JP6327383B1 - 高炉における装入物分布制御方法 - Google Patents
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Abstract
Description
高炉の操業では、炉頂部での装入物分布を適正な状態に維持することが重要であり、装入物分布が適正でないとガス流分布の不均一化、ガス通気性の低下、還元効率の低下などにより、生産性の低下や高炉操業の不安定化を招く。
炉頂部から原料を装入する手段として、旋回シュート(分配シュート)を備えたベルレス装入装置が広く用いられており、この装入装置では、旋回シュートの傾動角と旋回数を選択することにより、炉半径方向での原料の落下位置と堆積量を調整することで、装入物分布を制御するようにしている。
また、原料の装入時には炉内装入物堆積面を測定することができないため、原料の堆積過程を把握することができない。このため、原料堆積のどの過程に問題があるかが分からず、装入物分布制御の精度を向上させることが困難である。
[1]旋回シュートを備えたベルレス装入装置により、高炉内に鉱石(但し、鉱石にコークスの一部及び/又は副原料を混合した混合原料の場合を含む。)とコークスを交互に装入し、鉱石層(但し、前記混合原料による混合原料層の場合を含む。)とコークス層を交互に積層させる原料装入を行うとともに、1チャージでの鉱石とコークスの装入のうち少なくとも一方の装入を1バッチで行うに際し、
高炉の炉頂部に設置された炉内装入物面のプロフィール測定装置であって、炉内装入物面までの距離を電波式の距離計で測定するとともに、該距離計の検出波放射方向を炉径方向に走査させて得られた炉内装入物面までの距離データに基づき、炉内装入物面のプロフィールを測定するプロフィール測定装置を用いて、少なくとも各バッチでの装入後の炉内装入物面のプロフィールを測定し、該プロフィールに基づき各バッチで装入された鉱石とコークスの装入分布を求め、この装入分布に基づいて、炉内装入層の最上部における鉱石層厚さ比[Lo/(Lc+Lo)](但し、Lo:鉱石層厚さ、Lc:コークス層厚さ)が下記(a)〜(d)の条件を満足する装入分布となるように、鉱石の装入における少なくとも1つのバッチでの旋回シュートのノッチ又は/及び旋回数を調整することを特徴とする高炉における装入物分布制御方法。
(a)第1領域の平均値:0.5未満
(b)第2領域の平均値:0.6以上0.9未満
(c)第3領域の平均値:0.4以上0.8未満
(d)第1領域の平均値<第3領域の平均値<第2領域の平均値
但し、炉半径方向における炉中心からの距離をr(m)、炉口部での炉内半径をRt(m)とした場合に、炉半径方向における炉内領域を、炉中心側から順に、r/Rt≦0.20:第1領域、0.20<r/Rt≦0.80:第2領域、0.80<r/Rt:第3領域とする。
[3]上記[2]の装入物分布制御方法において、1チャージでの鉱石の装入を2バッチで行う場合、第1バッチ及び第2バッチでの炉壁に最も近い鉱石装入位置を、少なくとも1ノッチ分炉中心側にシフトさせることを特徴とする高炉における装入物分布制御方法。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの装入物分布制御方法において、(a)〜(d)の条件を満足する装入分布となるように、少なくとも1つのバッチにおいて、r/Rt:0.8近傍の領域が鉱石装入位置となるノッチでの旋回シュートの旋回数を増加させることで、r/Rt:0.7〜0.8の領域での鉱石層厚さ比[Lo/(Lc+Lo)]の平均値を増加させることを特徴とする高炉における装入物分布制御方法。
[5]上記[4]の装入物分布制御方法において、1チャージでの鉱石の装入を2バッチで行う場合、第1バッチにおいて、r/Rt:0.8近傍の領域が鉱石装入位置となるノッチでの旋回シュートの旋回数を増加させることで、r/Rt:0.7〜0.8の領域での鉱石層厚さ比[Lo/(Lc+Lo)]の平均値を増加させることを特徴とする高炉における装入物分布制御方法。
鉱石層の還元性を向上させるなどの目的で、鉱石にコークスの一部を混合した混合原料を装入する方法(鉱石コークス混合装入法)や鉱石に副原料を混合した混合原料を装入する方法が採られる場合があり、本発明において高炉内に鉱石を装入するとは、上記但し書きのように、鉱石にコークスの一部及び/又は副原料を混合した混合原料を装入する場合を含み、したがって、鉱石層とは、そのような混合原料による混合原料層(コークス及び/又は副原料混合鉱石層)の場合を含む。
ここで、副原料とは、スラグのCaO、SiO2、MgO成分などを調整するために使用される原料であり、鉱石と混合して装入されるもの(但し、焼結鉱やペレットの一部として含まれる副原料は除く)としては、例えば、石灰石、珪石、蛇紋岩などが挙げられる。
旋回シュートを備えたベルレス装入装置では、炉頂バンカーから旋回シュートに原料(鉱石、コークスなど)が供給され、旋回シュートが旋回しながら原料を装入する。旋回シュートは、高炉の中心軸(垂線)に対して傾動可能であり、その傾動角の調整により炉半径方向での原料落下位置を選択することができる。通常、1バッチの原料装入で旋回シュートの傾動角を複数段階で変化させ、各傾動角で旋回シュートを1回以上旋回させる。複数段階に変化させる傾動角はノッチNo.で表わされ、例えば、ノッチNo.1:傾動角55°、ノッチNo.2:傾動角53°・・・ノッチNo.19:傾動角19°ノッチNo.20:傾動角17°というように設定する。したがって、各バッチでの旋回シュートのノッチ又は/及び旋回数を調整することで装入物分布を制御することができる。
このプロフィール測定装置は、電波式の距離計の検出波放射方向を炉径方向に走査させて、炉内装入物面までの距離を連続的に測定できるものであれば、その構成を問わないが、特に、以下のような実施形態のものが好ましい。
収納室7内にアンテナ2が配置されるとともに、収納室7の外側(炉体20の外側)に検出波送受信器1が配置されている。検出波送受信器1とアンテナ2を接続する導波管4は、ケーシング6を貫通し、その先端にアンテナ2が支持されている。
また、収納室7内に、アンテナ2と対向するようにして検出波反射板3が配置されている。収納室7の外側(炉体20の外側)には検出波反射板3を回動させるための駆動装置8が配置され、その回転駆動軸9がケーシング6を貫通し、その先端に検出波反射板3が支持されている。
なお、炉内装入物の吹き抜け時に、吹き上げられた原料が検出波反射板3に当たって反射面13などが破損することがないようにするため、非測定時においては、検出波反射板3はその背面側(反射面13の反対側)が開口部12に向くような回動位置に停止できるようにしている。
アンテナ2としては、パラボラアンテナ、ホーンアンテナなどを用いることができる。なお、これらのなかでは、レンズ付きホーンアンテナが指向特性に優れているので特に好ましい。
検出波反射板3は、例えば、ステンレスなどの金属材からなり、形状は限定しないが、通常は円形である。検出波反射板3を駆動装置8の回転駆動軸9で回転させることにより、アンテナ2からその中心軸方向に送信され、検出波反射板3で反射する検出波の放射方向を炉径方向に走査させることができる。
このプロフィール測定装置は、検出波送受信器1で受信して検出したデータに基づきアンテナ2から炉内装入物面までの距離を算出し、さらに、この距離データから炉内装入物面のプロフィールを求めるデータ処理部15を有している。
(a)第1領域の平均値:0.5未満
(b)第2領域の平均値:0.6以上0.9未満
(c)第3領域の平均値:0.4以上0.8未満
(d)第1領域の平均値<第3領域の平均値<第2領域の平均値
なお、以下の説明においては、炉内装入層の最上部における炉半径方向での鉱石層厚さ比[Lo/(Lc+Lo)]を、単に“[Lo/(Lc+Lo)]”という。
(i)少なくとも1つのバッチでの炉壁に最も近い鉱石装入位置を、少なくとも1ノッチ分炉中心側にシフトさせる。例えば、1チャージでの鉱石の装入を2バッチで行う場合、第1バッチ及び第2バッチでの炉壁に最も近い鉱石装入位置を、少なくとも1ノッチ分炉中心側にシフトさせる。
(ii)少なくとも1つのバッチにおいて、r/Rt=0.8近傍の領域が鉱石装入位置となるノッチでの旋回シュートの旋回数を増加させることで、r/Rt=0.7〜0.8の領域での[Lo/(Lc+Lo)]の平均値を増加させる。例えば、1チャージでの鉱石の装入を2バッチで行う場合、第1バッチにおいて、r/Rt=0.8近傍の領域が鉱石装入位置となるノッチでの旋回シュートの旋回数を増加させることで、r/Rt=0.7〜0.8の領域での[Lo/(Lc+Lo)]の平均値を増加させる。
この操業例では、原料(鉱石、コークス)装入の各バッチにおける旋回シュートの1旋回毎に、プロフィール測定装置で炉内装入物面のプロフィールを測定した。
図3は、本発明法を適用する前の炉内装入層最上部における装入分布(1チャージでのコークス、鉱石の装入分布)を示しており、図4は、図3の炉内装入層最上部における炉半径方向での[Lo/(Lc+Lo)]を示している。
図3及び図4は、上述したプロフィール測定装置を用いて各バッチでの装入後の炉内装入物面のプロフィールを測定し、このプロフィールに基づき各バッチで装入された鉱石とコークスの装入分布を求めたものである。この点は、後述する操業例の各図面についても同様である。
本実施例では、旋回シュートの傾動角を25段階(ノッチNo.1〜25)で変化させることができる原料装入装置を用いた。
図3の装入分布について、O2の1旋回毎の装入位置と原料推定落下位置を比較すると、O2の鉱石は原料推定落下位置を起点に、炉中心部方向に広範囲に堆積していることが判った。O1の落下位置が炉周辺部側に偏りすぎているために、炉中心部方向への傾斜角が大きくなり、落下後の原料の流れ込みが過大となったものと判断された。
図5は、このアクション(1)による原料装入後の炉半径方向での[Lo/(Lc+Lo)]を、図4の[Lo/(Lc+Lo)]と比較して示している。また、図6は、アクション(1)による原料装入後の炉半径方向でのガス利用率ηCO(水平ゾンデηCO)を、図3の装入分布における炉半径方向でのガス利用率ηCOと比較して示している。なお、図5及び図6において「ベース」とは、図3及び図4の装入分布での[Lo/(Lc+Lo)]とガス利用率ηCOである。
図5によれば、アクション(1)後の[Lo/(Lc+Lo)]は、図4の[Lo/(Lc+Lo)]と較べて、r/Rt=0.7〜0.8の領域の[Lo/(Lc+Lo)]が増加し、一方、r/Rt=0.5前後の領域の[Lo/(Lc+Lo)]が減少している。これらの結果、図6に示すように炉周辺部のガス利用率ηCOが向上している。
図7は、このアクション(2)による原料装入後の炉半径方向での[Lo/(Lc+Lo)]を、図5の[Lo/(Lc+Lo)](アクション(1)後の[Lo/(Lc+Lo)])と比較して示している。また、図8は、アクション(2)による原料装入後の炉半径方向でのガス利用率ηCO(水平ゾンデηCO)を、図6のガス利用率ηCO(アクション(1)後のガス利用率ηCO)と比較して示している。
図7によれば、アクション(2)後の[Lo/(Lc+Lo)]は、アクション(1)後の[Lo/(Lc+Lo)]と較べて、第2領域(炉中間部)中のr/Rt=0.7〜0.8の領域の[Lo/(Lc+Lo)]が増加し、図中に点線で示したような目標とする[Lo/(Lc+Lo)]に近づけることができた。これらの結果、図8に示すように、炉中間部のガス利用率ηCOが向上している。
2 アンテナ
3 検出波反射板
4 導波管
5 窓孔
6 ケーシング
7 収納室
8 駆動装置
9 回転駆動軸
10 仕切弁
11 開閉駆動部
12 開口部
13 反射面
14 ガス供給管
15 データ処理部
20 炉体
21 旋回シュート
Claims (5)
- 旋回シュートを備えたベルレス装入装置により、高炉内に鉱石(但し、鉱石にコークスの一部及び/又は副原料を混合した混合原料の場合を含む。)とコークスを交互に装入し、鉱石層(但し、前記混合原料による混合原料層の場合を含む。)とコークス層を交互に積層させる原料装入を行うとともに、1チャージでの鉱石とコークスの装入のうち少なくとも一方の装入を1バッチで行うに際し、
操業中、高炉の炉頂部に設置された炉内装入物面のプロフィール測定装置であって、炉内装入物面までの距離を電波式の距離計で測定するとともに、該距離計の検出波放射方向を炉径方向に走査させて得られた炉内装入物面までの距離データに基づき、炉内装入物面のプロフィールを測定するプロフィール測定装置を用いて、少なくとも各バッチでの装入後の炉内装入物面のプロフィールを測定し、該プロフィールに基づき各バッチで装入された鉱石とコークスの装入分布を求め、この装入分布に基づいて、炉内装入層の最上部における鉱石層厚さ比[Lo/(Lc+Lo)](但し、Lo:鉱石層厚さ、Lc:コークス層厚さ)が下記(a)〜(d)の条件を満足する装入分布となるように、鉱石の装入における少なくとも1つのバッチでの旋回シュートのノッチ又は/及び旋回数を調整することを特徴とする高炉における装入物分布制御方法。
(a)第1領域の平均値:0.5未満
(b)第2領域の平均値:0.6以上0.9未満
(c)第3領域の平均値:0.4以上0.8未満
(d)第1領域の平均値<第3領域の平均値<第2領域の平均値
但し、炉半径方向における炉中心からの距離をr(m)、炉口部での炉内半径をRt(m)とした場合に、炉半径方向における炉内領域を、炉中心側から順に、r/Rt≦0.20:第1領域、0.20<r/Rt≦0.80:第2領域、0.80<r/Rt:第3領域とする。 - (a)〜(d)の条件を満足する装入分布となるように、少なくとも1つのバッチでの炉壁に最も近い鉱石装入位置を、少なくとも1ノッチ分炉中心側にシフトさせることを特徴とする請求項1に記載の高炉における装入物分布制御方法。
- 1チャージでの鉱石の装入を2バッチで行う場合、第1バッチ及び第2バッチでの炉壁に最も近い鉱石装入位置を、少なくとも1ノッチ分炉中心側にシフトさせることを特徴とする請求項2に記載の高炉における装入物分布制御方法。
- (a)〜(d)の条件を満足する装入分布となるように、少なくとも1つのバッチにおいて、r/Rt:0.8近傍の領域が鉱石装入位置となるノッチでの旋回シュートの旋回数を増加させることで、r/Rt:0.7〜0.8の領域での鉱石層厚さ比[Lo/(Lc+Lo)]の平均値を増加させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高炉における装入物分布制御方法。
- 1チャージでの鉱石の装入を2バッチで行う場合、第1バッチにおいて、r/Rt:0.8近傍の領域が鉱石装入位置となるノッチでの旋回シュートの旋回数を増加させることで、r/Rt:0.7〜0.8の領域での鉱石層厚さ比[Lo/(Lc+Lo)]の平均値を増加させることを特徴とする請求項4に記載の高炉における装入物分布制御方法。
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