以下の実施形態は、開閉器及び分電盤に関し、とくに負荷及び電源と電気的に接続される開閉器及び分電盤に関する。
(実施形態1)
(1)概要
本実施形態の開閉器(分岐開閉器3)は、図1〜図4に示すように、第1端子t1と、第2端子t2と、接点部31と、接続端子t4と、表示部6とを備えている。第1端子t1は、電源(交流電源100)に電気的に接続される。第2端子t2は、負荷110に電気的に接続される。接点部31は、第1端子t1と第2端子t2との間に電気的に接続されている。接続端子t4は、接続対象部材(本実施形態では取付部材4)に接触することで接続対象部材に電気的に接続される。表示部6は、接続端子t4が接続対象部材に接触している第1状態では第1表示態様となり、接続端子t4が接続対象部材に接触していない第2状態では第2表示態様となるように、接続状態によって表示態様が変化する。
ここにおいて、「電気的に接続」とは、電気的に導通した状態の接続を意味し、直接的な接続だけではなく、例えば電線などの導体を介した間接的な接続も含む。
本実施形態の開閉器によれば、接続端子t4と接続対象部材との電気的な接続状態によって表示部6の表示態様が変化するから、表示部6の表示態様から接続端子t4と接続対象部材との電気的な接続状態を容易に把握できる。
本実施形態の分電盤1は、図5及び図6に示すように、開閉器(分岐開閉器3)と、開閉器を収納するキャビネット10とを備えている。
本実施形態の分電盤1によれば、開閉器の備える表示部6の表示態様から接続端子t4と接続対象部材との電気的な接続状態を容易に把握できる。
(2)詳細
以下、実施形態1に係る開閉器及び分電盤について図面を参照して詳しく説明する。以下の実施形態で説明する開閉器は、分岐回路に電気的に接続される開閉器(分岐開閉器)である。また、以下の実施形態で説明する分電盤は、例えば工場やオフィスなどの建物(施設)に設置される分電盤である。ただし、以下に説明する構成は本発明の一例に過ぎない。本発明は、以下の実施形態に限定されず、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能である。
(2.1)分電盤
本実施形態の分電盤1は、図5及び図6に示すように、前面に開口部101が形成された箱型のキャビネット10を備えている。以下では、分電盤1が壁に取り付けられた状態で、キャビネット10を正面(開口部101側)から見たときの上下左右を基準として説明を行う。また、分電盤1が壁に取り付けられた状態でキャビネット10を正面から見たときの奥行方向を前後方向とし、キャビネット10の前面が前方を向いていることとして説明する。つまり、図2などにおいて「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」の矢印で示す通りに各方向を規定する。ただし、これらの方向は分電盤1の設置方向を規定する趣旨ではない。また、図面中の各方向を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
キャビネット10の内部には、内器として主幹開閉器2と複数の分岐開閉器3とが収納されている。キャビネット10の内部には取付部材4が配置され、取付部材4に複数の分岐開閉器3が取り付けられている。キャビネット10には、交流電源100(電源)に接続される電源線201(母線)などの配線を通すための貫通孔103が設けられている。キャビネット10の内部には、接地線206を接続するための接地端子11が設けられている。一例として、接地端子11は、キャビネット10の左側壁に取り付けられている。
キャビネット10には、内扉12がヒンジを介して開閉可能に取り付けられている。内扉12が閉じた状態では内扉12が開口部101を覆い、内扉12が開いた状態では開口部101が露出している。内扉12には、主幹開閉器2のハンドル23を露出させる第1の窓孔13と、分岐開閉器3のハンドル33を露出させる第2の窓孔14とが設けられている。また、キャビネット10には、外扉15がヒンジを介して開閉可能に取り付けられている。外扉15が閉じた状態では外扉15が内扉12を覆い、外扉15が開いた状態では内扉12が露出している。
主幹開閉器2は直方体状のケース20を備えている。ケース20の上端部には一次側の端子21が設けられ、ケース20の下端部には二次側の端子22が設けられている。ケース20の内部には、一次側の端子21と二次側の端子22との間に電気的に接続された接点部が収納されている。主幹開閉器2は、接点部を流れる主幹電流が、あらかじめ決められたしきい値を超えると、接点部を強制的に開極させる過電流保護機能を備えている。さらに、主幹開閉器2は、漏電を検出すると、接点部を強制的に開極させる漏電保護機能を備えている。
ケース20の前面には接点部を手動で開閉させるためのハンドル23が配置されている。一次側の端子21には交流電源100が電気的に接続される(図3参照)。本実施形態では、交流電源100の配電方式が単相三線式である場合を例に説明する。一次側の端子21には、電圧極(L1相、L2相)と中性極との3本の電源線201が接続される。3本の電源線201は、交流電源100に電気的に接続されている。これにより、主幹開閉器2は、3本の電源線201を介して交流電源100に電気的に接続される。
二次側の端子22には、電圧極(L1相、L2相)と中性極との3本の導電バー5が電気的に接続される。3本の導電バー5の各々は、金属製であって、上下方向に長尺となる帯板状に形成されている。3本の導電バー5の各々は、例えば、金属板にプレス加工を施すことによって形成される。3本の導電バー5の各々は、主幹開閉器2を介して電源線201に電気的に接続されている。
取付部材4は、平面形状が矩形状の金属板である。キャビネット10の内部において、キャビネット10の後壁には一対のフレーム102が固定されている。一対のフレーム102の各々は、金属製であって、上下方向に長尺となる棒状に形成されている。一対のフレーム102は、左右方向において間隔を空けて対向するように配置されている。取付部材4は、一対のフレーム102間に跨って取り付けられている。取付部材4は、一対のフレーム102に対して、例えばねじで固定されている。
キャビネット10の内部であって、左右方向における一対のフレーム102の略中間には、3本の導電バー5が取り付けられている。3本の導電バー5は、前後方向において間隔をあけて並ぶように配置されている(図1参照)。3本の導電バー5は、例えば前側から中性極、L1相、L2相の順番で配置されているが、導電バー5の順番は適宜変更が可能である。取付部材4には、導電バー5の左側及び右側のそれぞれに複数の分岐開閉器3が取り付けられている。なお、導電バー5の左側及び右側の各々において、複数の分岐開閉器3は、上下方向に並ぶように配置されている。導電バー5の前面は、導電バー5の前側に配置される合成樹脂製のカバー5aで覆われている。
取付部材4には、接地線205(以下、「第1の接地線」という。)の一端を接続するためのねじ端子42が設けられている。第1の接地線205の他端は接地端子11に電気的に接続されている。接地端子11は接地線206(以下、「第2の接地線」という。)を介して接地されている。したがって、取付部材4は第1の接地線205及び第2の接地線206を介して接地されている。
また、取付部材4には、複数の分岐開閉器3の各々が取り付けられる位置に、金属のばね材料(例えばリン青銅などの銅合金、ステンレス鋼など)で形成された固定ばね41が設けられている(図1参照)。
(2.2)開閉器
次に、実施形態1に係る分岐開閉器3(開閉器)について図1〜図4を参照して説明する。
まず、分岐開閉器3の電気的な構成を図3を参照して説明する。
分岐開閉器3は、2個の第1端子t1と、2個の第2端子t2と、第3端子t3と、接続端子t4と、2個の接点部31と、接続回路32(導電板32a)とを備えている。
2個の第1端子t1の各々には、導電バー5が接続される。これにより、2個の第1端子t1には、交流電源100(電源)が電気的に接続される。分岐開閉器3が100V用の開閉器である場合は、2個の第1端子t1のうちの一方には電圧極(L1相又はL2相)の導電バー5が接続され、2個の第1端子t1のうちの他方には中性極の導電バー5が接続される。分岐開閉器3が200V用の開閉器である場合は、2個の第1端子t1のうちの一方にはL1相の導電バー5が接続され、2個の第1端子t1のうちの他方にはL2相の導電バー5が接続される。
2個の第2端子t2の各々には、分岐線202が接続される。分岐線202には、負荷110が電気的に接続される。これにより、2個の第2端子t2には、負荷110が電気的に接続される。ここでいう「負荷」には、例えば接地極付きのコンセントなどの配線器具、並びに、照明器具及び空調装置等の種々の電気機器などが含まれる。
2個の接点部31の各々は、対応する第1端子t1と第2端子t2との間に電気的に接続されている。分岐開閉器3は、分岐線202に流れる負荷電流が、あらかじめ決められたしきい値を超えると、接点部31を強制的に開極させる過電流保護機能を備えている。また、2個の接点部31は、ハンドル33(図2A、図2B参照)の操作に応じて、オン状態(閉極)及びオフ状態(開極)の何れかに切り替えられる。
接続端子t4は、接続対象部材に電気的に接続される端子である。本実施形態では接続対象部材は取付部材4である。接続端子t4は、分岐開閉器3が取付部材4に取り付けられた状態で、接続対象部材としての取付部材4に電気的に接続される。取付部材4は、上述したように接地されているので、接続端子t4は、取付部材4を介して接地されることになる。
第3端子t3には、負荷110の接地線203が電気的に接続される。接地線203は、負荷110の接地極に電気的に接続されている。例えば、負荷110が接地極付きのコンセントであれば、コンセントの接地極が接地線203を介して第3端子t3に電気的に接続される。また、負荷110が照明器具等の電気機器であれば、電気機器の接地端子が接地線203を介して第3端子t3に電気的に接続される。
接続回路32は、接続端子t4と第3端子t3を電気的に接続する。本実施形態においては、接続端子t4は接地され、第3端子t3は負荷の接地線203が電気的に接続される。つまり、接続回路32は、負荷の接地経路の一部を構成する。そのため、接続回路32の抵抗値は接地工事の種類ごとに定められた接地抵抗値に適合する必要があり、接続回路32は十分小さい抵抗値で接続端子t4と第3端子t3との間を電気的に接続する。
次に、分岐開閉器3の機械的な構成を図1、図2A、図2B、及び図4に基づいて説明する。
本実施形態の分岐開閉器3は、ケース30と、表示部6とをさらに備えている。
ケース30は、それぞれ合成樹脂の成形品である複数の分割体を組み合わせることで、全体として直方体状に形成されている。ケース30は、第1端子t1と、第2端子t2と、接続端子t4と、第3端子t3と、接点部31と、表示部6とを保持している。ケース30は、上下方向に扁平な薄箱状である。以下、ケース30の上下方向に直交する平面(上面又は下面)の長手方向をケース30の「長手方向」、同平面の短手方向をケース30の「高さ方向」ともいう。また、ケース30の上下方向をケース30の「幅方向」ともいう。
ケース30の前面には、前方に突出する突出部30aが設けられている(図2A、図2B参照)。突出部30aを正面から見た形状は矩形状である。突出部30aにはハンドル33が設けられている。分電盤1の内扉12が閉じられた状態では、第2の窓孔14に突出部30aが挿入される。これにより、分岐開閉器3のうち突出部30aの前面は、内扉12が閉じられた状態でも、第2の窓孔14を通して内扉12から露出する。
ケース30の前面において、分電盤1の内扉12で覆われる部位であって、突出部30aの左側には、貫通孔30bが開口している(図2A、図2B参照)。また、ケース30の後面30cにおいて、取付部材4に対向する位置には、貫通孔30dが開口している(図4参照)。
ケース30の長手方向の一端部(右端部)には、3本の導電バー5のうち対応する導電バー5がそれぞれ挿入される3個のスリット35が設けられている(図1参照)。3個のスリット35のうちの2個(前寄りの2個)には、スリット35に挿入される導電バー5を、導電バー5の厚み方向(前後方向)の両側から挟む一対の刃受け部材36が配置されている。一対の刃受け部材36の各々は弾性及び導電性を有する金属材料(例えばリン青銅などの銅合金)で形成されている。本実施形態では、一対の刃受け部材36が第1端子t1を構成している。そのため、一対の刃受け部材36がスリット35に挿入された導電バー5と接触することによって、第1端子t1と導電バー5とが電気的に接続される。本実施形態では3個のスリット35のうち前寄りの2個のスリット35の各々に、一対の刃受け部材36が配置される構成としたが、この構成に限定されない。一対の刃受け部材36は、3個のスリット35のうち2個のスリット35の各々に設けられていればよい。
ケース30の長手方向の他端部(左端部)には、固定ばね41が挿入される取付穴34が形成されている(図1及び図2A参照)。ケース30は、スリット35に挿入された導電バー5を一対の刃受け部材36が挟持し、かつ取付穴34に固定ばね41が挿入された状態で、取付部材4に取り付けられる。
また、ケース30の左端部には、第2端子t2である速結端子70と、第3端子t3である速結端子80とが、ケース30の高さ方向において2段に並ぶように設けられている(図1参照)。本実施形態では、1つのケース30に対して、速結端子70は2個設けられ、速結端子80は1個設けられている。2個の速結端子70は1個の速結端子80より前方に位置する。2個の速結端子70、及び1個の速結端子80はケース30に収納されている。
2個の速結端子70はケース30の幅方向に並ぶように配置されている。速結端子80は、2個の速結端子70のうちの一方(ここでは下側の速結端子70)と前後方向に並ぶように配置されている。ケース30の左側面には、2個の速結端子70の各々に対応する位置に(第1の)端子孔37が設けられ、速結端子80に対応する位置に(第2の)端子孔38が設けられている(図1及び図2A参照)。
速結端子70は、端子板71と、鎖錠ばね72と、解除レバー76とを有している。
端子板71は、接点部31に電気的に接続されている。端子板71は、端子孔37からケース30の内部に挿入される電線(分岐線202)の先端部と接触する位置に配置されている。
鎖錠ばね72は、帯板状の中央片73と、鎖錠片74と、押圧片75とを有している。鎖錠片74は、中央片73の長手方向の一端から延長されており、上下方向の一方から見た形状が略J字形に形成されている。押圧片75は、中央片73の長手方向の他端から延長されており、上下方向の一方から見た形状が略S字形に形成されている。鎖錠ばね72は、鎖錠片74及び押圧片75を端子板71に対向させた状態でケース30の内部に収納されている。なお、鎖錠ばね72は、鎖錠片74と端子孔37との距離が、押圧片75と端子孔37との距離よりも小さくなる向きに(つまり鎖錠片74が端子孔37の近くに位置するように)収納されている。
端子孔37からケース30の内部に電線の先端部が挿入されると、この電線の先端部に鎖錠片74の先端が食い込み、電線が抜け止めされた状態となる。この状態で、電線の先端部は端子板71と押圧片75とに挟まれ、押圧片75の弾性力によって電線の先端部が端子板71に押し付けられる。そのため、電線と端子板71とが電気的に接続される。
解除レバー76は、ケース30に保持された軸76aを中心として回転可能にケース30に取り付けられている。解除レバー76のうちケース30の開口39から露出する部位には、操作突起77が設けられている。解除レバー76は、操作突起77が操作されて、軸76aを中心に図2中の反時計回りに回転する。さらに、解除レバー76には作用突起が設けられている。鎖錠ばね72と端子板71との間に電線が挿入されている状態で、解除レバー76が操作されて回転すると、解除レバー76の作用突起で鎖錠片74が端子板71から離れる向きに押される。鎖錠片74が端子板71から離れる向きに押されると、鎖錠片74の先端が電線から離れるので、電線の抜け止め状態が解除され、速結端子70から電線の取り外しが可能になる。一方、操作突起77を操作する力がなくなると、鎖錠片74の弾性力によって作用突起が押され、解除レバー76が操作前の位置に復帰した状態となる。
速結端子80は、端子板81と、鎖錠ばね82と、解除レバー86とを有している。なお、速結端子80の鎖錠ばね82及び解除レバー86は、それぞれ、速結端子70の鎖錠ばね72及び解除レバー76と同じ構造を有しているので、その説明は省略する。
端子板81は、端子孔38からケース30の内部に挿入される電線(接地分岐線203)の先端部と接触する位置に配置されている。端子板81には、導電板32aの一端が、溶接、ロウ付け、かしめ固定などの適宜の方法で機械的かつ電気的に接続されている。
ケース30の後壁には、接続端子t4を構成する接触片50が取り付けられている(図1、図4参照)。接触片50は、貫通孔30dに一部が臨むようにして、ケース30の内側からケース30の後壁に取り付けられている。接触片50は、金属のばね材料(例えばリン青銅などの銅合金、ステンレス鋼など)で形成されており、帯板状の梁部51と、先端部52とを有している。梁部51は、ケース30の後面30cと平行するように配置されており、梁部51の長手方向の一端部がケース30に固定されている。梁部51には、導電板32aの他端が、溶接、ロウ付け、かしめ固定などの適宜の方法で機械的かつ電気的に接続されている。先端部52は、梁部51の長手方向の他端から延長されている。先端部52は、上下方向の一方から見た形状が後ろ向きに凸となるV字形に形成されている。
梁部51が表示部6で押されていない状態では、先端部52はケース30の後面30cよりもケース30の内側に引っ込んだ位置にある。一方、梁部51が表示部6によって押されて後方に撓んだ状態では、先端部52は貫通孔30dを通ってケース30の後面30cよりも後方に突出した状態となる。
表示部6は、接続端子t4に接続対象部材(本実施形態では取付部材4)が電気的に接続されているか否かを表示する。また、本実施形態の表示部6は、接続対象部材である取付部材4に対して接続端子t4である接触片50を移動させることにより、第1状態と第2状態とを切り替えるように操作される操作部を兼用する。第1状態は、接続端子t4(接触片50)が接続対象部材(取付部材4)に接触している状態であり、第2状態は、接続端子t4が接続対象部材に接触していない状態である。本実施形態では、接続端子t4は、接続対象部材に接触することで接続対象部材に電気的に接続される。そのため、接続端子t4と接続対象部材との電気的な接続関係に着目すれば、第1状態は、接続端子t4が接続対象部材に電気的に接続されているオン状態となる。一方、第2状態は、接続端子t4が接続対象部材に電気的に接続されていないオフ状態となる。
表示部6は、合成樹脂製であって、電気絶縁性を有している。表示部6は、前後方向に長軸となる丸棒状の軸部60と、頭部60aと、押圧部62とを有している。頭部60aは軸部60の前側に設けられており、押圧部62は軸部60の後側に設けられている。頭部60a及び押圧部62は軸部60によって連結されている。なお、本実施形態の表示部6は、貫通孔30bを通してケース30の表面(前面)から前方に前端部が突出している第1位置と、貫通孔30b内に収まっている第2位置との間で直進動作が可能なように、ケース30に保持される。
頭部60aは、軸部60に比べて大径の円柱状に形成されている。頭部60aの前面には、例えばマイナスドライバのような工具600の先端部601が嵌まる形状の凹部61が形成されている。ここで、工具600は、マイナスドライバに限定されず、プラスドライバ、六角ドライバ(六角棒スパナ)、及びヘックスローブドライバ等の汎用の工具、並びに、特殊ねじ等に適合する特殊工具でもよい。さらに、工具600は、人が表示部6を操作するときに使用する器具及び道具であればよく、例えば針金をピックツールとして用いるなど、本来の用途以外で使用される器具及び道具であってもよい。
押圧部62は、ケース30の内部において、接触片50と対向する位置に配置されている。
表示部6は、ケース30の貫通孔30bに挿し通された状態で、ケース30に保持される。ここで、貫通孔30bのうち開口付近となる前端部の内径は、貫通孔30bの前端部以外の内径より大きく形成されている。具体的には、貫通孔30bの前端部の内径は、頭部60aの外径よりも大きく、かつ工具600の先端部601を挿入可能な大きさである。これにより、表示部6の頭部60aは、貫通孔30bの前端部に収納可能である。ただし、貫通孔30bの前端部の内径は、人の指が入らないような大きさである。
ここで、軸部60の周面には、周面をほぼ一周するように螺旋状のねじ山63が形成されている。貫通孔30bの内周面には、軸部60のねじ山63が嵌まるねじ溝30eが設けられている。これにより、表示部6は、ケース30に保持された状態で、頭部60aが回転することによって、ケース30に対して軸部60の長手方向(前後方向)に直進移動する。本実施形態では一例として、表示部6は、正面から見て時計回りに回転することで軸部60が後方に移動する「右ねじ」構造である。
表示部6の移動方向(前後方向)における可動範囲は、第1位置と第2位置との間に制限されている。第1位置は、表示部6の可動範囲の後端位置であって、本実施形態においては、正面から見て表示部6を時計回りに回転させた際の終端位置となる。第2位置は、表示部6の可動範囲の前端位置であって、本実施形態においては、正面から見て表示部6を反時計回りに回転させた際の終端位置となる。本実施形態では一例として、表示部6が約180度回転すると、表示部6が第1位置と第2位置との間を移動する。
表示部6は、第2位置においては、貫通孔30bを通して少なくとも一部(頭部60a)がケース30の表面(本実施形態では前面)から突出するように構成されている。つまり、表示部6が第2位置にある状態では、頭部60aの前面は、ケース30の前面における貫通孔30bの周縁部よりも前方に位置する。このとき、表示部6の頭部60aはケース30の外側に突出する(図2A及び図4参照)。表示部6は、第1位置においては、貫通孔30b内に収まるように構成されている。つまり、表示部6が第1位置にある状態では、頭部60aの前面は、ケース30の前面における貫通孔30bの周縁部よりも後方に位置する。このとき、表示部6の全体がケース30の内側に入り込む(図2B参照)。
表示部6が第2位置にある状態では(この表示態様を「第2表示態様」という)、図4に示すように、押圧部62は、接触片50に接触しない。このとき、接触片50の先端部52は、ケース30の後面30cよりもケース30の内側に引っ込んだ位置にある。そのため、接触片50の先端部52は、接続対象部材である取付部材4に接触しない。要するに、表示部6が第2位置にある場合、接続端子t4(接触片50)と接続対象部材(取付部材4)との関係は、接触片50が取付部材4に接触していない第2状態(オフ状態)にある。
この状態から、表示部6が正面から見て時計回りに回転するように操作され、表示部6が第1位置に移動すると、押圧部62は、後方に移動し、接触片50を後方に押す。このとき、接触片50は梁部51が撓んだ状態となる。つまり、接触片50が変形することになり、接触片50における先端部52が部分的に後方へ移動する。これにより、接触片50の先端部52は、貫通孔30dを通って接続対象部材である取付部材4に接触する。要するに、表示部6が第1位置にある場合(この表示態様を「第1表示態様」という)、接続端子t4(接触片50)と接続対象部材(取付部材4)との関係は、接触片50が取付部材4に接触している第1状態(オン状態)にある。
また、表示部6が正面から見て反時計回りに回転するように操作され、表示部6が第1位置から第2位置に移動すると、押圧部62は、前方に移動し、接触片50から離れる。このとき、梁部51の弾性力によって、接触片50の先端部52は、ケース30の後面30cよりもケース30の内側に引っ込んだ位置に移動する。そのため、接触片50の先端部52は接続対象部材である取付部材4に接触せず、接触片50が取付部材4に接触していない第2状態(オフ状態)に復帰する。
したがって、操作部と兼用される表示部6が操作されることにより、接続対象部材である取付部材4に対して接続端子t4である接触片50が移動することになり、結果的に、第1状態と第2状態とが切り替えられる。
また、本実施形態のように、表示部6には、表示部6が回転して第1位置に移動した際、及び表示部6が回転して第2位置に移動した際に、クリック感を発生するような機構が設けられることが好ましい。具体的には、軸部60の周面と貫通孔30bの内周面とのそれぞれに突起が設けられている。この構成では、表示部6が回転して第1位置又は第2位置まで移動する際、軸部60の突起が貫通孔30bの内周面の突起を乗り越えることで、表示部6を操作する操作者にクリック感を与えることができる。
また、本実施形態のように、頭部60aの前面には、表示部6の回転位置を示すマーク64が設けられることが好ましい。マーク64は三角形の突起である。ケース30の前面における貫通孔30bの周縁部には、表示部6が第1位置にあるときにマーク64に対応する位置と、表示部6が第2位置にあるときにマーク64に対応する位置とに、それぞれ、第1位置と第2位置とを示す表示が設けられている。ケース30の前面に設けられた第1位置及び第2位置の表示を目安にして表示部6を回転させることで、接触片50と接続対象部材との関係を第1状態(オン状態)及び第2状態(オフ状態)間で切り替えることができる。
(2.3)開閉器の取り付け
以下、作業者が開閉器(ここでは分岐開閉器3)を取付部材4に取り付ける際の作業工程について説明する。
作業者は、スリット35に導電バー5を差し込み、かつケース30の左右方向における導電バー5とは反対側の端部を後方へ押し込むようにして、分岐開閉器3を取付部材4に取り付ける。このようにして分岐開閉器3が取付部材4に取り付けられると、固定ばね41がケース30の取付穴34に挿入された状態となり、分岐開閉器3が取付部材4に機械的に保持される。分岐開閉器3が取付部材4に取り付けられた状態では、刃受け部材36が対応する導電バー5に電気的に接続されている。この状態では、表示部6は第2位置にあり、接触片50は接続対象部材(取付部材4)に接触していない第2状態(オフ状態)にある。
次に、作業者は、接続端子t4(接触片50)と接続対象部材(取付部材4)とを電気的に接続する。つまり、作業者は、分岐開閉器3が取付部材4に取り付けられた状態で、工具600を用いて操作部(表示部6)を操作する。このとき、接続端子t4(接触片50)と接続対象部材(取付部材4)との関係は、接触片50が取付部材4に接触していない第2状態にあるため、作業者は、第2状態から第1状態へ切り替える接続操作を行う。具体的には、作業者は、表示部6の凹部61に工具600の先端部601を挿入し、工具600を用いて表示部6を正面から見て時計回りに約180度回転させる。このとき、表示部6は第2位置から第1位置に移動し、接触片50が移動して取付部材4に接触する。これにより、接続端子t4である接触片50が、接続対象部材である取付部材4に電気的に接続された状態(第1状態)となり、接続端子t4と接続対象部材との電気的な接続作業が完了する。
このようにして分岐開閉器3が取付部材4に取り付けられ、接続端子t4が取付部材4に電気的に接続された状態では、第3端子t3が導電板32aと接続端子t4とを介して取付部材4に電気的に接続される。
本実施形態では、取付部材4に電気的に接続される接続端子t4がケース30の後面に設けられているから、分岐開閉器3が取付部材4に取り付けられた状態では、作業者は、接続端子t4が取付部材4に接続されているか否かを直接目視できない。ただし、本実施形態では、接続端子t4が取付部材4に電気的に接続されていない第2状態(オフ状態)では、表示部6の頭部60aはケース30の前面から突出する。一方、接続端子t4が取付部材4に電気的に接続されている第1状態(オン状態)では、表示部6の頭部60aはケース30の前面から突出しない。したがって、作業者は、表示部6の頭部60aがケース30の前面から突出しているか否かによって、接続端子t4が取付部材4に電気的に接続されているか否かを、目視で容易に把握できる。
それから、作業者は、分岐開閉器3及び取付部材4を含む内器ブロックをキャビネット10に取り付け、接地線205を介して、取付部材4をキャビネット10の接地端子11に電気的に接続する。これにより、分岐開閉器3の第3端子t3(速結端子80)は、取付部材4を介して接地端子11に電気的に接続されることになる。そのため、分岐開閉器3の速結端子80に、負荷110の接地線203が接続されると、接地線203が取付部材4を介して接地端子11に電気的に接続されて、接地線203が接地される。本実施形態の分岐開閉器3では、接地線203が接続される第3端子t3を速結端子80で構成しているので、接地線203を接続する作業を簡単にできる。
内器ブロックの取り付け及び配線作業が完了すると、作業者は、分電盤1の内扉12を閉じる。このとき、もしも接続端子t4と接続対象部材との電気的な接続作業が完了していない分岐開閉器3があれば、表示部6の頭部60aが内扉12に干渉し、内扉12を閉じることができない。すなわち、本実施形態では、ケース30の前面において内扉12で覆われる部位に表示部6が配置されているので、第2状態にあれば、図1に示すように、ケース30の前面から突出する頭部60aが内扉12に干渉して内扉12を閉じることができない。そのため、作業者は、接続端子t4と接続対象部材との電気的な接続作業が未完了の分岐開閉器3があれば、内扉12を閉じる際に気付くことができる。複数の分岐開閉器3の全てにおいて接続端子t4と接続対象部材との電気的な接続作業が完了していれば、頭部60aが内扉12に干渉することがなく、内扉12を閉じることができる。なお、ケース30の前面において、貫通孔30bは内扉12で覆われる位置に設けられている必要は無く、貫通孔30bは内扉12で覆われない位置に形成されていてもよい。
ところで、本実施形態では、作業者は、接続端子t4(接触片50)と接続対象部材(取付部材4)との電気的な接続を解除する際も、工具600を用いて操作部(表示部6)を操作する。接触片50が取付部材4に接触している第1状態から、接触片50が取付部材4に接触していない第2状態への切り替えに際しては、作業者は、解除操作を行う。具体的には、作業者は、表示部6の凹部61に工具600の先端部601を挿入し、工具600を用いて表示部6を正面から見て反時計回りに約180度回転させる。このとき、表示部6は第1位置から第2位置に移動し、接触片50が移動して取付部材4から離れる。これにより、接続端子t4である接触片50が、接続対象部材である取付部材4に電気的に接続されていない第2状態(オフ状態)となり、接続端子t4と接続対象部材との電気的な接続が解除される。
(3)効果
本実施形態の分岐開閉器3によれば、接続端子t4と接続対象部材(取付部材4)との接続状態によって表示態様が変化する表示部6を備えているので、表示部6の表示態様から接続端子t4と接続対象部材との電気的な接続状態を容易に把握できる。したがって、接続端子t4がケース30の後面30cに設けられており、キャビネット10の前面側から接続端子t4と取付部材4との電気的な接続状態が確認できない場合でも、表示部6の表示態様をもとに接続端子t4と接続対象部材との電気的な接続状態を容易に把握できる。
また、本実施形態の分電盤1によれば、開閉器(分岐開閉器3)の備える表示部6の表示態様から接続端子t4と接続対象部材との電気的な接続状態を容易に把握できる。
本実施形態の開閉器(分岐開閉器3)において、負荷110の接地線203に電気的に接続される第3端子t3と、接続端子t4と第3端子t3との間を電気的に接続する接続回路32とをさらに備えることも好ましい。この場合、接続対象部材(取付部材4)は、分電盤1に設けられた接地端子11に電気的に接続されていることが好ましい。
この構成によれば、第3端子t3は、接続端子t4を介して接地端子11に電気的に接続されることになり、表示部6により、第3端子t3が接地されているか否かを容易に把握できる。そして、開閉器と接地端子11との接続状態については、例えば第1端子t1と交流電源100との接続状態などに比べて、確認の手間がかかるので、本実施形態の構成がとくに有用である。第1端子t1と交流電源100との接続状態であれば、負荷110への通電の有無によって容易に確認が可能であるが、開閉器と接地端子11との接続状態については、直接的に確認することは困難である。なお、本実施形態の分電盤1では、取付部材4が、複数本の接地線203をまとめて接地端子11に電気的に接続する集中接地端子の機能を果たしており、取付部材4とは別に集中接地端子を備える必要が無い、という利点もある。
また、本実施形態の開閉器(分岐開閉器3)において、第1端子t1、第2端子t2、接続端子t4、接点部31、及び表示部6を保持するケース30をさらに備えてもよい。表示部6は、第1表示態様における第1位置と第2表示態様における第2位置との間でケースに対して移動可能となるようにケース30に保持された可動部材であることも好ましい。
これにより、作業者は、表示部6が第1位置にあるか第2位置にあるかで、接続端子t4が接続対象部材に電気的に接続されているか否かを視覚的に把握することができる。
また、本実施形態の開閉器(分岐開閉器3)において、表示部6は、第1位置と第2位置との間で直進移動するようにケース30に保持されてもよい。
表示部6は第1位置と第2位置との間で直進動作を行っているので、表示部6が直進動作以外の動作を行う場合に比べて、ケース30の内部で、表示部6のために確保すべき空きスペースを小さくできる。
また、本実施形態の開閉器(分岐開閉器3)において、第2位置は、ケース30に設けられた貫通孔30bを通して表示部6の少なくとも一部(頭部60a)がケース30の表面から突出する位置であることも好ましい。また、第1位置は、表示部6が貫通孔30b内に収まる位置であることも好ましい。
これにより、表示部6の一部がケース30の表面から突出しているか否かによって、第1状態か第2状態かを作業者が視覚的に確認可能になる。
また、本実施形態の開閉器(分岐開閉器3)において、第1位置は、ケース30に設けられた貫通孔30bを通して表示部6の少なくとも一部(頭部60a)がケース30の表面から突出する位置であることも好ましい。また、第2位置は、表示部6が貫通孔30b内に収まる位置であることも好ましい。
これにより、表示部6の一部がケース30の表面から突出しているか否かによって、第1状態か第2状態かを作業者が視覚的に確認可能になる。
また、本実施形態の開閉器(分岐開閉器3)において、接続対象部材に対して接続端子t4を移動させることで第1状態と第2状態とを切り替えるように操作される操作部をさらに備え、ケース30の外部から操作可能な状態でケース30に保持された表示部6が操作部を兼用することも好ましい。
これにより、表示部6で操作部を兼用することができる。ここでいう接続端子t4の「移動」は、接続対象部材に対する接続端子t4の相対的な位置が変化することを意味し、接続端子t4の全体が移動する構成だけでなく、接続端子t4の一部が移動する構成も含む。例えば、接続端子t4が変形することにより、接続端子t4における接続対象部材との接触部位が部分的に移動するような構成も、接続端子t4の「移動」に含まれる。また、「電気的に接続」とは、電気的に導通した状態の接続を意味し、直接的な接続だけでなく、例えば電線等の導体を介した間接的な接続も含む。
(4)変形例
以下、実施形態1の変形例を列挙する。
接続対象部材は、接地用に限定されず、例えば、分岐開閉器3と分岐開閉器3の外部の回路(外部回路)とを電気的に接続するための部材であってもよい。この場合、接続対象部材は、外部回路と電気的に接続される。外部回路の具体例としては、分岐開閉器3に備えられた通信回路との間で通信する通信回路などがある。例えば、分岐開閉器3が電流、電圧、電力、温度などを測定する測定回路を備えている場合は、外部回路である通信回路が分岐開閉器3の通信回路と通信を行うことで、測定値を受信することができる。また、分岐開閉器3が漏電、過負荷などの異常や故障の有無を検知する機能を備えている場合には、外部回路である通信回路が分岐開閉器3の通信回路と通信を行うことで、異常や故障の有無を検知した結果を受信することができる。また、接続対象部材は、取付部材4に限らず、その他の導電性部材であってもよい。
また、実施形態1の分岐開閉器3では、第3端子t3である速結端子80の端子板81と、接続端子t4を構成する接触片50との間を電気的に接続する接続回路32が導電板32aで構成されているが、接続回路32は導電板32aに限定されない。図7に示すように、端子板81と接触片50との間が、編組線のような可撓性を有する電線32bを介して電気的に接続されてもよい。つまり、接続回路32は電線32bなどでもよい。さらに、接続端子t4のばね形状も実施形態1の形状に限定されず、適宜変更が可能である。すなわち、接地抵抗値が、接地工事の種類ごとに定められた基準値を満たすのであれば、接続端子t4と第3端子t3とを電気的に接続する接続回路32、接続端子t4の形状などは適宜変更が可能である。
また、実施形態1の分岐開閉器3では、第2状態において、表示部6の一部がケース30の表面から突出し、第1状態において、表示部6の全体がケース30の内側に引っ込むように表示部6が構成されているが、表示部6はこの構成に限定されない。表示部6は、第1状態において、表示部6の一部がケース30の表面から突出し、第2状態において、表示部6の全体がケース30の内側に引っ込むように構成されてもよい。また、表示部6が第1位置及び第2位置のいずれにあるかを作業者が判別可能であれば、第1状態及び第2状態の両方で表示部6の一部がケース30の表面から突出するように、表示部6が構成されてもよい。また、表示部6が第1位置及び第2位置のいずれにあるかを作業者が判別可能であれば、第1状態及び第2状態の両方で表示部6の全体がケース30の内側に引っ込むように、表示部6が構成されてもよい。
また、表示部6は、ねじ構造に限定されず、回転動作を行うレバー方式のものや、スライド方式のものでもよい。
表示部6が回転動作を行うレバー90で構成されている形態を図8A及び図8Bに示す。
レバー90は、帯板状であって、ケース30に保持される軸91を中心に回転可能に構成されている。レバー90の長手方向の一端部は、ケース30の開口部からケース30の外部に突出しており、人の手で操作される部位となる。レバー90の長手方向の他端部はリンク93を介して駆動部材92の前端部に連結されている。駆動部材92は前後方向に長尺の丸棒状である。駆動部材92は、前後方向に沿って直進移動可能なように、ケース30に保持されている。駆動部材92の後端部には、接続端子t4となる接触片54が結合されている。接触片54の後面には、ケース30の貫通孔30dに対応する位置に接点55が設けられている。
接触片54には編組線のような可撓性を有する電線32bの一端が溶接、ロウ付け、かしめ固定などの方法で接続されている。電線32bの他端は速結端子80の端子板81に溶接、ロウ付け、かしめ固定などの方法で接続されている。これにより、接触片54と端子板81とは電線32bを介して電気的に接続される。
上記構成により、レバー90が軸91回りで回転すると、レバー90とリンク93にて繋がっている駆動部材92が前後方向に移動する。本実施形態では、レバー90が図8Aの状態から、図8A中の時計回りに回転すると、駆動部材92が後方に移動する。一方、レバー90が図8Bの状態から、図8B中の反時計回りに回転すると、駆動部材92が前方に移動する。
ここで、表示部6の移動方向における可動範囲は、第1位置と第2位置との間に制限されている。第1位置は、駆動部材92が可動範囲の後端に位置する状態におけるレバー90の回転位置(図8Bの位置)である。第2位置は、駆動部材92が可動範囲の前端に位置する状態におけるレバー90の回転位置(図8Aの位置)である。
表示部6が第2位置にある状態では、図8Aに示すように、接触片54の接点55は、ケース30の後面よりもケース30の内側に引っ込んだ位置にある。そのため、接触片54の接点55は、接続対象部材である取付部材4に接触しない。要するに、表示部6が第2位置にある場合、接続端子t4(接触片54)と接続対象部材(取付部材4)との関係は、接触片54が取付部材4に接触していない第2状態(オフ状態)にある。
一方、表示部6が第1位置にある状態では、図8Bに示すように、接触片54の接点55は、貫通孔30dを通って接続対象部材である取付部材4に接触する。要するに、表示部6が第1位置にある場合、接続端子t4(接触片54)と接続対象部材(取付部材4)との関係は、接触片54が取付部材4に接触している第1状態(オン状態)にある。
このように、表示部6がレバー方式であり、表示部6がケース30に回転可能に保持されている場合でも、表示部6の位置から接続端子t4が接続対象部材に接続されているか否かを容易に把握することができる。
また、実施形態1の分岐開閉器3では、表示部6が、第1位置と第2位置との間で移動可能に設けられた可動部材であるが、表示部6は可動部材からなるものに限定されない。表示部6は表示ランプで構成されてもよく、表示ランプの点灯、消灯でオン状態及びオフ状態を表示してもよい。
実施形態1の開閉器は、分岐開閉器として用いられる開閉器であるが、開閉器は分岐開閉器に限定されない。開閉器は、例えば、主幹開閉器、及び連系開閉器(連系ブレーカ)などであってもよい。連系開閉器として用いられる開閉器においては、分散電源が負荷となる。
また、実施形態1の開閉器は、電流制限機能を備えた遮断器であって、漏電遮断器(ELB:Earth Leakage circuit Breaker)でもよいし、配線用遮断器(MCB:Molded Case Circuit Breaker)でもよい。また、実施形態1の開閉器は、電流制限機能を備えていない負荷開閉器でもよいし、電流が流れていない状態(無負荷状態)で接点部31が開閉する断路器でもよい。
また、実施形態1では第2端子t2は速結端子70であって、第3端子t3は速結端子80であるが、これに限定されない。第2端子t2はねじ端子であってもよいし、第3端子t3も同様にねじ端子であってもよい。さらに、第1端子t1、第2端子t2、及び接点部31の数についても、とくに2個には限定されず、1個又は3個以上であってもよい。
(実施形態2)
実施形態2の開閉器(分岐開閉器3)について図9A、図9B、図10A、及び図10Bを参照して説明する。
実施形態1で説明した分岐開閉器3は、表示部6が操作部を兼用しているのに対して、実施形態2の分岐開閉器3では、表示部6が操作部の機能を有していない。表示部6及び接続端子t4の構成が、実施形態1の開閉器(分岐開閉器3)と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
ケース30の突出部30aには、図9A及び図9Bに示すように、ケース30の表面を貫通する貫通孔30gが設けられている。
表示部6は、接続端子t4に接続対象部材(取付部材4)が電気的に接続されているか否かを表示する。表示部6は、合成樹脂により丸棒状に形成された棒状部材60bからなる。この棒状部材60bは、前後方向に移動可能となるようにケース30に保持されている。具体的には、棒状部材60bは、貫通孔30gを通してケース30の前面から少なくとも一部(棒状部材60bの前端部)が突出している第1位置と、貫通孔30g内に全体が収まっている第2位置との間で直進動作が可能なように、ケース30に保持される。棒状部材60bの後部には、接続端子t4と連結するための軸65が設けられている。
接続端子t4は、接続対象部材である取付部材4に電気的に接続される端子である。接続端子t4は、板ばねである接触子56の接点57で構成されている。接触子56は、金属のばね材料(例えばステンレス鋼、リン青銅などの銅合金)で形成された帯板を加工して形成されている。
接触子56は、上下方向の一方から見た形状がU字形に形成された接点57と、接点57の一端側に設けられた固定部58と、接点57の他端側に設けられた連結部59とを備えている。
接点57のU字曲げ部は貫通孔30dに挿入され、貫通孔30dを通してケース30の後面30cから突出している。
固定部58は、上下方向の一方から見た形状がL字形に形成されており、ケース30の内側に設けられた固定溝30fに差し込まれた状態でケース30に固定されている。接触子56の一端側にある固定部58が固定溝30fに固定されることによって、接触子56の他端側は前後方向において撓み可能となっている。
連結部59には、上下方向の両端部からそれぞれ前側に突出する突出片59aが設けられている。この突出片59aには棒状部材60bの軸65が挿入される長孔59bが設けられており、連結部59が前側又は後側に移動すると、連結部59とともに棒状部材60b(表示部6)が前側又は後側に移動する。
また、連結部59には、例えば編組線のような可撓性を有する電線32bの一端が、例えばレーザ溶接、ロウ付け、かしめ固定などの方法で電気的かつ機械的に接続されている。電線32bの他端は、例えばレーザ溶接、ロウ付け、かしめ固定などの方法で第3端子t3(速結端子80)に電気的かつ機械的に接続されている。これにより、第3端子t3と接続端子t4とが、接続回路32である電線32bを介して電気的に接続されている。
図10Aは分岐開閉器3が取付部材4に取り付けられていない状態を示しており、接触子56の弾性によって、接点57は貫通孔30dを通してケース30の後面30cから突出している。
一方、図10Bは分岐開閉器3が取付部材4に取り付けられた状態を示しており、接点57が取付部材4に押されることで、接続端子t4が取付部材4に電気的に接続される。また、接点57が取付部材4と接触することによって、接触子56が前側に撓められるから、連結部59が前側に移動し、連結部59とともに表示部6が前側に移動する。これにより、表示部6は、表示部6(棒状部材60b)の前端部が貫通孔30gを通してケース30の前面から突出する第1位置に位置しており(第1表示態様)、表示部6の位置から接続端子t4が取付部材4に電気的に接続されたことを容易に把握できる。
なお、分岐開閉器3が取付部材4から外された場合は、取付部材4によって接点57が押されなくなるから、接触子56が弾性力によって元の状態に戻り、接点57がケース30の貫通孔30dから外側に突出する。このとき、表示部6は、表示部6(棒状部材60b)の前端部が貫通孔30g内に収まる第2位置に位置しており(第2表示態様)、表示部6の位置から接続端子t4が取付部材4に電気的に接続されていないことを容易に把握できる。
本実施形態の分岐開閉器3によれば、分岐開閉器3を取付部材4に取り付けるだけで、接続端子t4が取付部材4に電気的に接続されるので、接続端子t4を取付部材4に接続させるための操作が不要である。また、本実施形態においても表示部6の表示態様から接続端子t4と取付部材4との電気的な接続状態を容易に把握することができる。
また、本実施形態の分岐開閉器3によれば、分岐開閉器3が取付部材4に取り付けられていない状態では、表示部6の前端部が貫通孔30g内に収まる第2位置に位置する。分岐開閉器3が取付部材4に取り付けられた状態では、表示部6の前端部がケース30の前面から前方に突出している。したがって、本実施形態の分岐開閉器3によれば、表示部6の前端部がケース30の前面から突出しているか否かで、分岐開閉器3の取付部材4への取り付けが完了しているか否かを視覚的に確認することができる。
なお、実施形態2では、第1位置は、ケース30の貫通孔30gを通して表示部6の少なくとも一部(前端部)がケース30の表面から突出する位置であり、第2位置は、表示部6が貫通孔30g内に収まる位置となっているが、これに限定されない。実施形態2において、第2位置が、ケース30の貫通孔30gを通して表示部6の少なくとも一部(前端部)がケース30の表面から突出する位置であり、第1位置が、表示部6が貫通孔30g内に収まる位置となるように、表示部6が構成されてもよい。
また、実施形態2の分岐開閉器3では、第1状態において、表示部6の一部がケース30の表面から突出し、第2状態において、表示部6の全体がケース30の内側に引っ込むように表示部6が構成されているが、表示部6はこの構成に限定されない。表示部6は、第2状態において、表示部6の一部がケース30の表面から突出し、第1状態において、表示部6の全体がケース30の内側に引っ込むように構成されてもよい。また、表示部6が第1位置及び第2位置のいずれにあるかを作業者が判別可能であれば、第1状態及び第2状態の両方で表示部6の一部がケース30の表面から突出するように、表示部6が構成されてもよい。また、表示部6が第1位置及び第2位置のいずれにあるかを作業者が判別可能であれば、第1状態及び第2状態の両方で表示部6の全体がケース30の内側に引っ込むように、表示部6が構成されてもよい。
また、表示部6は、第1位置と第2位置との間で直進移動するようにケース30に保持されているが、第1位置と第2位置との間で移動可能なようにケース30に保持されていればよく、表示部6の形態は適宜変更が可能である。
なお、実施形態2で説明した構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて適用可能である。
(実施形態3)
(1)構成
実施形態3の開閉器(分岐開閉器3)について図11A〜図11D、及び図12〜図18を参照して説明する。
まず、本実施形態の分岐開閉器3の電気的な構成を説明する。本実施形態の分岐開閉器3は、実施形態1及び実施形態2と同様に、2つの第1端子t1と、2つの第2端子t2と、2つの接点部31と、第3端子t3と、接続端子(第4端子)t4と、接続回路32と、を備える(図3参照)。
本実施形態の分岐開閉器3は、実施形態1及び実施形態2と同様に分岐線202に流れる負荷電流が、あらかじめ決められたしきい値を超えると、接点部31を強制的に開極させる過電流保護機能を備えている。2つの接点部31は、ハンドル330(図12参照)の操作に応じて、オン状態(閉極)及びオフ状態(開極)の何れかに切り替えられる。
次に、図11A〜図11D、図12、図13A,図13B、及び図14〜図18を参照して、本実施形態の分岐開閉器3の機械的な構成を説明する。
本実施形態の分岐開閉器3は、ケース300と、ハンドル330と、表示部610と、を更に備える。
ケース300は、2つの第1端子t1、2つの第2端子t2、第3端子t3、第4端子t4、及び表示部610を保持し、2つの接点部31及び接続回路32を収容する。ケース300は、図11A〜図11D及び図12に示すように、全体として直方体状に形成されている。ケース300は、互いに直交する第1方向(図11B〜図11Dの左右方向)、第2方向(図11Aの左右方向、図11C,図11Dの上下方向)、及び第3方向(図11A,図11Bの上下方向)を有する。ケース300は、第1方向の寸法が最も大きく、次いで第3方向の寸法、第2方向の寸法の順に大きい。つまり、第1方向、第2方向、及び第3方向は、それぞれ、ケース300の長手方向、幅方向、及び高さ方向である。ケース300は、図11Bに示すように、第3方向の両面である第1面301及び第2面302を有する。分岐開閉器3は、第2面302が取付部材4に対向するようにして、取付部材4に取り付けられる。したがって、分岐開閉器3が取付部材4に取り付けられた状態では、作業者は、ケース300の第1面301側から分岐開閉器3を見ることになる。
ハンドル330は、図11B,図11Cに示すように、ケース300における第3方向(図11Bの上下方向)の第1面(図11Bにおける上面)301に設けられている。
次に、ケース300で保持される、2つの第1端子t1、2つの第2端子t2、第3端子t3、第4端子t4、及び表示部610について説明する。
2つの第1端子t1は、同じ形状であり、導電バー5をその厚み方向の両側から挟む刃受け部材360(図11B参照)により構成される。刃受け部材360は、弾性及び導電性を有する金属材料(例えばリン青銅などの銅合金)で形成される。
2つの第2端子t2は、同じ速結端子700(図13A参照)で構成されている。速結端子700は、端子板(第1端子板)710と、鎖錠ばね(第1鎖錠ばね)720と、解除部材(第1解除部材)760と、復帰ばね780と、を有している。
第1端子板710は、金属製である。第1端子板710は、対応する接点部31に電気的に接続される。
第1鎖錠ばね720は、帯板状の中央片730と、鎖錠片740と、押圧片750とを有している。鎖錠片740は、中央片730の長手方向の一端から延長されており、略J字形に形成されている。押圧片750は、中央片730の長手方向の他端から延長されており、略S字形に形成されている。第1鎖錠ばね720は、鎖錠片740及び押圧片750が第1端子板710に対向するように配置される。
第1解除部材760は、合成樹脂製であって、電気絶縁性を有している。第1解除部材760は、第2端子t2と電線(非接地電線202)との接続を解除するための部材である。第1解除部材760は、第2端子t2と非接地電線202との接続を解除する位置(解除位置)と、第2端子t2と非接地電線202との接続を解除しない位置(保持位置)との間で回動可能にケース300に取り付けられる。
図13Aでは、第1解除部材760は保持位置にある。解除位置は、保持位置から図13Aの時計回り方向に回転した位置である。第1解除部材760は、第1解除部材760をケース300に回動可能に取り付けるための軸受け761及び軸と、第1解除部材760を操作するための操作突起770と、第1鎖錠ばね720を押圧するための作用突起762と、を有する。
復帰ばね780は、第1解除部材760を保持位置に位置させる。復帰ばね780は、トーションばねであり、図13Aにおける反時計回り方向に第1解除部材760を付勢する。
第3端子t3は、速結端子800(図13B参照)で構成されている。速結端子800は、図12、図13B及び図16に示すように、端子板(第2端子板)810と、鎖錠ばね(第2鎖錠ばね)820と、解除部材(第2解除部材)860と、復帰ばね880と、標識部890と、を有している。
第2端子板810は、金属製である。第2端子板810は、接続回路32に電気的に接続される。
第2鎖錠ばね820は、帯板状の中央片830と、鎖錠片840と、押圧片850とを有している。鎖錠片840は、中央片830の長手方向の一端から延長されており、略J字形に形成されている。押圧片850は、中央片830の長手方向の他端から延長されており、略S字形に形成されている。第2鎖錠ばね820は、鎖錠片840及び押圧片850が第2端子板810に対向するように配置される。
第2解除部材860は、合成樹脂製であって、電気絶縁性を有している。第2解除部材860は、第3端子t3と電線(接地電線203)との接続を解除するための部材である。第2解除部材860は、第3端子t3と接地電線203との接続を解除する位置(解除位置)と、第3端子t3と接地電線203との接続を解除しない位置(保持位置)との間で回動可能にケース300に取り付けられる。
図13Bでは、第2解除部材860は保持位置にある。解除位置は、保持位置から図13Bの時計回り方向に回転した位置である。第2解除部材860は、第2解除部材860をケース300に回動可能に取り付けるための軸受け861(図13B参照)及び軸863(図16参照)を有する。また、第2解除部材860は、第2解除部材860を操作するための操作突起870と、第2鎖錠ばね820を押圧するための作用突起862と、を有する。
第2解除部材860は、2つの第1解除部材760と材料の色が異なる。これにより、第2解除部材860と第1解除部材760とを容易に区別することができ、第1解除部材760と第2解除部材860との誤操作を抑制できる。例えば、第2解除部材860の材料の色は緑であり、第1解除部材760の材料の色は白である。
復帰ばね880は、第2解除部材860を保持位置に位置させる。復帰ばね880は、トーションばねであり、図13Bにおける反時計回り方向に第2解除部材860を付勢する。
標識部890は、第3端子t3の種類を示す。本実施形態において、第3端子t3はアース端子であるため、標識部890は、アースを示す。標識部890は、図12に示すように、アースを示す記号である。標識部890は、第2解除部材860の操作突起870においてケース300の第1面301側から視認できる位置に形成される。標識部890によれば、第3端子t3の種類を容易に判別できる。
第4端子t4は、接触端子500で構成されている。接触端子500は、図13B及び図16に示すように、端子板(第3端子板)510と、ホルダ520と、接圧ばね530と、を備える。
第3端子板510は、金属製である。第3端子板510は、矩形状の板部510aと、一対の接点510bと、一対の側片510cと、を備える。一対の接点510bは、板部510aの前面(図13Bにおける下面)に設けられる。一対の側片510cは、板部510aの両端(ケース300の第2方向と平行な方向の両端)から後方に突出する。一対の側片510cの各々は、外方に突出する一対の突起510dを備える。
ホルダ520は、第3端子板510をその前後方向に移動可能に保持する。ホルダ520は、合成樹脂製であって、電気絶縁性を有している。ホルダ520は、矩形状の底板部520aと、一対の側部520bと、一対のストッパ520cと、一対の突起520dと、位置決め部520eと、を備える。一対の側部520bは、底板部520aの両端(ケース300の第2方向と平行な方向の両端)から前方に突出する。一対のストッパ520cは、一対の側部520bの前端に形成される。一対のストッパ520cの各々は、対応する一対の突起510dの前面に当たることで、第3端子板510の前方への移動を規制する。一対の突起520dは、底板部520aの両端(ケース300の第2方向と平行な方向の両端)から側方に突出する。位置決め部520eは、接圧ばね530を位置決めするために用いられる。位置決め部520eは、底板部520aの前面に形成される。位置決め部520eは、円柱状に形成される。接圧ばね530は、第3端子板510をホルダ520に対して前方へ付勢するために用いられる。
ここで、第3端子板510は、各側片510cの一対の突起510dがホルダ520の底板部520aと対応するストッパ520cとの間に位置するように、ホルダ520に取り付けられる。また、接圧ばね530は、内部に位置決め部520eが挿入された状態で、第3端子板510の板部510aとホルダ520の底板部520aとの間に配置される。
このような第4端子t4は、突出位置(図13B参照)と収納位置(図17参照)との間でケース300の第3方向(図13B、図17における上下方向)に移動可能にケース300に取り付けられる。突出位置は、第4端子t4がケース300の第2面302から外方に突出する位置である。第4端子t4が突出位置にある場合、第4端子t4を取付部材4に接触させることができる。この場合、分岐開閉器3は、第4端子t4(接触端子500)が接続対象部材(取付部材4)に接触している状態(第1状態)であるといえる。収納位置は、第4端子t4がケース300の内部にある位置である。第4端子t4が収納位置にある場合、第4端子t4を取付部材4に接触させることができない。この場合、分岐開閉器3は、第4端子t4が接続対象部材に接触していない状態(第2状態)であるといえる。
表示部610は、第4端子t4が突出位置にあるか収納位置にあるかを表示するための部材である。言い換えれば、表示部610は、第4端子t4に接続対象部材(取付部材4)が電気的に接続されているか否かを表示する。表示部610は、第4端子t4を突出位置に位置させる第1位置(図13B参照)と第4端子t4を収納位置に位置させる第2位置(図17参照)との間で直進動作が可能なように、ケース300に保持される。つまり、表示部610は、第4端子t4を突出位置と収納位置との間で移動させるための操作部としても機能する。このように、表示部610は、接続対象部材である取付部材4に対して第4端子t4である接触端子500を移動させることにより、第1状態と第2状態とを切り替えるように操作される操作部を兼用する。第4端子t4は、接続対象部材に接触することで接続対象部材に電気的に接続される。そのため、第4端子t4と接続対象部材との電気的な接続関係に着目すれば、第1状態は、第4端子t4が接続対象部材に電気的に接続されているオン状態となる。一方、第2状態は、第4端子t4が接続対象部材に電気的に接続されていないオフ状態となる。
表示部610は、合成樹脂製であって、電気絶縁性を有している。表示部610は、棒状の軸部611と、頭部612と、押圧部613とを有している。
頭部612は、人が操作する部位である。頭部612は、主部612aと、第1突起612bと、第2突起612cと、溝612dと、を有する。
主部612aは、軸部611の第1端(図13Bにおける上端)に設けられる。主部612aは、円柱状に形成される。主部612aは、軸部611の中心軸(表示部610の中心軸に等しい)に直交する面内において外形形状が軸部611より大きい。
第1突起612bは、図11Cに示すように、直方体状である。第1突起612bは、主部612aから側方に突出している。
第2突起612cは、図11Cに示すように、三角柱状である。第2突起612cは、軸部611の軸方向に直交する面内において3つの頂点のうちの一つが主部612aより突出し、かつ、第1突起612bとは反対側を向くように、主部612aに設けられる。第2突起612cは、表示部610の回転位置を示す目印としても機能する。
溝612dは、主部612aにおける軸部611とは反対側の面(図13Bの上面)に形成される。溝612dは、直線状であり、その長手方向が、第1突起612bと第2突起612cとが対向する方向と直交している。溝612dは、表示部610の向きを示す直線状の目印として機能する。この溝612d(目印)は、その長手方向が、表示部610の中心軸(回転軸)とも直交している。そのため、表示部610の回転に対して目印(溝612d)の向きが変わりやすいから、表示部610が第1位置にあるか第2位置にあるかを容易に判別できる。
溝612dは、例えばマイナスドライバのような工具600の先端部601(図4参照)が嵌まる形状である。ここで、工具600は、マイナスドライバに限定されず、プラスドライバ、六角ドライバ(六角棒スパナ)、及びヘックスローブドライバ等の汎用の工具、並びに、特殊ねじ等に適合する特殊工具でもよい。さらに、工具600は、人が表示部610を操作するときに使用する器具及び道具であればよく、例えば針金をピックツールとして用いるなど、本来の用途以外で使用される器具及び道具であってもよい。したがって、目印が表示部610に形成された溝612dであるから、目印である溝612dを用いて表示部610を容易に操作できる。また、表示部610の形状自体が目印となるから、プリント等の作業が不要になり、製造コストの低下が図れる。
押圧部613は、第4端子t4と接触する部位である。押圧部613は、当接部613aと、一対の第1ストッパ613bと、一対の第2ストッパ613cと、を有する。
当接部613aは、軸部611の第2端(図13Bにおける下端)に設けられる。当接部613aは、円柱状に形成される。当接部613aは、軸部611の軸方向に直交する面内において外形形状が軸部611より大きい。
一対の第1ストッパ613bは、表示部610を第1位置に保持するために用いられる。一対の第1ストッパ613bは、角柱状である。一対の第1ストッパ613bは、当接部613aから頭部612側に突出する。一対の第1ストッパ613bは、軸部611を挟んで互いに対向する。一対の第1ストッパ613bが対向する方向は、溝612dの長手方向と一致している。
一対の第2ストッパ613cは、表示部610を第2位置に保持するために用いられる。一対の第2ストッパ613cは、角柱状である。一対の第2ストッパ613cは、当接部613aから頭部612側に突出する。一対の第2ストッパ613cは、軸部611を挟んで互いに対向する。一対の第2ストッパ613cが対向する方向は、頭部612の第1突起612bと第2突起612cとが対向する方向と一致している。したがって、一対の第1ストッパ613bが対向する方向と一対の第2ストッパ613cが対向する方向とは直交している。また、一対の第2ストッパ613cは、一対の第1ストッパ613bより背が低い。
次に、ケース300について説明する。
ケース300は、図11Bに示すように、第1方向(図11Bの左右方向)の第1端部(図11Bの左端部)に、ケース300の第2方向に延びる3つのスリット350を備える。3つのスリット350は、第3方向(図11Bにおける上下方向)において並んでいる。3つのスリット350は、ケース300内の空間304(図13A,図13B参照)と繋がっており、2つの第1端子t1は、3つのスリット350のうちの2つに配置される。なお、この空間304には、2つの接点部31が収容される。2つの刃受け部材360(2つの第1端子t1)が対応するスリット350に挿入された導電バー5と接触することによって、2つの第1端子t1と2つの導電バー5とが電気的に接続される。
ケース300は、図11A、図11B、図11D、図13A及び図13Bに示すように、第1方向(図11Bの左右方向)の第2端部(図11Bの右端部)に、2つの第2端子保持部370と、第3端子保持部380と、第4端子保持部340と、表示保持部390と、を備える。
2つの第2端子保持部370の各々は、図13Aに示すように、ケース300において第2端子t2を保持する部分である。2つの第2端子保持部370は、図11Aに示すように、ケース300の第1方向(図11Aの紙面に直交する方向)に直交する第2方向(図11Aの左右方向)において並んでいる。また、2つの第2端子保持部370は、ケース300の第2端部において第1面301側に位置している。
2つの第2端子保持部370の各々は、図13Aに示すように、第2端子収容空間371と、端子孔372と、開口373とを備える。言い換えれば、第2端子保持部370は、ケース300において第2端子収容空間371、端子孔372、及び開口373が形成された部位である。
第2端子収容空間371は、速結端子700(第2端子t2)を収容する空間である。端子孔372は、第2端子収容空間371とケース300の外部とを繋ぐ孔であり、第2端子収容空間371に非接地電線202を挿入するために用いられる。開口373は、第1解除部材760の操作突起770をケース300の外部に突出させる。開口373は、端子孔372よりも第1面301側に位置する。
第2端子保持部370の端子孔372からケース300の内部(第2端子収容空間371)に電線の先端部が挿入されると、この電線の先端部に鎖錠片740の先端が食い込み、電線が抜け止めされた状態となる。この状態で、電線の先端部は第1端子板710と押圧片750とに挟まれ、押圧片750の弾性力によって電線の先端部が第1端子板710に押し付けられる。そのため、電線と第1端子板710とが電気的に接続される。
第1鎖錠ばね720と第1端子板710との間に電線が挿入されている状態で、第1解除部材760が保持位置から解除位置まで回動されると、第1解除部材760の作用突起762で鎖錠片740が第1端子板710から離れる向きに押される。鎖錠片740が第1端子板710から離れる向きに押されると、鎖錠片740の先端が電線から離れるので、電線の抜け止め状態が解除され、速結端子700から電線の取り外しが可能になる。一方、操作突起770を操作する力がなくなると、復帰ばね780及び鎖錠片740の弾性力によって作用突起762が押され、第1解除部材760が解除位置から保持位置に戻る。
第3端子保持部380は、図13Bに示すように、ケース300において第3端子t3を保持する部分である。第3端子保持部380は、図11Aに示すように、第2方向(図11Aにおける左右方向)において、一対の第2端子保持部370の中間に位置する。そのため、分岐開閉器3の回路(特に、電源100と負荷110との間の電力供給路を構成する回路)をケース300内に、第2方向に直交し、かつ、2つの第2端子保持部370間の中点を通る面に対して面対称に配置できる。これにより、分岐開閉器3の回路の対称性の向上を図ることができる。したがって、安定した遮断及び絶縁性能を実現できる。また、負荷110からの非接地電線202及び接地電線203をまとめて分岐開閉器3に接続することができる。そのため、負荷110と分岐開閉器3との接続に多芯ケーブルを用いる場合でも、多芯ケーブルの被覆を除去する作業量を低減できる。特に、接地電線203を分電盤1の接地端子11に接続する場合に比べれば、作業量を大幅に低減でき、施工者の負担を軽減できる。
また、第3端子保持部380は、図11Aに示すように、ケース300の第2端部において第3方向の中央部に位置している。つまり、第3端子保持部380は、一対の第2端子保持部370よりも、第3方向において第1面301とは反対側のケース300の第2面302側に位置する。このように第3端子保持部380が一対の第2端子保持部370と第2方向において並ばないから、ケース300の第2方向の寸法を小さくして薄型化が図れる。また、第3端子保持部380は、図11B,図11Cに示すように、第1方向において、2つの第2端子保持部370よりもケース300の外方(図11B,図11Cにおける右方)に突出している。そのため、ケース300の第1面301側から第3端子保持部380を視認しやすくなり、第3端子t3に電線(接地電線203)を接続しやすくなる。
第3端子保持部380は、第3端子収容空間381と、端子孔382と、開口383と、を有する。言い換えれば、第3端子保持部380は、ケース300において第3端子収容空間381、端子孔382、及び開口383が形成された部位である。
第3端子収容空間381は、速結端子800(第3端子t3)を収容する空間である。端子孔382は、第3端子収容空間381とケース300の外部とを繋ぐ孔であり、第3端子収容空間381に接地電線203を挿入するために用いられる。開口383は、第2解除部材860の操作突起870をケース300の外部に突出させる。開口383は、端子孔382よりも第1面301側に位置する。
第3端子保持部380の端子孔382からケース300の内部(第3端子収容空間381)に電線の先端部が挿入されると、この電線の先端部に鎖錠片840の先端が食い込み、電線が抜け止めされた状態となる。この状態で、電線の先端部は第2端子板810と押圧片850とに挟まれ、押圧片850の弾性力によって電線の先端部が第2端子板810に押し付けられる。そのため、電線と第2端子板810とが電気的に接続される。
第2鎖錠ばね820と第2端子板810との間に電線が挿入されている状態で、第2解除部材860が保持位置から解除位置まで回動されると、第2解除部材860の作用突起862で鎖錠片840が第2端子板810から離れる向きに押される。鎖錠片840が第2端子板810から離れる向きに押されると、鎖錠片840の先端が電線から離れるので、電線の抜け止め状態が解除され、速結端子800から電線の取り外しが可能になる。一方、操作突起870を操作する力がなくなると、復帰ばね880及び鎖錠片840の弾性力によって作用突起862が押され、第2解除部材860が解除位置から保持位置に戻る。
第4端子保持部340は、図13Bに示すように、ケース300において第4端子t4を保持する部分である。第4端子保持部340は、図11Aに示すように、第2方向(図11Aにおける左右方向)において、一対の第2端子保持部370の中間に位置する。また、第4端子保持部340は、第1方向及び第2方向に直交する方向(第3方向、図11Aにおける上下方向)において、第3端子保持部380に対して2つの第2端子保持部370とは反対側に位置する。このように、第4端子保持部340は、第3方向において、第3端子保持部380と並ぶ。そのため、分岐開閉器3の回路の対称性の向上を図ることができる。したがって、分岐開閉器3の遮断及び絶縁性能がより安定する。
第4端子保持部340は、図13A、図13B及び図15に示すように、第4端子収容空間341と、一対のスリット342と、を有する。言い換えれば、第4端子保持部340は、ケース300において第4端子収容空間341、及び一対のスリット342が形成された部位である。
第4端子収容空間341は、第4端子t4を第3方向に移動可能に収容する。また、第4端子収容空間341は、第3端子板510が内側ケース310の外部に臨むように、第4端子t4を収容する。第4端子収容空間341は、図11Dに示すように、ケース300の第2面302における、第1方向(図11Dの左右方向)の一端側(図11Dの右端側)に位置する。また、第4端子収容空間341は、図13Bに示すように、第3端子収容空間381と繋がっている。そのため、接続回路32は、第3端子収容空間381と第4端子収容空間341とにまたがって収容され、第3端子t3と第4端子t4とを電気的に接続する。接続回路32は、可撓性を有する編組線などの電線である。一対のスリット342は、図16に示すように、第3方向に延びる。第4端子t4の一対の突起520dは、それぞれ一対のスリット342に挿入される。これによって、第4端子t4の移動方向が第3方向に制限される。ここで、第4端子保持部340には、図13A及び図15に示すように、一対の復帰ばね540が取り付けられる。一対の復帰ばね540は、第4端子t4を収納位置に保持するために用いられる。一対の復帰ばね540は、第4端子t4が突出位置から収納位置に移動するように、一対の突起510dで第4端子t4を付勢する。
表示保持部390は、図13Bに示すように、ケース300において表示部610を保持する部分である。表示保持部390は、収容部391(図13B及び図17参照)と、挿通規制部392(図11C及び図18参照)と、一対の当接部393(図16参照)と、一対の回転規制部394a,394b(図11C参照参照)と、を有する。言い換えれば、表示保持部390は、ケース300(内側ケース310)において、収容部391、挿通規制部392、一対の当接部393、及び一対の回転規制部394a,394bが形成された部位である。
収容部391は、図13B及び図17に示すように、ケース300の第3方向に沿って延びる円形状の孔である。収容部391は、表示部610を所定の回転軸の周りに回動可能な大きさに形成される。つまり、表示部610は、所定の回転軸の周りに回動可能にケース300に保持される。所定の回転軸は、表示部610の中心軸である。収容部391は、表示部610の軸部611を収容する第1孔部391aと、第2孔部391bと、第3孔部391cと、を備える。第2孔部391bは第1孔部391aの一端(図13B及び図17の上端)に形成され、第3孔部391cは第1孔部391aの他端(図13B及び図17の下端)に形成される。第2孔部391bは、第1孔部391aより内径が大きく、表示部610の頭部612を収容可能な大きさに形成される。ただし、第2孔部391bの内径は、人の指が入らないような大きさである。第3孔部391cは、第1孔部391aより内径が大きく、表示部610の押圧部613を収容可能な大きさに形成される。第2孔部391bはケース300の第1面301に開口し、第3孔部391cは第4端子収容空間341と繋がっている。
挿通規制部392は、図11C、図13B及び図17に示すように、収容部391の第2孔部391bに形成される。挿通規制部392は、表示部610が第1の向き(図11C参照)と第2の向き(図18参照)とのいずれかの場合だけ、表示部610の頭部612を通すように収容部391の一端側の開口(第2孔部391bの開口)の形状を規定する。第1の向きは、図11Cに示すように、第2突起612cがケース300の第1方向の一方(図11Cにおける右方)を向いている向きである。第2の向きは、図18に示すように、第2突起612cがケース300の第2方向の一方(図18における上方)を向いている向きである。
一対の当接部393は、図16に示すように、収容部391の第3孔部391cに形成される。一対の当接部393は、第3孔部391c内においてケース300の第2方向における収容部391の第1孔部391aの両側に位置する。一対の当接部393の各々は、押圧部613の第1ストッパ613bと第2ストッパ613cとのいずれかが嵌る凹部393aを有する。
表示部610が第1の向きである場合、一対の第1ストッパ613bがケース300の第2方向に並ぶ。そのため、一対の第1ストッパ613bを一対の当接部393の凹部393aにそれぞれ嵌合させることができる(図13B参照)。ここで、一対の第1ストッパ613bの高さは、一対の第1ストッパ613bが一対の当接部393の凹部393aにそれぞれ嵌った状態では、図13Bに示すように、表示部610の全体がケース300の内側に位置するように、設定されている。
一方、表示部610が第2の向きである場合、一対の第2ストッパ613cがケース300の第2方向に並ぶ。そのため、一対の第2ストッパ613cを一対の当接部393の凹部393aにそれぞれ嵌合させることができる(図17参照)。ここで、一対の第2ストッパ613cの高さは、一対の第1ストッパ613bより背が低い。そのため、一対の第2ストッパ613cが一対の当接部393の凹部393aにそれぞれ嵌った状態では、図17に示すように、表示部610の頭部612がケース300の第1面301から突出している。
一対の回転規制部394a,394bは、表示部610の回転方向を制限する。一対の回転規制部394a,394bは、表示部610の第2の向きから第1の向きへの回転方向を表示部610の軸周りの一方向である接続方向(図11C及び図18における反時計回り方向)に制限する。また、一対の回転規制部394a,394bは、表示部610の第1の向きから第2の向きへの回転方向を接続方向とは反対の解除方向(図11C及び図18における時計回り方向)に制限する。一対の回転規制部394a,394bは、表示部610を第1の向きから接続方向に回転させようとした場合に、第1突起612b及び第2突起612cにそれぞれ当接するように形成される。また、一対の回転規制部394a,394bは、表示部610を第2の向きから解除方向に回転させようとした場合に、第1突起612b及び第2突起612cにそれぞれ当接するように形成される。このようにして、一対の回転規制部394a,394bは、表示部610の回転範囲を制限する。
表示部610は、図13B及び図17に示すように、頭部612がケース300の第1面301に露出し、押圧部613が第4端子t4(ホルダ520の底板部520aの後面)に当接するように、収容部391に収容される。
表示部610の第1位置は、押圧部613の一対の第1ストッパ613bが一対の当接部393の凹部393aにそれぞれ嵌っている位置である。第1位置では、図11C及び図13Bに示すように、表示部610が第1の向きであり、かつ、表示部610の全体がケース300の内側に位置している。そのため、表示部610の頭部612は、ケース300の第1面301から突出していない。このように、一対の第1ストッパ613bと一対の当接部393とによって、表示部610を第1位置に位置決めする位置決め構造(第1位置決め構造)が構成される。第1位置決め構造は、表示部610の回転軸を通る面に対して面対称である。この第1位置決め構造では、表示部610が、その回転軸に直交する方向の両側においてケース300に支持される。そのため、表示部610が安定してケース300に支持される。
表示部610の第2位置は、押圧部613の一対の第2ストッパ613cが一対の当接部393の凹部393aにそれぞれ嵌っている位置である。第2位置では、図17及び図18に示すように、表示部610が第2の向きであり、かつ、表示部610の頭部612がケース300の第1面301から突出している。このように、一対の第2ストッパ613cと一対の当接部393とによって、表示部610を第2位置に位置決めする位置決め構造(第2位置決め構造)が構成される。第2位置決め構造は、表示部610の回転軸を通る面に対して面対称である。この第2位置決め構造では、表示部610が、その回転軸に直交する方向の両側においてケース300に支持される。そのため、表示部610が安定してケース300に支持される。
ここで、第1位置は、第2位置から表示部610を少なくとも所定の回転軸の周りに90度回転させた位置である。そのため、表示部610をケース300に対して第1位置に位置決めする構造(第1位置決め構造)及び第2位置に位置決めする構造(第2位置決め構造)の両方を、互いに干渉することなく表示部610の回転軸を通る面に対して面対称な構造にすることができる。これにより、表示部610が第1位置及び第2位置のいずれにおいても安定してケース300に支持される。
第1ストッパ613bは第2ストッパ613cより背が高いため、第1位置は、表示部610が第2位置よりもケース300の第2面302側に移動した位置となる。また、第1位置は、第2位置から表示部610を少なくとも所定の回転軸の周りに90度回転させた位置である。そのため、表示部610を第1位置と第2位置との間で移動させることで、第4端子t4を突出位置と収納位置との間で移動させることができる。
ここで、表示部610が第1位置にある場合(この表示態様を「第1表示態様」という)、表示部610が第1の向きである(図11C参照)。また、表示部610が第2位置にある場合(この表示態様を「第2表示態様」という)、表示部610が第2の向きである(図18参照)。そのため、表示部610の溝612dの長手方向が、第1位置と第2位置とで90度異なる。そのため、表示部610の頭部612により、第4端子t4が取付部材4に接触している第1状態(オン状態)と第4端子t4が取付部材4に接触していない第2状態(オフ状態)とを判別できる。
表示部610を第1位置から第2位置に移動させるには、まず、表示部610の頭部612を押圧して、表示部610を、頭部612が挿通規制部392よりケース300の内側に位置する規定位置まで、移動させる。この状態で、表示部610を解除方向に90度回転させて第1の向きから第2の向きとする。この後に、頭部612の押圧を終了すると、表示部610は第4端子t4によりケース300の第1面301側に押される。これにより、頭部612の一部が挿通規制部392を通ってケース300の外部に突出し、また、押圧部613の一対の第2ストッパ613cが一対の当接部393の凹部393aにそれぞれ嵌る。その結果、表示部610が第2位置に位置する。
一方、表示部610を第2位置から第1位置に移動させるには、まず、表示部610の頭部612を押圧して挿通規制部392よりケース300の内側に移動させる。この状態で、表示部610を接続方向に回転させて第2の向きから第1の向きとする。この後に、頭部612の押圧を終了すると、表示部610は第4端子t4によりケース300の第1面301側に押される。これにより、頭部612の一部が挿通規制部392を通ってケース300の外部に突出し、また、押圧部613の一対の第1ストッパ613bが一対の当接部393の凹部393aにそれぞれ嵌る。その結果、表示部610が第1位置に位置する。
ケース300は、図11Aに示すように、一対の排気口303を有する。一対の排気口303は、ケース300において一対の接点部31が収容される空間304と繋がっている。一対の排気口303は、第2方向において、第3端子保持部380の両側に位置する。そのため、一対の接点部31で発生したガスが一対の排気口303から別々に排出されやすくなる。したがって、一対の接点部31で発生したガスが混ざってしまうことを抑制できる。
また、ケース300は、図11Dに示すように、第4端子t4を外部に露出させる開口324を有する。ケース300には、開口324を開閉するカバー325が第1方向に沿ってスライド可能に取り付けられる。なお、カバー325は必須ではない。
ケース300は、図14に示すように、内側ケース310と、内側ケース310を保持する外側ケース320と、を備える。
内側ケース310は、第3端子t3と、第4端子t4と、表示部610と、を保持するケースである。内側ケース310は、図14及び図16に示すように、第1半体311及び第2半体312を有する。第1半体311及び第2半体312は合成樹脂製であって、電気絶縁性を有している。つまり、内側ケース310は、電気絶縁性を有している。第1半体311及び第2半体312は、第2方向において互いに結合される。
第1半体311は、図14に示すように、第3端子t3を保持するための第3端子保持部分311aと、第4端子t4を保持するための第4端子保持部分311bと、表示部610を保持するための表示保持部分311cと、を有する。さらに、第1半体311は、図16に示すように、第2端子t2を保持するための第2端子保持部分311dと、排気口303を形成するための排気通路部311eと、を有する。また、第1半体311は、一対の接点部31間に配置される隔壁311fを有する。
第2半体312は、図14に示すように、第3端子t3を保持するための第3端子保持部分312aと、第4端子t4を保持するための第4端子保持部分312bと、表示部610を保持するための表示保持部分312cと、を有する。さらに、第2半体312は、第2端子t2を保持するための第2端子保持部分312dと、排気口303を形成するための排気通路部312eと、を有する。
第1半体311及び第2半体312が結合されることにより、図15に示すように、第3端子保持部分311a,312aが第3端子保持部380を形成する。また、第4端子保持部分311b,312bが第4端子保持部340を形成し、表示保持部分311c,312cが表示保持部390を形成する。このように、内側ケース310は、第3端子保持部380、第4端子保持部340、及び表示保持部390を有する。第3端子t3と、第4端子t4と、表示部610とが内側ケース310に取り付けられることで、図15に示すアースブロック900が得られる。
外側ケース320は、第2方向における内側ケース310の両側をそれぞれ覆う第1部位321及び第2部位322を有する。第1部位321及び第2部位322は、ケース300を第2方向に直交する面で2分割して得られるような形状である。また、外側ケース320は、内側ケース310とともに、ケース300の空間304を第1部位321側の第1空間と第2部位322側の第2空間とに仕切る第3部位323を有する。第1空間は、一対の接点部31の一方を収容する空間であり、第2空間は、一対の接点部31の他方を収容する空間である。
第1部位321、第2部位322、及び、第3部位323は、合成樹脂製であって、電気絶縁性を有している。つまり、外側ケース320は、電気絶縁性を有している。
第1部位321は、第2端子t2を保持するための第2端子保持部分321aと、排気口303を形成するための排気孔321bと、を有する。第1部位321は、第1半体311の第2半体312とは反対側の面を覆うように第1半体311に結合され、第2端子保持部分311d,321aが第2端子保持部370を形成し、排気通路部311eと排気孔321bが排気口303を形成する。この排気口303は第1空間に繋がる。したがって、第1空間内の接点部31の周囲で発生したガスは、この排気口303を介してケース300の外部に排出される。
第2部位322は、第2端子t2を保持するための第2端子保持部分322aと、排気口303を形成するための排気孔322bと、を有する。第2部位322は、第2半体312の第1半体311とは反対側の面を覆うように第2半体312に結合され、第2端子保持部分312d,322aが第2端子保持部370を形成し、排気通路部312eと排気孔322bが排気口303を形成する。この排気口303は第2空間に繋がる。したがって、第2空間内の接点部31の周囲で発生したガスは、この排気口303を介してケース300の外部に排出される。
このように、第1部位321は、内側ケース310において第1部位321と対向する部位(第2端子保持部分311d)とともに、第2端子保持部370の一方を構成する。第2部位322は、内側ケース310において第2部位322と対向する部位(第2端子保持部分312d)とともに、第2端子保持部370の一方を構成する。
このように、ケース300では、内側ケース310が2つの第2端子t2の間に位置し、かつ、第3端子t3及び第4端子t4を保持する。そのため、2つの第2端子t2間の絶縁距離を確保しながらも、分岐開閉器3の回路の対称性の向上を図ることができる。よって、分岐開閉器3の遮断及び絶縁性能がより安定する。
(2)開閉器の取り付け
次に、作業者が開閉器(分岐開閉器3)を取付部材4に取り付ける際の作業工程について説明する。初期状態では、表示部610は第2位置にあるとする。
作業者は、分岐開閉器3の第2面302を取付部材4に向け、スリット350に導電バー5を差し込むようにして、分岐開閉器3を取付部材4に取り付ける。このようにして分岐開閉器3が取付部材4に取り付けられると、分岐開閉器3が取付部材4に機械的に保持される。分岐開閉器3が取付部材4に取り付けられた状態では、刃受け部材360が対応する導電バー5に電気的に接続されている。この状態では、表示部610は第2位置にあり、接触端子500は接続対象部材(取付部材4)に接触していない第2状態(オフ状態)にある。
次に、作業者は、第4端子t4(接触端子500)と接続対象部材(取付部材4)とを電気的に接続する。つまり、作業者は、分岐開閉器3が取付部材4に取り付けられた状態で、工具600を用いて操作部(表示部610)を操作する。このとき、第4端子t4(接触端子500)と接続対象部材(取付部材4)との関係は、接触端子500が取付部材4に接触していない第2状態にあるため、作業者は、第2状態から第1状態へ切り替える接続操作を行う。具体的には、作業者は、表示部610の溝612dに工具600の先端部601を挿入し、頭部612を挿通規制部392よりケース300の内側に押し込む。この後に、作業者は、工具600を用いて表示部610を接続方向(図18における時計回り方向)に約90度回転させる。これによって、表示部610は第2位置から第1位置に移動し、接触端子500が移動して取付部材4に接触する。これにより、第4端子t4である接触端子500が、接続対象部材である取付部材4に電気的に接続された状態(第1状態)となり、第4端子t4と接続対象部材との電気的な接続作業が完了する。
このようにして分岐開閉器3が取付部材4に取り付けられ、第4端子t4が取付部材4に電気的に接続された状態では、第3端子t3が接続回路32と第4端子t4とを介して取付部材4に電気的に接続される。
分岐開閉器3では、取付部材4に電気的に接続される第4端子t4がケース300の第2面302に設けられているから、分岐開閉器3が取付部材4に取り付けられた状態では、作業者は、第4端子t4が取付部材4に接続されているか否かを直接目視できない。ただし、第4端子t4が取付部材4に電気的に接続されていない第2状態(オフ状態)では、表示部610の溝612dの長手方向がケース300の第1方向(本実施形態では長手方向)と平行になる(図18参照)。一方、第4端子t4が取付部材4に電気的に接続されている第1状態(オン状態)では、表示部610の溝612dの長手方向がケース300の第1方向と直交する(図11C参照)。したがって、作業者は、表示部610の溝612dの向きによって、第4端子t4が取付部材4に電気的に接続されているか否かを、目視で容易に把握できる。
この後に、作業者は、分岐開閉器3及び取付部材4を含む内器ブロックをキャビネット10に取り付け、接地線205を介して、取付部材4をキャビネット10の接地端子11に電気的に接続する。これにより、分岐開閉器3の第3端子t3(速結端子800)は、取付部材4を介して接地端子11に電気的に接続されることになる。そのため、分岐開閉器3の速結端子800に、負荷110の接地電線203が接続されると、接地電線203が取付部材4を介して接地端子11に電気的に接続されて、接地電線203が接地される。分岐開閉器3では、接地電線203が接続される第3端子t3を速結端子800で構成しているので、接地電線203を接続する作業を簡単にできる。
内器ブロックの取り付け及び配線作業が完了すると、作業者は、分電盤1の内扉12を閉じる。このとき、もしも第4端子t4と接続対象部材との電気的な接続作業が完了していない分岐開閉器3があれば、表示部610の頭部612が内扉12に干渉し、内扉12を閉じることができない。すなわち、本実施形態では、ケース300の第1面301において内扉12で覆われる部位に表示部610が配置されているので、第2状態にあれば、ケース300の第1面301から突出する頭部612が内扉12に干渉して内扉12を閉じることができない。そのため、作業者は、第4端子t4と接続対象部材との電気的な接続作業が未完了の分岐開閉器3があれば、内扉12を閉じる際に気付くことができる。複数の分岐開閉器3の全てにおいて第4端子t4と接続対象部材との電気的な接続作業が完了していれば、頭部612が内扉12に干渉することがなく、内扉12を閉じることができる。なお、ケース300の第1面301において、表示保持部390は内扉12で覆われる位置に設けられている必要は無く、表示保持部390は内扉12で覆われない位置に形成されていてもよい。
作業者は、第4端子t4(接触端子500)と接続対象部材(取付部材4)との電気的な接続を解除する際も、工具600を用いて操作部(表示部610)を操作してもよい。接触端子500が取付部材4に接触している第1状態から、接触端子500が取付部材4に接触していない第2状態への切り替えに際しては、作業者は、解除操作を行う。具体的には、作業者は、表示部610の溝612dに工具600の先端部601を挿入し、頭部612を挿通規制部392よりケース300の内側に押し込む。この後に、作業者は、工具600を用いて表示部610を解除方向(図11Cにおける反時計回り方向)に約90度回転させる。これによって、表示部610は第1位置から第2位置に移動し、接触端子500が移動して取付部材4から離れる。これにより、第4端子t4である接触端子500が、接続対象部材である取付部材4に電気的に接続されていない第2状態(オフ状態)となり、第4端子t4と接続対象部材との電気的な接続が解除される。
(3)効果
本実施形態の分岐開閉器3では、表示部610は、所定の回転軸の周りに回動可能にケース300に保持される。第1位置は、第2位置から表示部610を少なくとも所定の回転軸の周りに90度回転させた位置である。そのため、表示部610をケース300に対して第1位置に位置決めする構造(第1位置決め構造)及び第2位置に位置決めする構造(第2位置決め構造)の両方を、互いに干渉することなく表示部610の回転軸を通る面に対して面対称な構造にすることができる。これにより、表示部610が第1位置及び第2位置のいずれにおいても安定してケース300に支持される。
また、本実施形態の分岐開閉器3では、表示部610は、直線状の目印(溝612d)を有する。目印(溝612d)は、長手方向が所定の回転軸に直交する。そのため、表示部610の回転に対して目印(溝612d)の向きが変わりやすいから、表示部610が第1位置にあるか第2位置にあるかを容易に判別できる。
また、本実施形態の分岐開閉器3では、目印が表示部610に形成された溝612dである。そのため、目印である溝612dに先端部が嵌る工具(例えば、マイナスドライバ)等を用いて表示部610を容易に操作できる。また、表示部610の形状自体が目印となるから、プリント等の作業が不要になり、製造コストの低下が図れる。
(4)変形例
以下、実施形態3の変形例を列挙する。
実施形態3において、分岐開閉器3の各部品の形状や寸法は、本発明の目的を達成できる範囲で変更してもよい。例えば、ケース300の第1方向、第2方向、及び第3方向の寸法の関係は特に限定されない。例えば、第2方向の寸法が第3方向の寸法より大きくてもよい。また、ケース300は、必ずしも直方体状である必要はない。
また、第3端子保持部380は、2つの第2端子保持部370と第2方向において並ぶように、2つの第2端子保持部370の中間に位置していてもよい。ただし、第3端子保持部380が2つの第2端子保持部370と第2方向において並ばないようにすることで、ケース300の第2方向の寸法を小さくでき、小型化を図ることができる。
また、第1端子t1、第2端子t2、及び接点部31の数についても、とくに2つには限定されず、1つ又は3つ以上であってもよい。また、第3端子t3、第4端子t4、及び接続回路32の数についても、とくに1つには限定されず、2以上であってもよい。ここで、第3端子t3を複数設ける場合、第3端子保持部380は、第3方向に沿って複数並べられることが好ましい。
また、実施形態3では、第2解除部材860が、2つの第1解除部材760と材料の色が異なっている。しかしながら、第2解除部材860は、一対の第1解除部材760の一方と材料の色が同じでもよい。つまり、一対の第1解除部材760及び第2解除部材860のうちの一つは、他と材料の色が異なっていればよい。この場合、一対の第1解除部材760及び第2解除部材860のうちの一つを他よりも目立たせることができ、誤操作を抑制できる。また、材料の色自体が異なっているから、着色作業が必要なくなるから製造コストの低減が期待できる。
また、第1解除部材760は、操作突起770の押圧に応じて、直線的に移動して、作用突起762で第1鎖錠ばね720の一部を押圧するように構成されていてもよい。この点は、第2解除部材860においても同様である。
また、実施形態3では、2つの第1端子t1は、図11Bにおける上側のスリット350と下側のスリット350とに配置されているが、この構成に限定されない。2つの第1端子t1は、3つのスリット350のうちの2つに配置されていればよく、特に限定されない。なお、2つの第1端子t1が3つのスリット350のうちのどの2つに配置されるかは、分岐開閉器3から負荷110に供給する電圧によって決定される。また、第1端子t1は、ねじ端子や、速結端子であってもよい。
また、実施形態3では第2端子t2は速結端子700であって、第3端子t3は速結端子800であるが、これに限定されない。第2端子t2はねじ端子であってもよいし、第3端子t3も同様にねじ端子であってもよい。なお、第2端子保持部370及び第3端子保持部380は、第2端子t2及び第3端子t3の形状に応じて適宜変更される。
また、第4端子t4は、必ずしも一対の接点510bを有していなくてもよい。第4端子t4は、接続対象(実施形態3では取付部材4)に適した形状であればよい。第4端子t4の接続対象は、取付部材4でなくてもよく、例えば、電線等であってもよい。この場合、第4端子t4は、ねじ端子や、速結端子であってもよい。また、第4端子t4は、刃受けばねのような形状であってもよい。また、第4端子t4は、第4端子t4の全体が移動する必要はなく、第4端子t4の一部が移動してもよい。例えば、第4端子t4が変形することにより、第4端子t4における接続対象部材との接触部位が部分的に移動するようにしてもよい。また、第4端子t4は、ケース300に対して移動可能でなくてもよく、ケース300に固定されていてもよい。
また、標識部890は、アースを示す記号に限定されず、例えば、アースを示す文字等であってもよい。要するに、標識部890は、第3端子t3の種類(実施形態3ではアース)を示す機能を有していればよい。また、標識部890は、第3端子t3の第2解除部材860に設けられていなくてもよく、第3端子t3の別の部位に設けられていてもよい。また、標識部890は、第3端子t3ではなく第3端子保持部380に設けられていてもよい。要するに、標識部890は、第3端子t3又は第3端子保持部380に設けられていればよい。
また、接続回路32は、編組線に限定されず、金属板やその他の導線であってもよい。要するに、接続回路32は、抵抗値が接地工事の種類ごとに定められた接地抵抗値に適合していればよい。
実施形態3では、表示部610は、第2位置において、表示部610の一部(頭部612)がケース300の第1面301から突出する。また、表示部610は、第1位置において、表示部610の全体がケース300の内側に位置する。しかしながら、表示部610はこの構成に限定されない。表示部610は、第1位置において、表示部610の一部がケース300の第1面301から突出し、第2位置において、表示部610の全体がケース300の内側に引っ込むように構成されてもよい。また、表示部610が第1位置及び第2位置のいずれにあるかを作業者が判別可能であれば、第1位置及び第2位置の両方で表示部610の一部がケース300の第1面301から突出するように、表示部610が構成されてもよい。また、表示部610が第1位置及び第2位置のいずれにあるかを作業者が判別可能であれば、第1位置及び第2位置の両方で表示部610の全体がケース300の内側に引っ込むように、表示部610が構成されてもよい。
また、第1位置は、第2位置から表示部610を少なくとも所定の回転軸の周りに0超過90度以下回転させた位置であってもよい。第1位置と第2位置との間の表示部610の回転角度が0超過90度以下であれば、第1位置決め構造及び第2位置決め構造の両方を、互いに干渉することなく表示部610の回転軸を通る面に対して面対称な構造にすることができる。特に、実施形態3では、第1位置と第2位置との間の表示部610の回転角度が90度となっている。そのため、一対の当接部393の各々では、凹部393aが、第1ストッパ613bが嵌る凹部及び第2ストッパ613cが嵌る凹部として機能している。
また、表示部610の目印は、溝612dでなくてもよい。例えば、目印は、プリント等により表示部610に形成された記号等であってもよい。ただし、目印が表示部610に形成された突起や溝などであれば、プリント等の作業が不要になり、製造コストの低下が図れる。
実施形態3では、表示部610は、第1位置と第2位置との間で直進移動するようにケース300に保持されているが、第1位置と第2位置との間で移動可能なようにケース300に保持されていればよく、表示部610は適宜変更が可能である。また、実施形態3では、表示部610が、第1位置と第2位置との間で移動可能に設けられた可動部材であるが、表示部610は可動部材に限定されない。表示部610は表示ランプで構成されてもよく、表示ランプの点灯、消灯でオン状態及びオフ状態を表示してもよい。また、表示部610は、第4端子t4を突出位置と収納位置との間で移動させる操作部として機能しなくてもよい。また、開閉器は、必ずしも表示部610を備えていなくてもよい。
なお、実施形態3で説明した構成(変形例を含む)は、実施形態1又は実施形態2で説明した構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて適用可能である。