JP2017088607A - フルフリルメタクリレートの精製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フルフリルメタクリレートを安全・安価・簡便に製造する方法を提供する。【解決手段】フルフリルアルコールと、メタクリル酸エステルを出発原料とするエステル交換反応において、エステル交換触媒および電子不足オレフィン化合物を使用することを特徴とし、さらに蒸留塔を使用することにより、反応時は副生するアルコールの効率的な除去による反応促進を可能とし、蒸留時は不純物の効率的な除去を可能とし、高純度なフルフリルメタクリレートを簡便に得ることを特徴とする製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、エステル交換触媒と、フルフリルアルコールと、メタクリル酸エステルを出発原料とし、エステル交換反応によりフルフリルメタクリレートを製造する方法に関する。
フルフリルメタクリレートはフラン環を有するメタクリレート化合物であり、フラン環の化学を利用したユニークな利用法が挙げられる(特許文献1,非特許文献1)。しかしがながら、商業的にリーズナブルな価格での入手は難しく、工業的な利用が遅れている。
商業的にリーズナブルな価格での入手が難しい理由としては、汎用のアクリルエステル類の合成に最も用いられている、酸触媒を用いるアルコールとアクリル酸との脱水縮合によるエステル化反応、あるいは酸触媒を用いるアルコールとアクリル酸エステルとのエステル交換反応などの、安価に製造可能な方法を、フルフリルメタクリレートの合成に適応することができないからである。なぜなら、フルフリルアルコールは酸の作用により、自己縮合反応を引き起こしてしまうためであり、それはエステル交換反応よりも優先するため、目的物を得ることができないためである(非特許文献2)。
この問題を解決する数少ない方法として、塩基触媒を使用するエステル交換反応が報告されている(特許文献2、非特許文献2)。いずれの場合においても、塩基触媒としてナトリウムメトキシドを使用しており、他の塩基触媒を用いた報告はほとんどない。ナトリウムメトキシドは非常に活性な試薬であり、窒素や水分が厳密に管理された条件下で使用しないと触媒失活(反応停止)が起きてしまう。失活が起きた場合、さらに触媒を追加することで対応は可能であるが、高温状態での添加は非常に危険であり、一度室温以下に下げる必要がある。冷却時間・再加熱時間の観点から、フラスコサイズが上がるほど操作面に問題がでてくる。さらにこのような活性な試薬を加熱条件下で長時間反応させることは、安全面においても不安がある。また、ナトリウムメトキシドを使用した場合、反応停止後に水などを用いてクエンチする必要があり、さらに回収率向上を考えた場合に溶剤による抽出操作などが必要になってくる。しかしながら、塩基由来の残渣が不溶物となり、こうした分液操作の妨害を引き起こす問題がある。さらに溶剤を使用した場合、最終製品形態によっては除去する必要があるが、その場合には、相応の機器設備(実験室レベルではエバポレーターなど)が必要である。ゆえに、ナトリウムメトキシドを用いるフルフリルメタクリレートを用いる方法は、安全性、安定性や簡便性の観点で問題がある。
一方、公知のエステル交換触媒を用いた一般的なアクリル酸エステルの合成法については、特許文献3にまとめられているような数々の触媒が知られているが、これらをフルフリルメタクリレートの合成に使用した報告例がほとんどない。これは本発明実施例でも証明されているように、これらの触媒では、フルフリルアルコールをアクリル酸エステルと反応させるには不十分であるためである。すなわち、フルフリルアルコールはエステル交換反応に対する活性が非常に低いことも、合成法の制限を招いており、安価な入手を妨げている要因である。
また一方で、上記文献に記載されていない触媒として、環状アミジン化合物を用いるエステル交換反応が、アクリル酸エステルの合成方法としてわずかに報告されている(特許文献4、実施例 表2)。しかし、イミダゾール環という特殊な骨格を有するアルコールを出発原料とするエステル交換反応についての合成例しかなく、さらにその反応率は悪いことから、他のアルコールを用いた場合のアクリル酸エステルの合成に有効であるとは言えない(基質一般性がない)。さらにフルフリルメタクリレートの製造においては、上記一般触媒と同様に、環状アミジン化合物をエステル交換触媒として使用した報告例がない。
したがって、フルフリルメタクリレートを、安全、安定、安価、簡便に製造する方法が求められている。
特開2008−56888号公報 欧州特許出願公開第0646567号明細書 特開2000−16966号公報 特開2010−529948号公報
Macromolecular Chemistry and Physics (2007), 208(23), 2569-2577 Anales de quimica, 1992, 88(3), 294−296 河東準,岡田功、「新版 蒸留の理論と計算」、第2版第4刷、工学図書株式会社、1981年、p410−489
本発明の目的は、上記の諸問題を鑑みてなされたものであり、すなわちフルフリルメタクリレートを安全、安定、安価、簡便に製造する方法を提供することである。
本発明者らは、上記の諸問題点を考慮し解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。すなわち、本発明は、エステル交換触媒(B)と、電子不足オレフィン化合物(下記メタクリル酸エステル(A)を除く)(C)との存在下で、フルフリルアルコールと、メタクリル酸エステル(A)とを反応させることを特徴とするフルフリルメタクリレートの製造方法に関する。
また、本発明は、エステル交換触媒(B)の存在下で、フルフリルアルコールと、メタクリル酸エステル(A)とを反応させることを特徴とするフルフリルメタクリレートの製造方法であって、エステル交換触媒(B)が環状アミジン化合物であることを特徴とするフルフリルメタクリレートの製造方法に関する。
さらに、エステル交換触媒(B)が環状アミジン化合物である上記フルフリルメタクリレートの製造方法に関する。
さらに、電子不足オレフィン化合物(C)が、マレイミド化合物である上記フルフリルメタクリレートの製造方法に関する。
さらに、メタクリル酸エステル(A)が、メタクリル酸メチルである上記フルフリルメタクリレートの製造方法に関する。
さらに、前記エステル交換反応において副生するアルコールと、アクリル酸エステルの混合物を流出させる際に、蒸留塔設備を使用し、さらにその登頂温度を60℃〜80℃の範囲で実施することを特徴とする上記フルフリルメタクリレートの製造方法に関する。
さらに、エステル交換反応完了後に、連続的に減圧蒸留することによる精製工程を有する上記フルフリルメタクリレートの製造方法に関する。
さらに、上記記載の製造方法で得られたフルフリルメタクリレートに関する。
本発明のフルフリルメタクリレートの製造方法は、フルフリルアルコールとメタクリル酸エステルを出発原料とするエステル交換反応において、エステル交換触媒と併用して、電子吸引性化合物を用いることを特徴としており、反応性が飛躍的に向上した結果、従来できなかった、安全、安定、安価、簡便にフルフリルメタクリレートを製造することを可能とする。また、さらにエステル交換触媒として環状アミジン化合物を使用することも特徴としており、2つの組み合わせの相乗効果により、さらに安全、安定、安価、簡便に優れた製造を可能とする。また本発明のフルフリルメタクリレートを使用することにより、成形樹脂、注型樹脂、光造形用樹脂、封止剤、歯科用重合レジン、印刷インキ、印刷ニス、インクジェットインキ、塗料、印刷版用感光性樹脂、印刷用カラープルーフ、カラーフィルター用レジスト、ブラックマトリクス用レジスト、液晶用フォトスペーサー、リアプロジェクション用スクリーン材料、光ファイバー、プラズマディスプレー用リブ材、ドライフィルムレジスト、プリント基板用レジスト、ソルダーレジスト、半導体用フォトレジスト、マイクロエレクトロニクス用レジスト、マイクロマシン用部品製造用レジスト、エッチングレジスト、マイクロレンズアレー、絶縁材、ホログラム材料、光学スイッチ、導波路用材料、オーバーコート剤、粉末コーティング、接着剤、粘着剤、離型剤、光記録媒体、粘接着剤、剥離コート剤等の分野において実用的なオリゴマーやポリマーを工業的に提供し、良好な特性を持った硬化物を得るための重合性組成物を提供することができる。
図1は蒸留塔装置を使用した場合の反応装置全景である。 図2はディーンスターク装置(管)を使用した場合の反応装置全景である。 図3はソックスレー抽出装置(管)を使用した場合の反応装置全景である。
以下、詳細にわたって本発明の実施形態を説明する。
まず初めに、本発明のフルフリルメタクリレートの製造方法は、エステル交換触媒(B)と、電子不足オレフィン化合物(下記メタクリル酸エステル(A)を除く)(C)との存在下で、フルフリルアルコールと、メタクリル酸エステル(A)とを反応させることを特徴とする。
本発明にも用いるフルフリルアルコールの純度は、反応や最終形態のフルフリルメタクリレートに悪影響を及ぼさない限り、特に制限はされないが、一般的な観点から、純度として80%以上が好ましく、より好ましくは90%であり、さらにより好ましくは95%以上である。
メタクリル酸エステル(A)としては、脂肪族のエステルが挙げられ、より具体的には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヘキシルなどが挙げられるが、これらに限定されるものでない。
また、エステル交換反応に対する反応活性の観点や、副生するアルコールの除去容易性(多くはメタクリル酸エステルと混合物を形成する)の観点からは、低級アルコールを副生する脂肪族のメタクリル酸(低級アルコール)エステルが好ましい。具体的には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
さらに、フルフリルアルコールとの反応性や、副生するアルコールとの混合物除去容易性(温度による重合リスク)などの観点からメタクリル酸メチルが最も好ましい。
本発明に使用されるメタクリル酸エステルは、反応原料であると共に反応溶媒としての使用も兼ねることが可能である。
メタクリル酸エステルの使用量としては、特に制限はないが、フルフリルアルコールに対してやや過剰に用いることが、反応促進やコストの観点から望ましい。その使用量としては、フルフリルアルコール100重量部に対して1〜3000重量部が好ましく、より好ましくはフルフリルアルコール100重量部に対して50〜1000重量部であり、さらに好ましくはフルフリルアルコール100重量部に対して100〜500重量部である。
エステル交換触媒(B)としては、中性〜塩基性のエステル交換触媒が使用可能であり、より具体的には、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化鉛、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の酸化物;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化タリウム、水酸化スズ、水酸化鉛、水酸化ニッケル等の水酸化物;塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化スズ、塩化鉛、塩化ジルコニウム、塩化ニッケル等のハロゲン化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸鉛、炭酸亜鉛、炭酸ニッケル等の炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウム等の炭酸水素塩;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ルビジウム、リン酸鉛、リン酸亜鉛、リン酸ニッケル等のリン酸塩;硝酸リチウム、硝酸カルシウム、硝酸鉛、硝酸亜鉛、硝酸ニッケル等の硝酸塩;酢酸ナトリウム、酢酸リチウム、酢酸カルシウム、酢酸鉛、酢酸亜鉛、酢酸ニッケル等のカルボン酸塩;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド、カルシウムメトキシド、カルシウムエトキシド、バリウムメトキシド、バリウムエトキシド、アルミニウムメトキシド、スズメトキシド、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラ(2−エチルヘキサノキシ)チタン等のアルコキシ化合物;リチウムアセチルアセトナート、ジルコニアアセチルアセトナート、亜鉛アセチルアセトナート、ジブトキシスズアセチルアセトナート、ジブトキシチタンアセチルアセトナート等のアセチルアセトナート錯体;テトラメチルアンモニウムメトキシド、テトラメチルアンモニウムt−ブトキシド、トリメチルベンジルアンモニウムエトキシド等の4級アンモニウムアルコキシド;ジメチルスズオキサイド、メチルブチルスズオキサイド、ジイソプロピルスズオキサイド、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド等のジアルキルスズ化合物;ビス(ジブチルスズアセテート)オキサイド、ビス(ジブチルスズラウレート)オキサイド等のジスタノキサン;ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート等のジアルキルスズジカルボン酸塩が挙げられる。
その他に、特開昭50−19716、特開昭53−144523、特開昭55−27118、特開昭56−77242、特開昭57−93930、特開昭62−185051、特開昭63−5054、特開昭63−5055、特開平2−104559、特開平2−193944、特開平6−293702、特開2001−163831、特開2001−321675、Ger Offene 2319688、USP 3686268,特開平1−258642、特開昭53−141213、特開昭53−105417、USP 4202990、特開昭52−111512 記載のエステル交換触媒も使用可能である。
このうち、スズ系触媒、チタン系触媒が反応性などの観点から好ましい。
これらエステル交換触媒(B)は、後述する電子不足オレフィン化合物(C)との併用により、フルフリルメタクリレートを合成するのに十分な反応活性を示す。
また、環状アミジン化合物も本発明のエステル交換触媒として使用可能であり、これらは単独で十分な反応活性を示す。環状アミジン化合物としては、アミジン構造をその構造中に含む1〜6環性の化合物であるが、原料入手の観点から、好ましくは2環性の環状アミジン化合物であり、より具体的には、下記一般式(1)で表される化合物であるが、本発明に限定されるものではない。
一般式(1)
Figure 2017088607
式中、R1〜R10は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アシル基を表す。
nまたはmはそれぞれ独立に1〜5の整数である。
ここで、R1〜R10が、すべて水素原子であることが、原料入手の観点やエステル交換触媒としての反応性の観点から望ましい。
さらに原料入手の観点やエステル交換触媒としての反応性の観点から、環状アミジン化合物として、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ−7−セン(略称:DBU)、または1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノ−7−ネン(略称:DBN)が特に好ましい。
以上述べた環状アミジン化合物の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2017088607
本発明で証明されているように、環状アミジン化合物をエステル交換触媒(B)として用いた場合、単独でも十分に反応が進行するが、後述する電子不足オレフィン化合物(C)を併用することにより、さらに反応を促進することができる。したがって、エステル交換触媒(B)において、環状アミジン化合物を使用することがより好ましい
これら、エステル交換触媒(B)は、単独でも、あるいは2種以上を併用してもよい。その使用量は、フルフリルアルコール100重量部に対して、0.1〜50重量部であり、より好ましくは1〜30重量部である。
次に、電子不足オレフィン化合物(C)と、その役割を説明する。電子不足オレフィン化合物(C)を使用することは本発明の中でも大きな特徴である。
電子不足オレフィン化合物(C)とは、求電子性の置換基が、少なくとも1つ置換したアルケン構造を、分子内に少なくとも一つ以上有する化合物示す。求電子性の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
電子不足オレフィン化合物(C)として、より具体的には、下記に示す構造が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
Figure 2017088607
Figure 2017088607
反応面、原料合成・入手面などの観点から、電子不足オレフィン化合物(C)として、マレイミド化合物がより好ましい。
次に電子不足オレフィン化合物(C)の作用機構について説明する。前述したとおり、フルフリルアルコールが有する水酸基は、エステル交換反応に対する活性が低く、エステル交換触媒(B)を用いただけでは、十分に反応が進行しない。
そこで、本発明では、フルフリルアルコールが有するフラン基が、電子不足オレフィン化合物類とディールスアルダー反応することを利用し、水酸基の反応性を向上させている。
ここで、ディースルアルダー反応とは、共役ジエン化合物とオレフィン化合物が[4+2]付加環化反応して6員環化合物を形成する反応であり、形式的には下記に示すような反
応である。
Figure 2017088607
この反応は、熱的に進行することと、可逆性があることが特徴である。一般的には、電子豊富な共役ジエン化合物と電子不足オレフィン化合物との組み合わせが、反応が進行しやすい組み合わせとされる。本発明においては、フルフリルアルコールのフランは、共役ジエン化合物に相当する。
より詳細な作用機構としては、以下に示すように、電子不足オレフィン化合物(C)を併用することにより、反応活性の低いフルフリルアルコールが、反応系中でディールスアルダー反応することにより、反応活性の高いアルコール化合物へと変換されるため、エステル交換反応が速やかに進行する。さらにディールスアルダー反応は可逆性があるため、逆ディールスアルダー反応することにより、フルフリルメタクリレートが生成するとともに、電子不足オレフィン化合物(C)が再生される。電子不足オレフィン化合物(C)は、未反応のフルフリルアルコールと再度ディールスアルダー反応することにより、本発明の反応活性サイクルが継続される。
Figure 2017088607
本発明に使用される電子不足オレフィン化合物(C)の使用量としては、特に制限はないが、前述したように触媒的に作用するため、過剰量は必要としない。その使用量は、フルフリルアルコール100重量部に対して、0.1〜50重量部であり、より好ましくは0.4〜30重量部である。
また、電子不足オレフィン(C)のさらなる併用効果として、長時間反応におけるゲル化(高分子量成分)反応や着色の抑制効果が挙げられる。
本反応はエステル交換反応であるため、平衡反応である。反応を進行(完結)するためには、副生するアルコールを除去する必要がある。多くの場合において、副生するアルコールと原料であるメタクリル酸エステルの相対揮発度が小さく、共沸点を持つ。そのため反応系中から選択的に副生アルコールを除くことは技術的難易度が存在する。メタクリル酸エステルは反応原料であるため、留出により反応に必要な量がまかなえない場合、当然反応が進行しない要因となりうる。
副生するアルコールとメタクリル酸エステルの混合物の除去方法としては、主に以下の3つの方法が挙げられる。
第1の方法として、ディーンスターク管や単蒸留管(工業化では相当する設備を用意する)を取り付け、発生する混合物蒸気をすべて凝縮しながら液体混合物として副生アルコールを除去する方法。
第2の方法として、ソックスレー抽出器(工業化では相当する設備を用意する)を取り付け、混合物の凝縮液が、副生するアルコールを吸着できる吸着剤を通過して、反応容器に返還されることより、メタクリル酸エステルの留出を抑えながら、副生アルコールを除去する方法。
第3の方法として、蒸留塔(理論段数を有する)を取り付け、還流比を適切にコントロールすることにより、留出液中の副生アルコール比率を高めることにより、メタクリル酸エステルの留出を極力抑えながら、副生アルコールを除去する方法。
ここで、第1の方法は、発生した副生アルコールは確実に反応系から除去することが可能であるが、課題としては、混合物としてのメタクリル酸エステルの留出量が非常に大きいことである。前述した通り、反応に必要な分まで系外に排出された場合、反応が進行しなくなってしまうため、メタクリル酸エステルを追加する必要がある。このような方法はコスト面から望ましくない。回収された混合物より、水洗や吸着などの方法を用いてメタクリル酸エステルを回収・再利用することも考えられるが、非常に手間を要する。
ここで、第2の方法は、第1の方法で課題であったメタクリル酸エステルの留出は構造上ほとんどない。しかしながら、副生するアルコールを吸着する吸着剤の選択が必要である。例えばメタクリル酸メチルやメタクリル酸エチルなどをメタクリル酸エステルに用いた場合に、副生するメタノールやエタノールなどの低級アルコールであれば、モレキュラーシーブスなどの吸着剤が有効である。しかしながら、吸着量は決して大きくなく、必要に応じて吸着剤の取り換えが必要であり、吸着剤自体のコストが嵩む場合がある。また、低級アルコール以外のアルコールを効率的に吸着できる吸着剤は少なく、手法として幅が狭い。さらに、ソックススレー抽出器内の液体の循環のために過剰のメタクリル酸エステルを使用しなければならない。第3成分として他の溶媒を用いることも考えらえるが、溶媒自体のコストがかかることや後述するように、本発明の反応において他の溶媒効果はほとんどなく、むしろ反応促進を阻害する傾向にある。したがってアクリル酸エステルの留出は抑制できても使用量自体は下げられないため、第1の方法よりもデメリットが大きい。
第3の方法は、メタクリル酸エステルの留出は避けられないが、その留出量を極力抑えながら、副生するアルコールを確実に除去していく現実的な方法であり、本発明においても、この方法を選択することが好ましい。また同様の手法としては、特開平11−106369、特開2001−172234、特開2001−172235、特開2004−189650、特開2005−239564、特開2006−315960、特開2008−120698、特開2009−167107、特開2011−063531、特開2014−043414などにも記載されている。
この方法における蒸留塔についてさらに詳細を述べる。図1に示すように、典型的な装置としては、反応上部に蒸留塔(精留部位)があり、その上にさらに還流比制御部位および冷却部位(コンデンサー)が取り付けられたものである。これらすべてを含めて蒸留塔とも言う。
精留部位においては、棚段塔と充填塔が主な方法として挙げられる。いずれに方法おいても、構造上蒸気と凝縮液の気液接触が十分に行われることにより、混合物成分の分離を高めることが可能である。したがって、理論的に同様の作用機構で分離が可能であれば、上記2方式に限定されることなく選択することが可能であるが、その理論段数は少なくとも3以上のものが好ましい。
棚段塔は、塔内に水平な棚段をいくつも設置して区切られたタイプの精留塔である。棚段には、棚段に細かい多数の穴が存在している多孔板(トレイ)塔と、さらにその穴にキャップを取り付けられた泡鐘(トレイ)塔などが主に挙げれれる。その他にもバルブトレイ、ジェットトレイ、ターボグリッドトレイ、リップルトレイ、デュアルフロートレイ、キッテルトレイ、パッフルトレイ等さまざまな棚段塔が挙げられる(河東準,岡田功、「新版 蒸留の理論と計算」、第2版第4刷、工学図書株式会社、1981年、p410−489参照)が、これらに限定されるものではない。
充填式は、中空の精留塔内に充填物を入れ、その表面で気液接触を行うタイプの精留塔である。
用いられる充填物としては、レッシングリング、ラシヒリング、ベルルサドル、シンターロックサドル、テラレットパッキング、ディクソンパッキン、マクマホンパッキング、カスケードミニリング、キャノン、ポールリング、ボールリング、スルザーパッキング、メラパック、ジェムパック、テクノパック、モンツパック、グリッチグリッド、フレキシグリッド、スナップグリッド、パーフォームグリッドなどさまざまな充填物が挙げられる(河東準,岡田功、「新版 蒸留の理論と計算」、第2版第4刷、工学図書株式会社、1981年、p410−489参照)が、これらに限定されるものではない。
実験室レベルでは、蒸留塔(精留塔)部位に、ビグリュー管、ウィットマー(管)、シュナイダー(管)、ヘンペル(管)、あるいはオールダーショウ装置(棚段塔に分類される)などを用いても良いが、これらに限定されるものではない。
還流比制御部位では、手動または自動の弁などを用いて、コンデンサーで凝縮された液を適切な比率で留出および還流させることにより、還流比を制御する役割を担う。ここで還流比(R)とは、留出量をD[mol]とし、留出されず還流として塔頂へ戻される液量(還流量)をL[mol]とするとき、R=L/Dで定義される。還流比制御方法として、パーシャルコンデンサー等を用いて、塔頂到達蒸気の一部を凝縮(液化)することで凝縮液を還流し、パーシャルコンデンサーにて液化されなかった蒸気を別ライン上のコンデンサーにより液化させ留出させる方法も工業的にはよく用いられる。
冷却部位(コンデンサー)は、凝縮器とも呼ばれ、その役割は蒸発物を冷却し、液体へと凝縮させることである。コンデンサーの最も簡便な構造は、リービッヒ冷却器のように筒が2重になった構造で、外側の筒に適当な冷媒(空気、水(不凍液)、オイルなど)を流すことにより、筒内部に存在する蒸気を凝縮する。逆に冷却液の入った冷却効率を高めるため、その形状は様々な工夫がなされる。例えば、ジムロート冷却器のように、筒の内部に、冷却液の通る細管を巡らせることにより冷却効率を高めることが可能である。
実験室レベルでは、その他に、ジムロート冷却器、アリーン冷却器、グラハム冷却器などを使用することができるがこれらに限定されるものではない。
第3の方法を効果的に実施するために、塔頂温度のコントロールが重要である。塔頂温度とは、蒸留塔上部における蒸気温度を示す。この温度は、本発明においては、混合物蒸気(副生アルコールとメタクリル酸エステル)の組成によって決まった値を示す。よって還流比を制御することにより、塔頂温度をコントロールが可能であり、これを利用してある一定の組成の留出液(凝縮液)として系外へ取り除くことが可能である。
本発明においては、副生アルコールの組成比が多くなるような塔頂温度にコントロールする必要がある。この温度は用いるメタクリル酸エステルによって決まるが、傾向としては、副生するアルコールの沸点が高い程、塔頂温度も上がる。
ここで、本発明はメタクリル酸エステルを用いているため、蒸気の気相重合の危険性が存在する。温度が高い程重合のリスクが高まるため、脂肪族のメタクリル酸エステルが好ましく、最も好ましくはメタクリル酸メチルである。
メタクリル酸メチル(沸点100℃)を用いた場合、副生するアルコールはメタノール(沸点64.7℃)である。前述した組成比の観点から、好ましい塔頂温度は50℃〜90℃であり、より好ましくは60℃〜80℃、さらにより好ましくは65℃〜75℃である。この温度以下ではそもそも蒸気が十分に蒸留塔まで上がってこない、またこの温度以上ではメタクリル酸メチルが主成分の留出液(凝縮液)が得られてしまうため不利である。
以上説明した蒸留塔を使用した本発明の製造方法は、具体的には以下のようにして行なわれる。(理論段数3以上の)蒸留塔設備を有する反応容器に、フルフリルアルコール、メタクリル酸エステル(A)、エステル交換触媒(B)、電子不足オレフィン化合物(C)、重合禁止剤を仕込み、加熱する。副生するアルコールを蒸留塔を用いて効率的に除去することにより反応が進行する。反応完結後、適切な精製操作により、フルフリルメタクリレートを得る。
本発明の原料の仕込み手順は特に制限されない、また、触媒やアクリル酸エステルなどは必要に応じて適宜追加することも可能である。しかし、操作面において最初に全てを仕込み反応完結まで実施することが好ましい。また、適切な条件下で実施している限りにおいて、触媒やアクリル酸エステルの追加が必要な場合はほとんどない。
本発明に使用されるフルフリルアルコール、メタクリル酸エステル(B)、電子不足オレフィン化合物(C)についての詳細は、前述した通りである。
本発明に使用される重合禁止剤としては、ヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール等のキノン系重合禁止剤や4−メトキシフェノール、4−エトキシフェノール、4−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール系重合禁止剤やアルキル化ジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,4−ジヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−ヒドロキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等のアミン系重合禁止剤や2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル等のN−オキシル系重合禁止剤や、ジエチルヒドロキシルサミン、ジプロピルヒドロキシルアミン、ジブチルヒドロキシルアミンなどのヒドロキシルアミン系重合禁止剤を用いることが好ましく、これらは反応中におけるアクリル酸エステルの重合を防止する目的で使用される。
その他にも、フェノチアジン、メチレンブルー、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅などのジアルキルジチオカルバミン酸銅類、銅、鉄、クロム、亜鉛、鉛。水銀などの金属類、特開昭51−98211号公報、特開昭54−14904号公報、特開平5−320095号公報、特開平5−320095号公報、特開昭52−62219号公報、特開昭54−14903号公報、特開平1−230543号公報、特開平2−248402号公報、WO96/7631号公報、特開平7−228548号公報、特公昭45−1054号公報、特公昭45−1054号公報、特開昭52−5709号公報、特公昭58−46496号公報、特開昭61−126050号公報、特公昭59−18378号公報、特開昭60−89447号公報、特開平8−40979号公報、特開平8−157795号公報、特公平4−26639号公報、特開2003−128611号公報、特公昭50−6449号公報、特公昭50−6450号公報、特開2005−336082号公報、平9−316022号公報、特表2010−510316号公報、特開2006−199893号公報、特開2008−239599号公報、特開2003−96013号公報、特開2003−96014号公報、特開2012−111741号公報、特開2008−239600号公報記載の重合禁止剤なども用いることが可能である。
これらの重合禁止剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。その量は、使用するアクリル酸エステル100重量部に対して、0.01〜30重量部が好ましく、0.1〜10重量部が好ましい。前記重合禁止剤添加量の範囲が、収率の点、重合抑制の点および経済性の点で好ましい。
また、必要に応じて、(乾燥)空気、酸素、または酸素窒素混合気体などを、反応液にバブリングしたり、あるいは反応系中にフローすることによって、重合禁止剤の効果を高める工夫を実施することが可能である。
本発明の製造方法において、反応溶媒は特に必要としないが、反応温度の調整や、副成するアルコールの除去をより効率的にしうるような溶媒であれば、使用することが可能である。このような溶媒としては、具体的にはベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、クロロベンゼンなどの芳香族系有機溶媒や、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素系有機溶媒などが挙げられる。
これらの反応溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。その量は、フルフリルアルコールとアクリル酸エステルの合計使用量100重両部に対して、50〜200重量部が好ましく、特に好ましくは80〜150重量部である。
本発明の製造方法における反応温度としては、50℃〜160℃であり、より好ましくは80℃〜150℃であり、さらに好ましくは100℃〜140℃である。反応温度が低い場合、エステル交換反応が遅くなったり、効率的に混合物蒸気が排出されず、結果として反応時間が著しく長くなる。反応時間の長時間化はまた、アクリル酸エステルの重合などの望ましくない副反応を引き起こす要因となる。また反応温度が高い場合においても、アクリル酸エステルの重合が起きるリスクが高まるため上記の適切な温度領域で反応を実施することが重要である。
本発明の反応終点は、フルフリルアルコールの消失した時点、あるいは自ら設定した目標反応率まで到達した時点、あるいは反応速度が著しく低下した時点(現実的な時間で反応がこれ以上進行しない)を持って、反応完結と見なす。反応の進行の判定は、古フリルアルコールの有するフラン基の消失をモニタリングすることにより可能であり、モニタリング方法としては、種々の汎用の解析機器を用いることが可能であるが、より具体的には、反応液のガスクロマトグラフィー(GC)やNMRを測定することにより判定可能である。
本発明の反応時間としては、加熱開始から上記の終点判定時点までの時間を意味し、反応原料の量関係や微妙な温度条件差、あるいは用いる容器のサイズ・形状などの影響を受けて、ズレうるものであるが、通常反応完結までの時間は、3〜16時間である。3時間以下では、反応が完結していない場合が多く、16時間を超えると、アクリル酸エステルやフルフリルメタクリレートの重合などの望まない副反応が起きる可能性が高まるため、好ましくない。一般的な観点からも、できる限り短時間で実施するのが好ましい。
目的・用途に求められる要求に応じて、反応物をそのまま使用することは可能であるが、着色や不純物の除去の観点から、適切な後処理や精製を実施することが好ましい。
本発明の反応の後処理としては、通常の有機合成で普遍的に用いられる後処理であれば何でも構わない。その中でも、有効とされる方法は、水洗処理(反応クエンチ)、吸着剤処理、蒸留などである。これらの方法は、必要に応じて自由に組み合わせて実施することが可能である。
水洗処理について、より具体的には、室温前後まで冷却(放冷)した反応液に対して、一定量の水を加え、適切な有機溶媒により抽出した後、抽出液を脱水乾燥後、抽出溶媒を(減圧)溜去する方法である。抽出溶媒を除去する必要がない場合は乾燥後そのまま使用することも可能である。
水洗に用いる水の量は、多すぎても少なすぎても作業性の悪化を招き、さらに少ない場合十分な洗浄効果を得られない場合が多いため、反応液100重量部に対して、好ましくは50〜2000重量部であり、より好ましくは100〜1000重量部である。
抽出に用いる有機溶媒は微水溶性〜非水溶性なものが好ましく、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレンエチルベンゼン、クロロベンゼンなどの芳香族系有機溶媒や、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのケトン系有機溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭化水素系有機溶媒や、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル系有機溶媒、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン系有機溶媒などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
抽出の際に水層と有機層の分離を向上することを目的として、水に無機塩などを加えてもよい。具体的には、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
脱水乾燥方法としては、減圧による水分除去や、乾燥剤を用いる方法が挙げられるが、乾燥剤を用いる方法が好ましい。
乾燥剤は、水を補足できるものであれば何でもよく、酸化アルミニウム、塩化カルシウム、活性無水硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、酸化リン(V)、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、無水炭酸カリウム、塩化亜鉛、シリカゲル、ゼオライト(モレキュラーシーブス類)などが挙げられるが、こられに限定されるものではない。
乾燥剤は、抽出液に直接添加しても構わないし、カラムなどへ充填したところに抽出液を透過させてもよい。前者の場合、別途ろ過などを実施し、乾燥剤を取り除く必要がある。
抽出溶媒の溜去は、エバポレーターや蒸留装置などを用いて、使用した溶媒に応じて、常圧〜減圧下で、取り除く。
吸着剤処理の具体的な方法としては、適切な吸着剤を反応液、または水洗処理と組み合わせた場合は抽出液、または蒸留と組み合わせた場合は蒸留液に対して直接添加するか、カラムなどへ吸着剤を充填したものに、上記液を透過させてることにより、着色や不純物を除去する方法である。前者の場合、処理後のろ過が必要である。
吸着剤としては、着色や不純物を吸着し、さらにろ過などの簡便な操作で除去できるものが好ましく、具体的には、シリカゲル類、アルミナ類、ハイドロタルサイト類、ゼオライト類、活性炭類、活性白土、フラードなどの粘土類、モレキュラーシーブスなどのゼオライト類、イオン交換樹脂類などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
吸着剤を作用させる温度としては、特に制限はないが、作業性や化合物の分解などを避けるため、常温〜60℃程度が好ましい。多少加温した方が吸着能が上昇したり、あるいは吸着が並行に達するまでの時間が短縮される場合がある。
吸着剤を作用させる量としては、特に制限はないが、作業性やコスト面などを考え、必要最低限の量を用いることが望ましい。
また、必要に応じて希釈してから吸着剤を作用させても構わない。希釈液としては。上述した抽出に用いる有機用溶媒と同じものを使用することが可能であるが、目的用途によっては、エバポレーターなどの装置を用いて希釈溶媒を取り除く必要があるため、除去容易なもの(沸点が低い)が選択されることが好ましい。
蒸留方法としては、一般的な蒸留方法(沸点の差を利用した精製方法)に基づいて実施されうるものである。本発明においては、フルフリルメタクリレートを得ることが目的のため、フルフリルメタクリレートの沸点の都合上、減圧することが望ましい。減圧しない場合、高温にする必要があるが、フルフリルメタクリレートのゲル化(重合)のリスクが高まるため好ましくない。
蒸留は、単蒸留でも構わないし、より不純物の分離し純度を高めることを目的として蒸留塔を用いても構わない。蒸留塔は本発明の反応で説明したものと同じものを使用することが可能である。
好ましい減圧度は、10mmHg以下が好ましく、その場合の沸点温度は120℃以下に抑えられる。さらに、5mmHg以下で、沸点温度100℃以下で実施することがより好ましい。
蒸留中のゲル化(重合)を防止するため、反応液(抽出液)への重合禁止剤の添加や、蒸留設備に、重合禁止剤や酸素などを吹き込みする工夫を用いることが可能である。
重合禁止剤は、上述した反応に使用可能な重合禁止剤を使用可能であるが、反応時よりも空気が少なくより重合リスクが高い状況であるため、使用量を増やしたり、複数の組み合わせなどを実施することが重要である。
また本発明は、蒸留中の内容物が少なくなることによる、反応温度モニタリングや撹拌の不具合、さらに濃縮による内容物中のゲル化リスクなどを避ける目的で、溶媒を共存して実施することも可能である。そのような溶媒としては、フルフリルメタクリレートよりも高沸点で、なおかつフルフリルメタクリレートと化学的に反応(して分解)しないものであれば特に制限はされない。より具体的には、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールジエーテル類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明においては、着色や不純物の除去の観点から、蒸留を実施することがより好ましい。
さらに、コスト面や簡便性の観点から、蒸留塔を用いた反応後、特に後処理をすることなく、反応液から直接蒸留精製を実施する方法が好ましい。
そのような場合、使用するエステル交換触媒(B)によっては、活性停止しないことによる副反応などを引き起こすリスクや、蒸留物への混入リスクなどが発生する場合がある。そのため、使用する触媒を十分に選定する必要があるが、本発明の環状アミジン化合物を使用することにより、上記2点のリスクを解決することが可能である。
ゆえに、エステル交換反応の反応活性の観点だけではなく、蒸留時の上記の観点から環状アミジンが、本発明のエステル交換触媒(B)として特に好ましい。
このように従来のフルフリルメタクリレートの合成方法と比較して、非常に安全・安定・安価・簡便に合成できることが、本発明の大きな特徴である。
以下、実施例にて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例のみに、なんら限定されるものではない。尚、以下の実施例における表中の数字は重量%を表す。
本実施例で使用したGC反応装置は、島津製作所社製GC−2010Plus を使用した。さらに反応率や純度測定の具体的な条件としては、カラムは、島津ジーエルシー社製Rxi−5ms(長さ15.0m、内径0.53mm)を、キャリアガスはHeを使用し、温度条件は、50℃で1分間保持した後、10℃/分の昇温速度で200℃まで加熱した後、200℃で2分間保持することにより測定を実施した。
実施例に用いたエステル交換触媒(B)のうち、環状アミジン化合物を表1に示す。
Figure 2017088607
実施例に用いた電子不足オレフィン化合物(C)を表2に示す。
Figure 2017088607
Figure 2017088607
実施例1
撹拌器、温度計、ガス導入管、冷却器及び分留塔をつけた理論段数10段の精留塔を備えた4つ口フラスコに、フルフリルメタクリレート650g(6.6モル)、メタクリル酸メチル(以下、MMA)995g(9.9モル)、エステル交換触媒(B)として酢酸亜鉛g(0.6モル)、電子不足オレフィン化合物(C)として化合物(C)−1 5.8g(0.03モル)、および重合禁止剤として、メチルヒドロキノン(以下MEHQ)5.8g(0.05モル)を、順次投入した後、マントルヒーターにより加熱を実施し、反応内温120℃〜140℃、蒸留塔の登頂温度が65℃となるように、還流比をコントロールしながら、反応を実施した。加熱開始から12時間後に達したところで、反応を停止し、反応液をサンプリングし、GC測定を実施し、原料と生成物の存在比から反応率を算出した。また反応外観についても観察を実施した結果を表3に示す。
実施例2
実施例1の化合物(C)−1(0.03モル)を、化合物(C)−5(0.03モル)に変更した以外は、実施例1と同様に反応を実施した。
比較例1
実施例1の化合物(C)−1(0.03モル)を使用しない以外は、実施例1と同様に反応を実施した。
実施例3
実施例1の酢酸亜鉛(0.6モル)を、水酸化リチウム(0.6モル)に変更した以外は、実施例1と同様に反応を実施した。反応率および外観について表3に示す。
実施例4
実施例3の化合物(C)−1(0.03モル)を、化合物(C)−6(0.03モル)に変更した以外は、実施例3と同様に反応を実施した。
比較例2
実施例3の化合物(C)−1(0.03モル)を使用しない以外は、実施例1と同様に反応を実施した。
実施例5〜28、比較例3〜8
実施例1に対するエステル交換触媒(B)と電子不足オレフィン化合物(C)の変更方法を、表3に示すように適応した以外は、同様に実施した。
Figure 2017088607
表3に示すように、公知のエステル交換触媒を使用した場合、本発明の電子不足オレフィン化合物(C)を使用しない場合、商業化においては不利なレベルで反応率が悪かったが、本発明の電子不足オレフィン化合物(C)を併用することにより飛躍的に反応率が改善された。
一方環状アミジン化合物をエステル交換触媒(B)として用いた場合、電子不足オレフィン化合物(C)を併用しなくても、他の公知のエステル交換触媒と比較した場合に十分な反応率を示した。さらに電子不足オレフィン化合物(C)を使用することにより、非常に高い反応率を示し、なおかつゲル化が完全に抑制された。
さらに電子不足オレフィン化合物(C)としてマレイミド化合物を使用した場合に、わずかであるがより反応率が向上した。
実施例37〜45
撹拌器、温度計、ガス導入管、冷却器及び分留塔をつけた理論段数10段の精留塔を備えた4つ口フラスコに、フルフリルメタクリレート650g(6.6モル)、MMA1327g(13.2モル)、エステル交換触媒(B)として化合物(B)−1 78.6g(0.99モル)、電子不足オレフィン化合物(C)として表4記載の化合物、および重合禁止剤として、MEHQ 5.8g(0.05モル)を、順次投入した後、マントルヒーターにより加熱を実施し、反応内温120℃〜140℃、蒸留塔の登頂温度が65℃となるように、還流比をコントロールしながら、反応を実施した。加熱開始から8時間後に達したところで、反応を停止し、反応液をサンプリングし、GC測定を実施し、原料と生成物の存在比から反応率を算出した。また反応外観についても観察を実施した結果を表4に示す。
Figure 2017088607
実施例29〜31に示すように、本発明の電子不足オレフィン化合物(C)は触媒量で十分であるが、少なすぎた場合に反応率の低下が見られるため、上述した好ましい使用量の範囲内で使用することが好ましい。
実施例1〜28で示した通り、電子不足オレフィン化合物(C)を使用することにより、反応率が著しく向上するが、特にマレイミド化合物を電子不足オレフィン化合物(C)として使用することにより、非常に高い反応率を示した(実施例31〜37)。
実施例38〜41
実施例17のメタクリル酸メチル(MMA)を、表5に示すアクリル酸エステルおよび反応条件(内温、塔頂温度)に変更した以外は、実施例17と同様に実施した。反応率および観察結果について表5にまとめる。
実施例42
実施例41において、ダイアフラムポンプを用いて、160mmHgに減圧しながら反応した以外は、実施例41と同様に反応を実施した。反応率および観察結果について表5にまとめる。
Figure 2017088607
メタクリル酸エチルやメタクリル酸プロピルなどを用いた場合においても、比較的良好に反応が進行することが明らかとなった(実施例39、40)。しかしながら、メタクリル酸メチルを用いた場合よりも、高い温度を必要とし、若干ゲル化の発生が確認された。実施例38に示すように反応温度を抑えることによりゲル化リスクは低減できるが、反応速度が遅くなった。
また、実施例25、38、41に示されるように、アクリル酸エステルのアルキル鎖が長くなると反応性の低下が見られ、立体障害の影響と考えられる。またアルキル鎖が長くなると副生するアルコールの沸点が高くなるため、蒸発させるため内温を高くする必要がある。そのため二つの理由から反応温度を高くせざるおえない。
実施例42のように、副生するアルコールの沸点が高い場合、減圧などの工夫をすることにより、反応温度を抑えて進行させることは可能である。
上記の結果から明らかのように、反応性および反応温度(ゲル化リスク)、簡便性の観点から、メタクリル酸メチルが最も好ましいことが明らかとなった。
実施例43
実施例17の蒸留塔をディーンスターク管に置き換えた(以下図2)。反応釜にフルフリルメタクリレート650g(6.6モル)、メタクリル酸メチル(以下、MMA)995g(9.9モル)、エステル交換触媒(B)として化合物(B)−1 52g(0.6モル)、化合物(C)として電子不足オレフィン化合物(C)−1 5.8g(0.03モル)、および重合禁止剤として、メチルヒドロキノン(以下MEHQ)5.8g(0.05モル)を、順次投入した後、マントルヒーターにより加熱を実施し、反応内温120℃〜140℃に保つことによりリフラックスした。MMAとメタノールの混合物蒸気は、コンデンサーで冷却されることにより凝縮され、留出液溜めを通して排出した。流出分と同じ重量のMMAを適宜追加を実施した結果、最終的に3000gのMMAを追加した。加熱開始から12時間後に達したところで、反応を停止し、反応液をサンプリングし、GC測定を実施し、原料と生成物の存在比から反応率を算出した結果、反応率は75%であった。
実施例44
実施例17の蒸留塔をソックスレー抽出管に置き換え、ソックスレー管内に、吸着剤としてモレキュラーシーブス4A 200gを入れた(以下図3)。反応釜にフルフリルメタクリレート650g(6.6モル)、メタクリル酸メチル(以下、MMA)3649g(36モル)、エステル交換触媒(B)として化合物(B)−1 52g(0.6モル)、化合物(C)として電子不足オレフィン化合物(C)−1 5.8g(0.03モル)、および重合禁止剤として、メチルヒドロキノン(以下MEHQ)5.8g(0.05モル)を、順次投入した後、マントルヒーターにより加熱を実施し、反応内温100℃〜120℃に保つことによりリフラックスした。(ソックスレー循環のため過剰のMMAを入れたため沸点低下により反応内温が下がった。)MMAとメタノールの混合物蒸気は、コンデンサーで冷却されることにより凝縮され、ソックスレー抽出管内でモレキュラーシーブス4Aと接触した後、細管を通して系内へ還流された。およそ3時間毎にモレキュラーシーブス200gを入れ替えた。加熱開始から12時間後に達したところで、反応を停止し、反応液をサンプリングし、GC測定を実施し、原料と生成物の存在比から反応率を算出した結果、反応率は65%であった。
実施例43、44に示されるように、蒸留塔を使用しない方法でもフルフリルメタクリレートを得ることは可能である。しかしながら、蒸留塔を使用した場合(実施例17)よりも、反応率は低下し、さらに過剰のMMAを必要とした。反応率の低下は副生するアルコールを蒸留塔よりも効率的に除くことができなかったためである。故に、本発明においては反応時に蒸留塔を用いる方法が望ましいことがわかった。
実施例45
実施例17と同様に反応を実施した後、室温まで冷却した反応液に飽和食塩水1000gを添加した。多量のエマルジョンが発生したため、12時間整置を実施した。分層した後、有機層に硫酸マグネシウム200gを入れ、30分撹拌した後、ろ過を実施した。エバポレーターでMMAを除去することにより、濃赤色液体693gを得た。GCにより純度を測定した結果、フルフリルメタクリレートの純度は93%であった。
実施例46
実施例17と同様に反応を実施した後、室温まで冷却した反応液に、酢酸エチル1000gを加え希釈した後、シリカゲルが充填された充填管に通すことにより精製を実施した。エバポレーターで酢酸エチルおよびMMAを除去することにより、薄黄色液体430gを得た。GCにより純度を測定した結果、フルフリルメタクリレートの純度は95%であった。
実施例47
実施例17と同様に反応を実施した後、室温まで冷却した。重合禁止剤として、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール 5gを加えた後、高圧真空ポンプを用いて系内を4mmHgまで減圧を実施した後、徐々に昇温することにより蒸留を実施した。塔頂温度と得られた組成について以下にまとめる。
Figure 2017088607
塔頂温度72℃〜100℃の留出液を回収することにより、無色透明液体800gを得た。GCにより純度を測定した結果、フルフリルメタクリレートの純度は98.5%であった。
実施例45〜47に示されるように、求められる精製度などに応じて適宜精製を実施することが可能である。その中でも、蒸留による精製は、反応系から直接実施することが可能であることや、回収率、着色、純度など点においても他の方法よりも良好である。
以上、実施例1〜47に基づき、本発明の製造方法は、従来法よりも簡便で、安定・安全・安価にフルフリルメタクリレートを製造することが証明された。
本発明は、フルフリルアルコールと、メタクリル酸エステルを出発原料とし、エステル交換触媒および電子不足オレフィン化合物を使用し、フルフリルメタクリレートを製造する方法に関する。また、本発明は、メタクリル酸エステルとしてメタクリル酸メチルを、エステル交換触媒として環状アミジン化合物を、電子不足オレフィン化合物としてマレイミド化合物を用いて、さらに蒸留塔を使用することにより、従来法よりも、飛躍的に反応率が向上し、さらに非常に簡便で、安全、安価に製造することが可能である。
本発明で得られたフルフリルメタクリレートは、重合あるいは架橋反応を利用した成形樹脂、注型樹脂、光造形用樹脂、封止剤、歯科用重合レジン、印刷インキ、印刷ニス、塗料、印刷版用感光性樹脂、印刷用カラープルーフ、カラーフィルター用レジスト、ブラックマトリクス用レジスト、液晶用フォトスペーサー、リアプロジェクション用スクリーン材料、光ファイバー、プラズマディスプレー用リブ材、ドライフィルムレジスト、プリント基板用レジスト、ソルダーレジスト、半導体用フォトレジスト、マイクロエレクトロニクス用レジスト、マイクロマシン用部品製造用レジスト、エッチング用レジスト、マイクロレンズアレー、絶縁材、ホログラム材料、光学スイッチ、導波路用材料、オーバーコート剤、粉末コーティング、接着剤、粘着剤、離型剤、光記録媒体、粘接着剤、剥離コート剤、マイクロカプセルを用いた画像記録材料のための組成物、自己修復材料、各種デバイスなどにおいて、優れた特性を発揮されることが期待される。
(1)反応釜(フラスコ)
(2)コンデンサー(冷却器)
(3)留出液(凝縮液)トラップ
(4)開閉コック(留出液排出弁)
(5)蒸留塔(精留塔)
(6)還流比制御弁(パーシャルコンデンサー)
(7)ソックスレー抽出管
本発明者らは、上記の諸問題点を考慮し解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。すなわち、本発明は、エステル交換触媒(B)の存在下、フルフリルアルコールと、メタクリル酸エステル(A)とをエステル交換反応させて得たフルフリルメタクリレートを含む反応液を、72℃〜100℃および4〜10mmHgで減圧蒸留する、フルフリルメタクリレートの精製方法。また、前記減圧蒸留は、重合禁止剤の存在下で行うことが好ましい。また、精製後のフルフリルメタクリレートの純度は98%以上であることが好ましい。
また、本明細書に記載された他の発明は、エステル交換触媒(B)と、電子不足オレフィン化合物(下記メタクリル酸エステル(A)を除く)(C)との存在下で、フルフリルアルコールと、メタクリル酸エステル(A)とを反応させることを特徴とするフルフリルメタクリレートの製造方法に関する。
実施例1
撹拌器、温度計、ガス導入管、冷却器及び分留塔をつけた理論段数10段の精留塔を備えた4つ口フラスコに、フルフリルアルコール650g(6.6モル)、メタクリル酸メチル(以下、MMA)995g(9.9モル)、エステル交換触媒(B)として酢酸亜鉛g(0.6モル)、電子不足オレフィン化合物(C)として化合物(C)−1 5.8g(0.03モル)、および重合禁止剤として、メチルヒドロキノン(以下MEHQ)5.8g(0.05モル)を、順次投入した後、マントルヒーターにより加熱を実施し、反応内温120℃〜140℃、蒸留塔の登頂温度が65℃となるように、還流比をコントロールしながら、反応を実施した。加熱開始から12時間後に達したところで、反応を停止し、反応液をサンプリングし、GC測定を実施し、原料と生成物の存在比から反応率を算出した。また反応外観についても観察を実施した結果を表3に示す。
実施例37〜45
撹拌器、温度計、ガス導入管、冷却器及び分留塔をつけた理論段数10段の精留塔を備えた4つ口フラスコに、フルフリルアルコール650g(6.6モル)、MMA1327g(13.2モル)、エステル交換触媒(B)として化合物(B)−1 78.6g(0.99モル)、電子不足オレフィン化合物(C)として表4記載の化合物、および重合禁止剤として、MEHQ 5.8g(0.05モル)を、順次投入した後、マントルヒーターにより加熱を実施し、反応内温120℃〜140℃、蒸留塔の登頂温度が65℃となるように、還流比をコントロールしながら、反応を実施した。加熱開始から8時間後に達したところで、反応を停止し、反応液をサンプリングし、GC測定を実施し、原料と生成物の存在比から反応率を算出した。また反応外観についても観察を実施した結果を表4に示す。
実施例43
実施例17の蒸留塔をディーンスターク管に置き換えた(以下図2)。反応釜にフルフリルアルコール650g(6.6モル)、メタクリル酸メチル(以下、MMA)995g(9.9モル)、エステル交換触媒(B)として化合物(B)−1 52g(0.6モル)、化合物(C)として電子不足オレフィン化合物(C)−1 5.8g(0.03モル)、および重合禁止剤として、メチルヒドロキノン(以下MEHQ)5.8g(0.05モル)を、順次投入した後、マントルヒーターにより加熱を実施し、反応内温120℃〜140℃に保つことによりリフラックスした。MMAとメタノールの混合物蒸気は、コンデンサーで冷却されることにより凝縮され、留出液溜めを通して排出した。流出分と同じ重量のMMAを適宜追加を実施した結果、最終的に3000gのMMAを追加した。加熱開始から12時間後に達したところで、反応を停止し、反応液をサンプリングし、GC測定を実施し、原料と生成物の存在比から反応率を算出した結果、反応率は75%であった。
実施例44
実施例17の蒸留塔をソックスレー抽出管に置き換え、ソックスレー管内に、吸着剤としてモレキュラーシーブス4A 200gを入れた(以下図3)。反応釜にフルフリルアルコール650g(6.6モル)、メタクリル酸メチル(以下、MMA)3649g(36モル)、エステル交換触媒(B)として化合物(B)−1 52g(0.6モル)、化合物(C)として電子不足オレフィン化合物(C)−1 5.8g(0.03モル)、および重合禁止剤として、メチルヒドロキノン(以下MEHQ)5.8g(0.05モル)を、順次投入した後、マントルヒーターにより加熱を実施し、反応内温100℃〜120℃に保つことによりリフラックスした。(ソックスレー循環のため過剰のMMAを入れたため沸点低下により反応内温が下がった。)MMAとメタノールの混合物蒸気は、コンデンサーで冷却されることにより凝縮され、ソックスレー抽出管内でモレキュラーシーブス4Aと接触した後、細管を通して系内へ還流された。およそ3時間毎にモレキュラーシーブス200gを入れ替えた。加熱開始から12時間後に達したところで、反応を停止し、反応液をサンプリングし、GC測定を実施し、原料と生成物の存在比から反応率を算出した結果、反応率は65%であった。

Claims (8)

  1. エステル交換触媒(B)と、電子不足オレフィン化合物(下記メタクリル酸エステル(A)を除く)(C)との存在下で、フルフリルアルコールと、メタクリル酸エステル(A)とをエステル交換反応させることを特徴とするフルフリルメタクリレートの製造方法。
  2. エステル交換触媒(B)の存在下で、フルフリルアルコールと、メタクリル酸エステル(A)とをエステル交換反応させることを特徴とするフルフリルメタクリレートの製造方法であって、エステル交換触媒(B)が環状アミジン化合物であることを特徴とするフルフリルメタクリレートの製造方法。
  3. エステル交換触媒(B)が環状アミジン化合物である請求項1記載のフルフリルメタクリレートの製造方法。
  4. 電子不足オレフィン化合物(C)が、マレイミド化合物である請求項1または3記載のフルフリルメタクリレートの製造方法。
  5. メタクリル酸エステル(A)が、メタクリル酸メチルである請求項1〜4いずれか記載のフルフリルメタクリレートの製造方法。
  6. 前記エステル交換反応において副生するアルコールと、メタクリル酸エステルの混合物を流出させる際に、蒸留塔設備を使用し、さらにその登頂温度を60℃〜80℃の範囲で実施することを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のフルフリルメタクリレートの製造方法。
  7. さらにエステル交換反応完了後に、連続的に減圧蒸留することによる精製工程を有する請求項1〜6いずれか記載のフルフリルメタクリレートの製造方法。
  8. 請求項1〜7いずれか記載の製造方法で得られたフルフリルメタクリレート。
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