JP2017197873A - 積層体の製造方法および製造装置 - Google Patents

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池田 浩二
Koji Ikeda
浩二 池田
本村 耕治
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耕治 本村
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Abstract

【課題】表面積の大きな不織布を備える積層体の提供。
【解決手段】基材繊維を含む基材1を準備する準備工程と、基材1を搬送ラインの上流に供給し、下流に向けて搬送する搬送工程と、前記搬送工程の後、第1繊維2aの原料液から第1繊維23を生成させて、基材1の第1主面に堆積させる堆積工程と、前記堆積工程の後、前記第1主面に堆積した前記第1繊維を加熱する加熱工程と、前記加熱工程の後、加熱された前記第1繊維を、前記基材繊維の隙間に侵入させる侵入工程と、を具備する、積層体の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、不織布が積層された積層体の製造方法および製造装置に関する。
基材に不織布が積層された積層体は、強度が高いため、様々な用途に用いられている。例えば、特許文献1は、基材である不織布と極細繊維を含む不織布とを備える積層体を、空気清浄機の濾材として使用することを提案している。このような積層体は、基材に、例えば、電界紡糸法により極細繊維を堆積させることにより得られる。
特開2014−121699号公報
極細繊維を用いることにより、形成される不織布の表面積が大きくなる。例えば、積層体を濾材として用いる場合、不織布の表面積が大きくなることにより集塵効率が向上する。しかし、極細繊維を基材に過度に堆積させると、極細繊維同士が密着するため、逆に形成される不織布の表面積が小さくなる。その結果、集塵効率が低下したり、圧力損失が増大する場合がある。
本発明の一局面は、基材繊維を含む基材を準備する準備工程と、前記基材を搬送ラインの上流に供給し、下流に向けて搬送する搬送工程と、前記搬送工程の後、第1繊維の原料液から前記第1繊維を生成させて、前記基材の第1主面に堆積させる堆積工程と、前記堆積工程の後、前記第1主面に堆積した前記第1繊維を加熱する加熱工程と、前記加熱工程の後、加熱された前記第1繊維を、前記基材繊維の隙間に侵入させる侵入工程と、を具備する、積層体の製造方法に関する。
本発明の他の一局面は、基材繊維を含む基材を、搬送ラインの上流に供給する基材供給部と、前記基材供給部の下流に配置され、第1繊維の原料液から前記第1繊維を生成させて、前記第1繊維を前記基材の第1主面に堆積させる堆積部と、前記堆積部の下流に配置され、前記第1主面に堆積した前記第1繊維を加熱する加熱部と、前記加熱部の下流に配置され、加熱された前記第1繊維を、前記基材繊維の隙間に侵入させる侵入部と、を具備する、積層体の製造装置に関する。
本発明に係る製造方法および製造装置によって得られる積層体は、表面積が大きい不織布を備える。そのため、不織布を積層させた利点が発揮され易くなる。例えば、積層体を濾材として使用する場合、圧力損失が小さくなるとともに、集塵効率が向上する。
本発明に係る第1実施形態の製造方法が具備する工程の一部を示す概略図である。 第1実施形態の堆積工程直後の第1繊維と基材繊維との位置関係を模式的に示す断面図(a)および侵入工程後の第1繊維と基材繊維との位置関係を模式的に示す断面図(b)である。 吸引部材の一部を拡大して示す模式図である。 加熱された第1繊維の温度プロファイルを示すグラフである。 本発明の実施形態に係る積層体の製造装置を示す概略図である。 本発明の他の実施形態に係る侵入工程後の第1繊維と基材との位置関係を模式的に示す断面図である。 第4実施形態で得られる積層体を模式的に示す断面図である。 第4実施形態で得られる他の積層体を模式的に示す断面図である。 第4実施形態の凹凸形成工程において、第1ローラおよび第1対向ローラによって第1凹凸が形成される基材を示す側面図(a)、第1ローラの一部を拡大して示す側面図(b)、および、第1対向ローラの一部を拡大して示す側面図(c)である。
基材に積層される不織布は、例えば、電界紡糸法により、繊維(第1繊維)を基材上に堆積することにより形成される。電界紡糸法では、第1繊維の原料樹脂を溶媒に溶解させた原料液に高電圧を印加し、電荷をもった原料液をノズルから噴射することにより、第1繊維が生成する。このとき、第1繊維は溶媒を含んだ状態で基材上に堆積し、基材を構成する基材繊維と点で密着する。
不織布は、第1繊維がランダムに幾重にも重なって形成される。そのため、溶媒を含んだ第1繊維同士もまた、点で密着する。この状態で第1繊維に含まれる溶媒が除去されて第1繊維が収縮すると、第1繊維の密度が高まる。そのため、得られる積層体の圧力損失が増大し易くなる。さらに、不織布の表面積が小さくなるため、集塵効率も低下する。
本実施形態では、第1繊維同士の密着の少なくとも一部を解消して、不織布の密度を小さくすることにより、得られる積層体の圧力損失の増大の抑制と集塵効率の向上とを両立させる。あるいは、形成された不織布に凹凸を付与して、表面積を拡大することにより、得られる積層体の圧力損失の増大の抑制と集塵効率の向上とを両立させる。
第1繊維同士の密着を解消するため、あるいは、形成された不織布に凹凸を付与するために、第1繊維の一部を、基材の内部、つまり、複数の基材繊維の間に生じている隙間に侵入させる。この方法としては、第1繊維を基材に堆積させた後、例えば、第1繊維を基材に向かわせる気流S(図2(b)、図6参照)を、第1繊維に作用させる方法が挙げられる。この方法によれば、基材と不織布との密着性も向上する。
以下、基材と不織布との積層体(以下、後述する侵入工程前の積層体を、前駆体と称す)に対して、基材側から第1繊維を吸引する第1実施形態、不織布側から第1繊維に気体を吹き付ける第2実施形態、不織布側から第1繊維に熱風を吹き付ける第3実施形態、および、これら実施形態の変形例(第4実施形態)について説明する。
(第1実施形態)
[製造方法]
本実施形態において、積層体は、基材繊維を含む基材を準備する準備工程と、基材を搬送ラインの上流に供給し、下流に向けて搬送する搬送工程と、搬送工程の後、第1繊維の原料樹脂を含む原料液から第1繊維を生成させて、基材の第1主面に堆積させる堆積工程と、堆積工程の後、第1主面に堆積した第1繊維を加熱する加熱工程と、加熱工程の後、加熱された第1繊維を、基材の第1主面とは反対側の第2主面側から吸引して、基材繊維の隙間に侵入させる侵入工程と、を具備する方法により製造される。
以下、本実施形態に係る製造方法について、図1〜図5を参照しながら、詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る製造方法の工程の一部を示す概略図である。図2(a)は、堆積工程直後の第1繊維と基材繊維との位置関係を模式的に示す断面図であり、図2(b)は、侵入工程後の第1繊維と基材繊維との位置関係を模式的に示す断面図である。図3は、吸引部材の一部を拡大して示す模式図である。図4は、加熱された第1繊維の温度プロファイルを示すグラフである。図5は、製造装置200の一例の構成を概略的に示す図である。なお、基材および不織布等に関して、空気清浄機の濾材に適する形態を具体的に説明するが、積層体の用途は、濾材に限定されるものではない。また、図2(a)および(b)では、基材繊維および第1繊維の一部を示している。図6も同様である。
(1)準備工程
準備工程では、基材1を準備する。
(基材)
基材1は、例えば、製造される積層体10Aを支持する支持体である。基材1の形態および材質は特に限定されず、用途に応じて適宜選択すればよい。基材1として、具体的には、繊維構造体(織物、編物、不織布等)の多孔質基材が例示できる。なかでも、積層体10Aを濾材として使用する場合、圧力損失の観点から、基材1は不織布であることが好ましい。不織布は、例えば、スパンボンド法、乾式法(例えば、エアレイド法)、湿式法、メルトブロー法、ニードルパンチ法等により製造される。なかでも、基材1は、湿式法により製造された不織布であることが好ましい。
基材1が不織布である場合、基材1を構成する基材繊維1aの材質は特に限定されず、例えば、ガラス繊維、セルロース、アクリル樹脂、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート)、ポリアミド(PA)、あるいはこれらの混合物等が挙げられる。なかでも、支持体として適する点で、基材繊維1aの材質はPETまたはセルロースが好ましい。特に、基材1は、PETまたはセルロースを80質量%以上の割合で含むことが好ましい。基材繊維1aの平均繊維径D1は特に限定されず、例えば、1μm以上、40μm以下であってもよく、5μm以上、20μm以下であってもよい。
平均繊維径D1とは、基材繊維1aの直径の平均値である。基材繊維1aの直径とは、基材繊維1aの長さ方向に対して垂直な断面の直径である。そのような断面が円形でない場合には、最大径を直径と見なしてよい。また、基材1を一方の主面の法線方向から見たときの、基材繊維1aの長さ方向に対して垂直な方向の幅を、基材繊維1aの直径と見なしてもよい。平均繊維径D1は、例えば、基材1に含まれる任意の10本の基材繊維1aの任意の箇所の直径の平均値である。後述する平均繊維径D2についても同じである。
基材1の厚みT1は、特に限定されず、例えば、50μm以上、500μm以下であっても良く、150μm以上、400μm以下であってもよい。不織布の厚みTとは、例えば、不織布の任意の10箇所の厚みの平均値である。厚みとは、不織布の2つの主面の間の距離である。基材1が不織布である場合、その厚みは、不織布の断面を写真に取り、不織布の一方の主面上にある任意の1地点から他方の主面まで、一方の表面に対して垂直な線を引いたとき、この線上にある繊維のうち、最も離れた位置にある2本の繊維の外側(外法)の距離として求められる。他の任意の複数地点(例えば、9地点)についても同様にして不織布の厚みを算出し、これらを平均化した数値を、不織布の厚みとする。上記厚みの算出に際しては、二値化処理された画像を用いてもよい。後述する厚みT2についても同じである。
基材1の単位面積当たりの質量も特に限定されず、例えば、10g/m以上、80g/m以下であってもよく、35g/m以上、60g/m以下であってもよい。基材1の圧力損失は特に限定されない。なかでも、基材1の初期の圧力損失は、JISB9908形式1の規格に準拠した測定機を用いて測定した場合、1Pa以上、10Pa以下程度であることが好ましい。基材1の初期の圧力損失がこの範囲であれば、積層体10A全体の圧力損失も抑制される。
基材1は、第1繊維2aを堆積させる主面(第1主面1X)に凹凸(以下、第1凹凸)を備えることが好ましい。このような基材1を用いることにより、形成される不織布2にも凹凸が形成され易くなる。よって、不織布2の表面積が大きくなって、得られる積層体10Aの圧力損失の増大が抑制され易くなる。この場合、準備工程において、予め第1凹凸が形成された基材を準備する。あるいは、準備工程の後、堆積工程の前に、基材の第1主面に第1凹凸を形成する凹凸形成工程を行ってもよい。凹凸形成工程に供される基材は、平坦であってもよいし、第1凹凸以外の凹凸を有していてもよい。凹凸形成工程については後述する。
第1主面1X、ひいては不織布2の表面積が大きくなる点で、第1凹凸の隣接する凸部間のピッチPpxは、0.1〜5mmであることが好ましく、0.2〜2mmであることがより好ましい。また、ピッチPpxは基材1の平均繊維径D1の10〜500倍であることが好ましく、50〜200倍であることがより好ましい。ピッチPpxは、隣接する凸部の中心間の距離である。ポイント状の凸部の中心は、凸部を上方から見てその外縁を定めたときの、外縁で囲まれる図形の中心である。凸部が帯状である場合、その中心は、凸部を囲む最小の幅を有する矩形の長手方向に沿った中心線であり、ピッチPpxは中心線間の最短距離である。上方とは、例えば、第1主面1Xの法線方向である。同様の観点から、第1凹凸の凸部の高さ(凹部と凸部との高低差)Hcxは、0.02〜0.2mmであることが好ましく、0.04〜0.1mmであることがより好ましい。
(2)搬送工程
後述する堆積工程、加熱工程および侵入工程は、搬送される基材1に対して、連続的に行われる。これにより、生産性が向上する。さらに、加熱工程および侵入工程を連続的に行うことにより、第1繊維2aが基材繊維1aの隙間に侵入し易くなる。搬送工程では、例えば、まず、基材1が搬送ローラ11(図5参照)に供給される。堆積工程、加熱工程および侵入工程において、基材1は、例えば、搬送コンベア21および搬送ローラ51および搬送ローラ61により搬送される。なお、各搬送ローラ(11、51、61)に替えて、ベルトあるいはコンベアを用いてもよい。
(3)堆積工程
本工程では、原料液から第1繊維2aが生成される。第1繊維2aは、例えば、電界紡糸法により生成される。電界紡糸法では、原料液が放出体23から放出されて、第1繊維2aが生成される。生成された第1繊維2aは、第1溶媒を含んだ状態で、図2(a)に示すように、幾重にも重なるように基材1の第1主面1X上に堆積し、不織布2を形成する。これにより、基材1と不織布2との積層体の前駆体10Pが得られる。図2(a)では、第1主面1Xに堆積した第1繊維2aを、第1主面1Xに近い方から順に第1繊維2aa、第1繊維2ab、第1繊維2acとして示す。このとき、例えば、第1繊維2aaと第1繊維2ab、第1繊維2abと第1繊維2acとは、それぞれ点で密着している。なお、第1主面1Xに堆積する第1繊維2aの配置等は、これに限定されない。
搬送ローラ11に供給された基材1は、搬送コンベア21へと受け渡される。第1繊維2aは、搬送コンベア21により搬送されている基材1の第1主面1Xに対して、堆積される。本工程において、基材1は、噴射される原料液のターゲットであり、生成する第1繊維2aを収集するコレクタとして機能する。
表面積が大きくなる点で、第1繊維2aの平均繊維径D2は小さいほど好ましく、例えば、基材繊維1aの平均繊維径D1よりも小さいことが好ましい。平均繊維径D2は、3μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましく、300nm以下であることが特に好ましい。また、平均繊維径D2は30nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましい。平均繊維径D2がこの範囲であれば、圧力損失が抑制されるとともに集塵効率が高くなり易い。
不織布2の厚みT2は、圧力損失の観点から、0.5μm以上、10μm以下であることが好ましく、1μm以上、5μm以下であることがより好ましい。不織布2の初期の圧力損失は、上記と同様の条件で測定する場合、5Pa以上、40Pa以下程度であることが好ましい。不織布2の単位面積当たりの質量は、圧力損失と集塵効率とのバランスの観点から、0.1g/m以上、1.5g/m以下であることが好ましく、0.2g/m以上、0.5g/m以下であることがより好ましく、0.2g/m以上、0.8g/m以下であることが特に好ましい。
(原料液)
原料液は、原料樹脂および溶媒(以下、第1溶媒と称す)を含む。原料樹脂は第1繊維2aの原料である。第1溶媒は、原料樹脂を溶解させる。原料液から、原料樹脂および第1溶媒を含む第1繊維2aが形成される。原料液における原料樹脂と第1溶媒との混合比率は、選定される原料樹脂の種類および第1溶媒の種類により異なる。原料液における第1溶媒の割合は、例えば、60質量%から95質量%である。原料液には、原料樹脂を溶解させる第1溶媒以外の溶媒や各種添加剤等が含まれていてもよい。
原料樹脂の種類は特に限定されず、例えば、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアリレート(PAR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリウレタン(PU)等のポリマーが挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。原料樹脂が2種以上のポリマーを含む場合、ポリマーの1つは、主成分として、原料樹脂の80質量%以上を占めることが好ましい。基材1上での第1繊維2aの挙動(基材1との密着性、あるいは、第1繊維2a同士の密着性)が一様になり易いためである。なかでも、第1繊維2aを電界紡糸法により生成させる場合、電界紡糸法に適している点で、原料樹脂の主成分はPESが好ましい。また、第1繊維2aの平均繊維径D2を細くし易い点で、原料樹脂の主成分はPVDFが好ましい。
第1溶媒は、原料樹脂を溶解できるものであれば特に限定されない。例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジベンジルアルコール、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトン、ヘキサフルオロアセトン、フェノール、ギ酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、クロロホルム、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロプロパン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、酢酸、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロペンタン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホオキシド、ピリジン、水等を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。なかでも、電界紡糸法に適している点、さらにはPESおよびPVDFを溶解し易い点で、DMAcが好ましい。
(4)加熱工程
本工程では、基材1の第1主面1Xに堆積した第1繊維2aを加熱する。加熱により第1繊維2aは軟化して、後の侵入工程において基材繊維1aの隙間に侵入することができる。
第1繊維2aの損傷が抑制される点で、第1繊維2aは、非接触式の加熱装置30により加熱されることが好ましい。非接触式の加熱装置30としては特に限定されず、パネルヒータ等、公知のものを適宜選択すればよい。第1繊維2aを効率的に加熱できる点で、加熱装置30は、前駆体10Pの不織布2側に配置されることが好ましい。加熱温度は、第1繊維2aの軟化点あるいは融点、基材繊維1aの融点等を考慮して、適宜設定すればよい。加熱温度は、例えば、不織布2の表面が100〜250℃、好ましくは120〜160℃になるように調整すればよい。
(5)侵入工程
本工程では、基材1の第1主面1Xとは反対側の第2主面1Y側から、第1繊維2aを吸引する。加熱工程により軟化した第1繊維2aを第2主面1Y側から吸引することにより、第1繊維2aは、基材繊維1a間に生じた隙間に侵入する。
このとき、第2主面1Yの近くに堆積している第1繊維2aは、より吸引され易い。例えば、図2(b)に示すように、第1繊維2aaは、他の第1繊維2abおよび2acよりも吸引され易い。そのため、不織布2の厚み方向における第1繊維2a同士の間隔が、部分的に広がる。第1繊維2a同士の間隔が広がった領域では、見かけの体積が大きくなって、密度が小さくなる。よって、不織布2の表面積が大きくなって、積層体10A全体としての圧力損失が小さくなるとともに、濾材として使用した場合の集塵効率が向上する。さらに、長期間にわたり使用した場合にも、集塵効率が維持されるとともに、圧力損失の増大が抑制される。また、吸引によって、第1繊維2aは伸長される。よって、不織布2の表面積はさらに拡大する。さらに、第1繊維2aの一部が基材繊維1aの隙間に入り込むことにより、不織布2と基材1との密着性が向上する。
特に、図2(b)に示すように、溶媒が除去された後、第1繊維2aは、基材繊維1aの平均繊維径D1以上の侵入深さで基材1の内部(以下、内部領域1Rと称す)にまで侵入していることが好ましい。これにより、第1繊維2aは、基材1の内部領域1Rに存在する基材繊維1aに密着し、接着される。よって、乾燥により収縮した場合にも、第1繊維2aは基材繊維1a同士の間にある隙間に侵入した状態を維持することができる。なお、図2(b)では、内部領域1Rとその他の領域との境界を破線で示し、内部領域1Rをハッチングを付して示している。
このとき、堆積した第1繊維2aの少なくとも一部(図2では、第1繊維2aa)が、内部領域1Rにまで侵入していればよい。例えば、第1繊維2aaの上に堆積する第1繊維2abおよび2acは、基材1の第1主面1X上に堆積していてもよい。内部領域1Rは、積層体10Aの断面において、基材1の第1主面1Xの表面の任意の10点から第1主面の法線方向に平均繊維径D1離れた10点を結んでできる線から、第2主面1Yまでの領域である。なお、図2では、第1主面1Xに堆積した第1繊維2aを、第1主面1Xに近い方から順に第1繊維2aa、第1繊維2ab、第1繊維2acとして示す。このとき、例えば、第1繊維2aaと第1繊維2ab、第1繊維2abと第1繊維2acとは、それぞれ点で密着している。第1主面1Xに堆積する第1繊維2aの配置等は、これに限定されない。
吸引は、吸引装置40によって行われる。吸引装置40は、真空ポンプ41、バルブ43および吸引部材44を備える。真空ポンプ41とバルブ43の間には、吸引圧力を高めるためのバッファータンク42が介在している。真空ポンプ41の構造および動作原理は、空気を吸引することができる限り特に限定されず、公知の真空ポンプを用いることができる。吸引は、バルブ43の開閉により制御される。
図3に示すように、吸引部材44は吸引面441を備える。吸引面441には、1つまたは2以上の吸引開口442が設けられている。吸引開口442はバルブ43に連通しており、その形状は特に限定されない。真空ポンプ41を稼働させるとともに、バルブ43を開くことにより、外部の空気とともに第1繊維2aが吸引開口442の方に吸引される。
このとき、吸引は、吸引面441の周囲を基材1の第2主面1Yに接触させながら行われることが好ましい。吸引力が高まるためである。同様の観点から、吸引は、所定の時間をあけて、間欠的に行うことが好ましい。この場合の吸引の間隔は特に限定されず、例えば、真空ポンプ41内部が所定の圧力になったときに、バルブ43を開いて吸引を行えばよい。
一方、吸引力を高めると、基材1がスムーズに搬送されない場合がある。そのため、吸引部材44の第2主面1Yとの接触部に、回転体443を配置することが好ましい。回転体443は、少なくとも、基材1の搬送方向Dに回転可能であり、ボール形状あるいはロール形状の部材である。これにより、基材1と吸引部材44との摩擦力が低減される。よって、吸引力を高めながら、基材1を安定して搬送することができる。
吸引は、第1繊維2aが軟化している間に行われる。特に、第1繊維2aの温度プロファイルにおけるピーク域Pkを通過する間に、吸引を行うことが好ましい。これにより、第1繊維2aが基材1内に侵入し易くなる。ピーク域Pkは、例えば、図4に示すように、第1繊維2aのピーク温度Tpから、(Tp−x)℃までの領域である。xは、第1繊維2aの軟化点あるいは融点を考慮して適宜設定すればよく、例えば、10〜50℃である。
加熱工程において、第1繊維2aは搬送されながら加熱される。そのため、第1繊維2aは、加熱装置30の下流側の端部Tを通過した直後にピーク温度Tpに達する。よって、ピーク域Pkを通過する間に吸引を行うためには、図1に示すように、吸引装置40(特に、吸引部材44)を、加熱装置30の下流側の端部30Tの近傍に対向するように配置すればよい。この場合、図4に示すように、加熱工程と侵入工程とは、一部並行して行われる。
一方、吸引装置40の損傷を抑制する観点から、吸引は、ピーク域Pkを通過した後に行ってもよい。ピーク域Pkを通過した後に吸引を行うためには、吸引装置40(特に、吸引部材44)を、加熱装置30の下流側の端部30Tのすぐ下流に対向するように配置すればよい。
[製造装置]
上記のような積層体10Aを製造する製造装置200は、例えば、基材繊維を含む基材を、搬送ラインの上流に供給する基材供給部と、基材供給部の下流に配置され、第1繊維の原料となる原料樹脂を含む原料液から第1繊維を生成させて、第1繊維を基材の第1主面に堆積させる堆積部と、堆積部の下流に配置され、第1主面に堆積した第1繊維を加熱する加熱部と、加熱部の下流に配置され、加熱された第1繊維を基材繊維の隙間に侵入させる侵入部と、を具備する。侵入部は、加熱部の下流に配置されるか、あるいは、加熱部に並行するように配置される。
以下、図5を参照しながら、積層体10Aを製造する装置200について説明する。製造装置200は、積層体10Aを製造するための製造ラインを構成している。なお、以下では、基材1が長尺体である場合について説明するが、基材1の形態はこれに限定されない。
(基材供給部)
基材供給部201は、製造ラインの最上流に配置されており、基材1をロール状に捲回する第1供給リール12と第1供給リール12を回転させるモータ13とを備える。モータ13によって第1供給リール12が回転し、基材1は搬送ローラ11に供給される。
(堆積部)
堆積部202は、電界紡糸ユニット(図示せず)を備える。基材1は、搬送ローラ11により堆積部202に搬送される。電界紡糸ユニットが具備する電界紡糸機構は、電界紡糸ユニット内の上方に設置された原料液22を放出するための放出体23と、放出された原料液22をプラスに帯電させる帯電手段(後述参照)と、放出体23と対向するように配置された基材1を上流側から下流側に搬送する搬送コンベア21と、を備えている。搬送コンベア21は、基材1とともに第1繊維2aを収集するコレクタ部として機能する。なお、電界紡糸ユニットの台数は、特に限定されるものではなく、1台でも2台以上でもよい。なお、搬送コンベア21に替えて、ローラまたはベルトにより、基材1を上流側から下流側に搬送してもよい。
電界紡糸ユニットおよび/または放出体23が複数ある場合、電界紡糸ユニットごと、あるいは、放出体23ごとに、形成される第1繊維2aの平均繊維径D2を変化させてもよい。第1繊維2aの平均繊維径D2は、原料液22の吐出圧力、印加電圧、濃度、放出体23と基材1との距離、温度、湿度などを調整することにより、変化させることができる。また、第1繊維2aの堆積量(不織布2の厚み)は、原料液22の吐出圧力、印加電圧、濃度、基材1の搬送速度などを調整することにより、制御される。
放出体23の基材1の主面と対向する側には、原料液22の放出口(図示せず)が複数箇所設けられている。放出体23の放出口と、基材1との距離は、製造装置の規模や所望の繊維径にもよるが、例えば、100〜600mmであればよい。放出体23は、電界紡糸ユニットの上方に設置された、基材1の搬送方向と平行な第1支持体24から下方に延びる第2支持体25により、自身の長手方向が基材1の主面と平行になるように支持されている。第1支持体24は、放出体23を基材1の搬送方向とは垂直な方向に揺動させるように、可動であってもよい。
帯電手段は、放出体23に電圧を印加する電圧印加装置26と、搬送コンベア21と平行に設置された対電極27とで構成されている。対電極27は接地(グランド)されている。これにより、放出体23と対電極27との間には、電圧印加装置26により印加される電圧に応じた電位差(例えば20〜200kV)を設けることができる。なお、帯電手段の構成は、特に限定されない。例えば、対電極27はマイナスに帯電されていてもよい。また、対電極27を設ける代わりに、搬送コンベア21のベルト部分を導体から構成してもよい。
放出体23は導体で構成されており、長尺の形状を有し、その内部は中空になっている。中空部は原料液22を収容する収容部となる。原料液22は、放出体23の中空部と連通するポンプ28の圧力により、原料液タンク29から放出体23の中空に供給される。そして、原料液22は、ポンプ28の圧力により、放出口から基材1の主面に向かって放出される。放出された原料液22は、帯電した状態で放出体23と基材1との間の空間(生成空間)を移動中に静電爆発を起し、繊維状物(第1繊維2a)を生成する。生成した第1繊維2aは、基材1に堆積し、不織布2を形成する。
第1繊維2aを形成する電界紡糸機構は、上記の構成に限定されない。所定の第1繊維2aの生成空間において、原料液22から静電気力により第1繊維2aを生成させ、生成した第1繊維2aを基材1の主面に堆積させることができる機構であれば、特に限定なく用いることができる。例えば、放出体23の長手方向に垂直な断面の形状は、上方から下方に向かって次第に小さくなる形状(V型ノズル)であってもよい。
(加熱部)
加熱部203は、加熱装置30を備える。加熱装置30は加熱部203の上方(第1主面1X側)に設置されており、非接触で第1繊維2aを加熱する。加熱により第1繊維2aは軟化される。
(侵入部)
侵入部204は、上記のような吸引装置40を備える。吸引装置40は、基材1の第2主面1Y側に設置される。吸引装置40によって第1繊維2aの一部が吸引されて、基材繊維1aの隙間に侵入する。そのため、不織布2の厚み方向における第1繊維2a同士の間隔が部分的に広がり、第1繊維2aの密度が部分的に小さくなる。
(保護材供給部)
不織布2を保護するために、不織布2側から、保護材3を積層してもよい。保護材供給部205は、搬送ローラ51の上方に保護材3が捲回された第2供給リール52を備えており、保護材3は、第2供給リール52から不織布2に供給される。第2供給リール52は、モータ53によって回転駆動する。保護材3は、図示しない接着剤を介して不織布2に積層されてもよい。保護材3が積層されると、積層体10Aは、積層体10Aを挟んで配置された一対の加圧ローラ54の間を経由して、回収部206に搬送される。
保護材3は、例えば、基材1に関して例示された方法により製造された不織布であってもよい。なかでも、積層体10Aを濾材として使用する場合、繊維径の小さな不織布が形成され易い点で、保護材3は、メルトブロー法により製造された不織布であることが好ましい。さらに、集塵効果が期待できる点で、保護材3は、帯電処理等によって帯電(永久帯電)されていることが好ましい。永久帯電とは、外部電界が存在しない状態において半永久的に電気分極を保持し、周囲に対して電界を形成している状態である。
保護材3を構成する保護繊維の材質は特に限定されず、例えば、ガラス繊維、セルロース、アクリル樹脂、PP、PE、PET等のポリエステル、PA、あるいはこれらの混合物等が挙げられる。なかでも、帯電され易い点で、PPが好ましい。保護繊維の平均繊維径も特に限定されず、例えば、0.5μm以上、20μm以下であってもよく、5μm以上、20μm以下であってもよい。
保護材3の厚みも特に限定されず、100μm以上、500μm以下であってもよく、150μm以上、400μm以下であってもよい。保護材3の単位面積当たりの質量も特に限定されず、10g/m以上、50g/m以下であってもよく、10g/m以上、30g/m以下であってもよい。保護材3の初期の圧力損失は、上記と同様の条件で測定する場合、10Pa以上、50Pa以下程度であることが好ましい。保護材3の初期の圧力損失がこの範囲であれば、積層体10A全体の圧力損失も抑制される。
接着剤の種類は特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂を主成分とするホットメルト接着剤等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、PU、PET等のポリエステル、ウレタン変性共重合ポリエステル等の共重合ポリエステル、PA、ポリオレフィン(例えば、PP、PE)等が例示できる。ホットメルト接着剤は、例えば、加熱により溶融されながら、不織布2に付与される。接着剤の付与量は、接合強度および圧力損失の観点から、0.5g/m以上、15g/m以下であることが好ましく、1g/m以上、10g/m以下であることがより好ましく、2g/m以上、6g/m以下であることが特に好ましい。
(回収部)
回収部206は、例えば、積層体10Aを捲き取る回収リール62を内蔵している。回収リール62はモータ63により回転駆動される。積層体10Aは搬送ローラ61により搬送された後、回収リール62に捲き取られる。
(第2実施形態)
本実施形態に係る製造方法は、侵入工程が、前駆体10Pの不織布2側から第1繊維2aに気体を吹き付けることにより行われること以外、第1実施形態の製造方法と同様である。
加熱工程により軟化した第1繊維2aに、第1主面1X側から気体が吹き付けられることにより、図6に示すように、第1繊維2aは基材繊維1a間に生じた隙間に入り込む。そのため、形成された不織布2の表面に凹凸が形成される。よって、不織布2の表面積が大きくなる。その結果、集塵効率が向上するとともに、圧力損失の増大が抑制される。さらに、長期間にわたり使用した場合にも、集塵効率が維持されるとともに、圧力損失の増大が抑制される。また、気体の吹き付けによって、第1繊維2aは伸長される。よって、不織布2の表面積はさらに広がる。さらに、第1繊維2aの一部が基材繊維1aの隙間に入り込むことにより、不織布2と基材1との密着性が向上する。気体の吹き付けは、例えばブロアー等の送風機によって行われる。
(第3実施形態)
本実施形態に係る製造方法は、堆積工程の後、基材1の第1主面1X側から第1繊維2aに熱風を吹き付けて、加熱工程とともに侵入工程を行うこと以外、第1実施形態の製造方法と同様である。この方法によれば、生産性が向上する。なお、第1繊維2aの加熱温度を制御し易い点では、上記したように、非接触式の加熱装置30を用いて第1繊維2aを加熱した後、侵入工程を行う方法が好ましい。
熱風の吹き付けは、例えば熱風発生機等によって行われる。熱風の温度は、第1繊維2aの軟化点あるいは融点、基材繊維1aの融点等を考慮して、適宜設定すればよい。熱風の温度は、例えば、不織布2の表面が120〜300℃、好ましくは140〜200℃になるように調整すればよい。
(第4実施形態)
本実施形態に係る製造方法は、準備工程が、第1主面1Xに第1凹凸が形成される前の基材1を準備する工程と、第1主面1Xを複数の凸部を有する第1ローラにより押圧して、第1主面1Xに第1凹凸を形成する凹凸形成工程と、を含むこと以外、第1実施形態、第2実施形態または第3実施形態の製造方法と同様である。本実施形態により得られる積層体10Cおよび10Dの断面を、図7Aおよび図7Bにそれぞれ示す。図7Aおよび図7Bに示すように、第1繊維2aは、基材繊維1aの隙間に侵入するとともに、第1凹凸Clxに沿うように堆積する。よって、得られる不織布2の表面には、第1凹凸に沿った凹凸C2が形成されるため、不織布2の表面積はさらに拡大する。
ここで、「第1繊維2aが第1凹凸C1xに沿うように堆積する」とは、第1繊維2aが第1凹凸C1xに密着して堆積されることに限定されず、第1繊維2aが第1凹凸C1xに倣った凹凸を形成するように堆積することを含む。すなわち、不織布2に形成される凹凸C2の高低差は、第1凹凸C1xと同じであってもよいし、小さくてもよい。
(1−1)基材を準備する工程
本工程では、第1主面1Xに第1凹凸を有さない基材1を準備する。準備される基材1の第1主面1Xは、平坦であってもよいし、第1凹凸とは異なる凹凸を有していてもよい。
(1−2)凹凸形成工程
第1主面1Xの部分的な押圧は、例えば、複数の第1凸部を有する押圧部材によって行われる。押圧部材は、図8(a)および(b)に示すような、周面に複数の第1凸部711Aを有する第1ローラ71Aであることが好ましい。これにより、シンプルな構成で、第1主面1Xの全面に、第1凸部711Aに対応する第1凹凸C1xを形成することができる。
第1凸部711Aの形状や分布状態は、特に制限されない。例えば、第1凸部711Aが複数のポイント状の凸部であって、これらが規則的にあるいは不規則に並んでいてもよい。また、第1凸部711Aが複数の線状または帯状の凸部であって、これらが等間隔に、ストライプ状やジグザグ状で並んでいてもよい。ポイント状の凸部は、例えば、角柱状であってもよく、円柱状や楕円柱状であってもよい。また、凸部は、格子状や網目状に形成されていてもよい。
不織布2の表面積がさらに大きくなる点で、隣接する凸部間のピッチPp1は、0.1〜5mmであることが好ましく、0.2〜2mmであることがより好ましい。また、第1主面1Xに第1凹凸C1xが形成され易くなる点で、ピッチPp1は、基材繊維1aの平均繊維径D1の10〜500倍であることが好ましく、50〜200倍であることがより好ましい。ピッチPp1は、隣接する凸部の中心間の距離である。ポイント状の凸部の中心は、凸部を上方から見てその外縁を定めたときの、外縁で囲まれる図形の中心である。凸部が帯状である場合、その中心は、凸部を囲む最小の幅を有する矩形の長手方向に沿った中心線であり、ピッチPp1は中心線間の最短距離である。上方とは、例えば、ローラの周面の法線方向である。
第1対向ローラ71Bは、図8(a)および(c)に示すように、上記の第1凸部711Aに対応する第1凹部711Bを有していてもよいし、平滑な表面を有するローラであってもよい。これにより、第1主面1Xに第1凹凸C1xが形成され易くなるとともに、押圧された部分において基材1が圧縮され難いため、圧力損失の増大が抑制される。なかでも、第1凹部711Bを有する第1対向ローラ71Bを用いることが好ましい。第1ローラ71Aおよび第1対向ローラ71Bで基材1を挟持することにより、第2主面1Yには、第1凸部711A(すなわち、第1凹凸C1x)に対応する第2凹凸C1yが形成される。よって、基材1の圧縮がさらに抑制される。第1凹凸C1xと第2凹凸C1yとは、基材1に表裏一体に形成されている。第1凸部711Aと第1凹部711Bとが対応するとは、第1ローラ71Aおよび第1対向ローラ71Bを回転させたときに、第1凸部711Aと第1凹部711Bとが係合することをいう。
隣接する第1凹部711B間のピッチPc1は、第1凸部711A間のピッチPp1と同じであることが好ましい。ピッチPc1は、隣接する第1凹部711Bの中心間の距離である。ポイント状の第1凹部711Bの中心は、第1凹部711Bを法線方向から見てその外縁を定めたときの、外縁で囲まれる図形の中心である。第1凹部711Bが帯状である場合、その中心は、第1凹部711Bを囲む最小の幅を有する矩形の長手方向に沿った中心線であり、ピッチPc1は中心線間の最短距離である。
第1凹部711Bの深さDc1は、第1凸部711Aの高さHp1と同じであってもよいし、異なっていてもよい。深さDc1は、具体的には0.02〜0.2mmであることが好ましく、0.04〜0.1mmであることがより好ましい。深さDc1は、第1凹部711Bの最も低い点に接触する面と、第1対向ローラ71Bの第1凹部711B以外の部分との間の最短距離である。
第1ローラ71Aおよび第1対向ローラ71Bの材質は、基材1の押圧に必要な硬度を有する限り特に制限されない。例えば、樹脂、金属、セラミックスなどの押圧部材として使用される公知の材質が挙げられる。第1対向ローラ71Bが平滑な表面を有する場合、少なくとも第2主面1Yに接触する部分がゴム製であることが好ましい。
第1凹凸C1xの形成は、基材1を加熱しながら行うことが好ましい。基材1が塑性変形し易くなるである。押圧部材として第1ローラ71Aおよび第1対向ローラ71Bを用いる場合、これらのうち少なくとも一方に、加熱可能なローラを用いることが好ましい。なかでも、第1主面1Xに接触するローラ(図8では、第1ローラ71A)として、加熱可能なローラを用いることが好ましい。加熱下で第1凹凸C1xの形成を行う場合、加熱温度は、基材1の表面が、例えば100〜200℃、好ましくは120〜170℃になるように調整することが好ましい。加熱可能なローラとしては、ヒータを内蔵するローラや接続したヒータから加熱可能なローラなどが例示される。
なお、図8(a)では、基材1の第1主面1Xを、第1凸部711Aを有する第1ローラ71Aで押圧しているが、第1主面1Xに第1凹凸C1xを形成する方法は、これに限定されない。例えば、第2主面1Yを第1ローラ71Aで押圧してもよい。このとき、対向ローラとして、上記したような第1凹部711Bを備えるローラを用いるか、あるいは、平滑な表面を備えるローラを用いることが好ましい。
本発明により得られる積層体は、不織布の表面積が大きいため、空気清浄機、あるいは空調機の濾材、電池用の分離不織布、燃料電池用のメンブレン、妊娠検査不織布等の体外検査不織布、細胞培養用等の医療用不織布、防塵マスク等の防塵布や防塵服、化粧用不織布、塵を拭き取る拭取不織布等として、好適である。
10A、10B、10C、10D:積層体
10P:前駆体
1:基材
1R:内部領域
1a:基材繊維
2:不織布
2a、2aa、2ab、2ac:第1繊維
3:保護材
200:製造装置
201:基材供給部
11:搬送ローラ
12:第1供給リール
13:モータ
202:堆積部
21:搬送コンベア
22:原料液
23:放出体
24:第1支持体
25:第2支持体
26:電圧印加装置
27:対電極
28:ポンプ
29:原料液タンク
203:加熱部
30:加熱装置
30T:下流側の端部
204:侵入部
40:吸引装置
41:真空ポンプ
42:バッファータンク
43:バルブ
44:吸引部材
441:吸引面
442:吸引開口
443:回転体
205:保護材供給部
51:搬送ローラ
52:第2供給リール
53:モータ
54:加圧ローラ
206:回収部
61:搬送ローラ
62:回収リール
63:モータ
71A:第1ローラ
711A:第1凸部
71B:第1対向ローラ
711B:第1凹部

Claims (12)

  1. 基材繊維を含む基材を準備する準備工程と、
    前記基材を搬送ラインの上流に供給し、下流に向けて搬送する搬送工程と、
    前記搬送工程の後、第1繊維の原料液から前記第1繊維を生成させて、前記基材の第1主面に堆積させる堆積工程と、
    前記堆積工程の後、前記第1主面に堆積した前記第1繊維を加熱する加熱工程と、
    前記加熱工程の後、加熱された前記第1繊維を、前記基材繊維の隙間に侵入させる侵入工程と、を具備する、積層体の製造方法。
  2. 前記侵入工程が、前記基材の前記第1主面とは反対側の第2主面側から、前記第1繊維を吸引することにより行われる、請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 前記第1繊維の吸引が、前記第2主面に吸引部材を接触させて行われ、
    前記吸引部材が、前記第2主面に接触する回転体を備える、請求項2に記載の積層体の製造方法。
  4. 前記侵入工程において、前記第1繊維が間欠的に吸引される、請求項2または3に記載の積層体の製造方法。
  5. 前記侵入工程が、前記第1主面側から、前記第1繊維に気体を吹き付けることにより行われる、請求項1に記載の積層体の製造方法。
  6. 前記侵入工程が、前記第1繊維がその温度プロファイルにおけるピーク域を通過する間に行われる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
  7. 前記侵入工程が、前記第1繊維がその温度プロファイルにおけるピーク域を通過した後に行われる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
  8. 前記加熱工程において、前記第1繊維が非接触式の加熱装置により加熱される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
  9. 前記堆積工程の後、前記第1主面側から前記第1繊維に熱風を吹き付けて、前記加熱工程とともに前記侵入工程を行う、請求項1に記載の積層体の製造方法。
  10. 前記準備工程が、
    前記第1主面に第1凹凸が形成される前の前記基材を準備する工程と、
    前記第1主面側に配置され、複数の第1凸部を有する第1ローラと、前記第1主面とは反対側の第2主面側に配置される第1対向ローラと、により前記基材を押圧して、前記第1主面に前記第1凹凸を形成する凹凸形成工程と、を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
  11. 前記準備工程において、前記第1主面に第1凹凸を備える前記基材を準備する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
  12. 基材繊維を含む基材を、搬送ラインの上流に供給する基材供給部と、
    前記基材供給部の下流に配置され、第1繊維の原料液から前記第1繊維を生成させて、前記第1繊維を前記基材の第1主面に堆積させる堆積部と、
    前記堆積部の下流に配置され、前記第1主面に堆積した前記第1繊維を加熱する加熱部と、
    前記加熱部の下流に配置され、加熱された前記第1繊維を、前記基材繊維の隙間に侵入させる侵入部と、を具備する、積層体の製造装置。


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