JP2017133141A - 積層不織布の製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧力損失が小さく、接合強度に優れる積層不織布の提供。
【解決手段】第1繊維を含む第1不織布1を供給する第1不織布供給部201と、第2繊維2Fの原料樹脂と樹脂溶媒とを含む原料液22から、第2繊維を生成させ、第2繊維を第1不織布の一方の主面に堆積して第2不織布2を形成する第2不織布形成部202と、第2不織布形成部の下流に配置され、第1不織布の主面に、第2不織布を介して、接着剤4をライン状の領域を形成するように付与する接着剤付与部203と、接着剤付与部の下流に配置され、第1不織布の主面に、接着剤及び第2不織布を介して、第3繊維を含む第3不織布3を供給する第3不織布供給部204と、ライン状の領域に対応する位置に設けられた凸部を有する押圧部材51、52により第3不織布の第2不織布とは反対側の主面の一部を押圧して、積層不織布を形成する圧着部205と、を備える、積層不織布の製造装置200。
【選択図】図1
【解決手段】第1繊維を含む第1不織布1を供給する第1不織布供給部201と、第2繊維2Fの原料樹脂と樹脂溶媒とを含む原料液22から、第2繊維を生成させ、第2繊維を第1不織布の一方の主面に堆積して第2不織布2を形成する第2不織布形成部202と、第2不織布形成部の下流に配置され、第1不織布の主面に、第2不織布を介して、接着剤4をライン状の領域を形成するように付与する接着剤付与部203と、接着剤付与部の下流に配置され、第1不織布の主面に、接着剤及び第2不織布を介して、第3繊維を含む第3不織布3を供給する第3不織布供給部204と、ライン状の領域に対応する位置に設けられた凸部を有する押圧部材51、52により第3不織布の第2不織布とは反対側の主面の一部を押圧して、積層不織布を形成する圧着部205と、を備える、積層不織布の製造装置200。
【選択図】図1
Description
本発明は、複数の不織布を接着剤により接着した積層不織布の製造装置に関する。
複数の不織布が積層された積層不織布は、強度が高いため、様々な用途に用いられている。例えば、特許文献1および2は、基材である不織布と、保護層としての他の不織布と、これらの間に介在する極細繊維層とを備える積層不織布を、空気清浄機の濾材として使用することを提案している。このような積層不織布は、例えば、基材である第1不織布に、電界紡糸法により極細繊維を堆積させて第2不織布を形成した後、接着剤を塗布し、保護層として第3不織布を積層することにより得られる。
上記特許文献1および2では、複数の不織布を接着剤を介して積層するため、接着剤によって通気性が阻害され、圧力損失が増大する場合がある。また、積層不織布の接合強度を高めるために、積層不織布を押圧する場合、圧力損失はさらに増大する。
本発明の一局面は、製造ラインに第1繊維を含む第1不織布を供給する第1不織布供給部と、第2繊維の原料となる原料樹脂と前記原料樹脂を溶解させる溶媒とを含む原料液から、前記第2繊維を生成させ、前記第2繊維を第1不織布の一方の主面に堆積させて第2不織布を形成する第2不織布形成部と、前記第2不織布形成部の下流に配置されており、前記第1不織布の前記主面に、前記第2不織布を介して、接着剤をライン状の領域を形成するように付与する接着剤付与部と、前記接着剤付与部の下流に配置されており、前記第1不織布の前記主面に、前記接着剤および前記第2不織布を介して、第3繊維を含む第3不織布を供給する第3不織布供給部と、前記第3不織布の前記第2不織布とは反対側の主面の一部を押圧して、積層不織布を形成する圧着部と、を備え、前記圧着部が、前記ライン状の領域に対応する位置に設けられた凸部を有する押圧部材を備える、積層不織布の製造装置に関する。
本発明に係る製造装置によれば、圧力損失が小さく、接合強度に優れる積層不織布を得ることができる。
本発明に係る積層不織布の製造装置は、製造ラインに第1繊維を含む第1不織布を供給する第1不織布供給部と、第2繊維の原料となる原料樹脂と原料樹脂を溶解させる溶媒とを含む原料液から、第2繊維を生成させ、第2繊維を前記第1不織布の一方の主面に堆積させて第2不織布を形成する第2不織布形成部と、第2不織布形成部の下流に配置されており、第1不織布の上記主面に、第2不織布を介して、接着剤をライン状の領域を形成するように付与する接着剤付与部と、接着剤付与部の下流に配置されており、第1不織布の上記主面に、接着剤および第2不織布を介して、第3繊維を含む第3不織布を供給する第3不織布供給部と、第3不織布の第2不織布とは反対側の主面の一部を押圧して、積層不織布を形成する圧着部と、を備える。圧着部は、上記ライン状の領域に対応する位置に設けられた凸部を有する押圧部材を備える。
第2不織布は、例えば、電界紡糸法により、第2繊維を第1不織布上に堆積することにより形成される。電界紡糸法では、第2繊維の原料である樹脂(原料樹脂)を溶媒に溶解させた原料液に、高電圧を印加し、電荷をもった原料液をノズルから噴射することにより、第2繊維が生成される。第2繊維は、溶媒を含んだ状態で第1不織布上に堆積するため、第1不織布を構成する第1繊維と密着して、両者は接合される。つまり、第1不織布と第2不織布とは、繊維同士の点接着によって、接着剤を介さずに接合される。そのため、第1不織布と第2不織布との間は剥離し易い。
また、第2繊維は、上記のとおり溶媒を含んだ状態で第1不織布上に堆積されるため、変形し易い。第2繊維は、押圧によってさらに変形し易い。第2繊維が変形して、第1不織布および/または第3不織布の空隙に入り込むと、積層不織布の通気性が低下する。そのため、積層不織布の圧力損失が大きくなる。つまり、積層不織布が電界紡糸法等によって紡糸される第2繊維を含む場合、積層不織布の圧力損失は、接着剤の使用に加えて、第2繊維の変形によっても増大し得る。
そこで、本実施形態では、第2不織布上に接着剤を複数のライン状の領域を形成するように配置して、第3不織布を積層した後、接着剤によって形成された上記領域(以下、接着剤ラインと称する)に対応する位置を、凸部を有する押圧部材によって押圧する。このように、接着剤が配置される部分と、積層不織布が押圧されて第2繊維の変形が生じ得る部分とを対応させることにより、通気性の低下、つまり、積層不織布の圧力損失の増大を最小限に抑えることができる。また、積層不織布を接着剤ラインに対応する位置で押圧することにより、接着剤の一部は第1不織布および第3不織布の内部に押し込まれる。その結果、第1不織布、第2不織布および第3不織布が接着剤を介してそれぞれ接着されて、接合強度が高まる。すなわち、得られる積層不織布は、圧力損失が小さく、高い接合強度を備える。ここで、押圧部材の凸部が接着剤ラインに対応するとは、圧着部において積層不織布を第3不織布側の法線方向から見たとき、積層不織布と押圧部材の凸部との接触部(押圧部分)の少なくとも一部が、接着剤ラインの少なくとも一部に重なっていることをいう。
積層不織布が、第3不織布側から上記押圧部材によって押圧されることにより、第3不織布には、押圧部分(もしくは、接着剤ライン)に対応するライン状の凹部が形成される。第3不織布のライン状の凹部は、例えば、積層不織布をプリーツ加工する際、あるいは、プリーツ加工後にホットメルト樹脂をビード状に塗布する際の目印となる。プリーツ加工された積層不織布の折り曲げ部では、通気性が低くなる。上記のとおり、ライン状の凹部もまた、通気性が小さい。そのため、積層不織布を、元々通気性の低いライン状の凹部に沿って折り曲げることにより、積層不織布が有している通気性を阻害することなく、プリーツ状の濾材を形成することができる。また、プリーツ加工された積層不織布には、形成された折り曲げ部と交わるように、ホットメルト樹脂がビード状に塗布される(ビード塗布加工)場合がある。ホットメルト樹脂によって、隣接するプリーツ同士が部分的に接着されて、プリーツ形状が保持される。この場合、ライン状の凹部に沿ってビード塗布加工することにより、圧力損失の増大を抑制することができる。
押圧部材の凸部の幅は、接着剤ラインの幅よりも大きいことが好ましい。この場合、押圧部材の凸部は、接着剤ラインのより広い範囲を押圧することができる。よって、不織布間の剥離がさらに抑制される。特に、押圧部材が、凸部の中心線が接着剤ラインLに対向するように配置されている場合、接着剤ラインのさらに広い範囲を押圧することができるため、接合強度はさらに向上する。凸部の中心線については後述する。
接着剤付与部では、接着剤を波線状に配置することにより接着剤ラインが形成されることが好ましい。これにより、少ない使用量で、幅の広い接着剤ラインを形成することができる。これにより、圧力損失の増大を抑制しながら、接合強度をさらに向上することができる。
上記の場合、波線状の接着剤の平均波長は、接着剤ラインの幅よりも大きいことが好ましい。波線の形状を、平均波長が接着剤ラインの幅よりも大きい緩やかな波型にすることで、接着剤付与部において接着剤を安定的に配置することができる。平均波長については、後述する。
まず、各不織布および接着剤について、空気清浄機の濾材に適する形態を具体的に説明する。なお、積層不織布の用途は、濾材に限定されるものではない。
(第1不織布)
第1不織布は、例えば、積層不織布を支持する支持体(基材)である。第1不織布の形態および材質は特に限定されず、用途に応じて適宜選択すればよい。第1不織布として、具体的には、織物、編物、不織布等の繊維構造体が例示できる。なかでも、積層不織布を濾材として使用する場合、圧力損失の観点から、第1不織布は不織布であることが好ましい。不織布は、例えば、スパンボンド法、乾式法(例えば、エアレイド法)、湿式法、メルトブロー法、ニードルパンチ法等により製造される。なかでも、基材として適する不織布が形成され易い点で、第1不織布は、湿式法により製造された不織布であることが好ましい。
第1不織布は、例えば、積層不織布を支持する支持体(基材)である。第1不織布の形態および材質は特に限定されず、用途に応じて適宜選択すればよい。第1不織布として、具体的には、織物、編物、不織布等の繊維構造体が例示できる。なかでも、積層不織布を濾材として使用する場合、圧力損失の観点から、第1不織布は不織布であることが好ましい。不織布は、例えば、スパンボンド法、乾式法(例えば、エアレイド法)、湿式法、メルトブロー法、ニードルパンチ法等により製造される。なかでも、基材として適する不織布が形成され易い点で、第1不織布は、湿式法により製造された不織布であることが好ましい。
第1不織布が不織布である場合、第1不織布を構成する第1繊維の材質は特に限定されず、例えば、ガラス繊維、セルロース、アクリル樹脂、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート)、ポリアミド(PA)、あるいはこれらの混合物等が挙げられる。なかでも、基材として適する点で、第1繊維の材質はPETまたはセルロースが好ましい。第1繊維の平均繊維径D1は特に限定されず、例えば、1μm以上、40μm以下であっても良く、5μm以上、20μm以下であってもよい。
平均繊維径D1とは、第1繊維の直径の平均値である。第1繊維の直径とは、第1繊維の長さ方向に対して垂直な断面の直径である。そのような断面が円形でない場合には、最大径を直径と見なしてよい。また、第1不織布を一方の主面の法線方向から見たときの、第1繊維の長さ方向に対して垂直な方向の幅を、第1繊維の直径と見なしてもよい。平均繊維径D1は、例えば、第1不織布に含まれる任意の10本の第1繊維の任意の箇所の直径の平均値である。後述する平均繊維径D2およびD3についても同じである。
第1不織布の厚みT1は、特に限定されず、例えば、50μm以上、500μm以下であっても良く、150μm以上、400μm以下であってもよい。不織布の厚みTとは、例えば、不織布の任意の10箇所の厚みの平均値である。後述する厚みT2およびT3についても同じである。厚みとは、不織布の2つの主面の間の距離である。不織布が不織布である場合、その厚みは、不織布の断面を写真に取り、不織布の一方の主面上にある任意の1地点から他方の主面まで、一方の表面に対して垂直な線を引いたとき、この線上にある繊維のうち、最も離れた位置にある2本の繊維の外側(外法)の距離として求められる。他の任意の複数地点(例えば、9地点)についても同様にして不織布の厚みを算出し、これらを平均化した数値を、不織布の厚みとする。上記厚みの算出に際しては、二値化処理された画像を用いてもよい。
第1不織布の単位面積当たりの質量も特に限定されず、例えば、10g/m2以上、80g/m2以下であっても良く、35g/m2以上、60g/m2以下であってもよい。
第1不織布の圧力損失は特に限定されない。なかでも、第1不織布の初期の圧力損失は、JISB9908形式1の規格に準拠した測定機を用いて測定した場合、1Pa以上、10Pa以下程度であることが好ましい。第1不織布の初期の圧力損失がこの範囲であれば、積層不織布全体の圧力損失も抑制される。
(原料液)
原料液は、第2繊維の原料となる原料樹脂および原料樹脂を溶解させる溶媒(以下、第1溶媒と称する)を含む。原料液から、例えば電界紡糸法により、原料樹脂および第1溶媒を含む第2繊維が形成される。形成された第2繊維は第1不織布上に堆積し、第2不織布が形成される。第2不織布は、主に積層不織布の集塵性能を高めるために積層される。そのため、第2繊維の平均繊維径D2は小さい方が好ましく、例えば、平均繊維径D2は、第1繊維の平均繊維径D1および第3繊維の平均繊維径D3よりも小さいことが好ましい。
原料液は、第2繊維の原料となる原料樹脂および原料樹脂を溶解させる溶媒(以下、第1溶媒と称する)を含む。原料液から、例えば電界紡糸法により、原料樹脂および第1溶媒を含む第2繊維が形成される。形成された第2繊維は第1不織布上に堆積し、第2不織布が形成される。第2不織布は、主に積層不織布の集塵性能を高めるために積層される。そのため、第2繊維の平均繊維径D2は小さい方が好ましく、例えば、平均繊維径D2は、第1繊維の平均繊維径D1および第3繊維の平均繊維径D3よりも小さいことが好ましい。
平均繊維径D2は、例えば3μm以下であり、1μm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましい。また、平均繊維径D2は30nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましい。平均繊維径D2がこの範囲であれば、圧力損失が抑制されるとともに集塵効率が高くなり易い。
第2不織布の厚みT2は、圧力損失の観点から、0.5μm以上、10μm以下であることが好ましく、1μm以上、5μm以下であることがより好ましい。第2不織布の初期の圧力損失は、上記と同様の条件で測定する場合、5Pa以上、40Pa以下程度であることが好ましい。
第2不織布の単位面積当たりの質量は、圧力損失と集塵効率とのバランスの観点から、0.1g/m2以上、1.5g/m2以下であることが好ましく、0.2g/m2以上、0.5g/m2以下であることがより好ましく、0.2g/m2以上、0.8g/m2以下であることが特に好ましい。
原料樹脂としては限定されず、例えば、PA、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(Pc)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PtFE)、ポリアリレート(PAR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、PP、PET、ポリウレタン(PU)等のポリマーが挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、第2繊維を電界紡糸法により形成する場合、PESが好ましく用いられる。また、平均繊維径D2を細くし易い点で、PVDFが好ましく用いられる。
第1溶媒は、原料樹脂を溶解できるものであれば特に限定されない。例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジベンジルアルコール、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトン、ヘキサフルオロアセトン、フェノール、ギ酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、クロロホルム、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロプロパン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、酢酸、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロペンタン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホオキシド、ピリジン、水等を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。なかでも、電界紡糸法に適している点およびPESを溶解し易い点で、DMAcが好ましい。
原料液における原料樹脂と第1溶媒との混合比率は、選定される原料樹脂の種類および第1溶媒の種類により異なる。原料液における第1溶媒の割合は、例えば、60質量%から95質量%である。原料液には、原料樹脂を溶解させる第1溶媒以外の溶媒や各種添加剤等が含まれていてもよい。
(第3不織布)
第3不織布は、集塵機能を発揮するとともに、第2不織布を外的負荷から保護する保護層として機能する。第3不織布は、例えば、上記方法により製造された不織布であってもよい。なかでも、積層不織布を濾材として使用する場合、繊維径の細い不織布が形成され易い点で、第3不織布は、メルトブロー法により製造された不織布であることが好ましい。さらに、集塵効果が期待できる点で、第3不織布は、帯電処理等によって帯電(永久帯電)されていることが好ましい。永久帯電とは、外部電界が存在しない状態において半永久的に電気分極を保持し、周囲に対して電界を形成している状態である。
第3不織布は、集塵機能を発揮するとともに、第2不織布を外的負荷から保護する保護層として機能する。第3不織布は、例えば、上記方法により製造された不織布であってもよい。なかでも、積層不織布を濾材として使用する場合、繊維径の細い不織布が形成され易い点で、第3不織布は、メルトブロー法により製造された不織布であることが好ましい。さらに、集塵効果が期待できる点で、第3不織布は、帯電処理等によって帯電(永久帯電)されていることが好ましい。永久帯電とは、外部電界が存在しない状態において半永久的に電気分極を保持し、周囲に対して電界を形成している状態である。
第3不織布を構成する第3繊維の材質は特に限定されず、例えば、ガラス繊維、セルロース、アクリル樹脂、PP、PE、PET等のポリエステル、PA、あるいはこれらの混合物等が挙げられる。なかでも、帯電され易い点で、PPが好ましい。第3繊維の平均繊維径D3も特に限定されない。平均繊維径D3は、例えば、0.5μm以上、20μm以下であっても良く、5μm以上、20μm以下であってもよい。
第3不織布の厚みT3は特に限定されず、100μm以上、500μm以下であっても良く、150μm以上、400μm以下であってもよい。第3不織布の単位面積当たりの質量も特に限定されず、10g/m2以上、50g/m2以下であっても良く、10g/m2以上、30g/m2以下であってもよい。
第3不織布の圧力損失は、特に限定されない。なかでも、第3不織布の初期の圧力損失は、上記と同様の条件で測定する場合、10Pa以上、50Pa以下程度であることが好ましい。第3不織布の初期の圧力損失がこの範囲であれば、積層不織布全体の圧力損失も抑制される。
(接着剤)
接着剤の種類は特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂を主成分とするホットメルト接着剤等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、PU、PET等のポリエステル、ウレタン変性共重合ポリエステル等の共重合ポリエステル、PA、ポリオレフィン(例えば、PP、PE)等が例示できる。ホットメルト接着剤は、例えば、加熱により溶融されながら、例えば第1不織布上に接着剤ラインを形成するように付与される。
接着剤の種類は特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂を主成分とするホットメルト接着剤等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、PU、PET等のポリエステル、ウレタン変性共重合ポリエステル等の共重合ポリエステル、PA、ポリオレフィン(例えば、PP、PE)等が例示できる。ホットメルト接着剤は、例えば、加熱により溶融されながら、例えば第1不織布上に接着剤ラインを形成するように付与される。
積層不織布が保持する接着剤の質量も特に限定されないが、接合強度および圧力損失の観点から、0.5g/m2以上、15g/m2以下であることが好ましく、1g/m2以上、10g/m2以下であることがより好ましく、2g/m2以上、6g/m2以下であることが特に好ましい。
(製造装置)
以下、図1〜4を参照しながら、本実施形態に係る製造装置について説明する。図1は、積層不織布10の製造装置200の一例の構成を概略的に示す図である。図2は、製造装置200の圧着部205を模式的に示す斜視図である。図3は、圧着部205に配置される上部加圧ローラ51の一例を示す上面図である。図4は、接着剤ラインLについて説明する上面図である。
以下、図1〜4を参照しながら、本実施形態に係る製造装置について説明する。図1は、積層不織布10の製造装置200の一例の構成を概略的に示す図である。図2は、製造装置200の圧着部205を模式的に示す斜視図である。図3は、圧着部205に配置される上部加圧ローラ51の一例を示す上面図である。図4は、接着剤ラインLについて説明する上面図である。
積層不織布は、ラインの上流から下流に第1不織布1を搬送し、搬送される第1不織布1の主面に第2不織布(図示せず)を形成した後、第3不織布3を積層する製造装置により製造される。製造装置200は、積層不織布10を製造するための製造ラインを構成しており、製造装置200では、第1不織布1は、製造ラインの上流から下流に搬送される。各不織布および形成される積層不織布10の外形は特に限定されず、それぞれ長尺体であってもよいし、矩形であってもよいし、その他の多角形であってもよい。以下、各不織布および積層不織布10が長尺体である場合を例に挙げて説明する。
製造装置200は、製造ラインに第1繊維を含む第1不織布1を供給する第1不織布供給部201と、第2繊維2Fの原料となる原料樹脂と原料樹脂を溶解させる溶媒とを含む原料液22から、第2繊維2Fを生成させ、第2繊維2Fを第1不織布1の一方の主面に堆積させて第2不織布を形成する第2不織布形成部202と、第2不織布形成部202の下流に配置されており、第1不織布1の上記主面に、第2不織布を介して、接着剤4をライン状の領域(接着剤ライン)を形成するように付与する接着剤付与部203と、接着剤付与部203の下流に配置されており、第1不織布1の上記主面に、接着剤4および第2不織布を介して、第3繊維を含む第3不織布3を供給する第3不織布供給部204と、第3不織布3の第2不織布とは反対側の主面を押圧して、積層不織布10を形成する圧着部205と、を備える。圧着部205は、上記接着剤ラインに対応する位置に設けられた凸部を備える押圧部材(例えば、後述する上部加圧ローラ51)を有している。
(第1不織布供給部)
第1不織布供給部201は、製造装置200の最上流に配置されており、第1不織布1をロール状に捲回する第1供給リール12と第1供給リール12を回転させるモータ13とを備える。モータ13によって、第1供給リール12が回転し、第1不織布1は搬送ローラ11に供給される。
第1不織布供給部201は、製造装置200の最上流に配置されており、第1不織布1をロール状に捲回する第1供給リール12と第1供給リール12を回転させるモータ13とを備える。モータ13によって、第1供給リール12が回転し、第1不織布1は搬送ローラ11に供給される。
(第2不織布形成部)
第1不織布1は、搬送ローラ11により、電界紡糸ユニット(図示せず)を備える第2不織布形成部202に搬送される。電界紡糸ユニットが具備する電界紡糸機構は、電界紡糸ユニット内の上方に設置された第2繊維2Fの原料液22を放出するための放出体23と、放出された原料液22をプラスに帯電させる帯電手段(後述参照)と、放出体23と対向するように配置された第1不織布1を上流側から下流側に搬送する搬送コンベア21と、を備えている。搬送コンベア21は、第1不織布1とともに第2繊維2Fを収集するコレクタ部として機能する。なお、電界紡糸ユニットの台数は、特に限定されるものではなく、1台でも2台以上でもよい。
第1不織布1は、搬送ローラ11により、電界紡糸ユニット(図示せず)を備える第2不織布形成部202に搬送される。電界紡糸ユニットが具備する電界紡糸機構は、電界紡糸ユニット内の上方に設置された第2繊維2Fの原料液22を放出するための放出体23と、放出された原料液22をプラスに帯電させる帯電手段(後述参照)と、放出体23と対向するように配置された第1不織布1を上流側から下流側に搬送する搬送コンベア21と、を備えている。搬送コンベア21は、第1不織布1とともに第2繊維2Fを収集するコレクタ部として機能する。なお、電界紡糸ユニットの台数は、特に限定されるものではなく、1台でも2台以上でもよい。
電界紡糸ユニットおよび/または放出体23が複数ある場合、電界紡糸ユニットごと、あるいは、放出体23ごとに、形成される第2繊維2Fの平均繊維径を変化させてもよい。第2繊維2Fの平均繊維径は、原料液22の吐出圧力、印加電圧、原料液22の濃度、放出体23と第1不織布1との距離、温度、湿度などを調整することにより、変化させることができる。また、第2繊維2Fの堆積量は、原料液22の吐出圧力、印加電圧、原料液22の濃度、第1不織布1の搬送速度などを調整することにより、制御される。
放出体23の第1不織布1の主面と対向する側には、原料液22の放出口(図示せず)が複数箇所設けられている。放出体23の放出口と、第1不織布1との距離は、製造装置の規模や所望の繊維径にもよるが、例えば、100〜600mmであればよい。放出体23は、電界紡糸ユニットの上方に設置された、第1不織布1の搬送方向と平行な第1支持体24から下方に延びる第2支持体25により、自身の長手方向が第1不織布1の主面と平行になるように支持されている。第1支持体24は、放出体23を第1不織布1の搬送方向とは垂直な方向に揺動させるように、可動であってもよい。
帯電手段は、放出体23に電圧を印加する電圧印加装置26と、搬送コンベア21と平行に設置された対電極27とで構成されている。対電極27は接地(グランド)されている。これにより、放出体23と対電極27との間には、電圧印加装置26により印加される電圧に応じた電位差(例えば20〜200kV)を設けることができる。なお、帯電手段の構成は、特に限定されない。例えば、対電極27はマイナスに帯電されていてもよい。また、対電極27を設ける代わりに、搬送コンベア21のベルト部分を導体から構成してもよい。
放出体23は導体で構成されており、長尺の形状を有し、その内部は中空になっている。中空部は原料液22を収容する収容部となる。原料液22は、放出体23の中空部と連通するポンプ28の圧力により、原料液タンク29から放出体23の中空に供給される。そして、原料液22は、ポンプ28の圧力により、放出口から第1不織布1の主面に向かって放出される。放出された原料液22は、帯電した状態で放出体23と第1不織布1との間の空間(生成空間)を移動中に静電爆発を起し、繊維状物(第2繊維2F)を生成する。生成した第2繊維2Fは、第1不織布1に堆積し、第2不織布を形成する。
第2繊維2Fを形成する電界紡糸機構は、上記の構成に限定されない。所定の第2繊維2Fの生成空間において、原料液22から静電気力により第2繊維2Fを生成させ、生成した第2繊維2Fを第1不織布1の主面に堆積させることができる機構であれば、特に限定なく用いることができる。例えば、放出体23の長手方向に垂直な断面の形状は、上方から下方に向かって次第に小さくなる形状(V型ノズル)であってもよい。
(接着剤付与部)
第2不織布が形成された後、第1不織布1は、接着剤付与部203に搬送される。接着剤付与部203では、第1不織布1の上方から、第2不織布を介して、第1不織布1に接着剤4が接着剤ラインLを形成するように付与される。接着剤4が、第1不織布1に対して部分的に配置されることにより、圧力損失の増大が抑制される。
第2不織布が形成された後、第1不織布1は、接着剤付与部203に搬送される。接着剤付与部203では、第1不織布1の上方から、第2不織布を介して、第1不織布1に接着剤4が接着剤ラインLを形成するように付与される。接着剤4が、第1不織布1に対して部分的に配置されることにより、圧力損失の増大が抑制される。
接着剤付与部203は、例えば、接着剤付与部203の上方に設置された接着剤4を収容する接着剤タンク32および接着剤4を第1不織布1にライン状に塗工するためのノズル33を備えるアプリケータ34と、第1不織布1を下流に搬送するための搬送ローラ31と、を備える。接着剤タンク32もしくはノズル33は加熱装置を備えており、例えばホットメルト樹脂である接着剤4は、溶融されながら放出される。
ここで、図4に示すように、第1不織布1の長手方向Dの長さが100cmの端辺s1と端辺s1に対向する端辺s2とで挟まれた領域Aを設定する。以下、接着剤ラインLは、この領域A上に存在する接着剤4により形成されるライン状の領域を指すものとする。この場合、接着剤ラインLは、領域Aの法線方向から見たとき、領域A上に存在する接着剤4を囲む最小の幅を有する矩形rとして定義される。また、後述する凹部3Gは、この領域Aに対応する第3不織布3の領域内に形成されている凹部を指す。同様に、後述する凹部1Gも、この領域Aに対応する第1不織布1の領域内に形成されている凹部を指す。なお、第1不織布1の端辺s1およびs2は、得られた積層不織布10の長手方向の端辺S1(図2参照)および端辺S1に対向する端辺(図示せず)にそれぞれに対応する。また、図4では、便宜上、接着剤4をハッチングを入れて示している。
接着剤ラインLは、例えば、第1不織布1の長手方向Dに沿って配置される。矩形rの長手方向の中心線Lcと、端辺s1との成す角度が0°〜15°である場合、接着剤ラインLは長手方向Dに沿って配置されていると言える。
接着剤4自体の付着形状は、特に限定されない。なかでも、図4に示すように、接着剤4は波線状に塗布されることが好ましい。これにより、少ない使用量で、接着剤ラインLの幅WLを大きくすることができる。そのため、圧力損失の増大を抑制しながら、接合強度がさらに向上される。
この場合、波線状の接着剤4の平均波長LWは、接着剤ラインの幅WL(すなわち、矩形rの幅)よりも大きいことが好ましい。このような波線は比較的緩やかであるため、接着剤4の付着形状が安定する。平均波長LWは、領域Aにおける任意の10組の隣接する山の間の距離の平均値である。なお、接着剤4が滑らかな波線を描いていない場合、接着剤4の近似曲線を引いて、平均波長LWを求めればよい。平均波長LWと幅WLとの比:LW/WLは、生産安定性の観点から、2以上であることが好ましい。一方、平均波長LWと幅WLとの比:LW/WLは、接合強度の観点から、10以下であることが好ましい。
接着剤ラインLは、領域A内に1つ以上配置されていれば良い。この場合、複数の接着剤ラインLの幅WLは、すべて同じであってもよいし、異なっていてもよい。接着剤ラインLの幅WLは、所望の接着強度に応じて適宜設定すれば良い。なかでも、接合強度と圧力損失とのバランスを考慮すると、接着剤ラインLの幅WLは、第1不織布1をその主面の法線方向から見たとき、接着剤ラインLの合計の面積が上記主面の面積の2〜10%になるように設定されることが好ましい。
積層不織布10がプリーツ加工される場合、接着剤ラインLは、少なくともプリーツの折り曲げ部に対応する位置に複数配置されることが好ましい。この場合、隣接する接着剤ラインL間の平均のピッチPは、プリーツ幅と同じであるか、プリーツ幅より小さいことが好ましい。なかでも、ピッチPは、プリーツ幅の1/2〜1/10であることが好ましい。接着剤ラインL間のピッチPは、すべての接着剤ラインLに対して隣接する接着剤ラインLとの中心線Lc間の距離を測定して、平均値を算出することにより得られる。接着剤ラインLが10本以上配置されている場合、上記平均値を算出した後、得られた平均値と20%以上異なるデータを除き、再び平均値を算出する。この修正された平均値を、接着剤ラインL間のピッチPとしてもよい。
(第3不織布供給部)
次いで、第1不織布1は、第3不織布供給部204に搬送される。第3不織布供給部204では、搬送ローラ41によって第1不織布1が下流へと搬送される。第3不織布供給部204では、第1不織布1に、その上方から第3不織布3が供給され、接着剤4および第2不織布を介して第1不織布1に積層される。第3不織布3が長尺である場合、第1不織布1と同様に、第3不織布3は第2供給リール42に巻き取られていてもよい。この場合、第3不織布3は、モータ43によって回転する第2供給リール42から捲き出されながら、第1不織布1に積層される。
次いで、第1不織布1は、第3不織布供給部204に搬送される。第3不織布供給部204では、搬送ローラ41によって第1不織布1が下流へと搬送される。第3不織布供給部204では、第1不織布1に、その上方から第3不織布3が供給され、接着剤4および第2不織布を介して第1不織布1に積層される。第3不織布3が長尺である場合、第1不織布1と同様に、第3不織布3は第2供給リール42に巻き取られていてもよい。この場合、第3不織布3は、モータ43によって回転する第2供給リール42から捲き出されながら、第1不織布1に積層される。
(圧着部)
第3不織布3が積層された後、第1不織布1は圧着部205に搬送される。圧着部205では、凸部を備える押圧部材を用いて、第3不織布3の第2不織布とは反対側の主面の接着剤ラインLに対応する部分を押圧し、第1不織布1と第3不織布3とをさらに密着させる。
第3不織布3が積層された後、第1不織布1は圧着部205に搬送される。圧着部205では、凸部を備える押圧部材を用いて、第3不織布3の第2不織布とは反対側の主面の接着剤ラインLに対応する部分を押圧し、第1不織布1と第3不織布3とをさらに密着させる。
圧着部205は、例えば、積層不織布10を挟んで上方に配置された上部加圧ローラ51と下方に配置された下部加圧ローラ52とを備える。この場合、第3不織布3に接触する上部加圧ローラ51として、凸部を備える押圧部材を用いる。このような押圧部材としては、例えば、図2に示すような押圧リング510を備えるローラが挙げられる。上部加圧ローラ51は、押圧リング510が接着剤ラインLに対応するように設置される。これにより、押圧リング510によって、第3不織布3の接着剤ラインLに対応する位置が、第2不織布2とは反対側の主面から押圧される。このとき、第3不織布3の押圧リング510に対応する部分には、凹部3G(図5参照)が形成される。
上部加圧ローラ51は、押圧リング510の中心線Pcが接着剤ラインLに重なるように配置されることが好ましい。さらに、接合強度がより向上する点で、上部加圧ローラ51は、押圧リング510の中心線Pcが、接着剤ラインLの中心線Lcを含み、かつ、接着剤ラインLの面積(すなわち矩形rの面積)の30%を占める帯状の領域に重なるように配置されることが好ましい。押圧リング510の中心線Pcとは、押圧リングの幅WPを2等分する直線である。なお、押圧リング510は、接着剤ラインLに対応しない位置にも配置されてよい。同様に、接着剤ラインLは、押圧リング510に対応しない位置にも配置されてよい。ただし、圧力損失の観点から、押圧リング510と接着剤ラインLとは、互いに対応する位置にのみ配置されることが好ましい。なお、押圧リング510のエッジEは、第3不織布3の損傷を抑制する観点から、ラウンド加工によって丸められていることが好ましい。
押圧リング510の厚みTP(押圧リング510の外径と上部加圧ローラ51本体の外径との差の1/2)は、特に限定されない。なかでも、接着剤4が第1不織布1側に押し込まれ、接合強度が高まり易くなる点、および、凹部3Gが形成される点を考慮すると、厚みTPは、第3不織布3の厚みT3の1/20〜1/0.2であることが好ましい。
押圧リング510の幅WP(上部加圧ローラ51の軸方向Aにおける押圧リング510の長さ)は、この押圧リング510に対応する位置にある接着剤ラインLの幅WLよりも大きいことが好ましい。これにより、接着剤ラインLは、より広い範囲で押圧リング510により押圧され得る。特に、押圧リング510の中心線Pcが接着剤ラインLに重なるように配置される場合、接着剤ラインLのさらに広い範囲が押圧リング510により押圧されるため、接合強度がさらに向上する。この場合、第3不織布3に形成される凹部3Gの幅W3もまた、接着剤ラインLの幅WLよりも大きくなる。なお、押圧リング510の幅WPは、軸方向Aにおける押圧リング510の長さの平均値であり、凹部3Gの幅W3は、領域Aを法線方向から見たとき、凹部3Gの短手方向(接着剤ラインLの中心線Lcと垂直な方向)の幅の平均値である。
押圧リング510が複数設置されている場合、それぞれの幅WPは、すべて同じであってもよいし、異なっていてもよい。押圧リング510および接着剤ラインLがそれぞれ複数配置されている場合、互いに対応する位置にある押圧リング510と接着剤ラインLとの幅について、押圧リング510の幅WPを接着剤ラインLの幅WLよりも大きくすればよい。幅の比:WL/WPは、接合強度の観点から、1.1以上であることが好ましい。一方、幅の比:WL/WPは、圧力損失の観点から、2以下であることが好ましい。
押圧リング510によって、第3不織布3の接着剤ラインLに対応する部分が押圧されることにより、第2不織布2と第3不織布3との間に配置された接着剤4の一部は、第1不織布1にまで押し込まれる。よって、第1不織布1と第3不織布3とが、接着剤4を介して接着される。さらに、押圧部分では第2繊維が変形し、第1不織布1および/または第3不織布3の空隙に入り込む。すなわち、積層不織布10の押圧部分では、第1不織布1と第3不織布3とは、接着剤4および変形した第2繊維によって接合される。一方、積層不織布10の押圧部分以外では、通気性が維持される。
(回収部)
最後に、積層不織布10はローラ61を経由して、より下流側に配置されている回収部206に搬送されてもよい。回収部206は、例えば、搬送されてくる積層不織布10を捲き取る回収リール62を内蔵している。回収リール62はモータ63により回転駆動される。
最後に、積層不織布10はローラ61を経由して、より下流側に配置されている回収部206に搬送されてもよい。回収部206は、例えば、搬送されてくる積層不織布10を捲き取る回収リール62を内蔵している。回収リール62はモータ63により回転駆動される。
回収リール62に捲き取られた積層不織布10は、さらにプリーツ加工されても良い。この場合、積層不織布10は、所望の形状に裁断された後、プリーツ加工機内(図示せず)に導入される。プリーツ加工機では、凹部3Gに沿って、あるいは、凹部3Gと垂直な方向に積層不織布10を折り曲げて、プリーツが形成される。次いで、プリーツ加工された積層不織布10には、形成された折り曲げ部と交わるように、ホットメルト樹脂がビード状に塗布される。ホットメルト樹脂によって、隣接するプリーツ同士が部分的に接着されて、プリーツ形状が保持される。
凹部3Gに沿って積層不織布10を折り曲げる場合、少なくとも一部の凹部3G上を折り曲げることが好ましい。一方、凹部3Gと垂直な方向に積層不織布10を折り曲げる場合、ビード塗布加工では、少なくとも一部の凹部3Gあるいは凹部1G上にホットメルト樹脂を塗布することが好ましい。圧力損失の増大が抑制されるためである。
(積層不織布)
上記の装置により得られる積層不織布10は、図2および図5に示すように、第1不織布1と、第1不織布1に積層される第2不織布2と、第2不織布2の第1不織布1とは反対側の主面に積層される第3不織布3と、を備える。図5は、積層不織布10を模式的に示す断面図である。少なくとも第2不織布2と第3不織布3との間(さらには第1不織布1と第3不織布3との間)には、接着剤4が介在している。本実施形態において、接着剤4は、積層不織布10の長手方向Dに沿った複数の接着剤ラインLを形成するように配置されている。また、第3不織布3は、接着剤ラインLに対応する位置にライン状の凹部3Gを備える。
上記の装置により得られる積層不織布10は、図2および図5に示すように、第1不織布1と、第1不織布1に積層される第2不織布2と、第2不織布2の第1不織布1とは反対側の主面に積層される第3不織布3と、を備える。図5は、積層不織布10を模式的に示す断面図である。少なくとも第2不織布2と第3不織布3との間(さらには第1不織布1と第3不織布3との間)には、接着剤4が介在している。本実施形態において、接着剤4は、積層不織布10の長手方向Dに沿った複数の接着剤ラインLを形成するように配置されている。また、第3不織布3は、接着剤ラインLに対応する位置にライン状の凹部3Gを備える。
凹部3Gの深さD3は特に限定されず、押圧部材の凸部の高さ(すなわち、押圧リング510の厚みTP)によって決定される。なかでも、接着剤4が第1不織布1側に押し込まれ、接合強度が高まり易くなる点、および、プリーツ加工あるいはビード塗布加され易くなる点で、第3不織布3の厚みT3の1/100〜1/5であることが好ましい。深さD3は、1つの凹部3Gの任意の10箇所の長手方向に対して垂直な断面をとったとき、その最大の深さの平均値である。後述する凹部1Gの深さD1についても同じである。
第3不織布3の凹部3Gの幅W3もまた、押圧部材の凸部の幅(すなわち、押圧リング510の幅WP)によって決定される。なかでも、接着強度が高まる点で、凹部3Gの幅W3は、この凹部3Gに対応する位置にある接着剤ラインLの幅WLよりも大きいことが好ましい。幅の比:WL/W3は、接合強度の観点から、1.1以上であることが好ましい。一方、幅の比:WL/W3は、圧力損失の観点から、2以下であることが好ましい。また、凹部3Gの合計の面積は、接合強度と圧力損失とのバランスを考慮すると、第3不織布3をその主面の法線方向から見たとき、上記主面の面積の2.2〜20%であることが好ましい。
第1不織布1もまた、第3不織布3に対向する主面の接着剤ラインLに対応する位置に、ライン状の凹部1Gを備えていても良い。基材として機能する比較的剛直な第1不織布1に凹部1Gが形成されることにより、積層不織布10はさらにプリーツ加工され易くなる。この場合、第1不織布1の凹部1Gの深さD1は、第3不織布3の凹部3Gの深さD3よりも小さくなり得る。深さの比D1/D3は、例えば、0.005〜0.1である。形状保持の観点から、深さの比D1/D3は0.01以上、0.05以下であることが好ましい。また、上記加工の目印になり易い点で、深さD1は、第1不織布1の厚みT1の1/400〜1/20であることが好ましい。
本発明により得られる積層不織布は、圧力損失が小さく、接合強度に優れるため、空気清浄機、あるいは空調機の濾材、電池用の分離不織布、燃料電池用のメンブレン、妊娠検査不織布等の体外検査不織布、細胞培養用等の医療用不織布、防塵マスク等の防塵布や防塵服、化粧用不織布、塵を拭き取る拭取不織布等として、好適である。
1:第1不織布、1G:凹部、2:第2不織布、2F:第2繊維、3:第3不織布、3G:凹部、4:接着剤、10:積層不織布、11、31、41:搬送ローラ、12:第1供給リール、13:モータ、21:搬送コンベア、22:原料液、23:放出体、24:第1支持体、25:第2支持体、26:電圧印加装置、27:対電極、28:ポンプ、29:原料液タンク、32:接着剤タンク、33:ノズル、34:アプリケータ、42:第2供給リール、43:モータ、51:上部加圧ローラ、510:押圧リング、52:下部加圧ローラ、61:ローラ、62:回収リール、63:モータ、200:製造装置、201:第1不織布供給部、202:第2不織布形成部、203:接着剤付与部、204:第3不織布供給部、205:圧着部、206:回収部
Claims (4)
- 製造ラインに第1繊維を含む第1不織布を供給する第1不織布供給部と、
第2繊維の原料となる原料樹脂と前記原料樹脂を溶解させる溶媒とを含む原料液から、前記第2繊維を生成させ、前記第2繊維を前記第1不織布の一方の主面に堆積させて第2不織布を形成する第2不織布形成部と、
前記第2不織布形成部の下流に配置されており、前記第1不織布の前記主面に、前記第2不織布を介して、接着剤をライン状の領域を形成するように付与する接着剤付与部と、
前記接着剤付与部の下流に配置されており、前記第1不織布の前記主面に、前記接着剤および前記第2不織布を介して、第3繊維を含む第3不織布を供給する第3不織布供給部と、
前記第3不織布の前記第2不織布とは反対側の主面の一部を押圧して、積層不織布を形成する圧着部と、を備え、
前記圧着部が、前記ライン状の領域に対応する位置に設けられた凸部を有する押圧部材を備える、積層不織布の製造装置。 - 前記押圧部材の前記凸部の幅が、前記ライン状の領域の幅よりも大きい、請求項1に記載の積層不織布の製造装置。
- 前記接着剤付与部では、前記ライン状の領域が、波線状に配置された前記接着剤により形成される、請求項1または2に記載の積層不織布の製造装置。
- 波線状の前記接着剤の平均波長が、前記ライン状の領域の幅よりも大きい、請求項3に記載の積層不織布の製造装置。
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