JP2017095297A - シリカ粒子の製造方法およびシリカ粒子 - Google Patents
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Abstract
【課題】短時間で球状のシリカ粒子を製造できるシリカ粒子の製造方法および複数のエステル基を有するポリフェノールを含むシリカ粒子を提供する。【解決手段】シリカ粒子の製造方法は、溶媒中で、複数のエステル基を有するポリフェノールとシランカップリング剤とを混合することによりシリカ粒子を生成させる工程を含む。ポリフェノールは、単糖ユニットと、単糖ユニットにエステル結合で連結した複数の第1芳香族ヒドロキシカルボン酸ユニットと、を含んでもよい。【選択図】図1
Description
本発明は、ポリフェノールを用いたシリカ粒子の製造方法およびポリフェノールを含むシリカ粒子に関する。
シリカ粒子は、触媒、触媒担体、吸着剤、樹脂用フィラー、化粧品原料など、様々な用途に利用されている。また、様々な形状のシリカ粒子についても検討されており、球状のシリカ粒子に関する研究も多い。球状のシリカ粒子の製法としては、ステーバー法が有名である(非特許文献1)。
ステーバー法を利用する方法として、特許文献1は、塩基性溶媒中で、アルキルアンモニウムハライド(界面活性剤)とシリカ原料とを混合することにより、シリカ多孔体前駆体粒子を形成することを提案している。前駆体粒子を酸性溶液中で加熱することにより、球状シリカメソ多孔体が得られる。
J.Colloid and Interface Science,26,pp62−69(1968)
ステーバー法では、シリカ粒子を球状に成長させるには、前駆体粒子を生成させる際に、原料成分を徐々に添加、混合して、一晩放置する必要があるなど、長い時間を要する。
本発明の目的は、短時間で球状のシリカ粒子を製造できるシリカ粒子の製造方法および複数のエステル基を有するポリフェノールを含むシリカ粒子を提供することである。
本発明の目的は、短時間で球状のシリカ粒子を製造できるシリカ粒子の製造方法および複数のエステル基を有するポリフェノールを含むシリカ粒子を提供することである。
本発明の一局面は、溶媒中で、複数のエステル基を有するポリフェノールとシランカップリング剤とを混合することによりシリカ粒子を生成させる工程を含む、シリカ粒子の製造方法に関する。
本発明の他の一局面は、複数のエステル基を有するポリフェノールを含む、シリカ粒子に関する。
本発明によれば、短時間で球状のシリカ粒子を製造できる。また、複数のエステル基を有するポリフェノールを含むシリカ粒子を提供することができる。
(シリカ粒子の製造方法)
本発明に係るシリカ粒子の製造方法は、溶媒中で、複数のエステル基を有するポリフェノールとシランカップリング剤とを混合することによりシリカ粒子を生成させる工程(第1工程)を含む。
従来のステーバー法では、球状シリカ粒子が得られるものの、原料成分を徐々に添加、混合して、一晩放置するなど長い時間が必要となる。本発明では、溶媒中で原料成分を混合するという極めて簡便な工程を経るだけにも拘わらず、短時間で球状のシリカ粒子を生成させることができる。より具体的には、混合開始直後から球状のシリカ粒子が生成する。従って、製造のスケールにもよるが、10秒から数十分(遅くとも1時間)以内の時間混合を行うだけで球状のシリカ粒子を得ることができる。
本発明に係るシリカ粒子の製造方法は、溶媒中で、複数のエステル基を有するポリフェノールとシランカップリング剤とを混合することによりシリカ粒子を生成させる工程(第1工程)を含む。
従来のステーバー法では、球状シリカ粒子が得られるものの、原料成分を徐々に添加、混合して、一晩放置するなど長い時間が必要となる。本発明では、溶媒中で原料成分を混合するという極めて簡便な工程を経るだけにも拘わらず、短時間で球状のシリカ粒子を生成させることができる。より具体的には、混合開始直後から球状のシリカ粒子が生成する。従って、製造のスケールにもよるが、10秒から数十分(遅くとも1時間)以内の時間混合を行うだけで球状のシリカ粒子を得ることができる。
球状のシリカ粒子が得られる詳しいメカニズムは定かではないが、上記のポリフェノールの非存在下で、シランカップリング剤を溶媒中で攪拌しても球状粒子は生成しない。この点から、上記のポリフェノールが存在することで、シランカップリング剤が規則的に配列し易くなるとともに、シランカップリング剤が、配列した状態で、加水分解縮合反応し易くなると考えられる。シランカップリング剤の配列の状態は定かではないが、シランカップリング剤の加水分解縮合反応により球状シリカ粒子が得られることから、おそらく球状かそれに近い状態に配列しているのではないかと考えられる。そして、シランカップリング剤が配列する際には、ポリフェノールが有する複数のエステル基および/または複数のヒドロキシ基(おそらく、中でもエステル基)に、シランカップリング剤が何らかの相互作用(例えば、吸着や水素結合など)をしていると考えられる。
ポリフェノールとの相互作用によりポリフェノールの周囲に配列するシランカップリング剤分子の数は、制限されるものと考えられる。そのため、本発明では、得られるシリカ粒子の粒子径のばらつきを少なくすることができ、粒度分布を狭くすることができる。本発明では、例えば、ポリフェノールとシランカップリング剤とを一度に混合しても、粒子径のばらつきが少ないシリカ粒子を得ることができる。
第1工程を経ることにより得られるシリカ粒子は、複数のエステル基を有するポリフェノールの存在下で、シランカップリング剤を加水分解縮合反応させることにより形成される。得られるシリカ粒子は、複数のエステル基を有するポリフェノールを含んでいる。本発明には、複数のエステル基を有するポリフェノールを含むシリカ粒子も包含される。このようなシリカ粒子は、シリカとポリフェノールとの複合材料となっている。なお、本発明のシリカ粒子には、シリカ粒子におけるポリフェノールの一部のヒドロキシ基および/または一部のエステル基が、反応により変化している場合も含まれる。
本発明に係るシリカ粒子の製造方法は、さらに、シリカ粒子を焼成する工程(第2工程)を含んでもよい。第1工程で得られたシリカ粒子を第2工程で焼成すると、シリカ粒子中に含まれる上記のポリフェノールが除去される。第2工程を経ることにより得られるシリカ粒子は、ポリフェノールを含まないか、もしくはポリフェノールの含有量が第1工程で得られるシリカ粒子に比べて低減されている。
以下に本発明に係る製造方法の各工程についてより詳細に説明する。
以下に本発明に係る製造方法の各工程についてより詳細に説明する。
(第1工程)
第1工程では、溶媒中で、ポリフェノールと、シランカップリング剤とを混合する。混合物中では、シランカップリング剤の加水分解縮合反応が進行して、シリカ粒子が生成する。上述のように、ポリフェノールとシランカップリング剤との相互作用により、シランカップリング剤が配列した状態で、加水分解縮合反応が起こると考えられ、これにより、球状のシリカ粒子を生成させることができる。
第1工程では、溶媒中で、ポリフェノールと、シランカップリング剤とを混合する。混合物中では、シランカップリング剤の加水分解縮合反応が進行して、シリカ粒子が生成する。上述のように、ポリフェノールとシランカップリング剤との相互作用により、シランカップリング剤が配列した状態で、加水分解縮合反応が起こると考えられ、これにより、球状のシリカ粒子を生成させることができる。
本発明によれば、球形度が高い球状のシリカ粒子を簡便な方法により短時間で得ることができる。このようなシリカ粒子の平均球形度は、例えば、0.90〜1.00であってもよく、好ましくは0.95〜1.00である。第1工程で得られるシリカ粒子は、上記のポリフェノールを含んでいる。
なお、平均球形度は、シリカ粒子のSEM画像において、任意に選択した複数(例えば、50個)のシリカ粒子のそれぞれの面積および周囲長を計測し、これらの値から各シリカ粒子の球形度を算出し、平均化することにより求めることができる。シリカ粒子の球形度は、下記式に基づいて算出できる。なお、シリカ粒子の面積とは、SEM画像におけるシリカ粒子の輪郭の内側の領域の面積であり、シリカ粒子の投影面積と同じである。
球形度=4×π×面積/(周囲長)2
球形度=4×π×面積/(周囲長)2
(ポリフェノール)
本発明で用いられるポリフェノールは、複数のエステル基と、複数のヒドロキシ基(フェノール性ヒドロキシ基)とを含んでいる。このエステル基および/またはヒドロキシ基に、シランカップリング剤が相互作用すると考えられる。
ポリフェノールに含まれるエステル基は、例えば、2〜20個であり、5〜15個であることが好ましく、5〜10個または8〜10個であることがさらに好ましい。ポリフェノールに含まれるヒドロキシ基は、例えば、5〜30個であり、5〜25個または15〜25個であることが好ましく、20〜25個であることがさらに好ましい。
本発明で用いられるポリフェノールは、複数のエステル基と、複数のヒドロキシ基(フェノール性ヒドロキシ基)とを含んでいる。このエステル基および/またはヒドロキシ基に、シランカップリング剤が相互作用すると考えられる。
ポリフェノールに含まれるエステル基は、例えば、2〜20個であり、5〜15個であることが好ましく、5〜10個または8〜10個であることがさらに好ましい。ポリフェノールに含まれるヒドロキシ基は、例えば、5〜30個であり、5〜25個または15〜25個であることが好ましく、20〜25個であることがさらに好ましい。
シランカップリング剤は、ポリフェノールの周囲に配列すると考えられるため、球形度が高いシリカ粒子を生成させるには、ポリフェノールの形状もある程度影響すると考えられる。詳細は定かではないが、ポリフェノールが平面形状に近い方が、球状のシリカ粒子が得られ易い。また、ポリフェノールの形状は、円形に近いほど、球状のシリカ粒子が得られ易い。このような形状となり易いポリフェノールとして、例えば、コアユニットと、コアの周囲に連結したデンドロンとを有するデンドリマーなどを使用してもよい。
ポリフェノールとしては、例えば、単糖ユニット(コア)と、単糖ユニットにエステル結合で連結した複数の第1芳香族ヒドロキシカルボン酸ユニット(第1世代のデンドロン)と、を含むものを用いてもよい。ポリフェノールは、さらに、第1芳香族ヒドロキシカルボン酸ユニットにエステル結合で連結した第2芳香族ヒドロキシカルボン酸ユニット(第2世代のデンドロン)を含むものであってもよい。
単糖ユニットに対応する単糖としては、ケトースでもよいが、平面構造を形成し易い観点からは、アルドースが好ましい。単糖としては、例えば、キシロースなどのアルドペントース;アロース、グルコース、マンノース、ガラクトースなどのアルドヘキソースなどが好ましい。単糖ユニットとしては、中でも、グルコースユニットなどのアルドヘキソースユニットが好ましい。単糖は、L体、DL体、およびD体のいずれであってもよい。
単糖は複数のヒドロキシ基を有しており、ポリフェノールでは、コアとなる単糖のヒドロキシ基の個数に応じて、第1芳香族ヒドロキシカルボン酸ユニットを導入できる。例えば、単糖ユニットがグルコースユニットである場合、1つのグルコースユニット当たり、5個まで芳香族ヒドロキシカルボン酸ユニットを導入できる。単糖ユニットに対応する単糖が有するヒドロキシ基の個数は、例えば、1〜5個であり、ポリフェノールの構造が平面状に広がり易い観点からは、3〜5個であることが好ましく、4個または5個がさらに好ましい。
ポリフェノールでは、単糖のヒドロキシ基に、第1芳香族ヒドロキシカルボン酸ユニットに対応する第1芳香族ヒドロキシカルボン酸のカルボキシ基がエステル結合する形で、単糖ユニットと第1芳香族ヒドロキシカルボン酸ユニットとが連結している。ポリフェノールが第2芳香族ヒドロキシカルボン酸ユニットを含む場合には、第1芳香族ヒドロキシカルボン酸のヒドロキシ基に、第2芳香族ヒドロキシカルボン酸ユニットに対応する第2芳香族ヒドロキシカルボン酸のカルボキシ基がエステル結合する形で、第1芳香族ヒドロキシカルボン酸ユニットと第2芳香族ヒドロキシカルボン酸ユニットとが連結している。単糖のヒドロキシ基の全てが、第1芳香族ヒドロキシカルボン酸のカルボキシ基と結合していてもよく、ヒドロキシ基の一部がフリーの状態であってもよい。第1芳香族ヒドロキシカルボン酸のカルボキシ基の全てが、単糖のヒドロキシ基および/または第2芳香族ヒドロキシカルボン酸のヒドロキシ基と結合していてもよく、一部のカルボキシ基がフリーの状態であってもよい。第2芳香族ヒドロキシカルボン酸のカルボキシ基の全てが、第1芳香族ヒドロキシカルボン酸のヒドロキシ基と結合していてもよく、一部のカルボキシ基がフリーの状態であってもよい。ただし、ポリフェノールは複数のフェノール性ヒドロキシ基を有するため、第1芳香族ヒドロキシカルボン酸ユニットおよび/または第2芳香族ヒドロキシカルボン酸ユニットには、複数のフリーのフェノール性ヒドロキシ基が残った状態である。
第1芳香族ヒドロキシカルボン酸ユニットおよび第2芳香族ヒドロキシカルボン酸ユニットに対応する芳香族ヒドロキシカルボン酸(第1芳香族ヒドロキシカルボン酸および第2芳香族ヒドロキシカルボン酸のそれぞれ)としては、例えば、サリチル酸、ジヒドロキシ安息香酸、オルセリン酸、没食子酸、およびこれらの二量体またはその脱水環化物などが挙げられる。ヒドロキシ基およびカルボキシ基は、それぞれ、芳香環に直接結合しているものが好ましい。各芳香族ヒドロキシカルボン酸におけるヒドロキシ基の個数は、例えば、1〜8個であり、1〜6個が好ましく、平面状に広がった構造を形成し易い観点からは、2〜6個がさらに好ましい。各芳香族ヒドロキシカルボン酸におけるカルボキシ基の個数は、例えば、1〜4個であり、1〜2個が好ましい。中でも、平面状に広がった構造を形成し易いため、没食子酸、没食子酸二量体またはその脱水環化物が好ましい。
第1芳香族ヒドロキシカルボン酸ユニットと、第2芳香族ヒドロキシカルボン酸ユニットとは、同じであってもよく、異なっていてもよい。ポリフェノールに含まれる複数の第1芳香族ヒドロキシカルボン酸ユニットは、互いに異なっていてもよいが、平面構造を形成し易い観点からは、同じである方が好ましい。同様に、ポリフェノールに含まれる複数の第2芳香族ヒドロキシカルボン酸ユニットは、互いに異なっていてもよいが、同じである方が好ましい。
ポリフェノールの具体例としては、加水分解型タンニンが挙げられる。加水分解型タンニンは、単糖ユニットと芳香族ヒドロキシカルボン酸ユニットとを含んでいる。加水分解型タンニンとしては、例えば、ガロタンニン、ペンタガロイルグルコース、タンニン酸、ゲンノショウコ、チョウジ、ケブロタンニン、トルコタンニンなどが挙げられる。加水分解型タンニンは、合成物であってもよく、天然物の抽出物や抽出物を分離または精製したものであってもよい。加水分解型タンニンには、一般に加水分解型植物タンニン(またはピロガロール系植物タンニン)と呼ばれるものも含まれる。入手が容易であり、平面状に広がった構造を取り易い観点からは、タンニン酸を含むポリフェノールを用いることが有利である。
ポリフェノールは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリフェノールは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリフェノールは、上述のようにできるだけ平面形状であることが好ましい。
ポリフェノールの分子サイズ(分子の面方向における最大長)は、例えば、0.5nm〜5nm、好ましくは0.5nm〜3nmまたは1nm〜2nmである。
上記の分子の最大長は、例えば、Avogadroなどの構造解析ソフトを用いて、構造式から分子構造を最適化することにより求めることができる。
ポリフェノールの分子サイズ(分子の面方向における最大長)は、例えば、0.5nm〜5nm、好ましくは0.5nm〜3nmまたは1nm〜2nmである。
上記の分子の最大長は、例えば、Avogadroなどの構造解析ソフトを用いて、構造式から分子構造を最適化することにより求めることができる。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤は、反応性官能基と加水分解縮合性官能基とを有している。
加水分解縮合性基としては、アルコキシ基が好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが例示できる。アルコキシ基の炭素数は、例えば、1〜6個であり、反応速度を高める観点からは、1〜4個または1〜3個が好ましい。シランカップリング剤における加水分解性縮合性基の個数は、1分子あたり、2〜4個であり、3個または4個が好ましい。シランカップリング剤において、複数の加水分解性縮合性基は互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
シランカップリング剤は、反応性官能基と加水分解縮合性官能基とを有している。
加水分解縮合性基としては、アルコキシ基が好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが例示できる。アルコキシ基の炭素数は、例えば、1〜6個であり、反応速度を高める観点からは、1〜4個または1〜3個が好ましい。シランカップリング剤における加水分解性縮合性基の個数は、1分子あたり、2〜4個であり、3個または4個が好ましい。シランカップリング剤において、複数の加水分解性縮合性基は互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
反応性官能基としては、ポリフェノールが有するエステル基および/またはヒドロキシ基に相互作用し易いものが好ましいと考えられる。反応性官能基としては、例えば、アミノ基、メルカプト基、ウレイド基、イソシアヌレート基、およびエポキシ基からなる群より選択される少なくとも一種が挙げられる。これらの反応性官能基のうち、アミノ基、メルカプト基、ウレイド基、および/またはイソシアヌレート基が好ましい。なお、アミノ基には、遊離のアミノ基、一置換アミノ基および二置換アミノ基が含まれるが、ウレイド基やイソシアヌレート基は含まないものとする。一置換アミノ基としては、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アミノアルキルアミノ基などが例示できる。二置換アミノ基としては、ジアルキルアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アルキリデンアミノ基などが例示できる。アミノ基のうち、遊離のアミノ基(−NH2)を含むものが好ましい。つまり、アミノ基が、一置換アミノ基または二置換アミノ基の場合には、遊離の末端アミノ基(−NH2)を有するものが好ましい。反応性官能基は、シランカップリング剤のSi原子に直接結合していてもよいが、アルキレン基やアルキリデン基を介してSi原子に結合していることが多い。アルキレン基やアルキリデン基の炭素数は、例えば、1〜6個であり、2〜6個または2〜4個が好ましい。シランカップリング剤における反応性官能基の個数は、1分子当たり、少なくとも1個あればよく、2個であってもよい。
シランカップリング剤は、反応性官能基および加水分解縮合性基以外の官能基を有していてもよい。このような官能基としては、例えば、アルキル基、アリール基などが挙げられる。
アミノ基を有するシランカップリング剤の具体例としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ジメチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。メルカプト基を有するシランカップリング剤の具体例としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。ウレイド基を有するシランカップリング剤としては、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどが例示される。イソシアヌレート基を有するシランカップリング剤としては、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートなどが例示される。エポキシ基を有するシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどが例示される。ただし、シランカップリング剤は、これらに限定されるものではない。シランカップリング剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリフェノールとシランカップリング剤とのモル比(=ポリフェノール:シランカップリング剤)は、例えば、1:2〜1:50である。球状シリカ粒子の凝集を抑制する観点からは、モル比は、1:2〜1:20であることが好ましい。また、滑らかな表面のシリカ粒子が得られ易い観点からは、モル比は、1:10〜1:20であることが好ましい。なお、球状シリカ粒子を凝集させると、球状シリカ粒子間に比較的大きなサイズの空孔(マクロ孔)が形成されることとなる。このようなマクロ孔を有する球状シリカ粒子の凝集物が得られ易い観点からは、モル比を、1:20よりもシランカップリング剤が多く、1:50よりシランカップリング剤が少なくなるようにすることが好ましく、特に、1:30またはそれよりもシランカップリング剤が多く、1:50よりもシランカップリング剤が少なく(さらには、1:40またはそれによりもシランカップリング剤が少なく)なるようにすることが好ましい。なお、マクロ孔は、シリカ粒子のSEM画像などから確認することができる。
シランカップリング剤の反応性官能基1つ当たりのポリフェノールにおけるエステル基(−O−C(=O)−)の個数は、例えば、0.2〜5個であり、球状シリカ粒子の凝集を抑制する観点からは、0.5〜5個であることが好ましい。また、滑らかな表面のシリカ粒子が得られ易い観点からは、上記のエステル基の個数は、1〜5個であることが好ましい。また、シランカップリング剤の反応性官能基1つ当たりのポリフェノールにおけるヒドロキシ基(−OH)の個数は、例えば、0.5〜12.5個であり、球状シリカ粒子の凝集を抑制する観点からは、1〜12.5個であることが好ましい。また、滑らかな表面のシリカ粒子が得られ易い観点からは、上記のヒドロキシ基の個数は、1〜2.5個であることが好ましい。
第1工程において、ポリフェノールとシランカップリング剤とを含む混合物は、酸性であってもよいが、より短時間でシリカ粒子を生成させる観点からは、塩基性であることが好ましい。塩基性の反応性官能基を有するシランカップリング剤を用いることで、混合物を塩基性にしてもよいし、さらに塩基(塩基触媒)を添加することで混合物を塩基性にしてもよい。塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどの無機塩基を用いてもよく、トリエチルアミンなどの有機塩基を用いてもよい。塩基は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。混合物のpHは、9以上であることが好ましく、9〜11であることがより好ましい。なお、酸性条件で、脱水縮合反応を行う場合には、必要に応じて、混合物に酸(酸触媒)を添加してもよい。酸性条件で脱水縮合反応を行う場合、塩基性条件で行う場合と比較して反応速度は遅くなるものの、緻密なシリカ粒子が得られ易い。
第1工程において、混合は、溶媒中に、ポリフェノールとシランカップリング剤とを添加し、攪拌することにより行ってもよく、一方の成分を溶媒中に溶解した溶液に、他方の成分を添加し、攪拌することにより行ってもよい。また、混合は、ポリフェノールおよび第1溶媒を含む溶液(第1溶液)と、シランカップリング剤および第2溶媒を含む溶液(第2溶液)とを混合することにより行ってもよい。この場合、上記溶媒は、第1溶媒および第2溶媒を含むが、第1溶媒と第2溶媒とは同じものであってもよく、異なっていてもよい。第1溶液と第2溶液とを混合する場合、一度に混合してもよく、複数回に分けて混合してもよく、第1溶液と第2溶液とを徐々に(つまり、少量ずつ)混合してもよい。第1溶液および第2溶液を一度に混合しても、球状のシリカ粒子を生成させることができる。
溶媒としては、水、有機溶媒、またはこれらの混合溶媒が使用される。有機溶媒としては、例えば、アルコール(例えば、エタノールなどの脂肪族アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類);アセトンなどのケトン;アセトニトリルなどのニトリル;メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類などが挙げられる。有機溶媒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。溶媒のうち、水が好ましく、水と有機溶媒との混合溶媒を用いる場合には、有機溶媒として水溶性の有機溶媒を用いることが好ましい。第1溶媒および第2溶媒のそれぞれもこれらの溶媒から適宜選択できる。第1溶媒としてポリフェノールを溶解し易いもの(例えば、水)を用い、第2溶媒としてシランカップリング剤を溶解し易いもの(例えば、水溶性アルコールまたは水溶性アルコールと水との混合物)を用いてもよい。脱水縮合反応の効率を高める観点からは、第1溶媒と第2溶媒とを同じにしたり、異なる場合でも互いに相溶のものを第1溶媒および第2溶媒として選択したりすることが好ましい。
一方の成分を含む溶液、第1溶液や第2溶液を調製する場合には、第1工程で溶液の調製と上記の混合とを一連の工程として行ってもよい。また、第1工程に先立って、別工程として溶液を調製してもよい。
混合物中のポリフェノールの濃度は、例えば、0.1〜10質量%であり、0.1〜5質量%であることが好ましい。混合物中のシランカップリング剤の濃度は、例えば、0.1〜30質量%であり、0.5〜20質量%であることが好ましい。
混合する際の混合物の温度は、混合物に含まれる成分の沸点以下の温度であれば特に制限されないが、例えば、5〜50℃であってもよく、10〜40℃であってもよい。混合物の温度が室温(20〜30℃)であっても、シリカ粒子を短時間で生成させることができる。
混合は、加圧下で行ってもよいが、大気圧下で行うことができる。また、混合は、不活性ガス(窒素、アルゴンなど)雰囲気下で行ってもよいが、大気中で行うことができる。
混合時間は、製造スケールにもよるが、例えば、10秒〜1時間であり、10秒〜60分または10秒〜40分と短い時間でシリカ粒子を生成することができる。
混合時間は、製造スケールにもよるが、例えば、10秒〜1時間であり、10秒〜60分または10秒〜40分と短い時間でシリカ粒子を生成することができる。
シリカ粒子には、必要に応じて、公知の分離方法により混合物から分離する分離処理を行ってもよい。また、必要に応じて、公知の精製方法により精製する精製処理を行ってもよい。シリカ粒子には、必要に応じて乾燥処理を行ってもよい。これらの処理は、第1工程で行ってもよく、第1工程の後に別工程として行ってもよい。別工程として行う場合には、第2工程の前に行えばよい。第2工程を実施する場合には、第2工程に先立って、少なくとも分離処理を行うことが好ましく、分離処理と乾燥処理とを行ってもよい。また、第2工程に先立って、分離処理、精製処理および乾燥処理の全てを行ってもよい。乾燥処理は、少なくとも混合物中の溶媒を除去できる条件で行うことが望ましい。
(第2工程)
第2工程では、第1工程で得られたシリカ粒子を焼成する。第2工程により、シリカ粒子に含まれるポリフェノールを除去することができる。未反応のシランカップリング剤や溶媒がシリカ粒子に残存している場合には、これらについても第2工程で除去することができる。
第2工程では、第1工程で得られたシリカ粒子を焼成する。第2工程により、シリカ粒子に含まれるポリフェノールを除去することができる。未反応のシランカップリング剤や溶媒がシリカ粒子に残存している場合には、これらについても第2工程で除去することができる。
焼成温度は、例えば、300〜900℃であり、400〜800℃または500〜700℃であってもよい。焼成温度は、使用するポリフェノールの種類(分解温度など)に応じて決定してもよい。
焼成時間は、例えば、1〜10時間であり、2〜7時間であってもよい。
焼成は、大気中などの酸素雰囲気下で行うことができる。
焼成時間は、例えば、1〜10時間であり、2〜7時間であってもよい。
焼成は、大気中などの酸素雰囲気下で行うことができる。
第2工程により、シリカ粒子中に含まれるポリフェノールが除去されるが、除去された部分には、空孔が形成される。よって、第2工程を経て得られるシリカ粒子は、多孔質シリカ粒子である。このように、本発明では、球状の多孔質シリカ粒子を簡便な方法により得ることができる。
ポリフェノールの分子サイズは比較的小さく、焼成によりシリカ粒子は収縮するため、得られる球状の多孔質シリカ粒子は、極微小な空孔(ウルトラミクロ孔)を有する。多孔質シリカ粒子の空孔径分布において、ピーク空孔径dpは、例えば、0.2〜0.7nmであり、0.3〜0.6nmであってもよい。なお、ピーク空孔径dpは、窒素吸脱着等温線からSF法により求めることができる。
球状の多孔質シリカ粒子の平均粒子径は、例えば、10nm〜5μmであり、50nm〜5μmまたは100nm〜5μmであってもよい。
本明細書中、シリカ粒子の平均粒子径は、例えば、シリカ粒子のSEM画像において、任意の複数(例えば、50個)のシリカ粒子についてそれぞれ粒子径を計測し、平均化することにより求めることができる。
本明細書中、シリカ粒子の平均粒子径は、例えば、シリカ粒子のSEM画像において、任意の複数(例えば、50個)のシリカ粒子についてそれぞれ粒子径を計測し、平均化することにより求めることができる。
また、本発明の製造方法によれば、シリカ粒子の粒子径のばらつきを少なくすることができる。シリカ粒子の粒子径のばらつきは、粒子径の変動係数により評価することができる。シリカ粒子の粒子径の変動係数は、例えば、20%以下であり、15%以下にまで小さくすることもできる。
粒子径の変動係数は、シリカ粒子のSEM画像において、任意の複数(例えば、50個)の粒子についてそれぞれ粒子径を計測して、上述のように平均粒子径と、標準偏差とを求め、これらの値から算出することができる。なお、変動係数は、標準偏差/平均粒子径×100(%)である。
球状の多孔質シリカ粒子のBET法による比表面積は、例えば、200〜800m2/gであり、300〜600m2/gであってもよい。このように、多孔質シリカ粒子は、比較的大きな比表面積を有する。
本発明に係る製造方法は、バッチ式で行ってもよく、連続式で行ってもよい。シリカ粒子の生成に要する時間を従来に比べて大幅に短縮できるとともに、チューブリアクターなどを用いて連続式でシリカ粒子を製造することもできるため、量産化に適している。
(シリカ粒子)
本発明に係るシリカ粒子は、複数のエステル基を有する上記のポリフェノールを含んでいる。このようなシリカ粒子は、少なくとも上記の第1工程を経ることにより得られ、シリカ粒子中にポリフェノールが残存した状態である。
本発明に係るシリカ粒子は、複数のエステル基を有する上記のポリフェノールを含んでいる。このようなシリカ粒子は、少なくとも上記の第1工程を経ることにより得られ、シリカ粒子中にポリフェノールが残存した状態である。
シリカ粒子は、粒子内部にポリフェノールを含んでいる。そのため、シリカ粒子の表面をポリフェノールで修飾する場合などとは異なり、シリカ粒子中のポリフェノールの含有量は比較的多い。本発明に係るシリカ粒子中のポリフェノールの含有量は、例えば、25〜65質量%であり、30〜65質量%または35〜65質量%と高くすることもできる。
また、シリカ粒子は、上述のように球形度が高い。球形度が高いことにより、シリカ粒子は様々な用途に用いることができる。
ポリフェノールを含む球状シリカ粒子の平均粒子径は、例えば、20nm〜10μmであり、100nm〜1μmであってもよい。
ポリフェノールを含む球状シリカ粒子の平均粒子径は、例えば、20nm〜10μmであり、100nm〜1μmであってもよい。
ポリフェノールを含む球状シリカ粒子の粒子径のばらつきも小さい。このような球状シリカ粒子の粒子径の変動係数は、例えば、20%以下であり、15%以下にまで小さくすることもできる。ポリフェノールを含む球状シリカ粒子の粒子径の変動係数についても、上述の多孔質シリカ粒子の場合と同様の手順で求めることができる。
ポリフェノールは、多くのヒドロキシ基を含むため、ラジカル捕捉剤としての作用も有する。樹脂を溶融下で混合して樹脂組成物を製造する際に、ラジカル捕捉剤を添加するとラジカルによる樹脂の分解を抑制することができる。ポリフェノールをそのまま樹脂に添加すると、ポリフェノールが分解して十分なラジカル捕捉効果が得られないことがあるが、ポリフェノールを含むシリカ粒子を添加すると、ポリフェノールが分解し難く、ラジカル捕捉効果が得られ易い。ポリフェノールのラジカル捕捉効果により樹脂の分解が抑制されることに加え、シリカ粒子が添加されることで補強効果を得ることもできる。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
(1)混合工程(第1工程)
ポリフェノールとしてのタンニン酸を含む水溶液(タンニン酸濃度:1質量%)を攪拌しながら、この水溶液に、シランカップリング剤としてのAPTMSを含む水溶液(APTMS濃度:1.9質量%)を添加した。このとき、タンニン酸とAPTMSとのモル比が1:18となるような割合で双方の水溶液を混合した。得られた混合物を室温(25℃)で攪拌した。混合物のpHは10であった。
(1)混合工程(第1工程)
ポリフェノールとしてのタンニン酸を含む水溶液(タンニン酸濃度:1質量%)を攪拌しながら、この水溶液に、シランカップリング剤としてのAPTMSを含む水溶液(APTMS濃度:1.9質量%)を添加した。このとき、タンニン酸とAPTMSとのモル比が1:18となるような割合で双方の水溶液を混合した。得られた混合物を室温(25℃)で攪拌した。混合物のpHは10であった。
シランカップリング剤の添加から数十秒後には、混合物中に、シリカ粒子(シリカ粒子A1)が析出した。シランカップリング剤の添加から15分間、混合物の攪拌を続け、混合物をろ過(または遠心分離)することにより固形分(シリカ粒子A1)を回収し、50℃で常圧乾燥した。シリカ粒子A1を熱重量分析測定することにより、シリカ粒子A1中のタンニン酸含有量を調べたところ、44.3質量%であった。また、シリカ粒子A1の平均球形度は、0.98であった。シリカ粒子A1の平均粒子径を既述の手順で求めたところ、246nmであり、粒子径の変動係数は11.9%であった。
(2)焼成工程(第2工程)
第1工程で得られたシリカ粒子A1を、大気中で、600℃にて5時間焼成することにより多孔質シリカ粒子A2を得た。シリカ粒子A2の平均粒子径を既述の手順で求めたところ、150nmであった。また、窒素吸脱着等温線からSF法によりピーク空孔径dpを求めたところ、dp=0.44nmであった。シリカ粒子A2のBET比表面積は、450m2/gであった。
シリカ粒子A2のSEM画像を図1に示す。図1より、シリカ粒子A2は、球状のシリカ粒子であることが分かる。シリカ粒子A2の平均球形度は、0.98であった。
第1工程で得られたシリカ粒子A1を、大気中で、600℃にて5時間焼成することにより多孔質シリカ粒子A2を得た。シリカ粒子A2の平均粒子径を既述の手順で求めたところ、150nmであった。また、窒素吸脱着等温線からSF法によりピーク空孔径dpを求めたところ、dp=0.44nmであった。シリカ粒子A2のBET比表面積は、450m2/gであった。
シリカ粒子A2のSEM画像を図1に示す。図1より、シリカ粒子A2は、球状のシリカ粒子であることが分かる。シリカ粒子A2の平均球形度は、0.98であった。
実施例2
タンニン酸とAPTMSとのモル比(=タンニン酸:APTMS)を、1:2、1:4、1:6、1:8、1:10、1:14、および1:20に変更した以外は、実施例1と同様にして、タンニン酸を含むシリカ粒子および多孔質シリカ粒子を作製した。
タンニン酸とAPTMSとのモル比(=タンニン酸:APTMS)を、1:2、1:4、1:6、1:8、1:10、1:14、および1:20に変更した以外は、実施例1と同様にして、タンニン酸を含むシリカ粒子および多孔質シリカ粒子を作製した。
タンニン酸とAPTMSとのモル比が、1:2である場合の多孔質シリカ粒子のSEM画像を図2に、1:4である場合のSEM画像を図3に、1:6である場合のSEM画像を図4に、1:8である場合のSEM画像を図5に、1:10である場合のSEM画像を図6に、1:14である場合のSEM画像を図7に1:20である場合のSEM画像を図8に、それぞれ示す。
これらの図に示されるように、いずれの例でも球状の多孔質シリカ粒子が得られた。図2〜図5の多孔質シリカ粒子は、球状であるものの、その表面には微細な凹凸が形成されている。図6〜図8の多孔質シリカ粒子は、実施例1の図1と同様に、滑らかな表面を有している。
実施例3
タンニン酸とAPTMSとのモル比(=タンニン酸:APTMS)を、1:30、および1:40に変更した以外は、実施例1と同様にして、タンニン酸を含むシリカ粒子および多孔質シリカ粒子を作製した。
タンニン酸とAPTMSとのモル比(=タンニン酸:APTMS)を、1:30、および1:40に変更した以外は、実施例1と同様にして、タンニン酸を含むシリカ粒子および多孔質シリカ粒子を作製した。
タンニン酸とAPTMSとのモル比が、1:30である場合の多孔質シリカ粒子のSEM画像を図9に、1:40である場合のSEM画像を図10に、それぞれ示す。これらの図に示されるように、いずれの場合も球状の多孔質シリカ粒子の凝集物が得られた。SEM画像により、凝集物は、球状の多孔質シリカ粒子の凝集により形成されるマクロ孔を有することが確認された。
実施例4
APTMS(s1)に代えて、以下のシランカップリング剤(s2)〜(s9)をそれぞれ用いた。必要に応じて、アンモニア水を添加することにより、混合物のpHを10に調整した。これら以外は実施例1と同様にして、タンニン酸を含むシリカ粒子および多孔質シリカ粒子を作製した。
APTMS(s1)に代えて、以下のシランカップリング剤(s2)〜(s9)をそれぞれ用いた。必要に応じて、アンモニア水を添加することにより、混合物のpHを10に調整した。これら以外は実施例1と同様にして、タンニン酸を含むシリカ粒子および多孔質シリカ粒子を作製した。
使用したシランカップリング剤は、以下の通りである。
(s2)3−アミノプロピルトリエトキシシラン
(s3)3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン
(s4)4−アミノブチルトリエトキシシラン
(s5)4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン
(s6)N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
(s7)N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
(s8)N,N−ジメチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
(s9)3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン
シランカップリング剤(s2)〜(s9)を用いて得られた多孔質シリカ粒子のSEM画像を、それぞれ図11〜図18に示す。
(s2)3−アミノプロピルトリエトキシシラン
(s3)3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン
(s4)4−アミノブチルトリエトキシシラン
(s5)4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン
(s6)N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
(s7)N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
(s8)N,N−ジメチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
(s9)3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン
シランカップリング剤(s2)〜(s9)を用いて得られた多孔質シリカ粒子のSEM画像を、それぞれ図11〜図18に示す。
これらの図に示されるように、いずれのシランカップリング剤を用いた場合にも球状の多孔質シリカ粒子が得られた。シランカップリング剤s5、s6、およびs7を用いた場合には、球状の多孔質シリカ粒子の凝集物が得られた。
実施例5
タンニン酸に代えて、加水分解型植物タンニンを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、加水分解型植物タンニンを含むシリカ粒子および多孔質シリカ粒子を作製した。いずれのシリカ粒子も、実施例1と同様に球状であった。
タンニン酸に代えて、加水分解型植物タンニンを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、加水分解型植物タンニンを含むシリカ粒子および多孔質シリカ粒子を作製した。いずれのシリカ粒子も、実施例1と同様に球状であった。
本発明に係るシリカ粒子の製造方法では、球状のシリカ粒子を短時間で製造することができる。また、粒子径のばらつきが少ないシリカ粒子を得ることができる。よって、様々な用途に利用される球状のシリカ粒子を製造する上で有用である。得られるシリカ粒子は、例えば、触媒、触媒担体、吸着剤、樹脂用フィラー、化粧品原料、トナー、化粧品、歯科材料などの用途に利用できる。
Claims (14)
- 溶媒中で、複数のエステル基を有するポリフェノールとシランカップリング剤とを混合することによりシリカ粒子を生成させる工程を含む、シリカ粒子の製造方法。
- 前記ポリフェノールは、単糖ユニットと、前記単糖ユニットにエステル結合で連結した複数の第1芳香族ヒドロキシカルボン酸ユニットと、を含む、請求項1に記載のシリカ粒子の製造方法。
- 前記ポリフェノールは、さらに、前記第1芳香族ヒドロキシカルボン酸ユニットにエステル結合で連結した第2芳香族ヒドロキシカルボン酸ユニットを含む、請求項2に記載のシリカ粒子の製造方法。
- 前記ポリフェノールは、加水分解型タンニンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリカ粒子の製造方法。
- 前記ポリフェノールは、タンニン酸を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のシリカ粒子の製造方法。
- シランカップリング剤は、反応性官能基と加水分解縮合性官能基とを有し、
前記反応性官能基は、アミノ基、メルカプト基、ウレイド基、イソシアヌレート基、およびエポキシ基からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシリカ粒子の製造方法。 - 前記ポリフェノールと前記シランカップリング剤とのモル比は、1:2〜1:50である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のシリカ粒子の製造方法。
- 前記ポリフェノールと前記シランカップリング剤との混合物のpHは、9〜11である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のシリカ粒子の製造方法。
- 前記溶媒は、第1溶媒および第2溶媒を含み、
前記シリカ粒子が、前記ポリフェノールおよび前記第1溶媒を含む第1溶液と、前記シランカップリング剤および前記第2溶媒を含む第2溶液とを混合することにより生成する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のシリカ粒子の製造方法。 - さらに、前記シリカ粒子を焼成する工程を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載のシリカ粒子の製造方法。
- 前記シリカ粒子の平均球形度が、0.95〜1.00である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のシリカ粒子の製造方法。
- 複数のエステル基を有するポリフェノールを含む、シリカ粒子。
- 前記ポリフェノールの含有量が、25〜65質量%である、請求項12に記載のシリカ粒子。
- 平均球形度が、0.95〜1.00である、請求項12または13に記載のシリカ粒子。
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-
2015
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