JP2021113340A - 高炉の操業方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】3次元プロフィールメータにより複数算出された層厚比分布を、装入方法の検討に適切に反映して利用するための高炉の操業方法を提供する。【解決手段】鉱石層とコークス層との合計層厚に対する鉱石層の厚みの比である層厚比の、炉径方向における分布を示す層厚比分布を、3次元プロフィールメータにより炉周方向の複数位置で測定し、各層厚比分布のそれぞれについて所定パラメータを算出し、複数の所定パラメータのうち所定割合以上が所定目標範囲内に収まるか否かを判定し、所定目標範囲内に収まる所定パラメータの割合が所定割合未満であるとき、高炉原料の装入方法を変更する。【選択図】図6

Description

本発明は、高炉の操業方法に関する。
高炉の炉内には、鉱石層とコークス層とが交互に積層されており、高炉装入物の堆積形状は高炉の操業に非常に大きな影響を与える。高炉装入物の堆積形状は炉径方向における層厚比分布を測定することにより管理される。ここで、層厚比は、鉱石層及びコークス層の合計層厚に対する鉱石層の炉高方向における厚みの比のことであり、以下Lo/(Lo+Lc)とも表記する。
従来、実炉では2次元プロフィールメータを用いた所定炉径方向の層厚比分布だけを検出していたため、所定炉径方向の層厚比分布が目標堆積形状を満足する一方で、所定炉径方向とは異なる他の炉径方向における層厚比分布が目標堆積形状を満足しない場合があった。
そこで近年、3次元プロフィールメータ、すなわち、炉径方向の層厚比分布を炉周方向の複数箇所で測定できるプロフィールメータが提案されている(例えば、特許文献1)。3次元プロフィールメータによれば、炉径方向の層厚比分布を炉周方向における複数の位置で測定することが可能になるが、3次元プロフィールメータによる測定結果を利用した高炉の操業方法については、十分な検討がなされていない。
特許第5391458号公報
具体的には、複数算出された層厚比分布を用いて炉周方向の平均的な層厚比分布を算出し、2次元プロフィールメータにより算出される単一の層厚比分布と同様の方法によって高炉原料の装入方法の変更を検討するか、その他の方法により高炉原料の装入方法の変更を検討するか、について、十分な検討がなされていなかった。本発明は、炉周方向における複数の位置で算出された層厚比分布を、装入方法の検討に適切に反映して利用するための高炉の操業方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る高炉の操業方法は、鉱石層とコークス層との合計層厚に対する鉱石層の厚みの比である層厚比の、炉径方向における分布を示す層厚比分布を、3次元プロフィールメータにより、炉周方向所定角度毎に測定する第1ステップと、前記第1ステップで算出した各前記層厚比分布のそれぞれについて、所定パラメータを算出する第2ステップと、前記第2ステップで算出した複数の前記所定パラメータのうち所定割合以上が所定目標範囲内に収まるか否かを判定する第3ステップと、前記所定目標範囲内に収まる前記所定パラメータの割合が前記所定割合未満であるとき、高炉原料の装入方法を変更する第4ステップと、を有することを特徴とする。
本発明によれば、炉周方向において複数算出された炉径方向の層厚比分布について、所定のパラメータをそれぞれ算出し、炉周方向において複数算出されるパラメータのうち、所定の目標範囲内に収まるものの割合を用いて、装入方法の変更要否を検討することができる。これにより、高炉装入物の堆積形状の、炉全体での傾向を適切に管理することができる。例えば、ある炉周方向における層厚比分布が、3次元プロフィールメータの不具合のほか、小規模な吹き抜けや装入装置の異常などの理由により、他の炉周方向と大きく異なる層厚比分布を示したとしても、その炉周方向における層厚比分布の測定結果の影響を受けることなく、装入方法の変更要否を検討することができる。このとき、仮に、複数算出された層厚比分布から炉全体の平均的な層厚比分布を算出して管理していた場合、高炉装入物の堆積形状の炉全体での傾向を適切に管理することは難しい。
ベルレス式高炉の炉上部の概略図である。 良好な層厚比分布の一例を示す分布図である。 良好でない層厚比分布の一例を示す分布図である。 コークス比CRと第1パラメータとの関係を示すグラフである。 コークス比CRと第2パラメータとの関係を示すグラフである。 第1パラメータを用いた実施形態を示すフローチャートである。 第2パラメータを用いた実施形態を示すフローチャートである。 鉱石の装入位置を調整する前後の、第1パラメータの変化を示すグラフである(1/3ベルレス試験装置により測定)。 鉱石の装入位置を調整する前後の、第2パラメータの変化を示すグラフである(1/3ベルレス試験装置により測定)。
(第1実施形態)
以下、図面を参照しながら、本実施形態の高炉の操業方法について説明する。図1は、本実施形態において対象とする高炉の一例である、ベルレス式高炉の炉上部の概略図である。ベルトコンベア3は、高炉原料(コークス及び鉱石)を炉頂に向かって運び上げる。ベルトコンベア3の終端部に到達した高炉原料は、不図示の切替シュートを介して、一定の周期で固定ホッパー4a、4bに交互に装入される。例えば、コークスを固定ホッパー4aに装入し、鉱石を固定ホッパー4bに装入することができる。
固定ホッパー4a、4bにそれぞれ装入されたコークス及び鉱石は、固定ホッパー4a、4bの下端部にある不図示の流調ゲートの開度に応じて貯留ホッパー7に一定の周期で交互に装入される。貯留ホッパー7に装入された高炉原料は、貯留ホッパー7の下端部にある流調ゲート8から旋回シュート5に向かって落下排出される。旋回シュート5が炉高方向に延びる回転軸RA周りに回転することによって、鉱石及びコークスを交互に炉内に装入することができる。これにより、鉱石層及びコークス層が交互に積層された高炉充填層を炉内に形成することができる。なお、鉱石とは鉄源を含有する原料をいい、焼結鉱のほか、塊鉱石や含炭塊成鉱などを含む。なおまた、鉱石層は鉱石以外のもの(例えば小塊コークス)を含んでもよく、コークス層もコークス以外のものを含んでいてもよい。また、高炉原料とは、鉱石及びコークスを含む、高炉の炉頂から装入されるすべての原料をいう。
旋回シュート5の傾動角θは可変であり、本実施形態では、傾動角θを徐々に小さくしながら旋回シュート5を旋回させる、いわゆる順傾動と称される装入方法によって高炉原料が装入される。この場合、炉壁側から炉中心側に向かって高炉原料が装入される。図1において、炉壁側から炉中心側に向かって鉱石層及びコークス層の表面プロフィールが低くなる、いわゆるすり鉢形状の堆積形状が形成されている。
図2を参照しながら、良好な層厚比分布について説明する。図2において、縦軸は、鉱石層及びコークス層の合計層厚に対する鉱石層の厚みの比、すなわち層厚比を示しており、鉱石層の厚みをLo、コークス層の厚みをLcとすると、層厚比は、Lo/(Lo+Lc)として表される。図2において、横軸は炉中心からの距離を示し、炉中心位置を0、炉壁位置を1とした無次元距離(以下、炉口無次元半径という)で示す。
層厚比分布は、種々提案される公知のプロフィールメータによって測定される、鉱石層及びコークス層の表面プロフィールから、公知の方法によって算出される。図2(及び後述する図3)において、層厚比分布は各層の装入が完了した直後の表面プロフィールを用いて算出され、当該層の次に装入される高炉原料による崩落の影響を考慮しないが、層厚比分布の算出方法は、特に限定されない。
高炉の操業において、炉径方向の層厚比分布には理想的な分布があり、原料性状その他の操業緒元によって高炉毎に目標とする層厚比分布(以下、目標層厚比分布ともいう)が定められている。図2は、目標層厚比分布の一例である。
高炉の炉下部において、炉内ガスはコークス層を優先的に通って炉上部へ上昇する。このため、炉内ガスは層厚比の小さいところに流れやすい。
ところで、高炉の炉壁は設備保護のために冷却されている。炉壁部に存在する鉱石を速やかに還元・溶融させるためには、炉中間部よりも多く炉内ガスを流さなければならず、炉壁部の層厚比は炉中間部の層厚比よりも小さくすることが好ましい。一方、炉壁部の層厚比を小さくし過ぎると、炉壁部に過剰にガスが流れて還元効率が悪化するため、還元材比が上昇することとなり好ましくない。よって、炉壁部と炉中間部の層厚比については、適切な関係があると考えられる。
炉径方向の層厚比分布が理想的な分布となっているか否かは、層厚比分布から算出される所定のパラメータにより判定することができる。この所定のパラメータは、堆積形状を評価するための所定の評価パラメータと言い換えることができる。例えば、炉中間部における層厚比の最大値(図2中P1点)と炉壁部における層厚比の最小値(図2中P2点)との差(以下、第1パラメータともいう)を、所定のパラメータとして用いることができる。この第1パラメータが0.40以下であるとき、上述した好ましい炉内ガスの流れを形成することができ、良好な層厚比分布となっていると考えることができる。以下、炉中間部における層厚比の最大値を炉中間部最大層厚比といい、炉壁部における層厚比の最小値を炉壁部最小層厚比という。第1パラメータの目標範囲(以下、第1目標範囲ともいう)を0.40以下とした理由は後述する。なお、第1目標範囲が0.40以下であるとは、第1目標範囲の上限値が0.40であることを意味する。
また例えば、炉中間部における層厚比の平均値に対する炉壁部における層厚比の平均値の比(以下、第2パラメータともいう)を、所定のパラメータとして用いることができる。この第2パラメータが0.77以上であるとき、上述した好ましい炉内ガスの流れを形成することができ、良好な層厚比分布となっていると考えることができる。以下、炉中間部における層厚比の平均値を炉中間部平均層厚比といい、炉壁部における層厚比の平均値を炉壁部平均層厚比という。なお、炉中間部平均層厚比、及び、炉壁部平均層厚比は、それぞれ算術平均値とすることができる。第2パラメータの目標範囲(以下、第2目標範囲ともいう)を0.77以上とした理由は後述する。なお、第2目標範囲が0.77以上であるとは、第2目標範囲の下限値が0.77であることを意味する。
図3は、良好でない層厚比分布の一例を示す。図3に示すように、炉壁部に装入する鉱石量が少ない場合、炉壁部最小層厚比が低下したり、炉壁部平均層厚比が低下したりする。よって、第1パラメータが第1目標範囲(0.40以下)を超えてしまったり、第2パラメータが第2目標範囲(0.77以上)を下回ってしまったりする。
なお、炉壁部と炉中間部との境は、炉口無次元半径:0.6〜0.9の範囲内から適宜選択することができる。炉中心部と炉中間部との境は、炉口無次元半径:0.1〜0.35の範囲内から適宜選択することができる。炉壁部と炉中間部との境、及び、炉中心部と炉中間部との境は、目標層厚比分布に応じて定めることができる。本実施形態においては炉口無次元半径で0.3以上0.7未満の範囲を炉中間部と定義し、炉口無次元半径で0.7以上1.0以下の範囲を炉壁部と定義する。
図4に、コークス比(CR)と第1パラメータの関係を示す。図4中のプロットは、炉容積4000m級の高炉の2週間分の操業実績から求めた、コークス比(CR)と第1パラメータである。図4において、第1パラメータは、ある炉周方向に設置されたプロフィールメータの測定結果から算出した値である。図4によれば、第1パラメータが大きくなるとコークス比が高くなる傾向が見て取れ、第1パラメータが0.40を超えると、コークス比が300kg/tを超える。よって、第1パラメータが0.40以下になるように、すなわち、第1パラメータが第1目標範囲に入るように層厚比分布を制御することにより、操業を安定させ、コークス比を低位に維持することができると考えられる。
図5に、コークス比(CR)と第2パラメータの関係を示す。図5中のプロットは、炉容積4000m級の高炉の2週間分の操業実績から求めた、コークス比(CR)と第2パラメータである。図5において、第2パラメータは、ある炉周方向に設置されたプロフィールメータの測定結果から算出した値である。図5によれば、第2パラメータが小さくなるとコークス比が高くなる傾向が見て取れ、第2パラメータが0.77未満になると、コークス比が300kg/tを超える。よって、第2パラメータが0.77以上になるように、すなわち、第2パラメータが第2目標範囲に入るように層厚比分布を制御することにより、操業を安定させ、コークス比を低位に維持することができると考えられる。
以上の通り、本発明者等は、ある高炉の操業実績から、コークス比が低位で安定していた操業安定期について、第1パラメータ及び第2パラメータの適正範囲を求め、第1目標範囲及び第2目標範囲を設定した。
そして、3次元プロフィールメータによる測定結果について、それらの所定パラメータ及び所定目標範囲を利用することにより、当該測定結果を、装入方法の検討に適切に反映して利用することができると考えた。
具体的には、炉周方向の複数位置で算出された層厚比分布のそれぞれについて所定パラメータを算出し、これら複数の所定パラメータのうち所定目標範囲内に収まる方位の数が所定割合以上となるように、高炉を操業する。
これにより、3次元プロフィールメータによる測定結果を、装入方法の検討に適切に反映して利用することができ、炉全体において理想とする層厚比分布を実現し、理想的な炉内ガスの流れを実現することが可能となる。炉全体で層厚比分布を管理・制御することにより、ひいては炉全体において高効率化を図ることができ、安定操業を実現してさらなる低コークス比・低還元材比操業が可能となる。
ここで、層厚比分布は炉周方向の複数位置で測定され、好ましくは少なくとも8つ以上の炉周方向において測定される。また、好ましくは、炉周方向の所定角度間隔毎に測定される。層厚比分布を算出する所定角度間隔は好ましくは45°以下であり、例えば10°に設定することができる。角度間隔を小さくするほど、炉径方向における層厚比分布をより正確に把握することができる。ただし、角度間隔を過度に小さくすると、データ量が膨大となるため、処理が煩雑となる。
所定目標範囲内に収まる所定パラメータの割合の閾値である「所定割合」は、好ましくは5割であり、より好ましくは8割である。所定割合が5割未満になると、理想的な層厚比分布が形成されない方位が増加して、操業変動を招くおそれがある。
所定目標範囲内に収まる所定パラメータの割合が所定割合未満であるとき、高炉原料の装入方法を変更する必要がある。高炉原料の装入方法を変更する際は、例えば鉱石の装入方法を変更して鉱石の装入位置を調整してもよく、コークスの装入方法を変更してコークスの装入位置を調整してもよく、いずれの方法であっても、層厚比分布を調整することができる。なお、鉱石及びコークス双方の装入位置を調整してもよい。
本発明の対象とする高炉が、図1に示すようなベルレス式装入装置を備える場合、旋回シュートの傾動角、旋回数及び旋回速度の少なくともいずれか一つを変更することにより、高炉原料の装入方法を変更することができる。例えば、鉱石の装入位置を調整する際には、鉱石ダンプにおける、あるノッチの旋回数を変更することができる。より具体的には、図3のごとく炉壁部に装入する鉱石量が少ないために、所定目標範囲内に収まる所定パラメータの割合が所定割合未満となっているとき、鉱石の装入位置を外振りに変更する。例えば、鉱石ダンプのノッチパターンが「2ノッチから8ノッチまで2旋回ずつ」であったとき、ノッチパターンを「1ノッチから7ノッチまで2旋回ずつ」に変更することにより、炉壁部に装入する鉱石量を増やし、第1パラメータ及び第2パラメータを改善することができる。また、コークスの装入位置を内振りに変更してもよい。
本発明は、高炉原料を、最下段のベル(大ベル)ホッパーから交互に切り出すと共に、炉口周壁部の円周方向に多数設けられたムーバブルアーマーのストロークを調整し、アーマープレートに衝突・反射させることにより、炉内に高炉原料を充填するベル式高炉にも適用することができる。
本発明の対象とする高炉がベル式装入装置を備える場合、大ベルの開度、大ベルの開速度、及びムーバブルアーマーのストロークの少なくともいずれか一つを変更することにより、高炉原料(鉱石及び/又はコークス)の装入方法を変更することができる。例えば、ムーバブルアーマーのストロークを小さくして鉱石の装入位置を外側に変更することができる。
また、ベルレス式高炉であるかベル式高炉であるかを問わず、炉内に堆積した高炉原料の高さを管理する管理ラインを調整することにより、高炉原料の装入方法を変更することもできる。
高炉に装入された高炉原料は充填層を形成し、この充填層の管理位置(例えば炉壁から数十cmの位置)が所定の管理ラインまで荷下がりしたときに、新しい高炉原料が炉内に装入される。この管理ラインを調整すること、具体的には、鉱石を装入する前の管理ラインを下げて鉱石層の装入位置を外側にすること、及び/又は、コークスを装入する前の管理ラインを上げてコークスの装入位置を内側にすること、によって、第1パラメータ及び第2パラメータを改善することが出来る。
管理ラインは、例えば、ストックライン(SL)の数十cm〜数m下に設定することができる。ストラックライン(SL)は、ベルレス式高炉の場合、例えば、傾動角θを最小値(θ≒0)に設定した旋回シュートの下端から数十cm下方の位置と定義することができる。または、鉱石受け金物の上端から数十cm〜数m上をストックライン(SL)と定義してもよい。また、ベル式高炉の場合、例えば、退避位置に後退させたムーバブルアーマーの下端から例えば数十cm〜数m下をストックライン(SL)と定義することができる。
いずれの方法においても、対象とする高炉について定められた理想的な層厚比分布(目標層厚比分布)となるように、適宜高炉原料の装入方法を変更することができる。すなわち、第1パラメータが第1目標範囲内に収まる方位の割合が所定割合未満であるか、第2パラメータが第2目標範囲内に収まる方位の割合が所定割合未満である場合には、鉱石及び/又はコークスの装入位置を適正位置に戻して炉壁部に適切な鉱石量を配置できる装入方法に変更する。
なお、層厚比分布から算出する所定パラメータは、堆積形状を評価するためのパラメータであればよく、第1パラメータ及び第2パラメータに限定されない。
例えば、目標層厚比分布が予め設定されている時、所定パラメータとして、当該目標層厚比分布との乖離度や一致度を示すパラメータを用いてもよい。
具体的には、目標層厚比分布における各炉口無次元半径位置での値(目標層厚比)と、測定された層厚比分布の、対応する炉口無次元半径位置での値(層厚比)との差の絶対値が、最大となるとなるときの当該差の絶対値(以下、第3パラメータという)を、所定パラメータとして用いてもよい。第3パラメータの目標範囲(以下、第3目標範囲という)は例えば0.02以下とすることができる。仮に炉全体において(すなわち、すべての炉径方向及び炉周方向において)、測定された層厚比が目標層厚比よりも0.02大きく、第3パラメータが0.02となるとき、鉱石の1チャージ当たりの装入量が2割程度増えることになり、高炉操業において無視できない影響を及ぼすことになるためである。
また例えば、目標層厚比分布における炉中間部最大層厚比(図2中P1点)を取る無次元半径位置と、測定された層厚比分布における炉中間部最大層厚比を取る無次元半径位置との距離(第4パラメータ)を、所定パラメータとして用いてもよい。第4パラメータの目標範囲(以下、第4目標範囲という)は例えば0.04以下とすることができる。
また例えば、目標層厚比分布における炉壁部最小層厚比(図2中P2点)を取る無次元半径位置と、測定された層厚比分布における炉壁部最小層厚比を取る無次元半径位置との距離(第5パラメータ)を、所定パラメータとして用いてもよい。第5パラメータの目標範囲(以下、第5目標範囲という)は例えば0.04以下とすることができる。第4パラメータまたは第5パラメータが0.04であるとき、旋回シュートのノッチ数が1ノッチ程度変化することになり、高炉操業において無視できない影響を及ぼすことになるためである。
図6のフローチャートを参照しながら、第1パラメータを改善するための装入方法の変更方法について説明する。
(ステップS101について)
3次元プロフィールメータによる測定結果を用いて、炉径方向における層厚比分布を、炉周方向所定角度間隔で算出する。3次元プロフィールメータには、炉径方向における高炉装入物の表面プロフィールを炉周方向全周に亘って測定できる測定装置が用いられ、当該測定結果を用いて炉周方向全周に亘って層厚比分布が算出される。層厚比分布を算出する所定角度間隔は、上述の通り、好ましくは45°以下であり、例えば10°に設定することができる。なお、3次元プロフィールメータにより測定される上述の情報を、三次元堆積情報と称するものとする。
3次元プロフィールメータは、マイクロ波方式であってもよいし、レーザ方式であってもよい。マイクロ波方式の3次元プロフィールメータとして、例えば、マイクロ波送受信手段に連結するアンテナと、反射角度可変の反射板とを容器内に収容し、該容器を高炉上部の適所に設けた開口に気密に取り付け、アンテナから発射されたマイクロ波ビームを反射板で反射して装入物の表面を面状に走査するとともに、表面で反射されたマイクロ波をマイクロ波送受信手段で検波して走査位置に対応する距離データを求めてマップ化する装入物プロフィールメータを用いることができる(例えば、特許文献1参照)。本明細書においては、特定の炉径方向位置のみの表面プロフィールを測定する測定装置を、2次元プロフィールメータと称し、3次元プロフィールメータと区別する。
炉径方向における層厚比分布の具体的な算出方法は、以下の通りである。すなわち、コークスを装入した後に、コークス層の三次元堆積情報を3次元プロフィールメータにより測定する。ここで、得られた三次元堆積情報を前記の所定角度ずつ抜き出し、炉径方向におけるコークス層の堆積情報を取得する。つまり、前記の所定角度毎に、コークス層の炉径方向における堆積形状(二次元堆積情報)を取得する。
その後、コークス層の上に積層された鉱石層の三次元堆積情報を3次元プロフィールメータにより測定する。ここで、得られた三次元堆積情報を前記の所定角度ずつ抜き出し、炉径方向における鉱石層の堆積情報を取得する。つまり、前記の所定角度毎に、鉱石層の炉径方向における堆積形状(二次元堆積情報)を取得する。最後に、前記の所定角度毎に炉径方向における層厚比分布を求める。
(ステップS102について)
ステップS101で求めた前記所定角度毎の層厚比分布に基づき、前記所定角度毎の第1パラメータを算出する。第1パラメータは、上述の通り、炉中間部最大層厚比と炉壁部最小層厚比との差である。
(ステップS103について)
ステップS102で求めた第1パラメータのうち5割以上が0.40以下(第1目標範囲内)であるかを判別し、5割超が第1目標範囲外の場合には(ステップS103 No)、処理はステップS104に進む。すなわち、第1目標範囲内に収まる第1パラメータの割合が5割未満であるとき(ステップS103 No)、処理はステップS104に進む。5割以上が第1目標範囲内の場合には(ステップS103 Yes)、処理はステップS105に進む。
(ステップS104について)
ステップS104において、鉱石装入位置を炉壁側に移動させる処理を行う。鉱石装入位置は、前述した方法により調整することができる。変更後の鉱石装入位置の決定方法は、特に限定しないが、例えば、各方位の第1パラメータの算術平均値を算出し、この算術平均値と第1目標範囲の上限値である0.40とを比較して決定することができる。すなわち、第1パラメータの算術平均値と0.40との差が大きい場合には、鉱石装入位置を大きく炉壁側とし、第1パラメータの算術平均値と0.40との差が大きくない場合には、鉱石装入位置を少しずつ炉壁側にずらして微調整するのがよい。
鉱石を装入する前の管理ラインを降下させることにより、鉱石装入位置を炉壁側に変更することができるところ、管理ラインが降下したか否かは、公知のサウンジング装置により把握することができる。サウンジング装置には、ワイヤに接続された重錘を炉内に垂らして、高炉充填層の上端に当接させることにより高さを測定する機械式サウンジング装置や、高炉の炉頂に取り付けられたマイクロ波距離計を用いることができる。ステップS104の処理を行うことにより、鉱石の装入位置を第1パラメータ:0.40を指向する位置に変更することができる。つまり、鉱石の装入位置が炉壁側に適切にシフトし、層厚比分布を適正化することができる。言い換えると、第1パラメータの5割以上が第1目標範囲内に収まるように、炉径方向における層厚比分布が炉周方向全体に亘って改善される。
(ステップS105について)
第1パラメータの5割以上が第1目標範囲内に収まっているため、鉱石装入位置を調整する処理は行わない。
(第2実施形態)
図7のフローチャートを参照しながら、第2パラメータを改善するための装入方法の変更方法について説明する。ただし、図6と処理が共通するステップについては、詳細な説明を省略する。
ステップS102Aにおいて、ステップS101で求めた前記所定角度毎の層厚比分布に基づき、前記所定角度毎の第2パラメータを算出する。第2パラメータは、上述の通り、炉中間部平均層厚比に対する炉壁部平均層厚比の比である。
ステップS103Aにおいて、ステップS102Aで求めた第2パラメータのうち5割以上が0.77以上(第2目標範囲内)であるかを判別し、5割超が第2目標範囲外の場合には(ステップS103A No)、処理はステップS104に進む。すなわち、第2目標範囲内に収まる第2パラメータの割合が5割未満であるとき(ステップS103A No)、処理はステップS104に進む。5割以上が第2目標範囲内の場合には(ステップS103A Yes)、処理はステップS105に進む。
ステップS104において、鉱石装入位置を調整する処理を行うことは、図6の例と同じである。このとき、例えば、各方位の第2パラメータの算術平均値を算出し、この算術平均値と第2目標範囲の下限値である0.77とを比較して、変更後の鉱石装入位置を決定することができる。
本発明について、実施例を示しながら、詳細に説明する。1/3ベルレス試験装置を用いて実高炉と同一の条件で高炉原料の装入を行い、第1パラメータ及び第2パラメータと鉱石の装入方法の関係を調べた。1/3ベルレス試験装置とは、ベルレス式炉頂装入装置を模した、実炉の1/3サイズの模型実験装置(半径1800mm程度)である。平均粒径は実炉の約1/3とし、装入量は実炉の約1/27とした。コークスの1チャージ当たりの装入量は約1.3t、鉱石の1チャージ当たりの装入量は約7.3tとした。
鉱石層及びコークス層の三次元堆積形状を3次元プロフィールメータで測定し、この測定した三次元堆積形状を炉周方向10°間隔ずつ切り出し、各方位における堆積形状を取得した。各方位における堆積形状を取得した後、各方位の層厚比分布を求めるとともに、各方位について第1パラメータ及び第2パラメータを算出した。
図8のグラフに、各方位における第1パラメータの値を示す。図8中の白抜きのプロット(○)は、鉱石の装入方法を調整する前の層厚比分布から算出された第1パラメータの値であり、図8中の破線は、第1目標範囲の上限値(0.40)を示す。鉱石の装入方法を調整する前の、第1目標範囲内に入る第1パラメータの割合は、0割であった。
そこで、炉壁側への鉱石の装入量を増加させるため、鉱石ダンプにおいて、全ノッチを炉壁側に1ノッチだけずらし、鉱石ダンプを外振りに変更した。図8中の黒丸のプロット(●)は、鉱石の装入方法を調整した後の層厚比分布から算出された第1パラメータの値である。鉱石の装入方法を調整した結果、第1目標範囲内に入る第1パラメータの割合は、8割に改善された。
図9のグラフに、各方位における第2パラメータの値を示す。
図9中の白抜きのプロット(○)は、鉱石の装入方法を調整する前の層厚比分布から算出された第2パラメータの値であり、図9中の破線は、第2目標範囲の下限値(0.77)を示す。鉱石の装入方法を調整する前の、第2目標範囲内に入る第2パラメータの割合は、0割であった。
図9中の黒丸のプロット(●)は、鉱石の装入方法を調整した後の層厚比分布から算出された第2パラメータの値である。鉱石の装入方法を調整した結果、第2目標範囲内に入る第2パラメータの割合は、8割に改善された。
3 ベルトコンベア
4a、4b 固定ホッパー
5 旋回シュート
7 貯留ホッパー
8 流調ゲート

Claims (12)

  1. 鉱石層とコークス層との合計層厚に対する鉱石層の厚みの比である層厚比の、炉径方向における分布を示す層厚比分布を、3次元プロフィールメータにより、炉周方向の複数位置で測定する第1ステップと、
    前記第1ステップで算出した各前記層厚比分布のそれぞれについて、所定パラメータを算出する第2ステップと、
    前記第2ステップで算出した複数の前記所定パラメータのうち所定割合以上が所定目標範囲内に収まるか否かを判定する第3ステップと、
    前記所定目標範囲内に収まる前記所定パラメータの割合が前記所定割合未満であるとき、高炉原料の装入方法を変更する第4ステップと、を有することを特徴とする高炉の操業方法。
  2. 前記第1ステップは、前記層厚比分布を炉周方向所定角度毎に測定するステップであることを特徴とする、請求項1に記載の高炉の操業方法。
  3. 前記所定パラメータは、炉中間部における前記層厚比の最大値と炉壁部における前記層厚比の最小値との差であることを特徴とする、請求項1または2に記載の高炉の操業方法。
  4. 前記所定目標範囲は、0.40以下であることを特徴とする、請求項3に記載の高炉の操業方法。
  5. 前記所定パラメータは、炉中間部における前記層厚比の平均値に対する炉壁部における前記層厚比の平均値の比であることを特徴とする、請求項1または2に記載の高炉の操業方法。
  6. 前記所定目標範囲は、0.77以上であることを特徴とする、請求項5に記載の高炉の操業方法。
  7. 目標とする層厚比の炉径方向における分布である目標層厚比分布が予め設定されており、
    前記所定パラメータは、前記層厚比分布と前記目標層厚比分布との乖離度を示すパラメータであり、前記層厚比と前記目標とする層厚比との差の絶対値が最大となる炉径方向位置における当該差の絶対値として算出されることを特徴とする、請求項1または2に記載の高炉の操業方法。
  8. 前記高炉はベルレス式装入装置を備え、前記第4ステップは、旋回シュートの傾動角、旋回数、旋回速度の少なくともいずれか一つを変更して鉱石及び/又はコークスの装入位置を調整するステップであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の高炉の操業方法。
  9. 前記高炉はベル式装入装置を備え、前記第4ステップは、大ベルの開度、大ベルの開速度、ムーバブルアーマーのストロークの少なくともいずれか一つを変更して鉱石及び/又はコークスの装入位置を調整するステップであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の高炉の操業方法。
  10. 前記第4ステップは、炉内に堆積した高炉原料の高さを管理する管理ラインを調整して鉱石及び/又はコークスの装入位置を調整するステップであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の高炉の操業方法。
  11. 前記所定割合が5割であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の高炉の操業方法。
  12. 前記所定割合が8割であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の高炉の操業方法。
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