以下の実施形態は、開閉器及び分電盤に関し、とくに負荷及び電源と電気的に接続される開閉器及び分電盤に関する。
(実施形態1)
(1)概要
本実施形態の開閉器(分岐開閉器3)は、図1〜4に示すように、第1端子t1と、第2端子t2と、接点部31と、接続端子t4と、操作部6とを備えている。第1端子t1は、電源(交流電源100)に電気的に接続される。第2端子t2は、負荷110に電気的に接続される。接点部31は、第1端子t1と第2端子t2との間に電気的に接続されている。接続端子t4は、接続対象部材(取付部材4)に接触することで接続対象部材に電気的に接続される。操作部6は、接続対象部材に対して接続端子t4を移動させることにより、接続端子t4が接続対象部材に接触している第1状態と、接続端子t4が接続対象部材に接触していない第2状態とを切り替えるように操作される。操作部6は、第2状態から第1状態へ切り替える接続操作と、第1状態から第2状態へ切り替える解除操作との少なくとも一方において、工具600を用いた操作を必要とするように構成されている。
ここでいう接続端子t4の「移動」は、接続対象部材に対する接続端子t4の相対的な位置が変化することを意味し、接続端子t4の全体が移動する構成だけでなく、接続端子t4の一部が移動する構成も含む。例えば、接続端子t4が変形することにより、接続端子t4における接続対象部材との接触部位が部分的に移動するような構成も、接続端子t4の「移動」に含まれる。また、「電気的に接続」とは、電気的に導通した状態の接続を意味し、直接的な接続だけでなく、例えば電線等の導体を介した間接的な接続も含む。また、ここでいう「工具」には、例えば、マイナスドライバ、プラスドライバ、六角ドライバ(六角棒スパナ)、及びヘックスローブドライバ等の汎用の工具、並びに、特殊ねじ等に適合する特殊工具が含まれる。さらに、「工具」は、人が操作部6を操作するときに使用する器具及び道具であればよく、例えば針金をピックツールとして用いるなど、本来の用途以外で使用される器具及び道具であってもよい。
本実施形態では、接続操作と解除操作との少なくとも一方において、操作部6は、工具600を用いた操作を必要とする。つまり、本実施形態の開閉器は、接続操作と解除操作との少なくとも一方において、人が工具600を用いることなく操作部6を操作できないように、構成されている。一例として、操作部6は、マイナスドライバにて回転させることができるねじ構造であり、この場合、操作部6は、簡単には人が指で回転させることができず、マイナスドライバ(工具600)を用いた操作を必要とする。
すなわち、本実施形態の開閉器によれば、接続端子t4が接続対象部材に接触している第1状態と、接続端子t4が接続対象部材に接触していない第2状態とが、操作部6の操作によって切替可能になる。しかも、操作部6は、第2状態から第1状態へ切り替える接続操作と、第1状態から第2状態へ切り替える解除操作との少なくとも一方においては、工具600を用いた操作を必要とする。そのため、接続端子t4に接続対象部材を電気的に接続する際の接続操作と、接続端子t4と接続対象部材との電気的な接続を解除する際の解除操作との少なくとも一方においては、作業者は、自らの意思で操作部6の操作を行うことになる。したがって、例えば、工具600を用いて接続操作を行った作業者は、自ら接続操作を行った開閉器については、確認するまでもなく接続対象部材に電気的に接続されていることを確信できる。また、工具600を用いて解除操作を行った作業者は、自ら解除操作を行った開閉器については、確認するまでもなく接続対象部材と電気的に接続されていないことを確信できる。
要するに、特許文献1に記載の分岐ブレーカのように、ねじの締め付け状態を確認する場合、作業者は、ねじを増し締めしたり、電線(接地線)を1本ずつ引っ張って抜けないことを確認したりする必要があり、確認作業に手間がかかることがある。これに対して、本実施形態の開閉器によれば、接続操作と解除操作との少なくとも一方について、作業者は、自らの意思で操作部6を操作することで行うので、接続対象部材との電気的な接続状態を容易に確認できる、という利点がある。
(2)詳細
以下、実施形態1に係る開閉器及び分電盤について図面を参照して詳しく説明する。以下の実施形態で説明する開閉器は、分岐回路に電気的に接続される開閉器(分岐開閉器)である。また、以下の実施形態で説明する分電盤は、例えば工場やオフィスなどの建物(施設)に設置される分電盤である。ただし、以下に説明する構成は本発明の一例に過ぎない。本発明は、以下の実施形態に限定されず、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
(2.1)分電盤
本実施形態の分電盤1は、図5及び図6に示すように、前面に開口部101が形成された箱型のキャビネット10を備えている。以下では、分電盤1が壁に取り付けられた状態で、キャビネット10を正面(開口部101側)から見たときの上下左右を基準として説明を行う。また、分電盤1が壁に取り付けられた状態でキャビネット10を正面から見たときの奥行方向を前後方向とし、キャビネット10の前面が前方を向いていることとして説明する。つまり、図5等において「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」の矢印で示す通りに各方向を規定する。ただし、これらの方向は分電盤1の設置方向を規定する趣旨ではない。また、図面中の各方向を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
キャビネット10の内部には、内器として主幹開閉器2と複数の分岐開閉器3とが収納されている。キャビネット10の内部には取付部材4が配置され、取付部材4に複数の分岐開閉器3が取り付けられている。キャビネット10には、交流電源100(電源)に接続される電源線201(母線)などの配線を通すための貫通孔103が設けられている。キャビネット10の内部には、接地線206を接続するための接地端子11が設けられている。一例として、接地端子11は、キャビネット10の左側壁に取り付けられている。
キャビネット10には、内扉12がヒンジを介して開閉可能に取り付けられている。内扉12が閉じた状態では内扉12が開口部101を覆い、内扉12が開いた状態では開口部101が露出している。内扉12には、主幹開閉器2のハンドル23を露出させる第1の窓孔13と、分岐開閉器3のハンドル33を露出させる第2の窓孔14とが設けられている。また、キャビネット10には、外扉15がヒンジを介して開閉可能に取り付けられている。外扉15が閉じた状態では外扉15が内扉12を覆い、外扉15が開いた状態では内扉12が露出している。
主幹開閉器2は直方体状のケース20を備えている。ケース20の上端部には一次側の端子21が設けられ、ケース20の下端部には二次側の端子22が設けられている。ケース20の内部には、一次側の端子21と二次側の端子22との間に電気的に接続された接点部が収納されている。主幹開閉器2は、接点部を流れる主幹電流が、あらかじめ決められたしきい値を超えると、接点部を強制的に開極させる過電流保護機能を備えている。さらに、主幹開閉器2は、漏電を検出すると、接点部を強制的に開極させる漏電保護機能を備えている。
ケース20の前面には接点部を手動で開閉させるためのハンドル23が配置されている。一次側の端子21には交流電源100が電気的に接続される(図3参照)。本実施形態では、交流電源100の配電方式が単相三線式である場合を例に説明する。一次側の端子21には、電圧極(L1相、L2相)と中性極との3本の電源線201が接続される。3本の電源線201は、交流電源100に電気的に接続されている。これにより、主幹開閉器2は、3本の電源線201を介して交流電源100に電気的に接続される。
二次側の端子22には、電圧極(L1相、L2相)と中性極との3本の導電バー5が電気的に接続される。3本の導電バー5の各々は、金属製であって、上下方向に長尺となる帯板状に形成されている。3本の導電バー5の各々は、例えば、金属板にプレス加工を施すことによって形成される。3本の導電バー5の各々は、主幹開閉器2を介して電源線201に電気的に接続されている。
取付部材4は、平面形状が矩形状の金属板である。キャビネット10の内部において、キャビネット10の後壁には一対のフレーム102が固定されている。一対のフレーム102の各々は、金属製であって、上下方向に長尺となる棒状に形成されている。一対のフレーム102は左右方向において間隔を空けて対向するように配置されている。取付部材4は、一対のフレーム102間に跨って取り付けられている。取付部材4は、一対のフレーム102に対して、例えばねじで固定されている。
キャビネット10の内部であって、左右方向における一対のフレーム102の略中間には、3本の導電バー5が取り付けられている。3本の導電バー5は、前後方向において間隔をあけて並ぶように配置されている(図4参照)。取付部材4には、導電バー5の左側及び右側のそれぞれに複数の分岐開閉器3が取り付けられている。なお、導電バー5の左側及び右側の各々において、複数の分岐開閉器3は、上下方向に並ぶように配置されている。導電バー5の前面は、導電バー5の前側に配置される合成樹脂製のカバー5aで覆われている。
取付部材4には、接地線205(以下、「第1の接地線」という)の一端を接続するためのねじ端子42が設けられている。第1の接地線205の他端は接地端子11に電気的に接続されている。接地端子11は接地線206(以下、「第2の接地線」という)を介して接地されている。したがって、取付部材4は第1の接地線205及び第2の接地線206を介して接地されている。
また、取付部材4には、複数の分岐開閉器3の各々が取り付けられる位置に、金属のばね材料(例えばリン青銅などの銅合金、ステンレス鋼など)で形成された固定ばね41が設けられている(図4参照)。
(2.2)開閉器
次に、実施形態1に係る分岐開閉器3(開閉器)について図1〜図4を参照して説明する。
まず、分岐開閉器3の電気的な構成を図3を参照して説明する。
分岐開閉器3は、2個の第1端子t1と、2個の第2端子t2と、第3端子t3と、接続端子t4と、2個の接点部31と、接続回路32とを備えている。
2個の第1端子t1の各々には、導電バー5が接続される。これにより、2個の第1端子t1には、交流電源100(電源)が電気的に接続される。分岐開閉器3が100V用の開閉器である場合は、2個の第1端子t1のうちの一方には電圧極(L1相又はL2相)の導電バー5が接続され、2個の第1端子t1のうちの他方には中性極の導電バー5が接続される。分岐開閉器3が200V用の開閉器である場合は、2個の第1端子t1のうちの一方にはL1相の導電バー5が接続され、2個の第1端子t1のうちの他方にはL2相の導電バー5が接続される。
2個の第2端子t2の各々には、分岐線202が接続される。分岐線202には、負荷110が電気的に接続される。これにより、2個の第2端子t2には、負荷110が電気的に接続される。ここでいう「負荷」には、例えば接地極付きのコンセントなどの配線器具、並びに、照明器具及び空調装置等の種々の電気機器などが含まれる。
2個の接点部31の各々は、対応する第1端子t1と第2端子t2との間に電気的に接続されている。分岐開閉器3は、分岐線202に流れる負荷電流が、あらかじめ決められたしきい値を超えると、接点部31を強制的に開極させる過電流保護機能を備えている。また、2個の接点部31は、ハンドル33(図1参照)の操作に応じて、オン状態(閉極)及びオフ状態(開極)の何れかに切り替えられる。
接続端子t4は、接続対象部材に電気的に接続される端子である。本実施形態では接続対象部材は取付部材4である。接続端子t4は、分岐開閉器3が取付部材4に取り付けられた状態で、接続対象部材としての取付部材4に電気的に接続される。取付部材4は、上述したように接地されているので、接続端子t4は、取付部材4を介して接地されることになる。
第3端子t3には、負荷110の接地線203が電気的に接続される。接地線203は、負荷110の接地極に電気的に接続されている。例えば、負荷110が接地極付きのコンセントであれば、コンセントの接地極が接地線203を介して第3端子t3に電気的に接続される。また、負荷110が照明器具等の電気機器であれば、電気機器の接地端子が接地線203を介して第3端子t3に電気的に接続される。
接続回路32は、接続端子t4と第3端子t3を電気的に接続する。本実施形態においては、接続端子t4は接地され、第3端子t3は負荷110の接地線203が電気的に接続される。つまり、接続回路32は、負荷110の接地経路の一部を構成する。そのため、接続回路32の抵抗値は接地工事の種類ごとに定められた接地抵抗値に適合する必要があり、接続回路32は十分小さい抵抗値で接続端子t4と第3端子t3との間を電気的に接続する。
次に、分岐開閉器3の機械的な構成を図1、図2A、図2B、及び図4を参照して説明する。
本実施形態の分岐開閉器3は、ケース30と、操作部6とを更に備えている。
ケース30は、それぞれ合成樹脂の成形品である複数の分割体を組み合わせることで、全体として直方体状に形成されている。ケース30は、第1端子t1と、第2端子t2と、接続端子t4と、第3端子t3と、接点部31とを保持している。ケース30は、上下方向に扁平な薄箱状である。以下、ケース30の上下方向に直交する平面(上面又は下面)の長手方向をケース30の「長手方向」、同平面の短手方向をケース30の「高さ方向」ともいう。また、ケース30の上下方向をケース30の「幅方向」ともいう。
ケース30の前面には、前方に突出する突出部30aが設けられている(図2A,図2B参照)。突出部30aを正面から見た形状は矩形状である。突出部30aにはハンドル33が設けられている。分電盤1の内扉12が閉じられた状態では、内扉12の第2の窓孔14に突出部30aが挿入される。これにより、分岐開閉器3のうちの突出部30aの前面は、内扉12が閉じられた状態でも、第2の窓孔14を通して内扉12の前面に露出する。
ケース30の前面において、分電盤1の内扉12で覆われる部位であって、突出部30aの左側には、操作孔30bが開口している(図2A,図2B参照)。操作孔30bには操作部6が挿し通される。操作部6は、操作孔30bに挿し通された状態でケース30に保持される。また、ケース30の後面30cにおいて、取付部材4に対向する位置には、貫通孔30dが開口している(図4参照)。
ケース30の長手方向の一端部(右端部)には、3本の導電バー5のうち対応する導電バー5がそれぞれ挿入される3個のスリット35が設けられている。3個のスリット35のうちの2個(前寄りの2個)には、スリット35に挿入される導電バー5を、導電バー5の厚み方向(前後方向)の両側から挟む一対の刃受け部材36が配置されている。一対の刃受け部材36の各々は弾性及び導電性を有する金属材料(例えばリン青銅などの銅合金)で形成されている。本実施形態では、一対の刃受け部材36が第1端子t1を構成している。そのため、一対の刃受け部材36がスリット35に挿入された導電バー5と接触することによって、第1端子t1と導電バー5とが電気的に接続される。本実施形態では3個のスリット35のうち前寄りの2個のスリット35の各々に、一対の刃受け部材36が配置される構成としたが、この構成に限定されない。一対の刃受け部材36は、3個のスリット35のうち2個のスリット35の各々に設けられていればよい。
ケース30の長手方向の他端部(左端部)には、固定ばね41が挿入される取付穴34が形成されている。ケース30は、スリット35に挿入された導電バー5を一対の刃受け部材36が挟持し、かつ取付穴34に固定ばね41が挿入された状態で、取付部材4に取り付けられる。
また、ケース30の左端部には、第2端子t2である速結端子70と、第3端子t3である速結端子80とが、ケース30の高さ方向において2段に並ぶように設けられている(図4参照)。本実施形態では、1つのケース30に対して、速結端子70は2個設けられ、速結端子80は1個設けられている。2個の速結端子70は1個の速結端子80より前方に位置する。2個の速結端子70、及び1個の速結端子80はケース30に収納されている。
2個の速結端子70はケース30の幅方向に並ぶように配置されている。速結端子80は、2個の速結端子70のうちの一方(ここでは下側の速結端子70)と前後方向に並ぶように配置されている。ケース30の左側面には、2個の速結端子70の各々に対応する位置に(第1の)端子孔37が設けられ、速結端子80に対応する位置に(第2の)端子孔38が設けられている(図2A、図2B、及び図4参照)。
速結端子70は、端子板71と、鎖錠ばね72と、解除レバー76とを有している。
端子板71は、接点部31に電気的に接続されている。端子板71は、端子孔37からケース30の内部に挿入される電線(分岐線202)の先端部と接触する位置に配置されている。
鎖錠ばね72は、帯板状の中央片73と、鎖錠片74と、押圧片75とを有している。鎖錠片74は、中央片73の長手方向の一端から延長されており、上下方向の一方から見た形状が略J字形に形成されている。押圧片75は、中央片73の長手方向の他端から延長されており、上下方向の一方から見た形状が略S字形に形成されている。鎖錠ばね72は、鎖錠片74及び押圧片75を端子板71に対向させた状態でケース30の内部に収納されている。なお、鎖錠ばね72は、鎖錠片74と端子孔37との距離が、押圧片75と端子孔37との距離よりも小さくなる向きに(つまり鎖錠片74が端子孔37の近くに位置するように)収納されている。
端子孔37からケース30の内部に電線の先端部が挿入されると、この電線の先端部に鎖錠片74の先端が食い込み、電線が抜け止めされた状態となる。この状態で、電線の先端部は端子板71と押圧片75とに挟まれ、押圧片75の弾性力によって電線の先端部が端子板71に押し付けられる。そのため、電線と端子板71とが電気的に接続される。
解除レバー76は、ケース30に保持された軸76aを中心として回転可能にケース30に取り付けられている。解除レバー76のうちケース30の開口39から露出する部位には、操作突起77が設けられている。解除レバー76は、操作突起77が操作されて、軸76aを中心に図4中の反時計回りに回転する。さらに、解除レバー76には作用突起が設けられている。鎖錠ばね72と端子板71との間に電線が挿入されている状態で、解除レバー76が操作されて回転すると、解除レバー76の作用突起で鎖錠片74が端子板71から離れる向きに押される。鎖錠片74が端子板71から離れる向きに押されると、鎖錠片74の先端が電線から離れるので、電線の抜け止め状態が解除され、速結端子70から電線の取り外しが可能になる。一方、操作突起77を操作する力がなくなると、鎖錠片74の弾性力によって作用突起が押され、解除レバー76が操作前の位置に復帰した状態となる。
速結端子80は、端子板81と、鎖錠ばね82と、解除レバー86とを有している。なお、速結端子80の鎖錠ばね82及び解除レバー86は、それぞれ、速結端子70の鎖錠ばね72及び解除レバー76と同じ構造を有しているので、その説明は省略する。
端子板81は、端子孔38からケース30の内部に挿入される電線(接地分岐線203)の先端部と接触する位置に配置されている。端子板81には、導電板32aの一端が、溶接、ロウ付け、かしめ固定などの適宜の方法で機械的かつ電気的に接続されている。
ケース30の後壁には、接続端子t4を構成する接触片50が取り付けられている(図1参照)。接触片50は、貫通孔30dに一部が臨むようにして、ケース30の内側からケース30の後壁に取り付けられている。接触片50は、金属のばね材料(例えばリン青銅などの銅合金、ステンレス鋼など)で形成されており、帯板状の梁部51と、先端部52とを有している。梁部51は、ケース30の後面30cと平行するように配置されており、梁部51の長手方向の一端部がケース30に固定されている。梁部51には、導電板32aの他端が、溶接、ロウ付け、かしめ固定などの適宜の方法で機械的かつ電気的に接続されている。先端部52は、梁部51の長手方向の他端から延長されている。先端部52は、上下方向の一方から見た形状が後ろ向きに凸となるV字形に形成されている。
梁部51が操作部6で押されていない状態では、先端部52はケース30の後面30cよりもケース30の内側に引っ込んだ位置にある。一方、梁部51が操作部6によって押されて後方に撓んだ状態では、先端部52は貫通孔30dを通ってケース30の後面30cよりも後方に突出した状態となる。
また、本実施形態の操作部6は、接続対象部材である取付部材4に対して接続端子t4である接触片50を移動させることにより、第1状態と第2状態とを切り替えるように操作される。第1状態は、接続端子t4(接触片50)が接続対象部材(取付部材4)に接触している状態であり、第2状態は、接続端子t4が接続対象部材に接触していない状態である。本実施形態では、接続端子t4は、接続対象部材に接触することで接続対象部材に電気的に接続される。そのため、接続端子t4と接続対象部材との電気的な接続関係に着目すれば、第1状態は、接続端子t4が接続対象部材に電気的に接続されているオン状態となる。一方、第2状態は、接続端子t4が接続対象部材に電気的に接続されていないオフ状態となる。また、操作部6は、接続端子t4に接続対象部材が電気的に接続されているか否かを表示する表示部として兼用される。
操作部6は、第2状態から第1状態へ切り替える接続操作と、第1状態から第2状態へ切り替える解除操作との少なくとも一方においては、工具600を用いた操作を必要とする。本実施形態では、操作部6は、接続操作と解除操作との両方において、工具600を用いた操作を必要とするように構成されている。
操作部6は、合成樹脂製であって、電気絶縁性を有している。操作部6は、前後方向に長尺となる丸棒状の軸部60と、頭部60aと、押圧部62とを有している。頭部60aは軸部60の前側に設けられており、押圧部62は軸部60の後側に設けられている。頭部60a及び押圧部62は軸部60によって連結されている。
頭部60aは、軸部60に比べて大径の円柱状に形成されている。頭部60aの前面には、例えばマイナスドライバのような工具600の先端部601が嵌る形状の凹部61が形成されている。押圧部62は、軸部60に比べて大径の円盤状に形成されている。押圧部62は、ケース30の内部において、接触片50と対向する位置に配置されている。押圧部62のうち、接触片50との対向面となる後面の一部には、テーパ面62aが形成されている。
操作部6は、ケース30の操作孔30bに挿し通された状態で、ケース30に保持される。ここで、操作孔30bのうち開口付近となる前端部の内径は、操作孔30bの前端部以外の内径より大きく形成されている。具体的には、操作孔30bの前端部の内径は、頭部60aの外径よりも大きく、かつ工具600の先端部601を挿入可能な大きさである。これにより、操作部6の頭部60aは、操作孔30bの前端部に収納可能である。ただし、操作孔30bの前端部の内径は、人の指が入らないような大きさである。
ここで、操作部6は、頭部60aの回転軸602回りの回転に伴って回転軸602に沿って直進移動するねじ構造である。回転軸602は頭部60aの中心を通る仮想軸である。具体的には、軸部60の周面には、周面をほぼ一周するように螺旋状のねじ山63が形成されている。さらに、操作孔30bの内周面には、軸部60のねじ山63が嵌まるねじ溝30eが設けられている。これにより、操作部6は、ケース30に保持された状態で、頭部60aが回転軸602回りで回転することによって、ケース30に対して軸部60の長手方向(前後方向)に直進移動する。本実施形態では一例として、操作部6は、正面から見て時計回りに回転することで軸部60が後方に移動する「右ねじ」構造である。
操作部6の移動方向(前後方向)における可動範囲は、オン位置とオフ位置との間に制限されている。オン位置は、操作部6の可動範囲の後端位置であって、本実施形態においては、正面から見て操作部6を時計回りに回転させた際の終端位置となる。オフ位置は、操作部6の可動範囲の前端位置であって、本実施形態においては、正面から見て操作部6を反時計回りに回転させた際の終端位置となる。本実施形態では一例として、操作部6が約180度回転すると、操作部6がオン位置とオフ位置との間を移動する。
操作部6は、オフ位置においては、操作孔30bを通して少なくとも一部(頭部60a)がケース30の表面(本実施形態では前面)から突出するように構成されている。つまり、操作部6がオフ位置にある状態では、頭部60aの前面は、ケース30の前面における操作孔30bの周縁部よりも前方に位置する。このとき、操作部6の頭部60aはケース30の外側に突出する(図1及び図2A参照)。操作部6は、オン位置においては、操作孔30b内に収まるように構成されている。つまり、操作部6がオン位置にある状態では、頭部60aの前面は、ケース30の前面における操作孔30bの周縁部よりも後方に位置する。このとき、操作部6の全体がケース30の内側に入り込む(図2B参照)。
操作部6がオフ位置にある状態では、図1に示すように、押圧部62は、接触片50に接触しない。このとき、接触片50の先端部52は、ケース30の後面30cよりもケース30の内側に引っ込んだ位置にある。そのため、接触片50の先端部52は、接続対象部材である取付部材4に接触しない。要するに、操作部6がオフ位置にある場合、接続端子t4(接触片50)と接続対象部材(取付部材4)との関係は、接触片50が取付部材4に接触していない第2状態(オフ状態)にある。
この状態から、操作部6が正面から見て時計回りに回転するように操作され、操作部6がオン位置に移動すると、押圧部62は、後方に移動し、接触片50を後方に押す。このとき、接触片50は梁部51が撓んだ状態となる。つまり、接触片50が変形することになり、接触片50における先端部52が部分的に後方へ移動する。これにより、接触片50の先端部52は、貫通孔30dを通って接続対象部材である取付部材4に接触する。要するに、操作部6がオン位置にある場合、接続端子t4(接触片50)と接続対象部材(取付部材4)との関係は、接触片50が取付部材4に接触している第1状態(オン状態)にある。
操作部6がオン位置にあるとき、押圧部62のテーパ面62aは、梁部51の前面と面接触する。つまり、撓んだ状態の梁部51に対して、押圧部62がテーパ面62aにて面接触するので、操作部6は、接触片50の先端部52を確実に後方へと移動させることができる。
また、操作部6が正面から見て反時計回りに回転するように操作され、操作部6がオン位置からオフ位置に移動すると、押圧部62は、前方に移動し、接触片50から離れる。このとき、梁部51の弾性力によって、接触片50の先端部52は、ケース30の後面30cよりもケース30の内側に引っ込んだ位置に移動する。そのため、接触片50の先端部52は接続対象部材である取付部材4に接触せず、接触片50が取付部材4に接触していない第2状態(オフ状態)に復帰する。
したがって、操作部6が操作されることにより、接続対象部材である取付部材4に対して接続端子t4である接触片50が移動することになり、結果的に、第1状態と第2状態とが切り替えられる。
また、本実施形態のように、操作部6には、操作部6が回転してオン位置に移動した際、及び操作部6が回転してオフ位置に移動した際に、クリック感を発生するような機構が設けられることが好ましい。具体的には、軸部60の周面と操作孔30bの内周面とのそれぞれに突起が設けられている。この構成では、操作部6が回転してオン位置又はオフ位置まで移動する際、軸部60の突起が操作孔30bの内周面の突起を乗り越えることで、操作部6を操作する作業者にクリック感を与えることができる。
また、本実施形態のように、頭部60aの前面には、操作部6の回転位置を示すマーク64が設けられることが好ましい。マーク64は三角形の突起である。ケース30の前面における操作孔30bの周縁部には、操作部6がオン位置にあるときにマーク64に対応する位置と、操作部6がオフ位置にあるときにマーク64に対応する位置とに、それぞれ、オン位置とオフ位置とを示す表示が設けられている。ケース30の前面に設けられたオン位置及びオフ位置の表示を目安にして操作部6を回転させることで、接触片50と接続対象部材との関係を第1状態(オン状態)及び第2状態(オフ状態)間で切り替えることができる。
(2.3)開閉器の取り付け
以下、作業者が開閉器(ここでは分岐開閉器3)を取付部材4に取り付ける際の作業工程について説明する。
作業者は、スリット35に導電バー5を差し込み、かつケース30の左右方向における導電バー5とは反対側の端部を後方へ押し込むようにして、分岐開閉器3を取付部材4に取り付ける。このようにして分岐開閉器3が取付部材4に取り付けられると、固定ばね41がケース30の取付穴34に挿入された状態となり、分岐開閉器3が取付部材4に機械的に保持される。分岐開閉器3が取付部材4に取り付けられた状態では、刃受け部材36が対応する導電バー5に電気的に接続されている。この状態では、操作部6はオフ位置にあり、接触片50は接続対象部材(取付部材4)に接触していない第2状態(オフ状態)にある。
次に、作業者は、接続端子t4(接触片50)と接続対象部材(取付部材4)とを電気的に接続する。つまり、作業者は、分岐開閉器3が取付部材4に取り付けられた状態で、工具600を用いて操作部6を操作する。このとき、接続端子t4(接触片50)と接続対象部材(取付部材4)との関係は、接触片50が取付部材4に接触していない第2状態にあるため、作業者は、第2状態から第1状態へ切り替える接続操作を行う。具体的には、作業者は、操作部6の凹部61に工具600の先端部601を挿入し、工具600を用いて操作部6を正面から見て時計回りに約180度回転させる。このとき、操作部6はオフ位置からオン位置に移動し、接触片50が移動して取付部材4に接触する。これにより、接続端子t4である接触片50が、接触対象部材である取付部材4に電気的に接続された状態(オン状態)となり、接続端子t4と接続対象部材との電気的な接続作業が完了する。
このようにして分岐開閉器3が取付部材4に取り付けられ、接続端子t4が取付部材4に電気的に接続された状態では、第3端子t3が導電板32aと接続端子t4とを介して取付部材4に電気的に接続される。
本実施形態では、取付部材4に電気的に接続される接続端子t4がケース30の後面に設けられているから、分岐開閉器3が取付部材4に取り付けられた状態では、作業者は、接続端子t4が取付部材4に接続されているか否かを直接目視できない。ただし、本実施形態では、接続端子t4が取付部材4に電気的に接続されていない第2状態(オフ状態)では、操作部6の頭部60aはケース30の前面から突出する。一方、接続端子t4が取付部材4に電気的に接続されている第1状態(オン状態)では、操作部6の頭部60aはケース30の前面から突出しない。したがって、作業者は、操作部6の頭部60aがケース30の前面から突出しているか否かによって、接続端子t4が取付部材4に電気的に接続されているか否かを、目視で容易に把握できる。要するに、操作部6は、第1状態か第2状態かを表示する、つまり接続端子t4に取付部材4が電気的に接続されているか否かを表示する表示部として兼用される。
それから、作業者は、分岐開閉器3及び取付部材4を含む内器ブロックをキャビネット10に取り付け、接地線205を介して、取付部材4をキャビネット10の接地端子11に電気的に接続する。これにより、分岐開閉器3の第3端子t3(速結端子80)は、取付部材4を介して接地端子11に電気的に接続されることになる。そのため、分岐開閉器3の速結端子80に、負荷110の接地線203が接続されると、接地線203が取付部材4を介して接地端子11に電気的に接続されて、接地線203が接地される。本実施形態の分岐開閉器3では、接地線203が接続される第3端子t3を速結端子80で構成しているので、接地線203を接続する作業を簡単にできる。
内器ブロックの取り付け及び配線作業が完了すると、作業者は、分電盤1の内扉12を閉じる。このとき、もしも接続端子t4と接続対象部材との電気的な接続作業が完了していない分岐開閉器3があれば、操作部6の頭部60aが内扉12に干渉し、内扉12を閉じることができない。すなわち、本実施形態では、ケース30の前面において内扉12で覆われる部位に操作部6が配置されているので、第2状態にあれば、図4に示すように、ケース30の前面から突出する頭部60aが内扉12に干渉して内扉12を閉じることができない。そのため、作業者は、接続端子t4と接続対象部材との電気的な接続作業が未完了の分岐開閉器3があれば、内扉12を閉じる際に気付くことができる。複数の分岐開閉器3の全てにおいて接続端子t4と接続対象部材との電気的な接続作業が完了していれば、頭部60aが内扉12に干渉することがなく、内扉12を閉じることができる。
ところで、本実施形態では、作業者は、接続端子t4(接触片50)と接続対象部材(取付部材4)との電気的な接続を解除する際にも、工具600を用いて操作部6を操作する。接触片50が取付部材4に接触している第1状態から、接触片50が取付部材4に接触していない第2状態への切り替えに際しては、作業者は、解除操作を行う。具体的には、作業者は、操作部6の凹部61に工具600の先端部601を挿入し、工具600を用いて操作部6を正面から見て反時計回りに約180度回転させる。このとき、操作部6はオン位置からオフ位置に移動し、接触片50が移動して取付部材4から離れる。これにより、接続端子t4である接触片50が、接触対象部材である取付部材4に電気的に接続されていない状態(オフ状態)となり、接続端子t4と接続対象部材との電気的な接続が解除される。
(3)効果
以上説明した本実施形態の開閉器(分岐開閉器3)によれば、接続端子t4が接続対象部材に接触している第1状態と、接続端子t4が接続対象部材に接触していない第2状態とが、操作部6の操作によって切替可能になる。しかも、操作部6は、第2状態から第1状態へ切り替える接続操作と、第1状態から第2状態へ切り替える解除操作との少なくとも一方においては、工具600を用いた操作を必要とする。つまり、本実施形態の開閉器は、接続操作と解除操作との少なくとも一方において、人が工具600を用いることなく操作部6を操作できないように、構成されている。
したがって、接続端子t4に接続対象部材を電気的に接続する際の接続操作と、接続端子t4と接続対象部材との電気的な接続を解除する際の解除操作との少なくとも一方においては、作業者は、自らの意思で操作部6の操作を行うことになる。よって、例えば、工具600を用いて接続操作を行った作業者は、自ら接続操作を行った開閉器については、確認するまでもなく接続対象部材に電気的に接続されていることを確信できる。また、工具600を用いて解除操作を行った作業者は、自ら解除操作を行った開閉器については、確認するまでもなく接続対象部材と電気的に接続されていないことを確信できる。
その結果、本実施形態の開閉器では、接続操作と解除操作との少なくとも一方について、作業者は、自らの意思で操作部6を操作することで行うので、接続対象部材との電気的な接続状態を容易に確認できる、という利点がある。
また、本実施形態のように、開閉器(分岐開閉器3)は、負荷110の接地線203に電気的に接続される第3端子t3と、接続端子t4と第3端子t3との間を電気的に接続する接続回路32とをさらに備えることが好ましい。この場合、接続対象部材(取付部材4)は、分電盤1に設けられた接地端子11に電気的に接続されていることが好ましい。この構成によれば、第3端子t3は、接続端子t4を介して接地端子11に電気的に接続されることになる。そして、開閉器と接地端子11との接続状態については、例えば第1端子t1と交流電源100との接続状態などに比べて、確認の手間がかかるので、本実施形態の構成がとくに有用である。第1端子t1と交流電源100との接続状態であれば、負荷110への通電の有無によって容易に確認が可能であるが、開閉器と接地端子11との接続状態については、直接的に確認することは困難である。なお、本実施形態の分電盤1では、取付部材4が、複数本の接地線203をまとめて接地端子11に電気的に接続する集中接地端子の機能を果たしており、取付部材4とは別に集中接地端子を備える必要が無い、という利点もある。
また、本実施形態のように、操作部6は、頭部60aの回転軸602回りの回転に伴って回転軸602に沿って直進移動するねじ構造であって、頭部60aには、工具600の先端部601が嵌る形状の凹部61が形成されていることが好ましい。この構成によれば、操作部6を比較的簡単な構造で実現できる。しかも、操作部6は直進移動するために、操作部6のために確保すべき空きスペースを小さく抑えることができる。
また、本実施形態のように、開閉器(分岐開閉器3)は、第1端子t1、第2端子t2、接続端子t4、及び接点部31を保持するケース30をさらに備えることが好ましい。この場合、操作部6は、第1状態においては、ケース30に形成され工具600の先端部601を挿入可能な大きさに開口した操作孔30b内に収まるように構成されていることが好ましい。この構成によれば、少なくとも第1状態から第2状態へ切り替える解除操作については、操作孔30b内にある操作部6を操作する必要があるので、工具600の使用がより必須となる。
さらに、本実施形態のように、操作部6は、第2状態においては、操作孔30bを通して少なくとも一部がケース30の表面から突出するように構成されていることが好ましい。この構成によれば、操作部6の一部がケース30の表面から突出しているか否かによって、第1状態か第2状態かを作業者が視覚的に確認可能となる。言い換えれば、操作部6は、接続端子t4に接続対象部材が電気的に接続されているか否かを表示する表示部として兼用されるので、接続対象部材との電気的な接続状態をより容易に確認できる、という利点がある。
さらに、本実施形態のように、操作孔30bは、ケース30が分電盤1のキャビネット10に取り付けられた状態で分電盤1の内扉12で覆われる位置に形成されていることが好ましい。この構成によれば、もしも接続端子t4と接続対象部材との電気的な接続作業が完了していない開閉器(分岐開閉器3)があれば、操作部6の一部が内扉12に干渉する。そのため、作業者は、接続端子t4と接続対象部材との電気的な接続作業が未完了の開閉器があれば、内扉12を閉じる際に気付くことができる。ただし、この構成は開閉器に必須の構成ではなく、操作孔30bは内扉12で覆われない位置に形成されていてもよい。
また、本実施形態のように、操作部6は、接続操作と解除操作との両方において工具600を用いた操作を必要とするように構成されていることが好ましい。この構成によれば、接続操作において工具600を用いた操作が必要であるから、作業者が自らの意思で接続操作を行った開閉器(分岐開閉器3)については、作業者は、確認するまでもなく接続対象部材に電気的に接続されていることを確信できる。さらに、解除操作において工具600を用いた操作が必要であるから、作業者以外の者が意図せず操作部6を解除してしまうことを防止できる、という利点がある。
また、本実施形態のように、分電盤1は、上記の開閉器(分岐開閉器3)と、開閉器を収納するキャビネット10とを備えることが好ましい。この構成によれば、接続操作と解除操作との少なくとも一方について、作業者は、自らの意思で操作部6を操作することで行うので、接続対象部材との電気的な接続状態を容易に確認できる、という利点がある。
(4)変形例
以下、実施形態1の変形例を列挙する。
接続対象部材は、接地用に限定されず、例えば、分岐開閉器3と分岐開閉器3の外部の回路(外部回路)とを電気的に接続するための部材であってもよい。この場合、接続対象部材は、外部回路と電気的に接続される。外部回路の具体例としては、分岐開閉器3に備えられた通信回路との間で通信する通信回路等がある。例えば、分岐開閉器3が電流、電圧、電力、温度などを測定する測定回路を備えている場合は、外部回路である通信回路が分岐開閉器3の通信回路と通信を行うことで、測定値を受信することができる。また、分岐開閉器3が漏電、過負荷などの異常や故障の有無を検知する機能を備えている場合には、外部回路である通信回路が分岐開閉器3の通信回路と通信を行うことで、異常や故障の有無を検知した結果を受信することができる。また、接続対象部材は、取付部材4に限らず、その他の導電性部材であってもよい。
また、実施形態1の分岐開閉器3では、第3端子t3である速結端子80の端子板81と、接続端子t4を構成する接触片50との間を電気的に接続する接続回路32が導電板32aで構成されているが、接続回路32は導電板32aに限定されない。図7に示すように、端子板81と接触片50との間が、編組線のような可撓性を有する電線32bを介して電気的に接続されてもよい。つまり、接続回路32は電線32bなどでもよい。さらに、接続端子t4のばね形状も実施形態1の形状に限定されず、適宜変更が可能である。すなわち、接地抵抗値が、接地工事の種類ごとに定められた基準値を満たすのであれば、接続端子t4と第3端子t3とを電気的に接続する接続回路32、接続端子t4の形状などは適宜変更が可能である。
また、実施形態1の分岐開閉器3では、第2状態において、操作部6の一部がケース30の表面から突出し、第1状態において、操作部6の全体がケース30の内側に引っ込むように操作部6が構成されているが、操作部6はこの構成に限定されない。すなわち、操作部6は、第1状態において、操作部6の一部がケース30の表面から突出し、第2状態において、操作部6の全体がケース30の内側に引っ込むように構成されてもよい。又は、操作部6は、第1状態及び第2状態の両方において、操作部6の一部がケース30の表面から突出してもよいし、第1状態及び第2状態の両方において、操作部6の全体がケース30の内側に引っ込むように構成されてもよい。
また、操作部6は、ねじ構造に限定されず、例えばスライド方式などであってもよい。
また、実施形態1の分岐開閉器3では、操作部6は、接続端子t4に取付部材4が電気的に接続されているか否かを表示する表示部として兼用されているが、この構成は分岐開閉器3に必須の構成ではない。操作部6が表示部として兼用されない場合には、表示部が操作部6とは別に設けられていることが好ましい。この場合の表示部は、例えば、表示ランプで構成されてもよく、表示ランプの点灯、消灯で第1状態及び第2状態を表示してもよい。
実施形態1の開閉器は、分岐開閉器として用いられる開閉器であるが、開閉器は分岐開閉器に限定されない。開閉器は、例えば、主幹開閉器、及び連系開閉器(連系ブレーカ)などであってもよい。連系開閉器として用いられる開閉器においては、分散電源が負荷となる。
また、実施形態1の開閉器は、電流制限機能を備えた遮断器であるが、電流が流れていない状態(無負荷状態)で接点部31が開閉する断路器でもよい。例えば、本実施形態の開閉器は、漏電遮断器(ELB:Earth Leakage circuit Breaker)でもよいし、配線用遮断器(MCB:Molded Case Circuit Breaker)でもよい。
また、実施形態1では第2端子t2は速結端子70であって、第3端子t3は速結端子80であるが、これに限定されない。第2端子t2はねじ端子であってもよいし、第3端子t3も同様にねじ端子であってもよい。さらに、第1端子t1、第2端子t2、及び接点部31の数についても、とくに2個には限定されず、1個又は3個以上であってもよい。
(実施形態2)
本実施形態の開閉器(分岐開閉器3A)は、図8A及び図8Bに示すように、操作部6A及び接触片54の構成が、実施形態1の開閉器(分岐開閉器3)と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態では、操作部6Aは、レバー90と、駆動部材92と、第1リンク93と、爪部94とを有している。さらに、操作部6Aは、レバー90をロックするためのロック機構として、ロック片95と、スライド片96と、第2リンク97と、コイルばね98とを有している。
レバー90は、帯板状であって、ケース30に保持される軸91を中心に回転可能に構成されている。レバー90の長手方向の一端部は、ケース30の開口部からケース30の外部に突出しており、人の手で操作される部位となる。レバー90の長手方向の他端部は第1リンク93を介して駆動部材92の前端部に連結されている。爪部94は、レバー90の長手方向の他端部から、斜め前方に突出するように形成されている。爪部94は先細り形状である。駆動部材92は前後方向に長尺の丸棒状である。駆動部材92は、前後方向に沿って直進移動可能なように、ケース30に保持されている。駆動部材92の後端部には、接続端子t4となる接触片54が結合されている。接触片54の後面には、ケース30の貫通孔30dに対応する位置に接点55が設けられている。
接触片54には編組線のような可撓性を有する電線32bの一端が溶接、ロウ付け、かしめ固定などの方法で接続されている。電線32bの他端は速結端子80の端子板81に溶接、ロウ付け、かしめ固定などの方法で接続されている。これにより、接触片54と端子板81とは電線32bを介して電気的に接続される。
上記構成により、レバー90が軸91回りで回転すると、レバー90と第1リンク93にて繋がっている駆動部材92が前後方向に移動する。本実施形態では、レバー90が図8Aの状態から、図8A中の時計回りに回転すると、駆動部材92が後方に移動する。一方、レバー90が図8Bの状態から、図8B中の反時計回りに回転すると、駆動部材92が前方に移動する。
ここで、操作部6Aの移動方向における可動範囲は、オン位置とオフ位置との間に制限されている。オン位置は、駆動部材92の可動範囲の後端位置である。オフ位置は、駆動部材92の可動範囲の前端位置である。
操作部6Aがオフ位置にある状態では、図8Aに示すように、接触片54の接点55は、ケース30の後面よりもケース30の内側に引っ込んだ位置にある。そのため、接触片54の接点55は、接続対象部材である取付部材4に接触しない。要するに、操作部6Aがオフ位置にある場合、接続端子t4(接触片54)と接続対象部材(取付部材4)との関係は、接触片54が取付部材4に接触していない第2状態(オフ状態)にある。
一方、操作部6Aがオン位置にある状態では、図8Bに示すように、接触片54の接点55は、貫通孔30dを通って接続対象部材である取付部材4に接触する。要するに、操作部6Aがオン位置にある場合、接続端子t4(接触片54)と接続対象部材(取付部材4)との関係は、接触片54が取付部材4に接触している第1状態(オン状態)にある。
ところで、レバー90をロックするためのロック機構は、操作部6Aのオン位置からオフ位置への移動を禁止するように、レバー90の回転を規制する。ロック機構は、例えばピックツールなどの工具600を用いて操作されることにより、レバー90のロックを解除する。
具体的には、ロック片95は、左右方向に直進移動可能なように、ケース30に保持されている。スライド片96は、前後方向に沿って直進移動可能なように、ケース30に保持されている。ロック片95の右端部は、第2リンク97を介してスライド片96の上端部に連結されている。スライド片96は、ケース30内であって、ケース30の前面に開口した操作孔30bに対応する位置に配置されている。コイルばね98は、スライド片96を前方に押すように設けられている。
上記構成により、図8Aに示すように、操作部6Aがオフ位置にある状態では、ロック片95が爪部94の後面に当たる。この状態で、作業者がレバー90を手で操作し、レバー90が図8A中の時計回りに回転すると、爪部94に押されてロック片95が右方に移動する。このとき、ロック片95と第2リンク97にて繋がっているスライド片96は、コイルばね98を圧縮しながら後方に移動する。操作部6Aがオン位置まで移動すると、爪部94がロック片95を乗り越えるため、コイルばね98によってスライド片96は前方に、ロック片95が左方にそれぞれ移動する。そのため、操作部6Aがオン位置にある状態では、図8Bに示すように、ロック片95が爪部94の前面に当たることで、ロック片95にてレバー90がロックされる。
本実施形態において、操作部6Aをオン位置からオフ位置へ切り替える、つまり解除操作をする際には、図8Bに示すように、操作孔30bを通して工具600の先端部601でスライド片96を押し込む操作が必要になる。操作孔30bが工具600の先端部601に押されてスライド片96が後方に移動すると、スライド片96と第2リンク97にて繋がっているロック片95は、右方に移動し、レバー90のロックを解除する。つまり、作業者は、工具600を用いてロック片95によるレバー90のロックを解除しながら、レバー90を操作することで、操作部6Aをオン位置からオフ位置へ切り替えることができる。要するに、本実施形態の分岐開閉器3Aでは、操作部6Aは、第2状態から第1状態へ切り替える接続操作と、第1状態から第2状態へ切り替える解除操作とのうち、解除操作についてのみ、工具600を用いた操作を必要とする。
以上説明した本実施形態の構成によれば、接続操作と解除操作とのうち、解除操作についてのみ工具600を用いた操作が必要であるので、接続操作については工具600を用いる場合に比べて簡単な操作としながらも、誤って解除操作がされることを防止できる。
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
実施形態2の変形例として、操作部6は、第2状態から第1状態へ切り替える接続操作と、第1状態から第2状態へ切り替える解除操作とのうち、接続操作についてのみ、工具600を用いた操作を必要とする構成であってもよい。
実施形態2で説明した構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて適用である。