JP2005138422A - 三次元造型装置および糸状材料 - Google Patents

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達夫 中澤
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Abstract

【課題】機能的な確認・評価が可能な三次元の物体を効率的に造型すること。
【解決手段】三次元の物体を構成する材料を供給するヘッド101と、材料によって造型される物体を載置する載置台102と、ヘッド101および載置台102の少なくともいずれかをXY軸方向へ駆動し、ヘッド101および載置台102の少なくともいずれかをZ軸方向へ駆動するとともに、ヘッド101における材料の供給を制御する制御部105とを備えた三次元物体装置のヘッド101が、異なる種類の材料を射出する少なくとも3つのノズル211,221,231を有する。また、1本または複数本の、プラスチック材料にナノ材料を混合・分散させ、糸状にした第1の材料と、1本または複数本の、プラスチック材料または前記プラスチック材料とは異なる材質のプラスチック材料を糸状にした第2の材料と、を束ねた材料を用いる。
【選択図】 図2

Description

この発明は、三次元の物体を造型する三次元造型装置、およびその三次元造型装置などにおいて用いることが可能な糸状材料に関する。
従来から、CADデータから三次元構造を生成するCAD印刷装置、より具体的には、CADデータを用いて閉ループノズル位置決めシステムを有するデータ処理システムの制御下においてノズルを介して材料を押し出すことによって、三次元対象物を組み立てる装置が存在する(たとえば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載の装置は、一つのノズルを用いて、1種類の材料によって三次元対象物を組み立てるものである。
また、二つのノズルを用いて、2種類の材料によって三次元対象物を組み立てる装置も存在する(たとえば、特許文献2参照。)。この特許文献2に記載の装置は、二つのノズルのうち、一つは三次元対象物を組み立てる材料用として用い、もう一つは剥離材料用として用いている。したがって、空間に突出し延在するオーバハング部を組み立てる際に、それを支える部分との間に剥離材料を供給して、完成後の剥離を容易ならしめるものである。
特開平5−345359号公報 特開平9−24552号公報
しかしながら、上記従来技術にあっては、完成された三次元造型物は、いずれも1種類の材料によってのみ作成された物であるため、その三次元造型物について機構構造的に確認・評価することはできるが、機能構造的、たとえば導電性、熱導電性、強度などを確認・評価することは困難であるという問題点があった。
また、上記機能構造的な確認・評価ができるような特徴を持った材質の材料は一般的に、通常の三次元造型物の試作品を構成する材料と比較すると非常に高価なため、このような高価な材料のみで三次元造型物の試作品を作成するのは多大なコストがかかってしまい妥当ではない。したがって、三次元造型物の機能構造的な確認・評価をする上で必要な部分にのみ上記高価な材料を使用したいという要望がある。
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、複数の材料を用いて、多機能性を備えた三次元造型を効率的におこなうことが可能な三次元造型装置および上記三次元造型の材料として用いる機能構造的な特徴を有する糸状材料を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1に記載の発明にかかる三次元造型装置は、三次元の物体を造型する三次元造型装置において、前記三次元の物体を構成する材料を供給するヘッドと、前記材料によって造型される物体を載置する載置手段と、前記ヘッドおよび前記載置手段の少なくともいずれかをXY軸方向へ駆動する第1の駆動手段と、前記ヘッドおよび前記載置手段の少なくともいずれかをZ軸方向へ駆動する第2の駆動手段と、前記第1および第2の駆動手段における前記ヘッドおよび前記載置手段の少なくともいずれかの駆動を制御するとともに、前記ヘッドにおける材料の供給を制御する制御手段と、を備え、前記ヘッドが、異なる種類の材料を射出する少なくとも3つのノズルを有することを特徴とする。
この請求項1に記載の発明によれば、材料を供給するヘッドまたは造型される三次元の物体を載置する載置手段のいずれかあるいはその両方がXY軸方向すなわち水平の平面上を移動し、またヘッドまたは載置手段のいずれかあるいはその両方がZ軸方向すなわち垂直に移動するとともに、上記移動に対応させてヘッドから材料を供給することで、三次元の物体の造型をおこなう。その際、上記ヘッドが、少なくとも3種類の材料をノズルから射出することによって、同時に供給することができるので、3種類の材料による三次元造型をすることができる。
また、請求項2に記載の発明にかかる三次元造型装置は、請求項1に記載の発明において、前記ノズルの少なくとも一つが造型試料用であり、かつ、前記ノズルの少なくとも一つが前記造型試料とは別の造型新材料用であることを特徴とする。この請求項2に記載の発明によれば、造型新材料によって、三次元造型物の機構的だけでなく性能的な確認・評価をすることができる。
また、請求項3に記載の発明にかかる三次元造型装置は、請求項2に記載の発明において、前記造型新材料が、ナノ材料を含むものであることを特徴とする。この請求項3に記載の発明によれば、三次元造型物にナノ材料の特性(たとえば、導電性、熱導電性、強度、微細化など)を持たせることができる。
また、請求項4に記載の発明にかかる三次元造型装置は、請求項3に記載の発明において、前記造型新材料が、プラスチック材料に前記ナノ材料を混合・分散させたものであることを特徴とする。この請求項4に記載の発明によれば、少量の材料でナノ材料の特性を持たせることができる。
また、請求項5に記載の発明にかかる三次元造型装置は、請求項4に記載の発明において、前記造型新材料が、1本または複数本の、前記プラスチック材料に前記ナノ材料を混合・分散させ、糸状にした第1の材料と、1本または複数本の、前記プラスチック材料または前記プラスチック材料とは異なる材質のプラスチック材料を糸状にした第2の材料と、を束ねたものであることを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明にかかる三次元造型装置は、請求項5に記載の発明において、前記造型新材料が、1本または複数本の前記第1の材料と、1本または複数本の前記第2の材料と、を縒り合わせて束ねたものであることを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明にかかる三次元造型装置は、請求項5に記載の発明において、前記造型新材料が、1本または複数本の前記第1の材料と、1本または複数本の前記第2の材料と、を熱融合して束ねたものであることを特徴とする。
また、請求項8に記載の発明にかかる三次元造型装置は、請求項3〜7のいずれか一つに記載の発明において、前記ナノ材料が、カーボンナノファイバ(たとえば、VGCF(Vapor−Grown Carbon Fiber)など、またはカーボンナノチューブを含むカーボンナノ材料であることを特徴とする。
また、請求項9に記載の発明にかかる三次元造型装置は、請求項3〜7のいずれか一つに記載の発明において、前記ナノ材料が、天然ゴム材料またはエラストマー材料であることを特徴とする。
また、請求項10に記載の発明にかかる三次元造型装置は、請求項4〜9のいずれか一つに記載の発明において、前記プラスチック材料が、ABSまたはポリカーボネートであることを特徴とする。
また、請求項11に記載の発明にかかる糸状材料は、1本または複数本の、プラスチック材料にナノ材料を混合・分散させ、糸状にした第1の材料と、1本または複数本の、前記プラスチック材料または前記プラスチック材料とは異なる材質のプラスチック材料を糸状にした第2の材料と、を束ねたことを特徴とする。この請求項11に記載の発明によれば、ナノ材料の特性(たとえば、導電性、熱導電性、強度、微細化など)を持たせた糸状材料を提供することができる。
また、請求項12に記載の発明にかかる糸状材料は、請求項11に記載の発明において、1本または複数本の前記第1の材料と、1本または複数本の前記第2の材料と、を縒り合わせて束ねたものであることを特徴とする。
また、請求項13に記載の発明にかかる糸状材料は、請求項11に記載の発明において、1本または複数本の前記第1の材料と、1本または複数本の前記第2の材料と、を熱融合して束ねたものであることを特徴とする。
また、請求項14に記載の発明にかかる糸状材料は、請求項11〜13のいずれか一つに記載の発明において、前記ナノ材料が、カーボンナノファイバまたはカーボンナノチューブを含むカーボンナノ材料であることを特徴とする。
また、請求項15に記載の発明にかかる糸状材料は、請求項11〜13のいずれか一つに記載の発明において、前記ナノ材料が、天然ゴム材料またはエラストマー材料であることを特徴とする。
また、請求項16に記載の発明にかかる糸状材料は、請求項11〜15のいずれか一つに記載の発明において、前記プラスチック材料が、ABSまたはポリカーボネートであることを特徴とする。
本発明によれば、複数の材料を用いた三次元造型を効率的におこなうことが可能な三次元造型装置が得られるという効果を奏する。また、上記三次元造型の材料として用いる糸状材料が得られるという効果を奏する。
以下に添付図面を参照して、三次元造型装置および糸状材料の好適な実施の形態を詳細に説明する。
(三次元造型装置の構成)
まず、この発明の本実施の形態にかかる三次元造型装置の構成について説明する。図1は、この発明の本実施の形態にかかる三次元造型装置の構成を示す説明図である。
図1において、三次元造型装置100は、造型する物体を構成する材料を供給するヘッド101と、造型する物体を載置する載置台102と、XY軸方向すなわち水平な平面上においてヘッド101を駆動するXY軸駆動部103と、Z軸方向すなわち垂直方向に載置台102を駆動するZ軸駆動部104と、ヘッド101における材料供給と、XY軸駆動部103によるヘッド101の駆動およびZ軸駆動部104による載置台102の駆動とを制御する制御部105と、を少なくとも備えている。ここで、図1にあっては、載置台102上には、作成途中の三次元造型物106が載置されている状態を示している。
また、110は第1材料であり、120は第2材料であり、130は第3材料であり、111,121,131は、それぞれの材料を収納する材料収納部である。材料収納部111,121,131は、リール状になっている糸状の材料を回転させることによって、材料110,120,130をそれぞれヘッド101へ送り出す。
なお、本実施の形態にあっては、ヘッド101をXY軸方向にのみ移動させ、載置台102をZ軸方向にのみ移動させる構成としたが、これには限定されない。すなわち、載置台102を完全に固定し、ヘッド101をXYZ軸のすべての方向に移動させるようにしてもよく、その逆に、ヘッド101を完全に固定し、載置台102をXYZ軸のすべての方向に移動させるようにしてもよい。また、XYZ軸方向のうちの一つの方向にはヘッド101または載置台102のいずれか一方のみを移動させるようにしたが、ヘッド101および載置台102の両方を同時または別々に移動させるようにしてもよい。要するに、材料を射出する三次元の所定の点(位置)を特定できるように駆動できれば、これらの方法に限定されず、他の制御方法であってもよい。
(ヘッドの構成)
つぎに、この発明の本実施の形態にかかる三次元造型装置100のヘッド101について説明する。図2は、この発明の本実施の形態にかかる三次元造型装置のヘッドの構成を示す説明図である。図2において、ヘッド101は、3種類の異なる糸状材料(第1材料110、第2材料120、第3材料130)を供給する3本のノズル(第1ノズル211、第2ノズル221、第3ノズル231)を備えている。
第1材料110は、プーリローラ212aおよび212bの図示した間欠的な回転動作によって第1ノズル211へ運ばれる。第1ノズル211へ運ばれた第1材料110は、第1ノズル211内において、ヒータ213によって所定温度で加熱されることにより、溶解され、第1ノズル211の先端部214から押し出される。このようにして、第1材料110は、第1ノズル211によって供給されることになる。第2材料120および第3材料130も同様に、それぞれ第2ノズル221および第3ノズル231によって供給(射出)される。
また、第1ノズル211の外側には、第1材料110を加熱し溶解する第1ヒータ213が設けられている。同様に、第2ノズル221の外側には第2ヒータ223が、第3ノズル231の外側には第3ヒータ233が、それぞれ設けられている。第1ヒータ213、第2ヒータ223、第3ヒータ233は、一つのヒータを共用するようにしてもよい。また、それぞれ別個のヒータとして独立に制御するようにしてもよい。その際、それぞれの材料に合わせて最適な加熱温度を別々設定することができる。また、材料の使用頻度などに応じてヒータのON/OFFもそれぞれ独立に設定することができる。これによって、電力消費量を削減できるとともに、それぞれのヒータ自身の寿命を延ばすことができる。
(三次元造型処理の内容)
つぎに、三次元造型装置100による三次元造型処理の手順の一例について説明する。図3は、三次元造型装置による三次元造型処理の手順の一例を示すフローチャートである。図3のフローチャートにおいて、まず、制御部105は、Z軸駆動部104へ移動制御信号を出力する。Z軸駆動部104は、制御部105から出力された移動制御信号を入力し、入力された移動制御信号に基づいて載置台102を初期位置(通常は、最上位)へ移動させる(ステップS301)。
つぎに、制御部105は、XY軸駆動部103へ移動制御信号を出力するとともに、ヘッド101へ材料供給制御信号(ノズルごと別個独立の制御信号)を出力する。XY軸駆動部103は、制御部105から出力される制御信号を入力し、入力された制御信号に基づいてヘッド101をXY軸のいずれかの方向へ所定の速度で移動させる。その際、ヘッド101は、制御部105から出力される材料供給制御信号を入力し、入力された材料供給制御信号に基づいて、ヘッド101の移動のタイミングに合わせて、プーリローラ212,222,232を回転させることで、載置台102に対して材料を供給(射出)する。このようにして、第1層の造型処理をおこない(ステップS302)、その結果、載置台102上には、物体の第1層(最低部)の形状が造型される。
ここで、制御部105は、第1層の造型処理が終了し、第1層が完成したか否かを判断する(ステップS303)。ここで、いまだ、造型処理が終了していない場合(ステップS303:No)は、ステップS302へ戻る。そして、第1層の造型処理が終了した場合(ステップS303:Yes)は、その後、Z軸駆動部104へ移動制御信号を出力する。Z軸駆動部104は、制御部105から出力される移動制御信号を入力し、入力された制御信号に基づいて載置台102を上記第1層の高さ分だけ下側へ下げるように移動させる(ステップS304)。
つぎに、第1層の造型処理と同様の処理を次層(第n+1層)においてもおこなう(ステップS305)。そして、第n+1層の造型処理が終了したか否かを判断する(ステップS306)。ここで、いまだ、造型処理が終了していない場合(ステップS306:No)は、ステップS305へ戻り、引き続き造型処理をおこなう。そして、第n+1層の造型処理が終了した場合(ステップS306:Yes)は、当該層が最終層すなわち最上層か否かを判断する(ステップS307)。
ステップS307において、いまだ最終層でない場合(ステップS307:No)は、ステップS304へ戻る。以降、ステップS304〜S307を繰り返しおこなう。そして、ステップS307において、最終層である場合(ステップS307:Yes)は、造型物が完成し、一連の処理を終了する。
(ノズルと材料との関係)
つぎに、ヘッド101における3本のノズルと材料との関係を説明する。3本のノズルのうちの一つは、造型試料用として用いる。そして、他の一つのノズルは、造型試料とは別の造型新材料用として用いる。さらに、残りの一つのノズルは、サポート材用として用いる。ノズルの配置は、造型にあたり最も多く使用される造型試料用のノズルを真ん中、すなわち図2における第1のノズル211とするのが最も効率的である。
したがって、以後、造型試料を第1材料110とし、造型試料用ノズルを第1ノズル211とする。同様に、造型新材料を第2材料120とし、造型新材料用ノズルを第2ノズル221とし、サポート材を第3材料130とし、サポート材用ノズルを第3ノズル231とする。なお、これら3本のノズルはこの配置に限定されるものではなく、他の配列であってもよい。
ここで、造型試料(第1材料110)としては、たとえば、プラスチック材料が挙げられ、より具体的には、ABS、ポリカーボネートなどが一般的である。また、造型新材料(第2材料120)としては、たとえばナノ材料を含むものが考えられる。造型新材料の材質について詳細は後述する。さらに、サポート材(第3材料130)としては、造型後に剥離可能な材質、たとえば第1材料110よりも硬度が低いものが適している。また、上記特許文献2に示されている機械加工可能なワックスなど(より具体的には、フルオロケミカル、シリコーン、ステアリン酸などの離型材、溶媒または水に溶解可能な重合体、ワックスや重合体を含む分散液など)であってもよい。
また、3本のノズルについて、サポート材用として1本を用いて、異なる種類の造型試料用としてそれぞれ1本ずつを用いるようにしてもよい。このようにすることによって、形状によって造型試料を使い分けるようにし、複雑な形状や機能の造型物を容易に作成することができる。
また、3本のノズルを、造型試料用として1本を用いて、異なる種類のサポート材用としてそれぞれ1本ずつを用いるようにしてもよい。このようにすることによって、形状によってサポート材を使い分けるようにし、複雑な形状の造型物をより効率的に作成することができる。
また、ノズルを4本にして、異なる種類の造型試料用としてそれぞれ1本ずつを用いるようにし、さらに、異なる種類のサポート材用としてそれぞれ1本ずつを用いるようにしてもよい。
また、ノズルを4本にして、造型試料用として1本を用いて、サポート材用として1本を用いて、異なる種類の造型新材料用としてそれぞれ1本ずつを用いるようにしてもよい。たとえば、造型新材料のうちのナノ材料用として1本を用いて、ゴム材料用としてもう1本を用いるとよい。
ノズルの径は、材料の種類や性質、さらには造型対象に応じて第1ノズル211,第2ノズル221,第3ノズル231をぞれぞれ別個に設定することができる。通常の造型試用の材料、たとえばプラスチック材料であれば、その強度などからノズル径は0.25mmが限界であるが、カーボンナノ材料を用いることで、糸状材料の強度と流動性が向上することから、ノズル径を0.1mm程度まで小さくすることができ、これによって、より微細な加工が可能となる。
さらにまた、同一の材料を径の異なるそれぞれ別個のノズルに入れ、造型部分によってそれぞれのノズルを使い分けるようにすることができる。具体的には、形状の粗い部分や多くの材料が必要な部分には太い径のノズルを用い、微細な形状部分に細い径のノズルを用いる。これによって、造型速度を向上させることができる。
(糸状材料の内容)
つぎに、糸状材料の内容について説明する。造型新材料である第2材料120として用いる材料は、プラスチック材料にナノ材料を混合・分散させたものが挙げられる。より具体的には、たとえば、1本または複数本の、プラスチック材料にナノ材料を混合・分散させ、糸状にした材料(ナノ材料)と、1本または複数本の、プラスチック材料を糸状にした第2の材料と、を束ねたものを用いる。
束ね方としては、たとえば、1本または複数本のナノ材料と、1本または複数本のプラスチック材料とを縒り合わせて束ねたり、また、1本または複数本のナノ材料と、1本または複数本のプラスチック材料とを熱融合して束ねるとよい。
上記ナノ材料は、たとえば、カーボンナノファイバ(たとえば、VGCF(Vapor−Grown Carbon Fiber)またはカーボンナノチューブを含むカーボンナノ材料である。これによって、造型物に導電性、熱導電性などの特性を持たせることができたり、造型物の強度を高めたりすることができる。さらに、ナノ材料を用いることで、材料を細くすることができ、それによって造型物の微細加工が可能となる。
また、上記ナノ材料は、上記カーボンナノ材料のほか、図4に示すナノ粒子を用いた材料が挙げられる。図4は、ナノ粒子の一覧を示す説明図である。図4に示す用途例に基づいて、造型物に使用するナノ材料を選択することができる。
また、上記造型材料は、天然ゴム材料またはエラストマー材料を含むものであってもよい。特に熱可塑性エラストマー(Thermoplastic Elastomer(TPE))は、各種の特徴を備えており、造型材料としては最適である。図5は、主なTPEのセグメント構造とその特徴の一覧を示す説明図である。図5に示す特徴に基づいて造型物に使用するTPEを選択することができる。
なお、本実施の形態にかかる糸状材料は、三次元造型装置の材料として用いるだけでなく、通常の繊維と同様に他の用途にも利用することができる。たとえば、衣服に織り込むことによって、帯電防止用として利用することができたり、カーボンナノ材料を用いて、導電性があって強度の高い、たとえば通信用ケーブルなどに利用することもできる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、三次元の物体を構成する材料を供給するヘッド101と、材料によって造型される物体を載置する載置台102と、ヘッド101および載置台102の少なくともいずれかをXY軸方向へ駆動するXY軸駆動部103と、ヘッド101および載置台102の少なくともいずれかをZ軸方向へ駆動するZ軸駆動部104と、XY軸駆動部103、Z軸駆動部104におけるヘッド101および載置台102の少なくともいずれかの駆動を制御するとともに、ヘッド101における材料の供給を制御する制御部105とを備え、ヘッド101が、異なる種類の材料を射出する少なくとも3つのノズル211,221,231を有する。
これによって、材料を供給するヘッド101または造型される三次元の物体を載置する載置台102のいずれかあるいはその両方がXY軸方向すなわち水平の平面上を移動し、またヘッド101または載置台102のいずれかあるいはその両方がZ軸方向すなわち垂直に移動するとともに、上記移動に対応させてヘッド101から材料を供給することで、三次元の物体の造型をおこなう。その際、ヘッド101が、少なくとも3種類の材料をノズル211,221,231から射出することによって、同時に供給することができるので、3種類の材料による三次元造型をすることができる。
また、本実施の形態によれば、ノズルの少なくとも一つが造型試料用であり、かつ、ノズルの少なくとも一つが造型試料とは別の造型新材料用であるので、一つのノズルに、機能構造的な確認・評価ができるような特徴を持った材質の高価な造型新材料をセットし、必要最小限の部分にのみ使用することによって、効率的に三次元造型物(試作品)を作成することができ、その三次元造型物の機能構造的な確認・評価をすることができる。このように、複数の材料を用いて、多機能性を備えた三次元造型を効率的におこなうことが可能な三次元造型装置が提供できる。特に、造型新材料が、ナノ材料を含むものであれば、三次元造型物にナノ材料の機能構造的な特性(たとえば、導電性、熱導電性、強度、微細化など)を持たせることができる。
また、本実施の形態によれば、1本または複数本の、プラスチック材料にナノ材料を混合・分散させ、糸状にしたナノ材料と、1本または複数本の、プラスチック材料と、を束ねたため、ナノ材料の機能構造的特性を持たせた糸状材料を提供することができる。
本発明によれば、複数の材料を用いた三次元造型を効率的におこなうことが可能な三次元造型装置が得られるという効果を奏する。また、上記三次元造型の材料として用いる糸状材料が得られるという効果を奏する。
以上のように、本発明にかかる三次元造型装置および糸状材料は、三次元の物体、たとえば試作品の造型に用いるのに適している。
この発明の本実施の形態にかかる三次元造型装置の構成を示す説明図である。 この発明の本実施の形態にかかる三次元造型装置のヘッドの構成を示す説明図である。 この発明の本実施の形態にかかる三次元造型装置による三次元造型処理の手順の一例を示すフローチャートである。 ナノ粒子の一覧を示す説明図である。 主なTPEのセグメント構造とその特徴の一覧を示す説明図である。
符号の説明
100 三次元造型装置
101 ヘッド
102 載置台
103 XY軸駆動部
104 Z軸駆動部
105 制御部
106 三次元造型物(試作品)
110,120,130 糸状材料
111,121,131 材料収納部
211,221,231 ノズル
212,222,232 プーリローラ
213,223,233 ヒータ
214,224,234 (ノズル)先端部

Claims (16)

  1. 三次元の物体を造型する三次元造型装置において、
    前記三次元の物体を構成する材料を供給するヘッドと、
    前記材料によって造型される物体を載置する載置手段と、
    前記ヘッドおよび前記載置手段の少なくともいずれかをXY軸方向へ駆動する第1の駆動手段と、
    前記ヘッドおよび前記載置手段の少なくともいずれかをZ軸方向へ駆動する第2の駆動手段と、
    前記第1および第2の駆動手段における前記ヘッドおよび前記載置手段の少なくともいずれかの駆動を制御するとともに、前記ヘッドにおける材料の供給を制御する制御手段と、
    を備え、
    前記ヘッドは、異なる種類の材料を射出する少なくとも3つのノズルを有することを特徴とする三次元造型装置。
  2. 前記ノズルの少なくとも一つは造型試料用であり、かつ、前記ノズルの少なくとも一つは前記造型試料とは別の造型新材料用であることを特徴とする請求項1に記載の三次元造型装置。
  3. 前記造型新材料は、ナノ材料を含むものであることを特徴とする請求項2に記載の三次元造型装置。
  4. 前記造型新材料は、プラスチック材料に前記ナノ材料を混合・分散させたものであることを特徴とする請求項3に記載の三次元造型装置。
  5. 前記造型新材料は、1本または複数本の、前記プラスチック材料に前記ナノ材料を混合・分散させ、糸状にした第1の材料と、1本または複数本の、前記プラスチック材料または前記プラスチック材料とは異なる材質のプラスチック材料を糸状にした第2の材料と、を束ねたものであることを特徴とする請求項4に記載の三次元造型装置。
  6. 前記造型新材料は、1本または複数本の前記第1の材料と、1本または複数本の前記第2の材料と、を縒り合わせて束ねたものであることを特徴とする請求項5に記載の三次元造型装置。
  7. 前記造型新材料は、1本または複数本の前記第1の材料と、1本または複数本の前記第2の材料と、を熱融合して束ねたものであることを特徴とする請求項5に記載の三次元造型装置。
  8. 前記ナノ材料は、カーボンナノファイバまたはカーボンナノチューブを含むカーボンナノ材料であることを特徴とする請求項3〜7のいずれか一つに記載の三次元造型装置。
  9. 前記ナノ材料は、天然ゴム材料またはエラストマー材料であることを特徴とする請求項3〜7のいずれか一つに記載の3次元造型装置。
  10. 前記プラスチック材料は、ABSまたはポリカーボネートであることを特徴とする請求項4〜9のいずれか一つに記載の三次元造型装置。
  11. 1本または複数本の、プラスチック材料にナノ材料を混合・分散させ、糸状にした第1の材料と、1本または複数本の、前記プラスチック材料または前記プラスチック材料とは異なる材質のプラスチック材料を糸状にした第2の材料と、を束ねたことを特徴とする糸状材料。
  12. 1本または複数本の前記第1の材料と、1本または複数本の前記第2の材料と、を縒り合わせて束ねたものであることを特徴とする請求項11に記載の糸状材料。
  13. 1本または複数本の前記第1の材料と、1本または複数本の前記第2の材料と、を熱融合して束ねたものであることを特徴とする請求項11に記載の糸状材料。
  14. 前記ナノ材料は、カーボンナノファイバまたはカーボンナノチューブを含むカーボンナノ材料であることを特徴とする請求項11〜13のいずれか一つに記載の糸状材料。
  15. 前記ナノ材料は、天然ゴム材料またはエラストマー材料であることを特徴とする請求項11〜13のいずれか一つに記載の糸状材料。
  16. 前記プラスチック材料は、ABSまたはポリカーボネートであることを特徴とする請求項11〜15のいずれか一つに記載の糸状材料。
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