JP2017101277A - ウェブ状成膜対象物の回転保持体及びこれを用いた成膜体製造方法並びにその装置 - Google Patents

ウェブ状成膜対象物の回転保持体及びこれを用いた成膜体製造方法並びにその装置 Download PDF

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【課題】所望の表面性を安価に構築することで、ウェブ状成膜対象物の搬送方向に交差する方向へのシワの発生を抑制しつつ、ウェブ状成膜対象物を搬送可能に保持する。【解決手段】回転保持体1は、駆動回転し且つ予め決められた温度に調整される円形断面状の回転部材2と、回転部材2の周面のうち少なくともウェブ状成膜対象物5を保持する領域を含むように固着され、ウェブ状成膜対象物5に対し回転部材2の回転方向よりも当該回転方向に交差する軸方向の方が摩擦抵抗の小さい凹凸パターンを有する表面性調整部材3と、を備える。表面性調整部材3としては、金属又は樹脂にて構成され、メッシュ部3aが連結部3bを介して千鳥状に連接するエキスパンドメタル形状の凹凸パターンを有する態様がある。【選択図】図1

Description

本発明は、ウェブ状成膜対象物を回転保持する回転保持体に係り、特に、スパッタリング等の成膜中に発生する熱負荷によるウェブ状成膜対象物のシワの発生を低減させる上で有効な回転保持体及びこれを用いてウェブ状成膜対象物に成膜して成膜体を製造する成膜体製造方法並びにその装置に関する。
液晶パネル、ノートパソコン、デジタルカメラ、携帯電話等には、耐熱性樹脂フィルム上に金属膜を被覆して得られる多種類のフレキシブル配線基板が用いられ、このフレキシブル配線基板には、耐熱性樹脂フィルムの片面若しくは両面に金属膜を成膜した金属膜付耐熱性樹脂フィルムが用いられている。そして、金属膜付耐熱性樹脂フィルムは、配線パターンの繊細化、高密度化に伴い、金属膜付耐熱性樹脂フィルム自体が平面であることが重要である。
この種の金属膜付耐熱性樹脂フィルムの製造方法として、従来、金属箔を接着剤により耐熱性樹脂フィルムに貼り付けて製造する方法(3層基板の製造方法)、金属箔に耐熱性樹脂溶液をコーティングしかつ乾燥させて製造する方法(キャスティング法)、および、耐熱性樹脂フィルムに真空成膜法若しくは真空成膜法と湿式めっき法により金属膜を成膜して製造する方法(メタライジング法)等が知られている。また、メタライジング法の真空成膜法には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームスパッタリング法等がある。
そして、メタライジング法として、特許文献1では、ポリイミド絶縁層上にクロム層をスパッタリングした後、銅をスパッタリングしてポリイミド絶縁層上へ導体層を形成する方法が開示され、特許文献2では、ポリイミドフィルム上に、銅ニッケル合金をターゲットとしてスパッタリングにより形成された第一の金属薄膜と、銅をターゲットとしてスパッタリングにより形成された第二の金属薄膜の順に積層して形成されたフレキシブル回路基板用材料が開示されている。尚、ポリイミドフィルム(基板)の様な耐熱性樹脂フィルムに真空成膜を行うにはスパッタリングウェブコータを用いることが一般的である。
ところで、上述した真空成膜法において、一般に、スパッタリング法は密着力に優れる反面、真空蒸着法より耐熱性樹脂フィルムに与える熱負荷が大きいといわれている。そして、成膜の際に、耐熱性樹脂フィルムに大きな熱負荷が作用するとフィルムシワが発生してしまう。このシワを防ぐために、金属膜付耐熱性樹脂フィルムの製造装置であるスパッタリングウェブコータでは、キャンロールによりスパッタリング中の耐熱性樹脂フィルムを裏面から冷却する構造になっている。例えば、特許文献3には、スパッタリングウェブコータの一例である巻取式真空スパッタリング装置が開示され、この巻取式真空スパッタリング装置は、水冷キャンロールを備え、サブロールにより水冷キャンロールへの密着を制御している。
しかし、成膜速度を向上させるためにスパッタ装置のカソードに大電力を印加すると、水冷キャンロールだけでは金属膜付耐熱性樹脂フィルムの冷却が不十分となり、フィルムシワが発生する。このシワを低減させるためにキャンロールの表面構造を工夫した技術として、例えば、特許文献4には、キャンロールが、軸方向と略平行に設けられる溝又は軸方向略中央から両端部に向けてV字状となるように延びる溝をロール表面に有する耐熱性樹脂フィルムの成膜方法が開示されている。
しかし、キャンロールの表面に溝加工を行うため、製作費が高価になるとともに、補修が極めて困難になるという懸念を有していた。
そこで、金属膜のスパッタリング成膜中に耐熱性樹脂フィルムへ大きな熱負荷が作用した際にシワの発生を低減させること、特に、フィルム幅方向の伸びに起因するシワの発生を低減でき、且つ、安価な金属膜付耐熱性樹脂フィルムの製造装置が望まれていた。
特開平2−98994号公報(問題点を解決するための手段) 特開平6−97616号公報(課題を解決するための手段,図1) 特開昭62−247073号公報(発明を実施するための最良の形態,図1) 特開2011−94221号公報(発明の実施の形態,図2,図3)
本発明が解決しようとする技術的課題は、所望の表面性を安価に構築することで、ウェブ状成膜対象物の搬送方向に交差する方向へのシワの発生を抑制しつつ、ウェブ状成膜対象物を搬送可能に保持することにある。
そこで、上記課題を解決するため、本発明者が鋭意研究を続けた結果、ウェブ状成膜対象物、例えばポリイミドフィルム等の長尺耐熱性樹脂フィルムが接触する回転保持体としてのキャンロールについて、長尺耐熱性樹脂フィルムの長手方向より幅方向の方が滑り易くなるように、キャンロールのロール本体の表面にその表面性を調整するための部材を固着することで、当該部材の表面に接触する長尺耐熱性樹脂フィルムに対しその長手方向のグリップ力を保持したまま、フィルム幅方向の伸びに起因するシワの発生が低減されることを見出すに至った。本発明はこのような技術的着想により完成されている。
すなわち、本発明の第1の技術的特徴は、ウェブ状成膜対象物の表面を成膜装置にて成膜するときに、前記ウェブ状成膜対象物を回転保持する回転保持体であって、駆動回転し且つ予め決められた温度に調整される円形断面状の回転部材と、前記回転部材の周面のうち少なくとも前記ウェブ状成膜対象物を保持する領域を含むように固着され、ウェブ状成膜対象物に対し前記回転部材の回転方向よりも当該回転方向に交差する軸方向の方が摩擦抵抗の小さい凹凸パターンを有する表面性調整部材と、を備えたことを特徴とするウェブ状成膜対象物の回転保持体である。
本発明の第2の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えたウェブ状成膜対象物の回転保持体において、前記表面性調整部材は、金属又は樹脂にて構成され、メッシュ部が連結部を介して千鳥状に連接するエキスパンドメタル形状の凹凸パターンを有することを特徴とするウェブ状成膜対象物の回転保持体である。
本発明の第3の技術的特徴は、第2の技術的特徴を備えたウェブ状成膜対象物の回転保持体において、前記表面性調整部材は、前記回転部材の周面における法線方向に対し前記連結部が当該回転部材の回転方向に抗する方向に向かって傾斜配置されていることを特徴とするウェブ状成膜対象物の回転保持体である。
本発明の第4の技術的特徴は、第2の技術的特徴を備えたウェブ状成膜対象物の回転保持体において、前記表面性調整部材は、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン又は銅の金属にて構成されていることを特徴とするウェブ状成膜対象物の回転保持体である。
本発明の第5の技術的特徴は、第2の技術的特徴を備えたウェブ状成膜対象物の回転保持体において、前記表面性調整部材は、ポリテトラフルオロエチレンの樹脂にて構成されていることを特徴とするウェブ状成膜対象物の回転保持体である。
本発明の第6の技術的特徴は、第2の技術的特徴を備えたウェブ状成膜対象物の回転保持体において、前記表面性調整部材は金属にて構成され、金属の表面には保護膜を有することを特徴とするウェブ状成膜対象物の回転保持体である。
本発明の第7の技術的特徴は、第2の技術的特徴を備えたウェブ状成膜対象物の回転保持体において、前記表面性調整部材は金属にて構成され、金属の表面はエッチング又は研磨処理にてエッジ部を曲面状に形成したものであることを特徴とするウェブ状成膜対象物の回転保持体である。
本発明の第8の技術的特徴は、第2の技術的特徴を備えたウェブ状成膜対象物の回転保持体において、前記表面性調整部材は板厚が0.1mm以下の金属又は樹脂の板材を用いて構成されていることを特徴とするウェブ状成膜対象物の回転保持体である。
本発明の第9の技術的特徴は、ウェブ状成膜対象物を回転保持体表面に接触保持させて搬送し、前記回転保持体表面に対向して配置された成膜装置にて前記ウェブ状成膜対象物の表面を成膜して成膜体とする成膜体製造方法であって、前記回転保持体として、駆動回転し且つ予め決められた温度に調整される円形断面状の回転部材と、前記回転部材の周面のうち少なくとも前記ウェブ状成形対象物を保持する領域を含むように固着され、ウェブ状成膜対象物に対し前記回転部材の回転方向よりも当該回転方向に交差する軸方向の方が摩擦抵抗の小さい凹凸パターンを有する表面性調整部材と、を備えたものを用いることを特徴とする成膜体製造方法である。
本発明の第10の技術的特徴は、第9の技術的特徴を備えた成膜体製造方法において、前記表面性調整部材は、金属又は樹脂にて構成され、メッシュ部が連結部を介して千鳥状に連接するエキスパンドメタル形状の凹凸パターンを有することを特徴とする成膜体製造方法である。
本発明の第11の技術的特徴は、第10の技術的特徴を備えた成膜体製造方法において、前記表面性調整部材と前記回転部材表面との間に形成される隙間に熱伝導性の良いガスを導入することを特徴とする成膜体製造方法である。
本発明の第12の技術的特徴は、成膜前のウェブ状成膜対象物及び成膜後の成膜体を収容する収容室、前記収容室に隣接して設けられて成膜用環境を保つ成膜室が設けられる装置筐体と、前記収容室内のウェブ状成膜対象物を前記成膜室に移動させ、成膜室内で成膜完了した成膜体を前記収容室又は前記成膜室の予め決められた箇所に移動させる移動機構と、前記成膜室内に一若しくは複数設置され、前記移動機構にて移動させられるウェブ状成膜対象物の表面を成膜する成膜装置と、を備え、前記移動機構は、前記成膜室に設置され、前記ウェブ状成膜対象物を保持して駆動回転し且つ予め決められた温度に調整される回転保持体を有し、前記回転保持体として第1乃至第8のいずれかの技術的特徴を備えた回転保持体を用いたことを特徴とする成膜体製造装置である。
本発明の第1の技術的特徴によれば、所望の表面性を安価に構築することで、ウェブ状成膜対象物の搬送方向に交差する方向へのシワの発生を抑制しつつ、ウェブ状成膜対象物を搬送可能に保持することができる。
本発明の第2の技術的特徴によれば、ウェブ状成膜対象物を保持する回転保持体に対して所望の表面性を容易に構築することができる。
本発明の第3の技術的特徴によれば、表面性調整部材としてエキスパンドメタル形状の凹凸パターンを使用する上で所望の表面性を確実に得ることができる。
本発明の第4の技術的特徴によれば、表面性調整部材としてエキスパンドメタル形状の凹凸パターンを金属素材にて構築することができる。
本発明の第5の技術的特徴によれば、表面性調整部材としてエキスパンドメタル形状の凹凸パターンを樹脂素材にて構築することができる。
本発明の第6の技術的特徴によれば、保護膜を用いない態様に比べて、回転保持体の表面特性を長期に亘って維持することができる。
本発明の第7の技術的特徴によれば、表面性調整部材のエッジ部によるウェブ状成膜対象物の損傷を有効に防止することができる。
本発明の第8の技術的特徴によれば、板厚が厚い表面性調整部材に比べて、ウェブ状成膜対象物に対する損傷や凹みの発生を有効に防止することができる。
本発明の第9の技術的特徴によれば、ウェブ状成膜対象物に成膜して成膜体を製造するに際し、所望の表面性を安価に構築することで、ウェブ状成膜対象物の搬送方向に交差する方向へのシワの発生を抑制しつつ、ウェブ状成膜対象物を搬送可能に保持することができる。
本発明の第10の技術的特徴によれば、ウェブ状成膜対象物を成膜して成膜体を製造するに際し、ウェブ状成膜対象物を保持する回転保持体に対して所望の表面性を容易に構築することができる。
本発明の第11の技術的特徴によれば、ウェブ状成膜対象物を成膜する際の熱負荷に対して冷却作用を有効に強化することができる。
本発明の第12の技術的特徴によれば、所望の表面性を安価に構築することで、ウェブ状成膜対象物の搬送方向に交差する方向へのシワの発生を抑制しつつ、ウェブ状成膜対象物を搬送可能に保持することが可能な回転保持体を含む成膜体製造装置を提供することができる。
(a)は本発明に係るウェブ状成膜対象物の回転保持体を用いた成膜体製造装置の実施の形態の概要を示す説明図、(b)は表面性調整部材の一例を示す説明図、(c)は(a)中C部拡大図である。 実施の形態1に係る成膜体製造装置の全体構成を示す説明図である。 (a)は実施の形態1で用いられるキャンロールを示す説明図、(b)はキャンロールの分割説明図である。 (a)は実施の形態1で用いられる表面性調整部材を示す説明図、(b)は(a)中B部の拡大説明図、(c)は(b)中C−C線断面説明図である。 (a)は実施の形態1で用いられるキャンロールの周辺構造を示す説明図、(b)は(a)中B部の拡大説明図である。 (a)は実施の形態1で用いられる表面性調整部材の長尺耐熱性樹脂フィルムとの接触部の構成例を示す説明図、(b)は比較の形態1で用いられる表面性調整部材の設置例を示す説明図である。 実施の形態1で用いられる表面性調整部材の表面性を評価するための評価方法の一例を示す説明図である。
◎実施の形態の概要
図1(a)はウェブ状成膜対象物に成膜して成膜体を製造する成膜体製造装置の実施の形態の概要を示す。
同図において、成膜体製造装置は、成膜前のウェブ状成膜対象物5を収容する収容室、収容室に隣接して設けられて成膜用環境を保つ成膜室が設けられる装置筐体(図示せず)と、収容室内のウェブ状成膜対象物5を成膜室に移動させ、成膜室内で成膜完了した成膜体5'を収容室又は成膜室の予め決められた箇所に移動させる移動機構6と、成膜室内に一若しくは複数設置され、移動機構6にて移動させられるウェブ状成膜対象物5の表面を成膜する成膜装置4と、を備え、移動機構6は、成膜室に設置され、ウェブ状成膜対象物5を保持して駆動回転し且つ予め決められた温度に調整される回転保持体1を有している。
尚、図1(a)中、符号7は移動機構6の一構成要素で、ウェブ状成膜対象物5を掛け渡し搬送する搬送部材である。
ここで、装置筐体は収容室と成膜室とを含むものであればよく、収容室はウェブ状成膜対象物5のみならず、ウェブ状成膜対象物5及び成膜体5'を別個に収容するものでもよいし、共用して収容するものでもよい。
また、移動機構6は、収容室と成膜室との間で、ウェブ状成膜対象物5を移動し、成膜後の成膜体5'を収容室又は成膜室の予め決められた箇所に移動させるものであれば適宜選定して差し支えないが、収容室と成膜室とは室内環境が通常異なるので、両者の室内環境を維持するように留意する必要がある。
更に、成膜装置4としては、マグネトロンスパッタ装置、イオンビームスパッタ装置などウェブ状成膜対象物5を成膜するものを広く含む。
本実施の形態において、回転保持体1は、図1(a)に示すように、駆動回転し且つ予め決められた温度に調整される円形断面状の回転部材2と、回転部材2の周面のうち少なくともウェブ状成膜対象物5を保持する領域を含むように固着され、ウェブ状成膜対象物5に対し回転部材2の回転方向よりも当該回転方向に交差する軸方向の方が摩擦抵抗の小さい凹凸パターンを有する表面性調整部材3と、を備えたものである。
このような技術的手段において、ウェブ状成膜対象物5は主として長尺耐熱性樹脂フィルムを対象とするが、これに限られるものではなく、ウェブ状で成膜対象となるものを広く含む。
また、回転部材2は円形断面を有する態様で、駆動回転すると共に、成膜装置4による成膜処理時に冷却する上で予め決められた温度に調整されるものであればよい。
更に、表面性調整部材3は回転部材2の周面全域を含むように設けてもよいが、少なくともウェブ状成型対象物5を保持する領域を含むように設ければよい。そして、表面性調整部材3の固着方法としては、回転部材2の周面に固着可能であればよく、例えば接着剤等の固着剤を用いて貼り付けるようにしたり、あるいは、表面性調整部材3が金属製であれば溶接、樹脂製であれば溶着など適宜選定して差し支えない。
更にまた、表面性調整部材3は回転部材2の回転方向より軸方向の方が摩擦抵抗の小さい凹凸パターンを有する態様を広く含む。この場合、凹凸パターンとしては、回転部材2の軸方向に略平行に延びる態様や、回転部材2の軸方向中央からV字状に延びる態様をも含むが、好ましくは後述するエキスパンドメタル形状の態様がよい。
本実施の形態では、回転保持体1を製造するに当たって、回転部材2とは別部品として表面性調整部材3を予め用意しておき、回転部材2周面に表面性調整部材3を固着すればよいため、回転部材2の表面に凹凸パターンを一体的に形成する態様に比べて、製造リスクが抑えられる。
また、表面性調整部材3の凹凸パターンは、回転方向の摩擦抵抗が大きいことから、ウェブ状成膜対象物5に接触したときにウェブ状成膜対象物5に対する保持力(グリップ力)を確保することでウェブ状成膜対象物5を搬送し、一方、軸方向の摩擦抵抗が小さいことから、ウェブ状成膜対象物5に接触したときにシワが発生しようとしても、当該ウェブ状成膜対象物5は軸方向に滑り易いことから、シワの発生は抑えられる。
次に、本実施の形態に係る回転保持体の代表的態様又は好ましい態様について説明する。
表面性調整部材3の代表的態様としては、図1(b)(c)に示すように、金属又は樹脂にて構成され、メッシュ部3aが連結部3bを介して千鳥状に連接するエキスパンドメタル形状の凹凸パターンを有する態様が挙げられる。
本例において、「エキスパンドメタル形状」とは「メッシュ部3aが連結部3bを介して千鳥状に連接するもの」として定義する。ここで、メッシュ部の形状としては例えば菱形や亀甲形が挙げられる。また、エキスパンドメタル形状の凹凸パターンの製造方法としては、金属又は樹脂製の板材を、エキスパンドメタル製造機によって千鳥状に切れ目を入れながら押し広げ、その切れ目をメッシュ部として連結部を介して連接するように成形する方法が挙げられる。
また、エキスパンドメタル形状の表面性調整部材3の好ましい態様としては、図1(c)に示すように、回転部材2の周面における法線方向に対し連結部3bが当該回転部材2の回転方向に抗する方向に向かって傾斜配置されている態様が挙げられる。
本態様はエキスパンドメタル形状の連結部3bの好ましい配置姿勢を明記したものであり、エキスパンドメタル形状の各連結部3bが回転部材2の回転方向に抗する方向に傾斜配置されているため、当該連結部3bはウェブ状成膜対象物5が回転する方向に対して大きな摩擦力を与え、ウェブ状成膜対象物5に対する保持力を確保する。
これに対し、各連結部3bの頂面がウェブ状成膜対象物5に接触した状態では、各連結部3bの頂面接触部は回転部材2の略軸方向に沿ってウェブ状成膜対象物5に接触することから、当該連結部3bはウェブ状成膜対象物5の回転方向に交差する幅方向に対しては小さな摩擦力を与えるに過ぎす、ウェブ状成膜対象物5は連結部に沿って滑り易く、シワの発生は抑えられる。
また、表面性調整部材3の素材としては、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン又は銅の金属にて構成されていてもよいし、また、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE/テフロン(登録商標))の樹脂にて構成されていてもよい。
更に、表面性調整部材3の好ましい態様としては、金属にて構成され、金属の表面には保護膜を有する態様が挙げられる。本例は、金属製のエキスパンドメタル形状の凹凸パターンを有し、その表面に保護膜を施した態様である。ここで、保護膜としては、例えばハードクロム湿式めっき膜、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜、テフロン(登録商標)コーティング膜あるいは金属窒化膜が挙げられる。
更にまた、表面性調整部材3の他の好ましい態様としては、金属にて構成され、金属の表面はエッチング又は研磨処理にてエッジ部を曲面状に形成したものが挙げられる。本例はエキスパンドメタル形状の凹凸パターンがウェブ状成膜対象物5に接触しても、エッジ部が曲面状に形成されているため、ウェブ状成膜対象物5を損傷する懸念がない。
また、表面性調整部材3の他の好ましい態様としては、板厚が0.1mm以下の金属又は樹脂の板材を用いて構成されている態様が挙げられる。本例は薄膜の表面性調整部材3を使用することで、ウェブ状成膜対象物5を損傷させたり、凹ませたりするのを防止する上で有効である。また、表面性調整部材3はウェブ状成膜対象物5よりも薄い方が望ましい。
また、成膜体5'を製造するに際し、前述した回転保持体1(回転部材2+表面性調整部材3)を使用することで、回転保持体1によるウェブ状成膜対象物5の搬送性を確保しながら、成膜装置4による成膜処理に伴う熱負荷を受けたとしても、ウェブ状成膜対象物5のシワの発生を抑制することが可能である。
特に、表面性調整部材3としては、エキスパンドメタル形状の態様が好ましく、更に、エキスパンドメタル形状の表面性調整部材3を使用する態様では、表面性調整部材3と回転部材2表面との間に形成される隙間に熱伝導性の良いガス(例えばヘリウムガス)を導入することが好ましい。本例は、エキスパンドメタル形状の凹凸パターンを有する表面性調整部材3の特性を利用し、熱伝導性の良いガスにて空冷効果を与える態様であり、ウェブ状成膜対象物5のシワの発生を抑制するためにウェブ状成膜対象物5の熱膨脹による伸びをより少なくすることが可能である。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明をより詳細に説明する。
先ず、本実施の形態に係る成膜体製造装置における製造対象は、広く成膜対象物の表面を成膜して成膜体とするものに適用することができるものであるが、その代表的態様として、以下の実施の形態では、金属膜付耐熱性樹脂フィルムを例に挙げて説明する。
−金属膜付耐熱性樹脂フィルム−
金属膜付耐熱性樹脂フィルムとしては、耐熱性樹脂フィルムの表面にNi系合金等から成る膜とCu膜が積層された構造体が例示される。このような構造を有する金属膜付耐熱性樹脂フィルムは、サブトラクティブ法によりフレキシブル配線基板に加工される。ここで、サブトラクティブ法とは、レジストで覆われていない金属膜(例えば、上記Cu膜)をエッチングにより除去してフレキシブル配線基板を製造する方法である。
上記Ni合金等から成る膜はシード層と呼ばれ、金属膜付耐熱性樹脂フィルムの電気絶縁性や耐マイグレーション性等の所望の特性によりその組成が選択される。そして、シード層には、Ni−Cr合金やインコネルやコンズタンタンやモネル等の各種公知の合金を用いることができる。また、金属膜付耐熱性樹脂フィルムの金属膜(Cu膜)を更に厚くしたい場合、湿式めっき法を用いて金属膜を形成することがある。そして、電気めっき処理のみで金属膜を形成する場合と、一次めっきとして無電解めっき処理を行い、二次めっきとして電解めっき処理等の湿式めっき法を組み合わせて行う場合がある。湿式めっき処理は、常法による湿式めっき法の諸条件を採用すればよい。
また、上記金属膜付耐熱性樹脂フィルムに用いる耐熱性樹脂フィルムとしては、例えば、ポリイミド系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリテトラフルオロエチレン系フィルム、ポリフェニレンサルファイド系フィルム、ポリエチレンナフタレート系フィルムまたは液晶ポリマー系フィルムから選ばれる樹脂フィルムが挙げられ、金属膜付フレキシブル基板としての柔軟性、実用上必要な強度、配線材料として好適な電気絶縁性を有する点から好ましい。
尚、上記金属膜付耐熱性樹脂フィルムとして、長尺耐熱性樹脂フィルムへNi-Cr合金やCu等の金属膜を積層した構造体を例示したが、上記金属膜のほか、目的に応じて酸化物膜、窒化物膜、炭化物膜等の成膜にも適用できることは勿論である。
図2は本実施の形態1に係る成膜体製造装置の全体構成を示す。
−成膜体製造装置の全体構成−
本実施の形態では、成膜体製造装置は、ウェブ状の長尺耐熱性樹脂フィルムの表面を金属膜で成膜して成膜体とする製造装置を示し、この種の金属膜付耐熱性樹脂フィルムの製造装置には、長尺状耐熱樹脂フィルム面に効率よく金属膜が成膜されるスパッタリングウェブコータが一般的に用いられている。
すなわち、金属膜付耐熱性樹脂フィルムの製造装置(スパッタリングウェブコータ)10は、装置筐体としての真空チャンバ11を有し、この真空チャンバ11内の上部には成膜前の長尺耐熱性樹脂フィルム13が収容される収容室11aを、下部に成膜室11bを確保するように仕切り板12によって区画されている。
また、長尺耐熱性樹脂フィルム13は、仕切り板12に設けられた開口12aを通じて収容室11aから成膜室11bに搬入されている。尚、仕切り板12の開口12aの気密性を高めるため、2本のロールが近接して配置されたスリットロールを開口12aに付設してもよい。また、収容室11aと成膜室11bとは、別系統のドライポンプ、メカニカルブースターポンプとターボ分子ポンプを用いて、独立排気している。
また、長尺耐熱性樹脂フィルム13は、収容室11a内に設けられた巻出しロール14から巻き出されて成膜室11b内の巻取りロール22に巻き取られるようになっており、これ等巻出しロール14と巻取りロール22間の搬送路上に、モータ駆動されかつ温調された冷媒が内部に循環するキャンロール19が配置されている。
更に、上記巻出しロール14と巻取ロール22間の搬送路上には、長尺耐熱性樹脂フィルム13を案内するガイドロール15、16、17、21が設けられており、かつ、キャンロール19の両側近傍には、キャンロール19の周速度との調整によってキャンロール19外周面に長尺耐熱性樹脂フィルム13を密着させるモータ駆動のフィードロール18、20が配置されている。
そして、巻出しロール14と巻取りロール22はパウダークラッチ等により長尺耐熱性樹脂フィルム13の張力バランスを保っており、キャンロール19の回転とこれに連動して回転するモータ駆動のフィードロール18、20により、巻出しロール14から長尺耐熱性樹脂フィルム13が巻き出されて巻取りロール22に巻き取られるようになっている。
更に、キャンロール19の近傍には、キャンロール19の外周面に対向して複数(本例では4つ)の成膜装置としてマグネトロンスパッタ装置31〜34が設置されている。
そして、本例では、各マグネトロンスパッタ装置31〜34による成膜処理を行う前に
長尺耐熱性樹脂フィルム13と金属膜との密着性を高めるための表面処理ユニット25が収容室11a内に設けられている。尚、表面処理ユニット25における真空中での表面処理方法として、プラズマ処理、イオンビーム処理、UV光処理等がある。
また、マグネトロンスパッタ装置31〜34による成膜処理には、板状ターゲットを使用することが好ましいが、板状ターゲットを用いた場合、ターゲット上にノジュール(異物の成長)が発生することがある。このため、ノジュール(異物の成長)の発生がなく、ターゲットの使用効率も高い円筒形のロータリーターゲットを使用してもよい。
−キャンロールの構成−
本実施の形態において、キャンロール19は、図3(a)(b)に示すように、モータ駆動され且つ温調された冷媒が内部を循環する金属製の回転ロール41と、この回転ロール41の周面を覆うように固着され、回転ロール41の表面性を調整する表面性調整部材42と、を備えている。
<表面性調整部材>
本例において、表面性調整部材42は、長尺耐熱性樹脂フィルム13に対しその長手方向(搬送方向)より幅方向の方が滑り易くなるように形成されており、これにより長尺耐熱性樹脂フィルム13は幅方向に自由に伸びることが可能になってフィルムシワの発生が抑制されるようになっている。
本例では、表面性調整部材42としては、金属あるいは樹脂による板材にエキスパンドメタル形状Emの凹凸パターンを成形したものが用いられ、回転ロール41の周面全域に固着されている。ここで、表面性調整部材42の素材のうち金属としては熱伝導率の高いステンレス鋼、アルミニウム、チタン又は銅が用いられ、また、樹脂としてはテフロン(登録商標)が用いられる。更に、表面性調整部材42の回転ロール41への固着法としては溶接、溶着、耐熱性接着剤等の使用が可能である。
ここで、エキスパンドメタル形状について説明する。
本例において、エキスパンドメタル形状Emは、図4(a)に示すように、菱形状のメッシュ部42aが連結部42bを介して千鳥状に連接するものである。
このようなエキスパンドメタル形状Emの製造方法としては、既存のエキスパンドメタル製造機に設置された金型(上刃,下刃)の上刃が、メッシュ寸法に応じたストロークで上下運動を繰り返し、更に、カム機構又はレバー機構にて上刃の上下運動に連動して横方向へ1/2ストローク移動する一方、原板である板材は上刃の上下運動に連動して送り装置にて間欠的に横方向及び上下方向に直交する前方向に送られる。このような成形原理によって、上刃は原板に千鳥状の切れ目を入れ、同時にこれを押し広げながらメッシュ部42aを成形する。
このため、エキスパンドメタル形状Emのメッシュ部42aは、図4(b)(c)に示すように、板厚Tの原板としての板材に対し刻み幅Wの棒状枠42cを有し、各棒状枠42cの交差箇所を連結部42bにて重ねて連接するようにしたものである。このため、連結部42bは連結長さJにて各棒状枠42cを連結し、かつ、全厚H(H>W)の厚みを有している。尚、図4(b)中、SWはメッシュ部42aの短手方向中心間距離を示し、LWはメッシュ部42aの長手方向の中心間距離を示す。
更に、本実施の形態では、メッシュ部42aの連結部42bは、図4(c)に示すように、表面性調整部材42を平面上に設置したときに、その法線方向に対して傾斜配置されるようになっている。
このように製造された表面性調整部材42は、例えば耐熱性樹脂フィルムの厚さよりも薄い原板としての板材を用いることが望ましく、本例では0.1mm以下の板厚Tの板材が用いられている。このようなエキスパンドメタル形状Emの凹凸パターンを有する表面性調整部材42は、図3(b)に示すように、全体として可撓性を有するシート状に形成されるため、回転ロール41の周面に倣って配置することが可能である。
また、本例においては、表面性調整部材42は、図5(a)(b)に示すように、エキスパンドメタル形状Emの凹凸パターンのうち、キャンロール19の回転ロール41の周面における法線方向L0に対し連結部42bが当該回転ロール41の回転方向に抗する方向に向かって所定角度θで傾斜するように配置されている。ここで、傾斜角度θとしては適宜選定して差し支えないが、本例では20〜40度の範囲で選定されている。
このように表面性調整部材42を配置することにしたのは以下の理由による。
つまり、図5(b)に示すように、エキスパンドメタル形状Emの連結部42bが耐熱性樹脂フィルム13の搬送方向(キャンロール19の回転方向に相当)に抗する方向に向かって傾斜配置されていると、連結部42bの頂面が耐熱性樹脂フィルム13の搬送方向への移動を阻止するように耐熱性樹脂フィルム13に強く食い込むことから、連結部42bと耐熱性樹脂フィルム13との接触部における摩擦抵抗(摩擦力)が大きくなり、その分、連結部42bによる耐熱性樹脂フィルム13の保持力(グリップ力)が強くなる点で好ましい。
これに対し、図6(b)に示す比較の形態1にあっては、エキスパンドメタル形状Emの連結部42bが耐熱性樹脂フィルム13の搬送方向(キャンロール19の回転方向に相当)に向かって傾斜配置されているため、連結部42bの頂面が耐熱性樹脂フィルム13の搬送方向に沿って当該耐熱性樹脂フィルム13に食い込む。このため、連結部42bと耐熱性樹脂フィルム13との接触部における摩擦抵抗(摩擦力)が図5(b)に示す態様に比べて小さくなり、その分、連結部42bによる耐熱性樹脂フィルム13の保持力(グリップ力)が弱くなってしまう。
よって、本例では、表面性調整部材42としては、図5(b)に示すような態様で、回転ロール41周面に設置する方式が採用されている。
また、本例では、表面性調整部材42は、図5(b)に示すように、エキスパンドメタル形状Emの凹凸パターンを有し、このエキスパンドメタル形状Emの連結部42bの頂面が長尺耐熱性樹脂フィルム13に接触しているが、連結部42bの頂面はキャンロール19の略軸方向に沿って延びているため、連結部42bの頂面と長尺耐熱性樹脂フィルム13との接触部では、キャンロール19の回転方向の摩擦抵抗よりも軸方向の摩擦抵抗が小さい特性を有している。
このため、成膜装置31〜34による成膜処理に伴って長尺耐熱性樹脂フィルム13が熱負荷を受けたとしても、長尺耐熱性樹脂フィルム13はキャンロール19の軸方向に沿って滑り易いことから、長尺耐熱性樹脂フィルム13が幅方向に対してシワを発生するという懸念は少ない。
このように、本例における表面性調整部材42は、キャンロール19の軸方向については長尺耐熱性樹脂フィルム13に対して小さい摩擦係数を有するものであるが、キャンロール19の回転方向については長尺耐熱性樹脂フィルム13を保持して搬送するという観点から、長尺耐熱性摩擦抵抗13に対して大きな摩擦係数を有するものであることが必要である。
また、表面性調整部材42の素材として金属を用いる場合にあっては、図6(a)に示すように、エキスパンドメタル形状Emの連結部42bの頂面か耐熱性樹脂フィルム13に接触することになるが、連結部42bの頂面の隅部43が鋭利なエッジ部であると、耐熱性樹脂フィルム13を損傷する懸念があるため、連結部42bの頂面の隅部43をエッチングや研磨加工により滑らかに仕上げるようにしてもよい。
また、表面性調整部材42の表面性を維持するという観点から、図6(a)に示すように、表面性調整部材42の表面にハードクロム湿式めっき膜、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜、テフロン(登録商標)コーティング膜あるいは金属窒化膜などの保護膜44を施すようにしてもよい。
−表面性調整部材の性能評価−
本実施の形態では、表面性調整部材42の性能評価は、図7に示すように、例えば以下のように行われる。
ここで、曲面状のキャンロール19上での性能評価試験は困難なため、本例では、性能評価試験は平面上で実施可能な簡易な性能評価装置を用いて行うようにしている。
本例において、性能評価装置50は、所定厚(例えば厚さ0.1mm)のステンレス鋼製(又はテフロン(登録商標)製)の板材を用いてエキスパンドメタル形状Emに加工した試験シート51(表面性調整部材42に相当)を作製し、この試験シート51をステンレス鋼製の台座52の表面に接着剤で貼り付けたものである。ここで、ステンレス鋼製エキスパンドメタル形状Emに加工した試験シート51は連結部42bのエッジが鋭利であったため、エッチング処理によりエッジ部分を滑らかに加工してある。
そして、大気中にて、試験シート51の表面に所定厚(例えば厚さ38μm)の試験用の耐熱性樹脂フィルム(例えばポリイミドフィルム)53を配置し、その上に所定重量(例えば100g)のおもりWtを乗せ、図7に示すように、試験シート51の連結部42bの傾斜姿勢に対し、試験用の耐熱性樹脂フィルム53を矢印A方向(試験シート51の連結部42bの傾斜姿勢に抗する方向)、矢印B方向(矢印A方向の反対方向)、矢印C方向(矢印A,B方向に直交する方向)に向けて耐熱性樹脂フィルム53を移動させ、そのときに移動に伴う力を測定する。
このような性能評価試験を行った結果、例えば以下のような結果に至る。
矢印A方向に移動させる力をFとすると、
矢印B方向に移動させる力FはFの1/2以下であり、
矢印C方向に移動させる力FはFの1/3以下であった。
このことから、上記エキスパンドメタル形状Emに加工した試験シート51の作用により、試験シート51の設置モデルでは、矢印A方向に移動させる力Fが大きく、矢印C方向に移動させる力Fが小さいことなら、試験シート51の摩擦力(摩擦抵抗)の方向性が大気中にて確認された。そして、同様な現象が、真空中においても起こっていると推測される。
−表面性調整部材の有効な適用例−
図5(a)(b)に示すように、エキスパンドメタル形状Emに加工した表面性調整部材42はメッシュ部42aが連結部42bを介して階段状に配置される立体構造を有しているため、キャンロール19の回転ロール41と長尺耐熱性樹脂フィルム13との間に挟まれたとしても、ガスが通過することが可能である。そこで、本実施の形態においては、熱伝導率の良いガスGS(例えばヘリウムガス)をガス吹出し口27からエキスパンドメタル形状Emに加工した表面性調整部材42に吹き付けることで、長尺耐熱性樹脂フィルム13とキャンロール19との熱伝導を向上させることができる。
本例では、ガス吹出し口27はキャンロール19とフィードロール18との間に設けられ、長尺耐熱性樹脂フィルム13がキャンロール19に掛け渡される直前の位置にてキャンロール19の表面及び耐熱性樹脂フィルム13に熱伝導率の良いガスGSを吹き付けるようになっている。
−フィードロール−
本実施の形態では、キャンロール19に対して長尺耐熱性樹脂フィルム13を密着させるために、キャンロール19の前後にモータ駆動されるフィードロール18,20を配置する構成が採用されている。つまり、キャンロール19に隣接し搬送路の上流側に配置される上流側モータ駆動フィードロール18と、キャンロール19に隣接し搬送路の下流側に配置される下流側モータ駆動フィードロール20とを備えた態様である。
ここで、上流側モータ駆動フィードロール18、キャンロール19及び下流側モータ駆動フィードロール20の周速度は、長尺耐熱性樹脂フィルム13の搬送方向下流側に位置する程速くなるように制御されており、上記周速度が搬送方向下流側に位置する程速くなるように制御されることで、長尺耐熱性樹脂フィルム13は上述したように搬送方向に伸ばされ、キャンロール19表面に接触(密着)させることが可能となる。
また、長尺耐熱性樹脂フィルム13に張力を付与するためにガイドロール17,21をエキスパンドロールとし、フィードロール18,20とエキスパンドロールとの両者を組み合わせることで、キャンロール19の表面に長尺耐熱性樹脂フィルム13を接触(密着)させるようにしてもよい。このように、フィードロール18,20とエキスパンドロールとの両者を組み合わせて長尺耐熱性樹脂フィルム13を長さ方向に伸ばす方法は、エキスパンドロールを用いない上述のフィードロール18,20とキャンロール19とによる制御方式よりも正確な調整が可能となる。
ここで、各ロール表面はハードクロム湿式めっき膜に形成されていてもよく、あるいは、CVD法(化学気相成膜法)、ALD法(原子層堆積法)、イオンプレーティング法、スパッタリング法等により形成された硬質で耐摩耗性の高いDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜表面若しくは金属窒化膜表面に形成されていてもよい。
以下、本発明を適用した具体的な実施例について説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
図2に示す金属膜付耐熱性樹脂フィルムの製造装置10(スパッタリングウェブコータ)を用い、長尺耐熱性樹脂フィルム13には、幅500mm、長さ500m、厚さ38μmの宇部興産株式会社製の耐熱性ポリイミドフィルム「ユーピレックス(登録商標)」を使用した。
また、図2に示すキャンロール19は、直径900mm、幅750mmのステンレス鋼製の回転ロール41(図3参照)を有している。厚さ0.1mmのステンレス製の板材をエキスパンドメタル形状に加工した表面性調整部材42をキャンロール19表面に、エキスパンドメタル形状の連結部42bの頂面が耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)13の搬送方向に抗する方向に向かうように、キャンロール19表面に溶接して固着した。ステンレス鋼製のエキスパンドメタル形状に加工した表面性調整部材42は連結部42bの頂面隅部のエッジ部分が鋭利であったため、エッチング処理によりエッジ部分を滑らかに加工してある。
また、収容室11aの表面処理ユニット25には、酸素ガスが30sccm導入されるイオンビーム照射を採用し、DCイオンビーム電圧3kVを印加した。
また、耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)13に成膜される金属膜はシード層であるNi−Cr膜の上にCu膜を成膜するものとし、かつ、マグネトロンスパッタ装置31のターゲットにはNi−Crターゲットを用い、マグネトロンスパッタ装置32〜34のターゲットにはCuターゲットを用い、更に、アルゴンガスを300sccm導入し、マグネトロンスパッタ装置31〜34の各カソードへの印加電力は10kWの電力制御で成膜を行った。
また、巻出しロール14と巻取りロール22の張力は80Nとした。更に、上流側モータ駆動フィードロール18の周速度はキャンロール19の周速度の99%とし、かつ、下流側モータ駆動フィードロール20の周速度はキャンロール19の周速度の101%とした。この設定により、耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)13は徐々に引っ張られることになり、キャンロール19表面に強く密着する。ここで、耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)13がキャンロール19表面に強く密着しないと熱伝導による冷却効果は期待できない。また、キャンロール19は水冷により20℃に制御されており、さらに、ガス吹出し口27からエキスパンドメタル形状に加工した表面性調整部材42にヘリウムガスを10sccm吹き付けて、耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)13とキャンロール19との熱伝導を向上させている。
そして、収容室11aの巻出しロール14に耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)13をセットし、かつ、表面処理ユニット25、キャンロール19を経由して耐熱性ポリイミドフィルム13の先端部を巻取りロール22に取り付けた。
また、真空チャンバ11における成膜室11bと収容室11aとを複数台のドライポンプにより5Paまで排気した後、更に、複数台のターボ分子ポンプとクライオコイルを用いて3×10-3Paまで排気した。
また、耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)13の搬送速度を3m/分にした後、表面処理ユニット25のイオンビームに酸素ガスを導入して電圧を印加し、かつ、各マグネトロンスパッタ装置31〜34のカソードにアルゴンガスを導入して電力を印加し、Ni−Cr膜のシード層とその上に成膜するCu膜の成膜を開始した。
更に、耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)13の長さ290m分が通過して時点で、イオンビーム、各プラズマ反応室のプラズマとマグネトロンスパッタ装置31〜34の各カソードへの電力を停止し、それぞれのガス導入も停止した。
最後に、耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)13の搬送を停止し、かつ、各ポンプを停止してから成膜室11bと収容室11aをベント(大気開放)し、巻出しロール14の耐熱性ポリイミドフィルム13の終端部を外し、全ての耐熱性ポリイミドフィルム13を巻取りロール22に巻き取ってから取り外した。
そして、成膜中におけるキャンロール19上の耐熱性ポリイミドフィルム13表面の観察が可能なマグネトロンスパッタ装置32のカソードの成膜ゾーンとマグネトロンスパッ装置33のカソードの成膜ゾーンにある成膜室11bの撮像カメラ26により、キャンロール19上の耐熱性ポリイミドフィルム13を観察したところ、マグネトロンスパッタ装置32のカソードの成膜ゾーンを通過した成膜直後には、キャンロール19の回転方向と軸方向とにシワの原因となる耐熱性ポリイミドフィルム13の浮きが見られたが、マグネトロンスパッタ装置33のカソードの成膜ゾーンに入る直前には耐熱性ポリイミドフィルム13の浮きは次第に無くなっていた。
そして、耐熱性ポリイミドフィルム13の浮きが次第に無くなった理由は上記キャンロール19の作用によるものと推測される。すなわち、この実施例に係る金属膜付耐熱性樹脂フィルムの製造装置におけるキャンロール19表面には、上述したように、エキスパンドメタル形状のステンレス鋼製の表面性調整部材42が設けられており、この表面性調整部材42と耐熱性ポリイミドフィルム13との接触部では、キャンロール19の回転方向における摩擦力は大きく、キャンロール19の軸方向における摩擦力は小さいため、耐熱性ポリイミドフィルム13がキャンロール19表面上を搬送されている内にフィルム幅方向に滑り移動して広がったためであると考えられる。
そして、成膜が完了した後、巻取りロール22に巻き取られた耐熱性ポリイミドフィルム13を大気中にて展開してシワの有無を確認したところ、シワは発見できなかった。
<実施例2>
本実施例は、図2に示す金属膜付耐熱性樹脂フィルムの製造装置の移動機構の一部が変更されている以外は実施例1と同様にして、金属膜付耐熱樹脂フィルムを製造した。
すなわち、本実施例に係る金属膜付耐熱性樹脂フィルムの製造装置は、図2に示した金属膜付耐熱性樹脂フィルムの製造装置と異なり、キャンロール19の両側近傍に設けられた上流側モータ駆動フィードロール18と下流側モータ駆動フィードロール20に代え、モータ駆動を行わないエキスパンドロール(図示せず)を夫々組み込んだものである。
本実施例に係る金属膜付耐熱性樹脂フィルムの製造装置におけるキャンロール19表面には、実施例1と同様なエキスパンドメタル形状に加工したステンレス鋼製の表面性調整部材42が設けられており、この表面性調整部材42と耐熱性ポリイミドフィルム13との接触部では、キャンロール19の回転方向における摩擦力は大きく、キャンロール19の軸方向における摩擦力は小さく、耐熱性ポリイミドフィルム13がキャンロール19の表面上を搬送されている内にフィルム幅方向に滑り移動して広げられた結果、実施例1と同様に、シワの発生が抑制されている。そして、成膜が完了した後、巻取りロール22に巻き取られた耐熱性ポリイミドフィルム13を大気中にて展開してシワの有無を確認したところ、シワは発見できなかった。
<実施例3>
本実施例は、図2に示す金属膜付耐熱性樹脂フィルムの製造装置10(スパッタリングウェブコータ)を用い、キャンロール19の構成以外については、実施例1と略同様な構成を有している。
本実施例では、図2に示すキャンロール19は、直径900mm、幅750mmのステンレス鋼製の回転ロール41(図3参照)表面にハードクロムめっきが施されている。厚さ0.1mmのテフロン(登録商標)製の板材をエキスパンドメタル形状に加工した表面性調整部材42を、キャンロール19表面に、エキスパンドメタル形状の連結部42bの頂面が耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)13の搬送方向に抗する方向に向かうように耐熱性接着剤で貼り付けた。
本実施例においても、撮像カメラ26により、キャンロール19上の耐熱性ポリイミドフィルム13を観察したところ、マグネトロンスパッタ装置32のカソードの成膜ゾーンを通過した成膜直後には、キャンロール19の回転方向と軸方向とにシワの原因となるフィルムの浮きが見られたが、マグネトロンスパッタ装置33のカソードの成膜ゾーンに入る直前にはフィルムの浮きは次第に無くなっていた。
耐熱性ポリイミドフィルム13の浮きが次第に無くなった理由は実施例1と同様にキャンロール19の作用によるものと推測される。すなわち、この実施例に係る金属膜付耐熱性樹脂フィルムの製造装置におけるキャンロール19表面には、上述したように、エキスパンドメタル形状を加工したテフロン(登録商標)製の表面性調整部材42が設けられており、この表面性調整部材42と耐熱性ポリイミドフィルム13との接触部では、キャンロール19の回転方向における摩擦力は大きく、キャンロール19の軸方向における摩擦力は小さいため、耐熱性ポリイミドフィルム13がキャンロール19表面上を搬送されている内にフィルム幅方向に滑り移動して広がったためであると考えられる。
そして、成膜が完了した後、巻取りロール22に巻き取られた耐熱性ポリイミドフィルム13を大気中にて展開してシワの有無を確認したところ、シワは発見できなかった。
<実施例4>
本実施例は、キャンロール19の構成以外については、実施例2と同様な構成(モータ駆動を行わないエキスパンドロールを採用)を採用し、キャンロール19については実施例3と同様な構成(テフロン(登録商標)製の表面性調整部材42を使用)を採用したものである。
本実施例においても、実施例2と略同様に、キャンロール19上では耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)13のシワの発生が抑制されていることが確認された。そして、成膜が完了した後、巻取りロール22に巻き取られた耐熱性ポリイミドフィルム13を大気中にて展開してシワの有無を確認したところ、シワは発見できなかった。
<比較例1>
本比較例は、キャンロール19表面に、実施例1や実施例3の表面性調整部材42を固着していないキャンロールを用いた以外は実施例1と同様にして、金属膜付耐熱性樹脂フィルムを製造した。
本比較例において、撮像カメラ26から、実施例1と同様、キャンロール19上の耐熱性ポリイミドフィルム(長尺耐熱性樹脂フィルム)13を観察したところ、マグネトロンスパッタ装置32のカソードの成膜ゾーンを通過した成膜直後にキャンロール19の回転方向と軸方向とにシワの原因となるフィルムの浮きが見られ、かつ、マグネトロンスパッタ装置33のカソードの成膜ゾーンに入る直前でもフィルムの浮きは変化せず、そのままマグネトロンスパッタ装置33のカソードの成膜ゾーンへ入っていった。
そして、成膜が完了した後、巻取りロール22に巻き取られた耐熱性ポリイミドフィルム13を大気中にて展開してシワの有無を確認したところ、シワが数カ所に発生していた。
本発明に係る成膜体製造装置によれば、例えば耐熱性樹脂フィルム面へ金属膜をスパッタ装置にて成膜する際、耐熱性樹脂フィルムに大きな熱負荷が作用したとしてもフィルムシワの発生が抑制されるため、製造された金属膜付耐熱性樹脂フィルムを、液晶テレビ、携帯電話等のフレキシブル配線基板に適用できる産業上の利用可能性を有している。
1 回転保持体
2 回転部材
3 表面性調整部材
3a メッシュ部
3b 連結部
4 成膜装置
5 ウェブ状成膜対象物
5' 成膜体
6 移動機構
7 搬送部材
10 金属膜付耐熱性樹脂フィルムの製造装置
11 真空チャンバ
11a 収容室
11b 成膜室
12 仕切り板
12a 開口
13 長尺耐熱性樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)
14 巻出しロール
15 ガイドロール
16 ガイドロール
17 ガイドロール
18 上流側モータ駆動フィードロール
19 キャンロール
20 下流側モータ駆動フィードロール
21 ガイドロール
22 巻取りロール
25 表面処理ユニット
26 撮像カメラ
27 ガス吹出し口
31 マグネトロンスパッタ装置
32 マグネトロンスパッタ装置
33 マグネトロンスパッタ装置
34 マグネトロンスパッタ装置
41 回転ロール
42 表面性調整部材
42a メッシュ部
42b 連結部
42c 棒状枠
43 隅部
44 保護膜
51 試験シート
52 台座
53 試験用の耐熱性樹脂フィルム

Claims (12)

  1. ウェブ状成膜対象物の表面を成膜装置にて成膜するときに、前記ウェブ状成膜対象物を回転保持する回転保持体であって、
    駆動回転し且つ予め決められた温度に調整される円形断面状の回転部材と、
    前記回転部材の周面のうち少なくとも前記ウェブ状成膜対象物を保持する領域を含むように固着され、ウェブ状成膜対象物に対し前記回転部材の回転方向よりも当該回転方向に交差する軸方向の方が摩擦抵抗の小さい凹凸パターンを有する表面性調整部材と、
    を備えたことを特徴とするウェブ状成膜対象物の回転保持体。
  2. 請求項1に記載のウェブ状成膜対象物の回転保持体において、
    前記表面性調整部材は、金属又は樹脂にて構成され、メッシュ部が連結部を介して千鳥状に連接するエキスパンドメタル形状の凹凸パターンを有することを特徴とするウェブ状成膜対象物の回転保持体。
  3. 請求項2に記載のウェブ状成膜対象物の回転保持体において、
    前記表面性調整部材は、前記回転部材の周面における法線方向に対し前記連結部が当該回転部材の回転方向に抗する方向に向かって傾斜配置されていることを特徴とするウェブ状成膜対象物の回転保持体。
  4. 請求項2に記載のウェブ状成膜対象物の回転保持体において、
    前記表面性調整部材は、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン又は銅の金属にて構成されていることを特徴とするウェブ状成膜対象物の回転保持体。
  5. 請求項2に記載のウェブ状成膜対象物の回転保持体において、
    前記表面性調整部材は、ポリテトラフルオロエチレンの樹脂にて構成されていることを特徴とするウェブ状成膜対象物の回転保持体。
  6. 請求項2に記載のウェブ状成膜対象物の回転保持体において、
    前記表面性調整部材は金属にて構成され、金属の表面には保護膜を有することを特徴とするウェブ状成膜対象物の回転保持体。
  7. 請求項2に記載のウェブ状成膜対象物の回転保持体において、
    前記表面性調整部材は金属にて構成され、金属の表面はエッチング又は研磨処理にてエッジ部を曲面状に形成したものであることを特徴とするウェブ状成膜対象物の回転保持体。
  8. 請求項2に記載のウェブ状成膜対象物の回転保持体において、
    前記表面性調整部材は板厚が0.1mm以下の金属又は樹脂の板材を用いて構成されていることを特徴とするウェブ状成膜対象物の回転保持体。
  9. ウェブ状成膜対象物を回転保持体表面に接触保持させて搬送し、前記回転保持体表面に対向して配置された成膜装置にて前記ウェブ状成膜対象物の表面を成膜して成膜体とする成膜体製造方法であって、
    前記回転保持体として、駆動回転し且つ予め決められた温度に調整される円形断面状の回転部材と、
    前記回転部材の周面のうち少なくとも前記ウェブ状成形対象物を保持する領域を含むように固着され、ウェブ状成膜対象物に対し前記回転部材の回転方向よりも当該回転方向に交差する軸方向の方が摩擦抵抗の小さい凹凸パターンを有する表面性調整部材と、
    を備えたものを用いることを特徴とする成膜体製造方法。
  10. 請求項9に記載の成膜体製造方法において、
    前記表面性調整部材は、金属又は樹脂にて構成され、メッシュ部が連結部を介して千鳥状に連接するエキスパンドメタル形状の凹凸パターンを有することを特徴とする成膜体製造方法。
  11. 請求項10に記載の成膜体製造方法において、
    前記表面性調整部材と前記回転部材表面との間に形成される隙間に熱伝導性の良いガスを導入することを特徴とする成膜体製造方法。
  12. 成膜前のウェブ状成膜対象物を収容する収容室、前記収容室に隣接して設けられて成膜用環境を保つ成膜室が設けられる装置筐体と、
    前記収容室内のウェブ状成膜対象物を前記成膜室に移動させ、成膜室内で成膜完了した成膜体を前記収容室又は前記成膜室の予め決められた箇所に移動させる移動機構と、
    前記成膜室内に一若しくは複数設置され、前記移動機構にて移動させられるウェブ状成膜対象物の表面を成膜する成膜装置と、
    を備え、
    前記移動機構は、前記成膜室に設置され、前記ウェブ状成膜対象物を保持して駆動回転し且つ予め決められた温度に調整される回転保持体を有し、前記回転保持体として請求項1乃至8のいずれかに記載の回転保持体を用いたことを特徴とする成膜体製造装置。
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