の開口部42は、キャップ本体10の天面部12とインナーリング15とコンタクトリング16とによって、密閉される。
弧状部21に形成されたラチェット爪23は、口部40に対してキャップ本体10が閉栓方向に回転する際に、ノズル部41に形成されたラチェット突起44を閉栓方向に向かって乗り越える。そして、図16に示すように、2つのラチェット爪23,23は、それぞれ2つのラチェット突起44,44の間に位置する。ここで、ラチェット爪23の閉栓方向の側の端面と弧状部21の内周面とのなす角は鈍角であり、ラチェット突起44の開封方向の側の端面とノズル部41の外周面とのなす角は鈍角である。したがって、ラチェット爪23がラチェット突起44を閉栓方向に向かって乗り越える際には、互いに鈍角である側の端面が擦り合うように当接するため、ラチェット爪23はラチェット突起44を容易に乗り越えることができる。そして、キャップ本体10とリング部20とを連結する連結つなぎ部30及び補強つなぎ部26や、肉厚が薄く形成された薄肉つなぎ部22や薄肉部25等には大きな荷重が作用せず、これらの破断や損傷が生じることがない。
また、口部40に対するキャップ本体10の回転が完了した状態において、ノズル部41の補強フランジ45の外周縁は、PPキャップ1のリング部20の内周面、つまり弧状部21の内周面に沿った状態となる。したがって、リング部20を構成する弧状部21や薄肉つなぎ部22に径方向の外方から内方へ向かう外力が作用しても、弧状部21は補強フランジ45に当接するため、リング部20の薄肉つなぎ部22を支点としたねじれや変形等が抑制され、薄肉つなぎ部22や薄肉部25、連結つなぎ部30等に破断や損傷が生じることがない。
そして、リング部20は、PPキャップ1の初期の密閉状態では、弧状部21が薄肉つなぎ部22によって円筒状に連結されたままの状態である。このような初期状態から、口部40に対してキャップ本体10を開封方向に回転させることで、口部40の初期開封がなされる。口部40に対してキャップ本体10を開封方向に回転させると、図17に示すように、弧状部21に形成されたラチェット爪23は、ノズル部41に形成されたラチェット突起44を開封方向に向かって乗り越えることなく、ラチェット突起44に嵌合される。ここで、ラチェット爪23の開封方向の側の端面と弧状部21の内周面とのなす角は鋭角であり、ラチェット突起44の閉栓方向の側の端面とノズル部41の外周面とのなす角は鋭角である。したがって、口部40に対してキャップ本体10を開封方向に回転させると、互いに鋭角側の端面が引っ掛かるように当接し、ラチェット爪23はラチェット突起44に嵌合する。そして、ラチェット爪23がラチェット突起44に嵌合することで、口部40に対する弧状部21の開封方向への回転が規制される。
ここで、ラチェット爪23とキャップ本体10(筒部11)の下端との間には、補強つなぎ部26が形成されているので、この補強つなぎ部26によってラチェット爪23の径方向の外方への移動が規制され、ラチェット爪23をラチェット突起44に確実に嵌合させることができる。
ラチェット爪23がラチェット突起44に嵌合した状態で、更に、口部40に対してキャップ本体10を開封方向に回転させると、2つの弧状部21は、それぞれ連結つなぎ部30によってキャップ本体10に連結されている閉栓方向の側の端が開封方向へ向けて押される。しかしながら、弧状部21の開封方向への回転がラチェット爪23とラチェット突起44との嵌合によって規制されているので、弧状部21の連結つなぎ部30との連結部である第1のつなぎ部31とラチェット爪23との間の部位には開封方向へ向かって圧縮されるような力が作用し、外方へ湾曲するように変形する。また、連結つなぎ部30にも同様に開封方向へ向かって圧縮されるような力が作用し、折れ曲がるように変形する。そして、キャップ本体10は、弧状部21の第1のつなぎ部31とラチェット爪23との間の部位と、連結つなぎ部30とを変形させながら開封方向へ回転する。
一方、弧状部21のラチェット爪23と開封方向の側の端との間の部位と、薄肉つなぎ部22には、開封方向へ向かって引き伸ばされるような力が作用する。ここで、肉厚が薄く形成された薄肉つなぎ部22は弧状部21よりも強度が弱く、この開封方向への力によって薄肉つなぎ部22が引き伸ばされて破断する。
また、ラチェット爪23とキャップ本体10(筒部11)の下端との間に形成された補強つなぎ部26にも開封方向へ向かって引き伸ばされるような力が作用する。そして、薄肉つなぎ部22と同様に、肉厚が薄く形成された補強つなぎ部26も開封方向へ引き伸ばされて破断する。
薄肉つなぎ部22が破断した状態で、更に、口部40に対してキャップ本体10を開封方向に回転させると、弧状部21の第1のつなぎ部31とラチェット爪23との間の部位は外方へ湾曲するように更に変形し、連結つなぎ部30は折れ曲がるように更に変形する。そして、弧状部21の第1のつなぎ部31とラチェット爪23との間の部位の変形と、連結つなぎ部30の変形とによって、ラチェット爪23のラチェット突起44との嵌合が外れる。そして、口部40に対してキャップ本体10を更に開封方向に回転させることで、キャップ本体10のねじ13と口部40(ノズル部41)のねじ43とのかみ合いが外れてPPキャップ1を口部40から取り外すことができ、口部40の開口部42が開封される。
ここで、連結つなぎ部30は、第1のつなぎ部31と第2のつなぎ部32が平面視において略L字状に連結し、第2のつなぎ部32と第3のつなぎ部33が正面視において略L字状に連結し、キャップ本体10の側からリング部20の側に向かって、開封方向と径方向の外方とに2度直角に曲げられたクランク状に形成されている。したがって、連結つなぎ部30は、開封時に作用する力によって、第1のつなぎ部31が周方向かつ下方へ捻じれるように変形され、第2のつなぎ部32及び第3のつなぎ部33が外方かつ下方へ捻じれるように変形される。そして、連結つなぎ部30は、第1のつなぎ部31と第2のつなぎ部32のなす角が直角から狭められるように、第2のつなぎ部32と第3のつなぎ部33のなす角が直角から広げられるように変形される。
また、第1のつなぎ部31は、弧状部21の上端に連結されており、その延伸方向である径方向において、第1のつなぎ部31と弧状部21のなす角が広がるように、上方へ捻じれるように変形される。
また、弧状部21は、第1のつなぎ部31とラチェット爪23との間には、その肉厚が薄く形成された薄肉部25を有する。したがって、弧状部21の第1のつなぎ部31とラチェット爪23との間の部位は、開封時に作用する力によって、全体的に外方へ湾曲するように更に変形するとともに、薄肉部25を支点として、外方へ折れ曲がるように変形される。なお、薄肉部25は、弧状部21の外周側が切り欠かれて形成されているので、変形する支点が内方側に位置し、外方へ折れ曲がるように変形しやすい。
そして、初期開封がなされた後のPPキャップ1は、リング部20は口部40の側には残らずに、連結つなぎ部30によってキャップ本体10の下端に連結された状態である。したがって、口部40の開口部42から容器60の中身を注出する際にはリング部20が混入されることがなく、ノズル部41の先端を口に含んで開口部42から直接中身を吸い出すように経口した場合であってもリング部20が誤飲されることはない。また、PPキャップ付容器65を廃棄する際に、容器60からリング部20を取り外すといった煩わしい作業をすることなく、容器60とPPキャップ1を分別した廃棄ができる。
また、リング部20は、薄肉つなぎ部22が破断されており、2つの弧状部21がそれぞれ連結つなぎ部30を介してキャップ本体10の下端に連結された状態を維持する。そして、連結つなぎ部30は、第1のつなぎ部31と第2のつなぎ部32のなす角が直角から狭められるように、第2のつなぎ部32と第3のつなぎ部33のなす角は直角から広げられるように変形されており、弧状部21は、開封方向へ向かって下方に傾斜するとともに、径方向の外方へ広げられた状態である。更に、第1のつなぎ部31は、弧状部21とのなす角が広がるように変形されており、弧状部21は外周面が上方を向くように広げられた状態となる。また、弧状部21は薄肉部25を支点として外方へ折れ曲がるように変形されている。
そして、初期開封がなされた後のPPキャップ1を、再度容器60の口部40に取り付けた場合には、図18及び図19に示すように、リング部20は2つの弧状部21に分断され、連結つなぎ部30は変形され、弧状部21は開封方向へ向かって下方に傾斜するとともに径方向の外方へ広げられた状態でキャップ本体10に連結され、弧状部21自体も外方へ折れ曲がるように変形されている状態である。したがって、消費者は、PPキャップ1の側方からの目視だけではなく、上方からの目視だけであっても、初期開封が行われたことを容易かつ確実に認識することができる。ここで、図18は、初期開封がなされた後のPPキャップ1が再び容器60の口部40に取り付けられた状態が示された正面図であり、図19は、図18の平面図である。
ここで、PPキャップ1における開封は、薄肉つなぎ部22や補強つなぎ部26を破断させ、連結つなぎ部30や弧状部21を変形させながら行われる。各部材の強度が高い場合には開封性が低下しやすく、強度が低い場合にはPPキャップ1の口部40の取り付けが困難であったり、搬送適性が低下しやすくなったりする。したがって、PPキャップ1は、初期開封の明示性とともに、開封性や口部40への取り付け性等も備えるような構成とする必要がある。
そして、初期開封の明示性、開封性、口部40への取り付け性等の観点から、薄肉つなぎ部22の肉厚T1は、0.2mm以上、0.6mm以下であることが好ましく、薄肉つなぎ部22の周方向の幅W1は、0.1mm以上、1.0mm以下であることが好ましく、薄肉つなぎ部22の上下方向の幅W2は、0.2mm以上、1.0mm以下であることが好ましい(図7、図8参照)。薄肉つなぎ部22の肉厚T1、幅W1、及び幅W2がこの範囲であれば、射出成形の際やPPキャップ1を口部40に取り付ける際等に薄肉つなぎ部22が破断等することなく、更に、開封の際には好適に破断させることができる。
また、薄肉部25の肉厚T2は、0.3mm以上、1.0mm以下であることが好ましく、薄肉部25の周方向の幅W3は、0.5mm以上、3.0mm以下であることが好ましい(図7参照)。薄肉部25の肉厚T2、及び幅W3がこの範囲であれば、初期開封前においては弧状部21が薄肉部25を支点として変形しにくく、初期開封時においては弧状部21が薄肉部25を支点として好適に折り曲げられ、リング部20による初期開封の明示機能が効果的に発揮される。また、薄肉部25は、第1のつなぎ部31の近傍に形成されることが好ましく、初期開封時においては弧状部21が薄肉部25を支点として好適に折り曲げられやすくなり、リング部20による初期開封の明示機能が向上される。
また、連結つなぎ部30において、第1のつなぎ部31の径方向の長さL1は、0.2mm以上、1.5mm以下であることが好ましく、第2のつなぎ部32の周方向の長さL2は、0.2mm以上、3.0mm以下であることが好ましく、第3のつなぎ部33の上下方向の長さL3は、0.2mm以上、1.5mm以下であることが好ましい(図8、図9参照)。なお、第1のつなぎ部31の径方向の長さL1は、弧状部21の内周面から第2のつなぎ部32までの距離であり、第2のつなぎ部32の周方向の長さL2は、第1のつなぎ部の閉栓方向の側の端から第3のつなぎ部の開封方向の側の端までの距離であり、第3のつなぎ部33の上下方向の長さL3は、第2のつなぎ部32の上端から筒部11の下端までの距離である。第1のつなぎ部31の長さL1、第2のつなぎ部32の長さL2、及び第3のつなぎ部33の長さL3がこの範囲であれば、初期開封前においては連結つなぎ部30が変形しにくく、初期開封時においては連結つなぎ部30が好適に変形され、リング部20による初期開封の明示機能が効果的に発揮される。
以上に説明がなされたように、本実施形態に係るPPキャップ1は、ねじ13のかみ合いによって容器60の口部40に取り付けられ、初期開封が行われたことを明示可能に構成されたPPキャップ1において、ねじ13が内周面に形成された筒部11を有する有頂筒状のキャップ本体10と、弧状に湾曲した2つの弧状部21,21が、開封時に破断可能な薄肉つなぎ部22,22を介して筒状に連結されたリング部20と、2つの弧状部21,21のそれぞれと筒部11の開放側の端とに連結される2つの連結つなぎ部30,30とを備える。そして、弧状部21は、口部40に形成されているラチェット突起44と嵌合し、弧状部21の開封方向への回転が規制されるラチェット爪23を有し、連結つなぎ部30は、弧状部21の閉栓方向の側の端から内方へ延びる第1のつなぎ部31と、第1のつなぎ部31の内方の側の端から周方向かつ閉栓方向へ延びる第2のつなぎ部32と、第2のつなぎ部の閉栓方向の側の端から筒部11まで延びる第3のつなぎ部33とから構成される。
本実施形態に係る構成によれば、初期開封がなされた後のPPキャップ1において、リング部20は2つの弧状部21に分断され、連結つなぎ部30は変形され、弧状部21は開封方向へ向かって下方に傾斜するとともに径方向の外方へ広げられた状態でキャップ本体10に連結され、弧状部21自体も外方へ折れ曲がるように変形されている状態となる。つまり、PPキャップ1は、側方だけではなく、上方からの目視に対しても、リング部20の変形によって初期開封が行われたことを明示することができる。更に、初期開封後のリング部20の形態は、初期開封前の形態と大きく異なるため、消費者に対して初期開封が行われたことを容易かつ確実に認識させることができる。
したがって、本実施形態によれば、初期開封が行われたことの明示が容易かつ確実であるピルファープルーフキャップ1、及びピルファープルーフキャップ付容器65を提供すことができる。