JP2017095403A - 中性脂肪低下用薬剤、体重増加抑制用薬剤、排泄量増加用薬剤、飲食品、飼料および医薬品 - Google Patents

中性脂肪低下用薬剤、体重増加抑制用薬剤、排泄量増加用薬剤、飲食品、飼料および医薬品 Download PDF

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文善 笠原
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千尋 宮島
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Abstract

【課題】体内の中性脂肪を低下させるための中性脂肪低下用薬剤、体重の増加を抑制するための体重増加抑制用薬剤、排泄量を増加させるための排泄量増加用薬剤、飲食品、飼料および医薬品を提供する。
【解決手段】アルギン酸カルシウムを有効成分として含有する、体内の中性脂肪を低下させるための中性脂肪低下用薬剤、体重の増加を抑制するための体重増加抑制用薬剤、排泄量を増加させるための排泄量増加用薬剤、飲食品、飼料および医薬品である。
【選択図】なし

Description

本発明は、体内の中性脂肪を低下させるための中性脂肪低下用薬剤、体重の増加を抑制するための体重増加抑制用薬剤、排泄量を増加させるための排泄量増加用薬剤、飲食品、飼料および医薬品に関する。
アルギン酸は、コンブ、ワカメ等の褐藻類等に含まれる天然多糖類である。アルギン酸、アルギン酸塩、およびその誘導体は、食品分野では増粘剤、安定剤、ゲル化剤等として利用され、その他にも医薬品、化粧品、繊維加工等、幅広い用途に利用されている。
アルギン酸は食物繊維の一種であり、アルギン酸塩の中でも例えばアルギン酸ナトリウムは血中コレステロール低下作用、便通改善効果があり、ドリンク剤として製品化されている。アルギン酸ナトリウムは水溶性のアルギン酸塩であり、その水溶液はとても高い粘性を持つ。そのため、上記ドリンク剤に用いられるアルギン酸ナトリウムは高濃度で飲用出来るよう特殊な方法で低分子化されている(非特許文献1−3参照)。
しかし、食物繊維としての効果をより発揮させるためには本来、高分子の状態で摂取すべきである。
また、上記ドリンク剤に用いられるアルギン酸塩はナトリウム塩であるため、高濃度で摂取した場合、服用者のナトリウム負荷が大きくなる可能性が高いため、高血圧症などナトリウム負荷をかけられないヒト等への使用は望ましくない。なお、血圧への影響の少ないアルギン酸カリウム等の使用も考えられるが、アルギン酸カリウムもアルギン酸ナトリウムと同じ水溶性のアルギン酸塩であるため、低分子化が必要である。また、過剰に摂取すると高カリウム血症のおそれもある。
一方、非特許文献4には、アルギン酸カルシウム含有食品の摂取による、脚のむくみに及ぼす影響が記載され、非特許文献5には、アルギン酸カルシウム含有食品の単回摂取による、食後の血中中性脂肪値と血糖値に及ぼす影響が記載されている。また、特許文献1には、アルギン酸カルシウムを有効成分として含有するセシウム排泄剤が記載されている。
国際公開第2014/038630号パンフレット
浅岡力ら著、「健常男性の血清総コレステロール値に対する低分子化アルギン酸ナトリウムの効果」、栄養−評価と治療、1996年発行、13巻、4号、p.86−91 奥恒行ら著、「低分子アルギン酸ナトリウム含有コーンポタージュの便通量ならびに便性状の改善効果」、Progress in Medicine、2000年発行、20巻、10号、p.181−189 辻啓介ら著、「食物繊維のナトリウム吸着能が高血圧自然発症ラットの血圧に及ぼす影響」、日本家政学会誌、1988年発行、39巻、3号、p.187−195 澤邊昭義ら著、「成人女性を対象とした、アルギン酸カルシウム含有食品の摂取による脚のむくみに及ぼす影響」、食生活研究、2013年発行、33巻、2号、p.102−108 澤邊昭義ら著、「成人男性を対象とした、アルギン酸カルシウム含有食品の単回摂取による食後の血中中性脂肪値および血糖値に及ぼす影響」、食生活研究、2013年発行、33巻、2号、p.109−114
本発明の目的は、体内の中性脂肪を低下させるための中性脂肪低下用薬剤、体重の増加を抑制するための体重増加抑制用薬剤、排泄量を増加させるための排泄量増加用薬剤、飲食品、飼料および医薬品を提供することにある。
本発明は、アルギン酸カルシウムを有効成分として含有し、0.15g以上のアルギン酸カルシウムが、ヒトまたは動物に対して1日あたり1〜3回で、少なくとも1日間経口投与されるように用いられる、体内の中性脂肪を低下させるための中性脂肪低下用薬剤である。
本発明は、アルギン酸カルシウムを有効成分として含有する、体重の増加を抑制するための体重増加抑制用薬剤である。
本発明は、アルギン酸カルシウムを有効成分として含有し、0.15g以上のアルギン酸カルシウムが、ヒトまたは動物に対して1日あたり1〜3回で、少なくとも1日間経口投与されるように用いられる、体重の増加を抑制するための体重増加抑制用薬剤である。
本発明は、アルギン酸カルシウムを有効成分として含有する、排泄量を増加させるための排泄量増加用薬剤である。
本発明は、アルギン酸カルシウムを有効成分として含有し、0.15g以上のアルギン酸カルシウムが、ヒトまたは動物に対して1日あたり1〜3回で、少なくとも1日間経口投与されるように用いられる、排泄量を増加させるための排泄量増加用薬剤である。
本発明は、前記薬剤を含有する飲食品である。
本発明は、前記薬剤を含有する飼料である。
本発明は、前記薬剤を含有する医薬品である。
本発明では、アルギン酸カルシウムを有効成分として含有させることにより、体内の中性脂肪を低下させるための中性脂肪低下用薬剤、体重の増加を抑制するための体重増加抑制用薬剤、排泄量を増加させるための排泄量増加用薬剤、飲食品、飼料および医薬品を提供することができる。
試験例1における、接餌量で補正した、5週間後の体重増加抑制効果の比較を示す図である。 試験例1における、接餌量の累計の推移を示す図である。 試験例2における、試験例2における、摂取TG累計量で補正した、血漿中のトリグリセリド(TG)濃度AUC(mg×w/dL)の0〜5週間の推移を示す図である。 試験例2における、摂取TG累計量で補正した、5週間後の中性脂肪低下効果の比較を示す図である。 試験例3における、5週間後の3日分の糞の排泄量(体重に対する割合(%))の比較を示す図である。 試験例3における、5週間後の3日分の糞中のトリグリセリド(TG)総排泄量(3日間の摂取TG量に対する割合(%))を示す図である。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施形態に係る体内の中性脂肪を低下させるための中性脂肪低下用薬剤は、アルギン酸カルシウムを有効成分として含有する。また、本実施形態に係る中性脂肪低下用薬剤は、アルギン酸カルシウムを有効成分として含有し、0.15g以上のアルギン酸カルシウムが、ヒトまたは動物に対して1日あたり1〜3回で、少なくとも1日間経口投与されるように用いられるものである。
本発明の実施形態に係る体重の増加を抑制するための体重増加抑制用薬剤は、アルギン酸カルシウムを有効成分として含有する。また、本実施形態に係る体重増加抑制用薬剤は、アルギン酸カルシウムを有効成分として含有し、0.15g以上のアルギン酸カルシウムが、ヒトまたは動物に対して1日あたり1〜3回で、少なくとも1日間経口投与されるように用いられるものである。
本発明の実施形態に係る排泄量を増加させるための排泄量増加用薬剤は、アルギン酸カルシウムを有効成分として含有する。また、本実施形態に係る排泄量増加用薬剤は、アルギン酸カルシウムを有効成分として含有し、0.15g以上のアルギン酸カルシウムが、ヒトまたは動物に対して1日あたり1〜3回で、少なくとも1日間経口投与されるように用いられるものである。
本発明者らは、アルギン酸および各種アルギン酸塩の、体内の中性脂肪に対する低下効果、体重の増加抑制効果および排泄量増加効果を検討したところ、有効成分としてアルギン酸ナトリウムやアルギン酸カリウムではなく、アルギン酸カルシウムを用いることにより、ヒトまたは動物の体内の中性脂肪を低下させる、体重の増加を抑制する、または排泄量を増加させる新たな解決手段を見出した。さらに、本実施形態に係る薬剤によれば、中性脂肪低下効果および体重増加抑制効果を有しつつ、排泄量増加効果が発揮される。また、同じ食事量(食餌量)でも体重増加抑制効果が得られる。本実施形態に係る薬剤では、体内の中性脂肪を低下させる、体重の増加を抑制する、または排泄量を増加させるアルギン酸カルシウムを有効成分として含有するので、例えば、経口的に摂取することで、ヒトまたは動物の体内の中性脂肪を低下させる、体重の増加を抑制する、または排泄量を増加させることができる。また、アルギン酸カルシウムは水に不溶の塩であるため、高分子であっても摂取方法を問わず摂取することができ、低分子化する必要のあるアルギン酸ナトリウムやアルギン酸カリウムに比べて、上記効果をより発揮させることができる。また、アルギン酸カルシウムを用いることにより、アルギン酸カルシウムやアルギン酸カリウムのような高濃度で摂取した場合におそれのある高血圧症、高カリウム血症等への影響も少ない。
アルギン酸は、生分解性の高分子多糖類であって、D−マンヌロン酸(M)とL−グルロン酸(G)という2種類のウロン酸が直鎖状に重合したポリマーである。より具体的には、D−マンヌロン酸のホモポリマー画分(MM画分)、L−グルロン酸のホモポリマー画分(GG画分)、およびD−マンヌロン酸とL−グルロン酸がランダムに配列した画分(MG画分)が任意に結合したブロック共重合体である。アルギン酸のD−マンヌロン酸とL−グルロン酸の構成比(M/G比)は、主に海藻等の由来となる生物の種類によって異なる。本実施形態において用いるアルギン酸カルシウムのM/G比は、特に制限はない。
アルギン酸カルシウムは低分子であろうが高分子であろうが水に不溶の塩であるため、水に入れても粘性をほとんど示さない。本実施形態において用いるアルギン酸カルシウムをイオン交換反応でアルギン酸ナトリウムにした際の粘度は特に制限はないが、10%水溶液粘度が60mPa・s以上のものを含有しうる。さらに好ましくは10%水溶液粘度が1000mPa・s以上、より好ましくは1%水溶液粘度が100mPa・s以上のものを用いることができる。
有効成分であるアルギン酸カルシウムは、中性脂肪低下用薬剤としては、その有効摂取量として、0.15g以上のアルギン酸カルシウムが、ヒトまたは動物に対して単回摂取ではなく、少なくとも2回以上継続的に摂取されることが好ましい。有効成分であるアルギン酸カルシウムは、中性脂肪低下用薬剤としては、その有効摂取量として、0.15g以上のアルギン酸カルシウムが、ヒトまたは動物に対して1日あたり1〜3回で、少なくとも1日間、好ましくは少なくとも7日間、より好ましくは少なくとも14日間、さらに好ましくは少なくとも21日間、特に好ましくは少なくとも28日間、さらに特に好ましくは少なくとも35日間摂取されることが好ましく、0.4g以上のアルギン酸カルシウムが、ヒトまたは動物に対して1日あたり1〜3回で、少なくとも1日間、好ましくは少なくとも7日間、より好ましくは少なくとも14日間、さらに好ましくは少なくとも21日間、特に好ましくは少なくとも28日間、さらに特に好ましくは少なくとも35日間摂取されることがより好ましく、0.6g以上のアルギン酸カルシウムが、ヒトまたは動物に対して1日あたり1〜3回で、少なくとも1日間、好ましくは少なくとも7日間、より好ましくは少なくとも14日間、さらに好ましくは少なくとも21日間、特に好ましくは少なくとも28日間、さらに特に好ましくは少なくとも35日間摂取されることがさらに好ましく、2.4g以上のアルギン酸カルシウムが、ヒトまたは動物に対して1日あたり1〜3回で、少なくとも1日間、好ましくは少なくとも7日間、より好ましくは少なくとも14日間、さらに好ましくは少なくとも21日間、特に好ましくは少なくとも28日間、さらに特に好ましくは少なくとも35日間摂取されることが特に好ましい。
有効成分であるアルギン酸カルシウムは、体重増加抑制用薬剤、排泄量増加用薬剤としては、その有効摂取量として、0.15g以上のアルギン酸カルシウムが、ヒトまたは動物に対して1日あたり1〜3回で、少なくとも1日間、好ましくは少なくとも7日間、より好ましくは少なくとも14日間、さらに好ましくは少なくとも21日間、特に好ましくは少なくとも28日間、さらに特に好ましくは少なくとも35日間摂取されることが好ましく、0.4g以上のアルギン酸カルシウムが、ヒトまたは動物に対して1日あたり1〜3回で、少なくとも1日間、好ましくは少なくとも7日間、より好ましくは少なくとも14日間、さらに好ましくは少なくとも21日間、特に好ましくは少なくとも28日間、さらに特に好ましくは少なくとも35日間摂取されることがより好ましく、0.6g以上のアルギン酸カルシウムが、ヒトまたは動物に対して1日あたり1〜3回で、少なくとも1日間、好ましくは少なくとも7日間、より好ましくは少なくとも14日間、さらに好ましくは少なくとも21日間、特に好ましくは少なくとも28日間、さらに特に好ましくは少なくとも35日間摂取されることがさらに好ましく、2.4g以上のアルギン酸カルシウムが、ヒトまたは動物に対して1日あたり1〜3回で、少なくとも1日間、好ましくは少なくとも7日間、より好ましくは少なくとも14日間、さらに好ましくは少なくとも21日間、特に好ましくは少なくとも28日間、さらに特に好ましくは少なくとも35日間摂取されることが特に好ましい。
アルギン酸カルシウムの有効摂取量の上限には、特に制限はないが、例えば、1日あたりの食事量の10質量%以下である。
アルギン酸カルシウムの単回摂取では、少なくとも中性脂肪の継続的な増加抑制効果、体重の増加抑制効果および排泄量増加効果は観察されない。また、アルギン酸カルシウムの単回摂取では、同じ食事量(食餌量)での体重増加抑制効果も得られない。本実施形態に係る薬剤は、単回投与ではなく、少なくとも2回以上継続的に投与されることにより、体内の中性脂肪を低下させる効果が発揮され、さらに体重の増加を抑制する効果、または排泄量増加効果が発揮される。そして、本実施形態に係る薬剤は、単回投与ではなく、少なくとも2回以上継続的に投与されることにより、体内の中性脂肪を低下させ、かつ、体重の増加を抑制し、さらに、排泄量を増加させる効果が発揮される。また、同じ食事量(食餌量)でも体重増加抑制効果が得られる。
本実施形態に係る薬剤は、アルギン酸カルシウムを有効成分として含有し、公知の医薬的または薬学的に許容される担体や賦形剤、その他添加剤を含む医薬組成物とすることができる。その医薬組成物を用いて、錠剤、散剤、細粒剤、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、徐放性製剤、経口ゼリー剤、経口液剤等の医薬品とすることができる。また、医薬組成物には、公知の安定剤、増粘剤、増量剤、着色剤および芳香剤等の補助的添加剤を含有してもよい。
本発明の実施形態に係る体内の中性脂肪を低下させる、体重の増加を抑制する、または排泄量を増加させることを目的とした医薬品は、アルギン酸カルシウムを有効成分として含有し、ヒトまたは動物の体内の中性脂肪を低下させる、体重の増加を抑制する、または排泄量を増加させるために用いられる。
ここで、「医薬品」には、アルギン酸カルシウムを含有して摂取できる医療用医薬品、医療用用途に開発された保健用食品、およびヒト以外の動物用に開発された動物用医薬品等を含む。
さらに、上記アルギン酸カルシウムを飲食品に配合することにより、ヒトの体内の中性脂肪を低下させる、体重の増加を抑制する、または排泄量を増加させるために用いられる、体内の中性脂肪を低下させる、体重の増加を抑制する、または排泄量を増加させることを目的とした飲食品とすることができる。また、上記アルギン酸カルシウムを飼料に配合することにより、動物の体内の中性脂肪を低下させる、体重の増加を抑制する、または排泄量を増加させるために用いられる、体内の中性脂肪を低下させる、体重の増加を抑制する、または排泄量を増加させることを目的とした飼料とすることができる。
配合する飲食品には特に制限はなく、例えば、飲料、焼き菓子、冷菓、錠菓、キャンディー、グミ、ゼリー、キャラメル、ジャム、チョコレート、ガム、和菓子、スープ類、パン、各種レトルト食品、惣菜、魚介練製品、ハム、ソーセージ類、調味料、サプリメント等が挙げられる。また、配合される飼料にも特に制限はなく、養鶏、牛、豚等の畜産、魚の養殖用の飼料等が挙げられる。
上記飲食品または飼料における上記アルギン酸カルシウムの配合割合は、飲食品または飼料のそれぞれの主目的に対して影響を与えない程度であれば特に制限はなく、商品形態に応じて広範な使用形態を選択することができる。具体的には、飲食品または飼料の固形分当たりの配合割合として、スープや飲料等、または飼料に配合する場合は0.025〜10質量%以上であることが好ましく、クッキーやパン等に配合する場合は30〜60質量%以上であることが好ましい。カプセルや錠剤等に配合する場合は60〜100質量%であることが好ましい。ゼリー状または粘性のある液体等に配合する場合は0.025〜10質量%以上であることが好ましい。なお、上記アルギン酸カルシウムをそのまま粉末として、もしくは打錠成形等をして、本実施形態に係る飲食品または飼料とすれば、添加物を含有しない、より自然な飲食品または飼料とすることができるので好ましい。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例では、以下の材料を使用した。
通常餌:ラット用飼料AIN−93(日本クレア製)
ラード:米山薬品工業株式会社製 豚油(ラード)
トリグリセリド:和光純薬製試薬TG−E−test
高分子アルギン酸カルシウム:イオン交換反応でアルギン酸ナトリウムとした場合の1%水溶液粘度が108mPa・s
難消化性デキストリン:松谷化学工業株式会社製 難消化性デキストリン ファイバーソル2
高脂肪食は通常餌にラードを14質量%になるように配合した。高分子アルギン酸カルシウムは高脂肪食に1質量%、2.5質量%、5質量%、10質量%で配合し、用量依存性を検討した。ポジティブコントロールは難消化性デキストリン2.5質量%、5質量%とした。
<実施例1>
[ラード配合アルギン酸カルシウム飼料の調製]
ラット用飼料AIN−93にラードが14質量%、高分子アルギン酸カルシウムが1質量%、2.5質量%、5質量%、10質量%となるように混合して調製した。
<比較例1>
[ラード配合飼料の調製]
ラット用飼料AIN−93にラードが14質量%となるように混合して調製した。
<比較例2>
[ラード配合難消化性デキストリン飼料の調製]
ラット用飼料AIN−93にラードが14質量%、難消化性デキストリン2.5質量%、5質量%となるように混合して調製した。
<試験例1>
[体重増加抑制効果]
実施例1で調製したラード配合アルギン酸カルシウム飼料(高分子アルギン酸カルシウム(Alg)が1質量%、2.5質量%、5質量%、10質量%)、比較例1で調製したラード配合飼料(HF:対照)および比較例2で調製したラード配合難消化性デキストリン飼料(難消化性デキストリン(RMD)が2.5質量%、5質量%)によるラットの体重抑制効果を比較した。
各飼料を5週間与えて、ラット(SD系雄性ラット(4週齢〜8週齢)、n=3)を飼育し、0〜5週間の摂餌量、体重の推移を測定した。ラード配合飼料の摂餌累計量(5週間)n=3の平均値を基準として、他の摂餌累計量の基準比を算出し、体重を基準比で除して補正した。その結果を図1に示す。また、接餌量の累計の推移を図2に示す。
その結果、ラード配合アルギン酸カルシウム飼料(高分子アルギン酸カルシウム(Alg)2.5質量%、5質量%、10質量%配合)で有意に体重増加抑制効果が見られた。また、接餌量には有意差は見られなかった。
<試験例2>
[体内の中性脂肪低下効果]
実施例1で調製したラード配合アルギン酸カルシウム飼料(高分子アルギン酸カルシウム(Ca−Alg)が1質量%、2.5質量%、5質量%、10質量%)、比較例1で調製したラード配合飼料(HF)、比較例2で調製したラード配合難消化性デキストリン飼料(難消化性デキストリン(RMD)が2.5質量%、5質量%)および通常餌(AIN−93)によるラットの体内の中性脂肪低下効果を比較した。
各飼料を5週間与えて、ラット(SD系雄性ラット(4週齢〜8週齢)、n=3)を飼育し、0〜5週間の血漿中のトリグリセリド(TG)濃度AUC(mg×w/dL)を測定した。摂取TG累計量で補正した、血漿中のトリグリセリド(TG)濃度AUC(mg×w/dL)の0〜5週間の推移を図3に、5週間後の比較を図4に示す。ラード配合飼料の摂取TG累計量(5週間)n=3の平均値を基準として、他の摂取TG累計量の基準比を算出し、血漿中のトリグリセリド(TG)濃度AUCを基準比で除して補正した。
その結果、ラード配合アルギン酸カルシウム飼料(Ca−Alg)を摂取したものは、比較例1のラード配合飼料(HF)と比較して、血漿中のトリグリセリド(TG)濃度AUCの上昇幅が抑えられた。特に、高分子アルギン酸カルシウム(Ca−Alg)が1質量%、10質量%の飼料において、5週間後の血漿中のトリグリセリド(TG)濃度AUCが有意に減少し、中性脂肪低下効果が見られた。
なお、ラード配合飼料(HF)のトリグリセリド(TG)濃度推移が大きく変動しており、通常餌の変動が小さいことから、ホメオスタシスが働いていると推察される。また、ラード配合アルギン酸カルシウム飼料(Ca−Alg)を摂取したものは、トリグリセリド(TG)濃度変動幅が小さい傾向があり、アルギン酸カルシウムによってトリグリセリド(TG)濃度上昇が抑制されていると考えられる。
<試験例3>
[排泄量増加効果、中性脂肪排泄促進効果]
実施例1で調製したラード配合アルギン酸カルシウム飼料(高分子アルギン酸カルシウム(Alg)が1質量%、2.5質量%、5質量%、10質量%)、比較例1で調製したラード配合飼料(HF:対照)および比較例2で調製したラード配合難消化性デキストリン飼料(難消化性デキストリン(RMD)が2.5質量%、5質量%)によるラットの排泄量増加効果、中性脂肪排泄促進効果を比較した。
各飼料を5週間与えて、ラット(SD系雄性ラット(4週齢〜8週齢)、n=3)を飼育し、5週間後の3日分の糞の排泄量(体重に対する割合(%))を測定した。その結果を図5に示す。また、5週間後の3日分の糞中のトリグリセリド(TG)総排泄量(3日間の摂取TG量に対する割合(%))を測定した。その結果を図6に示す。
その結果、ラード配合アルギン酸カルシウム飼料(高分子アルギン酸カルシウム(Alg)5質量%、10質量%配合)で有意に排泄量が増加した。ラード配合アルギン酸カルシウム飼料(高分子アルギン酸カルシウム(Alg)2.5質量%、5質量%、10質量%配合)で有意に中性脂肪排泄促進効果が見られた。
このように、アルギン酸カルシウムを有効成分として含有させることにより、体内の中性脂肪を低下させる、体重の増加を抑制する、または排泄量を増加させるための薬剤を得ることができた。そして、アルギン酸カルシウムを有効成分として含有する薬剤は、継続的に投与されることにより、体内の中性脂肪を低下させ、かつ、体重の増加を抑制し、さらに、排泄量を増加させる効果が発揮された。この薬剤を飲食品、飼料または医薬品に配合することにより、体内の中性脂肪を低下させる、体重の増加を抑制する、または排泄量を増加させることを目的とした飲食品、飼料または医薬品とすることができる。

Claims (8)

  1. アルギン酸カルシウムを有効成分として含有し、0.15g以上のアルギン酸カルシウムが、ヒトまたは動物に対して1日あたり1〜3回で、少なくとも1日間経口投与されるように用いられることを特徴とする、体内の中性脂肪を低下させるための中性脂肪低下用薬剤。
  2. アルギン酸カルシウムを有効成分として含有することを特徴とする、体重の増加を抑制するための体重増加抑制用薬剤。
  3. アルギン酸カルシウムを有効成分として含有し、0.15g以上のアルギン酸カルシウムが、ヒトまたは動物に対して1日あたり1〜3回で、少なくとも1日間経口投与されるように用いられることを特徴とする、体重の増加を抑制するための体重増加抑制用薬剤。
  4. アルギン酸カルシウムを有効成分として含有することを特徴とする、排泄量を増加させるための排泄量増加用薬剤。
  5. アルギン酸カルシウムを有効成分として含有し、0.15g以上のアルギン酸カルシウムが、ヒトまたは動物に対して1日あたり1〜3回で、少なくとも1日間経口投与されるように用いられることを特徴とする、排泄量を増加させるための排泄量増加用薬剤。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の薬剤を含有することを特徴とする飲食品。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の薬剤を含有することを特徴とする飼料。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の薬剤を含有することを特徴とする医薬品。
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