JP6357326B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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例えば、特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置は、異常検出部によりトルクセンサの異常が検出されたとき、レゾルバにより検出されている回転角とアシスト電流特性とに基づいてモータを駆動し、駆動する際、回転角に基づき算出される回転角速度が大きくなるに従いモータを駆動するアシスト電流を小さくするよう制御する。
本発明は、検出手段に故障が生じた場合においても、車両の使用状況に応じたアシスト力を付与することができる電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
また、前記制御手段は、前記車速が零のときには零以外である場合よりも小さくなるように前記回転速度補正係数を補正してもよい。
図1は、実施の形態に係る電動パワーステアリング装置100の概略構成を示す図である。
電動パワーステアリング装置100(以下、単に「ステアリング装置100」と称する場合もある。)は、車両の進行方向を任意に変えるためのかじ取り装置であり、本実施の形態においては車両の一例としての自動車に適用した構成を例示している。
図2は、制御装置10の概略構成図である。
制御装置10は、CPU、ROM、RAM、EEPROM(Electrically Erasable & Programmable Read Only Memory)等からなる算術論理演算回路である。
制御装置10には、上述したトルクセンサ109にて検出された操舵トルクTが出力信号に変換されたトルク信号Tdと、車速センサ170にて検出された車速Vcが出力信号に変換された車速信号v、レゾルバ120からの電動モータ110のモータ回転角度θに応じた出力信号である回転角度信号θs、などが入力される。
図3は、目標電流算出部20の概略構成図である。
目標電流算出部20は、目標電流Itを設定する上で基準となるベース電流Ibを算出するベース電流算出部21と、電動モータ110の慣性モーメントを打ち消すためのイナーシャ補償電流Isを算出するイナーシャ補償電流算出部22と、モータの回転を制限するダンパー補償電流Idを算出するダンパー補償電流算出部23とを備えている。また、目標電流算出部20は、ベース電流算出部21、イナーシャ補償電流算出部22、ダンパー補償電流算出部23にて算出された値に基づいて仮の目標電流である仮目標電流Itfを決定する仮目標電流決定部25を備えている。また、目標電流算出部20は、トルクセンサ109にて検出された操舵トルクTの位相を補償する位相補償部26を備えている。
なお、目標電流算出部20には、トルク信号Td、車速信号v、モータ回転速度信号Nmsなどが入力される。
ベース電流算出部21は、位相補償部26にてトルク信号Tdが位相補償されたトルク信号Tsと、車速センサ170からの車速信号vとに基づいてベース電流Ibを算出する。言い換えれば、ベース電流算出部21は、位相補償部26にて位相補償された操舵トルクTと、車速Vcとに応じたベース電流Ibを算出する。なお、ベース電流算出部21は、例えば、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、位相補償された操舵トルクT(トルク信号Ts)および車速Vc(車速信号v)とベース電流Ibとの対応を示す図4に例示した制御マップに、操舵トルクTおよび車速Vcを代入することによりベース電流Ibを算出する。
センサ故障時電流決定部28については後で詳述する。
図5は、制御部30の概略構成図である。
制御部30は、図5に示すように、電動モータ110の作動を制御するモータ駆動制御部31と、電動モータ110を駆動させるモータ駆動部32と、電動モータ110に実際に流れる実電流Imを検出するモータ電流検出部33とを有している。また、制御部30は、モータ電流検出部33が検出した実電流Imとモータ角度算出部71で算出されたモータ回転角度θとに基づいてフィードバック電流Ifを算出するフィードバック電流算出部38を有している。
PWM信号生成部60は、フィードバック制御部40からの出力値とモータ回転角度算出部71が算出したモータ回転角度θとに基づいて電動モータ110をPWM(パルス幅変調)駆動するためのPWM信号を生成し、生成したPWM信号を出力する。
フィードバック電流算出部38は、予めROMに記憶しておいた演算式、モータ電流検出部33が検出した実電流Im、およびモータ回転角度算出部71が算出したモータ回転角度θに基づいてフィードバック電流Ifを算出する。
モータ回転速度算出部72(図2参照)は、モータ回転角度算出部71が算出したモータ回転角度θに基づいて電動モータ110のモータ回転速度Nmを算出し、算出したモータ回転速度Nmが出力信号に変換されたモータ回転速度信号Nmsを出力する。
操舵角算出部73(図2参照)は、ステアリングホイール101、減速機構111などが機械的に連結されているためにステアリングホイール101の回転角度(操舵角)と電動モータ110のモータ回転角度θとの間に相関関係があることに鑑み、モータ回転角度算出部71にて算出されたモータ回転角度θに基づいて操舵角を算出する。操舵角算出部73は、例えば、モータ回転角度算出部71にて定期的(例えば1ミリ秒毎)に算出されたモータ回転角度θの前回値と今回値との差分の積算値に基づいて操舵角を算出する。
図6は、センサ故障時電流決定部28の概略構成図である。
センサ故障時電流決定部28は、操舵角算出部73にて算出された算出操舵角θscに基づいて後述する制御マップに代入するための操舵角である代入用操舵角θseを算出する代入操舵角算出部281と、代入操舵角算出部281が算出した代入用操舵角θseに基づいてセンサ故障時電流Ieのベースとなるセンサ故障時ベース電流Iebを算出するセンサ故障時ベース電流算出部282と、を備えている。
代入操舵角算出部281は、零度から、操舵角算出部73にて定期的(例えば1ミリ秒毎)に算出された算出操舵角θscの前回値と今回値との差分を積算することにより零度からの回転角度を算出し、この算出値を代入用操舵角θseとする。そして、所定のリセット条件が成立したら代入用操舵角θseを零にリセットする。リセット条件としては、ステアリングホイール101の回転角度(操舵角)の差分が零度となったことを把握できる条件であればよく、例えば、目標電流算出部20にて設定された目標電流Itあるいはモータ電流検出部33が検出した実電流Imが零又は零値近傍となったとき、を例示することができる。
センサ故障時ベース電流算出部282は、代入操舵角算出部281にて算出された代入用操舵角θseの絶対値化を行う絶対値化部282aと、絶対値化部282aにて絶対値化された絶対値化後操舵角|θse|に基づいて仮のセンサ故障時ベース電流Iebである仮センサ故障時ベース電流Iebaを算出する仮ベース電流算出部282bと、を備えている。また、センサ故障時ベース電流算出部282は、車速信号vに基づいて車速補正係数Kvを設定する車速補正係数設定部282cと、仮ベース電流算出部282bにて算出された仮センサ故障時ベース電流Iebaと車速補正係数設定部282cにて設定された車速補正係数Kvとを乗算することによりセンサ故障時ベース電流Iebを算出する車速補正係数乗算部282dと、を備えている。センサ故障時ベース電流算出部282は、定期的(例えば1ミリ秒毎)にセンサ故障時ベース電流Iebを算出する。
仮ベース電流算出部282bは、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、絶対値化後操舵角|θse|と仮センサ故障時ベース電流Iebaとの対応を示す図8に例示した制御マップに、絶対値化後操舵角|θse|を代入することにより仮センサ故障時ベース電流Iebaを算出する。
車速補正係数設定部282cは、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、車速補正係数Kvと車速Vcとの対応を示す図9に例示した制御マップに、車速Vcを代入することにより車速補正係数Kvを算出する。
図9に例示した制御マップにおいては、車速Vcが零(km/h)であるときの車速補正係数Kvを1、車速Vcが略1(km/h)であるときの車速補正係数Kvを略0.5としている。また、車速Vcが略5(km/h)であるときの車速補正係数Kvを略0.3とし、車速Vcが略1から略5(km/h)に変化する間に車速補正係数Kvを徐々に低下させている。また、車速Vcが略40(km/h)であるときの車速補正係数Kvを略0.4とし、車速Vcが略5から略40(km/h)に変化する間に車速補正係数Kvを徐々に上昇させている。そして、車速Vcが略40(km/h)から大きくなるに従って車速補正係数Kvを徐々に低下させている。
戻り補正係数設定部283は、操舵角算出部73にて算出された算出操舵角θscの絶対値化を行う絶対値化部283aと、絶対値化部283aにて絶対値化された絶対値化後操舵角|θsc|に基づいて仮の戻り補正係数Krである仮戻り補正係数Kraを算出する仮戻り補正係数算出部283bと、を備えている。また、戻り補正係数設定部283は、車速Vcに応じて、仮戻り補正係数算出部283bが算出した仮戻り補正係数Kraか予め定められた値かを選択する第1選択部283cを備えている。また、戻り補正係数設定部283は、操舵角算出部73にて算出された算出操舵角θscと代入操舵角算出部281にて算出された代入用操舵角θseとに基づいてステアリングホイール101が切り込まれているのか切り戻されているかを判定する判定部283dを備えている。また、戻り補正係数設定部283は、判定部283dが判定した操舵状況に応じて、第1選択部283cが選択した値か予め定められた値かを選択する第2選択部283eを備えている。
仮戻り補正係数算出部283bは、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、絶対値化後操舵角|θsc|と仮戻り補正係数Kraとの対応を示す図11に例示した制御マップに、絶対値化後操舵角|θsc|を代入することにより仮戻り補正係数Kraを算出する。
図11に示した制御マップにおいては、絶対値化後操舵角|θsc|が予め定められた下側操舵角θd以下である場合には仮戻り補正係数Kraは零となり、絶対値化後操舵角|θsc|が予め定められた上側操舵角θu以上である場合には仮戻り補正係数Kraは1となる。そして、絶対値化後操舵角|θsc|が下側操舵角θdから上側操舵角θuの間では、仮戻り補正係数Kraは零から1まで徐々に大きくなる。
図12は、モータ回転速度Nmと回転速度補正係数Kmとの対応を示す制御マップの概略図である。
回転速度補正係数設定部285は、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、モータ回転速度Nmと回転速度補正係数Kmとの対応を示す図12に例示した制御マップに、モータ回転速度Nmを代入することにより回転速度補正係数Kmを算出する。
図12に示した制御マップにおいては、モータ回転速度Nmが予め定められた回転速度Nm0以下である場合には回転速度補正係数Kmは1であり、モータ回転速度Nmが回転速度Nm0より大きい場合には、回転速度補正係数Kmはモータ回転速度Nmが大きくなるに従って1から零まで徐々に減少する値となる。
回転速度補正係数設定部285は、図12に示した制御マップに代入するモータ回転速度Nmを、図13に示した制御マップと車速Vcとに基づいて設定した車速補正係数Kcを用いて補正する(図12に示した制御マップに代入するモータ回転速度Nm=モータ回転速度算出部72にて算出されたモータ回転速度Nm×Kc)。
図13に例示した制御マップにおいては、車速Vcが零から第1車速V1であるときの車速補正係数Kcを1、車速Vcが第2車速V2よりも大きい場合には車速補正係数Kcを略0.3としている。また、車速Vcが第1車速V1から第2車速V2まで大きくなる間に車速補正係数Kcが1から0.3まで徐々に小さくなる値に設定している。なお、第1車速V1は略15(km/h)、第2車速V2は略35(km/h)であることを例示することができる。
そして、フェード処理部289は、センサ故障検出部27がトルクセンサ109の故障を検出し、車速Vcに基づいてセンサ故障時電流Ieを決定する際には、車速Vcが、図9に例示した制御マップに示したように車速補正係数Kvが大きく変化する零から略1(km/h)の間以外の大きさ(1(km/h)よりも大きな速度)である場合には、センサ故障時電流Ieを、符号化処理部288にて符号が付された回転速度補正後ベース電流Iebvに決定する。他方、車速Vcが1(km/h)以下の場合には、前回のセンサ故障時電流Ieから今回符号化処理部288にて符号が付された回転速度補正後ベース電流Iebvまで所定期間かけて徐変させる。例えば、車速Vcが1(km/h)から減速している場合には、1秒間で、前回のセンサ故障時電流Ieから今回符号化処理部288にて符号が付された回転速度補正後ベース電流Iebvに変化する値を、定期的(例えば1ミリ秒毎)にセンサ故障時電流Ieとして決定する。一方、車速Vcが零から加速している場合には、0.5秒間で、前回のセンサ故障時電流Ieから今回符号化処理部288にて符号が付された回転速度補正後ベース電流Iebvに変化する値を、定期的(例えば1ミリ秒毎)にセンサ故障時電流Ieとして決定する。
故障時のアシスト制御を行う際、路面の摩擦力が大きい停車時には、図9に例示した制御マップに基づいて車速補正係数Kvが1に設定されるので、車速Vcが零よりも大きい場合よりもアシスト力が大きくなる。その結果、故障時のアシスト制御であっても駐停車時の取り回し性は確保される。他方、車速Vcが略1(km/h)よりも大きくなり動摩擦力の領域に移った場合には、図9に例示した制御マップに基づいて車速補正係数Kvが0.5以下に設定され、アシスト力が急激に弱められるのでアシスト過多にならないように調整される。さらに、車両の旋回が行われる、車速Vcが略10(km/h)より大きな領域では、操舵力が増加する傾向にあるが、この速度では車速補正係数Kvが略5(km/h)近辺よりも高められるのでアシスト力が増加する。ただし、車速Vcが略40(km/h)より大きい領域では車速補正係数Kvが小さく設定されるので、アシスト力が弱められる。これにより、高車速時の車両のふらつきが抑制される。
さらに、車速Vcが零から略1(km/h)の間で車速補正係数Kvが大きく変化する構成としても、フェード処理部289によりアシスト力が徐変されるので、アシスト力が急激に変化することに起因して操舵フィーリングが悪化することが抑制される。
Claims (3)
- 車両のステアリングホイールの操舵に対してアシスト力を付与する電動モータと、
前記ステアリングホイールの操舵トルクを検出する検出手段と、
前記検出手段に故障が生じた場合に前記ステアリングホイールの回転角度に基づいて前記電動モータを制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記ステアリングホイールの回転角度に基づいて定めた、前記アシスト力のベースとなるベースアシスト力の仮の値である仮ベースアシスト力に、前記車両の移動速度である車速に応じた係数である車速補正係数を乗算することにより前記ベースアシスト力を設定し、
前記制御手段は、前記車速が零の場合と、零以外の場合において、前記ステアリングホイールの回転角度が同じであるとしても、前記車速が零の場合には、零以外である場合よりも前記アシスト力を大きくし、
前記制御手段は、前記車速が零の場合の前記車速補正係数を1とした場合に、前記車速が動摩擦領域に移った場合の前記車速補正係数を0.5以下に設定し、
前記制御手段は、前記車速が異なる場合において前記ステアリングホイールの回転角度が同じであるとしても、前記車速が所定車速よりも大きい場合には前記車速が大きくなるに従って前記アシスト力を小さくし、前記車速が、零と前記所定車速との間の基準車速よりも大きく前記所定車速よりも小さい場合には、前記車速が大きくなるに従って前記アシスト力を大きくする
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記制御手段は、前記電動モータのモータ回転速度が大きくなるに従って小さくなる回転速度補正係数を、前記アシスト力に乗算することにより前記アシスト力を補正することを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記制御手段は、前記車速が零のときには零以外である場合よりも小さくなるように前記回転速度補正係数を補正する
ことを特徴とする請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。
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