JP2017097261A - 透明スクリーン - Google Patents

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Abstract

【課題】透明スクリーンの外周部における映像の視認性を向上した、透明スクリーンの提供。【解決手段】前方または後方から投映される映像を前方のユーザに表示し、かつ後方の背景をユーザに視認させるスクリーン本体と、前記スクリーン本体を支持する1枚以上の透明板とを有する透明スクリーンであって、映像の投映時に前記透明スクリーンの内部を伝搬する光の少なくとも一部を吸収する光吸収部材が、前記透明スクリーンの外周部に設けられている、透明スクリーン。【選択図】図1

Description

本発明は、透明スクリーンに関する。
通常のスクリーンは、前方または後方から投映される映像を前方のユーザに表示するが、映像の表示に特化しているため、後方の背景をユーザに視認させることはできない(例えば特許文献1参照)。
特開2012−32513号公報
透明スクリーンの開発が行われている。透明スクリーンは、スクリーン本体と、スクリーン本体を支持する透明板とを有する。
スクリーン本体は、前方または後方から投映される映像を前方のユーザに表示し、かつ後方の背景をユーザに視認させる。
映像の投映時に、透明スクリーンの内部において光が繰り返し反射しながら伝搬することで、映像表示に寄与しない不要な光が生じる。不要な光の明るさによって映像のコントラストが低下することがあった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、透明スクリーンの映像の視認性を向上した、透明スクリーンの提供を主な目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一態様によれば、
前方または後方から投映される映像を前方のユーザに表示し、かつ後方の背景をユーザに視認させるスクリーン本体と、前記スクリーン本体を支持する1枚以上の透明板とを有する透明スクリーンであって、
映像の投映時に前記透明スクリーンの内部を伝搬する光の少なくとも一部を吸収する光吸収部材が、前記透明スクリーンの外周部に設けられている、透明スクリーンが提供される。
本発明の一態様によれば、透明スクリーンの映像の視認性を向上した、透明スクリーンが提供される。
一実施形態による透明スクリーンの断面図である。 一実施形態による透明スクリーンの外周部の構造を示す断面図である。 変形例による透明スクリーンの外周部の構造を示す断面図である。 一実施形態による反射型のスクリーンシートの構造を示す断面図である。 一実施形態による透過型のスクリーンシートの構造を示す断面図である。 変形例による透過型のスクリーンシートの構造を示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。各図面において、同一の又は対応する構成には、同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。
図1は、一実施形態による透明スクリーンの断面図である。図1において、実線は透明スクリーン20が反射型である場合のプロジェクタ12の配置を、破線は透明スクリーン20が透過型である場合のプロジェクタ12の配置を示す。透明スクリーン20を基準としてユーザ10側(図1では左側)を前方、透明スクリーン20を基準としてユーザ10とは反対側(図1では右側)を後方と呼ぶ。図2〜図6において同様である。
透明スクリーン20は、前方または後方のプロジェクタ12から投映される映像を前方のユーザ10に表示し、かつ後方の背景をユーザ10に視認させる。後方の背景は、映像の非投映時に視認可能であればよく、映像の投映時に視認可能でもよいが視認不能であってよい。
透明スクリーン20は、平面スクリーン、曲面スクリーンのいずれでもよい。曲面スクリーンは、ユーザ10に向けて凸の形状を有するもの、ユーザ10に向けて凹の形状を有するもの、のいずれでもよい。
透明スクリーン20は、複数の透明板30、40と、複数の透明板30、40の間に設けられるスクリーン本体50とで構成される合わせ板を有する。また、透明スクリーン20は、合わせ板の外周部に接して設けられる光吸収部材60を有する。光吸収部材60は、合わせ板の外周部の全周に亘って設けられていてもよいが、合わせ板の外周部の少なくとも一部に設けられていればよい。
複数の透明板30、40は、スクリーン本体50を前後両側から挟むことで、スクリーン本体50を前後両側から保護する。複数の透明板30、40は、それぞれ、例えばガラス板である。この場合、合わせ板として、合わせガラスが得られる。透明板30の板厚や透明板40の板厚は、それぞれ、透明スクリーン20の強度や意匠性に応じて任意に選択できる。
スクリーン本体50を挟む複数のガラス板は、それぞれ、未強化ガラス、強化ガラスのいずれでもよい。未強化ガラスは、溶融ガラスを板状に成形し、徐冷したものである。成形方法としては、フロート法、フュージョン法などが挙げられる。強化ガラスは、物理強化ガラス、化学強化ガラスのいずれでもよい。物理強化ガラスは、均一に加熱したガラス板を軟化点付近の温度から急冷し、ガラス表面とガラス内部との温度差によってガラス表面に圧縮応力を生じさせることで、ガラス表面を強化したものである。化学強化ガラスは、イオン交換法などによってガラス表面に圧縮応力を生じさせることで、ガラス表面を強化したものである。
尚、本実施形態の透明板30、40は、それぞれ、ガラス板であるが、樹脂板でもよい。また、複数の透明板30、40のうち、一方がガラス板、他方が樹脂板でもよい。また、合わせ板に含まれる透明板の数は3つ以上でもよい。
図2は、一実施形態による透明スクリーンの外周部の構造を示す断面図である。スクリーン本体50は、例えば複数の接着層51、52と、複数の接着層51、52に挟まれるスクリーンシート53とを有する。
複数の接着層51、52は、スクリーンシート53を挟んで設けられ、スクリーンシート53を複数の透明板30、40に接着する。接着層51の厚みや接着層52の厚みは、それぞれ、限定されるものではないが、例えば0.01〜1.5mm、好ましくは0.05〜0.5mmである。
複数の接着層51、52は、異なる材料で形成されてもよいが、好ましくは同じ材料で形成される。接着層51、52は、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、または紫外線硬化性樹脂などで形成される。
熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の場合、熱処理によって接着が行われる。一方、紫外線硬化性樹脂の場合、紫外線照射によって接着が行われる。
熱可塑性樹脂としては、たとえば、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、可塑化ポリビニルアセタール、可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化飽和熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリウレタン、エチレン−エチルアクリレートコポリマー等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、アクリル系熱硬化性樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ポリウレタン系硬化性樹脂等が挙げられる。
紫外線硬化性樹脂としては、アクリル系光硬化性樹脂、光硬化性エポキシ樹脂、ウレタンアクリレート系光硬化性樹脂等が挙げられる。
スクリーンシート53は、前方または後方のプロジェクタ12から投映される映像を前方のユーザ10に表示し、かつ後方の背景をユーザ10に視認させる。スクリーンシート53の具体的な構造については後述する。
スクリーンシート53は、複数の透明板30、40の間に挟んで用いられる。スクリーンシート53は、可撓性を有しなくてもよいが、可撓性を有することが好ましい。曲面スクリーンへの適用が容易である。スクリーンシート53の厚みは、スクリーンシート53の製造方法や投映像の視認性などに応じて任意に設定できるが、例えば0.02〜1.5mmである。
尚、本実施形態のスクリーンシート53は、複数の透明板30、40の間に挟んで用いられるが、複数の透明板30、40のいずれか一方のみに貼り付けて用いられてもよく、複数の透明板30、40のいずれか他方が設けられていなくてもよい。1枚の透明板でスクリーン本体50を支持できる。
前後方向視で、スクリーンシート53の大きさは、複数の透明板30、40の大きさと同じであってよい。この場合、図2に示すように、スクリーンシート53の端面と、複数の接着層51、52の端面とでスクリーン本体50の端面が構成される。
尚、前後方向視で、スクリーンシート53の大きさは、複数の透明板30、40の大きさよりも小さくてもよい。この場合、図3に示すように、複数の接着層51、52がスクリーンシート53の端面に回り込み、スクリーン本体50の端面は複数の接着層51、52の端面のみで構成される。
ところで、映像の投映時に、透明スクリーン20の内部において光が繰り返し反射しながら伝搬することで、映像表示に寄与しない不要な光が生じる。
そこで、透明スクリーン20の外周部に、光吸収部材60が設けられている。光吸収部材60は、映像表示に寄与しない不要な光を吸収することで、不要な光の明るさによる映像のコントラストの低下を抑制できる。よって、透明スクリーン20の映像視認性を向上できる。
例えば、光吸収部材60は、図2や図3に示すように、スクリーン本体50の端面に接して設けられていてもよい。この場合、スクリーン本体50の端面が空気に接する場合に比べ、当該端面を挟んだ両側での屈折率差が小さい。そのため、映像の投映時にスクリーン本体50の内部を伝搬する光が、スクリーン本体50の端面において、内部に反射しにくく、外部に出射しやすい。出射した光の少なくとも一部は、光吸収部材60の内部を伝搬し、光吸収部材60と空気との界面において反射され、スクリーン本体50に戻るまでの間に、光吸収部材60によって吸収され、熱に変換される。
この効果は、複数の透明板30、40がスクリーン本体50を挟む場合に顕著である。この場合、映像の投映時に、スクリーン本体50の内部を伝搬する光が、スクリーン本体50と各透明板30、40との界面において反射を繰り返しながら、遠くまで伝搬しやすいからである。
また、光吸収部材60は、図2や図3に示すように、各透明板30、40の端面に接して設けられていてもよい。この場合、各透明板30、40の端面が空気に接する場合に比べ、当該端面を挟んだ両側での屈折率差が小さい。そのため、映像の投映時に各透明板30、40の内部を伝搬する光が、各透明板30、40の端面において、内部に反射しにくく、外部に出射しやすい。出射した光の少なくとも一部は、光吸収部材60の内部を伝搬し、光吸収部材60と空気との界面において反射され、各透明板30、40に戻るまでの間に、光吸収部材60によって吸収され、熱に変換される。
また、光吸収部材60は、図2や図3に示すように、前側の透明板30の端面および後側の透明板40の端面にまたがって設けられてもよく、スクリーン本体50を封止してもよい。スクリーン本体50の水分による劣化などを抑制できる。
尚、本実施形態の光吸収部材60は、前側の透明板30の端面と、後側の透明板40の端面との両方に接するが、いずれか一方のみに接してもよい。
また、光吸収部材60は、図2や図3に示すように、各透明板30、40のスクリーン本体50側とは反対側の表面(以下、「外側表面」とも呼ぶ)のうちの外周部分に接して設けられていてもよい。この場合、各透明板30、40の外側表面のうちの外周部分が空気に接する場合に比べ、当該外周部分を挟んだ両側での屈折率差が小さい。そのため、映像の投映時に各透明板30、40の内部を伝搬する光が、各透明板30、40の外側表面のうちの外周部分において、内部に反射しにくく、外部に出射しやすい。出射した光の少なくとも一部は、光吸収部材60の内部を伝搬し、光吸収部材60と空気との界面において反射され、各透明板30、40に戻るまでの間に、光吸収部材60によって吸収され、熱に変換される。
尚、本実施形態の光吸収部材60は、前側の透明板30の外側表面(つまり前面)のうちの外周部分と、後側の透明板40の外側表面(つまり後面)のうちの外周部分との両方に接するが、いずれか一方のみに接してもよい。
また、光吸収部材60は、図2や図3に示すように、透明スクリーン20の前面のうちの外周部分に設けられていてもよい。透明スクリーン20の前面のうちの外周部分から不要な光が出ることを抑制でき、残りの中央部分に表示される映像のコントラストを向上できる。
ところで、透明スクリーン20の端面から出る不要な光は、ユーザに見えない。
そこで、(A)前側の透明板30の端面、(B)後側の透明板40の端面、(C)スクリーン本体50の端面のうちの少なくとも1つに、微細な凹凸構造が形成されており、反射低減効果が付与されていてもよい。これらの端面において、不要な光が、内部に反射しにくく、外部に出射しやすい。
凹凸構造は、例えば、エッチング処理やサンドブラスト処理などの粗面化処理によって形成される。凹凸構造は光吸収部材60によって覆われていてもよく、凹凸構造から出た不要な光は光吸収部材60によって吸収されてもよい。
凹凸構造は、内部に向かう光の向きを変えることもできる。よって、透明スクリーン20の前面や後面において、全反射角以下の入射角で入射する不要な光の量を増加でき、再び内部に向けて反射される不要な光の量を低減できる。
光吸収部材60は、U字状に形成されてもよく、前側の透明板30の外側表面のうちの外周部分から、後側の透明板40の外側表面のうちの外周部分までを覆ってもよい。透明スクリーン20の外周部が不図示の保持部材の溝に挿入され保持部材によって保持される場合、光吸収部材60は溝の壁面との隙間を埋める充填部材の役割を果たしてもよい。
尚、光吸収部材60は、(1)スクリーン本体50の端面、(2)少なくとも一方の透明板の端面、(3)少なくとも一方の透明板の外側表面のうちの外周部分、(4)透明スクリーンの前面のうちの外周部分、のうちの1つ以上に設けられていればよい。
光吸収部材60は、スクリーン本体50の各材料、各透明板30、40の材料よりも大きな光吸収係数を有する材料を含んでよい。
光吸収部材60は、顔料および染料のうちの少なくとも一方を含んでよい。顔料および染料は樹脂に分散、もしくは溶解された状態で用いられる。顔料としては、例えばカーボンブラック、グラファイト、チタンブラック、酸化第二鉄、有機系顔料などが用いられる。染料としては例えばアゾ染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、フタロシアニン染料などが用いられる。
顔料および染料を分散もしくは溶解する樹脂としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、塩ビ樹脂、ブチルゴム樹脂、ポリイソブチレン樹脂、ポリサルファイド樹脂等が用いられる。また、光吸収部材60は市販されているものを用いることもできる。例えば商品名シーカフレックス265(日本シーカ社製、ウレタン樹脂、黒色)等。
光吸収部材の色は、黒色などの暗色であってよい。
光吸収部材60を図1〜図3に示すように設ける方法としては、例えばシート状にされた光吸収部材を貼る方法、断面U字状に成形された光吸収部材を嵌め込む方法、液状の光吸収部材を塗工する方法がある。
図4は、一実施形態による反射型のスクリーンシートの構造を示す断面図である。図4に示す反射型のスクリーンシート53Aは、図1〜図3に示すスクリーンシート53に代えて用いられる。反射型のスクリーンシート53Aは、前方のプロジェクタ12から投映される映像を前方のユーザ10に表示し、かつ後方の背景をユーザ10に視認させる。
スクリーンシート53Aは、例えば、図4に示すように、前側から後側に向けて、基材54A、凹凸層55A、光反射層56A、被覆層57A、および保護層58Aをこの順で有する。この場合、基材54Aの表面に、凹凸層55A、光反射層56A、被覆層57A、および保護層58Aがこの順で形成される。
基材54Aの厚みおよび保護層58Aの厚みは、それぞれ、製造方法に応じて任意に選択できるが、例えば0.01〜0.5mm、好ましくは0.05〜0.3mmである。凹凸層55Aの厚み、光反射層56Aの厚みおよび被覆層57Aの厚みの合計は、製造方法に応じて任意に選択できるが、例えば1〜100μmである。
尚、基材54Aと保護層58Aとの配置は逆でもよく、スクリーンシート53Aは、前側から後側に向けて、保護層58A、被覆層57A、光反射層56A、凹凸層55A、および基材54Aをこの順で有してもよい。
基材54Aは、ガラスシート、樹脂シートのいずれでもよいが、可撓性の観点から樹脂シートであることが好ましい。樹脂シートは、例えば、ポリカーボネート、PET、PEN、シクロオレフィンポリマー、またはポリエステルで形成される。
凹凸層55Aは、基材54Aの表面に形成され、基材54Aとは反対側の表面に凹凸を有する。凹凸層55Aは、樹脂により形成されてよい。凹凸層55Aの形成方法としては、例えばインプリント法などが用いられる。インプリント法の樹脂材料としては、光硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれが用いられてもよい。
尚、凹凸層55Aの凹凸構造は、図4で示した構造の他にマイクロアレイ、ホログラム等でもよい。
光反射層56Aは、凹凸層55Aの表面の凹凸に沿ってジグザグ状に形成される。光反射層56Aは、前方からの光の一部を前方に反射し、後方からの光の一部を前方に透過する。光反射層56Aは、例えばアルミニウムや銀などの金属、金属酸化物、または金属窒化物などにより形成されてよい。光反射層56Aの形成方法としては、例えば真空蒸着法またはスパッタリング法などが用いられる。
被覆層57Aは、光反射層56Aの凹凸を埋める。被覆層57Aは、樹脂により形成されてよく、好ましくは凹凸層55Aと同一の樹脂により形成される。
保護層58Aは、被覆層57Aを保護するシートである。保護層58Aは、透明ガラスシート、透明樹脂シートのいずれでもよいが、可撓性の観点から透明樹脂シートであることが好ましい。樹脂シートは、例えば、ポリカーボネート、PET、PEN、シクロオレフィンポリマー、またはポリエステルで形成される。
尚、本実施形態の凹凸層55Aは、基材54Aの表面に形成されるが、その代わりに複数の透明板30、40のいずれか一方の表面に形成されてもよい。また、本実施形態の被覆層57Aは、保護層58Aで保護されるが、その代わりに複数の透明板30、40のいずれか他方で保護されてもよい。これらの場合、複数の接着層51、52、基材54A、および保護層58Aが不要である。
図5は、一実施形態による透過型のスクリーンシートの構造を示す断面図である。図5に示す透過型のスクリーンシート53Bは、図1〜図3に示すスクリーンシート53に代えて用いられる。透過型のスクリーンシート53Bは、後方のプロジェクタ12から投映される映像を前方のユーザ10に表示し、かつ後方の背景をユーザ10に視認させる。
透過型のスクリーンシート53Bは、例えば図5に示すように、前側から後側に向けて、光散乱層55B、および基材54Bをこの順で有する。基材54Bの厚みは、基材54Bの製造方法に応じて任意に選択できるが、例えば0.01〜0.5mm、好ましくは0.05〜0.3mmである。光散乱層55Bの厚みは、光散乱層55Bの製造方法に応じて任意に選択できるが、例えば1〜200μmである。
尚、基材54Bと光散乱層55Bとの配置は逆でもよく、スクリーンシート53Bは、前側から後側に向けて、基材54Bおよび光散乱層55Bをこの順で有してもよい。
基材54Bは、ガラスシート、樹脂シートのいずれでもよいが、可撓性の観点から樹脂シートであることが好ましい。樹脂シートは、例えば、ポリカーボネート、PET、PEN、またはシクロオレフィンポリマーで形成される。
光散乱層55Bは、透明材料と、透明材料とは屈折率の異なる光散乱材料とを含む。透明材料としては、例えば透明樹脂が用いられる。その透明樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等が挙げられる。一方、光散乱材料としては、無機材料の微粒子、有機材料の微粒子、空隙などが用いられる。無機材料としては、酸化チタン(屈折率:2.5〜2.7)、酸化ジルコニウム(屈折率:2.4)、酸化アルミニウム(屈折率:1.76)等の高屈折率材料や、ポーラスシリカ(屈折率:1.25以下)、中空シリカ(屈折率:1.25以下)等の低屈折率材料が用いられる。光散乱材料は、透明材料中に分散していてよい。光散乱層55Bに占める光散乱材料の割合は、例えば0.01体積%以上5体積%以下、好ましくは0.05体積%以上1体積%以下である。
光散乱層55Bは、光吸収材料をさらに含んでもよい。光吸収材料としては、カーボンブラックやチタンブラック等を用いることができる。光散乱層55Bに占める光吸収材料の割合は、例えば0.01体積%以上5体積%以下、好ましくは0.1体積%以上3体積%以下である。光吸収材料は、透明スクリーンの内部における光の反射の繰り返しによる光の伝搬を抑制する。これにより、映像のぼやけが抑制できる。
尚、光散乱層55Bは、図6で示すように、透明樹脂部56B中に複数の光散乱部57Bが間隔をおいて配置される層であってもよい。この配置は、ルーバ構造と呼ばれるものである。光散乱部57Bは光散乱材料と透明材料とを含む。透明樹脂部56Bは図5に示す光散乱層55Bで用いられる透明材料と同様のものを用いることができる。
尚、本実施形態の光散乱層55Bは、基材54Bの表面に形成されるが、その代わりに複数の透明板30、40のいずれか一方の表面に形成されてもよい。また、本実施形態の光散乱層55Bは接着層で覆われるが、複数の透明板30、40のいずれか他方で覆われてもよい。これらの場合、複数の接着層51、52、および基材54Bが不要である。
以上、透明スクリーンの実施形態などについて説明したが、本発明は上記実施形態などに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
例えば、透明スクリーンは、図4〜図6に不図示の機能層を有してもよい。機能層としては、例えば光の反射を低減させる光反射防止層、光の一部を減衰させる光減衰層、および赤外線の透過を抑える赤外線遮蔽層などが挙げられる。機能層の数、機能層の位置は特に限定されない。
反射型の透明スクリーンの光学特性は、透過率が5%以上、90%以下であり、反射率が5%以上、70%以下であり、前方ヘイズが20%以下であることが好ましい。透過率、反射率、および前方ヘイズは、それぞれ、JIS Z8720(2012)「測色用の標準イルミナント(標準の光)及び標準光源」で規定されるD65光源を用いて測定する。後方ヘイズとは、透明スクリーンへ入射する光の反射における曇り度(%)を意味し、前記D65光源を用いて測定した全反射率(%)を、D65光源で測定した拡散反射率(%)で割った比率(%)で示す。
透過型の透明スクリーンの光学特性は、透過率が5%以上、90%以下であり、前方ヘイズが4%以上、40%以下であり、後方ヘイズが0%以上、60%以下であることが好ましい。透過率、前方ヘイズ、および後方ヘイズは、それぞれ、JIS Z8720(2012)「測色用の標準イルミナント(標準の光)及び標準光源」で規定されるD65光源を用いて測定する。
10 ユーザ
20 透明スクリーン
30 透明板
40 透明板
50 スクリーン本体
51 接着層
52 接着層
53 スクリーンシート
53A 反射型のスクリーンシート
54A 基材
55A 凹凸層
56A 光反射層
57A 被覆層
58A 保護層
53B 透過型のスクリーンシート
54B 基材
55B 光散乱層
60 光吸収部材

Claims (10)

  1. 前方または後方から投映される映像を前方のユーザに表示し、かつ後方の背景をユーザに視認させるスクリーン本体と、前記スクリーン本体を支持する透明板とを有する透明スクリーンであって、
    映像の投映時に前記透明スクリーンの内部を伝搬する光の少なくとも一部を吸収する光吸収部材が、前記透明スクリーンの外周部に設けられている、透明スクリーン。
  2. 前記光吸収部材が前記スクリーン本体の端面に接して設けられている、請求項1に記載の透明スクリーン。
  3. 前記光吸収部材は、前記透明板の端面に接して設けられている、請求項1または2に記載の透明スクリーン。
  4. 前記光吸収部材は、前記透明板の前記スクリーン本体側とは反対側の表面のうちの外周部分に設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明スクリーン。
  5. 前記光吸収部材は、前記透明スクリーンの前面のうちの外周部分に設けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明スクリーン。
  6. 前記光吸収部材は、顔料および染料の少なくとも一方を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の透明スクリーン。
  7. 前記透明板は、前記スクリーン本体を挟んで両側に設けられる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の透明スクリーン。
  8. 前記透明板はガラス板である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の透明スクリーン。
  9. 前記スクリーン本体は、
    前方から投映される前記映像を前方の前記ユーザに表示するものであって、
    表面に凹凸を有する凹凸層と、
    前記凹凸層の前記表面の前記凹凸に沿って形成され、前方からの光の一部を前方に反射し、後方からの光の一部を前方に透過する光反射層と、
    前記光反射層の凹凸を覆う被覆層とを有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の透明スクリーン。
  10. 前記スクリーン本体は、
    後方から投映される前記映像を前方の前記ユーザに表示するものであって、
    透明材料および前記透明材料とは屈折率が異なる光散乱材料を含む光散乱層を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の透明スクリーン。
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