JP2017094935A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置は、トルクセンサで故障が発生した場合に、操舵角θおよびその微分値である操舵角速度ωに基づき、モータの電流目標値を次のように設定する。θ>0かつω≧0のときには、右方向へのハンドル操作を補助すべく、車速で定まる一定電流値I(V)を電流目標値として設定する。θ<0かつω≦0のときには、左方向へのハンドル操作を補助すべく、−I(V)を電流目標値として設定する。一方、θ>0かつω<0、または、θ<0かつω>0のときは、ハンドルが戻り状態にあるので、操舵補助を停止すべく電流目標値を零と設定する。
図1は、実施の形態に係る電動パワーステアリング装置100の概略構成を示す図である。
電動パワーステアリング装置100(以下、単に「ステアリング装置100」と称する場合もある。)は、車両の進行方向を任意に変えるためのかじ取り装置であり、本実施の形態においては車両の一例としての自動車1に適用した構成を例示している。
図2は、制御装置10の概略構成図である。
制御装置10は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM等からなる算術論理演算回路である。
制御装置10には、上述したトルクセンサ109にて検出された操舵トルクTが出力信号に変換されたトルク信号Td、車速検出部170からの車速Vcに対応する車速信号v、レゾルバ120からの回転角度信号θmsなどが入力される。
図3は、目標電流算出部20の概略構成図である。
目標電流算出部20は、目標電流Itを設定する上で基準となるベース電流Ibを算出するベース電流算出部21と、電動モータ110の慣性モーメントを打ち消すためのイナーシャ補償電流Isを算出するイナーシャ補償電流算出部22と、モータの回転を制限するダンパー補償電流Idを算出するダンパー補償電流算出部23とを備えている。また、目標電流算出部20は、ベース電流算出部21、イナーシャ補償電流算出部22、ダンパー補償電流算出部23にて算出された値に基づいて仮の目標電流である仮目標電流Itfを決定する仮目標電流決定部25を備えている。また、目標電流算出部20は、トルクセンサ109にて検出された操舵トルクTの位相を補償する位相補償部26を備えている。
なお、目標電流算出部20には、トルク信号Td、車速Vcに応じた車速検出部170からの出力信号、モータ回転速度Vmに応じたモータ回転速度算出部72からのモータ回転速度信号Vmsなどが入力される。
ベース電流算出部21は、位相補償部26にてトルク信号Tdが位相補償されたトルク信号Tsと、車速検出部170からの出力信号とに基づいて、図4例示の制御マップよりベース電流Ibを算出する。
イナーシャ補償電流算出部22は、位相補償部26にてトルク信号Tdが位相補償されたトルク信号Ts、車速検出部170からの出力信号に基づいてイナーシャ補償電流Isを算出する。
ダンパー補償電流算出部23は、位相補償部26にてトルク信号Tdが位相補償されたトルク信号Ts、車速検出部170からの出力信号、モータ回転速度算出部72からの出力信号などに基づいてダンパー補償電流Idを算出する。
センサ故障時電流決定部28については後で詳述する。
そして、トルクセンサ109にて検出された操舵トルクTがプラスであるときに、電動モータ110を右回転方向に回転させるようにベース電流算出部21にてベース電流Ibが算出され、そのベース電流Ibが流れる方向をプラスとする。つまり、図4に示すように、操舵トルクTがプラスのときにベース電流算出部21はプラスのベース電流Ibを算出し、電動モータ110を右回転方向に回転させる方向のトルクを発生させる。操舵トルクTがマイナスのときにベース電流算出部21はマイナスのベース電流Ibを算出し、電動モータ110を左回転方向に回転させる方向のトルクを発生させる。
また、ステアリングホイール101の回転角度である操舵角θsが0度である状態からステアリングホイール101が右方向に回転した場合に操舵角θsがプラスとなり、左方向に回転した場合に操舵角θsがマイナスとなる。
図5は、制御部30の概略構成図である。
制御部30は、図5に示すように、電動モータ110の作動を制御するモータ駆動制御部31と、電動モータ110を駆動させるモータ駆動部32と、電動モータ110に実際に流れる実電流Imを検出するモータ電流検出部33とを有している。
モータ駆動制御部31は、目標電流算出部20にて最終的に決定された目標電流Itと、モータ電流検出部33にて検出された電動モータ110へ供給される実電流Imとの偏差に基づいてフィードバック制御を行うフィードバック(F/B)制御部40と、電動モータ110をPWM駆動するためのPWM(パルス幅変調)信号を生成するPWM信号生成部60とを有している。
PWM信号生成部60は、フィードバック制御部40からの出力値に基づいて電動モータ110をPWM(パルス幅変調)駆動するためのPWM信号を生成し、生成したPWM信号を出力する。
モータ電流検出部33は、モータ駆動部32に接続されたシャント抵抗の両端に生じる電圧から電動モータ110に流れる実電流Imの値を検出する。
モータ回転速度算出部72(図2参照)は、モータ回転角度算出部71が算出したモータ回転角度θmに基づいて電動モータ110のモータ回転速度Vmを算出する。
図6は、センサ故障時電流決定部28の概略構成図である。
センサ故障時電流決定部28は、センサ故障時電流Ieの仮の値である仮センサ故障時電流Iefを決定する仮センサ故障時電流決定部281と、目標操舵角速度と実際の操舵角速度との偏差に応じた操舵角速度偏差電流Ivを決定する操舵角速度偏差電流決定部282とを備えている。また、センサ故障時電流決定部28は、仮センサ故障時電流決定部281が決定した仮センサ故障時電流Iefと操舵角速度偏差電流決定部282が決定した操舵角速度偏差電流Ivとに基づいて最終的にセンサ故障時電流Ieを決定する最終センサ故障時電流決定部283を備えている。言い換えると、センサ故障時電流決定部28は、トルクセンサ109に故障が生じた場合に電動モータ110に供給する目標電流Itの基本となる故障時基本目標電流の一例としての仮センサ故障時電流Iefを設定する仮センサ故障時電流決定部281(故障時基本目標電流設定手段の一例)を備えている。また、センサ故障時電流決定部28は、偏差電流の一例としての操舵角速度偏差電流Ivを設定する操舵角速度偏差電流決定部282(偏差電流設定手段の一例)を備えている。また、センサ故障時電流決定部28は、トルクセンサ109に故障が生じた場合の目標電流Itを決定する最終センサ故障時電流決定部283(目標電流決定手段の一例)を備えている。
図7は、仮センサ故障時電流決定部281の概略構成図である。
仮センサ故障時電流決定部281は、操舵角算出部73にて算出された操舵角θsである算出操舵角θscに基づいて後述する制御マップに代入するための操舵角である代入操舵角θseを算出する代入操舵角算出部281aを備えている。
また、仮センサ故障時電流決定部281は、代入操舵角算出部281aが算出した代入操舵角θseに基づいて仮センサ故障時電流Iefのベースとなるセンサ故障時ベース電流Iebを算出するセンサ故障時ベース電流算出部281bを備えている。
また、仮センサ故障時電流決定部281は、センサ故障時ベース電流算出部281bが算出したセンサ故障時ベース電流Iebと戻り補正係数設定部281cが設定した戻り補正係数Krとを乗算することにより戻り補正後ベース電流Iebrを算出する戻り補正係数乗算部281dを備えている。
また、仮センサ故障時電流決定部281は、戻り補正係数乗算部281dにて算出された戻り補正後ベース電流Iebrと回転速度補正係数設定部281eが設定した回転速度補正係数Kmとを乗算することにより回転速度補正後ベース電流Iebvを算出する回転速度補正係数乗算部281fを備えている。
また、仮センサ故障時電流決定部281は、リミット処理部281gにてリミット処理後の回転速度補正後ベース電流Iebvであるリミット処理後ベース電流Ilに対して符号化処理を行う符号化処理部281hを備えている。
また、仮センサ故障時電流決定部281は、符号化処理部281hにて符号化処理が施されたリミット処理後ベース電流Ilを、車速Vcに基づいてフェード処理を施すフェード処理部281iを備えている。
代入操舵角算出部281aは、0度から、操舵角算出部73にて定期的(例えば1ミリ秒毎)に算出された算出操舵角θscの前回値と今回値との差分を積算することにより0度からの回転角度を算出し、この算出値を代入操舵角θseとする。そして、所定のリセット条件が成立したら代入操舵角θseを0にリセットする。リセット条件としては、ステアリングホイール101の回転角度(操舵角θs)の差分が0度となったことを把握できる条件であればよく、例えば、目標電流算出部20にて設定された目標電流Itあるいはモータ電流検出部33が検出した実電流Imが0近傍となったとき、を例示することができる。
センサ故障時ベース電流算出部281bは、代入操舵角算出部281aにて算出された代入操舵角θseの絶対値化を行う絶対値化部281baを備えている。また、センサ故障時ベース電流算出部281bは、絶対値化部281baにて絶対値化された絶対値化後操舵角|θse|に基づいて仮のセンサ故障時ベース電流Iebである仮センサ故障時ベース電流Iebaを算出する仮ベース電流算出部281bbを備えている。また、センサ故障時ベース電流算出部281bは、車速検出部170などからの出力信号vに基づいて車速補正係数Kvを設定する車速補正係数設定部281bcを備えている。また、センサ故障時ベース電流算出部281bは、仮ベース電流算出部281bbにて算出された仮センサ故障時ベース電流Iebaと車速補正係数設定部281bcにて設定された車速補正係数Kvとを乗算することによりセンサ故障時ベース電流Iebを算出する車速補正係数乗算部281bdを備えている。センサ故障時ベース電流算出部281bは、定期的(例えば1ミリ秒毎)にセンサ故障時ベース電流Iebを算出する。
仮ベース電流算出部281bbは、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、絶対値化後操舵角|θse|と仮センサ故障時ベース電流Iebaとの対応を示す図9に例示した制御マップに、絶対値化後操舵角|θse|を代入することにより仮センサ故障時ベース電流Iebaを算出する。
図9に示した制御マップにおいては、絶対値化後操舵角|θse|が予め定められた基準操舵角θse0以下である場合には仮センサ故障時ベース電流Iebaは0である。絶対値化後操舵角|θse|が基準操舵角θse0より大きい場合には、絶対値化後操舵角|θse|が大きくなるに従って仮センサ故障時ベース電流Iebaが0から徐々に大きくなるように設定されている。
車速補正係数設定部281bcは、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、車速補正係数Kvと車速Vcとの対応を示す図10に例示した制御マップに、車速Vcを代入することにより車速補正係数Kvを算出する。
図10に例示した制御マップにおいては、車速Vcが0(km/h)であるときの車速補正係数Kvを1、車速Vcが1(km/h)であるときの車速補正係数Kvを0.5としている。また、車速Vcが5(km/h)であるときの車速補正係数Kvを0.3とし、車速Vcが1から5(km/h)に変化する間に車速補正係数Kvを徐々に低下させている。また、車速Vcが40(km/h)であるときの車速補正係数Kvを0.4とし、車速Vcが5から40(km/h)に変化する間に車速補正係数Kvを徐々に上昇させている。そして、車速Vcが40(km/h)から大きくなるに従って車速補正係数Kvを徐々に低下させている。なお、上記速度域は、一例であり車両特性により適宜変更可能である。
戻り補正係数設定部281cは、操舵角算出部73にて算出された算出操舵角θscの絶対値化を行う絶対値化部281caと、絶対値化部281caにて絶対値化された絶対値化後操舵角|θsc|に基づいて仮の戻り補正係数Krである仮戻り補正係数Kraを算出する仮戻り補正係数算出部281cbとを備えている。また、戻り補正係数設定部281cは、車速Vcに応じて、仮戻り補正係数算出部281cbが算出した仮戻り補正係数Kraか予め定められた値かを選択する第1選択部281ccを備えている。また、戻り補正係数設定部281cは、操舵角算出部73にて算出された算出操舵角θscと代入操舵角算出部281aにて算出された代入操舵角θseを時間微分して算出した算出操舵角速度の符号(操舵回転方向を示す)とに基づいてステアリングホイール101が切り込まれているのか切り戻されているかを判定する判定部281cdを備えている。なお、判定部281cdの判定は、操舵角算出部73にて算出された算出操舵角θscとモータ回転速度算出部72からのモータ回転速度信号Vmsの回転方向信号に基づいて判定してもよい。また、戻り補正係数設定部281cは、判定部281cdが判定した操舵状況に応じて、第1選択部281ccが選択した値か予め定められた値かを選択する第2選択部281ceを備えている。
仮戻り補正係数算出部281cbは、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、絶対値化後操舵角|θsc|と仮戻り補正係数Kraとの対応を示す図12に例示した制御マップに、絶対値化後操舵角|θsc|を代入することにより仮戻り補正係数Kraを算出する。
図12に示した制御マップにおいては、絶対値化後操舵角|θsc|が予め定められた下側操舵角θd以下である場合には仮戻り補正係数Kraは0となり、絶対値化後操舵角|θsc|が予め定められた上側操舵角θu以上である場合には仮戻り補正係数Kraは1となる。そして、絶対値化後操舵角|θsc|が下側操舵角θdから上側操舵角θuの間では、仮戻り補正係数Kraは0から1まで増大する。
図13は、モータ回転速度Vmと回転速度補正係数Kmとの対応を示す制御マップの概略図である。
回転速度補正係数設定部281eは、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、モータ回転速度Vmと回転速度補正係数Kmとの対応を示す図13に例示した制御マップに、モータ回転速度Vmを代入することにより回転速度補正係数Kmを算出する。
図13に示した制御マップにおいては、モータ回転速度Vmが予め定められた回転速度Vm0以下である場合には回転速度補正係数Kmは1であり、モータ回転速度Vmが回転速度Vm0より大きい場合には、回転速度補正係数Kmはモータ回転速度Vmが大きくなるに従って1から0まで徐々に減少する値となる。
回転速度補正係数設定部281eは、図13に示した制御マップに代入するモータ回転速度Vmを、図14に示した制御マップと車速Vcとに基づいて設定した車速補正係数Kcを用いて補正する(図13に示した制御マップに代入するモータ回転速度Vm=モータ回転速度算出部72にて算出されたモータ回転速度Vm×Kc)。
図14に例示した制御マップにおいては、車速Vcが0から第1車速V1であるときの車速補正係数Kcを1、車速Vcが第2車速V2よりも大きい場合には車速補正係数Kcを0.3としている。また、車速Vcが第1車速V1から第2車速V2まで大きくなる間に車速補正係数Kcは1から0.3まで徐々に小さくなる値に設定している。なお、第1車速V1は15(km/h)、第2車速V2は35(km/h)であることを例示することができる。なお、上記の所定値は、車両特性に合わせ適宜設定することができる。
そして、フェード処理部281iは、センサ故障検出部27がトルクセンサ109の故障を検出し、車速Vcに基づいてセンサ故障時電流Ieを決定する際には、車速Vcが、図10に例示した制御マップに示したように車速補正係数Kvが大きく変化する0から1(km/h)の間以外の大きさ(1(km/h)よりも大きな速度)である場合には、センサ故障時電流Ieを、符号化処理部281hにて符号が付された回転速度補正後ベース電流Iebvに決定する。他方、車速Vcが1(km/h)以下の場合には、前回のセンサ故障時電流Ieから今回符号化処理部281hにて符号が付された回転速度補正後ベース電流Iebvまで所定期間かけて徐変させる。例えば、車速Vcが1(km/h)から減速している場合には、1秒間で、前回のセンサ故障時電流Ieから今回符号化処理部281hにて符号が付された回転速度補正後ベース電流Iebvに変化する値を、定期的(例えば1ミリ秒毎)にセンサ故障時電流Ieとして決定する。一方、車速Vcが0から加速している場合には、0.5秒間で、前回のセンサ故障時電流Ieから今回符号化処理部281hにて符号が付された回転速度補正後ベース電流Iebvに変化する値を、定期的(例えば1ミリ秒毎)にセンサ故障時電流Ieとして決定する。
故障時のアシスト制御を行う際、路面の摩擦力が大きい停車時には、図10に例示した制御マップに基づいて車速補正係数Kvが1に設定されるので、車速Vcが0よりも大きい場合よりもアシスト力が大きくなる。その結果、故障時のアシスト制御であっても駐停車時の取り回し性は確保される。他方、車速Vcが1(km/h)よりも大きくなり動摩擦力の領域に移った場合には、図10に例示した制御マップに基づいて車速補正係数Kvが0.5以下に設定され、アシスト力が急激に弱められるのでアシスト過多にならないように調整される。さらに、車両の旋回が行われる、車速Vcが10(km/h)より大きな領域では、操舵力が増加する傾向にあるが、この速度では車速補正係数Kvが5(km/h)近辺よりも高められるのでアシスト力が増加する。ただし、車速Vcが40(km/h)より大きい領域では車速補正係数Kvが小さく設定されるので、アシスト力が弱められる。これにより、高車速時の車両のふらつきが抑制される。
さらに、車速Vcが0から1(km/h)の間で車速補正係数Kvが大きく変化する構成としても、フェード処理部281iによりアシスト力が徐変されるので、アシスト力が急激に変化することに起因して操舵フィーリングが悪化することが抑制される。
図15は、操舵角速度偏差電流決定部282の概略構成図である。
操舵角速度偏差電流決定部282は、実際の操舵角速度Vsである実操舵角速度Vsaを算出する実操舵角速度算出部282aと、ステアリングホイール101が切り込まれているのか切り戻されているかを判定する切り込み戻し判定部282bとを備えている。また、操舵角速度偏差電流決定部282は、目標の操舵角速度Vsである目標操舵角速度Vstを設定する目標操舵角速度設定部282cと、目標操舵角速度設定部282cが設定した目標操舵角速度Vstに対してフェード処理を施す切り込み戻しフェード処理部282dとを備えている。また、操舵角速度偏差電流決定部282は、切り込み戻しフェード処理部282dがフェード処理を施した後のフェード後目標操舵角速度Vstfと実操舵角速度算出部282aが算出した実操舵角速度Vsaとの偏差である操舵角速度偏差ΔVsを算出する操舵角速度偏差算出部282eを備えている。また、操舵角速度偏差電流決定部282は、操舵角速度偏差算出部282eが算出した操舵角速度偏差ΔVsに基づいて操舵角速度偏差電流Ivを設定する操舵角速度偏差電流設定部282fを備えている。
目標操舵角速度設定部282cは、操舵角算出部73にて算出された算出操舵角θscと車速Vcとに応じた目標操舵角速度Vstを算出する。ステアリングホイール101が切り込まれている場合には、目標操舵角速度設定部282cは、図16(a)に例示した、ステアリングホイール101が切り込まれている場合の算出操舵角θsc及び車速Vcと目標操舵角速度Vstとの対応を示す制御マップを用いる。他方、ステアリングホイール101が切り戻されている場合には、目標操舵角速度設定部282cは、図16(b)に例示した、ステアリングホイール101が切り戻されている場合の算出操舵角θsc及び車速Vcと目標操舵角速度Vstとの対応を示す制御マップを用いる。例えば、目標操舵角速度設定部282cは、ステアリングホイール101が切り込まれていると切り込み戻し判定部282bが判定した場合には、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、算出操舵角θsc及び車速Vcと目標操舵角速度Vstとの対応を示す図16(a)に例示した制御マップに、算出操舵角θsc及び車速Vcを代入することにより得た値を切り込み目標操舵角速度Vstとして設定する。他方、目標操舵角速度設定部282cは、ステアリングホイール101が切り戻されていると切り込み戻し判定部282bが判定した場合には、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、算出操舵角θsc及び車速Vcと目標操舵角速度Vstとの対応を示す図16(b)に例示した制御マップに、算出操舵角θsc及び車速Vcを代入することにより得た値を切り戻し目標操舵角速度Vstとして設定する。
他方、ステアリングホイール101が切り戻されている場合を示した図16(b)の制御マップにおいては、車速Vcが同じである場合には、算出操舵角θscが中立位置0に近づくに従い目標操舵角速度Vstがマイナス方向から0に近づくように(マイナス方向に小さくなるように)定められている。また、算出操舵角θscが同じである場合には、車速Vcが大きくなるほど目標操舵角速度Vstが大きくなるように(マイナス方向に小さくなるように)定められている。
そこで、切り込み戻しフェード処理部282dは、切り込み戻し判定部282bが切り込まれていると判定した状態から切り戻されていると判定した状態へ切り替わった場合及び切り戻されていると判定した状態から切り込まれていると判定した状態へ切り替わった場合には、目標操舵角速度Vstを所定期間かけて徐変させる。例えば、1秒間で、前回の目標操舵角速度Vstから今回の目標操舵角速度Vstに変化する値を、定期的(例えば1ミリ秒毎)にフェード後目標操舵角速度Vstfとして決定する。
操舵角速度偏差電流設定部282fは、操舵角速度偏差算出部282eにて算出された操舵角速度偏差ΔVsに応じた操舵角速度偏差電流Ivを算出する。操舵角速度偏差電流設定部282fは、例えば、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、操舵角速度偏差ΔVsと操舵角速度偏差電流Ivとの対応を示す図17に例示した制御マップに、操舵角速度偏差ΔVsを代入することにより操舵角速度偏差電流Ivを算出する。
最終センサ故障時電流決定部283は、仮センサ故障時電流決定部281が決定した仮センサ故障時電流Iefと操舵角速度偏差電流決定部282が決定した操舵角速度偏差電流Ivとを加算することにより得た値を最終的にセンサ故障時電流Ieとして決定する。
また、仮センサ故障時電流決定部281が決定する仮センサ故障時電流Iefは、絶対値化後操舵角|θse|が予め定められた基準操舵角θse0以下である場合には仮センサ故障時ベース電流Iebaは0となることから、ステアリングホイール101の切り量が小さい場合には0となる。ゆえに、目標電流算出部20が操舵角速度偏差電流決定部282を備えずに、トルクセンサ109が故障した場合の目標電流Itとなるセンサ故障時電流Ieに操舵角速度偏差電流Ivが付加されない場合には、操舵角θsを中立位置に戻すための電流が電動モータ110に供給されない。しかしながら、本実施の形態に係る目標電流算出部20においては、トルクセンサ109が故障した場合の目標電流Itとなるセンサ故障時電流Ieに操舵角速度偏差電流Ivが常に加算されるので、ステアリングホイール101の切り量が小さい場合においても操舵角θsを0に戻すための電流が電動モータ110に供給される。その結果、ステアリングホイール101の切り量が小さい場合においても、ステアリングホイール101が中立位置に戻る際には、ドライバーにとって理想的な戻り速度で戻る。
また、図16(a)及び図16(b)に例示した制御マップにおいては、車速Vc毎に算出操舵角θscと目標操舵角速度Vstとの対応を示しているので、全車速領域でドライバーにとって理想的なステアリングホイール101の回転速度となるように電動モータ110が駆動される。
Claims (5)
- 車両のステアリングホイールの操舵に対する補助力を加える電動モータと、
前記ステアリングホイールの操舵トルクを検出するトルク検出手段と、
前記ステアリングホイールの回転角度である操舵角を検出する操舵角検出手段と、
前記トルク検出手段が正常である場合には前記トルク検出手段が検出したトルクに基づいて、前記トルク検出手段が正常ではない場合には前記操舵角検出手段が検出した前記操舵角及び目標の操舵角速度と実際の操舵角速度との偏差に基づいて前記電動モータの駆動力を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記制御手段は、前記操舵角検出手段が検出した前記操舵角と前記車両の移動速度とに基づいて前記目標の操舵角速度を設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。 - 前記制御手段は、
前記操舵角に基づいて前記トルク検出手段に故障が生じた場合に前記電動モータに供給する目標電流の基本となる故障時基本目標電流を設定する故障時基本目標電流設定手段と、
前記目標の操舵角速度と前記実際の操舵角速度との偏差に応じた偏差電流を設定する偏差電流設定手段と、
前記故障時基本目標電流設定手段が設定した前記故障時基本目標電流と前記偏差電流設定手段が設定した前記偏差電流とに基づいて前記トルク検出手段に故障が生じた場合の前記目標電流を決定する目標電流決定手段と、
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置。 - 前記偏差電流設定手段は、前記操舵角検出手段が検出した前記操舵角が大きいほど前記目標の操舵角速度を大きくする
ことを特徴とする請求項3に記載の電動パワーステアリング装置。 - 前記偏差電流設定手段は、前記車両の移動速度が大きいほど前記目標の操舵角速度を大きくする
ことを特徴とする請求項3に記載の電動パワーステアリング装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015229096A JP6609465B2 (ja) | 2015-11-24 | 2015-11-24 | 電動パワーステアリング装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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