JP2017094687A - 積層体の製造方法および製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】均一に接着剤が塗布された通気性が良く、圧力損失の少ない、剥離不良の少ない積層不織布の提供。【解決手段】第1シート1及び第2シートを準備する準備工程と、第1シート1の一方の主面に、前記主面の上方に配置された散布装置5により、接着剤4の粒子を散布する接着剤散布工程と、前記第1シート1に、接着剤4を介して、第2シートを積層させる積層工程と、を具備し、散布装置5が、接着剤4を貯留するとともに、前記主面に対向する開口6Aを備える貯留部6と、第1隙間が形成されるように、開口6Aにはめ込まれたローラ7と、を備え、ローラ7が、外周面に溝を有しており、前記接着剤散布工程が、ローラ7を回転させて、第1シート1の前記主面とは反対側に位置するローラ7の前記外周面の前記溝に埋められた接着剤7を、前記第1隙間から前記主面に散布する、積層体の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、積層体の製造方法および製造装置に関し、複数のシートを、接着剤を用いて積層する方法および装置に関する。
複数のシートが積層された積層体は、強度が高いため、様々な用途に用いられている。例えば、特許文献1は、基材である不織布と、保護層としての他の不織布と、これらの間に介在する極細繊維層と、を備える積層体を、空気清浄機等の濾材として使用することを提案している。このような積層体は、例えば、基材である不織布(第1シート)に、電界紡糸法等により極細繊維を堆積させた後、接着剤を塗布し、保護層として他の不織布(第2シート)を積層させることにより得られる。
特開2014−121699号公報
しかし、接着剤が積層体に不均一に塗布されていると、シート間で剥離が生じる。また、通気性を有する積層体の場合、圧力損失が増大する場合がある。
本発明の一局面は、第1シートおよび第2シートを準備する準備工程と、前記第1シートの一方の主面に、前記主面の上方に配置された散布装置により、接着剤の粒子を散布する接着剤散布工程と、前記第1シートに、前記接着剤を介して、前記第2シートを積層させる積層工程と、を具備し、前記散布装置が、前記接着剤を貯留するとともに、前記主面に対向する開口を備える貯留部と、第1隙間が形成されるように、前記開口にはめ込まれたローラと、を備え、前記ローラが、外周面に溝を有しており、前記接着剤散布工程が、前記ローラを回転させて、前記第1シートの前記主面とは反対側に位置する前記ローラの前記外周面の前記溝に埋められた前記接着剤を、前記第1隙間から前記主面に散布する、積層体の製造方法に関する。
本発明の他の一局面は、第1シートの一方の主面に、接着剤の粒子を散布する接着剤散布部と、前記接着剤散布部の下流に配置されており、前記第1シートに、前記接着剤を介して、第2シートを積層させる積層部と、を具備し、前記接着剤散布部が、前記接着剤を貯留するとともに、前記主面に対向する開口を備える貯留部と、第1隙間が形成されるように、前記開口にはめ込まれたローラと、を備える散布装置を備え、前記ローラが、外周面に溝を有しており、前記ローラが回転することにより、前記第1シートの前記主面とは反対側に位置する前記ローラの前記外周面の前記溝に充填された前記接着剤が、前記第1隙間から前記主面に散布される、積層体の製造装置に関する。
本発明によれば、積層体のシート間の剥離が抑制される。
本発明の一実施形態に係る散布装置を模式的に示す断面図である。 図1の散布装置の要部に、ブレードおよびブレード押さえを配置した状態をを拡大して示す断面図である。 図1で用いられるローラを示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係るブレードおよびブレード押さえを示す上面図である。 本発明の他の一実施形態に係るブレードおよびブレード押さえを示す上面図である。 本発明の一実施形態に係る積層体の製造装置を示す図である。
本発明に係る積層体の製造方法は、第1シートおよび第2シートを準備する準備工程と、第1シートの一方の主面に、主面の上方に配置された散布装置により、接着剤の粒子を散布する接着剤散布工程と、第1シートに、接着剤を介して、第2シートを積層させる積層工程と、を具備する。
散布装置5は、図1に示すように、粒子状の接着剤4を貯留する貯留部6とローラ7とを備える。ローラ7は、回転軸10の回転に伴って回転する。貯留部6には、第1シート1に対向するように、ローラ7の軸方向に沿って、スリット状の開口6Aが設けられている。ローラ7は、開口6Aの長手方向(すなわち、ローラ7の軸方向)に沿って第1隙間G1(G1、G1)が形成されるように、貯留部6の開口6Aに嵌め込まれている。第1隙間G1の幅は特に限定されず、接着剤4の粒子径および散布量等を考慮して適宜設定すれば良い。第1隙間G1の幅は、例えば、0.1〜0.5mmであっても良い。
ローラ7の外周面はローレット加工されており、例えば図3に示すような格子状の溝Dが刻まれている。貯留部6に貯留されている粒子状の接着剤4は、自重によって、貯留部6側の溝Dに埋め込まれる。ローラ7が左回りに回転すると、貯留部6側の溝Dが初めて第1シート1の主面側に現れる方の第1隙間(図1では、左側の第1隙間G1)から、貯留部6内の接着剤4が直接、第1シート1に散布されるとともに、溝Dに埋め込まれていた接着剤4の一部が離脱して、第1シート1に散布される。一方、第1シート1の主面側の溝Dが貯留部6側へと回り込む方の第1隙間(図1では、右側の第1隙間G1)では、溝D内に残存している接着剤4が、貯留部6の開口端部に掻き落とされるようにして離脱し、第1シート1に散布される。なお、溝Dのパターンは特に限定されず、格子であっても良いし、ドット、縞等であっても良い。
このように、ローラ7が回転することによって、貯留部6の接着剤4および溝D内の接着剤4が、ローラ7の軸方向に沿って配置される第1隙間(G1およびG1)から、第1シート1に均一に散布される。さらに、散布装置5および第1シート1の少なくともいずれかを移動もしくは揺動させることにより、接着剤4は、第1シート1の一方の主面全体に均一に散布される。そのため、第1シート1と第2シート(図示せず)とは、全体的に均一な接着強度により接着される。その結果、得られる積層体(図示せず)は、シート間の剥離が抑制される。また、第1シート1および第2シートが通気性を有する場合、接着剤4が粒子状であるため、第1シート1の一方の主面全体に接着剤4が散布されても、積層体の圧力損失の増大は抑制される。
図2に示すように、散布装置5は、ブレード11を備えることが好ましい。これにより、接着剤4の散布量が制御し易くなる。ブレード11は、例えば、ローラ7の軸方向に沿った長尺の板状体であり、ローラ7の外周面との間に第1隙間G1より狭い第2隙間G2が形成されるように、かつ、先端部が開口6Aよりも第1シート1の主面側に突出するように配置される。ブレード11は、例えば、所定の長さ(例えば、500〜1000mm)を有し、幅10〜30mm、厚み0.1〜2mmの平板である。ブレード11の材質は特に限定されないが、強度の観点から、金属であることが好ましい。ブレード11に使用される金属の種類は特に限定されず、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム等が挙げられる。第2隙間G2は、第1隙間G1より小さい限り特に限定されず、接着剤4の散布量等を考慮して適宜設定すれば良い。第2隙間G2は、例えば、0.01〜0.05mmであっても良い。
ブレード11を配置する場合、貯留部6内の接着剤4は、第1隙間G1および第2隙間G2を通って、第1シート1へと散布される。また、溝Dに埋め込まれた接着剤4は、ブレード11の第2隙間G2側の端部によって掻き落とされて、第1シート1へと散布される。そのため、ブレード11を移動させて第2隙間G2の大きさを変えることにより、接着剤4の散布量を容易に制御することができる。
散布装置5がブレード11を備える場合、ブレード11の外側に、ブレード押さえ12を配置することが好ましい。ブレード押さえ12は、先端部がブレード11よりも第1シート1の主面側に突出しないように配置される。ブレード11とブレード押さえ12とは、例えば、図4Aに示すように、複数のボルト13によって固定される。ブレード押さえ12によってブレード11の位置が固定されるため、第2隙間G2を所定の大きさに制御し易くなる。ブレード押さえ12は、ブレード11の厚みが小さい場合(例えば、0.5〜3mm)に、特に有用である。ブレード11の厚みが小さい場合、長尺の板状体であるブレード11は、大きく波打ち易く、第2隙間G2の大きさが、ローラ7の軸方向に沿って、ばらつく場合があるためである。また、ローラ7の溝Dの加工精度によっても、第2隙間G2の大きさは、ローラ7の軸方向に沿って、ばらつく場合がある。
ブレード押さえ12は、例えば、所定の長さ(例えば、500〜1000mm)を有し、幅15〜40mm、厚み2〜5mmの平板である。ブレード押さえ12の材質は特に限定されないが、強度の観点から、金属であることが好ましい。ブレード押さえ12に使用される金属の種類は特に限定されず、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム等が挙げられる。
特に、図4Bに示すように、複数のブレード押さえ12Aを、ローラ7の軸方向(つまり、ブレード11の長尺方向)に沿って配置することが好ましい。ブレード押さえ12が長尺である場合、ブレード押さえ12の波打ちも大きくなり易い。そのため、ブレード11を1枚の長尺のブレード押さえ12で固定する場合、ローラ7の軸方向に沿って、第2隙間G2の幅がばらつく場合がある。ブレード押さえ12を分割して、1枚のブレード押さえ12Aのブレード11の長尺方向の長さを短くすることにより、ブレード押さえ12Aの波打ちを抑制することができる。また、この場合、複数のブレード押さえ12Aは、それぞれ1以上のボルト13によってブレード11に固定される。よって、複数のブレード押さえ12Aとブレード11との距離は、各ブレード押さえ12Aを固定するそれぞれのボルト13によって調整できる。そのため、第2隙間G2の大きさを、ブレード11の波打ちの程度等を考慮して、ローラ7の軸方向に沿って一定にすることが容易となる。ブレード押さえ12Aの数は特に限定されず、ブレード11の長さや波打ちの程度を考慮して適宜設定すれば良い。ブレード押さえ12Aの数は、例えば、2〜20個であっても良い。
さらに、散布装置5は、貯留部6の内部を横断するように配置された制御プレート8(図1参照)を備えることが好ましい。制御プレート8は、貯留部6の内部を、開口6A側の第1領域R1と、第1領域R1以外の第2領域R2とに区画する。第1領域R1と第2領域R2とは、例えば、ローラ7の軸方向に沿ったスリット状の連通口9により連通している。第2領域R2に貯留された接着剤4は、連通口9から第1領域R1に供給される。第1領域R1では、ローラ7の外周面に、連通口9から供給された接着剤4が堆積される。
第1隙間G1から直接(溝Dを経ずに)散布される接着剤4は、ローラ7の外周面であって、第1隙間G1の近傍に堆積する接着剤4の重力を受けて落下する。そのため、散布工程の進行に伴って、第1領域R1の接着剤4の量が徐々に少なくなると、第1隙間G1から直接散布される接着剤4の量も徐々に少なくなる傾向にある。つまり、散布工程の序盤と終盤とでは、接着剤4の散布量が不均一になる場合がある。貯留部6内に制御プレート8を配置することにより、散布工程中の第1隙間G1の近傍に堆積する接着剤4の量を制御し易くなるため、接着剤4の散布量のばらつきが抑制される。
連通口9は、第1隙間G1(つまり、ローラ7の貯留部6側の溝Dが初めて第1シート1の主面側に現れる方の第1隙間)の上方に配置されても良いし、第1隙間G1(つまり、第1シート1の主面側の溝Dが貯留部6側へと回り込む方の第1隙間)の上方に配置されても良い。前者の場合、散布工程の序盤から終盤にかけて、比較的多くの量の接着剤4が散布され、後者の場合、比較的少量の接着剤4が散布される。なかでも、第1シート1および第2シートが通気性を有する場合、得られる積層体の圧力損失の増大が抑制され易い点で、後者の場合が好ましい。
制御プレート8の第1領域R1側の主面と水平面との成す角度θは、50〜80度であることが好ましく、60〜70度であることがより好ましい。角度θがこの範囲であると、第1領域R1において、制御プレート8とローラ7の外周面に堆積する接着剤4との間に空間が形成され易くなって、接着剤4の散布量が制御され易い。角度θが小さすぎると、連通口9から第1領域R1に接着剤4が供給され難くなり、角度θが大きすぎると、ローラ7の外周面に堆積する接着剤4の量を制御することが困難になる。
以下、積層体が濾材である場合を中心に、本発明の製造方法について説明するが、積層体の用途はこれに限定されるものではない。
(1)準備工程
準備工程では、第1シート1および第2シートを準備する。第1シート1は、例えば、積層体を支持する支持体(基材)であり、第2シートは、集塵機能を発揮するとともに、後述する第3繊維が第1シート1に堆積される場合には、第3繊維を外的負荷から保護する保護層として機能する。
第1シート1の形態および材質は特に限定されず、用途に応じて適宜選択すれば良い。第1シート1として、具体的には、樹脂シート、紙製のシート、織物、編物および不織布等の繊維構造体等が例示できる。なかでも、積層体を濾材として使用する場合、圧力損失の観点から、第1シート1は不織布であることが好ましい。不織布は、例えば、スパンボンド法、乾式法(例えば、エアレイド法)、湿式法、メルトブロー法、ニードルパンチ法等により製造される。なかでも、基材として適する不織布が形成され易い点で、第1シート1は、湿式法により製造された不織布であることが好ましい。
第1シート1が不織布である場合、第1シート1を構成する第1繊維の材質は特に限定されず、例えば、ガラス繊維、セルロース、アクリル樹脂、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート)、ポリアミド(PA)、あるいはこれらの混合物等が挙げられる。なかでも、基材として適する点で、第1繊維の材質はPETまたはセルロースが好ましい。第1繊維の平均繊維径D1は特に限定されず、例えば、1μm以上、40μm以下であっても良く、5μm以上、20μm以下であっても良い。
平均繊維径D1とは、第1繊維の直径の平均値である。第1繊維の直径とは、第1繊維の長さ方向に対して垂直な断面の直径である。そのような断面が円形でない場合には、最大径を直径と見なしてよい。また、第1シート1を一方の主面の法線方向から見たときの、第1繊維の長さ方向に対して垂直な方向の幅を、第1繊維の直径と見なしても良い。平均繊維径D1は、例えば、第1シート1に含まれる任意の10本の第1繊維の任意の箇所の直径の平均値である。後述する平均繊維径D2およびD3についても同じである。
第1シート1の厚みT1は、特に限定されず、例えば、50μm以上、500μm以下であっても良く、150μm以上、400μm以下であっても良い。シートの厚みTとは、例えば、シートの任意の10箇所の厚みの平均値である(以下、同じ)。厚みとは、シートの2つの主面の間の距離である。シートが不織布である場合、その厚みは、不織布の断面を写真に撮り、不織布の一方の主面上にある任意の1地点から他方の主面まで、一方の表面に対して垂直な線を引いたとき、この線上にある繊維のうち、最も離れた位置にある2本の繊維の外側(外法)の距離として求められる。他の任意の複数地点(例えば、9地点)についても同様にして不織布の厚みを算出し、これらを平均化した数値を、不織布の厚みとする。上記厚みの算出に際しては、二値化処理された画像を用いても良い。
第1シート1の単位面積当たりの質量も特に限定されず、例えば、10g/m以上、80g/m以下であっても良く、35g/m以上、60g/m以下であっても良い。
第1シート1の圧力損失は特に限定されない。なかでも、第1シート1の初期の圧力損失は、JISB9908形式1の規格に準拠した測定機を用いて測定した場合、1Pa以上、10Pa以下程度であることが好ましい。第1シート1の初期の圧力損失がこの範囲であれば、積層体全体の圧力損失も抑制される。
第2シートは、例えば、上記方法により製造された不織布であっても良い。なかでも、積層体を濾材として使用する場合、繊維径の細い不織布が形成され易い点で、第2シートは、メルトブロー法により製造された不織布であることが好ましい。さらに、集塵効果が期待できる点で、第2不織布は、帯電処理等によって帯電(永久帯電)されていることが好ましい。永久帯電とは、外部電界が存在しない状態において半永久的に電気分極を保持し、周囲に対して電界を形成している状態である。
第2シートを構成する第2繊維の材質は特に限定されず、例えば、ガラス繊維、セルロース、アクリル樹脂、PP、PE、PET等のポリエステル、PA、あるいはこれらの混合物等が挙げられる。なかでも、帯電され易い点で、PPが好ましい。第2繊維の平均繊維径D2も特に限定されない。平均繊維径D2は、例えば、0.5μm以上、20μm以下であっても良く、5μm以上、20μm以下であっても良い。
第2シートの厚みT2は特に限定されず、100μm以上、500μm以下であっても良く、150μm以上、400μm以下であっても良い。第2シートの単位面積当たりの質量も特に限定されず、10g/m以上、50g/m以下であっても良く、10g/m以上、30g/m以下であっても良い。
第2シートの圧力損失は、特に限定されない。なかでも、第2シートの初期の圧力損失は、上記と同様の条件で測定する場合、10Pa以上、50Pa以下程度であることが好ましい。第2シートの初期の圧力損失がこの範囲であれば、積層体全体の圧力損失も抑制される。
(2)電界紡糸工程
後述する接着剤散布工程の前に、第1シート1の接着剤が散布される主面に、電界紡糸法により繊維(第3繊維)を堆積させても良い(電界紡糸工程)。積層体を濾材として使用する場合、集塵性能の向上が期待できる。本工程において、第1シート1は、噴射される原料液のターゲットであり、生成する第3繊維を収集するコレクタとして機能する。第2シートは、第1シート1に堆積する第3繊維を保護する保護材としても機能する。この場合、第1シート1と第2シートとは、第3繊維を介して積層される。電界紡糸工程を行う場合、繊維の原料となる原料樹脂と原料樹脂を溶解させる溶媒を含む原料液を準備する。
原料液は、原料樹脂および溶媒を含む。原料樹脂は第3繊維の原料であり、溶媒は、原料樹脂を溶解させる(以下、第1溶媒と称する)。原料液から、原料樹脂および第1溶媒を含む繊維が形成される。原料液における原料樹脂と第1溶媒との混合比率は、選定される原料樹脂の種類および第1溶媒の種類により異なる。原料液における第1溶媒の割合は、例えば、60質量%から95質量%である。原料液には、原料樹脂を溶解させる第1溶媒以外の溶媒や各種添加剤等が含まれていても良い。
原料樹脂の種類は特に限定されず、例えば、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアリレート(PAR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリウレタン(PU)等のポリマーが挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いても良い。なかでも、電界紡糸法に適している点で、PESが好ましい。また、平均繊維径D3が細くなる易い点で、PVDFが好ましい。
第1溶媒は、原料樹脂を溶解できるものであれば特に限定されない。例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジベンジルアルコール、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトン、ヘキサフルオロアセトン、フェノール、ギ酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、クロロホルム、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロプロパン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、酢酸、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロペンタン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホオキシド、ピリジン、水等を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。なかでも、電界紡糸法に適している点およびPESを溶解し易い点で、DMAcが好ましい。
堆積する第3繊維の平均繊維径D3は特に限定されず、用途等に応じて適宜設定すれば良い。なかでも、積層体を濾材として使用する場合、平均繊維径D3は、平均繊維径D1およびD2よりも小さいことが好ましい。具体的には、平均繊維径D3は3μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましく、500nm以下であることが特に好ましい。また、平均繊維径D3は50nm以上であることが好ましく、100nm以上であることがより好ましい。積層体を濾材として使用する場合、圧力損失が抑制されるとともに集塵効率が高くなり易いためである。第3繊維は、平均繊維径の異なる複数種の繊維を含んでいても良い。
第3繊維の堆積量も、特に限定されない。なかでも、積層体を濾材として使用する場合、第3繊維の堆積量は、圧力損失と集塵効率とのバランスの観点から、0.1g/m以上、1.5g/m以下であることが好ましく、0.2g/m以上、0.5g/m以下であることがより好ましく、0.2g/m以上、0.8g/m以下であることが特に好ましい。
(3)接着剤散布工程
接着剤4は、図1に示すような散布装置5により、粒子状で第1シート1に散布される。これにより、接着剤4は、均一に第1シート1に散布される。粒子状の接着剤4の平均粒径D50は特に限定されず、例えば、150〜350μmであり、180〜300μmである。平均粒径D50とは、レーザー回折式の粒度分布測定装置により求められる体積粒度分布におけるメディアン径である(以下、同じ)。
接着剤4の種類は特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂を主成分とする接着剤等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、PU、PET等のポリエステル、ウレタン変性共重合ポリエステル等の共重合ポリエステル、PA、ポリオレフィン(例えば、PP、PE)等が例示できる。接着剤4の融点は、60〜140℃程度であることが好ましい。
積層不織布に付着する接着剤4の平均の質量も特に限定されないが、接着性および圧力損失の観点から、0.5g/m以上、15g/m以下であることが好ましく、1g/m以上、10g/m以下であることがより好ましく、3g/m以上、9g/m以下であることが特に好ましい。
(4)積層工程
最後に、接着剤4を介して、第1シート1に第2シートを積層させて、積層体が得られる。
上記のような積層不織布の製造方法は、例えば、ラインの上流から下流に第1シート1を搬送し、搬送される第1シート1の主面に第3繊維を堆積させた後、第2シートを積層する製造システムにより実施することが可能である。このような製造システムは、例えば、(1)第1シート1を搬送ベルトに供給する第1シート供給部と、(2)原料液から静電気力により第3繊維を生成させる電界紡糸機構を有する電界紡糸部と、(3)電界紡糸部から送り出される第1シートの上方から、接着剤4を散布する接着剤散布部と、(4)散布された接着剤4を溶融する加熱部と、(5)加熱部から送り出される第1シート1の上方から、第2シートを積層する第2シート積層部と、を具備する。
以下、図5を参照しながら、製造システムについて説明するが、以下のシステムおよび製造方法は、本発明を限定するものではない。図5は、積層体17の製造システム200の一例の構成を概略的に示す図である。製造システム200は、積層体17を製造するための製造ラインを構成している。
まず、第1シート1を準備する。製造システム200では、第1シート1は、製造ラインの上流から下流に搬送される。製造システム200の最上流には、ローラ状に捲回された第1シート1を内部に収容した第1シート供給部201が設けられている。供給部201は、モータ16により第1供給リール15を回転させて、第1供給リール15に捲回された第1シート1を搬送ローラ14に供給する。
第1シート1は、搬送ローラ14により、電界紡糸ユニット(図示せず)を備える電界紡糸部202に搬送される。電界紡糸ユニットが具備する電界紡糸機構は、電界紡糸ユニットの上方に設置された第3繊維3の原料液22を放出するための放出体23と、放出された原料液22をプラスに帯電させる帯電手段(後述参照)と、放出体23と対向するように配置された第1シート1を上流側から下流側に搬送する搬送コンベア21と、を備えている。搬送コンベア21は、第1シート1とともに第3繊維3を収集するコレクタ部として機能する。なお、電界紡糸ユニットの台数は、特に限定されるものではなく、1台でも2台以上でもよい。
電界紡糸ユニットおよび/または放出体が複数ある場合、電界紡糸ユニットごと、あるいは、放出体ごとに、形成される第3繊維3の平均繊維径を変化させても良い。第3繊維3の平均繊維径は、後述する原料液22の吐出圧力、印加電圧、原料液22の濃度、放出体23と第1シート1との距離、温度、湿度などを調整することにより、変化させることができる。また、第3繊維3の堆積量は、原料液22の吐出圧力、印加電圧、原料液22の濃度、第1シート1の搬送速度などを調整することにより、制御される。
放出体23の第1シート1の主面と対向する側には、原料液22の放出口(図示せず)が複数箇所設けられている。放出体23の放出口と、第1シート1との距離は、製造システムの規模や所望の繊維径にもよるが、例えば、100〜600mmであればよい。放出体23は、電界紡糸ユニットの上方に設置された、第1シート1の搬送方向と平行な第1支持体24から下方に延びる第2支持体25により、自身の長手方向が第1シート1の主面と平行になるように支持されている。第1支持体24は、放出体23を第1シート1の搬送方向とは垂直な方向に揺動させるように、可動であっても良い。
帯電手段は、放出体23に電圧を印加する電圧印加装置26と、搬送コンベア21と平行に設置された対電極27とで構成されている。対電極27は接地(グランド)されている。これにより、放出体23と対電極27との間には、電圧印加装置26により印加される電圧に応じた電位差(例えば20〜200kV)を設けることができる。なお、帯電手段の構成は、特に限定されない。例えば、対電極27はマイナスに帯電されていても良い。また、対電極27を設ける代わりに、搬送コンベア21のベルト部分を導体から構成してもよい。
放出体23は、導体で構成されており、長尺の形状を有し、その内部は中空になっている。中空部は原料液22を収容する収容部となる。原料液22は、放出体23の中空部と連通するポンプ28の圧力により、原料液タンク29から放出体23の中空に供給される。そして、原料液22は、ポンプ28の圧力により、放出口から第1シート1の主面に向かって放出される。放出された原料液22は、帯電した状態で放出体23と第1シート1との間の空間(生成空間)を移動中に静電爆発を起し、繊維状物(第3繊維3)を生成する。生成した第3繊維3は、第1シート1に堆積する。
第3繊維3を形成する電界紡糸機構は、上記の構成に限定されない。所定の第3繊維3の生成空間において、原料液22から静電気力により第3繊維3を生成させ、生成した第3繊維3を第1シート1の主面に堆積させることができる機構であれば、特に限定なく用いることができる。例えば、放出体23の長手方向に垂直な断面の形状は、上方から下方に向かって次第に小さくなる形状(V型ノズル)であってもよい。
第3繊維3が堆積された後、第1シート1を、接着剤散布部203に搬送する。第1シート1は、搬送ローラ31により搬送される。接着剤散布部203は、図1に示すような散布装置5を備える。接着剤散布部203では、第1シート1の第3繊維3が堆積された側から、散布装置5により、接着剤4が均一に散布される。
接着剤4が散布された後、第2シート2を積層する前に、加熱機器42を備える加熱部204により、接着剤4を溶融させる。加熱部204では、第3繊維3に含まれる溶媒の除去も行われる。
加熱機器42は特に限定されず、公知のものを適宜選択すれば良い。加熱温度は、溶媒の沸点および接着剤4の融点に応じて適宜設定すれば良い。加熱温度は、第1シート1の表面が好ましくは100〜200℃、より好ましくは120〜170℃になるように、調整される。
次いで、接着剤4が散布された第1シート1は、搬送ローラ41により、第2シート積層部205に搬送される。第2シート積層部205では、第1シート1の上方から第2シート2が供給され、接着剤4および第3繊維3を介して第1シート1に積層される。第2シート2が長尺である場合、第1シート1と同様に、第2シート2は第2供給リール52に巻き取られていても良い。この場合、第2シート2は、第2供給リール52から捲き出されながら、第1シート1に積層される。第1シート1は、搬送ローラ51により搬送される。
第2シート2を積層した後、積層体17を挟んで上下に配置された一対の加圧ローラ53(53aおよび53b)により圧力を加えながら積層体17を加圧して、第1シート1と第2シート2とをさらに密着させても良い。
最後に、第2シート積層部205から積層体17を搬出し、ローラ61を経由して、より下流側に配置されている回収部206に搬送する。回収部206は、例えば、搬送されてくる積層体17を捲き取る回収リール62を内蔵している。回収リール62はモータ63により回転駆動される。
本発明の積層体は、シート間の剥離が抑制されるため、空気清浄機、あるいは空調機の濾材、電池用の分離シート、燃料電池用のメンブレン、妊娠検査シート等の体外検査シート、細胞培養用等の医療用シート、防塵マスク等の防塵布や防塵服、化粧用シート、塵を拭き取る拭取シート等として、好適である。
1:第1シート、2:第2シート、3:第3繊維、4:接着剤、5:散布装置、6:貯留部、6A:開口、7:ローラ、8:制御プレート、9:連通口、10:回転軸、11:ブレード、12、12A:ブレード押さえ、13:ボルト、14、31、41、51:搬送ローラ、15:第1供給リール、16:モータ、17:積層体、21:搬送コンベア、22:原料液、23:放出体、24:第1支持体、25:第2支持体、26:電圧印加装置、27:対電極、28:ポンプ、29:原料液タンク、42:加熱機器、52:第2供給リール、53、53a、53b:加圧ローラ、61:ローラ、62:回収リール、63:モータ、200:製造システム、201:第1シート供給部、202:電界紡糸部、203:接着剤散布部、204:加熱部、205:第2シート積層部、206:回収部


Claims (6)

  1. 第1シートおよび第2シートを準備する準備工程と、
    前記第1シートの一方の主面に、前記主面の上方に配置された散布装置により、接着剤の粒子を散布する接着剤散布工程と、
    前記第1シートに、前記接着剤を介して、前記第2シートを積層させる積層工程と、を具備し、
    前記散布装置が、前記接着剤を貯留するとともに、前記主面に対向する開口を備える貯留部と、第1隙間が形成されるように、前記開口にはめ込まれたローラと、を備え、
    前記ローラが、外周面に溝を有しており、
    前記接着剤散布工程が、前記ローラを回転させて、前記第1シートの前記主面とは反対側に位置する前記ローラの前記外周面の前記溝に埋められた前記接着剤を、前記第1隙間から前記主面に散布する、積層体の製造方法。
  2. 前記散布装置が、さらに、前記ローラの前記外周面との間に前記第1隙間より狭い第2隙間が形成されるように、かつ、先端部が前記開口よりも前記主面側に突出するように配置されたブレードを備える、請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 前記散布装置が、さらに、前記ブレードの外側に、先端部が前記ブレードよりも前記主面側に突出しないように配置されたブレード押さえを備える、請求項2に記載の積層体の製造方法。
  4. 前記ブレードが、前記ローラの軸方向に沿った長尺体であり、
    複数の前記ブレード押さえが、前記ローラの軸方向に沿って配置されている、請求項3に記載の積層体の製造方法。
  5. さらに、前記接着剤散布工程の前に、電界紡糸法により、繊維の原料となる原料樹脂と前記原料樹脂を溶解させる溶媒とを含む原料液から前記原料樹脂を含む前記繊維を生成させ、前記繊維を、前記第1シートの前記主面に堆積させる電界紡糸工程を具備する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
  6. 第1シートの一方の主面に、接着剤の粒子を散布する接着剤散布部と、
    前記接着剤散布部の下流に配置されており、前記第1シートに、前記接着剤を介して、第2シートを積層させる積層部と、を具備し、
    前記接着剤散布部が、前記接着剤を貯留するとともに、前記主面に対向する開口を備える貯留部と、第1隙間が形成されるように、前記開口にはめ込まれたローラと、を備える散布装置を備え、
    前記ローラが、外周面に溝を有しており、
    前記ローラが回転することにより、前記第1シートの前記主面とは反対側に位置する前記ローラの前記外周面の前記溝に充填された前記接着剤が、前記第1隙間から前記主面に散布される、積層体の製造装置。


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