JP2017094703A - 造形材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】FDM型3Dプリントなどの立体造形法での成形材料として適用可能であり、機能性を維持し、長期的に機能を発揮しうる耐久性に優れた造形物を得ることができる造形材料を提供する。
【解決手段】溶融積層造形法に用いる熱可塑性樹脂により構成される連続線状の造形材料であって、造形材料の長手方向に連続する少なくとも二つの領域で構成されており、一方の領域が蛍光材料または燐光材料を含有する発光領域であり、他方の領域が蛍光材料または燐光色素を含有しない非発光領域であり、
造形材料の横断面において、発光領域は、その外周が非発光領域により略覆われていることを特徴とする造形材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱溶解積層型の3Dプリンターを用いて、所望の形状の造形物を製造するための造形材料に関するものである。
従来、樹脂成形体は射出成型、押出成形など各種の方法で成形されており、日用品や産業分野などで幅広く利用されている。近年、少量多品種の成形品を得る方法として、3Dプリンターに代表される立体造形機によるラピッドプロトタイピングが注目されている。また最近では、さらに簡便な造形装置として、3Dペンも発売されている。3Dプリンターの手法には、熱溶解積層法(FDM)、光造形法(SLA)、粉末焼結法(SLS)などがあり、それぞれで技術開発が進められている。個人用などではFDM法の造形装置が広く用いられており、熱可塑性樹脂からなるワイヤのごとき線状物が造形材料として使用され、融点以上の温度で溶融させた造形材料をベッド上にプリントし、冷却固化により造形する。
また、FDM型3Dプリンターにより得る造形物に意匠性を付与することも行われている。例えば、造形材料を種々の色素を含有させて着色させること、造形材料中に金属粉末を含有させて得られる造形物をメタリック調なものとすること、造形材料中に木粉を含有させウッドライクな造形物を得ること等が挙げられる。また、特許文献1には、香りや色調をそれぞれ有する樹脂層を有する多層構造の造形材料を用いることにより、得られる造形物に香りと色を付与できる造形材料が提案されている。特許文献2には、造形装置のヘッド内において、造形材料が添加剤や着色剤によりコーティングして彩色性を高めることができる造形装置が提案されている。
実用新案登録第3195469号 特表2014−516829号
本発明者等は、造形物により機能性を持たすために、着色剤として、蛍光材料や燐光材料を錬り込み、発光特性を付与した造形物を得ようと考えた。しかしながら、蛍光材料や燐光材料は、一般的に紫外線や湿度の影響を受け機能劣化するものが多く、長期的に発光特性を維持しにくい。
そこで、本発明は、FDM型3Dプリントなどの立体造形法での成形材料として適用可能であり、機能性を維持し、長期的に機能を発揮しうる耐久性に優れた造形物を得ることができる造形材料を提供することを課題とする。
本発明は、前記課題を達成するものであり、溶融積層造形法に用いる熱可塑性樹脂により構成される連続線状の造形材料であって、造形材料の長手方向に連続する少なくとも二つの領域で構成されており、一方の領域が蛍光材料または燐光材料を含有する発光領域であり、他方の領域が蛍光材料または燐光色素のいずれも含有しない非発光領域であり、造形材料の横断面において、発光領域は、その外周が非発光領域により略覆われていることを特徴とする造形材料を要旨とするものである。
本発明の造形材料は、溶融積層造形法に用いるものであって、熱可塑性樹脂によって構成される。熱可塑性樹脂としては、FDM型3Dプリンターにおける造形ヘッドの溶融温度で溶融しうるものであれば用いることができ、融点は400℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましく、200℃以下のものがさらに好ましい。なお、本発明において、明確な結晶融点を示さないものについては、軟化点を融点とみなす。用いる熱可塑性樹脂としては、例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂、芳香族系ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体系樹脂、フッ素樹脂系樹脂が挙げられる。また、これらの樹脂を混合したブレンド物やアロイ物を用いてもよい。なかでも、ポリ乳酸は、反りが発生しにくいため好ましく、D体含有量が低いポリL乳酸は黄色味を帯びにくく、また結晶性を有するため、さらに好ましい。D体含有量を調整することにより、プリンターの温度制御に応じてポリ乳酸の融点を調整することができるが、黄色味を帯びにくくするためには、D体含有量が2%以下のものがよい。また、熱可塑性樹脂を用いて造形材料を製造するにあたり、溶融押出や溶融紡糸した後に、延伸工程やリラックス工程(熱収縮を制御するため等を目的とする加工工程)を通す場合は、結晶性を有する熱可塑性樹脂を選択することが効果的である。また、熱可塑性樹脂として、透明性が高いものを用いることにより、熱可塑性樹脂中に機能剤として蛍光材料や燐光材料を含有させた際に、その発光の効率が高く、より効果的に機能性を発揮し発光する。また、機能剤として蛍光材料や燐光材料を含有しない樹脂も、同様に透明性が高いものを用いることにより、造形材料の中心部に位置する蛍光材料もしくは燐光材料の発光機能を効果的に発揮する。さらには、熱可塑性樹脂として、親水性に乏しいものが好ましく、疎水性のものを採用するとよい。疎水性の樹脂は、樹脂自身が吸湿しにくく、造形材料の製造時や保管時、また、造形材料を用いて得られる造形物を製造する過程や製造して得られた造形物において、吸湿することなく、後述する蛍光材料や燐光材料が吸湿による機能劣化がなく、長期に亘りその機能を効果的に発揮することができる。
本発明の造形材料は、連続線状の形態であり、造形材料の長手方向(連続線状体の軸方向)に連続する少なくとも2つの領域で構成される。一方の領域は、機能剤である蛍光材料または燐光材料を含有する発光領域であり、他方の領域が蛍光材料または燐光材料をいずれも含有しない非発光領域であり、造形材料の横断面において、発光領域は、その外周が非発光領域により略覆われている。発光領域は、蛍光材料または燐光材料のいずれか一方を含むものであり、当然のことながら、蛍光材料および燐光材料の両者を含んでもよい。
蛍光材料や燐光材料は、一般的に紫外線や湿度の影響を受けて機能劣化するものが多く、このような紫外線や湿度や水分の影響を受けると長期的に発光特性を維持しにくくなる。そこで、本発明では、造形材料である熱可塑性樹脂において、蛍光材料または燐光材料を含有する熱可塑性樹脂と、これらの機能剤を含有しない熱可塑性樹脂を用意し、蛍光材料や燐光材料を含有する熱可塑性樹脂を中心部に配置し、その外周をほぼ覆うように蛍光材料や燐光材料を有しない熱可塑性樹脂で覆うことにより、蛍光材料や燐光材料を含有する熱可塑性樹脂を露出しにくくした。そして、周辺環境における水分や水蒸気が機能剤である蛍光材料や燐光材料に接しにくく、水分や紫外線の影響を受けにくい構造を採用したことから、造形材料およびこの造形材料によって得られる造形物において、耐久性を有し、長期的かつ効果的に機能を発揮することができる。また、摩耗や擦過などの物理的な負荷を受けた場合であっても、外周の熱可塑性樹脂(非発光領域)によって保護されており、蛍光材料や燐光材料の脱落を抑制することができる。さらに外周の非発光領域によって覆われていることから、蛍光材料や燐光材料の溶出による機能低下が生じにくく、また、造形材料や得られる造形物の強度低下の恐れがない。
蛍光材料または燐光材料を含有する熱可塑性樹脂によって形成する発光領域と、これらの機能剤を含有しない非発光領域との具体的な複合形態としては、造形材料の横断面形状において、発光領域を横断面の略中央の芯部に配し、その外周を非発光領域によって完全に覆う芯鞘型や、発光領域を横断面の略中央の芯部に配してその外周をCの字ごとく略覆う芯鞘型が挙げられる。本発明においては、発光領域が略覆われてなり、発光領域が露出してなる比率が、造形材料の横断面形状の外周比で4割未満であればよく、より好ましくはほぼ完全に覆ってなる形状である。また、例えば、横断面が中心部、中心部の周りを覆う中間層、中間層の周りを覆う外層の3層構造の断面形状であって、外層に非発光領域を配し、中間層あるいは中心部に発光領域を配する3層構造の横断面である造形材料であっても、発光領域が非発光領域に覆われてなるため、本発明の範囲である。発光領域と非発光領域との複合比(横断面比)は適宜設計すればよく、発光領域/非発光領域=1/9〜
1/9の範囲から選択すればよいが、造形材料中の機能剤(蛍光材料および/または燐光材料)の含有量を同じとしたときに、非発光領域の比率が大きい方がより強い光を発光するため、発光領域/非発光領域=5/5〜1/9が好ましい。
発光領域の熱可塑性樹脂と非発光領域の熱可塑性樹脂とは、取扱い性や相溶性(非剥離性)の観点から、同系の熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
造形材料は、1本の連続線状の線状体により構成されるものであっても、また、複数本の連続する繊維が集束して1本の連続線状体を形成してなるものであるものであってもよい。複数本の連続する繊維が集束してなる場合、蛍光材料または燐光材料を含有する繊維が、造形材料の略中心に位置して発光領域を形成し、その周囲を蛍光材料または燐光材料を含有しない繊維が配置して集束しているものである。
造形材料を用いて所望の造形物を製造する際、ノズルヘッドから吐出する溶融または軟化させた造形材料を積層させる際にも、その吐出物の横断面形状の構成は、造形材料の横断面形状を維持し、すなわち、蛍光材料や燐光材料を含有してなる熱可塑性樹脂と前記の材料を含有しない熱可塑性樹脂とは、加熱によって溶融または軟化するが、溶融により混じり合いが生じにくく、発光領域の外周が非発光領域により略覆われている断面形状を維持し、発光領域の外周を非発光領域により略覆われた溶融吐出材料によって、所定の造形がなされる。したがって、本発明の造形材料を用いてFDM法により得られる立体造形物は、蛍光材料や燐光材料を含有する熱可塑性樹脂が露出せず、蛍光材料や燐光材料が外気に晒されることなく、蛍光材料または燐光材料のいずれも含まない熱可塑性樹脂に覆われるため、立体造形物においても、その機能を長期的かつ効果的に発揮することができる。したがって、得られる造形物を水に触れる用途や湿度が高い場所での使用・用途にも効果的に用いることができる。したがって、屋外用途や花瓶、コップ、洗面台まわりや浴槽まわりで使用する用途等にも適用でき、長期に亘って、発光機能を発揮する。なお、積極的に撹拌させる機構等をFDM型プリンターのノズルヘッドに設けることや、溶融ヘッド内で2つの領域が混じり合うくらいに低い溶融粘度の熱可塑性樹脂を用いることをしなければ、ノズルヘッドから吐出する吐出物においても2つの領域が混じり合うことなく造形材料の横断面形状を維持することができる。したがって、溶融ヘッド内で、2つの領域が溶融により混じり合わないように、それぞれの熱可塑性樹脂の粘度や設計温度を適宜選択するとよい。
本発明に用いる蛍光材料や燐光材料としては、公知のものを用いればよく、蛍光増白剤や、標識類・各種ディスプレイの発光素子などに使用される有機材料や無機材料、また、量子ドットやCNTなどのナノ材料等を用いることができる。有機材料としては、低分子のものとしては、フルオレセイン類、ローダミン類、クマリン類、ピレン類、シアニン類等が挙げられ、高分子のものとしては、ポリ(1,4−フェニレンビニレン)類、ポリチオフェニン類、ポリフルオレン類等が挙げられる。また、無機材料としては、アルミン酸塩類、シリケート類、ハロリン類、酸窒化物類等が挙げられる。用いる蛍光材料または燐光材料は、1種であっても、2種以上を併用しても、蛍光材料と燐光材料のそれぞれを1種ずつあるいは複数種用いてもよい。複数種用いる場合は、発光の励起波長や発光波長が重複するものであっても、異なるものであってもよい。 蛍光材料および燐光材料の含有量は、材料の発光性にもよるが、造形材料の質量に対して0.1〜20質量%含有させるとよい。
また、造形材料を構成する熱可塑性樹脂には、蛍光材料や燐光材料以外の添加剤を、本発明の目的が達成される範囲であれば、適宜添加してもよい。例えば、相溶化剤、充填剤、帯電防止剤、酸化防止剤、可塑剤等が挙げられる。また、本発明の効果が損なわれず蛍光性や発光性を発揮できる範囲において、染料や顔料を添加することにより、造形物に所望の色付けを行うことができる。染料や顔料等の色素材料は、発光領域または非発光領域のいずれか、あるいは両者に添加してもよい。なお、光を散乱させる隠蔽剤は添加しないことが好ましい。
造形材料の直径は、例えば1.75mmや3mmであり、長手方向での断面積の変動は吐出斑に直結するため、できるだけ小さいことが好ましく、また、断面形状は丸形の場合、フィーダー部での送り不良を抑えるために真円性が高いことが好ましい。
本発明の造形材料は、以下の方法により得ることができる。
蛍光材料または燐光材料を含有する熱可塑性樹脂と、蛍光材料または燐光材料を含有しない熱可塑性樹脂とを準備し、蛍光材料または燐光材料を含有する熱可塑性樹脂の外周を蛍光材料または燐光材料を含有しない熱可塑性樹脂が覆うような複合形態となるように複合型口金を用いて溶融押出または溶融紡糸して、連続線状に成型することにより得られる。溶融押出あるいは溶融紡糸した後に、熱延伸を施してもよい。結晶性の熱可塑性樹脂を用いる場合、熱延伸を施すことにより、得られる造形材料の強度が向上し、屈曲破壊や疲労破壊が生じにくく、造形性が向上する。熱延伸は、一工程で行うものでも、二工程で行うものでもいずれでもよい。熱可塑性樹脂として、明確な融点を示さず、結晶性に乏しい樹脂を用いる場合は、延伸配向による効果が低い。
また、造形材料が、複数本の繊維によって構成される場合は、蛍光材料または燐光材料を含む熱可塑性樹脂からなり溶融紡糸により得られた繊維と蛍光材料または燐光材料を含有しない熱可塑性樹脂からなり溶融紡糸により得られた繊維とを準備し、前記蛍光材料または燐光材料を含む熱可塑性樹脂からなる繊維の外周を前記蛍光材料または燐光材料を含む熱可塑性樹脂からなる繊維が覆うように配置し集束させることにより得られる。集束する方法は、撚りをかける方法、製紐する方法、熱処理により熱接着する方法等が挙げられる。造形材料が複数本の繊維によって構成される場合の具体例としては、蛍光材料や燐光材料を含有する繊維束を芯糸に配し、蛍光材料や燐光材料を含有しない繊維を側糸に配して、製紐により組紐とした構成が挙げられる。あるいは、繊維集束体を構成する繊維が芯鞘構造の複合繊維であって、蛍光材料や燐光材料を含有する樹脂が芯成分に配され、蛍光材料や燐光材料を含有しない他の樹脂が鞘成分に配された構成も挙げられる。
本発明の造形材料は、その製造工程においても、蛍光材料または燐光材料を含有する熱可塑性樹脂の外周を蛍光材料または燐光材料を含有しない熱可塑性樹脂が略覆うような複合形態となるようにするため、蛍光材料や燐光材料が露出しにくく、外側に位置する熱可塑性樹脂に保護された形態をとっている。したがって、造形材料の製造工程において、水や水蒸気と接するような工程を通した場合でも、蛍光材料や燐光材料が水分によって劣化することなく、その機能が維持される。したがって、溶融押出や溶融紡糸後に、水中に浸漬することで冷却する冷却工程を通しても、また、延伸の際に水蒸気の存在下に晒しても、また、熱延伸として熱水や温水中に浸漬しても、得られる造形材料において機能性が維持され、長期的に機能を発揮しうる造形材料が得られる。
本発明の造形材料は、上記したように、機能剤である蛍光材料あるいは燐光材料を含有する発光領域を、蛍光材料あるいは燐光材料を含まない非発光領域で略覆うことにより、蛍光材料や燐光材料を保護し、その機能が劣化することを防ぎ、長期的に機能を維持し発光することを可能としたものである。この作用は、機能剤が蛍光材料あるいは燐光材料だけでなく、水分の存在下において機能劣化する機能剤にも同様に適用できる。
本発明によれば、機能剤である蛍光材料や燐光材料を有する熱可塑性樹脂からなる領域を、機能剤を含まない熱可塑性樹脂からなる領域で覆うことにより、機能剤が紫外線や湿度の影響を受けにくく機能劣化することを防止できるため、長期的に機能を維持することができる。したがって、特殊な3Dプリンターや特殊な造形プログラムを作成することなく、汎用の3Dプリンターに適用可能であり、機能性を維持し、耐久性に優れる造形材料および長期的に機能を発揮しうる造形物を提供することができる。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。なお、実施例において、造形材料を構成する熱可塑性樹脂として、ポリ乳酸(ポリ−L−乳酸の光学純度が98.6%、融点170℃)を用い、機能剤として、蛍光蓄光材料としてアルミン酸塩類(SrAl:Eu、Dy)からなる蛍光黄緑色の蓄光顔料(燐光材料)を用いた。
実施例1
ポリ乳酸に蓄光顔料を含有量が6質量%となるように含有させた蓄光顔料を有するポリ乳酸を準備し、蓄光顔料を有するポリ乳酸を芯成分、蓄光顔料を有しないポリ乳酸を鞘成分となるように、複合紡糸口金を用いて、溶融紡糸を行い、芯鞘複合断面の未延伸の連続線状体である造形材料を得た。この造形材料の直径は、1.75mmであり、芯部と鞘部の体積比は1:1であり、造形材料中の蓄光顔料濃度は3質量%であった。なお、鞘部は芯部を完全に覆ってなる形態であった。
実施例2
ポリ乳酸に蓄光顔料を含有量が6質量%となるように含有させた蓄光顔料を有するポリ乳酸を準備し、蓄光顔料を有するポリ乳酸を芯成分、蓄光顔料を有しないポリ乳酸を鞘成分となるように、複合紡糸口金を用いて、溶融紡糸を行い、芯鞘複合断面の未延伸の連続線状体を得た。次いで、溶融紡糸により得られた未延伸の連続線状体を、150℃の非接触型乾熱ヒーター中で熱延伸して、直径1.75mmの造形材料を得た。延伸倍率は3倍とした。芯部と鞘部の体積比は1:1であり、造形材料中の蓄光顔料濃度は3質量%であった。なお、鞘部は芯部を完全に覆ってなる形態であった。
比較例1
ポリ乳酸に蓄光顔料を含有量が3質量%となるように含有させた蓄光顔料を有するポリ乳酸を準備し、この蓄光顔料を有するポリ乳酸のみを用いて、紡糸口金を用いて、溶融紡糸を行い、単相型の未延伸の連続線状体である造形材料を得た。この造形材料の直径は、1.75mmであった。
比較例2
蓄光顔料を用いずに、ポリ乳酸のみを用いて、紡糸口金を用いて、溶融紡糸を行い、単相型の未延伸の連続線状体である造形材料を得た。この造形材料の直径は、1.75mmであった。
<造形物の製造>
実施例1、2、比較例1、2で得られた造形材料を用いて、FDM型3Dプリンター(FLASHFORGE「CREATER PRO」)に適用し、厚み1mmの造形物を作成した。造形条件は、ノズル温度210℃、ベッド温度50℃、積層ピッチ0.25mm、充填率100%として行った。
得られた造形物および造形材料について、下記評価を行った。
<蓄光性>
屋外の太陽光下に1分間曝露した後、暗室にて蓄光の輝度を目視により下基準により比較評価した。
5級:著しく強い発光がみられる
4級:強い発光がみられる
3級:発光している
2級:発光しているが弱い、あるいは一部に発光していない箇所がある
1級:発光がみられない
<耐湿熱性>
造形材料を沸騰水中に投入し30分間放置した後、沸騰水中より取り出し、屋外の太陽光下に1分間曝露した後、暗室にて蓄光の輝度を目視により比較評価した。評価基準は上記<蓄光性>と同じ5段階の基準とした。
また、造形物については、沸騰水中への投入時間を10分間として、同様の評価を行った。
評価結果を表1に示す。
蓄光性評価では、実施例1,2および比較例1は、いずれも造形材料中の蛍光顔料の含有量は、3質量%であるが、複合形態を採用した本発明の実施例1,2の造形材料および造形物は、同じ量を含有しているにも関わらず、著しく強く発光しており、機能剤が効果的に作用していることがわかった。
また、湿熱処理により、比較例1の造形材料および造形物は、発光特性が大きく損なわれたが、本発明の実施例1,2は、湿熱処理後においても強い発光がみられた。したがって、本発明の造形材料によれば、製造や保管において水分に対する耐久性を有し、また、造形物においても保管・使用時において水分に対して機能を維持し耐久性を有するものである。
実施例3
ポリ乳酸に蓄光顔料を含有量が6質量%となるように含有させた蓄光顔料を有するポリ乳酸を準備し、蓄光顔料を有するポリ乳酸を芯成分とした。またフタロシアニン系青色顔料を含有量が0.1質量%となるように含有させたポリ乳酸を鞘成分とした。これら芯成分と鞘成分を用いて、複合紡糸口金を用いた溶融紡糸を行い、芯鞘複合断面の未延伸の連続線状体である造形材料を得た。この造形材料の直径は、1.75mmであり、芯部と鞘部の体積比は1:1であり、造形材料中の蓄光顔料濃度は3質量%、青色顔料濃度は0.05質量%であった。なお、鞘部は芯部を完全に覆ってなる形態であった。
実施例3で得られた造形材料を用いて、上記<造形物の製造>と同様にして造形物を得た。得られた造形物を目視確認したところ、発光色は緑色であり、鞘成分に青色顔料を入れることにより、実施例1(黄緑色に発光)から発光色が変化した。また、実施例3の造形材料においても、実施例1、2と同様に、燐光材料を含む領域が、燐光材料を含まない領域により覆われてなる横断面形態を採用しているので、同様に製造や保管において水分に対する耐久性を有し、また、造形物においても保管・使用時において水分に対して機能を維持し耐久性を有するものである。
実施例4
ポリ乳酸に、蓄光顔料を6質量%含有させた蓄光性ポリ乳酸チップと、蓄光顔料を含有しないポリ乳酸チップとを準備した。蓄光性ポリ乳酸を芯成分とし、蓄光顔料を含有しないポリ乳酸を鞘成分として、複合紡糸口金を用いて、エクストルーダー型紡糸機にて溶融紡糸を行った。得られた糸条を延伸して、芯鞘複合断面の560dtex/48フィラメントの蓄光性芯鞘マルチフィラメントを得た。この蓄光性芯鞘マルチフィラメントにおいて、芯部と鞘部との体積比は1:1であり、蓄光顔料の濃度は3質量%であった。鞘部が芯部を完全に覆った形態であった。
得られた蓄光性芯鞘マルチフィラメント3本と、無色のポリ乳酸繊維からなる560dtex/96フィラメントのマルチフィラメント2本とを引き揃えた繊維束を、リング撚糸機を用いてZ撚り60回/m(Z−60)で下撚りをかけて撚糸を得た。得られた撚糸を7本束ね、リング撚糸機を用いて、S撚り150回/m(S−150)で上撚りをかけて諸撚糸を得た。得られた諸撚糸に165℃×1分の熱処理を行って、線径1.75mmの、実施例4の造形材料を得た。造形材料中の蓄光顔料の濃度は1.8質量%であった。得られた造形材料は、構成繊維が熱処理時の軟化と収縮により固化していた。
実施例5
ポリ乳酸に、蓄光顔料を3質量%含有させた蓄光性ポリ乳酸チップを準備した。この蓄光性ポリ乳酸チップを用いて、エクストルーダー型紡糸機にて溶融紡糸を行い、延伸して、560dtex/48フィラメントの蓄光性マルチフィラメントを得た。
16本丸打ち製紐機を用いて、この蓄光性マルチフィラメント20本を引き揃えた繊維束を芯糸に配し、側糸として、無色のポリ乳酸繊維からなる560dtex/96フィラメントのマルチフィラメントを1本ずつ配して、製紐により組紐を得た。得られた組紐に、165℃×1分間の熱処理を行って、線径1.75mm、の実施例5の造形材料を得た。造形材料中の蓄光顔料の濃度は1.6質量%であった。得られた造形材料は、構成繊維が熱処理時の軟化と収縮により固化していた。
実施例4、5の造形材料を用いて、上記<造形物の製造>と同様にして造形物を得た。得られた造形物は、蛍光の黄緑色に発光し、蓄光性を有するものであった。実施例4、5の造形材料においても、実施例1、2と同様に、燐光材料を含む領域が、燐光材料を含まない領域により覆われてなる横断面形態を採用しているので、同様に製造や保管において水分に対する耐久性を有し、また、造形物においても保管・使用時において水分に対して機能を維持し耐久性を有するものである。

Claims (9)

  1. 溶融積層造形法に用いる熱可塑性樹脂により構成される連続線状の造形材料であって、造形材料の長手方向に連続する少なくとも二つの領域で構成されており、一方の領域が蛍光材料または燐光材料を含有する発光領域であり、他方の領域が蛍光材料または燐光色素のいずれも含有しない非発光領域であり、
    造形材料の横断面において、発光領域は、その外周が非発光領域により略覆われていることを特徴とする造形材料。
  2. 造形材料の横断面が、発光領域が芯成分を形成し、非発光領域が鞘成分を形成してなる芯鞘構造であることを特徴とする請求項1記載の造形材料。
  3. 連続線状の造形材料は、複数本の繊維が集束して1本の連続線状体の形態を呈しており、造形材料の断面において、蛍光材料または燐光材料を含有する繊維が発光領域を形成し、蛍光材料または燐光材料を含有しない繊維が非発光領域を形成するように配置していることを特徴とする請求項1または2記載の造形材料。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の造形材料を用いて、熱溶解積層方式3Dプリンターを適用し、前記造形材料を吐出ノズルに供給し、造形材料を溶融または軟化させ、ノズル先端より溶融または軟化した材料を吐出するにあたり、発光領域と非発光領域が連続してなり発光領域の外周が非発光領域により略覆われている溶融または軟化した材料を吐出積層して、所定の形状の造形物を形成することを特徴とする三次元造形物の製造方法。
  5. 請求項1記載の造形材料の製造方法であって、蛍光材料または燐光材料を含有する熱可塑性樹脂と、蛍光材料または燐光材料を含有しない熱可塑性樹脂とを準備し、蛍光材料または燐光材料を含有する熱可塑性樹脂の外周を蛍光材料または燐光材料を含有しない熱可塑性樹脂が略覆うような複合形態となるように複合型口金を用いて溶融押出または溶融紡糸して、連続線状に成型することを特徴とする造形材料の製造方法。
  6. 溶融押出または溶融紡糸後に、熱延伸を施すことを特徴とする請求項5記載の造形材料の製造方法。
  7. 請求項3記載の造形材料の製造方法であって、蛍光材料または燐光材料を含む熱可塑性樹脂からなり溶融紡糸により得られた繊維と蛍光材料または燐光材料を含有しない熱可塑性樹脂からなり溶融紡糸により得られた繊維とを準備し、前記蛍光材料または燐光材料を含む熱可塑性樹脂からなる繊維の外周を前記蛍光材料または燐光材料を含む熱可塑性樹脂からなる繊維が略覆うように配置し集束させることを特徴とする造形材料の製造方法。
  8. 溶融積層造形法に用いる熱可塑性樹脂により構成される連続線状の造形材料であって、造形材料の長手方向に連続する少なくとも二つの領域で構成されており、一方の領域が機能剤を含有する機能剤含有領域であり、他方の領域が機能剤を含有しない機能剤非含有領域であり、
    前記機能剤が、水分の存在下において機能劣化するものであり、
    造形材料の横断面において、機能剤含有領域は、その外周が機能剤非含有領域により略覆われていることを特徴とする造形材料。
  9. 請求項8記載の造形材料を用いて、熱溶解積層方式3Dプリンターを適用し、前記造形材料を吐出ノズルに供給し、造形材料を溶融または軟化させ、ノズル先端より溶融または軟化した材料を吐出するにあたり、機能剤含有領域と機能剤非含有領域が連続してなり機能剤含有領域の外周が機能剤非含有領域により略覆われている溶融または軟化した材料を吐出積層して、所定の形状の造形物を形成することを特徴とする三次元造形物の製造方法。
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