JP2017095761A - 高炉における装入物分布制御方法 - Google Patents

高炉における装入物分布制御方法 Download PDF

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【課題】高炉内の装入物分布を正確且つ迅速に把握することで、装入物分布を適切に制御し、高い還元効率を得るとともに、高炉操業を安定化させる。【解決手段】距離計の検出波放射方向を炉径方向に走査させて得られた炉内装入物面までの距離データに基づき、炉内装入物面のプロフィールを測定するプロフィール測定装置を用いて、各バッチでの装入後の炉内装入物面のプロフィールを測定し、このプロフィールに基づき各バッチで装入された鉱石とコークスの装入分布を求め、この装入分布に基づいて、炉内装入層の最上部における鉱石層厚さ比[Lo/(Lc+Lo)]が、炉中心部領域の平均値:0.5未満、炉中間部領域の平均値:0.6以上0.9未満、炉周辺部領域の平均値:0.4以上0.8未満、炉中心部領域の平均値<炉周辺部の平均値<炉中間部領域の平均値、を満足する装入分布となるように、鉱石の装入における少なくとも1つのバッチでの旋回シュートのノッチ又は/及び旋回数を調整する。【選択図】図7

Description

本発明は、旋回シュートを備えたベルレス装入装置により炉内への原料装入を行う高炉において、炉内での装入物分布を適正に制御するための装入物分布制御方法に関する。
一般に、高炉では、炉頂部から原料である鉱石(鉱石にコークスの一部が混合される場合もある)とコークスが交互に装入され、炉内には鉱石層とコークス層が交互に堆積した状態で原料が充填される。
高炉の操業では、炉頂部での装入物分布を適正な状態に維持することが重要であり、装入物分布が適正でないとガス流分布の不均一化、ガス通気性の低下、還元効率の低下などにより、生産性の低下や高炉操業の不安定化を招く。
炉頂部から原料を装入する手段として、旋回シュート(分配シュート)を備えたベルレス装入装置が広く用いられており、この装入装置では、旋回シュートの傾動角と旋回数を選択することにより、炉半径方向での原料の落下位置と堆積量を調整することで、装入物分布を制御するようにしている。
一方、装入物分布を把握するためには、炉内装入物面(原料堆積面)のプロフィールを測定する必要がある。この炉内装入物面のプロフィールを測定する手法として、マイクロ波などの検出波を炉内装入物面に向けて送信し、炉内装入物面で反射した検出波を受信して炉内装入物面までの距離を測定し、この測定距離に基づいて炉内装入物面のプロフィールを求めることが行われており、具体的な手法としては、検出波用アンテナを設けた計測ランスを炉口部側方から炉中心部に向けて挿入する方法が主流である(例えば、特許文献1、2)。
特開平7−34107号公報 特開2002−115008号公報
高炉の装入物分布制御を精度良く行うには、炉内装入物面のプロフィールを正確且つ迅速に把握する必要があるが、特許文献1、2のような従来の測定方法では、測定自体に時間がかかり、迅速な測定ができないことに加えて、原料の装入時には計測ランスを炉体の外に退避させなければならないため、測定頻度が低くなるという問題がある。このため、測定結果から得られる情報を迅速に実操業に反映できない。さらに、測定結果に基づき特定のアクション(装入物分布制御)をとったとしても、その結果をすぐに確認できない。すなわち、従来の測定方法では、炉内装入物面のプロフィールの測定結果を装入物分布制御に反映し、確認しながら行うことが実質困難である。
また、原料の装入時には炉内装入物堆積面を測定することができないため、原料の堆積過程を把握することができない。このため、原料堆積のどの過程に問題があるかが分からず、装入物分布制御の精度を向上させることが困難である。
したがって本発明の目的は、高炉内の装入物分布を正確且つ迅速に把握することで、装入物分布を適正に制御することができ、これにより鉱石の高い還元効率が得られるとともに、高炉操業の安定化を図ることができる装入物分布制御方法を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]旋回シュートを備えたベルレス装入装置により、高炉内に鉱石(但し、鉱石にコークスの一部及び/又は副原料を混合した混合原料の場合を含む。)とコークスを交互に装入し、鉱石層(但し、前記混合原料による混合原料層の場合を含む。)とコークス層を交互に積層させる原料装入を行うとともに、1チャージでの鉱石とコークスの装入を各々複数バッチで行うに際し、
高炉の炉頂部に設置された炉内装入物面のプロフィール測定装置であって、炉内装入物面までの距離を電波式の距離計で測定するとともに、該距離計の検出波放射方向を炉径方向に走査させて得られた炉内装入物面までの距離データに基づき、炉内装入物面のプロフィールを測定するプロフィール測定装置を用いて、少なくとも各バッチでの装入後の炉内装入物面のプロフィールを測定し、該プロフィールに基づき各バッチで装入された鉱石とコークスの装入分布を求め、この装入分布に基づいて、炉内装入層の最上部における鉱石層厚さ比[Lo/(Lc+Lo)](但し、Lo:鉱石層厚さ、Lc:コークス層厚さ)が下記(a)〜(d)の条件を満足する装入分布となるように、鉱石の装入における少なくとも1つのバッチでの旋回シュートのノッチ又は/及び旋回数を調整することを特徴とする高炉における装入物分布制御方法。
(a)第1領域の平均値:0.5未満
(b)第2領域の平均値:0.6以上0.9未満
(c)第3領域の平均値:0.4以上0.8未満
(d)第1領域の平均値<第3領域の平均値<第2領域の平均値
但し、炉半径方向における炉中心からの距離をr(m)、炉口部での炉内半径をRt(m)とした場合に、炉半径方向における炉内領域を、炉中心側から順に、r/Rt≦0.20:第1領域、0.20<r/Rt≦0.80:第2領域、0.80<r/Rt:第3領域とする。
[2]上記[1]の装入物分布制御方法において、(a)〜(d)の条件を満足する装入分布となるように、少なくとも1つのバッチでの炉壁に最も近い鉱石装入位置を、少なくとも1ノッチ分炉中心側にシフトさせることを特徴とする高炉における装入物分布制御方法。
[3]上記[2]の装入物分布制御方法において、1チャージでの鉱石の装入を2バッチで行う場合、第1バッチ及び第2バッチでの炉壁に最も近い鉱石装入位置を、少なくとも1ノッチ分炉中心側にシフトさせることを特徴とする高炉における装入物分布制御方法。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの装入物分布制御方法において、(a)〜(d)の条件を満足する装入分布となるように、少なくとも1つのバッチにおいて、r/Rt:0.8近傍の領域が鉱石装入位置となるノッチでの旋回シュートの旋回数を増加させることで、r/Rt:0.7〜0.8の領域での鉱石層厚さ比[Lo/(Lc+Lo)]の平均値を増加させることを特徴とする高炉における装入物分布制御方法。
[5]上記[4]の装入物分布制御方法において、1チャージでの鉱石の装入を2バッチで行う場合、第1バッチにおいて、r/Rt:0.8近傍の領域が鉱石装入位置となるノッチでの旋回シュートの旋回数を増加させることで、r/Rt:0.7〜0.8の領域での鉱石層厚さ比[Lo/(Lc+Lo)]の平均値を増加させることを特徴とする高炉における装入物分布制御方法。
本発明によれば、高炉内の装入物分布を正確且つ迅速に把握して、装入物分布を適正に制御することができる。このため、鉱石の高い還元効率が得られるとともに、高炉操業の安定化を図ることができる。
本発明法で用いる炉内装入物面のプロフィール測定装置の一実施形態を模式的に示す縦断面図 図1の炉内装入物面のプロフィール測定装置の設置例を示すもので、プロフィール測定装置を設置した高炉炉頂部の縦断面図 本発明法を適用する前の炉内装入層最上部における装入分布(1チャージでのコークス、鉱石の装入分布)を示す図面 図3の炉内装入層最上部における炉半径方向での鉱石層厚さ比[Lo/(Lc+Lo)]を示す図面 本発明法を適用したアクション(1)による原料装入後の炉内装入層最上部における炉半径方向での鉱石層厚さ比[Lo/(Lc+Lo)]を、図4の鉱石層厚さ比[Lo/(Lc+Lo)]と比較して示す図面 本発明法を適用したアクション(1)による原料装入後の炉半径方向でのガス利用率ηCO(水平ゾンデηCO)を、図3の装入分布における炉半径方向でのガス利用率ηCOと比較して示す図面 本発明法を適用したアクション(2)による原料装入後の炉内装入層最上部における炉半径方向での鉱石層厚さ比[Lo/(Lc+Lo)]を、図5の鉱石層厚さ比[Lo/(Lc+Lo)]と比較して示す図面 本発明法を適用したアクション(2)による原料装入後の炉半径方向でのガス利用率ηCO(水平ゾンデηCO)を、図6のガス利用率ηCOと比較して示す図面 実操業において、図3及び図4に示すような原料装入と装入物分布であった操業途中から本発明法を実施し、アクション(2)に相当する原料装入と装入物分布で操業を行った場合において、本発明法の実施前後での操業結果を示す図面
本発明法は、旋回シュートを備えたベルレス装入装置により、高炉内に鉱石(但し、鉱石にコークスの一部及び/又は副原料を混合した混合原料の場合を含む。)とコークスを交互に装入し、鉱石層(但し、前記混合原料による混合原料層の場合を含む。)とコークス層を交互に積層させる原料装入を行うとともに、1チャージでの鉱石とコークスの装入を各々複数バッチで行うに際し、特定の炉内装入物面プロフィール測定装置を用いて、少なくとも各バッチでの装入後の炉内装入物面のプロフィールを測定し、このプロフィールに基づき各バッチで装入された鉱石とコークスの装入分布を求め、この装入分布に基づいて、炉内装入層の最上部における鉱石層厚さ比[Lo/(Lc+Lo)](但し、Lo:鉱石層厚さ、Lc:コークス層厚さ)が特定の条件を満足する装入分布となるように、鉱石の装入における少なくとも1つのバッチでの旋回シュートのノッチ又は/及び旋回数を調整するものである。
本発明において鉱石とは、鉄源である焼結鉱、塊鉱石、ペレットなどの1種以上を意味する。
鉱石層の還元性を向上させるなどの目的で、鉱石にコークスの一部を混合した混合原料を装入する方法(鉱石コークス混合装入法)や鉱石に副原料を混合した混合原料を装入する方法が採られる場合があり、本発明において高炉内に鉱石を装入するとは、上記但し書きのように、鉱石にコークスの一部及び/又は副原料を混合した混合原料を装入する場合を含み、したがって、鉱石層とは、そのような混合原料による混合原料層(コークス及び/又は副原料混合鉱石層)の場合を含む。
ここで、副原料とは、スラグのCaO、SiO、MgO成分などを調整するために使用される原料であり、鉱石と混合して装入されるもの(但し、焼結鉱やペレットの一部として含まれる副原料は除く)としては、例えば、石灰石、珪石、蛇紋岩などが挙げられる。
高炉の原料装入では、積層するコークス層と鉱石層を形成する一連の装入が1チャージであり、この1チャージでの鉱石とコークスの装入を各々1バッチ又は複数バッチで行うが、本発明では、1チャージでの鉱石とコークスの装入を各々複数バッチで行う。
旋回シュートを備えたベルレス装入装置では、炉頂バンカーから旋回シュートに原料(鉱石、コークスなど)が供給され、旋回シュートが旋回しながら原料を装入する。旋回シュートは、高炉の中心軸(垂線)に対して傾動可能であり、その傾動角の調整により炉半径方向での原料落下位置を選択することができる。通常、1バッチの原料装入で旋回シュートの傾動角を複数段階で変化させ、各傾動角で旋回シュートを1回以上旋回させる。複数段階に変化させる傾動角はノッチNo.で表わされ、例えば、ノッチNo.1:傾動角55°、ノッチNo.2:傾動角53°・・・ノッチNo.19:傾動角19°ノッチNo.20:傾動角17°というように設定する。したがって、各バッチでの旋回シュートのノッチ又は/及び旋回数を調整することで装入物分布を制御することができる。
本発明法で用いる炉内装入物面のプロフィール測定装置は、高炉の炉頂部に設置される測定装置であって、炉内装入物面までの距離を電波式の距離計で測定するとともに、その距離計の検出波放射方向を炉径方向に走査させて得られた炉内装入物面までの距離データに基づき、炉内装入物面のプロフィールを測定するものである。
このプロフィール測定装置は、電波式の距離計の検出波放射方向を炉径方向に走査させて、炉内装入物面までの距離を連続的に測定できるものであれば、その構成を問わないが、特に、以下のような実施形態のものが好ましい。
図1及び図2は、本発明法で用いる炉内装入物面のプロフィール測定装置の一実施形態とその設置例を示すもので、図1はプロフィール測定装置を模式的に示す縦断面図、図2は図1のプロフィール測定装置を設置した高炉炉頂部の縦断面図である。図において、20は炉体、21はベルレス式装入装置の旋回シュート(分配シュート)であり、炉頂バンカー(図示せず)に入れられた鉄石やコークスなどの原料が、この旋回シュート21を通じて炉内に装入される。図2においてθが旋回シュート21の傾動角である。
図1及び図2に示すプロフィール測定装置は、電波式の距離計が、ミリ波やマイクロ波などの検出波を送受信する検出波送受信器1と、この検出波送受信器1に導波管4を介して接続されたアンテナ2と、このアンテナ2に対向して設けられた反射角度が可変の検出波反射板3とを備えており、検出波送受信器1から送信されてアンテナ2から放射された検出波を、検出波反射板3で反射させて炉内装入物面に入射させ、炉内装入物面で反射した検出波を検出波反射板3とアンテナ2を経て検出波送受信器1で受信することで、炉内装入物面までの距離を測定するとともに、検出波反射板3の反射角度を調整することにより、検出波放射方向を炉径方向に走査させるものである。
炉頂部の炉体部分には、下方又は斜め下方に炉内装入物面(堆積面)が望めるような位置に窓孔5が形成されるとともに、その炉体部分の外側には、窓孔5を覆うようにして所定の耐圧性能を有するケーシング6が取り付け固定されている。そして、このケーシング6内部が収納室7を構成し、この収納室7は窓孔5を通じて炉内空間に開口12している。
収納室7内にアンテナ2が配置されるとともに、収納室7の外側(炉体20の外側)に検出波送受信器1が配置されている。検出波送受信器1とアンテナ2を接続する導波管4は、ケーシング6を貫通し、その先端にアンテナ2が支持されている。
また、収納室7内に、アンテナ2と対向するようにして検出波反射板3が配置されている。収納室7の外側(炉体20の外側)には検出波反射板3を回動させるための駆動装置8が配置され、その回転駆動軸9がケーシング6を貫通し、その先端に検出波反射板3が支持されている。
ここで、アンテナ2と、検出波反射板3及びその駆動装置8と、収納室7の開口部12の位置関係は、(i)アンテナ2の中心軸線の延長線と駆動装置8の回転駆動軸9の中心軸線が一致し、(ii)検出波反射板3は、駆動装置8の回転駆動軸9に固定されることで回動可能であり、(iii)アンテナ2と検出波反射板3は、アンテナ2から送信され、検出波反射板3で反射した検出波が開口部12を通過して炉内に導かれるように、開口部12に対して配置される、という条件を備えている。
なお、炉内装入物の吹き抜け時に、吹き上げられた原料が検出波反射板3に当たって反射面13などが破損することがないようにするため、非測定時においては、検出波反射板3はその背面側(反射面13の反対側)が開口部12に向くような回動位置に停止できるようにしている。
検出波送受信器1は、周波数が一定範囲で連続的に時間変化する検出波(ミリ波、マイクロ波など)を発生し、その検出波の送信及び受信が可能である。
アンテナ2としては、パラボラアンテナ、ホーンアンテナなどを用いることができる。なお、これらのなかでは、レンズ付きホーンアンテナが指向特性に優れているので特に好ましい。
検出波反射板3は、例えば、ステンレスなどの金属材からなり、形状は限定しないが、通常は円形である。検出波反射板3を駆動装置8の回転駆動軸9で回転させることにより、アンテナ2からその中心軸方向に送信され、検出波反射板3で反射する検出波の放射方向を炉径方向に走査させることができる。
収納室7内の検出波反射板3と開口部12との間(本実施形態では開口部12の近傍位置)には、収納室7を炉内空間から遮断する仕切弁10が開閉可能に設けられている。収納室7の外側(炉体20の外側)に仕切弁10の開閉駆動部11が設置され、この開閉駆動部11により仕切弁10がスライド移動することで開閉がなされる。仕切弁10はプロフィール測定時に開放され、それ以外の時には閉じられる。
また、測定時に炉内ガスや粉塵等が収納室7内に侵入しないようにするとともに、ケーシング6から外部に炉内ガスが漏洩するのを防止するために、ケーシング6にはパージガス供給用のガス供給管14が接続され、このガス供給管14を通じて収納室7内に所定圧のパージガス(通常、窒素ガス)が供給されるようにしてある。
このプロフィール測定装置は、検出波送受信器1で受信して検出したデータに基づきアンテナ2から炉内装入物面までの距離を算出し、さらに、この距離データから炉内装入物面のプロフィールを求めるデータ処理部15を有している。
以上のようなプロフィール測定装置では、検出波送受信器1で発生した周波数が連続的に変化する検出波がアンテナ2から送信され、検出波反射板3を経て炉内装入物面に向けて放射される。炉内装入物面で反射した検出波(反射波)は、検出波反射板3を経て検出波送受信器1で受信される。このような検出波による炉内装入物面の検出において、駆動装置8により検出波反射板3を回転させて検出波の反射角度を変えることで、図2に示されるように検出波放射方向を炉半径方向で走査させる。データ処理部15では、通常、FMCW方式(周波数変調連続波方式)によりアンテナ2から炉内装入物面までの検出波の往復時間が求められ、アンテナ2から炉内装入物面までの距離が算出される。そして、上記のように検出波放射方向を炉半径方向で走査させて得られた距離データから炉内装入物面のプロフィールが求められる。
本発明法では、上記プロフィール測定装置を用いて、少なくとも各バッチでの装入後の炉内装入物面のプロフィールを測定し、このプロフィールに基づき各バッチで装入された鉱石とコークスの装入分布を求める。そして、この装入分布に基づいて装入物分布制御(アクション)を行うが、この装入物分布制御では、(i)炉中心部の通気性を高め、安定的なガス流を確保するために、炉中心部のO(鉱石)/C(コークス)を低位に保つ(すなわち、コークスの比率を高める)、(ii)炉周辺部のガス流速を高め、熱レベルを高位に維持することで炉壁での亜鉛付着物の成長を抑制するため、炉周辺部のO/Cを低位に保つ(すなわち、コークスの比率を高める)、(iii)炉全体の還元効率を向上させるために、炉中間部(炉半径方向において炉中心部と炉周辺部間の領域)のO/Cを高位に維持する、(iv)局部的な通気性の悪化によるガス流分布の不均一化、鉱石の昇温還元の遅れを防止するため、局部的な高O/Cの発生を抑える、という観点から、炉内装入層の最上部における鉱石層厚さ比[Lo/(Lc+Lo)](但し、Lo:鉱石層厚さ、Lc:コークス層厚さ)が下記(a)〜(d)の条件を満足する装入分布となるように、鉱石の装入における少なくとも1つのバッチでの旋回シュートのノッチ又は/及び旋回数を調整する。ここで、炉半径方向における炉中心からの距離をr(m)、炉口部での炉内半径をRt(m)とした場合に、炉半径方向における炉内領域を、炉中心側から順に、r/Rt≦0.20:第1領域(炉中心部)、0.20<r/Rt≦0.80:第2領域(炉中間部)、0.80<r/Rt:第3領域(炉周辺部)とする。
(a)第1領域の平均値:0.5未満
(b)第2領域の平均値:0.6以上0.9未満
(c)第3領域の平均値:0.4以上0.8未満
(d)第1領域の平均値<第3領域の平均値<第2領域の平均値
なお、以下の説明においては、炉内装入層の最上部における炉半径方向での鉱石層厚さ比[Lo/(Lc+Lo)]を、単に“[Lo/(Lc+Lo)]”という。
すなわち、(a)の条件は上記(i)の観点から、(c)の条件は上記(ii)の観点から、(b)の条件は上記(iii)及び(iv)の観点から、それぞれ規定される。また、(d)の条件は、上記(iii)の観点と、炉周辺部(第3領域)における鉱石層厚さ比[Lo/(Lc+Lo)]の平均値が炉中心部(第1領域)と同等若しくはそれ以下になると、炉周辺部のガス流速が高くなり過ぎ、炉体抜熱量が高くなることで、ヒートロスが増加するなどの問題を生じる恐れがある、との観点から規定される。
本発明において、上記(a)〜(d)の条件を満足する装入分布となるように、鉱石の装入における少なくとも1つのバッチでの旋回シュートのノッチ又は/及び旋回数を調整する場合、例えば、以下のような実施形態を採ることができる。
(i)少なくとも1つのバッチでの炉壁に最も近い鉱石装入位置を、少なくとも1ノッチ分炉中心側にシフトさせる。例えば、1チャージでの鉱石の装入を2バッチで行う場合、第1バッチ及び第2バッチでの炉壁に最も近い鉱石装入位置を、少なくとも1ノッチ分炉中心側にシフトさせる。
(ii)少なくとも1つのバッチにおいて、r/Rt=0.8近傍の領域が鉱石装入位置となるノッチでの旋回シュートの旋回数を増加させることで、r/Rt=0.7〜0.8の領域での[Lo/(Lc+Lo)]の平均値を増加させる。例えば、1チャージでの鉱石の装入を2バッチで行う場合、第1バッチにおいて、r/Rt=0.8近傍の領域が鉱石装入位置となるノッチでの旋回シュートの旋回数を増加させることで、r/Rt=0.7〜0.8の領域での[Lo/(Lc+Lo)]の平均値を増加させる。
以下、図1及び図2に示すような炉内装入物面のプロフィール測定装置を用い、本発明法により装入物分布制御を行った操業例について説明する。
この操業例では、原料(鉱石、コークス)装入の各バッチにおける旋回シュートの1旋回毎に、プロフィール測定装置で炉内装入物面のプロフィールを測定した。
図3は、本発明法を適用する前の炉内装入層最上部における装入分布(1チャージでのコークス、鉱石の装入分布)を示しており、図4は、図3の炉内装入層最上部における炉半径方向での[Lo/(Lc+Lo)]を示している。
図3及び図4は、上述したプロフィール測定装置を用いて各バッチでの装入後の炉内装入物面のプロフィールを測定し、このプロフィールに基づき各バッチで装入された鉱石とコークスの装入分布を求めたものである。この点は、後述する操業例の各図面についても同様である。
本実施例において、C1、C2はコークスの装入、O1、O2は鉱石の装入を示し、1チャージにおいてコークス装入、鉱石装入がそれぞれ2バッチでなされ、C1(コークスの第1バッチ)→C2(コークスの第2バッチ)→O1(鉱石の第1バッチ)→O2(鉱石の第2バッチ)の順に装入される。また、図3の縦軸は基準高さを“0”(この基準高さ“0”の位置は、旋回シュートの傾動角θが0°の時の旋回シュートの(下方)先端位置)とする炉高方向位置(mm)、横軸は炉中心部を“0”とする炉半径方向位置(mm)である。また、「ベースO2」とは前チャージのO2の装入面のことである。
本実施例では、旋回シュートの傾動角を25段階(ノッチNo.1〜25)で変化させることができる原料装入装置を用いた。
図4において、目標とする[Lo/(Lc+Lo)]を実線で示すが、この目標とする[Lo/(Lc+Lo)]に対して、第2領域(炉中間部)中のr/Rt=0.25前後とr/Rt=0.7〜0.8の領域において[Lo/(Lc+Lo)]が過小であり、一方、r/Rt=0.5前後の領域において[Lo/(Lc+Lo)]が過大である。また、第3領域(炉周辺部)の[Lo/(Lc+Lo)]も全体として過小である。したがって、図中矢印で示すような方向に[Lo/(Lc+Lo)]を増減させるのが適当であると考えられた。
図3の装入分布について、O2の1旋回毎の装入位置と原料推定落下位置を比較すると、O2の鉱石は概ね原料推定落下位置を起点に、炉中心部方向に広範囲に堆積していることが判った。落下位置が炉周辺部側に偏りすぎているために、炉中心部方向への傾斜角が大きくなり、落下後の原料の流れ込みが過大となったものと判断された。
そこで、炉周辺部への鉱石装入量の低減により、傾斜角低減・フラット化を図るべく、アクション(1)として、鉱石装入について以下のような調整を行った。すなわち、それまでの原料装入装置の運転スケジュールに対して、O1での炉壁に最も近い鉱石装入位置を1ノッチ分、O2での炉壁に最も近い鉱石装入位置を2ノッチ分、それぞれ炉中心部側にシフトさせた運転スケジュールで鉱石の装入(コークスの装入は変更なし)を行った。具体的には、それまでの運転スケジュールでは、O1での炉壁に最も近い鉱石装入位置がノッチNo.5によるもの、O2での炉壁に最も近い鉱石装入位置がノッチNo.4によるものであったのに対し、アクション(1)の運転スケジュールでは、O1、O2での炉壁に最も近い鉱石装入位置はそれぞれノッチNo.6によるものとした。
このアクション(1)による原料装入後の炉内装入物面のプロフィールをプロフィール測定装置で測定したところ、鉱石落下位置の炉周辺部側への偏りが改善され、その結果、炉中心部方向への傾斜角が低減されていた。
図5は、このアクション(1)による原料装入後の炉半径方向での[Lo/(Lc+Lo)]を、図4の[Lo/(Lc+Lo)]と比較して示している。また、図6は、アクション(1)による原料装入後の炉半径方向でのガス利用率ηCO(水平ゾンデηCO)を、図3の装入分布における炉半径方向でのガス利用率ηCOと比較して示している。なお、図5及び図6において「ベース」とは、図3及び図4の装入分布での[Lo/(Lc+Lo)]とガス利用率ηCOである。
図5によれば、アクション(1)後の[Lo/(Lc+Lo)]は、図4の[Lo/(Lc+Lo)]と較べて、第2領域(炉中間部)中のr/Rt=0.25前後とr/Rt=0.7〜0.8の領域の[Lo/(Lc+Lo)]が増加し、一方、r/Rt=0.5前後の領域の[Lo/(Lc+Lo)]が減少し、さらに、第3領域(炉周辺部)の[Lo/(Lc+Lo)]が全体として増加している。これらの結果、図6に示すように炉周辺部のガス利用率ηCOが向上している。
図5に示すアクション(1)後の[Lo/(Lc+Lo)]は、第2領域(炉中間部)中のr/Rt=0.7〜0.8の領域の[Lo/(Lc+Lo)]をさらに改善(増加)できる余地があると考えられたため、この領域の[Lo/(Lc+Lo)]を図5の破線矢印に示すように増加させるべく、アクション(2)として、鉱石装入について以下のような調整を行った。すなわち、[Lo/(Lc+Lo)]を増加させたいr/Rt=0.7〜0.8の領域とO1の鉱石装入位置と原料推定落下位置の関係を考慮し、上記アクション(1)による運転スケジュールに対して、O1においてr/Rt=0.8近傍の領域が鉱石装入位置となるノッチでの旋回シュートの旋回数を増加させた運転スケジュールで鉱石の装入(コークスの装入は変更なし)を行った。具体的には、アクション(1)の運転スケジュールでは、O1においてr/Rt=0.8近傍の領域が鉱石装入位置となるノッチNo.11、13での旋回シュートの旋回数が1であるのに対し、アクション(2)の運転スケジュールでは、No.11、13での旋回シュートの旋回数を2とした。
このアクション(2)による原料装入後の炉内装入物面のプロフィールをプロフィール測定装置で測定したところ、炉中間部の鉱石層の厚さが増加していた。
図7は、このアクション(2)による原料装入後の炉半径方向での[Lo/(Lc+Lo)]を、図5の[Lo/(Lc+Lo)](アクション(1)後の[Lo/(Lc+Lo)])と比較して示している。また、図8は、アクション(2)による原料装入後の炉半径方向でのガス利用率ηCO(水平ゾンデηCO)を、図6のガス利用率ηCO(アクション(1)後のガス利用率ηCO)と比較して示している。
図7によれば、アクション(2)後の[Lo/(Lc+Lo)]は、アクション(1)後の[Lo/(Lc+Lo)]と較べて、第2領域(炉中間部)中のr/Rt=0.7〜0.8の領域の[Lo/(Lc+Lo)]が増加し、図中に実線で示したような目標とする[Lo/(Lc+Lo)]に近づけることができた。これらの結果、図8に示すように、炉中間部のガス利用率ηCOが向上している。
実操業において、図3及び図4に示すような原料装入と装入物分布であった操業途中から本発明法を実施し、上記アクション(2)に相当する原料装入と装入物分布で操業を行った。本発明法の実施前後での操業結果を図9に示すが、本発明法を実施することでコークス比を2kg/t低減することができた。
1 検出波送受信器
2 アンテナ
3 検出波反射板
4 導波管
5 窓孔
6 ケーシング
7 収納室
8 駆動装置
9 回転駆動軸
10 仕切弁
11 開閉駆動部
12 開口部
13 反射面
14 ガス供給管
15 データ処理部
20 炉体
21 旋回シュート

Claims (5)

  1. 旋回シュートを備えたベルレス装入装置により、高炉内に鉱石(但し、鉱石にコークスの一部及び/又は副原料を混合した混合原料の場合を含む。)とコークスを交互に装入し、鉱石層(但し、前記混合原料による混合原料層の場合を含む。)とコークス層を交互に積層させる原料装入を行うとともに、1チャージでの鉱石とコークスの装入を各々複数バッチで行うに際し、
    高炉の炉頂部に設置された炉内装入物面のプロフィール測定装置であって、炉内装入物面までの距離を電波式の距離計で測定するとともに、該距離計の検出波放射方向を炉径方向に走査させて得られた炉内装入物面までの距離データに基づき、炉内装入物面のプロフィールを測定するプロフィール測定装置を用いて、少なくとも各バッチでの装入後の炉内装入物面のプロフィールを測定し 、該プロフィールに基づき各バッチで装入された鉱石とコークスの装入分布を求め、この装入分布に基づいて、炉内装入層の最上部における鉱石層厚さ比[Lo/(Lc+Lo)](但し、Lo:鉱石層厚さ、Lc:コークス層厚さ)が下記(a)〜(d)の条件を満足する装入分布となるように、鉱石の装入における少なくとも1つのバッチでの旋回シュートのノッチ又は/及び旋回数を調整することを特徴とする高炉における装入物分布制御方法。
    (a)第1領域の平均値:0.5未満
    (b)第2領域の平均値:0.6以上0.9未満
    (c)第3領域の平均値:0.4以上0.8未満
    (d)第1領域の平均値<第3領域の平均値<第2領域の平均値
    但し、炉半径方向における炉中心からの距離をr(m)、炉口部での炉内半径をRt(m)とした場合に、炉半径方向における炉内領域を、炉中心側から順に、r/Rt≦0.20:第1領域、0.20<r/Rt≦0.80:第2領域、0.80<r/Rt:第3領域とする。
  2. (a)〜(d)の条件を満足する装入分布となるように、少なくとも1つのバッチでの炉壁に最も近い鉱石装入位置を、少なくとも1ノッチ分炉中心側にシフトさせることを特徴とする請求項1に記載の高炉における装入物分布制御方法。
  3. 1チャージでの鉱石の装入を2バッチで行う場合、第1バッチ及び第2バッチでの炉壁に最も近い鉱石装入位置を、少なくとも1ノッチ分炉中心側にシフトさせることを特徴とする請求項2に記載の高炉における装入物分布制御方法。
  4. (a)〜(d)の条件を満足する装入分布となるように、少なくとも1つのバッチにおいて、r/Rt:0.8近傍の領域が鉱石装入位置となるノッチでの旋回シュートの旋回数を増加させることで、r/Rt:0.7〜0.8の領域での鉱石層厚さ比[Lo/(Lc+Lo)]の平均値を増加させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高炉における装入物分布制御方法。
  5. 1チャージでの鉱石の装入を2バッチで行う場合、第1バッチにおいて、r/Rt:0.8近傍の領域が鉱石装入位置となるノッチでの旋回シュートの旋回数を増加させることで、r/Rt:0.7〜0.8の領域での鉱石層厚さ比[Lo/(Lc+Lo)]の平均値を増加させることを特徴とする請求項4に記載の高炉における装入物分布制御方法。
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