JP2017092230A - 回路接続材料及び回路部材の接続構造体とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光と光硬化性樹脂を用いた接続において、導通を良好に確保し、十分な樹脂の硬化が得られる回路接続材料、及び光を通さない回路が多く接続部材上に存在する場合であっても、遮光部分の反応が光増感剤を含有しない通常の構成と比べて向上し、ドライバIC等との接着を迅速かつ良好に確保できる回路部材の接続構造体とその製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、第一の回路電極を有する第一の回路部材2と第二の回路電極を有する第二の回路部材3との接続のための回路接続材料であって、前記回路接続材料中に光増感剤を含有する。本発明の回路接続材料を、第一の回路部材2及び第二の回路部材3の間に介在させ、光照射と同時又は光照射後に熱をかけることで硬化させて両者の回路部材2、3を接続することにより、回路部材の接続構造体1を得ることができる。【選択図】図1
Description
本発明は回路接続材料及び回路部材の接続構造体とその製造方法に関する。
従来、例えば、液晶ディスプレイ等の基板とICチップやFPC(フレキシブル印刷配線板)といった回路部材との接続には、接着剤中に導電粒子を分散させた異方導電性接着剤が用いられている(例えば、特許文献1、2参照)。回路部材を基板に実装するにあたり、従前のワイヤーボンディングに代えて、電極をフェイスダウンで直接接続する接続方法が採用されてきている。かかる接続方法では、異方導電性接着剤を介して回路部材の電極と基板の電極とを対向させ、回路部材と基板とに圧力を付与しながら熱で異方導電性接着剤を硬化させている。
近年では、電子機器の小型化及び薄型化の要求に伴い、回路部材の電極の間隔や電極幅が非常に小さくなってきている。また、液晶の表示品質の向上に対応するため、ガラス基板の厚さが年々薄くなる傾向にある。
表示品質の向上には熱圧着後の基板の反り量を小さくする必要があるが、前記特許文献1及び2に開示されている熱のみを用いる従来の実装方式では、圧着するためのツールと、回路部材を支えるステージとの温度差が大きくなるため、熱膨張差に起因する反りが発生し、反り量を小さく出来ない問題があった。
また、近年では光と光硬化性樹脂を用いた接続方法が提案されているが、この方法は光と熱を同時に併用することで通常の熱のみを用いた場合と比べて低温化が期待できる。しかし、ガラスなどの光を通す基板上に形成された回路や端子が光を透過しない素材の場合、光を遮られた部分の異方導電フィルム内部に光が十分到達せず樹脂の硬化が不十分になる問題がある。
本発明は上記課題の解決のためになされたものであり、光と光硬化性樹脂を用いた接続において、良好な導通を確保し、十分な樹脂の硬化が得られる回路接続材料及び回路部材の接続構造体を提供することを目的とする。
さらには、光を通さない回路が多く接続部材上に存在する場合であっても、遮光部分の反応が従来の構成と比べて向上し、例えば、ドライバICとの接着を迅速かつ良好に確保できる回路部材の接続構造体の製造方法を提供することである。
さらには、光を通さない回路が多く接続部材上に存在する場合であっても、遮光部分の反応が従来の構成と比べて向上し、例えば、ドライバICとの接着を迅速かつ良好に確保できる回路部材の接続構造体の製造方法を提供することである。
本発明は、第一の回路電極を有する第一の回路部材と第二の回路電極を有する第二の回路部材との接続のための回路接続材料であって、前記回路接続材料が光増感剤を含有する回路接続材料に関する。
また、本発明は、前記回路接続材料が、エポキシ樹脂およびカチオン重合開始剤を含む回路接続材料に関する。
また、本発明は、前記光増感剤が400nm以下の波長をもつUV光を吸収する化合物である回路接続材料に関する。ここで、前記UV光を吸収する化合物は、400nm以下の波長をもつ光を吸収するアントラセン環を有する化合物であることが好ましい。
本発明の回路接続材料は、導電粒子を含有する粒子層と、導電粒子を含有しない接着剤層とを有するフィルム状の回路接続材料であって、前記粒子層と前記接着剤層の両方、または一方に前記光増感剤を含有する回路接続材料に関する。ここで、前記光増感剤は、前記導電粒子層には含有されず、前記接着剤層に含有されることが好ましい。
本発明の回路接続材料は、上記の構成及び構造により、光と光硬化性樹脂を用いた接続において、導通を迅速かつ良好に確保し、十分な樹脂の硬化が得られる。
また、本発明は、第一の回路電極を有する第一の回路部材と、第二の回路電極を有する第二の回路部材とが、上記回路接続材料のいずれかで接続されており、前記第一及び第二の回路部材の少なくともどちらか一方に金属配線又は金属電極を含む遮光性の部分を有する回路部材の接続構造体に関する。
また、本発明は、第一の回路電極を有する第一の回路部材と、第二の回路電極を有する第二の回路部材とが、上記回路接続材料のいずれかを介して前記第一の回路電極及び前記第二の回路電極が対向するように、配置する工程と、前記フィルム状回路接続材料に光照射と同時又は光照射後に熱をかけることで硬化させて、前記第一の回路部材と前記第二の回路部材とを接続する工程を備える、回路部材の接続構造体の製造方法に関する。
この回路部材の構成では、回路接続材料(以下、異方導電性接着剤とも表す)に熱を付与しながら第一の回路部材と第二回路部材とに積層方向の圧力を付与し、その後に回路接続材料(異方導電性接着剤)に光を照射してもよい。光増感剤を含むことにより光に対する感度が向上しているため、光硬化性樹脂を含む接着剤を良好に硬化させることができる。
また、第一の回路部材の回路(電極とも表す)と第二の回路部材の回路(電極)との間の間隔が導電粒子の径の1.5倍以下となるように回路(電極)同士を対向させることが好ましい。この場合、圧力の付与によって第一の回路部材の回路(電極)と第二の回路部材の回路(電極)との間で導電粒子が十分に捕捉され、良好な導通を実現できる。
また、第一の回路部材と第二の回路部材との積層方向から見て中央部分に位置する回路接続材料(異方導電性接着剤)が、熱及び圧力の付与によって流動を開始した後に回路接続材料(異方導電性接着剤)に光を照射することが好ましい。この場合、回路接続材料(異方導電性接着剤)を十分に流動させた後に回路接続材料(異方導電性接着剤)が硬化するので、導通を迅速かつ良好に確保できる。
また、熱及び圧力の付与から0.5秒以上経過した後に回路接続材料(異方導電性接着剤)に光を照射することが好ましい。この場合、回路接続材料(異方導電性接着剤)を十分に流動させた後に回路接続材料(異方導電性接着剤)が硬化するので、導通を良好に確保できる。
また、第一の回路部材及び第二の回路部材の少なくとも一方の基板に光透過性を有する部材を用いることが好ましい。こうすると、部材(基板)を通して回路接続材料(異方導電性接着剤)に光を簡便に照射できる。
また、熱および光を用いて圧着する際に用いる圧着ステージは石英やガラスなど光透過性を有する部材を用いることが好ましい。加熱されてもされなくても温度に特に制限はないが25℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましく、40℃以上がさらに好ましい。
本発明により、光と光硬化性樹脂を用いた接続において、導通を迅速かつ良好に確保し、十分な樹脂の硬化が得られる回路接続材料及び回路部材の接続構造体を提供することが可能となった。
また、本発明に係る回路部材の構成によれば、光を通さない回路が多く接続部材上に存在する場合であっても、遮光部分の反応が増感剤を含有しない回路接続材料と比べて向上し、例えば、ドライバICとの接着を良好に確保できるため接続信頼性の向上が図れる。
また、本発明に係る回路部材の構成によれば、光を通さない回路が多く接続部材上に存在する場合であっても、遮光部分の反応が増感剤を含有しない回路接続材料と比べて向上し、例えば、ドライバICとの接着を良好に確保できるため接続信頼性の向上が図れる。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る回路部材の接続方法の好適な実施形態について詳細に説明する。以下、回路接続材料は異方導電性接着剤とも表す。
図1は、本発明に係る回路部材の接続方法を適用して形成される接続構造体1の一例を示す断面図である。同図に示すように、接続構造体1は、互いに対向する第一の回路部材2と第二の回路部材3とを異方導電性接着剤層4によって接合することによって構成されている。
第一の回路部材2は、例えば、ICチップ、LSIチップ、抵抗体チップ、コンデンサチップ等といったチップ部品である。第一の回路部材2の本体部の形成材料には、例えば、シリコン等が用いられる。また、バンプ電極5の形成材料には、例えば、Au等が用いられる。バンプ電極5は、異方導電性接着剤層4に含有される導電粒子6よりも変形し易くなっていることが好ましい。
第二の回路部材3は、例えば、第一の回路部材2に電気的に接続される回路電極7を有する部材である。第二の回路部材3は、光透過性を有する基板である。基板としては、ガラス基板、ポリイミド基板、ポリエチレンテレフタラート基板、ポリカーボネート基板、ポリエチレンナフタレート基板、ガラス強化エポキシ基板、紙フェノール基板、セラミック基板、積層板が用いられる。これらの中でも、紫外光に対する透過性に優れるガラス基板、ポリエチレンテレフタラート基板、ポリカーボネート基板、ポリエチレンナフタレート基板を用いることが好ましい。
第二の回路部材3において、回路電極7の表面は、例えば、金、銀、錫、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金及びインジウム錫酸化物(ITO)から選ばれる1種或いは2種以上の材料で構成されている。
異方導電性接着剤層は、例えば、光硬化性成分を含有する接着剤成分、及び導電粒子6を含んで形成される。光硬化性成分としては、光硬化性を示す樹脂であれば特に限定されないが、例えば、アクリレート及びメタクリレート樹脂の光ラジカル発生剤による光ラジカル重合、エポキシ樹脂及びオキセタンに代表される環状エーテル化合物の光酸発生剤による光カチオン重合、光塩基発生剤による光アニオン重合等を使用できる。また、光ラジカル発生剤、光塩基発生剤及び光酸発生剤は、熱ラジカル発生剤、熱塩基発生剤及び熱酸発生剤と併用することもできる。
アクリレート及びメタクリレート樹脂としては、例えば、エポキシアクリレートオリゴマー、ウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエーテルアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー等の光重合性オリゴマー、トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリアルキレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールアクリレート等の光重合性多官能アクリレートモノマーのアクリル酸エステル、これらと類似したメタクリル酸エステル等に代表される光重合型の樹脂などが挙げられる。必要に応じてこれらの樹脂を単独あるいは混合して用いてもよい。接着剤硬化物の硬化収縮を抑制して柔軟性を与えるためには、ウレタンアクリレートオリゴマーを配合することが好ましい。また、前記光重合性オリゴマーは高粘度であるため、粘度調整のために低粘度の光重合性多官能アクリレートモノマー等のモノマーを配合することが好ましい。
上記環状エーテル化合物としては、例えば、エポキシ系樹脂オキセタン化合物等が挙げられる。エポキシ系樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ノボラック型、脂環式等の液状又は固形のエポキシ樹脂が挙げられる。特に、脂環式エポキシ樹脂を使用した場合、紫外線照射で硬化させるときの硬化速度を上げることが可能となる。
上記脂環式エポキシ樹脂としては、シクロヘキセンやシクロペンテン環含有化合物を酸化して得られるシクロヘキセンオキシドやシクロペンテンオキシド含有化合物が挙げられ、より具体的には、例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタジオキサン、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロエキシルカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ジシクロペンタジエンジエポキシド、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記オキセタン化合物としては、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、4,4´−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、1,4−ベンゼンジカルボン酸 ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)]メチルエステル、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン、オキセタニルシルセスキオキサン、フェノールノボラックオキセタン等が挙げられる。
上記光ラジカル発生剤としては、例えば、ベンゾインエチルエーテル、イソプロピルベンゾインエーテル等のベンゾインエーテル、ベンジル、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のベンジルケタール、ベンゾフェノン、アセトフェノン等のケトン類及びその誘導体、チオキサントン類、ビイミダゾール類などが挙げられる。これらの光開始剤に、必要に応じてアミン類、イオウ化合物、リン化合物等の増感剤を任意の比で添加してもよい。この際、用いる光源の波長、所望の硬化特性等に応じて最適な光ラジカル発生剤を選択することができる。
上記光塩基発生剤は、紫外線、可視光等の光照射によって分子構造が変化し、或いは分子内で開裂が起こることによって、速やかに1種類以上の塩基性物質又は塩基性物質に類似する物質を生成する化合物である。ここでいう塩基性物質は、1級アミン類、2級アミン類、3級アミン類、並びにこれらのアミン類が1分子中に2個以上存在するポリアミン類及びその誘導体、イミダゾール類、ピリジン類、モルホリン類及びその誘導体である。また、2種類以上の光照射によって塩基性物質を発生する化合物を併用してもよい。
また、本発明における光塩基発生剤としては、例えば、α−アミノアセトフェノン骨格を有する化合物が挙げられる。当該骨格を有する化合物は、分子中にベンゾインエーテル結合を有しているため、光照射によって分子内で容易に開裂し、これが塩基性物質として作用する。α−アミノアセトフェノン骨格を有する化合物の具体例としては、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン(チバスペシャリティケミカルズ社製:イルガキュア369)、4−(メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン(チバスペシャリティケミカルズ社製:イルガキュア907、「イルガキュア」は登録商標)等の市販の化合物、その溶液などが挙げられる。
本発明で使用する光酸発生剤は、主に180〜750nmの波長成分を含む活性光線の照射によりカチオン種を発生する化合物であれば、特に制限なく公知のものを使用することができる。具体的には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、ピリジニウム塩、セレノニウム塩等のオニウム塩、金属アレーン錯体、シラノール/アルミニウム錯体等の錯体化合物、ベンゾインシレート、o−ニトロベンジルトシレートなどが挙げられる。この中でも特に、芳香族スルホニウム塩または脂肪族スルホニウム塩等のスルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩に代表されるヨードニウム塩、鉄−アレーン錯体はカチオン種発生効率が高いため、好適である。また、これら光酸発生剤が塩構造である場合には、塩を形成する際の対アニオンとしてはヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロフォスフェネート、テトラフルオロボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が反応性の点で好適に用いられる。
また、上記光酸発生剤としては、光照射又は加熱によって有機酸を発生する化合物が挙げられる。具体的には、トリアリールシリルパーオキサイド誘導体、アシルシラン誘導体、α−スルホニロキシケトン誘導体、α−ヒドロキシメチルベンゾイン誘導体、ニトロベンジルエステル誘導体、α−スルホニルアセトフェノン誘導体が挙げられる。特に、光照射又は加熱時の酸発生効率の観点から、サンアプロ株式会社製CPIシリーズ、旭電化工業株式会社アデカオプトマーSPシリーズ、旭電化工業株式会社アデカオプトンCPシリーズ、UnionCArBiDe社製CyrACureUVIシリーズ、チバスペシャリティケミカルズ社製IrgACureシリーズを用いることが好ましい。
光ラジカル発生剤、光塩基発生剤及び光酸発生剤の配合量は、硬化性及び接着性の点から、接着剤組成物100質量部中、0.01質量部〜30質量部で配合することが好ましい。0.01質量部以上であれば、硬化性がより向上し、接着力より向上する傾向がある。また、30質量部以下であれば、低分子量成分が少なくなるため、硬化性成分の表面への染み出しが抑制され、接着力が向上する傾向がある。
接着剤層および導電粒子層に含まれる光増感剤は紫外線領域の波長で励起するものであれば特に制限はないが、400nm以下の波長、特に365nm付近の波長で励起するものが特に好ましい。代表的な例としては川崎化成工業株式会社製光カチオン増感剤「アントラキュアー」シリーズが挙げられる。
また、上述した光増感剤は、接着剤成分100質量部に対して、0.01〜10質量部添加するのが好ましく、0.03〜7質量部がより好ましく、0.05〜5質量部がさらに好ましい。
その他の成分としては、膜形成成分、シランカップリング剤等が挙げられる。膜形成樹脂としては特に制限はないが、例えば、フェノキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。これらのうち、単独でも複数組み合わせてもよいが、接続信頼性などの観点から少なくとも1種類はフェノキシ樹脂を含むことが好ましい。
上記フェノキシ樹脂はビスフェノールAとエピクロルヒドリンから合成されるものであり、合成したものを用いても市販品を用いてもよい。また、配合量は目的に応じて適宜選択することができる。シランカップリング剤としては特に制限はなく、エポキシ系、アクリル系、チオール系、アミン系等を目的に応じて適宜選択することが出来る。また、配合量も目的に応じて適宜選択することが出来る。
図1に示すように、接続構造体1において、導電粒子6は、僅かに扁平に変形しつつ、第一の回路部材2のバンプ電極5と第二の回路部材3の回路電極7とに食い込むようにしてバンプ電極5と回路電極7との間に介在している。これにより、第一の回路部材2のバンプ電極5と第二の回路部材3の回路電極7との間の電気的な接続が実現されると同時に、対向バンプ電極間の電気的な絶縁及び隣接回路電極間の電気的な絶縁が実現されている。
導電粒子としては、Au、Ag、Ni、Cu、はんだ等の金属粒子、カーボン粒子、ガラス、セラミック、プラスチック等の非導電粒子にAu、Ag、白金等の貴金属類を被覆した粒子などが挙げられる。金属粒子の場合には、表面の酸化を抑えるため、貴金属類で被覆してもよい。かかる粒子のなかで、プラスチックを核体としてAu、Ag等で被覆した粒子及び熱溶融金属粒子は、接続時の加熱加圧によって変形し易いため、バンプ電極及び回路電極の高さバラツキが吸収され、接触面積が増加して信頼性が向上するので好ましい。貴金属類の被覆層の厚さは、100Å以上、好ましくは300Å以上であれば、良好な接続が得られる。
また、導電粒子のめっき最外層の表面には、粒径が20nm〜500nm程度の絶縁微粒子が配置されていることが好ましい。絶縁微粒子は、有機化合物、無機酸化物のいずれであってもよく、両方を混合したものであってもよい。絶縁微粒子の粒径は、BET法による比表面積換算法、又はX線小角散乱法によって測定可能である。平均粒径が20nm以上であると、絶縁性微粒子が絶縁膜として良好に作用し、隣接回路電極間の短絡の発生がより抑制される傾向がある。一方、平均粒径が500nm以下であると、対向バンプ電極間でより良好な導電性が得られる傾向がある。
導電粒子の配合量は、導電粒子層の接着剤成分100体積%に対して20体積%以上であり、好ましくは25体積%以上であり、より好ましくは30体積%以上の範囲で適宜配合される。これにより、バンプ電極と回路電極との間に十分な数の導電粒子を介在させることができる。導電粒子の配合量の上限に特に制限はないが、120体積%以下であると、圧着した際の隣接回路電極間の短絡が生じにくく、好ましい。
上記膜形成成分や導電粒子を含む樹脂組成物をPET樹脂などで形成された離形フィルム上に塗布、乾燥することでフィルム状接着剤を得ることができる。その際に、導電性粒子を含まない層と、導電性粒子を含む層と、導電粒子を含まずに光反射性微粒子を含む層を貼りあわせることで異方導電性フィルムとする。異方導電性接着剤として機能する本発明の回路接続材料は、このような構成を有する異方導電性フィルムとして得られるが、本発明の回路接続材料はフィルム状に限定されず、ワニス状の異方導電性接着剤組成物の形で使用することもできる。
上記異方導電性フィルムの厚みは、例えば、2μm〜50μmであることが好ましく、その中で導電粒子含有層、接着剤層および光反射層の厚み構成としては特に制限なく適宜選択することができる。異方導電性フィルムの厚みが2μm以上であると、第一の回路部材2と第二の回路部材3との間の異方導電性フィルムの充填性がより良好となる傾向がある。一方、異方導電性フィルムの厚みが50μm以下であると、第一の回路部材2と第二の回路部材3との間の導通が良好となる傾向がある。
続いて、上述した接続構造体の形成に用いる回路部材の接続方法について説明する。加熱加圧と同時に光照射工程を備えるが、光の照射方向は異方導電フィルムに対して、光透過性基板側から照射する工程を備えていれば、特に制限はない。
例えば、図2に示すように、回路部材9と、光透過性を有する回路部材11とを、異方導電性接着剤(回路接続材料)10を介し、積層し、光透過性を有する回路部材11側を、光透過性を有する支持ステージ12上に、配置し、加熱押圧部材8により、加熱加圧し、さらに、光照射部13から光を照射し、接続構造体を作製する。
例えば、図2に示すように、回路部材9と、光透過性を有する回路部材11とを、異方導電性接着剤(回路接続材料)10を介し、積層し、光透過性を有する回路部材11側を、光透過性を有する支持ステージ12上に、配置し、加熱押圧部材8により、加熱加圧し、さらに、光照射部13から光を照射し、接続構造体を作製する。
光の種類に特に制限はないが、導電粒子含有層、接着剤層に含まれる光硬化性樹脂を硬化させやすい点で紫外線が好ましい。紫外線の波長に特に制限はないが、200〜400nmが好ましく、300〜400nmがさらに好ましい。紫外線を発する光源に特に制限はないが、LEDランプ、YAGレーザー、キセノンランプ、ハロゲンランプ、高圧水銀灯等が挙げられ、目的に応じて適宜選択することが出来る。
光を照射する工程と加熱および加圧する工程は、どちらを先に行ってもよいが、加熱および加圧する工程は光の照射を行う前に開始することが好ましい。前記の加熱および加圧する工程を行う処理は、特に制限はないが加熱押圧部材を用いて行うことが好ましい。例えば、加熱機構を有する押圧部材等が挙げられる。加熱機構を有する押圧部材としては、ヒートツール等が挙げられる。ヒートツールによる加熱温度に特に制限はないが、30℃〜120℃が好ましく、50℃〜100℃であることがさらに好ましい。加圧する際の圧力に制限はないが、0.1〜100MPaであることが好ましい。また、加熱および加圧の時間としては特に制限はないが、0.5〜100秒間であることが好ましい。
また、必要に応じて加熱および加圧する際に、光透過性基板を支持するステージを予め加熱しておくことも可能である。加熱する温度としては特に制限はないが、25〜120℃であることが好ましい。ステージの材質は、光透過性を有するのであれば特に制限はないが、例えば、ポリカーボネート、石英、石英ガラス、セラミック等が挙げられる。耐熱性、透明性の観点から石英ガラスを用いることが好ましい。
本発明の接続方法について説明する。図3は本発明の接続構造体の製造方法を説明するための概略図の一例である。まず、光透過性を有する回路部材21側の回路電極20に導電粒子18を含有する粒子層17が接するように異方導電性接着剤(回路接続材料)19を貼り付ける(図3の(a))。その貼り付けた異方導電性接着剤(回路接続材料)19において、導電粒子を含有せず光反射性微粒子(図示しない)を含有する光反射層16に接するようにバンプ電極15を有する回路部材14を配置する(図3の(b))。この時点では、まだ光透過性を有する回路部材21側の回路電極20と、回路部材14側のバンプ電極15は接続されていない。そして、前記回路部材14の上から加熱押圧部材(図示しない)を用いて、回路部材14に加熱および加圧を開始する(図3の(c))。このとき、同時に光透過性を有する回路部材21越しに、光源より異方導電性接着剤(回路接続材料)19へ光を照射することで、回路電極20とバンプ電極15が異方導電により接続される(図3の(d))。
以下に、本発明に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。また、異方導電性接着剤(回路接続材料)は、異方導電性フィルムを例として示す。
(実施例1〜3)
エポキシ化合物として脂環式エポキシ樹脂(株式会社ダイセル製、セロキサイド2021P、製品名)、光カチオン発生剤としてスルホニウム塩(BASF社製、Irgacure290)、ポリマとしてフェノキシ樹脂と高分子量エポキシ(三菱化学株式会社製、jER1010、商品名)、無機フィラーとしてシリカ微粒子(アドマテックス社製、フェニル基含有シラン表面処理球状シリカ、平均粒子径0.050μm)を用いて混合ワニスを作製した。また導電粒子として、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)を核とする粒子の表面に、ニッケル層を設けた導電粒子を作製し、前記ニッケル層の表面にニッケル突起を形成した粒子を作製して樹脂中に前記導電粒子を50体積%配合分散させ、混合ワニスを作製した。前記混合ワニスを厚み50μmのフッ素樹脂フィルムに塗工装置を用いて塗布し、70℃、5分の熱風乾燥によって厚みが5μmの導電粒子を含有する粒子層(A)を得た。
エポキシ化合物として脂環式エポキシ樹脂(株式会社ダイセル製、セロキサイド2021P、製品名)、光カチオン発生剤としてスルホニウム塩(BASF社製、Irgacure290)、ポリマとしてフェノキシ樹脂と高分子量エポキシ(三菱化学株式会社製、jER1010、商品名)、無機フィラーとしてシリカ微粒子(アドマテックス社製、フェニル基含有シラン表面処理球状シリカ、平均粒子径0.050μm)を用いて混合ワニスを作製した。また導電粒子として、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)を核とする粒子の表面に、ニッケル層を設けた導電粒子を作製し、前記ニッケル層の表面にニッケル突起を形成した粒子を作製して樹脂中に前記導電粒子を50体積%配合分散させ、混合ワニスを作製した。前記混合ワニスを厚み50μmのフッ素樹脂フィルムに塗工装置を用いて塗布し、70℃、5分の熱風乾燥によって厚みが5μmの導電粒子を含有する粒子層(A)を得た。
エポキシ化合物として脂環式エポキシ樹脂(株式会社ダイセル製、セロキサイド2021P、製品名)、光カチオン発生剤としてスルホニウム塩(BASF社製、Irgacure290)、ポリマとしてフェノキシ樹脂、無機フィラーとしてシリカ微粒子(アドマテックス社製、フェニル基含有シラン表面処理球状シリカ、平均粒子径0.050μm)を用いて混合ワニスを作製した。このワニスを厚み50μmのフッ素樹脂フィルムに塗工装置を用いて塗布し、70℃、5分の熱風乾燥によって厚みが14μmの導電粒子を含有しない接着剤層(B)を得た。
粒子層(A)と同様の樹脂組成であり、さらに光カチオン増感剤(川崎化成工業株式会社製、アントラキュアーUVS-1331)を1体積%配合分散させた混合ワニスを作製した。このワニスを厚み50μmのフッ素樹脂フィルムに塗工装置を用いて塗布し、70℃、5分の熱風乾燥によって厚みが5μmの粒子層(C)を得た。
接着剤層(B)と同様の樹脂組成であり、粒子層(C)と同様の光カチオン増感剤をさらに1体積%配合分散させた混合ワニスを作製した。このワニスを厚み50μmのフッ素樹脂フィルムに塗工装置を用いて塗布し、70℃、5分の熱風乾燥によって厚みが14μmの導電粒子を含有しない接着剤層(D)を得た。
増感剤を含有する粒子層(C)と、増感剤を含有する接着剤層(D)を(C)→(D)の順に50℃に加温しながらラミネーターを通して貼り合わせることで得られる二層構成の異方導電性フィルム(i)を実施例1とする。
増感剤を含有しない粒子層(A)と、増感剤を含有する接着剤層(D)を(A)→(D)の順に50℃に加温しながらラミネーターを通して貼り合わせることで得られる二層構成の異方導電性フィルム(ii)を実施例2とする。
増感剤を含有する粒子層(C)と、増感剤を含有しない接着剤層(B)を(C)→(B)の順に50℃に加温しながらラミネーターを通して貼り合わせることで得られる二層構成の異方導電性フィルム(iii)を実施例3とする。
(比較例1)
得られた増感剤を含有しない粒子層(A)と、増感剤を含有しない接着剤層(B)を、(A)→(B)の順に50℃に加温しながらラミネーターを通して貼り合わせることで、二層構成の異方導電性フィルム(iv)を得た。
得られた増感剤を含有しない粒子層(A)と、増感剤を含有しない接着剤層(B)を、(A)→(B)の順に50℃に加温しながらラミネーターを通して貼り合わせることで、二層構成の異方導電性フィルム(iv)を得た。
(評価方法)
ガラス基板上に蒸着された金属配線に対して異方導電フィルムの貼り付け例の模式図を図4に示した。図4の基板は、2mm×3mmの大きさの金属パッドと前記金属パッドと繋がる幅0.5mmの金属配線が繰り返し並ぶパターン有している。
ガラス基板上に蒸着された金属配線に対して異方導電フィルムの貼り付け例の模式図を図4に示した。図4の基板は、2mm×3mmの大きさの金属パッドと前記金属パッドと繋がる幅0.5mmの金属配線が繰り返し並ぶパターン有している。
上記製法で得られた異方導電性フィルム(i)〜(iv)を、図5に示すように、5mm×25mmの大きさで切り出して貼り付けた。なお、異方導電フィルム(i)〜(iv)を貼り付ける場合は導電粒子を含有する粒子層側のフッ素樹脂フィルムを剥がしながら、基板の配線(回路)面に、貼り付けた。
この異方導電性フィルム(i)〜(iv)を貼り付けた基板(1)を、熱圧着装置(芝浦メカトロニクス製)を用いてフッ素樹脂フィルムの上から100℃で5秒間の加熱加圧と同時にステージ下方より500mJ/cm2(125mW/cm2×4秒)の紫外線照射を行い、評価用の基板を作製した。
評価用の基板の金属パッド及び金属配線部上の異方導電性フィルム(i)〜(iv)には下方より照射された光が直接当たらない状態となる。そのため、前記方法で作製した評価用の基板の金属配線中央部に存在する硬化物の反応率を測定することで本発明の構成を用いることによる光の当たらない遮光部分(以下、遮光部とも表現する)の反応性向上の効果を確認した。
遮光部の反応性の確認は、図4に示す基板における遮光部分中央の異方導電性フィルム硬化物を、FT−IR(BIO-RAD社製)を用いてエポキシの転化率を求めることにより行った。測定は3回行い、それらの平均値をエポキシ転化率とした。FT−IRの測定は、図6に示す測定範囲について行った。
FT−IRの測定結果より、図4に示す基板において、比較例1の異方導電性フィルム(iv)では遮光部中央の平均のエポキシ転化率が10.1%であった。それに対し、本発明の実施例1[異方導電性フィルム(i)]、実施例2[異方導電性フィルム(ii)]及び実施3[異方導電性フィルム(iii)]は、エポキシ転化率がそれぞれ37.6%、48.8%、及び34.3%と、比較例1に比べて大きくなり、反応性の向上が見られた。これらの実施例の中で、実施例2のエポキシ転化率が最も高かった。したがって、本発明において最も高い効果が得られるのは、光増感剤を含有しない粒子層(A)と、光増感剤を含有する接着剤層(D)との組合せを有する二層構成の異方性導電フィルム(ii)であることが分かる。
以上のように、本発明の回路接続材料は光増感剤を含有することにより、光と光硬化性樹脂を用いた接続において、導通を迅速かつ良好に確保し、十分な樹脂の硬化を得ることができる。また、本発明の回路接続材料を用いて形成される回路部材の接続構造体は、光を通さない回路が多く接続部材上に存在する場合であっても、遮光部分の反応が増感剤を有しない回路接続材料と比べて向上する。それにより、例えば、ドライバICとの接着を良好に確保できるため接続信頼性の向上を図ることができる。
1…接続構造体、2…第一の回路部材、3…第二の回路部材、4…異方導電性接着剤層、5…バンプ電極、6…導電粒子、7…回路電極、8…加熱押圧部材、9…回路部材、10…異方導電性接着剤(回路接続材料)、11…光透過性を有する回路部材、12…支持ステージ、13…光照射部、14…回路部材、15…バンプ電極、16…光反射層、17…粒子層、18…導電粒子、19…異方導電性接着剤(回路接続材料)、20…回路電極、21…光透過性を有する回路部材。
Claims (9)
- 第一の回路電極を有する第一の回路部材と第二の回路電極を有する第二の回路部材との接続のための回路接続材料であって、前記回路接続材料が光増感剤を含有する回路接続材料。
- 前記回路接続材料が、エポキシ樹脂およびカチオン重合開始剤を含む請求項1記載の回路接続材料。
- 前記光増感剤が、400nm以下の波長をもつUV光を吸収する化合物である請求項1又は2に記載の回路接続材料。
- 前記UV光を吸収する化合物が、400nm以下の波長をもつ光を吸収するアントラセン環を有する化合物である請求項3に記載のフィルム状回路接続材料。
- 前記回路接続材料が、導電粒子を含有する導電粒子層と導電粒子を含有しない接着剤層とを有するフィルム状の回路接続材料であって、前記導電粒子層及び前記接着剤の少なくとも一方に、前記光増感剤を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の回路接続材料。
- 前記光増感剤が、前記導電粒子層には含有されず、前記接着剤層に含有される請求項5に記載の回路接続材料。
- 第一の回路電極を有する第一の回路部材と、第二の回路電極を有する第二の回路部材とが、請求項1〜6のいずれか一項に記載の回路接続材料で接続されており、前記第一及び第二の回路部材の少なくともどちらか一方に金属配線又は金属電極を含む遮光性の部分を有する回路部材の接続構造体。
- 第一の回路電極を有する第一の回路部材と、第二の回路電極を有する第二の回路部材とを、前記回路接続材料を介して前記第一の回路電極及び前記第二の回路電極が対向するように配置する工程と、前記フィルム状回路接続材料に光照射と同時又は光照射後に熱をかけることで硬化させて、前記第一の回路部材と前記第二の回路部材とを接続する工程を備える、請求項7に記載の回路部材の接続構造体の製造方法。
- 前記第一の回路部材が半導体チップで、前記第二の回路部材が透光性を有する基板であり、前記回路接続材料として、導電粒子を含有する導電粒子層と導電粒子を含有しない接着剤層とを有するフィルム状の回路接続材料を用いて、前記接着剤層側に前記第一の回路部材が位置するように前記フィルム状の回路接続材料を配置する請求項7又は8に記載の回路部材の接続構造体の製造方法。
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